以下、図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
(1)光ディスクの構成
まず、本実施の形態において情報記録媒体として用いられる光ディスク100について説明する。図5(A)に外観図を示すように、光ディスク100は、全体として従来のCD、DVD及びBDと同様に直径約120[mm]の円盤状に構成されており、中央部分に孔部100Hが形成されている。
また光ディスク100は、図5(B)に断面図を示すように、情報を記録するための記録層101を中心に有しており、基板102及び103により当該記録層101を両面から挟むように構成されている。
因みに、記録層101の厚さt1は約0.3[mm]、基板102及び103の厚さt2及びt3はいずれも約0.6[mm]となるようになされている。
基板102及び103は、例えばポリカーボネイトやガラス等の材料により構成されており、いずれも一面から入射される光をその反対面へ高い透過率で透過させるようになされている。また基板102及び103は、ある程度の強度を有しており、記録層101を保護する役割も担うようになされている。
因みに光ディスク100は、厚さ方向に関して記録層101を中心としたほぼ対称な構造となっており、全体として経年変化等による反りや歪み等の発生を極力抑えるようにも配慮されている。なお基板102及び103の表面については、無反射コーティングにより不要な反射が防止されるようになされていても良い。
記録層101は、光ディスク8(図1)と同様、照射された光強度によって屈折率が変化するフォトポリマ等でなり、波長約405[nm]でなる青色光ビームに反応するようになされている。図5(B)に示したように、比較的強い強度でなる2本の青色光ビームLb1及びLb2が記録層101内において干渉した場合、当該記録層101には定在波が生成されることになり、図2(A)に示したようなホログラムとしての性質を有する干渉パターンが形成される。
さらに記録層101は、波長405[nm]でなる青色光ビームに関して、基板102及び103と同等の屈折率を呈するようになされており、記録層101と基板103との境界面等において当該青色光ビームを殆ど屈折させないようになされている。
また光ディスク100は、記録層101と基板102との境界面及び当該記録層101と基板103との境界面にそれぞれ反射層としての反射透過膜104及び105を有している。反射透過膜104及び105は、いずれも誘電体多層膜等でなり、波長405[nm]でなる青色光ビームLb1、Lb2及び青色再生光ビームLb3を透過すると共に、波長660[nm]でなる赤色光ビームを反射するといった波長選択性を有している。
また反射透過膜104及び105は、トラッキングサーボ及びフォーカスサーボに用いられる位置検出用パターンとしての案内溝を形成しており、具体的には、一般的なBD−R(Recordable)ディスク等と同様のランド及びグルーブにより螺旋状のトラックを形成している。このトラックには、所定の記録単位ごとに一連の番号でなるアドレスが付されており、情報を記録又は再生するトラックを当該アドレスにより特定し得るようになされている。
さらに反射透過膜104及び105に形成されたトラックは、光ディスク100の厚さ方向に関する対応位置に同一のアドレスが割り振られている。
なお反射透過膜104及び105(すなわち記録層101と基板102との境界面、及び記録層101と基板103との境界面)には、案内溝に代えてピット等が形成され、或いは案内溝とピット等とが組み合わされていても良く、要は光ビームによりアドレスを認識し得れば良い。
この反射透過膜104は、基板102側から第1の位置検出光としての赤色光ビームLr1が照射された場合、これを当該基板102側へ反射する。以下、このとき反射された光ビームを赤色反射光ビームLr1eと呼ぶ。
この赤色反射光ビームLr1eは、例えば光ディスク装置において、目標とするトラック(目標案内位置に相当、以下これを目標トラックと呼ぶ)に対して、所定の対物レンズOL1により集光された赤色光ビームLr1の焦点Fr1を合わせるための、当該対物レンズOL1の位置制御(すなわちフォーカス制御及びトラッキング制御)に用いられることが想定されている。
また反射透過膜105は、基板103側から第2の位置検出光としての赤色光ビームLr2が照射された場合、これを当該基板103側へ反射する。以下、このとき反射された光ビームを赤色反射光ビームLr2eと呼ぶ。
この赤色反射光ビームLr2eは、赤色反射光ビームLr1eと同様、目標トラックに対して、所定の対物レンズOL2により集光された赤色光ビームLr2の焦点Fr2を合わせるための位置制御に用いられることが想定されている。
因みに以下では、光ディスク100の基板102側の面を第1面100Aと呼び、当該光ディスク100の基板103側の面を第2面100Bと呼ぶ。
実際上、光ディスク100に情報が記録されるとき、図5(B)に示したように、位置制御された対物レンズOL1により赤色光ビームLr1が集光され、反射透過膜104における第1の目標位置としての目標トラックに合焦されると共に、位置制御された対物レンズOL2により赤色光ビームLr2が集光され、反射透過膜105における第2の目標位置としての目標トラックに合焦される。
また、当該赤色光ビームLr1と光軸Lxを共有し当該対物レンズOL1により集光された青色光ビームLb1が、基板102及び反射透過膜104を透過し、記録層101内における目標トラックの裏側(すなわち基板102側)に合焦される。このとき青色光ビームLb1の焦点Fb1は、対物レンズOL1を基準として、共通の光軸Lx上における焦点Fr1よりも遠方に位置することになる。
さらに、青色光ビームLb1と同一波長でなり光軸Lxを共有する青色光ビームLb2が、当該青色光ビームLb1の反対側となる基板103側から、対物レンズOL1と同等の光学特性を有する対物レンズOL2により集光され、照射されるようになされている。このとき当該青色光ビームLb2の焦点Fb2は、当該対物レンズOL2が位置制御されることにより、青色光ビームLb1の焦点Fb1と同一の位置となるようになされている。
この結果、光ディスク100には、記録層101内における反射透過膜104の目標トラックと反射透過膜105の目標トラックとの間に焦点Fb1及びFb2を位置させることができ、これにより比較的小さい干渉パターンでなる記録マークRMが記録される。
このとき記録層101内には、いずれも収束光でなる青色光ビームLb1及びLb2が重なり、且つ所定強度以上となった部分に定在波が生じ、記録マークRMが形成される。このため記録マークRMは、図2(A)に示したように、全体的に2つの円錐体を互いの底面同士で貼り合わせたような形状となり、中央部(底面同士を貼り合わせた部分)が僅かにくびれている。
因みに、記録マークRMに関して、中央部におけるくびれ部分の直径RMrについては、青色光ビームLb1及びLb2の波長をλ[m]、対物レンズOL1及びOL2の開口数をNAとすると、次に示す(1)式により求められる。
また記録マークRMの高さRMhに関しては、対物レンズOL1及びOL2の屈折率をnとすると、次に示す(2)式により求められる。
例えば、波長λを405[nm]、開口数NAを0.5、屈折率nを1.5とすると、(1)式より直径RMr=0.97[μm]、(2)式より高さRMh=9.72[μm]となる。
さらに光ディスク100は、記録層101の厚さt1(=0.3[mm])が記録マークRMの高さRMhよりも充分に大きくなるよう設計されている。このため光ディスク100は、記録層101内における記録反射膜104からの距離(以下、これを深さdと呼ぶ)が切り換えられながら記録マークRMが記録されることにより、図2(B)に示したような、複数のマーク記録層を当該光ディスク100の厚さ方向に重ねた多層記録を行い得るようになされている。
この場合、光ディスク100の記録層101内において、青色光ビームLb1及びLb2の焦点Fb1及びFb2の深さが調整されることにより、記録マークRMの深さdが変更されることになる。例えば光ディスク100は、記録マークRM同士の相互干渉等を考慮してマーク記録層同士の距離p3が約15[μm]に設定されれば、記録層101内に約20層のマーク記録層を形成することができる。なお距離p3については、約15[μm]とする以外にも、記録マークRM同士の相互干渉等を考慮した上で他の種々の値としても良い。
一方、光ディスク100は、情報が再生されるとき、当該情報を記録したときと同様に、対物レンズOL1により集光された赤色光ビームLr1が反射透過膜104の目標トラックに合焦されるよう、当該対物レンズOL1が位置制御されるようになされている。
また光ディスク100は、対物レンズOL2により集光された赤色光ビームLr2が反射透過膜105の目標トラックに合焦されるよう、当該対物レンズOL2が位置制御されるようになされている。
さらに光ディスク100は、同一の対物レンズOL1を介し基板102及び反射透過膜104を透過した青色光ビームLb1の焦点Fb1が、記録層101内における当該目標トラックの「裏側」に相当し、かつ目標深さとなる位置(目標記録位置に相当、以下これを目標マーク位置と呼ぶ)に合焦されるようになされている。
