以下、図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
(1)光ディスクの構成
まず、本発明において情報記録媒体として用いられる光ディスク100について説明する。図3(A)に外観図を示すように、光ディスク100は、全体として従来のCD、DVD及びBDと同様に直径約120[mm]の円盤状に構成されており、中央部分に孔部100Hが形成されている。
また光ディスク100は、図3(B)に断面図を示すように、情報を記録するための記録層101を中心に有しており、基板102及び103により当該記録層101を両面から挟むように構成されている。
因みに記録層101の厚さt1は約0.3[mm]、基板102及び103の厚さt2及びt3はいずれも約0.6[mm]となるようになされている。
基板102及び103は、例えばポリカーボネイトやガラス等の材料により構成されており、いずれも一面から入射される光をその反対面へ高い透過率で透過させるようになされている。また基板102及び103は、ある程度の強度を有しており、記録層101を保護する役割も担うようになされている。
記録層101は、光ディスク8(図1)と同様、照射された光強度によって屈折率が変化するフォトポリマ等でなり、波長405[nm]でなる青色光ビームに反応するようになされている。図3(B)に示したように、比較的強い強度でなる2本の青色光ビームLb1及びLb2が記録層101内において干渉した場合、当該記録層101には定在波が生成されることになり、図2(A)に示したようなホログラムとしての性質を有する干渉パターンが形成される。
また光ディスク100は、記録層101と基板102との境界面に反射透過膜104を有している。反射透過膜104は、誘電体多層膜等でなり、波長405[nm]でなる青色光ビームLb1、Lb2及び青色再生光ビームLb3を透過すると共に、波長660[nm]でなる赤色光ビームを反射するといった波長選択性を有している。
また反射透過膜104は、トラッキングサーボ用の案内溝を形成しており、具体的には、一般的なBD−R(Recordable)ディスク等と同様のランド及びグルーブにより螺旋状のトラックを形成している。このトラックは、所定の記録単位(これをセクターと呼ぶ)に分割して認識され、記録や再生の際にはこのセクター単位で情報の書き込み又は再生が行われる。
なお反射透過膜104(すなわち記録層101と基板102との境界面)には、案内溝に代えてピット等が形成され、或いは案内溝とピット等とが組み合わされていても良い。
この反射透過膜104は、基板102側から赤色光ビームLr1が照射された場合、これを当該基板102側へ反射する。以下、このとき反射された光ビームを赤色反射光ビームLr2と呼ぶ。
この赤色反射光ビームLr2は、例えば光ディスク装置において、目標とするトラック(以下目標トラックと呼ぶ)に対して、所定の対物レンズOL1により集光された赤色光ビームLr1の焦点Frを合わせるための、当該対物レンズOL1の位置制御(すなわちフォーカス制御及びトラッキング制御)に用いられることが想定されている。
因みに以下では、光ディスク100の基板102側の面を案内面100Aと呼び、当該光ディスク100の基板103側の面を記録光照射面100Bと呼ぶ。
実際上、光ディスク100に情報が記録されるとき、図3(B)に示したように、位置制御された対物レンズOL1により赤色光ビームLr1が集光され、反射透過膜104の目標とするトラック(以下、これを目標トラックと呼ぶ)に合焦される。
また、当該赤色光ビームLr1と光軸Lxを共有し当該対物レンズOL1により集光された青色光ビームLb1が、基板102及び反射透過膜104を透過し、記録層101内における当該所望トラックの裏側(すなわち基板102側)に相当する位置に合焦される。このとき青色光ビームLb1の焦点Fb1は、対物レンズOL1を基準として、共通の光軸Lx上における焦点Frよりも遠方に位置することになる。
さらに、青色光ビームLb1と同一波長でなり光軸Lxを共有する青色光ビームLb2が、当該青色光ビームLb1の反対側(すなわち基板103側)から、対物レンズOL1と同等の光学特性を有する対物レンズOL2により集光され、照射されるようになされている。このとき当該青色光ビームLb2の焦点Fb2は、当該対物レンズOL2が位置制御されることにより、青色光ビームLb1の焦点Fb1と同一の位置となるようになされている。
この結果、光ディスク100には、記録層101内における目標トラックの裏側に相当する焦点Fb1及びFb2の位置に、比較的小さい干渉パターンでなる記録マークRMが記録される。
このとき記録層101内には、いずれも球面波でなる収束光の青色光ビームLb1及びLb2が重なり、且つ所定強度以上となった部分に記録マークRMが形成される。このため記録マークRMは、図2(A)に示したように、全体的に2つの円錐体を互いの底面同士で貼り合わせたような形状となり、中央部(底面同士を貼り合わせた部分)が僅かにくびれている。
因みに、記録マークRMに関して、中央部におけるくびれ部分の直径RMrについては、青色光ビームLb1及びLb2の波長をλ[m]、対物レンズOL1及びOL2の開口数をNAとすると、次に示す(1)式により求められる。
また記録マークRMの高さRMhに関しては、対物レンズOL1及びOL2の屈折率をnとすると、次に示す(2)式により求められる。
例えば、波長λを405[nm]、開口数NAを0.5、屈折率nを1.5とすると、(1)式より直径RMr=0.97[μm]、(2)式より高さRMh=9.72[μm]となる。
さらに光ディスク100は、記録層101の厚さt1(=0.3[mm])が記録マークRMの高さRMhよりも充分に大きくなるよう設計されている。このため光ディスク100は、記録層101内における記録反射膜104からの距離(以下、これを深さと呼ぶ)が切り換えられながら記録マークRMが記録されることにより、図2(B)に示したような、複数のマーク記録層を当該光ディスク100の厚さ方向に重ねた多層記録を行い得るようになされている。
この場合、光ディスク100の記録層101内において、青色光ビームLb1及びLb2の焦点Fb1及びFb2の深さが調整されることにより、記録マークRMの深さが変更されることになる。例えば光ディスク100は、記録マークRM同士の相互干渉等を考慮してマーク記録層同士の距離p3が約15[μm]に設定されれば、記録層101内に約20層のマーク記録層を形成することができる。
一方、光ディスク100は、情報が再生されるとき、当該情報を記録したときと同様に、対物レンズOL1により集光された赤色光ビームLr1が反射透過膜104の目標トラックに合焦されるよう、当該対物レンズOL1が位置制御されるようになされている。
さらに光ディスク100は、同一の対物レンズOL1を介し基板102及び反射透過膜104を透過した青色光ビームLb1の焦点Fb1が、記録層101内における当該目標トラックの「裏側」に相当し、かつ目標深さとなる位置(以下、これを目標マーク位置と呼ぶ)に合焦されるようになされている。
このとき焦点Fb1の位置に記録されている記録マークRMは、ホログラムとしての性質により、当該目標マーク位置に記録されている記録マークRMから、青色再生光ビームLb3を発生する。この青色再生光ビームLb3は、記録マークRMの記録時に照射された青色光ビームLb2と同等の光学特性を有しており、当該青色光ビームLb2と同じ方向へ、すなわち記録層101内から基板102側へ発散しながら進むことになる。
このように光ディスク100は、情報が記録される場合、位置制御用の赤色光ビームLr1、情報記録用の青色光ビームLb1及びLb2が用いられることにより、記録層101内において焦点Fb1及びFb2が重なる位置、すなわち反射透過膜104における目標トラックの裏側となり且つ目標深さとなる目標マーク位置に、当該情報として記録マークRMが形成されるようになされている。
また光ディスク100は、記録済みの情報が再生される場合、位置制御用の赤色光ビームLr1及び情報再生用の青色光ビームLb1が用いられることにより、焦点Fb1の位置、すなわち目標マーク位置に記録されている記録マークRMから、青色再生光ビームLb3を発生させるようになされている。
このようにしてこの光ディスク100では、反射透過膜104に形成されたトラックに基づく位置決め制御によって、記録マークRMが記録層101内の仮想的なトラックに記録されていく。
かかる構成に加えてこの光ディスク100には、詳しくは後述するが、当該光ディスク100のチルトを検出してチルト補正を行うためのチルト検出用ホログラム(図示せず)が記録されている。
(2)光ディスク装置の構成
次に、上述した光ディスク100に対応した光ディスク装置20について説明する。光ディスク装置20は、図4に示すように、制御部21により全体を統括制御するようになされている。
