JP2008159379A - 反応ガスの欠乏状態の有無の判定 - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料電池内部で反応ガスが欠乏しているか否かを容易に判定することのできる技術を提供する。
【解決手段】燃料電池は、複数のセルを含んでおり、複数のセルは、それぞれが少なくとも1つのセルを含む複数のグループに区分されている。まず、燃料電池の起動の前に、反応ガスの量を低減させて、複数のグループの中から、電圧の低下量が所定量以上となる第1種のグループが選択される。次に、燃料電池の起動時に、複数のグループの中から、電圧値が所定値以下となる第2種のグループが選択される。そして、第1種のグループと、第2種のグループと、を比較することによって、燃料電池において反応ガスの欠乏状態が発生しているか否かが判定される。
【選択図】図5

Description

本発明は、燃料電池の技術に関し、特に、燃料電池において反応ガスの欠乏状態が発生しているか否かを判定するための技術に関する。
燃料電池は、通常、複数のセルを含んでいる。各セルには、アノードに燃料ガスを供給するためのガス通路と、カソードに酸化ガスを供給するためのガス通路と、が設けられている。
ところで、燃料電池の発電停止期間中には、セル内のガス通路で水が凍結する場合がある。このため、燃料電池の起動時には、一部のセルが、燃料ガスがアノードに充分に供給されない燃料ガスの欠乏状態になったり、酸化ガスがカソードに充分に供給されない酸化ガスの欠乏状態になったりし得る。
セルが燃料ガスの欠乏状態である場合に起こり得る現象と、セルが酸化ガスの欠乏状態である場合に起こり得る現象とは、異なっている。このため、セルが燃料ガスの欠乏状態である場合に採用されるべき対策と、セルが酸化ガスの欠乏状態である場合に採用されるべき対策とは、通常、異なっている。したがって、燃料電池内部で燃料ガスの欠乏状態が発生しているか否かを判定する必要がある。また、燃料電池内部で酸化ガスの欠乏状態が発生しているか否かを判定する必要がある。
なお、特許文献2では、単セルのインピーダンスと、単セルの電圧と、を用いて、水素が不足しているか否かを判断する技術が開示されている。また、特許文献2では、単セルのインピーダンスと、単セルの電圧と、単セルの電圧の変化量と、を用いて酸素が不足しているか否かを判断する技術が開示されている。
特開2006−32098号公報 特開2006−49259号公報 特開2004−296317号公報 特開2005−93218号公報 特開2002−313396号公報
しかしながら、従来の技術では、燃料電池内部で反応ガスの欠乏状態が発生しているか否かを判定するのが比較的困難であった。
この発明は、従来技術における上述の課題を解決するためになされたものであり、燃料電池内部で反応ガスの欠乏状態が発生しているか否かを容易に判定することを目的とする。
上述の課題の少なくとも一部を解決するため、本発明の方法は、燃料電池において反応ガスの欠乏状態が発生しているか否かを判定するための判定方法であって、
前記燃料電池は、複数のセルを含んでおり、
前記複数のセルは、それぞれが少なくとも1つのセルを含む複数のグループに区分されており、
前記判定方法は、
(a)前記燃料電池の起動の前に、
(a1)前記燃料電池の状態を、前記燃料電池に第1の電力を発生させるのに充分な量の反応ガスが前記燃料電池に供給される第1の状態から、前記第1の状態よりも前記燃料電池に供給される反応ガスの量が低減された第2の状態に、変化させる工程と、
(a2)前記複数のグループの中から、前記第1の状態から前記第2の状態に変化したときの電圧の低下量が所定量以上となる第1種のグループを選択する工程と、
を含み、
(b)前記燃料電池の起動時に、
(b1)前記燃料電池の状態を、前記燃料電池に前記第1の電力よりも大きな第2の電力を発生させるのに充分な量の反応ガスが前記燃料電池に供給される第3の状態に設定する工程と、
(b2)前記複数のグループの中から、前記第3の状態における電圧値が所定値以下となる第2種のグループを選択する工程と、
(b3)前記第1種のグループと、前記第2種のグループと、を比較することによって、前記燃料電池において反応ガスの欠乏状態が発生しているか否かを判定する工程と、
を備えることを特徴とする。
この方法では、工程(a)において、反応ガスの欠乏状態になり易い第1種のグループが選択される。そして、工程(b)において、反応ガスの欠乏状態となっている可能性のある第2種のグループが選択されて、第1種のグループと第2種のグループとが比較される。このため、燃料電池内部で反応ガスの欠乏状態が発生しているか否かを容易に判定することができる。
また、この方法では、工程(a)と工程(b)とが連続的に行われる。すなわち、燃料電池の起動の前に工程(a)が行われ、燃料電池の起動時に工程(b)が行われる。このため、工程(a)における燃料電池内部の反応ガスの流路の状況と、工程(b)における燃料電池内部の反応ガスの流路の状況とは、ほぼ同じである。したがって、この方法により、燃料電池内部で反応ガスの欠乏状態が発生しているか否かを正確に判定することができる。
上記の装置において、
前記第1の電力は、前記第2の状態において、前記第1種のグループに含まれる前記各セルが逆電圧とならないような電力であることが好ましい。
上記の方法において、
前記工程(a2)は、
複数の前記第1種のグループが選択される場合に、前記複数の第1種のグループを特定する第1の特定情報と、前記複数の第1種のグループの電圧に応じて決定された順序を示す第1の順序情報と、を記憶する工程を含み、
前記工程(b2)は、
複数の前記第2種のグループが選択される場合に、前記複数の第2種のグループを特定する第2の特定情報と、前記複数の第2種のグループの電圧に応じて決定された順序を示す第2の順序情報と、を記憶する工程を含み、
前記工程(b3)は、
前記第1の特定情報および前記第1の順序情報と、前記第2の特定情報および前記第2の順序情報と、を比較する工程を含むようにしてもよい。
こうすれば、燃料電池内部で反応ガスの欠乏状態が発生しているか否かをより正確に判定することができる。
上記の方法において、
前記複数の第1種のグループの前記順序は、前記電圧の低下量の大きさに基づいて決定され、
