JP2008081584A - 吸放湿化粧材およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、優れた吸放湿性能を有するとともに、基材の表面に耐汚染性を有する表面保護層を形成するための工程を簡略化し、経済性、生産性に優れた吸放湿化粧材の製造方法、および、その吸放湿化粧材用樹脂組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明は、少なくとも、水性エマルジョン系樹脂、発泡剤、充填材、ワックス、および吸放湿剤を含むことを特徴とする吸放湿化粧材用発泡樹脂組成物を提供する。また、 前記吸放湿化粧材用発泡樹脂組成物において、前記水性エマルジョン系樹脂100重量部に対して、前記吸放湿剤が3〜30重量部、ワックスが3〜15重量部含まれていることを特徴とする吸放湿化粧材用発泡樹脂組成物を提供する。また、前記ワックスが、パラフィンワックスであることを特徴とする吸放湿化粧材用発泡樹脂組成物を提供する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、化粧材用樹脂組成物およびその化粧材用樹脂組成物よりなる吸放湿化粧材の製造方法に関するものであり、特に水分の吸放湿性能と撥水性とを含む耐汚染性能を有する化粧材用樹脂組成物、その化粧材用樹脂組成物よりなる吸放湿化粧材の製造方法に関するものである。
吸放湿性能を有する化粧材として、発泡樹脂層に吸放湿剤を含有させた発泡化粧材が知られている(特許文献1参照)。また、基材の耐汚染性を得る手段として、基材の表面に耐汚染性のある樹脂フィルム、代表的なものとしてエチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルム、を貼着する方法が提案され、採用されている(特許文献2、特許文献3参照)。
このように、従来の化粧材製造方法においては、基材の表面に耐汚染性を有する表面保護層を形成するために、耐汚染性のある樹脂フィルムの貼着を行う工程が必要であった。また、基材の表面を樹脂フィルムが覆っているために、基材の透湿度が低下し、吸放湿性能を減殺させてしまうという問題があった。
また、印刷により形成した意匠層上に、さらに撥水層を形成させた機能性部材が知られているが、印刷工程の後に撥水層を形成する工程が必要であった(特許文献4参照)。
特開平10−128892号公報 特開平10−096198号公報 特開平11−081159号公報 WO2004/085151号公報
本発明は、優れた吸放湿性能を有するとともに、基材の表面に耐汚染性を有する表面保護層を形成するための工程を簡略化し、経済性、生産性に優れた吸放湿化粧材の製造方法、および、その吸放湿化粧材用樹脂組成物を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、少なくとも、水性エマルジョン系樹脂、発泡剤、充填材、ワックス、および吸放湿剤を含むことを特徴とする吸放湿化粧材用発泡樹脂組成物である。
請求項2に記載の発明は、前記吸放湿化粧材用発泡樹脂組成物において、前記水性エマルジョン系樹脂100重量部に対して、前記吸放湿剤が3〜30重量部、ワックスが3〜15重量部含まれていることを特徴とする請求項1に記載の吸放湿化粧材用発泡樹脂組成物である。
請求項3に記載の発明は、前記ワックスが、パラフィンワックスであることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の吸放湿化粧材用発泡樹脂組成物である。
請求項4に記載の発明は、基材上に、少なくとも、請求項1〜3のいずれかに記載の吸放湿化粧材用発泡樹脂組成物を含む発泡樹脂層を形成する工程、該発泡樹脂層の発泡工程、該発泡工程と同時に前記ワックスが最表面にブルームする工程を有することを特徴とする吸放湿化粧材の製造方法である。
