JP2008112875A - 有機エレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】生産性に優れた塗布法又は転写法で発光層を形成してなる有機エレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法において、発光駆動寿命や発光効率等の特性に優れると共に製造プロセスが容易な有機エレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法を提供する。
【解決手段】少なくとも陽極11、発光層14、低分子材料層15及び陰極18がその順で積層された素子構造を有し、発光層14は、低分子系のホスト材料と発光材料であるドーパントとを有する塗布層又は転写層であり、低分子材料層15は、発光層14に含まれる低分子系のホスト材料と同じ低分子材料若しくはその誘導体を有する蒸着層又は塗り重ね層、あるいは、発光層14に含まれる中分子系又は高分子系のホスト材料の基本骨格を主骨格とする低分子材料若しくはその誘導体を有する蒸着層又は塗り重ね層であるように構成して、上記課題を解決する。
【選択図】図1

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法に関し、更に詳しくは、発光層以外での発光を抑制して発光層の発光効率を向上させることができると共に、発光駆動寿命が長くかつ製造プロセスが容易な有機エレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法に関する。
有機エレクトロルミネセンス素子(以下、有機EL素子ともいう。)は、陽極と陰極との間に発光層を挟んだ積層構造を有する面発光素子であり、両電極から供給された電子と正孔とが発光層に到達して再結合する際に生じる発光を利用した自発光デバイスである。有機EL素子の積層構造においては、高い発光効率を得るために、電極と発光層との間に電荷輸送層や電荷注入層が好ましく設けられている。
有機EL素子の発光層に用いられる材料は、初期の文献(例えば、非特許文献1を参照)においては1種類の発光材料のみを用い、そのものが発光していたが、その後、電荷輸送を担うドーパントを添加したり、蛍光発光又は燐光発光を担うドーパントを添加したり、ドーパントの分散性を高めるためにそのドーパントに官能基をつけたものを添加したり、発光効率の向上や発光波長を変化させるためのドーパントを添加したりすることが検討されている。
ところで、有機EL素子の発光層においては、発光材料である有機化合物の骨格を変えてエネルギーギャップを調整することにより、そのエネルギーギャップに応じた様々な色に発光させることができる。そのため、有機EL素子は、エリアカラーディスプレイ、マルチカラーディスプレイ、フルカラーディスプレイ等で実用化されている。
有機EL素子のカラー化技術の1つに、発光材料を例えばR(赤)G(緑)B(青)等の各色毎に塗り分ける各色塗り分け方式がある。この方式は、各色に発光する発光材料をそれぞれ塗り分けて発光層を形成し、それぞれの発光色でカラー化を実現させているため、カラーフィルターやCCM(カラー・チェンジング・マテリアル)を必要とせずにR(赤)G(緑)B(青)を高精細に塗り分けることができるので、薄型化が可能で光利用効率に優れたカラー化技術である。
この各色塗り分け方式で発光層を形成する方法としては、蒸着法と塗布法と転写法の3つの方法がある。蒸着法としては、高精細なマスクによる塗り分け蒸着法が挙げられ、塗布法としては、インクジェット法、グラビア法、スプレイ法、フォトリソ法等が挙げられ、転写法としては、熱転写法やレーザー転写法等が挙げられる。
蒸着法は、積層化や構成材料の高純度化が比較的容易なため、発光駆動寿命や発光効率に優れた発光層を形成することができるが、高コストな形成方法であるという課題があった。その理由は、各色毎の発光材料を所定領域に蒸着するためのアライメント機構をもつ高価な真空蒸着装置や、所定領域に蒸着するための高精細で高価なマスクが必要となること等により、設備投資が嵩んだり歩留まりが低下したりすることが原因であった。
また、蒸着法で発光層を形成する場合、例えば特許文献1においては、高効率で良好な色純度を有する有機EL素子とするために、蒸着法で形成した発光層上にその発光層の形成材料よりも大きいイオン化ポテンシャルを有する材料からなる中間層を蒸着する方法が提案されているが、この方法も上記同様、各色毎の発光材料を所定領域に蒸着する際の問題が生じうる。また、例えば特許文献2に記載の発光素子の製造方法は、蒸着法による煩雑な製造工程におけるコスト低減を目的として、有機EL素子を構成する層をできるだけ共通化して蒸着し、塗り分け蒸着の煩雑さを低減すべく工夫をしたものであるが、この方法も結局は上記同様、高価な真空蒸着装置や、所定領域に蒸着するための高精細で高価なマスクを使用するために、コスト低減には限界がある。
C.W.Tang and S.A.VanSlyke, Appl.Phys.Lett., 51, p.913(1987). 特開2001−167886号公報(実施例) 特開平11−204258号公報(実施例)
一方、塗布法や転写法での発光層の形成は、蒸着法で用いる真空蒸着装置と比較して設備投資が安価であり、パネルの大面積化にも対応可能であることから、製造方法としては蒸着法よりも有利である。
しかしながら、塗布法や転写法で形成された発光層を有する有機EL素子は、蒸着法で形成された発光層を有する有機EL素子と比較して発光駆動寿命や発光効率等の性能に問題があった。
その理由は、塗布法で発光層を形成する場合、高分子系の発光材料を用いることが多いが、高分子系の発光材料は材料の精製や末端処理や分子量制御等の課題があり、また、低分子系の発光材料よりも材料そのものの性能が低いといわれている。一方、溶剤に低分子系の発光材料を溶かした塗工液を塗布形成する場合においても、塗工時における塗工液への泡の混入、異物の混入、また溶質の凝集物の混入等が起こって膜厚の不均一(むら)やピンホール等の原因となるため、蒸着法で形成された膜よりも製膜性や膜質が悪いと考えられる。特に発光層は電界が最も集中する層であるため、これらの製膜性の悪化は発光効率や発光駆動寿命に悪影響を及ぼす可能性がある。さらに、塗布法で発光層を積層する場合、通常その発光層の下層となる正孔輸送層又は正孔注入層を硬化させていた場合であっても、その正孔輸送層又は正孔注入層中の正孔輸送材料の溶出や不純物の溶出により発光層の製膜性や膜質が悪化し、発光層内での電荷輸送性や再結合効率が変化する等して発光色や発光効率に悪影響を及ぼす可能性がある。さらに、塗布法で作製された発光層は蒸着法で作製された発光層と比べて膜密度等の膜質が異なる可能性があり、電荷輸送性(移動度)や再結合効率が変化する等して発光色や発光効率に悪影響を及ぼす可能性がある。さらに、塗布法で形成された発光層は、塗布後の発光層中の溶剤の乾燥工程等の高温プロセスや発光駆動状態等のような、分子が移動し得る環境下で劣化が促進し易く、発光駆動寿命に影響を与える可能性がある。
また、転写法で発光層を形成する場合も、転写層の製膜性を継承したり異物が混入したりして発光層の製膜性や膜質が悪くなり、凝集物やピンホール等を形成して発光効率や発光駆動寿命に悪影響を及ぼす可能性がある。さらに、転写法で作製された発光層は蒸着法で作製された発光層と比べて膜密度等の膜質が異なる可能性があり、電荷輸送性(移動度)や再結合効率が変化する等して発光色や発光効率に悪影響を及ぼす可能性がある。また、光照射下や高温保存環境や発光駆動状態等のような、分子が移動し得る環境下で劣化が促進し易く、発光駆動寿命に影響を与える可能性がある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、生産性に優れた塗布法又は転写法で発光層を形成してなる有機エレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法において、発光駆動寿命や発光効率等の特性に優れると共に製造プロセスが容易な有機エレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題解決のための研究を行っている過程で、生産性に優れた塗布法又は転写法で発光層を形成した後、その上に特定の材料からなる層を特定の方法で形成した場合に、発光駆動寿命や発光効率等の特性が顕著に向上することを見出して本発明に到達した。
すなわち、本発明の第1の観点に係る有機エレクトロルミネッセンス素子は、少なくとも陽極、発光層、低分子材料層及び陰極がその順で積層された素子構造を有し、前記発光層は、低分子系のホスト材料と発光材料であるドーパントとを有する塗布層又は転写層であり、前記低分子材料層は、前記発光層に含まれる低分子系のホスト材料と同じ低分子材料若しくはその誘導体を有する蒸着層又は塗り重ね層であることを特徴とする。
また、本発明の第2の観点に係る有機エレクトロルミネッセンス素子は、少なくとも陽極、発光層、低分子材料層及び陰極がその順で積層された素子構造を有し、前記発光層は、中分子系又は高分子系のホスト材料と発光材料であるドーパントとを有する塗布層又は転写層であり、前記低分子材料層は、前記発光層に含まれる中分子系又は高分子系のホスト材料の基本骨格を主骨格とする低分子材料若しくはその誘導体を有する蒸着層又は塗り重ね層であることを特徴とする。
第1の観点に係る発明と第2の観点に係る発明との違いは、発光層上の低分子材料層が、第1の観点に係る発明では、発光層に含まれる低分子系のホスト材料と同じ低分子材料若しくはその誘導体を有する蒸着層又は塗り重ね層であるのに対し、第2の観点に係る発明では、発光層に含まれる中分子系又は高分子系のホスト材料の基本骨格を主骨格とする低分子材料又はその誘導体を有する蒸着層又は塗り重ね層である点で相違するが、両者は発光駆動寿命や発光効率等の特性が顕著に向上する効果を奏する点で共通する。本発明者は、現時点ではそうした作用効果を発現する詳細なメカニズムを解明しきれていないが、この第1、第2の観点に係る本発明によれば、設備投資が安価でパネルの大面積化にも対応可能な塗布法又は転写法で発光層が形成され、その発光層上に設けられた低分子材料層が上述した特定の低分子材料又はその誘導体を有する蒸着層又は塗り重ね層であるように構成したので、その低分子材料層が、塗布法又は転写法により形成された発光層の製膜性の悪さを補修するように作用すると共に発光層に生じたピンホールを埋めて膜を補修するように作用すると考えられる。その結果、本発明の有機EL素子では、発光層に存在するピンホール等の欠損部に局所電流が流れるのを抑制でき、発光層の発光駆動寿命を向上させることができる。
