JP2008151084A - エンジンの始動制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】エンジンの自動始動の際に、燃焼エネルギをより十分に確保できるようにする。
【解決手段】エンジンEの自動停止時に、吸気行程にある気筒の吸気弁10のリフト量が強制的に0(全閉)に設定される。エンジンEの自動始動時には、エンジン停止時に膨張行程にある気筒と吸気行程にある気筒との2つの気筒で燃焼が実行されて、エンジンEが正転方向に駆動される。
【選択図】 図5
【解決手段】エンジンEの自動停止時に、吸気行程にある気筒の吸気弁10のリフト量が強制的に0(全閉)に設定される。エンジンEの自動始動時には、エンジン停止時に膨張行程にある気筒と吸気行程にある気筒との2つの気筒で燃焼が実行されて、エンジンEが正転方向に駆動される。
【選択図】 図5
Description
本発明は、エンジンの自動停止および自動始動を行うようにしたエンジンの始動制御装置に関するものである。
エンジン、特に自動車用エンジンにおいては、燃費向上や排気ガスによる環境悪化の抑制のために、例えばアイドル時等の所定のエンジン自動停止条件が満足されたときに、エンジンを自動停止させるようにしている。そして、このようなエンジンの自動停止を行う場合は、エンジンの自動始動が必要となるが、自動始動は確実かつすみやかに行うことが要求される。
エンジンの始動には、通常はスタータモータを利用して行うことが多いが、エンジンの自動停止および自動始動を頻繁に行う場合は、スタータモータとしてその信頼性(耐久性)が極めて高いものが要求されてコスト高となる一方、スタータモータを利用したエンジンの始動では、すみやかなエンジン始動というものが難しくなる。また、スタータモータを頻繁に駆動させる必要から、バッテリの消費電力も大きくなってしまうという問題も生じることになる。
エンジンの自動始動を特にすみやかに行うために、燃焼(燃焼のみ)を利用して自動始動することが提案されている。特許文献1には、エンジン自動停止後における自動始動時に、エンジン停止時に膨張行程にある気筒を燃焼させてエンジンの始動を行うもの(正回転方向の駆動を行うもの)が開示されている。
エンジン停止時に膨張行程にある気筒を燃焼させてエンジンの始動を行う際に、自動始動をより確実に行うために、特許文献2に記載のように、エンジンの自動停止後の自動始動の際には、エンジン停止時に圧縮行程にある気筒で燃焼を行わせて一旦エンジンを逆転させることにより、直前のサイクルで膨張行程にあった気筒を十分に圧縮が行われた圧縮行程となるようにして、この圧縮行程とされた気筒に対して燃料を供給してエンジン始動を行うことが提案されている。
なお、特許文献3には、カムシャフトに設けた可変リフト機構をアクチュエータで駆動する弁駆動手段が開示されて、この弁駆動手段によって吸気弁あるいは排気弁のリフト量および開弁期間を変更するものが開示されている。
特開2006−57530号公報
特開2004−293474号公報
特開2006−97647号公報
燃焼によるエンジンの自動始動の際に、エンジンを正転方向に駆動する燃焼エネルギをいかに大きく確保するかが重要となるが、従来は、いずれにあっても正転方向に駆動するために行われる最初の燃焼は1つの気筒のみであり、大きな燃焼エネルギを確保するには限度があった。
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その目的は、自動始動の際に、最初に行われる正転方向への燃焼エネルギをより十分に確保できるようにしたエンジンの始動制御装置を提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明にあっては、基本的に、エンジンの自動始動の際には、エンジン停止時に膨張行程にあった気筒のみならず、エンジン停止時に吸気行程にあった気筒においても行なうようにしてある。このため、エンジン停止時に吸気行程にある気筒での燃焼が可能となるように、エンジン停止時に吸気行程にある気筒における吸気弁のリフト量を強制的に0にするようにしてある。
本発明にあっては、具体的には、次のような解決手法を採択してある。すなわち、特許請求の範囲における請求項1に記載のように、
多気筒4サイクルエンジンを制御するエンジンの始動制御装置であって、
