JP2008091506A - 導電性ペースト、積層セラミック電子部品及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】積層セラミック電子部品の内部電極を形成するために用いる導電性ペーストであって、導電性粉末と、有機ビヒクルとを含み、前記有機ビヒクル中の有機バインダが、エチルセルロース樹脂および/またはアルキド樹脂を主成分とし、前記有機ビヒクル中の溶剤が、イソボニルプロピオネート、イソボニルブチレートおよびイソボニルイソブチレートから選択される1種以上と、炭素数5〜40の脂肪族炭化水素と、を含むことを特徴とする導電性ペースト。
【選択図】なし
Description
導電性粉末と、有機ビヒクルとを含み、
前記有機ビヒクル中の有機バインダが、エチルセルロース樹脂および/またはアルキド樹脂を主成分とし、
前記有機ビヒクル中の溶剤が、イソボニルプロピオネート(isobornyl propionate)、イソボニルブチレート(isobornyl butyrate)およびイソボニルイソブチレート(isobornyl isobutyrete)から選択される1種以上と、炭素数5〜40の脂肪族炭化水素と、を含むことを特徴とする導電性ペーストが提供される。
前記イソボニルプロピオネート、イソボニルブチレートおよびイソボニルイソブチレートから選択される1種以上と、炭素数5〜40の脂肪族炭化水素と、の比が、重量比で、
イソボニルプロピオネート、イソボニルブチレートおよびイソボニルイソブチレート:炭素数5〜40の脂肪族炭化水素=99:1〜70:30である。
前記イソボニルプロピオネート、イソボニルブチレートおよびイソボニルイソブチレートから選択される1種以上と、炭素数5〜40の脂肪族炭化水素と、の比が、重量比で、
イソボニルプロピオネート、イソボニルブチレートおよびイソボニルイソブチレート:炭素数5〜40の脂肪族炭化水素=99:1〜70:30である。
内部電極層と、厚さ3μm以下の誘電体層と、を有する積層セラミック電子部品が提供される。
すなわち、本発明によれば、積層セラミック電子部品の内部電極を形成するために用いられ、室温においてはもちろんのこと、溶剤の乾燥温度(たとえば、40〜90℃)においても、シートアタックを生じない導電性ペーストと、この導電性ペーストを用いて製造され、ショート不良率が低く、高い耐電圧を有し、しかもデラミネーションが有効に防止された積層セラミック電子部品と、該積層セラミック電子部の製造方法と、を提供することができる。
図1は本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの断面図、
図2(A)〜図2(D)、図3(A)、図3(B)は本発明の実施例および比較例に係る導電性ペーストに含有される溶剤の温度50℃の条件におけるブチラール樹脂含有セラミックグリーンシートに対する相溶性を示す写真、
図4(A)〜図4(D)は本発明の実施例および比較例に係る導電性ペーストに含有される溶剤の温度50℃の条件におけるアクリル樹脂含有セラミックグリーンシートに対する相溶性を示す写真である。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサ1は、誘電体層2と内部電極層3とが交互に積層された構成のコンデンサ素体10を有する。このコンデンサ素体10の両側端部には、素体10の内部で交互に配置された内部電極層3と各々導通する一対の外部電極4,4が形成してある。内部電極層3は、各側端面がコンデンサ素体10の対向する2端部の表面に交互に露出するように積層してある。一対の外部電極4,4は、コンデンサ素体10の両端部に形成され、交互に配置された内部電極層3の露出端面に接続されて、コンデンサ回路を構成する。
次に、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ1の製造方法の一例を説明する。
(1)まず、焼成後に図1に示す誘電体層2を構成することになるセラミックグリーンシートを製造するために、誘電体ペーストを準備する。