請求項5に記載の発明は、前記発泡樹脂層が、1層または2層以上の前記吸放湿化粧材用発泡樹脂組成物を含む下部発泡樹脂層、および、1層または2層以上の上部発泡樹脂層からなり、該上部発泡樹脂層中の最上層が吸放湿剤を含有しないことを特徴とする請求項4に記載の吸放湿化粧材の製造方法である。
請求項6に記載の発明は、前記発泡樹脂層が、1層または2層以上の前記吸放湿化粧材用発泡樹脂組成物を含む下部発泡樹脂層、および、1層または2層以上の上部発泡樹脂層からなり、該上部発泡樹脂層中の最上層が吸放湿剤およびワックスを含有しないことを特徴とし、さらに該発泡樹脂層上に絵柄模様を有することを特徴とする請求項4に記載の吸放湿化粧材の製造方法である。
請求項7に記載の発明は、請求項4〜6のいずれかに記載の製造方法により製造されたことを特徴とする吸放湿化粧材である。
請求項1に記載の発明は、少なくとも、水性エマルジョン系樹脂、発泡剤、充填材、ワックス、および吸放湿剤を含むことを特徴とする吸放湿化粧材用発泡樹脂組成物である。ワックスによる撥水性を有しており、かつ、吸放湿剤による吸放湿性能を保持させることが可能となる吸放湿化粧材用発泡樹脂組成物を提供することができる。
請求項2に記載の発明は、前記吸放湿化粧材用発泡樹脂組成物において、前記水性エマルジョン系樹脂100重量部に対して、前記吸放湿剤が3〜30重量部、ワックスが3〜15重量部含まれていることを特徴とする請求項1に記載の吸放湿化粧材用発泡樹脂組成物である。吸放湿剤が3〜30重量部含まれていることにより、十分な吸放湿機能を得ることができ、また高湿時には吸放湿剤の吸水膨潤による著しい変形や強度低下を抑えることができる。また、ワックスが3〜15重量部含まれていることにより、撥水性能、発泡性、経時安定性、経済性に優れた吸放湿化粧材用発泡樹脂組成物を提供することができる。
請求項3に記載の発明は、前記ワックスが、パラフィンワックスであることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の吸放湿化粧材用発泡樹脂組成物である。パラフィンワックスを用いることにより、優れた撥水性を有する表面保護層を形成することができる。
請求項4に記載の発明は、基材上に、少なくとも、請求項1〜3のいずれかに記載の吸放湿化粧材用発泡樹脂組成物を含む発泡樹脂層を形成する工程、該発泡樹脂層の発泡工程、該発泡工程と同時に前記ワックスが最表面にブルームする工程を有することを特徴とする吸放湿化粧材の製造方法である。吸放湿化粧材用発泡樹脂組成物中のワックスは、発泡工程の加熱により、発泡形成と同時に吸放湿化粧材の最表面にブルームすることにより、表面保護層を形成することが可能となる。これにより、より簡略化され、経済性、生産性に優れた吸放湿化粧材の製造方法を提供することが可能となる。
請求項5に記載の発明は、前記発泡樹脂層が、1層または2層以上の前記吸放湿化粧材用発泡樹脂組成物を含む下部発泡樹脂層、および、1層または2層以上の上部発泡樹脂層からなり、該上部発泡樹脂層中の最上層が吸放湿剤を含有しないことを特徴とする請求項4に記載の吸放湿化粧材の製造方法である。上部発泡樹脂層が吸放湿剤を含有する場合、水分を吸収した後、汚染物質が付着した際に、拭き取り性が悪化してしまう恐れがある。
請求項6に記載の発明は、前記発泡樹脂層が、1層または2層以上の前記吸放湿化粧材用発泡樹脂組成物を含む下部発泡樹脂層、および、1層または2層以上の上部発泡樹脂層からなり、該上部発泡樹脂層中の最上層が吸放湿剤およびワックスを含有しないことを特徴とし、さらに該発泡樹脂層上に絵柄模様を有することを特徴とする請求項4に記載の吸放湿化粧材の製造方法である。上部発泡層がワックスを含有しないことにより、水性インキを使用して絵柄模様を形成する場合に、ワックスによってインキが弾かれることを防ぐことが出来、印刷適性の向上が可能となる。
