JP2008096710A - 液晶シール剤、それを用いた液晶表示パネルの製造方法及び液晶表示パネル - Google Patents
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Abstract
【効果】本願発明の液晶シール剤は、室温での粘度安定性が良好で基材との接着性に優れ、液晶汚染性が低いため、該シール剤を用いた液晶表示パネルは液晶表示特性の信頼性が高い。更に、本願発明の液晶シール剤は、室温での粘度安定性が良好であるため、それを用いた液晶表示パネルの製造に好適である。
【選択図】なし
Description
このような液晶表示パネルの製造に用いられるシール剤としては、例えば、特許文献1のように、エポキシ樹脂を主体とする熱硬化性シール剤が提案されている。しかしながら、このような熱硬化性シール剤は、硬化させるために、120℃〜150℃の温度で数時間の時間を要し、さらに、液晶の注入に時間がかかることから、生産性を向上させることが困難となっていた。
これに対して、例えば、特許文献2、3等に記載のように、光及び熱硬化性液晶シール剤を用いた、液晶滴下工法と呼ばれる液晶表示パネルの製造方法が提案されている。
液晶滴下工法では、まず、液晶表示パネルを構成する2枚の基板の一方にディスペンサーまたはスクリーン印刷により四角形のシールパターンを形成する、次いで、その基板のシール枠内又は対となる基板に、液晶の微小滴を滴下塗布しシール剤未硬化の状態で2枚の基板を高真空下で重ね合わせ後、シール部に紫外線を照射して仮硬化を行う。その後、加熱によりアフターキュアを行い、液晶表示パネルを製造する。
従来の光及び熱硬化性液晶シール剤は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を始めとするエポキシ樹脂の変性(メタ)アクリレートを使用するため、液晶汚染性や室温での粘度安定性において必ずしも満足のいくものではなかった。
また、特許文献4には、分子内にアルキレンオキサイド単位を含有するエポキシ樹脂を使用することを特徴とする液晶シール剤が提案されているが、特許文献4のようなアルキレンオキサイド単位を含有するエポキシ樹脂は、一般に軟化点が低いまたは低粘度で、かつ、エポキシ基の反応性が低いため、得られるシール剤組成物は光硬化後のガラス転移温度が低く、加熱による熱硬化を行った際にアルキレンオキサイド単位を含有するエポキシ樹脂は低粘度化し液晶に溶出したり、配向膜上に滲み出したりすることにより、液晶表示パネルへの表示特性に影響が出やすいだけでなく、熱硬化の際に上下基板の位置ずれが起こり、得られる液晶表示パネルへの生産性に影響が出やすいなどの問題点があった。
また、(2)1分子内に少なくとも1個以上のアクリロイル基、メタクリロイル基及びエポキシ基を併せ持つ(メタ)アクリル変性樹脂成分、(3)熱熱潜在性エポキシ硬化剤、(4)光ラジカル重合開始剤を必須成分とすることが好ましい液晶シール剤である。
更に、成分(1)を液晶シール剤100重量部中に、5〜60重量部含有すること好ましい。
下記、[化1]で表される(1)アルキレンオキサイド変性フルオレン含有(メタ)アクリル樹脂を必須成分とする硬化性樹脂組成物であって、さらに(2)1分子内に少なくとも1個以上のアクリロイル基、メタクリロイル基及びエポキシ基を併せ持つ(メタ)アクリル変性樹脂成分と、(3)熱潜在性エポキシ硬化剤と、(4)光ラジカル重合開始剤、また、必要に応じて(5)エポキシ樹脂、(6)その他アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルモノマー、又はこれらのオリゴマー、(7)フィラーと、を含有する硬化性樹脂組成物からなる。更に、必要に応じてシランカップリング剤等の従来公知の(8)その他添加剤を含有しても良い。その構成成分について具体的に説明する。
[(1)アルキレンオキサイド変性フルオレン含有(メタ)アクリル樹脂]
下記、[化1]で表される(1)アルキレンオキサイド変性フルオレン含有(メタ)アクリル樹脂、
上記[化1]を満たす少なくとも1種以上の化合物であれば特に限定されないが、耐熱性、機械強度の観点から、n1、n2は好ましくはそれぞれ、1〜3の正数である。
成分(1)の好ましい具体例としては例えば、大阪ガスケミカル社製、商品名「オグソールEA−0200」(n1+n2=2)等の市販のフルオレン骨格含有(メタ)アクリレートも好適に使用可能である。
