JP2008088321A - ポリエステル組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明が解決しようとする課題は、耐熱性、及び風合い等の柔軟性に優れ、かつ良好な透明性及び成形加工性を有する成形物を形成可能なポリエステル組成物を提供することである。
【解決手段】本発明は、ポリヒドロキシカルボン酸(A)と、ジオール(b1)及びジカルボン酸(b2)を反応させて得られるポリエステル構造単位(B1)とポリヒドロキシカルボン酸構造単位(C)とを有するブロック共重合体(D1)と、イオン性基を有するポリアルキレンオキサイドによって有機化された、4nm以上の層間距離を有する有機化層状珪酸塩(E)とを含有することを特徴とするポリエステル組成物に関する。
【選択図】なし

Description

本発明は、柔軟性、耐熱性、透明性、及び成形加工性に優れた食品包装等の製造に使用可能なポリエステル組成物に関する。
ポリ乳酸は、一般にトウモロコシ等の植物を出発原料として製造可能で、かつ優れた透明性、及び生分解性等を有することから、環境調和型の成形用樹脂として注目されている。特にポリ乳酸がポリオレフィン等衛生協議会の定めるポジティブリストに登録されたことで、ポリ乳酸の食品包装分野等への用途展開が期待されている。
一方で、ポリ乳酸は柔軟性及び耐熱性が不十分で、かつ脆いといった固有の欠点を有しており、かかる欠点が、ポリ乳酸の市場展開を進めるうえで大きな障害となっている。
したがって、産業界からは、ポリ乳酸固有の優れた透明性等を損なうことなく、前記のような欠点を改善する方法の開発が強く求められている。
前記ポリ乳酸の欠点を改善する方法としては、ポリ乳酸と他の樹脂等とをブレンドする方法等が知られており、例えば、ポリ乳酸に可塑剤と有機化された層状珪酸塩とを所定量含むポリ乳酸フィルムが、高弾性率と高破断点伸び率とを有し、かつ良好な耐衝撃性を有することが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
しかし、前記ポリ乳酸フィルム中に含まれる可塑剤は、経時的に該フィルム表面にブリードする場合があり、その結果、ポリ乳酸フィルムは、柔軟性を向上させることができないだけでなく、透明性の著しい低下を引き起こす場合があった。
また、前記ポリ乳酸の欠点を改善する方法としては、ポリ乳酸を他の樹脂等と共重合する方法等が知られており、例えばポリヒドロキシカルボン酸構造単位と、ジカルボン酸及びジオールから誘導されるポリエステル構造単位とを有するブロック共重合体からなり、前記ポリヒドロキシカルボン酸構造単位とポリエステル構造単位とのいずれか一方の構造単位が形成するマトリックス中に他方の構造単位がドメインを形成するミクロ相分離構造を有する特定の成形用樹脂や、該成形用樹脂及びポリヒドロキシカルボン酸を含有してなるポリエステル組成物、及びそれらを成形して得られるフィルム等の成形物が、柔軟性、耐衝撃性及び生分解性に優れ、かつ透明性にも優れることが知られている(例えば、特許文献2参照。)。
しかし、前記組成物は、依然として実用上求められる高いレベルの耐熱性を有しているとは言いがたかった。
また、前記フィルムには、食品の鮮度や品質等を維持し、かつその新鮮さ等をアピールすることで一般消費者の購買意欲をかき立てる役割を担う食品包装用途での使用が期待されているため、前記柔軟性のなかでも、とりわけ、風合い、即ち、該フィルムの、ソフト感、しなやかさ、しゃり等と言われる良好な材質感や触感が求められる場合がある。
しかし、前記ポリエステル組成物からなるフィルムは、従来より食品包装材料に比較的多く使用されている、例えばポリエチレン−ポリプロピレンフィルム等の風合いと比較して十分といえるものではないため、容易にしわやよれを生じ、商品の新鮮さや高品質を十分にアピールできず、その結果、需要者の購買意欲を低下させてしまう場合があった。
特開2005−320389号公報 特開2004−250663号公報
本発明が解決しようとする課題は、耐熱性、及び風合い等の柔軟性に優れ、かつ良好な透明性及び成形加工性を有する成形物を形成可能なポリエステル組成物を提供することである。
本発明者は、柔軟性や風合いの向上に寄与しうる可塑剤の、成形物からのブリードを抑制することにより前記課題を解決できると考え、前記文献1に記載されたポリ乳酸と可塑剤と有機化された層状珪酸塩とを含有する組成物をベースとして、検討を進めた。
具体的には、前記可塑剤成分として、ポリ乳酸との相溶性に優れるものとして知られる、ポリエステル構造単位とポリヒドロキシカルボン酸構造単位とを有するブロック共重合体をはじめとする様々なポリ乳酸系共重合体を使用することにより、該可塑剤のブリードを抑制できるのではないかと考えた。
しかし、前記可塑剤として前記ポリ乳酸系共重合体を使用することによって、該可塑剤のブリードは抑制可能となったが、前記したレベルの優れた風合い等の柔軟性を有するフィルム等を得ることは依然として困難であった。
そこで、本発明者は、ポリ乳酸と前記ポリ乳酸系共重合体とに組み合わせ使用する有機化された層状珪酸塩についても検討を進め、該層状珪酸塩として、イオン性基を有するポリアルキレンオキサイドによって有機化された、4nm以上の層間距離を有する有機化層状珪酸塩を組み合わせ使用したところ、格段に優れた耐熱性、及び風合い等の柔軟性を有し、かつ良好な透明性及び成形加工性を有する成形物を形成可能なポリエステル組成物を見出すに至った。
即ち本発明は、ポリヒドロキシカルボン酸(A)と、ジオール(b1)及びジカルボン酸(b2)を反応させて得られるポリエステル構造単位(B1)とポリヒドロキシカルボン酸構造単位(C)とを有するブロック共重合体(D1)と、イオン性基を有するポリアルキレンオキサイドによって有機化された、4nm以上の層間距離を有する有機化層状珪酸塩(E)とを含有することを特徴とするポリエステル組成物に関するものである。
また、本発明は、ポリヒドロキシカルボン酸(A)と、ジオール(b1)、ジカルボン酸(b2)及びヒドロキシカルボン酸(b3)を反応させて得られるポリエステル構造単位(B2)とポリヒドロキシカルボン酸構造単位(C)とを有するブロック共重合体(D2)と、イオン性基を有するポリアルキレンオキサイドによって有機化された、4nm以上の層間距離を有する有機化層状珪酸塩(E)とを含有することを特徴とするポリエステル組成物に関するものである。
本発明のポリエステル組成物によれば、優れた耐熱性、及び風合い等の柔軟性を有し、かつ良好な透明性及び成形加工性等を有する成形物を形成可能であることから、例えば食品包装フィルム等の広範な用途に適用可能である。
本発明は、ポリヒドロキシカルボン酸(A)と、ジオール(b1)及びジカルボン酸(b2)を反応させて得られるポリエステル構造単位(B1)とポリヒドロキシカルボン酸構造単位(C)とを有するブロック共重合体(D1)と、イオン性基を有するポリアルキレンオキサイドによって有機化された、4nm以上の層間距離を有する有機化層状珪酸塩(E)と、必要に応じてその他の成分とを含有するポリエステル組成物に関する。
また、本発明は、ポリヒドロキシカルボン酸(A)と、ジオール(b1)、ジカルボン酸(b2)及びヒドロキシカルボン酸(b3)を反応させて得られるポリエステル構造単位(B2)とポリヒドロキシカルボン酸構造単位(C)とを有するブロック共重合体(D2)と、イオン性基を有するポリアルキレンオキサイドによって有機化された、4nm以上の層間距離を有する有機化層状珪酸塩(E)と、必要に応じてその他の成分とを含有するポリエステル組成物に関する。
はじめに、本発明で使用するポリヒドロキシカルボン酸(A)について説明する。
本発明で使用するポリヒドロキシカルボン酸(A)としては、例えばL−ポリ乳酸、D−ポリ乳酸、LD−ポリ乳酸、及びそれらの混合物等を好ましく使用することができる。
