JP2008112979A - GaN系LEDチップおよび発光装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記(A)のGaN系LEDチップをフリップチップ実装して発光装置を構成する。
(A)GaN系LEDチップ100は、透光性基板101と、透光性基板101上に形成されたGaN系半導体層Lとを有し、GaN系半導体層Lは、透光性基板101側からn型層102と、発光層103と、p型層104とをこの順に含む積層構造を有している。
p型層104上には、酸化物半導体からなる透光性電極E101aと、透光性電極と電気的に接続した正の接点電極E101bと、からなる正電極E101が形成されており、正の接点電極E101bの面積は、p型層104の上面の面積の2分の1未満である。
【選択図】図2
Description
すなわち、本発明の一実施形態によれば、上記課題を解決するために、次の(A)のGaN系LEDチップをフリップチップ実装した発光装置が提供される:(A)透光性基板と、該透光性基板上に形成されたGaN系半導体層とを有し、前記GaN系半導体層は、前記透光性基板側からn型層と、発光層と、p型層とをこの順に含む積層構造を備え、前記p型層上には、酸化物半導体からなる透光性電極と、該透光性電極と電気的に接続した正の接点電極と、からなる正電極が形成されており、該正の接点電極の面積が該p型層の上面の面積の2分の1未満である、GaN系LEDチップ。この発光装置において、フリップチップ実装されるGaN系LEDチップは、垂直型の素子構造を有するものであってもよい。
この発光装置の主要な特徴は、透光性物質間の屈折率差により生じる反射を積極的に利用したGaN系LEDチップを、フリップチップ実装しているところにある。フリップチップ実装することを目的としたLEDチップにおいて、このような屈折率差による反射を重視する発想は、従来にはなかったものである。この反射に関与する透光性物質は、GaN系半導体層、酸化物半導体からなる透光性電極、および、LEDチップの周囲を取り囲む媒体である透光性封止材もしくは気体(気密封止の場合)である。一実施形態では、透光性の絶縁保護膜も、この反射に関与することになる。透光性基板上に、n型層、発光層、p型層をこの順に積層することにより形成したGaN系半導体層を有するGaN系LEDチップの、GaN系半導体層側の面には、金属膜として、少なくとも、正の接点電極(ボンディングパッド)を形成する必要があるが、上記発光装置を構成する(A)のGaN系LEDチップでは、この正の接点電極の面積を大きくし過ぎないようにしている。発光層で生じる光は、LEDチップの外に出るまでに、チップ内部で繰り返し反射を受けることが知られており、従って、1回の反射に伴う損失の僅かな違いが、チップ外に取り出される光の出力に大きく影響する。透光性物質間の屈折率差による反射に伴う損失は、金属の表面での反射に伴う損失よりも小さく、そのために、上記の発光装置は発光出力に優れたものとなる。
図1は本発明の一実施形態に係る発光装置の断面図である。この図に示す発光装置1は、SMD(表面実装)型LEDパッケージで、GaN系LEDチップ100は、セラミック、樹脂等で形成される基板111の上にフリップチップ実装されている。GaN系LEDチップ100の固定は、基板111に設けられた電極112および113に、LEDチップ100の同一面側に形成された正負の電極のそれぞれを接着することにより行われている。接着剤(図示せず)には導電性を有するものが用いられ、例えば、Au−Snハンダ等のハンダや、銀ペースト等の導電性ペーストである。114はリフレクタであり、この例では、基板111と別個の部材となっているが、基板と一体的に形成することもできる。基板111とリフレクタ114とで構成されるキャビティ(カップ状部分)には、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の透光性封止材120が封入されている。白色発光装置とする場合には、透光性封止材120中に蛍光体が分散される。キャビティ内に樹脂等を封入しないで、ガラス等からなる透光性の蓋をすることにより、気密封止することも可能である。
