JP2008093714A - ステンレス鋼材とアルミニウム合金材とのろう付け接合体及びろう付け接合方法 - Google Patents
ステンレス鋼材とアルミニウム合金材とのろう付け接合体及びろう付け接合方法 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】ステンレス鋼材のろう付け部表面に、Cu:23〜37質量%,Si:4〜10質量%を含み10〜100μmの平均粒径を有する粉末状アルミニウム合金ろう材と、固形分として11質量%以上のCsFを含むフッ化物系フラックスとを分散媒に懸濁させたアルミニウム合金ろう材スラリーを塗布した後、当該ろう材スラリーが塗布されたろう付け部にアルミニウム合金材を組み付け、その組み付け体を、530〜580℃の温度範囲で2時間以下保持する条件で加熱する。
【選択図】なし
Description
例えば、面材にステンレス鋼板をコア材にアルミニウム合金板を用い、両者を優れた接合強度で接合できれば、耐食性に優れ、かつ軽量でハンドリングしやすいハニカムパネルが容易に得られる。
このため、ろう付け接合強度を高くするための各種改良方法が提案されている。
本発明は、このような問題を解消すべく案出されたものであり、アルミニウム合金材とろう付けしようとするステンレス鋼材の表面を予め処理することなしに、接合強度の高いステンレス鋼材とアルミニウム合金材とのろう付け接合体を得ることを目的とする。
このようなろう付け接合体は、ステンレス鋼材のろう付け部表面に、Cu:23〜37質量%,Si:4〜10質量%を含み、残部がAl及び不可避的不純物からなる組成と10〜100μmの平均粒径を有する粉末状アルミニウム合金ろう材と、固形分として11質量%以上のCsFを含むフッ化物系フラックスとを分散媒に懸濁させたアルミニウム合金ろう材スラリーを塗布した後、当該ろう材スラリーが塗布されたろう付け部にアルミニウム合金材を組み付け、その組み付け体を、530〜580℃の温度範囲で2時間以下保持する条件で加熱することにより得られる。
このようなハニカムパネルは、ステンレス鋼板からなる面材のろう付け部表面に、Cu:23〜37質量%,Si:4〜10質量%を含み、残部がAl及び不可避的不純物からなる組成と10〜100μmの平均粒径を有する粉末状アルミニウム合金ろう材と、固形分として11質量%以上のCsFを含むフッ化物系フラックスとを分散媒に懸濁させたアルミニウム合金ろう材スラリーを塗布した後、当該ろう材スラリーが塗布されたろう付け部にアルミニウム合金板からなるコア材を組み付け、その組み付け体を、530〜580℃の温度範囲で2時間以下保持する条件で加熱することにより得られる。
この技術の採用により、ステンレス鋼板からなる面材とアルミニウム合金板からなるコア材とがろう付けされたハニカムパネルであっても、使用時の熱応力や真空−大気圧の繰返し応力によっても両板材が剥れることのない安定したハニカムパネルを提供することができる。
その結果、ろう付け時にステンレス鋼材界面に生成される脆弱なAl−Fe系金属間化合物の生成量が多くなって接合強度が低下すること、接合強度の低下を抑えるにはAl−Fe系金属間化合物の生成を抑制することが有効であることを見出した。
さらに、低融点ろう材とフッ化物系フラックスの使用による低温ろう付けにより、Al−Fe系金属間化合物の生成が抑制され、接合強度の低下が抑えられること見出した。
以下にその詳細を説明する。
この低温ろう付け法は、用いるろう材とフラックスを特徴とするものである。本出願人が既に特願2005−273689号として出願しているものである。
具体的には、Cu:23〜37質量%,Si:4〜10質量%を含み、残部がAl及び不可避的不純物からなる組成と10〜100μmの平均粒径を有する粉末状アルミニウム合金ろう材と、固形分として11質量%以上のCsFを含むフッ化物系フラックスとを分散媒に懸濁させたアルミニウム合金ろう材スラリーを用いる。
被ろう付け部への均一供給を可能とし、かつ後記のフラックスとの相互作用により早急なる溶融により接合作用を効果的に発現させるためには、ろう材は細かな粉末状とすることが有効である。しかし、あまり細かいと反応性が増し通常での保管が困難になるばかりでなく、製造コストも高騰する。逆に大きすぎると、被ろう付け面上の均一性の確保が難しくなる。したがって、粉末状アルミニウム合金ろう材の平均粒径は10〜100μmの範囲とすることが好ましい。
粉末状ろう材を被ろう付け面上に均一に供給するためには、粉末状ろう材をも分散媒に懸濁させたスラリー状で塗布することが効果的である。
CsFを含むフッ化物系フラックスと粉末状ろう材との混合割合は、ステンレス鋼材の形状や組み付けるアルミニウム材の組み付け態様によって異なるが、ろう材100重量部に対して、フッ化物系フラックス10〜100重量部程度で十分である。
分散媒として水を用いる場合には、予め界面活性剤を添加しておくことが好ましい。界面活性剤が添加されているとステンレス鋼材表面との濡れ性が向上し、ステンレス鋼材表面を粗面にすることなくフラックス成分及びろう材粉末を均一に供給することができる。この界面活性剤にも制限はない。通常のノニオン系界面活性剤が用いられる。
ステンレス鋼材表面に、フラックス及びろう材を懸濁させたスラリーの塗布を行う。均一供給性が損なわれない限り、スラリーの塗布方法にも制限はない。刷毛塗り法やロールコーティング法を用いてもよい。浸漬法や噴霧法でもよい。