前記LD−ポリ乳酸は、L−乳酸もしくはL−ラクタイドとD−乳酸もしくはD−ラクタイドとの共重合体であって、特にL−乳酸もしくはL−ラクタイド由来の構造単位の割合又はD−乳酸もしくはD−ラクタイド由来の構造単位の割合が90質量%以上であるものを使用することが好ましく、95質量%以上であるものを使用することがより好ましい。かかるLD−ポリ乳酸を使用することによって、耐熱性、透明性及び成形加工性に優れたポリエステル組成物を得ることができる。
前記LD−ポリ乳酸を構成するL体及びD体の割合(光学異性比率)は、それを加水分解して得られた乳酸を、光学異性体分離カラムを備えた高性能液体クロマトグラフィーを用いて、L―乳酸とD−乳酸とに分離した後、それらを定量することにより決定できる。前記加水分解の方法としては、例えば、LD−ポリ乳酸と水酸化ナトリウム/メタノール混合溶液とを、例えば65℃に設定した水浴浸とう器を用いて混合する方法が挙げられる。高性能液体クロマトグラフィーを用いた定量の際には、予め希塩酸溶液等を用いて中和したものを使用することが好ましい。
また、前記ポリヒドロキシカルボン酸(A)としては、良好な成形加工性や機械的特性を維持する観点から、重量平均分子量50,000〜400,000の範囲であるものを使用することが好ましく、重量平均分子量100,000〜400,000の範囲であるものを使用することがより好ましい。
また、本発明のポリエステル組成物は、いわゆる海島型のミクロ相分離構造を有したモルホロジーを形成する場合がある。かかる場合、前記ポリヒドロキシカルボン酸(A)はその海相(マトリックス)または島相(ドメイン)のいずれを形成してもよいが、海相を形成していることが好ましい。
前記ポリヒドロキシカルボン酸(A)は、例えば、乳酸の縮合重合法や、乳酸の環状2量体であるラクタイドの開環重合法等で製造することができる。乳酸の重縮合反応は、乳酸の有するカルボキシル基及び水酸基をエステル化反応させる方法であり、例えばL−乳酸もしくはD−乳酸又はこれらの混合物を高沸点溶媒存在下、減圧下で共沸脱水させる方法が挙げられる。
また、前記ラクタイドを用いた開環重合法とは、開環したラクタイド同士をエステル化反応する方法であり、例えば重合調節剤及び重合触媒の存在下でL−ラクタイド又はD−ラクタイドを開環させる方法が挙げられる。このとき、L−乳酸とD−乳酸の2量体であるLD−ラクタイドを本発明の目的を達成する範囲内で併用してもよい。
次に、本発明で使用するブロック共重合体(D1)及びブロック共重合体(D2)について説明する。
本発明で使用するブロック共重合体(D1)は、ジオール及びジカルボン酸を反応させて得られるポリエステル構造単位(B1)と、ポリヒドロキシカルボン酸構造単位(C)とを有するものである。
また、本発明で使用するブロック共重合体(D2)は、ジオールとジカルボン酸とヒドロキシカルボン酸とを反応させて得られるポリエステル構造単位(B2)と、ポリヒドロキシカルボン酸構造単位(C)とを有するものである。
前記ポリエステル構造単位(B1)は、ジオール(b1)及びジカルボン酸(b2)をエステル化反応させて得られるポリエステルに由来する構造単位であるが、なかでも側鎖を有するアルキル基からなるジオールとジカルボン酸とを反応させて得られるポリエステルに由来する構造単位であることが好ましい。
また、前記ポリエステル構造単位(B2)は、ジオール(b1)とジカルボン酸(b2)とヒドロキシカルボン酸(b3)とのエステル化反応により形成されたポリエステルに由来する構造単位であり、それらがランダムにエステル化反応したものであることが好ましい。
また、前記ポリヒドロキシカルボン酸構造単位(C)は、ヒドロキシカルボン酸のエステル化反応によって形成されたポリエステルに由来する構造単位であり、例えば乳酸のエステル化反応やラクトンの開環重合反応等によって形成されたポリ乳酸由来の構造単位が挙げられる。
前記ブロック共重合体(D1)及びブロック共重合体(D2)は、前記ポリエステル構造単位(B1)及び(B2)をY、ポリヒドロキシカルボン酸構造単位(C)をXとした場合、例えばXY型ブロック共重合体、XYX型ブロック共重合体、及びランダムブロック共重合体で示される構造を有する。本発明では、特にXY型ブロック共重合体を使用することが、得られるポリエステル組成物の包装材料等に適した良好な風合い及び柔軟性を付与する観点から好ましい。また、本発明では、前記したような異なる構造を有するブロック共重合体の混合物等を使用することもできる。
前記ブロック共重合体(D1)としては、ブロック共重合体(D1)を構成する前記ポリエステル構造単位(B1)と前記ポリヒドロキシカルボン酸構造単位(C)との質量割合[(B1)/(C)]が、20/80〜70/30の範囲であるものを使用することが好ましく、40/60〜70/30の範囲であるものを使用することが、優れた風合い及び柔軟性を有するポリエステル組成物を得るうえで好ましい。
また、前記ブロック共重合体(D2)としては、ブロック共重合体(D2)を構成する前記ポリエステル構造単位(B2)と前記ポリヒドロキシカルボン酸構造単位(C)との質量割合[(B2)/(C)]が、20/80〜70/30の範囲であるものを使用することが好ましく、40/60〜70/30の範囲であるものを使用することが、優れた風合い及び柔軟性を有するポリエステル組成物を得るうえで好ましい。
前記ブロック共重合体(D1)及びブロック共重合体(D2)を構成する前記ポリエステル構造単位(B1)及びポリエステル構造単位(B2)は、結晶性であっても非結晶性であってもよいが、透明性と、風合い及び柔軟性に優れたポリエステル組成物を得るうえで非結晶性であることが好ましい。
一方で、前記ブロック共重合体(D1)及びブロック共重合体(D2)を構成する前記ポリヒドロキシカルボン酸構造単位(C)は、結晶性であっても非結晶性であってもよいが、特に優れた透明性及び柔軟性を有するポリエステル組成物を得るうえで非結晶性であることが好ましい。
なお、本発明でいう結晶性とは、例えば、示差走査熱量計を用いて測定した際に融点が観察されるものをいい、また、非結晶性とは、例えば、前記測定により融点が観察されないものをいう。
また、前記ブロック共重合体(D1)及びブロック共重合体(D2)としては、重量平均分子量5,000〜300,000の範囲を有するものを使用することが好ましく、重量平均分子量10,000〜200,000の範囲を有するものを使用することがより好ましい。かかる範囲の重量平均分子量を有するブロック共重合体を使用することによって、風合い、柔軟性及び耐ブリード性の優れたポリエステル組成物を得ることができる。
前記ブロック共重合体(D1)及びブロック共重合体(D2)としては、JIS−K7122に準じて示差走査熱量計を用いて測定されるガラス転移温度を、−80℃〜60℃の範囲に1つ有するものを使用することが好ましい。前記温度範囲内に観察されるガラス転移温度が1つであるということは、前記ブロック共重合体を構成するポリエステル構造単位(B1)または(B2)と、ポリヒドロキシカルボン酸構造単位(C)とが相溶していることを意味し、かかるブロック共重合体(D1)または(D2)を使用することによって風合い及び柔軟性に優れたポリエステル組成物を得ることができる。
但し、前記ガラス転移温度を1つ有するブロック共重合体(D1)または(D2)を含む本発明のポリエステル組成物を一軸または二軸延伸加工して得られたフィルムの動的粘弾性を、例えばJIS K−7198に準じて測定周波数1Hz、昇温速度3℃/minの測定条件で測定すると、損失正接のピーク極大値が2つ現れる。このピーク極大値は、ガラス転移温度に相当するものであって、前記ポリエステル構造単位(B1)または(B2)、及び前記ポリヒドロキシカルボン酸構造単位(C)のそれぞれに対応したものが観察される。
また、前記ブロック共重合体(D1)及びブロック共重合体(D2)は、例えばそれぞれ下記の方法により製造することができる。
前記ブロック共重合体(D1)は、例えばポリエステル(B1’)とポリヒドロキシカルボン酸(C’)とを溶融混合した後、エステル化触媒を添加し、減圧下でエステル化反応させることによって製造することができる(方法1)。
