JP2008050587A - プリプレグおよび複合材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】複合材料の耐熱・耐食性やプリプレグの成形性などの熱硬化性樹脂を使用した際の利点を保ちつつ広い成形条件において耐衝撃性の改善された複合材料と、該複合材料の原料となるプリプレグを提供する。
【解決手段】次の構成要素[A]、[B]および[C]を含むプリプレグであって、構成要素[C]は、構成要素[B]に不溶であるとともに、長軸長と短軸長の比で表される異形度が2以上30以下であり、かつ、プリプレグの内部よりも表面に高濃度に分布することを特徴とするプリプレグ。
[A]:強化繊維
[B]:熱硬化性樹脂を主体とするマトリックス樹脂
[C]:熱可塑性樹脂を主体とする微粒子
【選択図】なし
【解決手段】次の構成要素[A]、[B]および[C]を含むプリプレグであって、構成要素[C]は、構成要素[B]に不溶であるとともに、長軸長と短軸長の比で表される異形度が2以上30以下であり、かつ、プリプレグの内部よりも表面に高濃度に分布することを特徴とするプリプレグ。
[A]:強化繊維
[B]:熱硬化性樹脂を主体とするマトリックス樹脂
[C]:熱可塑性樹脂を主体とする微粒子
【選択図】なし
Description
本発明は、成形条件によらず良好な耐衝撃性を示す複合材料を与え得るプリプレグと、その複合材料に関する。
熱硬化性樹脂をマトリックス樹脂とし、これを強化繊維にて強化した複合材料は軽量で力学特性に優れる上、耐熱性、耐食性などを兼ね備えた材料である。また、熱硬化性樹脂をマトリックス樹脂として用いた場合には、あらかじめシート状の強化繊維に未硬化または部分的に硬化した熱硬化性樹脂を含浸したプリプレグとした際に、そのプリプレグが適度なドレープ性とタック性を有しており、積層時の賦形性や作業性に優れたものであるため、航空・宇宙、スポーツ、土木・建築などの産業分野で広く用いられている。
その一方で、積層した複合材料においては、変形や破壊のモードによっては積層した層間の強度や靭性が問題になることから、層間の樹脂特性が複合材料の物性に影響を与える。中でも積層面方向からの衝撃については層間の破壊が主に発生することから、複合材料の耐衝撃性については層間樹脂の靭性が支配的となるが、熱硬化性樹脂をマトリックス樹脂として使用した場合には熱硬化性樹脂の低靭性を反映し、耐衝撃性が不十分であることが問題であった。
このため、熱硬化性樹脂に熱可塑性樹脂やゴムを添加し、熱硬化性樹脂自体の靭性を改善し、複合材料の耐衝撃性を改善することが試みられたが、高度な耐衝撃性を得るためには添加剤を大量に添加する必要があり、複合材料の耐熱性や耐食性が低下するため、高い耐衝撃性が必要とされる構造部材への適用は難しいものであった。そこで、複合材料の物性低下を押さえつつ耐衝撃性を改善する手法として、複合材料の層間部に局所的に高靭性樹脂を配置した、層間強化型の複合材料が検討された。この層間強化型の複合材料は、高い物性値と高い耐衝撃性を兼ね備えたものであったが、プリプレグの取扱性が低いことが問題であった。すなわち、層間強化型の複合材料は主にプリプレグ表面にあらかじめ高靭性材料を配置しておくことで作製されるが、プリプレグの表面に高靭性樹脂が存在することでプリプレグのタック性やドレープ性が低下し、積層時の取扱性を大幅に低下してしまうのである。
これらの問題を解決するため、特許文献1および特許文献2には、表層に高靭性粒子を添加したプリプレグと、層間に高靭性粒子を有する複合材料が示されている。これらの手法においては、高靭性樹脂を微粒子化し、これをプリプレグ表面の熱可塑性樹脂内に重点的に配置する事により、プリプレグのタック性・ドレープ性を保ちつつ、層間樹脂の靭性を効果的に増加し、複合材料の耐衝撃性を改善することに成功している。しかし、このような粒子層間強化型のプリプレグについては、成型時の昇温速度を遅くすると耐衝撃性が低下するという問題があった。また、特許文献3と特許文献4では、同様の粒子層間強化型プリプレグで、粒子に炭素繊維を粉砕して得られるミルドファイバーや熱可塑性繊維をカットした熱可塑性短繊維を用いているが、ミルドファイバーや熱可塑性短繊維は、樹脂への分散性が悪く、簡易にプリプレグを製造できないという問題があった。
一方で、交差積層板や擬似等方積層板などの強化繊維の配列方向を変えながら積層した複合材料においては、一方向から応力が働いた際における各層の変形挙動が異なることから、積層構成によっては積層層間を引き剥がす力が働く。この力が層間剥離強度を上回ると層間で剥離が発生してしまうため、積層した複合材料の強度は層間の剥離強度に依存することになる。前述の粒子層間強化の手法は、層間樹脂の靭性を改善することは可能であるが、層間剥離強度については改善されないため、複合材料の耐衝撃性を保ちつつ、層間剥離強度を改善し、積層板の力学特性を向上する技術が求められている。ここで、特許文献5に示されているように、強化繊維として断面が実質的に真円形のものを使用することにより、層間での剥離抵抗力を高め、交差積層板の力学特性を大きく向上させることができることが知られている。しかし、このような断面が実質的に真円形の強化繊維を用いた場合、繊維のいわゆるアンカー効果を低減させてしまうため、繊維とマトリックス樹脂との接着性が低下し、結果として複合材料の耐衝撃性が低下することが問題であった。特に、昇温速度を低くした際の耐衝撃性低下がさらに大きくなることから、熱硬化性樹脂の硬化発熱による部品内部の過熱を防ぐ目的や冶具などの熱容量による各種制約から、昇温速度を低く設定する必要がある大型の部品において耐衝撃性が不足するという問題があった。
特開平1−110537号公報
特公平4−39490号公報
特開昭60−44334号公報
特開平4−292909号公報
特開平10−231372号公報
その一方で、積層した複合材料においては、変形や破壊のモードによっては積層した層間の強度や靭性が問題になることから、層間の樹脂特性が複合材料の物性に影響を与える。中でも積層面方向からの衝撃については層間の破壊が主に発生することから、複合材料の耐衝撃性については層間樹脂の靭性が支配的となるが、熱硬化性樹脂をマトリックス樹脂として使用した場合には熱硬化性樹脂の低靭性を反映し、耐衝撃性が不十分であることが問題であった。
このため、熱硬化性樹脂に熱可塑性樹脂やゴムを添加し、熱硬化性樹脂自体の靭性を改善し、複合材料の耐衝撃性を改善することが試みられたが、高度な耐衝撃性を得るためには添加剤を大量に添加する必要があり、複合材料の耐熱性や耐食性が低下するため、高い耐衝撃性が必要とされる構造部材への適用は難しいものであった。そこで、複合材料の物性低下を押さえつつ耐衝撃性を改善する手法として、複合材料の層間部に局所的に高靭性樹脂を配置した、層間強化型の複合材料が検討された。この層間強化型の複合材料は、高い物性値と高い耐衝撃性を兼ね備えたものであったが、プリプレグの取扱性が低いことが問題であった。すなわち、層間強化型の複合材料は主にプリプレグ表面にあらかじめ高靭性材料を配置しておくことで作製されるが、プリプレグの表面に高靭性樹脂が存在することでプリプレグのタック性やドレープ性が低下し、積層時の取扱性を大幅に低下してしまうのである。
