JP2008095046A - 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物および電子機器筐体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】末端構造が下記一般式(I)で表されるアルコール性ヒドロキシル基を含有する芳香族ポリカーボネート樹脂(A−1)1〜100質量部と、(A−1)以外の芳香族ポリカーボネート樹脂(A−2)99〜0質量部からなる芳香族ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、(A)以外の熱可塑性樹脂(B)5〜200質量部を含有する芳香族ポリカーボネート樹脂組成物である。(Rは、メチレン基、エチレン基、或いは炭素数3〜20のポリメチレン基、分岐を有するアルキレン基又はアルキリデン基を表し、nは1〜5の整数5である。)
【選択図】なし
Description
電気通信機器、自動車用材料では、近年、環境負荷の低い樹脂が非常に注目を浴びている。その中でも、ポリ乳酸樹脂は、トウモロコシやサトウキビなどの植物から作られ、最終的には水と二酸化炭素に分解される(カーボンニュートラル)という点から環境負荷を低減させるため、環境に優しい樹脂として開発が進んでいる。
芳香族ポリカーボネート樹脂にポリエステル、ポリオレフィン等を添加すると、流動性が大幅に向上することが知られている。しかし、このような添加により、耐熱性や耐衝撃性、透明性が大幅に低下する。耐熱性は無機フィラー、植物性繊維、塩基性物質の添加により改善されることが知られており、また、耐衝撃性は、エラストマーの添加や、芳香族ポリカーボネート樹脂と前述の熱可塑性樹脂らの相溶化を促進させることで向上させることができる。
また、ポリ乳酸とその他の樹脂をアロイ化し、スピノーダル分解により構造周期、または粒子間距離をコントロールすることによって、耐熱性・機械強度を向上させる技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、このような相分離による構造制御は二次工程、特に押出・射出成形時などで、更なる分離及び/または凝集を起こす可能性があり、実用的ではない。
1.末端構造が下記一般式(I)で表されるアルコール性ヒドロキシル基を含有する芳香族ポリカーボネート樹脂(A−1)1〜100質量%と、(A−1)以外の芳香族芳香族ポリカーボネート樹脂(A−2)99〜0質量%からなる芳香族ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、(A)以外の熱可塑性樹脂(B)5〜200質量部を含有することを特徴とする芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
4.熱可塑性ポリエステルが、ポリ乳酸および/又はポリ乳酸類とその他のヒドロキシカルボン酸との共重合体である、上記3の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
5.さらに、芳香族芳香族ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、反応促進剤(C)を0.01〜10質量部を含有する、上記1〜4のいずれかの芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
6.反応促進剤(C)が、イソシアネート基、カルボジイミド基、オキサゾリン基及びエポキシ基から選ばれた少なくとも1種を含む化合物である、上記5の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
7.芳香族ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量が9,000〜40,000である、上記1〜6のいずれかの芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
8.上記1〜7のいずれかの芳香族ポリカーボネート樹脂組成物からなる電子機器筐体。
9.ノートパソコン用筐体である上記8の電子機器筐体。
まず、本発明の樹脂組成物を構成する芳香族ポリカーボネート樹脂(A)は、末端構造が下記一般式(I)で表されるアルコール性ヒドロキシル基を含有する芳香族ポリカーボネート樹脂(A−1)1〜100質量%と、(A−1)以外の芳香族ポリカーボネート樹脂(A−2)99〜0質量%からなるものであり、好ましくは芳香族ポリカーボネート樹脂(A−1)10〜100質量%と、(A−1)以外の芳香族ポリカーボネート樹脂(A−2)90〜0質量%からなるものである。
一般式(I)で表されるアルコール性ヒドロキシル基を含有する末端構造は、末端停止剤として例えば、2−ヒドロキシベンジルアルコール、3−ヒドロキシベンジルアルコール、4−ヒドロキシベンジルアルコール、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチルアルコールなどの、アルコール性ヒドロキシル基を含有する末端停止剤を用いることにより形成される。