前記(方法1)での反応温度は、170〜220℃の範囲であることが好ましく、180〜210℃の範囲であることがより好ましい。前記範囲の温度で反応させることによって、得られるブロック共重合体(D1)の分子量の低下や色相の低下を抑制することが可能である。
また、前記(方法1)での減圧度は、高真空である程、エステル化反応が速やかに進行するので好ましい。具体的には2kPa以下が好ましく、1kPa以下がより好ましく、0.5kPa以下が特に好ましい。
前記ブロック共重合体(D1)を製造する際に使用できるポリエステル(B1’)は、前記ブロック共重合体(D1)のポリエステル構造単位(B1)を形成しうるものである。
前記ポリエステル(B1’)としては、重量平均分子量5,000〜300,000の範囲を有するものが好ましく、10,000〜100,000の範囲を有するものがより好ましい。
前記ポリエステル(B1’)は、ジオール(b1)とジカルボン酸(b2)とを反応させることによって得られる。
前記ポリエステル(B1’)を製造する際に使用できるジオール(b1)としては、脂肪族ジオールや芳香族ジオールが挙げられ、なかでも脂肪族ジオールを使用することが好ましい。
前記脂肪族ジオールとしては、例えばエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、3,3−ジエチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジブチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、2,3−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,5ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、n−ブトキシエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA、ダイマージオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ヘキシリレングリコール等を使用することができる。
また、前記芳香族ジオールとしては、例えば、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物等を使用することができる。
前記ジオールとしては、プロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール等の分岐したアルキル基を有するジオールを使用することが、本発明のポリエステル組成物の柔軟性を一層向上させるため好ましい。
また、前記ジオールとしては、前記脂肪族ジオールを2種類以上併用でき、例えばプロピレングリコールとポリエチレングリコールとの併用、エチレングリコールと1,4−ブタンジオールとの併用などが挙げられる。
また、前記ジオール(b1)には、本発明の目的を達成する範囲内でジオール以外の水酸基含有化合物を併用することができ、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ポリグリセリン、ペンタエリスリトール等を使用することができる。
また、前記ジカルボン酸(b2)としては、脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸を使用することができる。
前記脂肪族ジカルボン酸としては、例えばコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ダイマー酸、フマル酸等を使用することができる。また、芳香族ジカルボン酸としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等を使用することができる。ジカルボン酸としては、前記したものを2種類以上併用することもでき、例えば、テレフタル酸とアジピン酸との併用、セバシン酸とダイマー酸との併用などが挙げられる。
前記ポリエステル(B1’)の製造方法は、特に限定されず、例えば前記ジオール(b1)と、ジカルボン酸(b2)、その無水物またはそのエステル化物とを、必要に応じてエステル化触媒を用いて、公知慣用のエステル化反応によってエステル化させることにより製造することができる。その際、ポリエステル(B1’)の着色を抑制するために、亜リン酸エステル化合物等の酸化防止剤を、前記ジオールと、ジカルボン酸、その無水物またはそのエステル化物との合計量に対し、好ましくは10〜2000ppm使用してもよい。
前記エステル化触媒としては、周期律表2族、3族、及び4族からなる群より選ばれる少なくとも1種類の金属や有機金属化合物からなるものを好ましく使用することができる。前記エステル化触媒としては、例えば、チタン、スズ、亜鉛、アルミニウム、ジルコニウム、マグネシウム、ハフニウム、ゲルマニウム等の金属や、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、チタンオキシアセチルアセトナート、オクタン酸スズ、2−エチルヘキサンスズ、アセチルアセトナート亜鉛、4塩化ジルコニウム、4塩化ジルコニウムテトラヒドロフラン錯体、4塩化ハフニウム、4塩化ハフニウムテトラヒドロフラン錯体、酸化ゲルマニウム、テトラエトキシゲルマニウム等の金属化合物を使用することができる。
また、前記エステル化触媒の使用量は、通常、前記ジオール(b1)とジカルボン酸(b2)等との反応を制御でき、かつ色相等の良好なものが得られる量であればよく、一般的にジオールとジカルボン酸等との合計量に対し、10〜1000ppmの範囲であることが好ましく、20〜800ppmの範囲であることがより好ましく、30〜500ppmの範囲であることが、ポリエステル(B1’)の着色を抑制する観点から特に好ましい。
前記エステル化触媒は、ジオールとジカルボン酸等との原料を仕込む際に添加しておいてもよく、減圧開始の際に添加してもよい。
また、前記エステル化触媒は、前記ポリエステル(B1’)製造後に、公知慣用の方法で失活させることが、ブロック共重合体(D1)やブロック共重合体(D2)を製造する際の副反応を抑制できることから好ましい。エステル化触媒の失活方法としては、例えばキレート化剤を使用する方法がある。
前記キレート化剤としては、公知慣用の有機系キレート化剤あるいは無機系キレート化剤を使用することができる。有機系キレート化剤としては、例えば、アミノ酸、フェノール類、ヒドロキシカルボン酸、ジケトン類、アミン類、オキシム、フェナントロリン類、ピリジン化合物、ジチオ化合物、ジアゾ化合物、チオール類、ポルフィリン類、配位原子としてN含有のフェノール類やカルボン酸等を使用することができる。無機キレート化剤としては、例えば、リン酸、リン酸エステル、亜リン酸、亜リン酸エステル等のリン化合物を使用することができる。
前記ポリエステル(B1’)を製造する際の温度は、150〜260℃の範囲であることが好ましく、180〜240℃の範囲であることがより好ましい。前記ポリエステル(B1)を製造する際の反応時間は2時間以上であることが好ましく、4〜60時間の範囲であることがより好ましい。前記ポリエステル(B1’)を製造する際の減圧度は、10torr以下であることが好ましく、2torr以下であることがより好ましい。
また、前記ポリエステル(B1’)としては、前記方法で得られたポリエステルと、酸無水物や多価イソシアネートや過酸化物等とを反応させることによって高分子量化したポリエステルを、本発明を損なわない範囲内で使用することができる。
なお、前記ポリエステル(B1’)は、前記ポリヒドロキシカルボン酸(C’)と溶融混合する前に、予めポリエステル(B1’)を製造する際に使用したエステル化触媒を除去または失活等を行って不活性にしておくことが好ましい。これによって、得られるブロック共重合体(D1)の分子量低下を抑制することができる。
また、前記(方法1)で使用できるポリヒドロキシカルボン酸(C’)は、前記ブロック共重合体(D1)のポリヒドロキシカルボン酸構造単位(C)を形成しうるものであって、例えば乳酸、グリコール酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシ3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸、p―ヒドロキシ安息香酸及びこれらの混合物の重縮合物を使用することができる。