制御部21は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、図示しないROM(Read Only Memory)から基本プログラムや情報記録プログラム等の各種プログラムを読み出し、これらを図示しないRAM(Random Access Memory)に展開することにより、情報記録処理等の各種処理を実行するようになされている。
例えば制御部21は、光ディスク100が装填された状態で、図示しない外部機器等から情報記録命令、記録情報及び記録アドレス情報を受け付けると、駆動命令及び記録アドレス情報を駆動制御部22へ供給すると共に、記録情報を信号処理部23へ供給する。因みに記録アドレス情報は、光ディスク100の記録層101に付されたアドレスのうち、記録情報を記録すべきアドレスを示す情報である。
駆動制御部22は、駆動命令に従い、スピンドルモータ24を駆動制御することにより、図示しないチャックを介して保持している光ディスク100を所定の回転速度で回転させると共に、スレッドモータ25を駆動制御することにより、光ピックアップ26を移動軸25A及び25Bに沿って光ディスク100の径方向(すなわち内周方向又は外周方向)における記録アドレス情報に対応した位置へ移動させる。
信号処理部23は、供給された記録情報に対して所定の符号化処理や変調処理等の各種信号処理を施すことにより記録信号を生成し、これを光ピックアップ26へ供給する。
光ピックアップ26は、図5に示すように、側面略コ字状に構成されており、図3(B)に示したように、光ディスク100に対して両面から焦点を合わせて光ビームを照射し得るようになされている。
光ピックアップ26は、駆動制御部22(図4)の制御に基づいてフォーカス制御及びトラッキング制御を行うことにより、光ディスク100の記録層101における記録アドレス情報により示されるトラック(以下、これを目標トラックと呼ぶ)に光ビームの照射位置を合わせ、信号処理部23からの記録信号に応じた記録マークRMを記録する。
また制御部21は、例えば外部機器(図示せず)から情報再生命令及び当該記録情報のアドレスを示す再生アドレス情報を受け付けると、駆動制御部22に対して駆動命令を供給すると共に、再生処理命令を信号処理部23へ供給する。
駆動制御部22は、情報を記録する場合と同様、スピンドルモータ24を駆動制御することにより光ディスク100を所定の回転速度で回転させると共に、スレッドモータ25を駆動制御することにより光ピックアップ26を再生アドレス情報に対応した位置へ移動させる。
光ピックアップ26は、駆動制御部22(図4)の制御に基づいてフォーカス制御及びトラッキング制御を行うことにより、光ディスク100の記録層101における再生アドレス情報により示されるトラック(すなわち目標トラック)に光ビームの照射位置を合わせ、所定光量の光ビームを照射する。このとき光ピックアップ26は、光ディスク100における記録層101の記録マークRMから発生される再生光ビームを検出し、その光量に応じた検出信号を信号処理部23へ供給する(詳しくは後述する)。
信号処理部23は、供給された検出信号に対して所定の復調処理や復号化処理等の各種信号処理を施すことにより再生情報を生成し、この再生情報を制御部21へ供給する。これに応じて制御部21は、この再生情報を外部機器(図示せず)へ送出するようになされている。
このように光ディスク装置20は、制御部21によって光ピックアップ26を制御することにより、光ディスク100の記録層101における目標トラックに情報を記録し、また当該目標トラックから情報を再生するようになされている。
(3)光ピックアップの構成
次に、光ピックアップ26の構成について説明する。図6に模式的に示すように、光ピックアップ26は、多数の光学部品が設けられており、大きく分けて案内面位置制御光学系30、案内面情報光学系50、記録光照射面光学系70及びチルト検出光学系90により構成されている。なお、チルト検出光学系90の構成については、当該チルト検出光学系90を用いたチルト補正の説明の際にまとめて説明する。
(3−1)案内面赤色光学系の構成
案内面位置制御光学系30は、光ディスク100の案内面100Aに対して赤色光ビームLr1を照射し、当該光ディスク100により当該赤色光ビームLr1が反射されてなる赤色反射光ビームLr2を受光するようになされている。
図7において案内面位置制御光学系30のレーザダイオード31は、波長約660[nm]の赤色レーザ光を発射し得るようになされている。実際上レーザダイオード31は、制御部21(図4)の制御に基づいて発散光でなる所定光量の赤色光ビームLr1を発射し、コリメータレンズ32へ入射させる。コリメータレンズ32は、赤色光ビームLr1を発散光から平行光に変換しスリット33を介して無偏光ビームスプリッタ34へ入射させる。なお、この図7においてはチルト検出光学系90(図6)は省略している。
無偏光ビームスプリッタ34は、赤色光ビームLr1を反射透過面34Aにおいて約50%の割合で透過し、補正レンズ35へ入射させる。補正レンズ35及び36は、赤色光ビームLr1を一度発散させてから収束させ、ダイクロックプリズム37へ入射させる。
ダイクロックプリズム37の反射透過面37Sは、光ビームの波長により透過率及び反射率が異なる、いわゆる波長選択性を有しており、赤色光ビームをほぼ100%の割合で透過し、青色光ビームをほぼ100%の割合で反射するようになされている。このためダイクロックプリズム37は、当該反射透過面37Sにおいて赤色光ビームLr1を透過し、対物レンズ38へ入射させる。
対物レンズ38は、赤色光ビームLr1を集光し、光ディスク100の案内面100Aへ向けて照射する。このとき赤色光ビームLr1は、図3(B)に示したように、基板102を透過し反射透過膜104において反射され、赤色光ビームLr1と反対方向へ向かう赤色反射光ビームLr2となる。
因みに対物レンズ38は、青色光ビームLb1に最適化されて設計されており、赤色光ビームLr1に関しては、スリット33、補正レンズ35及び36との光学的な距離等の関係により、開口数(NA:Numerical Aperture)が0.41の集光レンズとして作用することになる。
この後、赤色反射光ビームLr2は、対物レンズ38、ダイクロックプリズム37、補正レンズ36及び35を順次透過して平行光にされた後、無偏光ビームスプリッタ34へ入射される。
無偏光ビームスプリッタ34は、赤色反射光ビームLr2を約50%の割合で反射することによりミラー40へ照射し、当該ミラー40により当該赤色反射光ビームLr2を再度反射させた後、集光レンズ41へ入射させる。
集光レンズ41は、赤色反射光ビームLr2を収束させ、シリンドリカルレンズ42により非点収差を持たせた上で当該赤色反射光ビームLr2をフォトディテクタ43へ照射する。
ところで光ディスク装置20では、回転する光ディスク100における面ブレ等が発生する可能性があるため、案内面位置制御光学系30に対する目標トラックの相対的な位置が変動する可能性がある。
このため、案内面位置制御光学系30において赤色光ビームLr1の焦点Fr(図3(B))を目標トラックに追従させるには、当該焦点Frを光ディスク100に対する近接方向又は離隔方向であるフォーカス方向及び光ディスク100の内周側方向又は外周側方向であるトラッキング方向へ移動させる必要がある。
そこで対物レンズ38は、2軸アクチュエータ38Aにより、フォーカス方向及びトラッキング方向の2軸方向へ駆動され得るようになされている。
また案内面位置制御光学系30(図7)では、対物レンズ38により赤色光ビームLr1が集光され光ディスク100の反射透過膜104へ照射されるときの合焦状態が、集光レンズ41により赤色反射光ビームLr2が集光されフォトディテクタ43に照射されるときの合焦状態に反映されるよう、各種光学部品の光学的位置が調整されている。
フォトディテクタ43は、図8に示すように、赤色反射光ビームLr2が照射される面上に、格子状に分割された4つの検出領域43A、43B、43C及び43Dを有している。因みに矢印a1により示される方向(図中の縦方向)は、赤色光ビームLr1が反射透過膜104(図3)に照射されるときの、トラックの走行方向に対応している。
フォトディテクタ43は、検出領域43A、43B、43C及び43Dにより赤色反射光ビームLr2の一部をそれぞれ検出し、このとき検出した光量に応じて検出信号SDAr、SDBr、SDCr及びSDDrをそれぞれ生成して、これらを信号処理部23(図4)へ送出する。
信号処理部23は、いわゆる非点収差法によるフォーカス制御を行うようになされており、次に示す(3)式に従ってフォーカスエラー信号SFErを算出し、これを駆動制御部22へ供給する。
このフォーカスエラー信号SFErは、赤色光ビームLr1の焦点Frと光ディスク100の反射透過膜104とのずれ量を表すことになる。
また信号処理部23は、いわゆるプッシュプル法によるトラッキング制御を行うようになされており、次に示す(4)式に従ってトラッキングエラー信号STErを算出し、これを駆動制御部22へ供給する。
このトラッキングエラー信号STErは、赤色光ビームLr1の焦点Frと光ディスク100の反射透過膜104における目標トラックとのずれ量を表すことになる。
