JP2008095648A - エンジンの制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】各気筒の掃気を十分に行って、燃焼によるエンジンの自動始動を確実に行えるようにする。
【解決手段】多気筒4サイクルエンジンEが、あらかじめ設定された条件に基づいて、自動停止と燃焼による自動始動を行うように設定されている。各気筒1の吸気弁10、排気弁11が、例えば電磁式の弁駆動手段10Aあるいは11Aによって、クランク軸の回転位置とは無関係に個々独立して開閉駆動可能とされている。弁駆動手段10A、11Aを制御することにより、吸気弁10,排気弁11は、エンジンの通常運転時には、各気筒1において吸気行程、圧縮行程、膨張行程、排気行程の4行程を繰り返す通常モードで開閉駆動され、エンジンを自動停止させている最中には、各気筒1において吸気行程と排気行程の2行程を繰り返す特定モードで開閉駆動される。
【選択図】 図1
【解決手段】多気筒4サイクルエンジンEが、あらかじめ設定された条件に基づいて、自動停止と燃焼による自動始動を行うように設定されている。各気筒1の吸気弁10、排気弁11が、例えば電磁式の弁駆動手段10Aあるいは11Aによって、クランク軸の回転位置とは無関係に個々独立して開閉駆動可能とされている。弁駆動手段10A、11Aを制御することにより、吸気弁10,排気弁11は、エンジンの通常運転時には、各気筒1において吸気行程、圧縮行程、膨張行程、排気行程の4行程を繰り返す通常モードで開閉駆動され、エンジンを自動停止させている最中には、各気筒1において吸気行程と排気行程の2行程を繰り返す特定モードで開閉駆動される。
【選択図】 図1
Description
本発明は、エンジンの自動停止および自動始動を行うようにしたエンジンの制御装置に関するものである。
エンジン、特に自動車用エンジンにおいては、燃費向上や排気ガスによる環境悪化の抑制のために、例えばアイドル時等の所定のエンジン自動停止条件が満足されたときに、エンジンを自動停止させるようにしている。そして、このようなエンジンの自動停止を行う場合は、エンジンの自動始動が必要となるが、自動始動は確実かつすみやかに行うことが要求される。
エンジンの始動には、通常はスタータモータを利用して行うことが多いが、エンジンの自動停止および自動始動を頻繁に行う場合は、スタータモータとしてその信頼性(耐久性)が極めて高いものが要求されてコスト高となる一方、スタータモータを利用したエンジンの始動では、すみやかなエンジン始動というものが難しくなる。また、スタータモータを頻繁に駆動させる必要から、バッテリの消費電力も大きくなってしまうという問題も生じることになる。
エンジンの自動始動を特にすみやかに行うために、燃焼を利用して自動始動することが提案されている。特許文献1には、エンジンの自動停止時に膨張行程にある気筒に対して燃料を供給して点火を行うことにより自動始動を行うものが提案され、この自動始動が確実となるように、エンジンの自動停止条件が成立した直後には、スロットル弁の開度を増大させて、吸入空気を利用した掃気効果を高めることが提案されている。また、特許文献2には、エンジンの自動停止後の自動始動の際には、エンジン停止時に圧縮行程にある気筒で燃焼を行わせて一旦エンジンを逆転させることにより、直前のサイクルで膨張行程にあった気筒を十分に圧縮が行われた圧縮行程となるようにして、この圧縮行程とされた気筒に対して燃料を供給してエンジン始動を行うことが提案されている。
特開2004−293474号公報
特開2006−105160号公報
燃焼によるエンジンの自動始動を行う場合は、各気筒内の掃気を十分を行って、自動始動の際に燃焼が確実に行えるようにすることが重要となる。しかしながら、従来の多気筒4サイクルエンジンでは、各気筒は、吸気行程、圧縮行程、膨張行程、排気行程を繰り返す4サイクルのまま自動停止されているので、掃気を行う機会に限界があり、掃気を十分に行うという点ではいまだ満足のいかないものとなる。