前記ポリヒドロキシカルボン酸(C’)としては、重量平均分子量10,000〜400,000の範囲を有するものを使用することが好ましく、重量平均分子量30,000〜400,000の範囲を有するものを使用することがより好ましい。かかるポリヒドロキシカルボン酸(C’)を使用することによって、ブロック共重合体(D1)として高分子量のものを製造できる。
前記エステル化触媒としては、前記ポリエステル(B1’)を製造する際に使用できるものとして例示したものと同様のものを好ましく使用することができる。エステル化触媒の使用量は、ポリエステル(B1’)とポリヒドロキシカルボン酸(C’)と合計量に対して50〜500ppmの範囲であることが好ましく、50〜300ppmの範囲であることがより好ましく、50〜200ppmの範囲であることが特に好ましい。かかる範囲でエステル化触媒を使用することで、ブロック共重合体(D1)の分子量の低下を抑制するとともに、良好な色相を有したブロック共重合体(D1)を得ることができる。
また、前記ブロック共重合体(D1)は、例えば前記ポリエステル(B1’)、及び前記ポリヒドロキシカルボン酸(C’)とをエステル化触媒を用いて、高沸点溶媒の共存下、減圧条件で共沸脱水重縮合反応させることにより製造することもできる(方法2)。
前記高沸点溶媒としては、例えばキシレン、アニソール、ジフェニルエーテル等を好ましく使用できる。また、減圧度は、高沸点溶媒が系内を還流させることが目的で、1000〜3000Paの範囲内であることが好ましい。なお、減圧下で反応させる場合には、前記高沸点溶媒が還流するような装置を用いることが好ましい。
また、水分は、一般に得られるブロック共重合体(D1)の分子量の低下を招くため、特に前記ポリエステル(B1’)としては、反応前に十分に乾燥させたものを使用することが好ましい。
また、前記ブロック共重合体(D1)は、例えば前記ポリエステル(B1’)、及びラクトンを、開環重合触媒の存在下にて反応させることにより製造することができる(方法3)。
前記ポリエステル(B1’)とラクトンとを開環重合触媒の存在下で反応させ前記ブロック共重合体(D1)を製造する方法は、具体的には不活性ガス雰囲気下、所定温度に設定した反応釜中に、前記ポリエステル(B1’)と前記ラクトンとを適当な良溶媒中に溶解または分散、均一化し、次いで、開環重合触媒を添加することによりそれらを反応させる方法である。反応温度は、ブロック共重合体(D1)の着色及び熱分解を防ぐという観点から150〜220℃の範囲が好ましく、160〜210℃の範囲がより好ましく、170〜200℃の範囲が特に好ましい。
前記ラクトンとしては、例えば5員環および6員環のラクトンを使用することが好ましく、例えば、プロピオラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン、カプロラクトン、及びこれらの混合物等を使用することがより好ましい。
前記ポリエステル(B1’)としては、反応前に十分に乾燥させて水分を除したものを使用することが好ましい。これは、系内に存在する水分によって前記ポリエステルとラクトンとの開環重合反応の阻害や、得られるブロック共重合体(D1)の分子量の低下等を招くためである。
(方法3)で使用可能な溶媒としては、例えば、トルエンなどの不活性な溶媒を使用する。溶媒の添加量は、ポリエステル(B1’)とラクトンとの合計量に対して、3〜30質量部の範囲で使用することが好ましく、5〜30質量部の範囲で使用することがより好ましく、5〜20質量部使用することが更に好ましい。
前記開環重合触媒としては、例えば、Sn、Ti、Zr、Zn、Ge、Co、Fe、Al、Mn、Hf等の金属又は有機金属化合物を好ましく使用することができる。これらの中でも、錫粉末、オクタン酸スズ、2−エチルヘキシル酸錫、ジブチルスズジラウレート、テトライソプロピルチタネート、テトラブトキシチタン、チタンオキシアセチルアセトナート、鉄(III)アセチルアセトナート、鉄(III)エトキサイド、アルミニウムイソプロポキサイド、アルミニウムアセチルアセトナートは、反応に対する活性作用が高い開環重合触媒であるため好ましい。
前記開環重合触媒の使用量は、ポリエステル(B1’)とラクトンとの合計量に対して50〜500ppmの範囲が好ましく、50〜300ppmの範囲がより好ましく、50〜200ppmの範囲が特に好ましい。開環重合触媒の使用量がかかる範囲であれば、ブロック共重合体(D1)の分子量低下を抑制するとともに、良好な色相を有するブロック共重合体(D1)を得ることができる。
前記ブロック共重合体(D1)を製造する方法としては、前記(方法1)〜(方法3)のなかでも、通常、多量の溶媒を除去する必要のない(方法1)及び(方法3)が好ましい。
また、ブロック共重合体(D1)は、例えばブロック共重合体(D1)を更に多官能ポリオールや酸無水物や多価イソシアネートやエポキシ化合物や過酸化物等と反応させることにより高分子量化されたものであってもよい。
前記ブロック共重合体(D1)を製造する際にした開環重合触媒やエステル化触媒は、必要に応じて適当な溶媒を用いることによって抽出除去してもよく、また前記キレート化剤を用いて前記エステル化触媒等を失活させてもよい。
また、前記ブロック共重合体(D1)の保存安定性を向上させることを目的として、適宜、助剤を使用してもよい。かかる助剤としては、例えばカルボジイミドを使用することができる。
一方で、前記ブロック共重合体(D2)は、例えばジオール(b1)とジカルボン酸(b2)とヒドロキシカルボン酸(b3)とを反応させて得られたポリエステル(B2’)と、ポリヒドロキシカルボン酸(C’)とをエステル化反応することによって製造することができる。
前記ポリエステル(B2’)は、前記ブロック共重合体(D2)のポリエステル構造単位(B2)を構成しうるものである。ポリエステル(B2’)は、ジオール(b1)とジカルボン酸(b2)とヒドロキシカルボン酸(b3)との共重合体であって、こられがランダムに共重合したものであることが好ましい。
前記ポリエステル(B2’)を製造する際に使用可能なジオール(b1)及びジカルボン酸(b2)としては、前記ブロック共重合体(D1)を製造する際に使用可能なものとして例示したジオール(b1)及びジカルボン酸(b2)と同様のものを使用することができる。
また、ポリエステル(B2’)を製造する際に使用可能なヒドロキシカルボン酸(b3)としては、分子中に1個の水酸基とカルボキシル基を有する化合物であれば特に限定されるものではなく、例えば乳酸、グリコール酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシ3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸、p−ヒドロキシ安息香酸あるいはこれらの混合物を使用することができる。ヒドロキシカルボン酸として光学異性体の存在するヒドロキシカルボン酸を使用する場合には、D体、L体、またはラセミ体のいずれも使用することができる。また、前記ヒドロキシカルボン酸(b3)としては、固体または液体のものを使用してもよく、それらの水溶液を使用してもよい。
前記ヒドロキシカルボン酸(b3)としては、乳酸またはグリコール酸を使用することが、入手が容易であること、前記ポリエステル(B2’)を製造する際の反応制御が容易であること、ポリエステルの2量体や3量体等をはじめとする副生成物の発生を大幅に抑制できることから好ましい。また、前記ヒドロキシカルボン酸(b3)を用いることにより副生成物の発生を大幅に抑制でき、得られるポリエステルの分子量を比較的高分子量に調整することが容易である。
前記ポリエステル(B2’)は、原料としてジオール(b1)及びジカルボン酸(b2)の他に前記ヒドロキシカルボン酸(b3)を使用すること以外は、前記ポリエステル(B1’)と同様の方法によって製造することができる。
