JP2008075585A - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】SOxトラップ触媒の暖機時間を短かくする。
【解決手段】機関排気通路内に排気ガス中に含まれるSOxを捕獲しうる複数のSOxトラップ触媒12a〜12cを並列に配置すると共に各SOxトラップ触媒12a〜12cを共通のNOx吸蔵触媒13に連結する。各排気遮断弁15a,15b,15cを開閉制御することによってこれらSOxトラップ触媒12a〜12cが選択的に使用される。
【選択図】図1
【解決手段】機関排気通路内に排気ガス中に含まれるSOxを捕獲しうる複数のSOxトラップ触媒12a〜12cを並列に配置すると共に各SOxトラップ触媒12a〜12cを共通のNOx吸蔵触媒13に連結する。各排気遮断弁15a,15b,15cを開閉制御することによってこれらSOxトラップ触媒12a〜12cが選択的に使用される。
【選択図】図1
Description
本発明は内燃機関の排気浄化装置に関する。
内燃機関に使用される燃料および潤滑油内にはイオウが含まれており、従って排気ガス中にはSOxが含まれている。ところがこのSOxは機関排気通路内に配置された排気ガス浄化用触媒等の排気後処理装置の性能や耐久性を大巾に低下させる働きがあり、従って排気ガス中のSOxは除去することが好ましい。
そこで機関排気通路内に排気ガス中に含まれるSOxを捕獲しうるSOxトラップ触媒を配置した内燃機関が公知である(特許文献1参照)。このSOxトラップ触媒は長期間に亘ってSOxを捕獲し続けることができるように大きな容量を有する。
特開2005−133610号公報
しかしながらこのように大きな容積を有するSOxトラップ触媒を用いるとSOxトラップ触媒を暖機するのに時間を要し、斯くしてSOxトラップ触媒をすり抜けるSOx量が増大するという問題がある。
上記問題を解決するために本発明によれば、機関排気通路内に排気ガス中に含まれるSOxを捕獲しうる複数のSOxトラップ触媒を並列に配置すると共に各SOxトラップ触媒を共通の排気後処理装置に連結し、これらSOxトラップ触媒を選択的に使用するようにしている。
SOxトラップ触媒として小型のSOxトラップ触媒を使用することができるのでSOxトラップ触媒の暖機に要する時間が短かくなり、斯くしてSOxトラップ触媒をすり抜けるSOx量を低減することができる。
図1に圧縮着火式内燃機関の全体図を示す。
図1を参照すると、1は機関本体、2は各気筒の燃焼室、3は各燃焼室2内に夫々燃料を噴射するための電子制御式燃料噴射弁、4は吸気マニホルド、5は排気マニホルドを夫々示す。吸気マニホルド4は吸気ダクト6を介して排気ターボチャージャ7のコンプレッサ7aの出口に連結され、コンプレッサ7aの入口はエアクリーナ8に連結される。吸気ダクト6内にはステップモータにより駆動されるスロットル弁9が配置され、更に吸気ダクト6周りには吸気ダクト6内を流れる吸入空気を冷却するための冷却装置10が配置される。図1に示される実施例では機関冷却水が冷却装置10内に導かれ、機関冷却水によって吸入空気が冷却される。
図1を参照すると、1は機関本体、2は各気筒の燃焼室、3は各燃焼室2内に夫々燃料を噴射するための電子制御式燃料噴射弁、4は吸気マニホルド、5は排気マニホルドを夫々示す。吸気マニホルド4は吸気ダクト6を介して排気ターボチャージャ7のコンプレッサ7aの出口に連結され、コンプレッサ7aの入口はエアクリーナ8に連結される。吸気ダクト6内にはステップモータにより駆動されるスロットル弁9が配置され、更に吸気ダクト6周りには吸気ダクト6内を流れる吸入空気を冷却するための冷却装置10が配置される。図1に示される実施例では機関冷却水が冷却装置10内に導かれ、機関冷却水によって吸入空気が冷却される。
一方、排気マニホルド5は排気ターボチャージャ7の排気タービン7bの入口に連結され、排気タービン7bの出口は第1の排気枝通路11aと第2の排気枝通路11bに分岐される。図1に示されるように第1の排気枝通路11a内には第1のSOxトラップ触媒12aが配置され、第2の排気枝通路11b内には第2のSOxトラップ触媒12bが配置される。これら第1の排気枝通路11aおよび第2の排気枝通路11bは夫々対応するSOxトラップ触媒12a,12bの下流において合流して共通の排気後処理装置13に連結される。図1に示される実施例ではこの排気後処理装置13はNOx吸蔵触媒からなる。
また、機関排気通路内には選択された排気枝通路11a,11b内に排気ガスを流通させるための通路切換弁装置が設けられている。図1に示される実施例ではこの通路切換弁装置は第1のSOxトラップ触媒12a下流の第1の排気枝通路11a内に配置されてアクチュエータ14aにより開閉制御される第1の排気遮断弁15aと、第2のSOxトラップ触媒12b下流の第2の排気枝通路11b内に配置されてアクチュエータ14bにより開閉制御される第2の排気遮断弁15bとにより構成される。