前記複数の第2種のグループの前記順序は、前記電圧値の大きさに基づいて決定されてもよい。
上記の方法において、さらに、
(c)前記工程(b3)の判定結果に基づいて、所定の処理を実行する工程を含むようにしてもよい。
上記の方法において、
前記反応ガスは、燃料ガスであり、
前記所定の処理は、前記燃料電池の出力電圧を増大させる処理を含むようにしてもよい。
こうすれば、燃料ガスの欠乏状態が発生する場合に生じ得るセルの損傷を回避することができる。
上記の方法において、
前記反応ガスは、酸化ガスであり、
前記所定の処理は、前記燃料電池に継続して前記第2の電力を発生させる処理を含むようにしてもよい。
上記の方法において、
前記工程(a)および前記工程(b)は、前記燃料電池の温度が所定温度以下である場合に実行されることが好ましい。
なお、この発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、反応ガスの欠乏状態の有無の判定方法、反応ガスの欠乏状態の有無の判定を行う燃料電池システム、該燃料電池システムを搭載した移動体などの装置、これらの装置の機能または方法を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体、そのコンピュータプログラムを含み搬送波内に具現化されたデータ信号、等の形態で実現することができる。
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づき以下の順序で説明する。
A.第1実施例:
A−1.燃料電池システムの概略構成:
A−2.セルの電流−電圧特性:
A−3.起動処理:
A−3−1.準備処理:
A−3−2.判定処理:
A−3−3.判定結果に応じた処理:
A−4.第1実施例の変形例:
A−4−1.第1の変形例:
A−4−2.第2の変形例:
B.第2実施例:
B−1.準備処理:
B−2.判定処理:
B−3.判定結果に応じた処理:
A.第1実施例:
A−1.燃料電池システムの概略構成:
図1は、燃料電池システムの概略構成を示す説明図である。なお、この燃料電池システムは、車両に搭載されている。
図示するように、燃料電池システムは、燃料電池スタック(以下、単に「スタック」とも呼ぶ)100と、燃料ガス供給部210と、酸化ガス供給部220と、負荷装置310と、スタック電圧設定部320と、温度検出部410と、セル電圧検出部420と、各部210,220,310,320を制御するコントローラ430と、を備えている。
スタック100は、比較的小型で発電効率に優れる固体高分子型の燃料電池であり、燃料ガスに含まれる水素ガスと、酸化ガス(空気)に含まれる酸素ガスと、を利用して発電する。
図2は、図1の燃料電池スタック100の内部構造を模式的に示す説明図である。図示するように、スタック100は、交互に積層された複数の発電ユニット110と複数のセパレータ120とを含んでいる。
発電ユニット110は、電解質膜112を含んでおり、電解質膜112の一方の面側には、第1の電極触媒層(アノード)114aと第1のガス拡散層116aとがこの順に設けられており、電解質膜112の他方の面側には、第2の電極触媒層(カソード)114cと第2のガス拡散層116cとがこの順に設けられている。発電ユニット110の一方の側には、第1のガス拡散層116aに接触する第1のセパレータ120が配置されており、発電ユニット110の他方の側には、第2のガス拡散層116cに接触する第2のセパレータ120が配置されている。各セパレータ120の両面には、複数の溝が形成されており、発電ユニット110の第1のガス拡散層116aと第1のセパレータ120との間には、アノード側ガス通路121が形成されており、発電ユニット110の第2のガス拡散層116cと第2のセパレータ120との間には、カソード側ガス通路122が形成されている。
アノード側ガス通路121では、燃料ガス供給部210から供給された燃料ガスが流通し、カソード側ガス通路122では、酸化ガス供給部220から供給された酸化ガスが流通する。そして、燃料ガスと酸化ガスとは、発電ユニット110において電気化学反応に利用される。
本実施例における発電ユニット110と、第1のセパレータ120のうちのアノード側ガス通路121を含む部分と、第2のセパレータ120のうちのカソード側ガス通路122を含む部分と、を含むブロックが、1つのセルに相当する。すなわち、本実施例では、スタック100は、複数(例えば100個)のセルを備えている。
なお、電解質膜112としては、フッ素系樹脂などの固体高分子材料で形成された膜を用いることができる。電極触媒層114a,114cとしては、カーボン粒子に白金などの触媒を担持させた層を用いることができる。ガス拡散層116a,116cは、カーボンペーパなどのガス透過性および導電性を有する材料で形成される。また、セパレータ120は、導電性を有し、ガス透過性を有していない金属やカーボンなどで形成される。
燃料ガス供給部210(図1)は、燃料ガスをスタック100に供給する機能を有しており、例えば、水素タンクと減圧弁とを含んでいる。
酸化ガス供給部220は、酸化ガス(空気)をスタック100に供給する機能を有しており、例えば、ブロワを含んでいる。
負荷装置310は、スタック100に接続され、スタック100から出力された電力を利用する。負荷装置310は、例えば、スタック100から出力された直流電力を利用する第1種の補機や、該直流電力を交流電力に変換するDC/ACインバータや、変換後の交流電流を利用するモータおよび第2種の補機などを含んでいる。
スタック電圧設定部320は、スタック100と並列に接続されており、スタック100の出力電圧(目標値)を設定する機能を有している。スタック電圧設定部320は、例えば、二次電池に接続されたDC/DCコンバータを含んでいる。
温度検出部410は、スタック100の近傍に設けられており、スタック100の周囲温度を検出する。
セル電圧検出部420は、スタック100に含まれる複数のセルのセル電圧を検出する。例えば、セル電圧検出部420は、スイッチ回路と電圧計とを含んでいる。スイッチ回路の複数の端子は複数のセルに接続されており、スイッチ回路内部に設けられたスイッチを順次切り替えることによって、複数のセルのセル電圧が順次検出される。
