JP2008143318A - 車両用跳ね上げ式フード装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、車両が歩行者等の被衝突体に衝突した際に、被衝突体への衝撃を吸収又は緩和する、車両用跳ね上げ式フード装置に関し、エンジンルームのような狭い空間であっても比較的容易に配置できるようにするとともに、且つ作動信頼性を高める。
【解決手段】車輪4と車体1aの間に設けられて路面からの入力を吸収する懸架装置3と、衝突が検知又は不可避と判断されたるとフード2を跳ね上げるフード跳ね上げ機構6とをそなえ、フード跳ね上げ機構6は、懸架装置に対する車体1a側の取り付け部1bと懸架装置3との間に介装され、車体1aの自重を利用してフード2を跳ね上げるように構成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両が歩行者等の被衝突体に衝突した際に、被衝突体への衝撃を吸収又は緩和する、車両用跳ね上げ式フード装置に関するものである。
従来より、車両が歩行者と衝突した際に歩行者の衝撃を緩和するようにした技術が提案されている。例えば、下記の特許文献1には、サスペンションのアッパサポートとボディとの間にスプリングを介装するとともに、アッパサポートとボディとを締結するナットにスペーサを噛ませた技術が開示されている(例えば特許文献1の図1〜図3参照)。
そして、衝突が不可避と判断されたり衝突を検知すると、スペーサを取り外すことで、スプリングの付勢力でボディ及びフードを持ち上げて、通常時のサスペンション機能に影響を与えることなくフード下にスペースを確保するようになっている。これにより、自車両と衝突した歩行者等の被衝突体の二次衝突による衝撃が緩和される。
また、同じく特許文献1には、サスペンションのアッパサポートの防振ゴム上部にブレーキ配管と連通して液体を封入可能な液室を設けるとともに、配管の途中にノーマルクローズの開閉バルブを介装した技術が開示されている(特許文献1の図11参照)。
そして、衝突が不可避と判定されたり衝突を検知したりすると開閉バルブを開き、液室にブレーキ液圧が供給される。つまり、衝突不可避の判断がなされる場合、通常は運転者による制動制御中であり、開閉バルブを開くことで液室にブレーキ液圧が作用する。液室にブレーキ液圧が作用すると、防振ゴムが押圧され、ショックアブソーバの内筒部分が車体に対して下方へ移動する。実際には、車輪が地面に接しているため、相対的にフードがアッパサポートに対して持ち上げられる。これにより、フードに下スペースを確保することができ、歩行者等の被衝突体の二次衝突の衝撃が緩和される。
また、これ以外にも例えば図16(a)に示すように、フード102のヒンジ機構105と車体101との間にバネ100を介装するとともに、衝突検出時にバネ100を解放してバネ100の付勢力でフード102を持ち上げるようにした技術や、図16(b)に示すように、フード102のヒンジ機構105をフード側のヒンジ105aと車体側のヒンジ105bとに分離可能に構成するとともに、これらのヒンジ105a,105bの間にバネ100を介装し、衝突検出時にヒンジ105a,105bを分離させてバネ100の付勢力でフード102を持ち上げるようにした技術等が提案されている。
特開2005−178730号公報
しかしながら、上述したような従来の技術では、エンジンルーム内にアクチュエータやバネ等の配設が必要になるが、通常エンジンルーム内には新たな機構を設けるスペースがほとんどなく、上述のようなアクチュエータやバネ等を設けるのは困難であるという課題がある。
また、このような装置では、車両衝突時に確実にフードを持ち上げる必要があるが、上述のようにアクチュエータやバネを作動させてフードを持ち上げるようにした従来の技術では、衝突検出時に作動が遅れるおそれがあり、この場合には十分な衝撃吸収効果を得られないという課題がある。
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、エンジンルームのような狭い空間であっても比較的容易に配置できるようにするとともに、且つ作動信頼性を高めるようにした、車両用跳ね上げ式フード装置を提供することを目的とする。
このため、本発明の車両用跳ね上げ式フード装置は、車輪と車体との間に設けられて路面からの入力を吸収する懸架装置と、衝突が検知された際又は衝突が不可避と判断された際に、フードを跳ね上げるフード跳ね上げ機構とをそなえ、該フード跳ね上げ機構は、該懸架装置に対する該車体側の取り付け部と該懸架装置との間に介装され、該車体の自重を利用して該フードを跳ね上げるように構成されていることを特徴としている(請求項1)。
また、該フード跳ね上げ機構は、該懸架装置と該取り付け部との間に設けられ、作動流体で満たされた液室と、該液室に連通路を介して接続されたシリンダ機構と、該連通路上に介装された開閉弁とをそなえ、該シリンダ機構が該フードに接続され、該開閉弁を開くことにより該車体の自重により該液室の容積を低減させるとともに該シリンダ機構を作動させて該フードを跳ね上げるのが好ましい(請求項2)。
また、該フードと該車体とがヒンジ機構を介して接続されるとともに、該ヒンジ機構が少なくとも該車体側に固定される車体側ヒンジブラケットをそなえ、該シリンダ機構が該懸架装置の上部に配設されるとともに、該車体側ヒンジブラケットが該懸架装置近傍まで延長して形成され、該シリンダ機構が該車体側ヒンジブラケットに接続されているのが好ましい(請求項3)。
また、該フードと該車体とがヒンジ機構を介して接続されるとともに、該ヒンジ機構が少なくとも該車体側に固定される車体側ヒンジブラケットをそなえ、該シリンダ機構が該フードの後端近傍に配設されるとともに、該シリンダ機構は該ヒンジ機構の回動軸近傍において該車体側ヒンジブラケットに接続されているのが好ましい(請求項4)。
