次に、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
(第1の実施の形態)
図5は、本発明の第1の実施の形態に係る除振装置の概略構成図である。図5において、X−Y方向(X軸方向及びY軸方向)は水平2軸方向、Z軸方向は鉛直方向、G2はX−Yステージ17が移動することにより変位する構造体20の重心位置(以下、「重心位置G2」とする)、G3は除振台13の重心位置(以下、「重心位置G3」とする)をそれぞれ示している。なお、構造体20は、後述するX−Yステージ17及び除振台13から構成されている。
図5を参照するに、第1の実施の形態の除振装置10は、除振装置本体11と、移動体であるX−Yステージ17と、除振装置本体11の制御全般を行なう制御装置12とを有する。除振装置10は、外部からの振動を除振すると共に、X−Yステージ17が移動可能に配設される除振台13が水平状態となるように制御するためのものである。除振装置10は、例えば、移動精度の高いステージを備える電子顕微鏡や半導体露光装置等に適用される。
図6は、除振ユニットの配設位置を説明するための図である。図6において、図5に示す除振装置10と同一構成部分には同一符号を付す。
図5及び図6を参照するに、除振装置本体11は、除振台13と、除振ユニット15,16とを有する。除振台13は、直方体の形状をなしており、除振ユニット15,16を介して、床14に支持されている。除振台13上には、水平2軸方向に移動可能なX−Yステージ17が配置されている。除振台13の剛性運動は、XYZ座標系を基準に考えるとX軸方向、Y軸方向、Z軸方向、X軸の回転方向θx、Y軸の回転方向θy、及びZ軸の回転方向θzの6つの運動モード(「振動モード」ともいう)に分解される。
除振ユニット15は、平面視四角形の板状とされた除振台13の4つの角部のうちの3つの角部にそれぞれ設けられている。除振ユニット16は、除振台13の4つの角部のうち、除振ユニット15が設けられていない1つの角部に配設されている。除振ユニット15,16は、床14に対して除振台13を支持すると共に、床14からの振動を除振し、除振台13の鉛直方向及び水平方向の傾きを調整するためのものである。
図7は、除振ユニットの断面図である。
図7を参照するに、除振ユニット15は、ベース部材18と、浮上部材22と、除振支持機構26,27と、第1のアクチュエータ33と、第2のアクチュエータ34と、第1の検出手段である第1及び第2の変位センサ36,37と、第2の検出手段である第1及び第2の加速度センサ38,39とを有する。
ベース部材18は、板体19と、板体19上に一体的に形成された突出部21とから構成される。ベース部材18は、床14上に配置される。浮上部材22は、枠体23と、枠体23上に一体的に形成された突出部24とから構成される。浮上部材22は、除振支持機構26,27を介して、ベース部材18に支持される。枠体23は、突出部21を囲むような形状とされており、枠体23と突出部21との間には隙間が形成されている。突出部24は、例えば、ネジ締結により除振台13に固定される。
除振支持機構26は、突出部21の側面21Bと、突出部21の側面21Bと対向する枠体23との間を接続するように設けられている。除振支持機構26は、水平方向から浮上部材22を支持すると共に、外部からの水平2軸方向の振動を除振する。
除振支持機構27は、突出部21の上面21Aと、突出部21の上面21Aと対向する枠体23との間を接続するように設けられている。除振支持機構27は、鉛直方向から浮上部材22を支持すると共に、外部からの鉛直方向の振動を除振するためのものである。除振支持機構26,27は、例えば、バネとダッシュポット等から構成することができる。
図8は、第1及び第2のアクチュエータの配設位置の一例を示す図である。
図8を参照するに、除振装置本体11は、第1のアクチュエータ33Z1〜33Z4(図5に示す第1のアクチュエータ33に相当する)と、第2のアクチュエータ34X1,34X2,34y1,34y2(図5に示す第2のアクチュエータ34に相当する)とを有する。
第1のアクチュエータ33Z1〜33Z4は、突出部21の上面21Aと、突出部21の上面21Aと対向する枠体23とを接続するように設けられている(図5参照)。第1のアクチュエータ33Z1〜33Z4は、除振台13をZ軸方向に変位させるためのものである。第1のアクチュエータ33Z1〜33Z4は、例えば、図8に示すような位置(除振台13の角部近傍)に配設することができる。
