JP2008064038A - 燃料噴射装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】より簡易な構造で、異なる複数の噴霧形態での燃料噴射を可能とする燃料噴射装置を提供する。
【解決手段】噴孔11bを通じて燃料を噴射する燃料噴射装置として、噴孔11bを、噴孔出口端X2から噴孔入口側へ向かうにつれ通路断面積が連続的に小さくなるような噴孔出口領域(テーパ孔T)を有するものとして形成する。その噴孔出口領域(領域X2〜X3)よりも燃料上流側の、噴孔11bの一部(領域X1〜X3)に、燃料の流通方向に係る指向性を強めるものとして、噴孔11bの軸方向に通路断面積を一定とする直線状のストレート孔Pを設ける。
【選択図】図3

Description

本発明は、例えばディーゼルエンジン等において、エンジン筒内の燃焼室に対して直接的に高圧燃料を噴射供給するために用いて好適な燃料噴射装置に関するものである。
従来、この種の装置としては、例えば特許文献1に記載の装置が知られている。以下、図15を参照して、この特許文献1に記載されている装置も含め、従来一般に採用されているディーゼルエンジン用燃料噴射装置の構成の一例について、特に噴射部(ノズル部)の構造を中心に説明する。なお、図15は、同装置に用いられる多孔型燃料噴射弁の噴射部(ノズル部)を拡大して示す模式図である。ここでは説明の便宜上、図示を割愛しているが、円筒状のノズルボディ51の後端側(ニードルリフト側)には、燃料噴射口への燃料通路の開閉を行うノズルニードル52の駆動装置をはじめ、弁機構に係る諸々の装置が設けられている。
同図15に示すように、この装置の噴射部(ノズル部)を構成する円筒状のノズルボディ51は、先端側へ向かうにつれ縮径され、最先端の先端部51aで部分的に外側へ膨らみ、その膨らみ部分の内側空間に半球形状の噴射室Bが形成されている。そして、先端部51aには、通路断面積を一定とする円柱状の噴孔51bが、弁内外を連通する燃料噴射口として必要な数だけ穿設されており、それら各噴孔51b同士が上記噴射室Bを通じて互いに接続(連通)されている。また、ノズルボディ51内側の収容部Dには、軸方向に変位可能とされて収容部Dから噴孔51bへの燃料通路の開閉を行うノズルニードル52が収容されている。このノズルニードル52は、先端がテーパ状に加工され、軸方向に変位(上下)することで、噴孔51b上流側の噴射室Bよりもさらに上流側に位置するシート部Cにて、同じくテーパ状に形成されたノズルボディ51内壁(縮径部)に対し近接又は離間する。すなわち、このノズルニードル52のテーパ斜面52a(シート面)とこれに対向するノズルボディ51内壁の斜面51cとの距離は、同ニードル52の上方への変位量(リフト量)の大小に応じて可変とされる。具体的には、ノズルニードル52のリフト量が最も小さい時(ニードル着座時)には、これら対向面が接触して双方の隙間が完全に無くなり、これよりリフト量が大きくなるにつれ対向面が離間して双方の隙間が大きくなる。
この装置は、こうした噴射弁に対する通電/非通電を2値的に制御することで、その通電時間により上記ノズルニードル52のリフト量を可変とし、収容部D側から供給されてきた燃料を、シート部C、噴射室B、及び噴孔51bを順に通じて、最終的に弁の外側Aへ噴射するものである。すなわちこの装置では、非通電(OFF)時にはニードル52が例えばコイルバネ等の付勢部材により先端側(噴孔51b側)へ付勢される。そしてこれにより、同ニードル52とノズルボディ51内壁面との間の流路は塞がれ、収容部Dと噴射室Bとの間のシート部Cにおいて、収容部Dから噴孔51bへの燃料供給経路が遮断された状態(ニードル着座状態)になる。他方、通電(ON)時には、所定の駆動装置(アクチュエータ)によりニードル52が駆動され、通電中、リフト限界に達するまでは常に上方へ変位する(リフトされる)。これにより、ニードル52が離座し、シート部Cが開放され、収容部Dからの燃料がこのシート部Cを通じて噴射室Bへ供給され、さらに噴孔51bを通じて弁の外側Aへ噴射されるようになる。また、この装置では、ニードル52のリフト量に応じて上記燃料供給経路の一部(シート部C)の流路面積が可変とされ、この流路面積に応じて噴射率(単位時間あたりに噴射される燃料量)も可変とされる。このため、ニードル52のリフト量に係るパラメータ(通電時間や燃料圧力)に基づいて、噴射率や噴射量を制御することができる。
特開2006−200378号公報
ところで、上記図15に例示した装置では、噴孔51bから噴射される噴霧形態が基本的には一定であり、これを制御することはできない。しかし車両エンジン等においては、エンジンの運転状態に応じて最適な噴霧形態が変わり、都度のエンジン運転状態に応じた最適な噴霧形態で燃料の噴射を行うことが望まれている。そこで近年、単一の燃料噴射装置(燃料噴射弁)で、異なる複数の噴霧形態の燃料噴射を可能とする装置の開発、実用化が検討されるようになってきている。
例えば、特開2006−105067号公報に記載の装置のように、複数のノズルニードルを噴孔ごとに設け、これらノズルニードルの駆動を個別に制御することにより、それら複数の噴孔の選択的な開閉を可能にした装置がある。
また、特開2001−263201号公報に記載の装置のように、ノズルボディに形成された各噴孔の噴孔断面積を可変とするようなロータリー式のバルブを設け、このバルブの回転位置を制御することにより、それら複数の噴孔から選択された任意の噴孔による高圧燃料の噴射を可能にした装置等も提案されている。
しかしながら、これらの装置は、部品点数の増大や構造の複雑化が避けられないものとなっている。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、より簡易な構造で、異なる複数の噴霧形態での燃料噴射を可能とする燃料噴射装置を提供することを主たる目的とするものである。
以下、上記課題を解決するための手段、及び、その作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明では、噴射部に燃料噴射口として1乃至複数の噴孔が形成され、この噴射部へ供給される燃料を前記噴孔を通じて噴射する燃料噴射装置において、前記噴孔が、噴孔出口端から噴孔入口側へ向かうにつれ通路断面積が連続的又は段階的に小さくなるような噴孔出口領域を有することを特徴とする。
また、請求項10に記載の発明では、噴射部に燃料噴射口として1乃至複数の噴孔が形成され、この噴射部へ供給される燃料を前記噴孔を通じて噴射する燃料噴射装置において、前記噴孔が、噴孔入口から噴孔出口へ向けて孔内を流通する燃料が前記噴孔入口から噴孔出口までのどこで孔壁面から剥離するかについて、その孔壁面からの剥離位置を、同燃料の流通速度の大小によって可変とする形状からなることを特徴とする。
さらに請求項11に記載の発明では、噴射部に燃料噴射口として1乃至複数の噴孔が形成され、この噴射部へ供給される燃料を前記噴孔を通じて噴射する燃料噴射装置において、前記噴孔が、噴孔入口から噴孔出口へ向けて孔内を流通する燃料が噴孔出口端で孔壁面から剥離するか、それとも同噴孔出口端よりも上流側で孔壁面から剥離するかについて、これら剥離位置のいずれかを、同燃料の流通速度の大小によって選択し得る形状からなることを特徴とする。
上記のように、請求項1に記載の装置では、燃料噴射口としての噴孔が噴孔出口領域を有する。このため、燃料が噴孔内を、同噴孔出口領域の、より通路断面積の小さい噴孔入口側から、より通路断面積の大きい噴孔出口側へ向かって進む際には、少なくとも同噴孔の噴孔出口領域における噴孔入口側端部と噴孔出口側端部(同噴孔の出口端に相当)との2点で燃料が孔壁面から剥離し得るようになる。しかも、その剥離位置(これら端部のいずれで剥離するか)は、同燃料の流通速度の大小によって可変とされるようになる。詳しくは、噴孔の通路断面積が大きくなるとそれだけ噴孔を流通し得る燃料の量は増すことになる。したがって、燃料が孔壁面に沿って流通し続けるためには流速を落とさなければならず、また燃料の流れる方向も、慣性で流れる方向だけでなくより外側へ向けても流す必要が生じる。この点、上記請求項1に記載の装置では、燃料の流通速度が大きくなると、その噴孔内を流通する燃料が、噴孔通路断面積の変化(噴孔入口側からみれば拡大)する所で、流速を十分落としきれず(また方向を変えきれず)、孔壁面から剥離するようになる。
通常、同噴孔から噴射される燃料の噴霧形態は、主に剥離位置における噴孔形状(特に燃料に接する孔内壁面)と剥離時の燃料の状態(流通速度や流通方向等)とによって決まる。このため、上記請求項10及び11に記載の装置も含め、こうした燃料の剥離位置が同燃料の流通速度の大小によって可変とされる構成によれば、複数の噴射弁を持たない単一の噴射弁からなる装置とした場合であれ、噴孔内を流れる燃料の流通速度の大小を可変とすることで、燃料の噴霧形態を容易に制御することが可能になる。
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の装置において、前記噴孔出口領域における通路断面積の縮小率が、前記噴孔出口側から噴孔入口側へ向かうにつれ連続的に小さくなることを特徴とする。