請求項7に記載の発明は、請求項4〜6のいずれかに記載の製造方法により製造されたことを特徴とする吸放湿化粧材である。優れた吸放湿性能を有するとともに、基材の表面に耐汚染性を有する表面保護層を形成するための工程を簡略化し、経済性、生産性に優れた吸放湿化粧材を得ることが可能となる。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の吸放湿化粧材用発泡樹脂組成物は、水性エマルジョン系樹脂に、少なくとも発泡剤、ワックス、吸放湿剤、充填剤を加えることにより適宜配合される。
また、吸放湿化粧材用発泡樹脂組成物には、必要に応じて、着色剤、分散剤、ブロッキング防止剤、消泡剤、増粘剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、艶消剤、滑剤、減摩剤、帯電防止剤、抗菌剤、防カビ剤等の種々の添加剤を加えてもよい。
水性エマルジョン系樹脂としては、熱可塑性合成樹脂であるものを使用することが望ましい。熱可塑性合成樹脂としては、例えば、酢酸ビニル系樹脂、エチレン−ビニルエステル系共重合体、アクリル系樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリブテン系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、スチレン−ブタジエン系共重合体等を挙げることができ、これらの2種以上の共重合体または混合物を有効成分として含有していてもよい。
上記熱可塑性合成樹脂の中でも、ポリウレタン系樹脂、エチレン−ビニルエステル系共重合体、アクリル系樹脂、エチレン−(メタ)−アクリル酸エステル系共重合体等を有効成分とするもの好ましく、エチレン−ビニルエステル系共重合体とアクリル系樹脂との共重合体を使用するものがより好ましい。
上記エチレン−ビニルエステル系共重合体に含有されるビニルエステル単位としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等が挙げられる。ビニルエステル単位として、異なる2種以上のビニルエステル単位を含有してもよい。ビニルエステル単位の中でも、酢酸ビニル単位を単独で、若しくは酢酸ビニル単位を主成分とする混合系で使用することがより好ましい。
発泡剤としては、例えば炭酸水素ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム、炭酸アンモニウム等の無機系発泡剤や、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド等の有機系発泡剤、熱可塑性樹脂からなる殻の内部に、低沸点液体を封入した熱膨張性中空微小球体(マイクロカプセル発泡剤)等を、それぞれ単独または組み合わせて使用することができる。このとき、透気度の高い水性エマルジョン系樹脂に対する発泡効果の高い熱膨張性中空微小球体が最も好ましく使用できる。
ここで、熱膨張性中空微小球体とは、加熱により膨張、発泡させることができる微小球体からなる発泡剤であり、例えば、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリルとアクリル酸メチルの共重合体などからなる殻部分の内部に、イソブタン、イソペンタン等の低沸点炭化水素を含有する粒径5〜50μm程度、好ましくは7〜30μm程度の球体などが挙げられる。
充填剤としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化第一鉄、塩基性炭酸亜鉛、塩基性炭酸鉛、珪砂、クレー、タルク、シリカ類、二酸化チタン、珪酸マグネシウム等が挙げられる。中でも、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムが好適である。