このとき焦点Fb1の位置に記録されている記録マークRMは、ホログラムとしての性質により、当該目標マーク位置に記録されている記録マークRMから、青色再生光ビームLb3を発生する。この青色再生光ビームLb3は、記録マークRMの記録時に照射された青色光ビームLb2と同等の光学特性を有しており、当該青色光ビームLb2と同じ方向へ、すなわち記録層101内から基板102側へ発散しながら進むことになる。
このように光ディスク100は、情報が記録される場合、位置制御用の赤色光ビームLr1及びLr2並びに情報記録用の青色光ビームLb1及びLb2が用いられることにより、記録層101内において焦点Fb1及びFb2が重なる位置、すなわち反射透過膜104の目標トラックと反射透過膜105の目標トラックとの間において目標深さとなる目標マーク位置に、当該情報として記録マークRMが形成されるようになされている。
また光ディスク100は、記録済みの情報が再生される場合、位置制御用の赤色光ビームLr1及びLr2並びに情報再生用の青色光ビームLb1が用いられることにより、焦点Fb1の位置、すなわち目標マーク位置に記録されている記録マークRMから、青色再生光ビームLb3を発生させるようになされている。
(2)光ディスク装置の構成
次に、上述した光ディスク100に対応した光ディスク装置20について説明する。光ディスク装置20は、図6に示すように、制御部21により全体を統括制御するようになされている。
制御部21は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、図示しないROM(Read Only Memory)から基本プログラムや情報記録プログラム等の各種プログラムを読み出し、これらを図示しないRAM(Random Access Memory)に展開することにより、情報記録処理等の各種処理を実行するようになされている。
例えば制御部21は、光ディスク100が装填された状態で、図示しない外部機器等から情報記録命令、記録情報及び記録アドレス情報を受け付けると、駆動命令及び記録アドレス情報を駆動制御部22へ供給すると共に、記録情報を信号処理部23へ供給する。
因みに記録アドレス情報は、光ディスク100の反射透過膜104及び105に付されたアドレスのうち記録情報を記録すべきアドレスを示すと共に、多層構造を形成するマーク記録層の層番号(すなわち反射透過膜104から数えて何層目であるか)を示す情報である。
駆動制御部22は、制御部21と同様に図示しないCPUを中心に構成されており、図示しないROMからトラッキング制御プログラム等の各種プログラムを読み出し、これらを図示しないRAMに展開することにより、トラッキング制御処理等の各種処理を実行するようになされている。
駆動制御部22は、駆動命令に従い、スピンドルモータ24を駆動制御することにより光ディスク100を所定の回転速度で回転させると共に、スレッドモータ25を駆動制御することにより、光ピックアップ26を移動軸25A及び25Bに沿って光ディスク100の径方向(すなわち内周方向又は外周方向)における記録アドレス情報に対応した位置へ移動させる。
信号処理部23は、供給された記録情報に対して所定の符号化処理や変調処理等の各種信号処理を施すことにより記録信号を生成し、これを光ピックアップ26へ供給する。
光ピックアップ26は、図7に示すように、側面略コ字状に構成されており、図5(B)に示したように、光ディスク100に対して両面から焦点を合わせて光ビームを照射し得るようになされている。
光ピックアップ26は、駆動制御部22(図6)の制御に基づいてフォーカス制御及びトラッキング制御を行うことにより、光ディスク100の記録層101における目標トラックに光ビームの照射位置を合わせ、信号処理部23からの記録信号に応じた記録マークRMを記録するようになされている(詳しくは後述する)。
また制御部21は、例えば外部機器(図示せず)から情報再生命令及び当該記録情報のアドレスを示す再生アドレス情報を受け付けると、駆動制御部22に対して駆動命令を供給すると共に、再生処理命令を信号処理部23へ供給する。
駆動制御部22は、情報を記録する場合と同様、スピンドルモータ24を駆動制御することにより光ディスク100を所定の回転速度で回転させると共に、スレッドモータ25を駆動制御することにより光ピックアップ26を再生アドレス情報に対応した位置へ移動させる。
光ピックアップ26は、駆動制御部22(図6)の制御に基づいてフォーカス制御及びトラッキング制御を行うことにより、光ディスク100の記録層101における再生アドレス情報により示されるトラック(すなわち目標トラック)に光ビームの照射位置を合わせ、所定光量の光ビームを照射する。このとき光ピックアップ26は、光ディスク100における記録層101の記録マークRMから発生される再生光ビームを検出し、その光量に応じた検出信号を信号処理部23へ供給するようになされている(詳しくは後述する)。
信号処理部23は、供給された検出信号に対して所定の復調処理や復号化処理等の各種信号処理を施すことにより再生情報を生成し、この再生情報を制御部21へ供給する。これに応じて制御部21は、この再生情報を外部機器(図示せず)へ送出するようになされている。
このように光ディスク装置20は、制御部21によって光ピックアップ26を制御することにより、光ディスク100の記録層101における目標トラックに情報を記録し、また当該目標トラックから情報を再生するようになされている。
(3)光ピックアップの構成
次に、光ピックアップ26の構成について説明する。図8に模式的に示すように、光ピックアップ26は、多数の光学部品が設けられており、大きく分けて第1面位置制御光学系30、第1面情報光学系50、第2面位置制御光学系70及び第2面情報光学系90により構成されている。
(3−1)第1面位置制御光学系の構成
第1面位置制御光学系30は、光ディスク100の第1面100Aに対して赤色光ビームLr1を照射し、当該光ディスク100により当該赤色光ビームLr1が反射されてなる赤色反射光ビームLr1eを受光するようになされている。
図9において第1面位置制御光学系30のレーザダイオード31は、波長約660[nm]の赤色レーザ光を射出し得るようになされている。実際上レーザダイオード31は、制御部21(図6)の制御に基づいて発散光でなる所定光量の赤色光ビームLr1を射出し、コリメータレンズ32へ入射させる。
コリメータレンズ32は、赤色光ビームLr1を発散光から平行光に変換しスリット33を介して無偏光ビームスプリッタ34へ入射させる。無偏光ビームスプリッタ34は、赤色光ビームLr1を反射透過面34Aにおいて約50%の割合で透過し、補正レンズ35へ入射させる。補正レンズ35及び36は、赤色光ビームLr1を一度発散させてから収束させ、ダイクロックプリズム37へ入射させる。
ダイクロックプリズム37の反射透過面37Sは、光ビームの波長により透過率及び反射率が異なる、いわゆる波長選択性を有しており、赤色光ビームをほぼ100%の割合で透過し、青色光ビームをほぼ100%の割合で反射するようになされている。このためダイクロックプリズム37は、当該反射透過面37Sにおいて赤色光ビームLr1を透過し、対物レンズ38へ入射させる。
対物レンズ38は、赤色光ビームLr1を集光し、光ディスク100の第1面100Aへ向けて照射する。このとき赤色光ビームLr1は、図5(B)に示したように、基板102を透過し反射透過膜104において反射され、赤色光ビームLr1と反対方向へ向かう赤色反射光ビームLr1eとなる。
因みに対物レンズ38は、青色光ビームLb1に最適化されて設計されており、赤色光ビームLr1に関しては、スリット33、補正レンズ35及び36との光学的な距離等の関係により、開口数(NA:Numerical Aperture)が0.41の集光レンズとして作用することになる。
この後、赤色反射光ビームLr1e(図9)は、対物レンズ38、ダイクロックプリズム37、補正レンズ36及び35を順次透過して平行光にされた後、無偏光ビームスプリッタ34へ入射される。
無偏光ビームスプリッタ34は、赤色反射光ビームLr1eを約50%の割合で反射することによりミラー40へ照射し、当該ミラー40により当該赤色反射光ビームLr1eを再度反射させた後、集光レンズ41へ入射させる。
集光レンズ41は、赤色反射光ビームLr1eを収束させ、シリンドリカルレンズ42により非点収差を持たせた上で当該赤色反射光ビームLr1eをフォトディテクタ43へ照射する。
ところで光ディスク装置20では、回転する光ディスク100における面ブレ等が発生する可能性があるため、第1面位置制御光学系30に対する目標トラックの相対的な位置が変動する可能性がある。
このため、第1面位置制御光学系30において赤色光ビームLr1の焦点Fr1(図5(B))を目標トラックに追従させるには、当該焦点Fr1を光ディスク100に対する近接方向又は離隔方向であるフォーカス方向及び光ディスク100の内周側方向又は外周側方向であるトラッキング方向へ移動させる必要がある。
また光ディスク装置20は、後述するように、赤色光ビームLr1を光ディスク100に対してほぼ垂直に入射させることが望ましい。
そこで対物レンズ38は、3軸アクチュエータ38Aにより、フォーカス方向、トラッキング方向及びチルト方向の3軸方向へ駆動され得るようになされている。
また第1面位置制御光学系30(図9)では、対物レンズ38により赤色光ビームLr1が集光され光ディスク100の反射透過膜104へ照射されるときの合焦状態が、集光レンズ41により赤色反射光ビームLr1eが集光されフォトディテクタ43に照射されるときの合焦状態に反映されるよう、各種光学部品の光学的位置が調整されている。
