JP2008098009A - 鉛蓄電池用正極板 - Google Patents

鉛蓄電池用正極板 Download PDF

Info

Publication number
JP2008098009A
JP2008098009A JP2006279150A JP2006279150A JP2008098009A JP 2008098009 A JP2008098009 A JP 2008098009A JP 2006279150 A JP2006279150 A JP 2006279150A JP 2006279150 A JP2006279150 A JP 2006279150A JP 2008098009 A JP2008098009 A JP 2008098009A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
lead
active material
positive electrode
carbon
electrode plate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2006279150A
Other languages
English (en)
Inventor
Yasuyuki Nehei
靖之 根兵
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Furukawa Battery Co Ltd
Original Assignee
Furukawa Battery Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Furukawa Battery Co Ltd filed Critical Furukawa Battery Co Ltd
Priority to JP2006279150A priority Critical patent/JP2008098009A/ja
Publication of JP2008098009A publication Critical patent/JP2008098009A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Abstract

【課題】
正極ペースト状活物質の利用率を向上させると共に、該正極ペースト状活物質を用いた鉛蓄電池の充放電サイクル特性の向上、即ち、容量持続率の低下を抑えた鉛蓄電池を提供する。
【解決手段】
金属鉛と鉛酸化物を主成分とする鉛粉に、希硫酸と水を加えて混練して作製した正極ペースト状活物質を、鉛合金から成る基板に充填して成る鉛蓄電池用正極板において、カーボンナノチューブ単層、カーボンナノチューブ多層、カーボンナノホーン、カーボンナノファイバーのうち少なくとも1種とカーボンブラックを正極ペースト状活物質中に添加し、且つ夫々の添加量の合計が鉛粉に対して1質量%以下添加する。
【選択図】なし