吸放湿剤としては、水酸基やカルボキシル基等の親水性の官能基を多く含む比較的構造が疎である物質であって、自身の体積を超える多量の水分を内部に吸収貯蔵可能は物質であればよく、具体的には公知の一般的な高吸水性ポリマー等が用いられ、例えば、デンプン−アクリル酸グラフト重合体、デンプン−アクリロニトリルグラフト重合体、セルロース−アクリロニトリルグラフト重合体、ポリビニルアルコール架橋重合体、ポリアクリル酸ナトリウム架橋体、アクリル酸メチル−酢酸ビニル共重合体ケン化物等が用いられる。また、珪藻土やゼオライト、シリカゲル、馬鈴薯デンプン、デキストリン類等の天然物を用いることも可能であり、これらの吸放湿剤は単独、もしくは2種以上混合して使用することもできる。
吸放湿剤としてポリビニルアルコール架橋重合体を用いる場合、吸放湿化粧材用発泡樹脂組成物に含まれる水性エマルジョン系樹脂固形分を100重量部として、該樹脂組成物に含まれる吸放湿剤が固形分で3〜30重量部の範囲であることが好ましい。3重量部未満であると、十分な吸放湿機能を得ることが困難であり、一方、30重量部を越えると、高湿時に吸放湿剤の吸水膨潤による著しい変形や強度低下を十分に抑えることが困難であるからである。
吸放湿剤の平均粒径としては、0.1〜10μmのものを使用することが好ましい。粒径が0.1μm未満では、粒子が細かいために、これを添加した吸放湿化粧材用発泡樹脂組成物が増粘してしまい、コーティングによる造膜が困難となる。一方、10μmを越えると、粒径が大きいために、コーティング時の平滑性が悪化してしまう原因となる。
ワックスとしては、石油系ワックスや、合成ワックスを用いることが出来る。例えば、石油系ワックスとしては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどが挙げられる。また、合成ワックスとしては、低分子量ポリエチレンおよび誘導体、フィッシャー・トロプシュワックスおよび誘導体などが挙げられる。中でも、パラフィンワックスが一般的に用いられる。
ワックスとして、パラフィンワックスを用いる場合、主としてノルマルパラフィン、イソパラフィン、シクロパラフィン等の構造のものを用いることが出来る。このとき、ノルマルパラフィンを90wt%以上含み、イソパラフィンとシクロパラフィンは10wt%以下であることが耐汚染性において好ましい。
また、パラフィンワックスの炭素原子数は、20〜60の範囲であることが好ましい。炭素原子数が20以下の場合、ブルームは容易であるが常温でブルームするため印刷適性が悪化する。炭素原子数が60以上の場合、常温でのブルームは発生しないが発泡時のブルームが困難となるためである。
また、効果的にブルームを行うためには、パラフィンワックスの95wt%以上が、炭素原子数30〜44の範囲であるパラフィンワックスであることが好ましい。
また、パラフィンワックスの融点は、50〜110℃の範囲であることが好ましい。50℃未満であると基材に染みこみ、保管中にブロッキングが起こるなどの点で好ましくなく、110℃を越えると塗膜表面にブルームしにくくなり高い防汚性を得る点で好ましくないためである。
また、パラフィンワックスの樹脂組成物に対する配合量は、樹脂組成物に含まれる水性エマルジョン系樹脂固形分を100重量部として、該樹脂組成物に含まれるパラフィンワックスが固形分で3〜15重量部の範囲であることが好ましい。3質量部未満であると充分な撥水性能が得られないことがあって、防汚性の点で好ましくなく、15質量部を越えると、発泡性、経時安定性、経済性の点で好ましくないからである。
また、パラフィンワックスの形態としては、固形状のものや、この固形状のものを乳化分散したエマルジョン状のものがあり、いずれの形態も使用することが出来る。このとき、水性エマルジョン系樹脂などとの分散安定性の点でエマルジョン状のものが好ましい。
次に、本発明の吸放湿化粧材の製造方法について説明する。