詳細は後記の実施例に譲るが、ステンレス鋼材界面に生成するAl−Fe系金属間化合物層の厚さが10μm以下であれば、接合強度への影響は殆んどなくなる。好ましくは5μm以下である。そして、10μm以下の厚さの金属間化合物層とするためには、530〜580℃の温度範囲で2時間以下の加熱に止めることが必要である。加熱温度が高すぎたり、加熱時間が長すぎたりすると、金属間化合物の生成量が多くなりすぎて、所期の目的を達成することができなくなる。
例えば図1に示されるように、一般的なハニカムパネル1は、一対の面材2と、これら面材2間に配列されるように介在される中空のコア材3とで構成されている。そして、面材2とコア材3がろう付けにて接合されている。なお、図1中、3aは中空コア材の内部と連通する空気孔である。また、図1中には明示していないが、表裏二面の面材2間で挟まれた空間の前後左右の側端面には、通常面材2よりも厚肉の枠材が配置されている。
上記と同じように、530〜580℃の温度範囲で2時間以下の加熱に止める必要がある。2時間を超える加熱は、Al−Fe系金属間化合物の生成量を増やすばかりでなく、生産性や経済性の劣化にも繋がる。
図2中の横板4として、板厚1mmのSUS316を用意した。また縦板5として、A3003の芯材に4343系の皮材を両面に10%のクラッド率でクラッドした板厚0.2mmのブレージングシート、又は板厚0.2mmのA3003を用いた。横板4,縦板5の長さ,幅は図示の通りである。
また、フラックスとしては、フッ化セシウムを含むK−Cs−Al−F系のフラックスであって、第一稀元素化学工業株式会社製のCF−2ペーストと市販のノコロック(登録商標)粉末を用意した。なお、このCF−2は約50モル%のCsFを含むものである。
CF−2ペースト100g(固形分50g)と75gのノコロック粉末を、300gの前記ろう材粉末とともに130mlの純水に加えてろう材スラリーを調製した。
次いで横板4に縦板5を立て、逆T字ろう付け試験用組み付け体を作製した。
その組み付け体をN2ガス雰囲気炉に入れ、加熱温度,加熱時間を種々変更して加熱した後に速やかに冷却することでろう付けを行った。なお、ろう付け加熱時の昇温速度は20℃/分とした。
なお、比較のために縦板にブレージングシート又はA3003材を用い、ノコロックをフラックスとし、別途ろう材を配することなく、種々の加熱温度でろう付けを行った。
Al−Fe系金属間化合物の生成状況の観察は、接合部の断面を拡大し、ステンレス鋼界面に形成されている金属間化合物層の厚さを測定した。なお、この金属間化合物層の厚さは、前記態様で組み付け体を、各ろう付け条件で、それぞれ5回ろう付け試験したときの平均値である。
ろう付け接合体の破断テストには、間隙を設けた治具を用いた。治具の間隙に縦板5を通し、治具の下面で横板4の上面を規制しつつ、間隙を通した縦板5を上方に破断するまで引っ張った。破断した後、破断箇所を確認して、接合部以外からの破断を良とした。
その結果を併せて表1に示す。
なお、試験No.14以降の比較例からもわかるように、低融点ろう材+フラックス混合スラリーを用いないと、570℃以下での加熱温度ではろう付けができない。そして、高温ろう付けに伴って多量の金属間化合物が生成し、接合強度が低下してしまう。
この結果から、低温ろう付けによってステンレス鋼材の界面に形成される金属間化合物の生成量を少なくすることができ、その結果として、ステンレス鋼材とアルミニウム材との接合強度を高めたろう付け接合体が得られることがわかる。
Claims (4)
- ステンレス鋼材とアルミニウム合金材とのろう付け接合体であって、ろう材とステンレス鋼材との界面に形成された金属間化合物が10μm以下の厚さでろう付け接合されていることを特徴とするステンレス鋼材とアルミニウム合金材とのろう付け接合体。
- ステンレス鋼板からなる面材とアルミニウム合金板からなるコア材が、ろう材とステンレス鋼材との界面に形成された金属間化合物が10μm以下の厚さでろう付け接合されていることを特徴とするろう付けハニカムパネル。
- ステンレス鋼材のろう付け部表面に、Cu:23〜37質量%,Si:4〜10質量%を含み、残部がAl及び不可避的不純物からなる組成と10〜100μmの平均粒径を有する粉末状アルミニウム合金ろう材と、固形分として11質量%以上のCsFを含むフッ化物系フラックスとを分散媒に懸濁させたアルミニウム合金ろう材スラリーを塗布した後、当該ろう材スラリーが塗布されたろう付け部にアルミニウム合金材を組み付け、その組み付け体を、530〜580℃の温度範囲で2時間以下保持する条件で加熱することを特徴とするステンレス鋼材とアルミニウム合金材とのろう付け接合方法。
- ステンレス鋼板からなる面材のろう付け部表面に、Cu:23〜37質量%,Si:4〜10質量%を含み、残部がAl及び不可避的不純物からなる組成と10〜100μmの平均粒径を有する粉末状アルミニウム合金ろう材と、固形分として11質量%以上のCsFを含むフッ化物系フラックスとを分散媒に懸濁させたアルミニウム合金ろう材スラリーを塗布した後、当該ろう材スラリーが塗布されたろう付け部にアルミニウム合金板からなるコア材を組み付け、その組み付け体を、530〜580℃の温度範囲で2時間以下保持する条件で加熱することを特徴とするハニカムパネルの製造方法。
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2006
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