JP2008055470A - ろう付け用複合材及びそれを用いたろう付け製品 - Google Patents

ろう付け用複合材及びそれを用いたろう付け製品 Download PDF

Info

Publication number
JP2008055470A
JP2008055470A JP2006236069A JP2006236069A JP2008055470A JP 2008055470 A JP2008055470 A JP 2008055470A JP 2006236069 A JP2006236069 A JP 2006236069A JP 2006236069 A JP2006236069 A JP 2006236069A JP 2008055470 A JP2008055470 A JP 2008055470A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
brazing
layer
composite material
clad
mass
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2006236069A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4821520B2 (ja
Inventor
Hideyuki Sagawa
英之 佐川
Hiromitsu Kuroda
洋光 黒田
Kazuma Kuroki
一真 黒木
Fumio Horii
文夫 堀井
Nobuhito Sakuyama
信人 作山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Cable Ltd
Original Assignee
Hitachi Cable Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Cable Ltd filed Critical Hitachi Cable Ltd
Priority to JP2006236069A priority Critical patent/JP4821520B2/ja
Publication of JP2008055470A publication Critical patent/JP2008055470A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4821520B2 publication Critical patent/JP4821520B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

【課題】ろう付けによる基材の薄肉化を低減し、加工性に優れ、製造コストが安価で、かつ、所望の耐食性及び湯流れ性を有するろう付け用複合材及びそれを用いたろう付け製品を提供するものである。
【解決手段】本発明に係るろう付け用複合材は、少なくとも2種以上の金属のクラッド材で構成され、アルミニウム或いはアルミニウム合金層2の他に、ニッケル層1、チタン層3、鉄−ニッケル合金層4も含んでいる。
【選択図】図1