上記本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記発光層に含まれるドーパントが、低分子系の発光材料であることが好ましい。発光層に発光効率のよい低分子系の発光材料をドーパントとして含有させることにより、発光層での発光効率を向上させることができる。
上記本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記発光層が有するドーパントのイオン化ポテンシャルが、前記低分子材料層が有する低分子材料若しくはその誘導体のイオン化ポテンシャルよりも小さいことが好ましい。この発明によれば、発光層が有する発光効率のよい発光材料であるドーパントのイオン化ポテンシャルが、低分子材料層が有する低分子材料等のイオン化ポテンシャルよりも小さいので、その低分子材料層は、発光層を突き抜けるホールをブロックするホールブロック層として機能する。その結果、陽極から供給された正孔が低分子材料層でブロックされるので、発光層内のドーパントが優先的に発光し、発光効率が向上する。さらに、発光効率のよいドーパントが所望の発光効率で発光することになるので、希望する発光色となるように発光させることができる。
上記本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記低分子材料層が前記発光層上を欠損なく覆うように設けられている。この発明によれば、低分子材料層は、低分子材料又はその誘導体を蒸着し又は塗り重ねることにより発光層上を欠損なく覆うように設けられているので、発光層の製膜性の悪さを補修するように作用すると共に発光層に生じたピンホールを埋めて膜を補修するように作用する。
上記本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記低分子材料層は、前記発光層を構成するR(赤)G(緑)B(青)等の各領域のうち2色領域以上を覆うように同一の低分子材料又はその誘導体で形成されていることが好ましい。この発明によれば、低分子材料層が発光層を構成するR(赤)G(緑)B(青)等の各領域のうち2色領域以上を覆うので、各色毎に別々の低分子材料層を形成する場合に比べてプロセスメリットがある。
上記課題を解決する本発明の第1の態様に係る有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法は、少なくとも陽極、発光層、低分子材料層及び陰極がその順で積層された素子構造を有する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法であって、前記発光層の形成は、低分子系のホスト材料と発光材料であるドーパントとを有する発光層形成用材料を塗布し、又は該発光層形成用材料で形成された転写層を転写して行い、前記低分子材料層の形成は、該発光層に含まれる低分子系のホスト材料と同じ低分子材料若しくはその誘導体を蒸着して行うことを特徴とする。
上記課題を解決する本発明の第2の態様に係る有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法は、少なくとも陽極、発光層、低分子材料層及び陰極がその順で積層された素子構造を有する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法であって、前記発光層の形成は、低分子系のホスト材料と発光材料であるドーパントとを有する発光層形成用材料を塗布し、又は該発光層形成用材料で形成された転写層を転写して行い、前記低分子材料層の形成は、該発光層に含まれる低分子系のホスト材料と同じ低分子材料若しくはその誘導体を塗り重ねて行うことを特徴とする。
上記課題を解決する本発明の第3の態様に係る有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法は、少なくとも陽極、発光層、低分子材料層及び陰極がその順で積層された素子構造を有する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法であって、前記発光層の形成は、中分子系又は高分子系のホスト材料と発光材料であるドーパントとを有する発光層形成用材料を塗布し、又は該発光層形成用材料で形成された転写層を転写して行い、前記低分子材料層の形成は、該発光層に含まれる中分子系又は高分子系のホスト材料の基本骨格を主骨格とする低分子材料若しくはその誘導体を蒸着して行うことを特徴とする。
上記課題を解決する本発明の第4の態様に係る有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法は、少なくとも陽極、発光層、低分子材料層及び陰極がその順で積層された素子構造を有する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法であって、前記発光層の形成は、低分子系のホスト材料と発光材料であるドーパントとを有する発光層形成用材料を塗布し、又は該発光層形成用材料で形成された転写層を転写して行い、前記低分子材料層の形成は、該発光層に含まれる中分子系又は高分子系のホスト材料の基本骨格を主骨格とする低分子材料若しくはその誘導体を塗り重ねて行うことを特徴とする。
上記第1〜第4の態様に係る発明によれば、発光層を、設備投資が安価でパネルの大面積化にも対応可能な塗布法又は転写法で形成し、低分子材料層を、低分子材料若しくはその誘導体を蒸着又は塗り重ねて形成するので、従来の方法に比べて低コストで製造プロセスが容易な有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法を提供することができる。本発明において、形成した低分子材料層が、塗布法又は転写法により形成された発光層の製膜性の悪さを補修するように作用すると共に発光層に生じたピンホールを埋めて膜を補修するように作用すると考えられるので、得られた有機EL素子は、発光層に存在するピンホール等の欠損部に局所電流が流れるのを抑制でき、発光層の発光駆動寿命が向上する。
上記本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法において、前記低分子材料層を、前記発光層を構成するR(赤)G(緑)B(青)等の各領域のうち2色領域以上を覆うように同一の低分子材料又はその誘導体で形成することが好ましい。この発明によれば、発光層を構成するR(赤)G(緑)B(青)等の各領域のうち2色領域以上を覆うように低分子材料層を形成するので、各色毎に別々の低分子材料層を形成する場合に比べてプロセスメリットがある。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子によれば、塗布法又は転写法により形成された発光層の製膜性の悪さを補修するように低分子材料層が作用すると共に発光層に生じたピンホールを埋めて膜を補修するように低分子材料層が作用すると考えられるので、発光層に存在するピンホール等の欠損部に局所電流が流れるのを抑制でき、発光層の発光駆動寿命を向上させることができる。
また、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子によれば、発光層が有する発光効率のよい発光材料であるドーパントのイオン化ポテンシャルが、低分子材料層が有する低分子材料等のイオン化ポテンシャルよりも小さいので、その低分子材料層は、発光層を突き抜けるホールをブロックするホールブロック層として機能する。その結果、陽極から供給された正孔が低分子材料層でブロックされるので、発光層内のドーパントが優先的に発光し、発光効率が向上する。さらに、発光効率のよいドーパントが所望の発光効率で発光することになるので、希望する発光色となるように発光させることができる。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法によれば、生産性に優れると共に設備投資が安価でパネルの大面積化にも対応可能な塗布法又は転写法で形成し、低分子材料層を蒸着法又は塗り重ね法で形成するので、発光駆動寿命や発光効率等の特性のよい有機エレクトロルミネッセンス素子を、従来の方法に比べて低コストで容易な製造プロセスで製造することができる。
以下、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子という。)及びその製造方法の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施形態に限定解釈されるものではない。
[有機EL素子]
図1は、本発明の有機EL素子の基本的な素子構造を示す模式断面図である。本発明の有機EL素子1は、基材2上に、少なくとも陽極11、発光層14、低分子材料層15及び陰極18がその順で形成されている素子構造であるが、図1においては、基板2上に、陽極11、正孔注入層12、正孔輸送層13、発光層14、低分子材料層15、電子輸送層16、電子注入層17及び陰極18がその順で形成されている形態を例示する。本発明において、発光層14は、低分子系のホスト材料と発光材料であるドーパントとを有する層であり、塗布法又は転写法で形成される。また、低分子材料層15は、低分子材料若しくはその誘導体を有する材料を蒸着又は塗り重ねて形成される。