本願発明に用いる成分(2)1分子内に少なくとも1個以上のアクリロイル基、メタクリロイル基及びエポキシ基を併せ持つ(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂は、1分子内に(メタ)アクリル基とエポキシ基とをそれぞれ少なくとも1つ以上併せ持つ化合物であれば特に限定されない。
成分(2)の具体例として、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸やフェニル(メタ)アクリレートを例えば、塩基性触媒下で反応することにより得られる。
これら1分子内にエポキシ基及び(メタ)アクリル基を少なくともそれぞれ1個有する(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂は、樹脂骨格内にエポキシ基と(メタ)アクリル基を併せ持っているので、液晶シール剤中の成分(1)、成分(5)、及び、成分(6)との相溶性が高くなり、シール外観が向上し、さらに接着信頼性を発現することが可能となる。
本願発明に用いられる(2)の量は、シール剤の硬化体ガラス転移温度、粘度安定性の点で、液晶シール剤100重量部中に、通常10〜40重量部、好ましくは15〜30重量部の量で含有される。
上記成分(2)は、分子蒸留法、洗浄法等により高純度化を行ったものを使用することが好ましい。
(3)熱潜在性エポキシ硬化剤としては、公知のものが使用できるが一液型で粘度安定性が良好な配合物を与えることができる点から、具体的には有機酸ジヒドラジド化合物、イミダゾール及びその誘導体、ジシアンジアミド、芳香族アミン等が好ましく挙げられる。これらは単独で用いても組み合わせて使用しても良い。
これらのうち、熱潜在性エポキシ硬化剤としては、アミン系潜在性硬化剤であって、かつ、その融点、または、環球法による軟化点温度が、100℃以上であるものがより好ましい。アミン系潜在性硬化剤の融点又は環球法による軟化点温度が、100℃以上であると、室温での粘度安定性を良好に保持でき、スクリーン印刷やディスペンサー塗布により長時間使用することが可能となる。
本願発明に使用される熱潜在性エポキシ硬化剤は、水洗法、再結晶法などにより、高純度化処理を行ったものを使用することが好ましい。
本願発明に使用する(4)光ラジカル重合開始剤としては、特に限定されず、公知の材料を使用することが可能である。具体的には例えば以下のものが挙げられる。具体例としては、ベンゾイン系化合物、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサトン類、α−アシロキシムエステル類、フェニルグリオキシレート類、ベンジル類、アゾ系化合物、ジフェニルスルフィド系化合物、アシルホスフィンオキシド系化合物、有機色素系化合物、鉄−フタロシアニン系、ベンゾインエーテル類、アントラキノン類等の化合物が挙げられる。これら光ラジカル重合開始剤の使用量は、液晶シール剤100重量部中に、通常0.01重量部〜5重量部の量で用いられる。0.01重量部以上の量とすることにより光照射による硬化性を与え、5重量部以下とすることにより、液晶シール剤の塗布安定性が良好で、光硬化の際に均質な硬化体を得ることができる。
本願発明で使用する(5)エポキシ樹脂の具体例としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールF、ビスフェノールAD等で代表される芳香族ジオール類及びそれらをエチレングリコール、プロピレングリコール、アルキレングリコール変性したジオール類と、エピクロルヒドリンとの反応で得られた芳香族多価グリシジルエーテル化合物;、フェノール又はクレゾールとホルムアルデヒドとから誘導されたノボラック樹脂、ポリアルケニルフェノールやそのコポリマー等で代表されるポリフェノール類と、エピクロルヒドリンとの反応で得られたノボラック型多価グリシジルエーテル化合物;、キシリレンフェノール樹脂のグリシジルエーテル化合物類、等が具体的な例として挙げられる。