フォトディテクタ43は、図10に示すように、赤色反射光ビームLr1eが照射される面上に、格子状に分割された4つの検出領域43A、43B、43C及び43Dを有している。因みに矢印a1により示される方向(図中の縦方向)は、赤色光ビームLr1が反射透過膜104(図5(B))に照射されるときの、トラックの走行方向に対応している。
フォトディテクタ43は、検出領域43A、43B、43C及び43Dにより赤色反射光ビームLr1eの一部をそれぞれ検出し、このとき検出した光量に応じて検出信号SD1A、SD1B、SD1C及びSD1Dをそれぞれ生成して、これらを信号処理部23(図6)へ送出する。
信号処理部23は、いわゆる非点収差法によるフォーカス制御を行うようになされており、次に示す(3)式に従ってフォーカスエラー信号SFE1を算出し、これを駆動制御部22へ供給する。
このフォーカスエラー信号SFE1は、赤色光ビームLr1の焦点Fr1と光ディスク100の反射透過膜104とのずれ量を表すことになる。
また信号処理部23は、いわゆるプッシュプル法によるトラッキング制御を行うようになされており、次に示す(4)式に従ってトラッキングエラー信号STE1を算出し、これを駆動制御部22へ供給する。
このトラッキングエラー信号STE1は、赤色光ビームLr1の焦点Fr1と光ディスク100の反射透過膜104における目標トラックとのずれ量を表すことになる。
さらに信号処理部23は、検出信号SD1A、SD1B、SD1C及びSD1Dを基に、光ディスク100の傾き(スキュー又はチルトとも呼ぶ)の大きさを表すチルトエラー信号SLE1を生成し、これを駆動制御部22へ供給する。
因みに信号処理部23は、検出信号SD1A、SD1B、SD1C及びSD1Dを全て加算することにより再生RF信号SRF1を生成し、これを駆動制御部22及び制御部21へ送出するようになされている。これに応じて駆動制御部22及び制御部21は、赤色光ビームLr1の焦点Fr1が位置しているトラックのアドレスを認識し得るようになされている。
駆動制御部22は、フォーカスエラー信号SFE1を基にフォーカス駆動信号SFD1を生成し、当該フォーカス駆動信号SFD1を3軸アクチュエータ38Aへ供給することにより、赤色光ビームLr1が光ディスク100の反射透過膜104に合焦するよう、対物レンズ38をフィードバック制御(すなわちフォーカス制御)する。
また駆動制御部22は、トラッキングエラー信号STE1を基にトラッキング駆動信号STD1を生成し、当該トラッキング駆動信号STD1を3軸アクチュエータ38Aへ供給することにより、赤色光ビームLr1が光ディスク100の反射透過膜104における目標トラックに合焦するよう、対物レンズ38をフィードバック制御(すなわちトラッキング制御)する。
さらに駆動制御部22は、チルトエラー信号SLEr1を基にチルト駆動信号SLD1を生成し、当該チルト駆動信号SLD1を3軸アクチュエータ38Aへ供給することにより、赤色光ビームLr1が光ディスク100に対してほぼ垂直に入射するよう、対物レンズ38をフィードバック制御(すなわちチルト制御)する。
このように第1面位置制御光学系30は、赤色光ビームLr1を光ディスク100の反射透過膜104に照射し、その反射光である赤色反射光ビームLr1eの受光結果を信号処理部23へ供給するようになされている。これに応じて駆動制御部22は、当該赤色光ビームLr1を当該反射透過膜104の目標トラックに合焦させるよう、対物レンズ38のフォーカス制御及びトラッキング制御を行い、さらにチルト制御を行うようになされている。
(3−2)第1面情報光学系の構成
第1面情報光学系50は、光ディスク100の第1面100Aに対して青色光ビームLb1を照射するようになされており、また当該光ディスク100から入射される青色光ビームLb2又は青色再生光ビームLb3を受光するようになされている。
(3−2−1)青色光ビームの照射
図11において第1面情報光学系50のレーザダイオード51は、波長約405[nm]の青色レーザ光を射出し得るようになされている。実際上レーザダイオード51は、制御部21(図6)の制御に基づいて発散光でなる青色光ビームLb0を射出し、コリメータレンズ52へ入射させる。コリメータレンズ52は、青色光ビームLb0を発散光から平行光に変換し、1/2波長板53へ入射させる。
このとき青色光ビームLb0は、1/2波長板53により偏光方向が所定角度回転され、アナモプリズム54により強度分布が成形された後、偏光ビームスプリッタ55の面55Aに入射される。
偏光ビームスプリッタ55は、反射透過面55Sにおいて、光ビームの偏光方向により異なる割合で当該光ビームを反射又は透過するようになされている。例えば反射透過面55Sは、p偏光の光ビームを約50%の割合で反射すると共に残りの50%を透過し、s偏光の光ビームを約100%の割合で透過するようになされている。
実際上、偏光ビームスプリッタ55は、反射透過面55Sにより、p偏光でなる青色光ビームLb0を約50%の割合で反射し、面55Bから1/4波長板56へ入射させると共に、残りの50%を透過し、面55Dからシャッタ71へ入射させる。以下では、反射透過面55Sにより反射された青色光ビームを青色光ビームLb1、反射透過面55Sを透過した青色光ビームを青色光ビームLb2と呼ぶ。
1/4波長板56は、青色光ビームLb1を直線偏光から円偏光に変換して可動ミラー57へ照射し、また当該可動ミラー57により反射され青色光ビームLb1を円偏光から直線偏光に変換し、再度偏光ビームスプリッタ55の面55Bへ入射させる。
このとき青色光ビームLb1は、例えば1/4波長板56によりp偏光から左円偏光に変換され、可動ミラー57により反射された際に左円偏光から右円偏光に変換された後、再度1/4波長板56により右円偏光からs偏光に変換される。すなわち青色光ビームLb1は、面55Bから出射されたときと可動ミラー57により反射された後に当該面55Bに入射されるときとで、互いの偏光方向が異なることになる。
偏光ビームスプリッタ55は、面55Bから入射された青色光ビームLb1の偏光方向(s偏光)に応じて、反射透過面55Sにより当該青色光ビームLb1をそのまま透過させ、面55Cから偏光ビームスプリッタ58へ入射させるようになされている。
この結果、第1面情報光学系50は、偏光ビームスプリッタ55、1/4波長板56及び可動ミラー57により、青色光ビームLb1の光路長を引き延ばすことになる。
偏光ビームスプリッタ58の反射透過面55Sは、例えばp偏光の光ビームを約100%の割合で反射し、s偏光の光ビームを約100%の割合で透過するようになされている。実際上、偏光ビームスプリッタ58は、反射透過面58Sにおいて青色光ビームLb1をそのまま透過させ、1/4波長板59により直線偏光(s偏光)から円偏光(右円偏光)に変換させた上で、リレーレンズ60へ入射させる。
リレーレンズ60は、可動レンズ61により青色光ビームLb1を平行光から収束光に変換し、収束後に発散光となった当該青色光ビームLb1を固定レンズ62により再度収束光に変換し、ダイクロックプリズム37へ入射させる。
ここで可動レンズ61は、アクチュエータ61Aにより青色光ビームLb1の光軸方向に移動されるようになされている。実際上、リレーレンズ60は、駆動制御部22(図6)の制御に基づきアクチュエータ61Aによって可動レンズ61を移動させることにより、固定レンズ62から出射される青色光ビームLb1の収束状態を変化させ得るようになされている。
ダイクロックプリズム37は、青色光ビームLb1の波長に応じて、反射透過面37Sにより当該青色光ビームLb1を反射し、これを対物レンズ38へ入射させる。因みに青色光ビームLb1は、反射透過面37Sにおいて反射されるときに円偏光における偏光方向が反転され、例えば右円偏光から左円偏光に変換される。
対物レンズ38は、青色光ビームLb1を集光し、光ディスク100の第1面100Aへ照射する。因みに対物レンズ38は、青色光ビームLb1に関しては、リレーレンズ60との光学的な距離等の関係により、開口数(NA)が0.5の集光レンズとして作用することになる。
このとき青色光ビームLb1は、図5(B)に示したように、基板102及び反射透過膜104を透過し、記録層101内に合焦する。ここで当該青色光ビームLb1の焦点Fb1の位置は、リレーレンズ60の固定レンズ62から出射される際の収束状態により定められることになる。すなわち焦点Fb1は、可動レンズ61の位置に応じて記録層101内の第1面100A側又は第2面100B側へ移動することになる。
具体的に第1面情報光学系50は、可動レンズ61の移動距離と青色光ビームLb1の焦点Fb1の移動距離とがほぼ比例関係となるように設計されており、例えば可動レンズ61を1[mm]移動させると、青色光ビームLb1の焦点Fb1が30[μm]移動するようになされている。
実際上、第1面情報光学系50は、駆動制御部22(図6)により可動レンズ61の位置が制御されることにより、光ディスク100の記録層101内における青色光ビームLb1の焦点Fb1(図5(B))の深さd1(すなわち反射透過膜104からの距離)を調整するようになされている。
青色光ビームLb1は、焦点Fb1に収束した後に発散光となり、記録層101及び基板103を透過し、第2面100Bから出射されて、対物レンズ78へ入射される。
