JP2008141973A - 心筋細胞の培養増殖法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ES細胞から心筋細胞及び血管系細胞を培養する方法、及びその為の培地の提供。
【解決手段】DL1(Delta like−1)等のNotchリガンドを発現しているストローマ細胞との共生培養によって、Notchシグナル伝達経路を活性化することを含む、ES細胞または心筋・血管各前駆細胞から心筋細胞または血管系細胞を培養増殖する方法。また、Notchリガンドを発現しているストローマ細胞を含む、心筋細胞又は血管系細胞の培養用培地。
【選択図】なし
【解決手段】DL1(Delta like−1)等のNotchリガンドを発現しているストローマ細胞との共生培養によって、Notchシグナル伝達経路を活性化することを含む、ES細胞または心筋・血管各前駆細胞から心筋細胞または血管系細胞を培養増殖する方法。また、Notchリガンドを発現しているストローマ細胞を含む、心筋細胞又は血管系細胞の培養用培地。
【選択図】なし
Description
本発明は、心筋細胞及び血管系細胞の培養増殖法に関する。より詳細にはES細胞から心筋細胞及び血管系細胞を培養する方法及びその為の培地等に関する。
ES細胞(embryonic stem cells)は、ほとんど全ての細胞種に分化する能力を有する多能性幹細胞である。マウスES細胞株は、着床前の胚盤胞内に存在する内部細胞塊(inner cell mass)から樹立される。ES細胞の培地条件を変えたり細胞凝集塊を作らせたりすると、様々な細胞種に分化させることが可能である。特に、胚発生過程で初期に作られる心筋、造血系細胞や神経系細胞に分化させやすい。例えば、マウスES細胞は、LIF(leukemia inhibitory factor)非存在下で細胞塊を作らせると胚葉体(embryoid body)と呼ばれる構造を形成し、胚葉体から外胚葉、中胚葉、内胚葉の細胞が分化し、1週間ほどで自律拍動する心筋細胞のクラスターが観察できる。又、胚葉体の中で血管内皮細胞が発生し、網状の原始的な血管構造を形成することが知られている。心筋細胞や血管系細胞(血管内皮細胞、血管平滑筋細胞)は、中胚葉へ分化誘導された細胞から発生する。しかしながらこのような結果は、胚葉体という多種多様な細胞集団の中で起こったものであり、現在のところ、心筋細胞を平面培養で(シングルコロニーとして)得ようと思うと、ストローマ細胞と共生培養する方法しかない(非特許文献1)。
種々のシグナル伝達機構が細胞分化に影響を及ぼすことが知られているが、その一つにNotchシグナル伝達経路がある。Notchシグナル伝達経路は、神経系、造血系、血管系等の様々な分化過程に関与する、ヒトを含め脊椎動物から節足動物まで多くの後生動物でよく保存された経路である(非特許文献2〜5)。哺乳類においては現在6種類のリガンド(Delta−like 1、3、4及びDelta−like 1ホモログと呼ばれる4つのデルタ様ホモログと、Jagged 1及び2と呼ばれるセラート様ホモログ)と4種類の受容体(Notch 1〜4)が同定されている。Notch受容体にリガンドが結合すると細胞表面のNotch蛋白質が、TACE(TNFα converting enzyme:TNF−α変換酵素)と呼ばれるプロテアーゼによって細胞外部分で切断された後、γセクレターゼにより細胞内部分で切断される。切断されたNotchは自身の持つ核内移行シグナルで核へと移行して、核内のCBF1(C promoter-binding factor)と結合することで標的遺伝子の転写が活性化される(非特許文献6)。
これまで、Notchシグナル伝達経路は、心筋細胞の発生・分化には抑制的に働くというのが通説であった。例えば非特許文献5には、Xenopus胚を用いNotchシグナル伝達経路を活性化することにより心臓の発生・分化が阻害されることが記載されている。
Nishikawa SI, Nishikawa S, Hirashima M, Matsuyoshi N, Kodama H.,Development. 1998 May;125(9):1747-57 Myat A., Henrique D., Ish-Horowicz D., Lewis J., Dev. Biol. 1996 Mar 15; 174(2): 233-47 Conlon RA., Reaume AG., Rossant J., Development 1995 May; 121(5): 1533-45 Westin J., Lardelli M., Dev. Genes Evol. 1997 May; 207(1): 51-63 Rones MS., McLaughlin KA., Raffin M., Mercola M., Development 2000 Sep; 127(17): 3865-76 Artavanis-Tsakonas S., Rand MD., Lake RJ., Science 1999 Apr 30; 284(5415): 770-776
Nishikawa SI, Nishikawa S, Hirashima M, Matsuyoshi N, Kodama H.,Development. 1998 May;125(9):1747-57 Myat A., Henrique D., Ish-Horowicz D., Lewis J., Dev. Biol. 1996 Mar 15; 174(2): 233-47 Conlon RA., Reaume AG., Rossant J., Development 1995 May; 121(5): 1533-45 Westin J., Lardelli M., Dev. Genes Evol. 1997 May; 207(1): 51-63 Rones MS., McLaughlin KA., Raffin M., Mercola M., Development 2000 Sep; 127(17): 3865-76 Artavanis-Tsakonas S., Rand MD., Lake RJ., Science 1999 Apr 30; 284(5415): 770-776
本発明は、ES細胞から心筋細胞及び血管系細胞を培養する方法並びにES細胞から心筋細胞及び血管系細胞を培養するための培地の提供を目的とする。
本発明者らは、上記課題に鑑み、心筋細胞への分化誘導に関与するシグナル伝達機構について解析したところ、驚くべきことに心筋への分化に関して抑制的に働くということが通説であったNotchシグナル伝達経路の活性化が、発生のより初期の段階(本発明においてはES細胞を用いて証明した)においては逆にその増殖を促進することを見出した。同時に、血管系細胞の増殖もまたNotchシグナル伝達経路の活性化により誘導されることを見出した。以上の事実から本発明者らは、ES細胞において、Notchリガンドで該シグナル伝達経路を活性化することにより、高収率で心筋細胞及び血管系細胞を得ることに成功して本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は下記の通りである。
〔1〕Notchシグナル伝達経路を活性化することを含む、ES細胞から心筋細胞又は血管系細胞を培養増殖する方法。
〔2〕Notchシグナル伝達経路の活性化が、Notchリガンドとの接触により行われる、上記〔1〕記載の方法。
〔3〕Notchリガンドとの接触が、Notchリガンドを発現しているストローマ細胞との共生培養によって実施される、上記〔2〕記載の方法。
〔4〕NotchリガンドがDL1である、上記〔2〕又は〔3〕記載の方法。
〔5〕ストローマ細胞がOP9又はMC3T3−Eである、上記〔3〕又は〔4〕記載の方法。
〔6〕ES細胞がヒト又はマウス由来である、上記〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の方法。
〔7〕さらに、リガンドとの接触前にES細胞を中胚葉分化誘導する工程を含む、上記〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の方法。
〔8〕中胚葉分化誘導が、ゼラチンコートされた培養皿上で細胞を培養することによって行われる、上記〔7〕記載の方法。
〔9〕Notchシグナル伝達経路を活性化することを含む、心筋前駆細胞から心筋細胞を培養増殖する方法。
〔10〕Notchシグナル伝達経路の活性化が、Notchリガンドとの接触により行われる、上記〔9〕記載の方法。
〔11〕Notchリガンドとの接触が、Notchリガンドを発現しているストローマ細胞との共生培養によって実施される、上記〔10〕記載の方法。
〔12〕NotchリガンドがDL1である、上記〔10〕又は〔11〕記載の方法。
〔13〕ストローマ細胞がOP9又はMC3T3−Eである、上記〔11〕又は〔12〕記載の方法。
〔14〕心筋前駆細胞がヒト又はマウス由来である、上記〔9〕〜〔13〕のいずれか1項に記載の方法。
〔15〕心筋前駆細胞が、Flk−1又はPDGFRαを発現している、上記〔9〕〜〔14〕のいずれか1項に記載の方法。
〔16〕心筋前駆細胞が、Flk−1及びPDGFRαを発現している、上記〔9〕〜〔14〕のいずれか1項に記載の方法。
〔17〕Notchシグナル伝達経路を活性化することを含む、血管前駆細胞から血管系細胞を培養増殖する方法。
〔18〕Notchシグナル伝達経路の活性化が、Notchリガンドとの接触により行われる、上記〔17〕記載の方法。
〔19〕Notchリガンドとの接触が、Notchリガンドを発現しているストローマ細胞との共生培養によって実施される、上記〔18〕記載の方法。