本実施形態では、誘電体ペーストは、セラミック粉体(誘電体原料)と有機ビヒクルとを混練して得られる有機溶剤系ペーストで構成される。
本実施形態で用いるポリビニルブチラールの重合度は、好ましくは300〜2400、より好ましくは500〜2000である。また、ポリビニルブチラールのブチラール化度は、好ましくは50〜81.6%、より好ましくは63〜80%であり、その残留アセチル基量は、好ましくは6%未満、より好ましくは3%以下である。また、本実施形態で用いるポリビニルブチラールは、一部がアセトアルデヒドによりアセタール化されたものであってもよい。
(2)次に、この誘電体ペーストを用いて、ドクターブレード法などにより、キャリアシート上に、好ましくは0.5〜30μm、より好ましくは0.5〜10μm、さらに好ましくは0.5〜5μm程度の厚みで、セラミックグリーンシートを形成する。セラミックグリーンシートは、焼成後に図1に示す誘電体層2となる。
(3)次に、焼成後に図1に示す内部電極層3を構成することになる所定パターンの電極層(内部電極パターン)を製造するために、導電性ペーストを準備する。
本実施形態で用いる導電性ペーストは、導電性粉末と有機ビヒクルとを含有する。
(4)次に、この導電性ペーストを用いて、キャリアシート上に形成されたセラミックグリーンシートの表面に、焼成後に図1に示す内部電極層3となる所定パターンの電極層(内部電極パターン)を形成する。
具体的には、まず、スクリーン印刷により、上記にて作製したセラミックグリーンシート表面に、導電性ペーストを所定パターンで印刷し、乾燥前の電極ペースト膜を形成する。そして、この電極ペースト膜に含まれている溶媒を除去するために、温度40〜90℃の条件にて乾燥を行い、焼成前電極層(内部電極パターン)とする。
しかも、高温条件におけるシートアタックを防止できるため、溶剤の乾燥温度を比較的に高くすることができ、製造効率の向上も図ることもできる。
(4)次に、以上のような、所定パターンの電極用ペースト層が表面に形成されたセラミックグリーンシートを複数積層して、グリーンチップを作製し、脱バインダ工程、焼成工程、必要に応じて行われるアニール工程を経て形成された、焼結体で構成されるコンデンサ素体10に、外部電極用ペーストを印刷または転写して焼成し、外部電極4,4を形成して、積層セラミックコンデンサ1が製造される。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々に改変することができる。
まず、有機バインダとして、ブチラール樹脂(ポリビニルブチラール)を用いたセラミックグリーンシートを形成するためのブチラール樹脂含有誘電体ペーストを作製した。
BaTiO3 系セラミック粉末と、有機バインダとしてのポリビニルブチラール(PVB)と、溶媒としてのメタノールを準備した。次に、セラミック粉末100重量部に対して、10重量部の有機バインダと、150重量部の溶媒とをそれぞれ秤量し、ボールミルで混練し、スラリー化してブチラール樹脂含有誘電体ペーストを得た。
PETフィルム上に上記誘電体ペーストをドクターブレード法により、所定厚みで塗布し、乾燥することで、乾燥後の厚みが1.5μmのブチラール樹脂含有セラミックグリーンシートを形成した。
上記にて作製したブチラール樹脂含有セラミックグリーンシートを、PETフィルム上に形成されたままの状態で、表1に示す各溶剤中に浸漬させ(各溶剤は、所定のサンプル瓶に予め入れておいた。)、次いで、浸漬させたシートを温度50℃とした恒温槽中に入れ、4時間放置した。その後、恒温槽中から、各シートサンプルの入ったサンプル瓶を取り出し、50℃、4時間放置後の各シートサンプルの状態を観察した。
溶剤としては、以下の表1に示す各溶剤を使用し、各溶剤に浸漬させた後のブチラール樹脂含有セラミックグリーンシートの写真を、それぞれ、表1に記載された各図に示した。なお、表1中、各溶剤の比率は重量比で示した(表2においても同様)。
溶剤とアクリル樹脂含有セラミックグリーンシートとの相溶性試験(50℃、浸漬)