なお、各排気遮断弁15a,15bは夫々対応するSOxトラップ触媒12a,12b上流の排気枝通路11a,11b内に配置することもできるし、また第1の排気枝通路11aと第2の排気枝通路11bとの分岐部に配置した一つの排気切換弁からなる流路切換弁装置を用いることもできる。
一方、排気マニホルド5と吸気マニホルド4とは排気ガス再循環(以下、EGRと称す)通路16を介して互いに連結され、EGR通路16内には電子制御式EGR制御弁17が配置される。また、EGR通路16周りにはEGR通路16内を流れるEGRガスを冷却するための冷却装置18が配置される。図1に示される実施例では機関冷却水が冷却装置18内に導かれ、機関冷却水によってEGRガスが冷却される。一方、各燃料噴射弁3は燃料供給管19を介してコモンレール20に連結される。このコモンレール20内へは電子制御式の吐出量可変な燃料ポンプ21から燃料が供給され、コモンレール20内に供給された燃料は各燃料供給管19を介して燃料噴射弁3に供給される。また、排気マニホルド5内にはNOx吸蔵触媒13からNOxを放出させるための燃料を添加する燃料添加弁22が配置される。
電子制御ユニット30はデジタルコンピュータからなり、双方向性バス31によって互いに接続されたROM(リードオンリメモリ)32、RAM(ランダムアクセスメモリ)33、CPU(マイクロプロセッサ)34、入力ポート35および出力ポート36を具備する。図1に示されるようにNOx吸蔵触媒13にはNOx吸蔵触媒13の前後差圧を検出するための差圧センサ23が取付けられており、この差圧センサ23の出力信号は対応するAD変換器37を介して入力ポート35に入力される。
アクセルペダル40にはアクセルペダル40の踏込み量Lに比例した出力電圧を発生する負荷センサ41が接続され、負荷センサ41の出力電圧は対応するAD変換器37を介して入力ポート35に入力される。更に入力ポート35にはクランクシャフトが例えば15°回転する毎に出力パルスを発生するクランク角センサ42が接続される。一方、出力ポート36は対応する駆動回路38を介して燃料噴射弁3、スロットル弁9駆動用ステップモータ、各アクチュエータ14a,14b、EGR制御弁17、燃料ポンプ21および燃料添加弁22に接続される。
図2に圧縮着火式内燃機関の別の実施例を示す。この実施例では排気タービン7bの出口は第1の排気枝通路11aと第2の排気枝通路11bと第3の排気枝通路11cに分岐され、第1の排気枝通路11a内には第1のSOxトラップ触媒12aが配置され、第2の排気枝通路11b内には第2のSOxトラップ触媒12bが配置され、第3の排気枝通路11c内には第3のSOxトラップ触媒12cが配置される。この第2実施例でも第1の排気枝通路11a、第2の排気枝通路11bおよび第3の排気枝通路11cは夫々対応するSOxトラップ触媒12a,12b,12cの下流において合流して共通の排気後処理装置13に連結される。
一方、図2に示される実施例では図1に示される実施例と同様に通路切換弁装置は第1のSOxトラップ触媒12a下流の第1の排気枝通路11a内に配置された第1の排気遮断弁15aと、第2のSOxトラップ触媒12b下流の第2の排気枝通路11b内に配置された第2の排気遮断弁15bと、第3のSOxトラップ触媒12c下流の第3の排気枝通路11c内に配置された第3の排気遮断弁15cとにより構成される。
まず初めに図1および図2に示されるNOx吸蔵触媒13について説明すると、これらNOx吸蔵触媒13は三次元網目構造のモノリス担体或いはペレット状担体上に担持されているか、又はハニカム構造をなすパティキュレートフィルタ上に担持されている。このようにNOx吸蔵触媒13は種々の担体上に担持させることができるが、以下NOx吸蔵触媒13をパティキュレートフィルタ上に担持した場合について説明する。
図3(A)および(B)はNOx吸蔵触媒13を担持したパティキュレートフィルタ13aの構造を示している。なお、図3(A)はパティキュレートフィルタ13aの正面図を示しており、図3(B)はパティキュレートフィルタ13aの側面断面図を示している。図3(A)および(B)に示されるようにパティキュレートフィルタ13aはハニカム構造をなしており、互いに平行をなして延びる複数個の排気流通路60,61を具備する。これら排気流通路は下流端が栓62により閉塞された排気ガス流入通路60と、上流端が栓63により閉塞された排気ガス流出通路61とにより構成される。なお、図3(A)においてハッチングを付した部分は栓63を示している。従って排気ガス流入通路60および排気ガス流出通路61は薄肉の隔壁64を介して交互に配置される。云い換えると排気ガス流入通路60および排気ガス流出通路61は各排気ガス流入通路60が4つの排気ガス流出通路61によって包囲され、各排気ガス流出通路61が4つの排気ガス流入通路60によって包囲されるように配置される。