噴孔の中でも特に通路断面積の変化率(噴孔入口側からみれば通路断面積の拡大率)の大きい所で燃料が孔壁面に沿って流通し続けるためには、流速を大幅に落とす必要が生じ、また大きく方向を変える必要が生じる。したがって、噴孔出口領域にあっては、特に通路断面積の変化率(拡大率)の大きい所で、上記燃料の孔壁面からの剥離が起こり易くなる。このため、上記構成のように、噴孔出口側から噴孔入口側へ向かうにつれ前記縮小率が小さくなる構成、換言すれば噴孔入口側から噴孔出口側へ向かうにつれ拡大率が大きくなる構成とすることで、噴孔内を流れる燃料の流通速度の大小に基づき、該孔壁面からの剥離位置、ひいては燃料の噴霧形態をより高い自由度で可変とすることが可能になる。
請求項12に記載の発明では、請求項10又は11に記載の装置において、前記噴孔が、孔内を流通する燃料の流通速度が上昇することにより同燃料が孔壁面から剥離し易くなる剥離ポイントを、噴孔入口端と噴孔出口端との他に少なくとも1つ有することを特徴とする。
このように、前記噴孔に対して噴孔入口端と噴孔出口端との他にも剥離ポイントを設けることで、燃料の噴霧形態の選択肢が広がり、ひいては同噴霧形態をより高い自由度で可変とすることが可能になる。
具体的には、例えば請求項13に記載の発明のように、前記剥離ポイントが、前記噴孔の通路断面積の変化率を急変させることによって形成されてなる構成とする。
このような構成であれば、通路断面積の縮小率が小さくなる箇所(一乃至複数の縮小率変化点)に、上記剥離ポイントが形成されるようになり、上述のように、燃料の噴霧形態をより高い自由度で可変とすることが可能になる。
また、請求項3に記載の発明のように、請求項1に記載の装置において、前記噴孔出口領域における通路断面積の縮小率が、前記噴孔出口側から噴孔入口側へ向かうにつれ段階的に小さくなる構成とすることによっても、通路断面積の縮小率が小さくなる箇所(一乃至複数の縮小率変化点)に、上記剥離ポイントが形成されるようになり、上述のように、燃料の噴霧形態をより高い自由度で可変とすることが可能になる。
さらに請求項4に記載の発明のように、請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置において、前記噴孔出口領域の端部又は中途には、前記噴孔の噴孔軸線(噴孔の入口から出口にわたり同噴孔の軸中心を示す線)に対して直交する孔外側の方向へ向けて同噴孔の通路断面積を拡幅するステップ部が設けられてなる構成としても、該ステップ部が上記剥離ポイントの役目を果たすようになる。しかも、こうしたステップ部であれば、前記噴孔の通路断面積を噴孔軸線に対して直交する方向へ向けて拡幅することで、上記孔内を流通する燃料をより確実に孔壁面から剥離させるような剥離ポイントを形成することができる。
請求項5に記載の発明では、請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置において、前記噴孔出口領域よりも燃料上流側に、燃料の流通方向に係る指向性を強める指向性向上手段を備えることを特徴とする。
前述のように、燃料の剥離し易さは、燃料の流れる方向にも影響を受ける。すなわち、前記噴孔出口領域へ流れ込む燃料の指向性が低い(方向性がばらばらである)と、剥離の仕方が一様でなくなり、噴霧形状の乱れやその制御性の悪化を招く懸念が生じる。この点、上記構成のように、前記噴孔出口領域よりも燃料上流側(例えば前記噴孔の手前や前記噴孔の中途等)に上記指向性向上手段を設けるようにすれば、高い指向性に従って燃料がより秩序正しく整然と剥離するようになり、ひいては噴霧特性に優れ制御性も高い燃料噴射装置を実現することが可能になる。
そして特にこの場合、請求項6に記載の発明のように、前記指向性向上手段として、前記噴孔の一部として軸方向に通路断面積を略一定とする直線状の噴孔直線部からなるものを用いるようにすれば、前記噴孔の形状だけで、前記指向性向上手段を実現することができるようになる。もっとも、狙った方向へ確実に指向性を強めるためには、噴孔軸方向に通路断面積を一定とするストレート孔を、前記指向性向上手段として用いることがより好ましい。
請求項7に記載の発明では、請求項1〜6のいずれか一項に記載の装置において、前記噴孔出口領域は、前記噴孔出口側から噴孔入口側へ向かうにつれ同心円状に縮径された円柱状の孔からなることを特徴とする。
こうした構成であれば、装置の製造(特に噴孔の加工)が容易になり、また噴霧形状としても良質なものを得易くなる。
また噴孔全体の形状についても、請求項8に記載の発明のように、請求項1〜7のいずれか一項に記載の装置において、前記噴孔が、同噴孔の入口から出口にわたる各断面についてそれぞれ噴孔軸線(噴孔の入口から出口にわたり同噴孔の軸中心を示す線)を対称軸として点対称を成立させるような立体形状をもって構成されるようにすることで、製造がより容易となり、噴霧形状としても良質のものが得られるようになる。
請求項9に記載の発明では、請求項1〜8のいずれか一項に記載の装置において、前記噴射部としてのノズルと、該ノズル内に配設されて、前記噴孔へ燃料を供給するための燃料供給経路の流路面積を、前記噴孔よりも上流側に位置するシート部にて可変とするノズルニードルとを備えて、該ノズルニードルにより可変とされる、前記シート部における燃料供給経路の流路面積の大小に応じて、前記噴孔内を流通する燃料の流通速度を可変とし、前記ノズルニードルにより前記シート部の流路面積が最小にされた状態での該シート部からその下流側へ向かう流路面積の拡大率をβc、前記ノズルニードルにより前記シート部の流路面積が最大にされた状態での該シート部からその下流側へ向かう流路面積の拡大率をβfとした場合に、前記噴孔出口領域において通路断面積が噴孔出口側へ拡大される部分の少なくとも1つの拡大率βが、「βf<β<βc」なる関係を満足するように設定されてなることを特徴とする。
こうした燃料噴射装置では、上記シート部における流路面積が、上記ノズルニードルの位置に、また前記噴孔内を流通する燃料の流通速度が、同シート部における流路面積に、それぞれ応じたものとなる。すなわち、このような装置では、ノズルニードルの位置を可変制御することで、前記噴孔内を流通する燃料の流通速度を制御することができる。ただし、同ノズルニードルによりシート部の流路面積が最小にされた状態(全閉状態)では通常、流路面積が「0」(遮断状態)になるため、シート部からその下流側へ向かうにつれ流路面積は拡大する。また、シート部の流路面積が最大にされた状態(全開状態)でも、一般には、シート部からその下流側へ向かうにつれ流路面積の拡大することが多い。ここで流路面積の拡大するものであると、その流路面積の拡大率によっては、同シート部からその下流へ向かって流れる時に燃料が孔壁面から剥離する可能性がある。そして、ここで燃料が孔壁面から剥離してしまうと、ノズルニードルの位置と燃料の流通速度との関係が複雑になったり、あるいは両者の相関自体が消失したりして、制御性の悪化を招くことになる。したがって、このような制御を精度よく確実に行うためには、ノズルニードルが可動範囲のいずれの位置にあってもシート部で剥離が生じないようにすることが望ましい。そのため一般に、この種の燃料噴射装置では、上記拡大率βc,βfがシート部で剥離が生じないような値に設計されている。
このような点に鑑みて、発明者は上記構成を発明した。すなわち、前記噴孔出口領域において通路断面積が噴孔出口側へ拡大される部分の少なくとも1つの拡大率βを、「βf<β<βc」なる関係を満足するように設定する。詳しくは、「β<βc」なる関係を満足すれば、少なくともシート部の流路面積が略最小にされた状態においては、拡大率βcのシート部と同様、この拡大率βの部分でも、燃料が剥離しなくなる。他方、「β<βf」なる関係について、この関係を満足しない場合、すなわち「β≧βf」の場合には、シート部における燃料供給経路の流路面積が最大になったとき、すなわちノズルニードルの位置を最も剥離の生じ易い位置に制御したときにも、この拡大率βの部分で燃料が剥離しなくなってしまう。このため、シート部における燃料供給経路の流路面積が小さい(噴孔内を流通する燃料の流通速度が遅い)領域においては燃料を剥離させず、且つ、シート部における燃料供給経路の流路面積が大きい(噴孔内を流通する燃料の流通速度が速い)領域においては燃料を剥離させるような剥離ポイントを形成する場合には、上記構成のように、その部分の拡大率βを「βf<β<βc」なる関係を満足するように設定することが望ましい。そして、このような剥離ポイントを形成することができれば、ノズルニードルの駆動(例えばリフト式のノズルニードルの場合はリフト量の大小)に基づいて、上記燃料の剥離の有無、ひいては噴霧形態を容易に制御することが可能になる。