また、該フードと該車体とがヒンジ機構を介して接続されるとともに、該ヒンジ機構が少なくとも、該車体側に固定される車体側ヒンジブラケットをそなえ、該車体側ヒンジブラケットが該懸架装置近傍まで延長して形成されるとともに該フード跳ね上げ機構に接続され、該跳ね上げ機構は、該懸架装置の該車体側の取り付け部を該車体から切り離して該懸架装置の上部をエンジンルーム内に突出可能に構成されているのが好ましい(請求項5)。
本発明の車両用跳ね上げ式フード装置(請求項1〜5)によれば、簡素な構成で衝突時にフードの下に確実にスペースを形成することができ、二次衝突の衝撃を確実に緩和,吸収することができる。また、車体の自重を用いてフードを跳ね上げるので、フードを跳ね上げるためのアクチュエータが不要となり、狭いエンジンルーム内にも容易に、且つ確実に配設することが可能となるという利点がある。
また、車体の位置エネルギを活用しているため、フードを跳ね上げた後でも、車体をジャッキアップなどの装置で持ち上げれば、フードを元の位置に戻すことができ跳ね上げ式フード装置の再設定が可能である。
(a)全体構成及び作動原理
以下、図面により、本発明の実施の形態について説明すると、図1(a),(b)はいずれもその概要及び作用について示す図であって、図1(a),(b)において、符号1は車両、2はボンネットフード(フード)である。また、この車両1には公知のサスペンション装置(懸架装置)3が設けられおり、このサスペンション装置3によりタイヤ4を介して伝達される路面からの入力を吸収するようになっている。また、このサスペンション装置3の上端部は車体(ボディ)1aのストラットアッパハウジング(懸架装置に対する車体1a側の取り付け部)1bに取り付けられている。なお、サスペンション装置3の主要な構成、作動原理、及び基本的な制御手法等については公知であるため、詳しい説明を省略する。
また、フード2は後端部においてヒンジ機構5により回動可能に構成されるとともに、前端部においてはフード2に設けられたラッチ2aと車体1aに設けられたストライカ20とが係合可能に構成されている。
また、上記のストラットアッパハウジング1bとサスペンション装置3との間にフード跳ね上げ機構6が設けられている。このフード跳ね上げ機構6についての詳細は後述するが、基本的に車体1aの自重を利用してフード2の後端を跳ね上げる(又は持ち上げる)機構である。すなわち、フード跳ね上げ機構6は、車両1の被衝突体との衝突が検知或いは推定されると、サスペンション装置3と車体1a(この場合はストラットアッパハウジング)との接続状態を変化させ、これにより車両1の前部を自重により落下させるとともに、このときのサスペンション装置3と車体1aとの相対変位により生じるエネルギによりフード2を所定量持ち上げる(跳ね上げる)ように構成されている。
ここで、フード2を持ち上げる具体例としては、ストラットアッパハウジング1bとサスペンション装置3とを切り離して、サスペンション装置3の上部をストラットアッパハウジング1bよりも上方に突出させ、このときのサスペンション装置3の上方への突出によりフード2を持ち上げるようにしたり、ストラットアッパハウジング1bとサスペンション装置3との間に容積可変の部材を介在させて、衝突の検知又は推定時に車体を落下させることでこの部材の容積を低減させ、この容積変化を利用してフード2を持ち上げるようにしたりすることが考えられる。
そして、このように構成することにより、いずれの場合であっても衝突検知又は推定時に相対的に車体1aを下方に移動させることができ、この移動量に応じてフード2の後端を持ち上げることによりフード2とエンジンルーム1dとの間に十分な空間を確保して、例えば車両と歩行者とが衝突した場合に歩行者がフード2に二次衝突した場合の衝撃の緩和を図るようにしている。
ここで、図1(a)は通常走行時の状態を示す模式図であって、サスペンション装置3の上端はストラットアッパハウジング1bに固定されている。そして、車両1の衝突を検知又は不可避と判断すると、上述のようにフード跳ね上げ機構6によりストラットアッパハウジング1bとサスペンション装置3とが分離される。これにより、それまで車体1aに作用していたサスペンション装置3からの路面反力(具体的にはスプリングの反力)が作用しなくなり、図1(b)に示すように、車体1aの前部は自重によって下方へ落下する。したがって、相対的にはサスペンション装置3は車体1aに対して上方に移動することになる。
そして、サスペンション装置3の上部に設けられたフード跳ね上げ機構6をフード2のヒンジ機構5に接続することにより、車体1aが自重により落下する際のエネルギの一部がフード2の跳ね上げるエネルギに変換されて、図1(b)に示すように、フード2が持ち上げられる。これにより、エンジンルーム1dとの間に十分な空間を確保することができ、フード2への衝突時に衝撃エネルギを緩和,吸収することができる。
また、この場合には、図示しないサスペンションスプリングが自由長に戻ろうとする力も作用するので、車体1bの移動量以上にフード2を持ち上げることが可能となるほか、フード2に衝突した被衝突物の衝撃をサスペンションスプリングによっても緩和することができる。
以下、具体的な実施形態について説明する。
(b)第1の実施形態
図2(a),(b)は本発明の第1の実施形態に係る車両用跳ね上げ式フード装置の要部構成について説明する図、図3(a)〜(c)はその作用について説明する図であって、この第1実施形態では、車両の落下量に対してフード2の持ち上げ量を大きく設定できるように構成されている。
図2(a),(b)に示すように、サスペンション装置3の上部にはフード跳ね上げ機構6が設けられている。また、サスペンション装置3はフード跳ね上げ機構6を構成するチャンバ(液室)7を介して車体1aのストラットアッパハウジング1bに固定されている。
ここで、通常の車両と異なるのは、サスペンション装置3とストラットアッパハウジング1bとの間にチャンバ7(或いはフード跳ね上げ機構6)が介装されているという点、及びフード2のヒンジ機構5がフード跳ね上げ機構6に接続されている点のみであり、これ以外は車体1a及びサスペンション装置3等は通常の車両と同様に構成されている。