パティキュレートフィルタ13aは例えばコージライトのような多孔質材料から形成されており、従って排気ガス流入通路60内に流入した排気ガスは図3(B)において矢印で示されるように周囲の隔壁64内を通って隣接する排気ガス流出通路61内に流出する。
このようにNOx吸蔵触媒13をパティキュレートフィルタ13a上に担持させた場合には、各排気ガス流入通路60および各排気ガス流出通路61の周壁面、即ち各隔壁64の両側表面上および隔壁64内の細孔内壁面上には例えばアルミナからなる触媒担体が担持されており、図4はこの触媒担体45の表面部分の断面を図解的に示している。図4に示されるように触媒担体45の表面上には貴金属触媒46が分散して担持されており、更に触媒担体45の表面上にはNOx吸収剤47の層が形成されている。
このようにNOx吸蔵触媒13をパティキュレートフィルタ13a上に担持させた場合には、各排気ガス流入通路60および各排気ガス流出通路61の周壁面、即ち各隔壁64の両側表面上および隔壁64内の細孔内壁面上には例えばアルミナからなる触媒担体が担持されており、図4はこの触媒担体45の表面部分の断面を図解的に示している。図4に示されるように触媒担体45の表面上には貴金属触媒46が分散して担持されており、更に触媒担体45の表面上にはNOx吸収剤47の層が形成されている。
本発明による実施例では貴金属触媒46として白金Ptが用いられており、NOx吸収剤47を構成する成分としては例えばカリウムK、ナトリウムNa、セシウムCsのようなアルカリ金属、バリウムBa、カルシウムCaのようなアルカリ土類、ランタンLa、イットリウムYのような希土類から選ばれた少なくとも一つが用いられている。
機関吸気通路、燃焼室2およびNOx吸蔵触媒13上流の排気通路内に供給された空気および燃料(炭化水素)の比を排気ガスの空燃比と称すると、NOx吸収剤47は排気ガスの空燃比がリーンのときにはNOxを吸収し、排気ガス中の酸素濃度が低下すると吸収したNOxを放出するNOxの吸放出作用を行う。
即ち、NOx吸収剤47を構成する成分としてバリウムBaを用いた場合を例にとって説明すると、排気ガスの空燃比がリーンのとき、即ち排気ガス中の酸素濃度が高いときには排気ガス中に含まれるNOは図4に示されるように白金Pt46上において酸化されてNO2となり、次いでNOx吸収剤47内に吸収されて酸化バリウムBaOと結合しながら硝酸イオンNO3 -の形でNOx吸収剤47内に拡散する。このようにしてNOxがNOx吸収剤47内に吸収される。排気ガス中の酸素濃度が高い限り白金Pt46の表面でNO2が生成され、NOx吸収剤47のNOx吸収能力が飽和しない限りNO2がNOx吸収剤47内に吸収されて硝酸イオンNO3 -が生成される。
これに対し、燃料添加弁22から燃料を添加することによって排気ガスの空燃比をリッチ或いは理論空燃比にすると排気ガス中の酸化濃度が低下するために反応が逆方向(NO3 -→NO2)に進み、斯くしてNOx吸収剤47内の硝酸イオンNO3 -がNO2の形でNOx吸収剤47から放出される。次いで放出されたNOxは排気ガス中に含まれる未燃HC,COによって還元される。
このように排気ガスの空燃比がリーンであるとき、即ちリーン空燃比のもとで燃焼が行われているときには排気ガス中のNOxがNOx吸収剤47内に吸収される。しかしながらリーン空燃比のもとでの燃焼が継続して行われるとその間にNOx吸収剤47のNOx吸収能力が飽和してしまい、斯くしてNOx吸収剤47によりNOxを吸収できなくなってしまう。そこで本発明による実施例ではNOx吸収剤47の吸収能力が飽和する前に燃料添加弁22から燃料を添加することによって排気ガスの空燃比を一時的にリッチにし、それによってNOx吸収剤47からNOxを放出させるようにしている。
ところで排気ガス中にはSOx、即ちSO2が含まれており、このSO2がNOx吸蔵触媒13に流入するとこのSO2は白金Pt46において酸化されてSO3となる。次いでこのSO3はNOx吸収剤47内に吸収されて酸化バリウムBaOと結合しながら、硫酸イオンSO4 2-の形でNOx吸収剤47内に拡散し、安定した硫酸塩BaSO4を生成する。しかしながらNOx吸収剤47が強い塩基性を有するためにこの硫酸塩BaSO4は安定していて分解しづらく、排気ガスの空燃比を単にリッチにしただけでは硫酸塩BaSO4は分解されずにそのまま残る。従ってNOx吸収剤47内には時間が経過するにつれて硫酸塩BaSO4が増大することになり、斯くして時間が経過するにつれてNOx吸収剤47が吸収しうるNOx量が低下することになる。