〔20〕NotchリガンドがDL1である、上記〔18〕又は〔19〕記載の方法。
〔21〕ストローマ細胞がOP9又はMC3T3−Eである、上記〔19〕又は〔20〕記載の方法。
〔22〕血管前駆細胞がヒト又はマウス由来である、上記〔17〕〜〔21〕のいずれか1項に記載の方法。
〔23〕Notchリガンドを含有する、心筋細胞又は血管系細胞の培養用培地。
〔24〕Notchリガンドを、ストローマ細胞の細胞膜上に発現している状態で用いることを特徴とする、上記〔23〕記載の培地。
〔25〕NotchリガンドがDL1である、上記〔23〕又は〔24〕記載の培地。
〔26〕ストローマ細胞がOP9又はMC3T3−Eである、上記〔24〕又は〔25〕記載の培地。
〔1〕Notchシグナル伝達経路を活性化することを含む、ES細胞から心筋細胞又は血管系細胞を培養増殖する方法。
〔2〕Notchシグナル伝達経路の活性化が、Notchリガンドとの接触により行われる、上記〔1〕記載の方法。
〔3〕Notchリガンドとの接触が、Notchリガンドを発現しているストローマ細胞との共生培養によって実施される、上記〔2〕記載の方法。
〔4〕NotchリガンドがDL1である、上記〔2〕又は〔3〕記載の方法。
〔5〕ストローマ細胞がOP9又はMC3T3−Eである、上記〔3〕又は〔4〕記載の方法。
〔6〕ES細胞がヒト又はマウス由来である、上記〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の方法。
〔7〕さらに、リガンドとの接触前にES細胞を中胚葉分化誘導する工程を含む、上記〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の方法。
〔8〕中胚葉分化誘導が、ゼラチンコートされた培養皿上で細胞を培養することによって行われる、上記〔7〕記載の方法。
〔9〕Notchシグナル伝達経路を活性化することを含む、心筋前駆細胞から心筋細胞を培養増殖する方法。
〔10〕Notchシグナル伝達経路の活性化が、Notchリガンドとの接触により行われる、上記〔9〕記載の方法。
〔11〕Notchリガンドとの接触が、Notchリガンドを発現しているストローマ細胞との共生培養によって実施される、上記〔10〕記載の方法。
〔12〕NotchリガンドがDL1である、上記〔10〕又は〔11〕記載の方法。
〔13〕ストローマ細胞がOP9又はMC3T3−Eである、上記〔11〕又は〔12〕記載の方法。
〔14〕心筋前駆細胞がヒト又はマウス由来である、上記〔9〕〜〔13〕のいずれか1項に記載の方法。
〔15〕心筋前駆細胞が、Flk−1又はPDGFRαを発現している、上記〔9〕〜〔14〕のいずれか1項に記載の方法。
〔16〕心筋前駆細胞が、Flk−1及びPDGFRαを発現している、上記〔9〕〜〔14〕のいずれか1項に記載の方法。
〔17〕Notchシグナル伝達経路を活性化することを含む、血管前駆細胞から血管系細胞を培養増殖する方法。
〔18〕Notchシグナル伝達経路の活性化が、Notchリガンドとの接触により行われる、上記〔17〕記載の方法。
〔19〕Notchリガンドとの接触が、Notchリガンドを発現しているストローマ細胞との共生培養によって実施される、上記〔18〕記載の方法。
〔20〕NotchリガンドがDL1である、上記〔18〕又は〔19〕記載の方法。
〔21〕ストローマ細胞がOP9又はMC3T3−Eである、上記〔19〕又は〔20〕記載の方法。
〔22〕血管前駆細胞がヒト又はマウス由来である、上記〔17〕〜〔21〕のいずれか1項に記載の方法。
〔23〕Notchリガンドを含有する、心筋細胞又は血管系細胞の培養用培地。
〔24〕Notchリガンドを、ストローマ細胞の細胞膜上に発現している状態で用いることを特徴とする、上記〔23〕記載の培地。
〔25〕NotchリガンドがDL1である、上記〔23〕又は〔24〕記載の培地。
〔26〕ストローマ細胞がOP9又はMC3T3−Eである、上記〔24〕又は〔25〕記載の培地。
本発明の方法によれば、ES細胞を出発材料とした心筋培養において、ストローマ細胞との共生培養による平面培養という従来の方法に比べてより収率よく心筋細胞を得ることができる。得られた心筋細胞は、心筋再生治療に用いることが可能な心筋移植片等の作製に用いることができる。さらに、本発明の方法によればES細胞を出発材料として効率よく血管系細胞を得ることができる。得られた血管系細胞は、血管再生医療の分野で非常に有用である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本明細書において、「ES細胞」とは、初期胚の多能性幹細胞を取り出し、インビトロで培養できるように株化したものを意味する。例えばマウスのES細胞は、LIFの存在下で未分化性を維持して増殖するが、LIFの非存在下では増殖率が低下して初期胚同様の細胞分化を起こす。ES細胞の由来は、特に限定されないが、哺乳動物に由来するものであることが好ましい。例えば、ヒト、サル、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、イヌ、ネコ、ヒツジ、ブタ等の哺乳動物由来のES細胞を用いることができる。特によく樹立されているヒトやマウスのES細胞が好ましい。ES細胞として、細胞バンクに登録された、又は市販品のES細胞株を使用することができる。マウスES細胞としてはEB5細胞(Niwa H. et al. Nat. Genet., 2000; 24: 372-376)等が、ヒトES細胞としては、H9.2細胞(Kehat et al. JCI., 2001; 108: 407-414)、HES−2細胞(Mummery et al. Journal of Anatomy, 2002; 200: 233-242)、H1、H7、H9細胞(Xu et al. Circulation Research, 2002; 91: 501-508)等が知られている。
本明細書において、「ES細胞」とは、初期胚の多能性幹細胞を取り出し、インビトロで培養できるように株化したものを意味する。例えばマウスのES細胞は、LIFの存在下で未分化性を維持して増殖するが、LIFの非存在下では増殖率が低下して初期胚同様の細胞分化を起こす。ES細胞の由来は、特に限定されないが、哺乳動物に由来するものであることが好ましい。例えば、ヒト、サル、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、イヌ、ネコ、ヒツジ、ブタ等の哺乳動物由来のES細胞を用いることができる。特によく樹立されているヒトやマウスのES細胞が好ましい。ES細胞として、細胞バンクに登録された、又は市販品のES細胞株を使用することができる。マウスES細胞としてはEB5細胞(Niwa H. et al. Nat. Genet., 2000; 24: 372-376)等が、ヒトES細胞としては、H9.2細胞(Kehat et al. JCI., 2001; 108: 407-414)、HES−2細胞(Mummery et al. Journal of Anatomy, 2002; 200: 233-242)、H1、H7、H9細胞(Xu et al. Circulation Research, 2002; 91: 501-508)等が知られている。
ES細胞は、初期胚において様々な体細胞系譜と生殖細胞系譜が分岐する以前の未分化幹細胞から由来する細胞株である。ES細胞の培地条件を変えたり細胞凝集塊を作らせたりすると、様々な細胞種に分化させることが可能である。例えば外胚葉へと分化誘導されれば脳神経系や表皮を司る細胞へ、中胚葉へと分化誘導されれば血球、血管系細胞(血管内皮細胞、血管平滑筋細胞)、心臓、筋肉、腎臓を司る細胞へ、内胚葉へと分化誘導されれば消化管、肝臓、膵臓を司る細胞へと導かれる。本発明において、ES細胞は、心筋細胞や血管系細胞へと導かれる中胚葉へとあらかじめ分化誘導されていてもよく、所望する細胞の収率向上の観点から中胚葉へと分化誘導されていることが好ましい。
ES細胞から中胚葉細胞への分化誘導(以降、単に中胚葉分化誘導ともいう)は、通常当分野で実施されている手法を用いて行えばよい(Yamashita J., Nature 2000; 408(6808): 92-6、Nishikawa SI. Development 1998; 125(9): 1747)。例えばマウスEB5細胞を用いた場合について記載する。EB5細胞をゼラチン(好ましくは0.1%程度;Sigma-Aldrich Japan, Tokyo Japan等)コートした培養皿で、培養液(例えば、1%ウシ胎児血清(EQUITECH, Cotton Gin Lane Kerrville, TX等)、10%KnockOut(登録商標)血清リプレースメント(Invitrogen等)、0.1mM非必須アミノ酸(Invitrogen等)、1mMピルビン酸ナトリウム(Invitrogen等)、0.1mM 2−メルカプトエタノール(SIGMA, St. Louis, MO等)、2000U/ml LIF(Leukemia inhibitory factor; Chemicon International Inc. Temecula, CA等)及び500μg/mlブラストサイジン(Invitrogen等)を添加したα最小必須培地(αMEM;Invitorgen, Tokyo, Japan等))中で、36.5〜37.5℃、好ましくは37℃、5%CO2雰囲気下で5日間培養する。
これらの培養条件の詳細は細胞の状況等の要因によって適宜変更され得る。
これらの培養条件の詳細は細胞の状況等の要因によって適宜変更され得る。