フード跳ね上げ機構6は、上述のチャンバ7と、チャンバ7に連通路8を介して接続されたシリンダ機構9と、連通路8に介装された開閉弁10とをそなえて構成されている。
また、この開閉弁10は通常は閉じているノーマルクローズの電磁弁であって、コントロールユニット〔ECU;図3(c)の符号11参照〕からの制御信号に基づいて開閉状態が制御されるようになっている。
また、このチャンバ7は本実施形態では例えば円柱状に形成されたものであり、サスペンション装置3の中心軸に対して等間隔に複数個設けられている。なお、チャンバ7はこのようなものに限定されず、円周上に連続して形成された環状の液室であっても良い。
また、チャンバ7の外部上端は、ストラットアッパハウジング1bの上面に対して図示しないボルトナット等により固定されており、また、チャンバ7の外部下端は、サスペンション装置3の上端であるストラットマウントアッセンブリ3aに対してやはり図示しないボルトナット等により固定されている。なお、図中ではサスペンション装置3については簡略化して示しており、ここではストラットマウントアッセンブリ3aは、サスペンションスプリング3bを取り付けるスプリングアッパシートと一体化して示している。
チャンバ7内には予め非圧縮性の作動油(作動流体)が満たされており、開閉弁10は閉じた状態に維持されている。そして、このような状態では、チャンバ7は、上下方向及び左右方向に対して十分な剛性を有しており、タイヤ4及びサスペンション装置3からの入力に対しても変形することなく、上記入力をストラットアッパハウジング1bに伝達することができるように構成されている。したがって、上述のようにサスペンション装置3とストラットアッパハウジング1bとの間にチャンバ7を取り付けた場合であっても、チャンバ7は通常走行時には剛体として作用するため、走行性能上何ら不都合を生じることはない。
また、連通路8を介してチャンバ7に接続されるシリンダ機構9は、チャンバ7と同様にサスペンション装置3の上部に設けられており、本実施形態においては、サスペンション装置3の略中心軸と同軸上に設けられている。また、シリンダ機構9はピストン9aとシリンダ9bとを有しており、このうちシリンダ9bはサスペンション装置3に対して相対移動しないように固定されている。また、ピストン9aはシリンダ9b内を進退可能に構成されており、通常時はピストン9aはシリンダ9b内に収納された状態になっている。
また、図示するように、このピストン9aとシリンダ9bとで囲繞された油圧室9cに上記の連通路8が接続されている。なお、連通路8内にも予め作動油が満たされており、チャンバ7,連通路8及びシリンダ機構9の内部にはいずれもエアが存在しない状態となっている。
また、ストラットアッパハウジング1bは、図示するように中央部分に開口(穴部)1cが形成されており、ピストン9a及びシリンダ9bはこの開口1cを通ってエンジンルーム1d側に突出している。そして、ピストン9aの先端がヒンジ機構5に接続されている。
また、フード2のヒンジ機構5は、フード2に取り付けられるフード側ヒンジブラケット5aと車体1a側に取り付けられる車体側ヒンジブラケット5bとこれらの2つのヒンジブラケット5a,5bを回動可能に接続する回動軸5cとから構成されている。そして、本第1実施形態においては、車体側ヒンジブラケット5bが一般の車両よりも前方に(ストラットアッパハウジング1b側)に延長して形成されており、その先端がストラットアッパハウジング1bの上方にまで延在するように形成されている。
そして、この車体側ヒンジブラケット5bに、上述のピストン9aの先端側が接続されている。このような構成により、ピストン9aが伸張すると、ヒンジ機構5全体が上方に移動するようになっている。
また、図示するように、チャンバ7は内部がベローズ状に形成され、伸縮可能に構成されている。したがって、開閉弁10が開くと、車体1aの自重によりチャンバ7の容積が縮小するとともに、チャンバ7の内部の作動油が連通路8を介してシリンダ機構9に流入するようになっている。これにより、ヒンジ機構5が車体1aに対して相対的に持ち上がり、エンジンルーム1dとフード2との間にスペースを確保できるようになっている。
また、この車両1には、他者との衝突を検知する衝突センサ(図示省略)が設けられており、このセンサの出力はやはりECU11〔図3(c)参照〕に出力されるようになっている。なお、このような衝突センサは例えばエアバッグ装置用に設けられたものを流用することができる。
また、このような衝突センサに代えて(或いは衝突センサに加えて)、車両1の他者との衝突を予測する公知の衝突予測手段を設けても良い。このような衝突予測手段としては、例えばCCDカメラ,レーザレーダ,ミリ波レーダ等のセンサ類と、相手との距離や相対速度を演算する演算部と、現在の運転状態が継続したときに所定時間(例えば0.3sec)以内に自車が相手と衝突するか否かを判定する判定部とから構成される。
そして、このような衝突センサや衝突予測手段により衝突が検出されたり、或いは衝突が回避できないと予測されると、ECU11から開閉弁10に対して制御信号が出力されて連通路8が開放されるようになっている。
なお、フード跳ね上げ機構6及びピストン機構9においては、その作動時に連通路8やシリンダ機構9において流体抵抗が極力生じないように各部の形状や寸法が設定されており、例えば連通路8が絞り(オリフィス)として作用しないように連通路の径や長さが設定されている。これは、流体抵抗が大きいと、フード2の持ち上げ時に流体抵抗に起因してシリンダ機構9に作動遅れが生じるためであり、このような作動遅れが生じないように、各部位の形状や寸法が考慮されている。また、作動流体としては非圧縮性であって、且つ極力粘性抵抗の低い特性を有する流体が適用されている。
次に、本発明の第1の実施形態に係る車両用跳ね上げ式フード装置の作用について説明すると、図2(a)及び図3(a)に示す通常時(非衝突時)においては、開閉弁10は閉じており、チャンバ7内は作動油で満たされている。
