JP2008070241A - 圧力センサ、及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】第1の材料から成るダイヤフラム2と、該ダイヤフラムと接続されてダイヤフラムとの間に真空室Sを形成する第2の材料から成る基台10と、圧電振動基板上に励振電極膜を備えた構成を有し且つダイヤフラムによって支持された応力感応素子20と、を備え、第2の材料は金属である。
【選択図】図1
Description
特許文献1には、双音叉型振動素子と水晶で製作したダイヤフラムを兼ねたハウジングを有した周波数変化型の絶対圧測定用圧力センサが開示されている。即ち、図7はこの圧力センサの構造を示した概略図であり、この圧力センサ100は、下側ダイヤフラム101の上面に設けた凹所101aと、上側ダイヤフラム110の下面に設けた凹所110aによって気密空間(真空室)Sを形成するように両ダイヤフラムの外周縁に位置する厚肉部115を接合すると共に、上側ダイヤフラムの凹所内に設けた2つの突起111により双音叉型振動素子(応力感応素子)117を支持し、更に上下のダイヤフラムの凹所間を図示しない力伝達用柱部により連結した構成を備えている。両ダイヤフラムの接合面には引出し導体膜120、121が配置されており、各引出し導体膜は双音叉型振動素子117を構成する2つの電極膜に対してワイヤ等の接続手段125を介して接続されている。
しかし、ダイヤフラム式の周波数変換型の圧力センサにおいて、これまで水晶材料から成るダイヤフラムとの接合に適した材料から成る基台は提案されていない。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、圧電材料から成る応力感応素子を同様の圧電材料から成るダイヤフラムにより支持し、且つダイヤフラムと基台を接合することによって形成した真空室内に応力感応素子を封止した構造の周波数変換型の圧力センサにおいて、種々の不具合をもたらす原因となる接着剤を用いずにダイヤフラムと容易に接合することができ、しかもダイヤフラムを構成する圧電材料の熱膨張係数(線膨張係数)に近似した熱膨張係数を有した材料から成る基台を備えた圧力センサを提供することを目的としている。
弾性材料から成るダイヤフラムに対して基台を接合する際に、基台の材質としてダイヤフラムの熱膨張係数に近いものを選択する必要があるが、金属は選択の範囲が広いために、基台を金属材料により構成することによりダイヤフラムの熱膨張係数に近似させることが容易である。
基台の材料として金属を選定し、その熱膨張係数をダイヤフラムの熱膨張係数に近似させることにより、両者の接合部に熱に起因して発生した歪みが応力感応素子に伝達されてその特性を変動させる虞を解消できる。
第3の本発明に係る圧力センサは、前記第1の材料は圧電材料であり、前記応力感応素子を構成する圧電振動基板と結晶方位が一致していることを特徴とする。
このように構成することにより、感圧センサの感度を高めることができる。
第4の本発明に係る圧力センサは、前記圧電材料は、水晶であることを特徴とする。
圧電材料として種々の材料を使用できるが、例えば水晶材料も有用である。
ダイヤフラムとの間に任意のサイズの空間を形成するためには基台の形状を椀形状の金属キャップとすることが好ましい。
第6の本発明に係る圧力センサでは、前記金属キャップは、前記真空室内に負圧を導入するための穴と、負圧導入後に該穴を封止する封止部材と、を備えていることを特徴とする。
空間を真空にするために金属キャップに設けた穴を利用することが便利である。
第7の本発明に係る圧力センサでは、前記金属キャップは、前記空間内に負圧を導入するための穴と、前記穴の周縁に一体化されて外方へ突出したパイプと、該パイプの一部を潰し切断することにより形成した封止部と、を備えていることを特徴とする。
金属キャップに設けた負圧導入用の穴から外側へ向けて同材質のパイプを突出させた構成とすることにより、負圧導入作業を非真空中にて実施することが可能となり、工程の簡略化、量産が可能となる。
金属キャップに設けた負圧導入用の穴から外側へ向けて同材質のパイプを突出させた構成とした上で、この製造工程を実施することにより、負圧導入作業を非真空中にて実施することが可能となり、工程の簡略化、量産が可能となる。
図1(a)は本発明の一実施形態に係る周波数変化型の絶対圧測定用の圧力センサの構成を示す外観図であり、(b)はその縦断面図である。