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その目的は、各気筒の掃気を十分に行って、燃焼によるエンジンの自動始動を確実に行えるようにしたエンジンの制御装置を提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明にあっては、基本的に、エンジンの自動停止を行っている最中は、各気筒を吸気行程と排気行程との2つの行程のみを繰り返す2サイクルでの特定モードとなるようにしてある。
本発明にあっては、具体的には、次のような解決手法を採択してある。すなわち、特許請求の範囲における請求項1に記載のように、
多気筒4サイクルエンジンを制御するエンジンの制御装置であって、
あらかじめ設定されたエンジンの自動停止条件が満足されたときに、燃料供給を停止してエンジンを自動停止させる自動停止手段と、
あらかじめ設定されたエンジンの自動始動条件を満足したときに、燃焼を行わせてエンジンの自動始動を行う自動始動手段と、
各気筒の吸気弁、排気弁を、クランク軸の回転位置とは無関係に個々独立して開閉駆動可能な弁駆動手段と、
前記弁駆動手段の作動を制御する弁制御手段と、
を備え、
前記弁制御手段は、前記弁駆動手段を制御して、エンジンの通常運転時には、各気筒において吸気行程、圧縮行程、膨張行程、排気行程の4行程を繰り返す通常モードでの開閉駆動を行わせる一方、前記自動停止手段によってエンジンを自動停止させている最中には、各気筒において吸気行程と排気行程の2行程を繰り返す特定モードでの開閉駆動を行わせるように設定されている、
ようにしてある。
多気筒4サイクルエンジンを制御するエンジンの制御装置であって、
あらかじめ設定されたエンジンの自動停止条件が満足されたときに、燃料供給を停止してエンジンを自動停止させる自動停止手段と、
あらかじめ設定されたエンジンの自動始動条件を満足したときに、燃焼を行わせてエンジンの自動始動を行う自動始動手段と、
各気筒の吸気弁、排気弁を、クランク軸の回転位置とは無関係に個々独立して開閉駆動可能な弁駆動手段と、
前記弁駆動手段の作動を制御する弁制御手段と、
を備え、
前記弁制御手段は、前記弁駆動手段を制御して、エンジンの通常運転時には、各気筒において吸気行程、圧縮行程、膨張行程、排気行程の4行程を繰り返す通常モードでの開閉駆動を行わせる一方、前記自動停止手段によってエンジンを自動停止させている最中には、各気筒において吸気行程と排気行程の2行程を繰り返す特定モードでの開閉駆動を行わせるように設定されている、
ようにしてある。
上記解決手法によれば、エンジンの自動停止が行われているときは、各気筒は、吸気行程と排気行程との2つの行程のみを繰り返すだけなので、圧縮行程や膨張行程を含むサイクルに比して、各気筒内が掃気される機会が大幅に向上されて、各気筒共に十分に掃気されることになる。これにより、その後に自動始動のための燃料供給が行われたときに、確実な着火、燃焼つまり確実なエンジンの自動始動が行われることになる。勿論、燃焼による自動始動なので、スタータモータを利用したエンジン始動の場合に比して、自動始動をすみやかに行うことができる。
上記解決手法を前提とした好ましい態様は、特許請求の範囲における請求項2以下に記載のとおりである。すなわち、
前記自動停止手段が作動してからエンジンが停止されるまでの間に前記自動始動条件が満足された場合に、前記自動始動手段は、前記特定モードにおいて排気行程となっている特定気筒のピストン位置が所定位置よりも下死点側にあるときは、前記弁制御手段によって前記特定気筒の排気弁を閉弁させると共に、前記特定気筒において燃焼によるエンジンの自動始動を実行させる一方、前記特定気筒のピストン位置が前記所定位置よりも上死点側にあるときは、前記弁制御手段によって前記通常モードに復帰させると共に、最初に圧縮行程となる気筒において燃焼によるエンジンの自動始動を実行させる、ようにしてある(請求項2対応)。この場合、上記特定気筒のピストン位置が所定位置よりも下死点側に位置するときは、この特定気筒内の吸入空気を十分に圧縮することが可能なので、その後の燃料供給によって自動始動が確実に行われることになる。また、上記特定気筒のピストン位置が所定位置よりも上死点側にあるときは、この特定気筒内の吸入空気を十分に圧縮できないこととなるが、この場合は、次のサイクルで圧縮行程となる気筒に対して燃料供給することによって自動始動を行うので、この場合においても自動始動を確実に行うことができる。