低分子材料層15については後で詳述するが、2つの態様に分けられ、第1態様に係る低分子材料層は、発光層14に含まれる低分子系のホスト材料と同じ低分子材料又はその誘導体を有する蒸着層又は塗り重ね層であり、第2態様に係る低分子材料層は、発光層14に含まれる中分子系又は高分子系のホスト材料の基本骨格を主骨格とする低分子材料又はその誘導体を有する蒸着層又は塗り重ね層である。すなわち、第1態様の低分子材料層15は、発光層14が低分子系のホスト材料を有する材料で形成された場合の態様であってその低分子系のホスト材料と同じ低分子材料又はその誘導体で形成された場合であり、第2態様の低分子材料層15は、発光層14が中分子系又は高分子系のホスト材料を有する材料で形成された場合の態様であってその中分子系又は高分子系のホスト材料の基本骨格を主骨格とする低分子材料又はその誘導体で形成された場合である。これらいずれの低分子材料層15も、蒸着法又は塗り重ね法により形成されている。
以下に、本発明の有機EL素子の素子構造が備える構成要素について順次詳しく説明する。
(基板)
最初に、基板2について説明する。基板2の種類や形状、大きさ、厚さ等の構造は特に限定されるものではなく、有機EL素子の用途や基板上に積層する各層の材質等により適宜決めることができる。例えば、Al等の金属、ガラス、石英又は樹脂等の各種の材料からなるものを用いることができる。なお、発光層14で発光した光を基板2側から出射させるボトムエミッション構造の有機EL素子の場合には、透明又は半透明になる材料で基板が形成されることが好ましいが、発光層14で発光した光を基板の反対側から出射させるトップエミッション構造の有機EL素子の場合には、必ずしも透明又は半透明になる材料を用いる必要はなく、不透明材料で基板を形成してもよい。
特に、有機EL素子の基板として一般的に用いられているものを好ましく用いることができ、用途に応じてフレキシブルな材質や硬質な材質等が選択される。具体的に用いることができる材料としては、例えば、ガラス、石英、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメタクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエステル、ポリカーボネート等を挙げることができる。また、基板2の形状としては、枚葉状でも連続状でもよく、具体的な形状としては、例えばカード状、フィルム状、ディスク状、チップ状等を挙げることができる。
(陽極)
陽極11は、図1においては基板2上に設けられており、その形成材料としては、金属、導電性酸化物、導電性高分子等の薄膜が用いられる。具体的には、例えば、ITO(インジウム錫オキサイド)、酸化インジウム、IZO(インジウム亜鉛オキサイド)、SnO、ZnO等の透明導電膜、金、クロムのような仕事関数の大きな金属、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリアルキルチオフェン誘導体、ポリシラン誘導体のような導電性高分子等を挙げることができる。なお、陽極11が光取り出し側にある場合には、陽極11が透明又は半透明となっていることが好ましいので、ITO(インジウム錫オキサイド)、酸化インジウム、IZO(インジウム亜鉛オキサイド)、SnO、ZnO等の透明導電材料が好ましく用いられる。
陽極11は、真空蒸着、スパッタリング、CVD等の真空プロセスあるいは塗布により形成され、その膜厚は使用する材料等によっても異なるが、例えば10nm〜1000nm程度であることが好ましい。
(正孔注入層)
正孔注入層12は、本発明においては必須の層ではないが、通常は陽極11上に好ましく設けられ、陽極11から正孔(ホール)が注入され易いように作用する。正孔注入層12の形成材料としては、前記作用を奏する材料が好ましく用いられ、例えば後述する発光層14のところで例示する色素系材料、金属錯体系材料又は高分子系材料や、フェニルアミン系、スターバースト型アミン系、フタロシアニン系、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸化アルミニウム等の酸化物、アモルファスカーボン、ポリアニリン、ポリチオフェン等の誘導体等、正孔注入層用材料として通常使用されるものを用いることができる。また、正孔注入層の形成材料として市販されている、例えばポリ(3、4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホネート(略称PEDOT/PSS、バイエル社製、商品名;Baytron P CH8000、水溶液として市販。)等も使用することができる。
正孔注入層12は、真空蒸着、スパッタリング、CVD等の真空プロセスや、プロセスメリットのある塗布法により形成される。正孔注入層12の厚さは使用する材料等によっても異なるが、例えば0.5nm〜1000nm程度の範囲内であることが好ましい。
(正孔輸送層)
正孔輸送層13は、本発明においては必須の層ではないが、通常は陽極11上又は正孔注入層12上に好ましく設けられ、陽極11から供給された正孔(ホール)を発光層14に輸送するように作用する。また、用いる材料によっては、陰極18から発光層14に供給された電子をブロックする電子ブロック層としても機能させることができる。正孔輸送層13の形成材料としては、フタロシアニン、ナフタロシアニン、ポリフィリン、オキサジアゾール、トリフェニルアミン、トリアゾール、イミダゾール、イミダゾロン、ピラゾリン、テトラヒドロイミダゾール、ヒドラゾン、スチルベン、ペンタセン、ポリチオフェン若しくはブタジエン、又はこれらの誘導体等、正孔輸送層用材料として通常使用されるものを用いることができる。また、正孔輸送層用材料として、例えばポリ[(9,9−ジオクチルフルオレニル−2,7−ジイル)−co−(4,4’−(N−(4−sec−ブチルフェニル))ジフェニルアミン)](TFB)と熱硬化性エポキシ樹脂の混合物を用いることもできる。
正孔輸送層13は、上記材料を含有した正孔輸送層形成用塗工液を用いた塗布法により形成される。正孔輸送層13の厚さは使用する材料等によっても異なるが、例えば1nm〜50nm程度の範囲内であることが好ましい。なお、正孔輸送層用材料は、上記の正孔注入層12内に混ぜてもよいし、後述する発光層14内に混ぜてもよい。
(発光層)
発光層14は、本発明においては必須の層であり、図1においては正孔輸送層13上に設けているが、陽極11上に直接設けてもよいし、正孔注入層12上に設けてもよい。発光層14は、ホスト材料とドーパントとを含有する発光層形成材料で形成した層であって、塗布法又は転写法により形成された層である。本発明においては、発光層形成材料として、発光特性を担う発光材料として発光効率のよいドーパントが用いられ、また、ホスト材料はそれ自身が発光材料ではあるが、発光層内でのドーパントの分散性を向上させたり、発光層内での電荷輸送性を担保したりすることを主目的として用いられる。
発光層形成材料を構成するドーパントは、発光層14での主な発光特性を担う低分子系の発光材料であって発光効率のよいものが好ましく用いられる。そうしたドーパントとしては、例えば、ペリレン誘導体、クマリン誘導体、ルブレン誘導体、キナクドリン誘導体、スクアリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、スチリル系色素、テトラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、デカシクレン、フェノキサゾン、キノキサリン誘導体、カルバゾール誘導体、フルオレン誘導体等を挙げることができる。また、これらにスピロ基を導入した化合物も用いることができる。
具体的には、1−tert−ブチル−ペリレン(TBPと略す)、クマリン6、ナイルレッド、1,4−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ベンゼン(DPVBiと略す)、1,1,4,4−テトラフェニル−1,3−ブタジエン(TPBと略す)等を挙げることができる。これらの材料は単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。また、燐光系のドーパントとして、白金やイリジウム等の重金属イオンを中心に有し、燐光を示す有機金属錯体が使用可能である。具体的には、従来公知の、Ir(ppy)、(ppy)Ir(acac)、Ir(BQ)、(BQ)Ir(acac)、Ir(THP)、(THP)Ir(acac)、Ir(BO)、(BO)(acac)、Ir(BT)、(BT)Ir(acac)、Ir(BTP)、(BTP)Ir(acac)、FIr6、PtOEP等を用いることができる。これらの材料は単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
なお、ホスト材料が中分子系又は高分子系材料である場合には、その中分子系又は高分子系材料の分子構造の中に上記のドーパントが発光基として含まれていてもよい。
発光層形成材料を構成するホスト材料は、発光層用に一般的に用いられている材料であれば低分子系材料であっても中分子系又は高分子系材料であっても特に限定されない。好ましくは、それ自身が発光材料ではあるが、発光層内でのドーパントの分散性を向上させたり、発光層内での電荷輸送性を担保したりする低分子系材料又は中分子系材料又は高分子系材料が用いられる。
なお、本願中において、「低分子」とは、分子量で70〜2000の範囲のものを定義し、「中分子」とは、重量平均分子量で2000〜1万の範囲のものを定義し、「高分子」とは、重量平均分子量で1万〜100万の範囲のものを定義する。低分子系材料における分子量は、中分子系又は高分子系材料の分子量が分布値であることとは異なり単一値であり、分子構造から決定される。低分子系材料の構造は、一般的に、質量分析法NMR法、IR法、質量分析法などにより決定される。一方、中分子系又は高分子系材料の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定を行い、ポリスチレン換算した重量平均分子量によって求めることができる。
低分子系のホスト材料としては、蛍光材料及び燐光材料のいずれも用いることができ、具体的には、色素系材料や金属錯体系材料を挙げることができる。