これらの問題を解決するため、特許文献1および特許文献2には、表層に高靭性粒子を添加したプリプレグと、層間に高靭性粒子を有する複合材料が示されている。これらの手法においては、高靭性樹脂を微粒子化し、これをプリプレグ表面の熱可塑性樹脂内に重点的に配置する事により、プリプレグのタック性・ドレープ性を保ちつつ、層間樹脂の靭性を効果的に増加し、複合材料の耐衝撃性を改善することに成功している。しかし、このような粒子層間強化型のプリプレグについては、成型時の昇温速度を遅くすると耐衝撃性が低下するという問題があった。また、特許文献3と特許文献4では、同様の粒子層間強化型プリプレグで、粒子に炭素繊維を粉砕して得られるミルドファイバーや熱可塑性繊維をカットした熱可塑性短繊維を用いているが、ミルドファイバーや熱可塑性短繊維は、樹脂への分散性が悪く、簡易にプリプレグを製造できないという問題があった。
一方で、交差積層板や擬似等方積層板などの強化繊維の配列方向を変えながら積層した複合材料においては、一方向から応力が働いた際における各層の変形挙動が異なることから、積層構成によっては積層層間を引き剥がす力が働く。この力が層間剥離強度を上回ると層間で剥離が発生してしまうため、積層した複合材料の強度は層間の剥離強度に依存することになる。前述の粒子層間強化の手法は、層間樹脂の靭性を改善することは可能であるが、層間剥離強度については改善されないため、複合材料の耐衝撃性を保ちつつ、層間剥離強度を改善し、積層板の力学特性を向上する技術が求められている。ここで、特許文献5に示されているように、強化繊維として断面が実質的に真円形のものを使用することにより、層間での剥離抵抗力を高め、交差積層板の力学特性を大きく向上させることができることが知られている。しかし、このような断面が実質的に真円形の強化繊維を用いた場合、繊維のいわゆるアンカー効果を低減させてしまうため、繊維とマトリックス樹脂との接着性が低下し、結果として複合材料の耐衝撃性が低下することが問題であった。特に、昇温速度を低くした際の耐衝撃性低下がさらに大きくなることから、熱硬化性樹脂の硬化発熱による部品内部の過熱を防ぐ目的や冶具などの熱容量による各種制約から、昇温速度を低く設定する必要がある大型の部品において耐衝撃性が不足するという問題があった。
本発明は、複合材料の耐熱・耐食性やプリプレグの成形性などの熱硬化性樹脂を使用した際の利点を保ちつつ広い成形条件において耐衝撃性の改善された複合材料と、該複合材料の原料となるプリプレグを提供することを目的とする。
本発明のプリプレグは上記目的を達成するために次のいずれかの構成を有する。すなわち、次の構成要素[A]、[B]および[C]を含むプリプレグであって、構成要素[C]は、構成要素[B]に不溶であるとともに、長軸長と短軸長の比で表される異形度が2以上30以下であり、かつ、プリプレグの内部よりも表面に高濃度に分布することを特徴とするプリプレグ、または、次の構成要素[A]、[B]および[C]を含むプリプレグであって、構成要素[C]は、構成要素[B]に不溶であるとともに、前記プリプレグを硬化して得られる硬化物に垂直な方向の断面を観察した際に、次の(1)および(2)の条件を満たすことを特徴とするプリプレグである。
[A]:強化繊維
[B]:熱硬化性樹脂を主体とするマトリックス樹脂
[C]:熱可塑性樹脂を主体とする微粒子
(1):構成要素[C]がプリプレグの内部よりも表面に高濃度に分布していること
(2):断面内に観察される構成要素[C]において、その断面形状が長軸長と短軸長の比が2以上30以下の扁平形である構成要素[C]の個数が、断面内に観測される構成要素[C]の全個数の50%以上であること
また、本発明の複合材料は上記目的を達成するために次の構成を有する。すなわち、次の構成要素[A]、[B’]および[C]を含み、積層面に垂直な方向の断面を観察した際に、次の(3)(4)の条件を満たすことを特徴とする複合材料である。
[A]:強化繊維
[B’]:熱硬化性樹脂を主体としたマトリックス樹脂の硬化物
[C]:熱可塑性樹脂を主体とする微粒子
(3):構成要素[C]が積層層間部に局在化していること
(4):断面内に観察される構成要素[C]において、その断面形状が長軸長と短軸長の比が2以上30以下の扁平形である構成要素[C]の個数が、断面内に観測される構成要素[C]の全個数の50%以上であること
[A]:強化繊維
[B]:熱硬化性樹脂を主体とするマトリックス樹脂
[C]:熱可塑性樹脂を主体とする微粒子
(1):構成要素[C]がプリプレグの内部よりも表面に高濃度に分布していること
(2):断面内に観察される構成要素[C]において、その断面形状が長軸長と短軸長の比が2以上30以下の扁平形である構成要素[C]の個数が、断面内に観測される構成要素[C]の全個数の50%以上であること
また、本発明の複合材料は上記目的を達成するために次の構成を有する。すなわち、次の構成要素[A]、[B’]および[C]を含み、積層面に垂直な方向の断面を観察した際に、次の(3)(4)の条件を満たすことを特徴とする複合材料である。
[A]:強化繊維
[B’]:熱硬化性樹脂を主体としたマトリックス樹脂の硬化物
[C]:熱可塑性樹脂を主体とする微粒子
(3):構成要素[C]が積層層間部に局在化していること
(4):断面内に観察される構成要素[C]において、その断面形状が長軸長と短軸長の比が2以上30以下の扁平形である構成要素[C]の個数が、断面内に観測される構成要素[C]の全個数の50%以上であること
本発明により、複合材料の耐熱・耐食性やプリプレグの成形性などの熱硬化性樹脂を使用した際の利点を保ちつつ広い成形条件において耐衝撃性の改善された複合材料と、該複合材料の原料となるプリプレグが提供される。すなわち、本発明のプリプレグによれば、積層時のハンドリング性を失うことなく、それを成形して得られる複合材料の耐衝撃性を向上することが可能である。特に、低昇温速度で成形した際の耐衝撃性を大きく向上し、昇温速度を低くせざるを得ない大型の構造部材を製造するに有用なものである。
本発明において、構成要素[A]は強化繊維である。本発明に用いうる強化繊維は、一般に先進複合材料として用いられる耐熱性及び引張強度の良好な繊維である。たとえば、その強化繊維には、炭素繊維、黒鉛化繊維、アラミド繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、タングステンカーバイド繊維、ガラス繊維が挙げられ、これらを複数種混合して用いてもよい。これらのうち、比強度、比弾性率が良好で軽量化に大きな寄与が認められる炭素繊維や黒鉛繊維が本発明にはもっとも良好である。炭素繊維や黒鉛繊維は用途に応じてあらゆる種類の炭素繊維や黒鉛繊維を用いることが可能であるが、樹脂含浸ストランド伸度(以下、引張伸度と称する)が1.5%以上の高強度炭素繊維が複合材料の強度発現のため適している。樹脂含浸ストランド強度(以下、引張強度と称する)が4.5GPa以上、引張伸度1.5%以上の高強度高伸度炭素繊維はさらに好ましく、引張伸度1.7%以上の高強度高伸度炭素繊維がもっとも適している。なお、引張強度と引張伸度はJIS R 7601(1986)に従って測定できる。
また、強化繊維としては、通常長繊維状のものが用いられるが、強化繊維の強度を複合材料として十分に発現させるため、その長さは5cm以上であることが好ましい。また、強化繊維はその形状や配列は特に限定あれず、たとえば、単一方向、ランダム方向、シート状、マット状、織物状、組み紐状であっても使用可能である。また、特に、比強度、比弾性率が高いことを要求される用途には強化繊維が単一方向に引きそろえられた配列がもっとも適しているが、取り扱いの容易なクロス(織物)状の配列も本発明には適している。
また、作製した複合材料の積層層間の引き剥がしに対する抵抗力を強め、複合材料の力学特性を高めるために、強化繊維の断面形状は実質的に真円形であることが好ましい。なお、ここで言う断面形状が実質的に真円状であるとは、繊維軸方向に垂直な断面において、断面形状に外接する円の半径Rと内接する円の半径rとの比である真円度(=R/r)が1〜1.1であることを意味する。
