JP2008127606A - 酸化膜密着性に優れた高強度銅合金板 - Google Patents

酸化膜密着性に優れた高強度銅合金板 Download PDF

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Abstract

【課題】高強度化と優れた酸化膜密着性とを両立させたCu−Fe−P系銅合金板を提供することを目的とする。
【解決手段】Fe含有量が比較的少なくても、引張強度が500MPa以上、硬さが150Hv以上に高強度化させたCu−Fe−P系銅合金板の、JIS B0601法に準じた表面粗さ測定における、粗さ曲線のクルトシス(尖り度)Rkuを、エッチィングを伴う洗浄処理などによって制御して5.0以下とし、酸化膜密着性を向上させ、半導体パッケージの信頼性を高める。
【選択図】図1

Description

本発明は、高強度で、かつ、パッケージクラックや剥離の問題に対処するために、酸化膜密着性を向上させたCu−Fe−P系の銅合金板に関する。本発明の銅合金板は、半導体装置用リードフレームの素材として好適で、半導体装置用リードフレーム以外にも、その他の半導体部品、プリント配線板等の電気・電子部品材料、開閉器部品、ブスバー、端子・コネクタ等の機構部品など様々な電気電子部品用として好適に使用される。ただ、以下の説明では、代表的な用途例として、半導体部品であるリードフレームに使用する場合を中心に説明を進める。
半導体リードフレーム用銅合金としては、従来より、FeとPとを含有する、Cu−Fe−P系の銅合金が一般に用いられている。これらCu−Fe−P系の銅合金としては、例えば、Fe:0.05〜0.15%、P:0.025〜0.040%を含有する銅合金(C19210合金)や、Fe:2.1〜2.6%、P:0.015〜0.15%、Zn:0.05〜0.20%を含有する銅合金(CDA194合金)が例示される。これらのCu−Fe−P系の銅合金は、銅母相中にFe又はFe−P等の金属間化合物を析出させると、銅合金の中でも、強度、導電性および熱伝導性に優れていることから、国際標準合金として汎用されている。
近年、電子機器に用いられる半導体装置の大容量化、小型化、高機能化に伴い、半導体装置に使用されるリードフレームの小断面積化が進み、より一層の強度、導電性、熱伝導性が要求されている。これに伴い、これら半導体装置に使用されるリードフレームに用いられる銅合金板にも、より一層の高強度化、熱伝導性が求められている。
一方、半導体デバイスのプラスチックパッケージは、熱硬化性樹脂によって半導体チップを封止するパッケージが、経済性と量産性に優れることから、主流となっている。これらパッケージは、最近の電子部品の小型化の要求に伴って、益々薄肉化されている。
これらのパッケージの組み立てにおいて、リードフレームに半導体チップをAgペーストなどを用いて加熱接着するか、あるいはAu、Agなどのめっき層を介してはんだ付けもしくはAgろう付けする。そして、その後樹脂封止を行い、樹脂封止を行ったあとに、アウターリードに電気めっきによる外装を行うのが一般的である。
これらのパッケージの信頼性に関する最大の課題は、表面実装時に発生するパッケージ・クラックや剥離の問題である。パッケージの剥離は、半導体パッケージを組み立てた後、樹脂とダイパッド(リードフレームの半導体チップを載せる部分)との密着性が低い場合、後の熱処理時の熱応力によって生じる。
これに対して、パッケージクラックは、半導体パッケージを組み立てた後、モールド樹脂が大気より吸湿するため、後の表面実装での加熱において水分が気化し、パッケージ内部にクラックがあると、剥離面に水蒸気が印加されて内圧として作用する。この内圧によりパッケージに膨れを生じたり、樹脂が内圧に耐えられずクラックを生じたりする。表面実装後のパッケージにクラックが発生すると水分や不純物が侵入しチップを腐食させるため、半導体としての機能を害する。また、パッケージが膨れることで外観不良となり商品価値が失われる。このようなパッケージクラックや剥離の問題は、近年、上記パッケージの薄型の進展に伴って顕著となっている。
ここで、パッケージクラックや剥離の問題は、樹脂とダイパットとの密着性不良に起因するが、樹脂とダイパットとの密着性に最も大きな影響を及ぼしているのが、リードフレーム母材の酸化膜である。リードフレーム母材は、板の製造やリードフレーム製作のために、種々の加熱工程を経ている。このため、Agなどのめっき前に、母材の表面には、数十〜数百nmの厚さの酸化膜が形成されている。ダイパット表面では、この酸化膜を介して銅合金と樹脂とが接しているため、この酸化膜のリードフレーム母材との剥離は、もろに樹脂とダイパットとの剥離へとつながり、リードフレーム母材への樹脂の密着性を著しく低下させる。