前記自動停止手段が作動してからエンジンが停止されるまでの間に前記自動始動条件が満足された場合に、前記自動始動手段は、前記特定モードにおいて排気行程となっている特定気筒のピストン位置が所定位置よりも下死点側にあるときは、前記弁制御手段によって前記特定気筒の排気弁を閉弁させると共に、前記特定気筒において燃焼によるエンジンの自動始動を実行させる一方、前記特定気筒のピストン位置が前記所定位置よりも上死点側にあるときは、前記弁制御手段によって前記通常モードに復帰させると共に、最初に圧縮行程となる気筒において燃焼によるエンジンの自動始動を実行させる、ようにしてある(請求項2対応)。この場合、上記特定気筒のピストン位置が所定位置よりも下死点側に位置するときは、この特定気筒内の吸入空気を十分に圧縮することが可能なので、その後の燃料供給によって自動始動が確実に行われることになる。また、上記特定気筒のピストン位置が所定位置よりも上死点側にあるときは、この特定気筒内の吸入空気を十分に圧縮できないこととなるが、この場合は、次のサイクルで圧縮行程となる気筒に対して燃料供給することによって自動始動を行うので、この場合においても自動始動を確実に行うことができる。
前記自動始動条件が満足したときのエンジン回転数が低いほど、前記所定位置が下死点側となるように変更される、ようにしてある(請求項3対応)。この場合、自動始動を開始するときのエンジン回転数が低いほど、自動始動のために大きな燃焼エネルギが必要となるが、この燃焼エネルギが確実に確保できる適切な状態でもって自動始動を行なうようにして、自動始動を確実に行うことができる。
本発明によれば、各気筒の掃気を十分に行って、燃焼によるエンジンの自動始動を確実に行なうことができる
図1,図2において、エンジンE(エンジン本体)は、実施形態では火花点火式の直列4気筒エンジンとされて、各気筒1には、それぞれ2つの吸気ポート2と,2つの排気ポート3が形成されている。吸気ポート2に連なる吸気通路4には、上流側から下流側へ順次、エアクリーナ5,スロットル弁6,サージタンク7が配設されている。吸気通路4のうち、サージタンク7よりも上流側部分は1本の共通吸気通路4aとされ、サージタンク7から下流側部分は、サージタンク7に対して各気筒1を個々独立して接続する分岐吸気通路4bとされている。また、排気ポート3には、排気通路8が接続されている。この排気通路8は、その下流側部分が1本の共通排気通路8aとされると共に、その上流側部分が、各気筒1における排気ポート3を共通排気通路8aに対して個々独立して接続する分岐排気通路8bとされている。
図1に示すように、各気筒1には、吸気ポート2を開閉する吸気弁10,排気ポート3を開閉する排気弁11の他、気筒内に燃料噴射を行う燃料噴射弁12,および噴射された燃料の着火を行う点火プラグ13が配設されている。吸気弁10は、電磁式の吸気弁駆動手段10Aによって開閉駆動され、同様に、排気弁11も、電磁式の排気弁駆動手段11Aによって開閉駆動されるようになっている。なお、図1中、15はクランク軸、16はピストン、17はコンロッドである。
吸気弁10および排気弁11共に、クランク軸15との機械的な連係は採択されておらず、クランク軸15の回転位置にかかわらず、上記弁駆動手段10A、11Aの作動状態変更によって開閉される。すなわち、吸気弁駆動手段10Aが消磁されたときは、吸気弁10は、図示を略すリターンスプリングによって閉弁される一方、吸気弁駆動手段10Aが励磁されたときはリターンスプリングに抗して吸気弁10が開弁されるようになっている。同様に、排気弁駆動手段11Aが消磁されたときは、排気弁11は、図示を略すリターンスプリングによって閉弁される一方、排気弁駆動手段11Aが励磁されたときはリターンスプリングに抗して排気弁11が開弁されるようになっている。なお、弁駆動手段10A、11Aは、実施形態ではON・OFF的に作動されるものとされて、吸気弁10,排気弁11の開弁時の最大リフト量が常時一定となるように設定されている。なお、弁駆動手段10A、11Aの励磁力を段階的あるいは無段階に調整することにより、吸気弁10,排気弁11の開弁時の最大リフト量を変更できるようにしてもよい(エンジン回転数およびエンジン負荷に応じたリフト量の最適化)。