あらかじめ設定されたエンジンの自動停止条件が満足されたときに、燃料供給を停止してエンジンを自動停止させる自動停止手段と、
あらかじめ設定されたエンジンの自動始動条件を満足したときに、燃焼を行わせてエンジンの自動始動を行う自動始動手段と、
前記自動始動手段が作動される際に、エンジン停止時に吸気行程にある吸気行程気筒における吸気弁のリフト量を0に設定する弁駆動手段と、
を備え、
前記自動始動手段は、エンジン停止時に膨張行程であった膨張行程気筒と吸気行程にあった前記吸気行程気筒とでそれぞれ燃焼を行わせてエンジンの始動を行う、
ようにしてある。
多気筒4サイクルエンジンを制御するエンジンの始動制御装置であって、
あらかじめ設定されたエンジンの自動停止条件が満足されたときに、燃料供給を停止してエンジンを自動停止させる自動停止手段と、
あらかじめ設定されたエンジンの自動始動条件を満足したときに、燃焼を行わせてエンジンの自動始動を行う自動始動手段と、
前記自動始動手段が作動される際に、エンジン停止時に吸気行程にある吸気行程気筒における吸気弁のリフト量を0に設定する弁駆動手段と、
を備え、
前記自動始動手段は、エンジン停止時に膨張行程であった膨張行程気筒と吸気行程にあった前記吸気行程気筒とでそれぞれ燃焼を行わせてエンジンの始動を行う、
ようにしてある。
上記解決手法によれば、エンジンの自動始動の際には、最初に行われる正転方向への燃焼エネルギを、2つの気筒での燃焼によって得ることができるので、1つの気筒での燃焼エネルギしか利用していなかった従来に比して、より大きな燃焼エネルギを確保することができ、より確実にエンジンの自動始動を行うことができる。
上記解決手法を前提とした好ましい態様は、特許請求の範囲における請求項2以下に記載のとおりである。すなわち、
前記弁駆動手段が、吸気弁用のカムシャフトに設けられた可変リフト機構と、該可変リフト機構を駆動するアクチュエータとを備えている、ようにしてある(請求項2対応)。この場合、従来から提案されている可変リフト機構を有効に利用して、吸気弁のリフト量を0にすることができる。特に、吸気弁を、カムシャフトを用いることなく電磁式のアクチュエータによって直接開閉駆動する場合は、4サイクルでの通常の運転モード時であってもアクチュエータをクランク軸の回転位置に同期させて常時駆動する必要があるが、請求項2に記載の構成によればこのようなアクチュエータの常時駆動の必要もなく、制御の容易化等の上でも好ましいものとなる。
前記弁駆動手段が、吸気弁用のカムシャフトに設けられた可変リフト機構と、該可変リフト機構を駆動するアクチュエータとを備えている、ようにしてある(請求項2対応)。この場合、従来から提案されている可変リフト機構を有効に利用して、吸気弁のリフト量を0にすることができる。特に、吸気弁を、カムシャフトを用いることなく電磁式のアクチュエータによって直接開閉駆動する場合は、4サイクルでの通常の運転モード時であってもアクチュエータをクランク軸の回転位置に同期させて常時駆動する必要があるが、請求項2に記載の構成によればこのようなアクチュエータの常時駆動の必要もなく、制御の容易化等の上でも好ましいものとなる。
前記弁駆動手段は、前記自動停止手段によってエンジンが停止された後に、エンジン停止時に吸気行程にある吸気行程気筒における吸気弁のリフト量を0に設定する、ようにしてある(請求項3対応)。この場合、吸気弁はエンジン停止後にリフト量が0にされるので、エンジンが自動停止されるまでの間(リフト量が0にされるまでの間)は、エンジン停止時に吸気行程にある気筒について既燃ガスの掃気が促進されると共に新気も極力十分に供給されて、自動始動の際に大きな燃焼エネルギを確保する上でより一層好ましいものとなる。
エンジン停止時に膨張行程であった膨張行程気筒と吸気行程にあった前記吸気行程気筒とでそれぞれ燃焼を行わせてエンジンの始動を行った後に、最初に吸気行程となる気筒の吸気弁のリフト量または開弁期間の少なくとも一方が、アイドル時の吸気弁のリフト量または開弁期間よりも小さくされる、ようにしてある(請求項4対応)。この場合、自動始動の際にエンジン回転数が急激に吹き上がってしまう事態を防止する上で好ましいものとなる。
エンジン停止時に膨張行程であった膨張行程気筒と吸気行程にあった前記吸気行程気筒とでそれぞれ燃焼を行わせてエンジンの始動を行った後は、その後の複数回の燃焼については、各気筒の吸気弁のリフト量または開弁期間の少なくとも一方がアイドル時の吸気弁のリフト量または開弁期間以下の大きさに設定される、ようにしてある(請求項5対応)。この場合、自動始動の際にエンジン回転数が急激に吹き上がってしまう事態を防止する上で好ましいものとなる。
