以下、3次元仮想空間内に定義したゲーム空間に配置した犬のコンピューターグラフィクスによるオブジェクトを表示装置に表示するとともに、当該表示装置上でのタッチ操作に応じて様々な態様でゲーム画面を変化させるゲーム装置及びゲームプログラムを例として、本発明の実施形態を説明する。
図1は本発明の1実施形態に係るゲーム装置1、又は本発明の1実施形態に係るゲームプログラムにより動作するゲーム装置1の外観構成を示す斜視説明図であり、図2は、当該ゲーム装置の座席部10に対向して設けられた操作パネル20の正面説明図である。
図示のように、ゲーム装置1は、その上部に犬型模型1a〜1cが取り付けられた小型自動車の形態を有している。
ゲーム装置1の中央部には、2つの座席11、12が左右に並べて配置された座席部10が設けられている。座席11は、座席12よりも寸法が小さく、また、座席12よりも前方に張り出した位置に取り付けられており、座席11に幼児を着座させて大人が横の座席12に着座することが可能である。
座席部10の前方には、座席11、12に向かい合うようにして、操作パネル20が立設されている。
操作パネル20の上方やや左寄りの位置には表示画面22と、当該表示画面22を覆うタッチパネル23を有する表示装置21が埋め込まれており、表示装置21に手で触れたときの表示画面22上の接触位置がタッチパネル23により検知される。この表示装置21は、座席11に着座した幼児が自然に手を伸ばして触ることができる位置に取り付けられており、表示画面22に表示される犬オブジェクトの画像に興味を惹かれた幼児が表示画面22の様々な位置に触れることによりゲームが進行するようになっている。
表示装置21は、液晶ディスプレイやCRTなどの任意の画像表示装置により構成することが可能であり、タッチパネル23には、抵抗膜方式や静電容量方式など任意のタイプのものを使用することが可能である。
操作パネル20には、更に、バーコードなどの形態で情報が記録されたゲームカードを排出するカード排出口24、カード排出口24から排出されたカードの情報を読み取るためのカードリーダ25、ゲーム音声を出力するためのスピーカ26、ゲーム料金を投入するためのコイン投入口27などが設けられている。
図3は、ゲーム装置1が内蔵するハードウェア構成を示す説明図である。
図示のように、このゲーム装置1は、CPU31、ROM32、RAM33、DMA34などから構成される制御装置30、情報記録媒体35、画像処理部36、音声処理部37、入力処理回路38、出力処理回路39、カードベンダー40、コイン処理部41等を備えている。
ここで、CPU31は、ゲーム装置1の制御動作の中枢となり、システムバスSBを介して他の構成要素と制御信号やデータ信号等の受け渡しを行って全体を統括的に制御する中央演算処理装置であり、本発明に係るゲームプログラムや入力処理回路38からの信号に従って仮想3次元空間であるゲーム空間に設定されたワールド座標系にオブジェクト及び視点を設定するための処理情報を導出するものである。この処理情報には、ゲーム空間に配置される各オブジェクトの配置座標をワールド座標系において指定するデータ、視点の配置座標や視点の向きを指定するデータ、各オブジェクトの姿勢をローカル座標系において指定するデータなどが含まれる。
ROM32は、装置の起動時に使用する起動用プログラムや装置を動かすための基本的なシステムプログラム等を格納する不揮発性メモリである。
RAM33は、情報記録媒体35から読み出したゲームプログラムを展開し、作業中のデータを一時記録するなどのための領域をCPU31に提供する揮発性メモリである。
DMA34は、システムバスSBに接続されている周辺機器を対象として割り込み制御やダイレクトメモリアクセス転送制御を行うものであり、CPU31を介さずに各種周辺機器とRAM33との間でシステムバスSBを介して直接データのやりとりを実行し、これにより、CPU31のオーバーヘッドを伴わずに、高速・大容量のデータ転送を実現している。
情報記録媒体35は、本発明のゲームプログラムPやゲーム空間に配置されるオブジェクトを定義するデータ、各オブジェクトにマッピングされるテクスチャデータ、或いは圧縮符号化された動画像や静止画像のデータなどを記録する媒体である。情報記録媒体35は、ハードディスク、光ディスク(CD−ROM、DVD−ROM)、光磁気ディスク、磁気ディスク、磁気テープ、コンパクトフラッシュROM(登録商標)、メモリーカートリッジにソフトウェアを内蔵した記憶媒体などにより構成することができる。
