JP2021114457A - 燃料電池システムおよび燃料電池の制御方法 - Google Patents

燃料電池システムおよび燃料電池の制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】排気水素濃度の推定について、推定精度を向上すること。【解決手段】セルが積層された燃料電池と、1または複数のセルを単位として電圧を検出する電圧センサと、燃料電池の動作点を決定し、燃料電池を動作させる制御部であって、燃料電池の暖機運転時には基準動作点よりも効率の低い低効率動作点において燃料電池を動作させる制御部と、を備え、制御部は、暖機運転時に、電圧センサの検出電圧が予め定められた第1基準電圧以下であるセルの総枚数を算出し、総枚数を用いて排気水素濃度を算出する燃料電池システム。【選択図】図1

Description

本開示は、燃料電池システムおよび燃料電池の制御方法に関する。
低効率運転による暖機運転においては、アノードで発生してカソードへ移動した水素イオンが電子を受け取り、ポンピング水素が発生することが知られている。ポンピング水素の発生量が増加すると、カソードオフガス中の水素濃度(以下、排気水素濃度という。)が上昇するおそれがある。特許文献1には、燃料電池の運転電流およびセル枚数などから導出されるポンピング水素の理論発生量を、燃料電池の電圧に応じた補正係数によって補正して、ポンピング水素の発生量を推定する方法が開示されている。
国際公開第2011/013226号
しかし、排気水素濃度の推定について、推定精度を向上する余地があった。
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本開示の一形態によれば、燃料電池システムが提供される。燃料電池システムは、セルが積層された燃料電池と、1または複数の前記セルを単位として電圧を検出する電圧センサと、前記燃料電池の動作点を決定し、前記燃料電池を動作させる制御部であって、前記燃料電池の暖機運転時に基準動作点よりも効率の低い低効率動作点において前記燃料電池を動作させる制御部と、を備え、前記制御部は、前記暖機運転時に、前記電圧センサの検出電圧が予め定められた第1基準電圧以下である前記セルの総枚数を算出し、前記総枚数を用いて排気水素濃度を算出する。この形態によれば、セル電圧が低下したセルの総枚数を用いることで、排気水素濃度を精度良く推定することができる。
(2)上記形態の燃料システムにおいて、さらに、前記燃料電池の温度を検出する温度センサと、前記燃料電池の始動時温度毎に前記燃料電池の現在温度に対する補正係数が対応付けられているマップであって、始動時温度が低いほど補正係数の値が大きいマップを記憶する記憶装置と、を備え、前記制御部は、始動時に前記温度センサから取得した始動時温度を記憶し、前記マップを用いて、前記始動時温度および前記温度センサから取得した前記現在温度に対応する前記補正係数を取得し、前記総枚数に前記補正係数を乗じた値を用いて、前記排気水素濃度を算出してもよい。この形態によれば、始動時温度に対応する補正係数を用いることで、排気水素濃度を精度良く推定することができる。
(3)上記形態の燃料システムにおいて、前記制御部は、前記排気水素濃度が、予め定められた基準濃度よりも高い場合、水素濃度低減処理を実行してもよい。この形態によれば、精度良く推定された排気水素濃度が基準濃度よりも高い場合、排気水素濃度を低減することができる。
(4)上記形態の燃料システムにおいて、前記電圧センサは、1枚の前記セルの電圧を検出する第1電圧センサと、2枚の前記セルの電圧を検出する第2電圧センサと、を含み、前記制御部は、前記第1電圧センサの検出電圧が前記第1基準電圧以下である場合、前記第1基準電圧以下である前記セルを1枚と計数し、前記第2電圧センサの検出電圧が前記第1基準電圧以下である場合、前記第1基準電圧以下である前記セルを2枚と計数し、前記第2電圧センサの検出電圧が前記第1基準電圧より大きく、かつ、前記第1基準電圧よりも大きい予め定められた第2基準電圧以下である場合、前記第1基準電圧以下である前記セルを1枚と計数し、前記総枚数を算出してもよい。この形態によれば、2枚のセルに対して1つの電圧センサが備えられる場合においても、総枚数を算出することができる。
(5)本開示の一形態によれば、燃料電池システムが提供される。燃料電池システムは、セルが積層された燃料電池と、1または複数の前記セルを単位として電圧を検出する電圧センサと、前記複数のセルのうちで前記電圧センサの検出電圧が予め定められた第1基準電圧以下である特定セルの枚数を算出し、算出した前記枚数を用いて前記燃料電池を動作させる制御部と、排気水素濃度が基準濃度以下となるように、前記特定セルの枚数に対する要求発熱量が対応付けられている参照マップであって、前記枚数が多いほど前記要求発熱量が小さい参照マップが記憶されている記憶装置と、を備え、前記制御部は、前記検出電圧を用いて前記枚数を算出し、前記参照マップを用いて、算出した前記枚数に対応する前記要求発熱量を取得し、取得した前記要求発熱量を目標値として前記燃料電池を動作させる。この形態によれば、排気水素濃度が基準濃度となるように予め規定された参照マップを用いて、算出した総枚数に対応する要求発熱量を目標値に設定することで、排気水素濃度が基準濃度となる燃料電池の制御を行うことができる。
(6)本開示の一形態によれば、燃料電池システムが提供される。燃料電池システムは、セルが積層された燃料電池と、1または複数の前記セルを単位として電圧を検出する電圧センサと、積層された前記セルのうちで前記電圧センサの検出電圧が予め定められた第1基準電圧以下である特定セルの枚数を算出し、算出した前記枚数を用いて前記燃料電池を動作させる制御部と、排気水素濃度が基準濃度以下となるように、前記特定セルの枚数に対する要求電流量が対応付けられている参照マップであって、前記枚数が多いほど前記要求電流量が小さい参照マップが記憶されている記憶装置と、を備え、前記制御部は、前記検出電圧を用いて前記枚数を算出し、前記参照マップを用いて、算出した前記枚数に対応する前記要求電流量を取得し、取得した前記要求電流量を目標値として前記燃料電池を動作させる。この形態によれば、排気水素濃度が基準濃度となるように予め規定された参照マップを用いて、算出した総枚数に対応する要求電流量を目標値に設定することで、排気水素濃度が基準濃度となる燃料電池の制御を行うことができる。
本開示は、種々の形態で実現することが可能であり、燃料電池システムの他に、例えば、燃料電池システムの制御方法、その制御方法をコンピューターに実行させるためのコンピュータープログラム、コンピュータープログラムを記録した非一過性の記録媒体などの形態で実現することができる。
車両に搭載される燃料電池システムの概略構成を示す説明図である。 第1実施形態に係る排気水素判定処理のフローチャートである。 第1実施形態に係るセル枚数算出処理のフローチャートである。 掃引電流毎の現在温度と第1電圧閾値との関係を示す図である。 現在温度と補正係数との関係を示す図である。 掃引電流と第1電圧閾値との関係を示す図である。 第2実施形態に係るセル枚数算出処理のフローチャートである。 第2実施形態に係る目標電流と第2電圧閾値との関係を示す図である。 第3実施形態に係る目標動作点を決定するための動作点マップを説明する図である。 第3実施形態に係る掃引電流毎のポンピング水素セル数と排気水素濃度との相関関係を示す図である。 第3実施形態に係る排気水素濃度毎の発熱量とポンピング水素セル数との相関関係を示す図である。 第3実施形態に係る排気水素濃度制御処理のフローチャートである。 第3実施形態に係るポンピング水素セル数と要求発熱量との相関関係を規定する参照マップを示す図である。
A.第1実施形態:
図1は、車両に搭載される燃料電池システム100の概略構成を示す図である。燃料電池システム100は、燃料電池10と、酸化ガス系回路20と、燃料ガス系回路40と、冷却系回路60と、負荷71と、制御部80と、電流センサ11と、電圧センサ12と、温度センサ14と、マフラー52と、を備える。燃料電池10は、燃料ガスおよび酸化ガスを用い、電気化学反応によって発電する。燃料電池10は、複数のセル90が積層されたスタック構造を有する。セル90は、MEGA(Membrane Electrode and Gas Diffusion Layer Assembly)(図示せず)がセパレータ(図示せず)により挟持された構造を有する。MEGAは、電解質膜(図示せず)の一方の面にアノードとして機能する電極触媒層(図示せず)を、他方の面にカソードとして機能する電極触媒層(図示せず)を備えるMEA(Membrane Electrode Assembly)(図示せず)の両面にガス拡散層(図示せず)を備える。本実施形態では、燃料ガスとして水素が用いられ、酸化ガスとして空気中の酸素が用いられる。燃料電池10により発電された電力は、DC/DCコンバータ72により昇圧され、負荷71に供給され、消費される。燃料電池10と負荷71との間には、燃料電池10の出力電流を検出する電流センサ11が設けられている。本実施形態では、1枚のセル90を単位として電圧を検出する電圧センサ12が設けられている。制御部80は、図示しないCPU(central processing unit)および記憶装置81を備え、酸化ガス系回路20と、燃料ガス系回路40と、冷却系回路60と、を制御する。記憶装置81には、後述する排気水素判定処理のプログラム、排気水素判定処理にて使用される第1電圧閾値Vs1を規定するマップなどの各マップ、センサ総数Nなどの各値が記憶されている。電圧センサ12と、電流センサ11と、温度センサ14とは、それぞれ制御部80と接続されている。電流センサ11、電圧センサ12、および温度センサ14が検出した検出値は、制御部80へ送信される。電圧センサ12の各々には、燃料電池10の両端部のいずれか一方のセル90に設けられている電圧センサ12を1番とする番号が付されている。制御部80は、電圧センサ12から受信した検出電圧は、何番目の電圧センサ12から送信された検出電圧であるかを特定する。制御部80は、DC/DCコンバータ72を用いて燃料電池10の出力電流を制御することにより、燃料電池10の出力電圧を制御する。
酸化ガス系回路20は、燃料電池10のカソードに対して空気を供給するための回路である。酸化ガス系回路20は、酸化ガス供給管21と、エアクリーナ22と、エアコンプレッサ23と、バイパス管24と、酸化オフガス排出管25と、酸化ガス供給バルブ26と、バイパスバルブ27と、カソードオフガス排気バルブ28と、を有する。酸化ガス供給管21はエアクリーナ22と、燃料電池10のカソード、すなわち酸化ガス導入口(図示せず)と、を接続する。酸化オフガス排出管25は燃料電池10の酸化オフガス排出口(図示せず)と、大気とを連通する。酸化オフガス排出管25にはマフラー52が配置されている。エアコンプレッサ23は、エアクリーナ22により塵埃が除去された空気を圧縮し、酸化ガス供給管21を介して圧縮した空気を燃料電池10に供給する。酸化ガス供給バルブ26は酸化ガス供給管21に配置されており、酸化ガス供給管21の流路を開閉することにより燃料電池10への空気の供給を遮断または許容する。カソードオフガス排気バルブ28は酸化オフガス排出管25に配置されており、燃料電池10の酸化オフガス排出口から排出されたカソードオフガスの排出量を制御し、燃料電池10の背圧を調整する。バイパス管24は、酸化ガス供給管21と酸化オフガス排出管25とを接続する。バイパスバルブ27は、バイパス管24に配置されており、エアコンプレッサ23およびカソードオフガス排気バルブ28と協働して、燃料電池10を流れる空気の流量を調整する。
燃料ガス系回路40は、燃料電池10のアノードに対して燃料ガスを供給するための回路である。燃料ガス系回路40は、燃料ガス供給管41と、燃料ガス源である燃料ガスタンク42と、主止弁43と、調圧弁44と、インジェクタ45と、燃料排ガス管46と、気液分離器47と、排気排水弁48と、還流管49と、還流ポンプ50と、を備える。燃料ガス供給管41は、燃料ガスタンク42と、燃料電池10のアノード、すなわち燃料ガス導入口(図示せず)と、を接続する。燃料ガスタンク42は高圧水素ガスを貯留する。燃料ガス供給管41には、燃料ガスタンク42から燃料電池10に向かって、主止弁43、調圧弁44、インジェクタ45が順に配置されている。主止弁43は、燃料ガス供給管41の流路を開閉することにより燃料ガスタンク42からの水素ガスの供給を遮断または許容する。調圧弁44は、高圧水素ガスの圧力を予め定められた水素圧力まで低下させる。インジェクタ45は、燃料電池10に対する水素ガスの供給量を調整するために備えられている。インジェクタ45は、噴射間隔、すなわち、開口間隔が制御されることによって、燃料ガスの供給量(燃料ガス量)を調整する。燃料排ガス管46は、燃料電池10の燃料オフガス排出口(図示せず)と、酸化オフガス排出管25と、を接続する。燃料排ガス管46には、燃料電池10からマフラー52に向かって、順に気液分離器47と、排気排水弁48とが、配置されている。還流管49は、気液分離器47と、インジェクタ45下流側の燃料ガス供給管41と、を接続する。燃料電池10の燃料オフガス排出口から排出される燃料オフガスは、気液分離器47により気体成分と液体成分とに分離される。排気排水弁48は、燃料排ガス管46を連通・非連通に切り替える。気液分離器47により分離された燃料排ガスの気体成分は、還流ポンプ50により燃料ガス供給管41へ還流される。これにより、燃料オフガスに含まれる未反応の水素が再利用される。燃料オフガス中の水素ガス以外のガス成分の濃度が高くなると、排気排水弁48が開弁されて、液体成分と燃料オフガスとが排出される。燃料排ガス管46を流れる燃料オフガスと、酸化オフガス排出管25を流れるカソードオフガスとは、混合され、マフラー52を介して排気される。
冷却系回路60は燃料電池10を冷却するための回路である。冷却系回路60は、冷媒供給管61と、ラジエータ64と、冷媒ポンプ65と、を備える。冷媒供給管61を流れる冷媒は、ラジエータ64により冷却され、冷媒ポンプ65により燃料電池10内を循環する。冷媒供給管61には、温度センサ14が設けられている。燃料電池10から排出される冷媒の温度と、燃料電池10の温度とは、ほぼ等しいため、冷媒の温度を燃料電池10の温度とすることができる。なお、温度センサを、燃料電池10に設けてもよい。
燃料電池10における通常運転および暖機運転について説明する。通常運転においては、目標の出力電力を発電するのに必要な理論空気量以上の空気が供給されて発電が行われる。一方、暖機運転においては、運転効率を低下させるために、通常運転にて供給される空気量未満の空気量にて発電が行われる。ここで、通常運転にて供給される空気量未満の空気量にて発電される場合の動作点である、暖機運転において制御される燃料電池10の動作点を低効率動作点という。暖機運転においては、目標の出力電力を発電するのに必要な理論空気量に対する、実際に供給される空気量の比である、エアストイキ比は、例えば1.0程度とされる。低効率動作点において燃料電池10を稼働させることにより、濃度過電圧が増大し、自己発熱により燃料電池10が暖機される。通常運転においては、制御部80は、燃料消費の観点から適切な運転効率となるように、燃料電池10の動作点を決定して燃料電池10を動作させる。運転効率とは、燃料電池10に供給される燃料ガス量と燃料電池10から出力される電力とにより求められる効率である。暖機運転では、燃料電池10の動作点の内、基準となる基準動作点よりも効率が低い低効率動作点にて運転される。ここで、基準動作点とは、目標の出力電力を発電するのに必要な理論空気量以上の空気を供給して燃料電池10を運転するための動作点である。暖機運転では、例えば、燃料電池10の始動時温度に応じて目標発熱量が設定され、設定された目標発熱量に基づき、低効率動作点の目標値が決定される。