なお、セル電圧は、発電ユニット110のアノード114aとカソード114cとの電位差を示す。本実施例では、セル電圧として、アノード114aと電気的に接続された第1のセパレータ120と、カソード114cと電気的に接続された第2のセパレータ120と、の間の電位差が用いられる。すなわち、本実施例では、スイッチ回路の複数の端子は、スタック100に含まれる複数のセパレータ120にそれぞれ接続されている。
なお、セル電圧検出部420は、スイッチ回路と電圧計とに代えて、複数のセルに対応する複数の電圧計を含んでいてもよい。ただし、スイッチ回路を利用すれば、電圧計の数を低減することができるという利点がある。
コントローラ430は、負荷装置310の負荷に応じて要求される電力に基づいて、スタック100の出力電圧の目標値を決定する。なお、負荷装置310の負荷が比較的大きい場合には、要求される電力は比較的大きく、スタックの出力電圧の目標値は比較的小さな値に決定される。そして、コントローラ430は、スタック100の出力電圧が該目標値となるように、スタック電圧設定部320に該目標値と等しい電圧を出力させる。また、コントローラ430は、負荷装置310の負荷に応じて要求される電力が負荷装置310に供給されるように、スタック100に供給されるべき燃料ガスの量および酸化ガスの量を決定し、燃料ガス供給部210および酸化ガス供給部220を制御する。なお、負荷装置310の負荷が比較的大きい場合には、要求される電力は比較的大きく、燃料ガスの供給量および酸化ガスの供給量は比較的大きな量に決定される。
特に、本実施例では、コントローラ430は、温度検出部410の検出結果と、セル電圧検出部420の検出結果と、を用いて、スタック100内部で反応ガスの欠乏状態が発生しているか否かを判定する(後述する)。
なお、本実施例におけるセル電圧検出部420が本発明における電圧検出部に相当する。また、本実施例におけるコントローラ430と負荷装置310とスタック電圧設定部320と燃料ガス供給部210と酸化ガス供給部220とが本発明における処理実行部に相当する。
A−2.セルの電流−電圧特性:
図3は、燃料電池スタックに含まれるセルの電流−電圧特性を模式的に示す説明図である。図中、横軸は電流密度(A/m2)を示しており、縦軸はセル電圧(V)を示している。なお、「OCV」は、セルの開回路電圧すなわち起電圧を意味する。
図3の曲線C1は、発電に充分な量の燃料ガスおよび酸化ガスがセルに供給される場合の電流−電圧特性を示している。一方、曲線C2,C3は、発電に充分な量の燃料ガスと不充分な量の酸化ガスとがセルに供給される場合の電流−電圧特性を示している。具体的には、曲線C2は、比較的多量の酸化ガスがセルに供給される場合の特性を示しており、曲線C3は、比較的少量の酸化ガスがセルに供給される場合の特性を示している。ここで、発電に充分な量とは、スタックが負荷に応じて要求される電力を出力するのに不足しない量を意味しており、発電に不充分な量とは、スタックが該電力を出力するのに不足する量を意味している。
曲線C1と曲線C2,C3とを比較して分かるように、発電に不充分な量の酸化ガスがセルに供給される場合には、セル電圧は低くなる。また、曲線C2と曲線C3とを比較して分かるように、セルに供給される酸化ガスの量が少ないほどセル電圧は低くなり、マイナスの値を示し得る。
なお、図3の曲線C2,C3は、発電に充分な量の燃料ガスと不充分な量の酸化ガスがセルに供給される場合の電流−電圧特性を示しているが、発電に不充分な量の燃料ガスと充分な量の酸化ガスとがセルに供給される場合にも、同様に電流−電圧特性が劣化する。すなわち、発電に不充分な量の燃料ガスがセルに供給される場合にも、セル電圧は低くなり、セルに供給される燃料ガスの量が少ないほどセル電圧は低くなり、マイナスの値を示し得る。
実際のスタック100では、反応ガスの欠乏状態は、例えば、スタック100の発電停止期間中にセル内部に残留する水が凍結することによって発生する。すなわち、水が凍結すると、セル内部のガス通路121,122で反応ガスの流通が妨げられたり、セル内部のガス拡散層116a,116cで反応ガスの流通が妨げられたりして、電極触媒層114a,114cに発電に必要な反応ガスが充分に供給されない。なお、反応ガスの流通が妨げられるのは、凍結により、反応ガスの流路を構成する開口部の面積が狭められるためである。
セル内部に残留する水には、電気化学反応の進行に伴って生成される水(生成水)が含まれる。水は、第2の電極触媒層(カソード)114cで生成されるため、カソード側に多く存在する。ただし、カソード側の水は、電解質膜112を介して、アノード側に移動し得る。このため、水の凍結に起因して、アノード側およびカソード側の双方において、水の凍結が発生し得る。また、セル内部に残留する水には、反応ガスの加湿のために反応ガス中に含有された水蒸気が含まれ得る。
スタック100に含まれる複数のセルのうちの一部のセルが反応ガスの欠乏状態である場合には、図3の曲線C2,C3で説明したように、該一部のセルの電圧が過度に低下する。ただし、スタック100の出力電圧は、スタック電圧設定部320によって設定された目標値で維持される。このため、複数のセルの平均セル電圧および各セルの電流密度はほぼ一定に保たれるが、他の大多数のセルのセル電圧はやや高くなる。
セルが燃料ガスの欠乏状態(水素欠乏状態)である場合に起こり得る現象と、セルが酸化ガスの欠乏状態(酸素欠乏状態)である場合に起こり得る現象とは、異なる。
すなわち、セルが水素欠乏状態である場合には、該セルが損傷を受け、この結果、スタックが発電不能となる虞もある。具体的には、セルが水素欠乏状態であり、該セルのセル電圧が逆電圧となる場合には、電極触媒層114a,114cに含まれるカーボン(C)が一酸化炭素ガス(CO)や二酸化炭素ガス(CO2)に変換され、電極触媒層114a,114cが腐食してしまう。一方、セルが酸素欠乏状態である場合には、通常、該セルは損傷をあまり受けず、スタックが発電不能となる虞も少ない。具体的には、セルが酸素欠乏状態であり、該セルのセル電圧が逆電圧となる場合には、第2の電極触媒層(カソード)114cでプロトン(H+)が結合して水素ガス(H2)が生成されるが、電極触媒層114a,114cは損傷をあまり受けない。
したがって、セルが水素欠乏状態である場合に採用されるべき対策と、セルが酸素欠乏状態である場合に採用されるべき対策とは、通常異なっている。このため、スタック内部で水素欠乏状態が発生しているか否かを判定する必要がある。また、スタック内部で酸素欠乏状態が発生しているか否かを判定する必要がある。
