JP2008100866A - 結晶化ガラス、結晶化ガラスを含む電気回路基板材料、積層回路基板材料、低温焼成基板材料および高周波回路基板材料 - Google Patents

結晶化ガラス、結晶化ガラスを含む電気回路基板材料、積層回路基板材料、低温焼成基板材料および高周波回路基板材料 Download PDF

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Abstract

【課題】比誘電率が低く、かつ、誘電損失も低く、電気回路基板材料、積層回路基板材料、低温焼成基板材料および高周波回路基板材料として使用することができる結晶化ガラスを提供すること。
【解決手段】結晶相の結晶が、Srを含有し、結晶の空間群がP−421mである場合、1MHzでの比誘電率が9以下で、誘電損失が10−2以下である結晶化ガラスを提供できる。なお、結晶相の結晶は、オケルマナイト型であることが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、Sr(ストロンチウム)を含有する結晶化ガラス、この結晶化ガラスを利用した電気回路基板材料、積層回路基板材料、低温焼成基板材料および高周波回路基板材料に関する。
従来より、携帯用情報端末等の高性能化に伴う使用周波数帯域の高周波化が急速に進んでおり、高密度配線化、高速化、高周波化への対応が求められている。このような信号の高速伝送化、高周波化の要請に対しては基板材料(誘電体層)の低誘電率化、低誘電損失化が強く求められる。つまり、信号の伝播遅延時間は誘電率(ε)の平方根に比例するため、信号を高速で伝送するには基板材料の低誘電率化が不可欠となり、高周波化では絶縁性を高める必要から、やはり基板材料の低誘電率化が必須となる。
また、誘電損失(tanδ)は信号の電送損失に影響する。信号電流による回路近傍の基板材料に発生する電磁界により信号電流が熱エネルギーに変換され信号の電送損失の原因となる。この電送損失は誘電損失および周波数の2乗に比例するので、高周波になるほど大きくなる。したがって高周波用基板としては基板材料の低誘電損失が不可欠となる。また、信号の高速伝播には配線長を短くすること、つまり回路の高密度化が必要となる。そのために基板上に出来る限り微細配線を形成するか立体配線とすることが要望される。したがって、いずれにしても基板表面は可能な限り平滑であることが必要となる。
低誘電率で低誘電損失を示す材料は、例えば、単結晶やセラミックス等にも知られる。しかし、単結晶は、高価格のため、コストがかかるといった問題があり、セラミックスは、圧縮、焼成雰囲気の調整、微量添加物の混合等製造工程が煩雑であるという問題があった。
このため、例えば、特許文献1には、酸化物換算でSiOが45〜65重量%、Alが20〜30重量%、CaOが5〜15重量%、MgOが5〜15重量%の化学組成を有する結晶化ガラス成形体よりなり、結晶化ガラスの主結晶がアノーサイト、コージェライトαおよびコージェライトβからなるセラミックス基板について開示されている。
特開平5−254863号公報
特許文献1に記載のセラミックス基板は、粒子を型に押入れて圧粉体とし、これを加熱して固相間反応させることにより製造される。焼結体中の様々な特性劣化の原因となる粒子間の隙間をなくす方向に反応を進ませるが、隙間を完全になくすことはできない。したがって、固相反応、すなわち焼結法による限り、特性改善には原理的に限界があるという課題があった。
本発明は、上述したような課題を解決するためになされたものであり、比誘電率が低く、かつ、誘電損失も低く、電気回路基板材料、積層回路基板材料、低温焼成基板材料および高周波回路基板材料として使用することができる結晶化ガラスを提供することを目的とする。
本発明者は、Srを含有し、空間群P−42mの空間対称性にある結晶相を有する結晶化ガラスが、比誘電率9以下、誘電損失10−2以下であることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
(1) Srを含有する結晶相の空間群がP−42mの空間対称性を有し、1MHzでの比誘電率が9以下で、誘電損失が10−2%以下である結晶化ガラス。
(1)の発明における結晶化ガラスによれば、含まれる結晶の空間対称性が空間群P−42mに属し、かつ、Srを含有している場合、比誘電率が低く、誘電損失も小さくすることができる。
なお、本明細書では、紙面の都合上、式1に示した空間群を「P−42m」と示す。
Figure 2008100866
(2) 結晶相にオケルマナイト型の結晶を含む(1)に記載の結晶化ガラス。
(3) 前記オケルマナイト型の結晶の化学式は、SrAB(AおよびBは、Si、Ge、Al、Ga、Zn、Mg、Beの群から選択される。)である(2)に記載の結晶化ガラス。
(4) 前記オケルマナイト型の結晶の化学式は、SrMgSiである(2)または(3)に記載の結晶化ガラス。
(2)、(3)および(4)の発明における結晶化ガラスによれば、Srを含有するオケルマナイト型を結晶相の結晶とすることで比誘電率が低く、誘電損失も小さくすることができる。
本明細書中において、「オケルマナイト型」とは、鉱物のオケルマナイト(CaMgSi)のCaをSrに置き換えたものであり、鉱物のオケルマナイトと空間群が一致する化合物をいう。また、鉱物のオケルマナイトのMgおよびSiに相当する箇所を適宜Si、Ge、Al、Ga、Zn、Mg、Beに置き換えることもできる。
(5) 平均結晶粒子径が1μm以下である(1)から(4)のいずれかに記載の結晶化ガラス。
(5)の発明における結晶化ガラスによれば、平均結晶粒子径が1μm以下あるので、超平滑な研磨面を得ることができる。このような微細な結晶を均一に析出させることにより、結晶化ガラスの機械的強度が向上する。
ここで、平均結晶粒子径とは、透過型電子顕微鏡(TEM)により測定した100個の結晶粒子の径の面積基準の中央累積値(「メジアン径」d50)の粒子径をいう。
(6) 酸化物基準の質量%で、
SiO 37〜47%
MgO 5〜13%および
SrO 42〜54%
を含有する(1)から(5)のいずれかに記載の結晶化ガラス。
(6)の発明における結晶化ガラスによれば、Srを含有する空間群がP−42mの空間対称性を有する結晶からなる結晶相が選択的に析出される。本発明の結晶化ガラスにおいては、特にSiO成分、MgO成分およびSrO成分が重要な役割を担う。すなわち、SiO成分、MgO成分やSrO成分は、原ガラスの熱処理により、結晶相としてSrを含有する空間群がP−42mの結晶を析出させるために極めて重要な成分である。
(7) さらに酸化物基準の質量%で、
0〜10%および/または
Al 0〜10%および/または
0〜10%および/または
GeO 0〜10%および/または
Ga 0〜10%および/または
TiO 0〜2%および/または
ZrO 0〜10%および/または
ZnO 0〜10%および/または
CaO 0〜10%および/または
BaO 0〜10%および/または
0〜10%および/または
La 0〜10%および/または
Sb 0〜10%および/または
As 0〜10%および/または
F 0〜10%
を含有する(6)に記載の結晶化ガラス。
(7)の発明における結晶化ガラスによれば、さらに、B、Al、P、GeO、Ga、TiO、ZrO2、ZnO、CaO、BaO、Y3、La3、Sb3、AsおよびFを含有させることにより、原ガラスをより安定に製造することができる。
(8) 原ガラスを700℃〜800℃で1時間以上核形成工程を行い、この核形成工程の後に、800℃〜950℃で0.5時間以上熱処理することにより結晶成長工程を行うことによって得られた(1)から(7)のいずれかに記載の結晶化ガラス。
(8)の発明における結晶化ガラスによれば、700℃〜800℃で1時間以上熱処理することにより結晶核の数を制御し、その後、800℃〜950℃で0.5時間以上熱処理することにより、その核を結晶に成長させる。また、核形成工程および結晶成長工程を制御することにより、所望の結晶を必要なだけ結晶化ガラス中に発生させることができる。また、結晶の大きさ、数等も制御することができる。
(9) 1MHzでの比誘電率が5以下である(1)から(8)のいずれかに記載の結晶化ガラス。
(10) (1)から(9)のいずれかに記載の結晶化ガラスからなる電気回路基板材料。
(11) (1)から(9)のいずれかに記載の結晶化ガラスからなる積層回路基板材料。
(12) (1)から(9)のいずれかに記載の結晶化ガラスからなる低温焼成基板材料。
(13) (1)から(9)のいずれかに記載の結晶化ガラスからなる高周波回路基板材料。
(10)から(13)の発明によれば、(1)から(9)に記載の結晶化ガラスは、1MHzでの比誘電率が9以下で、かつ、誘電損失が10−2%以下で結晶相の平均結晶粒子径が微細であるので、研磨のみで望ましい表面粗度、低い比誘電率および誘電損失を有する結晶化ガラスを得ることができる。比誘電率および誘電損失が低いため、極めて良好な電気回路基板材料、積層回路基板材料、低温焼成基板材料および高周波回路基板材料として使用することができる。
本発明によれば、比誘電率を低くしたことにより結晶相中に浸入する余分な電束を抑制することができることから、誘電損失も低くでき伝送速度を高めることができるようになった。これにより、比誘電率が低く、誘電損失も低い電気回路基板材料、積層回路基板材料、低温焼成基板材料および高周波回路基板材料を提供することができるようになった。
本発明の結晶化ガラスは、Srを含有する結晶相の空間群がP−42mの空間対称性を有しており、1MHzでの比誘電率が9以下で、誘電損失が10−2%以下であることを特徴とする。
以下、本発明の結晶化ガラスの実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の趣旨を限定するものではない。
なお、本明細書中において「酸化物基準」とは、本発明のガラス構成成分の原料として使用される酸化物、炭酸塩、硝酸塩等が、溶融時に全て分解され酸化物へ変化すると仮定した場合に、生成酸化物の総重量を100質量%とした場合にガラス中に含有される各成分の含有量を表記した組成である。
[結晶化ガラス]
本発明の結晶化ガラスの結晶相は、Srを含有し、空間群がP−42mの空間対称性を示すならば特に限定されない。Srを含有し、正方晶系で空間群がP−42mに属する結晶として、例えば、オケルマナイト型の結晶等をあげることができる。
なお、鉱物のオケルマナイト(CaMgSi)は、ソロケイ酸塩の中のメリライト族に属し、アルカリ土類ケイ酸塩結晶である。本明細書中において、オケルマナイト型の結晶(SrAB)とは、オケルマナイトと同じ結晶構造を有する結晶を示すものを指す。
オケルマナイト型の結晶の化学式は、SrABで表現され、AおよびBは、Si、Ge、Al、Ga、Zn、Mg、Beの群から選択される。なお、AおよびBは、結晶化ガラスの使用目的等に応じて適宜変更することができるが、AがMgであって、BがSiの場合、より低い比誘電率および低い誘電損失を有する結晶化ガラスを得ることができる。なお、AおよびBがそれぞれ異なるオケルマナイト型の結晶を複数析出するようにしてもよく、単独であってもよい。
オケルマナイト型結晶の構造は、図1および図2に示すように、MgO四面体および2つのSiO四面体の各角の酸素を共有することにより、c軸に垂直な層を構成している。c軸に垂直な層は、c軸方向に積層してなる層状ケイ酸塩であり、この層間をCaイオンが結合している。なお、本発明では、CaをSrに置き換えたものであり、MgをSrAB中のA、およびSiをSrAB中のBに置き換えたものである。なお、図1および図2中の破線は、紙面に向かって下方向に結合していることを表し、実線は、紙面に向かって上方向に結合していることを表す。また、図中黒丸は、酸素を示し、白丸はマグネシウムを示し、二重丸はケイ素を示す。
本発明においてSiO成分は、空間群がP−42mの空間対称性を有する結晶を生成するのにも有用な成分である。SiO成分を過剰に含有させると、結晶化ガラス中のガラス成分が多くなるため、誘電率が大きくなり易い。また、SiO成分が不足すると、溶融しにくくなり、場合によってはガラス化しない場合がある。したがって、SiO成分の下限値は、37%であることが好ましく、39%であることがより好ましく、41%であることが最も好ましい。また、SiO成分の上限値は、47%であることが好ましく、44%であることがより好ましく、43%であることが最も好ましい。
MgO成分は、ガラスの溶融性を向上させると同時に析出結晶の構成成分の選択種の1つとして有用な成分である。MgO成分を過剰に含有させると、得られる結晶が不安定で組織が粗大化しやすくなる。また、MgO成分が不足すると、オケルマナイト型の結晶相以外の生成物が生じ易くなる。したがって、MgO成分の下限値は、5%であることが好ましく、7%であることがより好ましく、8%であることが最も好ましい。MgO成分の上限値は、13%であることが好ましく、11%であることがより好ましく、10%であることが最も好ましい。
SrO成分は、結晶を構成する有用な成分であると同時に、現ガラスの製造において溶融性と安定性の向上に効果がある成分である。またオケルマナイトのCaをSrに置換することにより、誘電率、誘電損失が下がり、回路基板としての特性向上に寄与する。一方、SrO成分を過剰に含有させると、ガラスの安定性が低下しやすくなる。したがって、SrO成分の下限は、42%であることが好ましく、45%であることがより好ましく、47%であることが最も好ましい。SrO成分の上限値は、54%であることが好ましく、50%であることがより好ましく、49%であることが最も好ましい。
成分は、ガラスの溶融性を向上させる効果を有する任意成分であるが、過剰に含有させると、所望の結晶を析出させにくくなる。したがって、B成分の上限値は、10%とすることが好ましく、8%とすることが好ましく、5%とすることが最も好ましい。
Al成分は、結晶化ガラスの化学的耐久性および機械的硬度を向上させるのに有用な任意成分である。熱処理条件によって析出結晶の種類は異なってくるが、各種熱処理条件を考慮にいれても、空間群がP−42mの空間対称性を有し、かつSrを含有する結晶を析出させるためには、Al成分の上限値は、10%とすることが好ましく、8%とすることが好ましく、5%とすることが最も好ましい。
成分は、ガラスの結晶核形成剤として作用する有用な任意成分であるが、過剰に含有させると、原ガラスが乳白失透を生じるので、P成分の上限値は、10%とすることが好ましく、8%とすることがより好ましく、5%とすることが最も好ましい。
GeO成分は、SiO成分と同様な働きをする任意成分であり、SiO成分の一部または全部を置換することが可能である。しかし、GeO成分は、高価であるため、上限値を10%とすることが好ましく、8%とすることが好ましく、5%とすることが最も好ましい。
Ga成分は、ガラスの溶融性、化学的耐久性およびガラスの表面の硬さの向上に効果がある成分である。任意に添加することができる成分であるが、特にSiO成分の一部を置き換える形で導入される。Ga成分の上限値は、10%とすることが好ましく、8%とすることが好ましく、5%とすることが最も好ましい。
TiO成分は、結晶核形成剤となり得る任意成分である。適度な使用は、結晶粒度の制御という観点から有用であるが、過剰な添加は誘電率の増加をまねき易くなる。したがって、TiO成分の上限値は、2%とすることが好ましく、1%とすることがより好ましく、0.2%とすることが最も好ましい。
ZrO、ZnO成分は、結晶核形成剤となり得る任意成分であり、さらに、ガラスの溶融性とガラスの安定性の向上に効果がある成分であるが、過剰に含有させると失透が発生しやすくなる。したがって、ZrO、ZnO成分は共に、上限値を10%とすることが好ましく、8%とすることがより好ましく、5%とすることが最も好ましい。
CaO成分は、結晶構成成分となり得る成分であり、かつ、ガラスの溶融性を改善させる効果がある任意成分であるが、過剰に含有させると失透が発生しやすくなる。したがって、CaO成分の上限値は、10%とすることが好ましく、8%とすることが好ましく、5%とすることが最も好ましい。
BaO成分は、結晶構成成分であり、かつ、ガラスの安定性を高める任意成分でもあるが、過剰に含有させるとガラスの安定性が低くなる傾向となり易い。したがって、BaO成分の上限値は、10%とすることが好ましく、8%とすることが好ましく、5%とすることが最も好ましい。
LiO成分、NaO成分、およびKO成分は、電導性を付与するので誘電性を阻害し易い。したがって、LiO成分、NaO成分、およびKO成分は、含有させないことが好ましい。
成分は、ガラスの化学的耐久性とガラスの表面の硬さの向上に効果がある任意成分であるが、過剰に含有させるとガラスの安定性が低くなる傾向にある。したがって、Y成分の上限値は、10%とすることが好ましく、8%とすることが好ましく、5%とすることが最も好ましい。
La成分は、ガラスの化学的耐久性とガラスの表面の硬さの向上に効果がある任意成分であるが、過剰に含有させるとガラスの安定性が低くなる傾向となり易い。したがって、La成分の上限値は、10%とすることが好ましく、8%とすることが好ましく、5%とすることが最も好ましい。
Sb成分は、ガラス溶融の脱泡に効果がある任意成分である。Sb成分は、ガラスを製造、加工、および廃棄をする際に環境対策上の措置を講ずる必要がある。したがって、Sb成分の上限値は、10%とすることが好ましく、8%とすることが好ましく、5%とすることが最も好ましい。
As成分は、ガラス溶融の脱泡に効果がある任意成分である。As成分は、ガラスを製造、加工、および廃棄をする際に環境対策上の措置を講ずる必要がある。したがって、As成分の上限値は、10%とすることが好ましく、8%とすることが好ましく、5%とすることが最も好ましい。
F(フッ素)成分は、ガラスの溶融性と安定性の改善に効果がある任意成分であるが、F成分を過剰に含有させるとガラスの安定性が著しく低下する。したがって、F成分の上限値は、10%とすることが好ましく、8%とすることが好ましく、5%とすることが最も好ましい。
[比誘電率および誘電損失]
本発明の結晶化ガラスは、1MHzで9以下の低い比誘電率と、10−2%以下の低い誘電損失とを有する。信号の伝播遅延時間は誘電率(ε)の平方根に比例するため、比誘電率は、9を超えると信号が高速で伝送することができなくなる。そこで9以下であることが好ましく、6以下であることがより好ましく、5以下であることが最も好ましい。また、誘電損失(tanδ)は信号の電送損失に影響する。信号電流による回路近傍の基板材料に発生する電磁界により信号電流が熱エネルギーに変換され信号の電送損失の原因となる。この電送損失は誘電損失および周波数の2乗に比例するので、誘電損失が10−2%を超えると信号が減衰する。また、誘電損失は、10−2%以下であることが好ましく、10−3%以下であることがより好ましい。
[用途]
本発明の結晶化ガラスは、例えば、電気回路基板材料、積層回路基板材料、低温焼成基板材料、および高周波回路基板材料等に使用することができる。これらの結晶化ガラスは、単独で上述した基板材料の用途に用いられる以外に、粉末およびペースト等の態様で他の誘電体と複合化した形でも使用することができる。具体的には、基板上にパターン電極を形成された誘電体基板、積層基板材料、誘電体共振素子、誘電材料の焼成助剤、誘電体ペースト等の用途が挙げられる。
[結晶化ガラスの製造方法]
本発明の結晶化ガラスは、通常の結晶化ガラスを製造する方法であれば、特に限定されないが、例えば、以下の方法により製造することができる。各出発原料(酸化物、炭酸塩、硝酸塩、リン酸塩、硫酸塩等)を所定量秤量し、均一に混合する。混合した原料を金坩堝、白金坩堝、白金合金坩堝またはイリジウム坩堝に投入し、溶解炉で1400〜1500℃の温度範囲にて、1〜4時間攪拌を行いながら溶解する。その後、金型等に鋳込み、500〜600℃の温度範囲にて3〜12時間かけてアニールを行い結晶化ガラス作製のための原ガラスを得る。
原ガラスを結晶化するためにその後、結晶核形成温度を700〜800℃、核形成時間を1〜20時間で熱処理し、結晶核の数を制御する(核形成工程)。このとき結晶核形成温度が、700℃未満であると結晶核が形成し難い。一方、800℃を超えると結晶核形成と同時に成長も起こるため核形成数および結晶粒度の制御が困難になる。
さらに核形成工程で析出した結晶核を成長させるため、結晶化温度を800〜950℃に設定し、結晶化時間を0.5〜10時間熱処理して結晶を成長させる(結晶成長工程)。また、結晶化温度が800℃未満であると、結晶の成長が望み難い。一方、950℃を超えると異常粒成長が生じ易くなる。
結晶成長工程を終え、室温に戻された結晶化ガラスは結晶と残留ガラスの熱膨張差に基づく歪が残っている。そこで、最終的に500〜600℃の温度範囲にて3〜12時間かけてアニールを行い最終的な結晶化ガラスを得る。
アニール工程を終えた結晶化ガラスの成形品は、適宜必要に応じて研磨してもよい。なお、研磨方法については特に限定されず、例えば、合成ダイヤモンド、炭化珪素、酸化アルミニウム、炭化ホウ素等の合成砥粒や、天然ダイヤモンド、酸化セリウム等の天然砥粒を用いて研磨することができる。
こうして熱処理により結晶化された結晶化ガラスの結晶相は、Srを含有し、空間群がP−42mの空間対称性を示す。このときの結晶相の結晶の平均結晶粒子径は、1μm以下であることが好ましい。平均結晶粒子径が1μm以下とすることにより、強度および表面平滑性に優れた結晶化ガラスを容易に得ることができる。平均結晶粒子径が1μmを超えると、ガラスの機械強度を低下させ易くするだけでなく、研磨加工時に結晶の欠落を引き起こしてガラスの表面粗度を悪化させ易い。なお、平均結晶粒子径は、より好ましくは0.5μm以下である。このような微細な結晶を均一に析出させることにより、結晶化ガラスの機械的強度を向上させることが容易となり、強度および表面平滑性に優れた結晶化ガラスを得易くなる。
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
表1に示す組成で、合計量が400gになるように原料を秤量し、均一に混合した。次いで、この混合物を白金るつぼを用いて1500℃で4時間溶解した後、金属型にキャストすることにより急冷し成形した。原ガラスの除歪のため550℃、6時間アニールした。その後、ガラスを800℃で3時間熱処理をして結晶核の数を制御し、その後、900℃で12時間かけて結晶を成長させ、板状の結晶化ガラスを作製した。
[実施例2]
表1に示す組成で、ガラス溶解条件の温度と核形成工程での温度および結晶成長工程での温度、時間を変えた以外は実施例1と同様に行った。
[実施例3]
表1に示す組成で、核成長工程での温度、時間を変えた以外は実施例1と同様に行った。
実施例1から3により得られたガラスを40mm×40mmに切り出し、両面研磨することにより平行平板に加工した。その後、両端面を金で製膜した電極を蒸着し、25℃での周波数1MHzにおける比誘電率(ε)と誘電損失(tanδ)をインピーダンスアナライザー(ソーラトロン社製 SI1260)により求めた。なお、製膜には、マグネトロンスパッタ装置(サンユー電子社製 SC−701HMC)を用いた。また、ガラスの組成は質量%で表示している。また、誘電損失(tanδ)も表示している。結果を表1に示す。
なお、SrOの好ましい上限である54%を上回る64%含有させた比較例1、SiO2の好ましい下限である37%を下回る30%含有させた比較例2、およびMgOの好ましい上限である13%を上回る16%含有させた比較例3についての結果も表1に示す。
Figure 2008100866
表1より、実施例1から3では、全てオケルマナイト型の結晶が結晶相に析出し、オケルマナイトと同じ結晶構造をとっていた。また、実施例1から3では、低い比誘電率および低い誘電損失を示しているのに対し、比較例3では、比誘電率が9以上の10と高い値を示していることがわかる。また、比較例1および2は、ガラス化させることができず、SiOをある程度含有させないと結晶化ガラスを得ることができなかった。
オケルマナイト型結晶の構造を上から見た図である。 オケルマナイト型結晶の構造を横から見た図である。

Claims (13)

  1. Srを含有する結晶相の空間群がP−421mの空間対称性を有し、1MHzでの比誘電率が9以下で、誘電損失が10−2%以下である結晶化ガラス。
  2. 前記結晶相にオケルマナイト型の結晶を含む請求項1に記載の結晶化ガラス。
  3. 前記オケルマナイト型の結晶の化学式は、SrAB(AおよびBは、Si、Ge、Al、Ga、Zn、Mg、Beの群から選択される。)である請求項2に記載の結晶化ガラス。
  4. 前記オケルマナイト型の結晶の化学式は、SrMgSiである請求項2または3に記載の結晶化ガラス。
  5. 平均結晶粒子径が1μm以下である請求項1から4のいずれかに記載の結晶化ガラス。
  6. 酸化物基準の質量%で、
    SiO 37〜47%
    MgO 5〜13%および
    SrO 42〜54%
    を含有する請求項1から5のいずれかに記載の結晶化ガラス。
  7. さらに酸化物基準の質量%で、
    0〜10%および/または
    Al 0〜10%および/または
    0〜10%および/または
    GeO 0〜10%および/または
    Ga 0〜10%および/または
    TiO 0〜2%および/または
    ZrO 0〜10%および/または
    ZnO 0〜10%および/または
    CaO 0〜10%および/または
    BaO 0〜10%および/または
    0〜10%および/または
    La 0〜10%および/または
    Sb 0〜10%および/または
    As 0〜10%および/または
    F 0〜10%
    を含有する請求項6に記載の結晶化ガラス。
  8. 原ガラスを700℃〜800℃で1時間以上核形成工程を行い、この核形成工程の後に、800℃〜950℃で0.5時間以上熱処理することにより結晶成長工程を行うことによって得られた請求項1から7のいずれかに記載の結晶化ガラス。
  9. 1MHzでの比誘電率が5以下である請求項1から8のいずれかに記載の結晶化ガラス。
  10. 請求項1から9のいずれかに記載の結晶化ガラスからなる電気回路基板材料。
  11. 請求項1から9のいずれかに記載の結晶化ガラスからなる積層回路基板材料。
  12. 請求項1から9のいずれかに記載の結晶化ガラスからなる低温焼成基板材料。
  13. 請求項1から9のいずれかに記載の結晶化ガラスからなる高周波回路基板材料。
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