暖機運転は、主に外気温が氷点下である場合に行われる。氷点下では、燃料電池10に残存する水分などが凍結し、燃料電池10の酸化ガスの流路が閉塞される場合がある。このため、酸化ガスの圧力損失が増大し、目標の燃料ガス供給量に対して、実際の燃料ガス供給量が少なくなり、目標のセル電圧に対して、実際のセル電圧は低下する。また、燃料ガス供給量が少なくなるとポンピング水素が発生する。ポンピング水素とは、カソードに移動した水素イオンが電子を受け取り発生する水素である。水素イオンのカソードへの移動量は、燃料電池10から掃引する電流量に比例するため、ポンピング水素の発生量は、掃引する電流量に比例する。
制御部80が実行する排気水素判定処理について図2を参照して説明する。制御部80は、起動後、排気水素判定処理を繰り返し実行する。制御部80は、起動時、温度センサ14の検出温度を、燃料電池10始動時の始動時温度として、記憶装置81に記憶する。制御部80は、例えば酸化ガス供給管21(図1)に設けられた外気温を検出する温度センサ(図示しない)の検出値に基づき、暖機運転が必要か否かを判断し、暖機運転が必要であると判断すると、暖機運転フラグをオンに切り替え、暖機運転を開始する。詳しくは、制御部80は、酸化ガス系回路20に燃料電池10に対する空気の供給を開始させ、燃料ガス系回路40に燃料電池10に対する燃料ガスの供給を開始させ、燃料電池10に発電を開始させる。また、制御部80は、暖機運転を終了する場合は、暖機運転フラグをオフに切り替える。制御部80は、暖機運転時には、低効率動作点において燃料電池10を動作させる。
制御部80は、排気水素判定処理を開始すると、燃料電池10が暖機運転中であるか否かを判断する(ステップS10)。燃料電池10は、暖機運転フラグを参照し、暖機運転フラグがオフの場合には、燃料電池10は暖機運転中でないと判断し(ステップS10:NO)、本処理ルーチンを終了する。制御部80は、暖機運転フラグがオンの場合には(ステップS10:YES)、セル枚数算出処理(ステップS20)を実行する。
セル枚数算出処理について、図3を参照して説明する。発明者らは、ポンピング水素発生量は、セル電圧が低下しているセル90が多いほど多いことに着目した。ポンピング水素発生量の算出のため、セル枚数算出処理では、ポンピング水素が発生していると推定されるセル90の数(以下、「ポンピング水素セル数」と称する。)Nhが計数される。セル枚数算出処理では、セル電圧が第1電圧閾値Vs1以下であるセル90に、ポンピング水素が発生していると判断され、ポンピング水素が発生していると推定されるセル90(以下「ポンピング水素発生セル」と称する。)として特定される。
図4は、現在温度および掃引電流に対して第1電圧閾値Vs1を規定するマップである。ここで、掃引電流とは、DC/DCコンバータ72により、燃料電池10から取り出される電流である。図4の横軸は、燃料電池10の現在温度[℃]であり、縦軸は、第1電圧閾値Vs1[V]である。第1電圧閾値Vs1は、掃引電流毎に規定されている。燃料電池10の出力電圧は、出力電流が大きいほど、小さくなるため、燃料電池10の掃引電流が大きいほど、第1電圧閾値Vs1は小さく設定されている。特性線Lb1は、燃料電池10の現在温度によらず、第1電圧閾値Vs1が一定と設定された特性線である。燃料電池10の温度が低いほど、電解質膜の抵抗は大きくなり、セル90から出力されるセル電圧は低下する。このため、特性線La1および特性線Lc1のように、現在温度が低いほどセル電圧が低くなる燃料電池10の特性が反映された特性線を使用してもよい。本実施形態では、特性線La1が用いられる。
制御部80は、セル枚数算出処理(図3)を開始すると、本サブルーチンで使用する、電圧センサ12の番号を示すセンサ番号nを初期値の1に設定し、ポンピング水素が発生しているセル90の総枚数を示す発生セル数mを初期値のゼロに設定する。制御部80は、図4に示すマップを参照し、目標電流を掃引電流として、温度センサ14により検出された現在温度および掃引電流に対応する第1電圧閾値Vs1(第1基準電圧の一例)を取得する(ステップS100)。制御部80は、n番目の電圧センサ12の検出電圧が第1電圧閾値Vs1以下であるか否か判断する(ステップS110)。制御部80は、検出電圧が第1電圧閾値Vs1以下であると判断すると(ステップS110:YES)、対象セルにポンピング水素が発生していると推定し、発生セル数mに1を加算し(ステップS120)、ステップS130に移行する。制御部80は、検出電圧が第1電圧閾値Vs1以下でない、すなわち第1電圧閾値Vs1より大きいと判断すると(ステップS110:NO)、対象セルにポンピング水素が発生していないと推定し、ステップS120をスキップし、ステップS130に移行する。制御部80は、次の電圧センサ12を判断対象とするため、センサ番号nに1を加算し(ステップS130)、センサ番号nが電圧センサ12のセンサ総数N以上であるか否かを判断する(ステップS140)。制御部80は、センサ番号nがセンサ総数N以上でない、すなわちセンサ総数N未満であると判断すると(ステップS140:NO)、次の電圧センサ12について判断するため、ステップS110へ戻る。制御部80は、センサ番号nがセンサ総数N以上であると判断すると(ステップS140:YES)、すべての電圧センサ12についての判断を終了したため、本サブルーチンを終了する。
図2に戻り、制御部80は、ステップS20実行後、排気水素濃度推定が可能であるか否かを判断する(ステップS30)。具体的には、制御部80は、後述する排気水素濃度の算出式である式(1)〜(3)にて使用される、総エア流量Vaなどの各値が、妥当であるか否かを判断する。条件の例示は、(a)から(j)に示すとおりである。(a)から(j)までの項目の少なくともいずれか1つが判断基準として用いられる。用いられる1以上の判断基準について、1つでも該当する場合には、排気水素濃度の推定は可能でないと判断される。
(a)セル電圧の絶対値が基準値以下の場合。
(b)セル電圧が指令電圧値以下の場合。
(c)セル電圧が指令電圧値に対して所定範囲内で推移していない場合。
(d)現在温度が基準値以下の場合。
(e)空気流量の絶対値が基準値以下の場合。
(f)空気流量が指令流量値以下の場合。
(g)空気流量が指令流量値に対して所定範囲内で推移していない場合。
(h)出力電流の絶対値が基準値以下の場合。
(i)出力電流が指令電流値以下の場合。
(j)出力電流が指令電流値に対して所定範囲内で推移していない場合。
空気流量は、例えば、エアコンプレッサ23の回転数およびバイパスバルブ27の開度から推定される値である。制御部80は、排気水素濃度の推定は不可能である(ステップS30:NO)と判断すると、本処理ルーチンを終了する。制御部80は、排気水素濃度の判定は可能であると判定すると(ステップS30:YES)、ステップS40へ進む。
ここで、後のステップS50,S60にて使用される、排気水素濃度Chの算出式について説明する。発明者らは、ポンピング水素発生量は、ポンピング水素セル数と、燃料電池10から掃引する電流と、に比例することに着目した。各セル90には、同じ電流値の電流が流れるとみなし、排気水素濃度Chは次の式(1)〜(3)を用いて算出される。
Vh=CF×I/(2×F)×22.4×60×Nh・・・式(1)
Vo=I/(4×F)×22.4×60×(Na−Nh)・・・式(2)
Ch=Vh/(Va−Vo+Vh)×100・・・式(3)
式(1)は、推定されるポンピング水素の発生量(以下、「ポンピング水素量」と称する。)の算出式であり、式(2)は、消費酸素量の算出式である。式(3)は、排気水素濃度Chの算出式であり、式(1),(2)により算出されたポンピング水素量Vhおよび消費酸素量Voが代入される。