第2のアクチュエータ34X1,34X2,34y1,34y2は、突出部21の側面21Bと、突出部21の側面21Bと対向する枠体23とを接続するように設けられている(図5参照)。第2のアクチュエータ34X1,34X2は、除振台13をX軸方向に変位させるためのものである。第2のアクチュエータ34y1,34y2は、除振台13をY軸方向に変位させるためのものである。第2のアクチュエータ34X1,34X2,34y1,34y2は、例えば、図8に示すような位置(除振台13の角部近傍)に配設することができる。
第1及び第2のアクチュエータ33Z1〜33Z4,34X1,34X2,34y1,34y2には、例えば、空気バネやボイスコイルモータ等を用いることができる。第1及び第2のアクチュエータ33Z1〜33Z4,34X1,34X2,34y1,34y2として空気バネを用いることにより、ボイスコイルモータを用いた場合と比較して、第1及び第2のアクチュエータ33Z1〜33Z4,34X1,34X2,34y1,34y2を小型化することができる。
図9は、変位センサ及び加速度センサの配設位置の一例を示す図である。
第1の変位センサ36Z1,36Z2,36Z3(図5に示す第1の変位センサ36に相当するセンサ)は、板体19の上面19Aに設けられている。第1の変位センサ36Z1,36Z2,36Z3は、例えば、図9に示すような位置に配設することができる。第1の変位センサ36Z1,36Z2,36Z3は、除振台13のZ軸方向の変位を検出する。第1の変位センサ36Z1は検出信号DZ1、第1の変位センサ36Z2は検出信号DZ2、第1の変位センサ36Z3は検出信号DZ3をそれぞれ出力する。検出信号DZ1,DZ2,DZ3は、後述する演算手段45に送信される。
第2の変位センサ37X1,37X2,37y1(図5に示す第2の変位センサ37に相当するセンサ)は、突出部21の側面21Cに設けられている。第2の変位センサ37X1,37X2,37y1は、例えば、図9に示すような位置に配設することができる。第2の変位センサ37X1,37X2は、除振台13のX軸方向の変位を検出するためのものである。第2の変位センサ37y1は、Y軸方向の除振台13の変位を検出するためのものである。第2の変位センサ37X1は検出信号DX1、第2の変位センサ37X2は検出信号DX2、第2の変位センサ37y1は検出信号Dy1をそれぞれ出力する。検出信号DX1,DX2,Dy1は、後述する演算手段46に送信される。
なお、上記説明した第1及び第2の変位センサ36Z1,36Z2,36Z3,37X1,37X2,37y1は、図9に示すように、除振台13の重心位置G3から離れた位置に設けるとよい。除振台13の重心位置G2から離れた位置では、除振台13が傾いた際、重心位置G2に近い位置よりも除振台13の変動が大きい。そのため、第1及び2第の変位センサ36Z1,36Z2,36Z3,37X1,37X2,37y1を除振台13の重心位置G3から離れた位置に設けることで、除振台13の変位を検出しやすくすることができる。
第1の加速度センサ38Z1,38Z2,38Z3(図5に示す第1の加速度センサ38に相当するセンサ)は、枠体23の上面23Aに設けられている。第1の加速度センサ38Z1,38Z2,38Z3は、例えば、図9に示すような位置に配設することができる。第1の加速度センサ38Z1,38Z2,38Z3は、除振台13のZ軸方向の振動を検出するためのものである。第1の加速度センサ38Z1は検出信号AZ1、第1の加速度センサ38Z2は検出信号AZ2、第1の加速度センサ38Z3は検出信号AZ3をそれぞれ出力する。検出信号AZ1,AZ2,AZ3は、後述する演算手段47に送信される。
第2の加速度センサ39X1,39X2,39y1(図5に示す第2の加速度センサ39に相当するセンサ)は、枠体23の側面23Bに設けられている。第2の加速度センサ39X1,39X2,39y1は、例えば、図9に示すような位置に配設することができる。第2の加速度センサ39X1,39X2は、除振台13のX軸方向の振動を検出するためのものである。第2の加速度センサ39y1は、除振台13のY軸方向の振動を検出するためのものである。第2の加速度センサ39X1は検出信号AX1、第2の加速度センサ39X2は検出信号AX2、第2の加速度センサ39y1は検出信号Ay1をそれぞれ出力する。検出信号AX1,AX2,Ay1は、後述する演算手段48に送信される。
なお、上記説明した第1及び第2の加速度センサ38Z1,38Z2,38Z3,39X1,39X2,39y1は、図9に示すように、除振台13の重心位置G2から離れた位置に設けるとよい。除振台13の重心位置G3から離れた位置では、除振台13が傾いた際、重心位置G2に近い位置よりも除振台13の変動が大きい。そのため、第1及び第2の加速度センサ38Z1,38Z2,38Z3,39X1,39X2,39y1を除振台13の重心位置G3から離れた位置に設けることで、除振台13の変位を検出しやすくすることができる。