Description

本発明は、ろう付け性能及び加工性を向上させ、かつ、耐食性を有したろう付け用複合材及びそれを用いたろう付け製品に関するものであり、特に、熱交換器(排ガス再循環装置(EGR)用クーラや燃料電池改質器用クーラなど)および燃料電池用部材のろう付け用複合材及びそれを用いたろう付け製品に関するものである。
自動車用オイルクーラの接合材として、ステンレス基ろう付け用クラッド材が使用されている。これは、ステンレス鋼板の片面、あるいは両面にろう材としての機能をもつ銅がクラッドされている。また、ステンレス鋼や、ニッケル基又はコバルト基合金などの部品のろう付け材として、接合部の耐食性に優れる各種ニッケルろうに、Ni、Cr、Ni−Cr合金のうち選ばれた金属粉末を4wt%〜25wt%添加して構成されるニッケルろう材が提案されている。
また、自己ろう付け性クラッド材を作る方法として、Ni−Tiクラッド材の製造法がある。
特開平7−299592号公報 特開2000−107883号公報 特開2005−186106号公報 特開2003−117683号公報 特開2004−291078号公報
自動車用オイルクーラの接合材としてのステンレス基ろう付け用クラッド材は、ろう材の機能を持つ銅が、ステンレス鋼板の片面あるいは両面にクラッドされている。オイルクーラに、このステンレス基ろう付け用クラッド材を使用した場合、ろう材としての銅は使用上の耐食性に全く問題はない。
しかしながら、このステンレス基ろう付け用クラッド材を、燃料電池用熱交換器、或いはEGR(Exhaust Gas Recirculation:排ガス再循環装置)クーラ接合用など、耐食・耐熱環境下(腐食性・高温環境下)でろう材として使用した場合、耐食性に著しい問題が生じる。すなわち、燃料電池用熱交換器やEGRクーラ内には、高温かつ腐食性の高い溶液あるいは排気ガスなどが循環されるため、従来の銅ろう材では、耐食性が十分でなく使用ができない。
特許文献1に記載されているようなNi−Tiクラッド材は、ろう材として機能する合金の特定の組成範囲において、ろう付け時にろう材が基材を大幅に侵食し、基材の薄肉化(基材食われ)が生じてしまう。その結果、ろう付け接合部の強度低下が問題となる。
特許文献2に記載されている粉末ニッケルろう材、及びJISに記載のニッケルろう材は、粉末状であるため、接合部毎に粉末ろう材を添付(配置)する作業が必要になるため、多大な労力を費やし、製品の生産性が著しく低く、高コストな製品とならざるを得ない。また、同じくJISに記載のアモルファスニッケルろう材は非常に脆いため、加工及びろう付け組み立て時の取り扱いが難しく、製造コスト(加工コスト)が高いという問題があった。
そこで本発明の目的は、ろう付けによる基材の薄肉化を低減し、加工性に優れ、製造コストが安価で、かつ、所望の耐食性及び湯流れ性を有するろう付け用複合材及びそれを用いたろう付け製品を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、少なくとも2種以上の金属で構成される複合材であり、その複合材がニッケル層、チタン層、鉄−ニッケル合金層、アルミニウム或いはアルミニウム合金層を含むことを特徴とするろう付け用複合材である。
請求項2の発明は、少なくとも2種以上の金属で構成される複合材であり、その複合材がニッケル層、アルミニウム或いはアルミニウム合金層、チタン層、鉄−ニッケル合金層の順に積層させた構造であることを特徴とするろう付け用複合材である。
請求項3の発明は、複合材全体のAl濃度が1mass%以上である請求項1又は2記載のろう付け用複合材である。
請求項4の発明は、複合材全体のAl濃度が1mass%以上、かつ、Fe濃度が5〜45mass%である請求項1又は2記載のろう付け用複合材である。
請求項5の発明は、ステンレス鋼製の基材の片面もしくは両面に、少なくとも2種以上の金属で構成される複合材からなるろう付け層を複合一体化してなり、そのろう付け層がニッケル層、チタン層、鉄−ニッケル合金層、アルミニウム或いはアルミニウム合金層を含むことを特徴とするろう付け用複合材である。
請求項6の発明は、ステンレス鋼製の基材の片面もしくは両面に、少なくとも2種以上の金属で構成される複合材からなるろう付け層を複合一体化してなり、そのろう付け層が、基材側からニッケル層、アルミニウム或いはアルミニウム合金層、チタン層、鉄−ニッケル合金層の順に積層させた構造であることを特徴とするろう付け用複合材である。
請求項7の発明は、ろう付け層全体のAl濃度が1mass%以上である請求項5又は6記載のろう付け用複合材である。
請求項8の発明は、ろう付け層全体のAl濃度が1mass%以上、かつ、Fe濃度が5〜45mass%である請求項5又は6記載のろう付け用複合材である。
請求項9の発明は、請求項1〜8いずれかに記載のろう付け用複合材を用いてろう付け接合されたことを特徴とするろう付け製品である。