本発明において、構成要素[B]は、熱硬化性樹脂を主体とするマトリックス樹脂であり、[B’]は、その硬化物である。この熱硬化性樹脂としては、熱または光や電子線などの外部からのエネルギーにより硬化して、少なくとも部分的に三次元硬化物を形成する樹脂が好ましく用いられる。
本発明に適した熱硬化性樹脂の具体例としては、特に、エポキシ樹脂が挙げられ、一般に硬化剤や高架触媒と組み合わせて用いられる。エポキシ樹脂としては、例えば、ノボラック型エポキシ樹脂(ノボラックとエピクロロヒドリンの反応により得られるエポキシ樹脂)、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタンやトリス(グリシジルオキシ)メタンのようなグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、及びテトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルアミノフェノール、トリグリシジルアミノクレゾール、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルトルイジン、テトラグリシジルキシリレンジアミンのようなグリシジルアミン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フタル酸ジグリシジルエステル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ベンゼンジメタノールジグリシジルエーテル、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とジイソシアネートの反応により得られるエポキシ樹脂、およびこれらの水素添加物や、ハロゲン置換体、アルキル置換体などが使用される。
これらの中でも、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルアミノフェノール、トリグリシジルアミノクレゾール、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルトルイジン、テトラグリシジルキシリレンジアミンのようなグリシジルアミン型エポキシ樹脂を用いた場合、優れた力学特性が得られるため好ましい。
エポキシ樹脂と組み合わされる硬化剤は、エポキシ樹脂との共存下で硬化反応をもたらすものであり、一般的な硬化剤のみならず、開始剤、触媒、硬化促進剤、硬化助剤、およびこれらの組み合わせを含むものである。具体的には、硬化剤として、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、m−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミンのような活性水素を有する芳香族アミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、イソホロンジアミン、ビス(アミノメチル)ノルボルナン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ポリエチレンイミンのダイマー酸エステルのような活性水素を有する脂肪族アミン、これらの活性水素を有するアミンにエポキシ化合物、アクリロニトリル、フェノールとホルムアルデヒド、チオ尿素などの化合物を反応させて得られる変性アミン、ジメチルアニリン、ジメチルベンジルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールや1−置換イミダゾールのような活性水素を持たない第三アミン、ジシアンジアミド、テトラメチルグアニジン、ヘキサヒドロフタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルナジック酸無水物のようなカルボン酸無水物、アジピン酸ヒドラジドやナフタレンジカルボン酸ヒドラジドのようなポリカルボン酸ヒドラジド、ノボラック樹脂などのポリフェノール化合物、チオグリコール酸とポリオールのエステルのようなポリメルカプタン、三フッ化ホウ素エチルアミン錯体のようなルイス酸錯体、芳香族スルホニウム塩などがあげられる。これらの中でも、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、およびこれらの混合物が優れた力学特性を与えることから好ましい。また、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、およびこれらの混合物を用いる場合にはエポキシ樹脂のエポキシ基1モルに対し、アミノ基の活性水素が0.6〜1.1モルとなるように配合することが好ましく、0.6〜0.9モルであるとさらに好ましい。
これらの中でも、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルアミノフェノール、トリグリシジルアミノクレゾール、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルトルイジン、テトラグリシジルキシリレンジアミンのようなグリシジルアミン型エポキシ樹脂を用いた場合、優れた力学特性が得られるため好ましい。
エポキシ樹脂と組み合わされる硬化剤は、エポキシ樹脂との共存下で硬化反応をもたらすものであり、一般的な硬化剤のみならず、開始剤、触媒、硬化促進剤、硬化助剤、およびこれらの組み合わせを含むものである。具体的には、硬化剤として、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、m−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミンのような活性水素を有する芳香族アミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、イソホロンジアミン、ビス(アミノメチル)ノルボルナン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ポリエチレンイミンのダイマー酸エステルのような活性水素を有する脂肪族アミン、これらの活性水素を有するアミンにエポキシ化合物、アクリロニトリル、フェノールとホルムアルデヒド、チオ尿素などの化合物を反応させて得られる変性アミン、ジメチルアニリン、ジメチルベンジルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールや1−置換イミダゾールのような活性水素を持たない第三アミン、ジシアンジアミド、テトラメチルグアニジン、ヘキサヒドロフタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルナジック酸無水物のようなカルボン酸無水物、アジピン酸ヒドラジドやナフタレンジカルボン酸ヒドラジドのようなポリカルボン酸ヒドラジド、ノボラック樹脂などのポリフェノール化合物、チオグリコール酸とポリオールのエステルのようなポリメルカプタン、三フッ化ホウ素エチルアミン錯体のようなルイス酸錯体、芳香族スルホニウム塩などがあげられる。これらの中でも、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、およびこれらの混合物が優れた力学特性を与えることから好ましい。また、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、およびこれらの混合物を用いる場合にはエポキシ樹脂のエポキシ基1モルに対し、アミノ基の活性水素が0.6〜1.1モルとなるように配合することが好ましく、0.6〜0.9モルであるとさらに好ましい。