中胚葉細胞への分化誘導が適切に行われたかどうかは細胞表面マーカーの発現様式を解析することによって確認することができる。具体的には、Flk−1及びPDGFRαの発現状況を単独で、あるいは組み合わせて測定する。
Flk−1は、血管内皮増殖因子受容体VEGFの受容体として機能し、膜1回貫通型のチロシンキナ−ゼで、細胞外には7つの免疫グロブリン様構造をもち、細胞内にはキナーゼドメインとこれを二分するキナーゼインサートをもつことが特徴である(Developmental Biology S.F. Gilbert 7th Edition Chapter 15 Lateral Plate Mesoderm. Sinauer)。正常血管や腫瘍血管の新生、血管透過性に極めて重要な役割を果たすことが明らかになりつつある。また、血管内皮前駆細胞のマーカー、中胚葉のマーカーと考えられている(Cortes et al., Mech Dev. 1999; 83(1-2):161-4、Ogawa et al., Blood 1999; 93(4):1168-77)。PDGFR(血小板由来増殖因子受容体)は、種々の間葉系細胞に発現している分子量約18万の糖鎖を有する膜蛋白質でチロシンキナーゼ活性を有する。アミノ酸残基配列の類似したα及びβ受容体が存在する。マウス発生の原腸陥入期に、沿軸中胚葉に強い発現がみられ、発生の進行とともに間葉系組織に広く分布すること、マウスES細胞よりBMP4刺激により誘導されるPDGFRα陽性細胞群から、中胚葉組織の軟骨形成が効率的に分化誘導されることが報告されている。
本発明においては、中胚葉分化誘導条件下で培養した後の細胞(細胞集団)における細胞表面マーカーの発現を測定し、Flk−1又はPDGFRαを、好ましくはFlk−1を、特に好ましくはFlk−1及びPDGFRαを両方とも発現している細胞をNotchリガンドとの接触に用いる。
Flk−1発現の解析及びPDGFRα発現の解析は、細胞の表面マーカーであるこれらの蛋白質の発現が解析できれば特にその手法は限定されないが、一般的に免疫反応を用いた方法が簡便であり、また細胞を傷つけることなく好ましい。具体的にはFlk−1に特異的親和性を有する物質、並びにPDGFRαに特異的親和性を有する物質を用いて行う。
本明細書中、「用いて」という用語について、その方法は特に限定されず、具体的には、例えばFlk−1及びPDGFRαと特異的親和性を有する物質を用いる場合であれば該蛋白質の抗体との抗原抗体反応を利用する方法が挙げられる。
Flk−1及びPDGFRαと、それぞれ特異的な親和性を有する物質としては例えば当該蛋白質に特異的親和性を有する抗体又はその断片が挙げられ、その特異的親和性とは抗原・抗体反応により該蛋白質を特異的に認識し、結合する能力のことである。該抗体又はその断片は、当該蛋白質と特異的に結合可能なものであれば特に限定されず、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体及びそれらの機能的断片のいずれであってもよい。これらの抗体あるいはその機能的断片は、通常当分野で行なわれている方法によって製せられる。例えばポリクローナル抗体を用いる場合であれば、該蛋白質をマウスやウサギといった動物の背部皮下あるいは腹腔内あるいは静脈等に注射して免疫し、抗体価が上昇するのを待った後に抗血清を採取する方法が挙げられ、またモノクローナル抗体を用いる場合であれば、常法に従いハイブリドーマを作製して、その分泌液を採取する方法が挙げられる。抗体断片を製造する方法としてはクローニングした抗体遺伝子断片を微生物等に発現させる方法がよく用いられている。当該抗体、抗体断片等の純度は、当該蛋白質との特異的親和性を保持している限り、特に限定されない。これらの抗体又はその断片は、蛍光物質、酵素やラジオアイソトープ等で標識されていてもよい。
さらに、これらは市販されているものを用いても良い。
さらに、これらは市販されているものを用いても良い。
本発明は、さらに、心筋前駆細胞から心筋細胞をより効率的に培養する方法を提供する。
本発明において「心筋前駆細胞」とは、分化すれば自己拍動し心筋特異的遺伝子を発現するようになる(心筋細胞になる)細胞集団のことを指し、好ましくは中胚葉由来(Flk−1陽性)の細胞であり、より好ましくはFlk−1陽性であり且つPDGFRα陽性である。
本発明において「心筋前駆細胞」とは、分化すれば自己拍動し心筋特異的遺伝子を発現するようになる(心筋細胞になる)細胞集団のことを指し、好ましくは中胚葉由来(Flk−1陽性)の細胞であり、より好ましくはFlk−1陽性であり且つPDGFRα陽性である。
心筋前駆細胞は、中胚葉細胞を含有する細胞集団から得ることができる。中胚葉細胞を含有する細胞集団とは、中胚葉由来の組織を形成し得る細胞を含有している細胞の集合体であれば、その由来は特に問わない。例えば末梢血、骨髄組織、脂肪組織、骨格筋組織、羊膜組織、胎盤組織、臍帯血などから得られる組織幹細胞由来のものであってもよいし、また、胚性幹細胞(ES細胞)、胚性腫瘍細胞(EC細胞)あるいは始原生殖細胞由来細胞(EG細胞)から分化誘導されたものであってもよい。好ましくはES細胞を中胚葉分化誘導したものである。
心筋前駆細胞を得るにあたって、ES細胞から中胚葉細胞へ分化誘導する方法ならびに中胚葉細胞への分化誘導を確認する方法は上述の通りである。
ES細胞、中胚葉分化誘導したES細胞、及び心筋前駆細胞は、適切な条件下で心筋細胞へと分化する能力を有している。本発明は、Notchシグナル伝達経路を活性化することによってこれらの細胞供給源から心筋細胞を効率的に培養できるという知見に基づいている。
本発明は、さらに、血管前駆細胞から血管系細胞(血管内皮細胞、血管平滑筋細胞)をより効率的に培養する方法を提供する。
本発明において「血管前駆細胞」とは、VEGF(血管内皮増殖因子)の存在下に培養すると分化して血管内皮細胞や血管平滑筋細胞となり、網状の血管構造が構築されるようになる細胞集団のことを指し、好ましくは中胚葉由来(Flk−1陽性)の細胞である。。
本発明において「血管前駆細胞」とは、VEGF(血管内皮増殖因子)の存在下に培養すると分化して血管内皮細胞や血管平滑筋細胞となり、網状の血管構造が構築されるようになる細胞集団のことを指し、好ましくは中胚葉由来(Flk−1陽性)の細胞である。。
血管前駆細胞は、中胚葉細胞を含有する細胞集団から得ることができる。中胚葉細胞を含有する細胞集団とは、中胚葉由来の組織を形成し得る細胞を含有している細胞の集合体であれば、その由来は特に問わない。例えば末梢血、骨髄組織、脂肪組織、骨格筋組織、羊膜組織、胎盤組織、臍帯血などから得られる組織幹細胞由来のものであってもよいし、また、胚性幹細胞(ES細胞)、胚性腫瘍細胞(EC細胞)あるいは始原生殖細胞由来細胞(EG細胞)から分化誘導されたものであってもよい。好ましくはES細胞を中胚葉分化誘導したものである。
血管前駆細胞を得るにあたって、ES細胞から中胚葉細胞へ分化誘導する方法ならびに中胚葉細胞への分化誘導を確認する方法は上述の通りである。
ES細胞、中胚葉分化誘導したES細胞、及び血管前駆細胞は、適切な条件下で血管系細胞へと分化する能力を有している。本発明は、Notchシグナル伝達経路を活性化することによってこれらの細胞供給源から血管系細胞を効率的に培養できるという知見に基づいている。
Notchシグナル伝達(Notchシグナリングとも称する)経路は、神経形成、造血、血管形成等の様々な分化過程に関与する、ヒトを含め脊椎動物から節足動物まで多くの後生動物でよく保存された経路である(非特許文献2〜4)。Notchシグナル伝達経路の活性化は、一連の蛋白質分解過程を経て進む。リガンドが受容体に結合することによって、細胞表面のメタロプロテアーゼTACEによる分解を受けやすくなりNotchの細胞外ドメインが外れる。一方、Notchの細胞内ドメインは、γセクレターゼにより分解される。可溶性蛋白質となったNotchの細胞内ドメインは細胞質内へ放出される。細胞内ドメインは核の局在シグナルを有しており、核へ移行し核内の転写調節因子と結合する。その結果、下流の遺伝子産物の幾つかが活性化される。
本発明において、Notchシグナル伝達経路の活性化(Notchシグナリングの活性化とも称する)は、リガンドとの接触下に行われる。リガンドはそれ自身が膜貫通蛋白質であり、従ってNotchシグナリングの活性化は隣接細胞の細胞表面上に発現したリガンドを介して生じる。Notch受容体とリガンドとの接触は、該受容体を発現しているES細胞又はその子孫細胞と該リガンドを発現している隣接細胞とを共生培養することによって簡便に行うことができる。リガンドを発現している隣接細胞として平面培養を可能にするストローマ細胞を用いることは、心筋細胞や血管系細胞への分化誘導を促進する上で都合がよい。ストローマ細胞とは、骨髄や臍帯の中に存在する造血細胞や血液細胞以外の接着性の細胞をいい、細胞分化を誘導するのに必要な環境を作り出す働きを担う。具体的には、ヒト、サル、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウマ、マウスなどの骨髄、臍帯、脾臓、子宮、胎盤、血管等に由来する線維芽細胞、内皮細胞、脂肪細胞、マクロファージなどが挙げられる。また、これらの細胞は、初代細胞であっても、株化細胞であってもよい。これらのストローマ細胞は、体内においては、骨髄内部表面等に接着するものであるが、本発明の心筋細胞又は血管系細胞の培養増殖方法においては、培養皿等の上に伸展する。ストローマ細胞としては、例えば骨髄の間質由来のOP9株(Nakano T, Kodama H, Honjo T., Science 1994 Aug 19;265(5175):1098-101)や、前骨芽細胞株MC3T3−E(Sudo H, Kodama HA, Amagai Y, Yamamoto S, Kasai S., J Cell Biol. 1983 Jan;96(1):191-8)、PA6株(Kodama HA, Amagai Y, Koyama H, Kasai S., J Cell Physiol. 1982 Jul;112(1):89-95)等が用いられる。好ましくはOP9株及びMC3T3−E株である。
