JP2008175128A - バルブタイミング調整装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】位相切替弁60が遅角通路210、進角通路220への作動油の供給、遅角通路210、進角通路220からの作動油の排出を切り替えることにより、遅角室51、52、53、進角室55、56、57の油圧が制御され、ハウジング10に対してベーンロータ15が遅角側、進角側に相対回動する。フィルタ100は、カムシャフトの軸受2とカムシャフトとの摺動箇所よりもハウジング10およびベーンロータ15側に設置されている。フィルタ100は、油圧ポンプ202からバルブタイミング調整装置1に供給される作動油中の異物を除去し、バルブタイミング調整装置1の摺動箇所の作動不良および異常摩耗を防止する。
【選択図】図1
Description
請求項3に記載の発明では、従動軸とハウジングまたはベーンロータとを結合するときに結合部にフィルタを設置できるので、従動軸とハウジングまたはベーンロータとの結合工程とフィルタの設置工程とを兼ねることができる。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態によるバルブタイミング調整装置を図1〜図9に示す。本実施形態のバルブタイミング調整装置1は作動流体として作動油を用いる油圧制御式であり、吸気弁のバルブタイミングを調整するものである。
従動側回転体としてのベーンロータ15はカムシャフトの軸方向端面と当接しており、カムシャフト3およびベーンロータ15はボルト23により同軸上に結合、固定されている。ベーンロータ15とカムシャフト3との回転方向の位置決めは、ベーンロータ15およびカムシャフト3に位置決めピン24を嵌合することにより成される。カムシャフト3、ハウジング10およびベーンロータ15は、図2に示す矢印III方向からみて時計方向に回転する。以下この回転方向をクランクシャフトに対するカムシャフト3の進角方向とする。
図3に示すように、シュー121とベーン151との間に遅角室51が形成され、シュー122とベーン152との間に遅角室52が形成され、シュー123とベーン153との間に遅角室53が形成されている。また、シュー121とベーン152との間に進角室55が形成され、シュー122とベーン153との間に進角室56が形成され、シュー123とベーン151との間に進角室57が形成されている。
第1排出通路225は、第1逆止弁80をバイパスして第1逆止弁80の両側の遅角通路212を接続している。第1排出通路225には、ベーンロータ15を遅角側へ相対回転させる遅角制御を行うとき第1排出通路225を遮断し、ベーンロータ15を進角側へ相対回転させる進角制御を行うとき第1排出通路225を開放する第1制御弁601が設置されている。第1排出通路225が開放されると、制御遅角室51内の作動油は第1排出通路225から遅角通路212を通じて排出される(図3および図8参照)。したがって、第1排出通路225は排出専用の油路として機能している。第1排出通路225および後述する第2排出通路226は、特許請求の範囲に記載したバイパス排出通路に相当する。
次に、バルブタイミング調整装置1のベーンロータ15および位相切替弁60の作動を、図1、図6および図7を用いて説明する。なお、図1は、ハウジング10に対しベーンロータ15を遅角方向に作動させている状態を示し、図6は、ハウジング10に対しベーンロータ15を進角方向に作動させている状態を示し、図7は、ハウジング10に対しベーンロータ15が相対回転しないように保持させている状態を示す。
内燃機関停止状態ではストッパピストン32は嵌合リング34に嵌合している。内燃機関を始動直後の状態では、遅角室51、52、53、進角室55、56、57、油圧室40および油圧室42に油圧ポンプ202から十分に作動油が供給されないので、ストッパピストン32は嵌合リング34に嵌合したままであり、クランクシャフトに対しカムシャフトは最遅角位置に保持されている。これにより、作動油が各油圧室に供給されるまでの間、カムシャフトが受けるトルク変動によりハウジング10とベーンロータ15とが揺動振動して衝突し、打音が発生することを防止する。
内燃機関始動後、油圧ポンプ202から作動油が十分に供給されると、油圧室40または油圧室42に供給される作動油の油圧によりストッパピストン32は嵌合リング34から抜け出すので、ハウジング10に対しベーンロータ15は相対回動自在である。そして、各遅角室および各進角室に加わる油圧を制御することにより、クランクシャフトに対するカムシャフトの位相差を調整する。
位相切替弁60への通電をオフした図1に示す状態では、スプール63はスプリング64の荷重により図1に示す位置にある。位相切替弁60が図1に示す切替状態にあると、供給通路204から遅角通路210に作動油が供給され、進角通路220から排出通路206を通りオイルパン200に作動油が排出される。また、第1制御弁601には遅角パイロット通路230からパイロット圧力が加わり、第2制御弁602には進角パイロット通路231からパイロット圧力が加わらないので、第1制御弁601および第2制御弁602は図1に示す切替状態にある。