このように第1面情報光学系50は、青色光ビームLb1を光ディスク100の第1面100A側から照射して記録層101内に当該青色光ビームLb1の焦点Fb1を位置させ、さらにリレーレンズ60における可動レンズ61の位置に応じて、当該焦点Fb1の深さd1を調整するようになされている。
(3−2−2)青色光ビームの受光
ところで光ディスク100は、対物レンズ78から第2面100Bへ照射される青色光ビームLb2を透過し、第1面100Aから発散光として出射するようになされている(詳しくは後述する)。因みに青色光ビームLb2は、円偏光(例えば右円偏光)となるようになされている。
このとき第1面情報光学系50では、図12に示すように、青色光ビームLb2が対物レンズ38によりある程度収束された後、ダイクロックプリズム37により反射され、リレーレンズ60へ入射される。因みに青色光ビームLb2は、反射透過面37Sにおいて反射される際、円偏光における偏光方向が反転され、例えば右円偏光から左円偏光に変換される。
続いて青色光ビームLb2は、リレーレンズ60の固定レンズ62及び可動レンズ61によって平行光に変換され、さらに1/4波長板59により円偏光(左円偏光)から直線偏光(p偏光)に変換された上で、偏光ビームスプリッタ58へ入射される。
偏光ビームスプリッタ58は、青色光ビームLb2の偏光方向に応じて当該青色光ビームLb2を反射し、集光レンズ63へ入射させる。集光レンズ63は、青色光ビームLb2を集光し、フォトディテクタ64へ照射させる。
因みに、第1面情報光学系50内の各光学部品は、青色光ビームLb2がフォトディテクタ64に合焦するよう配置されている。
フォトディテクタ64は、青色光ビームLb2の光量を検出し、このとき検出した光量に応じて再生検出信号SDpを生成し、これを信号処理部23(図6)へ供給する。
但し、このとき当該フォトディテクタ64において青色光ビームLb2の光量に応じて生成される再生検出信号SDpには、特に用途がない。このため信号処理部23は、当該再生検出信号SDpが供給されるものの、特に信号処理を行わないようになされている。
一方、光ディスク100は、記録層101に記録マークRMが記録されていた場合、上述したように、青色光ビームLb1の焦点Fb1が当該記録マークRMに合焦されると、ホログラムとしての性質により、当該記録マークRMから青色再生光ビームLb3を発生することになる。
この青色再生光ビームLb3は、ホログラムの原理上、当該記録マークRMが記録された際に青色光ビームLb1の他に照射されていた光ビーム、すなわち青色光ビームLb2を再現したものとなる。従って青色再生光ビームLb3は、第1面情報光学系50内において青色光ビームLb2と同様の光路を経ることにより、最終的にフォトディテクタ64へ照射される。
ここで第1面情報光学系50内の各光学部品は、上述したように、青色光ビームLb2がフォトディテクタ64に合焦するよう配置されている。このため青色再生光ビームLb3は、当該青色光ビームLb2と同様に当該フォトディテクタ64に合焦する。
フォトディテクタ64は、青色光ビームLb3の光量を検出し、このとき検出した光量に応じて再生検出信号SDpを生成し、これを信号処理部23(図6)へ供給する。
この場合、再生検出信号SDpは、光ディスク100に記録されている情報を表すものとなる。このため信号処理部23は、再生検出信号SDpに対して所定の復調処理や復号化処理等を施すことにより再生情報を生成し、この再生情報を制御部21へ供給するようになされている。
このように第1面情報光学系50は、光ディスク100の第1面100Aから対物レンズ38へ入射される青色光ビームLb2又は青色再生光ビームLb3を受光し、その受光結果を信号処理部23へ供給するようになされている。
(3−3)第2面位置制御光学系の構成
第2面位置制御光学系70(図8)は、光ディスク100を挟んで第1面位置制御光学系30と対称的な構成を有しており、光ディスク100の第2面100Bに対して赤色光ビームLr2を照射し、当該光ディスク100により当該赤色光ビームLr2が反射されてなる赤色反射光ビームLr2eを受光するようになされている。
図13において第2面位置制御光学系70は、第1面位置制御光学系30のレーザダイオード31、コリメータレンズ32、スリット33、無偏光ビームスプリッタ34、補正レンズ35及び36、ダイクロックプリズム37、対物レンズ38、ミラー40、集光レンズ41、シリンドリカルレンズ42及びフォトディテクタ43とそれぞれ同様の構成でなるレーザダイオード71、コリメータレンズ72、スリット73、無偏光ビームスプリッタ74、補正レンズ75及び76、ダイクロックプリズム77、対物レンズ78、ミラー80、集光レンズ81、シリンドリカルレンズ82及びフォトディテクタ83を有している。
また対物レンズ78は、対物レンズ38と同様、3軸アクチュエータ78Aにより、フォーカス方向、トラッキング方向及びチルト方向の3軸方向へ駆動され得るようになされている。
かかる構成により第2面位置制御光学系70は、赤色光ビームLr1と同様の波長約660[nm]でなる赤色光ビームLr2を光ディスク100の第2面100Bへ向けて照射するようになされている。このとき赤色光ビームLr2は、図5(B)に示したように、基板103を透過し反射透過膜105において反射され、赤色光ビームLr2と反対方向へ向かう赤色反射光ビームLr2eとなる。
赤色反射光ビームLr2e(図13)は、対物レンズ78、ダイクロックプリズム77、補正レンズ76及び75を順次透過して平行光にされた後、無偏光ビームスプリッタ74により約50%の割合で反射されミラー80により再度反射されて、集光レンズ81へ入射される。
集光レンズ81は、赤色反射光ビームLr2eを収束させ、シリンドリカルレンズ82により非点収差を持たせた上で当該赤色反射光ビームLr2eをフォトディテクタ83へ照射する。
フォトディテクタ83は、図10と対応する図14に示すように、赤色反射光ビームLr2eが照射される面上に、格子状に分割された4つの検出領域83A、83B、83C及び83Dを有している。因みに矢印a2により示される方向(図中の縦方向)は、赤色光ビームLr2が反射透過膜105(図5B)に照射されるときの、トラックの走行方向に対応している。
フォトディテクタ83は、検出領域83A、83B、83C及び83Dにより赤色反射光ビームLr2eの一部をそれぞれ検出し、このとき検出した光量に応じて検出信号SD2A、SD2B、SD2C及びSD2Dをそれぞれ生成して、これらを信号処理部23(図6)へ送出する。
信号処理部23は、いわゆる非点収差法によるフォーカス制御を行うようになされており、次に示す(5)式に従ってフォーカスエラー信号SFE2を算出し、これを駆動制御部22へ供給する。
このフォーカスエラー信号SFE2は、赤色光ビームLr2の焦点Fr2と光ディスク100の反射透過膜105とのずれ量を表すことになる。
また信号処理部23は、いわゆるプッシュプル法によるトラッキング制御を行うようになされており、次に示す(6)式に従ってトラッキングエラー信号STE2を算出し、これを駆動制御部22へ供給する。
このトラッキングエラー信号STE2は、赤色光ビームLr2の焦点Fr2と光ディスク100の反射透過膜105における目標トラックとのずれ量を表すことになる。
さらに信号処理部23は、検出信号SD2A、SD2B、SD2C及びSD2Dを基に、光ディスク100の傾き(スキュー又はチルトとも呼ぶ)の大きさを表すチルトエラー信号SLE2を生成し、これを駆動制御部22へ供給する。
因みに信号処理部23は、第1面位置制御光学系30の場合と同様、検出信号SD2A、SD2B、SD2C及びSD2Dを全て加算することにより再生RF信号SRF2を生成し、これを駆動制御部22及び制御部21へ送出するようになされている。これに応じて駆動制御部22及び制御部21は、赤色光ビームLr2の焦点Fr2が位置しているトラックのアドレスを認識し得るようになされている。
駆動制御部22は、フォーカスエラー信号SFE2を基にフォーカス駆動信号SFD2を生成し、当該フォーカス駆動信号SFD2を3軸アクチュエータ78Aへ供給することにより、赤色光ビームLr2が光ディスク100の反射透過膜105に合焦するよう、対物レンズ78をフィードバック制御(すなわちフォーカス制御)する。
また駆動制御部22は、トラッキングエラー信号STE2を基にトラッキング駆動信号STD2を生成し、当該トラッキング駆動信号STD2を3軸アクチュエータ78Aへ供給することにより、赤色光ビームLr2が光ディスク100の反射透過膜105における目標トラックに合焦するよう、対物レンズ78をフィードバック制御(すなわちトラッキング制御)する。
さらに駆動制御部22は、チルトエラー信号SLE2を基にチルト駆動信号SLD2を生成し、当該チルト駆動信号SLD2を3軸アクチュエータ78Aへ供給することにより、赤色光ビームLr2が光ディスク100に対してほぼ垂直に入射するよう、対物レンズ78をフィードバック制御(すなわちチルト制御)する。
このように第2面位置制御光学系70は、第1面位置制御光学系30と対称に、赤色光ビームLr2を光ディスク100の反射透過膜105に照射し、その反射光である赤色反射光ビームLr2eの受光結果を信号処理部23へ供給するようになされている。これに応じて駆動制御部22は、当該赤色光ビームLr2を当該反射透過膜105の目標トラックに合焦させるよう、対物レンズ78のフォーカス制御及びトラッキング制御を行い、さらにチルト制御を行うようになされている。