本願発明に用いるエポキシ樹脂は、環球法による軟化点が40℃以上でかつ、重量平均分子量が1000〜10000のものであればより好ましい。エポキシ樹脂の軟化点や重量平均分子量が上記範囲内にあると、エポキシ樹脂の液晶に対する溶解性、拡散性が低く、得られる液晶表示セルパネルの表示特性が良好であり、また(6)アクリル酸エステルモノマー及び/又はメタクリル酸エステルモノマー、又はこれらのオリゴマーに対する相溶性が良好で好ましい。エポキシ樹脂の重量平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレンを標準として測定できる。
本願発明に用いられる(4)の量は、接着性、上下基板の耐合わせずれ適性の点で、液晶シール剤100重量部中に、通常0〜20重量部、好ましくは5〜15重量部の量で含有される。
これらのエポキシ樹脂としては分子蒸留法などにより高純度化を行ったものを使用することが好ましい。
フルオレン含有(メタ)アクリル酸エステル以外の成分、すなわち、(6)その他(メタ)アクリル酸エステルモノマー及び/又はそれらのオリゴマーは以下のものが例示される。
ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のジアクリレート及び/又はジメタクリレート;、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのジアクリレート及び/又はジメタクリレート、;ネオペンチルグリコール1モルに4モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジアクリレート及び/又はジメタクリレート、;ビスフェノールA1モルに2モルのエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジアクリレート及び/又はジメタクリレート、;トリメチロールプロパン1モルに3モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たトリオールのジ又はトリアクリレート及び/又はジ又はトリメタクリレート、;ビスフェノールA1モルに4モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジアクリレート及び/又はジメタクリレート、;トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート及び/又はトリメタクリレート、;トリメチロールプロパントリアクリレート及び/又はトリメタクリレート、又は、そのオリゴマー;、ペンタエリスリトールトリアクリレート及び/又はトリメタクリレート、又は、そのオリゴマー;、ジペンタエリスリトールのポリアクリレート及び/又はポリメタクリレート、;トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート;、カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、;カプロラクトン変性トリス(メタクリロキシエチル)イソシアヌレート、;アルキル変性ジペンタエリスリトールのポリアクリレート及び/又はポリメタクリレート、;カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールのポリアクリレート及び/又はポリメタクリレート、;ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート及び/又はジメタクリレート、;カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート及び/又はジメタクリレート、;エチレンオキサイド変性リン酸アクリレート及び/又はジメタクリレート、;エチレンオキサイド変性アルキル化リン酸アクリレート及び/又はジメタクリレート;ネオペンチルグルコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールのオリゴアクリレート及び/又はオリゴメタクリレート等が挙げられる。
本願発明に用いられる(6)の量は、光硬化性、粘度安定性の点で、液晶シール剤100重量部中に、通常0〜20重量部、好ましくは5〜15重量部の量で含有される。
成分(6)は、水洗法などにより、高純度化を行ったものを使用することが好ましい。
液晶シール剤の粘性の制御を容易にしたり、硬化後の液晶シール剤の強度を向上し、また、線膨張性を抑えて接着信頼性を向上させるためにフィラーを使用する。