図10は、除振ユニットの断面図である。図10において、先に説明した除振ユニット15(図7参照)と同一構成部分には同一符号を付す。
図10を参照するに、除振ユニット16は、ベース部材18と、浮上部材22と、除振支持機構26,27と、第1のアクチュエータ33Z3と、第2のアクチュエータ34y2とを有した構成とされている。
図6を参照するに、X−Yステージ17は、除振台13上に載置されている。X−Yステージ17は、X軸方向に移動するXステージ(図示せず)と、Y軸方向に移動するYステージ(図示せず)と、Xステージ及びYステージの座標位置を認識するXリニアスケール及びYリニアスケール(共に図示せず)とを有する。Xリニアスケールは、X−Yステージ17のX軸の座標位置を認識するためのものであり、Yリニアスケールは、X−Yステージ17のY軸の座標位置を認識するためのものである。
図11は、第1の実施の形態に係る制御装置のブロック図である。図11において、a1〜a12は除振台13を所定の状態にするための入力値(以下、「入力値a1〜a12」とする)を示している。また、a7〜a12の具体的な数値は0である。
図5及び図11を参照するに、制御装置12は、移動体制御手段であるステージ制御手段41と、重心位置演算手段42と、記憶手段43と、第1の演算手段である演算手段45,46と、第2の演算手段である演算手段47,48と、制御演算手段51〜54と、制御量演算手段56,57と、アクチュエータ制御手段58とを有する。
ステージ制御手段41は、X−Yステージ17及び重心位置演算手段42と接続されている。ステージ制御手段41は、X−Yステージ17の制御全般を行なうものである。ステージ制御手段41は、Xリニアスケール及びYリニアスケール(共に図示せず)から除振台13上におけるX−Yステージ17の座標位置を認識し、X−Yステージ17の座標位置を重心位置演算手段42に送信する。なお、以下の説明において、除振台13上をX−Yステージ17が水平2軸方向に移動することで変位するX−Yステージ17の座標位置を(x,y)=(17x,17y)とする。
重心位置演算手段42は、ステージ制御手段41、演算手段45〜48、制御量演算手段56,57、及び記憶手段43と接続されている。重心位置演算手段42は、ステージ制御手段41から送信されるX−Yステージ17の座標位置(17x,17y)に基づいて、X−Yステージ17の座標位置(17x,17y)に対応する構造体20の重心位置G2(以下、構造体20の重心位置G2の座標位置を(x,y,z)=(G2x,G2y,G2z)とする)を求めると共に、構造体20の重心位置G2のX座標及びY座標のデータG2x,G2yを演算手段45〜44及び制御量演算手段56,57に送信する。なお、後述するように、X−Yステージ17の座標位置(17x,17y)に対応する構造体20の重心位置G2に関するデータG2x,G2y,G2zを予め記憶手段43に格納しておき、記憶手段43からX−Yステージ17の座標位置(17x,17y)に対応する構造体20の重心位置G2に関するデータG2x,G2yを読み込んでもよい。
記憶手段43は、重心位置演算手段42と接続されている。記憶手段43は、予め取得したX−Yステージ17の様々な座標位置(17x,17y)に対応する構造体20の重心位置G2に関するデータG2x,G2yを格納するためのものである。データG2x,G2yは、X−Yステージ17の座標位置(17x,17y)に対応するようにマッピング化されている。
このように、X−Yステージ17の様々な座標位置(17x,17y)に対応する構造体20の重心位置G2に関するデータG2x,G2yを予め取得し、記憶手段43にデータG2x,G2yを格納することにより、重心位置演算手段42は記憶手段43からX−Yステージ17の座標位置(17x,17y)に対応する重心位置G2のX座標及びY座標に関するデータG2x,G2yを読み込むことが可能となる。これにより、重心位置演算手段42がX−Yステージ17の座標位置(17x,17y)に基づいて、演算により構造体20の重心位置G2(具体的には、データG2x,G2y)を求める必要がなくなるため、制御装置12の処理スピードを向上させることができる。
演算手段45は、第1の変位センサ36Z1,36Z2,36Z3、重心位置演算手段45、及び制御演算手段51と接続されている。演算手段45は、第1の補正手段である補正手段45Aを有する。補正手段45Aを有した演算手段45は、第1の変位センサ36Z1,36Z2,36Z3からの検出信号DZ1,DZ2,DZ3に基づき、Z軸方向の運動モード変位MZDと、X軸の回転方向θxの運動モード変位MθXDと、Y軸の回転方向θyの運動モード変位MθyDとを求めると共に、構造体20の重心位置G2に関するデータG2x,G2yに基づいて運動モード変位MZD,MθXD,MθyDの補正を行なう。