これらの硬化剤には、硬化活性を高めるために適宜硬化助剤を組み合わせることができる。好ましい例としては、ジシアンジアミドに、3−フェニル−1,1−ジメチル尿素、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチル尿素(DCMU)、3−(3−クロロ−4−メチルフェニル)−1,1−ジメチル尿素、2,4−ビス(3,3−ジメチルウレイド)トルエンのような尿素誘導体を硬化助剤として組み合わせる例、カルボン酸無水物やノボラック樹脂に第三アミンを硬化助剤として組み合わせる例などがあげられる。硬化助剤として使用される化合物は、単独でもエポキシ樹脂を硬化させる能力を持つものが好ましい。
また、熱硬化性樹脂に微粉末シリカなどの無機質微粒子やフラーレン・カーボンナノチューブ等のナノカーボン微粒子、エラストマーなどを少量混合してマトリックス樹脂を構成することも可能である。
エポキシ樹脂以外の熱硬化性樹脂としては、マレイミド樹脂、アセチレン末端を有する樹脂、ナジック酸末端を有する樹脂、シアン酸エステル末端を有する樹脂、ビニル末端を有する樹脂、アリル末端を有する樹脂も好ましく用いられる。これらは適宜、エポキシ樹脂や他の樹脂と混合しても良い。また、反応性希釈剤を用いたり、熱可塑性樹脂やエラストマーなどの改質剤を耐熱性が大きく低下しない程度に混合して用いたりしてもかまわない。
さらに、末端反応性基を持つ熱硬化製ポリイミド樹脂も構成要素[B]の熱硬化性樹脂として好適である。末端反応性基としてはナジイミド基、アセチレン基、ベンゾシクロブテン基などが好適である。
また、前記の熱硬化性樹脂に限らず、フェノール樹脂、レゾルシノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、シアネートエステル樹脂といった熱硬化性樹脂も用いることができる。
構成要素[B]や[B’]が、改質剤として、構成要素[C]とは異なる熱可塑性樹脂(以下、熱可塑性樹脂成分と称す)を含有するものであることは、熱硬化性樹脂単独の場合より樹脂靭性を向上させるため好ましい。ここで熱可塑性樹脂成分としては工業界で広く認知された熱可塑性樹脂を用いることができるが、熱硬化性樹脂本来の高耐熱性、高弾性率を損なわないために、芳香族系のいわゆるエンジニアリングプラスチックに属するものが、この熱可塑性樹脂成分として好ましい。すなわち、芳香族ポリイミド骨格、芳香族ポリアミド骨格、芳香族ポリエーテル骨格、芳香族ポリスルホン骨格、芳香族ポリケトン骨格、芳香族ポリエステル骨格、芳香族ポリカーボネート骨格を有する熱硬化性樹脂可溶の高耐熱性の熱可塑性樹脂が代表的であり、具体例としてはポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、フェノルトリメチルインダン構造を有するポリイミドが挙げられる。
熱可塑性樹脂成分としては、熱硬化性樹脂に可溶の高耐熱性の熱可塑性樹脂の中で、芳香族ポリイミド骨格を有するものは耐熱性、耐溶剤性、靭性のいずれにも優れるため特に好ましい。熱可塑性樹脂成分としては市販のポリマーを用いても、また、適宜目的に応じて合成したものを用いても良い。また、市販のポリマーより分子量の低いいわゆるオリゴマーを用いることは、プリプレグのハンドリング性を損なわずに複合材料を高靭性化できるため好ましい。これら熱可塑性樹脂成分が熱硬化性樹脂と反応しうる官能基を末端あるいは分子鎖中に有することは、熱硬化性樹脂本来の耐溶剤性を維持しつつ靭性向上に大きく寄与するためより好ましい。代表的な反応性末端としてアミノ基が挙げられる。
熱可塑性樹脂成分として特に好ましい芳香族ポリイミドの合成法は、特に問わないが、代表的にはテトラカルボン酸二無水物とジアミノ化合物とを反応させることによって合成する。テトラカルボン酸二無水物の好ましい例は、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物などの芳香族テトラカルボン酸二無水物を挙げることができる。ジアミノ化合物の好ましい例は、ジアミノジフェニルメタン、メタフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジフェニルスルフィド、ジアミノジフェニルエタン、ジアミノジフェニルプロパン、ジアミノジフェニルケトン、ジアミノジフェニルヘキサフルオロプロパン、ジアミノジフェニルフルオレン、ビス(アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス(アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、ビス(アミノフェノキシ)ジフェニルプロパン、ビス(アミノフェノキシ)ジフェニルヘキサフルオロプロパン、フルオレンジアミン、ジアミノジフェニルメタンのジメチル置換体、ジアミノジフェニルメタンのテトラメチル置換体、ジアミノジフェニルメタンのジエチル置換体、ジアミノジフェニルメタンのテトラエチル置換体、ジアミノジフェニルメタンのジメチルジエチル置換体などの芳香族ジアミノ化合物、より好ましくは、ビス(アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス(アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、ビス(アミノフェノキシ)ジフェニルプロパン、ビス(アミノフェノキシ)ジフェニルヘキサフルオロプロパン、ジアミノジフェニルフルオレン、フルオレンジアミン、ジアミノジフェニルメタンのジメチル置換体、ジアミノジフェニルメタンのテトラメチル置換体、ジアミノジフェニルメタンのジエチル置換体、ジアミノジフェニルメタンのテトラエチル置換体、ジアミノジフェニルメタンのジメチルジエチル置換体などの芳香族ジアミノ化合物を挙げることができる。
熱可塑性樹脂成分として特に好ましい芳香族ポリイミドの合成法は、特に問わないが、代表的にはテトラカルボン酸二無水物とジアミノ化合物とを反応させることによって合成する。テトラカルボン酸二無水物の好ましい例は、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物などの芳香族テトラカルボン酸二無水物を挙げることができる。ジアミノ化合物の好ましい例は、ジアミノジフェニルメタン、メタフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジフェニルスルフィド、ジアミノジフェニルエタン、ジアミノジフェニルプロパン、ジアミノジフェニルケトン、ジアミノジフェニルヘキサフルオロプロパン、ジアミノジフェニルフルオレン、ビス(アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス(アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、ビス(アミノフェノキシ)ジフェニルプロパン、ビス(アミノフェノキシ)ジフェニルヘキサフルオロプロパン、フルオレンジアミン、ジアミノジフェニルメタンのジメチル置換体、ジアミノジフェニルメタンのテトラメチル置換体、ジアミノジフェニルメタンのジエチル置換体、ジアミノジフェニルメタンのテトラエチル置換体、ジアミノジフェニルメタンのジメチルジエチル置換体などの芳香族ジアミノ化合物、より好ましくは、ビス(アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス(アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、ビス(アミノフェノキシ)ジフェニルプロパン、ビス(アミノフェノキシ)ジフェニルヘキサフルオロプロパン、ジアミノジフェニルフルオレン、フルオレンジアミン、ジアミノジフェニルメタンのジメチル置換体、ジアミノジフェニルメタンのテトラメチル置換体、ジアミノジフェニルメタンのジエチル置換体、ジアミノジフェニルメタンのテトラエチル置換体、ジアミノジフェニルメタンのジメチルジエチル置換体などの芳香族ジアミノ化合物を挙げることができる。