本実施例では、スタック内部で酸素欠乏状態が発生しているか否かを判定する場合について説明する。なお、スタック内部で水素欠乏状態が発生しているか否かを判定する場合については、第2実施例で説明する。
A−3.起動処理:
図4は、燃料電池システムの起動処理の内容を示す説明図である。図4の処理は、例えば、車両のユーザがイグニションスイッチをオン状態に設定したときに実行される。本実施例では、この起動処理において、スタック内部で酸素欠乏状態が発生しているか否かが判定される。
ステップS102では、温度検出部410は、スタック100の周囲温度を検出し、コントローラ430は、温度検出部410から温度検出値を取得する。
ステップS104では、コントローラ430は、温度検出値が氷点(例えば0℃)以下であるか否かを判断する。氷点は、車両が利用される環境(気圧)に応じて設定されることが好ましい。
なお、上記のステップS102,S104の処理は、スタック100内部で水が凍結しているか否かを推定するために実行される。
ステップS104において温度検出値が氷点よりも高いと判断される場合(すなわちスタック100内部で水が凍結していない場合)には、ステップS106に進む。
ステップS106では、コントローラ430は、燃料電池システムを制御して、通常発電を開始させる。具体的には、負荷装置310の負荷に応じて、スタック電圧設定部320と燃料ガス供給部210と酸化ガス供給部220とを制御する。なお、通常発電では、平均セル電圧が比較的高い値(例えば約0.6V〜約1.0Vの値)で発電が行われる。
一方、ステップS104において温度検出値が氷点以下であると判断される場合(すなわちスタック100内部で水が凍結し得る場合)には、ステップS110に進む。
ステップS110では、判定のための準備処理と、判定処理と、判定結果に応じた処理と、が実行される。本実施例では、前述のように、スタック100内部で酸素欠乏状態が発生しているか否かが判定される。
図5は、第1実施例におけるステップS110(図4)の処理の内容を示す説明図である。なお、ステップS122〜S128の処理が準備処理であり、ステップS132〜S139の処理が判定処理であり、ステップS142の処理が判定結果に応じた処理である。なお、後述するように、準備処理では、実験的な発電が行われ、判定処理では、本来の発電が行われる。
A−3−1.準備処理:
ステップS122では、第1の状態(第1の環境)で各セルのセル電圧が検出される。第1の状態では、スタック100に比較的小さな電力を発生させるのに充分な量の反応ガスがスタック100に供給される。
具体的には、コントローラ430は、スタック100に比較的小さな電力を発生させるために、負荷装置310の負荷を比較的低い値に設定する。そして、コントローラ430は、スタック電圧設定部320の出力電圧を比較的高い値に設定する。なお、このとき、平均セル電圧は比較的高い値となり、電流密度は比較的低い値となる。例えば、平均セル電圧は、図3の電圧Vaである。
また、コントローラ430は、燃料ガス供給部210と酸化ガス供給部220とを制御して、スタック100に比較的小さな電力を発生させるのに充分な量の燃料ガスと酸化ガスとをスタック100に供給する。
さらに、セル電圧検出部420は、各セルのセル電圧を順次検出し、コントローラ430は、セル電圧検出部420から複数のセルに対応する複数の第1の電圧検出値を取得する。
上記のように、ステップS122においてスタック100に比較的小さな電力を発生させることにより、準備処理(ステップS122〜S128)における実験的な発電に起因して生成される水(生成水)の量を比較的小さくすることができる。
ステップS124では、第2の状態(第2の環境)で各セルのセル電圧が検出される。第2の状態では、第1の状態よりもスタック100への酸化ガスの供給量が低減される。
具体的には、コントローラ430は、酸化ガス供給部220を制御して、酸化ガスの供給量を低減させる。また、セル電圧検出部420は、各セルのセル電圧を順次検出し、コントローラ430は、セル電圧検出部420から複数のセルに対応する複数の第2の電圧検出値を取得する。なお、本実施例では、ステップS124において、負荷装置310の負荷と、スタック電圧設定部320の出力電圧と、燃料ガス供給部210の燃料ガスの供給量とは、変更されていない。
図6は、複数のセルに対応する複数のセル電圧の変化を示す説明図である。図中、横軸は時間(s)を示しており、縦軸はセル電圧(V)を示している。
図示するように、ステップS122の処理が実行される第1の期間T1では、各セルのセル電圧は、互いにほぼ等しく、比較的高い値を示している。ステップS124の処理が実行される第2の期間T2では、大多数のセルのセル電圧は、互いにほぼ等しく、第1の期間T1における電圧と概ね同じ値を示すが、一部のセルの電圧は低下している。なお、図6では、セル番号#10,#20,#80の3つのセルのセル電圧が低下している。
ステップS124において酸化ガスの供給量が低減されると、水の凍結に起因して、一部のセルは、酸素ガスがカソード114cに充分に供給されない酸素欠乏状態となる。具体的には、ステップS122では、スタック100に充分な酸化ガスが供給されていると共にスタック100が出力すべき電力が比較的小さいため、すべてのセルのカソード114cには、該電力を発生させるのに充分な酸化ガスが供給される。しかしながら、ステップS124においてスタック100に供給される酸化ガスが低減されると、一部のセルのカソード114cには、該電力を発生させるのに充分な酸化ガスが供給されない。この結果、図3で説明したように、該一部のセルのセル電圧は低下する。
ただし、本実施例では、ステップS122,S124において、スタック100に比較的小さな電力を発生させるためにスタック100の出力電圧(すなわちスタック電圧設定部320の出力電圧)が比較的高い値に設定されている。このため、ステップS124において酸素欠乏状態のセルが逆電圧にならずに済む(図3参照)。