ストローマ細胞にNotchリガンドを発現させる方法は、当分野で通常行われている外来遺伝子を所望の細胞に導入する手法が用いられる。具体的には、Notchリガンドをコードする遺伝子が挿入されたベクターをストローマ細胞にトランスフェクトすることによって行われる。Notchリガンドは、哺乳類においては現在6種類のリガンド(Delta−like 1、3、4及びDelta−like 1ホモログと呼ばれる4つのデルタ様ホモログと、Jagged 1及び2と呼ばれるセラート様ホモログ)が知られており、それをコードする遺伝子は、例えばマウス、ヒトでは以下のとおり報告されている。
また、Notch受容体との結合能を維持し、Notchシグナリングの活性化を行うことができる限り、リガンドは、そのアミノ酸配列レベルで1若しくは複数のアミノ酸配列が置換、欠失、挿入及び/又は付加されたアミノ酸配列を有するものであってもよい。例えば、エキソヌクレアーゼを用いるdeletion mutant作製法、カセット変異法等のsite-directed mutagenesisによってリガンドをコードするDNAを人為的に改変させ、該改変DNAを用いてストローマ細胞へのトランスフェクションを行ってもよい。
本発明において使用するベクターは、目的に応じて適当なベクターを選択することができる。具体的には、哺乳動物由来のベクター(例えば、pcDNA3やpEGF−BOS、pEF、pCDM8、pCXN)、昆虫細胞由来のベクター(例えば、pBacPAK8)、植物由来の発現ベクター(例えばpMH1、pMH2)、動物ウイルス由来のベクター(例えば、pHSV、pMV、pAdexLcw)、レトロウイルス由来のベクター(例えば、pMSCV、pZIPneo)、酵母由来のベクター(例えば、pNV11、SP−Q01)、枯草菌由来のベクター(例えば、pPL608、pKTH50)、大腸菌ベクター(M13系ベクター、pUC系ベクター、pBR322、pBluescript、pCR−Script)等を挙げることができる。本発明において、哺乳動物細胞内で発現可能なベクターを用いることが好ましい。ベクターを細胞へ導入するには、例えば、リン酸カルシウム法、DEAEデキストラン法、カチオニックリポソームDOTAPを用いた方法、エレクトロポレーション法、リポフェクション法、ウイルスによる感染導入方法(pMX、pMSCV等)、パーティクルガン等から選択することにより行うことができる。ストローマ細胞にNotchリガンドを発現させる為に用いるベクターとしては、pMSCVが好ましい。かかるベクターをもとに適当な介在配列やベクター選別の為の配列、マーカー配列等を用いてリガンド発現ベクターを構築する。介在配列としてはIRES(Internal Ribosome Entry Site)配列やその改変物が例示される。ベクター選別の為の配列やマーカー配列としては、薬剤耐性遺伝子や栄養要求性変異を相補する遺伝子、蛍光性蛋白質をコードする遺伝子等が例示される。
リガンドを発現している細胞(好ましくはストローマ細胞)とES細胞(以下、中胚葉分化誘導したES細胞を含む)又は心筋前駆細胞あるいは血管前駆細胞(以下、便宜上心筋前駆細胞と血管前駆細胞とを単に「前駆細胞」と総称することもある)とを共生培養する方法は、ES細胞又は前駆細胞の心筋細胞あるいは血管系細胞への分化誘導が促進されるような条件下で行われる。ストローマ細胞を培養する条件は、最終的にストローマ細胞の層上でES細胞又は前駆細胞が心筋細胞あるいは血管系細胞へ分化誘導される限り特に限定されないが、通常、ストローマ細胞がコンフルエントな状態になる迄培養する。各ストローマ細胞について既に知られている方法に準じて培養液、培養pH及び培養温度を設定することができる。ストローマ細胞がコンフルエントな状態となり、培養皿、プレート等に層を形成した時点で、ES細胞又は前駆細胞の細胞懸濁液をその層上に播種する。播種後、通常6〜8日間、好ましくは7日間、36.5〜37.5℃、好ましくは37℃、5%CO2雰囲気下、ストローマ細胞との共生培養を行う。上記した培養条件は、用いるES細胞又は前駆細胞、及びストローマ細胞の種類や状況に応じて適宜変更することができる。
本発明の別の態様においては、Notch受容体とリガンドとの接触は、単離されたリガンドを含有する媒体中でNotch受容体を発現している細胞(本発明においてはES細胞や前駆細胞)を培養することによって行ってもよい。単離されたリガンドを用いる場合でも、ES細胞又は前駆細胞は平面培養に適するようにストローマ細胞と共生培養することが望ましい。リガンドは、(1)該リガンドを産生する細胞または組織の培養物を原料として単離精製する方法、(2)化学的に合成する方法又は(3)遺伝子組換え技術等により該リガンドを発現するように操作された細胞から精製する方法等の公知手法を適宜用いることによって取得することができる。
本発明においてリガンドの単離精製は、例えば以下のようにして行うことができる。すなわち適当な液体培地中で、該リガンドを発現している細胞を培養し、得られる培養物から公知の方法で抽出、精製する。当該抽出、精製の方法は目的生成物の存在する画分に応じて適宜公知の手法が用いられる。
本発明においてリガンドの単離精製は、例えば以下のようにして行うことができる。すなわち適当な液体培地中で、該リガンドを発現している細胞を培養し、得られる培養物から公知の方法で抽出、精製する。当該抽出、精製の方法は目的生成物の存在する画分に応じて適宜公知の手法が用いられる。
化学合成による場合は、該リガンドをコードする塩基配列を基にして、該配列の全部または一部がコードするアミノ酸を特定し、該アミノ酸をペプチド合成機を用いて合成あるいは半合成することにより行うことができる。
リガンドを含有する媒体中でのNotch受容体を発現している細胞の培養方法は、当該リガンドがNotch受容体に結合してNotch伝達経路を活性化し、心筋細胞あるいは血管系細胞を誘導する限り特に限定されない。媒体としては、ES細胞や前駆細胞の生存ならびに心筋あるいは血管系細胞への分化誘導に不利とならない限り特に限定されず、具体的には、細胞の培養液や緩衝液等が挙げられる。ES細胞又は前駆細胞を単離されたリガンドを含有する媒体中、通常6〜8日間、好ましくは7日間、36.5〜37.5℃、好ましくは37℃、5%CO2雰囲気下で培養する。必要に応じて媒体交換を行う。これらの培養条件は、用いるES細胞又は前駆細胞の種類や状況に応じて適宜変更することができる。
本発明のES細胞から心筋細胞あるいは血管系細胞を培養増殖する方法、及び前駆細胞から心筋細胞あるいは血管系細胞を培養増殖する方法を用いれば、より効率よく心筋細胞や血管系細胞を得ることができる。
心筋細胞の存在確認は、細胞の拍動能や心筋特異的遺伝子の発現の有無を解析することによって行われる。心筋特異的遺伝子としては心筋トロポニンT(cTn−T)、αミオシン重鎖(αMHC)、転写因子Nkx2−5等が挙げられる。拍動能の有無は顕微鏡を用いた形態学的な観察により確認することができる。心筋特異的遺伝子の発現の有無は、当該遺伝子がコードしている心筋特異的蛋白質の発現をそれら蛋白質の抗体を用いて解析すること(例えばウェスタンブロッティング)によって、あるいは当該遺伝子の発現を当該遺伝子に相補的な配列を有する(ポリ)ヌクレオチドを用いて解析すること(例えばノザンブロッティング)等によって確認することができる。
血管系細胞の存在確認は、特徴的な血管の網状構造の形成や血管内皮細胞に特異的な遺伝子の発現や血管平滑筋細胞に特異的な遺伝子の発現の有無を解析することによって行われる。血管内皮細胞に特異的な遺伝子としてはCD31、VEカドヘリン等が、血管平滑筋に特異的な遺伝子としては、α平滑筋アクチン(α−SMA)等が挙げられる。網状の血管構造の形成は、顕微鏡を用いた形態学的な観察により確認することができる。特異的遺伝子の発現の有無は、当該遺伝子がコードしている特異的蛋白質の発現をそれら蛋白質の抗体を用いて解析すること(例えばウェスタンブロッティング)によって、あるいは当該遺伝子の発現を当該遺伝子に相補的な配列を有する(ポリ)ヌクレオチドを用いて解析すること(例えばノザンブロッティング)等によって確認することができる。
本発明の方法によって得られる心筋細胞を心筋移植に用いる場合は、培養皿の代わりに心筋移植用の生理学的に許容される担体上で心筋細胞への分化誘導を行って得られる心筋移植片を用いることができる。担体としては、ポリグリコール酸(Poly glycolic acid(PGA))、ポリ乳酸(Poly lactic acid(PLA))、ポリ乳酸・ポリグリコール酸共重合体(lactic-co-glycolic acid(PLGA))、ポリカプロラクトン(Polycaprolactone)等の非生物由来のもの、界面活性剤やリボヌクレアーゼ等を用いて脱細胞化処理を施すことによって得られるコラーゲンやエラスチン等の細胞外マトリックスからなる組織、コラーゲンやエラスチン等の細胞外マトリックス成分を用いて人工的に構成した組織等の生物由来のものが挙げられる。
本発明の方法によって得られる心筋細胞は、心筋梗塞の治療、心筋変性疾患の治療、筋ジストロフィーの治療等に有望である。
本発明の方法によって得られる心筋細胞は、心筋梗塞の治療、心筋変性疾患の治療、筋ジストロフィーの治療等に有望である。