画像処理部36は、表示装置21で表示する画像を生成するものであって、本実施形態では、画像デコーダ36a、GPU36b、ディスプレイコントローラ36c等の半導体デバイスを備えている。
ここで、画像デコーダ36aは、情報記録媒体35に記録され、又は情報記録媒体35からRAM33に複写された所定の形式で圧縮符号化された静止画像或いは動画像等のデータを復号する処理を行う。
GPU36bは、所定容量の画像記録領域(フレームバッファ等)を備えており、CPU31からのコマンドに応じて、3次元コンピュータグラフィクス(3DCG)の画面データを生成するための画像生成アルゴリズムを実行し、ジオメトリ処理やテクスチャマッピング等を行って生成した画像を上記画像記録領域に描画記録する処理を行う。
ディスプレイコントローラ36cは、GPU36bの画像記録領域に描画された画像データをフレーム時間毎に読み出して、画像データに対応した輝度信号と色信号を含む映像信号を生成して表示装置21に出力する。
音声処理部37は、スピーカ26に出力する効果音やBGM等の音声を生成する半導体デバイスであって、具体的には、図示省略のサウンドバッファ及びSPU等を備え、SPUがサウンドバッファから読み出した音声データを合成してスピーカ26に出力する。
入力処理回路38は、タッチパネル23、カードリーダ25、コイン処理部41などから受信した信号を所定の形式に変換して、制御装置30に送信する処理を実行する。
出力処理回路39には、複数のゲームカードをストックできるカードベンダー40が接続されており、カードベンダー40は、制御装置30から出力処理回路39を介して送信される信号に従って、カード排出口24から上記ゲームカードを排出する処理を実行する。
図4は、CPU31が情報記録媒体35に記録された本発明に係る画像処理プログラムPをRAM33上において展開、実行することにより実現される機能構成を示す説明図である。
図示のように、ゲーム装置1は、視点管理部51、オブジェクト記録部52、犬オブジェクト選択部53、仮想モデル管理部54、画像描画部55、領域設定部56、処理割当部57、操作特定部58、表示制御部59を備えている。
視点管理部51は、ゲームプログラムPや表示制御部59からの信号に従って、ゲーム空間におけるフレーム時間毎の視点(仮想カメラ)Vの配置座標及び視点Vの向きZ(以下、視点Vの向きを「視点方向」という)についてのデータを導出し、これを画像描画部55に提供するものである。
オブジェクト記録部52は、ゲーム空間に配置されるオブジェクトの3次元データや各オブジェクトにマッピングされるテクスチャの2次元データを記録するものである。オブジェクトは、1又は複数のポリゴン(多角形データ)を組み合わせて種々の事物の形状を表現したものであり、オブジェクト記録部52においては、個々のオブジェクトに固有のローカル座標系により記述されたオブジェクトを構成するポリゴンの配置座標データが記録されている。
オブジェクト記録部52に記録されるオブジェクトの種類は任意とすることができるが、本実施形態のオブジェクト記録部52には、表示装置21に表示される様々な種類の犬を象った複数の犬オブジェクトDの他、樹木、草花、道路、家などの種々の事物を表現した多数のオブジェクトのデータが記録されている。
ここで、上記各犬オブジェクトDは、犬オブジェクトDを構成する頭部、耳部、目部、前足部、胴部、尻尾部などの複数の部分オブジェクトから構成されており、ローカル座表系における各部分オブジェクトの位置や角度を調整することにより、犬が様々な姿勢をとり、動作を行う様子を表現することが可能になっている。
犬オブジェクト選択部53は、カードリーダ25により読み込まれるゲームカードに記録された情報に基づいて、オブジェクト記録部52に記録される複数の犬オブジェクトDのうちのいずれかの犬オブジェクトDを指定する信号を仮想モデル管理部54に送信するものである。