したがって、チャンバ7は剛体として作用し、タイヤ4から伝達される路面からの入力は、主にストラットマウントアッセンブリ3a(及びスプリングアッパシート)及びチャンバ7を介してストラットアッパハウジング1bに伝達され、このストラットアッパハウジング1bで受け止められる。
一方、図3(b)に示すように、衝突センサ等により車両1の衝突が検知された場合や、衝突が推定された場合には、ECU11からの制御信号により開閉弁10が開放される。これにより、図2(b)に示すように、ベローズ状のチャンバ7が車体重量により押しつぶされるとともに、チャンバ7内の作動油がシリンダ機構9の油圧室9cに流入する。この結果、ピストン9aが伸張してヒンジ機構5が持ち上げられて、エンジンルーム1dとフード2との間に衝撃吸収用のスペースが確保される。
そして、本実施形態では、サスペンション装置3と車体1aとの相対移動量S1(車体1aの落下量)に、シリンダ機構9のストロークS2を加えた分だけ、車体1aに対してフード2を持ち上げることができる。
したがって、図3(a)〜図3(c)に示すように、車体1aの高さの低下量(h1−h2)よりも、フード2の持ち上げ量(H1−H2)を大きく設定することができ、これにより例えば歩行者と衝突した際に歩行者のフードへの二次衝突の衝撃を大幅に緩和でき、車両1の安全性を高めることができる。
また、このような構成では、開閉弁10を開くことにより、車体1aの自重でフード2の後端を持ち上げることができるので、専用のアクチュエータ等を用いることなく確実にフード2を持ち上げることができる。また、車体1aの自重を利用してシリンダ機構9を作動させるので作動遅れが生じる心配もなく、作動信頼性を高めることができる。
また、フード2を跳ね上げる機構自体を極めて簡素に構成することができるため、本装置をスペースの制約の多いエンジンルーム1dにボディ骨格構造を変更することなく配設でき、低コスト化を図ることができる利点があるほか、大幅な重量増を伴うこともないという種々の利点を有している。
なお、チャンバ7の断面積を作動室9aの断面積よりも大きく設定すれば、図2(b)に示すように、チャンバの潰れ代(ストローク)S1に対して、ピストン9aのストロークS2を十分大きくすることができ、エンジンルーム1dとフード2との間に衝撃吸収用のスペースをより拡大することができる。また、逆に、チャンバ7の断面積を作動室9aの断面積よりも小さく設定した場合には、ピストン9aのストロークS2は小さくなるものの作動応答性を大幅に高めることができる。
次に、図4(a)〜(c),図5(a),(b)及び図6(a),(b)を用いて第1実施形態の変形例について説明すると、図4(a)〜(c)はいずれもその要部を示す平面図,正面図及び側面図、図5(a),(b)は、いずれも図4(a)のAA−AA断面図であって、(a)は跳ね上げ機構6の作動前の通常時における断面図、(b)はその作動後の断面図、図6(a),(b)はいずれもその要部を示す作動前の斜視図及び作動後の斜視図である。
図4(a)〜(c)及び図6(a),(b)に示すように、この変形例においても上述の第1実施形態と同様に、フード2のヒンジ機構5がフード跳ね上げ機構6に接続されている。そして、ヒンジ機構5の、車体側ヒンジブラケット5bが一般の車両よりも前方に延長して形成されて、その先端がサスペンション装置3の上端部に取り付けられている。
一方、上述の第1実施形態がサスペンション装置3とストラットアッパハウジング1bとの間にフード跳ね上げ機構6が介装されているのに対し、本変形例では、図5(a),(b)に示すように、フード跳ね上げ機構6がサスペンション装置3に組み込まれており、フード跳ね上げ機構6とサスペンション装置3とが一体に構成されている。
以下、詳細に説明すると、図5に示すように、サスペンション装置3の上端には、車体側への取り付け部品であるストラットマウント30が設けられている。このストラットマウント30は、路面からの反力が入力される第1マウント31と、上記第1マウント31に対してストラット軸方向に摺動可能な第2マウント32との2つの部品から構成されている。このうち、第2マウント32は第1マウント31に対して重合するように設けられており、この第1マウント31と第2マウント32との間に液室(チャンバ)7が形成されている。つまり、第1マウント31と第2マウント32とで囲繞された空間がチャンバ7として機能するようになっている。
また、上記第2マウント32には、上方に向けたスタッドボルト32aが溶着されており、このスタッドボルト32を介して、サスペンション装置3と車体1aのストラットアッパハウジング1bとが結合されるようになっている。
また、第2マウント32の上方には、第1実施形態と同様に連通路8を介してチャンバ7に接続されたシリンダ機構9が設けられている。具体的には、このシリンダ機構9は、第2マウント32と、第2マウント32に対して摺動可能に設けられた第3マウント33とから構成されており、上記第3マウント33が第1実施形態におけるピストン9aに相当し、第2マウント32がシリンダ9bに相当している。なお、ヒンジ機構5の車体側ヒンジブラケット5bは、上記第3マウント33に接続されている。
そして、これらの第2マウント32及び第3マウント33により囲繞された空間が油圧室9cとして機能するとともに、この油圧室9cに上記連通路8が接続されている。
また、連通路8には、図示しないノーマルクローズの開閉弁(電磁弁)が設けられており、ECU〔図3(c)の符号11参照〕からの制御信号に基づいて開閉状態が制御されるようになっている。
なお、これ以外は上述の第1実施形態と同様に構成されている。
したがって、この変形例によれば、上述した第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。すなわち、図5(a)及び図6(a)に示す通常時(非衝突時)においては、開閉弁は閉じており、チャンバ7内は非圧縮性の作動油で満たされている。このため、第1マウント31と第2マウント32との間では相対移動はなく、また第2マウント32と第3マウント33との間においても相対移動は生じない。