色素系材料としては、例えば、アリールアミン誘導体、アントラセン誘導体、フェニルアントラセン誘導体、オキサジアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オリゴチオフェン誘導体、カルバゾール誘導体、シクロペンタジエン誘導体、シロール誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、シロール誘導体、スチルベン誘導体、スピロ化合物、チオフェン環化合物、テトラフェニルブタジエン誘導体、トリアゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、トリフマニルアミン誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ヒドラゾン誘導体、ピラゾリンダイマー、ピリジン環化合物、フルオレン誘導体、フェナントロリン類、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体等を挙げることができる。また、これらの2量体や3量体やオリゴマー、2種類以上の誘導体の化合物も用いることができる。具体的には、トリフェニルアミン誘導体としては、N,N´−ビス−(3−メチルフェニル)−N,N´−ビス−(フェニル)−ベンジジン(TPDと略す)や、4,4,4−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(MTDATAと略す)等が挙げられ、アリールアミン類としては、ビス(N−(1−ナフチル−N−フェニル)ベンジジン)(α−NPDと略す)等が挙げられ、オキサジアゾール誘導体としては、(2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール)(PBDと略す)等が挙げられ、アントラセン誘導体としては、9,10−ジ−2−ナフチルアントラセン(DNAと略す)等が挙げられ、カルバゾール誘導体としては、4,4−N,N´−ジカルバゾール−ビフェニル(CBPと略す)や、1,4−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ベンゼン(DPVBiと略す)等が挙げられ、フェナントロリン類としては、バソキュプロインや、バソフェナントロリン等が挙げられる。これらの材料は単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
金属錯体系材料としては、例えば、アルミキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾール亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、ユーロピウム錯体等、あるいは、中心にAl、Zn、Be等の金属又は、Tb、Eu、Dy等の希土類金属を有し、配位子にオキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダール、キノリン構造等を有する金属錯体を挙げることができる。具体的には、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体(Alq3と略す)、ビス(2−メチル−8−キノリラト)(p−フェニルフェノラート)アルミニウム錯体(BAlqと略す)、トリ(ジベンゾイルメチル)フェナントロリンユーロピウム錯体、ビス(ベンゾキノリノラト)ベリリウム錯体(BeBqと略す)等を挙げることができる。これらの材料は単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
一方、中分子系又は高分子系のホスト材料としても、蛍光材料及び燐光材料のいずれも用いることができ、具体的には、上記の低分子系のホスト材料を分子内に直鎖、側鎖若しくは官能基として導入した中分子系又は高分子系材料を使用することができる。具体的には、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリビニルカルバゾール、ポリフルオレノン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリキノキサリン誘導体、及びそれらの共重合体等を挙げることができる。
発光層形成材料を構成するドーパントとホスト材料との配合割合は、発光色や使用する材料の種類によっても異なるが、例えば、ホスト材料に対して、重量比でおよそ1〜20重量%(重量%は質量%と同義。)の範囲でドーパントが添加されていることが好ましい。
また、発光層14は、各種の添加材を含んでいてもよい。例えば、発光色や色味調整等を目的としたオリゴマー材料又はデンドリマー材料の発光材料を含有させてもよいし、電荷輸送材料を含有させてもよい。また、発光層形成用塗工液には、粘度を調整するための樹脂材料、熱又は光等により硬化する材料、又は、発光波長を変化させるための材料を添加してもよい。粘度調整用の樹脂材料としては、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアリレート、ポリエステル等が挙げられる。また、熱又は光等により硬化する材料としては、上記の発光層形成材料の分子内に硬化性の官能基が導入されたものや、硬化性樹脂等を使用することができる。例えば、硬化性の官能基としては、アクリロイル基やメタクリロイル基等のアクリル系の官能基、又はビニレン基、エポキシ基、イソシアネート基等を挙げることができる。硬化性樹脂としては、熱硬化性樹脂であっても光硬化性樹脂であってもよく、例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、シランカップリング剤等を挙げることができる。
発光層14の厚さは特に限定されるものではなく、例えば5nm〜200nm程度、好ましくは20nm〜100nm程度とすることができる。発光層14の厚さが厚すぎる場合には、一定の光出力を得るために大きな印加電圧が必要になって発光効率が悪くなることがあり、発光層の厚さが薄すぎる場合には、膜質が悪化し、後述の低分子材料層を設けても発光特性等が改善できないことがある。
発光層14の形成は、塗布法又は転写法により行われる。塗布法は、少なくともホスト材料とドーパントを含有した発光層形成用塗工液を例えば正孔輸送層13上に所定のパターンで塗布する方法であり、この方法により、塗布層である発光層が形成される。塗布手段としては、インクジェット法、スプレイ塗布法等の各種の方法を挙げることができる。
一方、転写法は、先ず、少なくともホスト材料とドーパントを含有した発光層形成用塗工液を転写層形成用シート上に所定のパターンで塗布して転写シートを形成し、その転写シートに形成された転写層を例えば正孔輸送層13上に転写することにより、転写層である発光層が形成される。転写層形成用シート上への塗布手段は上記塗布法の場合と同様である。
(低分子材料層)
低分子材料層15は、本発明においては必須の層であり、図1に示すように発光層14上に設けられる。この低分子材料層15は、低分子材料若しくはその誘導体を有する材料を蒸着又は塗り重ねて形成される。具体的には、(i)発光層14に含まれる低分子系のホスト材料と同じ低分子材料又はその誘導体を有する蒸着層又は塗り重ね層の場合と、(ii)発光層14に含まれる中分子系又は高分子系のホスト材料の基本骨格を主骨格とする低分子材料又はその誘導体を有する蒸着層又は塗り重ね層の場合に大別される。したがって、この低分子材料層15に用いられる低分子材料は、発光層14の説明において例示した種々の材料が好ましく用いられる。
なお、ここで言う「低分子」の定義は上述したとおりであり、低分子材料の好ましい分子量は、70〜2000の範囲内であり、好ましくは100〜1000の範囲内である。分子量が70未満の低分子材料は、一般的にガラス転移温度が低い場合が多く、加熱により溶剤を十分に乾燥させることが困難となることがある。一方、数平均分子量が2000を超える低分子材料は、分解することなく蒸着させることが困難となることがある。
低分子材料層15は、蒸着又は塗り重ねにより形成される。発光層上への蒸着による低分子材料層15の薄膜形成は、真空環境下で低分子材料を加熱することにより行われる。一方、発光層上への塗り重ねによる低分子材料層15の薄膜形成は、低分子材料層形成用塗布液を2回以上塗布することにより行われる。本発明においては、蒸着法で形成した場合であっても塗り重ね法で形成した場合であっても発光駆動寿命や発光効率等の特性が顕著に向上する効果を奏する点で共通し、しかも、低分子材料又はその誘導体を用いるので、中分子系又は高分子材料を用いる場合に比べて、蒸着又は塗り重ねによる形成が容易である。
本発明者は、現時点ではそうした作用効果を発現する詳細なメカニズムを解明しきれていないが、発光層上に設けられた低分子材料層15が上述した特定の低分子材料又はその誘導体を有する蒸着層又は塗り重ね層であるように構成したので、その低分子材料層15が、塗布法又は転写法により形成された発光層14の製膜性の悪さを補修するように作用すると共に発光層14に生じたピンホール等を埋めて膜を補修するように作用すると考えられる。なお、塗り重ね法においてその塗り重ね回数を2回以上としたのは、1回の塗布で形成した低分子材料層にはそれ自体にピンホール等の欠損部が存在することがあり、結果的にも発光寿命等を向上させることができなかったが、2回以上の塗布で形成した低分子材料層にはそうした欠損が存在せず、結果的にも発光寿命等を向上させることができたためである。塗り重ね回数の上限は特に限定されないが、通常2回程度がコストの点で好ましい。
図2は、低分子材料層15が発光層14を補修する形態を示す模式断面図である。図2(A)は、発光層14を塗布法により形成し、その上に電子輸送層15を形成した例である。発光層14には、膜厚が薄い箇所やピンホールが生じている箇所等の欠損部があり、一定電圧下においてはそうした欠損部に電流が集中し易くその欠損部のみが高輝度で発光する反面、劣化が促進し、発光寿命の低下が起こる。さらに、欠損部以外の正常な部位の発光材料(ドーパント)が効率的に発光しないので、発光効率も劣ることになり、その結果、色味の点でも所望の色味が生じないことがある。また、正孔輸送層13から発光層14に到達した正孔は、その欠損部を突き抜けて電子輸送層16内に到達し易いので、その電子輸送層16内に含まれる発光可能な化合物の発光が起こることがある。こうしたことは、所定の発光材料以外の発光材料が発光することから、所望の発光色を呈さないことがある。