仮想モデル管理部54は、各オブジェクトの格納アドレスに基づいて、犬オブジェクトDの他、樹木や草花、家などの景観を構成するオブジェクトのデータを読出すとともに、ゲームプログラムPの指定や表示制御部59からの表示制御信号に基づいてフレーム時間毎の各オブジェクトの配置座標データや姿勢データを導出し、これらのデータに従って各オブジェクトをワールド座標系に配置することにより構築される仮想モデル内の各ポリゴンの座標データを画像描画部55に提供する。このとき、上記犬オブジェクトDのデータとしては、オブジェクト記録部52に記録される複数の犬オブジェクトDのうち、犬オブジェクト選択部53からの信号により特定される犬オブジェクトDのデータが使用される。
画像描画部55は、仮想モデル管理部54から与えられたポリゴンの座標データを、視点Vから所定距離に位置する2次元のスクリーン座標S上に透視変換し、スクリーン座標S上の各ポリゴンのそれぞれに割り当てられたテクスチャをマッピングすることにより画像データを生成し、これをGPU36bの画像記録領域に記録する。この画像記録領域に描画された画像データは、ディスプレイコントローラ36cの制御の下でフレーム時間毎に表示装置21に出力され、表示画面22上においてゲーム画面として表示される。
領域設定部56は、表示装置21の表示画面22(又は、表示画面22に表示されるゲーム画面)を所定の態様で分割することで複数の領域R1〜Rnを設定する。この領域R1〜Rnの設定の態様は任意であるが、本実施形態では、犬オブジェクトDが「立ち」の姿勢にあるシーンA、「お座り」の姿勢にあるシーンB、「伏せ」の姿勢にあるシーンCなどの複数のシーンが設定されており、領域設定部56は、当該各シーン毎に、領域R1〜Rnの個数及び各領域R1〜Rnの形状、サイズなどをゲームプログラムPにより予め定められた態様で設定するものとされている。
領域設定部56により設定された各領域R1〜Rnの位置、サイズ、形状を示す情報は、第2操作特定部58bに送信される。
処理割当部57は、領域処理割当部57a及び部分処理割当部57bを備えている。
領域処理割当部57aは、ゲーム進行中における各シーンについて領域設定部56が設定した各領域R1〜Rnの全部又は一部に対して、それぞれ個別の画像処理を割り当てるものである。ここで、上記画像処理の内容や各画像処理の割り当ての態様等は任意に定めることが可能であるが、本実施形態の領域処理割当部57aは、ゲームプログラムPの指定に従って、視点Vのゲーム空間内における位置や視点方向Z、犬オブジェクトDのゲーム空間内における位置や姿勢を所定の態様に変更するなどの画像処理を各領域R1〜Rnに割り当てるものとされている。領域処理割当部57aが各領域R1〜Rnに割り当てた画像処理の内容は、第2表示制御部59bに通知される。
部分処理割当部57bは、犬オブジェクトDを構成する各部分オブジェクト毎に、ゲーム空間内における犬オブジェクトDの位置、或いは、ローカル座表系における各部分オブジェクトの位置や角度を変更する動作処理を割り当てるように構成されている。ここで、それぞれの部分オブジェクトには、ゲーム進行中の全シーンを通じて、同一の動作処理を割り当てることも可能であるが、本実施形態の部分処理割当部57bは、ゲームプログラムPの指定に従って、各部分オブジェクトに対して各シーン毎に異なる組み合わせの動作処理を割り当てるように構成されている。部分処理割当部57bが各部分オブジェクトに割り当てた動作処理の内容は、第3表示制御部59cに通知される。
操作特定部58は、第1〜第3操作特定部58a〜58cから構成されている。
第1操作特定部58aは、タッチパネル23からの信号に基づいて、プレーヤー(座席11の幼児や座席12の大人)の手などが接触した表示画面22上の位置(接触位置t、例えばa点)に対応するゲーム空間内の座標(接触座標q、例えばa´点)を特定するものである。具体的には、視点Vとスクリーン座標S上における接触位置tを結ぶ直線が、ゲーム空間における所定の平面(例えば、犬オブジェクトDのプログラムによって設定された重心を通り、視点方向Zに垂直な平面p)と交わる点の座標が接触座標qとして特定される。
第2操作特定部58bは、領域設定部56により設定された領域R1〜Rnのうち、上記第1操作特定部58aにより特定された接触位置tを含む領域R1〜Rnを接触領域rとして特定する処理を実行する。
第3操作特定部58cは、視点Vの位置と、スクリーン座標S上の上記接触位置tとを結ぶ直線がゲーム空間に配置された犬オブジェクトD上を通過するか否かを判断し、通過する場合には、その直線が通過する犬オブジェクトDを構成する部分オブジェクトのうち、視点Vに最も近い部分オブジェクトを接触オブジェクトoとして特定する処理を実行する。