したがって、タイヤ4から伝達される路面からの入力は、ストラットマウント30を介してストラットアッパハウジング1bに伝達され、このストラットアッパハウジング1bで受け止められる。
一方、衝突センサ等により車両1の衝突が検知された場合や、衝突が推定された場合には、ECU11からの制御信号により開閉弁が開放される。これにより、図5(b)及び図6(b)に示すように、第マウント31が相対的に上昇し、チャンバ7の容積が低減するとともに、チャンバ7内の作動油が油圧室9cに流入する。この結果、ピストン9a(第3マウント33)が伸張してヒンジ機構5が持ち上げられ、エンジンルーム1dとフード2との間に衝撃吸収用のスペースを確保することができる。
(c)第2の実施形態
次に、本発明の第2の実施形態に係る車両用跳ね上げ式フード装置について説明すると、図7(a),(b)はその要部構成及び作用について説明する図である。
この第2実施形態では、図2及び図3を用いて説明した第1実施形態に対してシリンダ機構9の取り付け位置が異なるのみであり、これ以外は第1実施形態と略同様に構成されている。したがって、以下では主に第1実施形態と異なって構成される部位について説明し、第1実施形態と同様に構成された部分については第1実施形態と同じ符号を付し、説明を省略する。
さて、図7(a),(b)に示すように、シリンダ機構9はフード2の後端部分に設けられている。ここで、シリンダ機構9のシリンダ9bはエンジンルーム1dのストラットアッパハウジング1bよりも後方であって、ヒンジ機構5の回動軸5cのほぼ真下に配設されている。また、このシリンダ9bは車体1aに固定されている。
また、ヒンジ機構9のピストン9aは、図示するようにヒンジ機構5の車体側ヒンジブラケット5bに接続されている。また、フード跳ね上げ機構6の連通路8と上記シリンダ9b(或いは、油圧室9c)とは耐圧ホース9dにより接続されており、高圧の作動油が油圧室9cに供給されてもホース9dは容積が変化しないようになっている。
次に、本発明の第2の実施形態に係る車両用跳ね上げ式フード装置の作用について説明すると、通常時(非衝突時)においては、図7(a)に示すように開閉弁10は閉じており、チャンバ7内は作動油で満たされている。したがって、チャンバ7はサスペンション装置3の機能を損なうことなく剛体として作用する。
一方、衝突が検知又は推定されると、ECU11からの制御信号により開閉弁10が開放される。これにより、ベローズ状のチャンバ7が車体重量により押しつぶされるとともに、チャンバ7内の作動油が耐圧ホース9dを通って油圧室9cに流入する。この結果、ピストン9aが伸張してヒンジ機構5が持ち上げられて、エンジンルーム1dとフード2との間に衝撃吸収用のスペースが確保される。したがって、例えば歩行者と衝突した際に歩行者のフードへの二次衝突の衝撃を大幅に緩和でき、車両1の安全性を高めることができる。
この場合、フード2の持ち上げ量はシリンダ機構9のピストン9aのストローク量で決まり、このピストンストローク分だけフード2を持ち上げることができる。また、この第2の実施形態においては、ヒンジ機構5の回動軸5c近傍、すなわちフード2の後端近傍において、フード2を持ち上げるので、第1の実施形態のように回動軸5cよりも前方のストラットハウジング1b近傍でフード2持ち上げる場合よりもフード2を高く持ち上げることができるという利点がある。
次に、本第2実施形態の変形例について説明すると、図8はその要部を示す模式的な斜視図、図9はその要部を示す断面図である。さて、この変形例では、すでに図4〜図6を用いて説明した第1実施形態の変形例と同様に、跳ね上げ機構6とサスペンション装置3とが一体に構成されており、この点で上述の第2実施形態と異なっている。
つまり、図8に示すように、耐圧ホース9dは、サスペンション装置3のストラットマウント30に接続されている。ここで、このストラットマウント30は、上述した第1実施形態の変形例〔図5(a)参照)と同様に構成されており、図9に示すように、路面からの反力が入力される第1マウント31と、上記第1マウント31に対してストラット軸方向に摺動可能な第2マウント32との2つの部品から主に構成されている。
このうち、第2マウント32は第1マウント31に対して重合するように設けられており、この第1マウント31と第2マウント32とで囲繞された空間がチャンバ7として機能するようになっている。
また、上記第2マウント32には、上方に向けたスタッドボルト32aが溶着されており、このスタッドボルト32を介して、サスペンション装置3と車体1aのストラットアッパハウジング1bとが結合されるようになっている。
また、第2マウント32内には第1実施形態の変形例と同様に連通路8が設けられている。連通路8には、図示しないノーマルクローズの開閉弁(電磁弁)が設けられており、ECU〔図3(c)の符号11参照〕からの制御信号に基づいて開閉弁の開閉状態が制御されるようになっている。
また、第2マウント32にはストラット中心軸に沿って、油路8aが形成されており、この油路8aの一端は耐圧ホース9dに接続され、油路路8aの他端は上記連通路8に接続されている。
そして、これ以外は上述の第2実施形態と同様に構成されている。
したがって、この変形例によれば、上述した第2実施形態と同様の作用効果を得ることができる。すなわち、通常時(非衝突時)においては、開閉弁を閉じチャンバ7内を非圧縮性の作動油で満たすことにより、チャンバ7はサスペンション装置3の機能を損なうことなく剛体として作用する。
一方、衝突が検知又は推定されると、ECU11からの制御信号により開閉弁が開放される。これにより、第1マウント31が相対的に上昇して、チャンバ7が車体重量により押しつぶされ、チャンバ7内の作動油が連通路8,8a及び耐圧ホース9dを通ってシリンダ機構9の油圧室に流入する。この結果、ピストン9aが伸張してヒンジ機構5が持ち上げられて、エンジンルーム1dとフード2との間に衝撃吸収用のスペースが確保される。