ところでこの場合、NOx吸蔵触媒13の温度を600℃以上のSOx放出温度まで上昇させた状態でNOx吸蔵触媒13に流入する排気ガスの空燃比をリッチにするとNOx吸収剤47からSOxが放出される。ただし、この場合NOx吸収剤47からは少しずつしかSOxが放出されない。従ってNOx吸収剤47から全ての吸収SOxを放出させるには長時間に亘って空燃比をリッチにしなければならず、斯くして多量の燃料が必要になるという問題がある。また、NOx吸収剤47から放出されたSOxは大気中に排出されることになり、このことも好ましいことではない。
そこで本発明ではNOx吸蔵触媒13の上流にSOxトラップ触媒12a〜12cを配置してこのSOxトラップ触媒12a〜12cにより排気ガス中に含まれるSOxを捕獲し、それによってNOx吸蔵触媒13にSOxが流入しないようにしている。次にこれらSOxトラップ触媒12a〜12cについて説明する。
これらSOxトラップ触媒12a〜12cは例えばハニカム構造のモノリス触媒からなり、SOxトラップ触媒12a〜12cの軸線方向にまっすぐに延びる多数の排気ガス流通孔を有する。図5はこのようにSOxトラップ触媒12a〜12cをハニカム構造のモノリス触媒から形成した場合の各排気ガス流通孔の内周壁面、即ち基体50の表面部分の断面を図解的に示している。図5に示されるように基体50の表面上にはコート層51が形成されており、このコート層51の表面上には貴金属触媒52が分散して担持されている。
本発明による実施例では貴金属触媒52として白金が用いられており、コート層51を構成する成分としては例えばカリウムK、ナトリウムNa、セシウムCsのようなアルカリ金属、バリウムBa、カルシウムCaのようなアルカリ土類、ランタンLa、イットリウムYのような希土類から選ばれた少なくとも一つが用いられている。即ち、SOxトラップ触媒12a〜12cのコート層51は強塩基性を呈している。
さて、排気ガス中に含まれるSOx、即ちSO2は図5に示されるように白金Pt52において酸化され、次いでコート層51内に捕獲される。即ち、SO2は硫酸イオンSO4 2-の形でコート層51内に拡散し、硫酸塩を形成する。なお、上述したようにコート層51は強塩基性を呈しており、従って図5に示されるように排気ガス中に含まれるSO2の一部は直接コート層51内に捕獲される。
図5においてコート層51内における濃淡は捕獲されたSOxの濃度を示している。図5からわかるようにコート層51内におけるSOx濃度はコート層51の表面近傍が最も高く、奥部に行くに従って次第に低くなっていく。コート層51の表面近傍におけるSOx濃度が高くなるとコート層51の表面の塩基性が弱まり、SOxの捕獲能力が弱まる。ここで排気ガス中に含まれるSOxのうちでSOxトラップ触媒12a〜12cに捕獲されるSOxの割合をSOxトラップ率と称すると、コート層51の表面の塩基性が弱まればそれに伴なってSOxトラップ率が低下することになる。
さて、容量の大きなSOxトラップ触媒を用いると時間を経過してもSOxトラップ率はさほど低下しない。従って容量の大きなSOxトラップ触媒を用いると車両を長期間に亘って運転したとしてもNOx吸蔵触媒13に多量のSOxが吸蔵されるのを阻止しうるように見える。しかしながらSOxトラップ触媒の容量を大きくするとSOxトラップ触媒を暖機するまでに長時間を要し、この間SOxがSOxトラップ触媒を素通りするので多量のSOxがNOx吸蔵触媒13に吸蔵されることになる。
そこで本発明ではSOxトラップ触媒の暖機に要する時間が短かくなるように容量の小さなSOxトラップ触媒12a〜12cを用い、それによって多量のSOxがNOx吸蔵触媒13に吸蔵されないようにしている。
ところが容量の小さなSOxトラップ触媒12a〜12cを用いると容量が小さい分だけ早期にSOxトラップ率が低下しはじめる。そこで本発明による第1実施例では例えば図1において第1のSOxトラップ触媒12aおよび第2のSOxトラップ触媒12bを対応する排気枝通路11a,11bに対して夫々着脱自在に取付け、いずれか一方の排気枝通路11a,11b内に排気ガスを流通させ、排気ガスが流通せしめられている方の排気枝通路11a,11b内のSOxトラップ触媒12a,12bが劣化したときには排気ガスの流通を停止して今度は他方の排気枝通路11a,11b内に排気ガスを流通させ、排気ガスの流通が停止せしめられた方の排気枝通路11a,11b内の劣化したSOxトラップ触媒12a,12bを新品と交換するようにしている。