図1(a)に発泡形成を行う工程前の吸放湿化粧材の層構成の一例を示す。基材10上に、少なくとも前述の吸放湿化粧材用発泡樹脂組成物を含む発泡樹脂層20が設けられている。さらに、発泡樹脂層上に絵柄模様30を設けてもよい。図2(b)には、発泡形成工程後の吸放湿化粧材の層構成の一例を示す。発泡形成後は、発泡樹脂層に含有されていたワックスが、発泡樹脂層の最表面にブルームして表面保護層40を形成する。また、発泡樹脂層の表面には、必要に応じてエンボスによる凹凸模様(図示せず)を施してもよい。
前記基材は、化粧材の支持体となるものであって、材質は特に限定されず、例えば紙、織布、不織布等、透湿性で好ましくは可撓性のシート状態であればよい。壁紙の場合には、いわゆる壁紙の場合には、いわゆる壁紙用裏打紙を好適に使用することができる。
前記発泡樹脂層は少なくとも前述の吸放湿化粧材用発泡樹脂組成物を含むものである。
また、前記発泡樹脂層は、1層または2層以上の前述の吸放湿化粧材用発泡樹脂組成物を含む下部発泡樹脂層21、および、1層または2層以上の上部発泡樹脂層22から構成されていてもよい。
前記上部発泡樹脂層を構成する樹脂組成物は、水性エマルジョン系樹脂に、少なくとも発泡剤、充填剤を加えることにより適宜配合される。上部発泡樹脂層は吸放湿剤を含有しないことを特徴としている。上部発泡樹脂層が吸放湿剤を含有する場合、水分を吸収した後、汚染物質が付着した際に、拭き取り性が悪化してしまうためである。
また、上部発泡樹脂層上にさらに印刷によって絵柄模様を設ける場合、前記上部発泡樹脂層を構成する樹脂組成物は、ワックスを含有しないことを特徴とする。ワックスは撥水性を有するために、ワックスを含む層に印刷を行うと、水性インキの印刷適性が悪化してしまう。このため、絵柄模様を設ける場合には、上部発泡樹脂層にはワックスを含有させない。これにより、ワックスによってインキが弾かれるのを防ぐことが可能となる。このために、化粧材の印刷適性を向上させることが可能となる。
基板上に、少なくとも前述の吸放湿化粧材用発泡樹脂組成物を塗工することにより、発泡樹脂層20を形成する。塗工方法としては、例えば、ナイフコート法、ノズルコート法、ダイコート法、リップコート法、コンマコート法、グラビアコート法、ロータリースクリーンコート法、リバースロールコート法等の塗工方法が挙げられる。
発泡樹脂層20を構成する各層は、下層から上層へ向かって1層ずつ順次塗工形成してもよいし、多層塗工装置を用いて全層を同時に塗工形成してもよい。前者の場合には、下層を乾燥固化した後に、上層を塗工形成してもよいが、下層を乾燥させずに湿潤状態において上層を塗工形成すると、各層間が相溶して層間密着性に優れるためにより好ましい。
発泡樹脂層20を構成する各層の厚さは、特に制限されず、目的とする用途や要求特性に応じて適宜決定することができる。ただし、上部発泡樹脂層22の厚さは、薄過ぎると表面強度等の物性が低下してしまう原因となる。一方、上部発泡樹脂層22の厚さが厚過ぎる場合、下部発泡樹脂層21の吸放湿性能を減殺し、透湿度が低下する原因となるので、両者を勘案して適宜設定する必要がある。例えば、壁紙として使用する場合、図1(a)に示した2層構成の発泡樹脂層においては、上部発泡樹脂層を下部発泡樹脂層よりも低発泡および/または低充填とし、下部発泡樹脂層の乾燥後の塗布量は50〜300g/m、さらに好ましくは100〜250g/m程度、上部発泡樹脂層の乾燥後の塗布量は20〜120g/m、さらに好ましくは30〜100g/m程度とすることが好ましい。
次に、基材に塗工した発泡樹脂層20の乾燥を行う。乾燥方法としては、熱風乾燥法、赤外線照射乾燥法、真空乾燥法等の、従来公知の各種の乾燥方法から選ばれる1種または2種以上を組み合わせた方法を用いることができる。
乾燥温度は、発泡性樹脂組成物の発泡形成が進行しない範囲であることが必要である。樹脂組成物が水性エマルジョン系樹脂を主成分とする場合には、水の揮発を阻害しない条件に設定する必要がある。