なお、アルコール性ヒドロキシル基を含有する芳香族ポリカーボネート樹脂(A−1)は、上記のアルコール性ヒドロキシル基を含有する停止剤と、他の一般的な末端停止剤を併用して製造されたものでも良い。しかし、アルコール性ヒドロキシル基を含有する芳香族ポリカーボネート樹脂(A−1)において、一般式(I)で表されるアルコール性ヒドロキシル基を含有する末端構造の割合が0.5モル%以上であることが好ましく、2.0モル%以上であることがより好ましい。
また、R1及びR2は、それぞれ炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリ−ル基又は炭素数7〜20アリールアルキル基を表し、m及びnは、それぞれ0〜4の整数である。
このアルコール性ヒドロキシル基を含有する芳香族ポリカーボネート樹脂(A−1)の粘度平均分子量は、耐熱性や耐衝撃性の面から、好ましくは9,000〜40,000であり、機械的物性などのバランスの面から、さらに好ましくは15,000〜30,000である。
なお、粘度平均分子量(Mv)は、ウベローデ型粘度計を用いて、20℃における塩化メチレン溶液の粘度を測定し、これより極限粘度[η]を求め、[η]=1.23×10-5Mv0.83の式により算出した値である。
ポリ乳酸は、通常ラクタイドと呼ばれる乳酸の環状二量体から開環重合により合成され、その製造方法は、米国特許第1,995,970号明細書、米国特許第2,362,511号明細書、米国特許第2,683,136号明細書等に開示されている。
開環重合によらず、直接脱水重縮合により乳酸系樹脂を製造する場合には、乳酸類と必要に応じて、その他のヒドロキシカルボン酸を、好ましくは有機溶媒、特に、フェニルエーテル系溶媒の存在下で共沸脱水縮合し、特に好ましくは、共沸により留出した溶媒から水を除き、実質的に無水の状態にした溶媒を反応系に戻す方法によって重合することにより、本発明に適した重合度の乳酸系樹脂が得られる。
原料の乳酸類としては、L−及びD−乳酸、又はその混合物、乳酸の二量体であるラクタイドのいずれも使用することができる。
この乳酸類及び共重合体成分としてのヒドロキシカルボン酸類は、いずれも単独又は二種以上を使用することができ、更に得られた乳酸系樹脂を二種以上混合し使用してもよい。また、乳酸系樹脂の製造に際し、適当な分子量調節剤、分岐剤、その他の改質剤などを配合することもできる。
このポリ乳酸や、乳酸類とヒドロキシカルボン酸との共重合体は、分子量の大きいものが熱的物性及び機械的物性の面から好ましく、重量平均分子量3万以上のものが好ましい。
また、これらの中で、耐久性、剛性及び生物的分解性の面から、ポリ乳酸が好ましい。
ここで、二官能カルボン酸成分及びアルキレングリコール成分として次のものを挙げることができる。二官能性カルボン酸としては、テレフタル酸,イソフタル酸,ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸を挙げることができる。これらの中ではテレフタル酸が好ましく、本発明の効果を損なわない範囲内で他の二官能性カルボン酸を併用することができる。それらは、例えば、シュウ酸,マロン酸,アジピン酸,スベリン酸,アゼライン酸,セバシン酸,デカンジカルボン酸等の脂肪族カルボン酸である。これらの他のジカルボン酸成分の割合は全ジカルボン酸に対し一般に20モル%以内が好ましい。
次に、アルキレングリコール成分としては、特に制限はないが、具体的には、エチレングリコール,プロピレン−1,2−グリコール,プロピレン−1,3−グリコール,ブチレン−1,4−グリコール,ブチレン−2,3−グリコール,ヘキサン−1,6−ジオール,オクタン−1,8−ジオール,ネオペンチルグリコール,デカン−1,10−ジオールのような炭素数2〜10を有する脂肪族ジオール等を用いることができる。中でも、エチレングリコール,ブチレングリコールが好適である。
なお、フェノキシ樹脂としては、その水酸基の一部がアルキルエステル化又はアルキルエーテル化された樹脂が好ましい。
フェノキシ樹脂として、市販品を用いることもできる。フェノキシ樹脂(ビスフェノールA型)の市販品としては、PKHB(INCHEM社製)、PKFE(INCHEM社製)、YP−50(東都化成社製)、PKCP−80(INCHEM社製)等が挙げられる。
酸で変性するために使用されるポリオレフィン樹脂としては、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体、ポリブテン−1などを挙げることができ、中でもポリエチレン、ポリプロピレン等が好適である。
酸変性に供されるポリオレフィン樹脂の分子量は、通常10×104 〜100×104であるのが好ましく、特に20×104〜80×104であるのが好ましい。