エンジンEは、後述するように自動停止および自動始動されるが、通常時、つまり通常のエンジン運転時には、各気筒1は、吸気行程、圧縮行程、膨張行程、排気行程の4行程を順次繰り返す4サイクルでの運転とされ、この運転状態が通常モードとされる。この一方、エンジンEの自動停止に関連して、各気筒1の掃気性を高めるために、各気筒1は、吸気行程と排気行程との2行程を順次繰り替える2サイクルでの運転も選択的に行われるようになっており、このような2サイクルでの運転状態が特定モードとされる。勿論、このような特定モードは、吸気弁10および排気弁11が、クランク軸15に対して機械的な連係がなくて、弁駆動手段10Aあるいは11Aによって任意のタイミングでもって開閉駆動されることから実現可能となっている。
図3は、本発明における制御系統例を示すもので、Uはマイクロコンピュータを利用して構成されたコントローラである。このコントローラUには、各種センサ21〜25からの信号が入力される。センサ21,22は、クランク軸15の回転位置を検出するクランク角センサである(図2をも参照)、センサ23は、アクセル開度を検出するアクセル開度センサである、センサ24は、ブレーキペダルを踏み込み操作したときにONされるブレーキセンサである。センサ25は、車速を検出する車速センサである。また、コントローラUは、点火プラグ13,燃料噴射弁12,スロットル弁を駆動するアクチュエータ18(図1、図2をも参照)、スタータモータ19(図2をも参照)、および前述の弁駆動手段10A、11Aを制御する。
次に、コントローラUによる制御の概要について説明する。まず、通常のエンジンEの運転時には、4サイクルでの運転を行う通常モードとされる。この通常モードは、従来一般的な4サイクルエンジンと全く同じ運転態様であり、クランク軸15の回転位置に応じて、各気筒1の吸気弁10および排気弁11が適宜開閉駆動されて、各気筒1は、吸気行程、圧縮行程、膨張行程および排気行程を順次繰り返すことになる。通常モードでの吸気弁10,排気弁11の開閉の状態が、1つの気筒に着目したものとして、図4に示される。勿論、各気筒1間においては、行程が等間隔でずれており(実施形態では4気筒のため、クランク角で180度ずつ行程がずれている)、実施形態では、行程順を点火順で示したときに、2番気筒、4番気筒、3番気筒、1番気筒となるように設定されている。
通常モードにおいては、燃料噴射弁12からの燃料噴射タイミングは、例えば圧縮行程の途中で燃料噴射が実行されて、圧縮行程の終期に点火が実行されることになる。また、アクセル開度に応じてスロットル弁6の開度つまり吸入空気量が決定され、燃料噴射量は、エンジン回転数およびアクセル開度に応じて決定される。このような通常モード時での運転については、従来からよく知られているので、これ以上の説明は省略する。
エンジンEは、後述するように、あらかじめ設定された自動停止条件を満足したときに、燃料噴射および点火が中止されて、自動停止される。自動停止条件としては、種々設定できるが、例えば、ブレーキペダルを踏み込み操作しているとき、あるいは車速が0でかつブレーキペダルを踏み込み操作しているとき、という条件設定を行うことができる(アイドルストップ)。この自動停止条件を満足した後、エンジンEが完全に停止するまでの間は、各気筒1の行程は、図5に示す特定モードとされる。この特定モードでは、各気筒1は、吸気行程と排気行程との2行程のみを繰り返す2サイクルのモードとされる。すなわち、通常モードから特定モードへ切替えられた初期時には、4つの気筒1のうち、吸気行程にある気筒と膨張行程にある2つの気筒が共に吸気行程となるように切替えられ、また排気行程と圧縮行程にある2つの気筒が共に排気行程となるように切替えられ、その後は、各気筒1についてそれぞれ吸気行程と排気行程とが交互に繰り返されることになる。このような特定モードは、吸気弁10および排気弁11が、吸気弁駆動手段10Aあるいは排気弁駆動手段11Aによってクランク軸15の回転位置とは無関係に開閉駆動されることによって達成される。
上記特定モードでは、通常モードでは圧縮行程あるいは膨張行程となる気筒が吸気行程あるいは排気行程とされるので、吸気と排気とを繰り返す機会が大幅に増大され、この結果各気筒1における掃気が十二分に行われることになる。