式(1)〜(3)におけるパラメータの定義は、次に示す通りである。
Vh:ポンピング水素量[NL/min]
Vo:消費酸素量[NL/min]
Ch:排気水素濃度[%]
Va:総エア流量[NL/min]
CF:補正係数
I:掃引電流[A]
Nh:ポンピング水素セル数
Na:総セル数
F:ファラデー定数
「総セル数」は、セル90の総枚数を示す。式(1)における、数値「2」は、2つの水素イオンがカソードで水素1分子になる際にカソードから受け取る電子の数である。式(2)における数値「4」は、酸素1分子がカソードにおいて水になる際にカソードから受け取る電子の数である。掃引電流Iに基づき、カソードへ供給される1秒当たりの電荷の量が見積もられる。例えば、式(1)におけるポンピング水素量Vhの算出では、見積もられた電荷の量から、ファラデー定数を用いて、発生するポンピング水素の分子数が算出される。算出された分子数は、標準状態における気体1mol当たりの体積(22.4[L/mol])を用いて、1分当たりに発生するポンピング水素の体積であるポンピング水素量Vh[NL/min]に換算される。
式(1)における補正係数CFは、掃引電流Iおよびポンピング水素セル数Nhから導出されるポンピング水素発生量の理論値を実測値に補正するための係数であり、実験などにより求められる値である。
上記のように、セル枚数算出処理(図3)では、セル電圧が第1電圧閾値Vs1以下のセル90が、ポンピング水素発生セルと判断される。判断に際して、ポンピング水素発生セルと、ポンピング水素が発生していないと推定されるセル90(以下、「ポンピング水素非発生セル」と称する。)とで、セル電圧は明確に2分されることが理想である。しかし、実際には、セル電圧の実測値は、0V付近から目標のセル電圧付近まで分布する。このため、第1電圧閾値Vs1の値によっては、実際にはポンピング水素が発生していないセル90がポンピング水素発生セルとして誤計数され、実際にポンピング水素が発生しているセル90が、ポンピング水素非発生セルとして誤計数される場合が生じてしまう。補正係数CFは、このような、誤った計数を補正するために用いられる。
図5は、始動時温度毎に現在温度に対して補正係数CFを規定するマップである。図5の横軸は、燃料電池10の現在温度[℃]であり、縦軸は、補正係数CFである。特性線Ld1〜Ld3は、異なる始動時温度に対応し、特性線Ld1、特性線Ld2、特性線Ld3の順に、始動時温度が低い。始動時温度に関しては後述する。
実際にはポンピング水素が発生しているセル90がポンピング水素非発生セルと計数される誤計数は、氷点下であった燃料電池10の温度が氷点以上に移行する時に生じ易い。暖機運転において、燃料電池10は、エアストイキ比の変化量に対する出力電圧の変化量が大きい動作域にて運転されている。暖機運転においては、例えば燃料電池10の凍結していた水分の融解に応じて、燃料ガスの供給量が増えると、セル電圧は大きく上昇する。このため、ポンピング水素が発生しているにもかかわらず、第1電圧閾値Vs1よりも実測値が大きくなり、ポンピング水素が発生しているセル90がポンピング水素非発生セルとして誤計数される。
反対に、実際にはポンピング水素が発生していないセル90がポンピング水素発生セルと計数される誤計数は、燃料電池10の温度の変化量に対する出力電圧の変化量が小さい、掃引電流0A付近で生じ易い。図6は、現在温度毎の掃引電流Iと、第1電圧閾値Vs1との関係を示す図である。図6の横軸は、掃引電流I[A]であり、縦軸は、第1電圧閾値Vs1[V]である。特性線La1〜La3は、それぞれ、現在温度−10℃、−20℃、−30℃に対応している。掃引電流0A付近では、燃料電池10の温度の変化量に対する出力電圧の変化量が小さい。このため、僅かな検出誤差であっても、誤計数を招きやすい。例えば、温度センサ14の検出温度に対して、対象のセル90の温度が低い場合には、実際の現在温度よりも高い現在温度に対応する第1電圧閾値Vs1を用いて判断されてしまう。この場合には、ポンピング水素が発生していないセル90がポンピング水素発生セルとして誤計数される。
ポンピング水素が発生しているセル90がポンピング水素非発生セルとして誤計数された場合には、計数されたセル数を大きい値に補正する必要がある。反対に、ポンピング水素が発生していないセル90がポンピング水素発生セルとして誤計数された場合には、計数されたセル数を小さい値に補正する必要がある。補正係数CFは、上記の事象が勘案されて、設定されている。
次に、補正係数CFのマップが、始動時温度毎に規定されている理由について説明する。発明者らは、現在動作点が同じであっても、始動時温度が低いほど、ポンピング水素が発生し易くなることを見出した。始動時温度が低いほど、暖機に求められる熱量は大きくなり、指令電圧は下げられ、すなわち、空気の供給量が減らされるからである。そこで、始動時温度が低いほど、補正係数CFが大きくされたマップを用いることで、ポンピング水素量を精度良く算出することができる。
図2に戻り、制御部80は、排気水素濃度を推定可能であると判定すると(ステップS30:YES)、図5に示すマップを参照し、温度センサ14の検出温度である現在温度および始動時温度に対応する補正係数CFを取得する(ステップS40)。制御部80は、掃引電流Iに電流センサ11の検出電流である現在電流を代入し、ポンピング水素セル数Nhに発生セル数mの値を代入して、上記の式(1)〜(3)に基づき、排気水素濃度Chを算出する(ステップS50)。現在電流が代入されて算出された排気水素濃度Chを第1推定水素濃度Caと称する。制御部80は、掃引電流Iに目標電流を代入して、上記の式(1)〜(3)に基づき、排気水素濃度Chを算出する(ステップS60)。目標電流が代入されて算出された排気水素濃度Chを第2推定水素濃度Cbと称する。制御部80は、掃引電流が目標電流となるように制御するが、例えば、燃料電池10に残存する水分が完全に融解していない場合などに、掃引電流が目標電流に一致しない状態が生じ得る。第1推定水素濃度Caと第2推定水素濃度Cbとが、乖離する場合がある。このため、第1推定水素濃度Caと第2推定水素濃度Cbとの両者を算出し、各々に基づき濃度判定(ステップS70,S80)を行うことで、排気水素濃度が高い場合の水素濃度低減処理(ステップS90)を確実に実行することができる。
制御部80は、第1推定水素濃度Caが例えば環境基準に基づく濃度閾値(基準濃度の一例)以上であるか否かを判断する(ステップS70)。制御部80は、第1推定水素濃度Caが濃度閾値以上であると判断すると(ステップS70:YES)、排気水素濃度を下げるため、ステップS90へ移行する。制御部80は、第1推定水素濃度Caが濃度閾値以上でない、すなわち濃度閾値未満であると判断すると(ステップS70:NO)、第2推定水素濃度Cbが濃度閾値以上であるか否かを判断する(ステップS80)。制御部80は、第2推定水素濃度Cbが濃度閾値以上であると判断すると(ステップS80:YES)、排気水素濃度を下げるため、ステップS90へ移行する。制御部80は、第2推定水素濃度Cbが濃度閾値以上でない、すなわち濃度閾値未満であると判断すると(ステップS80:NO)、本処理ルーチンを終了する。制御部80は、ポンピング水素の発生を低減するために、燃料電池10の動作点を現在の動作点よりも効率の良い高効率動作点に変更する水素濃度低減処理を実行し(ステップS90)、本処理ルーチンを終了する。水素濃度低減処理は、水素濃度を低減できればどのような処理でもよく、例えば、目標電流値を現在の設定値よりも小さくする処理である。これにより、排気水素濃度が低減される。