本発明のろう付け用複合材によれば、ろう付けによる基材の薄肉化(基材食われ)を低減し、加工性に優れ、製造コストが安価で、かつ、良好な耐食性及び湯流れ性を得ることができる。
以下本発明の実施の形態を添付図面に基いて説明する。
本発明者らが、ろう付け用複合材(クラッド材)の構成について種々検討した結果、ろう材を構成する材料を、所定の構成に選定することで、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明者らは、ろう材の一部としてAl又はAl合金を加えることで、ろう付け後のろう材部の耐食性、特に耐高温酸化性が向上でき、また、ろう材部をNi、Ti、Fe−Ni合金を用いた構成にすることで、金属単体の融点を低下させたろう材として機能させることができることを見出した。また、ろう材中にFe−Ni合金を用いることで、Fe系材料のろう付け接合を行う際、同時に母材(Fe系材料、基材)の食われを抑制できることを見出した。
図1に示すように、本実施の形態に係るろう付け用複合材は、少なくとも2種以上の金属のクラッド材で構成され、アルミニウム或いはアルミニウム合金層2を含み、そのAl濃度が1mass%以上であることに特徴がある。
具体的には、ろう付け用複合材は、アルミニウム或いはアルミニウム合金層2の他に、ニッケル層1、チタン層3、鉄−ニッケル合金層4を含んでおり、好ましくは、ニッケル層1、アルミニウム或いはアルミニウム合金層2、チタン層3、鉄−ニッケル合金層4の順に積層させた構造である。ろう付け用複合材(ろう材)全体のAl濃度は1mass%以上、かつ、Fe濃度は5〜45mass%である。
上述した本実施の形態に係るろう付け用複合材を、基材と被ろう付け材の所望のろう付け接合箇所に配置し、ろう付けすることで、基材と被ろう付け材がろう付け接合部を介してろう付けされ、本実施の形態に係るろう付け製品が得られる。
次に、本実施の形態の作用を説明する。
本実施の形態に係るろう付け用複合材は、ろう材中に占めるAl濃度の割合を1mass%以上としている。これは、Al濃度が1mass%未満であると、十分な耐食性、特に耐酸化性が得にくいためである。
また、本実施の形態に係るろう付け用複合材は、ろう材中に占めるFe濃度の割合を5〜45mass%としている。これは、Fe濃度が5mass%未満であると、Fe系材料(母材)のろう付けをする際、母材の侵食が大きくなり、母材の食われが多くなるためである。一方、Fe濃度が45mass%を超えると、ろうの湯流れ性及び耐食性が低下するためである。
このように、ろう材全体のAl濃度を1mass%以上、かつ、Fe濃度を5〜45mass%とすることで、ろうの湯流れ性及び耐食性が良好で、ろう付け時における母材薄肉化の低減を図ることができる。
また、本実施の形態に係るろう付け用複合材は、ろう材の構成材料として、ニッケル、アルミニウム或いはアルミニウム合金、チタン、鉄−ニッケル合金を選定している。これは、これらの材料が汎用品であり、比較的容易に板或いは箔形状で入手可能であり、かつ、圧延、プレス、絞り加工が可能であるためである。また、これらの材料で構成されたろう材部を、ろう付け時の熱処理によって溶融・混合することで、優れた耐食性が得られる。本実施の形態に係るろう付け用複合材は、プレスなどの加工が容易であるため、ろう付け製品の生産性に優れる、すなわちろう付け製品の製造コストが安価となる。
また、本実施の形態に係るろう付け用複合材は、アルミニウム或いはアルミニウム合金層2をろう材中の最外層ではなく、中心側に配置している。これは、ろう材を構成する金属の中で、比較的融点が低いアルミニウム或いはアルミニウム合金層2が最外層に位置していると、ろう材成分が十分に混ざり合う前に流れてしまうか、もしくはろう付け後のろうが不均一な組成となるためである。アルミニウム或いはアルミニウム合金層2をろう材中の中心側に配置することで、このような不具合が生じるのを防ぐことができる。
次に、本発明の他の実施の形態を添付図面に基いて説明する。
図2に示すように、本実施の形態に係るろう付け用複合材は、ステンレス鋼製の基材5の上面(片面)に、少なくとも2種以上の金属で構成される複合材からなるろう付け層を複合一体化してなり、そのろう付け層が、アルミニウム或いはアルミニウム合金層2を含み、そのAl濃度が1mass%以上であることに特徴がある。
具体的には、ろう付け用複合材は、基材5の上面に、アルミニウム或いはアルミニウム合金層2の他に、ニッケル層1、チタン層3、鉄−ニッケル合金層4を含むろう付け層を設けてなり、好ましくは、基材5側から、ニッケル層1、アルミニウム或いはアルミニウム合金層2、チタン層3、鉄−ニッケル合金層4の順に積層させた構造のろう付け層を有する。ろう付け層(ろう材)全体のAl濃度は1mass%以上、かつ、Fe濃度は5〜45mass%である。