このことについて図6を参照しつつもう少し具体的に説明する。なお、図6においてIは第1の排気枝通路11a内における第1排気遮断弁15aの状態と第1のSOxトラップ触媒12aのSOxトラップ率の変化を示しており、IIは第2の排気枝通路11b内における第2排気遮断弁15bの状態と第2のSOxトラップ触媒12bのSOxトラップ率の変化を示している。
図6を参照すると第1排気遮断弁15aが開弁しているときには第2排気遮断弁15bが閉弁せしめられており、従ってこのときには第1の排気枝通路11a内のみに排気ガスが流通せしめられている。このような状態で時間が経過すると第1のSOxトラップ触媒12aのSOxトラップ率が次第に低下してくる。次いで第1のSOxトラップ触媒12aのSOxトラップ率が予め定められた許容値SXまで低下したときには第1排気遮断弁15aが閉弁せしめられ、第2排気遮断弁15bが開弁せしめられる。
このときには第2の排気枝通路11b内のみに排気ガスが流通せしめられている。このとき第1の排気枝通路11a内の劣化したSOxトラップ触媒12aが新品と交換される。次いで第2のSOxトラップ触媒12bのSOxトラップ率が予め定められた許容値SXまで低下したときには再び第1排気遮断弁15aが開弁せしめられ、第2排気遮断弁15bが閉弁せしめられる。このときには第1の排気枝通路11a内のみに排気ガスが流通せしめられており、このとき第2の排気枝通路11b内の劣化したSOxトラップ触媒12bが新品と交換される。
このように本発明によれば一部のSOxトラップ触媒12a,12bを使用している間に使用していないSOxトラップ触媒12a,12bを交換しうるようにSOxトラップ触媒12a,12bが交換可能に配置されている。本発明では各SOxトラップ触媒12a,12bの容量は走行距離にして数万km程度連続使用しうる容量に設定されている。従ってSOxトラップ触媒12a,12bの交換は例えば定期点検時に行えばよいのでメインテナンスに関しては煩わしさがないと言える。
次に図7および図8を参照しつつ図6に示される排気遮断弁15a,15bの制御ルーチンについて説明する。
本発明による実施例では、SOxトラップ触媒12a,12bに捕獲されたSOx量を推定し、SOxトラップ触媒12a,12bに捕獲されたSOx量が予め定められた量を越えたときにSOxトラップ率が予め定められた許容値SXよりも低下したと判断され、このとき排気流路の切換えが行われる。
本発明による実施例では、SOxトラップ触媒12a,12bに捕獲されたSOx量を推定し、SOxトラップ触媒12a,12bに捕獲されたSOx量が予め定められた量を越えたときにSOxトラップ率が予め定められた許容値SXよりも低下したと判断され、このとき排気流路の切換えが行われる。
即ち、燃料中には或る割合でイオウが含まれており、従って排気ガス中に含まれるSOx量、即ちSOxトラップ触媒12a,12bに捕獲されるSOx量は燃料噴射量に比例する。燃料噴射量は要求トルクおよび機関回転数の関数であり、従ってSOxトラップ触媒12a,12bに捕獲されるSOx量も要求トルクおよび機関回転数の関数となる。従って本発明による実施例ではSOxトラップ触媒12a,12bに単位時間当り捕獲されるSOx量SOXAが要求トルクTQおよび機関回転数Nの関数として図7に示されるようなマップの形で予めROM32内に記憶されている。
なお、SOxトラップ率はその他の種々の方法によって検出することができる。例えばSOxトラップ触媒12a,12bの下流にSOx濃度検出センサを取付けてSOxトラップ触媒12a,12bから流出する排気ガス中のSOx濃度が高くなったときにSOxトラップ率が低下したと判断することができる。また、SOxトラップ率を推定する際にSOxトラップ触媒12a,12bの熱劣化を考慮することもできる。この場合には例えばSOxトラップ触媒12a,12bの受けた熱負荷を積算することによって熱劣化の度合が求められ、この熱劣化の度合から熱劣化によるSOxトラップ率の低下量が推定される。
図8に排気遮断弁の制御ルーチンを示す。
図8を参照するとまず初めにステップ100において図7に示すマップから単位時間当り捕獲されるSOx量SOXAが算出される。次いでステップ101ではこのSOXAがSOxトラップ触媒12a,12bに捕獲されているSOx量ΣSOXに加算される。次いでステップ102ではこのSOx量ΣSOXが許容値SXを越えたか否かが判別され、ΣSOX>SXとなったときにはステップ103に進んで排気ガス流路を切換えるために排気遮断弁15a,15bの開閉制御が行われる。