補正手段45Aによる補正は、X−Yステージ17の移動により変化する構造体20の重心位置G2から第1の変位センサ36Z1,36Z2,36Z3の配設位置までの距離を考慮して、構造体20の重心位置G2を中心とする運動モード変位を求めるように行なう。このように、構造体20の重心位置G2を考慮して補正された運動モード変位MZD,MθXD,MθyDは、制御演算手段51に送信される。
補正手段45Aを有する演算手段45は、下記(1)式により演算及び補正処理を行う。なお、下記(1)式において、第1の変位センサ36Z1の座標を(x,y,z)=(36Z1X,36Z1y,36Z1Z)、第1の変位センサ36Z2の座標を(x,y,z)=(36Z2X,36Z2y,36Z2Z)、第1の変位センサ36Z3の座標を(x,y,z)=(36Z3X,36Z3y,36Z3Z)、構造体20の重心位置G2を(x,y,z)=(G2X,G2y,G2Z)とする。
このように、演算手段45に補正手段45Aを設けて、X−Yステージ17の移動により変位する構造体20の重心位置G2に応じて、運動モード変位M
ZD,Mθ
XD,Mθ
yDを補正することにより、構造体20の重心位置G2を中心とする運動モード変位M
ZD,Mθ
XD,Mθ
yDを求めることが可能となる。これにより、X−Yステージ17が高速で移動した場合や、X−Yステージ17の移動により構造体20の重心位置G2が大きく変位した場合でも、除振台13の姿勢が水平状態となるように除振台13を制御することができる。
演算手段46は、第2の変位センサ37X1,37X2,37y1、重心位置演算手段42、及び制御演算手段52と接続されている。演算手段46は、第1の補正手段である補正手段46Aを有する。補正手段46Aを有した演算手段46は、第2の変位センサ37X1,37X2,37y1からの検出信号DX1,DX2,Dy1に基づき、X軸方向の運動モード変位MXDと、Y軸の運動モード変位MyDと、Z軸の回転方向の運動モード変位MθZDとを求めると共に、構造体20の重心位置G2に関するデータG2x,G2yに応じて運動モード変位MXD,MyD,MθZDの補正を行なう。
補正手段46Aによる補正は、X−Yステージ17の移動により変位する構造体20の重心位置G2を中心とする運動モード変位を求めるように行なう。このように、構造体20の重心位置G2を考慮して補正された運動モード変位MXD,MyD,MθZDは、制御演算手段52に送信される。
補正手段46Aを有する演算手段46は、下記(2)式により演算及び補正処理を行う。なお、下記(2)式において、第2の変位センサ37X1の座標を(x,y,z)=(37X1X,37X1y,37X1Z)、第2の変位センサ37X2の座標を(x,y,z)=(37X2X,37X2y,37X2Z)、第2の変位センサ37y1の座標を(x,y,z)=(37y1X,37y1y,37y1Z)とする。
このように、演算手段46に補正手段46Aを設けて、X−Yステージ17の移動により変化する構造体20の重心位置G2に応じて、運動モード変位M
xD,M
yD,Mθ
zDを補正することにより、構造体20の重心位置G2を中心とする運動モード変位M
xD,M
yD,Mθ
zDを求めることが可能となる。これにより、X−Yステージ17が高速で移動した場合や、X−Yステージ17の移動により構造体20の重心位置G2が大きく変位した場合でも、除振台13の姿勢が水平状態となるように除振台13を制御することができる。
演算手段47は、第1の加速度センサ38Z1,38Z2,38Z3、重心位置演算手段42、及び制御演算手段53と接続されている。演算手段47は、第2の補正手段である補正手段47Aを有する。補正手段47Aを有した第2の演算手段47は、第1の加速度センサ38Z1,38Z2,38Z3からの検出信号AZ1,AZ2,AZ3に基づき、Z軸方向の運動モード加速度MZAと、X軸の回転方向θxの運動モード加速度MθXAと、Y軸の回転方向θyの運動モード加速度MθyAとを求めると共に、構造体20の重心位置G2に関するデータG2x,G2yに応じて運動モード加速度MZA,MθXA,MθyAの補正を行なう。
補正手段47Aによる補正は、X−Yステージ17の移動により変化する構造体20の重心位置G2から第1の加速度センサ38Z1,38Z2,38Z3の配設位置までの距離を考慮して、構造体20の重心位置G2を中心とする運動モード加速度を求めるように行なう。このように、構造体20の重心位置G2を考慮して補正された運動モード加速度MZA,MθXA,MθyAは、制御演算手段53に送信される。