有機バインダとして、アクリル樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にして、アクリル樹脂含有誘電体ペーストおよびアクリル樹脂含有セラミックグリーンシートを作製し、実施例1と同様にして、溶剤とアクリル樹脂含有セラミックグリーンシートとの相溶性試験(50℃、浸漬)を行った。
導電性ペーストの作製
導電性ペーストを作製するための有機ビヒクルを、次の方法により調製した。
PETフィルム上に実施例1で作製したブチラール樹脂含有誘電体ペーストをドクターブレード法によって、所定厚みで塗布し、乾燥することで、厚みが1μmのブチラール樹脂含有セラミックグリーンシート(以下、単に「セラミックグリーンシート」とする。)を形成した。
得られた試験用試料を用い、「シートアタックの有無」と、「セラミックグリーンシートからのPETフィルムの剥離性」を評価した。
次いで、実施例1で作製したブチラール樹脂含有誘電体ペーストと、上記にて作製した導電性ペーストを用い、以下のようにして、図1に示す積層セラミックチップコンデンサ1を製造した。
得られたコンデンサ試料のショート不良特性、耐電圧特性(IR特性)及びデラミネーションの有無を評価した。
10… コンデンサ素体
2… 誘電体層
3… 内部電極層
4… 外部電極
Claims (8)
- 積層セラミック電子部品の内部電極を形成するために用いる導電性ペーストであって、
導電性粉末と、有機ビヒクルとを含み、
前記有機ビヒクル中の有機バインダが、エチルセルロース樹脂および/またはアルキド樹脂を主成分とし、
前記有機ビヒクル中の溶剤が、イソボニルプロピオネート、イソボニルブチレートおよびイソボニルイソブチレートから選択される1種以上と、炭素数5〜40の脂肪族炭化水素と、を含むことを特徴とする導電性ペースト。 - 前記導電性ペーストは、ブチラール樹脂を含む厚さ5μm以下のセラミックグリーンシートと組み合わせて使用され、
前記イソボニルプロピオネート、イソボニルブチレートおよびイソボニルイソブチレートから選択される1種以上と、炭素数5〜40の脂肪族炭化水素と、の比が、重量比で、
イソボニルプロピオネート、イソボニルブチレートおよびイソボニルイソブチレート:炭素数5〜40の脂肪族炭化水素=99:1〜70:30である請求項1に記載の導電性ペースト。 - 前記導電性ペーストは、アクリル樹脂を含む厚さ5μm以下のセラミックグリーンシートと組み合わせて使用され、
前記イソボニルプロピオネート、イソボニルブチレートおよびイソボニルイソブチレートから選択される1種以上と、炭素数5〜40の脂肪族炭化水素と、の比が、重量比で、
イソボニルプロピオネート、イソボニルブチレートおよびイソボニルイソブチレート:炭素数5〜40の脂肪族炭化水素=99:1〜70:30である請求項1に記載の導電性ペースト。 - 前記有機ビヒクル中の溶剤が、前記導電性粉末100重量部に対して50〜200重量部含有されている請求項1〜3のいずれかに記載の導電性ペースト。
- 前記有機ビヒクル中の有機バインダが、前記導電性粉末100重量部に対して1〜10重量部含有されている請求項1〜4のいずれかに記載の導電性ペースト。
- 前記導電性粉末が、NiまたはNi合金を主成分とする請求項1〜5のいずれかに記載の導電性ペースト。
- ブチラール樹脂またはアクリル樹脂を含む厚さ5μm以下のセラミックグリーンシートと、請求項1〜6のいずれかに記載の導電性ペーストを用いて所定パターンで形成される電極層とを、交互に複数重ねたグリーンセラミック積層体を用いて製造され、
内部電極層と、厚さ3μm以下の誘電体層と、を有する積層セラミック電子部品。 - ブチラール樹脂またはアクリル樹脂を含む厚さ5μm以下のセラミックグリーンシートと、請求項1〜6のいずれかに記載の導電性ペーストを用いて所定パターンで形成される電極層とを、交互に複数重ねたグリーンセラミック積層体を焼成する積層セラミック電子部品の製造方法。
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