操作特定部58は、上記により特定した接触座標q、接触領域r及び接触オブジェクトoを示すタッチ信号を表示制御部59に送信する。
表示制御部59は、第1〜第3表示制御部59a〜59cを備え、これら各表示制御部59a〜59cにより生成された表示制御信号を仮想モデル管理部54に送信するものである。
第1表示制御部59aは、操作特定部58からタッチ信号を受信する毎に動作し、ゲーム空間に配置された犬オブジェクトDが、タッチ信号により示される接触座標qの方向を向く動作を行うように、犬オブジェクトDの頭部及び/又は目部の部分オブジェクトのローカル座標系における位置や角度を変更するための表示制御信号を生成するものである。なお、第1表示制御部59aは、接触座標qから犬オブジェクトDまでの距離が大きいほど、上記部分オブジェクトの位置や角度を大きく変更するように構成されており、犬オブジェクトD上又はその近傍に接触位置qがある場合には、上記部分オブジェクトの位置や角度は殆ど変更されないようになっている。
つまり、接触座標qが犬オブジェクトDまでの距離が遠いときには、犬オブジェクトDの頭部及び/又は目部の部分オブジェクトの動きは大きくなるため、プレイヤにとって犬オブジェクトDが接触座標qの動きを追っていることが認識しやすくなるが、接触座標qが犬オブジェクトDまでの距離が近いときには、犬オブジェクトDの頭部及び/又は目部の部分オブジェクトの動きは小さいため、プレイヤは犬オブジェクトDが接触座標qの動きを追っていることは認識し難くなる。
第2表示制御部59bは、タッチ信号により示される接触領域rに対して、領域処理割当部57aにより何らかの画像処理が割り当てられている場合に動作し、当該接触領域rに割り当てられた画像処理を実行するための表示制御信号を生成するものである。なお、第2表示制御部59bは、短時間のうちに複数の領域R1〜Rnに割り当てられた画像処理を続けて実行することによってゲーム画面の自然さや見易さが損なわれないようにするために、いずれかの領域R1〜Rnに割り当てられた画像処理のための表示制御信号を生成した場合には、その時点から所定の下限時間T1が経過する迄は、他の領域R1〜Rnに割り当てられた画像処理のための表示制御信号は生成しないように構成されている。
第3表示制御部59cは、タッチ信号により示される接触オブジェクトoに割り当てられた動作処理を実行するための表示制御信号を生成する。
図5(A)は、ゲーム進行中のあるシーン(犬オブジェクトDが「立ち」の姿勢であるシーンA)において仮想モデル管理部54がゲーム空間に構築する仮想モデルの例示的な態様を示す説明図である。
図示のように、この仮想モデルでは、ゲーム空間の所定の位置に犬オブジェクトDが配置されるとともに、犬オブジェクトDから所定距離離間した位置に視点Vが視点方向Zを犬オブジェクトDに向けて配置されている。このようなゲーム空間における各オブジェクトの位置及び姿勢、視点Vの位置及び視点方向Zは、表示制御部59からの表示制御信号が仮想モデル管理部54に送信されない限り(即ち、表示画面22への接触がタッチパネル23により検知されない限り)、ゲームプログラムPにより予め規定されているものである。なお、実際の処理では、犬オブジェクトDの周囲には、樹木や草花、道、家などの多数のオブジェクトが配置されるが、ここでは簡明のため、犬オブジェクトDのみがゲーム空間に配置されるものとして説明する。なお、図5(A)のAVは視点Vの画角であり、pは犬オブジェクトDの重心を通る視点方向Zに垂直な平面を示している。
図5(B)は、画像描画部55が図5(A)の仮想モデルを視点Vから所定距離に位置するスクリーン座標S上に透視変換することにより描画するゲーム画面G1を示す説明図である。図示のように、犬オブジェクトDは、ゲーム画面G1において、視点Vからの距離やアングルに応じた遠近感をもって描画される。
図5(B)のゲーム画面G1上に示される破線は、シーンAについて領域設定部56が設定した領域R1〜R3の境界を示す説明線である。なお、領域R1〜R3は、ゲーム装置1の内部的処理によって設定されるものであり、ゲーム画面G1には、上記説明線は勿論、領域R1〜Rnの識別を可能にする模様や着色等は一切表示されない。