補正手段47Aを有する演算手段47は、下記(3)式により上記演算及び補正処理を行う。なお、下記(3)式において、第1の加速度センサ38Z1の座標を(x,y,z)=(38Z1X,38Z1y,38Z1Z)、第1の加速度センサ38Z2の座標を(x,y,z)=(38Z2X,38Z2y,38Z2Z)、第1の加速度センサ38Z3の座標を(x,y,z)=(38Z3X,38Z3y,38Z3Z)とする。
このように、演算手段47に補正手段47Aを設けて、X−Yステージ17の移動により変位する構造体20の重心位置G2に応じて、運動モード加速度M
ZA,Mθ
XA,Mθ
yAを補正することにより構造体20の重心位置G2を中心とする運動モード加速度M
ZA,Mθ
XA,Mθ
yAを求めることが可能となる。これにより、X−Yステージ17が高速で移動した場合や、X−Yステージ17の移動により除振装置本体11の重心位置が大きく変位した場合でも、除振台13の姿勢が水平状態となるように制御することができる。
演算手段48は、第2の加速度センサ39X1,39X2,39y1、重心位置演算手段42、及び制御演算手段54と接続されている。演算手段48は、第2の補正手段である補正手段48Aを有する。補正手段48Aを有した演算手段48は、第2の加速度センサ39X1,39X2,39y1からの検出信号AX1,AX2,Ay1に基づいて、X軸方向の運動モード加速度MXAと、Y軸の運動モード加速度MyAと、Z軸の回転方向θzの運動モード加速度MθZAとを求めると共に、構造体20の重心位置G2に関するデータG2x,G2yに応じて運動モード加速度MXA,MyA,MθZAの補正を行なう。
補正手段48Aによる補正は、X−Yステージ17の移動により変位する構造体20の重心位置G2から第2の加速度センサ39X1,39X2,39y1の配設位置までの距離を考慮して、構造体20の重心位置G2を中心とする運動モード加速度を求めるように行なう。このように、構造体20の重心位置G2を考慮して補正された運動モード加速度MXA,MyA,MθZAは、制御演算手段54に送信される。
補正手段48Aを有する演算手段48は、下記(4)式により上記演算及び補正処理を行う。なお、下記(4)式において、第2の加速度センサ39X1の座標を(x,y,z)=(39X1X,39X1y,39X1Z)、第2の加速度センサ39X2の座標を(x,y,z)=(39X2X,39X2y,39X2Z)、第2の加速度センサ39y1の座標を(x,y,z)=(39y1X,39y1y,39y1Z)とする。
このように、演算手段48に補正手段48Aを設けて、X−Yステージ17の移動により変位する構造体20の重心位置G2に応じて、運動モード加速度M
XA,M
yA,Mθ
ZAを補正することにより構造体20の重心位置G2を中心とする運動モード加速度M
XA,M
yA,Mθ
ZAを求めることが可能となる。これにより、X−Yステージ17が高速で移動した場合や、X−Yステージ17の移動により除振装置本体11の重心位置が大きく変位した場合でも、除振台13の姿勢が水平状態となるように制御することができる。
制御演算手段51は、演算手段45と接続されている。制御演算手段51は、制御演算部51A〜51Cを有する。制御演算部51A〜51Cは、PID制御をするためのものである。制御演算部51Aは、運動モード変位MZDに入力値a1が加えられた運動モード変位MZD1が入力された際、運動モード変位ループ制御量FZD2を出力する。制御演算部51Bは、運動モード変位MθXDに入力値a2が加えられた運動モード変位MθXD1が入力された際、運動モード変位ループ制御量FθXD2を出力する。制御演算部51Cは、運動モード変位MθyDに入力値a3が加えられた運動モード変位MθyD1が入力された際、運動モード変位ループ制御量FθyD2を出力する。制御演算部51A〜51Cには、例えば、PIDフィルタ、ローパスフィルタ、ハイパスフィルタ等を用いることができる。
制御演算手段52は、演算手段46と接続されている。制御演算手段52は、制御演算部52A〜52Cを有する。制御演算部52A〜52Cは、入力されたデータをPID制御するためのものである。制御演算部52Aは、運動モード変位MXDに入力値a4が加えられた運動モード変位MXD1が入力された際、運動モード変位ループ制御量FXD2を出力する。制御演算部52Bは、運動モード変位MyDに入力値a5が加えられた運動モード変位MyD1が入力された際、運動モード変位ループ制御量FyD2を出力する。制御演算部52Cは、運動モード変位MθZDに入力値a6が加えられた運動モード変位MθZD1が入力された際、運動モード変位ループ制御量FθZD2を出力する。制御演算部52A〜52Cには、例えば、PIDフィルタ、ローパスフィルタ、ハイパスフィルタ等を用いることができる。