本発明の方法によって得られる血管系細胞は、虚血疾患部位に移植することが可能であり、血管再生医療に好適に用いることができる。例えば、人工血管への応用、血管移植への適用、血管障害への応用等が期待できる。
さらに本発明はNotchリガンド(好ましくはDL1)を含有する、心筋細胞又は血管系細胞の培養、好ましくはES細胞(中胚葉分化誘導したものも含む)、心筋前駆細胞、血管前駆細胞から心筋細胞又は血管系細胞を培養増殖する為の培地を提供する。該培地としては、通常ES細胞や前駆細胞を培養するのに用いられる培地に、Notchリガンドを発現しているストローマ細胞を含有させるか、又はNotchリガンド自体を当該培地に含めることによって、調製することができる。
培地中のNotchリガンドの量は、用いるリガンドの種類等によって異なるが、細胞の生育状況、分化誘導の程度等に応じて適宜設定される。
培地中のNotchリガンドの量は、用いるリガンドの種類等によって異なるが、細胞の生育状況、分化誘導の程度等に応じて適宜設定される。
以下実施例を示して本発明をさらに詳しく説明するが、実施例は本発明の説明のために記載するものであり、本発明を限定するものではない。
実施例1:心臓形成及び血管形成への影響
Notchシグナリングの活性化がES細胞の分化(心臓形成、血管形成)にどのような影響を与えるかを調べた。Notchシグナリングの活性化は、NotchリガンドであるDL1を発現するストローマ細胞との共生培養により行った。手順を図1に示す。
実施例1:心臓形成及び血管形成への影響
Notchシグナリングの活性化がES細胞の分化(心臓形成、血管形成)にどのような影響を与えるかを調べた。Notchシグナリングの活性化は、NotchリガンドであるDL1を発現するストローマ細胞との共生培養により行った。手順を図1に示す。
[材料と方法]
(1)ES細胞
マウス由来ES細胞株EB5細胞を用いて分化誘導を解析した。EB5細胞は丹羽仁史博士(理研発生・再生科学総合研究センター)から供与された。EB5細胞は、E14tg2α ES細胞に、Oct−3/4遺伝子プロモーター下流に薬剤耐性遺伝子であるAspergillus blastcidin S deamininase遺伝子をIRES配列を用いてノックインした細胞である(Niwa H, Miyazaki J, Smith AG. Quantitative expression of Oct-3/4 defines differentiation, dedifferentiation or self-renewal of ES cells. Nat Genet. 2000; 24: 372-376)。EB5細胞を、0.1%ゼラチン(タイプA)(Sigma-Aldrich Japan, Tokyo Japan)でコーティングした培養皿を用い、1%ウシ胎児血清(FBS;Equitech-Bio, Kerrville, Tx)、10%KnockOut(登録商標)血清リプレースメント(Invitrogen)、0.1mM非必須アミノ酸(Invitrogen)、1mMピルビン酸ナトリウム(Invitrogen)、0.1mM 2−メルカプトエタノール(2ME)、及び2000U/ml マウスLIF(Chemicon International, Temecula, CA)を補充したα最小必須培地(αMEM;Invitrogen, Tokyo, Japan)中で培養した。LIF存在下、Oct−3/4 locusに耐性遺伝子を挿入した結果としての分化を抑制する目的でブラストサイジン(500μg/ml;Invitrogen)を添加した。ゼラチンコートは、ゼラチン/蒸留水を培養皿上に積層し常温で固相化することによって行った。
(1)ES細胞
マウス由来ES細胞株EB5細胞を用いて分化誘導を解析した。EB5細胞は丹羽仁史博士(理研発生・再生科学総合研究センター)から供与された。EB5細胞は、E14tg2α ES細胞に、Oct−3/4遺伝子プロモーター下流に薬剤耐性遺伝子であるAspergillus blastcidin S deamininase遺伝子をIRES配列を用いてノックインした細胞である(Niwa H, Miyazaki J, Smith AG. Quantitative expression of Oct-3/4 defines differentiation, dedifferentiation or self-renewal of ES cells. Nat Genet. 2000; 24: 372-376)。EB5細胞を、0.1%ゼラチン(タイプA)(Sigma-Aldrich Japan, Tokyo Japan)でコーティングした培養皿を用い、1%ウシ胎児血清(FBS;Equitech-Bio, Kerrville, Tx)、10%KnockOut(登録商標)血清リプレースメント(Invitrogen)、0.1mM非必須アミノ酸(Invitrogen)、1mMピルビン酸ナトリウム(Invitrogen)、0.1mM 2−メルカプトエタノール(2ME)、及び2000U/ml マウスLIF(Chemicon International, Temecula, CA)を補充したα最小必須培地(αMEM;Invitrogen, Tokyo, Japan)中で培養した。LIF存在下、Oct−3/4 locusに耐性遺伝子を挿入した結果としての分化を抑制する目的でブラストサイジン(500μg/ml;Invitrogen)を添加した。ゼラチンコートは、ゼラチン/蒸留水を培養皿上に積層し常温で固相化することによって行った。
(2)ストローマ細胞
ストローマ細胞としてはOP9細胞とMC3T3−E(以下、MC3T3と称する)細胞とを用いた。
ストローマ細胞株OP9(Riken Bio-Resource Center (BRC); Tsukuba, Japan)を20%FBS(JRH Biosciences, Lenexa, IA)を補充したαMEMで維持培養した。
マウスDelta like 1(DL1)cDNA(Gene Bank Acc. No. NM_007865 nucleotide seq. 348-2516)を、8.5日齢のマウス全胚から逆転写ポリメラーゼ連鎖反応によりクローニングし、レトロウイルスベクターpMSCV−IRES−hu−ext NGFR(MIN)にサブクローニングしてDL1発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターをOP9細胞にトランスフェクションし、DL1を発現するOP9細胞(OP9−DL1)を得た。安定なOP9−DL1を得るため、DL1が導入されたOP9細胞をFACSAria(登録商標)(BD Biosciences, San Jose, CA)を用いてhuNGFR発現の有無で選別し、OP9細胞と同様の培地で維持培養した。一方、対照実験に用いるため、DL1cDNAを含まない空のベクターをトランスフェクションしたOP9細胞(OP9−mock)を調製した。
別のストローマ細胞株として、MC3T3細胞(Riken Bio-Resource Center (BRC); Tsukuba, Japan)を用いた。MC3T3細胞は、10%FBS(JRH Biosciences, Lenexa, IA)を補充したαMEM中で維持培養した。MC3T3細胞についても、OP9−DL1細胞を調製したのと同様な手順でDL1発現ベクターをトランスフェクションしてDL1を発現するMC3T3細胞(MC3T3−DL1)細胞を得た。安定なMC3T3−DL1を得るため、DL1が導入されたMC3T3細胞をFACSAriaを用いてhuNGFR発現の有無で選別し、MC3T3細胞と同様の培地で維持培養した。一方、対照実験に用いるため、DL1cDNAを含まない空のベクターをトランスフェクションしたMC3T3細胞(MC3T3−mock)を調製した。
これらのストローマ細胞を、コロニー数の計測の為には6ウェルの、細胞レベルでの染色の為には8ウェルのチャンバースライド(Nalge Nunc International, Rochester, NY)にそれぞれ播種した。
ストローマ細胞としてはOP9細胞とMC3T3−E(以下、MC3T3と称する)細胞とを用いた。
ストローマ細胞株OP9(Riken Bio-Resource Center (BRC); Tsukuba, Japan)を20%FBS(JRH Biosciences, Lenexa, IA)を補充したαMEMで維持培養した。
マウスDelta like 1(DL1)cDNA(Gene Bank Acc. No. NM_007865 nucleotide seq. 348-2516)を、8.5日齢のマウス全胚から逆転写ポリメラーゼ連鎖反応によりクローニングし、レトロウイルスベクターpMSCV−IRES−hu−ext NGFR(MIN)にサブクローニングしてDL1発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターをOP9細胞にトランスフェクションし、DL1を発現するOP9細胞(OP9−DL1)を得た。安定なOP9−DL1を得るため、DL1が導入されたOP9細胞をFACSAria(登録商標)(BD Biosciences, San Jose, CA)を用いてhuNGFR発現の有無で選別し、OP9細胞と同様の培地で維持培養した。一方、対照実験に用いるため、DL1cDNAを含まない空のベクターをトランスフェクションしたOP9細胞(OP9−mock)を調製した。