したがって、パッケージクラックや剥離の問題は、この酸化膜のリードフレーム母材との密着性にかかっている。このため、リードフレーム母材としての、前記高強度化したCu−Fe−P系の銅合金板には、種々の加熱工程を経て表面に形成された酸化膜の密着性が高いことが要求される。
しかも、銅合金板やリードフレームの製作のための種々の上記加熱工程における加熱温度は、生産性向上や効率化のために、益々高温化している。例えば、リードフレーム製作工程において、プレス加工後等における加熱処理をより高温・短時間で行うことが求められている。このような加熱温度が高温になるにしたがい、リードフレーム母材に生成している酸化膜は、疎密化などの問題により、低温の加熱で生成する以前の酸化膜よりも、リードフレーム母材とより剥離しやすいという、新たな問題を有している。
酸化膜密着性を向上させることは、数は少ないものの、以前からも提案されている。例えば、特許文献1では、銅合金極表層の結晶配向を制御することで、が提案されている。即ち、特許文献1では、リードフレーム母材銅合金のXRDの薄膜法にて評価される極表面の結晶配向において、{111}ピーク強度に対する{100}ピーク強度比を0.04以下として、酸化膜密着性を向上させることが提案されている。なお、この特許文献1では、あらゆるリードフレーム母材銅合金を含むが、実質的に例示しているCu−Fe−P系銅合金は、Feの含有量が2.4%以上と多いCu−Fe−P系銅合金のみである。
また、特許文献2、3では、Cu−Fe−P系銅合金板の表面粗さに着目し、表面粗さ測定における中心線平均粗さRaが0.2μm以下、最大高さRmaxが1.5μm以下とすることによって、酸化膜密着性を向上させることが提案されている。より具体的に、この特許文献2、3では、これら表面粗さの制御を冷間圧延の圧延ロールの種類(表面粗さ)によって制御している。
特開2001−244400号公報 特開平2−122035号公報 特開平2−145734号公報
しかし、これらの従来技術では、本発明で意図する高レベルの酸化膜密着性を保障するまでには至らない。即ち、高温になる加熱温度下で生成した、リードフレーム母材表面の酸化膜の、リードフレーム母材とより剥離しやすいという新たな問題に対しては総じて対応できない。
先ず、特許文献1におけるCu−Fe−P系銅合金の実質的なFeの含有量は、前記した通り、最低でも2.4質量%を超えて多い。この点で、特許文献1の技術は、確かにFeの含有量が多いCu−Fe−P系銅合金の酸化膜密着性向上には有効かもしれない。実際に、特許文献1ではFeの含有量が2.41%である実施例1のCu−Fe−P系銅合金の酸化膜密着性は、酸化膜の剥離限界温度で633K(360℃)まで向上している。
しかし、Feの含有量が2.4質量%を超えて多くなると、高温になる加熱温度下で生成したリードフレーム母材表面の酸化膜が、リードフレーム母材とより剥離しやすくなる。また、導電率などの材料特性だけでなく、鋳造性などの生産性が著しく低下するという別の問題も生じる。
また、導電率を無理に増加させるために、例えば、上記析出粒子の析出量を増やそうとすると、析出粒子の成長・粗大化を招き、強度や耐熱性が低下する問題がある。言い換えると、特許文献1の技術では、Cu−Fe−P系銅合金に要求される高強度と酸化膜密着性とを兼備させることができない。
したがって、この特許文献1の技術を、Feの含有量を実質的に0.5%以下と低減した組成によって、高強度化したCu−Fe−P系銅合金にそのまま適用しても、前記したリードフレーム等に要求される酸化膜密着性を得ることはできない。
また、特許文献2、3のように、前記中心線平均粗さRaが0.2μm以下、最大高さRmaxが1.5μm以下とした場合には、確かに、これよりも表面粗さが粗いCu−Fe−P系銅合金板に比べれば、酸化膜密着性は向上する。
しかし、本発明者らが知見したところによれば、前記した本発明で目的とするより高温下の加熱で生成する酸化膜の酸化膜密着性に対しては、後述する通り、同じく(等しく)中心線平均粗さRaを0.2μm以下および最大高さRmaxを1.5μm以下とした場合にでも、意外にも酸化膜密着性能に大きな差が生じた。
これは、中心線平均粗さRaや最大高さRmax以外の要素(要因)が、大きく関与していることを示している。そして、このことは、この要素(要因)を制御しない限り、本発明で目的とするより高温下の加熱で生成する酸化膜の酸化膜密着性を向上させられないことを意味している。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、高強度化と、より高温下の加熱で生成する酸化膜の優れた酸化膜密着性とを両立させたCu−Fe−P系銅合金板を提供することである。