駆動制御部22は、フォーカスエラー信号SFErを基にフォーカス駆動信号SFDrを生成し、当該フォーカス駆動信号SFDrを2軸アクチュエータ38Aへ供給することにより、赤色光ビームLr1が光ディスク100の反射透過膜104に合焦するよう、対物レンズ38をフィードバック制御(すなわちフォーカス制御)する。
また駆動制御部22は、トラッキングエラー信号STErを基にトラッキング駆動信号STDrを生成し、当該トラッキング駆動信号STDrを2軸アクチュエータ38Aへ供給することにより、赤色光ビームLr1が光ディスク100の反射透過膜104における目標トラックに合焦するよう、対物レンズ38をフィードバック制御(すなわちトラッキング制御)する。
このように案内面位置制御光学系30は、赤色光ビームLr1を光ディスク100の反射透過膜104に照射し、その反射光である赤色反射光ビームLr2の受光結果を信号処理部23へ供給するようになされている。これに応じて駆動制御部22は、当該赤色光ビームLr1を当該反射透過膜104の目標トラックに合焦させるよう、対物レンズ38のフォーカス制御及びトラッキング制御を行うようになされている。
(3−2)案内面青色光学系の構成
案内面情報光学系50は、光ディスク100の案内面100Aに対して青色光ビームLb1を照射するようになされており、また当該光ディスク100から入射される青色光ビームLb2又は青色再生光ビームLb3を受光するようになされている。
(3−2−1)青色光ビームの照射
図9において案内面情報光学系50のレーザダイオード51は、波長約405[nm]の青色レーザ光を発射し得るようになされている。実際上レーザダイオード51は、制御部21(図4)の制御に基づいて発散光でなる青色光ビームLb0を発射し、コリメータレンズ52へ入射させる。コリメータレンズ52は、青色光ビームLb0を発散光から平行光に変換し、1/2波長板53へ入射させる。なお、この図9においてもチルト検出光学系90(図6)は省略している。
このとき青色光ビームLb0は、1/2波長板53により偏光方向が所定角度回転され、アナモプリズム54により強度分布が成形された後、偏光ビームスプリッタ55の面55Aに入射される。
偏光ビームスプリッタ55は、反射透過面55Sにおいて、光ビームの偏光方向により異なる割合で当該光ビームを反射又は透過するようになされている。例えば反射透過面55Sは、p偏光の光ビームを約50%の割合で反射すると共に残りの50%を透過し、s偏光の光ビームを約100%の割合で透過するようになされている。
実際上、偏光ビームスプリッタ55は、反射透過面55Sにより、p偏光でなる青色光ビームLb0を約50%の割合で反射し、面55Bから1/4波長板56へ入射させると共に、残りの50%を透過し、面55Dからシャッタ71へ入射させる。以下では、反射透過面55Sにより反射された青色光ビームを青色光ビームLb1、反射透過面55Sを透過した青色光ビームを青色光ビームLb2と呼ぶ。
1/4波長板56は、青色光ビームLb1を直線偏光から円偏光に変換して可動ミラー57へ照射し、また当該可動ミラー57により反射され青色光ビームLb1を円偏光から直線偏光に変換し、再度偏光ビームスプリッタ55の面55Bへ入射させる。
このとき青色光ビームLb1は、例えば1/4波長板56によりp偏光から左円偏光に変換され、可動ミラー57により反射された際に左円偏光から右円偏光に変換された後、再度1/4波長板56により右円偏光からs偏光に変換される。すなわち青色光ビームLb1は、面55Bから出射されたときと可動ミラー57により反射された後に当該面55Bに入射されるときとで、互いの偏光方向が異なることになる。
偏光ビームスプリッタ55は、面55Bから入射された青色光ビームLb1の偏光方向(s偏光)に応じて、反射透過面55Sにより当該青色光ビームLb1をそのまま透過させ、面55Cから偏光ビームスプリッタ58へ入射させるようになされている。
この結果、案内面情報光学系50は、偏光ビームスプリッタ55、1/4波長板56及び可動ミラー57により、青色光ビームLb1の光路長を引き延ばすことになる。
偏光ビームスプリッタ58の反射透過面55Sは、例えばp偏光の光ビームを約100%の割合で反射し、s偏光の光ビームを約100%の割合で透過するようになされている。実際上、偏光ビームスプリッタ58は、反射透過面58Sにおいて青色光ビームLb1をそのまま透過させ、1/4波長板59により直線偏光(s偏光)から円偏光(右円偏光)に変換させた上で、リレーレンズ60へ入射させる。
リレーレンズ60は、可動レンズ61により青色光ビームLb1を平行光から収束光に変換し、収束後に発散光となった当該青色光ビームLb1を固定レンズ62により再度収束光に変換し、ダイクロックプリズム37へ入射させる。
ここで可動レンズ61は、アクチュエータ61Aにより青色光ビームLb1の光軸方向に移動されるようになされている。実際上、リレーレンズ60は、制御部21(図4)の制御に基づきアクチュエータ61Aによって可動レンズ61を移動させることにより、固定レンズ62から出射される青色光ビームLb1の収束状態を変化させ得るようになされている。
ダイクロックプリズム37は、青色光ビームLb1の波長に応じて、反射透過面37Sにより当該青色光ビームLb1を反射し、これを対物レンズ38へ入射させる。因みに青色光ビームLb1は、反射透過面37Sにおいて反射されるときに円偏光における偏光方向が反転され、例えば右円偏光から左円偏光に変換される。
対物レンズ38は、青色光ビームLb1を集光し、光ディスク100の案内面100Aへ照射する。因みに対物レンズ38は、青色光ビームLb1に関しては、リレーレンズ60との光学的な距離等の関係により、開口数(NA)が0.5の集光レンズとして作用することになる。
このとき青色光ビームLb1は、図3(B)に示したように、基板102及び反射透過膜104を透過し、記録層101内に合焦する。ここで当該青色光ビームLb1の焦点Fb1の位置は、リレーレンズ60の固定レンズ62から出射される際の収束状態により定められることになる。すなわち焦点Fb1は、可動レンズ61の位置に応じて記録層101内の案内面100A側又は記録光照射面100B側へ移動することになる。
具体的に案内面情報光学系50は、可動レンズ61の移動距離と青色光ビームLb1の焦点Fb1の移動距離とがほぼ比例関係となるように設計されており、例えば可動レンズ61を1[mm]移動させると、青色光ビームLb1の焦点Fb1が30[μm]移動するようになされている。
実際上、案内面情報光学系50は、制御部21(図4)により可動レンズ61の位置が制御されることにより、光ディスク100の記録層101内における青色光ビームLb1の焦点Fb1(図3(B))の深さd1(すなわち反射透過膜104からの距離)を調整するようになされている。
青色光ビームLb1は、焦点Fb1に収束した後に発散光となり、記録層101及び基板103を透過し、記録光照射面100Bから出射されて、対物レンズ79へ入射される(詳しくは後述する)。
このように案内面情報光学系50は、青色光ビームLb1を光ディスク100の案内面100A側から照射して記録層101内に当該青色光ビームLb1の焦点Fb1を位置させ、さらにリレーレンズ60における可動レンズ61の位置に応じて、当該焦点Fb1の深さd1を調整するようになされている。
(3−2−2)青色光ビームの受光
ところで光ディスク100は、記録光照射面光学系70の対物レンズ79から記録光照射面100Bへ照射される青色光ビームLb2を透過し、案内面100Aから発散光として出射するようになされている(詳しくは後述する)。因みに青色光ビームLb2は、円偏光(例えば右円偏光)となるようになされている。
このとき案内面情報光学系50では、図10に示すように、青色光ビームLb2が対物レンズ38によりある程度収束された後、ダイクロックプリズム37により反射され、リレーレンズ60へ入射される。因みに青色光ビームLb2は、反射透過面37Sにおいて反射される際、円偏光における偏光方向が反転され、例えば右円偏光から左円偏光に変換される。なお、この図10においてもチルト検出光学系90(図6)は省略している。
続いて青色光ビームLb2は、リレーレンズ60の固定レンズ62及び可動レンズ61によって平行光に変換され、さらに1/4波長板59により円偏光(左円偏光)から直線偏光(p偏光)に変換された上で、偏光ビームスプリッタ58へ入射される。
偏光ビームスプリッタ58は、青色光ビームLb2の偏光方向に応じて当該青色光ビームLb2を反射し、集光レンズ63へ入射させる。集光レンズ63は、青色光ビームLb2を集光し、フォトディテクタ64へ照射させる。
因みに、案内面情報光学系50内の各光学部品は、青色光ビームLb2がフォトディテクタ64に合焦するよう配置されている。
フォトディテクタ64は、青色光ビームLb2の光量を検出し、このとき検出した光量に応じて再生検出信号SDpを生成し、これを信号処理部23(図4)へ供給する。
但し、このとき当該フォトディテクタ64において青色光ビームLb2の光量に応じて生成される再生検出信号SDpには、特に用途がない。このため信号処理部23(図4)は、当該再生検出信号SDpが供給されるものの、特に信号処理を行わないようになされている。