請求項14に記載の発明では、請求項1〜13のいずれか一項に記載の装置において、前記噴射部としてのノズルと、該ノズル内に配設されて、前記噴孔へ燃料を供給するための燃料供給経路の流路面積を、前記噴孔よりも上流側に位置するシート部にて可変とするノズルニードルとを備え、前記シート部においてはノズル内壁がテーパ状に形成されてなり、前記ノズルニードルは、前記テーパ状のノズル内壁に前記燃料供給経路を介して対向するシート面を有し、これらシート面とノズル内壁との間隔を可変とすることによって前記燃料供給経路の流路面積を可変とするものであることを特徴とする。
上記請求項1〜13のいずれか一項に記載の発明は、多種多様な燃料噴射装置に適用可能である。しかし現状における実用性を考えれば、上記請求項14に記載の発明のように、例えば特許文献1に記載されるようなタイプの燃料噴射装置に適用して、例えばディーゼルエンジン等において、エンジン筒内の燃焼室に対して直接的に高圧燃料を噴射供給するために用いて特に有効である。こうしたタイプの燃料噴射装置であれば、ノズルニードルの位置(例えばリフト式のものであればリフト量)を制御することにより、上記シート部の流路面積に応じて噴孔内を流通する燃料の流通速度を可変制御することができる。
請求項15に記載の発明では、当該燃料噴射装置を、ディーゼルエンジンに対して燃料を供給するために用いられるディーゼルエンジン用の燃料噴射装置として構成する。
ところで、ガソリンエンジンにおいては、バブル化した燃料を噴孔の手前で衝突させることにより、噴孔入口端で燃料を孔壁面から剥離させ、噴射燃料の微粒化を促進する技術が知られている。そして、こうした技術を採用した燃料噴射装置では、噴孔を通じて噴射される噴霧が、液柱状の部分だけなく、内包する気体からの圧力で液膜状になった部分も含むものとなる。
こうした技術が知られていることからも分かるように、ガソリンは孔壁面から剥離し易い特性を有する燃料であり、噴霧中に液膜状の領域を形成し易い。そして、こうしたガソリンの性質は、上述のように噴孔通路断面積によらず燃料を噴孔入口端で剥離させる等、上記発明を実現する場合には好ましくないものとして作用する。このため、ガソリンエンジンでは、剥離ポイントの選択を通じて燃料の噴霧形態を可変とする条件が厳しくなり、例えば装置構造(例えばノズル構造)等の設計に関する制約が大きくなる。この点、上記請求項15に記載の発明では、比較的剥離しにくい軽油を燃料とするディーゼルエンジンに燃料を供給するディーゼルエンジン用の燃料噴射装置について、上記請求項1〜14のいずれか一項に記載の構成を採用する。こうした装置であれば、燃料とする軽油の性質から、噴射率の小さい(燃料流通速度の遅い)噴射領域において同燃料(軽油)を孔壁面に沿って流通させることが容易となり、ひいては装置構造(例えばノズル構造)等の設計自由度を高く維持したまま、上記請求項1〜14のいずれか一項に記載の発明の実現を容易とすることができるようになる。そして、さらに良好な剥離特性を得るためには、ディーゼルエンジンの中でも特に高圧噴射システム(コモンレールシステム)について上記請求項1〜14のいずれか一項に記載の発明を適用することが有効である。
請求項16に記載の発明では、請求項1〜15のいずれか一項に記載の装置において、前記噴孔内を流通する燃料の流通速度を可変制御することにより、前記燃料の孔壁面からの剥離位置を制御する噴射制御手段を備える構成とする。
こうした噴射制御手段を備える構成であれば、例えばノズルニードルのリフト量に基づいて燃料の流通速度を可変制御することにより、燃料の噴霧形態を容易に制御することが可能になる。
またこの場合、請求項17に記載の発明のように、前記噴射部がエンジンの燃焼室に対して直接的に燃料を噴射するように配置され、前記噴射制御手段を、出力トルクを生成するためのメイン噴射を行う前又は行った後で該メイン噴射よりも少量の噴射量にてサブ噴射を行う場合に、少なくとも前記メイン噴射の高噴射率領域では、前記サブ噴射の高噴射率領域における剥離位置よりも通路断面積の小さい所で剥離させるように前記燃料の流通速度を制御するものとして構成することが有効である。
一般にサブ噴射は、メイン噴射による燃焼について、その燃焼の火種にしたり、その燃焼を継続させたりするために行われる。そして、こうしたサブ噴射は通常、エンジン燃焼室内の着火位置に近い部分に行われることが好ましい。他方、出力トルクを生成するためのメイン噴射は通常、高い燃料密度で遠くまで届かせるように行われることが好ましい。この点、上記構成であれば、サブ噴射の場合には、剥離箇所における噴孔の大きな通路断面積に対応して、幅の広い噴霧で燃料の噴射が行われることにより、着火位置近傍に集中的にまとまった噴霧を形成することが可能になる。他方、メイン噴射の場合には、剥離箇所における噴孔の小さな通路断面積に対応して、幅の狭い噴霧で燃料の噴射が行われることにより、高い燃料密度で遠くまで届くような噴霧を形成することが可能になる。このように、上記構成によれば、例えば自動車に用いられるディーゼルエンジンの燃焼特性として、良好な燃焼特性が得られるようになる。
以下、本発明に係る燃料噴射装置を具体化した一実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、本実施形態の装置は、例えば自動車用エンジンとしてのレシプロ式ディーゼルエンジンを制御対象にした高圧噴射システム(コモンレールシステム)に搭載されている。すなわちこの装置は、先の特許文献1に記載の装置と同様、ディーゼルエンジン(内燃機関)に対して設けられて同エンジン筒内の燃焼室に直接的に高圧燃料(例えば噴射圧力「1400気圧」)を噴射供給(直噴供給)するために用いられる、いわばディーゼルエンジン用の燃料噴射装置である。
まず図1を参照して、本実施形態に係る燃料噴射装置の弁構造の概略について説明する。なお、図1は、同装置に用いられる燃料噴射弁(インジェクタ)の内部構造を模式的に示す内部側面図である。
同図1に示すように、この燃料噴射弁は、弁本体部20の先端側及び後端側にそれぞれ、燃料噴射口を通じて弁外へ燃料を噴射する部分であるノズル部(噴射部)10と、弁を駆動するための駆動部30とを有して構成されている。ここでノズル部10は、例えば弁本体部20の先端に、別体のノズルが装着されて形成される。
これら各部の円筒状の外形をなすノズルボディ11及びハウジング21,31(これらのハウジングは一体又は別体に形成)の内部空間は、各部領域に対応してそれぞれ仕切り板21a,31aで仕切られ、弁本体部20の領域はさらに仕切り板21bで仕切られている。こうしてノズルボディ11及びハウジング21,31内には、空間D,E,F,Gが形成され、隣接する空間同士は、軸中心に形成された円柱状の孔21c,21d(それぞれ仕切り板21a,21bに形成)及び出口オリフィス31b(仕切り板31aに形成)で連通可能に接続されている。なおここで、空間Gと空間Eとは、弁内部に形成されたリーク通路21eによって接続されている。そして、弁内部にはさらに、コモンレール(蓄圧配管)40から図示しない高圧燃料配管を通じて送られてくる高圧燃料を空間D,Fへそれぞれ流入させるための燃料通路21f及び入口オリフィス21gが形成されている。また、駆動部30には、空間G内の燃料をタンク内へ戻すための円柱状の戻し孔31c(燃料戻し口)が設けられており、戻し孔31c及びこの戻し孔31cに接続された図示しない配管を通じて空間Gと燃料タンクとが連通可能に接続されている。
こうした噴射弁において、燃料噴射口(噴孔)は、先端側のノズル部10に設けられている。詳しくは、円筒状のノズルボディ11が、先端側へ向かうにつれ縮径され、最先端の先端部11aで部分的に外側へ膨らみ、その膨らみ部分の内側に半球形状の空間(噴射室)Bが形成(区画)されている。そして、この先端部11aに、例えば径「0.15mm」程度の噴孔11b(微小孔)が、弁内外を連通する燃料噴射口として必要な数だけ(例えば6〜8個)穿設されている。すなわちこの噴射弁も、いわゆる多孔型の燃料噴射弁である。これら各噴孔11b同士は、上記噴射室Bを通じて互いに接続(連通)されている。なお、ノズルボディ11は、例えば金属からなり、噴孔11bは、例えばレーザ加工等によって所望の形状(詳しくは後述)に形成することができる。また必要に応じてレーザ加工後に流体研磨等を行うことも有効である。
ここからは弁内部の構造を先端側から順に説明する。
まずノズル部10は、上記ノズルボディ11内の空間(収容部)Dに、同収容部Dから噴孔11bへの燃料通路の開閉を行う円柱状のノズルニードル12を収容している。このノズルニードル12は、孔21cにガイドされつつ軸方向に摺動し、同ニードル12の軸方向上方への変位量(リフト量)の大小に応じて、上記収容部Dと噴射室Bとの間の通路面積(噴孔11bへ燃料を供給するための燃料供給経路の流路面積)を可変とする。すなわち、この噴射弁において、例えば燃料噴射を停止させる場合には、同ニードル12により、収容部Dと噴射室Bとの間の通路面積を「0」にする(通路を遮断する)。
図2に、このノズル部10を拡大して示す。なお、この図2は、先の図15に対応するものであり、図1中に一点鎖線にて示す領域N1の拡大図に相当する。