図6(A)は、上記シーンAにおける3つの領域R1〜R3に対して領域処理割当部57aが割り当てた画像処理の一覧であり、図6(B)は、犬オブジェクトDを構成する頭部、耳部、前足部、胴部及び尻尾部の各部分オブジェクトに対して部分処理割当部57bが割り当てた動作処理をコード符号を用いて規定したものである。また、図6(C)は、図6(B)等のコード符号と動作処理の内容との対応を示す説明図である。
なお、図6(B)に示すように、部分処理割当部57bは、各動作処理を、特定の部分オブジェクトを接触オブジェクトoとして指定するタッチ信号の継続時間との関係で規定しており、例えば、犬オブジェクトDの頭部が接触オブジェクトoとして指定された場合は、直ちに犬オブジェクトDがPA13に対応する動作(頭を下げる動作)を行い、頭部が接触オブジェクトoとして指定するタッチ信号の継続時間が1秒、3秒、5秒のように長くなるに従って、犬オブジェクトDが、CF04に対応する動作(うれしい表情をする)、CF05に対応する動作(笑う)、PB01に対応する動作(お座りをする動作)を行うことになる。また、耳部及び尻尾部の「2秒」欄に規定されるR(1/3)は、カッコ内の数値に従う確率で該当欄の動作処理が実行されることを意味しており、例えば、耳部が「2秒」間継続して接触オブジェクトoとして特定された場合には、1/3の確率でPA16に対応する動作(体をブルブル振るわせる動作)が行われることになる。
図5、6に示すシーンAにおいて、プレーヤーがゲーム画面G1上の点aをタッチし、当該点aが接触位置tとしてタッチパネル23により検知されたと仮定すると、第1操作特定部58aは、視点Vとスクリーン座標上の点aを結ぶ直線が平面pと交わる点a′を接触座標qとして特定し、第2操作特定部58bは、ゲーム画面G1内の点aの座標から、領域R3を接触領域rとして特定する。一方、視点Vと接触位置t(点a)を結ぶ直線は犬オブジェクトDを通過しないため、第3操作特定部58cによる接触オブジェクトoの特定はなされない。
従って、第1表示制御部59aは、犬オブジェクトDが、第1操作特定部58aにより特定された接触座標q(点a′)の方向を向くように頭部及び/又は目部の部分オブジェクトを移動させる処理を実行するとともに、第2表示制御部59bが、第2操作特定部58bにより特定された接触領域r(領域R3)に割り当てられた画像処理(視点Vを犬オブジェクトDの右上位置に移動させるとともに、視点方向Zは犬オブジェクトDの重心方向に設定する処理)を実行する結果、仮想モデルは、図7(A)に示す態様に変更され、画像描画部55は、図7(B)に示すように、犬オブジェクトDの姿態を左後方から描画したゲーム画面G2を生成することになる。ここで、図5(A)の仮想モデルから図7(A)の仮想モデルへの移行は、補間技術等を用いて一定の時間をかけて行うことが可能であり、これにより、ゲーム画面G1、G2間の移行を円滑に行うことができる。
また、上記シーンAにおいて、ゲーム画像G1上の点bが接触位置tとして特定された場合には、第1操作特定部58aが平面p上のb′点を接触座標qとして特定し、第2操作特定部58bが領域R1を接触領域rとして特定する結果、第1表示制御部59aが犬オブジェクトDの頭部及び/又は目部の部分オブジェクトを点b′の方向に向ける処理を行った後、第2表示制御部59bが領域R1に割り当てられた画像処理(オブジェクトDをルートXに沿って一周させるとともに、犬オブジェクトDとの距離を一定に保って視点Vを犬オブジェクトDとともに移動させる処理)を実行する結果、仮想モデル管理部54は図7(C)に示す態様の仮想モデルを構築し、画像描画部55は、図7(D)に示すように、仮想空間内に予め設定されたルートXを所定時間をかけて一周する犬オブジェクトDの様子をゲーム画像G4として描画することになる。
このように、ゲーム画面に表示される画像と表示処理の内容との関係を特別意識しなくとも、ゲーム画面G1上の任意の場所にタッチするだけで、ゲーム画面G1に表示される犬オブジェクトDがタッチされた位置の方向を向く動作を行うと共に、図7(B)、(D)に示すような興趣性に富むゲーム画面G2、G3が表示されることになる。
なお、第2表示制御部59bは、一の領域R1(又はR3)に割り当てられた画像処理を実行した場合には、その時点から所定の下限時間(例えば、1〜5秒)が経過するまでの間に他の領域R3(又はR1)を接触領域rとして特定するタッチ信号を受信したとしても、当該他の領域R3(又はR1)に割り当てられた画像処理を実行しないようになっており、これにより、ゲーム画面の変化が過度に目まぐるしくなることが防止される。