ポリエステル(B2’)は、ポリエステル(B2’)全体に対して1〜50モル%の範囲のヒドロキシカルボン酸(b3)由来の構造単位を有していることが好ましく、3〜40モル%の範囲であることがより好ましい。前記範囲のヒドロキシカルボン酸(b3)由来の構造単位を有するポリエステル(B2’)を使用することによって、ブリードを引き起こしにくく、かつ風合い等の柔軟性、透明性、及び成形加工性に優れたポリエステル組成物を得ることができる。
また、前記ブロック共重合体(D2)は、前記ポリエステル(B1’)の代わりに、前記ポリエステル(B2’)を使用すること以外は、前記ブロック共重合体(D1)の製造方法として例示した(方法1)〜(方法3)の方法と同様の方法により製造することができる。
次に、本発明で使用する有機化層状珪酸塩(E)を説明する。
本発明で使用する有機化層状珪酸塩(E)は、層状珪酸塩の層間に、ポリアルキレンオキサイド鎖を有する有機カチオンがイオン結合したものであって、その層間距離が4nm以上のものである。
前記有機化層状珪酸塩(E)の層間距離は、有機化層状珪酸塩の薄片状結晶の001面間の距離を意味するものであって、X線回折分析によって測定することができる。前記層間距離が4nm未満である層状珪酸塩(E)を用いた場合には、その層間に、前記ポリ乳酸(A)や前記ブロック共重合体(D1)及び(D2)が十分挿入されないために、押出し成形や射出成形を行った際に、組成物中における層状珪酸塩の分散が不均一となり、その結果、得られる成形物の色相や成形むら等を引き起こす場合がある。
前記層間距離は、本発明のフィルムの耐熱性や柔軟性等をより一層向上する観点から、4nm以上であることが好ましい。また、層間距離の上限は、特に限定されないが、前記有機化層状珪酸塩(E)が完全に層間剥離し、ポリ乳酸(A)やブロック共重合体(D1)及び(D2)中に分散した状態であることが好ましい。
また、前記有機化層状珪酸塩(E)は、層状珪酸塩の層間に、ポリアルキレンオキサイド鎖を有する有機カチオンがイオン結合(有機化)したものである。有機カチオンによって有機化されていない層状珪酸塩を用いた場合は、得られるフィルムの耐熱性、柔軟性及び風合いの向上は全く期待できない。
前記層状珪酸塩としては、層間に交換性陽イオンを有する珪酸塩鉱物を使用することができる。層状珪酸塩の種類は特に限定されるものではないが、膨潤性マイカ(雲母)等の合成雲母、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、バイデライト、スティブンサイト、ノントロナイトなどのスメクタイト系粘土鉱物のほか、バーミキュライト、ハロイサイトなどがあり、天然のものでも合成されたものでも好ましく用いることができる。
また、前記層状珪酸塩の有機化に使用できる前記有機カチオンとしては、1級アミン塩、3級アミン塩、4級アンモニウム塩、ホスホニウム塩等のイオン性基を有するポリアルキレンオキサイドを使用することができる。前記ポリアルキレンオキサイドとしては、例えば下記一般式(I)で示されるものを使用することが可能である。
X−(RO)n−H ・・・・(I)
(式中、Rは炭素数1〜20の範囲のアルキレン基を、nは20〜50の範囲の整数を、Xはイオン性基を表す。)
前記一般式(I)中のRとしては、エチレン基、プロピレン基、エチレン-プロピレン共重合体由来のアルキレン基等が挙げられる。
また、前記一般式(I)中のnとしては、有機化層状珪酸塩(E)と、前記ポリヒドロキシカルボン酸(A)や前記ブロック共重合体(D1)や(D2)との相溶性を向上させることで、得られるポリエステル組成物からなるフィルムの柔軟性や耐熱性を向上できるため、20〜50の範囲が好ましく、20〜45の範囲がより好ましく、20〜40の範囲が特に好ましい。
また、前記イオン性基を有するポリアルキレンオキサイドとしては、異なるポリアルキレンオキサイド鎖を有するものを2種以上併用してもよい。
本発明で使用する有機化層状珪酸塩(E)は、前記層状珪酸塩が層間に有するナトリウムやマグネシウム等の無機の陽イオンを、前記有機カチオンと交換することによって得ることができる。
具体的には、層状珪酸塩と有機カチオンとを、アルコール等の極性溶媒や水中で混合等することによって得ることができる。前記混合条件としては、前記有機カチオンが前記混合条件により損なわれなければ特に問わないが、より具体的には、混合温度が10〜50℃の範囲内、混合時間が10〜50時間程度で行うことが好ましい。
また、前記有機化層状珪酸塩(E)としては、隔壁効果としてガスバリア性を付与する観点から、アスペクト比の高いものを使用することが好ましい。
即ち、前記有機化層状珪酸塩(E)としては、アスペクト比が約50程度の値を有するスメクタイト系粘土鉱物、約100程度の値を有するモンモリロナイト、アスペクト比が約150程度を有する膨潤性雲母等を有機化したものを使用することがより好ましい。なお、アスペクト比とは、一般に板状または針状物質である層状珪酸塩の長径と短径の比をいう。
次に本発明のポリエステル組成物の製造方法について説明する。
本発明のポリエステル組成物は、(1)ポリヒドロキシカルボン酸(A)とブロック共重合体(D1)及び/またはブロック共重合体(D2)と有機化層状珪酸塩(E)とを十分な混練能力のある一軸あるいは多軸の押出機で加熱溶融混練する方法、(2)ポリヒドロキシカルボン酸(A)とブロック共重合体(D1)及び/またはブロック共重合体(D2)とを加熱溶融混練した後に、前記有機化層状珪酸塩(E)及び必要に応じてその他の添加剤を供給し、高速撹拌機または低速攪拌機などを用いて均一混合した後、十分な混練能力のある一軸あるいは多軸の押出機で加熱溶融混練する方法、または、(3)予め少量のポリヒドロキシカルボン酸(A)と過剰のブロック共重合体(D1)及び/またはブロック共重合体(D2)と過剰の前記有機化層状珪酸塩(E)とを溶融混錬した、いわゆるマスターバッチと、ポリヒドロキシカルボン酸(A)とを、押出機を用いて加熱溶融混錬する方法、等によって製造することができる。また、前記マスターバッチの形状は、ペレットや粉末等であることが好ましい。
本発明のポリエステル組成物としては、前記ポリヒドロキシカルボン酸(A)を65〜90質量%、前記ブロック共重合体(D1)を5〜30質量%、及び前記有機化層状珪酸塩(E)を1〜20質量%含んでいるものが好ましい。かかる範囲の組成からなるポリエステル組成物であれば、耐熱性、柔軟性、及び透明性に優れたフィルム等の成形物を得ることができる。
また、本発明のポリエステル組成物は、前記ポリヒドロキシカルボン酸(A)を65〜90質量%、前記ブロック共重合体(D2)を5〜30質量%、及び前記有機化層状珪酸塩(E)を1〜20質量%含んでいるものが好ましい。かかる範囲の組成からなるポリエステル組成物であれば、耐熱性、柔軟性、及び透明性に優れたフィルム等の成形物を得ることができる。
本発明のポリエステル組成物には、必要に応じてその他の樹脂等を併用することができる。
前記その他樹脂としては、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレンに代表される汎用樹脂や、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、酢酸セルロース等に代表される生分解性樹脂、ポリエチレンオキサイド、メタクリルブチレンスチレン樹脂(MBS樹脂)、アクリロニトリルブチレンスチレン樹脂(ABS樹脂)等を使用することができ、なかでも環境負荷低減の観点からバイオマス由来である熱可塑性樹脂を使用することが好ましい。
また、本発明のポリエステル組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、例えば、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、帯電防止剤、熱安定剤、造核剤、粘着付与剤、顔料、染料などを使用することができる。