同図2に示されるように、この噴射弁のノズル部10も、基本的な構成は、先の図15に例示した装置(噴射弁)と同様である。すなわち、ノズルニードル12の先端及びノズルボディ11内壁(縮径部)は、テーパ状に加工され、ニードル12が軸方向に変位(上下)することで、噴孔11b上流側の噴射室Bよりもさらに上流側に位置するシート部Cにて、ニードル12のテーパ斜面12a(シート面)とこれに対向するノズルボディ11内壁のテーパ斜面11cとの距離、ひいては噴孔11bへ燃料を供給するための燃料供給経路の流路面積が可変とされる。
ただし同図2に示されるように、本実施形態の燃料噴射装置(燃料噴射弁)と先の図15の装置とでは、噴孔の形状が大きく異なる。以下、図3及び図4を参照しつつ、同噴孔11bの形状について詳述する。なお、図3は、本実施形態の装置の噴孔形状、すなわち上記噴孔11bの形状を模式的に示すものであり、(a)は同噴孔11bの断面形状を示す断面図、(b)は、(a)の視点よりもやや軸方向側から噴孔11bのみを見た場合を想定して仮想的な外形線にて同噴孔11bの立体形状を示す模式図である。また、これら各図中に、一点鎖線にて示される噴孔軸線Yは、噴孔11bの入口から出口にわたり同噴孔11bの軸中心を示すものである。
これら図3(a)及び(b)に示されるように、噴孔11bは、噴孔出口端X2から噴孔入口側へ向かうにつれ通路断面積が連続的に小さくなるような領域X2〜X3(噴孔出口領域)を有する。詳しくは、この領域X2〜X3は、噴孔出口端X2から噴孔入口側へ向かうにつれ同心円状(中心軸は噴孔軸線Y)に縮径された円柱状のテーパ孔Tからなり、その円柱面はテーパ状の斜面となる。
ここで図4を参照して、このテーパ孔Tのテーパ斜面の角度の設定態様について説明する。なお、図4は、燃料流跡(燃料供給経路)を横軸に、燃料流路面積を縦軸にとって、本実施形態に係る上記噴射弁の燃料供給経路、特にシート部C付近から噴孔11bにかけての燃料供給経路の流路面積の変化態様を連続的に示すグラフであり、(a)はニードル12の最小リフト(通路遮断)時、(b)はニードル12の最大リフト(フルリフト)時における流路面積の状態をそれぞれ示している。
同図4(a)及び(b)に示されるように、本実施形態に係る上記噴射弁では、収容部D(図2)に形成される流路面積(通路断面積)の大きな通路から、この通路よりもやや流路面積の小さくなる噴射室Bへ向かう途中に、シート部C(ニードル12の座に相当)が設けられている。ニードル12が軸方向に変位することにより、このシート部Cでテーパ斜面12a(シート面)とテーパ斜面(ノズル内壁)11cとの間隔が可変とされ、ニードル12の可動範囲に対応して、すなわち図4(a)の状態から図4(b)の状態まで、通路面積の状態が可変とされることになる。
図に示されるように、図4(a)及び(b)のいずれの状態においても、シート部Cからその下流側へ向かうにつれ流路面積は拡大する。本実施形態では、ニードル12によりシート部Cの流路面積が最小にされた状態でのシート部Cからその下流側へ向かう流路面積の拡大率βc(図4(a))と、ニードル12によりシート部Cの流路面積が最大にされた状態でのシート部Cからその下流側へ向かう流路面積の拡大率βf(図4(b))との2つの拡大率βc,βf(図4のグラフの傾きに相当)が、上記シート部Cで剥離の生じないような値に設定されている。そして、これら拡大率βc,βfを、このような値に設定することで、ニードル12が可動範囲のいずれの位置にあっても、シート部Cで剥離が生じなくなる。一方、噴孔11bの噴孔入口端X1から噴孔出口端X2までの流路面積は、図3(a)及び(b)に示した噴孔形状に対応するように、噴孔出口端X2から噴孔入口側へ向かうにつれ通路断面積が連続的に小さくなるような領域(テーパ領域)を有するものとなっている。そして、上記テーパ孔T(図3)のテーパ斜面の角度(拡径角度)は、このテーパ領域の拡大率β(同領域内で一定)が、「βf<β<βc」なる関係を満足するように設定されている。
このように、テーパ孔T(図3)のテーパ斜面の角度は、ニードル12が各限界位置(最大・最小リフト位置)にある時におけるシート部C下流の拡大率βc,βfに基づいて設定される。
また、図3に示されるように、上記領域X2〜X3よりも燃料上流側の領域X1〜X3には、噴孔11bの一部として軸方向に通路断面積を一定とする直線状(詳しくは噴孔軸線Yを中心軸とする円柱状)のストレート孔P(噴孔直線部)が設けられている。このストレート孔Pは、燃料の流通方向に係る指向性を強めるように作用する。具体的には、テーパ孔Tの上流側にこのストレート孔Pが設けられていることで、ばらばらの方向性を持った燃料が噴孔11bの噴孔入口端X1へ流れ込んだとしても、燃料の方向性(流通方向)は、ストレート孔Pを通る際に、この孔Pの方向(噴孔軸線Yに平行な方向)に概ね揃えられる。したがって、テーパ孔Tへは、指向性の高い燃料が流れ込むようになる。
このような形状を有する噴孔11bにおいては、孔全体の領域X1〜X2の断面形状、すなわち同噴孔11bの入口から出口にわたる各断面の形状が、それぞれ噴孔軸線Yを中心とする円になる。すなわち、この噴孔11bは、孔全体の領域X1〜X2の各断面についてそれぞれ噴孔軸線Yを対称軸として点対称が成立するような、対称性の高い立体形状をもって構成されていることになる。
本実施形態では、このようなノズル部10が、ディーゼルエンジン(図示略)の燃焼室に対して直接的に燃料を噴射するように配置される。これにより、コモンレール40から供給される高圧燃料が、エンジン筒内の燃焼室へ直接的に噴射供給(直噴供給)されることになる。次に、再び図1を主に参照しつつ、こうしたノズル部(噴射部)10の後端側の弁内部構造、すなわち上記弁本体部20の内部構造について説明する。
この弁本体部20は、上記ハウジング21内の空間Fに、上記ノズルニードル12と連動するコマンドピストン26を備える。このピストン26は、ニードル12よりも大きな径の円柱状からなり、同ニードル12と同様、空間Fを形成するハウジング壁面にガイドされつつ軸方向に摺動する。また、空間Fのピストン26の弁後端側(図の上方)には、ハウジング壁面とピストン26頂面とで区画され、空間Fの一部としてコマンド室Fcが形成されている。コモンレール40からの高圧燃料は、上記入口オリフィス21gを通じて、このコマンド室Fcへ流入することになる。
ニードル12及びピストン26は、空間E及び孔21dを軸方向に通じるプレッシャピン22(連結シャフト)によって連結されている。ピン22は、空間Eに収容されたスプリング23(コイルばね)のコイル内を貫通している。そして、このスプリング23は、一端が仕切り板21bの壁面に、他端がニードル12の後端面にそれぞれ取り付けられており、このスプリング23の伸張力によって、上記ニードル12が弁先端側へ付勢されている。
また空間Eには、ニードル12の弁後端側(リフト側)への変位を所定位置で妨げるようなストッパ24も形成されている。このストッパ24はハウジング壁面と一体に形成され、リフト途中でニードル12の後端面がストッパ24に当たってそれ以上進めないようになっている。すなわち、ニードル12の最大リフト量、ひいては最大リフト(フルリフト)時のニードル12の位置(限界位置)は、このストッパ24の形成位置によって決まることになる。ちなみに、ニードル12の最小リフト時の位置(限界位置)は、収容部Dと噴射室Bとの間の通路面積を「0」にした(通路を遮断した)時、すなわちニードル12がノズルボディ11内壁面に当接して止まった時(着座時)のニードル位置であり、ニードル12の可動範囲は、これら両限界位置(最大・最小リフト位置)の間となる。
駆動部30は、ハウジング31内の空間Gに、アウターバルブ32とスプリング33(コイルばね)とソレノイド34とで構成される二方電磁弁(TWV:Two Way Valve)を備える。この二方電磁弁に通電がなされていない(非通電)状態では、スプリング33の伸張力(軸方向に沿った伸張力)によってアウターバルブ32が、コマンド室Fcへの燃料流出孔、すなわち出口オリフィス31bを塞ぐ側へ付勢されている。他方、この二方電磁弁のソレノイド34へ通電(ソレノイド34の磁化)がなされると、アウターバルブ32は、その磁力により、スプリング33の伸張力に抗して引き寄せられ、出口オリフィス31bを開放する側へ変位することになる。この噴射弁では、こうした二方電磁弁の駆動に基づく燃圧回路をコマンド室Fcの上方に形成することで、上記ニードル12のリフト量を制御するようにしている。なお、駆動部30の通電を制御するための回路、及び、この回路を通じて噴射制御を行うためのプログラム等は、例えばエンジン制御用のECU(電子制御ユニット)、あるいはエンジン制御用ECUと通信可能にされた燃料噴射制御用ECU等に搭載される。
本実施形態の燃料噴射装置は、こうした噴射弁を用いて、駆動部30を主に構成する上記二方電磁弁の通電/非通電を2値的に(駆動パルスを通じて)制御することで、その通電時間により上記ノズルニードル12のリフト量を可変とし、コモンレール40から燃料通路21fを通じて収容部Dへ逐次供給される高圧燃料を、シート部C(図2)、噴射室B、及び噴孔11bを順に通じて、最終的に弁の外側A(図2)へ噴射するものである。この際、燃料は、基本的には、重力により噴孔11bへ導かれる。