エンジン停止時に膨張行程であった膨張行程気筒と吸気行程にあった前記吸気行程気筒とでそれぞれ燃焼を行わせてエンジンの始動を行った後は、その後の複数回の燃焼については膨張行程初期に燃焼が実行される、ようにしてある(請求項6対応)。この場合、自動始動の際にエンジン回転数が急激に吹き上がってしまう事態を防止する上で好ましいものとなる。
本発明によれば、正転方向への燃焼エネルギを2つの気筒で得ることにより十分に大きくして、エンジンの自動始動をより確実に行なうことができる
図1,図2において、エンジンE(エンジン本体)は、実施形態では火花点火式の直列4気筒エンジンとされて、各気筒1には、それぞれ2つの吸気ポート2と,2つの排気ポート3が形成されている。吸気ポート2に連なる吸気通路4には、上流側から下流側へ順次、エアクリーナ5(図1では図示略),スロットル弁6,サージタンク7が配設されている。吸気通路4のうち、サージタンク7よりも上流側部分は1本の共通吸気通路4aとされ、サージタンク7から下流側部分は、サージタンク7に対して各気筒1を個々独立して接続する分岐吸気通路4bとされている。また、排気ポート3には、排気通路8が接続されている。この排気通路8は、その下流側部分が1本の共通排気通路8aとされると共に、その上流側部分が、各気筒1における排気ポート3を共通排気通路8aに対して個々独立して接続する分岐排気通路8bとされている。
図1に示すように、各気筒1には、吸気ポート2を開閉する吸気弁10,排気ポート3を開閉する排気弁11の他、気筒内に燃料噴射を行う燃料噴射弁12,および噴射された燃料の着火を行う点火プラグ13が配設されている。吸気弁10は、吸気弁用カムシャフト(のカムで、図示を略す)によって開閉駆動され、同様に、排気弁11も排気弁用カムシャフト(のカムで、図示を略す)によって開閉駆動されるようになっている。図1中、15はクランク軸、16はピストン、17はコンロッドである。
クランク角(つまりクランク軸の回転)と同期して吸気弁10を開閉駆動するための吸気弁用カムシャフトには、特許文献3に記載のような可変リフト機構が組み込まれている。この可変リフト機構をアクチュエータ20によって駆動することにより、吸気弁10のリフト量が、最大リフト量とリフト量0(吸気弁10が閉弁された状態)との間で連続可変式に変更可能とされている。図4には、吸気弁のリフト量変更の一例が示され、リフト量が0以外のときは、開弁時期は常に一定で、リフト量が小さくなるにつれて閉弁時期が早くなるように設定されている。
エンジンEは、後述するように自動停止および自動始動されるが、通常時、つまり通常のエンジン運転時には、各気筒1は、吸気行程、圧縮行程、膨張行程、排気行程の4行程を順次繰り返す4サイクルでの運転とされ、この運転状態が通常モードとされる(吸気弁10のリフト量は0以外とされる)。この一方、エンジンEの自動停止に関連して、各気筒つまり吸気行程にある気筒における吸気弁リフト量が強制的に0とされる(吸気弁10が閉弁状態とされる)。自動始動時の制御の詳細については、後述する。なお、自動始動以外のイグニッションキーを利用した始動の場合は、スタータモータ19を駆動して行うものである。
図3は、本発明における制御系統例を示すもので、Uはマイクロコンピュータを利用して構成されたコントローラである。このコントローラUには、各種センサ21〜25からの信号が入力される。センサ21,22は、クランク軸15の回転位置を検出するクランク角センサである(図2をも参照)、センサ23は、アクセル開度を検出するアクセル開度センサである、センサ24は、ブレーキペダルを踏み込み操作したときにONされるブレーキセンサである。センサ25は、車速を検出する車速センサである。また、コントローラUは、点火プラグ13,燃料噴射弁12,スロットル弁を駆動するアクチュエータ18(図1、図2をも参照)、可変リフト機構を駆動するアクチュエータ20を制御する。
次に、コントローラUによる制御の概要について説明する。まず、通常のエンジンEの運転時には、4サイクルでの運転を行う通常モードとされる。この通常モードは、従来一般的な4サイクルエンジンと全く同じ運転態様であり、クランク軸15の回転位置に応じて、各気筒1の吸気弁10および排気弁11が、それぞれクランク軸と同期して回転されるカムシャフトによって適宜開閉駆動されて、各気筒1は、吸気行程、圧縮行程、膨張行程および排気行程を順次繰り返すことになる。