これらのポリオレフィン樹脂を変性する酸としては、マレイン酸、無水マレイン酸、アクリル酸、およびメタクリル酸などのカルボン酸基を含有する低分子量化合物、スルホン酸などのスルホ基を含有する低分子量化合物、ホスホン酸などのホスホ基を含有する低分子量化合物などを挙げることができる。これらの中でもカルボン酸基を含有する低分子量化合物が好ましく、特にマレイン酸、無水マレイン酸、アクリル酸、およびメタクリル酸などが好ましい。
前述のように、本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、末端構造が一般式(I)で表されるアルコール性ヒドロキシル基を含有する芳香族ポリカーボネート樹脂(A−1)1〜100質量部と、(A−1)以外の芳香族ポリカーボネート樹脂(A−2)99〜0質量部からなる芳香族ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、(A)以外の熱可塑性樹脂(B)5〜200質量部を含有することを特徴とするものである。
このアルコール性ヒドロキシル基を含有する芳香族ポリカーボネート樹脂(A−1)と他の芳香族ポリカーボネート樹脂(A−2)の質量比は、100〜1:0〜99であることが好ましく、100〜10:0〜99であることが更に好ましい。
このようにアルコール性ヒドロキシル基を含有する芳香族ポリカーボネート樹脂(A−1)を用いることにより、熱可塑性樹脂(B)との相溶化が促進され、芳香族ポリカーボネート樹脂および熱可塑性樹脂(B)の分子量低下が抑制される。また同時に、芳香族ポリカーボネート樹脂中での熱可塑性樹脂の分散性が向上し、耐熱性、耐衝撃性、耐薬品性が向上する。さらに、難燃性の付与も可能となる。
また、熱可塑性樹脂(B)の含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、5〜200質量部であり、好ましくは5〜100質量部である。5質量部以上とすることにより、耐薬品性が向上し、200質量部以下とすることにより、成形性が低下することや機械的強度が低下することがない。
反応促進剤(C)の配合量は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、0.01〜10質量部が好ましく、より好ましくは0.05〜5質量部、さらに好ましくは0.05〜3質量部である。反応促進剤(C)の配合量を0.01質量部以上とすることにより熱可塑性樹脂(B)との相溶化が促進され、また、10質量部以下とすることにより、相溶化が促進され過ぎて樹脂組成物の分子量低下が起こることがない。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、芳香族ポリカーボネート樹脂/熱可塑性樹脂ブレンドにおいて、芳香族ポリカーボネート樹脂の構造中にアルコール性ヒドロキシル基を導入することにより、他の熱可塑性樹脂との相溶化を促進させることで、芳香族ポリカーボネート樹脂および他の熱可塑性樹脂の分子量低下が抑制され、同時に、芳香族ポリカーボネート樹脂中での熱可塑性樹脂の分散性が向上し、耐熱性、耐衝撃性、耐薬品性などが向上する。また、シリコーン共重合ポリカーボネート樹脂を用いるなどの適切な難燃処方により、難燃性の付与も可能となる。
従って本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、OA機器、情報・通信機器、自動車部品、建築部材や家庭電化機器など分野に広く用いられる。
本発明はまた、前述の本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物からなる電子機器筐体をも提供する。この電子機器筐体としては、ノートパソコン用筐体を好ましく挙げることができる。
なお、以下において、「ポリカーボネートオリゴマー」を「PCオリゴマー」、「末端構造がアルコール性ヒドロキシル基を含有するポリカーボネート」を「アルコール末端ポリカーボネート」とも称する。
性能評価は、下記の測定方法に従って行なった。
肉厚1/8インチ(0.318cm)のダンベル試験片について、チャック間115mm、引張り速度50mm/minで引張り伸び率A(%)を測定した。また雰囲気ガスが空気である80℃のオーブンで500時間曝露試験をした後のダンベル試験片についても、同様の引張り試験により引張り伸び率B(%)を測定した。80℃のオーブンで500時間曝露試験前後の引張り伸び率の比率(B/A)×100を耐熱保持率(%)とし、この耐熱保持率(%)より耐熱性を評価した。
(2)耐加水分解性
肉厚1/8インチ(0.318cm)のダンベル試験片について、チャック間115mm、引張り速度50mm/minで引張り伸び率A(%)を測定した。また恒温恒湿槽にて、65℃/85%RH条件下で2000時間曝露試験をした後のダンベル試験片についても、同様の引張り試験により引張り伸び率C(%)を測定した。65℃/85%RH条件下での曝露試験前後の引張り伸び率の比率(C/A)×100を物性保持率(%)とし、この物性保持率(%)より耐加水分解性を評価した。