以上、説明した排気水素判定処理によれば、電圧センサ12の検出電圧に基づき、ポンピング水素発生セルを特定し、ポンピング水素セル数Nhに基づき、排気水素濃度Chを算出するため、排気水素濃度Chを精度良く算出することができる。水素濃度低減処理は、排気水素濃度Chが濃度閾値以上の場合に実行される。水素濃度低減処理を実行するか否かの判断に、精度良く算出された排気水素濃度Chを用いることができるため、実際の排気水素濃度が濃度閾値以上ではない場合における水素濃度低減処理の実行が抑制される。排気水素濃度Chが濃度閾値以上の場合には、高効率側へ動作点が移動される。このため、排気水素濃度Chの算出精度が悪い場合には、動作点の過剰移動(ハンチング)が発生してしまう。排気水素濃度Chを精度良く算出することで、動作点の過剰移動(ハンチング)を抑制することができる。また、暖機運転中に、水素濃度低減処理を実行するため、通常運転に移行した後に、掃引電流の増加に伴うポンピング水素量の増加を抑制することができる。発明者らは、一度ポンピング水素が発生すると、カソードとして機能する電極触媒層の触媒表面が水素リッチ状態となり、触媒表面への酸素供給が阻害され、発電反応が阻害されることを見出した。触媒表面が水素リッチ状態で、通常運転に移行されると、燃料電池10の掃引電流が増加され、掃引電流の増加に応じて、ポンピング水素量も増加してしまう。そこで、通常運転へ移行する前の暖機運転中に、水素濃度低減処理を実行することで、ポンピング水素量の増加を抑制することができる。
B:第2実施形態
第1実施形態では、燃料電池システム100には、1枚のセル90を単位として電圧を検出する電圧センサ12が設けられている。これに対して、第2実施形態における燃料電池システムには、積層されるセル90のうち、両端の複数のセル90については、1枚のセル90を単位として電圧を検出する電圧センサ12(以下、「第1電圧センサ」と称する。)が設けられている。両端の複数のセル90を除く中間のセル90については、2つのセル90を単位として電圧を検出する電圧センサ12(以下、「第2電圧センサ」と称する。)が設けられている。2つのセル90の電圧を検出する電圧センサ12の検出電圧は、各セル90の電圧の総和となる。第2実施形態に係る発生セル枚数算出処理は、電圧センサ12が2つのセル90の電圧を検出する構成においても、ポンピング水素発生セルの特定を可能とする処理である。第2実施形態に係る排気水素判定処理は、セル枚数算出処理以外の処理は、第1実施形態に係る排気水素判定処理と同様のため、説明は省略する。
第2電圧センサが検出対象とする2つのセル90のいずれか一方のみのセル電圧が低下している場合、第2電圧センサの検出電圧は、2つのセル90のどちらもセル電圧が低下していない場合の検出電圧と、2つのセル90のどちらもセル電圧が低下している場合の検出電圧と、の間の値となる。そこで、第1電圧閾値Vs1よりも大きい第2電圧閾値Vs2を用いて、2つのセル90のいずれか一方のみがセル電圧が低下している第2電圧センサを特定する。図8は、現在温度毎に目標電流に対して、第2電圧閾値Vs2を規定するマップである。図8の横軸は、目標電流[A]であり、縦軸は第2電圧閾値Vs2である。特性線Le1〜Le3は、異なる現在温度に対応し、特性線Le1,特性線Le2,特性線Le3の順に現在温度が低い。ポンピング水素が発生していないセル90のセル電圧は、燃料電池10の目標電圧に応じた値となる。このため、第2電圧閾値Vs2は、目標電圧に応じた値とされている。第2実施形態に係るセル枚数算出処理では、第2電圧センサの検出電圧が第1電圧閾値より大きく、第2電圧閾値Vs2以下である場合、ポンピング水素発生セルは、1枚であるとして計数される。
制御部80は、セル枚数算出処理(図7)を開始すると、第1実施形態と同様に、本サブルーチンで使用する変数であるセンサ番号nを初期値の1に、発生セル数mを初期値のゼロに設定する。制御部80は、図2に示すマップを参照して、現在温度および電流センサ11の検出電流に対応する第1電圧閾値Vs1を取得する(ステップS210)。制御部80は、図8に示すマップを参照して、現在温度および目標電流に対応する、第2電圧閾値Vs2(第2基準電圧の一例)を取得する(ステップS220)。
制御部80は、対象とするn番目の電圧センサ12が検出するセル90の枚数をセル枚数Ncに設定する(ステップS230)。第1電圧センサであれば、セル枚数Ncは1に設定され、第2電圧センサであれば、セル枚数Ncは2に設定される。制御部80は、対象とするn番目の電圧センサ12の検出電圧が第1電圧閾値Vs1以下であるか否か判断する(ステップS240)。制御部80は、検出電圧が第1電圧閾値Vs1以下であると判断すると(ステップS240:YES)、対象セルにポンピング水素が発生していると推定されるため、発生セル数mにセル枚数Ncを加算し(ステップS250)、ステップS260に移行する。第1電圧センサであれば、発生セル数mに1が加算され、第2電圧センサであれば、発生セル数mに2が加算される。
制御部80は、検出電圧が第1電圧閾値Vs1以下でない、すなわち第1電圧閾値Vs1より大きいと判断すると(ステップS240:NO)、対象の電圧センサ12が検出するセル90の検出枚数は2枚であるか否かを判断する(ステップS280)。制御部80は、対象とする電圧センサ12は、第1電圧センサであり、検出枚数は2枚でないと判断すると(ステップS280:NO)、ステップS260に移行する。制御部80は、検出枚数は2枚であると判断すると(ステップS280:YES)、対象としているn番目の検出電圧は、第2電圧閾値Vs2以下であるか否かを判断する(ステップS290)。制御部80は、検出電圧が第2電圧閾値Vs2以下でない、すなわち第2電圧閾値Vs2より大きいと判断すると(ステップS290:NO)、ステップS260に移行する。制御部80は、検出電圧が第2電圧閾値Vs2以下であると判断すると(ステップS290:YES)、発生セル数mに1を加算する(ステップS300)。
制御部80は、次の電圧センサ12を判断対象とするため、センサ番号nに1を加算し(ステップS260)、センサ番号nが電圧センサ12のセンサ総数N以上であるか否かを判断する(ステップS270)。制御部80は、センサ番号nがセンサ総数N以上でない、すなわちセンサ総数N未満であると判断すると(ステップS270:NO)、次の電圧センサ12について判断するため、ステップS230へ戻る。制御部80は、センサ番号nがセンサ総数N以上であると判断すると(ステップS270:YES)、すべての電圧センサ12についての判断を終了したため、本サブルーチンを終了する。
以上、説明した第2実施形態に係るセル枚数算出処理によれば、電圧センサ12が、1枚のセル90を単位とする電圧センサと、2枚のセル90を単位とする電圧センサとを含む場合にも、精度良く、ポンピング水素セル数Nhを算出することができる。
C.第3実施形態
第3実施形態では、排気水素濃度Chが基準濃度以下となるように予め規定された参照マップの使用により、燃料電池10は、排気水素濃度Chが基準濃度以下となる動作点にて制御される。これにより、燃料電池10の排気水素濃度Chを基準濃度以下に維持することができる。