すなわちこの装置では、二方電磁弁(詳しくはソレノイド34)が非通電(OFF)状態にある時には、アウターバルブ32が弁先端側へ降下し、出口オリフィス31bを閉じる。そしてこの状態で、燃料通路21f及び入口オリフィス21gを通じてコモンレール40から噴射室B及びコマンド室Fcへそれぞれ高圧燃料が供給されると、それら噴射室B及びコマンド室Fcの圧力は共にレール圧と等しくなり、ニードル12下部の径よりも大きな径のコマンドピストン26には、その受圧面積の差に基づき、弁先端側への力が働く。これにより、ピストン26は弁先端側へ押し下げられ、スプリング23により弁先端側へ付勢されるニードル12が、コモンレール40から噴孔11bまでの燃料供給経路を、収容部Dと噴射室Bとの間、すなわちシート部C(図2)で遮断することになる(ニードル着座状態)。このため、非通電時には、燃料の噴射は行われない(ノーマリクローズ)。また、ピストン26下部の余分な燃料(例えばニードル摺動部からのリーク燃料等)は、リーク通路21e及び戻し孔31cを通じて、燃料タンクへ戻される。
他方、通電(ON)時には、アウターバルブ32が、ソレノイド34の磁力により弁後端側へ引き寄せられ、出口オリフィス31bを開く。こうして出口オリフィス31bが開放されることで、コマンド室Fc内の燃料は、出口オリフィス31b、戻し孔31c、リーク通路21eを通じて、燃料タンクやピストン26下部へ流れ出し、この燃料の流出で、コマンド室Fcの圧力、ひいてはピストン26を押し下げようとする力が小さくなる。これにより、ピストン26は、一体に連結されたニードル12と共に、弁後端側へ押し上げられる。そして、ニードル12が押し上げられる(リフトされる)と、ニードル12が離座し、噴孔11bまでの燃料供給経路がシート部C(図2)で開放され、このシート部Cを通じて高圧燃料が噴射室Bへ供給されるとともに、その燃料が噴孔11bを通じて弁の外側Aへ、すなわちディーゼルエンジンの燃焼室へ噴射供給されることになる。この装置では、ニードル12のリフト量に応じて上記燃料供給経路の一部(シート部C)の流路面積が可変とされ、この流路面積に応じて、噴孔11b内を流通する燃料の流通速度、ひいては噴射率(単位時間あたりに噴射される燃料量)も可変とされる。したがって、ニードル12のリフト量に係るパラメータ(通電時間や燃料圧力)を可変制御することで、噴射率や噴射量を制御することができる。
次に、図5〜図7を参照して、本実施形態に係る燃料噴射装置の噴射態様について詳述する。
図5は、本実施形態に係る上記噴射弁から噴射される燃料の形態(噴射形態)を示す模式図であり、(a)はニードル12の小リフト(通路遮断に近い)時、(b)はニードル12の大リフト(フルリフトに近い)時における噴射形態をそれぞれ示している。
同図5(a)に示されるように、ニードル12のリフト量が小さい時には、燃料が、噴孔11bの入口から出口へ向けて孔内を流通し、噴孔出口端X2まで孔壁面に沿って流通する。噴射弁から噴射される噴霧SP1の形態は、剥離位置、すなわち噴孔出口端X2における噴孔形状(特に燃料に接する孔内壁面)に対応するものとなるため、この場合の噴霧SP1は、図に示されるように、噴霧角度SP11が広く、またペネトレーションに相当する噴霧長SP12が短いものとなる。
一方、ニードル12のリフト量が大きい時には、図5(b)に示されるように、シート部Cの流路面積の増大に伴い、小リフト時よりも燃料の流通速度が大きくなり、噴孔内を流通する燃料が、噴孔11bの通路断面積の変化(噴孔入口側からみれば拡大)する所(変化点X3)で、流速を落としきれず(また方向を変えきれず)、孔壁面から剥離するようになる。したがってこの場合、噴射弁から噴射される噴霧SP2の形態は、テーパ孔T(図3)の壁面に即したものとなり、図に示されるように、噴霧角度SP21は噴霧角度SP11よりも狭く、噴霧長SP22は噴霧長SP12よりも長くなる。
このように、本実施形態に係る燃料噴射装置(噴射弁)では、剥離位置(噴孔出口端X2と変化点X3とのいずれで剥離するか)、ひいては燃料の噴霧形態が、噴孔内を流通する燃料の流通速度の大小によって可変とされるようになる。
図6は、本実施形態に係る燃料噴射装置(噴射弁)の噴射特性を示すグラフであり、4種類の噴射圧(特性線L1〜L4)について、駆動パルス時間と噴射量との関係をそれぞれ示している。なお、特性線L1〜L4はそれぞれ異なる噴射圧の噴射特性を示すものであり、特性線L1が最も噴射圧の小さい時の噴射特性で、他は、特性線L2、特性線L3、特性線L4の順に噴射圧が大きくなる。
同図6に示されるように、噴射弁からの燃料噴射量は、同噴射弁(図1のソレノイド34)に対する駆動パルス時間(通電時間)が長くなるにつれて大きくなる。そして、駆動パルス時間が境界線L0よりも短い領域では、先の図5(a)に示したような噴霧SP1により燃料の噴射が行われ、駆動パルス時間が長くなり、駆動パルス時間が境界線L0を超えると、今度は先の図5(b)に示したような噴霧SP2により燃料の噴射が行われるようになる。なお、境界線L0で示される境界時間、すなわち噴霧形態の切り替わる駆動パルス時間は、噴射圧が大きくなるほど短くなる。
また、図7(a)及び(b)は、それぞれ燃料噴射パターンの一態様を示すタイミングチャートであり、特にTDC(上死点)付近における噴射率の推移を示している。なお、こうした燃料噴射パターンは一定ではなく、通常はマップ等を参照して、都度のエンジン運転状態(例えば要求トルク値やエンジン回転速度)等に基づき逐次最適なパターンを設定する。
同図7(a)及び(b)に示されるように、これらの例では1回の燃焼に際して複数回の燃料噴射(多段噴射)を行っている。すなわち、まずパイロット噴射(噴射形状L11,L21)として少量の燃料を噴射する。これにより、着火直前における燃料と空気の混合を促進するとともに、着火時期の遅れを短縮してNOx発生の抑制や燃焼音・振動の低減を図る。そうして、このパイロット噴射の後(例えばTDC(上死点)直後)に、パイロット噴射よりも噴射量の多い燃料噴射、すなわち出力トルク生成のためのメイン噴射(噴射形状L12,L22)を行う。さらに、このメイン噴射から所定時間遅れた時期に、同メイン噴射よりも少量で且つ、パイロット噴射よりは噴射量の多いポスト噴射(噴射形状L13,L23)を、同メイン噴射による燃焼がつながる程度の間隔を空けて行う。これにより、例えば排気系に配設されたDPF(Diesel Particulate Filter)の酸化触媒に対して未燃燃料(主にHC)を添加して、その反応熱(酸化反応による発熱)で、同DPFの捕集PMの燃焼、ひいては同DPFの再生を行うようにしている。
より詳しくは、図7(a)に示す噴射パターンの場合には、まずパイロット噴射を行うべく、タイミングt11からタイミングt12にかけて噴射弁を通電する。そして、その通電中は、ニードル12が上昇する。この際、噴射率は、ニードル12のリフト量に応じて大きくなる。すなわち通電中は、通電時間(駆動パルス時間)に比例して噴射率が大きくなる。その後、タイミングt12で通電を止めると、ニードル12は徐々に下降し、ニードル12のリフト量に合わせて噴射率も徐々に低下する。この噴射期間にあっては、最大の噴射率でも、境界線L0(図6)に対応する境界噴射率(図7(a)中に境界線L10で示される噴射率)、すなわち噴霧形態の切り替わる噴射率を超えない。したがって、この噴射では常に、図5(a)に示したような噴霧SP1により燃料の噴射が行われることになる。
次に、メイン噴射を行うべく、タイミングt13からタイミングt15にかけて噴射弁を通電する。この場合も、ニードル12のリフト量に応じて噴射率が大きくなり、通電停止と共に噴射率も低下し出す。ただしこの場合は、タイミングt15に到達する前のタイミングt14で、噴射率が境界線L10の値を超え、図5(a)の噴霧SP1から図5(b)の噴霧SP2へ噴霧形態が切り替わる。したがってメイン噴射は、噴霧角度が狭く、且つ、噴霧長の長い噴霧により行われる。
またメイン噴射後には、タイミングt16からタイミングt17にかけて噴射弁が通電され、ポスト噴射が行われる。
一方、図7(b)に示す噴射パターンの場合も、基本的には、図7(a)の場合と同様である。すなわち、タイミングt21,t22,t27,t28が、タイミングt11,t12,t16,t17に準ずるものとなる。ただしこの場合は、図に示されるように、メイン噴射で噴射率が飽和している。詳しくは、タイミングt23からタイミングt26にかけて噴射弁を通電し、通電中は、ニードル12のリフト量に応じて噴射率が大きくなる。そして、タイミングt24で噴射率が境界線L20の値(境界噴射率)を超え、噴霧形態が切り替わった後、タイミングt25で噴射率が飽和する。これは、例えば最大リフトに達した(ニードル12の上昇が図1のストッパ24で規制された)ことや、噴孔11bの形状(例えば通路断面積)等に基づいて、噴射率限界(噴射率の上昇)が形成されるためである。