このフィラーには通常電子材料分野で使用可能なのものであればいずれでもよい。具体的には例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸ジルコニウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化亜鉛、二酸化ケイ素、チタン酸カリウム、カオリン、タルク、ガラスビーズ、セリサイト活性白土、ベントナイト、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の無機フィラー、また、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン及びこれらと共重合可能なモノマー類を共重合した共重合体、ポリエステル微粒子、ポリウレタン微粒子、ゴム微粒子等の公知の有機フィラーも使用可能である。
上記フィラーの中では、線膨張率、形状保持性の観点で無機フィラーが好ましく、UV透過性の観点から二酸化ケイ素、タルクがより好ましい。
液晶シール剤中のフィラーの使用量は、全液晶シール剤100重量部あたり、通常0〜50重量部、好ましくは2〜40重量部、更に好ましくは5〜30重量部含有する。
液晶シール剤中のフィラーの使用量が上記範囲内であれば、硬化後の液晶シール剤の接着強度が良好となるので好ましい。
本願発明では必要に応じて更に、熱ラジカル発生剤、シランカップリング剤等のカップリング剤、イオントラップ剤、イオン交換剤、レベリング剤、顔料、染料、可塑剤、消泡剤等の添加剤の使用が可能である。また、所望のセルギャップを確保するためスペーサー等を配合しても良い。
本願発明の液晶シール剤の調整は特に限定はない。混合には、例えば、双腕式攪拌機、ロール混練機、2軸押出機、ボールミル混練機、遊星式撹拌機等すでに公知の混練機械を介して行って良く、最終的にフィルターを用いてろ過を実施し、真空脱泡処理後にガラス瓶やポリ容器に密封充填され、貯蔵、輸送される。なお、粘度安定性を維持するため、調整時に本願発明の液晶シール剤にかかる温度としては、−15℃〜35℃が好ましく、より好ましくは10℃〜30℃未満である。
本願発明の液晶シール剤を用いて、液晶表示パネルを製造する方法としては特に限定されず、例えば、一方の液晶表示パネル用基板の外周付近に本願発明の液晶シール剤を使用してシールパターンを形成する工程と、液晶シール剤が未硬化の状態で液晶の微小液滴を液晶表示パネル用基板のシールパターンの枠内に滴下塗布する工程と、他方の液晶表示パネル用基板と、液晶の微小液滴が塗布された液晶表示パネル用基板とを重ね合わせる工程と、液晶滴下工法用液晶表示パネル用シール剤に光及び/又は熱を与えて硬化させる工程とを有する方法;一方の液晶表示用パネルの外周付近に本願発明の液晶シール剤を用いてシールパターンを形成する工程と、液晶シール剤が未硬化の状態でシールパターンが形成される液晶表示パネル用基板と、液晶の微小液滴が塗布された液晶表示パネル用基板とを重ねあわせる工程と液晶シール剤に光及び/又は熱を与えて効果させる工程とを有する方法等が挙げられる。これらの液晶表示パネルの製造方法も本願発明に包含される。
本願発明に用いる液晶表示パネル用基板の対向する面には、配向膜が形成されていても良い。上記配向膜としては特に限定されず、例えば、公知の有機配向剤や無機配向剤からなるものを用いることができる。
本願発明の液晶シール剤を用い、本願発明の製造方法によって製造された液晶表示パネルは、粘度安定性、接着性、液晶表示特性に優れた液晶表示パネルを与えることができる。これらの液晶表示パネルも本願発明に包含される。
・フルオレン含有(メタ)アクリレート樹脂
フルオレン含有アクリレート樹脂として、大阪ガスケミカル社製・商品名「オグソールEA−0200;エチレンオキサイド2モル(n1+n2=2)変性フルオレン含有ジアクリレート」、「オグソールEA−0500;エチレンオキサイド5モル(n1+n2=5)変性フルオレン含有ジアクリレート」または、「オグソールEA−1000;エチレンオキサイド10モル(n1+n2=10)変性フルオレン含有ジアクリレート」を使用した。
(2)1分子内に少なくとも1個以上のアクリロイル基、メタクリロイル基及びエポキシ基を併せ持つ(メタ)アクリル基含有エポキシ樹脂成分合成例1のメタクリル変性ビスフェノールF型エポキシ樹脂を使用した。