これに対し、蒸着により低分子材料層15を形成したもの(図2(B)参照)及び塗り重ねることにより低分子材料層15を形成したもの(図2(C)参照)は、発光層14の膜厚が薄い箇所やピンホールが生じている箇所が低分子材料層15により補修するように埋められている。その結果、一部分に電流が集中することがないので、劣化の促進が起こり難く、発光寿命の低下が生じない。さらに、発光層14内の発光材料が全面で効率的に発光するので、所望の色味が生じ易い。また、また、正孔輸送層13から発光層14に到達した正孔が発光層14を突き抜け難くするので、その電子輸送層16内に含まれる発光可能な化合物の発光を抑制することができる。このように、低分子材料又はその誘導体を蒸着し又は塗り重ねることにより形成された低分子材料層15は、発光層14上を欠損なく覆うように設けられるので、発光層14に存在するピンホール等の欠損部に局所電流が流れるのを抑制でき、発光層14の発光駆動寿命を向上させることができる。
低分子材料層15の厚さは、例えば0.5nm〜30nm程度、好ましくは1nm〜20nm程度である。低分子材料層15の厚さを上記範囲内とすることにより、低分子材料層15が発光層14上を欠損なく覆うことができる。低分子材料層15が厚すぎる場合には、駆動電圧が上昇したりキャリアバランス悪くなったりする等の問題が発生することがあり、低分子材料層15の厚さが薄すぎる場合には、発光層14上を欠損なく覆えないことがある。
図3は、発光層と低分子材料層のエネルギーダイアグラムの模式図である。本発明において、発光層14が有するドーパントのイオン化ポテンシャルと、低分子材料層15が有する低分子材料若しくはその誘導体のイオン化ポテンシャルとを比べた場合、発光層14が有するドーパントのイオン化ポテンシャルが、低分子材料層15が有する低分子材料若しくはその誘導体のイオン化ポテンシャルよりも小さいことが好ましい。例えば、発光層14が有するドーパントのイオン化ポテンシャルは、低分子材料層15が有する低分子材料若しくはその誘導体の最高被占軌道イオン化ポテンシャルよりも0.05eV以上小さいことが好ましい。
イオン化ポテンシャルのこうした関係は、低分子材料層15が、発光層14を突き抜けたホールをブロックする機能を有することを意味すると共に、エキシトンの閉じこめ効果も有していると考えられる。すなわち、低分子材料層15はホールブロック層として機能する。低分子材料層15は陽極11から供給された正孔をブロックするので、その正孔は発光層14内のドーパントの発光に優先的に使用され、発光効率が向上する。その結果、発光効率のよいドーパントが所望の発光効率で発光することになるので、得られた有機EL素子は希望する発光色で発光することになる。なお、エキシトンとは、励起によって生じた電子正孔対が十分に解離せずにクーロン力で弱く結合して一つの結合体として動くことができる中性粒子の状態をいい、励起子とも呼ばれている。
(電子輸送層)
電子輸送層16は、本発明においては必須の層ではないが、通常は低分子材料層15上に好ましく設けられ、陰極18から供給された電子を発光層14に輸送するように作用する。電子輸送層16の形成材料としては、電子を電子注入層から発光層へ円滑に輸送することができる材料を含有するものであれば特に限定されるものではない。このような電子輸送性を有する材料としては、例えば金属錯体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体等が挙げられる。例えば、フェナントロリン類の具体例としては、バソキュプロイン、バソフェナントロリン等が挙げられ、金属錯体の具体例としては、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体(Alq)、ビス(2−メチル−8−キノリラト)(p−フェニルフェノラート)アルミニウム錯体(BAlq)等が挙げられる。オキサジアゾール誘導体としては、(2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール)(PBD)等が挙げられる。これらの材料は単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
電子輸送層16は、真空蒸着法あるいは上記材料を含有した電子輸送層形成用塗工液を用いた塗布法により形成される。電子輸送層16の厚さは使用する材料等によっても異なるが、例えば5nm〜50nm程度であることが好ましい。なお、電子輸送層用材料は、後述の電子注入層17内に混ぜてもよいし、上述した発光層14内に混ぜてもよい。
(電子注入層)
電子注入層17は、本発明においては必須の層ではないが、通常は陰極18に接した態様で陰極18と電子輸送層16との間に好ましく設けられ、陰極18から電子が注入され易いように作用する。電子注入層17の形成材料としては、発光層14の発光材料に例示した化合物の他、アルミニウム、フッ化リチウム、ストロンチウム、酸化マグネシウム、フッ化マグネシウム、フッ化ストロンチウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、酸化アルミニウム、酸化ストロンチウム、カルシウム、ポリメチルメタクリレートポリスチレンスルホン酸ナトリウム、リチウム、セシウム、フッ化セシウム等のようにアルカリ金属類、及びアルカリ金属類のハロゲン化物、アルカリ金属の有機錯体等を挙げることができる。
電子注入層17は、真空蒸着、スパッタリング、CVD等の真空プロセスや、塗布法により形成される。電子注入層17の厚さは使用する材料等によっても異なるが、例えば5nm〜30nm程度であることが好ましい。
(陰極)
陰極18は、図1においては電子注入層17上に設けられた必須のものであり、その形成材料としては、金属、導電性酸化物、導電性高分子等の薄膜が用いられる。具体的には、例えば、アルミ、銀等の単体金属、MgAg等のマグネシウム合金、AlLi、AlCa、AlMg等のアルミニウム合金、Li、Caをはじめとするアルカリ金属類、それらアルカリ金属類の合金のような仕事関数の小さな金属等を挙げることができる。陰極18が光取り出し側にある場合には、陰極18が透明又は半透明となっていることが好ましいので、ITO(インジウム錫オキサイド)、酸化インジウム、IZO(インジウム亜鉛オキサイド)、SnO、ZnO等の透明導電材料が好ましく用いられる。
陰極18は、上述した陽極11の場合と同様、真空蒸着、スパッタリング、CVD等の真空プロセスあるいは塗布により形成され、その膜厚は使用する材料等によっても異なるが、例えば10nm〜1000nm程度であることが好ましい。なお、図1に示すように、電子注入層17等の有機化合物層上に陰極18を成膜する場合は、陰極成膜時に有機化合物層に加わるダメージを軽減するための保護層を設けてもよい。
以上のようにして図1に例示する有機EL素子1が構成されるが、上述した正孔注入層12、正孔輸送層13、発光層14、低分子材料層15、電子輸送層16、電子注入層17の中には、必要に応じてオリゴマー材料又はデンドリマー材料の発光材料若しくは電荷輸送材料を色味補正等の目的で含有させてもよい。
こうした本発明の有機EL素子1は、塗布法又は転写法により形成された発光層14の製膜性の悪さを補修するように低分子材料層15が作用すると共に発光層14に生じたピンホールを埋めて膜を補修するように低分子材料層15が作用すると考えられるので、発光層14に存在するピンホール等の欠損部に局所電流が流れるのを抑制でき、発光層14の発光駆動寿命を向上させることができる。さらに、発光層14が有するドーパントのイオン化ポテンシャルを、低分子材料層15が有する低分子材料等のイオン化ポテンシャルよりも小さくすれば、その低分子材料層15は、発光層14を突き抜けるホールをブロックするホールブロック層として機能するので、発光層14内のドーパントを優先的に発光させることができ、発光効率を向上させることができる。さらに、発光効率のよいドーパントが所望の発光効率で発光することになるので、希望する発光色となるように発光させることができる。
(有機EL素子の具体的形態)
図4〜図7は、本発明の有機EL素子のRGBの各形態を示す模式断面図である。詳しくは、図4は、発光層14を構成するR(赤)G(緑)B(青)等の各領域が隔壁19によって仕切られているが、低分子材料層15はR(赤)G(緑)B(青)等の各領域を共通して覆うように設けられた形態を示している。また、図5は、発光層14を構成するR(赤)G(緑)B(青)等の各領域と、その上に形成される低分子材料層15及び電子輸送層16がいずれも隔壁19によって仕切られている形態を示している。隔壁19は、SiO等の無機材料や、レジスト等の有機高分子材料からなるものであり、発光層形成前にあらかじめ正孔輸送層13上に形成される。その後、図4においては各色毎の発光層14は、隔壁19により塗布領域が画定されながら発光層形成用塗液によって形成され、図5においては各色毎の発光層14、低分子材料層15及び電子輸送層16は、隔壁19により塗布領域が画定されながら各層形成用塗液によって形成される。こうした形態は、高精細ディスプレイのように、画素が小さいものに好ましく適用される。
一方、図6は、発光層14を構成するR(赤)G(緑)B(青)等の各領域が隔壁19を設けずに形成されたものであり、低分子材料層15は図4と同様にR(赤)G(緑)B(青)等の各領域を共通して覆うように設けられた形態を示している。こうした形態は、各色の領域が比較的大きいエリアカラー形態の大面積の電飾用表示パネル等に好ましく適用され、従来技術のような蒸着法では困難であった大面積形態下での発光層膜厚の面内均一性を塗布法や転写法により容易にし、発光特性を改善することができるというメリットがある。なお、発光層14を構成する色領域は、代表的にはR(赤)G(緑)B(青)であるが、それ以外であってもよく、例えば図6に示すような電飾用表示装置の場合には、その他の固定色を発光することができる発光層としてもよいので、白、黒、その他のカラー色からなる発光層を任意に形成することができる。