この目的を達成するための本発明酸化膜密着性に優れた高強度銅合金板の要旨は、 質量%で、Fe:0.01〜0.50%、P:0.01〜0.15%を各々含有し、残部Cuおよび不可避的不純物からなる銅合金板であって、引張強度が500MPa以上、硬さが150Hv以上であり、この銅合金板のJIS B0601法に準じた表面粗さ測定における中心線平均粗さRaが0.2μm以下、最大高さRmaxが1.5μm以下であり、かつ、粗さ曲線のクルトシス(尖り度)Rkuが5.0以下であることとする。
本発明銅合金板は、高強度を達成するために、更に、質量%で0.005〜5.0%のSnを、あるいは、はんだ及びSnめっきの耐熱剥離性改善のために、更に、質量%で0.005〜3.0%のZnを、各々含有しても良い。
本発明銅合金板は、更に、質量%で、Mn、Mg、Caのうち1種又は2種以上を合計で0.0001〜1.0%含有しても良い。
本発明銅合金板は、更に、質量%で、Zr、Ag、Cr、Cd、Be、Ti、Co、Ni、Au、Ptのうち1種又は2種以上を合計で0.001〜1.0%含有しても良い。
本発明銅合金板は、更に、質量%で、Mn、Mg、Caのうち1種又は2種以上を合計で0.0001〜1.0%と、Zr、Ag、Cr、Cd、Be、Ti、Co、Ni、Au、Ptのうち1種又は2種以上を合計で0.001〜1.0%とを各々含有するとともに、これら含有する元素の合計含有量を1.0%以下として、含有しても良い。
本発明銅合金板は、更に、Hf、Th、Li、Na、K、Sr、Pd、W、S、Si、C、Nb、Al、V、Y、Mo、Pb、In、Ga、Ge、As、Sb、Bi、Te、B、ミッシュメタルの含有量を、これらの元素全体の合計で0.1質量%以下とすることが好ましい。
本発明の銅合金板は、様々な電気電子部品用に適用可能であるが、特に、半導体部品である半導体リードフレーム用途に使用されることが好ましい。
本発明銅合金板は、高強度化の目安として、引張強度が500MPa以上、硬さが150Hv以上とする。なお、銅合金板における導電率は板の強度に相関するものであり、本発明でも、高強度になるほど導電率は必然的に低くなるものの、実用化に支障は無い。したがって、本発明で言う高導電率とは、高強度な割りには導電率が比較的高いという程度の意味である。
本発明では、高強度で、より高温下の加熱で生成した酸化膜を有するCu−Fe−P系銅合金板の粗さ曲線のクルトシス(尖り度)Rkuを制御して、酸化膜密着性を向上させる。
粗さ曲線のクルトシス(尖り度)Rkuは、後述する数式に示すように、表面粗さ測定のJIS B0601に定義された、公知なものであり、表面粗さの凹凸(転がり円うねり曲線Z(x)の曲線)の尖り具合を示している。
例えば、図1(a)に示すように、Rkuが5.0を超えて大きい場合には、表面粗さの凹凸曲線(転がり円うねり曲線Z(x)の曲線)が尖っている、あるいは急峻な曲線となっている。これに対して、図1(b)に示す通り、本発明のように、Rkuが5.0以下の小さい場合には、表面粗さの凹凸曲線(転がり円うねり曲線Z(x)の曲線)が比較的丸まっている、あるいは滑らかな曲線となっている。
本発明者らの知見によれば、このように、Rkuを5.0以下として、表面粗さの凹凸曲線(転がり円うねり曲線Z(x)の曲線)が比較的丸まっている、あるいは滑らかな曲線となっている方が、Cu−Fe−P系銅合金板のより高温下の加熱で生成した酸化膜の酸化膜密着性を向上できる。
ここでは、むしろ、Rkuが5.0を超えた図1(a)のような、表面粗さの凹凸が尖っている、あるいは急峻な曲線となっている場合の方がアンカー効果が発揮されて、酸化膜密着性を向上させるようにも思える。この点、なぜ、図1(b)に示す、表面粗さの凹凸が比較的丸まっている、あるいは滑らかな曲線となっている方が、Cu−Fe−P系銅合金板のより高温下の加熱で生成した酸化膜の酸化膜密着性を向上できるのかは、現時点では不明である。
ただ、本発明では、従来技術のように、Feの含有量を多くして他の問題を生じさせずとも、Cu−Fe−P系組成を有する銅合金板の粗さ曲線のクルトシス(尖り度)Rkuを制御するという簡便な手段で、Cu−Fe−P系銅合金板のより高温下の加熱で生成した酸化膜の酸化膜密着性を向上できる。
なお、本発明における銅合金板の粗さ曲線のクルトシス(尖り度)Rkuは、中心線平均粗さRaや最大高さRmaxとは独立した技術的な要素である。即ち前記した従来の特許文献2、3のように、中心線平均粗さRaを0.2μm以下および最大高さRmaxを1.5μm以下として、銅合金板表面を平滑化した場合でも、Rkuが5.0を超える場合もあれば、Rkuが5.0以下になる場合もある。