Description

本発明は、鉛蓄電池、特にカーボンナノチューブ単層、カーボンナノチューブ多層、カーボンナノホーン、カーボンナノファイバーのうち少なくとも1種とカーボンブラックを正極板中に添加することに関するものである。
鉛蓄電池は、ニッケル−カドミウム電池と並んで長い歴史を持ち、その安価さもさることながら、安定した性能からくる高い信頼性故に現在でも蓄電池の主流を占めており、自動車用のSLI用電源、小型電子機器や電動車に用いられる移動用電源、或いはコンピュータ等の電源の停電時に作動するバックアップ用据置き用電源として広く使用されている。近年、これら電源等に使用される鉛蓄電池は、高出力、大容量化への要望が高まり、また環境への負荷低減のため、容積および重量を低減することや特性改善させた鉛蓄電池が必要となっている。
そこで、鉛蓄電池の特性改善のため種々の検討がなされており、鉛蓄電池の正極板における活物質の利用率を向上させることもその内の一つである。鉛蓄電池の正極板は、正極活物質、即ち、金属鉛と鉛酸化物を主原料とする鉛粉を水および希硫酸で攪拌しながら混練することによって鉛ペーストを調製し、次いで、鉛ペーストを鉛或いは鉛合金から成る格子体に充填した後、熟成、乾燥工程を経て未化成板を製造するものである。
活物質の利用率は、その粒子間の細孔の多さ、即ち多孔度によって左右され、多孔度が大きいほど高い利用率が得られる。この理由は、放電時に生成する硫酸鉛によって活物質の細孔が閉塞され、放電反応に必要な硫酸が拡散し難くなるためであると考えられる。そこで、ペースト中の水分の量を増やし、これが乾燥によって蒸発した後にできる細孔を増加させる技術やペースト中に増孔剤を入れるなどの技術が従来から提案されてきた。ペーストの水分量を増やす技術としては、原料となる鉛粉に微細なものを用いる方法や、ペースト中の硫酸鉛量を増加させる方法などが知られている。また、活物質に電子伝導性の材料を添加することによっても増加することが知られている。これは放電時に生成する硫酸鉛によって活物質が覆われ、これと集電体である格子体との間の電子伝導性がなくなり、活物質が放電できなくなることを防止するためであると考えられている。
しかし、正極板の活物質の利用率を向上させるために活物質の多孔度を上げようとすると、一般に活物質を構成している粒子間の結合力が低下し、活物質が構造体として弱くなる。その結果、特に深い充放電を繰り返した時に、活物質が正極板からの脱落、活物質と格子体との密着性の低下、集電効率の低下、活物質間の導電性の低下等が起こり蓄電池としての寿命が短くなってしまう。
そこで、利用率や電池特性などを改善するための技術が種々検討されており、例えば、活物質にアセチレンブラックを添加する方法(特許文献1)や、活物質に直径5ないし50μmの中空のカーボンバルーンを添加する方法(特許文献2)や、炭素網層が同心状をなすチューブ状の気相成長炭素繊維が高温で熱処理されたもの(特許文献3)などが提案されている。
特開昭58−129765号広報 特開昭62−160659号公報 特開2003−77475号広報
しかしながら、特許文献1に記載の方法は、活物質にアセチレンブラックを添加することで放電容量を向上させることは可能であるが、化成などでアセチレンブラックは活物質との接点が十分に保たれるが、充放電の繰り返しで酸化消失することがある。
また、特許文献2に記載の方法は、活物質に直径5ないし50μmの中空のカーボンバルーンを添加することで放電容量の増大を図ることは可能であるが、化成中に容易に酸化分解して炭酸ガスを多量に発生するため、ペースト状活物質の粒子間同士の結合力が低下して、鉛蓄電池としての寿命が短くなってしまう。
また、特許文献3に記載の方法は、高温で熱処理された炭素網層が同心状をなすチューブ状の気相成長炭素繊維を添加することで寿命性能に優れ、容量増加も図れるが、比表面積が非常に小さく、活物質との接点が十分でないことにより、極板としての導電性は十分ではない。
発明者らは種々検討を行い、耐酸化性と導電性に優れるカーボン材と比表面積が大きくストラクチャーの発達したカーボンブラックの二種類のカーボン材料を組み合わせて正極ペースト状活物質に添加することで、利用率の向上と寿命特性の向上を図った正極板および鉛蓄電池の特性を向上させることが可能であることを見出した。
本発明は、金属鉛と鉛酸化物を主成分とする鉛粉に、希硫酸と水を加えて混練して作製した正極ペースト状活物質を、鉛合金から成る基板に充填して成る鉛蓄電池用正極板において、カーボンナノチューブ単層、カーボンナノチューブ多層、カーボンナノホーン、カーボンナノファイバーのうち少なくとも1種とカーボンブラックを正極ペースト状活物質中に添加し、且つ夫々の添加量の合計が鉛粉に対して1質量%以下添加することを特徴するものである。
また、前記カーボンブラックは高温熱処理により黒鉛化されたものであることを特徴とするものである。
本発明は、正極ペースト状活物質中にカーボンナノチューブ単層、カーボンナノチューブ多層、カーボンナノホーン、カーボンナノファイバーのうち少なくとも1種とカーボンブラックの両方を含有させることで、正極活物質の利用率の向上させることが可能である。さらに、該正極ペースト状活物質を用いた鉛蓄電池は、充放電サイクル特性が向上、即ち、鉛蓄電池の容量持続率の低下を抑えることが可能であり、工業的に優れた効果を有する。
本発明は、鉛粉を主原料とする正極ペースト状活物質の作製時に、カーボンナノチューブ単層、カーボンナノチューブ多層、カーボンナノホーン、カーボンナノファイバーのうち少なくとも1種(以下、夫々の材料を総称して気相成長炭素材と呼ぶ)とカーボンブラックを正極ペースト状活物質中に夫々の合計が鉛粉の総質量に対して1質量%以下添加することで、十分な導電性ネットワークが長期に渡り維持され、それが充放電を繰返しても長期に渡り保たれる。その結果、正極ペースト状活物質の利用率を向上させることができると共に、充放電サイクル特性が向上、即ち寿命特性の向上した鉛蓄電池を提供することができるものである。
また、十分な導電性ネットワークが形成されているので、化成時や充電時の過電圧を小さくでき、カーボンブラックの酸化消失を遅らせることが可能である。そのため、従来、正極板にカーボンブラックを添加すると化成により酸化消失してしまうが、本発明では気相成長炭素材とカーボンブラックを組み合わせて正極活物質に添加することで、化成後もカーボンブラックがある程度残存し、その後も正極活物質の導電性向上に寄与できる。さらに、カーボンブラックが酸化消失した部分は空孔となり、そこに電解液が保持されるため、電解液の拡散が向上し利用率が向上すると考えられる。
気相成長炭素材は単体としては導電性に優れるが、比表面積が非常に小さく、ペースト状活物質との接点が十分でないことにより、極板に添加して用いる場合、導電性は十分ではない。また、極板としての導電性を上げるために多量に添加すると、粒子間同士の結合力を低下させ、活物質の構造体としての強度低下により電池寿命を短くさせる。一方、カーボンブラックは導電性が気相炭素材にやや劣るものの、比表面積が大きく、ストラクチャーが発達しているため、活物質との接点が十分に保たれるが、充放電の繰り返しで酸化消失する。また、気相成長炭素材と同様に多量に添加すると、粒子間同士の結合力を低下させ、活物質の構造体としての強度低下により電池寿命を短くさせる。従って、気相成長炭素材とカーボンブラックの添加量の合計が活物質原料となる一酸化鉛を主成分とする鉛粉に対して1質量%以下にする必要がある。
また、カーボンブラックを熱処理によって黒鉛化することにより、耐酸化性や導電性が向上して利用率の向上や寿命特性の向上をさらに高めることが可能である。
また、正極ペースト状活物質中にポリビニルピロリドン(以下、PVPと称する)を添加することで、計算上電気化学的に最適な結晶サイズの4BSを生成させることができ、これを化成すると緻密で強固な活物質であるα型の二酸化鉛ができるため活物質の剥離や脱落の抑制が可能となることは、Journal of Power Sources 77(1999)83に記載されている。
また、正極ペースト状活物質中に鉛丹を添加することで、化成効率を大きく向上させることができるため化成に伴う電力や時間を抑えることができる。また、未化成分が減るため、初期の利用率を向上させることができる。
また、正極ペースト状活物質中に増孔剤を添加することで、カーボンブラックと同様に酸化消失した部分は空孔となり、そこに電解液が保持されるため、電解液の拡散が向上し利用率を向上させることが可能である。ここで、本発明における増孔剤はシリカ微粒子、異方性黒鉛、ゼオライト等を用いることが可能である。
まず、オックスマスタータイプの混練機に900gのボールミル式鉛粉(70%PbO、30%Pb)とカーボンナノチューブ多層0.90gとカーボンブラックとしてアセチレンブラック0.90gと補強材0.72gを投入して乾式混合を行った。次いで、この混合物に水を注入しながら混練し、最後に比重1.370の希硫酸を攪拌しながら94cc注入して正極ペースト状活物質を作製した。そして、作製した正極ペースト状活物質を、Pb−Sn−Ca系合金からなる基板に約75g充填し、熟成、乾燥を行い正極未化成極板を作製した(本発明極板1)。
なお、熟成は雰囲気温度40℃、相対湿度95%以上の環境下で18時間、乾燥は雰囲気温度60℃の環境下で6時間行い、乾燥終了後の未化成正極板の含水率は1%以下であった。
また、本発明で用いたカーボンナノチューブ多層は、炭素網層が同心状であるチューブ状の炭素繊維であり、サイズは概ね長さ150nm、直径15nmである。
また、補強材は耐酸性・耐酸化性に優れた化学繊維であり、極板強度を上げて活物質の脱落を防止する目的で添加した。
オックスマスタータイプの混練機に900gのボールミル式鉛粉(70%PbO、30%Pb)とカーボンナノチューブ多層2.25gとカーボンブラックとしてアセチレンブラック4.50gと補強材0.72gを投入して乾式混合を行った以外は実施例1と同様に正極未化成極板を作製した(本発明極板2)。
オックスマスタータイプの混練機に900gのボールミル式鉛粉(70%PbO、30%Pb)とカーボンナノチューブ多層4.50gとカーボンブラックとしてアセチレンブラック4.50gと補強材0.72gを投入して乾式混合を行った以外は実施例1と同様に正極未化成極板を作製した(本発明極板3)。
オックスマスタータイプの混練機に900gのボールミル式鉛粉(70%PbO、30%Pb)とカーボンナノチューブ多層6.30gとカーボンブラックとしてアセチレンブラック2.70gと補強材0.72gを投入して乾式混合を行った以外は実施例1と同様に正極未化成極板を作製した(本発明極板4)。
オックスマスタータイプの混練機に900gのボールミル式鉛粉(70%PbO、30%Pb)とカーボンナノチューブ多層4.50gとカーボンブラックとして高温熱処理したアセチレンブラック4.50gと補強材0.72gを投入して乾式混合を行った以外は実施例1と同様に正極未化成極板を作製した(本発明極板5)。
なお、高温熱処理したアセチレンブラックとは、2000℃に設定された焼成炉で10分間焼成を行い黒鉛化したものである。ここで、本実施例では焼成温度は2000℃としたが、1000〜3000℃程度で焼成を行うことで耐酸化性や導電性を向上させることが可能である。
オックスマスタータイプの混練機に900gのボールミル式鉛粉(70%PbO、30%Pb)とカーボンナノチューブ多層2.25gとカーボンブラックとしてアセチレンブラック2.25gと補強材0.72gを投入して乾式混合を行った。次いで、この混合物に水を注入しながら混練し、最後に比重1.370の希硫酸を攪拌しながら94cc注入して正極ペースト状活物質を作製した。そして、作製した正極ペースト状活物質を、Pb−Sn−Ca系合金からなる基板に約75g充填し、熟成、乾燥を行い正極未化成極板を作製した(本発明極板6)。
なお、熟成を雰囲気温度80℃、相対湿度95%以上の環境下で18時間、乾燥を雰囲気温度60℃の環境下で6時間行い、乾燥終了後の未化成正極板の含水率は1%以下であった。
オックスマスタータイプの混練機に900gのボールミル式鉛粉(70%PbO、30%Pb)とカーボンナノチューブ多層2.25gとカーボンブラックとしてアセチレンブラック2.25gと補強材0.72gを投入して乾式混合を行い、次いで、この混合物にポリビニルピロリドンと水を1:10で溶解させたポリビニルピロリドン水溶液90gを注入しながら混練した以外は実施例6と同様に正極未化成極板を作製した(本発明極板7)。
なお、ポリビニルピロリドン(以下、PVPと称する)を添加することにより、4BSの結晶サイズを制御することが可能となり、これを用いて化成をすることで緻密で強固な活物質であるα型の二酸化鉛が生成できるため活物質の剥離や脱落を防止できる。
オックスマスタータイプの混練機に810gのボールミル式鉛粉(70%PbO、30%Pb)と鉛丹90gとカーボンナノチューブ多層2.25gとカーボンブラックとしてアセチレンブラック2.25gと補強材0.72gを投入して乾式混合を行った以外は実施例6と同様に正極未化成極板を作製した(本発明極板8)。
なお、鉛丹を正極活物質中に添加することにより正極利用率向上させることが可能である。
(比較例1)
オックスマスタータイプの混練機に900gのボールミル式鉛粉(70%PbO、30%Pb)とカーボンナノチューブ多層4.50gと補強材0.72gを投入して乾式混合を行った以外は実施例1と同様に正極未化成極板を作製した(比較例極板1)。
(比較例2)
オックスマスタータイプの混練機に900gのボールミル式鉛粉(70%PbO、30%Pb)とカーボンブラックとしてアセチレンブラック4.5gと補強材0.72gを投入して乾式混合を行った以外は実施例1と同様に正極未化成極板を作製した(比較例極板2)。
(比較例3)
オックスマスタータイプの混練機に900gのボールミル式鉛粉(70%PbO、30%Pb)とカーボンブラックとしてアセチレンブラック9.00gと補強材0.72gを投入して乾式混合を行った以外は実施例1と同様に正極未化成極板を作製した(比較例極板3)。
(比較例4)
オックスマスタータイプの混練機に900gのボールミル式鉛粉(70%PbO、30%Pb)とカーボンナノチューブ多層7.20gとカーボンブラックとしてアセチレンブラック2.70gと補強材0.72gを投入して乾式混合を行った以外は実施例1と同様に正極未化成極板を作製した(比較例極板4)。
(従来例1)
カーボンナノチューブ多層およびカーボンブラックを添加せず、オックスマスタータイプの混練機に900gのボールミル式鉛粉(70%PbO、30%Pb)と補強材0.72gを投入して乾式混合を行った以外は実施例1と同様に正極未化成極板を作製した(従来例極板1)。
(従来例2)
カーボンナノチューブ多層およびカーボンブラックを添加せず、オックスマスタータイプの混練機に900gのボールミル式鉛粉(70%PbO、30%Pb)と補強材0.72gを投入して乾式混合を行った以外は実施例6と同様に正極未化成極板を作製した(従来例極板1)。
表1は種々作製した正極ペースト状活物質(本発明極板1〜8、比較例極板1〜4および従来例極板1〜2)に使用したカーボンナノチューブ多層およびカーボンブラック夫々の鉛粉に対する添加量および気相成長炭素材、カーボンブラック、補強材以外の添加材を示したものである。
Figure 2008098009
(蓄電池作製による極板の評価)
実施例1により作製した正極未化成極板(本発明極板1)1枚と常法により作製した2枚の負極未化成極板をセパレータを介して交互に積層した極板群を電槽に収納し、極板耳とストラップを溶接した。そして、該電槽に電槽蓋を施し、電槽蓋に施してある注液口より比重1.260(20℃)の希硫酸を注入し、25℃に空調された部屋において電槽化成を行い、2Vの鉛蓄電池を作製した(本発明1)。
なお、該鉛蓄電池は正極板が容量支配である。また、種々作製した鉛蓄電池の材料の鉛粉及び添加剤は同一ロット品を使用し、充填前の正極ペースト状活物質の密度や充填量、並びに化成後の電解液の比重調整は、可能な限り正確に揃えることにより、その影響は無視できるものとした。
また、鉛蓄電池の希硫酸の比重は電槽化成終了後、比重1.280(20℃)となるように調整を行った。
更に、上記実施例2〜実施例8、比較例1〜4及び従来例1〜2で得た正極未化成極板を用いて上記と同様にして2Vの鉛蓄電池を作製した(本発明2〜5、比較例1〜4および従来例1〜2)。
まず、種々作製した鉛蓄電池(本発明1〜8、比較例1〜4および従来例1〜2)の5時間率放電試験を行った。5時間率放電試験の条件は、環境温度25℃一定とし、放電電流1.35Aで放電終止電圧1.75Vで行った。そして、その時の正極活物質の利用率を算出した。
なお、本実施例において正極板の利用率の算出は、放電容量をap(g)、正極に含まれる全活物質量の理論容量をbp(g)とした時の両者の比率であり、正極活物質利用率(%)=ap/bp×100で表されるものとする。
表1は、種々作製した鉛蓄電池(本発明1〜8、比較例1〜4および従来例1〜2)の正極活物質の利用率の結果を示したものである。
Figure 2008098009
表1に示す様に、本発明1〜8および比較例4は比較例1〜3および従来例1〜2に比し正極活物質の利用率が50%以上であり大幅に向上していることが分かる。これは、正極板に気相成長炭素材とカーボンブラックを夫々添加することで良好な導電性ネットワークが形成されたためであると考えられる。特に、本発明5は本発明1〜4および本発明6〜8に比し利用率が向上しており、これはアセチレンブラックを高温熱処理することで導電性が向上したものと思われる。
また、気相成長炭素材とカーボンブラック夫々の添加量を増加することで正極利用率が向上することが分かる。しかしながら、比較例1〜3および従来例1〜2は、正極板に気相成長炭素材またはカーボンブラックを添加または無添加であるため、導電性ネットワークの形成が不十分であるためであると考えられる。
なお、一般的に、高温多湿(温度60℃以上、湿度80%以上)で熟成することで、四塩基性硫酸鉛(Tetra(4)Basic Lead Sulfate:以下、4BSと呼ぶ)を主とした未化成の極板ができ、この未化成の極板で鉛蓄電池を作製し電槽化成を行えば、4BS骨格をある程度保ったまま化成反応が進行する。そして、4BSを主とした極板(化成板)は、寿命特性の優れた鉛蓄電池を構成することが可能であり、また、PVPを添加することにより、計算上電気化学的に最適な結晶サイズの4BSを生成させることができ、これを化成すると緻密で強固な活物質であるα型の二酸化鉛ができるため活物質の剥離や脱落の抑制が可能となる。それにより、寿命特性の向上に加え初期利用率を向上させることが可能である。一方、低温多湿(温度60℃未満、湿度80%以上)で熟成することで、三塩基性硫酸鉛(Tri(3)Basic Lead Sulfate:以下、3BSと呼ぶ)を主とした未化成の極板ができる。3BSは4BSと異なり結晶サイズが小さく、化成極板の活物質粒子サイズも小さくなるので、初期性能は優れているものの寿命特性は短い、と言われるが、4BSが生成し易い高温多湿の環境下で熟成した実施例7〜8の極板も高い利用率が得られ、初期特性の向上が見られた。
次に、種々作製した鉛蓄電池(本発明1〜8、比較例1〜4および従来例1〜2)の重負荷寿命試験を行った。試験方法は、40〜45℃の水槽中で、5Aの定電流放電を1時間、次いで1.25Aの定電流充電を5時間行った。この定電流放電および定電流充電を1サイクルとし、25サイクル毎に容量試験を行った。容量試験の条件は、環境温度25℃一定とし、放電電流5.0Aで放電終止電圧1.70Vで行った。
表3は、25サイクル毎の容量維持率を示したものである。なお、容量維持率は初期容量を100%としたときの夫々の容量を比率で表したものである。
Figure 2008098009
表3に示すように、本発明1〜8は比較例1〜4および従来例1〜2に比し容量維持率が高いことが分かる。気相成長炭素材またはカーボンブラックを単独で添加した比較例1〜3は、大幅な利用率向上は見られず、前者は十分な導電性ネットワークが形成されず、後者は化成などによりカーボンブラックは酸化されほぼ消失してしまい、活物質中に空孔を生成し、電解液の拡散性は向上するが導電性が低下するため、夫々効果が持続しなかったためだと考えられる。気相成長炭素材およびカーボンブラックを正極ペースト状活物質中に添加していない従来例1〜2は、従来例1では低温で熟成を行うことで正極ペースト状活物質中に3BSが主として生成され、初期特性は良いがサイクル寿命特性が劣り、従来例4では高温で熟成を行うことで正極活物質中に4BSが主として生成され、初期特性は悪いがサイクル寿命特性は良い。
また、低温高湿で熟成した実施例1〜5で作製した正極板を用いた本発明1〜5の鉛蓄電池でも容量維持率の向上を図ることが出来た。そして更に実施例6以降の高温多湿で熟成した正極板を用いた本発明6〜8の鉛蓄電池は正極活物質中に4BSが主として生成され、更にサイクル寿命の向上し、更にPVPを添加した本発明7やPVPと鉛丹を添加した本発明8では、サイクル特性の向上のみならず初期特性の向上させることが可能であった。
また、カーボンブラックのみを1質量%添加した比較例3および気相成長炭素材とカーボンブラックの合計が鉛粉に対して1質量%より多く添加した比較例4は両者の添加であり、夫々100サイクル目の容量維持率が40%以下と本発明1〜4、比較例1〜2および従来例1に比し低いことが分かる。そこで、夫々の鉛蓄電池(比較例3〜4)を重負荷寿命試験後に解体したところ、正極ペースト状活物質の著しい軟化が見られた。この理由として、比較例3では活物質粒子同士の間にカーボンブラックが多く存在することで、比較例4では鉛粉に対して1質量%より多く添加したことで活物質粒子間同士の結合力が低下し、充放電反応に伴う活物質の体積変化や形状変化に対する活物質の構造体としての強度が大幅に下がったためだと考えられる。
なお、本実施例において気相成長炭素材はカーボンナノチューブ多層を用いたが、カーボンナノチューブ多層以外に、カーボンナノチューブ単層、カーボンナノホーン、カーボンナノファイバーのうち少なくとも1種を用いた場合においても同様の効果が得られる。
また、本実施例において、正極ペースト活物質中にPVPや鉛丹を添加した例を示したが、シリカ粒子等の増孔剤を用いても、また、PVP、鉛丹及び増孔剤の内2種以上を同時に用いても同様の結果が得られる。
また、カーボンブラックはアセチレンブラックに限定されるものではなく、ファーネスブラック、ケッチェンブラックなどを用いても同様の効果が得られる。

Claims (3)

  1. 金属鉛と鉛酸化物を主成分とする鉛粉に、希硫酸と水を加えて混練して作製した正極ペースト状活物質を、鉛合金から成る基板に充填して成る鉛蓄電池用正極板において、カーボンナノチューブ単層、カーボンナノチューブ多層、カーボンナノホーン、カーボンナノファイバーのうち少なくとも1種とカーボンブラックを正極ペースト状活物質中に添加し、且つ夫々の添加量の合計が鉛粉に対して1質量%以下添加することを特徴とする鉛蓄電池用正極板。
  2. 前記カーボンブラックは高温熱処理により黒鉛化されたものであることを特徴とする請求項1記載の鉛蓄電池用正極板。
  3. 前記正極ペースト状活物質中にポリビニルピロリドン、鉛丹、増孔剤のうち少なくとも1種を添加することを特徴とする請求項1記載の鉛蓄電池用正極板。
JP2006279150A 2006-10-12 2006-10-12 鉛蓄電池用正極板 Pending JP2008098009A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006279150A JP2008098009A (ja) 2006-10-12 2006-10-12 鉛蓄電池用正極板

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006279150A JP2008098009A (ja) 2006-10-12 2006-10-12 鉛蓄電池用正極板

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2008098009A true JP2008098009A (ja) 2008-04-24

Family

ID=39380639

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006279150A Pending JP2008098009A (ja) 2006-10-12 2006-10-12 鉛蓄電池用正極板

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2008098009A (ja)

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011165378A (ja) * 2010-02-05 2011-08-25 Shin Kobe Electric Mach Co Ltd 鉛蓄電池の製造方法
CN102265448A (zh) * 2010-03-02 2011-11-30 新神户电机株式会社 铅蓄电池
WO2013011516A1 (en) * 2011-07-20 2013-01-24 Vulcan Automotive Industries Ltd Funcionalized carbon nanotube composite for use in lead acid battery
CN103534864A (zh) * 2011-05-13 2014-01-22 新神户电机株式会社 铅蓄电池
JPWO2012114590A1 (ja) * 2011-02-23 2014-07-07 三洋電機株式会社 非水電解質二次電池用電極及びその製造方法並びに非水電解質二次電池
JP2014527682A (ja) * 2011-06-23 2014-10-16 モレキュラー レバー デザイン,エルエルシー 離散的カーボンナノチューブを含有する鉛酸バッテリー配合物
JP2015509119A (ja) * 2011-12-22 2015-03-26 キャボット コーポレイションCabot Corporation カーボンブラックおよび鉛蓄電池のための電極における使用
KR20150113032A (ko) * 2013-01-25 2015-10-07 아르끄마 프랑스 전극 페이스트의 제조 방법
JP2016166122A (ja) * 2008-12-19 2016-09-15 モレキュラー レバー デザイン エルエルシー 剥離したカーボンナノチューブ、その製造方法およびそれから得られる生成物
EP3404747A1 (en) 2017-05-17 2018-11-21 INDIAN OIL CORPORATION Ltd. Compositions for preparing expander free electrodes for lead acid battery and performance thereof
JP2019091598A (ja) * 2017-11-14 2019-06-13 日立化成株式会社 正極板及び鉛蓄電池
CN113097443A (zh) * 2021-03-29 2021-07-09 济源职业技术学院 管式正极废铅膏制备的管式正极板及其制备方法