図8を参照するとまず初めにステップ100において図7に示すマップから単位時間当り捕獲されるSOx量SOXAが算出される。次いでステップ101ではこのSOXAがSOxトラップ触媒12a,12bに捕獲されているSOx量ΣSOXに加算される。次いでステップ102ではこのSOx量ΣSOXが許容値SXを越えたか否かが判別され、ΣSOX>SXとなったときにはステップ103に進んで排気ガス流路を切換えるために排気遮断弁15a,15bの開閉制御が行われる。
次に図9から図1を参照しつつNOx吸蔵触媒13に対する処理について説明する。
本発明による実施例ではNOx吸蔵触媒13に単位時間当り吸蔵されるNOx量NOXAが要求トルクTQおよび機関回転数Nの関数として図10に示すマップの形で予めROM32内に記憶されており、このNOx量NOXAを積算することによってNOx吸蔵触媒13に吸蔵されたNOx量ΣNOXが算出される。本発明による実施例では図9に示されるようにこのNOx量ΣNOXが許容値NXに達する毎に燃料添加弁22から燃料を添加することによってNOx吸蔵触媒13に流入する排気ガスの空燃比A/Fが一時的にリッチにされ、それによってNOx吸蔵触媒13からNOxが放出される。
本発明による実施例ではNOx吸蔵触媒13に単位時間当り吸蔵されるNOx量NOXAが要求トルクTQおよび機関回転数Nの関数として図10に示すマップの形で予めROM32内に記憶されており、このNOx量NOXAを積算することによってNOx吸蔵触媒13に吸蔵されたNOx量ΣNOXが算出される。本発明による実施例では図9に示されるようにこのNOx量ΣNOXが許容値NXに達する毎に燃料添加弁22から燃料を添加することによってNOx吸蔵触媒13に流入する排気ガスの空燃比A/Fが一時的にリッチにされ、それによってNOx吸蔵触媒13からNOxが放出される。
一方、排気ガス中に含まれる粒子状物質はNOx吸蔵触媒13を担持しているパティキュレートフィルタ13a上に捕集され、順次酸化される。しかしながら捕集される粒子状物質の量が酸化される粒子状物質の量よりも多くなると粒子状物質がパティキュレートフィルタ13a上に次第に堆積し、この場合粒子状物質の堆積量が増大すると機関出力の低下を招いてしまう。従って粒子状物質の堆積量が増大したときには堆積した粒子状物質を除去しなければならない。この場合、空気過剰のもとでパティキュレートフィルタ13aの温度を600℃程度まで上昇させると堆積した粒子状物質が酸化され、除去される。
そこで本発明による実施例ではパティキュレートフィルタ13a上に堆積した粒子状物質の量が許容量を越えたときには排気ガスの空燃比がリーンのもとでパティキュレートフィルタ13aの温度を上昇させ、それによって堆積した粒子状物質を酸化除去するようにしている。具体的に言うと本発明による実施例では差圧センサ23により検出されたパティキュレートフィルタ13aの前後差圧ΔPが図9に示されるように許容値PXを越えたときに堆積粒子状物質の量が許容量を越えたと判断され、このときパティキュレートフィルタ13aに流入する排気ガスの空燃比をリーンに維持しつつパティキュレートフィルタ13aの温度Tを上昇させる昇温制御が行われる。この昇温制御は燃料添加弁22から燃料を添加することによって行われる。なお、パティキュレートフィルタ13aの温度Tが高くなるとNOx吸蔵触媒13からNOxが放出されるために捕獲されているNOx量ΣNOXは減少する。
図11はNOx吸蔵触媒13に対する処理ルーチンを示している。
図11を参照するとまず初めにステップ200において図10に示すマップから単位時間当り吸蔵されるNOx量NOXAが算出される。次いでステップ201ではこのNOXAがNOx吸蔵触媒13に吸蔵されているNOx量ΣNOXに加算される。次いでステップ202では吸蔵NOx量ΣNOXが許容値NXを越えたか否かが判別され、ΣNOX>NXとなったときにはステップ203に進んで燃料添加弁22から添加された燃料によってNOx吸蔵触媒13に流入する排気ガスの空燃比を一時的にリーンからリッチに切換えるリッチ処理が行われ、ΣNOXがクリアされる。
図11を参照するとまず初めにステップ200において図10に示すマップから単位時間当り吸蔵されるNOx量NOXAが算出される。次いでステップ201ではこのNOXAがNOx吸蔵触媒13に吸蔵されているNOx量ΣNOXに加算される。次いでステップ202では吸蔵NOx量ΣNOXが許容値NXを越えたか否かが判別され、ΣNOX>NXとなったときにはステップ203に進んで燃料添加弁22から添加された燃料によってNOx吸蔵触媒13に流入する排気ガスの空燃比を一時的にリーンからリッチに切換えるリッチ処理が行われ、ΣNOXがクリアされる。