言い換えると、中心線平均粗さRaを0.2μm以下および最大高さRmaxを1.5μm以下に、銅合金板表面を平滑化した場合でも、決して必然的には、Rkuは5.0以下にならず、外れる乃至これより大きくなる可能性も高い。したがって、中心線平均粗さRaを0.2μm以下および最大高さRmaxを1.5μm以下とした場合でも、銅合金板表面のRkuが5.0以下になっているか否かは、実際にRkuを測定してみなければ一切不明である。
この事実は、後述する通り、中心線平均粗さRaと最大高さRmaxとが同じでも、粗さ曲線のクルトシス(尖り度)Rkuによって、Cu−Fe−P系銅合金板のより高温下の加熱で生成した酸化膜の酸化膜密着性に大きな差が生じる事実によって裏付けられる。また、後述する通り、前記した従来の特許文献2、3のような圧延ロールの表面粗さ制御のような物理的な処理レベルでは、Rkuは5.0以下に制御できず、化学的エッチィングを伴う洗浄処理を行って初めて制御可能である事実からも裏付けられる。
以下に、半導体リードフレーム用などとして、必要な特性を満たすための、本発明Cu−Fe−P系銅合金板における各要件の意義や実施態様を具体的に説明する。
(表面粗さ)
本発明では、Cu−Fe−P系銅合金板の表面粗さの前提的な要件として、JIS B0601法に準じた表面粗さ測定における、中心線平均粗さRaが0.2μm以下、および最大高さRmaxが1.5μm以下であることとする。
中心線平均粗さRaが0.2μmを超えるか、最大高さRmaxが1.5μmを超えると、Cu−Fe−P系銅合金板の表面が平滑ではなく粗すぎ、リードフレームに要求される基本特性を阻害する。即ち、リードフレーム半導体チップへのAgペーストなどの加熱接着あるいはAu、Agなどのめっき処理やはんだ付け若しくはAgろう付けなどを阻害する。また、化学的エッチィングを伴う洗浄処理によっても、Cu−Fe−P系銅合金板表面のRkuを5.0以下とする制御が困難となる。
(Rku)
本発明では、以上の前提に基づいて、Cu−Fe−P系銅合金板のより高温下の加熱で生成した酸化膜の酸化膜密着性を向上させるために、JIS B0601法に準じた表面粗さ測定における、粗さ曲線のクルトシス(尖り度)Rkuが5.0以下であることとする。Rkuが5.0を超えた場合、Cu−Fe−P系銅合金板のより高温下の加熱で生成した酸化膜の酸化膜密着性を向上させることができない。
粗さ曲線のクルトシス(尖り度)Rkuは、JIS B0601において、下記数式に示すように、測定対象物表面の基準長さlrにおける、転がり円うねり曲線Z(x)の四乗平均を、二乗平均平方根Rqの四乗で割ったものと定義される。
Figure 2008127606
このRkuは、図1に示すように、表面粗さの凹凸曲線(転がり円うねり曲線Z(x))の高さ方向の特徴の平均パラメータを表している。
この高さ方向の特徴が尖り度であり、Rkuが5.0を超えて大きい場合には、図1(a)に示すように、表面粗さの凹凸曲線(転がり円うねり曲線Z(x)の曲線)が尖っている、あるいは急峻な曲線となっている。これに対して、図1(b)に示す通り、本発明のように、Rkuが5.0以下の小さな場合には、表面粗さの凹凸曲線が比較的丸まっている、あるいは滑らかな曲線となっている。
これに対して、表面粗さの指標として汎用される、前記中心線平均粗さRaは、図1の表面粗さの凹凸曲線で言うと、高さ方向の振幅の高さの平均パラメータ、前記最大高さRmaxは高さ方向の振幅の最大高さのパラメータである。したがって、本発明のRkuが、これら中心線平均粗さRaや最大高さRmaxにかかわらない独立した値であり、図1(a)、(b)に示す通り、例えRaやRmaxが同じでも、Rkuが大きく異なることが理解される。
また、JIS B0601において、この高さ方向の特徴の平均パラメータを表すものとしては、Rku以外に、Pku:断面曲線のクルトシス(尖り度)、Wku:うねり曲線のクルトシス(尖り度)などがある。しかし、これらPku、Wkuは、本発明のRkuほどには、Cu−Fe−P系銅合金板のより高温下の加熱で生成した酸化膜の酸化膜密着性との相関性が深くない。このため、本発明では、表面粗さ(曲線)の高さ方向の特徴の平均パラメータの内から、Rkuを選択して規定する。
本発明において、Cu−Fe−P系銅合金板表面の制御は、先ず、圧延ロールの表面粗さ制御のような物理的な処理レベルで、中心線平均粗さRaを0.2μm以下および最大高さRmaxを1.5μm以下に制御する。その上で、Rkuは、後述する通り、化学的エッチィングを伴う洗浄処理によって、Rkuを5.0以下とする。
(銅合金板の成分組成)
本発明では、半導体リードフレーム用などとして、引張強度が500MPa以上の高強度や、硬さが150Hv以上などの基本特性を有する必要がある。そして、これらの基本特性を満足した上で、あるいは、これらの基本特性を低下させないことを前提に、メッキの異常析出を防止する優れためっき性を有する。このために、Cu−Fe−P系銅合金板として、質量%で、Feの含有量が0.01〜0.50%の範囲、Pの含有量が0.01〜0.15%の範囲とした、残部Cuおよび不可避的不純物からなる基本組成とする。