図9は、燃料電池10の暖機運転における目標動作点を決定するための動作点マップを説明する図である。なお、図9を用いて決定される動作点は、暖機運転における動作点であり、上述のように、基準動作点よりも効率が低い低効率動作点である。図9の横軸は、燃料電池10の電流であり、縦軸は、燃料電池10の電圧である。図9には、同じ発電量となる動作点を示す等パワーラインPLと、同じ発熱量となる動作点を示す等QラインQL1,QL2とが示されている。ここで、発熱量とは、燃料電池10の発電に伴って発生する時間当たりの熱量である。等QラインQL1,QL2は、互いに発熱量が異なり、等QラインQL1の発電量は発熱量qmaxであり、等QラインQL2の発電量は発熱量qaである。発熱量qmaxは、暖機運転において設定される目標発熱量の最大値であり、発熱量qaよりも大きい。通常運転においては、要求発電量に応じて目標動作点が設定される。これに対して、暖機運転においては、目標発熱量が決定され、決定された目標発熱量に応じて目標動作点が決定される。詳しくは、目標発熱量の等Qラインと、目標発電量の等パワーラインとの交点が目標動作点に設定される。暖機運転においては、燃料電池10は、エアストイキ比の変化量に対する出力電圧の変化量が大きい動作域にて運転されていることなどから、目標発電量は、予め定められた値に固定される。つまり、暖機運転における動作点は、図9の等パワーラインPL上の動作点に設定される。また、エアコンプレッサ23の回転数予め定められた値に固定され、燃料電池システム100へ供給される総エア流量Vaは、予め定められた値に固定される。暖機運転においては、暖機運転時間を短縮するため、可能な限り、目標発熱量は大きく設定されるのが好ましい。そこで、暖機運転は、発熱量qmaxに応じた目標動作点にて運転が開始される。詳しくは、発熱量qmaxである等QラインQL1と等パワーラインPLとの交点である目標動作点OP1にて運転が開始される。なお、暖機運転における時間当たりの目標発電量は、例えば、10.3kWである。また、発熱量qmaxは、例えば、時間当たり56kWである。
第1実施形態にて説明したように、排気水素濃度Chは、ポンピング水素セル数Nhおよび掃引電流Iなどを用いて、式(3)を用いて算出することができる。ここで、掃引電流Iとは、DC/DCコンバータ72により燃料電池10から取り出される電流である。なお、排気水素濃度Chは、詳しくは、酸化オフガス排出管25とバイパス管24との接続点より下流側の、酸化オフガス排出管25における濃度である。また、総エア流量Vaは、固定値である。総エア流量Vaは、エアコンプレッサ23から燃料電池システム100に供給される空気の流量であり、詳しくは、燃料電池10に供給される空気流量と、バイパス管24を流通する空気流量との合計量である。ここで、第3実施形態では、式(3)に代入されるポンピング水素量Vhは、次の式(4)を用いて算出される。式(4)は、式(1)に含まれる補正係数CFがない点が、式(1)とは異なる。
Vh=I/(2×F)×22.4×60×Nh・・・式(4)
上記したように、ポンピング水素が発生しているセル90では、セル電圧が低下する。そこで、第1実施形態では、セル電圧が0Vより大きい値である第1電圧閾値Vs1以下であるセル90を計数し、補正係数CFを用いて、例えば実際にはポンピング水素が発生していないセル90が特定セルであるポンピング水素発生セルとして計数されてしまうなどの誤計数が補正される。ここで、ポンピング水素発生セルのセル電圧は、典型的には負電圧となる。そこで、本実施形態では、第1電圧閾値Vs1は、例えば0Vと設定され、セル電圧が0V以下であるセル90がポンピング水素発生セルとして計数される。そして、補正係数CFを用いた補正は行われずにポンピング水素量Vhが算出される。式(4),(2)を式(3)に代入して整理すると、次の式(5)となる。
Ch=2Nh/(4F/I×Va/(22.4×60)−Na+3Nh)・・・式(5)
ここで、発明者らは、総エア流量Vaを固定値とした場合、排気水素濃度Chはポンピング水素セル数Nhと、掃引電流Iとに基づき算出することができるため、排気水素濃度Ch毎に、ポンピング水素セル数Nhと掃引電流Iとの相関関係を予め規定できることに着目した。排気水素濃度Chが基準濃度以下となる、ポンピング水素セル数Nhと掃引電流Iとの相関関係に基づいて、掃引電流Iとなる動作点にて燃料電池10を動作させることにより、排気水素濃度Chが基準濃度以下となる燃料電池10の制御を実現することができる。以下に詳述する。
図10は、式(5)を用いて算出された、掃引電流I毎の、ポンピング水素セル数Nhと排気水素濃度Chとの相関関係を示す図である。特性線L1〜L5は、それぞれ、掃引電流Iがi1〜i5であり、特性線L1,L2,L3,L4,L5の順に、掃引電流Iの電流値は次第に大きくなる。図10に示されるように、ポンピング水素セル数Nhが同じ場合、掃引電流Iが大きいほど、排気水素濃度Chは高くなる。また、掃引電流Iが同じ場合、ポンピング水素セル数Nhが多いほど、排気水素濃度Chは高くなる。
図11は、排気水素濃度毎の、発熱量とポンピング水素セル数Nhとの相関関係を規定するマップである。図11に示されるマップは、後述するように、排気水素濃度制御処理にて使用される参照マップを含むマップである。参照マップは、等パワーライン上の動作点で燃料電池10を発電させた場合のマップであり、エアコンプレッサ23により燃料電池システム100に供給される空気量である総エア流量Vaは固定値である。式(5)に示されるように、総エア流量Vaおよび総セル数Naを固定値とした場合、排気水素濃度Chは、掃引電流Iとポンピング水素セル数Nhとを用いて算出される。上記のように、本実施形態では、目標発熱量が決定され、目標発熱量に応じて目標動作点が決定され、燃料電池10は、決定された目標動作点に制御される。そこで、図11に示されるマップは、掃引電流Iではなく、発熱量と、ポンピング水素セル数Nhとの相関関係が規定されている。本実施形態では、暖機運転においては、制御部80は、燃料電池10を等パワーラインPL上の動作点にて動作させるため、掃引電流Iと要求発熱量とを一対一に対応付けることができる。よって、発熱量と、ポンピング水素セル数Nhとの相関関係を予め規定することができる。詳しくは、掃引電流Iから発熱量への換算は、例えば図9に示される動作点マップを用いて行うことができる。図10に示されるように、ポンピング水素セル数Nhおよび排気水素濃度Chが決定されれば、掃引電流Iが一義に決定される。そして、図9に示されるように、掃引電流Iが決定されれば、発熱量が一義に決定される。特性線CL1〜CL6の排気水素濃度Chは、それぞれ濃度c1〜c6であり、特性線CL1,CL2,CL3,CL4,CL5,CL6の順に排気水素濃度Chは次第に高くなる。図11に示されるように、排気水素濃度Chを例えば濃度c3以下にするには、燃料電池10の動作点をポンピング水素セル数Nhが多いほど、発熱量が小さい動作点に設定すればよい。
第3実施形態に係る排気水素濃度制御処理について、図12を参照して説明する。第1実施形態と同様のステップについては、同一の符号を付し、詳細な説明は適宜省略する。制御部80は、起動後、排気水素濃度制御処理を繰り返し実行する。制御部80は、ステップS10,S20を実行する。上記のように、本実施形態におけるステップS20では、第1電圧閾値Vs1は、例えば0Vに設定される。制御部80は、図13に示す参照マップを用いて、予め定められた基準濃度において、ステップS20にて算出されたポンピング水素セル数Nhに対応する要求発熱量を取得する(ステップS400)。
図13に示される参照マップには、発熱量qmaxと、図11に示される特性線CL1〜CL6のうち、排気水素濃度Chが濃度c3である特性線CL3とが示されている。なお、図11と図13とは軸が異なり、図13の横軸は、ポンピング水素セル数Nhであり、縦軸は、要求発熱量[kW]である。本実施形態では、基準濃度として、予め固定の濃度が設定されており、基準濃度は濃度c3である。記憶装置81には、排気水素濃度が濃度c3である参照マップが予め記憶されている。排気水素濃度が濃度c3である参照マップが用いられることにより、制御部80は、基準濃度となる、ポンピング水素セル数Nhに対応する要求発熱量を取得することができる。