したがって、例えば歩行者と衝突した際に歩行者のフード2への二次衝突の衝撃を大幅に緩和でき、車両1の安全性を高めることができる。この場合、第2実施形態と同様に、フード2の持ち上げ量はシリンダ機構9のピストン9aのストローク量で決まり、このピストンストローク分だけフード2を持ち上げることができる。また、ヒンジ機構5の回動軸5c近傍、すなわちフード2の後端近傍において、フード2を持ち上げるので、第1の実施形態のように回動軸5cよりも前方のストラットハウジング1b近傍でフード2を持ち上げる場合よりもフード2を高く持ち上げることができるという利点がある。
(d)第3の実施形態
次に、本発明の第3の実施形態に係る車両用跳ね上げ式フード装置について説明すると、図10(a),(b)はその要部構成及び作用について説明する図である。
この第3実施形態では、第1実施形態に対してフード跳ね上げ機構6の構成が異なっており、これ以外は第1実施形態と略同様に構成されている。したがって、以下では主に第1実施形態と異なって構成される部位について説明し、第1実施形態と同様に構成された部分については第1実施形態と同じ符号を付し、説明を省略する。
図示するように、ストラットアッパハウジング1bには開口1cが形成されている。またサスペンション装置3の上部にはフード跳ね上げ機構6が設けられている。ここで、フード跳ね上げ機構6の本体6aは円筒形状に形成されており、上記の開口1cに挿通している。すなわち、図示するようにフード跳ね上げ機構6の本体6aの下面はサスペンション装置3のストラットマウントアッセンブリ3aに固定されており、上面は開口1cを介してエンジンルーム1d内に突出するように配設されている。また、この本体6aの上面は、フード2のヒンジ機構5の車体側ヒンジブラケット5bに接続されている。
また、車体1aとサスペンション装置3とは、分離可能に取り付けられている。すなわち、図10(a)に示すように、フード跳ね上げ機構6の本体6aとストラットアッパハウジング1bの開口1cとは公知の機構により分離可能に係合されている。
そして、衝突検出時又は推定時にストラットアッパハウジング1bとサスペンション装置3とを切り離すことにより、車両1の前部を自重により落下させるとともに、このときのサスペンション装置3と車体1aとの相対変位の分だけフードを車体1aに対して持ち上げることができ、エンジンフードとの間に空間を確保することができる。
なお、本実施形態においては、図10(a),(b)に示すように、フード跳ね上げ機構6の本体6aの周囲にストッパ(弾性体)6bが配設されており、車体1aの落下時には、ストラットアッパハウジング1bの開口1cの縁部がこのストッパ6bに当接することにより、車体1aの落下位置或いは落下ストロークが規制されるようになっている。
本発明の第3の実施形態に係る車両用跳ね上げ式フード装置は上述のように構成されているので、その作用について説明すると以下のようになる。
まず、通常時(非衝突時)においては、図10(a)に示すようにフード跳ね上げ機構6の本体6aはストラットアッパハウジング1bの開口縁部に係合している。したがって、走行時には、第1の実施形態と同様に、タイヤ4から伝達される路面からの入力は、主にストラットマウントアッセンブリ3a(及びスプリングアッパシート)及びフード跳ね上げ機構6の本体6aを介して、ストラットアッパハウジング1bで受け止められる。
一方、衝突検出時又は衝突推定時には、図示しないECUからの制御信号によりフード跳ね上げ機構6の本体6aとストラットアッパハウジング1bの開口縁部との係合を解除する。
これにより、車体前部において車体を支持していた部分が切り離されて、サスペンション装置3の上部がエンジンルーム1d内に進入しようとし、相対的に車体前部が下方に落下する。また、これと同時に、サスペンション装置3に作用していた荷重がなくなるため、スプリング3bが自由長に戻ろうとしてスプリング3bが伸張する。したがって、これら2つの事象が重なり、フード跳ね上げ機構6の本体6aに固定されていたヒンジ機構5が相対的に上方に急速に移動してフード2が持ち上げられて、エンジンルーム1dとフード2との間に衝撃吸収用のスペースが確保される。
そして、図10(b)に示すように、ストッパ6bがストラットアッパハウジング1bに当接することで、車体1aの必要以上の落下が規制される。
このように、本第3実施形態では、車体の自重を利用してフード2を跳ね上げるのみならず、このときのサスペンションスプリングの弾性力も利用してフード2を跳ね上げるようにしているので、上述した第1及び第2実施形態で説明した利点に加えて、車両衝突時又は衝突推定時に、フード2をさらに高く持ち上げることができる利点を有している。
これにより、例えば歩行者と衝突した際に歩行者のフード2への二次衝突の衝撃を大幅に緩和でき、車両1の安全性を高めることができる。
次に、本第3実施形態における、車体1aとサスペンション装置3との間の切り離し機構の具体例について図11〜図13を用いて説明すると、図11(a)〜(c)はいずれもその要部を示す平面図,正面図及び側面図、図12(a),(b)は、いずれも図11(a)のBB−BB断面図であって、(a)は跳ね上げ機構6の作動前の通常時における断面図、(b)はその作動後の断面図、図13(a),(b)はいずれもその要部を示す作動前の斜視図及び作動後の斜視図である。
図12(a),(b)に示すように、サスペンション装置3の上端部分には、車体側への取り付け部品であるストラットマウント30が設けられている。このストラットマウント30は、路面からの反力が入力される第1マウント31と、上記第1マウント31に対してストラット軸方向に摺動可能な第2マウント32との2つの部品から構成されている。
このうち、この第1マウント32の上面に上記ヒンジ機構5の車体側ヒンジブラケット5bが固定されている。また、上記第2マウント32には、上方に向けたスタッドボルト32aが溶着されており、このスタッドボルト32を介して、サスペンション装置3と車体1aのストラットアッパハウジング1bとが結合されるようになっている。