(3−4)第2面情報光学系の構成
第2面情報光学系90(図8)は、光ディスク100の第2面100Bに対して青色光ビームLb2を照射するようになされている。
図13において第1面情報光学系50の偏光ビームスプリッタ55は、上述したように、反射透過面55Sにおいてp偏光でなる青色光ビームLb0を約50%の割合で透過し、これを青色光ビームLb2として面55Dからシャッタ91へ入射させる。
シャッタ91は、制御部21(図6)の制御に基づいて青色光ビームLb2を遮断又は透過するようになされており、当該青色光ビームLb2を透過した場合、ミラー93により反射させた後、1/4波長板94により直線偏光(p偏光)から円偏光(左円偏光)に変換させた上で、リレーレンズ95へ入射させる。
因みにシャッタ71としては、例えば青色光ビームLb2を遮断する遮断板を機械的に動かすことにより青色光ビームLb2を遮断又は透過する機械式シャッタや、液晶パネルに印加する電圧を変化することにより当該青色光ビームLb2を遮断又は透過する液晶シャッタ等を用いることができる。
リレーレンズ95は、リレーレンズ60と同様に構成されており、可動レンズ61、アクチュエータ61A及び固定レンズ62とそれぞれ対応する可動レンズ96、アクチュエータ96A及び固定レンズ97を有している。
リレーレンズ95は、可動レンズ96により青色光ビームLb2を平行光から収束光に変換し、収束後に発散光となった当該青色光ビームLb2を固定レンズ97により再度収束光に変換し、ダイクロックプリズム77へ入射させる。
またリレーレンズ95は、リレーレンズ60と同様、駆動制御部22(図6)の制御に基づきアクチュエータ96Aによって可動レンズ96を移動させることにより、固定レンズ97から出射される青色光ビームLb2の収束状態を変化させ得るようになされている。
ダイクロックプリズム77は、その波長に応じて青色光ビームLb2を反射し、対物レンズ78へ入射させる。因みに青色光ビームLb2は、反射されるときに円偏光における偏光方向が反転され、例えば左円偏光から右円偏光に変換される。
対物レンズ78は、青色光ビームLb2を集光し、光ディスク100の第2面100Bへ照射する。このとき青色光ビームLb2は、図5(B)に示したように、基板103及び反射透過膜105を透過して記録層101内に合焦する。ここで当該青色光ビームLb2の焦点Fb2の位置は、リレーレンズ95の固定レンズ97から出射される際の収束状態により定められることになる。すなわち当該焦点Fb2は、青色光ビームLb1の焦点Fb1と同様、可動レンズ96の位置に応じて記録層101内の第1面100A側又は第2面100B側へ移動することになる。
具体的に第2面情報光学系90は、第1面情報光学系50と同様、可動レンズ96の移動距離と青色光ビームLb2の焦点Fb2の移動距離とがほぼ比例関係となるように設計されており、例えば可動レンズ96を1[mm]移動させると、青色光ビームLb2の焦点Fb2が30[μm]移動するようになされている。
実際上、第2面情報光学系90は、制御部21(図6)によってリレーレンズ60における可動レンズ61の位置と共にリレーレンズ95における可動レンズ96の位置が制御されることにより、光ディスク100の記録層101内における青色光ビームLb2の焦点Fb2(図10)の深さd2を調整するようになされている。
このとき光ディスク装置20では、制御部21(図6)の制御により、光ディスク100に面ブレ等が発生していないと仮定したとき(すなわち理想的な状態の場合)、記録層101内において、青色光ビームLb1の焦点Fb1及び青色光ビームLb2の焦点Fb2を目標マーク位置に位置させるようになされている。
青色光ビームLb2は、焦点Fb2において合焦した後、発散しながら記録層101、反射透過膜104及び基板102を透過し、第1面100Aから出射されて、対物レンズ38へ入射されるようになされている。
このように第2面情報光学系90は、青色光ビームLb2を光ディスク100の第2面100B側から照射して記録層101内に当該青色光ビームLb2の焦点Fb2を位置させ、さらにリレーレンズ95における可動レンズ96の位置に応じて、当該焦点Fb2の深さd2を調整するようになされている。
(3−5)光路長の調整
ところで光ディスク装置20の光ピックアップ26は、情報を記録する際、上述したように、偏光ビームスプリッタ55(図12)により、青色光ビームLb0から青色光ビームLb1及びLb2を分離し、光ディスク100の記録層101内で当該青色光ビームLb1及びLb2を互いに干渉させることにより、当該記録層101内の目標マーク位置に記録マークRMを記録させるようになされている。
この青色光ビームLb0を出射するレーザダイオード51は、一般的なホログラムの形成条件に従い、光ディスク100の記録層101にホログラムとしての記録マークRMが正しく記録されるために、当該青色光ビームLb0のコヒーレント長をホログラムサイズ(すなわち記録マークRMの高さRMh)以上とする必要がある。
実際上レーザダイオード51では、一般的なレーザダイオードと同様、このコヒーレント長が、当該レーザダイオード51内に設けられた共振器(図示せず)の長さに当該共振器の屈折率を乗じた値にほぼ相当するため、およそ100[μm]から1[mm]程度であると考えられる。
一方、光ピックアップ26では、青色光ビームLb1が第1面情報光学系50(図12)内の光路を通り、光ディスク100の第1面100A側から照射されると共に、青色光ビームLb2が第2面光学系70(図13)内の光路を通り、光ディスク100の第2面100B側から照射される。すなわち光ピックアップ26では、青色光ビームLb1及びLb2の光路が互いに異なっているため、その光路長(すなわちレーザダイオード51から目標マーク位置までの光路の長さ)に差が生じることになる。
さらに光ピックアップ26では、上述したように、リレーレンズ60及び75における可動レンズ61及び76の位置を調整することにより、光ディスク100の記録層101内における目標マーク位置の深さ(目標深さ)を変更するようになされている。このとき光ピックアップ26は、目標マーク位置の深さを変更することにより、結果的に青色光ビームLb1及びLb2の光路長をそれぞれ変化させることになる。
しかしながら、光ピックアップ26において干渉パターンが形成されるには、一般的なホログラムの形成条件により、当該青色光ビームLb1及びLb2における光路長の差がコヒーレント長(すなわちおよそ100[μm]から1[mm])以下となる必要がある。
そこで駆動制御部22(図6)は、可動ミラー57の位置を制御することにより、青色光ビームLb1の光路長を調整するようになされている。この場合、駆動制御部22は、リレーレンズ60における可動レンズ61の位置と目標マーク位置の深さとの関係を利用し、当該可動レンズ61の位置に応じて可動ミラー57を移動させることにより、当該青色光ビームLb1の光路長を変化させるようになされている。
この結果、光ピックアップ26では、青色光ビームLb1及びLb2における光路長の差をコヒーレント長以下に抑えることができ、記録層101内の目標マーク位置に良好なホログラムでなる記録マークRMを記録することができる。
このように光ディスク装置20の駆動制御部22は、可動ミラー57の位置を制御することにより、光ピックアップ26内の青色光ビームLb1及びLb2における光路長の差をコヒーレント長以下に抑え、この結果として光ディスク100の記録層101内における目標マーク位置に良好な記録マークRMを記録し得るようになされている。
(4)情報の記録及び再生
次に、光ディスク装置20により光ディスク100に対して情報を記録する場合、及び光ディスク100から情報を再生する場合について、それぞれ詳細に説明する。
(4−1)光ディスクに対する情報の記録
まず、光ディスク100に対して情報を記録する場合における光ディスク装置20について、その一部を抜粋した構成を図6及び図8との対応箇所に同一符号を付した図15に示す。
光ディスク装置20の制御部21は、光ディスク100に情報を記録する場合、上述したように、外部機器(図示せず)等から情報記録命令、記録情報及び記録アドレス情報を受け付けると、駆動命令及び記録アドレス情報を駆動制御部22へ供給すると共に、記録情報を信号処理部23へ供給する。
また制御部21は、光ピックアップ26の第1面位置制御光学系30(図9)により赤色光ビームLr1を光ディスク100の第1面100A側から照射させる。このとき信号処理部23は、フォトディテクタ43による赤色反射光ビームLr1eの検出結果を基に、再生RF信号SRF1及びフォーカスエラー信号SFE1を生成し、これらを制御部21及び駆動制御部22へ送出する。
さらに制御部21は、光ピックアップ26の第2面位置制御光学系70(図13)により赤色光ビームLr2を光ディスク100の第2面100B側から照射させる。このとき信号処理部23は、フォトディテクタ83による赤色反射光ビームLr2eの検出結果を基に、再生RF信号SRF2及びフォーカスエラー信号SFE2を生成し、これらを制御部21及び駆動制御部22へ送出する。
そのうえ制御部21は、第1面情報光学系50(図11)により、青色光ビームLb1を光ディスク100の第1面100A側から対物レンズ38を介して照射させると共に、シャッタ91を制御して青色光ビームLb2を透過させた上で、第2面情報光学系90(図12)により、青色光ビームLb2を光ディスク100の第2面100B側から対物レンズ78を介して照射させる。