たとえば、接触領域rがR1(又はR3)からR2を通過してR3(又はR1)へ移動する際に、R1からR2の領域へ移動した際にはR2の領域に移動したことによって画像処理が行なわれるが、R2において定められた下限時間(たとえば、1〜5秒)が経過することなく接触領域rがR3へと移動しても、R2における下限時間が経過するまではR3の領域へ移動したことによる画像処理は実行されない。
また、上記シーンAにおいて、ゲーム画面G1上の点cが接触位置tとして検知されたとすると、第1操作特定部58aは、視点Vとスクリーン座標上の点cを結ぶ直線が平面pと交わる点c′を接触座標qとして特定するが、当該接触座標qは、犬オブジェクトDの近傍位置にあるため、第1表示制御部59aが生成する表示制御信号によっては、犬オブジェクトDの頭部及び目部の位置や角度は殆ど変更されない。また、第2操作特定部58bは、ゲーム画面G1内の点cの座標から、領域R2を接触領域rとして特定するが、当該領域R2には画像処理が割り当てられていないため、第2表示制御部59bは動作しない。
一方、第3操作特定部58cは、犬オブジェクトDを構成する部分オブジェクトのうち、視点V及び点cを結ぶ直線上にある視点Vに最も近い耳部の部分オブジェクトを接触オブジェクトoとして特定する。
従って、ゲーム画面G1上の点cがタッチされた場合には、図5(B)に示す画面構成のままで、犬オブジェクトDが耳部をパタパタと動かす動作を行い、点cへのタッチが2秒間継続した場合には、1/3の確率をもって犬オブジェクトDが胴部をブルブルと振るわせる動作を行う。
そして、シーンAのゲーム画像G1において、点cへのタッチが5秒間継続したとすれば、犬オブジェクトDがPB01に対応する「お座り」の動作を行ってその姿勢を変化させる結果、ゲームステージはシーンBに移行することになる。
図8(A)は、シーンBにおいて仮想モデル管理部54が構築する仮想モデルであり、図8(B)は、このときに画像描画部55により描画されるゲーム画面G4である。
このシーンBでは、図8(B)に示すように、ゲーム画面G4がシーンAとは異なる個数、形状、サイズの領域R4〜R7に分割されている。また、当該領域R4〜R7には、図9(A)に示すように、シーンAにおける領域R1〜R3についての画像処理とは異なる内容の画像処理が割り当てられており、犬オブジェクトDを構成する各部分オブジェクトには、図9(B)に示すように、シーンAとは異なる態様で各動作処理が割り当てられている。
従って、シーンBでは、ゲーム画面G4において表示画面22にタッチすることにより、シーンAとは異なる態様の画像処理や動作処理が実行される結果、シーンAとは異なる態様でゲーム画面が変化することになる。
なお、シーンBのゲーム画面G4において、頭部、耳部又は胴部の部分オブジェクトへのタッチが5秒間継続した場合には、犬オブジェクトDの姿勢はPC01に対応する「伏せ」に変化し、ゲームステージはシーンBから更にシーンCに移行することになる。
図10は、ゲーム装置1において実行される処理の流れを示すフローチャートである。
ゲーム装置1は、電源が投入されると、各種ゲーム変数の初期化などのセットアップ処理(ステップS1)がなされた後にコイン投入の待受処理(ステップS2)に移行するようになっており、所定金額のコインの投入をコイン処理部41が検知したことを条件に、カードベンダー40が動作し、オブジェクト記録部52に記録される複数の犬オブジェクトDのいずれかを特定する情報がバーコードとして記録された所定のゲームカードがカード排出口24から排出され、同時に、表示装置21及び/又はスピーカ26から「カードを取ってね」のメッセージが出力される(ステップS3)。
なお、カードベンダー40には、様々な犬オブジェクトDを特定する情報が記録されたカードをアトランダムにストックしておくことで、ゲームを行う毎に異なる種類の犬オブジェクトDを表示させて遊ぶことができ、また、ゲームカードにそれぞれの犬オブジェクトDのイメージ画像をプリントするなどにより、ゲームを行うことでゲームカードを収集していく楽しみを提供することが可能である。
続くステップS4では、表示装置21及び/又はスピーカ26から「カードをスキャンしてね」のメッセージが出力されるとともに、カードリーダ25がスタンバイとなり、ゲームカードのスキャンが待ち受けられる。