アルミニウム或いはアルミニウム合金層2は、ろう材の最外層ではなく、中心側に配置することが好ましい。これは、基材5とろう材を一体化させたクラッド材の場合、基材5と低融点のアルミニウム或いはアルミニウム合金層2とが接していると、ろう付け熱処理の過程で、基材5とろう材が著しく反応してしまうためである。
本実施の形態によれば、基材5とろう付け層を複合一体化しているため、ろう付け時に、ろう材をろう付け箇所に配置する手間が省け、前実施の形態に係るろう付け用複合材と比べて、ろう付け作業性が更に向上する。
本実施の形態に係るろう付け用複合材のろう付け層自体は、前実施の形態に係るろう付け用複合材と同じであるため、本実施の形態に係るろう付け用複合材においても、前実施の形態に係るろう付け用複合材と同様の効果が得られる。
ろう付け層は基材5の上面だけでなく、図3に示すように、上面と下面の両面に設けてもよい。また、基材5の形状は、板状に限定するものではなく、図4に示すように、棒状又はワイヤ状のものであってもよい。この棒状又はワイヤ状の基材5の周囲全面にろう付け層を複合一体化して設けることで、棒状又はワイヤ状のろう付け用複合材を得ることができる。
本実施の形態に係るろう付け用複合材は、EGR用クーラや燃料電池改質器用クーラなどの熱交換器や、燃料電池用部材のろう材のみに限定されるものではなく、高耐食性が要求される接合分野においては、その用途が限定されないのは言うまでもない。
(実施例1)
各ろう材構成元素の単位体積あたりの重量濃度が、Ni:Ti:Al:Fe=48:29:3:20になるように素材の投入厚さを調整した後、Ni条、Al条、Ti条、インバー(登録商標)条を圧延法によりクラッドし、クラッド材を作製した。更に圧延を繰り返し、Ni層、Al層、Ti層、インバー層の合計の厚さを70μmとした。ステンレス鋼(SUS304)板の上に、Ni層を下面にした本クラッド材を載せ、更にその上にステンレス鋼(SUS304)パイプを置いた後、管状炉中、1200℃でろう付け加熱し、ろう付け特性を評価した。
(実施例2)
各ろう材構成元素の単位体積あたりの重量濃度が、Ni:Ti:Al:Fe=48:29:3:20になるように素材の投入厚さを調整した後、Ni条、Al−Fe条、Ti条、インバー(登録商標)条を圧延法によりクラッドし、クラッド材を作製した。更に圧延を繰り返し、Ni層、Al−Fe層、Ti層、インバー層の合計の厚さを70μmとした。ステンレス鋼(SUS304)板の上に、Ni層を下面にした本クラッド材を載せ、更にその上にステンレス鋼(SUS304)パイプを置いた後、管状炉中、1200℃でろう付け加熱し、ろう付け特性を評価した。
(実施例3)
各ろう材構成元素の単位体積あたりの重量濃度が、Ni:Ti:Al:Fe=49:30:1:20になるように素材の投入厚さを調整した後、ステンレス鋼(SUS304)条の表面から順に、Ni条、Al条、Ti条、インバー(登録商標)条を圧延法によりクラッドし、クラッド材を作製した。更に圧延を繰り返し、Ni層、Al層、Ti層、インバー層の合計の厚さを70μmとした。本クラッド材の上にステンレス鋼(SUS304)パイプを置いた後、管状炉中、1200℃でろう付け加熱し、ろう付け特性を評価した。
(実施例4)
各ろう材構成元素の単位体積あたりの重量濃度が、Ni:Ti:Al:Fe=57:35:3:5になるように素材の投入厚さを調整した後、ステンレス鋼(SUS304)条の表面から順に、Ni条、Al条、Ti条、インバー(登録商標)条を圧延法によりクラッドし、クラッド材を作製した。更に圧延を繰り返し、Ni層、Al層、Ti層、インバー層の合計の厚さを70μmとした。本クラッド材の上にステンレス鋼(SUS304)パイプを置いた後、管状炉中、1200℃でろう付け加熱し、ろう付け特性を評価した。
(実施例5)
各ろう材構成元素の単位体積あたりの重量濃度が、Ni:Ti:Al:Fe=32:20:3:45になるように素材の投入厚さを調整した後、ステンレス鋼(SUS304)条の表面から順に、Ni条、Al条、Ti条、インバー(登録商標)条を圧延法によりクラッドし、クラッド材を作製した。更に圧延を繰り返し、Ni層、Al層、Ti層、インバー層の合計の厚さを70μmとした。この時のろう材部のAl濃度は3mass%、Fe濃度は45mass%である。本クラッド材の上にステンレス鋼(SUS304)パイプを置いた後、管状炉中、1200℃でろう付け加熱し、ろう付け特性を評価した。
(比較例1)
各ろう材構成元素の単位体積あたりの重量濃度が、Ni:Ti:Fe=50:30:20になるように素材の投入厚さを調整した後、Ni条、Ti条、インバー(登録商標)条を圧延法によりクラッドし、クラッド材を作製した。更に圧延を繰り返し、Ni層、Ti層、インバー層の合計の厚さを70μmとした。ステンレス鋼(SUS304)板の上に、Ni層を下面にした本クラッド材を載せ、更にその上にステンレス鋼(SUS304)パイプを置いた後、管状炉中、1200℃でろう付け加熱し、ろう付け特性を評価した。