図3は本発明の他の一実施形態に係る発光装置の断面図である。この図に示す発光装置2は、砲弾型LEDパッケージで、GaN系LEDチップ200は、リードフレーム211に設けられたカップ状の部分にフリップチップ実装され、その周りは砲弾型に成形された透光性封止材220でモールドされている。透光性封止材220は、例えば、エポキシ樹脂である。GaN系LEDチップ200の固定は、リードフレーム211に、LEDチップ200の一方の面側に形成された正電極を接着することにより行われている。本実施形態では、GaN系LEDチップ200が垂直型の素子構造を有しており、負電極が正電極とは反対側のチップ面に形成されている。この負電極はリードフレーム212とボンディングワイヤ213により接続されている。白色発光装置とする場合には、透光性封止材220中に蛍光体が分散される。なお、この例を本発明の実施形態に含めていることからも理解されるであろうが、本発明では「フリップチップ実装」をワイヤレス実装に限定していない。
上記では、実施形態1として、水平型の素子構造を有するGaN系LEDチップをSMD型LEDパッケージに適用した例を、また、実施形態2として、垂直型の素子構造を有するGaN系LEDチップを砲弾型LEDパッケージに適用した例を、それぞれ示したが、LEDチップの素子構造とパッケージのタイプとの組み合わせは、これに限定されない。すなわち、水平型の素子構造を有するGaN系LEDチップを、砲弾型LEDパッケージに適用してもよいし、垂直型の素子構造を有するGaN系LEDを、SMD型LEDパッケージに適用してもよい。また、上記の実施形態例では、SMD型パッケージの基板やリードフレームの上にGaN系LEDチップを直接固定しているが、GaN系LEDチップをサブマウントを介してこれらの基体上に固定してもよい。
この発光装置においても、接点電極を形成する前に、透光性基板の裏面を研磨して、その平坦性を高くすることが好ましい。また、透光性基板の裏面と接点電極との間に、酸化物半導体からなる透光性のオーミック電極を介在させる場合であれば、この酸化物半導体の表面を研磨し、平坦性を高くしたうえで、接点電極を形成することが好ましい。透光性基板の裏面や、透光性のオーミック電極の表面を、研磨して平坦化する場合、研磨後の表面の表面粗さは、触針式表面形状測定装置で測定したときに、算術平均粗さ(Ra)、最大高さ(Rmax)、十点平均高さ(Rz)などの、いずれの粗さ指標を用いても、凹凸が20nm未満となるようにすることが好ましく、10nm未満となるようにすることがより好ましい。
次に、本発明者等が行なった実験について記す。
結晶成長用基板として、表面にストライプ状の凹凸パターン(溝幅およびリッジ幅:約3μm、溝深さ:約1μm)を加工した直径2インチのC面サファイア基板を準備した。通常のMOVPE装置を用いて、このサファイア基板の上記凹凸パターンを形成した表面上に、AlGaN低温バッファ層、不純物無添加のGaN層、Si添加のGaNコンタクト層、InGaN/GaN多重量子井戸活性層(発光層)、Mg添加のAlGaNクラッド層、Mg添加のAlGaNコンタクト層を順次形成して積層し、LEDウェハを作製した。ここで、活性層に含まれるInGaN量子井戸層の結晶組成は、発光波長が約405nmとなるように調整した。また、AlGaNクラッド層およびAlGaNコンタクト層にp型不純物として添加したMgの活性化は、AlGaNコンタクト層の形成後、MOCVD装置の成長炉内に設置された基板の温度をこの層の成長温度から室温まで下げる過程で、当該成長炉内に流すガスを、最初は少量のアンモニア
と窒素ガスとし、途中で窒素ガスのみに切り替える方法を用いて行なった。
こうして得たLEDウェハの表面(AlGaNコンタクト層の上面)に、電子ビーム蒸着法を用いて、ITO(インジウム錫酸化物)からなる膜厚約210nm、シート抵抗約10Ω/□の透光性電極を形成した。この透光性電極を所定形状にパターニングした後、反応性イオンエッチング(RIE)によってp型層(AlGaNコンタクト層およびAlGaNクラッド層)および活性層を部分的に除去し、GaNコンタクト層の一部を露出させた。このRIE工程では、ウェハ上で隣接する素子間の領域においてもGaNコンタクト層が露出するようにp型層および発光層を除去し、それによって、各素子のAlGaNコンタクト層の上面の面積を一定の値(65300μm2)に揃えた。このRIE工程後のAlGaNコンタクト層の上面は、略全体が透光性電極により覆われた状態となった。