制御部80は、ステップS400(図12)の実行後、要求発熱量を目標値とするレート処理を実行する(ステップS410)。レート処理とは、現在の目標発熱量に対応する動作点から新たな目標発熱量に対応する動作点へ変更する過程において、発熱量の単位時間あたりの変化量である変更レートを予め定められた基準レートとする処理である。ここで、基準レートは、上昇レートおよび下降レート共に、例えば、12[kw/sec]である。レート処理を実行することにより、発熱量の急激な変化を抑えることができる。詳しくは、制御部80は、バイパスバルブ27の開度を調整することにより、燃料電池10への空気流量を調整するとともに、例えばDC/DCコンバータ72を用いて、燃料電池10の掃引電流を、基準レートに応じたレートで変化させることにより、燃料電池10の動作点を切り替える。例えば、図13に示すように、ポンピング水素セル数Nhが枚数naである場合、ステップS400にて取得される要求発熱量は、発熱量qaである。この場合、図9に示すように、新たな目標発熱量に対応する動作点は、目標動作点OP2である。そこで、現在の動作点が目標動作点OP1である場合には、動作点は、新たな目標動作点OP2へ向かって、等パワーラインPLに沿って切り替えられていく。ポンピング水素が発生しているセル90がある場合には、より高効率の動作点に切り替えられることで、掃引電流Iが小さくされるため、排気水素濃度Chが低減される。また、例えば、燃料電池10の温度が上昇し、ポンピング水素セル数Nhが少なった場合には、動作点は、例えば、目標動作点OP2から、目標動作点OP1へ切り替えられる。この場合には、排気水素濃度は基準濃度以下に維持されつつ、より多くの発熱量となる制御が行われることになる。このように、暖機運転中において、ステップS20,S400,S410が実行されることにより、排気水素濃度は基準濃度以下に維持されつつ、発熱量は可能な限り多くされた制御が行われるため、暖機時間を短縮することができる。
以上、説明した第3実施形態によれば、特定セルの枚数としてのポンピング水素セル数Nhを用いて精度良く算出される排気水素濃度Chが基準濃度以下となるように、特定セルの枚数としてのポンピング水素セル数Nhに対する要求発熱量が対応付けられている参照マップを用いて、算出したポンピング水素セル数Nhに対応する発熱量を要求発熱量に設定することで、排気水素濃度Chが基準濃度となる燃料電池10の制御を行うことができる。
D.他の実施形態:
(D1)上記第1実施形態に係る排気水素判定処理では、第1推定水素濃度Caと、第2推定水素濃度Cbとの算出を行い、それぞれを濃度閾値と比較している。これに対し、第1推定水素濃度Caと、第2推定水素濃度Cbとのいずれかの算出を行い、算出したいずれかの濃度が濃度閾値以上である場合に、水素濃度低減処理を実行する処理内容としても良い。これにより、処理のステップを削減し、排気水素判定処理に係る負荷を低減することができる。
(D2)上記第2実施形態に係るセル枚数算出処理は、2枚のセル90を単位として電圧を検出する電圧センサ12が設けられている燃料電池システムにおいて、ポンピング水素セル数を計数する処理である。3枚以上のセル90を単位として電圧を検出する電圧センサ12が設けられている燃料電池システムにおいも、ポンピング水素が発生しているか否かの判断に使用する基準電圧を増やし、第2実施形態と同様の方法にてポンピング水素セル数を計数することができる。例えば、3枚のセル90を単位として電圧を検出する電圧センサ12が含まれる構成の場合には、検出する3枚のセル90にポンピング水素が発生している電圧センサ12を特定するための第1基準電圧の他に、検出する3枚のセル90のうち、2枚のセル90にポンピング水素が発生している電圧センサ12を特性するための基準電圧と、1枚のセル90にポンピング水素が発生している電圧センサ12を特性するための基準電圧と、を用いることにより、ポンピング水素セル数を計数することができる。
(D3)上記第1実施形態では、始動時温度に応じて、異なる補正係数CFが適用される(図5参照)。これに対し、始動時温度によらず、同じ補正係数が適用される構成としてもよい。これにより、処理の負荷を低減することができる。
(D4)上記第2実施形態では、現在温度に応じて、異なる第2電圧閾値Vs2が適用される(図8参照)。これに対し、現在温度によらず、同じ第2電圧閾値Vs2が適用される構成としてもよい。これにより、処理の負荷を低減することができる。
(D5)上記第1実施形態では、水素濃度低減処理において、燃料電池10の動作点が現在の動作点よりも効率の良い高効率動作点に変更され、ポンピング水素の発生量が低減されて、排気水素濃度が低減される。これに対し、水素濃度低減処理において、バイパス管24を流通する空気流量を増加させ、燃料電池10の動作点を変更せずに、水素濃度を低下させる処理が実行されても良い。
(D6)上記第1実施形態における水素濃度低減処理は、例えば、目標電流値を現在の設定値よりも小さくする処理である。この他に、水素濃度低減処理として、総エア流量Vaを増加させ、燃料電池10のカソードから排出されるカソードオフガスを空気により希釈することにより、排気水素濃度Chを低減してもよい。
(D7)上記第3実施形態では、排気水素濃度が基準濃度となる、要求発熱量とポンピング水素セル数Nhとの相関関係が規定されている参照マップを用いて、ポンピング水素セル数Nhに対応する発熱量が決定され、決定された発熱量に応じた動作点が決定される。これに対して、排気水素濃度が基準濃度となる、掃引電流とポンピング水素セル数Nhとの相関関係が規定されるマップを用いて、要求電流量としての掃引電流が決定され、決定された掃引電流に応じた動作点が決定される構成としてもよい。排気水素濃度が基準濃度以下となるように、特定セルの枚数に対する掃引電流が対応付けられている参照マップを用いて、算出した枚数に対応する掃引電流量を要求電流量に設定することで、排気水素濃度が基準濃度となる燃料電池10の制御を行うことができる。
(D8)上記第3実施形態では、基準濃度は、予め定められている。これに対して、例えば、温度などに応じて、基準濃度が可変に設定される構成としてもよい。この基準濃度が可変に設定される場合には、基準濃度毎に、要求発熱量とポンピング水素セル数Nhとの相関関係が規定されている参照マップを用いて、変更後の基準濃度の参照マップを用いて、ポンピング水素セル数Nhに対応する発熱量が決定され、決定された発熱量に応じた動作点が決定される処理内容とするとよい。
(D9)上記第3実施形態では、暖機運転において、総エア流量Vaは固定される。これに対して、総エア流量Vaが可変に設定される構成としてもよい。この総エア流量Vaが可変に設定される場合には、総エア流量Va毎に、ポンピング水素セル数Nhと要求発熱量との予め規定された相関関係を用いることにより、変更後の総エア流量Vaに対応する、要求発熱量を取得し、取得した要求発熱量を目標値として燃料電池10を動作させることにより、排気水素濃度Chを基準濃度以下とすることができる。
(D10)上記第3実施形態では、制御部80は、暖機運転において、燃料電池10を1つの等パワーラインPL上の動作点で制御する。これに対して、目標発電量が可変に設定される構成としてもよい。この目標発電量が可変に設定される構成の場合には、新たな目標発電量を決定し、複数の等パワーラインPLを含む参照マップを用い、参照マップを用いて、新たな目標発熱量と、新たな要求発熱量とに対応する動作点を変更後の動作点に設定する処理内容とするとよい。
(D11)上記第3実施形態では、排気水素濃度制御処理は、暖機運転において実行されるが、排気水素濃度制御処理は、通常運転時において実行されてもよい。例えば、燃料電池システム100が燃料電池システム100の電力源として機能する二次電池を備える場合であって、二次電池の充放電量を制限したい場合などに、燃料電池10を低効率動作点にて動作させる場合に、排気水素濃度制御処理を実施する構成としてもよい。これにより、出力電流を制限し、余剰の電力の発電を抑制しつつ、排気水素濃度Chを基準濃度以下にすることができる。
(D12)上記第3実施形態では、ポンピング水素量Vhは、式(4)を用いて算出される。ポンピング水素量Vhは、式(4)ではなく、第1実施形態と同様に、式(1)にて算出されてもよい。
(D13)上記第3実施形態では、動作点を変更する場合の基準レートは、上昇レートおよび下降レート共に、例えば、12[kw/sec]である。基準レートは、この値に限定されず、また、上昇レートと下降レートとは異なる値であってもよい。