(比較例2)
各ろう材構成元素の単位体積あたりの重量濃度が、Ni:Ti:Fe=50:30:20になるように素材の投入厚さを調整した後、ステンレス鋼(SUS304)条の表面から順に、Ni条、Ti条、インバー(登録商標)条を圧延法によりクラッドし、クラッド材を作製した。更に圧延を繰り返し、Ni層、Ti層、インバー層の合計の厚さを70μmとした。本クラッド材の上にステンレス鋼(SUS304)パイプを置いた後、管状炉中、1200℃でろう付け加熱し、ろう付け特性を評価した。
(比較例3)
各ろう材構成元素の単位体積あたりの重量濃度が、Ni:Ti:Al:Fe=49.1:30.1:0.8:20になるように素材の投入厚さを調整した後、ステンレス鋼(SUS304)条の表面から順に、Ni条、Al条、Ti条、インバー(登録商標)条を圧延法によりクラッドし、クラッド材を作製した。更に圧延を繰り返し、Ni層、Al層、Ti層、インバー層の合計の厚さを70μmとした。本クラッド材の上にステンレス鋼(SUS304)パイプを置いた後、管状炉中、1200℃でろう付け加熱し、ろう付け特性を評価した。
(比較例4)
各ろう材構成元素の単位体積あたりの重量濃度が、Ni:Ti:Al:Fe=58:35:3:4になるように素材の投入厚さを調整した後、ステンレス鋼(SUS304)条の表面から順に、Ni条、Al条、Ti条、インバー(登録商標)条を圧延法によりクラッドし、クラッド材を作製した。更に圧延を繰り返し、Ni層、Al層、Ti層、インバー層の合計の厚さを70μmとした。本クラッド材の上にステンレス鋼(SUS304)パイプを置いた後、管状炉中、1200℃でろう付け加熱し、ろう付け特性を評価した。
(比較例5)
各ろう材構成元素の単位体積あたりの重量濃度が、Ni:Ti:Al:Fe=31:19:3:47になるように素材の投入厚さを調整した後、ステンレス鋼(SUS304)条の表面から順に、Ni条、Al条、Ti条、インバー(登録商標)条を圧延法によりクラッドし、クラッド材を作製した。更に圧延を繰り返し、Ni層、Al層、Ti層、インバー層の合計の厚さを70μmとした。本クラッド材の上にステンレス鋼(SUS304)パイプを置いた後、管状炉中、1200℃でろう付け加熱し、ろう付け特性を評価した。
(比較例6)
各ろう材構成元素の単位体積あたりの重量濃度が、Ni:Al:Mn=68:20:12になるように素材の投入厚さを調整した後、ステンレス鋼(SUS304)条の表面から順に、Al条、Ni−Mn条を圧延法によりクラッドし、クラッド材を作製した。更に圧延を繰り返し、Ni−Mn層、Al層の合計の厚さを70μmとした。本クラッド材の上にステンレス鋼(SUS304)パイプを置いた後、管状炉中、1200℃でろう付け加熱し、ろう付け特性を評価した。
(比較例7)
各ろう材構成元素の単位体積あたりの重量濃度が、Ni:Al=45:55になるように素材の投入厚さを調整した後、ステンレス鋼(SUS304)条の表面から順に、Al条、Ni条を圧延法によりクラッドし、クラッド材を作製した。更に圧延を繰り返し、Ni層、Al層の合計の厚さを70μmとした。本クラッド材の上にステンレス鋼(SUS304)パイプを置いた後、管状炉中、1200℃でろう付け加熱し、ろう付け特性を評価した。
(比較例8)
各ろう材構成元素の単位体積あたりの重量濃度が、Ni:Al:Zn=42:25:33になるように素材の投入厚さを調整した後、ステンレス鋼(SUS304)条の表面から順に、Al条、Zn条、Ni条を圧延法によりクラッドし、クラッド材を作製した。更に圧延を繰り返し、Ni層、Zn層、Al層の合計の厚さを70μmとした。本クラッド材の上にステンレス鋼(SUS304)パイプを置いた後、管状炉中、1200℃でろう付け加熱し、ろう付け特性を評価した。
(比較例9)
各ろう材構成元素の単位体積あたりの重量濃度が、Al:Cu:Ti=3:64:33になるように素材の投入厚さを調整した後、ステンレス鋼(SUS304)条の表面から順に、Ti条、Cu条、Al条を圧延法によりクラッドし、クラッド材を作製した。更に圧延を繰り返し、Al層、Cu層、Ti層の合計の厚さを70μmとした。本クラッド材の上にステンレス鋼(SUS304)パイプを置いた後、管状炉中、1200℃でろう付け加熱し、ろう付け特性を評価した。
(比較例10)
各ろう材構成元素の単位体積あたりの重量濃度が、Al:Ni:Ti:Cu=4:24:24:48になるように素材の投入厚さを調整した後、ステンレス鋼(SUS304)条の表面から順に、Cu条、Ti条、Ni条、Al条を圧延法によりクラッドし、クラッド材を作製した。更に圧延を繰り返し、Al層、Ni層、Ti層、Cu層の合計の厚さを70μmとした。本クラッド材の上にステンレス鋼(SUS304)パイプを置いた後、管状炉中、1200℃でろう付け加熱し、ろう付け特性を評価した。