この基本組成に対し、後述するZn、Snなどの元素を、更に選択的に含有させても良い。また、記載する以外の元素(不純物元素)も、本発明の特性を阻害しない範囲での含有を許容する。なお、これら合金元素や不純物元素の含有量の表示%は全て質量%の意味である。
(Fe)
Feは、Fe又はFe基金属間化合物として析出し、銅合金の強度や耐熱性を向上させる主要元素である。Feの含有量が少なすぎると、化合物の析出が不十分であるため、強度向上への寄与が不足し、導電率の向上は満たされるものの、最終冷間圧延を強加工側で行っても、強度が不足する。一方、Feの含有量が多すぎると導電率が低下する。さらに、強度も耐熱性も却って低下する。したがって、Feの含有量は0.01〜0.50%、好ましくは0.15〜0.35%の範囲とする。
(P)
Pは、脱酸作用がある他、Feと化合物を形成して、銅合金の高強度化させる主要元素である。P含有量が少なすぎると、化合物の析出が不十分であるため、強度向上への寄与が不足し、導電率の向上は満たされるものの、最終冷間圧延を強加工側で行っても、強度が不足する。一方、P含有量が多すぎると、導電性が低下するだけでなく、熱間加工性が低下し、割れが生じやすくなる。したがって、Pの含有量は0.01〜0.15%、好ましくは0.05〜0.12%の範囲とする。
(Zn)
Znは、リードフレームなどに必要な、銅合金のはんだ及びSnめっきの耐熱剥離性を改善し、これらの効果が必要な場合の選択的な添加元素である。Znの含有量が0.005%未満の場合は所望の効果が得られない。一方、3.0%を超えるとはんだ濡れ性が低下するだけでなく、導電率の低下も大きくなる。したがって、選択的に含有させる場合のZnの含有量は、用途に要求される導電率とはんだ及びSnめっきの耐熱剥離性とのバランスに応じて(バランスを考慮して)、0.005〜3.0%の範囲から選択的に含有させることとする。
(Sn)
Snは、銅合金の強度向上に寄与し、これらの効果が必要な場合の選択的な添加元素である。Snの含有量が0.001%未満の場合は高強度化に寄与しない。一方、Snの含有量が多くなると、その効果が飽和し、逆に、導電率の低下を招く。したがって、選択的に含有させる場合のSn含有量は、用途に要求される強度(硬さ)と導電率のバランスに応じて(バランスを考慮して)、0.001〜5.0%の範囲から選択的に含有させることとする。
(Mn、Mg、Ca量)
Mn、Mg、Caは、銅合金の熱間加工性の向上に寄与するので、これらの効果が必要な場合に選択的に含有される。Mn、Mg、Caの1種又は2種以上の含有量が合計で0.0001%未満の場合、所望の効果が得られない。一方、その含有量が合計で1.0%を越えると、粗大な晶出物や酸化物が生成して強度や耐熱性を低下させるだけでなく、導電率の低下も激しくなる。従って、これらの元素の含有量は総量で0.0001〜1.0%の範囲で選択的に含有させる。
(Zr、Ag、Cr、Cd、Be、Ti、Co、Ni、Au、Pt量)
これらの成分は銅合金の強度を向上させる効果があるので、これらの効果が必要な場合に選択的に含有される。これらの成分の1種又は2種以上の含有量が合計で0.001%未満の場合、所望の効果か得られない。一方、その含有量が合計で1.0%を越えると、粗大な晶出物や酸化物が生成して、強度や耐熱性を低下させるだけでなく、導電率の低下も激しく、好ましくない。従って、これらの元素の含有量は合計で0.001〜1.0%の範囲で選択的に含有させる。なお、これらの成分を、上記Mn、Mg、Caと共に含有する場合、これら含有する元素の合計含有量は1.0%以下とする。
(Hf、Th、Li、Na、K、Sr、Pd、W、Si、Nb、Al、V、Y、Mo、In、Ga、Ge、As、Sb、Bi、Te、B、ミッシュメタル)
これらの成分は不純物元素であり、これらの元素の含有量の合計が0.1%を越えた場合、粗大な晶出物や酸化物が生成して強度や耐熱性を低下させる。従って、これらの元素の含有量は合計で0.1%以下とすることが好ましい。
(製造条件)
次に、銅合金板組織を上記本発明規定の組織とするための、好ましい製造条件について以下に説明する。本発明銅合金板は、上記表面のRa、Rmax、Rkuを制御するための、後述する好ましい冷延や洗浄条件を除き、通常の製造工程自体を大きく変えることは不要で、常法と同じ工程で製造できる。
即ち、先ず、上記好ましい成分組成に調整した銅合金溶湯を鋳造する。そして、鋳塊を面削後、加熱または均質化熱処理した後に熱間圧延し、熱延後の板を水冷する。この熱間圧延は通常の条件で良い。