圧力センサ1は、弾性材料としての第1の材料から成るダイヤフラム2と、ダイヤフラム2と接続されてダイヤフラムとの間に真空室(気密空間)Sを形成する第2の材料から成る基台10と、ダイヤフラム2によって支持され且つ圧電材料を主材として構成された応力感応素子20と、を備えている。
ダイヤフラム2と基台10はハウジングを構成している。このハウジングは例えば縦横寸法が5mm、厚みが1mm程度である。
更に詳細には、圧力センサ1は、基台10との間に真空室Sを形成する変形領域(薄肉部)3、及び変形領域3の外周縁を一体的に支持し且つ基台面に接合される接合領域(厚肉部=接合部)4を有した弾性材料から成るダイヤフラム2と、ダイヤフラム2の変形領域3の内壁に形成された支持部5によって両端部を夫々支持された応力感応素子20と、を備えている。ダイヤフラム2はフォトリソグラフィー技術によって製造される。
応力感応素子20を構成する圧電振動基板材料として水晶を使用する場合には、ダイヤフラム2の材料としても同じ水晶材料を使用することにより、熱膨張係数差に起因して両者の接続部に発生する応力により応力感応素子20に発生する歪みを防止することができる。即ち、ダイヤフラム2を構成する材料(第1の材料)は、例えば水晶等の圧電材料であり、応力感応素子20を構成する圧電振動基板の材料と同じ材質とし、両者の結晶方位を一致させた支持構造とすることにより、両者の熱膨張係数差に起因したセンサ特性の悪化(感度のばらつき)を防止するように配慮している。
ダイヤフラム2の下面適所には、引出し導体膜30、31が配置され、各引出し導体膜30、31はボンディングワイヤ(接続部材)32を用いて応力感応素子20上の各リード電極膜と導通されている。各引出し導体膜30、31は、真空室外部に配置された図示しない発振回路と接続されている。
以上のように、ダイヤフラム2の変形領域3を形成するが、変形領域3内の薄肉部に、厚み方向に交流電界を印加して、共振周波数を測定することで、薄肉部の厚みを測定することが出来る。
さらに、ダイヤフラム2として水晶を用い、Y軸をZ軸方向に約35°傾けた軸を法線とする面をダイヤフラム2の表面および裏面とすることで、厚みすべり振動モードによる共振周波数を測定することができる。また、厚みすべり振動モードは、振動もれが少なくエネルギーの閉じ込め効果があるため、電界を印加した領域毎の厚みを正確に求めることができる。測定結果に基づいて、エッチング時間などのエッチング条件を調整することができる。
なお、ダミー基板用いてエッチングレートを測定し、エッチング時間を調整することもできるが、ダイヤフラム2そのものを測定したほうが、製品のばらつきを抑えることができる。
本実施形態では、応力感応素子20として2本の振動ビームを備えた双音叉型圧電振動素子を用いている。双音叉振動子は引張り応力に対する感度と圧縮感度が良好であり、高度計用、或いは深度計用の応力感応素子として使用した場合には分解能力が優れるために僅かな気圧差から高度差、深度差を知ることができる。
外力Fを2本の振動ビームに加えたときの共振周波数
を求めると、
但し K:基本波モードによる定数(=0.0458)で表され、断面2次モーメント
より、(1)式は、次式のように変形することができる。
但し
の関係は、図2に示すように力Fが圧縮で共振周波数
が減少し、引張りでは増加する。また応力感度
は振動ビームの
の2乗に比例する。
ここでは、双音叉振動子を用いたが、引張・圧縮の力に応答するその他の素子を用いることもできる。
基台10を構成する材料(第2の材料)として金属材料を用いる理由は、材料の選択範囲が広く、水晶材料の熱膨張係数(線膨張係数)に近い値の材料を選定し易いために部材間の熱膨張係数差に起因してダイヤフラムに歪みが残留し難い構造を得やすいからである。例えば、金属材料としてキュプロニッケル、ステンレス等を用いることにより水晶材料の熱膨張係数である140に近づけやすくなる。また、金属材料から成る基台10は水晶から成るダイヤフラム2に対しても、陽極接合、直接接合、低融点ガラス接合等によって接合することが容易となる。
この実施形態における基台10は、金属材料をプレス加工(絞り加工)によってキャップ状(椀状)に形成した金属キャップである。キャップ状の基台とし、その裾部をダイヤフラムの接合領域4と接合することによって両者間に空間を形成することができる。
金属キャップ部品11は、基台10となる部分と、基台10となる部分の適所に形成されてダイヤフラム2との間に形成される空間S’内に負圧を導入して真空室Sとするための穴12と、穴12の周縁に連接一体化されて外側へ突出する負圧導入及び潰し切断用のパイプ13と、を有している。