(従来例1)
クラッド材の材料としてステンレス鋼(SUS304)条、銅条を用い、圧延法により2層構造のろう付け用クラッド材を作製した。また、銅層の厚さが70μmになるように圧延加工を行った。本クラッド材を管状炉で1120℃に加熱し、ろう層を溶融させた後、ろう付け特性を評価した。
(従来例2)
ステンレス鋼(SUS304)条の片面に、市販の粉末Niろう材(Ni−19mass%Cr−10mass%Si)を合成樹脂バインダで溶いたものを塗布し、ろう材を作製した。本ろう材を管状炉で1180℃に加熱し、ろう層を溶融させた後、ろう付け特性を評価した。
表1は、実施例、比較例、および従来例のろう付け用クラッド材、または市販の粉末ろう材に対して、ろう付け後の基材の残存率、腐食試験の結果、フィレット形成状態(湯流れ性)、ろう付け生産性を比較し、それぞれのろう材の総合評価を行ったものである。
基材の残存率については、ろう付け前後の基材の板厚変化を断面観察によって測定し、板厚の平均減少率及び最大減少率について評価した。
腐食試験は、次の2種の方法で評価した。第一の方法として、塩素イオン、硝酸イオン、硫酸イオンを含んだ腐食性溶液中に試料を1000h浸漬し、取り出した後のろう付け部について詳細な観察を行い、腐食の発生の有無を調査した。第二の方法として、ろう付け試料を600℃の大気中で最大300h保持し、腐食による重量変化量及び腐食生成物の生成量により評価した。
強度試験は、各々のろう材を用いてステンレス鋼部材同士を接合し、部材同士の接合面と垂直方向に応力を加える引張試験を行い、その引張強度により評価した。試験温度は常温とした。
湯流れ性については、ろう付け熱処理した後のステンレス鋼基材/ステンレス鋼パイプ接合部に形成されるフィレットの形状及び断面積により評価した。
Figure 2008055470
表1に示すように、ろう材中を占めるFe濃度が同じ20mass%であっても、インバー/Ti/Niというろう材部の構成を持つ比較例1,2は、腐食試験、特に600℃での酸化試験で不十分の結果となった。これに対し、Alをろう材中に添加し、インバー/Ti/Al/Niというろう材部の構成を持つ実施例1,2については、十分な耐食性を確保することができた。
また、インバー/Ti/Al/Niというろう材部の構成で、同じくFe濃度を20mass%とした場合、実施例3に示すように、Al濃度が1mass%以上であれば、耐食性能を十分確保できるが、比較例3に示すように、Al濃度が0.8mass%では、十分な耐食性が得られないことがわかった。このことから、腐食環境下で良好な耐食性を得るためのろう材中のAl濃度は、1mass%以上であることがわかった。
Al濃度が1mass%以上であっても、ろう材中にTiを含まない比較例6〜8については、浸漬腐食試験の結果で実施例のろう材よりも劣ることがわかった。また、これら比較例6〜8の他、比較例9に示すAl/Cu/Ti/SUS、比較例10に示すAl/Ni/Ti/Cu/SUSは、強度試験の結果、実施例のろう材よりも劣ることがわかった。
次に、ろう材中のAl濃度を3mass%の一定とした場合、Fe濃度が5mass%及び45mass%の実施例4,5では、ろう材中の基材残存率が良好で、かつ、腐食試験でも問題ないことがわかった。また、湯流れ性も良好であった。これに対して、比較例4のように、Fe濃度が4mass%と少ない場合、基材の食われを十分に抑制することができなかった。逆に、比較例5のように、Fe濃度が47mass%と多い場合、基材の食われは抑制できるものの、耐食性が不十分であることに加え、Fe濃度の増加に伴い融点が上昇し、湯流れ性が悪くなることがわかった。このことから、ろう材中のFe濃度としては、5〜45mass%が適正であることがわかった。
その他、Fe−Ni合金として、インバー合金の代わりに42アロイを用いて試験を行った結果、同様の効果が得られることを確認した。
金属層の積層構造に関しては、Tiを最外層とした場合、ろう付け熱処理の過程で外気(O,N,Cなど)と反応しやすいため、湯流れが低下することがわかった。また、Alを最外層とした場合、1200℃程度のろう付け温度に対して、Alの融点が660℃と十分に低いため、ろう材部の溶融・混合が十分に行われる前に、Al成分のみが特定の接合箇所へ流れてしまう不具合が生じることがわかった。つまり、ろう材部の積層構造としては、インバー/Ti/Al/Niが望ましい。
本発明の好適一実施の形態に係るろう付け用複合材の横断面図である。 本発明の他の好適一実施の形態に係るろう付け用複合材の横断面図である。 図2の第1変形例を示す図である。 図2の第2変形例を示す図である。
符号の説明
1 ニッケル層
2 アルミニウム或いはアルミニウム合金層
3 チタン層
4 鉄−ニッケル合金層