また、第1マウント31の本体31aは円筒状に形成されるとともに、その下端部分に本体31aよりも大径のフランジ31bが形成されている。
また、第2マウント32は、第1マウント31のフランジ31bよりも僅かに大径に形成された内径を有する円筒形状に形成されている。また、その上端部分は円筒部の内径よりも僅かに径が小さく形成された穴部32bが形成されている。具体的には、この穴部32bは、上記第1マウント31のフランジ31bよりも小径で、且つ、第1マウント31の本体31aの外径よりも僅かに大径に形成されている。また、この穴部32bにより、第2マウント32の上端内側に段部32cが形成されている。そして、上記の穴部32bに第1マウント31が挿通している。
また、図12(a),(b)及び図13(a),(b)に示すように、第1マウント31の中心側から径方向に複数のピン35が突設しており、通常時には、各ピン35が第2マウント32に形成された係合孔32dに係合することにより、第1マウント31と第2マウント32との相対的な移動が規制されるようになっている。
ここで、各ピン35の基端は、ストラット軸と同軸上に設けられたステッパモータ34の回転軸に対して揺動可能に取り付けられている。また、第1マウント31の所定の位置にはピン35が挿通しうる孔部31cが形成されており、各ピン35はこれらの孔部31cを通じて、先端部が第2マウント32の係合孔32dに係合可能に構成されている。
一方、モータ34はECUに接続されており、このECU11からの制御信号に基づいてその作動が制御されるようになっている。なお、このような構成においては、第1マウント31、第2マウント32、モータ34及びピン35によりフード跳ね上げ機構6が構成されるとともに、車体1aとの切り離し機構が構成される。
以上のような構成により、通常時(非衝突時)においては、各ピン35は第2マウント32の係合孔32dに係合しており、第1マウント31と第2マウント32との相対的な移動が規制される。
したがって、走行時には、タイヤ4から伝達される路面からの入力は、第1マウント31及び第2マウント32を介して、ストラットアッパハウジング1bで受け止められる。
一方、衝突検出時又は衝突推定時には、図示しないECUからの制御信号によりモータ34に制御信号が出力されて、モータ34が所定角度だけ回転する。モータ34が回転することにより、モータ34の回転軸に接続されたピン35が縮退して、第2マウント32の係合孔32dからピン35の先端が離脱する。
これにより、図12(b)及び図13(b)に示すように、車体1aが路面からの反力を受けなくなり、車体1aが自重により下方に落下して、相対的に第1マウント31が第2マウント32よりも上方に移動する。これは、ストラットアッパハウジング1bとサスペンション装置3とを切り離すことと等価である。
したがって、第1マウント31に取り付けられたヒンジ機構5が車体1aに対して相対的に上方に急速に移動して、エンジンルーム1dとフード2との間に衝撃吸収用のスペースが確保される。なお、この場合、図12(b)に示すように、第2マウント32の段部32cが第1マウント31のフランジ31bに当接して、段部32cがストッパとして機能する。これにより、車体1aの必要以上の落下が規制される。
このように、本構造においても、フード2とエンジンルーム1dとの間の空間を十分確保することができ、例えば歩行者と衝突した際に歩行者のフード2への二次衝突の衝撃を大幅に緩和でき、車両1の安全性を高めることができる。
(e)第4の実施形態
次に、本発明の第4の実施形態に係る車両用跳ね上げ式フード装置について説明すると、図14はその要部構成ついて説明する図である。
さて、この第4の実施形態は、第3の実施形態に対して、フード2のヒンジ機構5をさらに高く持ち上げるための機構を付加したものであって、これ以外は、基本的に第4実施形態と同様に構成されている。したがって、以下では第4実施形態に対して異なる部位について説明し、それ以外の説明は極力省略する。
図14に示すように、フード跳ね上げ機構6の本体6aの中央部には、バネ6cにより上方に付勢されたピン部材6dが設けられており、ヒンジ機構5のヒンジブラケット5bはこのピン部材6dの先端に取り付けられている。
また、通常時には、図示しないロック機構により、バネ6cは圧縮された状態で、且つピン部材6dの先端面が本体6aの上面と一致するよう高さに保持されるようになっている。
本発明の第4の実施形態に係る車両用跳ね上げ式フード装置は上述のように構成されているので、その作用について説明すると以下のようになる。
まず、通常時(非衝突時)においては、フード跳ね上げ機構6の本体6aはストラットアッパハウジング1bの開口縁部に係合しており〔図10(a)と同様の状態〕、また、ピン部材6dもその先端面が本体6aの上面と一致するよう高さに保持される。したがって、走行時には、第3の実施形態と同様に、タイヤ4から伝達される路面からの入力は、主にストラットマウントアッセンブリ3a(及びスプリングアッパシート)及びフード跳ね上げ機構6の本体6aを介して、ストラットアッパハウジング1bで受け止められる。
一方、衝突検出時又は衝突推定時には、図示しないECUからの制御信号によりフード跳ね上げ機構6の本体6aとストラットアッパハウジング1bの開口縁部との係合を解除するとともに、ピン部材6dのロックを解除する。
これにより、第3実施形態と同様に、フード跳ね上げ機構6の本体6aに固定されていたヒンジ機構5が相対的に上方に急速に移動する。また、これと同時にピン部材6dがバネ6cの付勢力によって上方に移動して、ヒンジ機構5がさらに上方に持ち上げられて、エンジンルーム1dとフード2との間に衝撃吸収用のスペースが確保される。なお、本実施形態においても、図14に示すように、ストッパ6bがストラットアッパハウジング1bに当接することで、車体1aの必要以上の落下が規制される。