通常モードにおいては、燃料噴射弁12からの燃料噴射タイミングは、例えば圧縮行程の途中で燃料噴射が実行されて、圧縮行程の終期に点火が実行されることになる。また、アクセル開度に応じてスロットル弁6の開度つまり吸入空気量が決定され、燃料噴射量は、エンジン回転数およびアクセル開度に応じて決定される。このような通常モード時での運転については、従来からよく知られているので、これ以上の説明は省略する。
エンジンEは、後述するように、あらかじめ設定された自動停止条件を満足したときに、燃料噴射および点火が中止されて、自動停止される。自動停止条件としては、種々設定できるが、例えば、ブレーキペダルを踏み込み操作しているとき、あるいは車速が0でかつブレーキペダルを踏み込み操作しているとき、という条件設定を行うことができる(アイドルストップ)。
エンジンEが自動停止された後に、あらかじめ設定された自動始動条件が満足されたときには、エンジンEの自動始動が行われる。自動始動の条件は適宜設定できるが、例えば、アクセルペダルが踏み込み操作されると共に、ブレーキペダルの踏み込みが解除されたときとして設定することができる。エンジンEが自動停止されたとき、自動始動に備えて、各気筒1の吸気弁10のリフト量(および開弁期間)が、アクチュエータ20を制御することによって強制的に0とされる。そして、エンジンEの自動始動の際には、エンジン停止時において膨張行程であった気筒に加えて、エンジン停止時に吸気行程にあった気筒という2つの気筒において燃焼が実行されて、エンジンEの自動始動が行われることになる。このように、正転方向への燃焼エネルギが、2つの気筒での燃焼エネルギとなるので、正転方向への燃焼エネルギが極めて大きいものとなり、自動始動が確実かつすみやかに行われることになる。
図5は、1番気筒〜4番気筒の4つの気筒について、それぞれ行程の変化を示すもので、図5では、エンジン停止時において、圧縮行程にある気筒が1番気筒とされ、膨張行程にある気筒が2番気筒とされ、排気行程にある気筒が3番気筒とされ、吸気行程にある気筒が4番気筒とされている。このエンジン停止時の状態において、まず、アクチュエータ20を制御して吸気弁10のリフト量が強制的に0にされる(吸気行程にある4番気筒は、吸気弁10および排気弁11が共に閉じられた状態とされる)。この後、エンジン停止時に膨張行程にあった2番気筒と吸気行程にあった4番気筒とに対して、燃料噴射が実行されると共に引き続いて点火が実行されて、それぞれ燃焼が行われ、これによりエンジンEは正転方向に駆動されることになる。上記のように、2番気筒と4番気筒との燃焼によって正転方向に駆動されたエンジンEのその後の最初の燃焼は、エンジン停止時に圧縮行程にあった1番気筒となる。
ここで、エンジン停止時に膨張行程および吸気行程にあった気筒の燃焼が実行された後は、急激なエンジン回転数の吹き上がりを防止するために、吸気弁10のリフト量が、最初の吸気行程分についてはアイドル時相当のリフト量よりも小さくされ(エンジン停止時に排気行程にあった気筒が引き続き吸気行程にされたときのリフト量がアイドル時のリフト量未満の大きさに設定される)、その後数回の燃焼分についてアイドル時相当のリフト量に設定されて、最終的に通常の運転モードと同様なリフト量(開弁期間)に完全復帰される。また、エンジン停止時に2つの気筒によって正転方向の燃焼が実行された後、数回分(図5では、エンジン停止時に膨張行程にあった2番気筒が2回目に燃焼されるまで)の燃焼については、点火時期を膨張行程の初期に行うようにしてあり、その後、圧縮行程後期という通常の点火時期に復帰させるようにしてある。
図6は、図5に示すような制御内容を行うフローチャートであり、以下このフローチャートについて説明する。なお、以下の説明でSはステップを示す。まず、S1において、エンジンの自動停止条件が満足されたか否かが判別される。このS1の判別でNOのときは、S1の判別が繰り返される。
上記S1の判別でYESのときはS2において、各気筒への燃料噴射が停止される。S2の後、S3において、エンジンEが完全に停止したか否かが判別される。S3の判別でNOのときは、S3の判別が繰り返される。