次いでステップ204では差圧センサ23によりパティキュレートフィルタ13aの前後差圧ΔPが検出される。次いでステップ205では差圧ΔPが許容値PXを越えたか否かが判別され、ΔP>PXとなったときにはステップ206に進んでパティキュレートフィルタ13aの昇温制御が行われる。
これまで図1を参照しつつ第1実施例について説明してきたがこの第1実施例は図2に示されるように並列配置された3つのSOxトラップ触媒12a〜12c、或いはそれ以上の個数のSOxトラップ触媒を有する場合にも適用しうる。
図12に第2実施例を示す。なお、図6と同様にこの図12においてもIは図1に示される第1の排気枝通路11a内における第1排気遮断弁15aの状態と第1のSOxトラップ触媒12aのSOxトラップ率の変化を示しており、IIは図1において第2の排気枝通路11b内における第2排気遮断弁15bの状態と第2のSOxトラップ触媒12bのSOxトラップ率の変化を示している。
この第2実施例では途中の段階までは第1実施例と同じ排気遮断弁15a,15bの制御が行われる。即ち、図12に示されるように第1排気遮断弁15aが開弁しているときには第2排気遮断弁15bが閉弁せしめられており、従ってこのときには第1の排気枝通路11a内のみに排気ガスが流通せしめられている。次いで第1のSOxトラップ触媒12aのSOxトラップ率が予め定められた許容値SXまで低下したときには第1排気遮断弁15aが閉弁せしめられ、第2排気遮断弁15bが開弁せしめられる。
このときには第2の排気枝通路11b内のみに排気ガスが流通せしめられる。次いで第2のSOxトラップ触媒12bのSOxトラップ率が予め定められた許容値SXまで低下すると今度は第1排気遮断弁15aと第2排気遮断弁15bとが共に開弁せしめられ、斯くしてこのときには第1の排気枝通路11a内および第2の排気枝通路11b内の双方に排気ガスが流通せしめられる。
この第2実施例は各SOxトラップ触媒12a,12bを新品と交換しないようにした場合に各SOxトラップ触媒12a,12bを可能な限り有効に利用するようにしたものである。即ち、SOxトラップ触媒12a,12bを単独で使用する場合には低いトラップ率しか得られなくても両SOxトラップ触媒12a,12bを同時に使用すると各SOxトラップ触媒12a,12bにおける排気ガスの空間速度が低くなるために各SOxトラップ触媒12a,12bにおけるSOxトラップ率は上昇する。従って図12に示されるように途中の段階で両SOxトラップ触媒12a,12bを同時に使用することによって長期間に亘って高いSOxトラップ率を維持することができる。
この第2実施例についても図2に示されるように並列配置された3つのSOxトラップ触媒12a〜12c、或いはそれ以上の個数のSOxトラップ触媒を有する場合にも適用しうる。従ってこの第2実施例について一般的に表現するとこの第2実施例では各SOxトラップ触媒12a〜12cはその劣化度合が予め定められた劣化度合に達するまで順次使用され、全てのSOxトラップ触媒12a〜12cが予め定められた劣化度合に達するまで使用された後は、複数のSOxトラップ触媒12a〜12cを同時に使用するようにしている。
次に図13および図14を参照しつつ第3実施例について説明する。
この第3実施例では機関の運転状態に応じて使用するSOxトラップ触媒12a〜12cの個数を変更するようにしており、図13に示される例では単位時間当りの燃料供給量が増大するほど使用するSOxトラップ触媒12a〜12cの個数が増大せしめられる。
この第3実施例では機関の運転状態に応じて使用するSOxトラップ触媒12a〜12cの個数を変更するようにしており、図13に示される例では単位時間当りの燃料供給量が増大するほど使用するSOxトラップ触媒12a〜12cの個数が増大せしめられる。
即ち、図13には要求トルクTQと機関回転数Nから定まる3つの領域I,II,IIIが示されており、領域Iでは、即ち機関低速低負荷運転時には図2において第1のSOxトラップ触媒12aのみが使用され、領域IIでは、即ち機関中速中負荷運転時には図2において第1のSOxトラップ触媒12aと第2のSOxトラップ触媒12bとが使用され、領域IIIでは、即ち機関高速高負荷運転時には全てのSOxトラップ触媒12a〜12cが使用される。
図14は図13に示される例を実行するための排気遮断弁15a〜15cの制御ルーチンを示している。
図14を参照するとまず初めにステップ300において領域Iであるか否かが判別される。領域Iであるときにはステップ302に進んで第1の排気遮断弁15aのみが開弁せしめられ、残りの排気遮断弁15b,15cは閉弁せしめられる。このとき排気ガスは第1の排気枝通路11a内のみを流通せしめられる。