その後、中延べと言われる一次冷間圧延して、焼鈍、洗浄後、更に仕上げ(最終)冷間圧延、低温焼鈍(最終焼鈍、仕上げ焼鈍)して、製品板厚の銅合金板などとする。これら焼鈍と冷間圧延を繰返し行ってもよい。例えば、リードフレーム等の半導体用材料に用いられる銅合金板の場合は、製品板厚が0.1〜0.4mm程度である。
なお、一次冷間圧延の前に銅合金板の溶体化処理および水冷による焼き入れ処理を行なっても良い。この際、溶体化処理温度は、例えば750〜1000℃の範囲から選択される。
(最終冷間圧延)
最終冷間圧延も常法による。固溶強化元素の含有量に大きな限界があるCu−Fe−P系銅合金板で、引張強度が500MPa以上、硬さが150Hv以上である高強度を得るために、それまでの冷間圧延の加工率との関係で、最終冷間圧延の加工率を強加工側に決定する。
なお、最終冷間圧延の1パスあたりの最小圧下率(冷延率)を20%以上とすることが好ましい。最終冷間圧延の1パスあたりの最小圧下率が20%より低いと、板厚ひずみが大きくなり、曲げ加工性が低下する。
但し、この最終冷間圧延際には、Cu−Fe−P系銅合金板表面の中心線平均粗さRaを0.2μm以下および最大高さRmaxを1.5μm以下に制御するために、使用する圧延ロールの表面粗さを制御する。
具体的には、圧延ロール表面粗さを、圧延後の銅合金板表面と同じく、中心線平均粗さRa:0.2μm以下および最大高さRmax:1.5μm以下に細かくした、ブライトロール(表面研磨ロール)などを使用する。
(最終焼鈍)
最終冷間圧延によって、中心線平均粗さRaを0.2μm以下および最大高さRmaxを1.5μm以下に表面が制御されたCu−Fe−P系銅合金板は、低温での最終焼鈍を連続的な熱処理炉にて行なうことが好ましい。この連続的な熱処理炉での最終焼鈍条件は、100〜400℃で0.2分以上300分以下の低温条件とすることが好ましい。通常のリードフレームに用いられる銅合金板の製造方法では、強度が低下するため、歪み取りのための焼鈍(350℃×20秒程度)を除き、最終冷間圧延後に最終焼鈍はしない。しかし、本発明では、前記冷間圧延条件によって、また、最終焼鈍の低温化によって、この強度低下が抑制される。そして、最終焼鈍を低温で行なうことにより、曲げ加工性などが向上する。
焼鈍温度が100℃よりも低い温度や、焼鈍時間が0.2分未満の時間条件、あるいは、この低温焼鈍をしない条件では、銅合金板の組織・特性は、最終冷延後の状態からほとんど変化しない可能性が高い。逆に、焼鈍温度が400℃を超える温度や、焼鈍時間が300分を超える時間で焼鈍を行うと、再結晶が生じ、転位の再配列や回復現象が過度に生じ、析出物も粗大化するため、プレス打ち抜き性や強度が低下する可能性が高い。
(洗浄処理)
この最終焼鈍後に、Cu−Fe−P系銅合金板は、化学的エッチィングを伴う洗浄処理によって、Rkuを5.0以下と表面制御される。この洗浄処理は、Rkuを5.0以下とできる、化学的エッチィングを伴う洗浄処理であれば、市販の洗浄剤が適宜使用できる。
ただ、確実にRkuを5.0以下とできる手段として、濃度が5〜50質量%の硫酸水溶液(室温)に、1〜60秒間、銅合金板を浸漬する、酸エッチィングを伴う洗浄処理が好ましい。硫酸濃度が5質量%未満、浸漬時間が1秒未満では、母相表面の洗浄乃至エッチィングが不十分となり、Rkuを5.0以下とできない可能性が高い。一方、硫酸濃度が50質量%、浸漬時間が60秒を超えても、母相表面の洗浄乃至エッチィングが不均一となり、やはりRkuを5.0以下とできない可能性が高い。
以下に本発明の実施例を説明する。表1に示す各化学成分組成のCu−Fe−P系銅合金薄板を、表2に示す通り、最終焼鈍後の化学的エッチィングを伴う洗浄処理条件だけを種々変えて製造した。そして、これら各銅合金薄板の酸化皮膜の密着性(酸化皮膜の剥離温度)を評価した。これらの結果を表2に示す。
具体的には、表1に示す各化学成分組成の銅合金をそれぞれコアレス炉にて溶製した後、半連続鋳造法で造塊して、厚さ70mm×幅200mm×長さ500mmの鋳塊を得た。各鋳塊を表面を面削して加熱後、950℃の温度で熱間圧延を行って厚さ16mmの板とし、750℃以上の温度から水中に急冷した。次に、酸化スケールを除去した後、一次冷間圧延(中延べ)を行った。この板を面削後、中間焼鈍を入れながら冷間圧延を4パス行なう最終冷間圧延を行い、次いで350℃で20秒の低温条件で最終連続焼鈍を行って、リードフレームの薄板化に対応した厚さ0.15mmの銅合金板を得た。
この際に、上記最終冷間圧延は、各例とも共通して、1パスあたりの最小圧下率を30%とし、ロール表面を中心線平均粗さRa:0.2μm以下および最大高さRmax:1.5μm以下に細かくしたブライトロール(表面研磨ロール)を使用した。