(D14)上記第3実施形態では、エアコンプレッサ23の回転数予め定められた値に固定され、燃料電池システム100へ供給される総エア流量Vaは、予め定められた値に固定される。これに対して、暖機運転において、エアコンプレッサ23の回転数は、変更されてもよい。エアコンプレッサ23の回転数が変更される場合には、総エア流量Vaも変化することになる。エアコンプレッサ23の回転数が変更されて、総エア流量Vaが変更される場合においては、例えば、次の構成を適用すればよい。総エア流量Va毎に、排気水素濃度Chが基準濃度となる、発熱量とポンピング水素セル数Nhとの相関関係を規定するマップを予め記憶装置81に記憶させておく。変更後のエアコンプレッサ23の回転数に応じた総エア流量Vaに対応するマップにて、ポンピング水素セル数Nhに対応する発熱量を要求発熱量に設定する。これにより、排気水素濃度Chが基準濃度となる燃料電池10の制御を行うことができる。
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
10…燃料電池、11…電流センサ、12…電圧センサ、14…温度センサ、20…酸化ガス系回路、21…酸化ガス供給管、22…エアクリーナ、23…エアコンプレッサ、24…バイパス管、25…酸化オフガス排出管、26…酸化ガス供給バルブ、27…バイパスバルブ、28…カソードオフガス排気バルブ、40…燃料ガス系回路、41…燃料ガス供給管、42…燃料ガスタンク、43…主止弁、44…調圧弁、45…インジェクタ、46…燃料排ガス管、47…気液分離器、48…排気排水弁、49…還流管、50…還流ポンプ、52…マフラー、60…冷却系回路、61…冷媒供給管、64…ラジエータ、65…冷媒ポンプ、71…負荷、72…DC/DCコンバータ、80…制御部、81…記憶装置、90…セル、100…燃料電池システム

Claims (9)

  1. セルが積層された燃料電池と、
    1または複数の前記セルを単位として電圧を検出する電圧センサと、
    前記燃料電池の動作点を決定し、前記燃料電池を動作させる制御部であって、前記燃料電池の暖機運転時に基準動作点よりも効率の低い低効率動作点において前記燃料電池を動作させる制御部と、を備え、
    前記制御部は、
    前記暖機運転時に、前記電圧センサの検出電圧が予め定められた第1基準電圧以下である前記セルの総枚数を算出し、前記総枚数を用いて排気水素濃度を算出する燃料電池システム。
  2. 請求項1に記載の燃料電池システムであって、さらに、
    前記燃料電池の温度を検出する温度センサと、
    前記燃料電池の始動時温度毎に前記燃料電池の現在温度に対する補正係数が対応付けられているマップであって、始動時温度が低いほど補正係数の値が大きいマップを記憶する記憶装置と、を備え、
    前記制御部は、
    始動時に前記温度センサから取得した始動時温度を記憶し、前記マップを用いて、前記始動時温度および前記温度センサから取得した前記現在温度に対応する前記補正係数を取得し、
    前記総枚数に前記補正係数を乗じた値を用いて、前記排気水素濃度を算出する燃料電池システム。
  3. 請求項1または2に記載の燃料電池システムであって、
    前記制御部は、
    前記排気水素濃度が、予め定められた基準濃度よりも高い場合、水素濃度低減処理を実行する燃料電池システム。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の燃料電池システムであって、
    前記電圧センサは、
    1枚の前記セルの電圧を検出する第1電圧センサと、
    2枚の前記セルの電圧を検出する第2電圧センサと、を含み、
    前記制御部は、
    前記第1電圧センサの検出電圧が前記第1基準電圧以下である場合、前記第1基準電圧以下である前記セルを1枚と計数し、
    前記第2電圧センサの検出電圧が前記第1基準電圧以下である場合、前記第1基準電圧以下である前記セルを2枚と計数し、
    前記第2電圧センサの検出電圧が前記第1基準電圧より大きく、かつ、前記第1基準電圧よりも大きい予め定められた第2基準電圧以下である場合、前記第1基準電圧以下である前記セルを1枚と計数し、
    前記総枚数を算出する燃料電池システム。
  5. セルが積層された燃料電池と、
    1または複数の前記セルを単位として電圧を検出する電圧センサと、
    積層された前記セルのうちで前記電圧センサの検出電圧が予め定められた第1基準電圧以下である特定セルの枚数を算出し、算出した前記枚数を用いて前記燃料電池を動作させる制御部と、
    排気水素濃度が基準濃度以下となるように、前記特定セルの前記枚数に対する要求発熱量が対応付けられている参照マップであって、前記枚数が多いほど前記要求発熱量が小さい参照マップが記憶されている記憶装置と、を備え、
    前記制御部は、
    前記検出電圧を用いて前記枚数を算出し、前記参照マップを用いて、算出した前記枚数に対応する前記要求発熱量を取得し、取得した前記要求発熱量を目標値として前記燃料電池を動作させる燃料電池システム。
  6. セルが積層された燃料電池と、
    1または複数の前記セルを単位として電圧を検出する電圧センサと、
    積層された前記セルのうちで前記電圧センサの検出電圧が予め定められた第1基準電圧以下である特定セルの枚数を算出し、算出した前記枚数を用いて前記燃料電池を動作させる制御部と、
    排気水素濃度が基準濃度以下となるように、前記特定セルの前記枚数に対する要求電流量が対応付けられている参照マップであって、前記枚数が多いほど前記要求電流量が小さい参照マップが記憶されている記憶装置と、を備え、
    前記制御部は、
    前記検出電圧を用いて前記枚数を算出し、前記参照マップを用いて、算出した前記枚数に対応する前記要求電流量を取得し、取得した前記要求電流量を目標値として前記燃料電池を動作させる燃料電池システム。
  7. 1または複数のセルを単位として電圧を検出する電圧センサを備える燃料電池システムの制御方法であって、
    燃料電池の暖機運転時に基準動作点よりも効率の低い低効率動作点において前記燃料電池を動作させる工程と、
    前記暖機運転時に、前記電圧センサの検出電圧が予め定められた第1基準電圧以下である前記セルの総枚数を算出し、前記総枚数を用いて排気水素濃度を算出する工程と、を備える制御方法。
  8. セルが積層された燃料電池と、1または複数の前記セルを単位として電圧を検出する電圧センサと、を備える燃料電池システムの制御方法であって、
    積層された前記セルのうちで前記電圧センサの検出電圧が予め定められた第1基準電圧以下である特定セルの枚数を算出する工程と、
    前記特定セルの枚数に対する要求発熱量が対応付けられている参照マップであって、前記枚数が多いほど前記要求発熱量が小さい参照マップを用いて、算出した前記枚数に対応する前記要求発熱量を取得し、取得した前記要求発熱量を目標値として前記燃料電池を動作させる工程と、を備える制御方法。
  9. セルが積層された燃料電池と、1または複数の前記セルを単位として電圧を検出する電圧センサと、を備える燃料電池システムの制御方法であって、
    積層された前記セルのうちで前記電圧センサの検出電圧が予め定められた第1基準電圧以下である特定セルの枚数を算出する工程と、
    前記特定セルの枚数に対する要求電流量が対応付けられている参照マップであって、前記枚数が多いほど前記要求電流量が小さい参照マップを用いて、算出した前記枚数に対応する前記要求電流量を取得し、取得した前記要求電流量を目標値として前記燃料電池を動作させる工程と、を備える制御方法。
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