攪拌機、気体導入管、温度計、冷却管を備えた500mlの四つ口フラスコにビスフエノールF型エポキシ樹脂:「東都化成社製・商品名エポトートYDF−8170C」を160g、メタクリル酸:43g、トリエタノールアミン:0.2gを混合し、乾燥エア気流下、110℃、5時間加熱攪拌して、酸価が2mgKOH/gとなるまで加熱攪拌を続けメタクリル変性エポキシ樹脂を得た。得られた材料を超純水にて12回洗浄処理を繰り返した。
熱潜在性エポキシ硬化剤として1,3−ビス(ヒドラジノカルボエチル)−5−イソプロピルヒダントインである、味の素社製・商品名「アミキュアVDH−J」を使用した。
(4)光ラジカル重合開始剤
光ラジカル重合開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンであるチバスペシャリティ・ケミカルズ社製・商品名「イルガキュア184」を使用した。
(5)エポキシ樹脂
エポキシ樹脂として、O−クレゾールノボラック型固形エポキシ樹脂である日本化薬社製品・商品名「EOCN−1020−75」を使用した。
カラム精製したカプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート(Ebecryl2740、ダイセルサイテック製)を超純水洗浄して得られたアクリル樹脂を使用した。
(7)フィラー
フィラーとして、アドマテックス社製球状シリカ、「アドマファインA−802」(1次平均粒子径0.7μm)を使用した。
(8)添加剤
添加剤として、シランカップリングを使用した。γ−グリシドキシトリメトキシシラン:「信越化学工業社製・商品名KBM403」を使用した。
1)酸価は、樹脂をジエチルエーテル・エタノール溶液に溶解させ、フェノールフタレインエタノール溶液を添加し、溶液が無色になるまで滴下したエタノール性0.1NのKOHの消費量から算出した。
2)合成した(メタ)アクリル樹脂の数平均分子量の測定には、多角度光散乱装置つきゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC−MALLS)を用いた。測定条件は以下の通りである。
本体:昭和電工(株)製、システム21
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:1.0ml/分
カラム:Shodex製 GPC KF−802.5
検出器:ワイアットテクノロジー社の多角度光散乱検出器DAWN
<硬化性樹脂の超純水洗浄>
本願発明における硬化性樹脂の洗浄方法について説明する。断りのない限り、硬化性樹脂の洗浄とは本方法を意味する。硬化性樹脂を同重量のトルエンに溶解し、0.7μS/cm以下の超純水を加え、攪拌機を備え付けた分液ロートで攪拌混合し、トルエン層とその半重量加えた水層が分離するまで静置した。その後、水層のみ排出した。この際、硬化性樹脂の酸価相当以上の水酸化ナトリウムを超純水に溶かしておいた。更に、超純水を加え、攪拌混合、静置、分離を行い、最終の超純水の電気伝導度が2μS/cmとなるまで超純水洗浄を繰り返した。
<硬化性樹脂のカラム精製>
本願発明における硬化性樹脂のカラム精製方法について説明する。断りのない限り、硬化性樹脂のカラム精製とは本方法を意味する。硬化性樹脂をトルエンに溶解し、充填剤としてシリカゲルを用い、溶離液としてヘキサン、トルエン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、クロロホルムから1種あるいは2種類以上を混合して用いた。カラム精製は、必要に応じて回数を増やし、1回以上行っている。断りのない限り、脱溶剤は減圧下70℃で行い、溶剤を除去した。
(液晶表示パネルの液晶表示状態テスト)
透明電極及び、配向膜を付した40mm×45mmガラス基板(EHC社製、RT−DM88PIN)上に、5μmのガラスファイバーを1重量部添加した液晶シール剤を、ディスペンサー(ショットマスター;武蔵エンジニアリング社製)にて0.5mmの線幅、50μmの厚みで35mm×40mmの枠型に描画し、貼り合わせ後のパネル内容量に相当する液晶材料(MLC−6848−000:メルク社製)をディスペンサーを使用して精密に滴下した。さらに対となるガラス基板を90Paの減圧下で重ね合わせ、荷重をかけ固定した後、ウシオ電機製紫外線照射装置を使用し、100mW/cm2の紫外線照射照度で1000mJの照射エネルギーで光硬化を行った。光源にはメタルハライドランプを使用し、積算光量の測定には340nm〜390nmの測定波長範囲を有し、ピーク感度波長が365nmの紫外線積算光量計(トプコン社・UVR−T35)を使用した。