次に、上記RIE工程で露出させたGaNコンタクト層の表面上への負電極の形成と、透光性電極の表面上への正の接点電極の形成とを、スパッタリング法を用いて同時に行った。負電極および正の接点電極は、まず膜厚100nmのTiW層を形成し、その上に膜厚500nmのAu層を積層することにより、二層構造に形成した。TiW層を形成するときには、Tiの含有量が10wt%のTi−Wターゲットを用いた。負電極および正の接点電極のパターニングは、フォトリソグラフィ技法を用いたリフトオフ法により行った。このパターニングに用いるフォトマスクに、面積の異なる7通りの正の接点電極のパターンを設けることにより、1枚のウェハ上に正の接点電極の面積が異なる7種類のLED素子を作製した。
最後に、通常のスクライビング法を用いてウェハ上に形成された素子を切り離し、1辺の長さが約350μmの、正方形のGaN系LEDチップを得た。
図9に示すサブマウントを準備した。図9(a)はサブマウントをLEDチップ載置面側から見た平面図であり、図9(b)は図9(a)のP−Q線の位置における断面図である。このサブマウントは、厚さ0.2mm、幅0.4mm、長さ0.6mmのAlN基板と、正側リード電極と、負側リード電極とを有している。正側リード電極および負側リード電極は、いずれも、AlN基板に接する側から表面側に向かってTi層、Pt層、Au層をこの順に有する多層構造を備えている。正側リード電極上および負側リード電極上には、それぞれ、Auを70wt%の割合で含むAu−Sn合金ハンダからなるハンダ層が部分的に形成されている。
このサブマウントを、LEDチップ載置面が上を向くように、銀ペーストを用いてTO−18ステム上に接着して用いた。
前記作製したGaN系LEDチップを、TO−18ステム上に接着した前記サブマウント上に、サファイア基板側が上を向くように、実装した。具体的には、まず、サブマウントのLEDチップ載置面に予めフラックスを塗布したうえで、その上にGaN系LEDチップを置いた。そして、TO−18ステムを加熱したヒータに接触させることによって、間接的にサブマウントを加熱して、フラックスの一部を気化させるとともに、ハンダ層を溶融させることにより、LEDチップ側の接点電極とサブマウント側のリード電極とを接続した。つまり、LEDチップの正の接点電極とサブマウントの正側リード電極とを、また、LEDチップの負電極とサブマウントの負側リード電極とを、それぞれ、Au−Sn合金ハンダにより接着した。その後、サブマウントの負側リード電極とTO−18ステムの一方の電極とをボンディングワイヤで接続するとともに、残留したフラックスを洗浄除去して、実装を完了した。図10に、実装完了後の、サブマウントと、その上に実装されたGaN系LEDチップの断面を示す。この図に示すように、GaN系LEDチップのGaN系半導体層側の表面と、サブマウントとの間には、ハンダ層を介して接着した部分を除いて、隙間が形成された。
上記手順にて実装したGaN系LEDチップに、順方向に20mAの電流を流したときの出力を、積分球を用いて測定した。その結果を表1に示す。また、図11には、本実験例で作製したGaN系LEDチップサンプルにおける、p型層の上面の面積に対する正の接点電極の面積の比率と、出力との関係を示す。この図から分かるように、正の接点電極の面積の小さなサンプルほど、高い出力を示す傾向が見られた。
正電極を、膜厚50nmのRh層でAlGaNコンタクト層に接する金属膜(Rh膜の上にAu/Pt交互積層膜を積層したもの)としたことを除き、上記サンプル1〜7と同様にして、比較用GaN系LEDチップサンプルを作製した。この比較用サンプルにおいて、AlGaNコンタクト層の上面の面積は上記サンプル1〜7と同じであり、正電極の面積(Rh反射層の面積)は、上記サンプル1〜7における透光性電極の面積と同じである。上記サンプル1〜7と同様の方法により、この比較用サンプルをフリップチップ実装し、20mAのときの出力を測定したところ、12mWであった。