(3)成形加工性(成形収縮率)
金型寸法(100.189mm(MD)×100.208mm(TD)×2mm)を用いて角板を射出成形し、得られた成形品を室温で10時間放置し、金型寸法からの流れ方向(MD)、直角方向(TD)の成形収縮率(%)を測定し、これらの成形収縮率(%)より成形加工性を評価した。
射出成形機で作製した厚さ4mm、長さ130mmの試験片を使用して、これに0.6%の歪みを掛けた後、ガソリン(製品名:ゼアス、出光興産株式会社製)を染み込ませたガーゼを試験片の歪み部に置き、揮発を防ぐためにポリエチレン製の袋で覆った後、室温で1時間放置した。その後、ガーゼを除去して試験片の歪み部表面のクラックの有無を目視で観察し、クラックが無いものを○、クラックがあるものを×とした。
(5)熱安定性
成形機内で260℃、20分滞留させた後、80×40×3mm角板を成形し、目視観察した。外観変化のないものを◎、若干フローマークが見られるものを○、シルバーなどの外観不良が生じるもののはく離・割れを起こしていないものを△、割れ・はく離などの形状変化が生じたものを×とした。
(6)難燃性
UL規格94に従って作製した厚さ1/16インチ(0.159cm)の試験片を用いて垂直燃焼試験を行った。試験の結果に基づいて、UL94V−0、V−1、V−2の等級に評価し、V−2に達しないものを×とした。
400リットルの5質量%水酸化ナトリウム水溶液に、60kgのビスフェノールAを溶解し、ビスフェノールAの水酸化ナトリウム水溶液を調製した。次いで、室温に保持したビスフェノールAの水酸化ナトリウム水溶液を138リットル/時間の流量で、また塩化メチレンを69リットル/時間の流量で内径10mm,管長10mの管型反応器にオリフィス板を通して導入し、これにホスゲンを並流して10.7kg/時間の流量で吹き込み、3時間連続的に反応させた。管型反応器は二重管となっており、ジャケット部分には冷却水を通して反応液の排出温度を25℃に保った。また、排出液のpHは10〜11となるように調整した。このようにして得られた反応液を静置することにより、水相を分離除去し、塩化メチレン相(220リットル)を採取して、これにさらに塩化メチレン170リットルを加え、十分に攪拌したものをPCオリゴマー(濃度317g/リットル)とした。得られたPCオリゴマーの重合度は3〜4であり、クロロホーメイト基の濃度は0.73Nであった。
先ず、4−ヒドロキシベンジルアルコール200gを水酸化ナトリウム水溶液(水酸化ナトリウム:100g、水:750ml)に溶解させて4−ヒドロキシベンジルアルコールのアルカリ水溶液を作製した。次に、50L反応器に製造例1で得たポリカーボネートオリゴマー10L、塩化メチレン10L、前記4−ヒドロキシベンジルアルコールのアルカリ水溶液およびトリエチルアミン6.3mlを混合し、250rpmで15分攪拌した。
攪拌後、ビスフェノールAのアルカリ水溶液(ビスフェノールA:500g、水酸化ナトリウム:293g、水:5L)を加え、300rpmで1時間攪拌した。1時間攪拌後、塩化メチレン10L、水:10L加え、15分攪拌後、静置により、塩化メチレン相を分離した。塩化メチレン相を0.03モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液、0.2モル/Lの塩酸および水の順で2回洗浄した。洗浄後、塩化メチレン相を濃縮し、アセトンを加え、結晶化させた後溶剤を除きフレーク状のポリマーを得た。12時間120℃で熱風乾燥させた。
得られたアルコール末端ポリカーボネート(A−1)−1の物性および組成は以下の通りであった。
粘度平均分子量(Mv):14000
末端基の分率 フェノール:ベンジルアルコール=2.7:97.3
組成
ビスフェノールA: 94.3mol%、
p−ヒドロキシベンジルアルコール(末端):5.4mol%、
p−ヒドロキシベンジルアルコール(鎖中):0.3mol%
ガラス転移温度(Tg)150℃
製造例1において4−ヒドロキシベンジルアルコール200gの代わりに2−(4−ヒドロキシフェニル)エチルアルコール222gに変更した以外は製造例1と同様とした。
得られたアルコール末端ポリカーボネート(A−1)−2の物性および組成は以下の通りであった。
粘度平均分子量(Mv):17000
末端基の分率 フェノール:ベンジルアルコール=4.7:95.3
組成
ビスフェノールA: 95.3mol%、
p−ヒドロキシベンジルアルコール(末端):4.5mol%、
p−ヒドロキシベンジルアルコール(鎖中):0.2mol%
ガラス転移温度(Tg)150℃
第1〜4表に記載の配合原料をそれぞれ乾燥した後、(A)成分100質量部に対して、第1〜4表に示す配合割合にて、タンブラーを用いて均一にブレンドした後、径35mmのベント付き二軸押出成形機(東芝機械株式会社製、機種名:TEM35)に供給し、温度260℃で混練し、ペレット化した。