一方、光ディスク100は、記録層101に記録マークRMが記録されていた場合、上述したように、青色光ビームLb1の焦点Fb1が当該記録マークRMに合焦されると、ホログラムとしての性質により、当該記録マークRMから青色再生光ビームLb3を発生することになる。
この青色再生光ビームLb3は、ホログラムの原理上、当該記録マークRMが記録された際に青色光ビームLb1の他に照射されていた光ビーム、すなわち青色光ビームLb2を再現したものとなる。従って青色再生光ビームLb3は、案内面情報光学系50内において青色光ビームLb2と同様の光路を経ることにより、最終的にフォトディテクタ64へ照射される。
ここで案内面情報光学系50内の各光学部品は、上述したように、青色光ビームLb2がフォトディテクタ64に合焦するよう配置されている。このため青色再生光ビームLb3は、当該青色光ビームLb2と同様に当該フォトディテクタ64に合焦する。
フォトディテクタ64は、青色光ビームLb3の光量を検出し、このとき検出した光量に応じて再生検出信号SDpを生成し、これを信号処理部23(図4)へ供給する。
この場合、再生検出信号SDpは、光ディスク100に記録されている情報を表すものとなる。このため信号処理部23は、再生検出信号SDpに対して所定の復調処理や復号化処理等を施すことにより再生情報を生成し、この再生情報を制御部21へ供給するようになされている。
このように案内面情報光学系50は、光ディスク100の案内面100Aから対物レンズ38へ入射される青色光ビームLb2又は青色再生光ビームLb3を受光し、その受光結果を信号処理部23へ供給するようになされている。
(3−3)記録光照射面光学系の構成
記録光照射面光学系70(図6)は、光ディスク100の記録光照射面100Bに対して青色光ビームLb2を照射するようになされており、また案内面情報光学系50から照射され光ディスク100を透過した青色光ビームLb1を受光するようになされている。
(3−3−1)青色光ビームの照射
図10において案内面情報光学系50の偏光ビームスプリッタ55は、上述したように、反射透過面55Sにおいてp偏光でなる青色光ビームLb0を約50%の割合で透過し、これを青色光ビームLb2として面55Dからシャッタ71へ入射させる。
シャッタ71は、制御部21(図4)の制御に基づいて青色光ビームLb2を遮断又は透過するようになされており、当該青色光ビームLb2を透過した場合、偏光ビームスプリッタ72へ入射させる。
偏光ビームスプリッタ72の反射透過面72Sは、例えばp偏光の光ビームを約100%の割合で透過し、s偏光の光ビームを約100%の割合で反射するようになされている。実際上、偏光ビームスプリッタ72は、p偏光でなる青色光ビームLb2をそのまま透過させ、ミラー73により反射させた後、1/4波長板74により直線偏光(p偏光)から円偏光(左円偏光)に変換させた上で、リレーレンズ75へ入射させる。
リレーレンズ75は、リレーレンズ60と同様に構成されており、可動レンズ61、アクチュエータ61A及び固定レンズ62とそれぞれ対応する可動レンズ76、アクチュエータ76A及び固定レンズ77を有している。
リレーレンズ75は、可動レンズ76により青色光ビームLb2を平行光から収束光に変換し、収束後に発散光となった当該青色光ビームLb2を固定レンズ77により再度収束光に変換し、ガルバノミラー78へ入射させる。
またリレーレンズ75は、リレーレンズ60と同様、制御部21(図4)の制御に基づきアクチュエータ76Aによって可動レンズ76を移動させることにより、固定レンズ77から出射される青色光ビームLb2の収束状態を変化させ得るようになされている。
ガルバノミラー78は、青色光ビームLb2を反射し、対物レンズ79へ入射させる。因みに青色光ビームLb2は、反射されるときに円偏光における偏光方向が反転され、例えば左円偏光から右円偏光に変換される。
またガルバノミラー78は、反射面78Aの角度を変化し得るようになされており、制御部21(図4)の制御に従い反射面78Aの角度を調整することにより、青色光ビームLb2の進行方向を調整し得るようになされている。
対物レンズ79は、2軸アクチュエータ79Aと一体に構成されており、当該2軸アクチュエータ79Aにより、対物レンズ38と同様、光ディスク100への近接方向又は離隔方向であるフォーカス方向と、光ディスク100の内周側方向又は外周側方向であるトラッキング方向と、光ディスク100のラジアル方向(半径方向)へ光軸を傾けるラジアルチルトの2軸方向へ駆動され得るようになされている。
この対物レンズ79は、青色光ビームLb2を集光し、光ディスク100の記録光照射面100Bへ照射する。この対物レンズは、対物レンズ38と同様の光学特性を有しており、当該青色光ビームLb2に関して、リレーレンズ75との光学的な距離等の関係により、開口数(NA)が0.5の集光レンズとして作用することになる。
このとき青色光ビームLb2は、図3(B)に示したように、基板103を透過して記録層101内に合焦する。ここで当該青色光ビームLb2の焦点Fb2の位置は、リレーレンズ75の固定レンズ77から出射される際の収束状態により定められることになる。すなわち当該焦点Fb2は、青色光ビームLb1の焦点Fb1と同様、可動レンズ76の位置に応じて記録層101内の案内面100A側又は記録光照射面100B側へ移動することになる。
具体的に記録光照射面光学系70は、案内面情報光学系50と同様、可動レンズ76の移動距離と青色光ビームLb2の焦点Fb2の移動距離とがほぼ比例関係となるように設計されており、例えば可動レンズ76を1[mm]移動させると、青色光ビームLb2の焦点Fb2が30[μm]移動するようになされている。
実際上、記録光照射面光学系70は、制御部21(図4)によってリレーレンズ60における可動レンズ61の位置と共にリレーレンズ75における可動レンズ76の位置が制御されることにより、光ディスク100の記録層101内における青色光ビームLb2の焦点Fb2(図3(B))の深さd2を調整するようになされている。
このとき光ディスク装置20では、制御部21(図4)により、光ディスク100に面ブレ等が発生していないと仮定したときの(すなわち理想的な状態の)記録層101内における、対物レンズ38が基準位置にあるときの青色光ビームLb1の焦点Fb1に対して、対物レンズ79が基準位置にあるときの青色光ビームLb2の焦点Fb2を合わせるようになされている。
青色光ビームLb2は、焦点Fb2において合焦した後、発散しながら記録層101、反射透過膜104及び基板102を透過し、案内面100Aから出射されて、対物レンズ38へ入射されるようになされている。
このように記録光照射面光学系70は、青色光ビームLb2を光ディスク100の記録光照射面100B側から照射して記録層101内に当該青色光ビームLb2の焦点Fb2を位置させ、さらにリレーレンズ75における可動レンズ76の位置に応じて、当該焦点Fb2の深さd2を調整するようになされている。
(3−3−2)青色光ビームの受光
ところで、案内面情報光学系50(図9)の対物レンズ38から照射された青色光ビームLb1は、上述したように、光ディスク100の記録層101内において一度収束した後、発散光となり対物レンズ79へ入射される。
このとき記録光照射面光学系70では、青色光ビームLb1が対物レンズ79によりある程度収束された後、ガルバノミラー78により反射されて、リレーレンズ75へ入射される。因みに青色光ビームLb1は、反射面78Sにおいて反射される際、円偏光における偏光方向が反転され、例えば左円偏光から右円偏光に変換される。
続いて青色光ビームLb1は、リレーレンズ75の固定レンズ62及び可動レンズ61によって平行光に変換され、さらに1/4波長板74により円偏光(右円偏光)から直線偏光(s偏光)に変換された後、ミラー73により反射されてから、偏光ビームスプリッタ72へ入射される。
偏光ビームスプリッタ72は、青色光ビームLb1の偏光方向に応じて当該青色光ビームLb1を反射し、集光レンズ80へ入射させる。集光レンズ80は、青色光ビームLb1を収束させ、シリンドリカルレンズ81により非点収差を持たせた上で当該青色光ビームLb1をフォトディテクタ82へ照射する。
しかしながら光ディスク100は、実際には面ブレ等を生じる可能性がある。このため対物レンズ38は、上述したように、案内面位置制御光学系30及び駆動制御部22(図4)等によりフォーカス制御及びトラッキング制御されるようになされている。
このとき青色光ビームLb1の焦点Fb1は、対物レンズ38の移動に伴って移動することになるため、対物レンズ79が基準位置にあるときの青色光ビームLb2における焦点Fb2の位置からずれることになる。
そこで記録光照射面光学系70では、記録層101内における青色光ビームLb1の焦点Fb1に対する青色光ビームLb2の焦点Fb2のずれ量が、集光レンズ80により青色光ビームLb1が集光されフォトディテクタ82へ照射されるときの照射状態に反映されるよう、各種光学部品の光学的位置が調整されている。