各セルのセル電圧の低下量の大きさは、各セルのカソード側ガス通路122およびガス拡散層116cにおける酸化ガスの流通の阻害の程度、すなわち、酸化ガスの流路を構成する開口部の面積の大きさに依存している。具体的には、セル番号#10,#20,#80の3つのセルの中では、セル電圧の低下量の最も大きいセル番号#20のセルにおいて、開口面積が最も小さくなっている。
なお、本実施例では、前述の第1の電圧検出値は、第1の期間T1の終了時点で検出され、前述の第2の電圧検出値は、第2の期間T2の終了時点で検出される。
ステップS126(図5)では、コントローラ430は、ステップS122,S124で得られた各セルの2つの電圧検出値を用いて、各セルのセル電圧の低下量(絶対値)を求める。具体的には、セル電圧の低下量ΔV(絶対値)は、ステップS122で得られた第1の電圧検出値V1と、ステップS124で得られた第2の電圧検出値V2と、の差分(ΔV=V1−V2)である。
ステップS128では、セル電圧の低下量が所定量に達したセルが特定される。具体的には、コントローラ430は、ステップS126で求められた各セルの電圧の低下量ΔVが所定量ΔVt(図6参照)以上であるか否かを調べ、セル電圧の低下量ΔVが所定量ΔVt以上の1以上のセル(以下、「第1種のセル」とも呼ぶ)を選択する。なお、所定量は、例えば、0.3Vに設定される。そして、コントローラ430は、第1種のセルのセル番号を、コントローラ430内部のメモリ432に記憶する。本実施例では、図6に示す3つのセルのセル番号#10,#20,#80がメモリ432内に記憶される。
なお、ステップS122〜S128の処理により、酸素欠乏状態になり易いセル(第1種のセル)が特定される。
A−3−2.判定処理:
ステップS132では、第3の状態(第3の環境)で各セルのセル電圧が検出される。第3の状態では、スタック100に比較的大きな電力を発生させるのに充分な量の反応ガスがスタック100に供給される。すなわち、本実施例では、ステップS132において、実験的な発電ではない本来の発電、より具体的には、暖気のための発電が開始される。暖機のための発電では、平均セル電圧が比較的低い値(例えば約0.4V〜約0.6Vの値)で発電が行われる。
具体的には、コントローラ430は、スタック100にステップS122よりも大きな電力を発生させるために、負荷装置310の負荷をステップS122よりも高い値に設定する。そして、コントローラ430は、スタック電圧設定部320の出力電圧をステップS122よりも低い値に設定する。なお、このとき、平均セル電圧はステップS122よりも低い値となり、電流密度はステップS122よりも高い値となる。例えば、平均セル電圧は、図3の電圧Vbに設定される。
また、コントローラ430は、燃料ガス供給部210と酸化ガス供給部220とを制御して、スタック100に比較的大きな電力を発生させるのに充分な量の燃料ガスと酸化ガスとをスタック100に供給する。なお、燃料ガスの供給量と酸化ガスの供給量とは、ステップS122の量よりも大きな量に設定される。
さらに、セル電圧検出部420は、各セルのセル電圧を順次検出し、コントローラ430は、セル電圧検出部420から複数のセルに対応する複数の第3の電圧検出値を取得する。
ステップS134では、セル電圧が過度に低い所定値に達したセルが特定される。具体的には、コントローラ430は、ステップS132で取得した各セルの第3の電圧検出値が所定値以下であるか否かを調べ、第3の電圧検出値が所定値以下の1以上のセル(以下、「第2種のセル」とも呼ぶ)を選択する。なお、所定値は、例えば、0.1V,0Vなどに設定される。そして、コントローラ430は、第2種のセルのセル番号を、コントローラ430内部のメモリ432に記憶する。
なお、ステップS132〜S134の処理により、酸素欠乏状態となっている可能性のあるセル(第2種のセル)が特定される。
ステップS136では、第1種のセルと第2種のセルとが比較される。具体的には、コントローラ430は、ステップS128でメモリ432に記憶された第1種のセルのセル番号と、ステップS134でメモリ432に記憶された第2種のセル番号と、を比較する。
第2種のセルのセル番号が第1種のセルのセル番号と一致する場合には、ステップS138において、コントローラ430は、第2種のセルは酸素欠乏状態であると判定する。このとき、ステップS142に進む。
一方、第2種のセルのセル番号が第1種のセルのセル番号と一致しない場合には、ステップS139において、コントローラ430は、第2種のセルは酸素欠乏状態でないと判定する。
A−3−3.判定結果に応じた処理:
ステップS142では、コントローラ430は、判定結果に応じた所定の処理を実行する。具体的には、コントローラ430は、暖機のための発電を継続させ、スタック電圧設定部320の出力電圧を増大させない。これは、スタック100の出力電圧の増大(すなわちスタックの発電量の減少)に起因してスタック100で発生する熱量が低下するのを防止するためである。この処理により、スタック内部で凍結した水(氷)の解凍を促進することができる。なお、スタック100の暖機が終了すると、ステップS106と同様に通常発電が開始される。
仮に、ステップS132において一部のセルのセル電圧が逆電圧となる場合でも、該セルが酸素欠乏状態である場合には、該セルは損傷をあまり受けない。このため、本実施例では、ステップS142において、スタック100の発電を停止させたり、スタック100の出力電圧を増大させたりして、セル電圧が逆電圧となるのを防止してセルの損傷を回避する必要はない。
なお、ステップS139において第2種のセルが酸素欠乏状態でないと判定された場合には、例えば、スタック100の発電を停止するための処理が行われてもよいし、第2種のセルのセル電圧が低い他の原因を特定するための処理が行われてもよい。なお、他の原因には、例えば、電解質膜の乾燥(ドライアップ)や、水素欠乏(後述する)などが挙げられる。
以上説明したように、本実施例では、ステップS122〜S128の準備処理において、酸素欠乏状態になり易い第1種のセルが選択される。また、ステップS132〜S139の判定処理において、酸素欠乏状態となっている可能性のある第2種のセルが選択されて、第1種のセルと第2種のセルとが比較される。このため、スタック100内部で酸素欠乏状態が発生しているか否かを、より具体的には、第2種のセルが酸素欠乏状態であるか否かを容易に判定することができる。