エンジンEが自動停止された後(エンジン回転数が零になる完全停止後)、あらかじめ設定された自動始動条件が満足されたときには、エンジンEの自動始動が行われる。自動始動の条件は適宜設定できるが、例えば、アクセルペダルが踏み込み操作されると共に、ブレーキペダルの踏み込みが解除されたときとして設定することができる。この自動始動は、前述の特許文献2に記載のように、停止状態において圧縮行程にあった気筒に燃料噴射を行うと共に点火を実行することによって、エンジンEが一旦逆転される。この後、その直前のサイクルにおいてつまり停止状態において膨張行程であった気筒が、上記逆転によって吸気が十分に圧縮された圧縮行程となっているので、この圧縮行程となっている気筒に対して燃料噴射を行うと共に点火を実行されて、エンジンEの自動始動が確実かつすみやかに行われることになる。とりわけ、エンジンEの自動停止時に、前述の特定モードとされて各気筒1の掃気が十分に行われているので、エンジンEを極めて確実に自動始動することが可能となる。このように、エンジンEを一旦逆転させて自動始動を行う態様を、基本始動態様と称する。
エンジンEを自動停止している途中(クランク軸15がまだ回転されている状態)において、自動始動の条件が満足されたときは、次のよう第1特別始動態様および第2特別始動態様のいずれかの態様でもって自動始動が実行される。第1特別始動態様でもって自動始動が実行されるのは、自動始動の条件が成立したときに、排気行程にある特定気筒のピストン位置が、クランク角において所定位置よりも下死点側にある場合である。この場合は、上記特定気筒の排気弁11を閉じることによって、特定気筒が圧縮行程となるようにして、この特定気筒に対して燃料噴射を行うと共に圧縮行程終期に点火が実行される(自動始動)。すなわち、ピストン位置が所定位置よりも下死点側に位置するということは、排気弁11を閉じることによって、その後十分に圧縮を行うことのできる気筒であり、十分な圧縮が得られることによって自動始動が確実に行われることになる。この後は、各気筒1の行程は通常モードに復帰される。上述のような第1特別始動態様での自動始動の状況が図6に示され、この図6においてα時点が自動始動条件が成立したときとなる。なお、図6においてC1〜C4はサイクルを示す(各サイクルC1〜C4の間隔はクランク角で180度である)。
第2特別始動態様でもって自動始動が実行されるのは、自動始動の条件が成立したときに、排気行程にある特定気筒のピストン位置が、クランク角において所定位置よりも上死点側にある場合である。この場合は、この特定気筒の排気弁11を閉じて特定気筒を圧縮行程としても、十分な圧縮が得られないことになる。したがって、この場合は、通常モードに復帰させて、通常モードに復帰されたときに最初に圧縮行程となる気筒に対して、燃料噴射を行うと共に点火が実行される(自動始動)。上述のような第2特別始動態様での自動始動の状況が図7に示され、この図7においてβ時点が自動始動条件が成立したときとなる。この図7と図6とを対比して容易に理解されるように、第1特別始動態様の方が、第2特別始動態様に比して1サイクル分だけ自動始動を早く行うことができる。
前述の第1特別始動態様あるいは第2特別始動態様での自動始動を行う場合に、エンジン回転数が低いほど、自動始動のために必要な燃焼エネルギが大きくなる。このため、エンジン回転数が低いほど、第1特別始動態様と第2特別始動態様との切替しきい値となる前記所定位置が、より下死点側になるように変更される。
次に、図8,図9のフローチャートを参照しつつ、前述したコントローラUによる具体的な制御例について説明する。なお、以下の説明でSはステップを示す。
まず、図8のS1において、エンジンEを自動停止させる条件が成立したか否かが判別される。このS1の判別でNOのときは、S1の判別が繰り返される。また、S1の判別でYESのときは、S2において、各気筒1に対する燃料噴射がカットされる。この後、S3において、弁駆動手段10A、11Aを制御して、特定モードに移行される。
S3の後、S4において、エンジンEの自動始動条件が成立したか否かが判別される。このS4の判別でNOのときは、S5において、エンジン回転数が所定回転数以下であるか否かが判別される。このS5における所定回転数は、エンジンEが完全停止されるまでに数行程(例えば2〜5行程)を要するときの回転数とされる。