そして、カード排出口24から排出されたゲームカード(又はプレーヤーの手持ちのゲームカード)のスキャンが行われると、カードリーダ25からの信号に基づいて犬オブジェクト選択部53が犬オブジェクトDを指定する信号を仮想モデル管理部54に送信する(ステップS5)。なお、所定時間内にゲームカードのスキャンが行われず、従って、当該時間内に犬オブジェクト選択部53から上記信号の送信がなされない場合には、仮想モデル管理部54は、予め定められた種類の犬オブジェクトDが指定されたものとして、以降の処理を実行するものとすることが可能である。
続くステップS6では、ステップS5において指定された犬オブジェクトDが犬小屋から登場し、自己紹介を行い、公園まで走っていくなどのオープニング映像の表示が実行された後、ステップS7においてメインゲーム処理が実行され、仮想モデル管理部54が犬オブジェクト選択部53により指定される犬オブジェクトDのデータを用い、ゲームプログラムPの指定及び表示制御部59からの表示制御信号に従って仮想モデルを構築し、画像描画部55が当該仮想モデルをレンダリングすることにより生成されるゲーム画面が表示装置21に表示される。
このメインゲーム処理(ステップS7)では、図5〜9について上記したように、プレーヤーがゲーム画面内においてタッチしたいと思うところにタッチすることにより、第1〜第3表示制御部59a〜59cが動作し、ゲーム空間内において犬オブジェクトDが様々に動作し、或いは視点Vを移動するなどの処理が実行され、その結果、変化に富んだ興趣性の高いゲーム画面が提供される。
また、特定の領域R1〜Rnが接触領域rとして特定され、或いは犬オブジェクトDの特定の部分オブジェクトが所定時間以上継続して接触オブジェクトoとして特定されることにより、ステップS7中において実線の矢印で示す方向に犬オブジェクトDの姿勢が変化するとともにゲームステージがシーンA〜シーンF間で遷移し、また、所定時間以上継続してタッチ操作がなされないことによって、破線の矢印で示す方向に犬オブジェクトDの姿勢が変化するとともにゲームステージがシーンA〜シーンF間で遷移する。
たとえば、ゲームステージがシーンA(「立ち」)から始まり、犬オブジェクトDの特定の部分オブジェクトが所定時間以上継続して接触オブジェクトoとして特定されることによりシーンB(「お座り」)へと移行し、犬オブジェクトDの姿勢が変化しても、プレイヤーが犬オブジェクトDの特定の部分オブジェクトを、所定時間以上継続して接触オブジェクトoとして更に特定され、シーンが移行されるように接触することにより、順次シーンC(「伏せ」)、シーンD(「足のばし」)あるいはシーンE(「横臥」)へと移行し、更にシーンE(「横臥」)からシーンF(「仰向け」)へと移行していく。
また、逆にシーンが移行した際に、プレイヤーが接触オブジェクトoとして特定されない箇所を触った場合には、たとえばシーンB(「お座り」)からシーンA(「立ち」)へとシーンを遷移させ、画面に触れてさえいれば、あるいは画面のある一つの点に触れてさえいれば犬オブジェクトDの姿勢が変化するのではなく、触れる箇所に応じてシーンを変化させることによって、ゲームとしてさまざまな展開を見せることが可能になり、プレイヤに犬オブジェクトDの多彩な表情や動作を見せることが可能となる。
メインゲーム処理(ステップS7)には、所定の制限時間が設けられており、当該制限時間が経過することにより、ゲームは終了する。
以上、例示的な実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上記実施形態により限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載内において種々の変更、改変を行うことが可能である。
例えば、上記実施形態では、アミューズメントセンターやデパートの遊戯施設などに設置される業務用のゲーム装置1に本発明を適用する場合について説明したが、本発明のプログラムをROMカートリッジやCD−ROMなどの記録媒体に記録し、これを携帯型ゲーム装置、タッチパネル式携帯電話やパーソナルコンピュータに読み取らせて実行することで本発明のゲーム装置を構成することも可能である。
図11(A)は、本発明が好ましく適用される例示的な携帯型ゲーム装置2の外観構成を示す説明図であり、図11(B)は、ゲーム装置2のハードウェア構成を示す説明図である。