紫外線による光硬化後、さらに、120℃、60分加熱硬化した後に両面に偏向フィルムを貼り付けた。
その液晶パネルを直流電源装置を用い5Vの印加電圧で駆動させた際の液晶シール剤近傍の液晶表示機能が駆動初期から正常に機能するか否かでパネル表示特性の評価判定を行った。該判定方法は、シール際まで液晶表示機能が発揮出来ている場合を表示特性が良好であるとして記号○で、またシール際の近傍0.3mmを超えて表示機能の異常を見た場合を表示特性が著しく劣るとして記号×と表示した。
5μmのガラスファイバーを添加した液晶シール剤を、25mm×45mm厚さ5mmの無アルカリガラス上に直径1mmの円状にスクリーン印刷し、対となる同様のガラスを十字に貼り合わせて、荷重をかけながらウシオ製紫外線照射装置を使用し、100mW/cm2の紫外線照射照度で1000mJの照射エネルギーで光硬化を行い、その後、窒素雰囲気中120℃、60分加熱処理し光硬化のみの試験片を作成した。得られた試験片を引っ張り試験機(モデル210;インテスコ社製)を使用し、引っ張り速度2mm/分で平面引張り強度を測定した。該判定方法は10MPa以上の接着強度が得られている場合は、接着強度が良好あるとして記号○で、また、10MPa未満の接着強度が得られた場合は、接着強度が劣るとして記号×で表示した。
液晶シール剤100部をポリエチレン製容器に入れ、密封したのち、密封時の25℃粘度値を100とし25℃/5日経過後の同粘度値の変化率で表した。20%以下の変化率であった場合に貯蔵安定性が良好の意味で記号○で、20%を超える変化があった場合を貯蔵安定性不良の意味とし、記号×で表示した。
(実施例1)
O−クレゾールノボラックエポキシ樹脂(EOCN−1020−75 日本化薬社製)15部とフルオレン基含有(メタ)アクリル樹脂として揮発分を留去したエチレンオキサイド2モル変性フルオレン含有ジアクリレート(オグソールEA−0200 大阪ガスケミカル社製)8部を、カラム精製したカプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート(Ebecryl2740、ダイセルサイテック製)34部に100℃で1時間加熱溶解させて均一溶液とし、1時間真空処理を行い、揮発分を留去して冷却した。冷却後、合成例1の化合物10部、光ラジカル重合開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(イルガキュア184 チバスペシャティケミカル製)2部、熱潜在性エポキシ硬化剤として、1,3−ビス(ヒドラジノカルボエチル)−5−イソプロピルヒダントイン(アミキュアVDH−J 味の素社製)10部、フィラーとして球状シリカ(アドマファインA−802、アドマテックス社製)20部、及び、添加剤としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン1部を加え、ミキサーで予備混合し、次に3本ロールで固体原料が5μm以下になるまで混練し、目開き10μmのフィルター(ADVANTEC社製、MSP−10−E10S)でろ過した後、真空脱泡処理して液晶シール剤(P1)を得た。
フルオレン基含有(メタ)アクリル樹脂としてエチレンオキサイド2モル変性フルオレン含有ジアクリレート(オグソールEA−0200 大阪ガスケミカル社製)55部を、カラム精製したカプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート(Ebecryl2740、ダイセルサイテック製)15部に100℃で1時間加熱溶解させて均一溶液とし、1時間真空処理を行い、揮発分を留去して冷却した。冷却後、合成例1の化合物6部、光ラジカル重合開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(イルガキュア184 チバスペシャティケミカル製)2部、熱潜在性エポキシ硬化剤として、1,3−ビス(ヒドラジノカルボエチル)−5−イソプロピルヒダントイン(アミキュアVDH−J 味の素社製)6部、フィラーとして球状シリカ(アドマファインA−802、アドマテックス社製)15部、及び、添加剤としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン1部を加え、ミキサーで予備混合し、次に、3本ロールで固体原料が5μm以下になるまで混練して、目開き10μmのフィルター(ADVANTEC社製、MSP−10−E10S)でろ過した後、真空脱泡処理して液晶シール剤(P2)を得た。