また、熱可塑性樹脂成分として、熱硬化性樹脂と相溶性の連鎖と非相溶性の連鎖からなるブロック共重合体またはグラフト共重合を用いることは相溶性制御の観点から特に好ましい。好ましい具体例の1つは、構成要素[B]とは本来非相溶性で、高靭性かつ低吸水率であるシロキサン骨格からなる連鎖を有するブロック共重合体またはグラフト共重合体である。代表的なシロキサン連鎖としてジメチルシロキサン骨格が挙げられるが、フェニルシロキサンを含有していても良い。シロキサン連鎖を有することで樹脂吸水率を低下させ耐水性を高めることができる。
熱可塑性樹脂成分の分子が本来構成要素[B]中の熱硬化性樹脂成分と非相溶性である連鎖をブロック鎖として有する場合、同じ分子量の完全相溶連鎖のみからなる熱可塑性樹脂の場合と比較し、その添加による樹脂粘度増加が小さいため、作業性の低下が少なく、この樹脂をマトリックス樹脂とするプリプレグはタック性、ドレープ性が優れているという効果がある。別の見方をすると、構成要素[B]の中の熱可塑性樹脂成分の添加量の制約が緩く、タック性を損なわずに樹脂系に多量に導入でき樹脂靭性向上に有利である。また、その非相溶性連鎖以外の部分が構成要素[B]としての熱硬化性樹脂組成物と相溶するポリイミド骨格を有するブロック共重合体であることは樹脂耐熱性を向上させるため好ましい。
構成要素[B]中に熱可塑性樹脂成分を共存させる場合、その量は、靭性の向上効果と作業性のバランスの点から、構成要素[B]の全成分中の5〜35重量%が好ましく、8〜25重量%であるとより好ましい。
ここで構成要素[B]中の熱可塑性樹脂成分は未硬化状態の熱硬化性樹脂成分にあらかじめ溶解しておいてもよいし、分散混合させているだけでもよい。また、部分的に溶解させ、部分的に分散させてもよい。この溶解と分散の比率を変化させることによって樹脂の粘度を調整でき、プリプレグとしたときのタック性、ドレープ性を好みの程度に調整することができる。分散させた熱可塑性樹脂成分もその大部分が成形過程において熱硬化性樹脂に溶解する。硬化終了時までに再び相分離し、前記の適切なミクロ相分離構造を形成することが靭性向上にとって好ましい。
熱可塑性樹脂成分の分子量は、熱可塑性樹脂成分を未硬化状態の熱硬化性樹脂に予め溶解させておく場合は、粘度上昇を抑えつつ靭性を改善するため、数平均分子量にして2,000〜20,000の範囲が好ましく、2,500〜10,000の範囲であるとより好ましい。一方、熱可塑性樹脂成分を未硬化状態の熱硬化性樹脂に溶解させず分散させておく場合は、熱可塑性樹脂成分の分子量はさらに高分子領域である100,000程度まで好ましい。
構成要素[B]が、熱硬化性樹脂に可溶の熱可塑性樹脂成分が混合あるいは溶解されてなり、樹脂硬化中に熱硬化性樹脂を主成分とする相と熱可塑性樹脂成分を主成分とする相にミクロ相分離し、構成要素[B’]となることは複合材料の靭性向上をもたらす観点から好ましい。特に硬化した後の相分離構造が、熱可塑性樹脂成分を主成分とする相と、熱硬化性樹脂を主成分とする相と分離したものであり、少なくとも熱可塑性樹脂成分を主成分とする相、好ましくは両方の相が3次元に連続しているミクロ相分離構造を有する樹脂硬化物となることが高い靭性をもたらすため好ましい。連続相中に他相の分散相を含有するさらに複雑な相分離形態を有することがより好ましい。具体的には、熱可塑性樹脂成分を主成分とする相が少なくとも部分的に連続相を形成したミクロ相分離構造を有することにより、高い弾性率を有しつつ高靭性な樹脂硬化物となるため好ましい。
本発明において、構成要素[C]は、熱可塑性樹脂を主体とする微粒子である。構成要素[C]が微粒子であることは次の利点を持つ。すなわち、微粒子であれば、構成要素[B]であるマトリックス樹脂と混合したときにマトリックス樹脂中に分散した状態で存在するため、マトリックス樹脂のもつタック・ドレープ性がプリプレグ特性として反映され、取り扱い性に優れたプリプレグとなる。
また、本発明において、構成要素[C]は構成要素[B]に不溶であることが必要である。構成要素[C]が構成要素[B]に不溶であることにより、積層層間部における構成要素[C]の濃度を増加した際でも、構成要素[B]の連続相の中に構成要素[C]が分散相として分散させることができる。それにより、層間部分においても熱硬化性樹脂の高い耐熱性や耐食性を有効に利用することが可能となり、耐衝撃性と耐食性等を兼ね備えた複合材料を得ることができる。
本発明において、構成要素[C]は、熱可塑性樹脂を主体とする微粒子である。構成要素[C]が微粒子であることは次の利点を持つ。すなわち、微粒子であれば、構成要素[B]であるマトリックス樹脂と混合したときにマトリックス樹脂中に分散した状態で存在するため、マトリックス樹脂のもつタック・ドレープ性がプリプレグ特性として反映され、取り扱い性に優れたプリプレグとなる。
また、本発明において、構成要素[C]は構成要素[B]に不溶であることが必要である。構成要素[C]が構成要素[B]に不溶であることにより、積層層間部における構成要素[C]の濃度を増加した際でも、構成要素[B]の連続相の中に構成要素[C]が分散相として分散させることができる。それにより、層間部分においても熱硬化性樹脂の高い耐熱性や耐食性を有効に利用することが可能となり、耐衝撃性と耐食性等を兼ね備えた複合材料を得ることができる。
ここで、本発明のプリプレグの第1の態様では、構成要素[C]は、異形の粒子であり、長軸長と短軸長の比である異形度が2以上30以下である。また、構成要素[C]は、プリプレグの内部よりも表面に高濃度に分布することが必要である。ここで、異形とは実質的に真球でない形状を意味しており、異形度は、粒子の最も長い方向の長さである長軸長と、粒子の最も短い方向の長さである短軸長との比として、下記式で表される。
異形度=長軸長/短軸長 また、本発明のプリプレグの第2の態様では、構成要素[C]は、プリプレグを硬化して得られる硬化物に垂直な方向の断面を観察した際に、次の(1)および(2)の条件を満たすことが必要である。
(1):構成要素[C]がプリプレグの内部よりも表面に高濃度に分布していること
(2):断面内に観察される構成要素[C]において、その断面形状が長軸長と短軸長の比が2以上30以下の扁平形である構成要素[C]の個数が、断面内に観測される構成要素[C]の全個数の50%以上であること。
(1):構成要素[C]がプリプレグの内部よりも表面に高濃度に分布していること
(2):断面内に観察される構成要素[C]において、その断面形状が長軸長と短軸長の比が2以上30以下の扁平形である構成要素[C]の個数が、断面内に観測される構成要素[C]の全個数の50%以上であること。