フォトディテクタ82は、図11に示すように、フォトディテクタ43と同様、青色光ビームLb1が照射される面上に、格子状に分割された4つの検出領域82A、82B、82C及び82Dを有している。因みに矢印a2により示される方向(図中の横方向)は、青色光ビームLb1が照射されるときの、反射透過膜104(図3)におけるトラックの走行方向に対応している。
フォトディテクタ82は、検出領域82A、82B、82C及び82Dにより青色光ビームLb1の一部をそれぞれ検出し、このとき検出した光量に応じて検出信号SDAb、SDBb、SDCb及びSDDbをそれぞれ生成して、これらを信号処理部23(図4)へ送出する。
信号処理部23は、いわゆる非点収差法によるフォーカス制御を行うようになされており、次に示す(5)式に従ってフォーカスエラー信号SFEbを算出し、これを駆動制御部22へ供給する。
このフォーカスエラー信号SFEbは、青色光ビームLb1の焦点Fb1と青色光ビームLb2の焦点Fb2とのフォーカス方向に関するずれ量を表すことになる。
また信号処理部23は、プッシュプル信号を用いたトラッキング制御を行うようになされており、次に示す(6)式に従ってトラッキングエラー信号STEbを算出し、これを駆動制御部22へ供給する。
このトラッキングエラー信号STEbは、青色光ビームLb1の焦点Fb1と青色光ビームLb2の焦点Fb2とのトラッキング方向に関するずれ量を表すことになる。
さらに信号処理部23は、タンジェンシャル制御に必要なタンジェンシャルエラー信号も生成するようになされている。このタンジェンシャル制御とは、タンジェンシャル方向(すなわちトラックの接線方向)に関して青色光ビームLb2の焦点Fb2を目標位置へ移動させる制御である。
具体的に信号処理部23は、プッシュプル信号を用いたタンジェンシャル制御を行うようになされており、次に示す(7)式に従ってタンジェンシャルエラー信号SNEbを算出し、これを駆動制御部22へ供給する。
このタンジェンシャルエラー信号SNEbは、青色光ビームLb1の焦点Fb1と青色光ビームLb2の焦点Fb2とのタンジェンシャル方向に関するずれ量を表すことになる。
これに応じて駆動制御部22は、フォーカスエラー信号SFEbを基にフォーカス駆動信号SFDbを生成し、当該フォーカス駆動信号SFDbを2軸アクチュエータ79Aへ供給することにより、青色光ビームLb1の焦点Fb1に対する青色光ビームLb2の焦点Fb2のフォーカス方向に関するずれ量を減少させるよう、対物レンズ79をフォーカス制御するようになされている。
また駆動制御部22は、トラッキングエラー信号STEbを基にトラッキング駆動信号STDbを生成し、当該トラッキング駆動信号STDbを2軸アクチュエータ79Aへ供給することにより、青色光ビームLb1の焦点Fb1に対する青色光ビームLb2の焦点Fb2のトラッキング方向に関するずれ量を減少させるよう、対物レンズ79をトラッキング制御するようになされている。
さらに駆動制御部22は、タンジェンシャルエラー信号SNEbを基にタンジェンシャル駆動信号SNDbを生成し、当該タンジェンシャル駆動信号SNDbをガルバノミラー78へ供給することにより、青色光ビームLb1の焦点Fb1に対する青色光ビームLb2の焦点Fb2のタンジェンシャル方向に関するずれ量を減少させるよう、ガルバノミラー78における反射面78Aの角度を調整する、タンジェンシャル制御を行うようになされている。
このように記録光照射面光学系70は、光ディスク100の記録光照射面100Bから対物レンズ79へ入射される青色光ビームLb1を受光し、その受光結果を信号処理部23へ供給するようになされている。これに応じて駆動制御部22は、青色光ビームLb2の焦点Fb2を青色光ビームLb1の焦点Fb1に合わせるよう、対物レンズ79のフォーカス制御及びトラッキング制御、並びにガルバノミラー78によるタンジェンシャル制御を行うようになされている。
(3−4)光路長の調整
ところで光ディスク装置20の光ピックアップ26は、情報を記録する際、上述したように、偏光ビームスプリッタ55(図9)により、青色光ビームLb0から青色光ビームLb1及びLb2を分離し、光ディスク100の記録層101内で当該青色光ビームLb1及びLb2を互いに干渉させることにより、当該記録層101内の目標マーク位置に記録マークRMを記録させるようになされている。
この青色光ビームLb0を出射するレーザダイオード51は、一般的なホログラムの形成条件に従い、光ディスク100の記録層101にホログラムとしての記録マークRMが正しく記録されるために、当該青色光ビームLb0のコヒーレント長をホログラムサイズ(すなわち記録マークRMの高さRMh)以上とする必要がある。
実際上レーザダイオード51では、一般的なレーザダイオードと同様、このコヒーレント長が、当該レーザダイオード51内に設けられた共振器(図示せず)の長さに当該共振器の屈折率を乗じた値にほぼ相当するため、およそ100[μm]から1[mm]程度であると考えられる。
一方、光ピックアップ26では、青色光ビームLb1が案内面情報光学系50(図9)内の光路を通り、光ディスク100の案内面100A側から照射されると共に、青色光ビームLb2が記録光照射面光学系70(図10)内の光路を通り、光ディスク100の記録光照射面100B側から照射される。すなわち光ピックアップ26では、青色光ビームLb1及びLb2の光路が互いに異なっているため、その光路長(すなわちレーザダイオード51から目標マーク位置までの光路の長さ)に差が生じることになる。
さらに光ピックアップ26では、上述したように、リレーレンズ60及び75における可動レンズ61及び76の位置を調整することにより、光ディスク100の記録層101内における目標マーク位置の深さ(目標深さ)を変更するようになされている。このとき光ピックアップ26は、目標マーク位置の深さを変更することにより、結果的に青色光ビームLb1及びLb2の光路長をそれぞれ変化させることになる。
しかしながら、光ピックアップ26において干渉パターンが形成されるには、一般的なホログラムの形成条件により、当該青色光ビームLb1及びLb2における光路長の差がコヒーレント長(すなわちおよそ100[μm]から1[mm])以下となる必要がある。
そこで制御部21(図4)は、可動ミラー57の位置を制御することにより、青色光ビームLb1の光路長を調整するようになされている。この場合、制御部21は、リレーレンズ60における可動レンズ61の位置と目標マーク位置の深さとの関係を利用し、当該可動レンズ61の位置に応じて可動ミラー57を移動させることにより、当該青色光ビームLb1の光路長を変化させるようになされている。
この結果、光ピックアップ26では、青色光ビームLb1及びLb2における光路長の差をコヒーレント長以下に抑えることができ、記録層101内の目標マーク位置に良好なホログラムでなる記録マークRMを記録することができる。
このように光ディスク装置20の制御部21は、可動ミラー57の位置を制御することにより、光ピックアップ26内の青色光ビームLb1及びLb2における光路長の差をコヒーレント長以下に抑え、この結果として光ディスク100の記録層101内における目標マーク位置に良好な記録マークRMを記録し得るようになされている。
(4)情報の記録及び再生
(4−1)光ディスクに対する情報の記録
光ディスク100に情報を記録する場合、光ディスク装置20の制御部21(図4)は、上述したように、外部機器(図示せず)等から情報記録命令、記録情報及び記録アドレス情報を受け付けると、駆動命令及び記録アドレス情報を駆動制御部22へ供給すると共に、記録情報を信号処理部23へ供給する。
このとき駆動制御部22は、光ピックアップ26の案内面位置制御光学系30(図7)により赤色光ビームLr1を光ディスク100の案内面100A側から照射させ、その反射光である赤色反射光ビームLr2の検出結果を基に、対物レンズ38のフォーカス制御及びトラッキング制御(すなわち位置制御)を行うことにより、赤色光ビームLr1の焦点Frを記録アドレス情報に対応した目標トラックに追従させる。
また制御部21は、案内面情報光学系50(図9)により青色光ビームLb1を光ディスク100の案内面100A側から照射させる。このとき青色光ビームLb1の焦点Fb1は、位置制御された対物レンズ38によって集光されることにより、目標トラックの裏側に位置することになる。
さらに制御部21は、リレーレンズ60における可動レンズ61の位置を調整することにより、当該焦点Fb1(図3(B))の深さd1を目標深さに調整する。この結果、青色光ビームLb1の焦点Fb1は、目標マーク位置に合わされる。
一方、制御部21は、記録光照射面光学系70(図10)のシャッタ71を制御して
青色光ビームLb2を透過させ、当該青色光ビームLb2を光ディスク100の記録光照射面100B側から照射させる。