Cited By (26)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10361450B2 (en) 2008-12-19 2019-07-23 Designed Nanotubes, LLC Exfoliated carbon nanotubes, methods for production thereof and products obtained therefrom
JP2016166122A (ja) * 2008-12-19 2016-09-15 モレキュラー レバー デザイン エルエルシー 剥離したカーボンナノチューブ、その製造方法およびそれから得られる生成物
JP2011165378A (ja) * 2010-02-05 2011-08-25 Shin Kobe Electric Mach Co Ltd 鉛蓄電池の製造方法
CN102265448A (zh) * 2010-03-02 2011-11-30 新神户电机株式会社 铅蓄电池
EP2544292A1 (en) * 2010-03-02 2013-01-09 Shin-Kobe Electric Machinery Co., Ltd. Lead storage battery
EP2544292A4 (en) * 2010-03-02 2014-11-19 Shin Kobe Electric Machinery LEAD ACCUMULATOR
JPWO2012114590A1 (ja) * 2011-02-23 2014-07-07 三洋電機株式会社 非水電解質二次電池用電極及びその製造方法並びに非水電解質二次電池
CN103534864A (zh) * 2011-05-13 2014-01-22 新神户电机株式会社 铅蓄电池
US9735409B2 (en) 2011-05-13 2017-08-15 Hitachi Chemical Company, Ltd. Lead acid battery
JP2014527682A (ja) * 2011-06-23 2014-10-16 モレキュラー レバー デザイン,エルエルシー 離散的カーボンナノチューブを含有する鉛酸バッテリー配合物
WO2013011516A1 (en) * 2011-07-20 2013-01-24 Vulcan Automotive Industries Ltd Funcionalized carbon nanotube composite for use in lead acid battery
US9413001B2 (en) 2011-07-20 2016-08-09 Bar Ilan University Functionalized carbon nanotube composite
KR20160058970A (ko) * 2011-12-22 2016-05-25 캐보트 코포레이션 카본 블랙 및 납산 전지용 전극에서의 용도
JP2015509119A (ja) * 2011-12-22 2015-03-26 キャボット コーポレイションCabot Corporation カーボンブラックおよび鉛蓄電池のための電極における使用
US9287565B2 (en) 2011-12-22 2016-03-15 Cabot Corporation Carbon blacks and use in electrodes for lead acid batteries
KR102036313B1 (ko) * 2011-12-22 2019-10-24 캐보트 코포레이션 카본 블랙 및 납산 전지용 전극에서의 용도
KR101625781B1 (ko) * 2011-12-22 2016-05-30 캐보트 코포레이션 카본 블랙 및 납산 전지용 전극에서의 용도
KR20150113032A (ko) * 2013-01-25 2015-10-07 아르끄마 프랑스 전극 페이스트의 제조 방법
KR102029526B1 (ko) * 2013-01-25 2019-10-07 아르끄마 프랑스 전극 페이스트의 제조 방법
JP2016504743A (ja) * 2013-01-25 2016-02-12 アルケマ フランス 電極ペーストの製造方法
EP3404747A1 (en) 2017-05-17 2018-11-21 INDIAN OIL CORPORATION Ltd. Compositions for preparing expander free electrodes for lead acid battery and performance thereof
US10468671B2 (en) 2017-05-17 2019-11-05 Indian Oil Corporation Limited Compositions for preparing expander free electrodes for lead acid battery and performance thereof
JP2019091598A (ja) * 2017-11-14 2019-06-13 日立化成株式会社 正極板及び鉛蓄電池
JP7010556B2 (ja) 2017-11-14 2022-02-10 昭和電工マテリアルズ株式会社 正極板及び鉛蓄電池
CN113097443A (zh) * 2021-03-29 2021-07-09 济源职业技术学院 管式正极废铅膏制备的管式正极板及其制备方法
CN113097443B (zh) * 2021-03-29 2022-07-19 济源职业技术学院 管式正极废铅膏制备的管式正极板及其制备方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2008098009A (ja) 鉛蓄電池用正極板
Mandal et al. Positive electrode active material development opportunities through carbon addition in the lead-acid batteries: A recent progress
CN107735889B (zh) 掺杂的导电氧化物以及基于此材料的改进电化学储能装置极板
CN107452947B (zh) 一种铅蓄电池正极板铅膏及其制备方法、铅蓄电池
JP2011057541A (ja) 炭素材料、電極材料及びリチウムイオン二次電池負極材料
WO2010122873A1 (ja) 鉛蓄電池用負極板の製造法及び鉛蓄電池
CN103296275A (zh) 碳材料包覆铅粉复合材料及其应用
Vangapally et al. Lead-acid batteries and lead–carbon hybrid systems: A review
JP2009048800A (ja) ペースト式正極板の製造方法
JP2003123760A (ja) 鉛蓄電池用負極
JP2010192257A (ja) 鉛蓄電池および鉛蓄電池用ペースト式負極板の製造方法
JPH05174825A (ja) 鉛電池
JP5396216B2 (ja) 鉛蓄電池
JP2000251896A (ja) 鉛蓄電池及びその製造方法
JP3505850B2 (ja) 鉛蓄電池及びその製造法
JP3505972B2 (ja) 鉛蓄電池および鉛蓄電池の製造法
JP4066509B2 (ja) 鉛蓄電池の製造法
JP2004327299A (ja) 密閉型鉛蓄電池
JP2003077468A (ja) ニッケル電極材料の製造方法
JP2536082B2 (ja) 鉛蓄電池
JP3624576B2 (ja) 鉛蓄電池の正極板
JP2004055309A (ja) 正極用ペースト状活物質の製造方法及びそれを用いた鉛蓄電池
KR20190028951A (ko) 구리 도핑된 탄소-실리콘 산화물(C-SiOx) 복합체 및 이의 제조 방법
JP3284860B2 (ja) 鉛蓄電池用極板とその製造法
JP2008034286A (ja) 密閉式鉛蓄電池