このように、図7(a)及び(b)のいずれの場合も、パイロット噴射及びポスト噴射(サブ噴射)は、噴霧角度が広く噴霧長の短い噴霧(図5(a))により、またメイン噴射は、噴霧角度が狭く噴霧長の長い噴霧(図5(b))により行われる。
ここで、メイン噴射の前後に行われる上記サブ噴射は、あくまでメイン噴射に対する副次的な噴射であり、主となるメイン噴射よりも少量の燃料を噴射し、同メイン噴射による燃焼の火種になったり、その燃焼を継続させたりするものである。そして、こうしたサブ噴射は通常、燃焼室内の着火位置に近い部分に行われることが好ましい。他方、出力トルクを生成するためのメイン噴射は通常、高い燃料密度で遠くまで届かせるように行われることが好ましい。この点、図7(a)や(b)に示すような燃料噴射パターンであれば、サブ噴射の場合には、図5(a)に示すような噴霧(噴霧角度が広く噴霧長の短い噴霧)で燃料の噴射が行われることにより、着火位置近傍に集中的にまとまった噴霧を形成することが可能になる。他方、メイン噴射の場合には、図5(b)に示すような噴霧(噴霧角度が狭く噴霧長の長い噴霧)で燃料の噴射が行われることにより、高い燃料密度で遠くまで届くような噴霧を形成することが可能になる。このように、本実施形態に係る燃料噴射装置によれば、例えば自動車に用いられるディーゼルエンジンの燃焼特性として、良好な燃焼特性が得られるようになる。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
(1)ノズル部10(噴射部)へ供給される燃料を噴孔11bを通じて噴射する燃料噴射装置として、噴孔11bを、噴孔出口端X2から噴孔入口側へ向かうにつれ通路断面積が連続的に小さくなるような噴孔出口領域X2〜X3(テーパ孔T)を有するものとして形成した(図3参照)。こうすることで、噴孔内を流れる燃料の流通速度の大小を可変制御して、燃料の噴霧形態を容易に制御することが可能になる。
(2)上記噴孔11bを、噴孔入口(噴孔入口端X1)から噴孔出口(噴孔出口端X2)へ向けて孔内を流通する燃料がそれら噴孔入口から噴孔出口までのどこで孔壁面から剥離するかについて、その孔壁面からの剥離位置を、同燃料の流通速度の大小によって可変とする形状からなるものとして形成した(図3〜図5参照)。こうすることで、噴孔内を流れる燃料の流通速度の大小を可変制御して、燃料の噴霧形態を容易に制御することが可能になる。
(3)上記噴孔11bを、噴孔入口(噴孔入口端X1)から噴孔出口(噴孔出口端X2)へ向けて孔内を流通する燃料が、噴孔出口端X2で孔壁面から剥離するか、それとも同噴孔出口端X2よりも上流側(変化点X3)で孔壁面から剥離するかについて、これら剥離位置のいずれかを、同燃料の流通速度の大小によって選択し得る形状からなるものとして形成した(図3〜図5参照)。こうすることで、噴孔内を流れる燃料の流通速度の大小を可変制御して、燃料の噴霧形態を容易に制御することが可能になる。
(4)上記噴孔11bを、孔内を流通する燃料の流通速度が上昇することにより同燃料が孔壁面から剥離し易くなる剥離ポイントを、噴孔入口端と噴孔出口端との他に1つ(変化点X3)有するものとして形成した(図3〜図5参照)。このような剥離ポイント(変化点X3)を設けることで、燃料の噴霧形態の選択肢が広がり、ひいては同噴霧形態をより高い自由度で可変とすることが可能になる。
(5)剥離ポイントとしての変化点X3を、噴孔11bの通路断面積の変化率を急変させることによって形成するようにした。これにより、剥離ポイントを容易に形成することが可能になる。
(6)領域X2〜X3(噴孔出口領域)よりも燃料上流側の、噴孔11bの一部(X1〜X3)に、燃料の流通方向に係る指向性を強めるもの(指向性向上手段)として、軸方向に通路断面積を一定とする直線状のストレート孔P(噴孔直線部)を設けるようにした(図3参照)。これにより、噴霧特性に優れ制御性も高い燃料噴射装置を実現することが可能になる。
(7)しかも、指向性を強めるもの(指向性向上手段)として、噴孔11bの一部としてのストレート孔Pを用いたことで、噴孔11bの形状だけで、燃料の流通方向に係る指向性を容易に強めることが可能になる。
(8)領域X2〜X3(噴孔出口領域)が、噴孔出口側から噴孔入口側へ向かうにつれ同心円状に縮径された円柱状の孔(テーパ孔T)からなる構成とした(図3参照)。これにより、装置の製造(特に噴孔の加工)が容易になり、また噴霧形状としても良質なものを得易くなる。
(9)さらに噴孔11bの孔全体の形状としても、同噴孔11bの入口から出口にわたる各断面についてそれぞれ噴孔軸線Y(噴孔の入口から出口にわたり同噴孔の軸中心を示す線)を対称軸として点対称を成立させるような立体形状(図3参照)に形成したことで、製造がより容易となり、噴霧形状としても良質のものが得られるようになる。
(10)噴射部としてのノズル(ノズル部10)と、該ノズル内に配設されて、噴孔11bへ燃料を供給するための燃料供給経路の流路面積を、噴孔11bよりも上流側に位置するシート部Cにて可変とするノズルニードル12とを設け、該ニードル12により可変とされる、シート部Cにおける燃料供給経路の流路面積の大小に応じて、噴孔11b内を流通する燃料の流通速度を可変とし、ニードル12によりシート部Cの流路面積が最小にされた状態での該シート部Cからその下流側へ向かう流路面積の拡大率をβc、ニードル12によりシート部Cの流路面積が最大にされた状態での該シート部Cからその下流側へ向かう流路面積の拡大率をβfとした場合に、領域X2〜X3(噴孔出口領域)の拡大率βが、「βf<β<βc」なる関係を満足するように設定された構成とした(図4参照)。これにより、シート部Cにおける燃料供給経路の流路面積が小さい(噴孔11b内を流通する燃料の流通速度が遅い)領域においては燃料を剥離させず、且つ、シート部Cにおける燃料供給経路の流路面積が大きい(噴孔11b内を流通する燃料の流通速度が速い)領域においては燃料を剥離させるような剥離ポイントを容易に形成することが可能になる。そして、このような剥離ポイントを形成することができれば、ニードル12の駆動(リフト量の大小)に基づいて、上記燃料の剥離の有無、ひいては噴霧形態を容易に制御することが可能になる。
(11)シート部Cにおけるノズル内壁をテーパ状に形成し、ニードル12についてはこれを、そのテーパ状のノズル内壁(テーパ斜面11c)に燃料供給経路を介して対向するシート面(テーパ斜面12a)を有して、それらシート面とノズル内壁との間隔を可変とすることによって燃料供給経路の流路面積を可変とするものとして構成するようにした。こうしたタイプの燃料噴射装置であれば、ニードル12の位置(リフト量)を制御することにより、上記シート部Cの流路面積に応じて噴孔11b内を流通する燃料の流通速度を可変制御することができる。
(12)当該燃料噴射装置を、高圧噴射システム(コモンレールシステム)において、ディーゼルエンジンに対して燃料を供給するために用いられるディーゼルエンジン用の燃料噴射装置として構成した。ディーゼルエンジンが燃料とする軽油の性質から、噴射率の小さい(燃料流通速度の遅い)噴射領域において同燃料(軽油)を孔壁面に沿って流通させることが容易となり、ひいては装置構造(例えばノズル構造)等の設計自由度を高く維持することが可能になる。
(13)噴射部(ノズル部10)をエンジンの燃焼室に対して直接的に燃料を噴射するように配置し、メイン噴射の高噴射率領域(図7中に境界線L10,L20で示される噴射率よりも高い噴射率領域)では、サブ噴射(パイロット噴射及びポスト噴射)の高噴射率領域での剥離位置(噴孔出口端X2)よりも通路断面積の小さい所(変化点X3)で剥離させるように噴孔11b内を流通する燃料の流通速度を制御するプログラム(噴射制御手段)を備える構成とした。これにより、例えば自動車に用いられるディーゼルエンジンの燃焼特性として、良好な燃焼特性が得られるようになる。なお、ここではプログラムを用いたが、同様の機能を専用回路等で実現するようにしてもよい。
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施しても良い。
・上記実施形態では、一例としてソレノイドインジェクタに本発明を適用した場合について言及したが、他のタイプの噴射弁、例えばピエゾアクチュエータで駆動されるピエゾインジェクタ等にも、基本的には同様に、本発明を適用することができる。そして、少なくともディーゼルエンジン用の燃料噴射装置であれば、前記(12)の効果と同様の効果又は準ずる効果を得ることはできる。
・ディーゼルエンジン用途であることは必須の条件ではなく、ディーゼルエンジン以外の用途に用いる燃料噴射装置にも、本発明を適用することはできる。例えば直噴式のガソリンエンジン等にも本発明は有益である。
・噴孔の数や大きさも任意であり、多孔型の燃料噴射弁に限らず、単孔型の燃料噴射弁に対しても本発明は適用可能である。
・ニードルの可動範囲を決めるストッパとしても、機械的にニードルの動きを規制するもの(例えばストッパ24)には限られず、任意の方式のものを採用することができる。例えば圧力バランスでニードルの動きを規制するもの等を採用するようにしてもよい。もっともストッパは必須の構成ではないので、特に必要のない場合には割愛するようにしてもよい。