本発明のポリエステル組成物は、成形加工性に優れるため、各種成形物を得ることができる。各種成形物の製造方法としては、特に限定するものでなく、一般のプラスチックと同様の射出成形法、真空成形法、圧縮成形法等の方法が挙げられる。
本発明のポリエステル組成物を用いて製造可能な成形物としては、例えばフィルム、繊維、各種容器、各種部品等の成形物に使用することができるが、特にフィルムやシートの製造に好適な材料である。フィルムやシートの具体的な成形方法としては、押出し法、共押出し法、カレンダー法、ホットプレス法、溶媒キャスティング法、インフレーション法、バルーン法、テンター法等が挙げられるが、その方法に何ら制限はない。
なお、本発明でいうフィルムは、その形状、大きさ、厚み及び意匠等の点で何ら制限されるものではない。本発明では混乱を避けるため、フィルム及びシートの表現を「フィルム」に一元化するものとする。本発明のフィルムは、5μm〜2mmの範囲の厚みであることが好ましい。
前記押出し法によりフィルムを成形する場合には、例えばTダイ、インフレーションダイ(円形ダイ)、フラットダイ、シングルマニホールドダイ等のダイを用いることができる。共押出し法によれば、性質の異なる複数の該ポリマー及び/又は他種ポリマーを用いて、多層フィルムを製造することができる。
本発明のフィルムは、二軸同時延伸することが可能であるから、適当な条件下で熱処理を施すことによって、良好な寸法安定性及び二次加工適性を付与することができる。
前記方法で得られたフィルムは、更に延伸加工法、ブロー加工法、真空成形法等の方法によって二次加工することができる。具体的には、前記フィルムを二次加工することによって、例えばスーパーマーケット用持ち帰りバッグ、冷凍食品や精肉等の低温の食品パックに結露する水が周囲を濡らすことを防ぐための袋、コンポストバッグ、等の袋やバッグを製造することができる。
本発明のフィルムは、シュリンクフィルム、蒸着フィルム、ラップフィルム、食品包装、その他一般包装、ゴミ袋、レジ袋、一般規格袋、重袋等の包装や、紙おむつ及び生理用品等の衛生材料や、創傷被覆材等の医療用材料や、発芽フィルム、農業用マルチフィルム、養生フィルム及び苗木ポット等の農業資材や、トレー、カップ、皿及びメガホン等の紙製品の表面ラミネーション材料や、その他結束テープ(結束バンド)、プリペイカード、風船、セロハン粘着テープ、傘、合羽、手袋、煙草等のフィルター等の多岐にわたる用途に使用することができる。
前記ポリエステル組成物を成形して得られる成形物は、必要に応じて結晶化処理を行うことにより、寸法安定性、耐衝撃性、耐熱性等を更に向上することができる。
前記結晶化処理の方法としては、成形物を結晶化温度でアニーリングする方法、ポリエステル組成物を成形するときに成形金型を結晶化温度に設定して一定時間保持する方法がある。
前記結晶化温度で一定時間保持する方法とは、射出成形機、ブロー成形機及び圧縮成形機の金型内にて結晶化を完了させる方法である。
前記金型の温度は、示差走査熱量計(DSC)法によって測定したポリエステル組成物の結晶化温度に基づき、その結晶化開始温度から終了時温度の範囲に設定することが好ましい。
本発明のポリエステル組成物を成形加工して得られたフィルムは、優れた生分解性を有する。例えば、本発明のポリエステル組成物を成形して得られた、10cm×10cmの正方形で300μm厚のフィルムを40℃で湿度90%の恒温恒湿器に放置したとき、これらフィルム表面から200日以上ブリード物の発生が認められない。
前記したように、本発明のポリエステル組成物を成形加工して得られたフィルムは、良好な分解性を有し、海中に投棄された場合であっても、加水分解、生分解等による分解を受ける。海水中では数カ月の間に外形を保たないまでに分解可能である。また、コンポストを用いると、更に短期間で原形をとどめないまでに生分解され、また焼却しても有毒ガスや有毒物質を排出することはない。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。
[数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)の測定方法]
東ソー株式会社製のゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定装置(以下、GPCと省略する。)「HLC−8220」を使用し、カラムとして、TSK gel SuperHZM−Mを2本、及びTSK gel SuperHZ-2000を2本と、ガードカラムとしてTSK SuperH−Hを用い、展開溶媒として、テトラヒドロフランを用い、標準ポリスチレンとの比較でブロック共重合体の分子量を測定した。
[ガラス転移温度の測定方法]
ブロック共重合体約10mgを測定容器に入れ、セイコー電子工業株式会社製の示差走査熱量測定装置「DSC 220C」(以下、DSCと省略する。)を用いて、窒素ガス流量50mL/分、加熱速度10℃/分で20℃から210℃まで昇温し、210℃で3分間ホールドさせた後、冷却速度50℃/分で−100℃まで降温し、再度、2次昇温を200℃まで行うことによって描かれたDSC曲線からガラス転移温度と融点を求めた。
[ポリエステルを構成するジオール構造単位、ジカルボン酸構造単位及びヒドロキシカルボン酸構造単位のモル組成比、ならびにブロック共重合体を構成するポリヒドロキシカルボン酸構造単位とポリエステル構造単位の質量組成比の測定方法]
1H−NMR装置(日本電子株式会社製、JNM−LA300)を用いて、ポリエステルのクロロホルム−d(CDCl)溶液を分析することで、該ポリエステルを構成する中のジオール構造単位、ジカルボン酸構造単位及びヒドロキシカルボン酸構造単位のモル組成比(モル%)を測定した。
また、ブロック共重合体のクロロホルム−d(CDCl)溶液を前記と同様の装置を用いて分析することで、該ブロック共重合体を構成するポリヒドロキシカルボン酸構造単位とポリエステル構造単位との質量組成比(質量%)を算出した。
[有機化層状珪酸塩の層間距離の測定]
広角X線回折装置(株式会社リガク社製、RINT-Ultima+)を用いて、下記3種の有機化層状珪酸塩の積層面の回折により得られる(001)面の2θを測定し、ブラッグの式(λ=2d・sinθ)を用いて面間隔を算出した。ここで、λ=1.54であり、dは有機化層状珪酸塩の面間隔を示し、θは回折角を示す。得られたdを層間距離とした。
有機化層状珪酸塩:
(1)ルーセンタイトSPN(コープケミカル株式会社製):層間イオンが、
[CH(CN[CHCH(CH)O]25H]
で置換された合成スメクタイト(以下、SPNと省略する。)。
(2)ルーセンタイトSPN−cc15(コープケミカル株式会社製):層間イオンが、
[CH(CN[CHCH(CH)O]15H]
で置換された合成スメクタイト (以下、SPN−cc15と省略する。)。
(3)クロイサイト20A(サザンクレイ株式会社製):層間イオンがジメチルジ水素化タロウ4級アンモニウム塩で置換されたベントナイト(以下、20Aと省略する。)。
表1に広角X線回折装置を用いて測定した、各有機化層状珪酸塩の層間距離を示した。
Figure 2008088321
《参考例1》ポリエステル(B1’−1)の製造1
反応器にコハク酸(以下、SuAと省略。)を1000gとプロピレングリコール(以下、PGと省略。)を696gとを仕込み、窒素気流下で150℃から1時間に20℃ずつ昇温し、生成する水を留去しながら220℃まで加熱撹拌してエステル化反応を行った。220℃到達1時間後、重合触媒としてチタンテトラブトキシドを、SuAとPGとの仕込み合計量に対して70ppmを加えて、3,500Paまで減圧し加熱撹拌した。更に減圧1時間後、100Paまで減圧し、7時間反応させた。反応終了後、得られたポリエステルに対して重合触媒の失活剤として2−エチルヘキサン酸ホスフェートを80ppm添加することにより数平均分子量が15,000、重量平均分子量が24,000のポリエステル(B1’−1)を得た。なお、ポリエステル(B1’−1)の酸価は0.5、ガラス転移温度は−4℃、PG由来の構造単位とSuA由来の構造単位との組成比は50.4/49.6(モル%)であった。