また、本実施例では、準備処理と判定処理とが連続的に行われる。すなわち、スタック100の起動の直前に準備処理が行われ、スタック100の起動時に判定処理が行われる。このため、準備処理におけるスタック内部の酸化ガスの流路の状況(具体的には、流路を構成する開口部の面積)と、判定処理におけるスタック内部の酸化ガスの流路の状況とは、ほぼ同じである。このため、スタック100内部で酸素欠乏状態が発生しているか否かを正確に判定することができる。
A−4.第1実施例の変形例:
第1実施例では、ステップS128で複数の第1種のセルが選択され、ステップS134で複数の第2種のセルが選択される場合には、複数の第1種のセルのセル番号と複数の第2種のセルのセル番号とを比較することによって、スタック100内部で酸素欠乏状態が発生しているか否かの判定が行われている。第1実施例の変形例では、該判定の精度を向上させている。
A−4−1.第1の変形例:
第1の変形例では、ステップS128において、コントローラ430は、複数の第1種のセルに関して、セル番号および順序をメモリ432に記憶する。また、ステップS134において、コントローラ430は、複数の第2種のセルに関して、セル番号および順序をメモリ432に記憶する。
図7は、第1実施例の第1の変形例においてメモリ432に記憶される情報を示す説明図である。
図示するように、メモリ432には、複数の第1種のセルに関して、セル番号と順序とが記憶されている。セル番号は、前述のように、セル電圧の低下量が所定量以上のセルを示しており、順序は、セル電圧の低下量の大きさに基づいて決定される順序を示している。なお、セル電圧の低下量が最も大きいセルの順位が「1」に設定される。すなわち、第1の変形例では、ステップS128において、酸素欠乏状態になり易いセルと、電圧が低下し易い順序と、が特定される。
また、メモリ432には、複数の第2種のセルに関して、セル番号と順序とが記憶されている。セル番号は、前述のように、第3の電圧検出値が所定値以下のセルを示しており、順序は、第3の電圧検出値の大きさに基づいて決定される順序を示している。なお、第3の電圧検出値が最も小さいセルの順位が「1」に設定される。
そして、第1の変形例では、ステップS136において、複数の第1種のセルのセル番号および順序と、複数の第2種のセルのセル番号および順序と、が比較される。具体的には、複数の第2種のセルのセル番号および順序が、複数の第1種のセルのセル番号および順序と一致するか否かが調べられる。
第1の変形例を採用すれば、スタック100内部で酸素欠乏状態が発生しているか否かを、より具体的には、第2種のセルが酸素欠乏状態であるか否かを、より正確に判定することができる。
A−4−2.第2の変形例:
第1の変形例(図7)では、メモリ432には、第1種のセルに関して、セル電圧の低下量の大きさに基づいて決定される順序が記憶されているが、これに代えて、セル電圧の低下量が所定量に達する順序が記憶されるようにしてもよい。また、第1の変形例では、メモリ432には、第2種のセルに関して、第3の電圧検出値の大きさに基づいて決定される順序が記憶されているが、これに代えて、第3の電圧検出値が所定値に達する順序が記憶されるようにしてもよい。この場合には、第2の電圧検出値を比較的短い所定期間毎に検出してセル電圧の低下量を所定期間毎に求めると共に、第3の電圧検出値を比較的短い所定期間毎に検出すればよい。
第2の変形例を採用しても、スタック100内部で酸素欠乏状態が発生しているか否かを、より具体的には、第2種のセルが酸素欠乏状態であるか否かを、より正確に判定することができる。
なお、第1および第2の変形例では、複数の第1種のセルおよび複数の第2種のセルに関して、セル番号を示す符号と順序を示す符号とがメモリ432内に記憶されるが、順序を示す符号は省略可能である。この場合には、セル番号を示す符号が該順序通りに並べられてメモリ432内に記憶されればよい。
一般には、複数のセルを特定する特定情報と、複数のセルの複数のセル電圧に応じて決定された順序を示す順序情報と、が記憶されればよい。
B.第2実施例:
第2実施例では、第1実施例と同様の燃料電池システム(図1)が用いられる。また、本実施例では、第1実施例と同様に起動処理(図4)が実行される。すなわち、スタック100の周囲温度が氷点以下である場合には、ステップS110において、準備処理と、判定処理と、判定結果に応じた処理と、が実行される。ただし、本実施例では、スタック100内部で水素欠乏状態が発生しているか否かが判定される。
図8は、第2実施例におけるステップS110(図4)の処理の内容を示す説明図である。
B−1.準備処理:
ステップS122では、第1実施例と同様に、第1の状態(第1の環境)で各セルのセル電圧(第1の電圧検出値)が検出される。第1の状態では、スタック100に比較的小さな電力を発生させるのに充分な量の反応ガスがスタック100に供給される。
ステップS124bでは、第1実施例のステップS124とほぼ同様に、第2の状態(第2の環境)で各セルのセル電圧(第2の電圧検出値)が検出される。第2の状態では、第1の状態よりもスタック100への燃料ガスの供給量が低減される。具体的には、本実施例では、コントローラ430は、燃料ガス供給部210を制御して、燃料ガスの供給量を低減させる。
ステップS126では、第1実施例と同様に、ステップS122,S124bで得られた各セルの2つの電圧検出値を用いて、各セルのセル電圧の低下量(絶対値)が求められる。
ステップS128では、第1実施例と同様に、セル電圧の低下量が所定量に達したセル(第1種のセル)が特定される。
ただし、本実施例では、ステップS124bで燃料ガスの供給量が低減されているため、ステップS122〜S128の処理により、水素欠乏状態になり易いセル(第1種のセル)が特定される。
B−2.判定処理:
ステップS132では、第1実施例と同様に、第3の状態(第3の環境)で各セルのセル電圧(第3の電圧検出値)が検出される。第3の状態では、スタック100に比較的大きな電力を発生させるのに充分な量の反応ガスがスタック100に供給される。
ステップS134では、第1実施例と同様に、セル電圧が過度に低い所定値に達したセル(第2種のセル)が特定される。
なお、ステップS132〜S134の処理により、水素欠乏状態となっている可能性のあるセル(第2種のセル)が特定される。