また、上記最終連続焼鈍後に、Cu−Fe−P系銅合金板を、表2に示す条件にて、硫酸水溶液(室温)に浸漬する、酸エッチィングを伴う洗浄処理を行い、Cu−Fe−P系銅合金板表面のRkuを制御した。
なお、表1に示す各銅合金とも、記載元素量を除いた残部組成はCuであり、その他の不純物元素として、Hf、Th、Li、Na、K、Sr、Pd、W、S、Si、C、Nb、Al、V、Y、Mo、Pb、In、Ga、Ge、As、Sb、Bi、Te、B、ミッシュメタルの含有量は、これらの元素全体の合計で0.1質量%以下であった。
また、Mn、Mg、Caのうち1種又は2種以上を含む場合は、合計量を0.0001〜1.0質量%の範囲とし、Zr、Ag、Cr、Cd、Be、Ti、Co、Ni、Au、Ptのうち1種又は2種以上を含む場合は、合計量を0.001〜1.0質量%の範囲とし、更に、これらの元素全体の合計量も1.0質量%以下とした。
上記のようにして得られた各銅合金板に対して、各例とも、銅合金板から試料を切り出し、これら各銅合金薄板の引張強さ、硬さ、導電率などの特性や、JIS B0601法に準じた表面粗さ測定における中心線平均粗さRa、最大高さRmax、粗さ曲線のクルトシス(尖り度)Rkuを測定した。これらの結果を表2に各々示す。
(表面粗さの測定)
株式会社東京精密製の表面粗さ測定機(製品名:サーフコム1400D)を用いて、上記得られた銅合金板の試験片表面の中心線平均粗さRa(μm)、最大高さRmax(μm)、粗さ曲線のクルトシス(尖り度)Rkuを、JIS B0601法に準じて測定した。測定は試験片の任意の3点(3箇所)について4.0mm長さづつ行い、この結果を平均化した。
(硬さ測定)
上記得られた銅合金板から10×10mmの試験片を切出し、松沢精機社製のマイクロビッカース硬度計(商品名「微小硬度計」)を用いて0.5kgの荷重を加えて4箇所硬さ測定を行い、硬さはそれらの平均値とした。
(導電率測定)
銅合金板試料の導電率は、ミーリングにより、幅10mm×長さ30mmの短冊状の試験片を加工し、ダブルブリッジ式抵抗測定装置により電気抵抗を測定して、平均断面積法により算出した。
(酸化膜密着性)
また各供試材の酸化膜密着性試験は、テープピーリング試験により、酸化膜が剥離する限界温度で評価した。テープピーリング試験は、上記のようにして得られた銅合金板から10×30mmの試験片を切出し、大気中所定温度で5分間加熱した後、酸化膜の生成した試験片表面に、市販のテープ(商品名:住友スリーエム製メンディングテープ)を張り付け、引き剥がした。この時、加熱温度を1 0℃刻みで上昇変化させた時に、酸化膜の剥離の生じる最も低い上記所定温度を求め、これを酸化膜剥離温度とした。
この酸化膜剥離温度は、350℃以上あることで、銅合金板やリードフレームの製作のための加熱工程における加熱温度の高温化での必要な(十分な)酸化膜密着性であると言える。
なお、本発明の上記大気中での5分間の加熱は、比較的加熱時間が長く、特許文献2、3のような、200〜500℃で3分間の比較的短時間の加熱を行う、酸化膜密着性の評価試験条件よりも厳しいと言える。言い換えると、本発明の比較的加熱時間が長い酸化膜密着性試験は、銅合金板やリードフレームの製作のための加熱工程における加熱温度の高温化での酸化膜密着性に対応(相関)している。
これに対して、特許文献2、3のような、上記3分間の比較的短時間の加熱を行う酸化膜密着性の評価試験条件では、銅合金板やリードフレームの製作のための加熱工程における加熱温度の高温化での酸化膜密着性への対応(相関)は不十分であると言える。即ち、特許文献2、3の酸化膜密着性の評価試験条件で結果が良くても、銅合金板やリードフレームの製作のための加熱工程における加熱温度の高温化での酸化膜密着性が良いとは限らない。
表1、2から明らかな通り、本発明組成内の銅合金である発明例1〜13は、引張強さが500MPa以上、硬さが150Hv以上の高強度である。また、この銅合金板のJIS B0601法に準じた表面粗さ測定における中心線平均粗さRaが0.2μm以下、最大高さRmaxが1.5μm以下である。
その上で、発明例1〜13は、最終連続焼鈍後に好ましい条件で硫酸水溶液による洗浄処理を行っているため、粗さ曲線のクルトシス(尖り度)Rkuが5.0以下である。この結果、酸化膜剥離温度が350℃以上である優れた酸化膜密着性を有する。したがって、発明例1〜13は、半導体母材として、半導体パッケージの組み立てに際しての樹脂とダイパッドとの密着性が高く、パッケージの信頼性が高い。
これに対して、比較例14、15は、最終連続焼鈍後に好ましい条件で硫酸水溶液による洗浄処理を行っていない。比較例16は、この硫酸水溶液による洗浄処理の硫酸濃度が低すぎる。比較例17は、この硫酸水溶液による洗浄処理の硫酸濃度が高すぎる。比較例18は、この硫酸水溶液による洗浄処理の浸漬時間が長すぎる。これらの結果、比較例14〜18は粗さ曲線のクルトシス(尖り度)Rkuが5.0を超えている。