構成要素[C]は、プリプレグの片面または両面の表面に内部よりも高濃度に分布していることが必須である。これにより、後述するような耐衝撃性に優れた複合材料を得ることができる。ここで、内部よりも表面に高濃度に分布しているとは、通常、粒子の90%以上の量が、プリプレグの表面からプリプレグの厚さ30%以内に局在化していることをいう。なお、プリプレグ中の粒子の局在化の程度は、特開平1−104624号公報に開示されているように次の方法で評価できる。すなわち、まずプリプレグを2枚の平滑な支持板の間にはさんで密着させ、長時間かけて徐々に温度を挙げて硬化させる。この時に重要なのは可能な限り低温でゲル化させることである。ゲル化しないうちに温度を上げるとプリプレグ中の樹脂が流動し、粒子が移動するため元のプリプレグ中における正確な粒子分布の評価ができない。ゲル化した後、さらに時間をかけて徐々に温度をかけてプリプレグを硬化させる。硬化したプリプレグを用いてその断面を200倍以上に拡大して写真を撮る。この断面写真を用い、まず平均的なプリプレグ厚みを求める。プリプレグ1層の平均厚みは写真上で任意に選んだ少なくとも5ヶ所で測り、その平均をとる。次に両方の支持板に接していた面からプリプレグの厚みの30%の位置にプリプレグの両方向と平行に線を引く。支持板に接していた面と30%の平行線の間に存在する粒子の断面積をプリプレグの両面について定量し、これとプリプレグ全幅に渡って存在する粒子の断面積を定量し、その比をとることによりプリプレグ表面からプリプレグの厚さの30%以内に存在する粒子量が算出される。粒子断面積の定量はイメージアナライザーによってもよいし、断面写真から所定の領域に存在する粒子部分をすべて切り取りその重量を秤ることによってもよい。粒子の部分的な分布のばらつきの影響を排除するため、この評価は得られた写真の幅全域に渡って行い、かつ、任意に選んだ5ヶ所以上の写真について同様の評価を行い、その平均をとる必要がある。粒子とマトリックス樹脂との見分けがつきにくい時は、一方を選択的に染色して観察する。顕微鏡は光学顕微鏡でも走査型電子顕微鏡でも良く、粒子の大きさや染色方法によって使い分けると良い。なお、本発明においては面積比によって層間領域に存在する微粒子の量を規定しているが、重量比はこの面積比に比重をかけた値と同じであるので、面積比の測定は重量比の測定と同義である。
次に、用いる構成要素[C]の異形度が2以上30以下であるか、硬化物の断面内での断面形状として長軸長と短軸長の比が2以上30以下の扁平形であることにより、従来の粒子層間強化複合材料の欠点であった低昇温速度時の耐衝撃性を大幅に改善することができる。この理由については必ずしも明らかになったわけではないが、次のように考えられる。従来の粒子層間強化複合材料においては、通常の昇温速度、例えば数℃/分の場合、積層層間の樹脂が低粘度で流動する時間があり、この間に成形圧力によって積層層間の厚みが数%程度薄くなり、その結果、該積層層間における粒子濃度が適度に保たれるのであるが、昇温速度が低いと、樹脂が低粘度で流動する時間がなくなるため、成形圧力がかかっても積層層間の厚みが薄くなることがなく、その結果積層層間の厚みが厚くなり、その積層層間における粒子濃度が低下し、その際に最も剪断力が大きく働く積層層間と積層層内の間の界面における粒子濃度が大きく低下してしまい、その界面において発生する亀裂の進展を防止する効果が小さくなってしまうと考えられる。これに対し、粒子が特定の異形度を有したり、硬化物の断面内での断面形状として特定の扁平形であることにより、プリプレグ成形、および複合材料成形時に異形粒子が積層面に平行に配列し、同じ配合量においても積層層間の厚みを薄く、粒子濃度を高くできるとともに、異形粒子が構成要素[A]の強化繊維にも平行に配列していることで、界面部における粒子濃度の低下を防ぎ、界面において発生する亀裂の進展を効果的に防止することができるのではないかと考えられる。
さらに、構成要素[A]として、構成要素[B]との接着性に劣る傾向にある円形断面繊維を用いている場合には、その接着性の低さから界面で亀裂が進行することが多いため、本発明により低昇温速度で成形した時の耐衝撃性が大幅に向上するだけでなく、高い昇温速度で成形したときの耐衝撃性も向上させることができる。
次に、用いる構成要素[C]の異形度が2以上30以下であるか、硬化物の断面内での断面形状として長軸長と短軸長の比が2以上30以下の扁平形であることにより、従来の粒子層間強化複合材料の欠点であった低昇温速度時の耐衝撃性を大幅に改善することができる。この理由については必ずしも明らかになったわけではないが、次のように考えられる。従来の粒子層間強化複合材料においては、通常の昇温速度、例えば数℃/分の場合、積層層間の樹脂が低粘度で流動する時間があり、この間に成形圧力によって積層層間の厚みが数%程度薄くなり、その結果、該積層層間における粒子濃度が適度に保たれるのであるが、昇温速度が低いと、樹脂が低粘度で流動する時間がなくなるため、成形圧力がかかっても積層層間の厚みが薄くなることがなく、その結果積層層間の厚みが厚くなり、その積層層間における粒子濃度が低下し、その際に最も剪断力が大きく働く積層層間と積層層内の間の界面における粒子濃度が大きく低下してしまい、その界面において発生する亀裂の進展を防止する効果が小さくなってしまうと考えられる。これに対し、粒子が特定の異形度を有したり、硬化物の断面内での断面形状として特定の扁平形であることにより、プリプレグ成形、および複合材料成形時に異形粒子が積層面に平行に配列し、同じ配合量においても積層層間の厚みを薄く、粒子濃度を高くできるとともに、異形粒子が構成要素[A]の強化繊維にも平行に配列していることで、界面部における粒子濃度の低下を防ぎ、界面において発生する亀裂の進展を効果的に防止することができるのではないかと考えられる。
さらに、構成要素[A]として、構成要素[B]との接着性に劣る傾向にある円形断面繊維を用いている場合には、その接着性の低さから界面で亀裂が進行することが多いため、本発明により低昇温速度で成形した時の耐衝撃性が大幅に向上するだけでなく、高い昇温速度で成形したときの耐衝撃性も向上させることができる。
構成要素[C]の形状は、異形なものであれば、1方向に異方的なラグビーボール状あるいは極短繊維状であっても、2方向に異方的な円盤状(短軸方向に投影した形状が円形であり、短軸を含む断面の形状が楕円〜角を丸めた長方形である形状:典型的には球を押しつぶして得られる)であってもよいが、界面での構成要素[A]との接触面積を増やすため円盤状であることがより好ましい。その異形度や、硬化物の断面内での断面形状としての長軸長と短軸長の比は、低昇温速度における耐衝撃性の低下を押さえるためには2以上であることが好ましく、3以上であればより好ましい。また、これらの粒子は予め樹脂に混合し、シート化した後にプリプレグ表層に配置すると、粒子の分布の均一性に優れ、同時に生産性も向上するため好ましいが、粒子の異形度や、硬化物の断面内での断面形状としての長軸長と短軸長の比が30以下であれば樹脂への混合性やシート化時の工程通過性に優れるため好ましく、20以下であればより好ましく、10以下であればさらに好ましい。
特許文献3には、層間部に炭素繊維を粉砕して得られるミルドファイバーを有したプリプレグが記載されている。このミルドファイバーにおいて、最も短いものは本発明で定義する異形度が2程度になるが、最も長いものは異形度が300にもなるため、樹脂への分散性が悪く、シート化時の成形性も低いものである。また、炭素繊維は元来靭性の低いものであるため、これを層間へ配置しても複合材料の耐衝撃性の改善は非常に小さなものである。