上記S5の判別でNOのときは、S4に戻る。また、S5の判別でYESのときは、S6以下の処理によって、次の自動始動に備えて各気筒1内の掃気性を高める処理が実行される。すなわち、S6において通常モードに復帰させた後、S7において、TDC(上死点)を通過した回数のカウントアップが開始される。この後、S8において、TDCを通過した回数に応じて、吸気弁10の閉じタイミングのリタード量を大きくする処理が行われる(TDCを通過した回数が多いほどリタード量が増大されて、吸気遅閉じの度合が大きくされる)。
S8の後、S9によって、リタードが完了したか否かが判別される。このS9の判別は、具体的には、リタード量が所定の上限値以上になったか否かの判別となる。このS9の判別でNOのときは、S7に戻る。また、S9の判別でYESのときは、S10において、通常の自動始動(基本始動態様)に備える処理が行われる(停止時に圧縮行程にある気筒の記憶等が行われる)。
前記S4の判別でYESのときは、図9のS21に移行する。このS21では、エンジン回転数に応じて、ピストンの所定位置が設定される(エンジン回転数が低いほど、下死点側位置に設定される)。次いで、S22において、排気行程にある気筒のピストン位置が、上記所定位置よりも下死点側に位置するか否かが判別される。このS22の判別でYESのときは、図6に示す第1特別始動態様でもって自動始動を行う条件が満足された場合であって、S23〜S26の処理によって、第1特別始動態様での自動始動が準備される。すなわち、S23において、排気弁11を閉弁させる排気行程にある特定の1つの気筒が決定され、この後、S24において、エンジン回転数に応じて、排気弁11の閉じタイミングが決定される(エンジン回転数が高いほど、閉じタイミングが遅くされる)。この後、S25において、決定された排気弁11の閉じタイミングを通過したか否かが判別される。このS25の判別でNOのときはS25の判別が繰り返される。また、S25の判別でYESのときは、S26において、排気弁11が閉弁されて、排気行程にあった特定気筒が圧縮行程とされる。
上記S26の後は、S27において、圧縮行程に切替えられた特定気筒に対して、燃料噴射が行われる。S27の後、S28において、TDCを通過したか否かが判別される。このS28の判別でNOのときはS28の判別が繰り返される。また、S28の判別でYESのときは、S29において、通常モードに切替えられる。この後、S30において、燃料噴射された圧縮行程にある気筒が膨張行程に移行しているので、この膨張行程にある気筒に対して点火が実行されて(膨張行程初期に点火実行)、自動始動が行われる。この後は、S31において、燃焼によるエンジンEの自動始動によって急激なエンジン回転数の上昇を抑制する制御が行われる。S31での処理は、エンジン回転数の上昇度合が大きいときに、例えば、燃料噴射量の低減や点火時期のリタード等が行われる。なお、S30では、自動始動の際に、膨張行程において点火を実行するのは、急激に大きな燃焼エネルギが発生しないようにするためであり、S31のエンジン回転数の急激な上昇を抑制処理との関係もあるが、燃料噴射された気筒が圧縮行程にあるときに点火を実行するようにしてもよい(図7に示すタイミングでの点火実行)。
前記S22の判別でNOのときは、第2特別始動態様での自動始動を行う場合である。このときは、S32において、排気行程にある気筒がTDCを通過したか否かが判別される。このS32の判別でNOのときは、S32の判別が繰り返される。また、S32の判別でYESのときは、S33において、1サイクル前に吸気行程であった気筒の1つを圧縮行程とする処理が行われる(吸気弁10は既に閉じているので、排気弁11が閉弁される)。この後は、前述のS27以降の処理が行われる。