Claims (9)

  1. 少なくとも2種以上の金属で構成される複合材であり、その複合材がニッケル層、チタン層、鉄−ニッケル合金層、アルミニウム或いはアルミニウム合金層を含むことを特徴とするろう付け用複合材。
  2. 少なくとも2種以上の金属で構成される複合材であり、その複合材がニッケル層、アルミニウム或いはアルミニウム合金層、チタン層、鉄−ニッケル合金層の順に積層させた構造であることを特徴とするろう付け用複合材。
  3. 複合材全体のAl濃度が1mass%以上である請求項1又は2記載のろう付け用複合材。
  4. 複合材全体のAl濃度が1mass%以上、かつ、Fe濃度が5〜45mass%である請求項1又は2記載のろう付け用複合材。
  5. ステンレス鋼製の基材の片面もしくは両面に、少なくとも2種以上の金属で構成される複合材からなるろう付け層を複合一体化してなり、そのろう付け層がニッケル層、チタン層、鉄−ニッケル合金層、アルミニウム或いはアルミニウム合金層を含むことを特徴とするろう付け用複合材。
  6. ステンレス鋼製の基材の片面もしくは両面に、少なくとも2種以上の金属で構成される複合材からなるろう付け層を複合一体化してなり、そのろう付け層が、基材側からニッケル層、アルミニウム或いはアルミニウム合金層、チタン層、鉄−ニッケル合金層の順に積層させた構造であることを特徴とするろう付け用複合材。
  7. ろう付け層全体のAl濃度が1mass%以上である請求項5又は6記載のろう付け用複合材。
  8. ろう付け層全体のAl濃度が1mass%以上、かつ、Fe濃度が5〜45mass%である請求項5又は6記載のろう付け用複合材。
  9. 請求項1〜8いずれかに記載のろう付け用複合材を用いてろう付け接合されたことを特徴とするろう付け製品。
JP2006236069A 2006-08-31 2006-08-31 ろう付け用複合材及びそれを用いたろう付け製品 Expired - Fee Related JP4821520B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006236069A JP4821520B2 (ja) 2006-08-31 2006-08-31 ろう付け用複合材及びそれを用いたろう付け製品

