JP2008158470A - 低屈折率の有機層を有する製品 - Google Patents

低屈折率の有機層を有する製品 Download PDF

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Abstract

【課題】耐水性の良好な有機層を有する製品を提供する。
【解決手段】基材と、基材または基材の表面に設けられた少なくとも一層からなる下地層の上に形成された、基材または下地層よりも低屈折率の有機層であって、基材または下地層に対する屈折率差が少なくとも0.1である有機層とを有する製品を対象とする。有機層は、フッ化マグネシウム微粒子、フッ化カルシウム微粒子、およびフッ化ストロンチウム微粒子の少なくともいずれかからなる微粒子成分と、R12 nSiX1 3-nで表される有
機ケイ素化合物(式中、R1は重合可能な反応基を有する有機基であり、R2は炭素数1〜6の炭化水素基であり、X1は加水分解基であり、nは0または1である)とを含む。さ
らに、有機層における微粒子成分の固形分比率が、40〜70重量%である。
【選択図】図1

Description

本発明は、光学レンズ、眼鏡レンズ、あるいは記録媒体などといった、反射防止用の低屈折率の層を有する製品に関するものである。
プラスチック眼鏡レンズなどの光学物品においては、表面反射が生じると、光学系の透過率を低下させ、結像に寄与する光の減少をもたらし、像のコントラストを低下させる。このため、光学物品に反射防止加工を施すことは重要である。
反射防止加工としては、低屈折率の無機層と高屈折率の無機層とを複数層積層させた無機系の反射防止層を形成することが知られている。無機系の反射防止層は、主として、真空蒸着法により形成される。これに対し、最近では、反射防止加工として、基材または下地層の上に、基材または下地層よりも低屈折率の有機層を形成することが検討されている。このように、基材または下地層の上に、基材または下地層よりも低屈折率の有機層を形成することにより、光学物品表面における反射を抑制できる。
有機層(以下、有機系の反射防止層という)の製造方法としては、レンズ生地(レンズ基材)に対して直に、またはプライマー層を介して形成されたハードコート層を下地層として、その上に、有機系の反射防止層形成用組成物を塗布し、その後、硬化させるのが一般的である。反射防止層形成用組成物の塗布方式としては、主として、浸漬方式やスピンコーティング方式が用いられる。
特許文献1には、透明基材上に、湿式法により、シリカ系微粒子と有機ケイ素化合物とからなる反射防止層を形成した光学物品が開示されている。
特開2005−43572号公報
シリカ系微粒子、例えば、中空シリカを使用した有機層は、低屈折率の層を得やすい。しかしながら、中空シリカを含むために、中空シリカを用いた層は、その中に空洞が導入される。このため、水や薬品類が内部に浸透しやすい。したがって、水や薬品類が内部に浸透することを避けようとすると、中空シリカの添加量は、ある程度の量に抑える必要がある。例えば、中空シリカの添加量は、固形分比率で概ね30重量%程度が限界である。この量を超えると、有機層に水滴付着跡が出来易くなる。
このため、中空シリカに代わり、耐水性が良好であって、しかも、有機層の屈折率を低下させる微粒子成分が求められている。
本発明の一態様は、基材と、その基材または下地層の上に形成された、基材または前記基材の表面に設けられた少なくとも一層からなる下地層よりも低屈折率の有機層であって、基材または下地層に対する屈折率差が少なくとも0.1である有機層とを有する製品である。有機層は、フッ化マグネシウム微粒子、フッ化カルシウム微粒子、およびフッ化ストロンチウム微粒子の少なくともいずれかからなる微粒子成分と、R12 nSiX1 3-n
表される有機ケイ素化合物(式中、R1は重合可能な反応基を有する有機基であり、R2は炭素数1〜6の炭化水素基であり、X1は加水分解基であり、nは0または1である)と
を含み、微粒子成分の固形分比率は、40〜70重量%である。
有機層に含まれる微粒子成分として、フッ化マグネシウム微粒子、フッ化カルシウム微粒子、およびフッ化ストロンチウム微粒子の少なくともいずれかを使用した場合、中空シリカほど少量では、所望の値にまで低屈折率化させることは難しい。しかしながら、その反面、フッ化マグネシウム微粒子、フッ化カルシウム微粒子、フッ化ストロンチウム微粒子はいずれも、大量に使用しても、有機層の耐水性などに悪影響が出難いという特長がある。したがって、フッ化マグネシウム微粒子、フッ化カルシウム微粒子、フッ化ストロンチウム微粒子の少なくともいずれかの使用量を増やすことにより、耐水性の低下を抑制しつつ、有機層の低屈折率化を図ることができる。しかも、有機層中の無機粒子含有量が増えるので、有機層の硬さ(膜の硬さ)が向上するという効果も得られる。
微粒子成分は、フッ化マグネシウム微粒子、フッ化カルシウム微粒子、およびフッ化ストロンチウム微粒子の少なくともいずれかのみに限定されるものではない。しかしながら、耐水性を向上させるためには、微粒子成分は、基本的にはフッ化マグネシウム微粒子、フッ化カルシウム微粒子、およびフッ化ストロンチウム微粒子の少なくともいずれかのみからなり、他の成分、例えば、中空シリカなどのシリカ系微粒子を含まないことが好ましい。微粒子成分としては、フッ化マグネシウム微粒子、フッ化カルシウム微粒子、またはフッ化ストロンチウム微粒子のうちの1種類を含むものを用いてもよく、また、2種類以上を含むものを用いてもよい。
微粒子成分(フッ化マグネシウム微粒子、フッ化カルシウム微粒子、およびフッ化ストロンチウム微粒子の少なくともいずれか(2種類以上の場合はトータル量))は、有機層において固形分比率で、40〜70重量%であることが好ましい。このようにすることにより、耐水性が高く、水跡残りも無く、耐アルカリ性および耐擦傷性が良好であり、しかも、反射防止効果も十分な、低屈折率の有機層を得ることができる。微粒子成分(フッ化マグネシウム微粒子、フッ化カルシウム微粒子、およびフッ化ストロンチウム微粒子の少なくともいずれか(2種類以上の場合はトータル量))の固形分比率が40重量%未満であると、耐アルカリ性および耐擦傷性が劣るおそれがある。一方、微粒子成分(フッ化マグネシウム微粒子、フッ化カルシウム微粒子、およびフッ化ストロンチウム微粒子の少なくともいずれか(2種類以上の場合はトータル量))の固形分比率が70重量%を超えると、耐擦傷性が劣る。しかも、耐アルカリ性が劣るおそれがある。
微粒子成分(フッ化マグネシウム微粒子、フッ化カルシウム微粒子、およびフッ化ストロンチウム微粒子の少なくともいずれか(2種類以上の場合はトータル量))は、さらに好ましくは、固形分比率で、45〜60重量%であるとよい。このようにすることにより、耐水性が高く、水跡残りも無く、耐アルカリ性および耐擦傷性が非常に良好であり、しかも、反射防止効果にも優れた、低屈折率の有機層を得ることができる。
12 nSiX1 3-nで表される有機ケイ素化合物中のR1は、重合可能な反応基をもつ有機基であり、具体例としては、ビニル基、アリル基、アクリル基、メタクリル基、エポキシ基、メルカプト基、シアノ基、アミノ基等が挙げられる。R2は、炭素数1〜6の炭化
水素基であり、具体例としては、メチル基、エチル基、ブチル基、ビニル基、フェニル基等が挙げられる。また、X1は、加水分解可能な官能基であり、具体例は、メトキシ基、
エトキシ基、メトキシエトキシ基等のアルコキシ基、クロロ基、ブロモ基等のハロゲン基、アシルオキシ基等が挙げられる。
12 nSiX1 3-nで表される有機ケイ素化合物の具体例としては、テトラメトキシシ
ラン、ビニルトリアルコキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリ(β−メトキシ−エトシキ)シラン、アリルトリアルコキシシラン、アクリルオキシプロピルトリアルコキシシラン、メタクリルオキシプロピルトリアルコキシシラン、メタクリルオキシプロ
ピルジアルコキシメチルシラン、γ−グリシドオキシプロピルトリアルコキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−エチルトリアルコキシシラン、メルカプトプロピルトリアルコキシシラン、γ−アミノプロピルトリアルコキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジアルコキシシラン等が挙げられる。R12 nSi
1 3-nで表される有機ケイ素化合物としては、これらが2種以上混合したものを用いてもかまわない。また、加水分解を行ってから用いた方が、より有効である。
有機層には、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂等の各種樹脂や、これらの樹脂原料となるメタアクリレート類、アクリレート類、エポキシ類、ビニル類等の各種モノマーを添加することも可能である。これらの添加により、基材または下地層との密着性の向上や、耐擦傷性の向上が図れる。
さらに、有機層には、上記成分の他に、必要に応じて、少量の硬化触媒、界面活性剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、ヒンダートアミン・ヒンダートフェノール等の光安定剤、分散染料・油溶染料・蛍光染料・顔料等を添加し、塗布性の向上、耐候性の向上、性能の付加を図ることもできる。
低屈折率の有機層を形成するための有機層形成用組成物(低屈折率層用のコーティング組成物)は、必要に応じ、溶剤に希釈して用いることができる。溶剤としては、水、アルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類、芳香族類等の溶剤を用いることができる。低屈折率の有機層の成膜方法としては、例えば、湿式法が挙げられる。湿式法としては、具体的には、ディッピング法、スピンコート法、スプレー法、フロー法などの公知の方法を用いることができる。
この有機層を有する製品において、基材の上に有機層が形成されている場合、有機層は基材よりも低屈折率であり、有機層と基材との屈折率差は少なくとも0.1である。また、この有機層を有する製品において、下地層の上に有機層が形成されている場合、有機層は下地層よりも低屈折率であり、有機層と下地層との屈折率差は少なくとも0.1である。すなわち、有機層が反射防止層として機能するためには、有機層の方が基材または下地層よりも屈折率が低く、有機層と、基材または下地層との屈折率差が、0.10以上である必要がある。有機層と、基材または下地層との屈折率差は、好ましくは0.15以上、さらに好ましくは0.20以上である。このようにすることにより、基材または下地層(高屈折率層)と有機層(低屈折率層)との界面における反射を抑制できる。
有機層は、膜厚を50nm〜150nmとすることが好ましい。この範囲より厚すぎても薄すぎても十分な反射防止効果が得られ難い。なお、下地層が設けられている場合、膜厚は、0.05μm〜30μmであることが好ましい。0.05μm未満では、下地層としての基本性能の実現が難しく、30μmを越えると、表面の平滑性が損なわれたり、光学歪みが発生する場合がある。さらに、基材の上に、下地層および有機層が積層されている場合、下地層における干渉縞を抑制するためには、下地層の屈折率は、基材の屈折率に対して±0.3程度とすることが好ましい。
下地層の上に有機層が形成されている場合、下地層は、例えば、ルチル型酸化チタン微粒子と、R3SiX2 3(式中、R3は重合可能な反応基を有する炭素数が3以上の有機基であり、X2は加水分解性基である)で表される有機ケイ素化合物とを含むことが好ましい
。ルチル型酸化チタン微粒子としては、平均粒径が1nm〜200nmのもの、さらに好ましくは、平均粒径が5nm〜30nmのものを用いることが好ましい。酸化チタンは、下地層の屈折率を高める効果が高い。中でも、ルチル型酸化チタンは、アナターゼ型酸化チタンと比べて、光活性が低く、したがって、紫外線に晒されても安定している。したが
って、下地層にルチル型酸化チタン微粒子を含有させることにより、下地層自体の耐候性を向上させることができる。
3SiX2 3で表される有機ケイ素化合物は、下地層との間のバインダーとして機能す
る。R3SiX2 3で表される化合物中のR3は、重合可能な反応基を有する炭素数が3以上の有機基であり、具体例としては、アリル基、アクリル基、メタクリル基、1−メチルビニル基、エポキシ基、メルカプト基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基等の重合可能な反応基が挙げられる。また、X2は、加水分解可能な官能基であり、具体例としては、メ
トキシ基、エトキシ基、メトキシエトキシ基等のアルコキシ基、もしくは、クロロ基、ブロモ基等のハロゲン基、もしくは、アシルオキシ基等が挙げられる。この加水分解性基X2の数は、3個で、3次元架橋構造を形成し得るものである必要がある。加水分解性基数
が2個以下の場合は、下地層の耐摩耗性が不十分となる場合がある。
3SiX2 3で表される有機ケイ素化合物で表される有機ケイ素化合物の具体例として
は、アリルトリアルコキシシラン、アクリルオキシプロピルトリアルコキシシラン、メタクリルオキシプロピルトリアルコキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリアルコキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−エチルトリアルコキシシラン、メルカプトプロピルトリアルコキシシラン、γ−アミノプロピルトリアルコキシシラン等が挙げられる。R3SiX2 3で表される有機ケイ素化合物は、2種以上を混合して用いてもよ
い。また、R3SiX2 3で表される有機ケイ素化合物は、加水分解を行ってから用いた方
がより有効である。
また、下地層には、ルチル型酸化チタン微粒子の他に、または、ルチル型酸化チタン微粒子と置換して、Si(ケイ素)、Al(アルミニウム)、Sn(スズ)、Sb(アンチモン)、Ta(タンタル)、Ce(セリウム)、La(ランタン)、Fe(鉄)、Zn(亜鉛)、W(タングステン)、Zr(ジルコニウム)、In(インジウム)の元素群から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物からなる微粒子、および/または上記元素群から選ばれる少なくとも2種の金属酸化物からなる複合酸化物微粒子を含むようにしてもよい。上述した金属酸化物微粒子(上記元素群から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物からなる微粒子および/または上記元素群から選ばれる少なくとも2種の金属酸化物からなる複合酸化物微粒子)としては、平均粒径が1nm〜200nmのものを用いることが好ましい。これらの金属酸化物微粒子を下地層に含有させることにより、酸化チタンと同様、下地層の屈折率を高めることができる。しかも、これらの金属酸化物微粒子は、アナターゼ型酸化チタンのような光活性は持たず、紫外線に晒されても安定している。したがって、下地層にこれらの金属酸化物微粒子を含有させることにより、下地層自体の耐久性を向上させることができる。
したがって、ルチル型酸化チタン微粒子および/または上述のような金属酸化物微粒子(上記元素群から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物からなる微粒子および/または上記元素群から選ばれる少なくとも2種の金属酸化物からなる複合酸化物微粒子)を下地層に含有させることにより、下地層の上に有機層を形成しても、下地層の劣化を防止でき、十分な耐候性と、耐水性、すなわち、多湿環境における耐久性とが得られる。さらに下地層と有機層との組合せのメリット、すなわち、熱膨張率を近くすることができるので、剥離が少なく、耐熱性(高温の耐久性)が高いというメリットも得られる。また、ルチル型酸化チタン微粒子および/または上述のような金属酸化物微粒子は、光活性が低いまたは無いため、有機層を分解し難い。
さらに、下地層を形成する下地層形成用組成物には、分散安定性を高めるために、ルチル型酸化チタン微粒子および/または上述のような金属酸化物微粒子の表面を、有機ケイ素化合物および/またはアミン系化合物で処理したものを用いることも可能である。
この際に用いられる有機ケイ素化合物としては、単官能性シラン、二官能性シラン、三官能性シラン、四官能性シラン等が挙げられる。処理に際しては、加水分解性基を未処理で行っても、あるいは加水分解して行ってもよい。また処理後は、加水分解性基がルチル型酸化チタン微粒子および/または上述のような金属酸化物微粒子の−OH基と反応した状態が好ましいが、一部残存した状態でも安定性には何ら問題がない。
また、アミン系化合物としては、アンモニウムまたはエチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミン、n−プロピルアミン等のアルキルアミン、ベンジルアミン等のアラルキルアミン、ピペリジン等の脂環式アミン、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミンが挙げられる。
有機ケイ素化合物および/またはアミン化合物の添加量は、無機酸化物微粒子(ルチル型酸化チタン微粒子および/または上述のような金属酸化物微粒子(上記元素群から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物からなる微粒子および/または上記元素群から選ばれる少なくとも2種の金属酸化物からなる複合酸化物微粒子)を含む)の重量に対して1〜15%程度の範囲内で加えることが好ましい。
下地層形成用組成物では、ルチル型酸化チタン微粒子および/または上述のような金属酸化物微粒子(少なくとも1種からなる金属酸化物微粒子または少なくとも2種からなる複合酸化物微粒子)の配合量は、固形分全体に対し5〜80重量%、特に10〜50重量%の範囲とすることが望ましい。配合量が少なすぎると、下地層の耐摩耗性が不十分となる場合がある。また、配合量が多すぎると、下地層にクラックが生じる場合がある。
本発明に含まれる製品は、さらに、有機層の上に形成された防汚層を有することが望ましい。防汚層は撥水性であり、耐水性および耐アルカリ性をさらに向上できる。
以下では、眼鏡用のプラスチックレンズを例にとって説明する。この眼鏡用のプラスチックレンズでは、プラスチックレンズ基材の上に、下地層(プライマー層およびハードコート層)と有機層とが形成されている。
(実施例1−1)
後述する反射防止層に対して高屈折率の層であるハードコート層とプライマー層とを形成する。
(プライマー層を形成する工程)
プライマー層を塗布により形成するためのコーティング液(プライマー層形成用塗布液)P1を調製した。まず、メタノール626.2gと、市販の水性エマルジョンポリウレタン(日華化学(株)製、商品名「ネオステッカー700」、固形分濃度37重量%)221.8gとを混合した。その後、メタノール分散二酸化チタン−五酸化アンチモン−二酸化ケイ素複合微粒子ゾル(触媒化成工業(株)製、固形分濃度20重量%)309.6gと、シリコーン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名「L−7604」)0.25gとを混合した。そして十分に攪拌して、プライマー層形成用塗布液P1とした。
このプライマー層形成用塗布液P1を、屈折率1.67のプラスチックレンズ基材(セイコーエプソン(株)製、商品名「セイコースーパーソブリン(SSV)」)上に、浸漬法(引き上げ速度15cm/分)にて塗布し、100℃で20分間、加熱・硬化処理して、レンズ基材上に、膜厚1.0μm、屈折率1.67のプライマー層を形成した。
(ハードコート層を形成する工程)
ハードコート層を塗布により形成するためのコーティング液(ハードコート層形成用塗布液)HC1を調製した。まず、メタノール78gと、ブチルセロソルブ100.3gと、メタノール分散ルチル型酸化チタン複合ゾル(触媒化成工業(株)製、固形分濃度20重量%、商品名「オプトレイク1120Z」)1380.9gと、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン289.9gとを混合した。この混合液に、0.05N塩酸水溶液80.1gを攪拌しながら滴下し、さらに4時間攪拌後、一昼夜熟成させた。この液に、過塩素酸マグネシウム4.4gと、シリコーン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名「L−7001」)0.6gと、ヒンダードアミン系光安定剤(三共(株)製、商品名「サノールLS−770」)2.3gとを添加した。さらに、4時間攪拌した後、一昼夜熟成させて、ハードコート層形成用塗布液HC1とした。
このハードコート層形成用塗布液HC1を、浸漬法(引き上げ速度25cm/分)により、プライマー層が形成されたレンズ基材に塗布し、さらに、80℃で30分間、加熱・硬化処理し、さらに、120℃で180分間の加熱・硬化処理した。このようにしてプライマー層上に、膜厚2.2μm、屈折率1.67のハードコート層を形成した。
(低屈折率の有機層を形成する工程)
次に、上記の下地層に対して低屈折率の有機層(有機系反射防止層)を形成した。
有機層を塗布により形成するためのコーティング液(有機層形成用塗布液)AR1−1を調製した。まず、R12 nSiX1 3-nで表される有機ケイ素化合物の1つであるγ−グ
リシドキシプロピルトリメトキシシラン3.4gに0.05N塩酸水溶液0.9gを攪拌しながら滴下し、さらに4時間攪拌後、一昼夜熟成させた。この液に、フッ化マグネシウムゾル(シーアイ化成(株)製、固形分濃度10重量%)16.0gとブチルセロソルブ79.4gと過塩素酸マグネシウム0.02gとシリコーン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名「L−7001」)0.03gとを添加した。さらに4時間攪拌した後、一昼夜熟成させて、有機層形成用塗布液AR1−1とした。この有機層形成用塗布液AR1−1においては、フッ化マグネシウム微粒子の含有量は固形分比率で40重量%である。
この有機層形成用塗布液AR1−1を、浸漬法(引き上げ速度15cm/分)により、プライマー層およびハードコート層が形成されたレンズ基材に塗布した。80℃で30分間加熱・硬化処理し、さらに120℃で120分間の加熱・硬化処理をした。このようにして、ハードコート層上に、膜厚90nm、屈折率1.44の有機層を形成した。
以上のようにして、プラスチックレンズ基材の上に、プライマー層、ハードコート層、および有機層が形成された眼鏡用のプラスチックレンズを得た。この眼鏡用のプラスチックレンズにおいては、有機層中において、フッ化マグネシウム微粒子が、固形分比率で40重量%含まれている。
(実施例1−2)
有機層形成用塗布液として、以下に説明するコーティング液AR1−2を用いた以外は、実施例1−1と同様の方法で、眼鏡用のプラスチックレンズを得た。
有機層を塗布により形成するためのコーティング液(有機層形成用塗布液)AR1−2を調製した。まず、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン3.3gに0.05N塩酸水溶液0.9gを攪拌しながら滴下し、さらに4時間攪拌後、一昼夜熟成させた。この液に、フッ化マグネシウムゾル(シーアイ化成(株)製、固形分濃度10重量%)16.8gとブチルセロソルブ78.7gと過塩素酸マグネシウム0.02gとシリコーン系
界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名「L−7001」)0.03gとを添加した。さらに4時間攪拌した後、一昼夜熟成させて、有機層形成用塗布液AR1−2とした。この有機層形成用塗布液AR1−2においては、フッ化マグネシウム微粒子の含有量は固形分比率で42重量%である。
この有機層形成用塗布液AR1−2を、浸漬法(引き上げ速度15cm/分)により、プライマー層およびハードコート層が形成されたレンズ基材に塗布した。80℃で30分間加熱・硬化処理し、さらに120℃で120分間の加熱・硬化処理をした。このようにして、ハードコート層上に、膜厚90nm、屈折率1.44の有機層を形成した。この眼鏡用のプラスチックレンズにおいては、有機層にはフッ化マグネシウム微粒子が、固形分比率で42重量%含まれている。
(実施例1−3)
有機層形成用塗布液として、以下に説明するコーティング液AR1−3を用いた以外は、実施例1−1と同様の方法で、眼鏡用のプラスチックレンズを得た。
有機層を塗布により形成するためのコーティング液(有機層形成用塗布液)AR1−3を調製した。まず、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン3.3gに0.05N塩酸水溶液0.9gを攪拌しながら滴下し、さらに4時間攪拌後、一昼夜熟成させた。この液に、フッ化マグネシウムゾル(シーアイ化成(株)製、固形分濃度10重量%)16.8gとブチルセロソルブ78.7gとグリセロールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス(株)製、商品名「デナコールEX−313」)0.4gと過塩素酸マグネシウム0.02gとシリコーン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名「L−7001」)0.03gとを添加した。さらに4時間攪拌した後、一昼夜熟成させて、有機層形成用塗布液AR1−3とした。この有機層形成用塗布液AR1−3においては、フッ化マグネシウム微粒子の含有量は固形分比率で42重量%である。
この有機層形成用塗布液AR1−3を、浸漬法(引き上げ速度15cm/分)により、プライマー層およびハードコート層が形成されたレンズ基材に塗布した。80℃で30分間加熱・硬化処理し、さらに125℃で120分間の加熱・硬化処理をした。このようにして、ハードコート層上に、膜厚90nm、屈折率1.44の有機層を形成した。この眼鏡用のプラスチックレンズにおいては、有機層にはフッ化マグネシウム微粒子が、固形分比率で42重量%含まれている。
(実施例1−4)
有機層形成用塗布液として、以下に説明するコーティング液AR1−4を用いた以外は、実施例1−1と同様の方法で、眼鏡用のプラスチックレンズを得た。
有機層を塗布により形成するためのコーティング液(有機層形成用塗布液)AR1−4を調製した。まず、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン3.1gに0.05N塩酸水溶液0.9gを攪拌しながら滴下し、さらに4時間攪拌後、一昼夜熟成させた。この液に、フッ化マグネシウムゾル(シーアイ化成(株)製、固形分濃度10重量%)18.0gとブチルセロソルブ77.7gと過塩素酸マグネシウム0.02gとシリコーン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名「L−7001」)0.03gとを添加した。さらに4時間攪拌した後、一昼夜熟成させて、有機層形成用塗布液AR1−4とした。この有機層形成用塗布液AR1−4においては、フッ化マグネシウム微粒子の含有量は固形分比率で45重量%である。
この有機層形成用塗布液AR1−4を、浸漬法(引き上げ速度15cm/分)により、プライマー層およびハードコート層が形成されたレンズ基材に塗布した。80℃で30分
間加熱・硬化処理し、さらに120℃で120分間の加熱・硬化処理をした。このようにして、ハードコート層上に、膜厚90nm、屈折率1.43の有機層を形成した。この眼鏡用のプラスチックレンズにおいては、有機層にはフッ化マグネシウム微粒子が、固形分比率で45重量%含まれている。
(実施例1−5)
有機層形成用塗布液として、以下に説明するコーティング液AR1−5を用いた以外は、実施例1−1と同様の方法で、眼鏡用のプラスチックレンズを得た。
有機層を塗布により形成するためのコーティング液(有機層形成用塗布液)AR1−5を調製した。まず、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン2.8gに0.05N塩酸水溶液0.8gを攪拌しながら滴下し、さらに4時間攪拌後、一昼夜熟成させた。この液に、フッ化マグネシウムゾル(シーアイ化成(株)製、固形分濃度10重量%)20.0gとブチルセロソルブ76.1gと過塩素酸マグネシウム0.02gとシリコーン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名「L−7001」)0.03gとを添加した。さらに4時間攪拌した後、一昼夜熟成させて、有機層形成用塗布液AR1−5とした。この有機層形成用塗布液AR1−5においては、フッ化マグネシウム微粒子の含有量は固形分比率で50重量%である。
この有機層形成用塗布液AR1−5を、浸漬法(引き上げ速度15cm/分)により、プライマー層およびハードコート層が形成されたレンズ基材に塗布した。80℃で30分間加熱・硬化処理し、さらに120℃で120分間の加熱・硬化処理をした。このようにして、ハードコート層上に、膜厚90nm、屈折率1.43の有機層を形成した。この眼鏡用のプラスチックレンズにおいては、有機層にはフッ化マグネシウム微粒子が、固形分比率で50重量%含まれている。
(実施例1−6)
有機層形成用塗布液として、以下に説明するコーティング液AR1−6を用いた以外は、実施例1−1と同様の方法で、眼鏡用のプラスチックレンズを得た。
有機層を塗布により形成するためのコーティング液(有機層形成用塗布液)AR1−6を調製した。まず、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン2.3gに0.05N塩酸水溶液0.6gを攪拌しながら滴下し、さらに4時間攪拌後、一昼夜熟成させた。この液にフッ化マグネシウムゾル(シーアイ化成(株)製、固形分濃度10重量%)20.0gとブチルセロソルブ76.4gとグリセロールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス(株)製、商品名「デナコールEX−313」)0.4gと過塩素酸マグネシウム0.02gとシリコーン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名「L−7001」)0.03gとを添加した。さらに4時間攪拌した後、一昼夜熟成させて、有機層形成用塗布液AR1−6とした。この有機層形成用塗布液AR1−6においては、フッ化マグネシウム微粒子の含有量は固形分比率で50重量%である。
この有機層形成用塗布液AR1−6を、浸漬法(引き上げ速度15cm/分)により、プライマー層およびハードコート層が形成されたレンズ基材に塗布した。80℃で30分間加熱・硬化処理し、さらに125℃で120分間の加熱・硬化処理をした。このようにして、ハードコート層上に、膜厚90nm、屈折率1.43の有機層を形成した。この眼鏡用のプラスチックレンズにおいては、有機層にはフッ化マグネシウム微粒子が、固形分比率で50重量%含まれている。
(実施例1−7)
有機層形成用塗布液として、以下に説明するコーティング液AR1−7を用いた以外は
、実施例1−1と同様の方法で、眼鏡用のプラスチックレンズを得た。
有機層を塗布により形成するためのコーティング液(有機層形成用塗布液)AR1−7を調製した。まず、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン2.3gに0.05N塩酸水溶液0.6gを攪拌しながら滴下し、さらに4時間攪拌後、一昼夜熟成させた。この液に、フッ化マグネシウムゾル(シーアイ化成(株)製、固形分濃度10重量%)24.0gとブチルセロソルブ72.8gと過塩素酸マグネシウム0.01gとシリコーン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名「L−7001」)0.03gとを添加した。さらに4時間攪拌した後、一昼夜熟成させて、有機層形成用塗布液AR1−7とした。この有機層形成用塗布液AR1−7においては、フッ化マグネシウム微粒子の含有量は固形分比率で60重量%である。
この有機層形成用塗布液AR1−7を、浸漬法(引き上げ速度15cm/分)により、プライマー層およびハードコート層が形成されたレンズ基材に塗布した。80℃で30分間加熱・硬化処理し、さらに120℃で120分間の加熱・硬化処理をした。このようにして、ハードコート層上に、膜厚90nm、屈折率1.42の有機層を形成した。この眼鏡用のプラスチックレンズにおいては、有機層にはフッ化マグネシウム微粒子が、固形分比率で60重量%含まれている。
(実施例1−8)
有機層形成用塗布液として、以下に説明するコーティング液AR1−8を用いた以外は、実施例1−1と同様の方法で、眼鏡用のプラスチックレンズを得た。
有機層を塗布により形成するためのコーティング液(有機層形成用塗布液)AR1−8を調製した。まず、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン2.1gに0.05N塩酸水溶液0.6gを攪拌しながら滴下し、さらに4時間攪拌後、一昼夜熟成させた。この液に、フッ化マグネシウムゾル(シーアイ化成(株)製、固形分濃度10重量%)24.8gとブチルセロソルブ72.1gと過塩素酸マグネシウム0.01gとシリコーン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名「L−7001」)0.03gとを添加した。さらに4時間攪拌した後、一昼夜熟成させて、有機層形成用塗布液AR1−8とした。この有機層形成用塗布液AR1−8においては、フッ化マグネシウム微粒子の含有量は固形分比率で62重量%である。
この有機層形成用塗布液AR1−8を、浸漬法(引き上げ速度15cm/分)により、プライマー層およびハードコート層が形成されたレンズ基材に塗布した。80℃で30分間加熱・硬化処理し、さらに120℃で120分間の加熱・硬化処理をした。このようにして、ハードコート層上に、膜厚90nm、屈折率1.42の有機層を形成した。この眼鏡用のプラスチックレンズにおいては、有機層にはフッ化マグネシウム微粒子が、固形分比率で62重量%含まれている。
(実施例1−9)
有機層形成用塗布液として、以下に説明するコーティング液AR1−9を用いた以外は、実施例1−1と同様の方法で、眼鏡用のプラスチックレンズを得た。
有機層を塗布により形成するためのコーティング液(有機層形成用塗布液)AR1−9を調製した。まず、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン1.9gに0.05N塩酸水溶液0.5gを攪拌しながら滴下し、さらに4時間攪拌後、一昼夜熟成させた。この液に、フッ化マグネシウムゾル(シーアイ化成(株)製、固形分濃度10重量%)26.0gとブチルセロソルブ71.2gと過塩素酸マグネシウム0.01gとシリコーン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名「L−7001」)0.03gとを添加した
。さらに4時間攪拌した後、一昼夜熟成させて、有機層形成用塗布液AR1−9とした。この有機層形成用塗布液AR1−9においては、フッ化マグネシウム微粒子の含有量は固形分比率で65重量%である。
この有機層形成用塗布液AR1−9を、浸漬法(引き上げ速度15cm/分)により、プライマー層およびハードコート層が形成されたレンズ基材に塗布した。80℃で30分間加熱・硬化処理し、さらに120℃で120分間の加熱・硬化処理をした。このようにして、ハードコート層上に、膜厚90nm、屈折率1.41の有機層を形成した。この眼鏡用のプラスチックレンズにおいては、有機層にはフッ化マグネシウム微粒子が、固形分比率で65重量%含まれている。
(実施例1−10)
有機層形成用塗布液として、以下に説明するコーティング液AR1−10を用いた以外は、実施例1−1と同様の方法で、眼鏡用のプラスチックレンズを得た。
有機層を塗布により形成するためのコーティング液(有機層形成用塗布液)AR1−10を調製した。まず、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン1.7gに0.05N塩酸水溶液0.5gを攪拌しながら滴下し、さらに4時間攪拌後、一昼夜熟成させた。この液に、フッ化マグネシウムゾル(シーアイ化成(株)製、固形分濃度10重量%)28.0gとブチルセロソルブ69.5gと過塩素酸マグネシウム0.01gとシリコーン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名「L−7001」)0.03gとを添加した。さらに4時間攪拌した後、一昼夜熟成させて、有機層形成用塗布液AR1−10とした。この有機層形成用塗布液AR1−10においては、フッ化マグネシウム微粒子の含有量は固形分比率で70重量%である。
この有機層形成用塗布液AR1−10を、浸漬法(引き上げ速度15cm/分)により、プライマー層およびハードコート層が形成されたレンズ基材に塗布した。80℃で30分間加熱・硬化処理し、さらに120℃で120分間の加熱・硬化処理をした。このようにして、ハードコート層上に、膜厚90nm、屈折率1.41の有機層を形成した。この眼鏡用のプラスチックレンズにおいては、有機層にはフッ化マグネシウム微粒子が、固形分比率で70重量%含まれている。
(実施例1−11)
実施例1−4で形成された、低屈折率の有機層の表面に防汚処理を行った(実施例1−4で形成された、低屈折率の有機層の表面に防汚層を形成した)。含フッ素シラン化合物(信越化学工業(株)製、商品名「KY-130」)をパーフルオロヘキサンに希釈して
0.2%溶液を調製し、防汚層を形成するためのディッピング用液(防汚層形成用処理液、防汚層形成用塗布液)とした。この防汚層形成用処理液に、プライマー層、ハードコート層および有機層が形成されたレンズ基材を浸漬して、1分間保持した後、150mm/minにて引き上げ、防汚層形成用処理液を塗布した。その後、溶媒除去工程として、防汚層形成用処理液が塗布されたレンズ基材を、温度を60℃、相対湿度を20%に設定した加熱炉に投入し、10分間保持した。引き続き、アニール工程として、温度を60℃、相対湿度を60%に設定した恒温恒湿槽に投入し、2時間保持することで、有機層の上に防汚層を形成した。この眼鏡用のプラスチックレンズにおいては、有機層にはフッ化マグネシウム微粒子が、固形分比率で45重量%含まれ、その有機層の上に、さらに防汚層が形成されている。
(比較例1−1)
有機層形成用塗布液として、以下に説明するコーティング液ARh1−1を用いた以外は、実施例1−1と同様の方法で、眼鏡用のプラスチックレンズを得た。
有機層を塗布により形成するためのコーティング液(有機層形成用塗布液)ARh1−1を調製した。まず、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン3.5gに0.05N塩酸水溶液1.0gを攪拌しながら滴下し、さらに4時間攪拌後、一昼夜熟成させた。この液に、フッ化マグネシウムゾル(シーアイ化成(株)製、固形分濃度10重量%)15.2gとブチルセロソルブ80.0gと過塩素酸マグネシウム0.02gとシリコーン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名「L−7001」)0.03gとを添加した。さらに4時間攪拌した後、一昼夜熟成させて、有機層形成用塗布液ARh1−1とした。この有機層形成用塗布液ARh1−1においては、フッ化マグネシウム微粒子の含有量は固形分比率で38重量%である。
この有機層形成用塗布液ARh1−1を、浸漬法(引き上げ速度15cm/分)により、プライマー層およびハードコート層が形成されたレンズ基材に塗布した。80℃で30分間加熱・硬化処理し、さらに120℃で120分間の加熱・硬化処理をした。このようにして、ハードコート層上に、膜厚90nm、屈折率1.44の有機層を形成した。この眼鏡用のプラスチックレンズにおいては、有機層にはフッ化マグネシウム微粒子が、固形分比率で38重量%含まれている。
(比較例1−2)
有機層形成用塗布液として、以下に説明するコーティング液ARh1−2を用いた以外は、実施例1−1と同様の方法で、眼鏡用のプラスチックレンズを得た。
有機層を塗布により形成するためのコーティング液(有機層形成用塗布液)ARh1−2を調製した。まず、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン1.6gに0.05N塩酸水溶液0.4gを攪拌しながら滴下し、さらに4時間攪拌後、一昼夜熟成させた。この液に、フッ化マグネシウムゾル(シーアイ化成(株)製、固形分濃度10重量%)28.8gとブチルセロソルブ68.9gと過塩素酸マグネシウム0.01gとシリコーン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名「L−7001」)0.03gとを添加した。さらに4時間攪拌した後、一昼夜熟成させて、有機層形成用塗布液ARh1−2とした。この有機層形成用塗布液ARh1−2においては、フッ化マグネシウム微粒子の含有量は固形分比率で72重量%である。
この有機層形成用塗布液ARh1−2を、浸漬法(引き上げ速度15cm/分)により、プライマー層およびハードコート層が形成されたレンズ基材に塗布した。80℃で30分間加熱・硬化処理し、さらに120℃で120分間の加熱・硬化処理をした。このようにして、ハードコート層上に、膜厚90nm、屈折率1.41の有機層を形成した。この眼鏡用のプラスチックレンズにおいては、有機層にはフッ化マグネシウム微粒子が、固形分比率で72重量%含まれている。
(比較例1−3)
有機層形成用塗布液として、以下に説明するコーティング液ARh1−3を用いた以外は、実施例1−1と同様の方法で、眼鏡用のプラスチックレンズを得た。
有機層を塗布により形成するためのコーティング液(有機層形成用塗布液)ARh1−3を調製した。まず、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン1.5gに0.05N塩酸水溶液0.4gを攪拌しながら滴下し、さらに4時間攪拌後、一昼夜熟成させた。この液に、フッ化マグネシウムゾル(シーアイ化成(株)製、固形分濃度10重量%)29.1gとブチルセロソルブ68.6gと過塩素酸マグネシウム0.01gとシリコーン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名「L−7001」)0.03gとを添加した。さらに4時間攪拌した後、一昼夜熟成させて、有機層形成用塗布液ARh1−3とし
た。この有機層形成用塗布液ARh1−3においては、フッ化マグネシウム微粒子の含有量は固形分比率で80重量%である。
この有機層形成用塗布液ARh1−3を、浸漬法(引き上げ速度15cm/分)により、プライマー層およびハードコート層が形成されたレンズ基材に塗布した。80℃で30分間加熱・硬化処理し、さらに120℃で120分間の加熱・硬化処理をした。このようにして、ハードコート層上に、膜厚90nm、屈折率1.40の有機層を形成した。この眼鏡用のプラスチックレンズにおいては、有機層にはフッ化マグネシウム微粒子が、固形分比率で80重量%含まれている。
(比較例1−4)
有機層形成用塗布液として、以下に説明するコーティング液ARh1−4を用いた以外は、実施例1−1と同様の方法で、眼鏡用のプラスチックレンズを得た。
有機層を塗布により形成するためのコーティング液(有機層形成用塗布液)ARh1−4を調製した。まず、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン3.4gに0.05N塩酸水溶液0.9gを攪拌しながら滴下し、さらに4時間攪拌後、一昼夜熟成させた。この液に、中空シリカゾル(触媒化成工業(株)製、固形分濃度20重量%)5.3gとブチルセロソルブ90.0gと過塩素酸マグネシウム0.02gとシリコーン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名「L−7001」)0.03gとを添加した。さらに4時間攪拌した後、一昼夜熟成させて、有機層形成用塗布液ARh1−4とした。この有機層形成用塗布液ARh1−4においては、中空シリカ微粒子の含有量は固形分比率で40重量%であり、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム微粒子、およびフッ化ストロンチウム微粒子は、いずれも含まない。
この有機層形成用塗布液ARh1−4を、浸漬法(引き上げ速度15cm/分)により、プライマー層およびハードコート層が形成されたレンズ基材に塗布した。80℃で30分間加熱・硬化処理し、さらに120℃で120分間の加熱・硬化処理をした。このようにして、ハードコート層上に、膜厚90nm、屈折率1.41の有機層を形成した。
このように形成された眼鏡用のプラスチックレンズにおいては、有機層中において、中空シリカ微粒子が、固形分比率で40重量%含まれている。なお、有機層中において、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム微粒子、およびフッ化ストロンチウム微粒子は、いずれも含まれていない。
(実施例2−1)
(プライマー層を形成する工程)
プライマー層を塗布により形成するためのコーティング液(プライマー層形成用塗布液)P1を調製した。まず、メタノール626.2gと、市販の水性エマルジョンポリウレタン(日華化学(株)製、商品名「ネオステッカー700」、固形分濃度37重量%)221.8gとを混合した。その後、メタノール分散二酸化チタン−五酸化アンチモン−二酸化ケイ素複合微粒子ゾル(触媒化成工業(株)製、固形分濃度20重量%)309.6gと、シリコーン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名「L−7604」)0.25gとを混合した。そして十分に攪拌して、プライマー層形成用塗布液P1とした。
このプライマー層形成用塗布液P1を、屈折率1.74のプラスチックレンズ基材(セイコーエプソン(株)製、商品名「セイコープレステージ(SPG)」)上に、浸漬法(引き上げ速度15cm/分)にて塗布し、100℃で20分間、加熱・硬化処理して、レンズ基材上に、膜厚1.0μm、屈折率1.67のプライマー層を形成した。
(ハードコート層を形成する工程)
ハードコート層を塗布により形成するためのコーティング液(ハードコート層形成用塗布液)HC2を調製した。まず、ブチルセロソルブ309.8gと、メタノール分散ルチル型酸化チタン複合ゾル(触媒化成工業(株)製、固形分濃度20重量%、商品名「オプトレイク1120Z」)1500.0gと、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン141.3gとを混合した。この混合液に、0.05N塩酸水溶液38.8gを攪拌しながら滴下し、さらに4時間攪拌後、一昼夜熟成させた。この液に、トリス(2,4−ペンタンジオネート)鉄(III)2.1gと、シリコーン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名「L−7001」)0.6gと、ヒンダードアミン系光安定剤(三共(株)製、商品名「サノールLS−770」)2.0gとを添加した。さらに、4時間攪拌した後、一昼夜熟成させて、ハードコート層形成用塗布液HC2とした。
このハードコート層形成用塗布液HC2を、浸漬法(引き上げ速度35cm/分)により、プライマー層が形成されたレンズ基材に塗布し、さらに、80℃で30分間、加熱・硬化処理し、さらに、120℃で180分間の加熱・硬化処理した。このようにしてプライマー層上に、膜厚2.3μm、屈折率1.74のハードコート層を形成した。
(低屈折率の有機層を形成する工程)
次に、上記の下地層に対して低屈折率の有機層(有機系反射防止層)を形成した。
有機層を塗布により形成するためのコーティング液(有機層形成用塗布液)AR2−1を調製した。まず、R12 nSiX1 3-nで表される有機ケイ素化合物の1つであるγ−グ
リシドキシプロピルトリメトキシシラン3.4gに0.05N塩酸水溶液0.9gを攪拌しながら滴下し、さらに4時間攪拌後、一昼夜熟成させた。この液に、フッ化カルシウムゾル(固形分濃度10重量%)16.0gとブチルセロソルブ79.4gと過塩素酸マグネシウム0.02gとシリコーン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名「L−7001」)0.03gとを添加した。さらに4時間攪拌した後、一昼夜熟成させて、有機層形成用塗布液AR2−1とした。この有機層形成用塗布液AR2−1においては、フッ化カルシウム微粒子の含有量は固形分比率で40重量%である。
この有機層形成用塗布液AR2−1を、浸漬法(引き上げ速度15cm/分)により、プライマー層およびハードコート層が形成されたレンズ基材に塗布した。80℃で30分間加熱・硬化処理し、さらに120℃で120分間の加熱・硬化処理をした。このようにして、ハードコート層上に、膜厚90nm、屈折率1.46の有機層を形成した。この眼鏡用のプラスチックレンズにおいては、有機層にはフッ化カルシウム微粒子が、固形分比率で40重量%含まれている。
(実施例2−2)
有機層形成用塗布液として、以下に説明するコーティング液AR2−2を用いた以外は、実施例2−1と同様の方法で、眼鏡用のプラスチックレンズを得た。
有機層を塗布により形成するためのコーティング液(有機層形成用塗布液)AR2−2を調製した。まず、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン3.3gに0.05N塩酸水溶液0.9gを攪拌しながら滴下し、さらに4時間攪拌後、一昼夜熟成させた。この液に、フッ化カルシウムゾル(固形分濃度10重量%)16.8gとブチルセロソルブ78.7gとグリセロールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス(株)製、商品名「デナコールEX−313」)0.4gと過塩素酸マグネシウム0.02gとシリコーン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名「L−7001」)0.03gとを添加した。さらに4時間攪拌した後、一昼夜熟成させて、有機層形成用塗布液AR2−2とした。この有機層形成用塗布液AR2−2においては、フッ化カルシウム微粒子の含有量は固
形分比率で42重量%である。
この有機層形成用塗布液AR2−2を、浸漬法(引き上げ速度15cm/分)により、プライマー層およびハードコート層が形成されたレンズ基材に塗布した。80℃で30分間加熱・硬化処理し、さらに125℃で120分間の加熱・硬化処理をした。このようにして、ハードコート層上に、膜厚90nm、屈折率1.46の有機層を形成した。この眼鏡用のプラスチックレンズにおいては、有機層にはフッ化カルシウム微粒子が、固形分比率で42重量%含まれている。
(実施例2−3)
有機層形成用塗布液として、以下に説明するコーティング液AR2−3を用いた以外は、実施例2−1と同様の方法で、眼鏡用のプラスチックレンズを得た。
有機層を塗布により形成するためのコーティング液(有機層形成用塗布液)AR2−3を調製した。まず、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン3.1gに0.05N塩酸水溶液0.9gを攪拌しながら滴下し、さらに4時間攪拌後、一昼夜熟成させた。この液に、フッ化カルシウムゾル(固形分濃度10重量%)18.0gとブチルセロソルブ77.7gと過塩素酸マグネシウム0.02gとシリコーン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名「L−7001」)0.03gとを添加した。さらに4時間攪拌した後、一昼夜熟成させて、有機層形成用塗布液AR2−3とした。この有機層形成用塗布液AR2−3においては、フッ化カルシウム微粒子の含有量は固形分比率で45重量%である。
この有機層形成用塗布液AR2−3を、浸漬法(引き上げ速度15cm/分)により、プライマー層およびハードコート層が形成されたレンズ基材に塗布した。80℃で30分間加熱・硬化処理し、さらに120℃で120分間の加熱・硬化処理をした。このようにして、ハードコート層上に、膜厚90nm、屈折率1.46の有機層を形成した。この眼鏡用のプラスチックレンズにおいては、有機層にはフッ化カルシウム微粒子が、固形分比率で45重量%含まれている。
(実施例2−4)
有機層形成用塗布液として、以下に説明するコーティング液AR2−4を用いた以外は、実施例2−1と同様の方法で、眼鏡用のプラスチックレンズを得た。
有機層を塗布により形成するためのコーティング液(有機層形成用塗布液)AR2−4を調製した。まず、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン2.3gに0.05N塩酸水溶液0.6gを攪拌しながら滴下し、さらに4時間攪拌後、一昼夜熟成させた。この液に、フッ化カルシウムゾル(固形分濃度10重量%)24.0gとブチルセロソルブ72.8gと過塩素酸マグネシウム0.01gとシリコーン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名「L−7001」)0.03gとを添加した。さらに4時間攪拌した後、一昼夜熟成させて、有機層形成用塗布液AR2−4とした。この有機層形成用塗布液AR2−4においては、フッ化カルシウム微粒子の含有量は固形分比率で60重量%である。
この有機層形成用塗布液AR2−4を、浸漬法(引き上げ速度15cm/分)により、プライマー層およびハードコート層が形成されたレンズ基材に塗布した。80℃で30分間加熱・硬化処理し、さらに120℃で120分間の加熱・硬化処理をした。このようにして、ハードコート層上に、膜厚90nm、屈折率1.45の有機層を形成した。この眼鏡用のプラスチックレンズにおいては、有機層にはフッ化カルシウム微粒子が、固形分比率で60重量%含まれている。
(実施例2−5)
有機層形成用塗布液として、以下に説明するコーティング液AR2−5を用いた以外は、実施例2−1と同様の方法で、眼鏡用のプラスチックレンズを得た。
有機層を塗布により形成するためのコーティング液(有機層形成用塗布液)AR2−5を調製した。まず、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン2.1gに0.05N塩酸水溶液0.6gを攪拌しながら滴下し、さらに4時間攪拌後、一昼夜熟成させた。この液に、フッ化カルシウムゾル(固形分濃度10重量%)24.8gとブチルセロソルブ72.1gと過塩素酸マグネシウム0.01gとシリコーン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名「L−7001」)0.03gとを添加した。さらに4時間攪拌した後、一昼夜熟成させて、有機層形成用塗布液AR2−5とした。この有機層形成用塗布液AR2−5においては、フッ化カルシウム微粒子の含有量は固形分比率で62重量%である。
この有機層形成用塗布液AR2−5を、浸漬法(引き上げ速度15cm/分)により、プライマー層およびハードコート層が形成されたレンズ基材に塗布した。80℃で30分間加熱・硬化処理し、さらに120℃で120分間の加熱・硬化処理をした。このようにして、ハードコート層上に、膜厚90nm、屈折率1.45の有機層を形成した。この眼鏡用のプラスチックレンズにおいては、有機層にはフッ化カルシウム微粒子が、固形分比率で62%含まれている。
(実施例2−6)
有機層形成用塗布液として、以下に説明するコーティング液AR2−6を用いた以外は、実施例2−1と同様の方法で、眼鏡用のプラスチックレンズを得た。
有機層を塗布により形成するためのコーティング液(有機層形成用塗布液)AR2−6を調製した。まず、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン1.7gに0.05N塩酸水溶液0.5gを攪拌しながら滴下し、さらに4時間攪拌後、一昼夜熟成させた。この液に、フッ化カルシウムゾル(固形分濃度10重量%)28.0gとブチルセロソルブ69.5gと過塩素酸マグネシウム0.01gとシリコーン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名「L−7001」)0.03gとを添加した。さらに4時間攪拌した後、一昼夜熟成させて、有機層形成用塗布液AR2−6とした。この有機層形成用塗布液AR2−6においては、フッ化カルシウム微粒子の含有量は固形分比率で70重量%である。
この有機層形成用塗布液AR2−6を、浸漬法(引き上げ速度15cm/分)により、プライマー層およびハードコート層が形成されたレンズ基材に塗布した。80℃で30分間加熱・硬化処理し、さらに120℃で120分間の加熱・硬化処理をした。このようにして、ハードコート層上に、膜厚90nm、屈折率1.45の有機層を形成した。この眼鏡用のプラスチックレンズにおいては、有機層にはフッ化カルシウム微粒子が、固形分比率で70%含まれている。
(実施例2−7)
実施例2−4で形成された、低屈折率の有機層の表面に防汚処理を行った(実施例2−4で形成された、低屈折率の有機層の表面に防汚層を形成した)。含フッ素シラン化合物(信越化学工業(株)製、商品名「KY-130」)をパーフルオロヘキサンに希釈して
0.2%溶液を調製し、防汚層を形成するためのディッピング用液(防汚層形成用処理液、防汚層形成用塗布液)とした。この防汚層形成用処理液に、プライマー層、ハードコート層および有機層が形成されたレンズ基材を浸漬して、1分間保持した後、150mm/
minにて引き上げ、防汚層形成用処理液を塗布した。その後、溶媒除去工程として、防汚層形成用処理液が塗布されたレンズ基材を、温度を60℃、相対湿度を20%に設定した加熱炉に投入し、10分間保持した。引き続き、アニール工程として、温度を60℃、相対湿度を60%に設定した恒温恒湿槽に投入し、2時間保持することで、有機層の上に防汚層を形成した。この眼鏡用のプラスチックレンズにおいては、有機層にはフッ化カルシウム微粒子が、固形分比率で60重量%含まれ、その有機層の上に、さらに防汚層が形成されている。
(比較例2−1)
有機層形成用塗布液として、以下に説明するコーティング液ARh2−1を用いた以外は、実施例2−1と同様の方法で、眼鏡用のプラスチックレンズを得た。
有機層を塗布により形成するためのコーティング液(有機層形成用塗布液)ARh2−1を調製した。まず、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン3.5gに0.05N塩酸水溶液1.0gを攪拌しながら滴下し、さらに4時間攪拌後、一昼夜熟成させた。この液に、フッ化カルシウムゾル(固形分濃度10重量%)15.2gとブチルセロソルブ80.0gと過塩素酸マグネシウム0.02gとシリコーン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名「L−7001」)0.03gとを添加した。さらに4時間攪拌した後、一昼夜熟成させて、有機層形成用塗布液ARh2−1とした。この有機層形成用塗布液ARh2−1においては、フッ化カルシウム微粒子の含有量は固形分比率で38重量%である。
この有機層形成用塗布液ARh2−1を、浸漬法(引き上げ速度15cm/分)により、プライマー層およびハードコート層が形成されたレンズ基材に塗布した。80℃で30分間加熱・硬化処理し、さらに120℃で120分間の加熱・硬化処理をした。このようにして、ハードコート層上に、膜厚90nm、屈折率1.47の有機層を形成した。この眼鏡用のプラスチックレンズにおいては、有機層にはフッ化カルシウム微粒子が、固形分比率で38重量%含まれている。
(比較例2−2)
有機層形成用塗布液として、以下に説明するコーティング液ARh2−2を用いた以外は、実施例2−1と同様の方法で、眼鏡用のプラスチックレンズを得た。
有機層を塗布により形成するためのコーティング液(有機層形成用塗布液)ARh2−2を調製した。まず、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン1.6gに0.05N塩酸水溶液0.4gを攪拌しながら滴下し、さらに4時間攪拌後、一昼夜熟成させた。この液に、フッ化カルシウムゾル(固形分濃度10重量%)28.8gとブチルセロソルブ68.9gと過塩素酸マグネシウム0.01gとシリコーン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名「L−7001」)0.03gとを添加した。さらに4時間攪拌した後、一昼夜熟成させて、有機層形成用塗布液ARh2−2とした。この有機層形成用塗布液ARh2−2においては、フッ化カルシウム微粒子の含有量は固形分比率で72重量%である。
この有機層形成用塗布液ARh2−2を、浸漬法(引き上げ速度15cm/分)により、プライマー層およびハードコート層が形成されたレンズ基材に塗布した。80℃で30分間加熱・硬化処理し、さらに120℃で120分間の加熱・硬化処理をした。このようにして、ハードコート層上に、膜厚90nm、屈折率1.45の有機層を形成した。この眼鏡用のプラスチックレンズにおいては、有機層にはフッ化カルシウム微粒子が、固形分比率で72重量%含まれている。
(実施例3−1)
有機層形成用塗布液として、以下に説明するコーティング液AR3−1を用いた以外は、実施例2−1と同様の方法で、眼鏡用のプラスチックレンズを得た。
有機層を塗布により形成するためのコーティング液(有機層形成用塗布液)AR3−1を調製した。まず、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン3.4gに0.05N塩酸水溶液0.9gを攪拌しながら滴下し、さらに4時間攪拌後、一昼夜熟成させた。この液に、フッ化ストロンチウムゾル(固形分濃度10重量%)16.0gとブチルセロソルブ79.4gと過塩素酸マグネシウム0.02gとシリコーン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名「L−7001」)0.03gとを添加した。さらに4時間攪拌した後、一昼夜熟成させて、有機層形成用塗布液AR3−1とした。この有機層形成用塗布液AR3−1においては、フッ化ストロンチウム微粒子の含有量は固形分比率で40重量%である。
この有機層形成用塗布液AR3−1を、浸漬法(引き上げ速度15cm/分)により、プライマー層およびハードコート層が形成されたレンズ基材に塗布した。80℃で30分間加熱・硬化処理し、さらに120℃で120分間の加熱・硬化処理をした。このようにして、ハードコート層上に、膜厚90nm、屈折率1.46の有機層を形成した。この眼鏡用のプラスチックレンズにおいては、有機層にはフッ化ストロンチウム微粒子が、固形分比率で40重量%含まれている。
(実施例3−2)
有機層形成用塗布液として、以下に説明するコーティング液AR3−2を用いた以外は、実施例2−1と同様の方法で、眼鏡用のプラスチックレンズを得た。
有機層を塗布により形成するためのコーティング液(有機層形成用塗布液)AR3−2を調製した。まず、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン3.3gに0.05N塩酸水溶液0.9gを攪拌しながら滴下し、さらに4時間攪拌後、一昼夜熟成させた。この液に、フッ化ストロンチウムゾル(固形分濃度10重量%)16.8gとブチルセロソルブ78.7gとグリセロールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス(株)製、商品名「デナコールEX−313」)0.4gと過塩素酸マグネシウム0.02gとシリコーン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名「L−7001」)0.03gとを添加した。さらに4時間攪拌した後、一昼夜熟成させて、有機層形成用塗布液AR3−2とした。この有機層形成用塗布液AR3−2においては、フッ化ストロンチウム微粒子の含有量は固形分比率で42重量%である。
この有機層形成用塗布液AR3−2を、浸漬法(引き上げ速度15cm/分)により、プライマー層およびハードコート層が形成されたレンズ基材に塗布した。80℃で30分間加熱・硬化処理し、さらに125℃で120分間の加熱・硬化処理をした。このようにして、ハードコート層上に、膜厚90nm、屈折率1.46の有機層を形成した。この眼鏡用のプラスチックレンズにおいては、有機層にはフッ化ストロンチウム微粒子が、固形分比率で42重量%含まれている。
(実施例3−3)
有機層形成用塗布液として、以下に説明するコーティング液AR3−3を用いた以外は、実施例2−1と同様の方法で、眼鏡用のプラスチックレンズを得た。
有機層を塗布により形成するためのコーティング液(有機層形成用塗布液)AR3−3を調製した。まず、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン3.1gに0.05N塩酸水溶液0.9gを攪拌しながら滴下し、さらに4時間攪拌後、一昼夜熟成させた。こ
の液に、フッ化ストロンチウムゾル(固形分濃度10重量%)18.0gとブチルセロソルブ77.7gと過塩素酸マグネシウム0.02gとシリコーン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名「L−7001」)0.03gとを添加した。さらに4時間攪拌した後、一昼夜熟成させて、有機層形成用塗布液AR3−3とした。この有機層形成用塗布液AR3−3においては、フッ化ストロンチウム微粒子の含有量は固形分比率で45重量%である。
この有機層形成用塗布液AR3−3を、浸漬法(引き上げ速度15cm/分)により、プライマー層およびハードコート層が形成されたレンズ基材に塗布した。80℃で30分間加熱・硬化処理し、さらに120℃で120分間の加熱・硬化処理をした。このようにして、ハードコート層上に、膜厚90nm、屈折率1.46の有機層を形成した。この眼鏡用のプラスチックレンズにおいては、有機層にはフッ化ストロンチウム微粒子が、固形分比率で45重量%含まれている。
(実施例3−4)
有機層形成用塗布液として、以下に説明するコーティング液AR3−4を用いた以外は、実施例2−1と同様の方法で、眼鏡用のプラスチックレンズを得た。
有機層を塗布により形成するためのコーティング液(有機層形成用塗布液)AR3−4を調製した。まず、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン2.3gに0.05N塩酸水溶液0.6gを攪拌しながら滴下し、さらに4時間攪拌後、一昼夜熟成させた。この液に、フッ化ストロンチウムゾル(固形分濃度10重量%)24.0gとブチルセロソルブ72.8gと過塩素酸マグネシウム0.01gとシリコーン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名「L−7001」)0.03gとを添加した。さらに4時間攪拌した後、一昼夜熟成させて、有機層形成用塗布液AR3−4とした。この有機層形成用塗布液AR3−4においては、フッ化ストロンチウム微粒子の含有量は固形分比率で60重量%である。
この有機層形成用塗布液AR3−4を、浸漬法(引き上げ速度15cm/分)により、プライマー層およびハードコート層が形成されたレンズ基材に塗布した。80℃で30分間加熱・硬化処理し、さらに120℃で120分間の加熱・硬化処理をした。このようにして、ハードコート層上に、膜厚90nm、屈折率1.45の有機層を形成した。この眼鏡用のプラスチックレンズにおいては、有機層にはフッ化ストロンチウム微粒子が、固形分比率で60重量%含まれている。
(実施例3−5)
有機層形成用塗布液として、以下に説明するコーティング液AR3−5を用いた以外は、実施例2−1と同様の方法で、眼鏡用のプラスチックレンズを得た。
有機層を塗布により形成するためのコーティング液(有機層形成用塗布液)AR3−5を調製した。まず、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン2.1gに0.05N塩酸水溶液0.6gを攪拌しながら滴下し、さらに4時間攪拌後、一昼夜熟成させた。この液に、フッ化ストロンチウムゾル(固形分濃度10重量%)24.8gとブチルセロソルブ72.1gと過塩素酸マグネシウム0.01gとシリコーン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名「L−7001」)0.03gとを添加した。さらに4時間攪拌した後、一昼夜熟成させて、有機層形成用塗布液AR3−5とした。この有機層形成用塗布液AR3−5においては、フッ化ストロンチウム微粒子の含有量は固形分比率で62重量%である。
この有機層形成用塗布液AR3−5を、浸漬法(引き上げ速度15cm/分)により、
プライマー層およびハードコート層が形成されたレンズ基材に塗布した。80℃で30分間加熱・硬化処理し、さらに120℃で120分間の加熱・硬化処理をした。このようにして、ハードコート層上に、膜厚90nm、屈折率1.45の有機層を形成した。この眼鏡用のプラスチックレンズにおいては、有機層にはフッ化ストロンチウム微粒子が、固形分比率で62%含まれている。
(実施例3−6)
有機層形成用塗布液として、以下に説明するコーティング液AR3−6を用いた以外は、実施例2−1と同様の方法で、眼鏡用のプラスチックレンズを得た。
有機層を塗布により形成するためのコーティング液(有機層形成用塗布液)AR3−6を調製した。まず、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン1.7gに0.05N塩酸水溶液0.5gを攪拌しながら滴下し、さらに4時間攪拌後、一昼夜熟成させた。この液に、フッ化ストロンチウムゾル(固形分濃度10重量%)28.0gとブチルセロソルブ69.5gと過塩素酸マグネシウム0.01gとシリコーン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名「L−7001」)0.03gとを添加した。さらに4時間攪拌した後、一昼夜熟成させて、有機層形成用塗布液AR3−6とした。この有機層形成用塗布液AR3−6においては、フッ化ストロンチウム微粒子の含有量は固形分比率で70重量%である。
この有機層形成用塗布液AR3−6を、浸漬法(引き上げ速度15cm/分)により、プライマー層およびハードコート層が形成されたレンズ基材に塗布した。80℃で30分間加熱・硬化処理し、さらに120℃で120分間の加熱・硬化処理をした。このようにして、ハードコート層上に、膜厚90nm、屈折率1.45の有機層を形成した。この眼鏡用のプラスチックレンズにおいては、有機層にはフッ化ストロンチウム微粒子が、固形分比率で70%含まれている。
(実施例3−7)
実施例3−4で形成された、低屈折率の有機層の表面に防汚処理を行った(実施例3−4で形成された、低屈折率の有機層の表面に防汚層を形成した。)含フッ素シラン化合物(信越化学工業(株)製、商品名「KY-130」)をパーフルオロヘキサンに希釈して
0.2%溶液を調製し、防汚層を形成するためのディッピング用液(防汚層形成用処理液、防汚層形成用塗布液)とした。この防汚層形成用処理液に、プライマー層、ハードコート層および有機層が形成されたレンズ基材を浸漬して、1分間保持した後、150mm/minにて引き上げ、防汚層形成用処理液を塗布した。その後、溶媒除去工程として、防汚層形成用処理液が塗布されたレンズ基材を、温度を60℃、相対湿度を20%に設定した加熱炉に投入し、10分間保持した。引き続き、アニール工程として、温度を60℃、相対湿度を60%に設定した恒温恒湿槽に投入し、2時間保持することで、有機層の上に防汚層を形成した。この眼鏡用のプラスチックレンズにおいては、有機層にはフッ化ストロンチウム微粒子が、固形分比率で60重量%含まれ、その有機層の上に、さらに防汚層が形成されている。
(比較例3−1)
有機層形成用塗布液として、以下に説明するコーティング液ARh3−1を用いた以外は、実施例2−1と同様の方法で、眼鏡用のプラスチックレンズを得た。
有機層を塗布により形成するためのコーティング液(有機層形成用塗布液)ARh3−1を調製した。まず、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン3.5gに0.05N塩酸水溶液1.0gを攪拌しながら滴下し、さらに4時間攪拌後、一昼夜熟成させた。この液に、フッ化ストロンチウムゾル(固形分濃度10重量%)15.2gとブチルセロ
ソルブ80.0gと過塩素酸マグネシウム0.02gとシリコーン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名「L−7001」)0.03gとを添加した。さらに4時間攪拌した後、一昼夜熟成させて、有機層形成用塗布液ARh3−1とした。この有機層形成用塗布液ARh3−1においては、フッ化ストロンチウム微粒子の含有量は固形分比率で38重量%である。
この有機層形成用塗布液ARh3−1を、浸漬法(引き上げ速度15cm/分)により、プライマー層およびハードコート層が形成されたレンズ基材に塗布した。80℃で30分間加熱・硬化処理し、さらに120℃で120分間の加熱・硬化処理をした。このようにして、ハードコート層上に、膜厚90nm、屈折率1.47の有機層を形成した。この眼鏡用のプラスチックレンズにおいては、有機層にはフッ化ストロンチウム微粒子が、固形分比率で38重量%含まれている。
(比較例3−2)
有機層形成用塗布液として、以下に説明するコーティング液ARh3−2を用いた以外は、実施例2−1と同様の方法で、眼鏡用のプラスチックレンズを得た。
有機層を塗布により形成するためのコーティング液(有機層形成用塗布液)ARh3−2を調製した。まず、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン1.6gに0.05N塩酸水溶液0.4gを攪拌しながら滴下し、さらに4時間攪拌後、一昼夜熟成させた。この液に、フッ化ストロンチウムゾル(固形分濃度10重量%)28.8gとブチルセロソルブ68.9gと過塩素酸マグネシウム0.01gとシリコーン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名「L−7001」)0.03gとを添加した。さらに4時間攪拌した後、一昼夜熟成させて、有機層形成用塗布液ARh3−2とした。この有機層形成用塗布液ARh3−2においては、フッ化ストロンチウム微粒子の含有量は固形分比率で72重量%である。
この有機層形成用塗布液ARh3−2を、浸漬法(引き上げ速度15cm/分)により、プライマー層およびハードコート層が形成されたレンズ基材に塗布した。80℃で30分間加熱・硬化処理し、さらに120℃で120分間の加熱・硬化処理をした。このようにして、ハードコート層上に、膜厚90nm、屈折率1.45の有機層を形成した。この眼鏡用のプラスチックレンズにおいては、有機層にはフッ化ストロンチウム微粒子が、固形分比率で72重量%含まれている。
(評価)
上記の実施例1−1〜実施例1−10、実施例2−1〜実施例2−6、実施例3−1〜実施例3−6、比較例1−1〜比較例1−4、比較例2−1、比較例2−2、比較例3−1、比較例3−2において得られたそれぞれの眼鏡用のプラスチックレンズについて、耐水性、水跡残り、耐アルカリ性、反射防止効果、および耐擦傷性に関する評価を行った。
耐水性については、以下のように評価した。得られた眼鏡用のプラスチックレンズを60℃の純水に浸漬し、そのまま1日放置した。取り出したレンズの外観評価を以下の基準で行った。
「◎」:剥がれが発生しない
「○」:5mm2未満の剥がれが発生
「△」:5mm2以上の剥がれが発生
「×」:全体に剥がれが発生
水跡残りは、以下のように評価した。得られた眼鏡用のプラスチックレンズの表面に水滴をたらし、そのまま20分放置した。その後、水滴を拭き取り、水滴跡があるかどうか