図示のように、ゲーム装置2は、表示画面62とタッチパネル63とを有する表示装置61、ROMカートリッジなどの記録媒体71を収容するスロット64、外付けのカードリーダ72との接続が可能なI/O端子65を備えるとともに、付属品としてのスタイラス73を備えている。ゲーム装置2は、更に、電源スイッチ67、リセットボタン68、十字キー69、操作ボタン70なども備えている。
また、ゲーム装置2は、ゲーム装置1と同様の制御装置30、画像処理部36、音声処理部37を内蔵するとともに、タッチパネル63やカードリーダ72からの情報を制御装置30に送信する入力処理回路38や、スロット64に挿入された記録媒体71の読み取りを行う記録媒体ドライブ74を備えている。
従って、本発明のゲームプログラムPが記録された記録媒体71をスロット64に挿入し、当該プログラムPをRAM33上で展開実行することにより、ゲーム装置1について上記したと同様の態様のゲーム画面を表示装置61上に表示させることが可能である。この場合、ゲーム装置1などにおいて入手したゲームカード上の情報をカードリーダ72で読み取ることにより、表示装置61に表示させる犬オブジェクトDの種類が選択されるものとし、タッチパネル63から送信される表示画面62上での指先やスタイラス73の接触位置を示す信号に基づいて表示制御手段59が生成する表示制御信号により、ゲーム装置1と同様の態様でゲーム画面を変化させることが可能である。
また、上記実施形態では、各シーンにおける画像処理や動作処理において視点の位置が随時変更される場合について説明したが、全シーンについて、又は特定のシーンについての画像処理や動作処理において視点を固定にすることも可能である。
また、上記実施形態では、得点的な要素が含まれない態様のゲームを前提として説明したが、例えば、特定の領域や部分オブジェクトが接触領域や接触オブジェクトとして特定された回数や時間に応じ、或いは、特定の画像処理や動作処理が実行された回数や実行時間に応じて増減する数値をゲーム画面に表示することも可能である。この場合、当該数値がゲーム画面内の犬の気持ちを表した「ごきげんど」の指標であるなどの設定にすれば、ゲームに新たな興趣性を盛り込むことが可能になり、又は乳幼児の興味を一層かき立てるなどの効果が期待できる。
また、上記した実施形態では、犬オブジェクトを指定する情報がバーコードの形態でゲームカード上に記録されているものとして説明を行ったが、この種の情報の記録方式は任意であり、例えば、ICカードや磁気カード、或いはQRコードなどの2次元コードを使用することも可能である。当然のことながら、カードリーダは、ゲームカード上の情報の記録方式に適合した方式を採用することが必要である。
また、上記した実施形態では、犬の画像が表示装置に表示されるゲームを例として説明したが、本発明において表示装置に表示すべき対象には何らの制限もなく、本発明は、猫やハムスターなどの他の種類の動物、或いは、漫画のキャラクタや架空の生き物など任意の事物が表示されるゲームに適用することが可能である。
その他、上記した実施形態における装置構成や機能構成、具体的な処理の内容、ゲーム画面の態様等は単なる例として記載したものであり、本発明はこれらにより限定されない。
1・・・ゲーム装置、10・・・座席部、11、12・・・座席、20・・・操作パネル、21・・・表示装置、22・・・表示画面、23・・・タッチパネル、24・・・カード排出口、25・・・カードリーダ、26・・・スピーカ、27・・・コイン投入口、30・・・制御装置、31・・・CPU、32・・・ROM、33・・・RAM、34・・・DMA、35・・・情報記録媒体、36・・・画像処理部、36a・・・画像デコーダ、36b・・・GPU、36c・・・ディスプレイコントローラ、37・・・音声処理部、38・・・入力処理回路、39・・・出力処理回路、40・・・カードベンダー、41・・・コイン処理部、51・・・視点管理部、52・・・オブジェクト記録部、53・・・犬オブジェクト選択部、54・・・仮想モデル管理部、55・・・画像描画部、56・・・領域設定部、57・・・処理割当部、57a・・・領域処理割当部、57b・・・部分処理割当部、58・・・操作特定部、58a・・・第1操作特定部、58b・・・第2操作特定部、58c・・・第3操作特定部、59・・・表示制御部、59a・・・第1表示制御部、59b・・・第2表示制御部、59c・・・第3表示制御部