制御部21のアドレス算出部21Aは、信号処理部23から供給される再生RF信号SRF1及びSRF2を基に、赤色光ビームLr1の焦点Fr1及び赤色光ビームLr2の焦点Fr2が実際に位置しているトラックのアドレスを算出し、これを記録層位置算出部21Bへ送出する。
またアドレス算出部21Aは、信号処理部23から供給されるフォーカスエラー信号SFE1及びSFE2と、駆動制御部22から供給される対物レンズ38及び78のフォーカス方向に関する位置情報とを基に、現在のアドレスにおける光ディスク100の記録層101の厚さt1を算出し、これを記録層位置算出部21Bへ供給する。
記録層位置算出部21Bは、外部機器(図示せず)からの記録アドレス情報と現在のアドレス情報とを基に、記録マークRMを記録すべきマーク記録層の番号iを決定し、これを層オフセット決定部21Cへ供給する。
ところで図16に示すように、光ディスク100の記録層101内では、i番目のマーク記録層により反射透過膜104側と反射透過膜105側との間をm:(1−m)に内分すると見なすことができ、このとき当該i番目のマーク記録層の位置を比率m(但し0≦m≦1)を用いて表すことができる。
一方、記録層101内では、青色光ビームLb1及びLb2の透過率及び記録材料の特性等を考慮すると、マーク記録層同士の間隔を等間隔とせず、例えば反射透過膜104及び105の近傍と中央付近とで当該間隔を変化させた方が、より良好な記録マークRMを形成し得ると考えられる。
因みに当該間隔を変化させる場合、具体的には、記録層101を構成する材料の特性等に応じて、当該反射透過膜104及び105の近傍よりも中央付近を狭くし、或いは反対に当該中央付近を広くすること等が想定される。
そこで光ディスク装置20(図15)では、マーク記録層の番号iごとに比率mを不等間隔に定め、当該マーク記録層の番号iと当該比率mとの対応関係を比率テーブルTBLとして予め記憶部21Dに記憶するようになされている。
実際上、層オフセット決定部21Cは、マーク記録層の番号iに応じた比率mを記憶部21DのテーブルTBLから読み出し、当該比率m、記録層101の厚さt1及びマーク記録層の総数Nを用いて、次に示す(7)式及び(8)式に従って距離t11及び距離t12を算出し、これらを駆動制御部22へ供給する。
駆動制御部22は、この距離t11に応じた電圧でなる第1面可動レンズ駆動信号SDL1を生成し、これを可動レンズ61のアクチュエータ61Aへ供給することにより当該可動レンズ61を駆動させ、赤色光ビームLr1の焦点Fr1と青色光ビームLb1の焦点Fb1との間隔を距離t11(図16)に調整させる。
同様に駆動制御部22(図15)は、距離t12に応じた電圧でなる第2面可動レンズ駆動信号SDL2を生成し、これを可動レンズ96のアクチュエータ96Aへ供給することにより当該可動レンズ96を駆動させ、赤色光ビームLr2の焦点Fr2と青色光ビームLb2の焦点Fb2との間隔を距離t12(図16)に調整させる。
そのうえで駆動制御部22は、光ピックアップ26の第1面位置制御光学系30(図9)によって対物レンズ38のフォーカス制御及びトラッキング制御を行うことにより、赤色光ビームLr1の焦点Fr1を反射透過膜104上の目標トラックに追従させる。
このとき駆動制御部22は、リレーレンズ60の可動レンズ61により赤色光ビームLr1の焦点Fr1と青色光ビームLb1の焦点Fb1との間隔を距離t11に調整しているため、当該焦点Fb1を目標マーク位置に合わせることができる。
また駆動制御部22は、光ピックアップ26の第2面位置制御光学系70(図13)によって対物レンズ78のフォーカス制御及びトラッキング制御を行うことにより、赤色光ビームLr2の焦点Fr2を反射透過膜105上の目標トラックに追従させる。
このとき駆動制御部22は、リレーレンズ95の可動レンズ96により赤色光ビームLr2の焦点Fr2と青色光ビームLb2の焦点Fb2との間隔を距離t12に調整しているため、焦点Fb1と同様、当該焦点Fb2も目標マーク位置に合わせることができる。
そのうえ制御部21は、リレーレンズ60における可動レンズ61の位置に応じて可動ミラー57の位置を調整し、青色光ビームLb1及びLb2における光路長の差をコヒーレント長以下に抑える。
この結果、光ディスク装置20の制御部21は、光ディスク100の記録層101内の目標マーク位置に青色光ビームLb1及びLb2の焦点Fb1及びFb2を合わせることができ、良好な記録マークRMを形成することができる。
このとき光ディスク装置20の制御部21は、反射透過膜104及び105上の目標トラックを指標として、両者を結ぶ仮想線上を比率m:(1−m)に内分することになり、正しい目標マーク位置を高い精度で認識することができる。
ところで光ディスク装置20は、光ディスク100に反りや面ブレ等が生じた場合、当該光ディスク装置20に対して当該光ディスク100が傾き(いわゆるスキュー)を有することになる。
この場合、図17(A)に示すように、赤色光ビームLr1の焦点Fr1及び赤色光ビームLr2の焦点Fr2をそれぞれ反射透過膜104及び105の目標トラックに合わせるだけでは、青色光ビームLb1の焦点Fb1及び青色光ビームLb2の焦点Fb2をいずれも目標マーク位置に合わせることができない。
そこで光ディスク装置20は、駆動制御部22により対物レンズ38及び78に対して上述したチルト制御をそれぞれ行うことにより、図17(B)に示すように、赤色光ビームLr1及びLr2の光軸Lx1及びLx2を光ディスク100に対してそれぞれ垂直に維持することができる。
また光ディスク100の反射透過膜104及び105は、上述したように、互いのトラックについて、当該光ディスク100の厚さ方向に関する対応位置に同一のアドレスが割り振られている。この結果、光ディスク装置20は、光ディスク100が傾きを有していたとしても、青色光ビームLb1の焦点Fb1及び青色光ビームLb2の焦点Fb2をいずれも目標マーク位置に合わせることができる。
因みに信号処理部23(図6)は、外部機器(図示せず)等から供給される記録情報を基に、例えば値「0」又は「1」のバイナリデータを表す記録信号を生成する。これに応じてレーザダイオード51は、例えば記録信号が値「1」である時に青色光ビームLb0を出射し、記録信号が値「0」である時に青色光ビームLb0を出射しないようになされている。
これにより光ディスク装置20では、記録信号が値「1」のときには光ディスク100の記録層101内の目標マーク位置に記録マークRMを形成し、当該記録信号が値「0」のときには当該目標マーク位置に当該記録マークRMを形成しないことになるため、当該記録マークRMの有無により当該目標マーク位置に記録信号の値「1」又は「0」を記録することができ、結果的に記録情報を光ディスク100の記録層101に記録することができる。
(4−2)光ディスクからの情報の再生
次に、光ディスク100から情報を再生する場合における光ディスク装置20について、その一部を抜粋した構成を図15と対応する図18に示す。
光ディスク装置20の制御部21は、光ディスク100から情報を再生する場合、上述したように、外部機器(図示せず)等から情報再生命令及び再生アドレス情報を受け付けると、駆動命令及び再生アドレス情報を駆動制御部22へ供給する。
また制御部21は、情報記録時と同様に、光ピックアップ26の第1面位置制御光学系30(図9)により赤色光ビームLr1を光ディスク100の第1面100A側から照射させると共に、光ピックアップ26の第2面位置制御光学系70(図13)により赤色光ビームLr2を光ディスク100の第2面100B側から照射させる。
このとき信号処理部23は、フォトディテクタ43による赤色反射光ビームLr1eの検出結果及びフォトディテクタ83による赤色反射光ビームLr2eの検出結果を基に、再生RF信号SRF1及びSRF2、並びにフォーカスエラー信号SFE1及びSFE2を生成し、これらを制御部21及び駆動制御部22へ送出する。
さらに制御部21は、第1面情報光学系50(図12)により青色光ビームLb1を光ディスク100の第1面100A側から照射させる。その一方で制御部21は、情報記録時とは異なり、シャッタ91を制御して青色光ビームLb2を遮断することにより、当該青色光ビームLb2を光ディスク100に照射させないようにする。
このとき制御部21のアドレス算出部21Aは、再生RF信号SRF1及びSRF2を基に、赤色光ビームLr1の焦点Fr1及び赤色光ビームLr2の焦点Fr2が実際に位置しているトラックのアドレスを算出し、さらに現在のアドレスにおける光ディスク100の記録層101の厚さt1を算出し、これらを記録層位置算出部21Bへ供給する。
記録層位置算出部21Bは、外部機器(図示せず)からの再生アドレス情報と現在のアドレス情報とを基に、再生すべき(すなわち青色光ビームLb1及びLb2の焦点Fb1及びFb2を合わせるべき)マーク記録層の番号iを決定し、これを層オフセット決定部21Cへ供給する。
層オフセット決定部21Cは、情報記録時と同様、マーク記録層の番号iに応じた比率mを記憶部21DのテーブルTBLから読み出し、当該比率m、記録層101の厚さt1及びマーク記録層の総数Nを用いて、上述した(7)式に従って部分厚さt11を算出し、これを駆動制御部22へ供給する。