を目視で確認した。
「◎」:水跡は見えない
「○」:水跡が極薄く見える
「×」:水跡がはっきり見える
耐アルカリ性は、以下のように評価した。0.1Nに調製した水酸化ナトリウム水溶液中に試験片(得られた眼鏡用のプラスチックレンズの一部)を2時間浸漬し、浸漬後の試験片を水でよく洗った。水を拭き取った後の外観評価を以下の基準で評価した。
「◎」:剥がれが発生しない
「○」:5mm2未満の剥がれが発生
「△」:5mm2以上の剥がれが発生
「×」:全体に剥がれが発生
反射防止効果は、以下のように評価した。得られた眼鏡用のプラスチックレンズの表面反射率を、分光光度計((株)日立製作所製、U−3500)で測定し、可視光域(400nm〜700nm)の平均反射率(片面)で評価をした。
「◎」:平均反射率が1.50%以下。非常に反射防止効果が大きい。
「○」:平均反射率が1.75%以下。反射防止効果が大きい。
「△」:平均反射率が2.00%以下。反射防止効果がある。
「×」:平均反射率が2.00%を越える。反射防止効果が少ない。
耐擦傷性は、以下のように評価した。ボンスター#0000スチールウール(日本スチールウール(株)製)で1kgの加重をかけ、得られた眼鏡用のプラスチックレンズの表面を10往復摩擦し、傷の付いた程度を目視により評価した。
「◎」:上記範囲内に0〜5本傷がついている
「○」:上記範囲内に6〜10本傷がついている
「△」:上記範囲内に11〜20本傷がついている
「×」:無数の傷がついている
また、上記の実施例1−4、実施例1−11、実施例2−4、実施例2−7、実施例3−4、実施例3−7において得られたそれぞれの眼鏡用プラスチックレンズについて、長期耐水性および長期耐アルカリ性に関する評価を行った。
長期耐水性は、以下のように評価した。得られたプラスチックレンズを60℃の純水に浸漬し、そのまま3日間放置した。取り出したレンズの外観評価を以下の基準で評価した。
「◎」:剥がれが発生しない
「○」:5mm2未満の剥がれが発生
「△」:5mm2以上の剥がれが発生
「×」:全体に剥がれが発生
長期耐アルカリ性は、以下のように評価した。0.1Nに調整した水酸化ナトリウム水溶液中に試験片(得られた眼鏡用のプラスチックレンズの一部)を5時間浸漬し、浸漬後の試験片を水でよく洗った。水を拭き取った後の外観評価を以下の基準で評価した。
「◎」:剥がれが発生しない
「○」:5mm2未満の剥がれが発生
「△」:5mm2以上の剥がれが発生
「×」:全体に剥がれが発生
(評価結果)
図1に、上記の実施例1−1〜実施例1−10および比較例1−1〜比較例1−4において得られたそれぞれの眼鏡用のプラスチックレンズにおける評価結果(耐水性、水跡残り、耐アルカリ性、反射防止効果、耐擦傷性)を纏めて示してある。
実施例1−1〜実施例1−10において製造されたプラスチックレンズは、耐水性試験、水跡残り試験、耐アルカリ性試験、反射防止効果試験、および耐擦傷性試験の全てにおいて良好な結果が得られた。特に、実施例1−4〜実施例1−7において製造されたプラスチックレンズは、耐水性試験、水跡残り試験、耐アルカリ性試験、反射防止効果試験、および耐擦傷性試験の全てにおいて非常に良好な結果が得られた。
すなわち、実施例1−4〜実施例1−7において製造されたプラスチックレンズは、実施例1−1および実施例1−3において製造されたプラスチックレンズよりも、耐アルカリ性、反射防止効果、耐擦傷性がさらに優れていた。また、実施例1−4〜実施例1−7において製造されたプラスチックレンズは、実施例1−2において製造されたプラスチックレンズよりも、反射防止効果がさらに優れていた。さらに、実施例1−4〜実施例1−7において製造されたプラスチックレンズは、実施例1−8〜実施例1−10において製造されたプラスチックレンズよりも、耐アルカリ性および耐擦傷性がさらに優れていた。
比較例1−1において製造されたプラスチックレンズは、耐水性試験、水跡残り試験、および反射防止効果試験の結果は比較的良好であったものの、耐アルカリ性試験結果および耐擦傷性試験結果があまり良好ではなかった。これは、有機層中のフッ化マグネシウムの含有量(固形分比率)が少な過ぎたためであると考えられる。
比較例1−2および1−3において製造されたプラスチックレンズは、耐水性試験、水跡残り試験、および反射防止効果試験の結果は比較的良好であったものの、耐アルカリ性試験結果があまり良好ではなく、耐擦傷性試験結果は好ましくなかった。これは、有機層中のフッ化マグネシウムの含有量(固形分比率)が多過ぎたためであると考えられる。
比較例1−4において製造されたプラスチックレンズは、反射防止効果試験および耐擦傷性試験結果は比較的良好であったものの、耐水性試験結果があまり良好ではなく、水跡残り試験および耐アルカリ性試験結果は好ましくなかった。これは、有機層の屈折率を所望の値にまで低下させるために、中空シリカを多量に用いたためであると考えられる。
以上により、有機層は、フッ化マグネシウム微粒子からなる微粒子成分を、40〜70重量%(固形分比率)含むことが好ましく、このようにすることにより、耐水性、耐アルカリ性、および耐擦傷性に優れ、水跡残りが無く、反射防止効果にも優れた製品を得ることができることがわかった。また、有機層は、フッ化マグネシウム微粒子からなる微粒子成分を、45〜60重量%(固形分比率)含むことがさらに好ましく、このようにすることにより、耐水性に優れ、水跡残りが無いだけでなく、耐アルカリ性、反射防止効果、あるいは耐擦傷性の少なくとも1つをさらに改善できることがわかった。
図2に、上記の実施例2−1〜実施例2−6、比較例2−1および比較例2−2において得られたそれぞれの眼鏡用のプラスチックレンズにおける評価結果(耐水性、水跡残り、耐アルカリ性、反射防止効果、耐擦傷性)を纏めて示してある。
実施例2−1〜実施例2−6において製造されたプラスチックレンズは、耐水性試験、水跡残り試験、耐アルカリ性試験、反射防止効果試験、および耐擦傷性試験の全てにおいて良好な結果が得られた。特に、実施例2−3および実施例2−4において製造されたプラスチックレンズは、耐アルカリ性および耐擦傷性が優れていた。
比較例2−1において製造されたプラスチックレンズは、耐水性試験、水跡残り試験、および反射防止効果試験の結果は比較的良好であったものの、耐アルカリ性試験結果および耐擦傷性試験結果があまり良好ではなかった。これは、有機層中のフッ化カルシウムの含有量(固形分比率)が少な過ぎたためであると考えられる。
比較例2−2において製造されたプラスチックレンズは、耐水性試験、水跡残り試験、および反射防止効果試験の結果は比較的良好であったものの、耐アルカリ性試験結果があまり良好ではなく、耐擦傷性試験結果は好ましくなかった。これは、有機層中のフッ化カルシウムの含有量(固形分比率)が多過ぎたためであると考えられる。
図3に、上記の実施例3−1〜実施例3−6、比較例3−1および比較例3−2において得られたそれぞれの眼鏡用のプラスチックレンズにおける評価結果(耐水性、水跡残り、耐アルカリ性、反射防止効果、耐擦傷性)を纏めて示してある。
実施例3−1〜実施例3−6において製造されたプラスチックレンズは、耐水性試験、水跡残り試験、耐アルカリ性試験、反射防止効果試験、および耐擦傷性試験の全てにおいて良好な結果が得られた。特に、実施例3−3および実施例3−4において製造されたプラスチックレンズは、耐アルカリ性および耐擦傷性が優れていた。
比較例3−1において製造されたプラスチックレンズは、耐水性試験、水跡残り試験、および反射防止効果試験の結果は比較的良好であったものの、耐アルカリ性試験結果および耐擦傷性試験結果があまり良好ではなかった。これは、有機層中のフッ化ストロンチウムの含有量(固形分比率)が少な過ぎたためであると考えられる。
比較例3−2において製造されたプラスチックレンズは、耐水性試験、水跡残り試験、および反射防止効果試験の結果は比較的良好であったものの、耐アルカリ性試験結果があまり良好ではなく、耐擦傷性試験結果は好ましくなかった。これは、有機層中のフッ化ストロンチウムの含有量(固形分比率)が多過ぎたためであると考えられる。
図4に、上記の実施例1−4、実施例1−11、実施例2−4、実施例2−7、実施例3−4、実施例3−7において得られたそれぞれの眼鏡用プラスチックレンズにおける長期耐水性試験結果および長期耐アルカリ性試験結果を纏めて示してある。
防汚層を形成していないプラスチックレンズにおいても、微粒子成分の固形分比率が45〜60重量%となるように有機層(有機系の反射防止層)を形成すれば、良好な長期耐水性および長期耐アルカリ性が得られる。さらに、同じ条件で形成された有機層(有機系の反射防止層)の上に防汚層を形成すると、さらに長期耐水性および長期耐アルカリ性が向上することがわかった。
なお、上記では、基材がプラスチックレンズのものを例にとって説明しているが、基材はガラスレンズであっても同様の効果を得ることができる。基材または下地層の上に形成された有機層を有する、反射防止機能を備えた製品は、眼鏡レンズに限らず、光学物品、カメラ用などの多種多様なレンズ、画像表示装置の光学系の素子、プリズム、光ファイバー、情報記録媒体用の素子、フィルター、さらには、DVD等などの記録媒体、窓用のガラスなど多種多様なものが含まれる。
有機層中のフッ化マグネシウムの固形分比率と評価結果を示す図。 有機層中のフッ化カルシウムの固形分比率と評価結果を示す図。 有機層中のフッ化ストロンチウムの固形分比率と評価結果を示す図。 防汚層を形成していない実施例および防汚層を形成した実施例における長期耐水性試験結果および長期耐アルカリ性試験結果を示す図。

Claims (4)

  1. 基材と、前記基材または前記基材の表面に設けられた少なくとも一層からなる下地層の上に形成された、前記基材または前記下地層よりも低屈折率の有機層であって、前記基材または前記下地層に対する屈折率差が少なくとも0.1である有機層とを有し、
    前記有機層は、
    フッ化マグネシウム微粒子、フッ化カルシウム微粒子、およびフッ化ストロンチウム微粒子の少なくともいずれかからなる微粒子成分と、
    12 nSiX1 3-nで表される有機ケイ素化合物(式中、R1は重合可能な反応基を有する有機基であり、R2は炭素数1〜6の炭化水素基であり、X1は加水分解基であり、nは0または1である)とを含み、
    前記有機層における前記微粒子成分の固形分比率が、40〜70重量%である、製品。
  2. 請求項1において、前記有機層は、前記微粒子成分の固形分比率が、45〜60重量%である、製品。
  3. 請求項1または2において、前記下地層を有し、その上に前記有機層が形成されており、前記下地層は、ルチル型酸化チタン微粒子を含む、製品。
  4. 請求項1ないし3のいずれかにおいて、前記有機層の上に形成された防汚層をさらに有する、製品。
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