次に、必要に応じて発泡樹脂層20に絵柄模様30を形成する。発泡樹脂層20の表面に水性インキを使用して、例えばグラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法等にて適宜の絵柄模様30を印刷形成してもよい。このとき、発泡樹脂層20はワックスを含む下部発泡層21の上にワックスを含まない上部発泡樹脂層22が形成されている構成になっている。ワックスは撥水性を有するために、ワックスを含む層に印刷を行うと水性インキの印刷適性が悪化してしまう。このため、印刷を行う上部発泡樹脂層22にはワックスを含有させない。
次に、発泡樹脂層20を発泡形成すると同時に表面保護層40を形成し、本発明の化粧材を得る。
発泡樹脂層20の発泡のための加熱方法としては、熱風加熱法又は赤外線加熱法、若しくはその併用などを用いることができる。加熱温度や加熱時間は、発泡樹脂層20を構成する樹脂組成物の主体となる水性エマルジョン系樹脂の溶融粘度特性と、樹脂組成物に添加された発泡剤の発泡温度特性とによって決定される。例えば、水性エマルジョン系樹脂に熱膨張型マイクロカプセル発泡剤を添加した樹脂組成物を使用する場合の一般的な条件は、加熱温度140〜200℃、加熱時間20〜80秒の範囲である。
このとき、下部発泡樹脂層21の樹脂組成物に含まれたワックスが最表面にブルームする。ブルームとは、組成物に含まれる一部の成分が表面に移行し、結晶化したり、液体でにじみ出てきたりする現象のことである。結晶化することをブルーム、液状で表出することをブリードとすることもあるが、本発明ではブルーム、ブリードを総称してブルームと表現することにする。
一般に、ワックスが樹脂組成物に配合されると、時間の経過と共に樹脂組成物内部から樹脂表面へ移動し膜状にブルームする。この現象は、ワックスの特性、樹脂組成物の配合内容と温度の影響を受ける。また、ワックスと樹脂の溶解度パラメータ(SP値)の影響が極めて大きい。融点の低いワックスは樹脂への溶解度が大きいために樹脂中の移動性が小さくなりブルーム量は減少する。また、高融点ワックスの場合は樹脂への溶解度は小さいが分子が大きいため移動性が小さくなりブルーム量は減少する。ワックスの移動度は温度の上昇とともに増大する。しかし、あまりにも高温になると溶解度が著しく増大するため、その結果としてブルーム量は減少する。
ワックスの移動度は温度の上昇とともに増大するため、適切な条件を満たすワックスを用いると、加熱発泡成形と同時に最表面にブルームさせることが出来る。このため、加熱発泡成形と同時に表面保護層40の形成を行うことが出来る。これにより、表面保護層40を形成するための工程を簡略化し、経済性、生産性に優れた吸放湿化粧材製造方法を提供することが可能となる。
また、発泡樹脂層20の表面に凹凸模様(図示せず)を形成してもよい。形成法としては、加熱発泡後、発泡した発泡樹脂層20の表面にエンボス版を押圧するメカニカルエンボス法が挙げられる。
以下に本発明の実施例および比較例を示す。
坪量90g/mの一般紙基材上に、下記表1の樹脂組成1で示される樹脂組成物を、目付量(乾燥後の塗布量)140g/mに塗工して、下部発泡樹脂層を形成した。このとき、用いたパラフィンワックスは、融点が75℃でありその95wt%以上が炭素数30〜44であった。また、吸放湿剤としてポリビニルアルコール架橋重合体を使用した。次に、その上に、下記表2の樹脂組成2で示されるワックス、吸放湿剤を含まない樹脂組成物を、目付量(乾燥後の塗布量)50g/mに塗工して、上部発泡樹脂層を形成した。続いて、乾燥炉にて乾燥温度を90℃、時間1分にて乾燥を行った。さらに、この上部発泡樹脂層上に水性インキを用いてグラビア印刷にて絵柄模様を印刷した。最後に、発泡炉にて加熱温度を180℃、時間40秒にて発泡し、メカニカルエンボス法にてエンボスを行い、凹凸模様及び表面保護層を形成した。以上より化粧材を得ることが出来た。
<比較例1〜3>