・燃料噴射口としての噴孔11bの形状は、図3に示したものに限られず、噴孔出口端から噴孔入口側へ向かうにつれ通路断面積が連続的又は段階的に小さくなるような噴孔出口領域を有するものであれば、その範囲で形状を適宜に変更しても、本発明の適用は可能であり、少なくとも所期の目的は達成されることになる。以下、図8〜図14を参照して、図3に示したもの以外の噴孔形状例(噴孔形状の変形例)について説明する。なお、図8〜図12及び図14(a)は、図3(a)に対応する断面図、図13及び図14(b)は、図3(b)に対応する模式図である。そしてこのうち、図8〜図13に例示される形状は、図3に示した形状と同様、孔全体の領域X1〜X2の各断面についてそれぞれ噴孔軸線Yを対称軸として点対称が成立するような、対称性の高い立体形状となっている。
図8(a)に示すように、噴孔出口領域における通路断面積の縮小率が、噴孔出口側から噴孔入口側へ向かうにつれ段階的に(例えば1段階又は多段階で)小さくなる形状なども採用することができる。ちなみに、この図8(a)に示す例では、ストレート孔P(領域X1〜X3)の出口側に続けて、テーパ角度の異なるテーパ孔T1(領域X3〜X4)及びテーパ孔T2(領域X4〜X2)を設け、噴孔出口端X2から噴孔入口側へ向かうにつれ噴孔出口領域(領域X2〜X3)における通路断面積の縮小率が段階的に(変化点X4で)小さくなる(テーパ角度はT1<T2)ようにしている。こうすることで、通路断面積の縮小率が小さくなる箇所(変化点X4)に、上記剥離ポイントを容易に形成することが可能になる。またこのように、テーパ角度の異なる複数のテーパ孔を有する構成である場合は、少なくとも1つのテーパ角度が、上記「βf<β<βc」なる関係を満足するように設定されることで、前記(10)の効果と同様の効果又は準ずる効果が得られることになる。
図8(b)に示すように、噴孔出口領域における通路断面積の縮小率が、噴孔出口側から噴孔入口側へ向かうにつれ連続的に小さくなる形状なども採用することができる。ちなみに、この図8(b)に示す例では、ストレート孔P(領域X1〜X3)の出口側に続けて、噴孔入口側へ向かうにつれ噴孔出口領域(領域X2〜X3)における通路断面積の縮小率を連続的に(無段階で)小さくするような曲孔M(領域X3〜X2)を設けるようにしている。こうすることで、噴孔11b内を流れる燃料の流通速度の大小に基づき、該孔壁面からの剥離位置、ひいては燃料の噴霧形態をより高い自由度で可変とすることが可能になる。
図8(c)に示すように、噴霧角度が同一である複数種(例えば2種類)の噴霧を使い分けるように構成してもよい。ちなみに、この図8(c)に示す例では、ストレート孔P(領域X1〜X3)の出口側にテーパ孔T(領域X3〜X4)を挟んでさらにもう1つのストレート孔P(領域X4〜X2)を設け、噴孔出口端X2から噴孔入口側へ向かうにつれ領域X2〜X3(噴孔出口領域)の通路断面積が段階的に小さくなる(通路断面積はP1<P2)ようにしている。そしてこの例では、噴射(剥離)時の噴霧幅の異なる(変化点X3,X4における通路断面積に対応)2種類の噴霧を使い分けることが可能になり、噴霧幅の相違に応じて噴霧長(ペネトレーション)が変化することで、前記(13)の効果に準ずる効果が得られるようになる。
図8(d)に示すように、噴孔出口領域の端部に対して、噴孔11bの噴孔軸線Yに直交する孔外側の方向へ向けて同噴孔11bの通路断面積を拡幅するステップ部Sを設けた形状なども採用することができる。ちなみに、この図8(d)に示す例では、テーパ孔T1(領域X1〜X3)の出口側にストレート孔P(領域X3〜X4)を挟んでさらにもう1つのテーパ孔T2(領域X4〜X2)を設け、噴孔出口領域(領域X2〜X4)の端部に相当する変化点X4に上記ステップ部Sを形成するようにしている。すなわち、この例では、噴孔11bの中途に設けられたストレート孔Pが指向性を強めるように作用し、同ストレート孔Pよりも燃料下流側(噴孔出口側)に位置する領域X2〜X4が噴孔出口領域に相当する。こうしたステップ部Sによれば、噴孔11b内を流通する燃料をより確実に孔壁面から剥離させるような剥離ポイントを形成することができるようになる。
図9(a)又は(b)に示すように、噴孔11bの噴孔入口側は任意に加工されてあっても、噴孔出口側に噴孔出口領域が形成されてさえいれば、上述の効果と同様の効果又は準ずる効果は得ることができる。ちなみに、図9(a)に示す例では、テーパ孔Tとは逆に出口側に向かって孔を縮径する逆テーパ孔RT(領域X1〜X3)を噴孔入口側に形成し、その出口側に続けて、ストレート孔P(領域X3〜X4)、テーパ孔T(領域X4〜X2)を順に設けるようにしている。また、図9(b)に示す例では、ストレート孔P1を噴孔入口側に形成し、ステップ部Sとは逆に孔内側に向かって孔を縮径する逆ステップ部RSを挟んでその出口側に、ストレート孔P2(領域X3〜X4)、テーパ孔T(領域X4〜X2)を順に設けるようにしている。いずれの例も、領域X2〜X3が噴孔出口領域に相当する。
図10(a)〜(c)に示すように、軸方向に通路断面積を一定とするストレート孔Pでなくとも、軸方向に通路断面積を略一定とする(軸方向の通路断面積が一定に近い領域を有する)ものであれば、上記ストレート孔Pに代わって指向性を強めることができる。したがってこの場合も、前記(6)や(7)の効果に準ずる効果は得ることができる。ちなみに、図10(a)に示す例では、テーパ角度の小さいテーパ孔T1(領域X1〜X3)の出口側に続けて、このテーパ孔T1よりもテーパ角度の大きいテーパ孔T2(領域X3〜X2)を設けるようにしている。また、図10(b)に示す例では、噴孔入口端X1付近における変化率(通路断面積の縮小率)の小さい曲孔M(領域X1〜X2)によって噴孔11bを形成するようにしている。なお、これら図10(a)及び(b)の場合は、領域X2〜X1が噴孔出口領域に相当する。また、図10(c)に示す例では、曲孔Mとは逆に出口側に向かって通路断面積の縮小率を連続的に小さくする逆曲孔RM(領域X1〜X3)の出口側に続けて、テーパ角度の異なるテーパ孔T1(領域X3〜X4)及びテーパ孔T2(領域X4〜X2)を設けるようにしている(テーパ角度はT1<T2)。そしてこの場合は、領域X2〜X3が噴孔出口領域に相当する。もっとも、狙った方向へ確実に指向性を強めるためには、先の図3等に示した形状のように、噴孔11bの軸方向に通路断面積を一定とするストレート孔Pを用いて燃料の指向性を高めることがより好ましい。
こうした指向性を強める手段を噴孔出口領域よりも燃料上流側に設けることは必須の構成というわけではない。例えば噴射弁の構造等によっては、図11(a)〜(c)に示すように、噴孔11bを、こうした手段の形成の割愛された形状とすることもできる。ちなみに、図11(a)に示す例では、テーパ孔T(領域X1〜X2)によって噴孔11bを形成するようにしている。また、図11(b)に示す例では、テーパ孔T(領域X1〜X3)の出口側に続けて、ストレート孔P(領域X3〜X2)を設けるようにしている。なお、これら図11(a)及び(b)の場合は、領域X2〜X1が噴孔出口領域に相当する。また、図11(c)に示す例では、噴孔入口側からテーパ角度の異なる複数のテーパ孔、すなわちテーパ孔T1(領域X1〜X3)、テーパ孔T2(領域X3〜X4)、及びテーパ孔T3(領域X4〜X2)を順に設け、噴孔出口端X2から噴孔入口側へ向かうにつれ噴孔出口領域(領域X2〜X3)の通路断面積の縮小率が段階的に(変化点X4で)小さくなるようにしている(テーパ角度はT1>T2<T3)。
また、噴孔11b自体に設けず、噴孔11bとは別に指向性を強める部材を設けるようにしてもよい。例えば図12に示すように、所定の1方向(例えば噴孔11bの入口壁面に直交する方向)への指向性を強めつつ燃料流を噴孔11bへ導くような指向性向上部材11d(例えば管体や板材等)を採用し、これを噴孔11bの手前(燃料上流側)に設けるようにする。こうすることで、前記(6)の効果に準ずる効果は得られるようになる。そしてこのような構成は、この図12に示す例のように、ストレート孔Pの割愛された構成(例えば図11(a)の構成)を有する噴孔11bに採用して特に有効である。
また、ここまでは円柱状の孔を想定してきたが、これに限られず、図13に示すように、噴孔11bを多角柱状の孔、あるいは円柱状の部分と多角柱状の部分とを組み合わせた形状の孔として形成するようにしてもよい。ちなみに、図13(a)には四角柱状の孔、図13(b)には円柱状の部分(領域X1〜X3)と六角柱状の部分(領域X3〜X2)とを組み合わせた形状の孔を採用した場合の一例をそれぞれ示している。
図14(a)及び(b)に示すように、噴孔軸線Yについて非対称となる形状も採用することができる。ちなみに、図14に示す例では、ストレート孔P(領域X1〜X3)の出口側に続けて、片方は直線状のままでもう片方の側壁だけを非対称にテーパ加工した片面テーパ孔AS(領域X3〜X2)を設けるようにしている。この場合も、ストレート孔Pと片面テーパ孔ASとの間の変化点X3に剥離ポイントが形成されることになる。他に、長円柱状の孔、楕円柱状の孔なども採用することができる。