また、図7は、発光層14を構成するR(赤)G(緑)B(青)等の各領域が隔壁19によって仕切られている形態であると共に、さらに、低分子材料層15が、R(赤)G(緑)B(青)等の各領域のうち、G(緑と)B(青)の2色領域を覆うように同一の材料で形成されている形態を示している。なお、R(赤)の領域上には低分子材料層15が設けられておらず、発光層14上に直接電子輸送層16が設けられている素子構造である。こうした形態は、RのみがG、Bと異なるホスト材料を用いている場合に適用してもよい。
低分子材料層15は、図7では、R(赤)G(緑)B(青)等の各領域のうちG(緑と)B(青)の2色領域を覆うように同一の材料で形成されており、また、図4及び図6では、R(赤)G(緑)B(青)等の各領域のうちR(赤)G(緑と)B(青)の3色領域を覆うように同一の材料で形成されているが、低分子材料層15を3色の発光層14上の全てに共通して設けるか、2色の発光層14上に設けるか、各色毎に異なる低分子材料等からなる低分子材料層15を設けるかは、発光層14の色味との関係で任意に選択される。しかし、製造コスト等の観点からは、できるだけ同じ材料からなる低分子材料層15を各色上に共通して設けることが好ましい。
図8は、各色の発光層上に形成した低分子材料層を平面視した形態を示す模式平面図である。図8(A)は、RGBの3色領域を覆うように低分子材料層15を形成した例であり、図8(B)は、2色領域を覆うように低分子材料層15を形成した例であり、図8(C)は、単色領域を覆うように低分子材料層15を形成した例である。いずれの場合においても、各色の発光層14は、所定の区画内に寸法精度よく形成されていることが必要であるのに対し、低分子材料層15は発光層14よりも広くはみ出した「蒸着しろ」又は「塗り重ねしろ」が存在する形態で形成されていればよく、その形成精度も厳格である必要はない。特に本発明においては、低分子材料層15は蒸着又は塗り重ねにより形成されるが、低分子材料層15は発光層14の欠陥部を補修する作用を主に有するので、こうした低分子材料層15を形成するにあたっては、従来のようなアライメント機構をもつ高価な真空蒸着装置や、所定領域に蒸着するための高精細で高価なマスクが必要となることはなく、設備投資が嵩んだり歩留まりが低下したりすることはない。なお、塗り重ねにより低分子材料層15を形成する場合には、コスト的に極めて有利であり、しかも、その形態においても、各色の発光層14よりも広くはみ出した形態で形成されている場合が多い。
本発明においては、有機EL素子を構成する低分子材料層15が、図8に示す平面形態で形成されるので、本発明に係る有機EL素子であるか否かの判断は、まず、低分子材料層15が、発光層14の各色領域からはみ出した「蒸着しろ」又は「塗り重ねしろ」が存在する形態で形成されていることに着目すると容易に判断できる。さらに、発光層端部の形状を顕微鏡などで観察すれば、マスク蒸着法により形成された膜は発光層端部の形状がきれいな直線状になっているため、乾燥むら等が生ずる塗布膜と区別することができる。また、発光層14が塗膜であることは、パージ&トラップ−GC/MS法等を用いて溶剤を検知することにより確認することができる。
[有機EL素子の製造方法]
次に、有機EL素子の製造方法について説明する。本発明の有機EL素子の製造方法は、上述したように、少なくとも陽極11、発光層14、低分子材料層15及び陰極18がその順で積層された素子構造を有する有機EL素子の製造方法であるが、低分子材料層15の構成材料に対応して2つの態様に分けることができ、さらに、低分子材料層15の形成手段に応じて2つの態様に分けることができ、都合、4つの態様に大別できる。
第1の態様に係る有機EL素子の製造方法では、発光層14の形成を、低分子系のホスト材料と発光材料であるドーパントとを有する発光層形成用材料を塗布し、又は該発光層形成用材料で形成された転写層を転写して行い、その後の低分子材料層15の形成を、発光層14に含まれる低分子系のホスト材料と同じ低分子材料若しくはその誘導体を蒸着して行う。
第2の態様に係る有機EL素子の製造方法では、発光層14の形成を、低分子系のホスト材料と発光材料であるドーパントとを有する発光層形成用材料を塗布し、又は該発光層形成用材料で形成された転写層を転写して行い、その後の低分子材料層15の形成を、発光層14に含まれる低分子系のホスト材料と同じ低分子材料若しくはその誘導体を塗り重ねて行う。
第3の態様に係る有機EL素子の製造方法では、発光層14の形成を、中分子系又は高分子系のホスト材料と発光材料であるドーパントとを有する発光層形成用材料を塗布し、又は該発光層形成用材料で形成された転写層を転写して行い、その後の低分子材料層15の形成を、発光層14に含まれる中分子系又は高分子系のホスト材料の基本骨格を主骨格とする低分子材料若しくはその誘導体を蒸着して行う。
第4の態様に係る有機EL素子の製造方法では、発光層14の形成を、低分子系のホスト材料と発光材料であるドーパントとを有する発光層形成用材料を塗布し、又は該発光層形成用材料で形成された転写層を転写して行い、その後の低分子材料層15の形成を、発光層14に含まれる中分子系又は高分子系のホスト材料の基本骨格を主骨格とする低分子材料若しくはその誘導体を塗り重ねて行う。
こうした各態様に係る製造方法において、発光層14の形成と低分子材料層15の形成の詳細については、上記の有機EL素子の素子構造の説明欄で説明したとおりであるが、発光層14を、設備投資が安価でパネルの大面積化にも対応可能な塗布法又は転写法で形成し、低分子材料層14を、低分子材料若しくはその誘導体を蒸着又は塗り重ねて形成するので、従来の方法に比べて低コストで製造プロセスが容易な有機EL素子の製造方法を提供することができる。こうした方法によって得られた有機EL素子は、低分子材料層15が、塗布法又は転写法により形成された発光層14の製膜性の悪さを補修するように作用すると共に発光層14に生じたピンホールを埋めて膜を補修するように作用すると考えられるので、発光層14に存在するピンホール等の欠損部に局所電流が流れるのを抑制でき、発光層14の発光駆動寿命が向上する。
以下に、実施例と比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定解釈されるものではない。
(実施例1)
ガラス基板2の上に、透明陽極11、正孔注入層12、正孔輸送層13、発光層14、低分子材料層15、電子輸送層16、電子注入層17、陰極18の順番に製膜して積層し、最後に封止して有機EL素子1を作製した。透明陽極11と正孔注入層12以外は、水分濃度0.1ppm以下、酸素濃度0.1ppm以下の窒素置換グローブボックス内で作業を行った。
まず、透明陽極11として、厚さ150nmの酸化インジウム錫(ITO)薄膜が形成されたITO付ガラス基板(三容真空社製)を用い、そのITO薄膜をパターン形成した。パターン形成されたITO基板2を、中性洗剤、超純水の順番で超音波洗浄した後、UVオゾン処理を施した。
次に、洗浄された陽極11の上に、厚さ20nmの正孔注入層12を、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンスルホン酸(PEDOT−PSSと略す)水溶液を大気中でスピンコート法により塗布して形成した。正孔注入層12を製膜した後、水分を蒸発させるために大気中でホットプレートを用いて乾燥させた。
次に、作製した正孔注入層12の上に、厚さ20nmの正孔輸送層13を、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレニル−2,7−ジイル)−co−(4,4’−(N−(4−sec−ブチルフェニル))ジフェニルアミン)](TFBと略す)と熱硬化性エポキシ樹脂の混合物を含む正孔輸送層形成用塗工液を塗布して形成した。TFBは、アメリカン・ダイ・ソース社製、品番:ADS259BE(Mw:7.1×10)を材料とし、熱硬化性樹脂は、液状タイプの水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂(旭電化工業製、アデカレジンEP−4080S)に無水フタル酸を硬化剤として添加したものを使用した。正孔輸送層形成用塗工液は、キシレン中にTFBと上記エポキシ樹脂の重量比が1:1になるように溶解させた溶液を用い、グローブボックス内でスピンコート法により塗布して製膜した。このとき、薄膜を硬化させるために、グローブボックス内でホットプレートを用いて乾燥させた。
次に、作製した正孔輸送層13の上に、厚さ40nmの青色発光層14を、青色発光材料である1−tert−ブチル−ペリレン(TBPと略す。分子量:308)をドーパントとして含有し且つ4,4’−ビス(2、2−ジフェニル−エテン−1−yl)ジフェニル(DPVBiと略す。分子量:511)をホスト材料として含有した発光層形成用塗工液を用いて形成した。発光層形成用塗工液は、モノクロロベンゼン中にDPVBiとTBPの重量比が10:1になるように溶解させて作製した。発光層14は、この溶液をグローブボックス内でスピンコート法により塗布して製膜した。発光層を製膜した後、モノクロロベンゼンを蒸発させるためにグローブボックス内でホットプレートを用いて乾燥させた。
次に、作製した発光層14の上に、厚さ10nmの低分子材料層15を、発光層のホスト材料と同じDPVBiを真空中(圧力:1×10−4Pa)で抵抗加熱蒸着法により蒸着して形成した。なお、発光層14に含まれるドーパントであるTBPのイオン化ポテンシャルは5.6eVであり、低分子材料層15に含まれる低分子材料であるDPVBiのイオン化ポテンシャルは6.0eVである。
次に、作製した低分子材料層15の上に、厚さ20nmの電子輸送層16を、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体(Alq3)を真空中(圧力:1×10−4Pa)で抵抗加熱蒸着法により蒸着して形成した。
次に、作製した電子輸送層16の上に、厚さ0.5nmの電子注入層17としてのLiFと、厚さ150nmの陰極18としてのAlとを、真空中(圧力:1×10−4Pa)で抵抗加熱蒸着法により順次蒸着した。
最後に、陰極18を形成した後、グローブボックス内にて無アルカリガラスとUV硬化型エポキシ接着剤を用いて封止し、実施例1の有機EL素子を作製した。