別のストローマ細胞株として、MC3T3細胞(Riken Bio-Resource Center (BRC); Tsukuba, Japan)を用いた。MC3T3細胞は、10%FBS(JRH Biosciences, Lenexa, IA)を補充したαMEM中で維持培養した。MC3T3細胞についても、OP9−DL1細胞を調製したのと同様な手順でDL1発現ベクターをトランスフェクションしてDL1を発現するMC3T3細胞(MC3T3−DL1)細胞を得た。安定なMC3T3−DL1を得るため、DL1が導入されたMC3T3細胞をFACSAriaを用いてhuNGFR発現の有無で選別し、MC3T3細胞と同様の培地で維持培養した。一方、対照実験に用いるため、DL1cDNAを含まない空のベクターをトランスフェクションしたMC3T3細胞(MC3T3−mock)を調製した。
これらのストローマ細胞を、コロニー数の計測の為には6ウェルの、細胞レベルでの染色の為には8ウェルのチャンバースライド(Nalge Nunc International, Rochester, NY)にそれぞれ播種した。
(3)中胚葉分化誘導
中胚葉細胞への分化を誘導する為に、EB5細胞を0.1%ゼラチンでコートした培養皿上、10%FBS(Invitrogen)と50μmol/L 2−MEを含有するαMEMをベースとする分化用培地(LIFとブラストサイジンは含まない)中で5日間培養した。
中胚葉細胞への分化を誘導する為に、EB5細胞を0.1%ゼラチンでコートした培養皿上、10%FBS(Invitrogen)と50μmol/L 2−MEを含有するαMEMをベースとする分化用培地(LIFとブラストサイジンは含まない)中で5日間培養した。
(4)ストローマ細胞との共生培養
上記(3)の中胚葉分化誘導5日後、1×104細胞をFACS解析によりFlk−1とPDGFRαの発現様式によって4つの集団に分画し、それぞれコンフルエントになったOP9−mock、OP9−DL1、MC3T3−mock又はMC3T3−DL1細胞と、6ウェルプレート中、各ストローマ細胞を維持培養していた培地を用いて共生培養した。共生培養8日後、拍動している細胞を含むコロニー(拍動細胞コロニー)と浮遊性細胞のコロニーの数を計測した。
分画された4つの集団(F:Flk−1、P:PDGFRα)は以下の通りである。
F+P+:Flk−1及びPDGFRαともに発現している
F+P−:Flk−1のみ発現している
F−P+:PDGFRαのみ発現している
F−P−:Flk−1及びPDGFRαともに発現していない
FACS(Fluorescence activated cell sorting)解析
10cm培養皿上で分化誘導して5日後、0.05%トリプシン−EDTA緩衝液(Invitrogen)を用いてEB5細胞の単一細胞懸濁液を調製した。細胞をリン酸緩衝液(PBS)で洗浄し、細胞表面の蛋白質が再出現するよう、分化用培地中、5%CO2雰囲気下、37℃で30分間培養した。回収した細胞を、フィコエリトリン(phycoerythrin:PE)がコンジュゲートされた抗Flk−1モノクローナル抗体(AVAS12;理化学研究所 西川伸一博士から譲り受けた)及びビオチンがコンジュゲートされた抗PDGFRαモノクローナル抗体(APA5;理化学研究所 西川伸一博士から譲り受けた)で染色した。ビオチン化された抗体は、ストレプトアビジン−アロフィコシアニンCy7(APC−Cy7;BD Biosciences, Pharmingen, San Jose, CA)で検出した。FACSAria(登録商標)(BD Biosciences, San Jose, CA)を用いて細胞を選別し、FACS Divaソフトウェア(BD Biosciences)を用いて解析した。
上記(3)の中胚葉分化誘導5日後、1×104細胞をFACS解析によりFlk−1とPDGFRαの発現様式によって4つの集団に分画し、それぞれコンフルエントになったOP9−mock、OP9−DL1、MC3T3−mock又はMC3T3−DL1細胞と、6ウェルプレート中、各ストローマ細胞を維持培養していた培地を用いて共生培養した。共生培養8日後、拍動している細胞を含むコロニー(拍動細胞コロニー)と浮遊性細胞のコロニーの数を計測した。
分画された4つの集団(F:Flk−1、P:PDGFRα)は以下の通りである。
F+P+:Flk−1及びPDGFRαともに発現している
F+P−:Flk−1のみ発現している
F−P+:PDGFRαのみ発現している
F−P−:Flk−1及びPDGFRαともに発現していない
FACS(Fluorescence activated cell sorting)解析
10cm培養皿上で分化誘導して5日後、0.05%トリプシン−EDTA緩衝液(Invitrogen)を用いてEB5細胞の単一細胞懸濁液を調製した。細胞をリン酸緩衝液(PBS)で洗浄し、細胞表面の蛋白質が再出現するよう、分化用培地中、5%CO2雰囲気下、37℃で30分間培養した。回収した細胞を、フィコエリトリン(phycoerythrin:PE)がコンジュゲートされた抗Flk−1モノクローナル抗体(AVAS12;理化学研究所 西川伸一博士から譲り受けた)及びビオチンがコンジュゲートされた抗PDGFRαモノクローナル抗体(APA5;理化学研究所 西川伸一博士から譲り受けた)で染色した。ビオチン化された抗体は、ストレプトアビジン−アロフィコシアニンCy7(APC−Cy7;BD Biosciences, Pharmingen, San Jose, CA)で検出した。FACSAria(登録商標)(BD Biosciences, San Jose, CA)を用いて細胞を選別し、FACS Divaソフトウェア(BD Biosciences)を用いて解析した。
(5)生細胞染色と免疫蛍光染色
8ウェルチャンバースライド中、OP9−mock、OP9−DL1、MC3T3−mock又はMC3T3−DL1ストローマ細胞層上で培養された拍動細胞コロニーを4%パラホルムアルデヒド(PFA)を用い室温で10分間固定し、メタノールで10分間処理して膜透過性とした。続いて血清を含まないProtein Block X0909(DAKO Japan, Tokyo, Japan)を用い室温で30分間ブロッキング処理を行った。抗心筋トロポニンT(cTn−T)抗体及び抗心筋トロポニンI(cTn−I)抗体(いずれも、NeoMarker, USA; 1:100)、抗CD31抗体(BD Pharmingen; 1:100)をProtein Blockで希釈し、室温で1時間、細胞とインキュベートした。続いて二次抗体であるFITC又はPEがコンジュゲートされた抗イムノグロブリン抗体(Jackson ImmunoResearch, West Grove, PA; 1:100)で処理した。PBSで洗浄した後、試料を蛍光顕微鏡(IX71-ARCEVA Olympus, Tokyo, Japan)で観察した。生細胞染色は、Dil−Ac−LDL(赤色、Biomed Technology Inc. Stoughton, MA)及びAlexa488−Ac−LDL(緑色、Molecular Probes, Inc.Eugene, OR)を用いて行った。
8ウェルチャンバースライド中、OP9−mock、OP9−DL1、MC3T3−mock又はMC3T3−DL1ストローマ細胞層上で培養された拍動細胞コロニーを4%パラホルムアルデヒド(PFA)を用い室温で10分間固定し、メタノールで10分間処理して膜透過性とした。続いて血清を含まないProtein Block X0909(DAKO Japan, Tokyo, Japan)を用い室温で30分間ブロッキング処理を行った。抗心筋トロポニンT(cTn−T)抗体及び抗心筋トロポニンI(cTn−I)抗体(いずれも、NeoMarker, USA; 1:100)、抗CD31抗体(BD Pharmingen; 1:100)をProtein Blockで希釈し、室温で1時間、細胞とインキュベートした。続いて二次抗体であるFITC又はPEがコンジュゲートされた抗イムノグロブリン抗体(Jackson ImmunoResearch, West Grove, PA; 1:100)で処理した。PBSで洗浄した後、試料を蛍光顕微鏡(IX71-ARCEVA Olympus, Tokyo, Japan)で観察した。生細胞染色は、Dil−Ac−LDL(赤色、Biomed Technology Inc. Stoughton, MA)及びAlexa488−Ac−LDL(緑色、Molecular Probes, Inc.Eugene, OR)を用いて行った。
[結果]