駆動制御部22は、この距離t11に応じた電圧でなる第1面可動レンズ駆動信号SDL1を生成し、可動レンズ61のアクチュエータ61Aへ供給することにより、図19に示すように、赤色光ビームLr1の焦点Fr1と青色光ビームLb1の焦点Fb1との間隔を距離t11に調整させる。
そのうえで駆動制御部22は、光ピックアップ26の第1面位置制御光学系30(図9)によって対物レンズ38のフォーカス制御及びトラッキング制御を行うことにより、赤色光ビームLr1の焦点Fr1を反射透過膜104上の目標トラックに追従させる。
このとき駆動制御部22は、リレーレンズ60の可動レンズ61により赤色光ビームLr1の焦点Fr1と青色光ビームLb1の焦点Fb1との間隔を距離t11に調整しているため、当該焦点Fb1を目標マーク位置に合わせることができる。
すなわち光ピックアップ26は、光ディスク100の記録層101内における目標マーク位置に記録されている記録マークRMに対して、いわゆる参照光としての青色光ビームLb1のみを照射する。これに応じて当該記録マークRMは、ホログラムとして作用し、いわゆる再生光としての青色再生光ビームLb3を第1面100A側へ発生させる。このとき第1面情報光学系50は、この青色再生光ビームLb3を検出し、その検出結果に応じた検出信号を生成する。
この場合、光ディスク装置20は、記録時と異なり、青色光ビームLb2の焦点Fb2を目標マーク位置に照射するためではなく、青色光ビームLb1の焦点Fb1を目標マーク位置に合わせるために、赤色光ビームLr2を反射透過膜105の目標トラックに合焦させることになる。
因みに制御部21は、再生時におけるレーザダイオード51の出射パワーを抑えることにより、青色光ビームLb1による記録マークRMの誤消去を防止するようになされている。
かくして光ディスク装置20の制御部21は、光ディスク100の記録層101内における目標マーク位置に記録されている記録マークRMから青色再生光ビームLb3を発生させ、これを受光することにより、記録マークRMが記録されていることを検出することができる。
ところで光ディスク装置20は、目標マーク位置に記録マークRMが記録されていなかった場合、当該目標マーク位置からは青色再生光ビームLb3が発生しないため、第1面情報光学系50により、当該青色再生光ビームLb3を受光しなかったことを示す検出信号を生成することになる。
これに応じて信号処理部22は、検出信号を基に、青色再生光ビームLb3が検出されたか否かを値「1」又は「0」として認識し、この認識結果を基に再生情報を生成する。
これにより光ディスク装置20では、光ディスク100の記録層101内の目標マーク位置に記録マークRMが形成されているときには青色再生光ビームLb3を受光し、当該目標マーク位置に当該記録マークRMが形成されていないときには青色再生光ビームLb3を受光しないことにより、目標マーク位置に値「1」又は「0」のいずれが記録されているかを認識することができ、結果的に光ディスク100の記録層101に記録された情報を再生することができる。
因みに光ディスク装置20は、光ディスク100に反りや面ブレ等が生じ、当該光ディスク装置20に対して当該光ディスク100が傾きを有していた場合、情報記録時と同様、対物レンズ38及び78をそれぞれチルト制御するようになされている。
これにより光ディスク装置20は、図17(B)に示した場合と同様、赤色光ビームLr1の光軸Lx1を光ディスク100に対して垂直に維持することができ、青色光ビームLb1の焦点Fb1を目標マーク位置に正しく合わせることができる。
(5)動作及び効果
以上の構成において、光ディスク装置20は、記録層101の両面に反射透過膜104及び105が設けられた光ディスク100に情報を記録する際、第1面及び第2面にそれぞれ赤色光ビームLr1及びLr2を照射し、反射された赤色反射光ビームLr1e及びLr2eの検出結果を基に、対物レンズ38及び78のフォーカス制御及びトラッキング制御を行い、焦点Fr1及びFr2をそれぞれ目標トラックに追従させ、またチルト制御を行うことによりそれぞれの光軸Lx1及びLx2が光ディスク100とほぼ垂直となるようにする。
さらに光ディスク装置20は、記録マークRMを記録すべきマーク記録層の番号iに応じた比率mを記憶部21DのテーブルTBLから読み出し、(7)式及び(8)式に従って距離t11及び距離t12を算出し、これに応じて可動レンズ61及び可動レンズ96を移動させることにより、赤色光ビームLr1の焦点Fr1と青色光ビームLb1の焦点Fb1との間隔を距離t11に調整すると共に、赤色光ビームLr2の焦点Fr2と青色光ビームLb2の焦点Fb2との間隔を距離t12に調整する。
この結果、光ディスク装置20は、青色光ビームLb1の焦点Fb1及び青色光ビームLb2の焦点Fb2を目標マーク位置に合わせることができ、当該目標マーク位置に記録マークRMを記録することができる。
特に光ディスク装置20は、反射透過膜104上の目標トラックと反射透過膜105上の目標トラックの2箇所を指標として、両者を結ぶ仮想線上を比率m:(1−m)で内分する点を目標マーク位置として定めることができるので、当該光ディスク装置20に対して光ディスク100が傾きを有していたとしても、青色光ビームLb1の焦点Fb1及び青色光ビームLb2の焦点Fb2をいずれも目標マーク位置に精度良く合わせることができる。
この場合、光ディスク装置20は、2箇所の目標トラックを指標として用いることから、例えば反射透過膜105が設けられていない光ディスクの反射透過膜104に対して赤色光ビームLr1を照射し目標トラックに合焦させ、可動レンズ61の位置によって目標マーク位置を定める場合(すなわち指標を1箇所とする場合)と比較して、焦点Fb1及び焦点Fb2を目標マーク位置に対して高精度に一致させることができる。
また光ディスク装置20は、反射透過膜104上の目標トラック及び反射透過膜105上の目標トラックを指標とする際、対物レンズ38及び78の駆動状態を基に当該目標トラックにおける記録層101の実際の厚さt1を算出することができるので、光ディスク100の製造品質が悪く当該記録層101の厚みが一様でないような場合であっても、当該記録層101内に適切な間隔比で複数のマーク記録層を形成することができる。
一方、光ディスク装置20は、光ディスク100から情報を再生する際にも、第1面及び第2面にそれぞれ赤色光ビームLr1及びLr2を照射し、反射された赤色反射光ビームLr1e及びLr2eの検出結果を基に、対物レンズ38及び78のフォーカス制御、トラッキング制御及びチルト制御を行う。
さらに光ディスク装置20は、読み出すべき記録マークRMが記録されているマーク記録層の番号iに応じた比率mを記憶部21DのテーブルTBLから読み出し、(7)式に従って距離t11を算出し、これに応じて可動レンズ61を移動させることにより、赤色光ビームLr1の焦点Fr1と青色光ビームLb1の焦点Fb1との間隔を距離t11に調整する。
この結果、光ディスク装置20は、青色光ビームLb1の焦点Fb1を目標マーク位置に合わせることができ、当該目標マーク位置に記録されている記録マークRMから再生光として再生青色光ビームLb3を発生させることができる。
この再生時においても、光ディスク装置20は、記録時と同様に2箇所の目標トラックを指標とし、両者を比率m:(1−m)で内分する点を目標マーク位置として定めることができるので、当該光ディスク装置20に対して光ディスク100が傾きを有していたとしても、青色光ビームLb1の焦点Fb1を目標マーク位置に対して高精度に合わせることができる。
以上の構成によれば、光ディスク装置20は、光ディスク100における記録層101の両面に設けられた反射透過膜104及び105の目標トラックにそれぞれ赤色光ビームLr1及びLr2を合焦させると共に、記録マークRMを記録すべきマーク記録層の番号iに応じた比率mを用いて距離t11及び距離t12を算出し、可動レンズ61を移動させて赤色光ビームLr1の焦点Fr1と青色光ビームLb1の焦点Fb1との間隔を当該距離t11に調整すると共に、可動レンズ96を移動させて赤色光ビームLr2の焦点Fr2と青色光ビームLb2の焦点Fb2との間隔を当該距離t12に調整することにより、当該焦点Fb1及び当該焦点Fb2を精度良く目標マーク位置に合わせることができる。
(6)他の実施の形態
なお上述した実施の形態においては、光ディスク100の記録層101の両面にトラックが形成された反射透過膜104及び105を設けるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、両面を含む記録層101内に3以上の反射透過膜を設けるようにしても良い。
例えば図16と対応する図20において、光ディスク110は、光ディスク100の構成に加えて、記録層101の中心部分に反射透過膜116が設けられている。この場合、光ディスク装置20は、記録層101のうち反射透過膜104及び116に挟まれた部分を目標マーク位置とする場合には、赤色光ビームLr1を反射透過膜104に合焦させると共に赤色光ビームLr2を反射透過膜116に合焦させるようにすれば良く、また記録層101のうち反射透過膜116及び105に挟まれた部分を目標マーク位置とする場合には、赤色光ビームLr1を反射透過膜116に合焦させると共に赤色光ビームLr2を反射透過膜105に合焦させるようにすれば良い。この場合、反射透過膜104、105及び116に関しては、赤色光ビームLr1及びLr2の反射率(又は透過率)を適宜調整すれば良い。