また、進角室56、57の作動油は、進角通路223、224から進角通路220、位相切替弁60、排出通路206を通りオイルパン200に排出される。制御進角室55の作動油は、進角通路222に第2逆止弁90が設置されているので、第2排出通路226、第2制御弁602、進角通路222、220、位相切替弁60、排出通路206を通りオイルパン200に排出される。
図1に示すように各遅角室に作動油を供給し、各進角室から作動油を排出することにより遅角側の目標位相に位相制御(遅角制御)するとき、カムシャフト3が受けるトルク変動により、ベーンロータ15はハウジング10に対し遅角側および進角側にトルク変動を受ける。ベーンロータ15が進角側にトルク変動を受けると、各遅角室の作動油は遅角通路212、213、214に流出する力を受ける。
次に、位相切替弁60への通電をオンすると、図6に示すように、スプリング64の荷重に抗して加わる電磁駆動部62の電磁力により、スプール63は図6に示す位置にある。位相切替弁60が図6示す切替状態にあると、供給通路204から進角通路220に作動油が供給され、遅角通路210から排出通路206を通りオイルパン200に作動油が排出される。また、第1制御弁601には遅角パイロット通路230からパイロット圧力が加わらず、第2制御弁602には進角パイロット通路231からパイロット圧力が加わるので、第1制御弁601および第2制御弁602は図6に示す切替状態にある。
図6に示すように各進角室に作動油を供給し、各遅角室から作動油を排出することにより進角側の目標位相に位相制御(進角制御)するとき、カムシャフト3が受けるトルク変動により、ベーンロータ15はハウジング10に対し遅角側および進角側にトルク変動を受ける。ベーンロータ15が遅角側にトルク変動を受けると、各進角室の作動油は進角通路222、223、224に流出する力を受ける。
ベーンロータ15が目標位相に到達すると、ECU70は位相切替弁60に供給する駆動電流のデューティ比を制御し、図7に示すように図1と図6との中間位置にスプール63を保持する。この状態では、作動油の流量を規制する絞り66、67を通し、供給通路204から遅角通路210および進角通路220の両方に、僅かではあるが作動油が供給され圧力が加わる。
遅角制御時には、第2制御弁602および位相切替弁60は、各進角室から作動油を排出する切替状態になるので、図9(a)に示すように、遅角制御時にベーンロータ15が受けるトルク変動が進角側トルク(負トルク)または遅角トルク側(正トルク)であるか否かに関わらず、第2逆止弁90は、進角通路222を遮断し、供給専用油路222aから進角通路222への逆流を防止する。そして、第2制御弁602は、スプリング642の荷重により第2排出通路226を開放して、制御進角室55内の作動油を第2排出通路226を通じて流出可能とする。
遅角制御時においてベーンロータが遅角側のトルク変動(正トルク)を受ける場合も、図8(a)に示すように、第1逆止弁80は遅角通路212を開放する。そして、第1制御弁601は、パイロット圧力により第1排出通路225を遮断して、制御遅角室51内の作動油が第1排出通路225を通じて流出することを規制する。
進角制御時には、第1制御弁601および位相切替弁60は、各遅角室から作動油を排出する切替状態になるので、図8(c)に示すように、進角制御時にベーンロータ15が受けるトルク変動が負トルク正トルクであるか否かに関わらず、第1逆止弁80は、遅角通路212を遮断し、供給専用油路212aから遅角通路212への逆流を防止する。そして、第1制御弁601は、スプリング641の荷重により第1排出通路225を開放して、制御遅角室51内の作動油を第1排出通路225を通じて流出可能とする。
進角制御時においてベーンロータが進角側のトルク変動(負トルク)を受ける場合も、図9(c)に示すように、第2逆止弁90は進角通路222を開放する。そして、第2制御弁602は、パイロット圧力により第2排出通路226を遮断して、制御進角室55内の作動油が第2排出通路226を通じて流出することを規制する。
図9(d)に示すように、中間保持作動時にベーンロータ15が正トルクまたは負トルクを受けた場合には、第2逆止弁90は、進角通路222を遮断して、供給専用油路222aから進角通路222への逆流を防止する。そして、第2制御弁602は、パイロット圧力によりスプリング642の荷重に抗して第2排出通路226を遮断し、制御進角室55内の作動油が第2排出通路226を通じて流出することを規制する。
本発明の第2実施形態を図11および図12に示す。尚、第1実施形態と実質的に同一構成部分に同一符号を付す。
第1実施形態では、1個のフィルタ100で複数の油路の異物を除去した。これに対し、2実施形態では、図11に示すように、油路毎に別部材のフィルタ110をそれぞれ設置している。図11は、カムシャフト3側からバルブタイミング調整装置1を見た図である。具体的には、図12に示すように、ベーンロータ15のボス部154のカムシャフト3と向き合う軸方向端面の各油路の周囲に環状の凹部156が形成されている。そして、この凹部156に各フィルタ110が嵌め込まれ、ベーンロータ15とカムシャフト3との結合部に設置されている。ベーンロータ15側に代えて、ボス部154と向き合うカムシャフト3の軸方向端面にフィルタ110を嵌め込む凹部を形成してもよい。