一方、比較例14〜18は、本発明組成内の銅合金であり、引張強さが500MPa以上、硬さが150Hv以上の高強度であり、表面粗さ測定における中心線平均粗さRaが0.2μm以下、最大高さRmaxが1.5μm以下である。にもかかわらず、比較例14〜18は粗さ曲線のクルトシス(尖り度)Rkuが5.0を超えているために、酸化膜剥離温度が350℃未満で、酸化膜密着性に劣る。したがって、比較例14〜18は、半導体母材として、半導体パッケージの組み立てに際しての樹脂とダイパッドとの密着性が低く、パッケージの信頼性も低い。
比較例19〜22は、最終連続焼鈍後に好ましい条件で硫酸水溶液による洗浄処理を行っているため、粗さ曲線のクルトシス(尖り度)Rkuは5.0以下であり、優れた酸化膜密着性を有する。
にもかかわらず、比較例19は、Feの含有量が下限0.01%を低めに外れ、強度レベルが低く、半導体母材として使用できない。
比較例20は、Feの含有量が上限5.0%を高めに外れ、導電率が著しく低く、半導体母材として使用できない。
比較例21は、Pの含有量が下限0.01%を低めに外れ、強度レベルが低く、半導体母材として使用できない。
比較例22は、Pの含有量が上限0.15%を高めに外れ、熱間圧延中に割れを生じたため、その時点で試作を中断した。
以上の結果から、高強度化させた上で、優れた酸化膜密着性を有するための、本発明銅合金板の成分組成、表面粗さ規定の臨界的な意義や、この表面粗さを得るための好ましい製造条件の意義が裏付けられる。
Figure 2008127606
Figure 2008127606
以上説明したように、本発明によれば、高強度化させた上で、酸化膜密着性にも優れ、これら特性を両立(兼備)させたCu−Fe−P系銅合金板を提供することができる。この結果、半導体パッケージの組み立てに際しての樹脂とダイパッドとの密着性が高く、パッケージの信頼性が高い半導体母材を提供できる。したがって、小型化及び軽量化した電気電子部品用として、半導体装置用リードフレーム以外にも、リードフレーム、コネクタ、端子、スイッチ、リレーなどの、高強度化と、酸化膜密着性=パッケージの信頼性が要求される用途に適用することができる。
本発明で規定する、銅合金板表面粗さにおける、粗さ曲線のクルトシス(尖り度)Rkuを示す説明図である。

Claims (8)

  1. 質量%で、Fe:0.01〜0.50%、P:0.01〜0.15%を各々含有し、残部Cuおよび不可避的不純物からなる銅合金板であって、引張強度が500MPa以上、硬さが150Hv以上であり、この銅合金板のJIS B0601法に準じた表面粗さ測定における中心線平均粗さRaが0.2μm以下、最大高さRmaxが1.5μm以下であり、かつ、粗さ曲線のクルトシス(尖り度)Rkuが5.0以下であることを特徴とする酸化膜密着性に優れた高強度銅合金板。
  2. 前記銅合金板が、更に、質量%で、Sn:0.005〜5.0%を含有する請求項1に記載の高強度銅合金板。
  3. 前記銅合金板が、更に、質量%で、Zn:0.005〜3.0%を含有する請求項1または2に記載の高強度銅合金板。
  4. 前記銅合金板が、更に、質量%で、Mn、Mg、Caのうち1種又は2種以上を合計で0.0001〜1.0%含有する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の高強度銅合金板。
  5. 前記銅合金板が、更に、質量%で、Zr、Ag、Cr、Cd、Be、Ti、Co、Ni、Au、Ptのうち1種又は2種以上を合計で0.001〜1.0%含有する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の高強度銅合金板。
  6. 前記銅合金板が、更に、質量%で、Mn、Mg、Caのうち1種又は2種以上を合計で0.0001〜1.0%と、Zr、Ag、Cr、Cd、Be、Ti、Co、Ni、Au、Ptのうち1種又は2種以上を合計で0.001〜1.0%とを各々含有するとともに、これら含有する元素の合計含有量を1.0%以下とした請求項1乃至5のいずれか1項に記載の高強度銅合金板。
  7. 前記銅合金板が、Hf、Th、Li、Na、K、Sr、Pd、W、S、Si、C、Nb、Al、V、Y、Mo、Pb、In、Ga、Ge、As、Sb、Bi、Te、B、ミッシュメタルの含有量を、これらの元素全体の合計で0.1質量%以下とした請求項1乃至6のいずれか1項に記載の高強度銅合金板。
  8. 前記銅合金板が半導体リードフレーム用である請求項1乃至7のいずれか1項に記載の高強度銅合金板。
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