ステップS136では、第1実施例と同様に、第1種のセルと第2種のセルとが比較される。
第2種のセルのセル番号が第1種のセルのセル番号と一致する場合には、ステップS138bにおいて、第2種のセルは水素欠乏状態であると判定される。このとき、ステップS142bに進む。
一方、第2種のセルのセル番号が第1種のセルのセル番号と一致しない場合には、ステップS139bにおいて、第2種のセルは水素欠乏状態でないと判定される。
B−3.判定結果に応じた処理:
ステップS142bでは、コントローラ430は、判定結果に応じた所定の処理を実行する。前述したように、セルが水素欠乏状態である場合には、該セルが損傷を受ける虞がある。したがって、本実施例では、コントローラ430は、スタック電圧設定部320の出力電圧を増大させる。この処理により、第2種のセルが逆電位となるのを防止することができ(図3参照)、この結果、セルの損傷を回避することができる。また、この処理により、スタック内部で凍結した水(氷)の解凍に要する時間が長くなるが、発電を継続することができる。なお、ステップS142bにおいて、コントローラ430は、スタック100の発電を停止させるための処理を実行するようにしてもよい。このようにしても、セルの損傷を回避することができる。
なお、ステップS139bにおいて第2種のセルが水素欠乏状態でないと判定された場合には、例えば、スタック100の発電を停止するための処理が行われてもよいし、第2種のセルのセル電圧が低い他の原因を特定するための処理が行われてもよい。なお、他の原因には、例えば、ドライアップや、前述の酸素欠乏などが挙げられる。
以上説明したように、本実施例では、第1実施例と同様に、ステップS122〜S128の準備処理において、水素欠乏状態になり易い第1種のセルが選択される。また、ステップS132〜S139bの判定処理において、水素欠乏状態となっている可能性のある第2種のセルが選択されて、第1種のセルと第2種のセルとが比較される。このため、スタック100内部で水素欠乏状態が発生しているか否かを、より具体的には、第2種のセルが水素欠乏状態であるか否かを容易に判定することができる。
また、本実施例でも、第1実施例と同様に、準備処理と判定処理とが連続的に行われるため、スタック100内部で水素欠乏状態が発生しているか否かを正確に判定することができる。
なお、本実施例においても、第1実施例の変形例と同様に、ステップS128,S134において、第1種および第2種のセルに関して、特定情報と順序情報とがメモリ432に記憶されるようにしてもよい。
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
(1)上記実施例では、スタック100の出力電圧が目標値で維持されるようにスタック電圧設定部320の出力電圧が設定されているが、これに代えて、スタック100の出力電流が目標値で維持されるようにスタック電圧設定部320の出力電圧が調整されてもよい。なお、この場合には、スタック100から出力される電流をモニタするための電流計が設ければよい。
(2)上記実施例では、温度検出部410は、スタック100の周囲温度を検出しているが、これに代えて、スタック100の内部温度を検出するようにしてもよい。このようにしても、スタック100内部で水が凍結しているか否かを推定することができる。
一般には、スタックの温度が所定温度以下である場合に、反応ガスの欠乏状態が発生しているか否かの判定が行われればよい。
また、上記実施例では、ステップS102,S104においてスタック100の温度が氷点以下であるか否かが判断されているが、ステップS102,S104の処理は省略可能である。すなわち、スタック100の温度が氷点以上である場合に、反応ガスの欠乏状態が発生しているか否かの判定が行われてもよい。
(3)上記実施例では、複数の第1種のセルと複数の第2種のセルとが選択される場合には、複数の第2種のセルが複数の第1種のセルと一致するか否かを調べることによって、反応ガスの欠乏状態が発生しているか否かの判定が行われている。しかしながら、これに代えて、複数の第2種のセルのうちの1つが複数の第1種のセルのうちの1つと一致するか否かを調べることによって、反応ガスの欠乏状態が発生しているか否かの判定が行われてもよい。
(4)上記実施例では、セル電圧検出部420は、スタック100に含まれる各セルのセル電圧を検出しているが、これに代えて、各グループの電圧を検出するようにしてもよい。具体的には、スタック100に含まれる複数のセルを複数のグループに区分し、各グループに含まれる連続する2以上のセル(例えば10個のセル)の電圧がグループ毎に検出されればよい。この場合にも、1つのグループに含まれるいずれかのセルにおいて反応ガスの欠乏状態が発生する場合には、該グループの電圧が低下するため、反応ガスの欠乏状態が発生しているか否かの判定を行うことができる。
一般には、燃料電池は、それぞれが少なくとも1つのセルを含む複数のグループに区分されていればよい。そして、グループ毎に電圧が検出されればよい。
(5)第1実施例では、起動処理において、スタック100内部で酸素欠乏状態が発生しているか否かが判定されており、第2実施例では、起動処理において、スタック100内部で水素欠乏状態が発生しているか否かが判定されている。しかしながら、これに代えて、起動処理において、酸素欠乏状態が発生しているか否かと、水素欠乏状態が発生しているか否かと、の双方が判定されるようにしてもよい。
この場合には、例えば、図5の第1の準備処理(ステップS122〜S128)の後に、図8の第2の準備処理(ステップS122〜S128)が実行されればよい。そして、ステップS136の比較処理において、ステップS134で特定されたセルと、第1の準備処理で特定された酸素欠乏状態になり易いセルと、が比較されると共に、ステップS134で特定されたセルと、第2の準備処理で特定された水素欠乏状態になり易いセルと、が比較されればよい。
(6)上記実施例では、固体高分子型の燃料電池が利用されているが、他のタイプの燃料電池が利用されてもよい。また、上記実施例では、図2に示す構造を有する燃料電池が利用されているが、他の種々の構造を有する燃料電池が利用されてもよい。