また、上記テーパ孔T、曲孔M、ストレート孔P、ステップ部S、逆曲孔RM、逆ステップ部RS等を適宜に組み合わせて任意の形状を採用することができる。要は、噴孔出口端から噴孔入口側へ向かうにつれ通路断面積が連続的又は段階的に小さくなるような噴孔出口領域を有するものであればよい。
・さらに将来、加工技術や設計技術が向上して複雑な形状の噴孔を精度よく形成することができるようになれば、
「噴孔入口から噴孔出口へ向けて孔内を流通する燃料が噴孔入口から噴孔出口までのどこで孔壁面から剥離するかについて、その孔壁面からの剥離位置を、同燃料の流通速度の大小によって可変とする形状」
「噴孔入口から噴孔出口へ向けて孔内を流通する燃料が噴孔出口端で孔壁面から剥離するか、それとも同噴孔出口端よりも上流側で孔壁面から剥離するかについて、これら剥離位置のいずれかを、同燃料の流通速度の大小によって選択し得る形状」
といった2つの条件の少なくとも一方を満足するような形状からなる噴孔を、上記噴孔出口領域の有無にかかわらず、自由に設計することができるようになることが考えられる。この意味で、上記噴孔出口領域の形成も本発明に係る必須の条件とはならず、上記噴孔出口領域を形成しない構成をもって、本発明を適用することも可能である。
本発明に係る燃料噴射装置の一実施形態について、該装置に用いられる燃料噴射弁(インジェクタ)の内部構造を模式的に示す内部側面図。 ノズル部(噴射部)の拡大図。 本実施形態の装置の噴孔形状について、(a)は、同噴孔の断面図、(b)は、仮想的な外形線にて同噴孔の立体形状を示す模式図。 本実施形態に係る燃料噴射装置(噴射弁)の燃料供給経路の流路面積について、(a)は、最小リフト時の流路面積状態を示すグラフ、(b)は、最大リフト時の流路面積状態を示すグラフ。 本実施形態に係る燃料噴射装置の噴射形態について、(a)は小リフト時の噴射形態を示す模式図、(b)は大リフト時の噴射形態を示す模式図。 本実施形態に係る燃料噴射装置(噴射弁)の噴射特性を示すグラフ。 (a)及び(b)は、それぞれ燃料噴射パターンの一態様を示すタイミングチャート。 (a)〜(d)は、それぞれ噴孔形状の変形例を示す断面図。 (a)及び(b)は、それぞれ噴孔形状の変形例を示す断面図。 (a)〜(c)は、それぞれ噴孔形状の変形例を示す断面図。 (a)〜(c)は、それぞれ噴孔形状の変形例を示す断面図。 燃料噴射装置の変形例を示す断面図。 (a)及び(b)は、それぞれ噴孔形状の変形例について仮想的な外形線にて同噴孔の立体形状を示す模式図。 噴孔形状の変形例について、(a)は、同噴孔の断面図、(b)は、仮想的な外形線にて同噴孔の立体形状を示す模式図。 従来一般に採用されているディーゼルエンジン用燃料噴射装置の構成の一例について、特にノズル部(噴射部)の構成を拡大して示す拡大図。
符号の説明
10…ノズル部(噴射部)、11…ノズルボディ、11a…先端部、11b…噴孔、11c…テーパ斜面(ノズル内壁)、11d…指向性向上部材、12…ノズルニードル、12a…テーパ斜面、20…弁本体部、24…ストッパ、30…駆動部、M…曲孔、P…ストレート孔、S…ステップ部、T…テーパ孔、Y…噴孔軸線、AS…片面テーパ孔、P1、P2、P3…ストレート孔、RM…逆曲孔、RS…逆ステップ部、RT…逆テーパ孔、S1、S2…ステップ部、T1、T2、T3…テーパ孔、X1…噴孔入口端、X2…噴孔出口端。

Claims (17)

  1. 噴射部に燃料噴射口として1乃至複数の噴孔が形成され、この噴射部へ供給される燃料を前記噴孔を通じて噴射する燃料噴射装置において、
    前記噴孔は、噴孔出口端から噴孔入口側へ向かうにつれ通路断面積が連続的又は段階的に小さくなるような噴孔出口領域を有することを特徴とする燃料噴射装置。
  2. 前記噴孔出口領域における通路断面積の縮小率は、前記噴孔出口側から噴孔入口側へ向かうにつれ連続的に小さくなる請求項1に記載の燃料噴射装置。
  3. 前記噴孔出口領域における通路断面積の縮小率は、前記噴孔出口側から噴孔入口側へ向かうにつれ段階的に小さくなる請求項1に記載の燃料噴射装置。
  4. 前記噴孔出口領域の端部又は中途には、前記噴孔の噴孔軸線に対して直交する孔外側の方向へ向けて同噴孔の通路断面積を拡幅するステップ部が設けられてなる請求項1〜3のいずれか一項に記載の燃料噴射装置。
  5. 前記噴孔出口領域よりも燃料上流側に、燃料の流通方向に係る指向性を強める指向性向上手段を備える請求項1〜4のいずれか一項に記載の燃料噴射装置。
  6. 前記指向性向上手段は、前記噴孔の一部として軸方向に通路断面積を略一定とする直線状の噴孔直線部からなる請求項5に記載の燃料噴射装置。
  7. 前記噴孔出口領域は、前記噴孔出口側から噴孔入口側へ向かうにつれ同心円状に縮径された円柱状の孔からなる請求項1〜6のいずれか一項に記載の燃料噴射装置。
  8. 前記噴孔は、同噴孔の入口から出口にわたる各断面についてそれぞれ噴孔軸線を対称軸として点対称を成立させるような立体形状をもって構成される請求項1〜7のいずれか一項に記載の燃料噴射装置。
  9. 前記噴射部としてのノズルと、該ノズル内に配設されて、前記噴孔へ燃料を供給するための燃料供給経路の流路面積を、前記噴孔よりも上流側に位置するシート部にて可変とするノズルニードルとを備えて、該ノズルニードルにより可変とされる、前記シート部における燃料供給経路の流路面積の大小に応じて、前記噴孔内を流通する燃料の流通速度を可変とし、
    前記ノズルニードルにより前記シート部の流路面積が最小にされた状態での該シート部からその下流側へ向かう流路面積の拡大率をβc、前記ノズルニードルにより前記シート部の流路面積が最大にされた状態での該シート部からその下流側へ向かう流路面積の拡大率をβfとした場合に、前記噴孔出口領域において通路断面積が噴孔出口側へ拡大される部分の少なくとも1つの拡大率βが、「βf<β<βc」なる関係を満足するように設定されてなる請求項1〜8のいずれか一項に記載の燃料噴射装置。
  10. 噴射部に燃料噴射口として1乃至複数の噴孔が形成されてなり、この噴射部へ供給される燃料を前記噴孔を通じて噴射する燃料噴射装置において、
    前記噴孔は、噴孔入口から噴孔出口へ向けて孔内を流通する燃料が前記噴孔入口から噴孔出口までのどこで孔壁面から剥離するかについて、その孔壁面からの剥離位置を、同燃料の流通速度の大小によって可変とする形状からなることを特徴とする燃料噴射装置。
  11. 噴射部に燃料噴射口として1乃至複数の噴孔が形成されてなり、この噴射部へ供給される燃料を前記噴孔を通じて噴射する燃料噴射装置において、
    前記噴孔は、噴孔入口から噴孔出口へ向けて孔内を流通する燃料が噴孔出口端で孔壁面から剥離するか、それとも同噴孔出口端よりも上流側で孔壁面から剥離するかについて、これら剥離位置のいずれかを、同燃料の流通速度の大小によって選択し得る形状からなることを特徴とする燃料噴射装置。
  12. 前記噴孔は、噴孔入口から噴孔出口へ向けて孔内を流通する燃料の流通速度が上昇することにより同燃料が孔壁面から剥離し易くなる剥離ポイントを、噴孔入口端と噴孔出口端との他に少なくとも1つ有する請求項10又は11に記載の燃料噴射装置。
  13. 前記剥離ポイントは、前記噴孔の通路断面積の変化率を急変させることによって形成されてなる請求項12に記載の燃料噴射装置。
  14. 前記噴射部としてのノズルと、該ノズル内に配設されて、前記噴孔へ燃料を供給するための燃料供給経路の流路面積を、前記噴孔よりも上流側に位置するシート部にて可変とするノズルニードルとを備え、前記シート部においてはノズル内壁がテーパ状に形成されてなり、
    前記ノズルニードルは、前記テーパ状のノズル内壁に前記燃料供給経路を介して対向するシート面を有し、これらシート面とノズル内壁との間隔を可変とすることによって前記燃料供給経路の流路面積を可変とするものである請求項1〜13のいずれか一項に記載の燃料噴射装置。
  15. 当該燃料噴射装置が、ディーゼルエンジンに対して燃料を供給するために用いられるディーゼルエンジン用の燃料噴射装置である請求項1〜14のいずれか一項に記載の燃料噴射装置。
  16. 前記噴孔内を流通する燃料の流通速度を可変制御することにより、前記燃料の孔壁面からの剥離位置を制御する噴射制御手段を備える請求項1〜15のいずれか一項に記載の燃料噴射装置。
  17. 前記噴射部がエンジンの燃焼室に対して直接的に燃料を噴射するように配置され、
    前記噴射制御手段は、出力トルクを生成するためのメイン噴射を行う前又は行った後で該メイン噴射よりも少量の噴射量にてサブ噴射を行う場合に、少なくとも前記メイン噴射の高噴射率領域では、前記サブ噴射の高噴射率領域における剥離位置よりも通路断面積の小さい所で剥離させるように前記燃料の流通速度を制御するものである請求項16に記載の燃料噴射装置。
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