また制御部21は、リレーレンズ60における可動レンズ61の位置に合わせてリレーレンズ75における可動レンズ76の位置を調整することにより、青色光ビームLb2(図3(B))の深さd2を調整する。これにより青色光ビームLb2は、焦点Fb2の深さd2が、光ディスク100に面ブレが生じていないと仮定した場合の青色光ビームLb1における焦点Fb1の深さd1に合わされる。
さらに制御部21は、対物レンズ38及び79を介した青色光ビームLb1を記録光照射面光学系70により検出させ、その検出結果を基に、駆動制御部22により対物レンズ79のフォーカス制御及びトラッキング制御、並びにガルバノミラー78のラジアル制御(すなわち位置制御)を行わせる。
この結果、青色光ビームLb2の焦点Fb2は、青色光ビームLb1における焦点Fb1の位置、すなわち目標マーク位置に合わされる。
そのうえ制御部21は、リレーレンズ60における可動レンズ61の位置に応じて可動ミラー57の位置を調整し、青色光ビームLb1及びLb2における光路長の差をコヒーレント長以下に抑える。
かくして光ディスク装置20の制御部21は、光ディスク100の記録層101内の目標マーク位置に対して、良好な記録マークRMを形成させることができる。
ところで信号処理部23(図4)は、外部機器(図示せず)等から供給される記録情報を基に、例えば値「0」又は「1」のバイナリデータを表す記録信号を生成する。これに応じてレーザダイオード51は、例えば記録信号が値「1」である時に青色光ビームLb0を出射し、記録信号が値「0」である時に青色光ビームLb0を出射しないようになされている。
これにより光ディスク装置20では、記録信号が値「1」のときには光ディスク100の記録層101内の目標マーク位置に記録マークRMを形成し、当該記録信号が値「0」のときには当該目標マーク位置に当該記録マークRMを形成しないことになるため、当該記録マークRMの有無により当該目標マーク位置に記録信号の値「1」又は「0」を記録することができ、結果的に記録情報を光ディスク100の記録層101に記録することができる。
(4−2)光ディスクからの情報の再生
光ディスク100から情報を再生する場合、光ディスク装置20の制御部21(図4)は、光ピックアップ26の案内面位置制御光学系30(図7)により赤色光ビームLr1を光ディスク100の案内面100A側から照射させ、その反射光である赤色反射光ビームLr2の検出結果を基に、駆動制御部22により対物レンズ38のフォーカス制御及びトラッキング制御(すなわち位置制御)を行わせる。
また制御部21は、案内面情報光学系50(図9)により青色光ビームLb1を光ディスク100の案内面100A側から照射させる。このとき青色光ビームLb1の焦点Fb1は、位置制御された対物レンズ38によって集光されることにより、目標トラックの裏側に位置することになる。
因みに制御部21は、再生時におけるレーザダイオード51の出射パワーを抑えることにより、青色光ビームLb1による記録マークRMの誤消去を防止するようになされている。
さらに制御部21は、リレーレンズ60における可動レンズ61の位置を調整することにより、当該焦点Fb1(図3(B))の深さd1を目標深さに調整する。この結果、青色光ビームLb1の焦点Fb1は、目標マーク位置に合わされる。
一方、制御部21は、記録光照射面光学系70(図10)のシャッタ71を制御し、青色光ビームLb2を遮断することにより、当該青色光ビームLb2を光ディスク100には照射させない。
すなわち光ピックアップ26は、光ディスク100の記録層101内における目標マーク位置に記録されている記録マークRMに対して、いわゆる参照光としての青色光ビームLb1のみを照射する。これに応じて当該記録マークRMは、ホログラムとして作用し、いわゆる再生光としての青色再生光ビームLb3を案内面101A側へ発生させる。このとき案内面情報光学系50は、この青色再生光ビームLb3を検出し、その検出結果に応じた検出信号を生成する。
かくして光ディスク装置20の制御部21は、光ディスク100の記録層101内における目標マーク位置に記録されている記録マークRMから青色再生光ビームLb3を発生させ、これを受光することにより、記録マークRMが記録されていることを検出することができる。
ここで光ディスク装置20は、目標マーク位置に記録マークRMが記録されていなかった場合、当該目標マーク位置からは青色再生光ビームLb3が発生しないため、案内面情報光学系50により、当該青色再生光ビームLb3を受光しなかったことを示す検出信号を生成することになる。
これに応じて信号処理部22は、検出信号を基に、青色再生光ビームLb3が検出されたか否かを値「1」又は「0」として認識し、この認識結果を基に再生情報を生成する。
これにより光ディスク装置20では、光ディスク100の記録層101内の目標マーク位置に記録マークRMが形成されているときには青色再生光ビームLb3を受光し、当該目標マーク位置に当該記録マークRMが形成されていないときには青色再生光ビームLb3を受光しないことにより、目標マーク位置に値「1」又は「0」のいずれが記録されているかを認識することができ、結果的に光ディスク100の記録層101に記録された情報を再生することができる。
(5)本発明による光ディスクのチルト補正
上述したように本発明の光ディスク装置20は、記録時においては、青色光ビームLb1及びLb2によって記録層101内に定在波を形成して記録マークRMを記録し、再生時においては、記録マークRMに青色光ビームLb1を照射して青色再生光ビームLb3を発生させることにより再生検出信号SDpを得る。
ここで、記録マークRMを記録及び再生する際には、カバー層の厚みによって発生する収差を厳密に補正する必要があるが、光ディスクにチルトが生じた場合、当該チルトの影響によって光ビームの波面に歪みが生じ、上述した収差を補正し得なくなる。特に、多層記録を行う光ディスクでは、各記録層それぞれの深さ(ディスク表面から記録層までの距離)が大きく異なるため、単層記録や2層記録ディスクに比べ、波面の歪みがより敏感に影響し、このためにチルトに対する許容量が小さくなるという問題があった。
このような問題に対処するため本発明の光ディスク装置20では、光ディスク100に予めチルト検出用の体積ホログラムを記録しておき、データの記録及び再生時には、当該チルト検出用の体積ホログラムからの再生光に基づいて光ディスク100のチルト量を検出し、この検出結果に基づいて光ディスク100に対する青色光ビームLb1及びLb2の照射角を制御するようにした。
(5−1)体積ホログラムによるチルト補正の原理
まず、本発明の体積ホログラムを用いたチルト補正の原理について、図12を用いて説明する。図12(A)に示すように、光ディスク100の基準面(例えば表面)に対し、図示するように記録光としてのレーザ光でなる2つの平面波Lf1及びLf2を照射してチルト検出用ホログラムHvを記録したとする。この平面波Lf1及びLf2としては、当該光ディスク100の記録層101が反応して屈折率が変化するよう、例えば青色光ビームLb1及びLb2と同じ波長405[nm]の青色レーザが用いられるが、要は記録層101に対してチルト検出用ホログラムHvを形成できればこの他の波長のレーザ光を用いてもよい。
このチルト検出用ホログラムHvを記録する位置としては、微小ホログラムでなる記録マークRMと重複していても良いが、記録マークRMからの再生信号の劣化を可能な限り避ける為には、チルト検出用ホログラムHvと記録マークRMとがそれぞれ別個の領域に記録されることが望ましい。
このようにして光ディスク100に記録されたチルト検出用ホログラムHvに対し、平面波Lf1又はLf2のどちらか一方を照射すると、当該チルト検出用ホログラムHvから平面波が発生する。例えば図12(B)に示すように平面波Lf1を照射した場合、平面波でなる再生光Lf3が発生する。
この再生光Lf3の再生光強度(すなわちホログラム回折効率)は、記録時における平面波Lf1と再生時における平面波Lf1の光ディスク100に対する入射角が一致した場合に最大となり、これらの角度差に依存して再生光強度は単調に低下する。特に、平面波の入射角差がイントラック方向(平面波Lf1とLf2とが張る面方向)に生じた場合、再生光強度は急激に低下することが知られている。
したがって、チルト検出用ホログラムHvからの再生光強度を最大に保つ様に光ディスク100のチルトを制御すれば、当該チルト検出用ホログラムHvを記録した際の、平面波Lf1に対する光ディスク100の姿勢を正確に再現して、当該光ディスク100のチルトを補正することができる。
一般に、ポリカーボネイト等のプラスチックを射出成型して製造される光ディスクにおいては、ディスクのラジアル方向(半径方向)に反りが生じて問題となることが多い。その一方で、ディスクのタンジェンシャル方向(回転方向)に問題となる反りが生じることは少ない。従って、光ディスク100に反りが生じていない平坦な状態において、上述したイントラック方向をディスクのラジアル方向と一致させてチルト検出用ホログラムHvを記録しておけば、チルト検出用ホログラムHvからの再生光Lf3の再生光強度に基づいて当該光ディスク100を理想的な姿勢に維持して記録マークRMの記録及び再生を行うことができる。