上記S3の判別でYESのときは、S4において、吸気弁10のリフト量が強制的に0に設定される。S4の後、S5において、エンジンの自動始動条件が満足されたか否かが判別される。このS5の判別でNOのときは、S5の判別が繰り返される。
上記S5の判別でYESのときは、S6において、エンジン停止時に膨張行程にあった気筒および吸気行程にあった気筒の2つの気筒について、燃焼が実行されて、エンジンEが正転方向へ駆動される。なお、この2つの気筒での空燃比は、それぞれ、理論空燃比あるいは理論空燃比よりもリッチとされて、大きなトルクを確保するようにしてある。エンジンが完全に停止された後に吸気弁10のリフト量が0にされるので、エンジン停止時に吸気行程となる気筒の掃気や新気供給が十分に行われて、エンジン停止時に吸気行程となる気筒において、大きな燃焼エネルギを確保する上で好ましいものとなる。
S6の後、S7において、ピストン16が、吸気弁10のリフト量を0以外の値に戻しても、エンジン停止時に吸気行程にあった気筒の吸気弁10が開かない位置にまで移動したか否かが判別される。このS7の判別でNOのときは、S7の判別が繰り返される。
上記S7の判別でYESのときは、S8において、吸気弁10のリフト量(および開弁期間)が、アイドル時のリフト量よりも小さくなるように設定される。この後、S9において、エンジン停止時に圧縮行程にあった気筒の吸気弁が膨張行程になったか否かが判別される。このS9の判別でNOのときは、S9の判別が繰り返される。
上記S9の判別でYESのときは、S10において、エンジン停止時に圧縮行程にあった気筒の燃焼が実行される。これにより、直前の2つの気筒での燃焼エネルギと合わせて、正転方向の燃焼エネルギが追加供給されることになる。
上記S10の後は、S11において、エンジン停止時に排気行程にあった気筒が吸気弁10が閉じるタイミングとなったか否かが判別される。このS11の判別でNOのときは、S11の判別が繰り返される。
上記S11の判別でYESのときは、吸気弁10のリフト量(および開弁期間)がアイドル時の大きさに設定される。この後、S13において、エンジン停止時に排気行程にあった気筒が、膨張行程になったか否かが判別される。このS13の判別でNOのときは、S13の判別が繰り返される。
上記S13の判別でYESのときは、S14において、エンジン停止時に排気行程にあった気筒の燃焼が実行された後、S15において、通常の運転モードに復帰される。
以上実施形態について説明したが、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載された範囲において適宜の変更が可能であり、例えば次のような場合をも含むものである。自動始動条件や自動停止条件は、適宜設定できるものである。特に、エンジンの他に走行用のモータを備えたハイブリッド車においては、モータ駆動用バッテリの蓄電量の大小や、走行負荷等に応じてエンジンの自動停止と自動始動とをかなり頻繁に繰り返すことになるが、このための自動停止条件と自動始動条件とは、ハイブリッドシステム構成に応じて適宜選択されることになる。吸気弁10(排気弁11についても同じ)が、クランク軸15との機械的な連係を採択されておらず、例えば電磁式の弁駆動手段によって直接開閉駆動されるようにしてもよい(各気筒毎に、吸気弁10をクランク軸の回転位置とは無関係に自由にその開閉時期や開弁リフト量を変更することが可能になる)。本発明は、火花点火式エンジンに限らず、ディーゼルエンジン等についても同様に適用し得るものである。
自動始動の際のエンジン回転数の急激な吹き上がり防止のために、燃焼エネルギが大きくなり過ぎないようにする処理は、吸気弁のリフト量と開弁期間とのいずれか一方のみをアイドル時よりも小さく設定することにより行うようにしてもよい。また、燃焼エネルギを小さくする処理(過大になり過ぎるのを防止する処理)は、リフト量変更、開弁期間変更の他に、点火時期の遅角や空燃比のリーン化等適宜の手法によって得ることができる。そして、燃焼エネルギを小さくする処理は2つの気筒で正転方向への燃焼が最初に行われた後、その後の所定の複数回分の燃焼についても行うようにしてもよく、この場合、上記所定の複数回という回数を、エンジン回転数の上昇度合に応じて変更するようにしてもよい。