符号40は、複数のダイヤフラムを縦横に連接一体化したダイヤフラムウェハであり、個々のダイヤフラム2に対するエッチングによる加工と、応力感応素子20の搭載は終了している。
一方、符号45は複数の金属キャップ部品11を連接一体化した金属キャップ部品連結体であり、金属キャップ部品連結体45は、各金属キャップ部品11のパイプ13の端部間を連結管体46により連通連結したものであり、連結管体46は真空ポンプ47と接続されている。各金属キャップ部品11はダイヤフラムウェハ40を構成する各ダイヤフラム2の面と一対一で対応した位置関係となるように連結されており、全ての金属キャップ部品の基台10となる部分を対応するダイヤフラムに対して接合する。その後、真空ポンプ47からの負圧を各パイプ13を介して各空間内に供給することにより、ダイヤフラムと基台との間の空間を真空室Sとする。この作業は真空雰囲気中にて行う必要がないため、生産性を高めることができる。
次に、各パイプ13の適所を所要の治具を用いて潰し切断して封止部13aとすることにより気密化した真空室Sを形成してから、ダイシングソーにより各個片間を切断する。
この製造方法を実施する結果、水晶からなる圧電振動基板を含んだ応力感応素子を支持した水晶からなるダイヤフラム2と、基台10とを接合することにより真空室Sを形成した圧力センサ個片を量産することができる。
なお、本製造方法では、パイプ13を潰して封止することにより空間S’内の真空を保つ工程を経ることから、基台を構成する金属材料としては加工が容易な銅合金(例えば、りん青銅等)を使用することが好ましい。
なお、スルーホール6は一方の引出し電極膜をダイヤフラム外面の電極膜と導通するためと、真空雰囲気中において空間S’内を真空化するための負圧導入穴として利用される。
Claims (8)
- 第1の材料から成るダイヤフラムと、該ダイヤフラムと接続されてダイヤフラムとの間に真空室を形成する第2の材料から成る基台と、圧電振動基板上に励振電極膜を備えた構成を有し且つ前記ダイヤフラムによって支持された応力感応素子と、を備えた圧力センサであって、
前記第2の材料は金属であることを特徴とする圧力センサ。 - 前記第2の材料の熱膨張係数は、前記第1の材料の熱膨張係数と近いことを特徴とする請求項1に記載の圧力センサ。
- 前記第1の材料は圧電材料であり、前記応力感応素子を構成する圧電振動基板と結晶方位が一致していることを特徴とする請求項1又は2に記載の圧力センサ。
- 前記圧電材料は、水晶であることを特徴とする請求項3に記載の圧力センサ。
- 前記基台は、椀形状の金属キャップであることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の圧力センサ。
- 前記金属キャップは、前記真空室内に負圧を導入するための穴と、負圧導入後に該穴を封止する封止部材と、を備えていることを特徴とする請求項5に記載の圧力センサ。
- 前記金属キャップは、前記真空室内に負圧を導入するための穴と、前記穴の周縁に一体化されて外方へ突出したパイプと、該パイプの一部を潰し切断することにより形成した封止部と、を備えていることを特徴とする請求項5に記載の圧力センサ。
- 請求項1乃至7の何れか一項に記載の圧力センサの製造方法であって、
前記基台となる部分と、該基台となる部分の適所に形成された負圧導入用の穴と、該穴の周縁に連接一体化されて外側へ突出する負圧導入及び潰し切断用のパイプと、を有した金属キャップ部品を準備する工程と、
複数の前記金属キャップ部品の各パイプの端部間を連結管体により連通連結することに形成した金属キャップ部品連結体を準備する工程と、
複数の前記ダイヤフラムを連接一体化したダイヤフラムウェハの各個片領域に前記応力感応素子を搭載する工程と、
前記ダイヤフラムウェハの各個片領域に前記金属キャップ部品連結体を構成する前記金属キャップ部品の基台となる部分を接合する工程と、
前記連結管体、及び前記各パイプを経由して負圧を前記ダイヤフラム個片と金属キャップ部品との間に形成された空間内に導入する工程と、
前記各パイプの適所を切断しつつ潰して封止する工程と、
前記ダイヤフラムウェハを個片毎に切断する工程と、
を備えたことを特徴とする圧力センサの製造方法。
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