一方で、靭性の高い熱可塑性繊維は、その靭性の高さより粉砕することが不可能であることから、繊維長を短くするには切断を行う必要があるが、通常のロータリーカッターやギロチンカッターを用いた方法においてはカット長が1mm以上となり、本発明で定義する異形度は50以上となってしまう。特許文献4には、熱可塑性の繊維を短くカットした短繊維を層間に配置したプリプレグが記載されているが、該特許公報で使用されている短繊維も本発明で定義する異形度が400と非常に大きいものであるため、樹脂に予め分散させることは不可能である。従って、該特許公報の実施例に示されているように、予め強化繊維に樹脂を含浸させたプリプレグ表面にシート化した短繊維を貼り付ける方法で層間強化型のプリプレグを作製した場合、短繊維シートを貫通して浸透してくる樹脂の量が少ないため、タック性が非常に低いプリプレグとなり、積層時の作業性を大きく損なってしまう。また、該特許公報中に記載されているように、予め短繊維シートに樹脂を含浸させ、これをプリプレグ表面に張り付けることでプリプレグのタック性は改善されると考えられるが、本発明のように粒子を樹脂へ混練する事と比較して、短繊維シートに樹脂を含浸させる事は煩雑であることから、コストが大幅に上昇してしまう。
また、熱可塑性繊維においても、静電植毛によるフロック加工等の特殊な用途においてはカット長0.5mm程度の極短繊維が用いられている。このような極短繊維は、本発明において構成要素[C]として用いうる。しかし、これらの製造にはカット時の繊維束を細くする、繊維束に特殊な油剤を付与する、カット中に冷却する、等の工夫が必要であり、コストが非常に高くなるため、これらを複合材料の界面に配置して層間強化を行うことは考えられてこなかったし、それにより、樹脂への分散性やシートの形成性が向上してプリプレグの生産性が向上すると共に、プリプレグのタック性、ドレープ性も優れたものとなり、さらに本願発明で示されたように低昇温速度時の耐衝撃性が向上することは予想すらされていなかった。その上、円盤状の粒子を用いて層間強化を行うことにより、極短繊維状のものを越える耐衝撃性向上効果を示すことは驚くべき事実である。
ここで、構成要素[C]の形状は以下のようにして測定できる。まず、マトリックス樹脂を溶解するが粒子を溶解しない溶媒を選択する。ビーカー中にこの溶媒を入れ、プリプレグをその中に浸す。超音波洗浄器を用いて樹脂を溶解した後、強化繊維をピンセットにて摘み上げ、残りの溶液をメンブレンフィルター上に濾過する。ここで粒子がフィルター上に濾別され、溶解した樹脂は溶媒とともにフィルターを通過する。このメンブレンフィルターを乾燥した後、電子顕微鏡で観察する。まず、メンブレンフィルター面に垂直な方向から観測し、粒子の長軸長を測定する。次に、メンブレンフィルター面に平行な方向から観測し、粒子の短軸長を計算する。測定はそれぞれ5カ所以上の視野において各20個以上の粒子のサイズを計測し、求めた長軸長と短軸長の比を求めることで各粒子の異形度が計算できる。
また、適切な溶媒が存在せず、粒子の分離が難しい際には、プリプレグの断面より粒子の形状を求めることも可能である。この場合は、まずプリプレグを2枚の平滑な支持板の間にはさんで密着させ、2℃/時の昇温速度で150度まで昇温させ硬化させたのち、2℃/時の降温速度で室温まで温度を下げて、硬化したプリプレグを得る。硬化したプリプレグを鋭利なカッターで切断し、その断面を200倍以上に拡大して写真を撮る。その断面における各粒子断面の長軸長と短軸長を測定し、粒子ごとに長軸長と短軸長の比を計算する。しかし、断面形状から粒子形状を測定する場合、粒子がラグビーボール状や極短繊維状の場合などにおいては、切断する面によって断面形状が大きく異なってしまうが、方向の影響を除くために平行ではない5つ以上の断面において各1視野以上の写真を撮影し、写真内における50個以上の粒子において長軸長と短軸長の比を計算したすべての視野における測定結果のうち、50%以上の粒子において長軸長と短軸長の比が2以上であれば本発明の効果を得ることができる。60%以上の粒子において長軸長と短軸長の比が2以上であればより好ましく、70%以上の粒子において長軸長と短軸長の比が2以上であればさらに好ましい。
また、粒子のサイズとしては、平均短軸長が150μm以上となると、強化繊維の配列を乱し、積層して得られる複合材料の層間を必要以上に厚くするため、複合材料に形成されたとき、その物性を低下させることがあるので、150μm以下であることが好ましい。さらに、[B]への分散性と成形性の面から、短軸長が60μm以下であるとより好ましく、30μm以下であると最も好ましい。また、[B]へ分散させた際に、2次凝集による分散性の低下を防ぐために、平均短軸長は0.1μm以上であることが好ましく、0.5μm以上であることがより好ましい。ここで平均短軸長とは、上述した、異形度や、硬化物の断面内での断面形状としての長軸長と短軸長の比を計算する際に計測した各粒子の短軸長の相加平均値とする。
さらに複合材料の層間厚さとの関係から、本発明における構成要素[C]の平均短軸長は成形後の複合材料の平均層間厚さの1/3以上1以下であることが好ましい。構成要素[C]の平均短軸長がこの範囲であると、衝撃により層間にクラックが進展したときに、クラックの進展先に粒子が存在する確率が高くなり、より効果的に衝撃エネルギーを吸収することができるからである。1/3未満ではクラックが素通りしてしまい、効果的に衝撃エネルギーを吸収できることが難しくなる可能性があり、1を超えると粒子が層内までめりこんでしまい、耐衝撃性以外の力学特性を損なうおそれがある。
本発明のプリプレグにおいては、使用している粒子が異形であることにより、複合材料成型時の構成要素[B]の流動に伴い、異形粒子の向きが積層面に平行に配列し、積層層間の厚みを薄くすることで複合材料の靭性を向上させることができる。さらに、プリプレグの段階で異形粒子がプリプレグ表面に対して平行に配列していれば、複合材料中の異形粒子の配向度をより高めることが可能となるため好ましい。この異形粒子の配向度は、前記のプリプレグの断面より粒子の形状を求める方法に従ってプリプレグの断面における粒子の形状を観察した際に、長軸長と短軸長の比が2以上である粒子について長軸長とプリプレグ表面の角度θを測定し、その余弦の自乗を相加平均することで評価できる。本発明の効果を得るためには、プリプレグ中における異形粒子の配向度が0.88以上であることが好ましく、0.93以上であることがより好ましく、0.97以上であることがより好ましい。なお、この配向度は異形粒子の向きが完全にプリプレグと平行となった時に1となる。
一方で、靭性の高い熱可塑性繊維は、その靭性の高さより粉砕することが不可能であることから、繊維長を短くするには切断を行う必要があるが、通常のロータリーカッターやギロチンカッターを用いた方法においてはカット長が1mm以上となり、本発明で定義する異形度は50以上となってしまう。特許文献4には、熱可塑性の繊維を短くカットした短繊維を層間に配置したプリプレグが記載されているが、該特許公報で使用されている短繊維も本発明で定義する異形度が400と非常に大きいものであるため、樹脂に予め分散させることは不可能である。従って、該特許公報の実施例に示されているように、予め強化繊維に樹脂を含浸させたプリプレグ表面にシート化した短繊維を貼り付ける方法で層間強化型のプリプレグを作製した場合、短繊維シートを貫通して浸透してくる樹脂の量が少ないため、タック性が非常に低いプリプレグとなり、積層時の作業性を大きく損なってしまう。また、該特許公報中に記載されているように、予め短繊維シートに樹脂を含浸させ、これをプリプレグ表面に張り付けることでプリプレグのタック性は改善されると考えられるが、本発明のように粒子を樹脂へ混練する事と比較して、短繊維シートに樹脂を含浸させる事は煩雑であることから、コストが大幅に上昇してしまう。