以上実施形態について説明したが、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載された範囲において適宜の変更が可能であり、例えば次のような場合をも含むものである。自動始動条件や自動停止条件は、適宜設定できるものである。特に、エンジンの他に走行用のモータを備えたハイブリッド車においては、モータ駆動用バッテリの蓄電量の大小や、走行負荷等に応じてエンジンの自動停止と自動始動とをかなり頻繁に繰り返すことになるが、このための自動停止条件と自動始動条件とは、ハイブリッドシステム構成に応じて適宜選択されることになる。自動停止の最中に自動始動条件が成立したときの特別始動態様としては、図7に示す第2特別始動態様のみを設定するようにしてもよい。弁駆動手段10A、11Aは、例えば油圧式等適宜のものを採択することができる。スタータモータ19は、キースイッチによって始動操作されたときにのみ作動されるが、自動始動時に、燃焼による自動始動に加えて、スタータモータ19による始動を重複して行うようにしてもよい(スタータモータ19による始動補助)。勿論、本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として表現されたものを提供することをも暗黙的に含むものである。
1:気筒
2:吸気ポート
3:排気ポート
4:吸気通路
8:排気通路
10:吸気弁
10A:吸気弁駆動手段
11:排気弁
11A:排気弁駆動手段
12:燃料噴射弁
13:点火プラグ
15:クランク軸
16:ピストン
E:エンジン
U:コントローラ
2:吸気ポート
3:排気ポート
4:吸気通路
8:排気通路
10:吸気弁
10A:吸気弁駆動手段
11:排気弁
11A:排気弁駆動手段
12:燃料噴射弁
13:点火プラグ
15:クランク軸
16:ピストン
E:エンジン
U:コントローラ
Claims (3)
- 多気筒4サイクルエンジンを制御するエンジンの制御装置であって、
あらかじめ設定されたエンジンの自動停止条件が満足されたときに、燃料供給を停止してエンジンを自動停止させる自動停止手段と、
あらかじめ設定されたエンジンの自動始動条件を満足したときに、燃焼を行わせてエンジンの自動始動を行う自動始動手段と、
各気筒の吸気弁、排気弁を、クランク軸の回転位置とは無関係に個々独立して開閉駆動可能な弁駆動手段と、
前記弁駆動手段の作動を制御する弁制御手段と、
を備え、
前記弁制御手段は、前記弁駆動手段を制御して、エンジンの通常運転時には、各気筒において吸気行程、圧縮行程、膨張行程、排気行程の4行程を繰り返す通常モードでの開閉駆動を行わせる一方、前記自動停止手段によってエンジンを自動停止させている最中には、各気筒において吸気行程と排気行程の2行程を繰り返す特定モードでの開閉駆動を行わせるように設定されている、
ことを特徴とするエンジンの制御装置。 - 請求項1において、
前記自動停止手段が作動してからエンジンが停止されるまでの間に前記自動始動条件が満足された場合に、前記自動始動手段は、前記特定モードにおいて排気行程となっている特定気筒のピストン位置が所定位置よりも下死点側にあるときは、前記弁制御手段によって前記特定気筒の排気弁を閉弁させると共に、前記特定気筒において燃焼によるエンジンの自動始動を実行させる一方、前記特定気筒のピストン位置が前記所定位置よりも上死点側にあるときは、前記弁制御手段によって前記通常モードに復帰させると共に、最初に圧縮行程となる気筒において燃焼によるエンジンの自動始動を実行させる、ことを特徴とするエンジンの制御装置。 - 請求項2において、
前記自動始動条件が満足したときのエンジン回転数が低いほど、前記所定位置が下死点側となるように変更される、ことを特徴とするエンジンの制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006281000A JP2008095648A (ja) | 2006-10-16 | 2006-10-16 | エンジンの制御装置 |
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Family Applications (1)
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2006
- 2006-10-16 JP JP2006281000A patent/JP2008095648A/ja active Pending
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