自律拍動する細胞を含むコロニーの産生におけるNotchリガンド(DL1)介在性のシグナル伝達の影響を調べるために、4分画したEB5(F+P+、F+P−、F−P+、F−P−)をOP9−mock又はOP9−DL1と共生培養した。各画分から得られる拍動細胞コロニーの数をスコア化した(図2A)。全ての画分において、DL1介在性のシグナル伝達を刺激することにより拍動コロニー数が増えている(心筋への分化を促進している)。特に、Flk−1陽性(F+)でPDGFRα陽性(P+)の画分(F+P+)から自発的な拍動を伴うコロニーが、効率的に産生された。又、Flk−1陰性(F−)でPDGFRα陽性(P+)の画分(F−P+)は、コロニー数は(F+P+)画分に比べると少ないものの、刺激していない場合に比べるとその増加率が高かった。この結果に基づいて、さらに、DL1が定常的にトランスフェクトされたMC3T3細胞(MC3T3−DL1)又は空のベクターでトランスフェクトされたMC3T3細胞(MC3T3−mock)とともに共生培養することによってDL1介在性のシグナル伝達を調べた。MC3T3細胞は、F+P+画分の細胞の造血系への分化誘導をサポートする(図2B−b)が、心筋への分化誘導はサポートしない(図2B−a)。一方、図2B−aに示すように、MC3T3−DL1細胞と共生培養した細胞において拍動細胞コロニー数が顕著に増加した。一方、図2B−bに示すように、MC3T3−DL1細胞と共生培養した場合には、浮遊性細胞のコロニー数が減少した。Ac−LDLによる生細胞の蛍光染色は、MC3T3−DL1との共生培養によって産生される拍動コロニーがAc−LDL陽性の接着した内皮様細胞に取り囲まれていることを示している(図2B−c,d,e)。一方、MC3T3−mock細胞上の浮遊性細胞のコロニーは、Ac−LDL陽性の丸い形の浮遊性細胞のみで構成されており、接着細胞も内皮様細胞もAc−LDL染色では観察されなかった(図2B−f,g,h)。MC3T3−DL1上で形成されたコロニーを固定し、心筋特異的構造分子であるトロポニンT(cTn−T)及び内皮細胞表面マーカーCD31で染色した(図2C)。図2C−aに示すように、F+P+画分及びF+P−画分の細胞においてcTn−Tを発現している細胞コロニー数がMC3T3−DL1細胞と共生培養することにより顕著に増加した。さらに、図2C−bに示すように、MC3T3−DL1細胞と共生培養した場合には、全ての画分において、MC3T3−mockとの共生培養では観察されなかった、CD31発現細胞が出現した。また、抗cTn−I抗体と抗CD31抗体とを用いた二重染色により、拍動する細胞を含むコロニーの多くは抗cTn−I抗体染色に陽性であること、放射状のネットワークを形成するCD31陽性の内皮様細胞を伴っていたことが示された(図3A)。
以上の結果より、ES細胞を、DL1を発現しているストローマ細胞と共生培養することにより、DL1を発現しないストローマ細胞との共生培養と比較してより高収率で心筋細胞及び血管系細胞を得ることができることがわかる。
自律拍動する細胞を含むコロニーの産生におけるNotchリガンド(DL1)介在性のシグナル伝達の影響を調べるために、4分画したEB5(F+P+、F+P−、F−P+、F−P−)をOP9−mock又はOP9−DL1と共生培養した。各画分から得られる拍動細胞コロニーの数をスコア化した(図2A)。全ての画分において、DL1介在性のシグナル伝達を刺激することにより拍動コロニー数が増えている(心筋への分化を促進している)。特に、Flk−1陽性(F+)でPDGFRα陽性(P+)の画分(F+P+)から自発的な拍動を伴うコロニーが、効率的に産生された。又、Flk−1陰性(F−)でPDGFRα陽性(P+)の画分(F−P+)は、コロニー数は(F+P+)画分に比べると少ないものの、刺激していない場合に比べるとその増加率が高かった。この結果に基づいて、さらに、DL1が定常的にトランスフェクトされたMC3T3細胞(MC3T3−DL1)又は空のベクターでトランスフェクトされたMC3T3細胞(MC3T3−mock)とともに共生培養することによってDL1介在性のシグナル伝達を調べた。MC3T3細胞は、F+P+画分の細胞の造血系への分化誘導をサポートする(図2B−b)が、心筋への分化誘導はサポートしない(図2B−a)。一方、図2B−aに示すように、MC3T3−DL1細胞と共生培養した細胞において拍動細胞コロニー数が顕著に増加した。一方、図2B−bに示すように、MC3T3−DL1細胞と共生培養した場合には、浮遊性細胞のコロニー数が減少した。Ac−LDLによる生細胞の蛍光染色は、MC3T3−DL1との共生培養によって産生される拍動コロニーがAc−LDL陽性の接着した内皮様細胞に取り囲まれていることを示している(図2B−c,d,e)。一方、MC3T3−mock細胞上の浮遊性細胞のコロニーは、Ac−LDL陽性の丸い形の浮遊性細胞のみで構成されており、接着細胞も内皮様細胞もAc−LDL染色では観察されなかった(図2B−f,g,h)。MC3T3−DL1上で形成されたコロニーを固定し、心筋特異的構造分子であるトロポニンT(cTn−T)及び内皮細胞表面マーカーCD31で染色した(図2C)。図2C−aに示すように、F+P+画分及びF+P−画分の細胞においてcTn−Tを発現している細胞コロニー数がMC3T3−DL1細胞と共生培養することにより顕著に増加した。さらに、図2C−bに示すように、MC3T3−DL1細胞と共生培養した場合には、全ての画分において、MC3T3−mockとの共生培養では観察されなかった、CD31発現細胞が出現した。また、抗cTn−I抗体と抗CD31抗体とを用いた二重染色により、拍動する細胞を含むコロニーの多くは抗cTn−I抗体染色に陽性であること、放射状のネットワークを形成するCD31陽性の内皮様細胞を伴っていたことが示された(図3A)。
以上の結果より、ES細胞を、DL1を発現しているストローマ細胞と共生培養することにより、DL1を発現しないストローマ細胞との共生培養と比較してより高収率で心筋細胞及び血管系細胞を得ることができることがわかる。
実施例2:造血系への影響
Notchシグナリングの活性化がES細胞の造血系細胞への分化にどのような影響を与えるか調べた。Notchシグナリングの活性化は、実施例1同様、NotchリガンドであるDL1を発現するストローマ細胞との共生培養により行った。手順を図1に示す。
Notchシグナリングの活性化がES細胞の造血系細胞への分化にどのような影響を与えるか調べた。Notchシグナリングの活性化は、実施例1同様、NotchリガンドであるDL1を発現するストローマ細胞との共生培養により行った。手順を図1に示す。
[材料と方法]
(1)細胞
ES細胞及びストローマ細胞は、実施例1と同様のものを用いた。ES細胞は、実施例1同様、ゼラチンコートした培養皿上で培養することにより中胚葉分化誘導をしてから用いた。
(2)ストローマ細胞との共生培養
実施例1同様、Flk−1とPDGFRαの発現様式によって4つの集団に分画し、それぞれコンフルエントになったOP9−mock、OP9−DL1、MC3T3−mock又はMC3T3−DL1細胞と、6ウェルプレート中、各ストローマ細胞を維持培養していた培地を用いて共生培養した。
(1)細胞
ES細胞及びストローマ細胞は、実施例1と同様のものを用いた。ES細胞は、実施例1同様、ゼラチンコートした培養皿上で培養することにより中胚葉分化誘導をしてから用いた。
(2)ストローマ細胞との共生培養
実施例1同様、Flk−1とPDGFRαの発現様式によって4つの集団に分画し、それぞれコンフルエントになったOP9−mock、OP9−DL1、MC3T3−mock又はMC3T3−DL1細胞と、6ウェルプレート中、各ストローマ細胞を維持培養していた培地を用いて共生培養した。
(3)造血系細胞のコロニーの形成
上記(2)で得られる、MC3T3−DL1と共生培養した各画分の細胞から産生される浮遊性細胞のコロニーを回収し、造血系細胞のコロニーを形成させるべくメチルセルロース培地中に再播種した。浮遊性細胞コロニーから回収された細胞(2×103)を3cm培養皿(Falcon BD)上、1.1mLのMethocult CF M3434(Stem Cell Technologies Inc., Vancouver Canada)中に播種した。37℃、5%CO2雰囲気下で14日間培養後、造血系の細胞コロニーが観察された。
上記(2)で得られる、MC3T3−DL1と共生培養した各画分の細胞から産生される浮遊性細胞のコロニーを回収し、造血系細胞のコロニーを形成させるべくメチルセルロース培地中に再播種した。浮遊性細胞コロニーから回収された細胞(2×103)を3cm培養皿(Falcon BD)上、1.1mLのMethocult CF M3434(Stem Cell Technologies Inc., Vancouver Canada)中に播種した。37℃、5%CO2雰囲気下で14日間培養後、造血系の細胞コロニーが観察された。
(4)ギムザ染色と免疫蛍光染色
(メイ・ギムザ染色)
メチルセルロース培地中で形成された造血系細胞コロニーの形態学的な観察をメイ・ギムザ染色によって行った。
細胞をサイトスピン(Shandon, London UK)でスライド上に固定し、当該分野で周知の方法に従ってメイ・ギムザ溶液で染色した。固定された細胞の形態を光学顕微鏡(Olympus IX71)で観察した。
(免疫蛍光染色)
メチルセルロース培地から細胞を回収し、各種の造血系細胞マーカー;Gr−1(顆粒球のマーカー)、Mac−1(マクロファージのマーカー)、Ter119(赤血球のマーカー)及びCD45(リンパ球細胞のマーカー)の発現状況を調べた。当該分野で周知の方法に従って蛍光FACS解析を行った。
(メイ・ギムザ染色)
メチルセルロース培地中で形成された造血系細胞コロニーの形態学的な観察をメイ・ギムザ染色によって行った。
細胞をサイトスピン(Shandon, London UK)でスライド上に固定し、当該分野で周知の方法に従ってメイ・ギムザ溶液で染色した。固定された細胞の形態を光学顕微鏡(Olympus IX71)で観察した。
(免疫蛍光染色)
メチルセルロース培地から細胞を回収し、各種の造血系細胞マーカー;Gr−1(顆粒球のマーカー)、Mac−1(マクロファージのマーカー)、Ter119(赤血球のマーカー)及びCD45(リンパ球細胞のマーカー)の発現状況を調べた。当該分野で周知の方法に従って蛍光FACS解析を行った。
[結果]
MC3T3−mockとの共生培養後にF+P+及びF+P−画分から産生される浮遊性細胞コロニーの数は、MC3T3−DL1と共生培養することにより減少した(図2B−b)。このことは、DL1介在性のシグナル伝達が浮遊性細胞コロニーの産生にネガティブに働いていることを示唆している。MC3T3−DL1細胞上、F+P−分画から産生された浮遊性細胞コロニーを回収し、造血細胞コロニーを産生すべくメチルセルロース中に再播種した。メチルセルロース中のコロニーの形態学的な観察を図3B−a、bに示した。