燃料電池システムの概略構成を示す説明図である。 図1の燃料電池スタック100の内部構造を模式的に示す説明図である。 燃料電池スタックに含まれるセルの電流−電圧特性を模式的に示す説明図である。 燃料電池システムの起動処理の内容を示す説明図である。 第1実施例におけるステップS110(図4)の処理の内容を示す説明図である。 複数のセルに対応する複数のセル電圧の変化を示す説明図である。 第1実施例の第1の変形例においてメモリ432に記憶される情報を示す説明図である。 第2実施例におけるステップS110(図4)の処理の内容を示す説明図である。
符号の説明
100…燃料電池スタック
110…発電ユニット
112…電解質膜
114a…電極触媒層(アノード)
114c…電極触媒層(カソード)
116a,116c…ガス拡散層
120…セパレータ
121…アノード側ガス通路
122…カソード側ガス通路
210…燃料ガス供給部
220…酸化ガス供給部
310…負荷装置
320…スタック電圧設定部
410…温度検出部
420…セル電圧検出部
430…コントローラ
432…メモリ

Claims (9)

  1. 燃料電池において反応ガスの欠乏状態が発生しているか否かを判定するための判定方法であって、
    前記燃料電池は、複数のセルを含んでおり、
    前記複数のセルは、それぞれが少なくとも1つのセルを含む複数のグループに区分されており、
    前記判定方法は、
    (a)前記燃料電池の起動の前に、
    (a1)前記燃料電池の状態を、前記燃料電池に第1の電力を発生させるのに充分な量の反応ガスが前記燃料電池に供給される第1の状態から、前記第1の状態よりも前記燃料電池に供給される反応ガスの量が低減された第2の状態に、変化させる工程と、
    (a2)前記複数のグループの中から、前記第1の状態から前記第2の状態に変化したときの電圧の低下量が所定量以上となる第1種のグループを選択する工程と、
    を含み、
    (b)前記燃料電池の起動時に、
    (b1)前記燃料電池の状態を、前記燃料電池に前記第1の電力よりも大きな第2の電力を発生させるのに充分な量の反応ガスが前記燃料電池に供給される第3の状態に設定する工程と、
    (b2)前記複数のグループの中から、前記第3の状態における電圧値が所定値以下となる第2種のグループを選択する工程と、
    (b3)前記第1種のグループと、前記第2種のグループと、を比較することによって、前記燃料電池において反応ガスの欠乏状態が発生しているか否かを判定する工程と、
    を備えることを特徴とする判定方法。
  2. 請求項1記載の判定方法であって、
    前記第1の電力は、前記第2の状態において、前記第1種のグループに含まれる前記各セルが逆電圧とならないような電力である、判定方法。
  3. 請求項1または2記載の判定方法であって、
    前記工程(a2)は、
    複数の前記第1種のグループが選択される場合に、前記複数の第1種のグループを特定する第1の特定情報と、前記複数の第1種のグループの電圧に応じて決定された順序を示す第1の順序情報と、を記憶する工程を含み、
    前記工程(b2)は、
    複数の前記第2種のグループが選択される場合に、前記複数の第2種のグループを特定する第2の特定情報と、前記複数の第2種のグループの電圧に応じて決定された順序を示す第2の順序情報と、を記憶する工程を含み、
    前記工程(b3)は、
    前記第1の特定情報および前記第1の順序情報と、前記第2の特定情報および前記第2の順序情報と、を比較する工程を含む、判定方法。
  4. 請求項3記載の判定方法であって、
    前記複数の第1種のグループの前記順序は、前記電圧の低下量の大きさに基づいて決定され、
    前記複数の第2種のグループの前記順序は、前記電圧値の大きさに基づいて決定される、判定方法。
  5. 請求項1ないし4のいずれかに記載の判定方法であって、さらに、
    (c)前記工程(b3)の判定結果に基づいて、所定の処理を実行する工程を含む、判定方法。
  6. 請求項5記載の判定方法であって、
    前記反応ガスは、燃料ガスであり、
    前記所定の処理は、前記燃料電池の出力電圧を増大させる処理を含む、判定方法。
  7. 請求項5記載の判定方法であって、
    前記反応ガスは、酸化ガスであり、
    前記所定の処理は、前記燃料電池に継続して前記第2の電力を発生させる処理を含む、判定方法。
  8. 請求項1ないし7のいずれかに記載の判定方法であって、
    前記工程(a)および前記工程(b)は、前記燃料電池の温度が所定温度以下である場合に実行される、判定方法。
  9. 燃料電池システムであって、
    複数のセルを含む燃料電池であって、前記複数のセルは、それぞれが少なくとも1つのセルを含む複数のグループに区分されている、前記燃料電池と、
    前記複数のグループの複数の電圧を検出するための電圧検出部と、
    前記電圧検出部の検出結果を用いて、前記燃料電池において反応ガスの欠乏状態が発生しているか否かを判定するための処理実行部と、
    を備え、
    前記処理実行部は、
    (a)前記燃料電池の起動の前に、
    (a1)前記燃料電池の状態を、前記燃料電池に第1の電力を発生させるのに充分な量の反応ガスが前記燃料電池に供給される第1の状態から、前記第1の状態よりも前記燃料電池に供給される反応ガスの量が低減された第2の状態に、変化させる処理と、
    (a2)前記複数のグループの中から、前記第1の状態から前記第2の状態に変化したときの電圧の低下量が所定量以上となる第1種のグループを選択する処理と、
    を実行し、
    (b)前記燃料電池の起動時に、
    (b1)前記燃料電池の状態を、前記燃料電池に前記第1の電力よりも大きな第2の電力を発生させるのに充分な量の反応ガスが前記燃料電池に供給される第3の状態に設定する処理と、
    (b2)前記複数のグループの中から、前記第3の状態における電圧値が所定値以下となる第2種のグループを選択する処理と、
    (b3)前記第1種のグループと、前記第2種のグループと、を比較することによって、前記燃料電池において反応ガスの欠乏状態が発生しているか否かを判定する処理と、
    を実行することを特徴とする燃料電池システム。
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