《参考例2》ポリエステル(B2’−1)の製造2
反応器にSuAを1024gとPGを586gと90質量%乳酸水溶液を600gとを仕込み、窒素気流下で150℃から1時間に20℃ずつ昇温し、生成する水を留去しながら220℃まで加熱撹拌してエステル化反応を行った。220℃到達1時間後、重合触媒としてチタンテトラブトキシドを、SuAとPGとLAとの仕込み合計量に対して70ppmを加えて、3,000Paまで減圧し加熱撹拌した。更に減圧1時間後、100Paまで減圧し、5時間反応させた。反応終了後、得られたポリエステルに対して重合触媒の失活剤として2−エチルヘキサン酸ホスフェートを80ppm添加することにより数平均分子量が17,000、重量平均分子量が25,000のポリエステル(B2’−1)を得た。なお、ポリエステル(B2’−1)の酸価は0.8、ガラス転移温度は5℃、PG由来の構造単位とSuA由来の構造単位とLA由来の構造単位との組成比は31.2/36.3/32.5(モル%)であった。
《参考例4》ブロック共重合体(D1−1)の製造例1
210℃に加熱した反応器に、ポリエステル(B1’−1)を500g仕込み、十分に加熱溶融した。次いで、数平均分子量89,000、重量平均分子量158,000のポリ乳酸(以下、「PLA1」と省略。)を550g添加して均一に加熱溶融混合したものに、重合触媒としてチタンテトラブトキシドを前記溶融混合物に対して200ppm添加し、温度200℃及び減圧度150Paの条件下で4.5時間反応させた。反応終了後に重合触媒の失活剤である2−エチルヘキサン酸ホスフェートを得られた反応物に対して500ppmを添加し、数平均分子量が37,000、重量平均分子量が58,000のブロック共重合体(D1−1)(ガラス転移温度:17.1℃、融点:152.5℃)を得た。
《参考例5》ブロック共重合体(D2−1)の製造例2
210℃に加熱した反応器に、ポリエステル(B2’−1)を500g仕込み、十分に加熱溶融した。次いで、PLA1を550g添加して均一に加熱溶融混合したものに、重合触媒としてチタンテトラブトキシドを前記溶融混合物に対して200ppm添加し、温度200℃及び減圧度150Paの条件下で4.5時間反応させた。反応終了後に重合触媒の失活剤である2−エチルヘキサン酸ホスフェートを、得られた反応物に対して500ppmを添加することで、数平均分子量が27,000、重量平均分子量が47,000のブロック共重合体(D2−1)(ガラス転移温度:25.6℃、融点:147.5℃)を得た。
《実施例1》ポリエステル組成物(P−1)
二軸混練押出し機(池貝株式会社製、PCM30)を用いて、ブロック共重合体(D1−1)を72.9質量部、SPNを27.1質量部とを混合し、シリンダー温度180℃、スクリュー回転数100rpm、フィード量7kg/時間の条件で溶融混練しマスターバッチを作製した。得られたマスターバッチを60℃、15時間真空乾燥を行い、前記マスターバッチの25.5質量部とポリ乳酸(三井化学株式会社製「レイシアH−400」、以下、PLA2と省略。)74.5質量部を混合し、二軸混練押出し機を用いて、シリンダー温度200℃、スクリュー回転数300rpm、フィード量7kg/時間の条件で溶融混練し、ポリエステル樹脂組成物(P−1)を得た。得られた(P−1)をストランド状に押出した後、水で急冷し、ペレタイザーを用いてペレットを得た。
《実施例2》ポリエステル組成物(P−2)
二軸混練押出し機を用いて、ブロック共重合体(D2−1)を72.9質量部、SPNを27.1質量部とを混合し、シリンダー温度180℃、スクリュー回転数100rpm、フィード量7kg/時間の条件で溶融混練しマスターバッチを作製した。得られたマスターバッチを60℃、15時間真空乾燥を行い、前記マスターバッチの25.5質量部とPLA2の74.5質量部を混合し、2軸混練押出し機を用いて、シリンダー温度200℃、スクリュー回転数300rpm、7kg/時間の条件で溶融混練し、ポリエステル樹脂組成物(P−2)を得た。得られた(P−2)をストランド状に押出した後、水で急冷し、ペレタイザーを用いてペレットを得た。
《実施例3》ポリエステル組成物(P−3)
二軸混練押出し機を用いて、ブロック共重合体(D1−1)を57.4質量部、SPNを42.5質量部とを混合し、シリンダー温度180℃、スクリュー回転数100rpm、フィード量7kg/時間の条件で溶融混練しマスターバッチを作製した。得られたマスターバッチを60℃、15時間真空乾燥を行い、前記マスターバッチ16.2質量部とPLA2 83.8質量部を混合し、二軸混練押出し機を用いて、シリンダー温度200℃、スクリュー回転数300rpm、フィード量7kg/時間の条件で溶融混練し、ポリエステル樹脂組成物(P−3)を得た。得られた(P−3)をストランド状に押出した後、水で急冷し、ペレタイザーを用いてペレットを得た。
《実施例4》ポリエステル組成物(P−4)
二軸混練押出し機を用いて、ブロック共重合体(D1−1)を84.6質量部、SPNを15.4質量部とを混合し、シリンダー温度180℃、スクリュー回転数100rpm、フィード量7kg/時間の条件で溶融混練し、マスターバッチを作製した。得られたマスターバッチを60℃、15時間真空乾燥を行い、前記マスターバッチ22.8質量部とPLA2 77.2質量部を混合し、二軸混練押出し機を用いて、シリンダー温度200℃、スクリュー回転数300rpm、フィード量7kg/時間の条件で溶融混練し、ポリエステル樹脂組成物を得た(P−4)。得られた(P−4)をストランド状に押出した後、水で急冷し、ペレタイザーを用いてペレットを得た。
《実施例5》ポリエステル組成物(P−5)
二軸混練押出し機を用いて、ブロック共重合体(D1−1)を52.5質量部、SPNを47.5質量部とを混合し、シリンダー温度180℃、スクリュー回転数100rpm、フィード量7kg/時間の条件で溶融混練しマスターバッチを作製した。得られたマスターバッチを60℃、15時間真空乾燥を行い、前記マスターバッチ32.2質量部とPLA2 67.8質量部を混合し、二軸混練押出し機を用いて、シリンダー温度200℃、スクリュー回転数300rpm、フィード量7kg/時間の条件で溶融混練し、ポリエステル樹脂組成物(P−5)を得た。得られた(P−5)をストランド状に押出した後、水で急冷し、ペレタイザーを用いてペレットを得た。
《比較例1》ポリエステル組成物(P−6)
二軸混練押出し機を用いて、PLA2をシリンダー温度200℃、スクリュー回転数300rpm、フィード量7kg/時間の条件で溶融混練し、ポリエステル樹脂組成物(P−6)を得た。得られた(P−6)をストランド状に押出した後、水で急冷し、ペレタイザーを用いてペレットを得た。
《比較例2》ポリエステル組成物(P−7)
二軸混練押出し機を用いて、PLA2を80質量部、ブロック共重合体(D1−1)を20質量部とを混合し、シリンダー温度200℃、スクリュー回転数300rpm、フィード量7kg/時間の条件で溶融混練し、ポリエステル樹脂組成物(P−7)を得た。得られた(P−7)をストランド状に押出した後、水で急冷し、ペレタイザーを用いてペレットを得た。
《比較例3》ポリエステル組成物(P−8)
二軸混練押し出し機を用いて、PLA2を93.1質量部、SPNを6.9質量部混合し、シリンダー温度200℃、スクリュー回転数300rpm、フィード量7kg/時間の条件で溶融混練し、ポリエステル樹脂組成物(P−8)を得た。得られた(P−8)をストランド状に押出した後、水で急冷し、ペレタイザーを用いてペレットを得た。
《比較例4》ポリエステル組成物(P−9)
二軸混練押出し機を用いて、ブロック共重合体(D1−1)を80.6質量部、20Aを19.4質量部とを混合しシリンダー温度180℃、スクリュー回転数100rpm、フィード量7kg/時間の条件で溶融混練しマスターバッチを作製した。得られたマスターバッチを60℃、15時間真空乾燥を行い、前記マスターバッチを23.7質量部とPLA2を76.3質量部とを混合し、二軸混練押出し機を用いて、シリンダー温度200℃、スクリュー回転数300rpm、フィード量7kg/時間の条件で溶融混練し、ポリエステル樹脂組成物(P−9)を得た。得られた(P−9)をストランド状に押出した後、水で急冷し、ペレタイザーを用いてペレットを得た。