平坦な光ディスク100に対してチルト検出用ホログラムHvを記録するには、ディスク内部に残留した応力や吸湿等の影響が生じる前の、できるだけ早い時点で行うことが望ましい。このため、光ディスク装置20に対して光ディスク100が初めて装着された際に当該光ディスク装置20によってチルト検出用ホログラムHvを記録してもよいが、光ディスク100の製造時にチルト検出用ホログラムHvを記録することが理想的である。
このようなチルト検出用ホログラムHvを用いたチルト補正の概念を図13に示す。光ディスク100の半径方向に並んだ3つのチルト検出用ホログラムHv1、Hv2及びHv3が、光ディスク100の中心に対して対称な2箇所に記録されている。そして、記録又は再生対象となる記録マークRM近傍のチルト検出用ホログラムHv(ここではHv2)に対して平面波Lf1を照射し、当該チルト検出用ホログラムHv2から発生する再生光Lf3の信号レベルに基づいて光ディスク100の姿勢を制御すれば、チルト検出用ホログラムHvの記録後に光ディスク100のラジアル方向に反りが生じたとしても、各チルト検出用ホログラムHvの近傍において、局所的に記録マークRMの記録再生に対して最適なディスク姿勢を実現することができる。
光ディスク100に設けるチルト検出用ホログラムHvの数は任意に定めて良いが、その数が多い程よりきめ細かな精度でチルト補正が可能となる。しかしチルト検出用ホログラムHvの数を増やせば、記録マークRMを記録する領域は減少して光ディスク100全体の記録密度は低下する。
次に、上述した体積ホログラムでなるチルト検出用ホログラムHvを用いた光ディスク100のチルト補正の制御誤差について考察する。記録時及び再生時における平面波Lf1のイントラック方向のディスク入射角の差Δθが一定値に達すると、体積ホログラムの回折効率は完全に0となる(すなわち再生光Lf3の光量が0になる)。この時Δθの値は、次に示す(8)式によって求められる。
ここでλは記録再生波長、Lはディスク厚、θは記録時における平面波Lf1のディスク入射角である。例えばλ=407[nm]、L=1[mm]、θ=45°の時、Δθ=0.016°となる。
従って上述したチルト補正方法により、ディスク半径方向の傾き誤差を0.016°以内に収めることが可能となる。これにより、記録マークRMを記録及び再生するレーザ光は、常に光ディスク100に対し90±0.016°の角度で入射する。従来の光ディスクシステム並みの記録メディア傾き許容度を有する微小ホログラム記録再生システムにとって、この誤差は十分小さいと言うことが出来る。
以上は、体積ホログラムによるチルト補正の原理として、チルト検出用ホログラムHvからの再生光強度が最大値を維持するようにディスク姿勢を制御する方法について説明したが、この場合記録マークRMを記録又は再生しながら、リアルタイムに姿勢制御することは困難である。従って、光ディスク100が光ディスク20に装着された時点等において、各チルト検出用ホログラムHvの再生光強度に基づきそれぞれの半径位置におけるラジアルチルト量を測定しておき、当該チルト検出用ホログラムHvの間におけるラジアルチルト量は、測定したラジアルチルト量から線形補完するなどして求め、各半径位置におけるラジアルチルト量を半径位置の関数として記憶しておく。そして記録及び再生時においては、その記憶値を元にディスク姿勢を制御すればよい。
(5−2)本発明の光ディスク装置における光ディスクのチルト補正
次に、本発明の光ディスク装置20で実際に用いられる光ディスク100のチルト補正方法について詳細に説明する。この場合、記録マークRMを記録又は再生しながらリアルタイムで光ディスク100の姿勢制御を行い得るようにするため、各チルト検出用ホログラムHvを角度多重して記録するようにした。
すなわち図14に示すように、チルト検出用ホログラムHvを光ディスク100に記録する際、2つの平面波Lf1及びLf2それぞれのディスク入射角が、ディスク面法線に対して常に同一となる様に保ちつつ、両者をイントラック方向に(すなわちラジアル方向に)±Δθずつ変化させてチルト検出用ホログラムHvを記録する。従って、ある時点における平面波Lf1及びLf2のディスク入射角はそれぞれθであり、ある時点におけるディスク入射角はそれぞれθ+Δθであり、ある時点におけるディスク入射角はそれぞれθ−Δθとなる。
これにより光ディスク100には、入射角θ+Δθの平面波で形成されたチルト検出用ホログラムHvaと、入射角θ−Δθの平面波で形成されたチルト検出用ホログラムHvbと、入射角θの平面波で形成されたチルト検出用ホログラムHvcとがラジアル方向に角度多重されて記録される。なお、平面波Lf1及びLf2の振れ角となるΔθとしては、図15に示す様に、平面波Lf1のディスク入射角が連続的に変化する状態でチルト検出用ホログラムHvからの再生信号を得た際に、その再生光強度が0となる状態がない様に設定する必要がある。具体的には、チルト検出用ホログラムHvの角度選択性以下にとることが望ましい。
このようにしてチルト検出用ホログラムHvが角度多重記録された光ディスク100に対し、光ディスク装置20は図6に示すチルト検出光学系90によってチルト量を検出する。すなわちチルト検出光学系90のレーザダイオード91は、チルト検出用ホログラムHvを形成する際と同じ波長のレーザ光を発射し得るようになされている。チルト検出光学系90は、当該レーザダイオード91から出射された発散光でなるレーザ光をコリメータレンズ92によって平行光に変換し、平面波Lf1として光ディスク100に照射する。そしてチルト検出光学系90は、平面波Lf1がチルト検出用ホログラムHvに照射されることにより発生する再生光Lf3を、チルト検出用の2分割フォトディテクタ93に照射する。
2分割フォトディテクタ93は、その受光面が第1の受光面93A及び第2の受光面93Bに2分割されており、それぞれ検出した光量に応じて検出信号STa及びSTbを生成し、これを信号処理部23(図4)へ供給する。この2分割フォトディテクタ93は、基準姿勢にある光ディスク100(すなわちチルトが生じていない状態)に対する平面波Lf1の入射角がθの状態において、入射角θ+Δθの平面波で形成されたチルト検出用ホログラムHvaからの再生光Lf2aを第1の受光面93Aで受光するとともに、入射角θ−Δθの平面波で形成されたチルト検出用ホログラムHvbからの再生光Lf2bを第2の受光面93Bで受光し、さらに、入射角θの平面波で形成されたチルト検出用ホログラムHvcからの再生光Lf2cを第1の受光面93A及び第2の受光面93Bの境界の不感帯で受光するよう、その位置が定められている。
光ディスク100に対する平面波Lf1の入射角がθから変化した場合、2分割フォトディテクタ93に対するこれら再生光Lf2a、再生光Lf2b及び再生光Lf2cの照射光量が変化するものの、それぞれの照射位置はほとんど変化しない。
信号処理部23は、次に示す(9)式に基づき、第1の受光面93Aの受光光量に基づく検出信号STaから第2の受光面93Bの受光光量に基づく検出信号STbから減算してチルトエラー信号STLErを生成する。
図16は光ディスク100に対する平面波Lf1の入射角に変化に応じたチルトエラー信号STLErの値を示し、光ディスク100にラジアルチルトが生じておらず平面波Lf1の入射角がθの状態においてチルトエラー信号STLErの値は0となり、その前後(±Δθ)の範囲で略直線的に変化するS字状カーブを呈しており、この範囲内において当該チルトエラー信号STLErは当該光ディスク100のラジアルチルト量を表す。
そして、チルトエラー信号STLErの値が0になるよう(すなわち光ディスク100に対する平面波Lf1の入射角をθに保つよう)光ディスク100を傾斜させることにより、当該光ディスク100に生じたラジアルチルトを補正し、記録マークRMを記録又は再生する位置における青色光ビームLb1(記録時ではLb2も)の入射角を正しく保つことができる。
次に、光ディスク装置20が光ディスク100を傾斜させる具体的な方法を説明する。図4に示すように光ピックアップ20のスピンドルモータ24は、駆動制御部22からのチルト制御信号に応じて当該スピンドルモータ24を直交する2方向に傾斜させるゴニオステージ24Aに搭載されている。
駆動制御部22は、チルトエラー信号STLErに基づきチルト制御信号を生成してゴニオステージ24Aを駆動することにより、光ディスク100のラジアルチルトを補正して常に適切な状態で記録又は再生を行うことができる。
(6)動作及び効果
以上の構成において、微小ホログラムでなる記録マークRMを記録する光ディスク100に対し、予め体積ホログラムでなるチルト検出用ホログラムHvをラジアル方向に角度多重して記録しておく。
光ディスク装置20は、光ディスク100に対する記録及び再生の際、記録マークRM近傍に平面波Lf1を照射し、当該平面波Lf1によってチルト検出用ホログラムHvから発せられる再生光Lf3の光量に基づいて、当該光ディスク100のチルト量を示すチルトエラー信号STLErを生成する。