制御演算手段53は、演算手段47と接続されている。制御演算手段53は、制御演算部53A〜53Cを有する。制御演算部53A〜53Cは、PID制御をするためのものである。制御演算部53Aでは、運動モード加速度MZAに入力値a7が加えられた運動モード加速度MZA1が入力された際、PID制御された運動モード加速度ループ制御量FZA2を出力する。制御演算部53Bでは、運動モード加速度MθXAに入力値a8が加えられた運動モード加速度MθXA1が入力された際、PID制御された運動モード加速度ループ制御量FθXA2を出力する。制御演算部53Cでは、運動モード加速度MθyAに入力値a9が加えられた運動モード加速度MθyA1が入力された際、PID制御された運動モード加速度ループ制御量FθyA2を出力する。制御演算部53A〜53Cには、例えば、PIDフィルタ、ローパスフィルタ、ハイパスフィルタ等を用いることができる。
制御演算手段54は、演算手段48と接続されている。制御演算手段54は、制御演算部54A〜54Cを有する。制御演算部54A〜54Cは、入力されたデータをPID制御するためのものである。制御演算部54Aでは、運動モード加速度MXAに入力値a10が加えられた運動モード加速度MXA1が入力された際、運動モード加速度ループ制御量FXA2を出力する。制御演算部54Bでは、運動モード加速度MyAに入力値a11が加えられた運動モード加速度MyA1が入力された際、運動モード加速度ループ制御量FyA2を出力する。制御演算部54Cでは、運動モード加速度MθZAに入力値a12が加えられた運動モード加速度MθZA1が入力された際、運動モード加速度ループ制御量FθZA2を出力する。制御演算部54A〜54Cには、例えば、PIDフィルタ、ローパスフィルタ、ハイパスフィルタ等を用いることができる。
制御量演算手段56は、重心位置演算手段42、演算手段45,47、及びアクチュエータ制御手段58と接続されている。制御量演算手段56は、制御量補正手段56Aを有する。制御量演算手段56は、運動モード変位ループ制御量FZD2に運動モード加速度ループ制御量FZA2が加えられた運動モード制御量Fz、運動モード変位ループ制御量FθXD2に運動モード加速度ループ制御量FθXA2が加えられた運動モード制御量Fθx、及び運動モード変位ループ制御量FθyD2に運動モード加速度ループ制御量FθyA2が加えられた運動モード制御量Fθyに基づいて、第1のアクチュエータ33Z1〜33Z4を制御するために必要な制御量FZ1〜FZ4を求めると共に、制御量補正手段56Aにより構造体20の重心位置G2のX座標及びY座標に関するデータG2x,G2yに応じて制御量FZ1〜FZ4の補正を行なう。
すなわち、制御量補正手段56Aは、構造体20の重心位置G2から第1のアクチュエータ33Z1〜33Z4の配設位置までの距離を考慮して、構造体20の重心位置G2を中心とする水平2軸の回転方向θx,θyのモーメントがそれぞれ釣り合うように制御量FZ1〜FZ4の補正を行なう。補正された第1のアクチュエータ33Z1〜33Z4の制御量FZ1〜FZ4は、アクチュエータ制御手段58に送信される。
第1のアクチュエータ33Z1の座標を(x,y,z)=(33Z1X,33Z1y,33Z1Z)、第1のアクチュエータ33Z2の座標を(x,y,z)=(33Z2X,33Z2y,33Z2Z)、第1のアクチュエータ33Z3の座標を(x,y,z)=(33Z3X,33Z3y,33Z3Z)、第1のアクチュエータ33Z4の座標を(x,y,z)=(33Z4X,33Z4y,33Z4Z)とし、かつ33Z1X=33Z2X、33Z3X=33Z4X、33Z1y=33Z4y、及び33Z2y=33Z3yとなるように除振台13の四隅に第1のアクチュエータ33Z1〜33Z4を配設(図8参照)した場合、制御量補正手段56Aを備えた駆動量演算手段56は、下記(5)式により、構造体20の重心位置G2から第1のアクチュエータ33Z1〜33Z4の配設位置までの距離を考慮して、構造体20の重心位置G2を中心とする水平2軸の回転方向θx,θyのモーメントがそれぞれ釣り合うように、第1のアクチュエータ33Z1〜33Z4の制御量FZ1〜FZ4を求める。
このように、制御量演算手段56に制御量補正手段56Aを設け、X−Yステージ17の移動により変位する構造体20の重心位置G2に応じて、第1のアクチュエータ33
Z1〜33
Z4の制御量F
Z1〜F
Z4を補正することにより、構造体20の重心位置G2を中心とする水平2軸の回転方向θ
x,θ
yのモーメントがそれぞれ釣り合うような制御量F