このように、本第4実施形態では、第3実施形態におけるフード持ち上げ量に加えて、さらにフード2を持ち上げることができ、フード2とエンジンルーム1dとの間の空間を十分確保することができる。したがって、例えば歩行者と衝突した際に歩行者のフード2への二次衝突の衝撃を大幅に緩和でき、車両1の安全性を高めることができる。
以上、本発明の実施の形態及びその変形例について説明したが、本発明は上述したような実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、フード2とエンジンルーム1とを接続するヒンジ機構として、図15に示すような4リンク式のヒンジ機構を適用してもよい。サスペンション装置3の形式や構成については何ら限定されない。
本発明の車両用跳ね上げ式フード装置の概要及び作用について示す図である。 本発明の第1実施形態に係る車両用跳ね上げ式フード装置の要部構成について説明する図ある。 本発明の第1実施形態に係る車両用跳ね上げ式フード装置の作用について説明する図である。 本発明の第1実施形態に係る車両用跳ね上げ式フード装置の変形例について示す模式図である。 本発明の第1実施形態に係る車両用跳ね上げ式フード装置の変形例の要部構成及びその作用を示す模式的な断面図である。 本発明の第1実施形態に係る車両用跳ね上げ式フード装置の変形例の作用に示す斜視図である。 本発明の第2実施形態に係る車両用跳ね上げ式フード装置の要部構成及び作用について説明する図である。 本発明の第2実施形態に係る車両用跳ね上げ式フード装置の変形例の作用を示す斜視図である。 本発明の第2実施形態に係る車両用跳ね上げ式フード装置の変形例の要部構成を示す模式的な断面図である。 本発明の第3実施形態に係る車両用跳ね上げ式フード装置の要部構成及び作用について説明する図である。 本発明の第3実施形態に係る車両用跳ね上げ式フード装置の要部の構成の一例を示す模式図である。 本発明の第3実施形態に係る車両用跳ね上げ式フード装置の要部の構成の一例を示す模式的な断面図である。 本発明の第3実施形態に係る車両用跳ね上げ式フード装置の要部の構成の一例の作用について説明する図である。 本発明の第4実施形態に係る車両用跳ね上げ式フード装置の要部構成及び作用について説明する図である。 本発明が適用されるフードのヒンジ機構の他の例について示す図である。 従来技術について説明するための図である。
符号の説明
1 車両
1a 車体(ボディ)
1b ストラットアッパハウジング
1c 開口(穴部)
1d エンジンルーム
2 ボンネットフード(フード)
2a ラッチ
3 サスペンション装置(懸架装置)
3a ストラットマウントアッセンブリ
3b サスペンションスプリング
4 タイヤ(車輪)
5 ヒンジ機構
5a フード側ヒンジブラケット
5b 車体側ヒンジブラケット
5c 回動軸5c
6 跳ね上げ機構
6a フード跳ね上げ機構本体
6b ストッパ(弾性体)
6c バネ
6d ピン部材
7 チャンバ(液室)
8 連通路
9 シリンダ機構
9a ピストン
9b シリンダ
9c 油圧室
9d 耐圧ホース
10 開閉弁
11 ECU(コントロールユニット)
20 ストライカ

Claims (5)

  1. 車輪と車体との間に設けられて路面からの入力を吸収する懸架装置と、
    衝突が検知された際又は衝突が不可避と判断された際に、フードを跳ね上げるフード跳ね上げ機構とをそなえ、
    該フード跳ね上げ機構は、該懸架装置に対する該車体側の取り付け部と該懸架装置との間に介装され、該車体の自重を利用して該フードを跳ね上げるように構成されている
    ことを特徴とする、車両用跳ね上げ式フード装置。
  2. 該フード跳ね上げ機構は、
    該懸架装置と該取り付け部との間に設けられ、作動流体で満たされた液室と、
    該液室に連通路を介して接続されたシリンダ機構と、
    該連通路上に介装された開閉弁とをそなえ、
    該シリンダ機構が該フードに接続され、該開閉弁を開くことにより該車体の自重により該液室の容積を低減させるとともに該シリンダ機構を作動させて該フードを跳ね上げる
    ことを特徴とする、請求項1記載の車両用跳ね上げ式フード装置。
  3. 該フードと該車体とがヒンジ機構を介して接続されるとともに、該ヒンジ機構が少なくとも該車体側に固定される車体側ヒンジブラケットをそなえ、
    該シリンダ機構が該懸架装置の上部に配設されるとともに、
    該車体側ヒンジブラケットが該懸架装置近傍まで延長して形成され、該シリンダ機構が該車体側ヒンジブラケットに接続されている
    ことを特徴とする、請求項2記載の車両用跳ね上げ式フード装置。
  4. 該フードと該車体とがヒンジ機構を介して接続されるとともに、該ヒンジ機構が少なくとも該車体側に固定される車体側ヒンジブラケットをそなえ、
    該シリンダ機構が該フードの後端近傍に配設されるとともに、該シリンダ機構は該ヒンジ機構の回動軸近傍において該車体側ヒンジブラケットに接続されている
    ことを特徴とする、請求項2記載の車両用跳ね上げ式フード装置。
  5. 該フードと該車体とがヒンジ機構を介して接続されるとともに、該ヒンジ機構が少なくとも、該車体側に固定される車体側ヒンジブラケットをそなえ、
    該車体側ヒンジブラケットが該懸架装置近傍まで延長して形成されるとともに該フード跳ね上げ機構に接続され、
    該跳ね上げ機構は、該懸架装置の該車体側の取り付け部を該車体から切り離して該懸架装置の上部をエンジンルーム内に突出可能に構成されている
    ことを特徴とする、請求項1記載の車両用跳ね上げ式フード装置。
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CN111505585A (zh) * 2019-12-10 2020-08-07 南京恩瑞特实业有限公司 一种新型车载雷达翻盖机构

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