エンジンによっては、自動始動時の2つの気筒での燃焼に引き続く次の燃焼において、より確実な自動始動のために大きな燃焼エネルギを確保することが要求されることも考えられるが、この場合は、例えば、エンジン停止時に排気行程にあった気筒が吸気行程となるときの吸気弁10のリフト量(あるいは開弁期間に少なくとも一方)を、アイドル時の場合よりも大きくなるように設定すればよく、このような処理を、その後の数回分の燃焼についても同様に行うようにしてもよい。また、燃焼を、膨張行程の初期に行うことは、圧縮行程後期に燃焼を実行する場合に比して自己着火防止の上でも好ましいものとなるが、例えば自動停止している期間が所定期間以上というように相対的に長い期間となる場合は、自己着火の可能性が低くなるので、この場合は、2つの気筒での正転方向への最初の燃焼後の燃焼時期を、大きな燃焼エネルギが確保できる圧縮行程後期に設定するようにしてもよい。フローチャートに示す各ステップあるいは複数のステップからなるステップ群は、例えばその機能内容に手段の名称を付することにより、コントローラUの有する機能として把握することができる。勿論、本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として表現されたものを提供することをも暗黙的に含むものである。
1:気筒
2:吸気ポート
3:排気ポート
4:吸気通路
8:排気通路
10:吸気弁
11:排気弁
12:燃料噴射弁
13:点火プラグ
15:クランク軸
16:ピストン
20:アクチュエータ(可変リフト機構)
E:エンジン
U:コントローラ
2:吸気ポート
3:排気ポート
4:吸気通路
8:排気通路
10:吸気弁
11:排気弁
12:燃料噴射弁
13:点火プラグ
15:クランク軸
16:ピストン
20:アクチュエータ(可変リフト機構)
E:エンジン
U:コントローラ
Claims (6)
- 多気筒4サイクルエンジンを制御するエンジンの始動制御装置であって、
あらかじめ設定されたエンジンの自動停止条件が満足されたときに、燃料供給を停止してエンジンを自動停止させる自動停止手段と、
あらかじめ設定されたエンジンの自動始動条件を満足したときに、燃焼を行わせてエンジンの自動始動を行う自動始動手段と、
前記自動始動手段が作動される際に、エンジン停止時に吸気行程にある吸気行程気筒における吸気弁のリフト量を0に設定する弁駆動手段と、
を備え、
前記自動始動手段は、エンジン停止時に膨張行程であった膨張行程気筒と吸気行程にあった前記吸気行程気筒とでそれぞれ燃焼を行わせてエンジンの始動を行う、
ことを特徴とするエンジンの始動制御装置。 - 請求項1において、
前記弁駆動手段が、吸気弁用のカムシャフトに設けられた可変リフト機構と、該可変リフト機構を駆動するアクチュエータとを備えている、ことを特徴とするエンジンの始動制御装置。 - 請求項1または請求項2において、
前記弁駆動手段は、前記自動停止手段によってエンジンが停止された後に、エンジン停止時に吸気行程にある吸気行程気筒における吸気弁のリフト量を0に設定する、ことを特徴とするエンジンの始動制御装置。 - 請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、
エンジン停止時に膨張行程であった膨張行程気筒と吸気行程にあった前記吸気行程気筒とでそれぞれ燃焼を行わせてエンジンの始動を行った後に、最初に吸気行程となる気筒の吸気弁のリフト量または開弁期間の少なくとも一方が、アイドル時の吸気弁のリフト量または開弁期間よりも小さくされる、ことを特徴とするエンジンの始動制御装置。 - 請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、
エンジン停止時に膨張行程であった膨張行程気筒と吸気行程にあった前記吸気行程気筒とでそれぞれ燃焼を行わせてエンジンの始動を行った後は、その後の複数回の燃焼については、各気筒の吸気弁のリフト量または開弁期間の少なくとも一方がアイドル時の吸気弁のリフト量または開弁期間以下の大きさに設定される、ことを特徴とするエンジンの始動制御装置。 - 請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、
エンジン停止時に膨張行程であった膨張行程気筒と吸気行程にあった前記吸気行程気筒とでそれぞれ燃焼を行わせてエンジンの始動を行った後は、その後の複数回の燃焼については膨張行程初期に燃焼が実行される、ことを特徴とするエンジンの始動制御装置。
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