《比較例5》ポリエステル組成物(P−10)
SPNをSPN−cc15にかえた以外は実施例1と同様の方法で溶融混練し、ペレットを得た。
Figure 2008088321
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[射出成形試験片の作製方法]
実施例1〜5、及び比較例1〜5で得られた各ポリエステル組成物を80℃で3時間、真空乾燥させた後、1オンス射出成形機(山城精機製作所製 SAV-30A型)を用いて、シリンダー温度200℃、金型温度30℃で厚さ3mm、幅10mm、長さ60mmの射出成形試料片を作製し、耐熱性評価用サンプルを得た。
[ビカット軟化温度の測定方法]
射出成形試験片を120℃、15分、オーブンで熱処理を行い、東洋精機社製ヒートデスターテーションを用い、JIS−K7206に準拠し、荷重50N、昇温速度50℃/hrs、最大進入度1mmで測定を行った。本発明では、概ね80℃以上のビカット軟化点温度を有するものが実用上好ましい。
[ポリエステル組成物からなるフィルムの作製方法]
実施例1〜5及び比較例1〜5で得られた各ポリエステル組成物を80℃で3時間、真空乾燥させた後、加熱プレス機を用いて200℃で加熱溶融、冷却固化させることで、縦10cm、横10cm、厚み200μmのフィルムを作製した。
[柔軟性の評価方法]
フィルム引張破断伸び及び引張弾性率の測定
引張り試験機(東洋精機社製、ストログラムAPII)を用いて、温度25℃、相対湿度50%の条件下で、前記方法で作製した、ポリエステル組成物からなる各フィルムの引張り試験を行った。試験は前記フィルムを100mm×15mmに打ち抜き、チャック間50mm、引張速度5mm/minの条件で行った。
また、引張弾性率は、降伏点強度の1/2の強度と歪みから算出した。
本発明では、10%以上の引張破断伸びと、1.50以下の引張弾性率を有するものが実用上好ましい。
[結晶化時間の測定方法]
得られたポリエステル組成物の約5.0mgを測定容器に入れ、パーキンエルマー社製の示差走査熱量測定装置「DSC-ダイアモンド」(以下、DSCと省略する。)に入れ、窒素ガス流量50mL/分、加熱速度20℃/分で20℃から200℃まで昇温し、200℃で3分間ホールドさせた。この後、100℃まで急激に降温してホールドし、降温してから結晶化の吸熱ピークが現れるまでの時間を結晶化時間とした。なお、本発明では、4分以下の結晶化時間を有するものが、成形加工性に優れるため好ましい。
[光学特性の評価方法]
ヘーズ値の測定
得られたポリエステル組成物からなる各フィルムを、5cm×5cmの正方形(200μm厚み)に切り抜き、濁度計(日本電色工業株式会社製ND−1001DP)を用いて、JIS K 7105に準じて、フィルム表面のヘーズ値を測定した。なお、ヘーズ値は、概ね10%以下であることが実用上好ましく、5%以下であることが実用上より好ましい。
[風合い評価]
前記方法で作製した、ポリエステル組成物からなる各フィルムの風合いを、ポリ乳酸からなるフィルムを比較材料に用い、触手にて4段階で評価した。すなわち、ポリ乳酸固有の耳障りなシャリシャリ感を有するものを×、やや耳障りなシャリシャリ感を有するものを△、ポリプロピレンレンライクな滑らかな風合いを有するもの○、特にポリエチレンライクな滑らかな風合いを有するもの◎とした。
[ポリエステル組成物中の有機化された層状珪酸塩の分散確認]
得られたポリエステル組成物をウルトラミクロトームで超薄切片を作製し、透過型顕微鏡(日本電子社製、JEM-2200FS)を用いて観察した。
表6及び表7に実施例1〜5、比較例1〜5で得られたポリエステル樹脂組成物の物性測定結果を示した。
Figure 2008088321
Figure 2008088321
図1に実施例1で得られたポリエステル樹脂組成物の透過型電子顕微鏡観察の写真を示す(倍率:100000倍)。PLA2とブロック共重合体(D1―1)のマトリックス中に有機化された層状珪酸塩の層間が剥離した薄状切片が均一分散しているのが観察された。
実施例1で得られたポリエステル組成物の透過電子顕微鏡観察写真を示す。

Claims (12)

  1. ポリヒドロキシカルボン酸(A)と、ジオール(b1)及びジカルボン酸(b2)を反応させて得られるポリエステル構造単位(B1)とポリヒドロキシカルボン酸構造単位(C)とを有するブロック共重合体(D1)と、イオン性基を有するポリアルキレンオキサイドによって有機化された、4nm以上の層間距離を有する有機化層状珪酸塩(E)とを含有することを特徴とするポリエステル組成物。
  2. ポリヒドロキシカルボン酸(A)と、ジオール(b1)、ジカルボン酸(b2)及びヒドロキシカルボン酸(b3)を反応させて得られるポリエステル構造単位(B2)とポリヒドロキシカルボン酸構造単位(C)とを有するブロック共重合体(D2)と、イオン性基を有するポリアルキレンオキサイドによって有機化された、4nm以上の層間距離を有する有機化層状珪酸塩(E)とを含有することを特徴とするポリエステル組成物。
  3. 前記イオン性基を有するポリアルキレンオキサイドが、下記一般式(I)で示される構造を有するものである、請求項1または2に記載のポリエステル組成物。
    一般式(I) X−(RO)n−H
    (式中、Rは炭素数が1〜20の範囲のアルキレン基を、nは20〜50の範囲の整数を、Xはイオン性基を表す。)
  4. 前記イオン性基を有するポリアルキレンオキサイドが、ポリオキシプロピレンメチルジエチルアンモニウムイオンである、請求項1また2に記載のポリエステル組成物。
  5. 前記ポリヒドロキシカルボン酸(A)がポリ乳酸である、請求項1または2に記載のポリエステル組成物。
  6. 前記ブロック共重合体(D1)及び前記ブロック共重合体(D2)がガラス転移温度を1つ有するものである、請求項1または2に記載のポリエステル組成物。
  7. 前記ヒドロキシカルボン酸(b3)が、グリコール酸または乳酸である、請求項2に記載のポリエステル組成物。
  8. 前記ポリヒドロキシカルボン酸(A)を65〜90質量%、前記ブロック共重合体(D1)を5〜30質量%、及び前記有機化層状珪酸塩(E)を1〜20質量%含んでなる、請求項1に記載のポリエステル組成物。
  9. 前記ポリヒドロキシカルボン酸(A)を65〜90質量%、前記ブロック共重合体(D2)を5〜30質量%、及び前記有機化層状珪酸塩(E)を1〜20質量%含んでなる、請求項2に記載のポリエステル組成物。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載のポリエステル組成物を成形して得られる成形物。
  11. 前記ブロック共重合体(D1)と前記有機化層状珪酸塩(E)とを溶融混練し、次いで該溶融混錬物と前記ポリヒドロキシカルボン酸(A)とを溶融混練することを特徴とするポリエステル組成物の製造方法。
  12. 前記ブロック共重合体(D2)と前記有機化層状珪酸塩(E)とを溶融混練し、次いで該溶融混錬物と前記ポリヒドロキシカルボン酸(A)とを溶融混練することを特徴とするポリエステル組成物の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US11034140B2 (en) * 2015-11-20 2021-06-15 National Institute Of Advanced Industrial Science And Technology Coating agent containing clay, resin, and organic solvent, protective film using same, and product

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