この光ディスク110では、記録層101のうち反射透過膜104及び116の間の部分及び反射透過膜116及び105の間の部分に、それぞれ2層以上のマーク記録層を形成することができる。
因みに記録層における反射透過膜の位置としては、必ずしも当該記録層の両面に設ける必要はなく、例えば当該記録層の両面から所定距離だけ中心寄りに当該反射透過膜を設けるようにしても良い。
また上述した実施の形態においては、光ディスク100の両面から赤色光ビームLr1及び赤色光ビームLr2を照射するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、当該光ディスク100の片面から赤色光ビームLr1及びLr2の両方を照射するようにしても良い。
例えば図16と対応する図21において、光ディスク120の反射透過膜124は、赤色光ビームを約50%の割合で反射及び透過させるようになされている。この場合、光ディスク装置20は、各種波長板等の光学素子を利用して赤色光ビームLr3及びLr4の偏光方向が互いに異なるよう調整すると共に、例えば赤色光ビームLr3の反射光を基に対物レンズ38の位置制御を行い、図示しない可動レンズの位置を動かして青色光ビームLb1と同様に赤色光ビームLr4の収束状態を変化させることにより、当該赤色光ビームLr4を反射透過膜125に合焦させ、このときの当該可動レンズの位置等を基に記録層101の局所的な厚さt1を算出すれば良い。
因みに、このときの対物レンズ78の位置制御に関しては、例えば赤色光ビームLr3の反射光を基に対物レンズ38の位置制御を行った際のフォーカスエラー信号SFE及びトラッキングエラー信号STE等を適宜換算して当該対物レンズ78の位置制御を行うようにすれば良い。
さらに上述した実施の形態においては、光ディスク100の両面から同一波長でなる赤色光ビームLr1及びLr2を照射し、その反射光を基に対物レンズ38及び78の位置制御を行うようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、当該光ディスク100の両面又は片面から互いに異なる波長の光ビームを照射し、その反射光を基に対物レンズ38及び78の位置制御を行うようにしても良い。
例えば図16と対応する図22において、光ディスク130の反射透過膜135は、緑色光ビームLg1を反射させると共に青色光ビームLb1及びLb2(破線で示す)を透過させるような波長選択性を有している。また、反射透過膜104は、赤色光ビームLr1を反射させると共に、緑色光ビームLg1並びに青色光ビームLb1及びLb2を透過させるような波長選択性を有している。
この場合、光ディスク装置20は、例えば各波長に対応したダイクロックプリズム(図示せず)等を用いることにより各光ビームの同一光路への混合や別光路への分離等を行えば良く、例えば赤色光ビームLr1の反射光を基に対物レンズ38の位置制御を行い、図示しない可動レンズの位置を動かして青色光ビームLb1と同様に緑色光ビームLg1の収束状態を変化させることにより、当該緑色光ビームLg1を反射透過膜135に合焦させ、このときの当該可動レンズの位置等を基に記録層101の局所的な厚さt1を算出すれば良い。
さらに上述した実施の形態においては、情報の記録時及び再生時に第1面位置制御光学系30及び第2面位置制御光学系90の双方により記録層101の厚さt1(図16)を求め(7)式に従い距離t11を算出するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば情報の記録時に、第2面位置制御光学系90を用いず第1面位置制御光学系30により対物レンズ38の位置制御を行い、このときのフォーカスエラー信号SFE1及びトラッキングエラー信号STE1等を適宜換算して対物レンズ78の位置制御を行うようにしても良い。この場合、規格等による厚さt1の規定値を用いて距離t11及びt12を算出し、青色光ビームLb1及びLb2の焦点Fb1及びFb2を目標マーク位置に合わせるようにすればよい。
また情報の再生時に関しては、例えば最初に第1面位置制御光学系30のみにより対物レンズ38の位置制御を行い、厚さt1の規定値を用いて距離t11を算出し目標マーク位置の記録マークRMに対して青色光ビームLb1の焦点Fb1を合わせて再生光の検出を試み、当該再生光をうまく検出できなかった段階で初めて第2面位置制御光学系90も併用し、上述したように厚さt1の実測値を求め(7)式に従い距離t11を算出するようにしても良い。
さらに上述した実施の形態においては、対物レンズ38及び78の位置制御を行うための光ビーム(これを位置制御光ビームと呼ぶ)を波長約660[nm]の赤色光ビームとし、記録マークRMを形成するための光ビーム(これを記録光ビームと呼ぶ)を波長約405[nm]の青色光ビームとするようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、位置制御光ビーム及び記録光ビームをそれぞれ任意の波長としても良い。
この場合、反射透過膜104及び105としては、位置制御光ビームをその波長に応じて反射し、記録光ビームをその波長に応じて透過する性質を有していればよい。また記録層101は、記録光ビームの波長に反応する材料であれば良い。
因みに記録光ビームの波長を変更した場合、上述した(1)式及び(2)式に示したように、記録マークRMのサイズが変化するため、記録マークRM間の距離p1、トラック間の距離p2及びマーク記録層同士の距離p3についても適宜変更することが好ましい。
或いは、位置制御光ビームと記録光ビームとを同波長とするようにしても良い。この場合、光ディスク100の反射透過膜104及び105は、波長選択性を持たずに当該位置制御光ビーム及び記録光ビームをそれぞれ所定割合で反射(透過)させれば良い。
さらに上述した実施の形態においては、赤色光ビームLr1及び青色光ビームLb1の光軸を一致させると共に、赤色光ビームLr2及び青色光ビームLb2の光軸を一致させるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば赤色光ビームLr1及び青色光ビームLb1の光軸を互いに所定間隔だけずらし、或いは互いに所定角度だけずらすようにする等しても良い。この場合、青色光ビームLb2に関しては、青色光ビームLb1と共通の光軸を互いに反対方向から進行させることにより、良好な記録マークRMを形成することができる。
さらに上述した実施の形態においては、光ディスク100の記録層101内に微小なホログラムを新たに形成することにより情報の値「0」又は「1」を表す記録マークRMを記録する、いわゆるポジ型の記録を行うようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば光ディスク100の記録層101内に、予め当該光ディスク100のほぼ全面に渡るホログラムを所定間隔ごとに多層化して形成しておき、所定強度の青色光ビームLb1及びLb2を目標マーク位置に合焦させて当該目標マーク位置のホログラムを破壊(消去)することにより情報の値「0」又は「1」を記録する、いわゆるネガ型の記録を行うようにしても良い。
さらに上述した実施の形態においては、光ディスク100の直径を約120[mm]、記録層101の厚さt1を約0.3[mm]、基板102及び103の厚さt2及びt3を約0.6[mm]とするようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、それぞれ他の値であっても良い。この場合、記録層101並びに基板102及び103の厚さと各材料の屈折率等を考慮した上で、青色光ビームLb1及びLb2の焦点が目標マーク位置に合わされるよう、各光学部品の光学特性や配置等が設定されていれば良い。
さらに上述した実施の形態においては、第1の位置制御手段としての第1面位置制御光学系30、信号処理部23及び駆動制御部22と、第2の位置制御手段としての第2面位置制御光学系70、信号処理部23及び駆動制御部22と、焦点位置設定手段としてのリレーレンズ60及び95、信号処理部23、制御部21並びに駆動制御部22によって光ディスク装置としての光ディスク装置20を構成する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、その他種々の回路構成でなる第1の位置制御手段と、第2の位置制御手段と、焦点位置設定手段とによって光ディスク装置を構成するようにしても良い。
20……光ディスク装置、21……制御部、21A……アドレス算出部、21B……記録層位置算出部、22C……層オフセット決定部、22D……記憶部、22……駆動制御部、23……信号処理部、26……光ピックアップ、30……第1面位置制御光学系、31、51、71……レーザダイオード、37、55、58、77……偏光ビームスプリッタ、38、78……対物レンズ、38A、78A……3軸アクチュエータ、43、64、83……フォトディテクタ、50……第1面情報光学系、60、95……リレーレンズ、61、96……可動レンズ、61A、96A……アクチュエータ、70……第2面位置制御光学系、90……第2面情報光学系、91……シャッタ、100……光ディスク、101……記録層、102、103……基板、104、105……反射透過膜、Lr1、Lr2……赤色光ビーム、Lr1e、Lr2e……赤色反射光ビーム、Lb0、Lb1、Lb2……青色光ビーム、Lb3……青色再生光ビーム、Fr1、Fr2、Fb1、Fb2……焦点、RM……記録マーク。