細胞はGr−1、Mac−1あるいはTer119発現ネガティブであったが、CFU−G(顆粒球コロニー)様のコロニーの概観を呈するCD45陽性細胞が、MC3T3−mockあるいはMC3T3−DL1と共培養したF+P+画分及びF+P−画分から産生された。F+P−画分の細胞について、抗Ter119抗体と抗CD45抗体で染色したFACS解析の結果を図3B−cに示す。
OP9あるいはOP9−DL1上で各画分から産生されるコロニーの概観及びその数を表2にまとめた。
MC3T3−mockとの共生培養後にF+P+及びF+P−画分から産生される浮遊性細胞コロニーの数は、MC3T3−DL1と共生培養することにより減少した(図2B−b)。このことは、DL1介在性のシグナル伝達が浮遊性細胞コロニーの産生にネガティブに働いていることを示唆している。MC3T3−DL1細胞上、F+P−分画から産生された浮遊性細胞コロニーを回収し、造血細胞コロニーを産生すべくメチルセルロース中に再播種した。メチルセルロース中のコロニーの形態学的な観察を図3B−a、bに示した。
細胞はGr−1、Mac−1あるいはTer119発現ネガティブであったが、CFU−G(顆粒球コロニー)様のコロニーの概観を呈するCD45陽性細胞が、MC3T3−mockあるいはMC3T3−DL1と共培養したF+P+画分及びF+P−画分から産生された。F+P−画分の細胞について、抗Ter119抗体と抗CD45抗体で染色したFACS解析の結果を図3B−cに示す。
OP9あるいはOP9−DL1上で各画分から産生されるコロニーの概観及びその数を表2にまとめた。
CFU−G:顆粒球コロニー、BFU−E:赤血球コロニー
CFU−GEMM:顆粒球、赤芽球、マクロファージ、巨核球を含むコロニーを形成する多分化能前駆細胞
F−P−の未成熟な集団はCFU−GEMM(colony-forming unit-granulocyte, erythrocyte, monocyte, megakaryocyte)を含み得る。F+P−細胞は既に造血系へと方向付けられていて、DL1介在性のシグナル伝達の非存在下、CFU−G様のコロニーを生じた。
CFU−GEMM:顆粒球、赤芽球、マクロファージ、巨核球を含むコロニーを形成する多分化能前駆細胞
F−P−の未成熟な集団はCFU−GEMM(colony-forming unit-granulocyte, erythrocyte, monocyte, megakaryocyte)を含み得る。F+P−細胞は既に造血系へと方向付けられていて、DL1介在性のシグナル伝達の非存在下、CFU−G様のコロニーを生じた。
実施例3:阻害剤の使用
MC3T3−DL1細胞と共生培養することによって観察された現象がNotchシグナル伝達機構に特異的であるのかどうかを確認するために、F+P+画分あるいはF+P−画分から産生された、拍動細胞コロニーの数と浮遊性細胞のコロニーの数とをγセクレターゼ阻害剤DAPT(Sigma)10μMの存在下で7日間培養後に測定しスコア化した。対照として、DAPTの溶媒であるジメチルスルホキシド(DMSO)を同量用いた。同様に何も添加しない場合についても測定した。
図4Aに示されるように、MC3T3−DL1との共生培養により拍動細胞のコロニー数を増加させる効果はNotchシグナル阻害剤(γセクレターゼ阻害剤、DAPT)の存在下で弱められた。さらにMC3T3−DL1との共生培養による造血系細胞のコロニー数を減少させる効果も、DAPTの存在下で弱められた(図4B)。これらの結果は、Notchシグナリングの活性化が心筋細胞、血管系細胞又は造血系細胞の細胞数の増減に極めて重要な役割を果たしていることを示唆している。
MC3T3−DL1細胞と共生培養することによって観察された現象がNotchシグナル伝達機構に特異的であるのかどうかを確認するために、F+P+画分あるいはF+P−画分から産生された、拍動細胞コロニーの数と浮遊性細胞のコロニーの数とをγセクレターゼ阻害剤DAPT(Sigma)10μMの存在下で7日間培養後に測定しスコア化した。対照として、DAPTの溶媒であるジメチルスルホキシド(DMSO)を同量用いた。同様に何も添加しない場合についても測定した。
図4Aに示されるように、MC3T3−DL1との共生培養により拍動細胞のコロニー数を増加させる効果はNotchシグナル阻害剤(γセクレターゼ阻害剤、DAPT)の存在下で弱められた。さらにMC3T3−DL1との共生培養による造血系細胞のコロニー数を減少させる効果も、DAPTの存在下で弱められた(図4B)。これらの結果は、Notchシグナリングの活性化が心筋細胞、血管系細胞又は造血系細胞の細胞数の増減に極めて重要な役割を果たしていることを示唆している。
Claims (26)
- Notchシグナル伝達経路を活性化することを含む、ES細胞から心筋細胞又は血管系細胞を培養増殖する方法。
- Notchシグナル伝達経路の活性化が、Notchリガンドとの接触により行われる、請求項1記載の方法。
- Notchリガンドとの接触が、Notchリガンドを発現しているストローマ細胞との共生培養によって実施される、請求項2記載の方法。
- NotchリガンドがDL1である、請求項2又は3記載の方法。
- ストローマ細胞がOP9又はMC3T3−Eである、請求項3又は4記載の方法。
- ES細胞がヒト又はマウス由来である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
- さらに、リガンドとの接触前にES細胞を中胚葉分化誘導する工程を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
- 中胚葉分化誘導が、ゼラチンコートされた培養皿上で細胞を培養することによって行われる、請求項7記載の方法。
- Notchシグナル伝達経路を活性化することを含む、心筋前駆細胞から心筋細胞を培養増殖する方法。
- Notchシグナル伝達経路の活性化が、Notchリガンドとの接触により行われる、請求項9記載の方法。
- Notchリガンドとの接触が、Notchリガンドを発現しているストローマ細胞との共生培養によって実施される、請求項10記載の方法。
- NotchリガンドがDL1である、請求項10又は11記載の方法。
- ストローマ細胞がOP9又はMC3T3−Eである、請求項11又は12記載の方法。
- 心筋前駆細胞がヒト又はマウス由来である、請求項9〜13のいずれか1項に記載の方法。
- 心筋前駆細胞が、Flk−1又はPDGFRαを発現している、請求項9〜14のいずれか1項に記載の方法。
- 心筋前駆細胞が、Flk−1及びPDGFRαを発現している、請求項9〜14のいずれか1項に記載の方法。
- Notchシグナル伝達経路を活性化することを含む、血管前駆細胞から血管系細胞を培養増殖する方法。
- Notchシグナル伝達経路の活性化が、Notchリガンドとの接触により行われる、請求項17記載の方法。
- Notchリガンドとの接触が、Notchリガンドを発現しているストローマ細胞との共生培養によって実施される、請求項18記載の方法。
- NotchリガンドがDL1である、請求項18又は19記載の方法。
- ストローマ細胞がOP9又はMC3T3−Eである、請求項19又は20記載の方法。
- 血管前駆細胞がヒト又はマウス由来である、請求項17〜21のいずれか1項に記載の方法。
- Notchリガンドを含有する、心筋細胞又は血管系細胞の培養用培地。
- Notchリガンドを、ストローマ細胞の細胞膜上に発現している状態で用いることを特徴とする、請求項23記載の培地。
- NotchリガンドがDL1である、請求項23又は24記載の培地。
- ストローマ細胞がOP9又はMC3T3−Eである、請求項24又は25記載の培地。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006330189A JP2008141973A (ja) | 2006-12-07 | 2006-12-07 | 心筋細胞の培養増殖法 |
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JP (1) | JP2008141973A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011243188A (ja) * | 2010-04-23 | 2011-12-01 | Nagoya Univ | 画像処理装置、細胞分類装置、インキュベータ、画像処理方法、細胞分類方法、画像処理プログラムおよび細胞分類プログラム |
WO2013188851A1 (en) * | 2012-06-14 | 2013-12-19 | Fred Hutchinson Cancer Research Center | Ex vivo expansion of myogenic stem cells by notch activation |
-
2006
- 2006-12-07 JP JP2006330189A patent/JP2008141973A/ja not_active Withdrawn
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WO2013188851A1 (en) * | 2012-06-14 | 2013-12-19 | Fred Hutchinson Cancer Research Center | Ex vivo expansion of myogenic stem cells by notch activation |
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