得られたペレットを100℃で10時間乾燥した後、射出成形機を用いて、シリンダー温度240℃、金型80℃で射出成形し、所望の試験片を得た。この試験片を用いて性能評価を行った結果を第1〜4表に示す。
(A−1)−1:末端ベンジルアルコール変性ポリカーボネート(製造例2によるアルコール末端ポリカーボネート、粘度平均分子量14,000)
(A−1)−2:末端2−(4−ヒドロキシフェニル)エチルアルコール変性ポリカーボネート(製造例3によるアルコール末端ポリカーボネート、粘度平均分子量17,000)
(A−2)−1:ビスフェノールAポリカーボネート(A1900、出光興産株式会社製、粘度平均分子量19,000)
(A−2)−2:シリコーン共重合ポリカーボネート〔粘度平均分子量:17,000、PDMS(ポリジメチルシロキサン)含有量:4.0質量%、特開2002−12755の製造例4に準拠して調製したもの。〕
(B)−2:ポリエステル系樹脂2:ポリブチレンテレフタレート(トレコン、1100S、東レ株式会社製)
(B)−3:ポリアミド6(UBEナイロン、1011FB、宇部興産株式会社製)
(B)−4:フェノキシ樹脂(PKHB、巴工業株式会社製)
(B)−5:変性ポリオレフィン樹脂1:無水マレイン酸変性ポリプロピレン(トーヨータックH1000P、東洋化成工業株式会社製)
(B)−6:変性ポリオレフィン樹脂2:グリシジルメタクリレート変性ポリエチレン(ボンドファストE、住友化学工業株式会社製)
(C)−2:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エピクロンAM−040−P、大日本インキ化学工業株式会社製)
(C)−3:リジントリイソシアネート(LTI、協和発酵株式会社製)
(1) 実施例1〜14から明らかなように、アルコール末端ポリカーボネートを含有する芳香族ポリカーボネート樹脂(A)と、他の熱可塑性樹脂(B)からなる芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、耐熱性、耐加水分解性、成形加工性(成形時の低収縮性)に優れ、耐薬品性や熱安定性にも優れた材料となる。また、シリコーン共重合ポリカーボネート〔(A−2)−2〕を用いることで、難燃性に優れた材料となる。
(2)アルコール末端ポリカーボネート〔(A−1)−1、(A−1)−2〕を使用しないか(比較例1〜9)、アルコール末端ポリカーボネートが少ない場合(比較例11)には、耐久性(耐熱性、耐加水分解性、耐薬品性、熱安定性)が著しく低下し、成形加工性(成形時の低収縮性)も低下し、シリコーン共重合ポリカーボネートを用いても難燃性が得られない。
(3)比較例12から(B)成分が多すぎると、(A−1)成分や(C)成分を多くしても耐久性が向上しない。
Claims (9)
- 末端構造がアルコール性ヒドロキシル基を含有する芳香族ポリカーボネート樹脂(A−1)の主鎖の繰返し単位が下記一般式(II)で表され、粘度平均分子量が9,000〜40,000である請求項1に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
- (A)以外の熱可塑性樹脂(B)が、熱可塑性ポリエステル、ポリアミド樹脂、フェノキシ樹脂及び変性ポリオレフィン系樹脂から選ばれる少なくとも一種の樹脂である請求項1又は2に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
- 熱可塑性ポリエステルが、ポリ乳酸および/又は乳酸類とその他のヒドロキシカルボン酸との共重合体である、請求項3に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
- さらに、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、反応促進剤(C)を0.01〜10質量部を含有する、請求項1〜4のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
- 反応促進剤(C)が、イソシアネート基、カルボジイミド基、オキサゾリン基及びエポキシ基から選ばれた少なくとも1種を含む化合物である、請求項5に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
- 芳香族ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量が9,000〜40,000である、請求項1〜6のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物からなる電子機器筐体。
- ノートパソコン用筐体である請求項8に記載の電子機器筐体。
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