Z1〜F
Z4を求めることが可能となる。これにより、X−Yステージ17が高速で移動した場合や、X−Yステージ17の移動により除振装置本体11の重心位置が大きく変位した場合でも、除振台13の姿勢が水平状態となるように制御することができる。
制御量演算手段57は、重心位置演算手段42、演算手段46,48、及びアクチュエータ制御手段58と接続されている。制御量演算手段57は、制御量補正手段57Aを有する。制御量演算手段57は、運動モード変位ループ制御量FXD2に運動モード加速度ループ制御量FXA2が加えられた運動モード制御量FXと、運動モード変位ループ制御量FyD2に運動モード加速度ループ制御量FyA2が加えられた運動モード制御量Fyと、運動モード変位ループ制御量FθZD2に運動モード加速度ループ制御量FθZA2が加えられた運動モード制御量Fθzとに基づいて、第2のアクチュエータ34X1,34X2,34y1,34y2を制御するために必要な制御量FX1,FX2,Fy1,Fy2を求めると共に、制御量補正手段57Aにより構造体20の重心位置G2のX座標及びY座標に関するデータG2x,G2yに応じて制御量FX1,FX2,Fy1,Fy2の補正を行なう。
すなわち、制御量補正手段57Aは、構造体20の重心位置G2から第2のアクチュエータ34X1,34X2,34y1,34y2の配設位置までの距離を考慮して、構造体20の重心位置G2を中心とするZ軸の回転方向θzのモーメントがそれぞれ釣り合うように制御量FX1,FX2,Fy1,Fy2の補正を行なう。補正された第2のアクチュエータ34X1,34X2,34y1,34y2の制御量FX1,FX2,Fy1,Fy2は、アクチュエータ制御手段58に送信される。
33Z1X=33Z2X、33Z3X=33Z4X、33Z1y=33Z4y、及び33Z2y=33Z3yとなるように除振台13の四隅に第1のアクチュエータ33Z1〜33Z4を配設(図8参照)した場合、制御量補正手段57Aを備えた駆動量演算手段57は、下記(6)式により、構造体20の重心位置G2から第2のアクチュエータ34X1,34X2,34y1,34y2の配設位置までの距離を考慮して、構造体20の重心位置G2を中心とするZ軸の回転方向θzのモーメントがそれぞれ釣り合うように、第2のアクチュエータ34X1,34X2,34y1,34y2の制御量FX1,FX2,Fy1,Fy2を求める。
なお、下記(6)式において、第2のアクチュエータ34X1の座標を(x,y,z)=(34X1X,34X1y,34X1Z)、第2のアクチュエータ34X2の座標を(x,y,z)=(34X2X,34X2y,34X2Z)、第2のアクチュエータ34y1の座標を(x,y,z)=(34y1X,34y1y,34y1Z)、第2のアクチュエータ34y2の座標を(x,y,z)=(34y2X,34y2y,34y2Z)と表記する。
このように、制御量演算手段57に制御量補正手段57Aを設け、X−Yステージ17の移動により変位する構造体20の重心位置G2に応じて、第2のアクチュエータ34
X1,34
X2,34
y1,34
y2の制御量F
X1,F
X2,F
y1,F
y2を補正することにより、構造体20の重心位置G2を中心とするZ軸の回転方向θ
zのモーメントが釣り合うような制御量F
X1,F
X2,F
y1,F
y2を求めることが可能となる。これにより、X−Yステージ17が高速で移動した場合や、X−Yステージ17の移動により除振装置本体11の重心位置が大きく変位した場合でも、除振台13の姿勢が水平状態となるように制御することができる。
アクチュエータ制御手段58は、制御量演算手段56,57と、第1及び第2のアクチュエータ33Z1〜33Z4,34X1,34X2,34y1,34y2とに接続されている。アクチュエータ制御手段58は、補正された制御量FZ1〜FZ4,FX1,FX2,Fy1,Fy2のそれぞれに応じた駆動量を出力し、この駆動量により第1及び第2のアクチュエータ33Z1〜33Z4,34X1,34X2,34y1,34y2の駆動を制御する。
本実施の形態の除振装置によれば、構造体20の重心位置G2を通過する水平2軸の回転方向θx,θyのモーメントがそれぞれ釣り合うように第1のアクチュエータ33Z1〜33Z4の制御量FZ1〜FZ4を求めると共に、構造体20の重心位置G2を通過するZ軸の回転方向θzのモーメントが釣り合うように第2のアクチュエータ34X1,34X2,34y1,34y2の制御量FX1,FX2,Fy1,Fy2を求め、アクチュエータ制御手段58により制御量FZ1〜FZ4,FX1,FX2,Fy1,Fy2に応じた駆動量を出力させて第1及び第2のアクチュエータ33Z1〜33Z4,34X1,34X2,34y1,34y2を制御することにより、X−Yステージ17が高速で移動した場合や、X−Yステージ17の移動により除振装置本体11の重心位置G2が大きく変位した場合でも、除振台13の姿勢が水平状態となるように精度良く制御することができる。