O−クレゾールノボラックエポキシ樹脂(EOCN−1020−75 日本化薬社製)10部とフルオレン基含有(メタ)アクリル樹脂としてエチレンオキサイド5モル変性フルオレン含有ジアクリレート(オグソールEA−0500 大阪ガスケミカル社製)22部を、カラム精製したカプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート(Ebecryl2740、ダイセルサイテック製)25部使用した以外は実施例1と同様にして液晶シール剤(P3)を得た。
O−クレゾールノボラックエポキシ樹脂(EOCN−1020−75 日本化薬社製)5部とフルオレン基含有(メタ)アクリル樹脂として本願発明範囲外の、ジフェノキシエタノールフルオレンエポキシ樹脂のジアクリレート(ONF−1 ナガセケムテックス社製)22部を、カラム精製したカプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート(Ebecryl2740、ダイセルサイテック製)30部を使用した以外は実施例1と同様にして液晶シール剤(C1)を得た。
フルオレン基含有(メタ)アクリル樹脂を使用せず、O−クレゾールノボラックエポキシ樹脂(EOCN−1020−75 日本化薬社製)10部と、成分(6)としてカラム精製したカプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート(Ebecryl2740、ダイセルサイテック製)30部、及び、ビスフェノールA型エポキシ樹脂ジメタクリレート(エポキシエステル3000M 共栄社化学社製)22部使用した以外は実施例1と同様にして液晶シール剤(C2)を得た。
フルオレン基含有(メタ)アクリル樹脂を使用せず、ビスフェノキシエタノールフルオレンジグリシジルエーテル(BPEF−G 大阪ガスケミカル社製)10部、O−クレゾールノボラックエポキシ樹脂(EOCN−1020−75 日本化薬社製)10部と、成分(6)としてカラム精製したカプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート(Ebecryl2740、ダイセルサイテック製)37部、使用した以外は実施例1と同様にして液晶シール剤(C3)を得た。
フルオレン基含有(メタ)アクリル樹脂としてエチレンオキサイド10モル変性フルオレン含有ジアクリレート(オグソールEA−1000 大阪ガスケミカル社製)22部を、使用した以外は実施例2と同様にして液晶シール剤(C4)を得た。
実施例1〜3、比較例1〜4で作成した液晶シール剤を使用した液晶表示パネルの液晶表示状態テスト、接着強度テスト、粘度安定性テストの結果を表1に示した。
Claims (6)
- さらに、(2)1分子内に少なくとも1個以上のアクリロイル基、メタクリロイル基及びエポキシ基を併せ持つ(メタ)アクリル変性樹脂成分、(3)熱熱潜在性エポキシ硬化剤、(4)光ラジカル重合開始剤を必須成分とすることを特徴とする、請求項1記載の液晶シール剤。
- 成分(1)を液晶シール剤100重量部中に、5〜60重量部含有することを特徴とする請求項1又は2記載の液晶シール剤。
- 請求項1記載の液晶シール剤を用い、一方の液晶表示パネル用基板にシールパターンを形成する工程と、該液晶シール剤が未硬化の状態で液晶の微小液滴を該パネル基板のシールパターンの枠内に滴下塗布する工程と、他方の該パネル用基板と液晶の微小液滴が塗布された透明基板とを重ね合わせる工程と、からなることを特徴とする液晶表示パネルの製造方法。
- 請求項1記載の液晶シール剤を用い、一方の液晶表示パネル用基板にシールパターンを形成する工程と、他方の該パネル用基板に液晶の微小液滴を滴下塗布し、該液晶シール剤が塗布されたパネル基板とを、該液晶シール剤が未硬化の状態で重ね合わせる工程と、からなることを特徴とする液晶表示パネルの製造方法。
- 請求項4又は5記載の液晶表示パネルの製造方法により得られた液晶表示パネル。
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