(実施例2)
実施例1において、低分子材料層15の厚さを5nmとし、さらに、Alq3の代わりにビス(2−メチル−8−キノリラト)(p−フェニルフェノラート)アルミニウム錯体(BAlqと略す)を用いて厚さ20nmの電子輸送層16を形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例2の有機EL素子を作製した。
ここでの電子輸送層16は、BAlqを真空中(圧力:1×10−4Pa)で抵抗加熱蒸着法により製膜した。なお、BAlqで形成した電子輸送層16は、発光層14を緑に光らせないためのブロック層として作用する。また、発光層14に含まれるドーパントであるTBPのイオン化ポテンシャルと、低分子材料層15に含まれる低分子材料であるDPVBiのイオン化ポテンシャルは実施例1と同じである。
(比較例1)
実施例1において、低分子材料層15を形成しなかった以外は、実施例1と同様にして、比較例1の有機EL素子を作製した。
(比較例2)
実施例1において、DPVBiとTBPを含有する発光層14を塗布法ではなく、抵抗加熱蒸着法により製膜した以外は、実施例1と同様にして、比較例2の有機EL素子を作製した。抵抗加熱蒸着は、DPVBiとTBPを含有する混合材料を用い、真空中(圧力:1×10−4Pa)で行った。
(比較例3)
実施例2において、低分子材料層15を形成しなかった以外は、実施例2と同様にして、比較例3の有機EL素子を作製した。
(実施例3)
実施例2において、ホスト材料のDPVBiの代わりに2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチル−フェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(PBDと略す。分子量:354)を用いて発光層14を形成し、さらに、DPVBiの代わりに上記のPBDを用いて厚さ10nmの低分子材料層15を形成した以外は、実施例2と同様にして、実施例3の有機EL素子を作製した。
ここでの発光層14の形成には、発光層形成用塗工液としてトルエン中にPBDとTBPの重量比が10:3になるように溶解させたものを使用し、この塗工液を用いてグローブボックス内でスピンコート法により膜厚が40nmになるように塗布して発光層14を製膜した。発光層14を製膜した後、トルエンを蒸発させるためにグローブボックス内でホットプレートを用いて乾燥させた。低分子材料層15は、PBDを真空中(圧力:1×10−4Pa)で抵抗加熱蒸着法により製膜した。なお、発光層14に含まれるドーパントであるTBPのイオン化ポテンシャルは5.6eVであり、低分子材料層15に含まれる低分子材料であるPBDのイオン化ポテンシャルは5.8eVである。
(比較例4)
実施例3において、低分子材料層15を形成しなかった以外は、実施例3と同様にして、比較例4の有機EL素子を作製した。
(実施例4)
実施例1において、ドーパントとしてTBPの代わりにルブレン(5,6,11,12−テトラフェニルナフタセン)(Rubと略す。分子量:532)を用いて発光層14を形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例4の有機EL素子を作製した。
ここでの発光層14の形成には、発光層形成用塗工液としてトルエン中にPBDとRubの重量比が10:1になるように溶解させたものを使用し、この塗工液を用いてグローブボックス内でスピンコート法により膜厚が40nmになるように塗布して発光層14を製膜した。発光層14を製膜した後、トルエンを蒸発させるためにグローブボックス内でホットプレートを用いて乾燥させた。なお、発光層14に含まれるドーパントであるRubのイオン化ポテンシャルは5.4eVであり、低分子材料層15に含まれる低分子材料であるDPVBiのイオン化ポテンシャルは6.0eVである。
(比較例5)
実施例4において、低分子材料層15を形成しなかった以外は、実施例4と同様にして、比較例5の有機EL素子を作製した。
(実施例5)
実施例1において、ホスト材料としてDPVBiの代わりに2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチル−フェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(PBDと略す。分子量:354)を用いると共に、ドーパントとしてTBPの代わりに赤色ドーパント材料である9−ジエチルアミノベンゾ[a]フェノキサゾール(ナイルレッド又はNileRedと略す。分子量:322)を用いて赤色発光する発光層14を形成し、さらに、DPVBiの代わりに上記のPBDを用いて厚さ10nmの低分子材料層15を形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例5の有機EL素子を作製した。
ここでの発光層14の形成には、発光層形成用塗工液としてキシレン中にDPVBiとNileRedの重量比が10:1になるように溶解させたものを使用し、この塗工液を用いてグローブボックス内でスピンコート法により膜厚が40nmになるように塗布して発光層14を製膜した。発光層14を製膜した後、トルエンを蒸発させるためにグローブボックス内でホットプレートを用いて乾燥させた。低分子材料層15は、PBDを真空中(圧力:1×10−4Pa)で抵抗加熱蒸着法により製膜した。なお、発光層14に含まれるドーパントであるNileRedのイオン化ポテンシャルは5.4eVであり、低分子材料層15に含まれる低分子材料であるPBDのイオン化ポテンシャルは5.8eVである。
(比較例6)
実施例5において、低分子材料層15を形成しなかった以外は、実施例5と同様にして、比較例6の有機EL素子を作製した。
(実施例6)
実施例2において、ホスト材料としてDPVBiの代わりにビス(N−(1−ナフチル−N−フェニル)ベンジジン)(α−NPD又はNPDと略す。分子量:589)を用いて発光層14を形成し、さらに、DPVBiの代わりに上記のNPDを用いて厚さ5nmの低分子材料層15を形成した以外は、実施例2と同様にして、実施例6の有機EL素子を作製した。
ここでの発光層14の形成には、発光層形成用塗工液としてクロロベンゼン中にNPDとTBPの重量比が10:1になるように溶解させたものを使用し、この塗工液を用いてグローブボックス内でスピンコート法により膜厚が40nmになるように塗布して発光層14を製膜した。発光層14を製膜した後、トルエンを蒸発させるためにグローブボックス内でホットプレートを用いて乾燥させた。低分子材料層15は、NPDを真空中(圧力:1×10−4Pa)で抵抗加熱蒸着法により製膜した。なお、発光層14に含まれるドーパントであるTBPのイオン化ポテンシャルは5.6eVであり、低分子材料層15に含まれる低分子材料であるNPDのイオン化ポテンシャルは5.4eVである。
(実施例7)
実施例6において、ドーパントとしてTBPの代わりにRubを用いて発光層14を形成した以外は、実施例6と同様にして、実施例7の有機EL素子を作製した。
ここでの発光層14の形成には、発光層形成用塗工液としてクロロベンゼン中にNPDとRubの重量比が10:1になるように溶解させたものを使用し、この塗工液を用いてグローブボックス内でスピンコート法により膜厚が40nmになるように塗布して発光層14を製膜した。発光層14を製膜した後、クロロベンゼンを蒸発させるためにグローブボックス内でホットプレートを用いて乾燥させた。なお、発光層14に含まれるドーパントであるRubのイオン化ポテンシャルは5.4eVであり、低分子材料層15に含まれる低分子材料であるNPDのイオン化ポテンシャルは5.4eVである。
(比較例7)
実施例6において、低分子材料層15を形成しなかった以外は、実施例6と同様にして、比較例7の有機EL素子を作製した。
(比較例8)
実施例7において、低分子材料層15を形成しなかった以外は、実施例7と同様にして、比較例8の有機EL素子を作製した。
(有機EL素子の特性評価)
(1)イオン化ポテンシャルの測定:本発明でのイオン化ポテンシャルの値は、光電子分光装置AC−1(理研計器製)を用いて測定した仕事関数の値を適用した。測定は、洗浄済みのITO付きガラス基板(三容真空社製)上に、測定しようとする材料で形成した層を単層として形成し、光電子分光装置AC−1で光電子が放出されるエネルギー値で決定した。測定条件としては、50nWの光量で0.05eV刻みで行った。
(2)表面形状の測定:実施例1において発光層までを形成した基板と比較例2において発光層までを形成した基板とを用いて、表面形状を評価した。表面形状の測定には、プローブ顕微鏡(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製、Nanopics1000)を用い、タッピングモードで測定した。
(3)色度の測定:色度は、ΔE94色差色(CIE 1994)で評価した。色度は、トプコン社製の分光放射計SR−2を用いて有機EL素子の発光スペクトルを測定し、その分光放射計内の計算ソフトで計算されて求められる。
(4)発光特性の測定:有機EL素子の発光特性として、輝度、発光効率、発光寿命を評価した。まず、有機EL素子に対する電流−電圧−輝度(I−V−L)測定を行った。このI−V−L測定は、陰極18を接地して陽極11に正の直流電圧を200mV刻みで走査(1sec./div.)して印加し、各電圧における電流と輝度を記録して行った。トプコン社製輝度計のBM−8を用いて測定した。得られた結果をもとに、発光効率(cd/A)は発光面積と電流と輝度から計算して算出した。発光寿命は、定電流駆動で輝度が経時的に徐々に低下する様子を観察し、初期状態の輝度に対して50%の輝度に劣化するまでの時間を寿命として評価した。
(5)蛍光スペクトルの測定:蛍光スペクトルは、日立分光蛍光光度計F−4500を用いて測定した。ガラス上に測定しようとする材料からなる単層膜を作製し、その分光蛍光光度計にて励起光波長360nmで得られた蛍光スペクトルを測定した。蛍光スペクトルは、EL発光スペクトル成分の判別に利用した。
Figure 2008112875
(評価結果)