(第2の実施の形態)
図12は、本発明の第2の実施の形態に係る除振装置の概略構成図であり、図13は、第2の実施の形態に係る制御装置のブロック図である。図12において、第1の実施の形態の除振装置10と同一構成部分には同一符号を付す。また、図13において、第1の実施の形態の制御装置12と同一構成部分には同一符号を付す。
図12及び図13を参照するに、第2の実施の形態の除振装置70は、第1の実施の形態の除振装置10に設けられた制御装置12の代わりに制御装置71を設けた以外は除振装置10と同様に構成される。
制御装置71は、第1の実施の形態で説明した制御装置12の構成要素から重心位置演算手段42及び記憶手段43を取り除いた以外は、制御装置12と同様に構成されている。
ステージ制御手段41は、X−Yステージ17、演算手段45〜48、及び制御量演算手段56,57と接続されている。ステージ制御手段41は、X−Yステージ17の制御全般を行なうものである。ステージ制御手段41は、Xリニアスケール及びYリニアスケール(共に図示せず)から除振台13上におけるX−Yステージ17の座標位置を認識し、X−Yステージ17の水平2軸方向の座標位置(x,y)=(17x,17y)に関するデータを演算手段45〜48及び制御量演算手段56,57に送信する。
ところで、多くの場合、構造体20の重心位置G2のX座標は下記(7)式で示すことが可能であり、構造体20の重心位置G2のY座標は下記(8)式で示すことが可能である。なお、下記(7)式において、G2X0はX−Yステージ17のX軸方向の移動量が0の時の構造体20の重心位置G2のX座標値、αはX−Yステージ17のX軸方向の移動量に対する構造体20の重心位置G2のX座標値の変化率をそれぞれ示している。また、下記(8)式において、G2y0はX−Yステージ17のY軸方向への移動量が0の時の構造体20の重心位置G2のY座標値、βはX−Yステージ17のY軸方向の移動量に対する構造体20の重心位置G2のY座標値の変化率、17xはX−Yステージ17のX座標位置、17yはX−Yステージ17のY座標位置をそれぞれ示している。
したがって、本実施の形態の制御装置71のように、重心位置演算手段42及び記憶手段43を設けることなく、制御量補正手段56Aを備えた制御量演算手段56は、下記(9)式を用いて、構造体20の重心位置G2を中心とする水平2軸の回転方向θ
x,θ
yのモーメントがそれぞれ釣り合うように第1のアクチュエータ33
Z1〜33
Z4の制御量F
Z1〜F
Z4を求めることができる。また、制御量補正手段57Aを備えた制御量演算手段57は、下記(10)式を用いて、構造体20の重心位置G2を中心とするZ軸の回転方向θ
zのモーメントが釣り合うように第2のアクチュエータ34
X1,34
X2,34
y1,34
y2の制御量F
X1,F
X2,F
y1,F
y2を求めることができる。
さらに、X−Yステージ17のX軸方向及びY軸方向の移動速度と比較して、第1及び第2のアクチュエータ33
Z1〜33
Z4,34
X1,34
X2,34
y1,34
y2の応答速度が遅い場合、上記(9)式の代わりに下記(11)式を用いて、第1のアクチュエータ33
Z1〜33
Z4の制御量F
Z1〜F
Z4を求めるとよい。また、上記(10)式の代わりに下記(12)式を用いて、第2のアクチュエータ34
X1,34
X2,34
y1,34
y2の制御量F
X1,F
X2,F
y1,F
y2を求めるとよい。なお、下記(11)式及び(12)式において、Kは応答性補償ゲインを示している。また、sは、ラプラス演算子を示している。
このように、上記(11)式及び(12)式を用いて、第1のアクチュエータ33
Z1〜33
Z4の制御量F
Z1〜F
Z4、及び第2のアクチュエータ34
X1,34
X2,34
y1,34
y2の制御量F
X1,F
X2,F
y1,F
y2を求めることにより、除振台13の制御性能を補償することができる。
本実施の形態の除振装置によれば、制御装置71の構成を簡略化すると共に、X−Yステージ17が高速で移動した場合や、X−Yステージ17の移動により除振装置本体11の重心位置G2が大きく変位した場合でも、除振台13の姿勢が水平状態となるように精度良く制御することができる。
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求に範囲に記載された本発明の範囲において、様々の変形・変更が可能である。