図14を参照するとまず初めにステップ300において領域Iであるか否かが判別される。領域Iであるときにはステップ302に進んで第1の排気遮断弁15aのみが開弁せしめられ、残りの排気遮断弁15b,15cは閉弁せしめられる。このとき排気ガスは第1の排気枝通路11a内のみを流通せしめられる。
一方、ステップ300において領域Iではないと判別されたときにはステップ301に進んで領域IIであるか否かが判別される。領域IIであるときにはステップ303に進んで第1の排気遮断弁15aおよび第2の排気遮断弁15bが開弁せしめられ、残りの排気遮断弁15cは閉弁せしめられる。このとき排気ガスは第1の排気枝通路11a内および第2の排気枝通路11b内を流通せしめられる。
これに対し、ステップ301において領域IIではないと判別されたとき、即ち領域IIIであるときにはステップ304に進んで全ての排気遮断弁15a〜15cが開弁せしめられる。このとき排気ガスは全ての排気枝通路11a〜11c内を流通せしめられる。
単位時間当りの燃料供給量が増大するほど排気ガス中のSOx濃度が高くなり、従って単位時間当りの燃料供給量が増大するほど高いSOxのトラップ能力が必要とされる。従ってこの実施例では単位時間当りの燃料供給量が増大するほど、即ち要求トルクTQが高くなるほど、或いは機関回転数Nが高くなるほど使用されるSOxトラップ触媒12a〜12cの個数が増大せしめられる。なお、この第3実施例についても並列配置された4個又はそれ以上のSOxトラップ触媒を用いることができる。
4 吸気マニホルド
5 排気マニホルド
7 排気ターボチャージャ
11a,11b,11c 排気枝通路
12a,12b,12c SOxトラップ触媒
13 NOx吸蔵触媒
15a,15b,15c 排気遮断弁
5 排気マニホルド
7 排気ターボチャージャ
11a,11b,11c 排気枝通路
12a,12b,12c SOxトラップ触媒
13 NOx吸蔵触媒
15a,15b,15c 排気遮断弁
Claims (9)
- 機関排気通路内に排気ガス中に含まれるSOxを捕獲しうる複数のSOxトラップ触媒を並列に配置すると共に各SOxトラップ触媒を共通の排気後処理装置に連結し、これらSOxトラップ触媒を選択的に使用するようにした内燃機関の排気浄化装置。
- 一部のSOxトラップ触媒を使用している間に使用していないSOxトラップ触媒を交換しうるようにSOxトラップ触媒が交換可能に配置されている請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 各SOxトラップ触媒はその劣化度合が予め定められた劣化度合に達するまで順次使用され、全てのSOxトラップ触媒が予め定められた劣化度合に達するまで使用された後は、複数のSOxトラップ触媒を同時に使用するようにした請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 機関の運転状態に応じて使用するSOxトラップ触媒の個数を変更するようにした請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 単位時間当りの燃料供給量が増大するほど使用するSOxトラップ触媒の個数が増大せしめられる請求項4に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 機関排気通路が複数の排気枝通路に分岐されると共に各排気枝通路内に夫々SOxトラップ触媒が配置され、選択された排気枝通路内に排気ガスを流通させるための通路切換弁装置を具備した請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 上記SOxトラップ触媒は触媒担体上に形成されたコート層と、コート層上に維持された貴金属触媒からなり、コート層内にはアルカリ金属、アルカリ土類金属又は希土類金属が分散して含有されている請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 上記排気後処理装置は、流入する排気ガスの空燃比がリーンのときには排気ガス中に含まれるNOxを吸蔵し流入する排気ガスの空燃比が理論空燃比又はリッチになると吸蔵したNOxを放出するNOx吸蔵触媒からなる請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- NOx吸蔵触媒が排気ガス中に含まれる粒子状物質を捕獲して酸化させるためのパティキュレートフィルタ上に担持されている請求項8に記載の内燃機関の排気浄化装置。
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2006
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