第2実施形態では、ベーンロータ15とカムシャフト3との結合部のすべての油路にフィルタ110を設置した。これに対し、特定の油路、例えば遅角パイロット通路230、進角パイロット通路231だけにフィルタ110を設置してもよい。
上記実施形態では、カムシャフト3とベーンロータ15との結合部に、作動油の異物を除去するフィルタを設置した。これ以外にも、軸受2とカムシャフト3との摺動箇所よりもハウジング10およびベーンロータ15側であれば、どの位置にフィルタを設置してもよい。例えば、遅角室および進角室に作動油が流入する直前の通路端にフィルタを設置してもよい。
また、上記実施形態では、複数の進角通路222、223、224のうち進角通路222にのみ第2逆止弁90を設置している。これに対し、第2逆止弁90は複数の進角通路222、223、224のうち少なくとも一つの進角通路に設定されればよい。例えば、全ての進角通路222、223、224の各々に第2逆止弁90を設置してもよい。
また、上記実施形態のチェーンスプロケットに代えて、カムプーリまたはタイミングギア等を用いてクランクシャフトの回転駆動力をカムシャフトに伝達する構成を採用してもよい。また、クランクシャフトの駆動力をベーンロータで受け、カムシャフトとハウジングとを結合して一体に回転させてもよい。
このように、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能であり、例えば、上記各実施形態の特徴的構造をそれぞれ任意に組み合わせるようにしてもよい。
Claims (5)
- 内燃機関の駆動軸から吸気弁および排気弁の少なくともいずれか一方を開閉駆動する従動軸に駆動力を伝達する駆動力伝達系に設けられ、前記吸気弁および前記排気弁の少なくともいずれか一方の開閉タイミングを調整するバルブタイミング調整装置において、
前記駆動軸および前記従動軸の一方とともに回転し、所定角度範囲で回転方向に形成された収容室を有するハウジングと、
前記駆動軸および前記従動軸の他方とともに回転して前記収容室に収容されるベーンを有し、前記ベーンにより前記収容室を仕切って形成された遅角室および進角室の作動流体圧力により前記ハウジングに対し遅角側または進角側に相対回転駆動されるベーンロータと、
前記従動軸の軸受と前記従動軸との摺動箇所から、前記従動軸、前記従動軸と前記ハウジングまたは前記ベーンロータとの結合部を通って前記バルブタイミング調整装置に作動流体を供給する流体通路の、前記摺動箇所よりも前記ハウジングおよび前記ベーンロータ側に設置され、前記流体通路の異物を除去するフィルタと、
を備えることを特徴とするバルブタイミング調整装置。 - 前記結合部から前記流体通路の前記ハウジングおよび前記ベーンロータ側に前記フィルタは設置されることを特徴とする請求項1に記載のバルブタイミング調整装置。
- 前記フィルタは前記結合部に設置されることを特徴とする請求項2に記載のバルブタイミング調整装置。
- 前記ハウジングまたは前記ベーンロータの一方に嵌合穴が形成され、前記ハウジングまたは前記ベーンロータの他方に往復移動自在に支持され、前記流体通路の作動流体圧力により往復駆動され、前記嵌合穴に嵌合することにより前記ハウジングに対する前記ベーンロータの相対回動を拘束する嵌合部材をさらに備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置。
- 流体供給源側と前記遅角室とを接続する遅角通路、ならびに前記流体供給源側と前記進角室とを接続する進角通路の少なくともいずれか一方に設置されている逆止弁であって、前記遅角室および前記進角室の内、前記逆止弁が接続されている逆止弁接続室から前記流体供給源側への作動流体流れを規制し、前記流体供給源側から前記逆止弁接続室への作動流体流れを許容する逆止弁と、
前記遅角通路および前記進角通路とは別に設けられた、前記逆止弁接続室から作動流体を排出するバイパス排出通路に設置され、前記流体供給源から前記流体通路を通って供給される作動流体から受けるパイロット圧力により作動し、前記遅角室または前記進角室の内、前記逆止弁が接続している一方の前記逆止弁接続室に前記流体供給源から作動流体を供給して前記ハウジングに対し前記ベーンロータを遅角側または進角側の一方に相対回転駆動させるとき、作動流体が供給される前記逆止弁接続室に接続している前記バイパス排出通路を遮断し、前記遅角室または前記進角室の内、前記逆止弁が接続している一方の前記逆止弁接続室から作動流体を排出して前記ハウジングに対し前記ベーンロータを遅角側または進角側の他方に相対回転駆動させるとき、作動流体が排出される前記逆止弁接続室に接続している前記バイパス排出通路を開放するドレン制御弁と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置。
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