100、200、300、400、500、600 GaN系LEDチップ
101、201、301、401 透光性基板
102、202、302、402、502、602 n型層
103、203、303、403 発光層
104、204、304、404、504、604 p型層
L GaN系半導体層
E101、E201、E301、E401、E501、E601 正電極
E101a、E201a、E301a、E401a、E501a、E601a 透光性電極
E101b、E201b、E301b、E401b、E501b、E601b 正の接点電極
E102、E202、E302、E402、E502、E602 負電極
Claims (10)
- 垂直型の素子構造を有する下記(a)のGaN系LEDチップをフリップチップ実装した発光装置:
(a)導電性を有する透光性基板と、該透光性基板上に形成されたGaN系半導体層とを有し、
前記GaN系半導体層は、前記透光性基板側からn型層と、発光層と、p型層とをこの順に含む積層構造を備え、
前記p型層上には、酸化物半導体からなる透光性電極と、該透光性電極と電気的に接続した正の接点電極と、からなる正電極が形成されており、
前記正の接点電極の面積が前記p型層の上面の面積の2分の1未満である、GaN系LEDチップ。 - 導電性を有する透光性基板と、該透光性基板上に形成されたGaN系半導体層と、該GaN系半導体層上に形成された電極とを有し、該GaN系半導体層がn型層とp型層とを少なくとも含む積層構造を備えているGaN系LEDチップを、フリップチップ実装した発光装置であって、
前記GaN系LEDチップが垂直型の素子構造を有するとともに、前記電極が、酸化物半導体からなる透光性電極と、該透光性電極と電気的に接続し該透光性電極よりも小さな面積を有する接点電極と、からなる電極であることを特徴とする、発光装置。 - 導電性を有する透光性基板と、該透光性基板上に形成されn型層とp型層とを少なくとも含む積層構造を備えたGaN系半導体層と、該透光性基板の裏面上に形成された電極とを有するGaN系LEDチップを、キャビティを有するパッケージの該キャビティ内に固定した発光装置であって、
前記電極が、前記透光性基板の裏面上に直接または透光性のオーミック電極を介して形成された接点電極を有しており、
前記接点電極の面積が前記透光性基板の裏面の面積の1/2未満であり、
前記GaN系LEDチップが、前記GaN系半導体層側の面を前記キャビティの開口部の方向に向けて固定されていることを特徴とする、発光装置。 - 導電性を有する透光性基板と、該透光性基板上に形成されn型層とp型層とを少なくとも含む積層構造を備えたGaN系半導体層と、該透光性基板の裏面上に酸化物半導体からなる透光性のオーミック電極を介して形成された接点電極とを有し、前記オーミック電極の表面が研磨により平坦化されている、GaN系LEDチップ。
- 前記接点電極が前記オーミック電極よりも小さな面積を有する、請求項4に記載のGaN系LEDチップ。
- 前記接点電極の面積が、前記透光性基板の裏面の面積の1/2未満である、請求項4または5に記載のGaN系LEDチップ。
- 請求項4〜6のいずれかに記載のGaN系LEDチップを、キャビティを有するパッケージの該キャビティ内に、当該GaN系LEDチップのGaN系半導体層側の面を、該キャビティの開口部の方向に向けて固定した、発光装置。
- 導電性を有する透光性基板と、該透光性基板上に形成されn型層とp型層とを少なくとも含む積層構造を備えたGaN系半導体層と、該透光性基板の裏面上に酸化物半導体からなる透光性のオーミック電極を介して形成された接点電極とを有するGaN系LEDチップの製造方法であって、
前記オーミック電極の表面を研磨により平坦化したうえで、該表面上に前記接点電極を形成することを特徴とする、製造方法。 - 前記接点電極が前記オーミック電極よりも小さな面積を有する、請求項7に記載の製造方法。
- 前記接点電極の面積が、前記透光性基板の裏面の面積の1/2未満である、請求項8または9に記載の製造方法。
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