表1に示す実施例1と比較例1,2の結果において、発光層14を塗布形成すると共に同じホスト材料で低分子材料層15を蒸着形成した実施例1の有機EL素子の発光寿命は、発光層を蒸着形成した比較例2の有機EL素子の発光寿命には及ばないものの、低分子材料層15を形成しない比較例1の有機EL素子の発光寿命よりも向上していることが確認された。さらに、図9に示すCIE座標から解るように、低分子材料層15を蒸着形成した実施例1の有機EL素子が呈する発光色は、比較例1の有機EL素子が呈する発光色よりも改善されており、また、発光層を蒸着形成した比較例2の有機EL素子が呈する発光色と同等であった。図10に示すように、実施例1と比較例2の発光層の表面形状を比較すると、実施例1の塗布形成した発光層14にはホールが観察されていることが解る。以上の結果より、実施例1の有機EL素子が、塗布形成した発光層14上に低分子材料層15を蒸着形成することによって、塗布形成した発光層14における移動度変化によるキャリアのバランスが修正され、あるいは塗布形成した発光層14のピンホール等による低い製膜性が改善されて特性が改善したと考えられ、その結果、発光層を蒸着形成した比較例2の有機EL素子に特性が近づいたと考えられる。
表1に示す実施例2と比較例3の結果において、電子輸送層にBAlqを用いた場合も、発光層14を塗布形成すると共に同じホスト材料で低分子材料層15を蒸着形成した実施例2の有機EL素子の方が、低分子材料層を形成しない比較例3の有機EL素子よりも寿命特性が向上していることがわかる。
表1に示す実施例3と比較例4の結果において、異なるホスト材料を用いた場合も、発光層14を塗布形成すると共に同じホスト材料で低分子材料層15を蒸着形成した実施例3の有機EL素子の方が、低分子材料層を形成しない比較例4の有機EL素子よりも寿命特性が向上していることがわかる。
表1に示す実施例4と比較例5の結果において、青色のTBPとは異なる黄色ドーパント材料を用いた場合も、発光層14を塗布形成すると共に同じホスト材料で低分子材料層15を蒸着形成した実施例4の有機EL素子の方が、低分子材料層を形成しない比較例5の有機EL素子よりも寿命特性が向上していることがわかる。さらに、図11に示す実施例4と比較例5及び実施例5と比較例6のCIE座標から、青色だけでなく、黄色や赤色のドーパントにおいても、電子輸送層材料の発光が抑制され、ドーパント発光色が改善されていることがわかる。
また、図12に示す実施例6と比較例7及び実施例7と比較例8のCIE座標から、ホスト材料のイオン化ポテンシャルの値がドーパントと同等もしくはそれ以下の場合には、発光層14を塗布形成すると共に同じホスト材料で低分子材料層15を蒸着形成した実施例6,7の有機EL素子の発光色が、低分子材料層を形成しない比較例7,8の有機EL素子の発光色よりもそれぞれ劣化していることがわかる。EL発光スペクトルを蛍光スペクトルと比較することにより、低分子材料層を蒸着形成した実施例6,7の有機EL素子では、電子輸送層Alq3あるいはBAlqの発光色成分が確認され、色味の劣化が確認された。しかし、表1に示す実施例6と比較例7及び実施例7と比較例8の結果から、発光層14を塗布形成すると共に同じホスト材料で低分子材料層15を蒸着形成した実施例6,7の有機EL素子の方が、低分子材料層を形成しない比較例7,8の有機EL素子よりも寿命特性が向上していることがわかる。以上の結果より、塗布形成した発光層14上に低分子材料層15を蒸着形成しても、ホスト材料のイオン化ポテンシャルの値がドーパントと同等もしくはそれ以下の場合には、ホールの突き抜けが抑制できないために色味は劣化するが、塗布形成した発光層14のピンホール等による低い製膜性が改善されて寿命特性が改善したと考えられ、その結果、発光層を蒸着形成した有機EL素子に特性が近づいたと考えられる。
本発明の有機EL素子の基本的な素子構造を示す模式断面図である。 低分子材料層が発光層を補修する形態を示す模式断面図である。 発光層と低分子材料層のエネルギーダイアグラムの模式図である。 本発明の有機EL素子のRGBの一形態を示す模式断面図である。 本発明の有機EL素子のRGBの他の形態を示す模式断面図である。 本発明の有機EL素子のRGBのさらに他の形態を示す模式断面図である。 本発明の有機EL素子のRGBのさらに他の形態を示す模式断面図である。 各色の発光層上に形成した低分子材料層を平面視した形態を示す模式平面図である。 実施例1及び比較例1,2の有機EL素子が呈する発光色のCIE座標である。 実施例1と比較例2の発光層の表面形状を示すプローブ顕微鏡像である。 実施例4,5及び比較例5,6の有機EL素子が呈する発光色のCIE座標である。 実施例6,7及び比較例7,8の有機EL素子が呈する発光色のCIE座標である。
符号の説明
1 有機EL素子
2 基板
11 陽極
12 正孔注入層
13 正孔輸送層
14 発光層
15 低分子材料層
16 電子輸送層
17 電子注入層
18 陰極
19 隔壁

Claims (11)

  1. 少なくとも陽極、発光層、低分子材料層及び陰極がその順で積層された素子構造を有し、前記発光層は、低分子系のホスト材料と発光材料であるドーパントとを有する塗布層又は転写層であり、前記低分子材料層は、前記発光層に含まれる低分子系のホスト材料と同じ低分子材料若しくはその誘導体を有する蒸着層又は塗り重ね層であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  2. 少なくとも陽極、発光層、低分子材料層及び陰極がその順で積層された素子構造を有し、前記発光層は、中分子系又は高分子系のホスト材料と発光材料であるドーパントとを有する塗布層又は転写層であり、前記低分子材料層は、前記発光層に含まれる中分子系又は高分子系のホスト材料の基本骨格を主骨格とする低分子材料若しくはその誘導体を有する蒸着層又は塗り重ね層であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 前記発光層に含まれるドーパントが、低分子系の発光材料であることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 前記発光層が有するドーパントのイオン化ポテンシャルが、前記低分子材料層が有する低分子材料若しくはその誘導体のイオン化ポテンシャルよりも小さいことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  5. 前記低分子材料層が前記発光層上を欠損なく覆うように設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  6. 前記低分子材料層は、前記発光層を構成するR(赤)G(緑)B(青)等の各領域のうち2色領域以上を覆うように同一の低分子材料又はその誘導体で形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  7. 少なくとも陽極、発光層、低分子材料層及び陰極がその順で積層された素子構造を有する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法であって、
    前記発光層の形成は、低分子系のホスト材料と発光材料であるドーパントとを有する発光層形成用材料を塗布し、又は該発光層形成用材料で形成された転写層を転写して行い、
    前記低分子材料層の形成は、該発光層に含まれる低分子系のホスト材料と同じ低分子材料若しくはその誘導体を蒸着して行うことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  8. 少なくとも陽極、発光層、低分子材料層及び陰極がその順で積層された素子構造を有する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法であって、
    前記発光層の形成は、低分子系のホスト材料と発光材料であるドーパントとを有する発光層形成用材料を塗布し、又は該発光層形成用材料で形成された転写層を転写して行い、
    前記低分子材料層の形成は、該発光層に含まれる低分子系のホスト材料と同じ低分子材料若しくはその誘導体を塗り重ねて行うことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  9. 少なくとも陽極、発光層、低分子材料層及び陰極がその順で積層された素子構造を有する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法であって、
    前記発光層の形成は、中分子系又は高分子系のホスト材料と発光材料であるドーパントとを有する発光層形成用材料を塗布し、又は該発光層形成用材料で形成された転写層を転写して行い、
    前記低分子材料層の形成は、該発光層に含まれる中分子系又は高分子系のホスト材料の基本骨格を主骨格とする低分子材料若しくはその誘導体を蒸着して行うことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  10. 少なくとも陽極、発光層、低分子材料層及び陰極がその順で積層された素子構造を有する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法であって、
    前記発光層の形成は、低分子系のホスト材料と発光材料であるドーパントとを有する発光層形成用材料を塗布し、又は該発光層形成用材料で形成された転写層を転写して行い、
    前記低分子材料層の形成は、該発光層に含まれる中分子系又は高分子系のホスト材料の基本骨格を主骨格とする低分子材料若しくはその誘導体を塗り重ねて行うことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  11. 前記低分子材料層を、前記発光層を構成するR(赤)G(緑)B(青)等の各領域のうち2色領域以上を覆うように同一の低分子材料又はその誘導体で形成することを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
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