そして光ディスク装置20は、当該チルトエラー信号STLErに応じてゴニオステージ24Aを制御して光ディスク100を傾斜させることにより、記録マークRMの記録及び再生位置における光ディスク100のチルトの影響を排除して、常に良好な状態で記録マークRMを記録することができるとともに、再生時においてもチルトの影響を排除して記録マークRMから良好な再生検出信号SDpを得ることができる。
特に、角度多重されたチルト検出用ホログラムHvからの再生光Lf3を2分割フォトディテクタ93で受光し、第1の受光面93A及び第2の受光面93Bそれぞれから得られる検出信号STa及びSTbの差分からチルトエラー信号STLErを生成することで、制御目標点であるディスクチルトが0の状態の前後での信号特性が良好なS字状のチルトエラー信号STLErを生成することができ、より確実に光ディスク100のチルトを補正することができる。
そして、光ディスク100のチルトを補正することで光ディスク装置20の記録及び再生性能を向上できることから、その分、光ディスク100の記録密度を向上したり、記録再生速度を向上するなどして、全体として光ディスク装置100の性能をさらに向上させることができる。
以上の構成によれば、光ディスク100に記録されたチルト検出用ホログラムHvから光ディスク100のチルト量を検出し、これに応じて当該光ディスク100のチルトを補正するようにしたことにより、別途チルトセンサ等を設けることなく、光ディスク100に対して確実に記録マークの記録及び再生を行うことができる。
(7)他の実施の形態
なお上述の実施の形態においては、光ディスク100にチルト検出用ホログラムHvを記録する際、平面波Lf1及びLf2のイントラック方向Dint(図12(A))を光ディスク100のラジアル方向と一致させて、当該チルト検出用ホログラムHvをラジアル方向に角度多重して記録しておき、当該チルト検出用ホログラムHvに基づくチルトエラー信号STLErに応じて当該光ディスク100のラジアルチルトを補正するようにしたが、本発明はこれに限らず、図17に示すように、平面波Lf1及びLf2のイントラック方向Dintを光ディスク100の回転方向(すなわちタンジェンシャル方向)と一致させて、当該チルト検出用ホログラムHvをタンジェンシャル方向に角度多重して記録しておき、当該チルト検出用ホログラムHvに基づくチルトエラー信号STLErに応じて当該光ディスク100のタンジェンシャルチルトを補正するようにしたり、さらには、チルト検出用ホログラムHvをラジアル方向及びタンジェンシャル方向の双方に角度多重して記録しておき、当該チルト検出用ホログラムHvに基づくチルトエラー信号STLErに応じて当該光ディスク100のラジアルチルト及びタンジェンシャルチルトの双方を補正するようにしてもよい。
また上述した実施の形態においては、チルト検出用ホログラムHvからの再生光を受光してチルトを検出するための受光手段として2分割フォトディテクタ93を用いるようにしたが、本発明はこれに限らず、他の種々の受光素子を用いてチルト検出用ホログラムHvからの再生光を受光してチルトを検出するようにしても良い。
このようなチルト検出用受光手段としては、例えば光位置センサ(Position Sensitive Detector、以下PSDと呼ぶ)や1次元CCD(Charge Coupled Device)等を用いることができる。このPSDは、光のスポットの光量の重心位置を求めることのできるセンサであり、その受光面には受光光量に応じた電圧を発生する材料が一様に塗布して形成されている。PSDの受光面に光が入射すると、その照射位置では電圧が発生するとともに、当該照射位置から離れた箇所の電位は受光面材の抵抗によって低下するため、スポット照射位置の変化に応じて受光面両端の電圧比が変化し、これによりスポットの光量の重心位置を電圧として得ることができる。このようにしてPSDから出力される電圧をチルトエラー信号STLErとして用い、当該チルトエラー信号STLErの値が、光ディスク100にラジアルチルトが生じていない時の値と一致するように光ディスク100を傾斜させることにより、光ディスク100に生じたチルトを補正することができる。
また上述した実施の形態においては、チルト検出用ホログラムHvに基づくチルトエラー信号STLErに応じて光ディスク100全体を傾斜させることにより、当該光ディスク100に生じているチルトを補正するようにしたが、本発明はこれに限らず、光ディスク100の角度を固定したまま、当該光ディスク100に対する記録光や参照光の照射角度を変化させるようにしてもよい。このような照射角度の変化方法としては、例えば対物レンズをチルトさせる方法や、アナモルフィックレンズによって強度分布を整形した後空間位相制御素子によって波面制御するなど、様々な方法が適用できる。
また上述の実施の形態においては、光ディスク100の両面から光ビームを照射して定在波を形成する両面照射型のホログラムを用いた光ディスク装置20に本発明を適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、照射した光ビームを光ディスクに設けられた反射膜で反射して定在波を形成する片面照射型のホログラムを用いた光ディスク装置に本発明を適用することもできる。
また上述の実施の形態においては、対物レンズ38の位置制御を行うための光ビーム(これを位置制御光ビームと呼ぶ)を波長約660[nm]の赤色光ビームとし、記録マークRMを形成するための光ビーム(これを記録光ビームと呼ぶ)を波長約405[nm]の青色光ビームとするようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、位置制御光ビーム及び記録光ビームをそれぞれ任意の波長としても良い。
また上述の実施の形態においては、2つの平面波Lf1及びLf2の干渉によって体積ホログラムでなるチルト検出用ホログラムHvを記録する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、平面波と球面波の干渉によって体積ホログラムでなるチルト検出用ホログラムHvを記録し、平面波によって当該チルト検出用ホログラムHvを再生するようにしてもよい。この場合の球面波としては、記録マークRMを記録するための球面波でなる青色光ビームLb1及びLb2のどちらか一方を用いれば良い。
例えば図18に示すように、光ディスク100に対して予め平面波Lf1及び青色光ビームLb1の干渉によってチルト検出用ホログラムHvを記録しておき、光ディスク装置20における記録及び再生時には、当該光ディスク100に対して平面波Lf1を照射してチルト検出用ホログラムHvを再生すればよい。そして、光ディスク100にチルト検出用ホログラムHvを記録しておく際、青色光ビームLb1の入射角を例えばガルバノミラーで変化させることにより、上述した体積ホログラムの角度多重記録を行うことができる。
さらに上述の実施の形態においては、2つの球面波でなる青色光ビームLb1及びLb2を干渉させることにより微小ホログラムでなる記録マークRMを記録する光ディスク100及び光ディスク装置20に本発明を適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、この他種々のホログラムを用いる光ディスク及び光ディスク装置に適用することができる。
例えば近年、対向する平面波を用いて予め光ディスクの記録層全体にホログラムを記録しておき、球面波の焦点位置にレーザを集光することで当該ホログラムを破壊することによって情報を記録する、いわゆるネガ型の光ディスク及び光ディスク装置が提案されており(R. R. McLeod, A. J. Daiber, M.E. McDonald, S. L. Sochava, T. Honda, T. L. Robertson, T. Slagle, L. Hesselink, Technical Digest of ISOM/ODS, MB1,(2005))、本発明はこの種の光ディスク及び光ディスク装置にも適用可能である。
上述したようにネガ型の光ディスクでは、平面波によって形成されたホログラムが記録層全体に形成されていることから、当該ホログラムに平面波を照射し、その再生光光量に基づいて光ディスクのチルトを補正することができる。
20……光ディスク装置、21……制御部、22……駆動制御部、23……信号処理部、26……光ピックアップ、30……案内面位置制御光学系、31、51……レーザダイオード、37、55、58、72……偏光ビームスプリッタ、38、79……対物レンズ、38A、79A……アクチュエータ、43、64、82……フォトディテクタ、50……案内面情報光学系、56……1/4波長板、57……可動ミラー、60、75……リレーレンズ、61、76……可動レンズ、70……記録光照射面光学系、71……シャッタ、78……ガルバノミラー、90……チルト検出光学系、100……光ディスク、101……記録層、102、103……基板、104……反射透過膜、Lr1……赤色光ビーム、Lr2……赤色反射光ビーム、Lb0、Lb1、Lb2……青色光ビーム、Lb3……青色再生光ビーム、Fr、Fb1、Fb2……焦点、RM……記録マーク。