上記実施例において、水性エマルジョン樹脂組成物を、表1に記載の通り変更して各々の化粧材を作製した。
<評価>
実施例及び比較例1〜3で得られた水性エマルジョン系発泡基材の壁紙について、後述する方法で耐汚染性能及び吸放湿性能について評価した。その結果を表3および図2に示す。
(耐汚染性試験方法)
ビニル工業会規定の試験方法(汚染24時間後に、コーヒーとしょうゆは水により拭き取り、水性ペンとクレヨンは中性洗剤で拭き取った後、水により拭き取り、目視評価する。その基準を次に示す。)
1級:汚れが濃く残る
2級:かなり汚れが残る
3級:やや汚れが残る
4級:ほとんど汚れが残らない
5級:汚れが残らない
(吸放湿性能試験方法)
試料を9cm×9cmの大きさに裁断し、アルミテープにより表面の小口1cm四方及び裏面からの透湿防止処置を施す。以上の処置により試料の透湿可能表面積を7cm×7cmの49cmとする。こうして作製した試験片の重量(a)を測定し、これを初期値とする。次に、温度25℃、相対湿度90%に設定された恒温高湿試験機内に2時間放置した後、試験片の重量(b)を測定し、(b)−(a)を吸湿量1とする。続いて、温度25℃、相対湿度40%に設定された恒温高湿試験機内に2時間放置した後、試験片の重量(c)を測定し、(b)−(c)を放湿量1とする。以降、この操作を繰り返し、各々の時刻における試験片の吸湿量、放湿量を算出する。その結果を図2に示す。
表3から明らかなように、実施例で得た化粧材は水性ペン、クレヨン、醤油、コーヒーのいずれにおいても耐汚染性に優れ、また図2から明らかなように吸放湿性能に優れていた。パラフィンワックスの添加による吸放湿性能の変化はわずかであった。
本発明における化粧材の一例を示す断面図であり、(a)は発泡形成前の構成であり、(b)は発泡形成後の構成である。 本発明における化粧材の一例の、吸放湿性能試験結果を示す図である。
符号の説明
10…基材
20…発泡樹脂層
21…下部発泡樹脂層
22…上部発泡樹脂層
23…吸放湿剤
30…絵柄模様
40…表面保護層

Claims (7)

  1. 少なくとも、水性エマルジョン系樹脂、発泡剤、充填材、ワックス、および吸放湿剤を含むことを特徴とする吸放湿化粧材用発泡樹脂組成物。
  2. 前記吸放湿化粧材用発泡樹脂組成物において、前記水性エマルジョン系樹脂100重量部に対して、前記吸放湿剤が3〜30重量部、ワックスが3〜15重量部含まれていることを特徴とする請求項1に記載の吸放湿化粧材用発泡樹脂組成物。
  3. 前記ワックスが、パラフィンワックスであることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の吸放湿化粧材用発泡樹脂組成物。
  4. 基材上に、少なくとも、請求項1〜3のいずれかに記載の吸放湿化粧材用発泡樹脂組成物を含む発泡樹脂層を形成する工程、該発泡樹脂層の発泡工程、該発泡工程と同時に前記ワックスが最表面にブルームする工程を有することを特徴とする吸放湿化粧材の製造方法。
  5. 前記発泡樹脂層が、1層または2層以上の前記吸放湿化粧材用発泡樹脂組成物を含む下部発泡樹脂層、および、1層または2層以上の上部発泡樹脂層からなり、該上部発泡樹脂層中の最上層が吸放湿剤を含有しないことを特徴とする請求項4に記載の吸放湿化粧材の製造方法。
  6. 前記発泡樹脂層が、1層または2層以上の前記吸放湿化粧材用発泡樹脂組成物を含む下部発泡樹脂層、および、1層または2層以上の上部発泡樹脂層からなり、該上部発泡樹脂層中の最上層が吸放湿剤およびワックスを含有しないことを特徴とし、さらに該発泡樹脂層上に絵柄模様を有することを特徴とする請求項4に記載の吸放湿化粧材の製造方法。
  7. 請求項4〜6のいずれかに記載の製造方法により製造されたことを特徴とする吸放湿化粧材。
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