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006236069A JP4821520B2 (ja) 2006-08-31 2006-08-31 ろう付け用複合材及びそれを用いたろう付け製品

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008055470A true JP2008055470A (ja) 2008-03-13
JP4821520B2 JP4821520B2 (ja) 2011-11-24

Family

ID=39238829

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006236069A Expired - Fee Related JP4821520B2 (ja) 2006-08-31 2006-08-31 ろう付け用複合材及びそれを用いたろう付け製品

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4821520B2 (ja)

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002363707A (ja) * 2001-06-07 2002-12-18 Hitachi Cable Ltd ろう付け用複合材及びそれを用いたろう付け製品
JP2003117678A (ja) * 2001-10-11 2003-04-23 Hitachi Cable Ltd ろう付け用複合材及びそれを用いたろう付け製品
JP2004291078A (ja) * 2003-03-28 2004-10-21 Hitachi Cable Ltd ろう付け用複合材及びそれを用いたろう付け製品
JP2005238307A (ja) * 2004-02-27 2005-09-08 Hitachi Cable Ltd ろう付け用複合材及びその製造方法並びにろう付け製品
JP2006334605A (ja) * 2005-05-31 2006-12-14 Hitachi Cable Ltd ろう材及びそれを用いたろう付け製品
JP2006334603A (ja) * 2005-05-31 2006-12-14 Hitachi Cable Ltd ろう付け用複合材及びそれを用いたろう付け製品

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002363707A (ja) * 2001-06-07 2002-12-18 Hitachi Cable Ltd ろう付け用複合材及びそれを用いたろう付け製品
JP2003117678A (ja) * 2001-10-11 2003-04-23 Hitachi Cable Ltd ろう付け用複合材及びそれを用いたろう付け製品
JP2004291078A (ja) * 2003-03-28 2004-10-21 Hitachi Cable Ltd ろう付け用複合材及びそれを用いたろう付け製品
JP2005238307A (ja) * 2004-02-27 2005-09-08 Hitachi Cable Ltd ろう付け用複合材及びその製造方法並びにろう付け製品
JP2006334605A (ja) * 2005-05-31 2006-12-14 Hitachi Cable Ltd ろう材及びそれを用いたろう付け製品
JP2006334603A (ja) * 2005-05-31 2006-12-14 Hitachi Cable Ltd ろう付け用複合材及びそれを用いたろう付け製品

Also Published As

Publication number Publication date
JP4821520B2 (ja) 2011-11-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5157864B2 (ja) ろう付け用クラッド材及びろう付け製品
JP2006175506A (ja) ろう付け用クラッド材及びそれを用いたろう付け方法並びにろう付け製品
JP2006334602A (ja) ろう付け用複合材及びそれを用いたろう付け製品
JP2002363707A (ja) ろう付け用複合材及びそれを用いたろう付け製品
JP4507942B2 (ja) ろう付け用クラッド材及びそれを用いたろう付け製品
JP3765533B2 (ja) ろう付け用複合材及びそれを用いたろう付け製品
JP3915726B2 (ja) ろう付け用複合材及びそれを用いたろう付け製品
WO2000018537A1 (fr) Alliage de metaux d'apport de brasage pour structure brasee en acier inoxydable, et metal d'apport de brasage pour acier inoxydable
JP2006334603A (ja) ろう付け用複合材及びそれを用いたろう付け製品
JP2006334605A (ja) ろう材及びそれを用いたろう付け製品
JP2010104999A (ja) ろう付け用複合材及びろう付け製品
JP4821520B2 (ja) ろう付け用複合材及びそれを用いたろう付け製品
JP2003117679A (ja) 複合ろう材及びろう付加工用複合材並びにろう付け方法
JP2003117686A (ja) ろう付け用複合材及びそれを用いたろう付け製品
JP4239853B2 (ja) ろう付け用複合材及びその製造方法並びにろう付け製品
JP4507943B2 (ja) ろう付け用クラッド材及びそれを用いたろう付け製品
JP4196776B2 (ja) ろう付け用複合材及びその製造方法
JP2003117685A (ja) 複合ろう材及びろう付加工用複合材並びにろう付け製品
JP3909015B2 (ja) ろう付け用複合材及びそれを用いたろう付け方法並びにろう付け製品
JP4821503B2 (ja) ろう付け用複合材及びそれを用いたろう付け製品
JP2003071586A (ja) ろう付け用複合材及びこれを用いたろう付け製品
JP4835862B2 (ja) ろう付け用複合材およびそれを用いたろう付け製品
JP2008212985A (ja) ろう付け用複合材およびこれを用いたろう付け製品
JP2008055471A (ja) ろう付け用複合材及びそれを用いたろう付け製品
JP2005103610A (ja) ろう付け用複合材及びそれを用いたろう付け製品

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090522

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110318

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110329

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110527

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110809

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110822

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140916

Year of fee payment: 3

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees