JP2008058007A - 結合親和性を利用する被検物質の測定方法、及び被検物質の測定のための結合親和性解析の制御方法 - Google Patents

結合親和性を利用する被検物質の測定方法、及び被検物質の測定のための結合親和性解析の制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】測定目的に応じて測定精度及び測定範囲を適切に調整できる結合親和性解析に基づく被検物質の測定技術の構築。
【解決手段】結合親和性を利用する被検物質の測定方法であって、(i)前記被検物質に対する結合親和性を有する結合物質を、架橋物質により架橋処理する工程、(ii)前記被検物質と、前記結合物質に対する結合親和性において被検物質と競合する競合物質とを、前記工程(i)において架橋処理した結合物質に競合的に反応させる工程、(iii)前記結合物質と前記競合物質間での複合体の形成を測定する工程、を備える測定方法、およびその制御方法、並びに該方法を利用するためのキット。
【選択図】なし

Description

本発明は、結合親和性を利用する被検物質の測定方法、及び被検物質の測定のための結合親和性解析の制御方法に関する。
従来より、生物的な結合親和性を利用し、その結合量を評価することにより、タンパク質やペプチド等を測定することが行われている。例えば、抗原と抗体、リガンドとレセプターの特異的な結合反応を利用した測定方法が知られている。これらは、特に、結合親和力が大きく、かつ反応に特異性があるため、試料中の特定の被検物質を高感度に測定できるとして、医学、農学等の生物的分野において広く利用されている。
しかしながら、生物的な結合親和性を利用した測定方法は、広範な分野における種々な試料に対して利用されるがため、要求される測定精度および測定範囲は、測定試料、並びに測定目的によって相違する。例えば、被検物質の存在量が未知の試料に対しては、その存在量の見当をつけるため広範な測定範囲をもつことが必要とされる。一方で、正確な存在量を測定したい場合には、高い精度をもって測定することが必要とされる。また、被検物質の濃度に応じて、測定範囲を変動させる必要もあった。そして、測定精度及び測定範囲は、被検物質に対する結合親和性に依存することが知られている。そのため、測定対象物に応じて、かかる結合親和性を確実、かつ簡便に制御できる方法が望まれている。
かかる事情に鑑み、なかでも、抗原抗体反応を利用した免疫測定方法において、様々な試みが報告されていた。例えば、測定する被検物質の種類とその測定範囲を拡大するため、複数の異なる結合親和性を有する抗体を同時に用いる方法が報告されていた(特許文献1を参照)。詳細には、同一の抗原に対して異なる結合親和性をもつ抗体を併用することにより測定範囲を拡大すること、及び、異なる抗原に対する抗体を併用して多数の抗原を同時に測定すること、並びに、両者を同時に実現するものである。しかしながら、所望の特性を有する抗体を得るためには市販の抗体の中から必要な結合特性を有する抗体を検索して入手するか、若しくは、新規な抗体を作製する必要があった。新規な抗体の作製には、通常3ヶ月以上の長期を要し、望みの特性の抗体を得るには大規模なスクリーニングを要し、結合特性の調整には限界があった。
そして、抗体の抗体価数の観点からの抗体特性の研究についても報告されていた(非特許文献1を参照)。詳細には、IgG等の二価の抗体は、抗原結合部位を2箇所に有することから2分子の抗原と結合できるが、結合定数等の抗体特性測定は一価の抗体を基準としているため補正が必要となることが報告されていた。しかしながら、ここでの報告は、抗体特性測定のみの検討に限定され、また、検討した抗体の抗体価数も一価、および二価のみであった。
従来法によっては、測定対象物に応じて、結合親和性反応を確実、かつ簡便に制御できる技術は報告されておらず、かかる技術の構築が依然として望まれていた。特に、結合親和性において被検物質と競合する競合物質と、被検物質との競合反応を利用した、いわゆる競合法においては、結合親和性反応の制御は難しく、かかる反応を確実、かつ簡便に制御できる技術の構築が特に望まれていた。
さらに、結合親和性を利用する測定方法において、適切に感度および測定範囲を調整でき、かつ、様々な試料に対して適用できる効率的な測定技術を確立すべく検討が重ねられていた。例えば、免疫クロマトグラフィーの着色度合いを段階的に評価することにより被検物質の濃度を測定する方法が報告されていた(特許文献2、3を参照)。しかしながら、かかる方法は簡易に段階評価することが可能であるが定量には不向きであり、その使用用途は限定されるのが実情であった。
さらに、測定値から経験式(4パラメーターロジスティックモデル)を用いて検量線を作成する方法が報告されていた(特許文献4を参照)。しかしながら、かかる方法によって得られる検量線が経験式であるため、抗原−抗体−測定系の組合せ毎に予め多数のデータから検量線に使用する4個のパラメーターを求める必要があった。そのため、煩雑な手順を要するため、更に簡便に検量線を求めることができる技術の開発が望まれていた。そして、液相中の抗原と抗体を反応させた後、該液相を固定化抗原に接触させて未反応抗体を捕捉しその抗体を測定することで間接的に液相中の抗原を検出する競合法において、抗体濃度を解離平衡定数の1/2以下とし、かつ未反応の抗体を含む液相と固定化抗原の接触時間を極端に短くして液相中の抗原と抗体の結合状態を乱さないように抑制することにより、検出下限を理論的に到達可能な抗体の解離平衡定数に近づけ、かつ擬似的に液相中の抗原と抗体の結合反応のみを反映した検量線となることも報告されている(特許文献1を参照)。しかしながら、かかる方法も、抗体濃度が低く、かつ固定化抗原との接触時間が極端に短いため固定化抗原で捕捉できる抗体総数が少なく、その結果シグナルが低くなり表面積が小さくなるマイクロ流路への応用が困難となる問題点があった。また固定化抗原への接触時間を短く抑制したまま捕捉する抗体総数を多くするには、固定化抗原上に液相を大量に送液する必要があり、この点でもマイクロ流路への応用には問題があった。また、高分子量抗原と抗体の2者間の反応で理論計算値による検量線と実験値が一致することが報告された(非特許文献2を参照)が、被検物質・競合物質・結合物質の3者間の反応である、いわゆる競合法には応用できなかった。
特開2002-189027号公報 特開2003-262636号公報 特開2004-138550号公報 特開2005-298395号公報 Fred J. Stevens他、"Modification of an ELISA-based procedure for affinity determination: Correction necessary for use with bivalent antibody."、Molecular Immunology、第24巻、第10号、1987年、第1055〜1060頁 Karlsson R他、"Analysis of active antibody concentration. Separation of affinity and concentration parameters."J.Immunol.Methods、第166巻、1993年、第75〜84頁
したがって、本発明の第一の課題は、競合法に基づく結合親和性解析を利用した被検物質の測定技術において、測定目的に応じて測定精度及び測定範囲を適切に調整できる技術の構築を目的とする。
さらに、本発明の第二の課題は、競合法に基づく結合親和性解析を利用した被検物質の測定技術において、その測定感度、および測定範囲を適切に調整でき、更には、測定技術の効率化を図ることを目的とする。
本発明者が鋭意検討を行った結果、競合法に基づく被検物質とその結合物質との特異的な結合親和性を利用した測定方法において、結合物質の価数を上げることにより被検物質の測定精度を向上できることを見出すと共に、結合物質の価数を下げることにより幅広い濃度範囲での測定が達成できることを見出した。更に、鋭意検討を重ねた結果、結合物質の価数を、結合物質を架橋可能な架橋物質により簡便、かつ迅速に制御できることを見出し、これらの知見に基づいて本発明を完成するに至った。
上記目的を達成するため、下記の〈1〉〜〈8〉の構成からなる発明を提供する。
〈1〉結合親和性を利用する被検物質の測定方法であって、(i)前記被検物質に対する結合親和性を有する結合物質を、架橋物質により架橋処理する工程、(ii) 前記被検物質と、前記結合物質に対する結合親和性において被検物質と競合する競合物質とを、工程(i)において架橋処理した結合物質に競合的に反応させる工程、(iii) 前記結合物質と前記競合物質間での複合体の形成を測定する工程、を備える測定方法。
〈2〉前記結合物質が、抗体である上記〈1〉の測定方法。
〈3〉前記架橋物質が、結合物質に対する抗体である上記〈1〉又は〈2〉の測定方法。
上記〈1〉〜〈3〉の構成によれば、結合物質の架橋により高精度な測定を達成することができる。また、結合物質の架橋を抑えることで広範な濃度範囲での測定を行うこともでき、測定目的に応じた被検物質の測定が達成される。
〈4〉上記〈1〉〜〈3〉のいずれか測定方法を実施するための試薬を備えた、結合親和性を利用する被検物質の測定用キット。
上記〈4〉の構成によれば、このように被検物質の測定に必要な試薬をキットして構成することにより、簡便且つ迅速な被検物質の測定が可能となる。
〈5〉被検物質を測定するための結合親和性解析の制御方法であって、
(i) 前記被検物質に対する結合親和性を有する結合物質を、架橋物質により架橋処理する工程、(ii) 前記被検物質と、前記結合物質に対する結合親和性において被検物質と競合する競合物質とを、工程(i)において架橋処理された結合物質に競合的に反応させる工程、(iii) 前記結合物質と前記競合物質間での複合体の形成を測定する工程、を備えた試料中の被検物質の測定するための結合親和性解析において、工程(i)の架橋処理の制御を通して、前記結合物質の価数を変更することにより測定精度及び測定範囲の少なくとも一方を調整して結合親和性解析を制御する制御方法。
〈6〉前記結合物質が、抗体である上記〈5〉の制御方法。
〈7〉前記架橋物質が、結合物質に対する抗体である上記〈5〉又は〈6〉に記載の制御方法。
上記〈5〉〜〈7〉の構成によれば、結合物質の架橋の程度の制御を通して結合物質の価数を変更することにより、測定目的に応じて適切に測定精度、測定範囲を制御することができる。また、本発明の制御方法は、架橋物質により簡便に行うことができることから、ユーザ自身が自ら望む測定精度及び測定範囲に調整することが可能である。
〈8〉上記〈5〉〜〈7〉のいずれかの制御方法を実施するための試薬を備えた、被検物質を測定するための結合親和性解析の制御用キット。
上記〈8〉の構成によれば、このように結合親和性解析の制御に必要な試薬をキットして構成することにより、簡便且つ迅速に、測定目的に応じた測定感度、測定範囲に制御することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。しかし、本発明は以下の説明に限定されることなく適宜変更することができる。
1.結合親和性を利用する被検物質の測定方法
本発明の結合親和性を利用する被検物質の測定方法は競合法に基づく。競合法は、試料中の被検物質の存在や量を、被検物質に対する結合親和性を有する結合物質が、被検物質又は競合物質(前記結合物質に対する結合親和性において被検物質と競合する)に結合する度合いによって決定する方法である。具体的には、一定量の結合物質と一定量の競合物質との反応中に、測定すべき被検物質を共存させて競合させた時、被検物質の存在により結合物質と結合する競合物質が減少する。その減少の度合いにより、測定すべき被検物質の量を算出するものである。そして、本発明の被検物質の測定方法おいては、予め結合物質は架橋物質により架橋処理される。
本発明の被検物質の測定方法は、抗原抗体反応、レセプター・リガンド反応、レクチン−糖(糖鎖、複合糖質等)等、任意の生物的な結合親和性反応に適用することができる。特には、抗原抗体反応が好ましい。ここで、生物的な結合親和性反応とは、生体物質等が有する特異的識別能を利用する反応であり、複数の物質が非共有結合により可逆的かつ選択的に結合する反応を意味するものとする。
ここで、本発明の被検物質の測定方法に用いられる試料は、測定対象となる被検物質を含み得る試料であれば特に制限はない。例えば、動物由来の血液、血漿、血清、脳脊髄液、羊水、乳、汗、尿、唾液、喀痰、糞便、組織、細胞培養物等の生体由来試料、植物の根、茎、葉、花、果実等の植物由来試料、土壌、地下水、河川水、湖沼水等の環境試料、肉、卵、加工食品等の食品等が例示される。また、これらの試料は必要に応じて分離、精製等の前処理が施されていてもよい。
そして、本発明における被検物質は、当該被検物質に対する結合親和性を有する結合物質が存在するものであれば特に制限はない。したがって、天然物、遺伝子工学的技術及び化学合成技術等による合成物の別を問わない。例えば抗原抗体反応を惹起する抗原と為り得る各種タンパク質、糖、脂質、その他の有機物等が挙げられる。また、本明細書における抗原には、抗体との結合能を有しているが免疫原性を有していない低分子化合物であるハプテン等も好ましく例示される。ハプテンとしてはPCB類、ダイオキシン類等が例示される。また、適当なキャリアタンパク質との結合物であってよく、共有結合等の化学的に結合したものの他、単に物理的吸着により結合したものであってもよい。このようなキャリアタンパク質としては、牛血清アルブミン、ヒト血清アルブミン等の血清アルブミン、オボアルブミン、キーホール・リンペット・ヘモシアニン、グロブリン、カゼイン等が例示される。更には、被検物質として、レセプター・リガンド反応のリガンドと為り得るホルモン、成長因子、神経伝達物質、サイトカインの他、PCB類、ダイオキシン類等の化合物質も好ましく例示される。
結合物質としては、測定対象の被検物質に対する結合親和性を有する物質であれば、特に制限はない。例えば、被検物質が抗原である場合には、当該抗原に特異的に結合する抗体が結合物質と為り得、また、被検物質がリガンドである場合には、当該リガンドに特異的に結合するレセプターが結合物質と為り得る。また、この逆も好ましく例示されるが、これらに限定するものではない。これらは天然物、遺伝子工学的技術及び化学合成技術等による人工合成物の別を問わない。また、公知の方法で得られた被検物質に対する結合親和性を有するこれらの断片でもよい。
結合物質が抗体である場合、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体いずれをも好適に利用可能である。これらは市販品を利用できると共に、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、モルモット等の哺乳動物に抗原となり得る前記被検物質を免疫することによって得られたポリクローナル抗体をも好適に使用できる。さらに、前記被検物質に対する抗体産生細胞とミエローマ細胞を細胞融合して得られたハイブリドーマ細胞を培養して得られたモノクローナル抗体をも好適に利用できる。そして、免疫に際しては、必要に応じて適当なアジュバンドと併用することができる。また、パパイン、ペプシン等のタンパク分解酵素での処理で得られる、F(ab´)2フラグメント、Fabフラグメント、Fvフラグメント等の抗原結合能を保持する抗体断片が例示される。また遺伝子組換え等の公知の遺伝子工学的技術、及び化学合成技術等に基づいて調製された抗体をも含む。
結合物質がレセプターである場合には、細胞膜上に存在する膜レセプター、細胞内に存在する核内レセプターの別を問わない。例えば、PCB類、ダイオキシン類に対するアリール炭化水素レセプター(Ahレセプター)等が例示されるが、これに限定するものでない。また、レセプターの部分精製物でもよく、また融合タンパク質の形態であってもよい。
競合物質としては、結合物質に対する結合親和性が被検物質と同一若しくは類似物質であることが好ましく、結合物質に対して被検物質と競合的に結合する物質であれば特に制限はない。したがって、該結合物質に対する結合親和性を有する限り、被検物質と同一の物質でもよく、また、類似構造を有する、いわゆる擬似物質でもよい。例えば、被検物質と同一又は擬似物質に標識等の何らかの修飾が施された物質が好適に利用できる。さらに、被検物質の修飾体としては、被検物質と同一又は擬似物質を適当なキャリアタンパク質上に固定化されたものであってもよく、共有結合等の化学的に結合したものの他、単に物理的吸着により固定化したものであってもよい。また、適当なスペーサーを介して結合してもよい。このようなキャリアタンパク質として、牛血清アルブミン、ヒト血清アルブミン等の血清アルブミン、オボアルブミン、キーホール・リンペット・ヘモシアニン、グロブリン、カゼイン等が例示される。
例えば、被検物質が抗原である場合には、結合物質である抗体の抗原結合部位に競合的に結合する物質であれば特に制限はない。したがって、測定に用いる抗体に対して結合親和性を有する限り、被検物質と同一の抗原をも使用でき、更には、類似構造を有する、いわゆる擬似抗原をも使用できる。例えば、被検物質と同一の抗原又は擬似抗原に標識やキャリアタンパク質への結合等の何らかの修飾が施された抗原が好適に利用できる。要するに、測定に用いる抗体の抗原結合部位によって認識される、被検物質のエピトープと同一又は類似のエピトープを備えた物質であれば特に制限はない。したがって、このようなエピトープを含む断片であってもよい。
被検物質、および競合物質としては使用できる物質につき、特に被検物質(抗原)と擬似抗原の組み合わせにつき下記にて例示する。しかしながら、これに限定されるものではない。
・被検物質・・・ビオチン等の低分子化合物(ハプテン)
・競合物質・・・ビオチン等の低分子化合物(ハプテン)をキャリアタンパク質上に固定した結合体
・被検物質・・・抗原タンパク質
・競合物質・・・抗原タンパク質のエピトープ部分のみを取り出したペプチド断片
・被検物質・・・PCB等
・競合物質・・・PCB等に対して結合親和性を有する抗体が、本来の意図に反して結合してしまう骨格分子のビフェニル
本発明において、結合物質の架橋に用いる架橋物質としては、結合物質間を架橋できる物質であり、架橋される結合物質の被検物質に対する結合親和性に影響を与えない限り公知のものを利用できる。つまり、結合物質−被検物質間、結合物質−競合物質間の安定性を損なわない限り、特に制限はなく、免疫学的架橋、化学的架橋の別を問わない。免疫学的に架橋する架橋物質としては、結合物質に対する抗体が例示される。ここで、架橋物質として抗体を用いる場合、抗体の抗体価数は2価以上である。したがって、IgG、又はIgMであることが好ましい。また、2分子以上の抗体を、適当な架橋試薬を用いて架橋させたものを用いてもよい。また、抗体としては、2価以上の抗体価数を有する限り、F(ab´)2フラグメント等の抗体フラグメントでもよく、また、2分子以上のF(ab´)2フラグメント、Fabフラグメント、Fvフラグメント等の抗体フラグメントを、架橋試薬を用いて架橋したものを利用することができる。また、結合物質が抗体であり、それに対する抗抗体を架橋物質として使用する場合には同種の動物由来の抗体とすることが好ましい。
化学的に架橋する架橋物質としては、結合物質と結合可能な官能基を同一分子内に2以上有する多官能性試薬が例示される。このような官能基としては、スクシンイミド基、スルホン化スクシンイミド基、マレイミド基等が例示される。そして、このような官能基を2以上有する多官能性試薬としては公知のいずれの物質をも使用できる。例えば、結合物質のSH基同士を架橋する試薬、SH基とNH基を架橋する試薬、NH基同士を架橋する試薬、NH基とCOOH基を架橋する試薬が挙げられるがこれに限定するものではない。そして、SH基同士を架橋する試薬として(N,N´−(1,3−フェニレン)ビスマレイミド、ビス(N´マレイミドメチル)エーテル等のビスマレイミド化合物等が例示される。また、SH基とNH基を架橋する試薬としてN−スクシンイミジル3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート、スクシンイミジル4−(P−マレイミドフェニル)ブチレート等のマレイミド−スクシンイミジルエステル型化合物等が例示される。また、NH基同士を架橋する試薬としてグルタルアルデヒドの他、ジチオビススクシンイミジルプロピオネート等のビススクシンイミジル等が例示される。NH基とCOOH基を架橋する試薬として1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、ジクロヘキシルカルボジイミド等のカルボジイミド化合物等が例示される。さらに、結合物質間を直接連結できる試薬、例えば、ジスルフィド結合を形成させる酸化剤等も利用できる。架橋に際して、結合物質に適当な鎖長の反応性側鎖(スペーサー)を予め導入、若しくは導入するための試薬を付加することもでき、また酵素、ストレプトアビジン等の標識等を介して結合させるように構成してもよい。また、複数の抗体分子を1分子の標識に結合した抗体−標識複合体を構成する一部の抗体同士を架橋させるように構成してもよい。
架橋物質の添加量は、測定目的に応じて適宜設定することができる。架橋物質の添加量の増加に伴い、結合物質の架橋度合い(つまり、結合物質の価数)が上昇する。そして、高精度の測定を要求する場合には、架橋物質の添加量を増加させる。一方で、広範な濃度での測定を要求する場合には、架橋物質の添加量を低減させる等、測定目的に応じて添加量を当業者は適宜設定できる。したがって、一次スクリーニングのようなラフスクリーニングの場合には、好ましくは結合物質の架橋の程度を低減させて広範な濃度範囲での測定を行う。更に、最終的な精密測定の場合には、好ましくは結合物質の架橋の程度を増加させて高精度な測定を行う。また、結合物質の架橋度合い(つまり、結合物質の価数)は、架橋物質と結合物質の接触時間を制御することによっても調整することができる。
つまり、競合法に基づく結合親和性を利用した測定系においては、検量線の傾きと測定精度、測定範囲は以下のような特徴を有する。
(1)検量線の傾きが大きいほど、高精度に測定可能である。一方で測定範囲は狭まる。
(2)検量線の傾きが小さいほど、広範範囲での測定が可能である。一方で、測定精度は低下する。
なぜならば、競合法は上記したように、試料中の被検物質の存在や量を、被検物質共在下での結合物質に競合物質が結合する度合いによって決定する方法である。ここで、結合物質が一価であれば被検物質は競合物質とは結合できなくなるが、結合物質が二価であれば被検物質と競合物質に同時に結合できることとなる。このため、被検物質が結合物質より十分に低濃度である場合には、結合物質が一価であれば競合物質と結合できる結合物質は少なくなるが、結合物質が二価ならば競合物質と結合する結合物質の量はほとんど変化しない。一方、被検物質の濃度が高くなるにつれ、結合物質が一価の場合は競合物質と結合する結合物質は緩やかに減少する。しかし、結合物質が二価の場合は比較的急速に競合物質と結合する結合物質が減少する。したがって、結合物質の価数が大きいほど、被検物質の濃度が高くなるにつれて競合物質と結合する結合物質は急激に減少する。このため、結合物質の価数が大きくなるほど、検量線の傾きが大きくなる(免疫競合反応における抗体の抗体価数の影響をシミュレーションした図1、2を参照)。ここで、結合物質の価数(結合物質の結合価)とは、一分子の結合物質が同時に結合できる物質の分子数を意味し、つまり一分子の結合物質が結合できる手の数をいう。このとき、架橋物質により結合されている場合には架橋結合物質全体で一分子として算出する。抗体を例示すると、一つの抗体分子に結合できる、抗原分子の数を意味し、抗体価数、抗体結合価とも称される。
そして、本発明の被検物質の測定方法においては、好ましくは、測定の便宜のため、結合物質、競合物質は、適当な標識物質により標識される。このような標識物質は公知であるので当業者は適宜選択して使用でき、反応において必要とされる安定性と機能性を保持できる限りは、公知のいずれをも使用できる。したがって、直接標識、間接標識の別を問わない。放射性同位体元素、酵素、蛍光色素、発光物質等が例示される。具体的には、適切な放射性同位元素標識として、32P、35S、131I、45Ca、3H等が例示される。酵素標識として、ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼが例示される。また、蛍光標識としては、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、テトラメチルローダミン(TAMRA)、テトラメチルローダミンイソチオシアネート(TRICA)、テキサスレッド、シアニン3(Cy3)およびシアニン5(Cy5)等のシアニン色素、量子ドット(Qdot(登録商標)等)等が例示される。更に、ジゴキシゲニンやビオチン等をも好適に利用できる。しかし、これらに限定するものではない。標識は既知の手法により行うことができる。
また、競合物質、結合物質は必要に応じて不溶性支持体に固定化することができる。不溶性支持体としては、例えば、ガラス、シリカゲル、ベンナイト等の無機物質、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成高分子物質、アガロース、デキストラン、ポリサッカライド等の不溶性多糖が好ましく使用できる。また、これらの支持体は、球状、棒状、微粒子等の形状、あるいは試験管、マイクロプレート、メンブラン等の形態で使用することができる。
不溶性支持体への固定化は、公知の方法に従って行うことができる。物理的吸着法、化学結合法が例示される。物理的吸着法は、結合物質又は競合物質と不溶性支持体とを、水、生理食塩水、各種緩衝液等の水溶性溶媒中で接触させることにより行うことができる。化学的結合法としては、ジアゾ法、酸アジド法、イソシアナート法、ブロムシアン法等による共有結合の形成による固定化が例示される。また、官能基を2以上有する架橋試薬を用いて固定化する方法も利用できる。架橋試薬としては、結合物質と結合可能な官能基を同一分子内に2以上有する多官能性試薬が例示される。このような官能基としては、スクシンイミド基、スルホン化スクシンイミド基、マレイミド基等が例示される。そして、このような官能基を2以上有する多官能性試薬としては公知のいずれの物質をも使用できる。また、抗体、ビオチン−ストレプトアビジン等を利用して固定化することもできる。固定化に際しては、非特異的結合の抑制のため、必要に応じてブロッキング等の処理を行うことができる。
本発明の結合親和性を利用する被検物質の測定方法における操作手順及び反応条件等は、通常の免疫測定方法等の結合親和性を利用する測定方法と同様にして行うことができる。したがって、結合物質、競合物質の添加量は、被検物質に応じて当業者が適宜設定することができる。
例えば、試料中の被検物質を、所定量の結合物質、所定量の競合物質と接触させる。このとき、結合物質は、予め測定目的に応じた所定量の架橋物質と接触させることにより架橋処理されてある。接触は好ましくは液相形態で行われる。これにより、試料中に含まれる被検物質と所定量の競合物質とが結合物質への結合に対して競合する。そして、結合物質と競合物質の反応生成物の量を測定する。このとき、反応生成物の量は公知の方法により測定することができ、標識が付されている場合には標識に応じて公知の標識検出システムに基づいて測定できる。
また、好ましくは、被検物質濃度が既知の標準試料溶液を作製し、かかる標準試料溶液を用いて濃度と測定強度との関係を求めた検量線を作成し、かかる検量線に基づいて、被検試料の測定強度より濃度を求める。
上記した通り、好ましくは競合物質、若しくは結合物質が不溶性支持体に固定化される。ここで、競合物質が固定化される態様を例示して詳細に説明するが、適用しえる反応系の種類に応じて当業者の技術常識に基づいて適宜変更することができる。
まず、競合物質を不溶性支持体に固定化する。このとき、夾雑タンパク質の不溶性支持体表面への非特異的結合を防止するため、必要に応じてブロッキング等の処理を行う。次に、測定対象の被検物質を含み得る試料と、結合物質とを同時に加え反応させる。このとき、結合物質は、予め測定目的に応じた所定量の架橋物質と接触させることにより架橋処理されてある。結合親和性反応が平衡に達した後、支持体に固定化された競合物質に結合することによって支持体上に捕捉された抗体以外の、被検物質と結合した抗体、並びに未反応物質を除去する。次いで、支持体に補足された抗体の量により、競合物質と結合した抗体量を測定する。抗体に標識が付されていてもよいし、また、適当な標識二次抗体等を用いて抗体量を測定することができる。
更に、本発明の測定方法は、流路中に競合物質を固定化するフロー型の測定装置に適用することができる。
2.結合親和性を利用する被検物質の測定用キット
本発明は、上記結合親和性を利用する被検物質の測定方法を実施するための試薬を備えた、結合親和性を利用する被検物質の測定用キットを提供する。このように被検物質の測定に必要な試薬をキットして構成することにより、簡便且つ迅速な被検物質の測定が可能となる。このような試薬キットとしては、結合物質と架橋物質の組み合わせ、また、競合抗原をも組み合わせたキットが例示される。更には、結合親和性反応の実施に必要な緩衝液をもキットとして組み込むことができる。このように結合物質と架橋物質とを別個にキットに組み込むことにより、ユーザ自身が自ら望む測定精度及び測定範囲に調整することで、測定目的に応じた被検物質の測定が可能となる。また、特定の測定精度、測定範囲に設定した、予め適当な価数となるよう結合物質を架橋物質により架橋処理された形態で構成することも可能である。
3.被検物質を測定するための結合親和性解析の制御方法
本発明は、上記結合親和性を利用する被検物質の測定方法において、その測定精度、測定範囲を制御する方法を提供する。これにより、上記被検物質を測定するための結合親和性解析を制御できる。つまり、架橋物質による架橋の程度を変更することで測定精度を調整でき、また、測定範囲を調整でき、双方を同時に調整する方法をも提供する。架橋の程度の変更は、例えば、結合物質と反応させる架橋物質の量を制御する、若しくは、結合物質と架橋物質との反応時間を制御することにより、簡便、かつ迅速に行うことができる。したがって、測定目的に応じて、架橋の程度を変更することで、適切に測定精度、及び測定範囲を調整することができる。ここで、結合親和性解析とは、上記で説明した結合親和性を利用した測定方法を意味するものであり、免疫測定法等を好ましく例示される。
具体的には、結合物質の架橋の程度を上がることにより、結合物質の価数を大きくすることができる。結合物質の価数が大きいと、競合様式の測定方法おいては、被検物質が高濃度になるにつれ、急激に競合物質と結合する結合物質量が減少することから、検量線の傾きが急になる。つまり、結合物質の価数が大きくなると、被検物質の正確な濃度の定量が可能となり測定精度が向上する。一方、結合物質の架橋の程度を下げることにより、結合物質の価数を小さくしておくことができる。結合物質の価数が小さいと、競合様式の測定方法おいては、被検物質が高濃度になっても、緩やかに競合物質と結合する結合物質量が減少することから、検量線の傾きが緩やかになる。つまり、結合物質の価数を小さくすることで、広範な濃度範囲に亘って被検物質を測定できる。これにより、被検物質が高濃度で含まれる場合であっても、希釈を要せず、若しくは従来よりも希釈の回数を低減することが可能となる。
したがって、一次スクリーニングのようなラフスクリーニングの場合には、好ましくは結合物質の架橋の程度を低減させて広範な濃度範囲での測定を行う。また、最終的な精密測定の場合には、好ましくは結合物質の架橋の程度を増加させて高精度な測定を行うべく、測定目的に応じて適切に測定精度、測定範囲を制御することができる。また、本発明の制御方法は、架橋物質により簡便に行うことができることから、ユーザ自身が自ら望む測定精度及び測定範囲に調整することが可能である。
4.被検物質の測定するための結合親和性解析の制御用キット
本発明は、上記被検物質の測定するための結合親和性解析の制御方法を実施するための試薬を備えた、被検物質の測定するための結合親和性解析の制御用キットを提供する。このように結合親和性解析の制御に必要な試薬をキットして構成することにより、簡便且つ迅速な結合親和性解析の制御が可能となる。このような試薬キットとしては、結合物質と架橋物質の組み合わせ、また、競合抗原をも組み合わせたキットが例示される。更には、結合親和性反応の実行に必要な緩衝液をもキットとして組み込むことができる。このように結合物質と架橋物質とを別個にキットに組み込むことにより、ユーザ自身が自ら望む測定精度及び測定範囲に調整することが可能である。
5.検出感度調整方法、及び該方法を利用した測定装置
本発明は、被検物質を前記被検物質と結合親和性を有する結合物質との、結合親和性を利用した被検物質の測定方法であって、
(i)前記被検物質と、前記結合物質に対する結合親和性において被検物質と競合する競合物質とを、前記結合物質に競合的に反応させる工程、
(ii)前記結合物質と前記競合物質間での複合体の形成を測定する工程、を備える測定方法において、
被検物質又は競合物質に対する結合物質の特性値(結合速度定数と解離速度定数)と、装置パラメーターM(競合物質と結合物質の結合が拡散律速などで阻害されていることを示す1以下の定数)とを使用して、被検物質、競合物質、結合物質の間の反応速度式に対して、競合物質と結合物質との間の結合速度定数のみに装置パラメーターMを掛け、一定時間後の結合濃度を算出することにより理論検量線を得る方法、を提供する。
ここで、結合物質の特性値とは、結合速度定数と解離速度定数を、また、装置パラメーターMとは、競合物質と結合物質の結合が拡散律速などで阻害されていることを示す1以下の定数を指す。
更に、測定したい濃度範囲に合わせて理論検量線から結合物質の濃度と装置パラメーターMを逆算して設定することで検出濃度レンジの調整を行う装置をも提供する。
これにより、被検物質が高濃度である場合であっても、希釈を要せずに装置の検出濃度レンジを調整することによって、被検物質の濃度測定が可能となる。また、抗体特性値と装置パラメーターから検量線を予測できるため、繰り返しの測定を要することなく簡便、かつ迅速に検出感度の予測が可能となるという利点がある。そして、高濃度の抗体にも好適に適用できるため、検出シグナルが低下する等の特性を有する、表面積の小さい反応器、例えばマイクロ流路を使用する検出装置でも容易に利用できる。更には、抗体特性値と測定値から新規な装置の装置パラメーターを、また測定値と装置パラメーターから新規な抗体の抗体特性値を求めることが出来るという利点もある。
[実施例1]
結合物質の価数が結合親和性解析に与える影響の検討
結合物質の価数の結合親和性解析(測定精度及び測定範囲)に与える影響を、抗原抗体反応系に利用して検討した。
〔方法〕
本実施例においては、結合物質(抗ビオチン抗体(フナコシ社より購入、商品コード番号UBC 1230-0661)を用いて、被検物質として該抗体に対する抗原であるビオチン(シグマ社製、製品番号B4639)を競合法により測定した。このとき、競合物質としては、該抗体に対する抗原であるビオチンをウシ血清アルブミン上に固定化したビオチン結合ウシ血清アルブミンを使用した。
かかるビオチン結合ウシ血清アルブミンは、以下の通り調製した。
ビオチン化試薬キット(EZ-Link Sulfo-NHS-LC-Biotinylation Kit、フナコシ社より購入、商品コード番号21430)を使用して、ウシ血清アルブミン(シグマ社製、製品番号A7030)にビオチンを結合することによって調製した。続いて、20 μg/ml-PBSとなるよう調製し、下記の実験に用いた。
抗原(競合)固定化ビーズの調製
ポリスチレンビーズ(90μm-φ:ガンツ化成製)約0.1gを約5mlのリン酸緩衝食塩水(以下「PBS」と称する:シグマ社製、製品番号P4417)で3回洗浄を行った。洗浄後、5mlのPBSに懸濁し、ビーズ懸濁液を得た。ビーズ懸濁液から200μlを分取し、ビーズをスピンダウンしてPBSを除いた後、上記にて調製した400μlの抗原(競合)−PBS溶液400μl(抗原濃度20μg/ml)と混合して4℃で一晩撹拌し、ビーズに抗原(競合)を固定化した。抗原(競合)固定化後のビーズを400μlのTween20含有リン酸緩衝食塩水(以下「PBS-T」と称する:シグマ社製、製品番号P3563)で3回洗浄した。続いて、400μlのブロッキング剤(ブロックエース:大日本住友製薬製、カタログ番号UK-B80:滅菌水にて1%濃度に調製)を添加し、室温で2時間撹拌した。その後、400μlのPBS-Tで3回洗浄を行った後、200μlのPBS-Tにビーズを懸濁させて4℃にて実験まで保存した。
(競合反応)
まず、抗体(結合物質)を量子ドット標識キット(Qdot(登録商標)655抗体標識キット:住商バイオサイエンス社より購入、商品番号2202-1J)にて、添付のプロトコールに従って標識し、標識化抗体を調製した。そして、ブロックエース(滅菌水にて1%濃度に調製)中に、かかる標識化抗体を0.1μg/ml、標識化抗体に対する抗体(抗抗体(架橋物質))をそれぞれ0.1μg/ml、0.01μg/ml、0.001μg/mlのいずれか、すなわち標識化抗体/抗抗体(結合物質/架橋物質)=1、10、100の比率となるように混合し、室温で1時間静置した。次に、検出対象の抗原(被検物質)を10倍希釈系列で40μg/mlから0.004μg/mlになるようにブロックエースにて希釈した試料を調製すると共に、ブランク試料としてブロックエースのみの試料も用意した。これら抗原溶液を、室温で1時間静置した抗体溶液と1:1の比率で混合して以下の実験に用いた。ここでは、抗抗体として、抗マウスIgG抗体(シグマ社製:製品番号M1397)を使用した。続いて、上記で調製した15μlの抗原(競合)固定化ビーズの懸濁液を100μlのブロックエースで3回洗浄後、上記で調製した抗原(被検)濃度既知の試料50μlを添加し室温で1時間振盪し反応させた。反応後のビーズを100μlのブロックエースで3回洗浄した後、ビーズの蛍光強度を蛍光顕微鏡で測定した。測定後、試料中の抗原(被検)濃度が0の時の蛍光強度を100%として、各試料中の抗原(被検)濃度での蛍光強度の相対値を算出した。そして、蛍光強度の、試料中の抗原(被検)濃度に対する経験的検量線より検量線の傾きを算出した(表1)。具体的には、4パラメーターロジスティックモデルに基づいて算出した。該検量線は市販のマイクロプレートリーダーMODEL 680解析システム(バイオラッド社製)等のELISAデータ分析ソフトにより算出できる。
[比較例1]
〔方法〕
上記実施例1と同様、実施例1にて調製した標識化抗体(結合物質)を0.1μg/mlとなるようブロックエース(滅菌水にて1%濃度に調製)にて希釈した。検出対象の抗原(被検物質)も同様に10倍希釈系列で40μg/mlから0.004μg/mlになるようにブロックエースにて希釈した試料を調製すると共に、ブランク試料としてブロックエースのみの試料も用意した。これら抗原溶液と抗体溶液を1:1の比率で混合した。次に、上記実施例1で調製した15μlの抗原(競合)固定化ビーズの懸濁液をブロックエースで3回洗浄後、実施例1と同様にして、抗原(被検)濃度既知の試料50μlと標識化抗体と混合し室温で1時間振盪し反応させた。実施例1と同様にして、反応後のビーズの蛍光強度を測定し、蛍光強度の、試料中の抗原(被検)濃度に対する経験的検量線より、検量線の傾きを算出した(表1)。
[比較例2]
〔方法〕
実施例1の抗抗体(架橋物質)に代え、実施例1の抗抗体と同一の形状ではあるが、被検物質であるビオチンにも本実施例で使用した標識化抗体(結合物質)にも反応しない抗体(マウスIgG:シグマ社製、製品番号15381)を、上記実施例1で調製した標識化抗体に対して1の割合で添加した。それ以外は、実施例1と同様にして競合反応に供した。そして、実施例1と同様にして、反応後のビーズの蛍光強度を測定し、蛍光強度の、各試料中の抗原(被検)濃度に対する経験的検量線より検量線の傾きを算出した(表1)。
Figure 2008058007
〔結果〕
表1に、実施例1及び比較例1、2において得られた検量線の傾きを示すと共に、図3に実施例(結合物質/架橋物質=1)、比較例1によって得られた検量線を示す。
表1、および図3に示す通り、実施例1において抗抗体(架橋物質)の添加量を増やす毎に、検量線の傾きが大きくなることが判明した。つまり、抗体(結合物質)に対する抗体である抗抗体は該抗体同士を結合する。そうして、抗抗体の添加量の増加により、抗体の抗体価数が大きくなる。したがって、抗体の抗体価数が大きくなることにより、検量線の傾きが大きくなることが導ける。
一方で、抗抗体を添加しない場合(比較例1)、及び本実施例に用いた抗体を架橋する能力のない抗体を添加した場合(比較例2)においては、検量線の傾きは同じであった。このことから、実施例1で判明した検量線の傾きの変動は、抗抗体による、抗体の架橋に起因するものであることが導かれる。
同時に、抗体の抗体価数が大きくなることにより、検量線の傾きが大きくなることから、抗体の抗体価数が大きくなることにより測定精度を向上できることも判明した。一方、抗体の抗体価数が小さいと広範な測定範囲の測定が可能であることから、測定系に用いる抗体の抗体価数の制御により、測定精度と測定範囲を簡便かつ迅速に制御できることも判明した。
[実施例2]競合法における検出感度の調整
競合法における検出感度の調整につき検討した。具体的には、本実施例においては、抗原抗体反応に基づく競合法において、抗体特性値と、抗原・抗体の組み合わせによらない装置パラメーターとから、抗体濃度に関係なく適用できる理論検量線を提供するべく検討を行った。
〔方法〕
(1)被検物質の測定:実験値
本実施例においては、被検物質としてビオチン(シグマ社製、製品番号B4639)を、該被検体物質に対する結合物質(抗ビオチン抗体:シグマ社製、製品番号B3640)を用いて競合法により測定した。このとき、競合物質としては、該抗ビオチン抗体に対する抗原であるビオチンをウシ血清アルブミン上に固定化したビオチン結合ウシ血清アルブミンを使用した。
かかるビオチン結合ウシ血清アルブミンは、実施例1と同様にして、20 μg/ml-PBSとなるよう調製し、下記の実験に用いた。
抗原(競合)固定化ビーズの調製
ポリスチレンビーズ(90μm-φ:ガンツ化成製)約0.1gを約5mlのリン酸緩衝食塩水(以下「PBS」と称する:シグマ社製、製品番号P4417)で3回洗浄を行った。洗浄後、5mlのPBSに懸濁し、ビーズ懸濁液を得た。ビーズ懸濁液から200μlを分取し、ビーズをスピンダウンしてPBSを除いた後、400μlの抗原(競合)−PBS溶液(抗原濃度20μg/ml)と混合して4℃で一晩撹拌し、ビーズに抗原(競合)を固定化した。抗原(競合)固定化後のビーズを400μlのTween20含有リン酸緩衝食塩水(以下「PBS-T」と称する:シグマ社製、製品番号P3563)で3回洗浄した。続いて、400μlのブロッキング剤(ブロックエース:大日本住友製薬製、カタログ番号UK-B80:滅菌水にて1%濃度に調製)を添加し、室温で2時間撹拌した。その後、400μlのPBS-Tで3回洗浄を行った後、200μlのPBS-Tにビーズを懸濁させて4℃にて実験まで保存した。
次に、上記保存ビーズ懸濁液から20μlを分取し、滅菌水100μlにて3回洗浄した。洗浄後のビーズ懸濁液をマイクロ流路チップに導入し、ビーズがほぼ風乾された状態でシール(Advanced Polyolefin Microplate Sealing Tape:3M社製)にて封着し流出を防止した。なお封入されるビーズの個数は約70個となるように作製し、蛍光を持つ混入物(ホコリ等)が無いことを事前に蛍光顕微鏡で確認後に以下の反応に使用した。
競合反応
まず、抗体(結合物質)を量子ドット標識キット(Qdot(登録商標)655抗体標識キット:住商バイオサイエンス社より購入、商品番号2202-1J)にて、添付のプロトコールに従って標識した。調製した標識化抗体(結合物質)を0.05μg/ml、検出対象抗原(被検物質)を10倍希釈系列で10μg/mlから0.001μg/mlになるように反応用バッファーにて希釈した試料を調製すると共に、ブランク試料として標識化抗体のみの試料も用意した。調製した試料50μl、洗浄用バッファー200μlを、夫々シリンジにて分取し、シリンジポンプに設置した。まず試料を分取したシリンジと上記で調製したマイクロ流路チップをシリコンチューブで接続し、シリンジポンプ(KD Scientific、Model 210)を使用して1μl/minで20μl送液した。次に、試料用シリンジを外してから、洗浄用バッファーを分取したシリンジを同様にマイクロ流路チップに接続して1000μl/minで40μl送液した。送液終了後、直ちに蛍光顕微鏡で蛍光強度を測定した。そして、抗原(被検)の濃度が0の時の蛍光強度を100%として、各抗原(被検)濃度での蛍光強度の相対値を算出した。
ここで、ここで、使用したバッファーは以下の通り調製した。
・反応用バッファー、及び洗浄用バッファー
リン酸緩衝食塩水(シグマ社製、製品番号P4417の錠剤を1錠、精製水200 mlに溶解して調製)を89 ml、4%ブロックエース(大日本住友製薬製、カタログ番号GJ-1388-03)を10 ml、1(w/v)% TritonX-100(Sigma社製、製品番号T9284を精製水で希釈して調製)を1 mlの割合で混合して調製した。
(2)装置パラメーターの決定、および理論検量線の作成
ここでは、上記(1)で得られた測定結果と理論検量線を比較した。具体的には、理論検量線を作成すると共に、装置パラメーターを決定した。
このとき、計算の前提となる各値は、以下の通りであった。
・抗体濃度0.05μg/ml
・固定抗原(競合)総数1010分子
・抗原(被検)濃度0〜10ppm
・フローセル容積0.075μl
そして、抗体特性値は以下の通りとした。
・抗原(被検)への結合速度定数kon=3×103 M-1s-1
・抗原(被検)への解離速度定数koff=1×10-3 s-1
・固定抗原(競合)への結合速度定数kon=1×107 M-1s-1
・固定抗原(競合)への解離速度定数koff=1×10-3 s-1
まず、送液前の抗体と抗原(被検)の結合を反応時間30分として式(1)に従って算出し、続いて、送液中の抗体と固定抗原(競合)の結合を反応時間20分として式(2)に従って4次ルンゲ・クッタ法を用いて近似計算した。この時に理論検量線が一致するように装置パラメーターを決定した。
Figure 2008058007
Figure 2008058007
(但し、式中、抗体初期濃度L、抗原(被検)初期濃度A、固定抗原(競合)初期濃度P、抗原(被検)・抗体結合濃度X、固定抗原(競合)・抗体結合濃度Y、抗原(被検)への結合速度定数konA、抗原(被検)への解離速度定数koffA、固定抗原(競合)への結合速度定数konP、固定抗原への解離速度定数koffPを指す。)
〔結果〕
装置パラメーターM=0.01を得た。
そして、上記(1)の被検物質の測定にて得られた各測定値を、図4中の「点」で示すと共に、(2)の理論検量線の作成にて得られた検量線を、図4中の「実線」で示す。
[実施例3]実験値と理論検量線の比較
実施例2で得られた装置パラメーターM=0.01を使用し、2種類の抗体に対する抗原の組み合わせ、また、2種類の抗原に対する抗体の組み合わせにおける理論検量線を算出し、この理論検量線を、別個に測定した実験値と比較した。
〔方法〕
抗原抗体の組み合わせは以下の通りである。
・抗ビオチン抗体(シグマ社製、製品番号B3640)−ビオチン結合ウシ血清アルブミン(実施例1と同様にして調製)
・抗ビオチン抗体(フナコシ社より購入、商品コード番号UCB 1230-0661)−ビオチン(シグマ社製、製品番号B4639:実施例1と同じものを使用)
そして、抗体として使用した、抗ビオチン抗体(シグマ社製、製品番号B3640)の抗体特性は以下の通りとした。(本組合せでは抗原と固定抗原は同一物質(ビオチン結合ウシ血清アルブミン)を使用)
・抗原(被検)への結合速度定数kon=1×107 M-1s-1
・抗原(被検)への解離速度定数koff=1×10-3 s-1
・固定抗原(競合)への結合速度定数kon=1×107 M-1s-1
・固定抗原(競合)への解離速度定数koff=1×10-3 s-1
そして、もう一方の抗体として使用した、抗ビオチン抗体(フナコシ社より購入、商品コード番号UCB 1230-0661)の抗体特性値は以下の通りであった。
・抗原(被検)への結合速度定数kon=2×103 M-1s-1
・抗原(被検)への解離速度定数koff=1×10-3 s-1
・固定抗原(競合)への結合速度定数kon=5×105 M-1s-1
・固定抗原(競合)への解離速度定数koff=1×10-3 s-1
他の手順、及び条件は、実施例2に従って算出した理論検量線と、実験値を比較した。
〔結果〕
結果を図5、6に示す。
ここで、図5は、抗ビオチン抗体(シグマ社製、製品番号B3640)と、ビオチン結合ウシ血清アルブミンの組み合わせの結果を示す。図6は、抗ビオチン抗体(フナコシ社より購入、商品コード番号UCB 1230-0661)とビオチンの組み合わせの結果を示す。
図5、6に示す通り、理論検量線と、実験値が一致した。
[比較例3]経験式による検量線の作成
本比較例においては、従来からの経験式からの検量線を作成し、得られた検量線と実測値との整合性を検討し、上記実施例2の結果と比較した。
〔方法〕
本比較例においては、実施例2と同様、被検物質ビオチン(シグマ社製、製品番号B4639)を、結合物質(抗ビオチン抗体:シグマ社製、製品番号B3640)を用いて競合法により測定した。このとき、競合物質としては、該抗ビオチン抗体に対する抗原であるビオチンをウシ血清アルブミン上に固定化したビオチン結合ウシ血清アルブミンを使用した。
実験値をもとに、具体的には、4パラメーターロジスティックモデルに基づいて算出した。該検量線は、市販のマイクロプレートリーダーMODEL 680解析システム(バイオラッド社製)等のELISAデータ分析ソフトにより算出できる。
Figure 2008058007
a:最大値(ゼロ点での測定値)
b:変曲点での傾き
c:変曲点での抗原濃度
d:バックグランド(抗原濃度無限大の時の測定値)
x:抗原濃度
y:測定値
〔結果〕
結果を図7に示す。
図7に示す通り、検量線と実測値は良好な一致を示したが、式(3)は経験式であるため、抗原・抗体・装置(測定条件)の組合せごとに予め測定値から検量線を求めておく必要がある点で煩雑な手順を要した。
[比較例4]
本比較例においては、装置パラメーターをM=1として理論検量線を作成し、得られた検量線と実測値との整合性を検討し、上記実施例2の結果と比較した。
〔方法〕
本比較例においても、実施例2と同様、被検物質としてビオチン(シグマ社製、製品番号B4639)を、結合物質(抗ビオチン抗体:シグマ社製、製品番号B3640)を用いて、を競合法により測定した。このとき、競合物質としては、該抗ビオチン抗体に対する抗原であるビオチンをウシ血清アルブミン上に固定化したビオチン結合ウシ血清アルブミンを使用した。
実際の測定値と、装置パラメーターM=1として算出した理論検量線を対比した。
〔結果〕
結果を図8に示す。
図8に示す通り、固定抗原(競合)への結合が過大に計算されるため実験値と理論検量線が解離した。
[実施例4]抗体濃度による検出濃度範囲の調整
本実施例においては、結合物質として使用する抗体濃度変更に対応した検出濃度範囲の調整につき検討した。
〔方法〕
実施例2で得た装置パラメーターM=0.01を使用し、実施例2と同様に、但し抗体濃度のみ0.3nMから30nMまで変更して理論検量線を計算した。
このとき、抗体特性値は以下の通りとした。
・抗原(被検)への結合速度定数kon=1×107 M-1s-1
・抗原(被検)への解離速度定数koff=1×10-3 s-1
・固定抗原(競合)への結合速度定数kon=1×107 M-1s-1
・固定抗原(競合)への解離速度定数koff=1×10-3 s-1
〔結果〕
結果を図9に示す。
図9に示す通り、抗体濃度に応じて検出濃度範囲が調整されることを確認した。したがって、本発明の方法によって、抗体濃度に関係なく適用できる理論検量線を提供できることが判明した。
[実施例5]装置パラメーターによる検出濃度範囲の調整
本実施例においては、装置パラメーターに変更に対応した検出濃度範囲の調整につき検討した。
〔方法〕
このとき、抗体特性値は以下の通りとした。
・抗原(被検物質)への結合速度定数kon=1×104 M-1s-1
・抗原への解離速度定数koff=1×10-3 s-1
・固定抗原への結合速度定数kon=1×107 M-1s-1
・固定抗原への解離速度定数koff=1×10-3 s-1
そして、抗体濃度を0.3nMとし、実施例2と同様に、但し装置パラメーターをM=0.0037からM=0.037まで変更して理論検量線を算出した。
〔結果〕
結果を図10に示す。図10に示す通り、装置パラメーターに応じて検出濃度範囲が調整された。
結合物質の価数と検量線の傾きとの関係をシュミレーションする(抗原抗体反応)説明図 結合物質の価数と検量線の傾きとの関係をシュミレーションする(抗原抗体反応)説明図 結合物質の価数の結合親和性解析に与える影響の検討をした実施例1及び比較例1の結果を示す図 理論検量線を作成し実測値と比較すると共に、装置パラメーターを決定した実施例2の結果を示すグラフ 抗ビオチン抗体(シグマ社製、製品番号B3640)とビオチン結合ウシ血清アルブミンの組み合わせでの理論検量線と実測値との整合性を検討した実施例3の結果を示すグラフ 抗ビオチン抗体(フナコシ社より購入、商品コード番号UCB 1230-0661)とビオチンの組み合わせでの理論検量線と実測値との整合性を検討した実施例3の結果を示すグラフ 経験式からの検量線を作成し、得られた検量線と実測値との整合性をの検討した比較例3の結果を示す図 装置パラメータM=1として理論検量線を作成し、得られた検量線と実測値との整合性を検討した比較例4の結果を示す図 抗体濃度に応じた検出濃度範囲の調整を検討した実施例4の結果を示す図 装置パラメーターに応じた検出濃度範囲の調整を検討した実施例5の結果を示す図

Claims (8)

  1. 結合親和性を利用する被検物質の測定方法であって、
    (i)前記被検物質に対する結合親和性を有する結合物質を、架橋物質により架橋処理する工程、
    (ii)前記被検物質と、前記結合物質に対する結合親和性において被検物質と競合する競合物質とを、前記工程(i)において架橋処理した結合物質に競合的に反応させる工程、
    (iii)前記結合物質と前記競合物質間での複合体の形成を測定する工程、を備える測定方法。
  2. 前記結合物質が、抗体である請求項1に記載の測定方法。
  3. 前記架橋物質が、結合物質に対する抗体である請求項1又は2に記載の測定方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の測定方法を実施するための試薬を備えた、結合親和性を利用する被検物質の測定用キット。
  5. 被検物質を測定するための結合親和性解析の制御方法であって、
    (i)前記被検物質に対する結合親和性を有する結合物質を、架橋物質により架橋処理する工程、
    (ii)前記被検物質と、前記結合物質に対する結合親和性において被検物質と競合する競合物質とを、前記工程(i)において架橋処理された結合物質に競合的に反応させる工程、
    (iii)前記結合物質と前記競合物質間での複合体の形成を測定する工程、を備えた試料中の被検物質の測定するための結合親和性解析において、
    工程(i)の架橋処理の制御を通して、前記結合物質の価数を変更することにより測定精度及び測定範囲の少なくとも一方を調整して結合親和性解析を制御する制御方法。
  6. 前記結合物質が、抗体である請求項5に記載の制御方法。
  7. 前記架橋物質が、結合物質に対する抗体である請求項5又は6に記載の制御方法。
  8. 請求項5〜7のいずれか一項に記載の制御方法を実施するための試薬を備えた、被検物質を測定するための結合親和性解析の制御用キット。
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