また、熱可塑性繊維においても、静電植毛によるフロック加工等の特殊な用途においてはカット長0.5mm程度の極短繊維が用いられている。このような極短繊維は、本発明において構成要素[C]として用いうる。しかし、これらの製造にはカット時の繊維束を細くする、繊維束に特殊な油剤を付与する、カット中に冷却する、等の工夫が必要であり、コストが非常に高くなるため、これらを複合材料の界面に配置して層間強化を行うことは考えられてこなかったし、それにより、樹脂への分散性やシートの形成性が向上してプリプレグの生産性が向上すると共に、プリプレグのタック性、ドレープ性も優れたものとなり、さらに本願発明で示されたように低昇温速度時の耐衝撃性が向上することは予想すらされていなかった。その上、円盤状の粒子を用いて層間強化を行うことにより、極短繊維状のものを越える耐衝撃性向上効果を示すことは驚くべき事実である。
ここで、構成要素[C]の形状は以下のようにして測定できる。まず、マトリックス樹脂を溶解するが粒子を溶解しない溶媒を選択する。ビーカー中にこの溶媒を入れ、プリプレグをその中に浸す。超音波洗浄器を用いて樹脂を溶解した後、強化繊維をピンセットにて摘み上げ、残りの溶液をメンブレンフィルター上に濾過する。ここで粒子がフィルター上に濾別され、溶解した樹脂は溶媒とともにフィルターを通過する。このメンブレンフィルターを乾燥した後、電子顕微鏡で観察する。まず、メンブレンフィルター面に垂直な方向から観測し、粒子の長軸長を測定する。次に、メンブレンフィルター面に平行な方向から観測し、粒子の短軸長を計算する。測定はそれぞれ5カ所以上の視野において各20個以上の粒子のサイズを計測し、求めた長軸長と短軸長の比を求めることで各粒子の異形度が計算できる。
また、適切な溶媒が存在せず、粒子の分離が難しい際には、プリプレグの断面より粒子の形状を求めることも可能である。この場合は、まずプリプレグを2枚の平滑な支持板の間にはさんで密着させ、2℃/時の昇温速度で150度まで昇温させ硬化させたのち、2℃/時の降温速度で室温まで温度を下げて、硬化したプリプレグを得る。硬化したプリプレグを鋭利なカッターで切断し、その断面を200倍以上に拡大して写真を撮る。その断面における各粒子断面の長軸長と短軸長を測定し、粒子ごとに長軸長と短軸長の比を計算する。しかし、断面形状から粒子形状を測定する場合、粒子がラグビーボール状や極短繊維状の場合などにおいては、切断する面によって断面形状が大きく異なってしまうが、方向の影響を除くために平行ではない5つ以上の断面において各1視野以上の写真を撮影し、写真内における50個以上の粒子において長軸長と短軸長の比を計算したすべての視野における測定結果のうち、50%以上の粒子において長軸長と短軸長の比が2以上であれば本発明の効果を得ることができる。60%以上の粒子において長軸長と短軸長の比が2以上であればより好ましく、70%以上の粒子において長軸長と短軸長の比が2以上であればさらに好ましい。
また、粒子のサイズとしては、平均短軸長が150μm以上となると、強化繊維の配列を乱し、積層して得られる複合材料の層間を必要以上に厚くするため、複合材料に形成されたとき、その物性を低下させることがあるので、150μm以下であることが好ましい。さらに、[B]への分散性と成形性の面から、短軸長が60μm以下であるとより好ましく、30μm以下であると最も好ましい。また、[B]へ分散させた際に、2次凝集による分散性の低下を防ぐために、平均短軸長は0.1μm以上であることが好ましく、0.5μm以上であることがより好ましい。ここで平均短軸長とは、上述した、異形度や、硬化物の断面内での断面形状としての長軸長と短軸長の比を計算する際に計測した各粒子の短軸長の相加平均値とする。
さらに複合材料の層間厚さとの関係から、本発明における構成要素[C]の平均短軸長は成形後の複合材料の平均層間厚さの1/3以上1以下であることが好ましい。構成要素[C]の平均短軸長がこの範囲であると、衝撃により層間にクラックが進展したときに、クラックの進展先に粒子が存在する確率が高くなり、より効果的に衝撃エネルギーを吸収することができるからである。1/3未満ではクラックが素通りしてしまい、効果的に衝撃エネルギーを吸収できることが難しくなる可能性があり、1を超えると粒子が層内までめりこんでしまい、耐衝撃性以外の力学特性を損なうおそれがある。
本発明のプリプレグにおいては、使用している粒子が異形であることにより、複合材料成型時の構成要素[B]の流動に伴い、異形粒子の向きが積層面に平行に配列し、積層層間の厚みを薄くすることで複合材料の靭性を向上させることができる。さらに、プリプレグの段階で異形粒子がプリプレグ表面に対して平行に配列していれば、複合材料中の異形粒子の配向度をより高めることが可能となるため好ましい。この異形粒子の配向度は、前記のプリプレグの断面より粒子の形状を求める方法に従ってプリプレグの断面における粒子の形状を観察した際に、長軸長と短軸長の比が2以上である粒子について長軸長とプリプレグ表面の角度θを測定し、その余弦の自乗を相加平均することで評価できる。本発明の効果を得るためには、プリプレグ中における異形粒子の配向度が0.88以上であることが好ましく、0.93以上であることがより好ましく、0.97以上であることがより好ましい。なお、この配向度は異形粒子の向きが完全にプリプレグと平行となった時に1となる。
構成要素[C]の素材の主体である熱可塑性樹脂は、複合材料の靭性を改善するために[B]を構成する熱硬化性樹脂よりも靭性の高いものであることが好ましい。
構成要素[C]に用いられる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリアミド、ポリカーボナート、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリエステル、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアラミド、ポリベンゾイミダゾール、ポリエチレン、ポリプロピレン、酢酸セルロース、酪酸セルロースからなる群から選ばれた少なくとも1種の樹脂が挙げられる。
構成要素[C]に用いられる熱可塑性樹脂として、特に好ましい樹脂は、ポリアミドである。中でも、ナイロン−12を主体とするポリアミドは、耐衝撃性の点で、特に優れている。かかるポリアミドとしては、具体的には、東レ(株)製SP−500が挙げられる。
構成要素[C]の素材を選択する場合、構成要素[C]の素材の弾性率が構成要素[B]の硬化物の弾性率より低いほうが、高い交差積層板圧縮強度を得るため好ましい。とりわけ、構成要素[C]の素材の曲げ弾性率が構成要素[B]の硬化物の曲げ弾性率の2/3以下、さらには1/2以下であることが好ましい。
構成要素[C]は熱可塑性樹脂を主体とするが、その靭性を大きく損ねない範囲で他の成分を含有していてもよい。ここで、特開平1−104624号公報に示されるような、ポリアミド樹脂とエポキシ樹脂との組み合わせによりセミIPN(高分子相互侵入網目構造:Inter−penetrating Polymer Network)化した、もしくはセミIPN化しうる粒子は、耐熱性、耐溶剤性をかね備えるので、一層好ましい。
なお、本発明で規定する形状の構成要素[C]を作製する方法は特に限定されるものではないが、例えばエポキシ樹脂(エピコート828)に真円形状の微粒子を添加し、混合して分散させた後に、離型紙上にフィルムコーティングし、その上にもう一枚離型紙を載せ、予熱したホットプレスによりプレスを行い、その後、粒子とエポキシ樹脂を離型紙より掻き取り、メチルエーテルケトンで洗浄した後にメンブレンフィルターで濾過し、粒子を回収する方法などは、既存の真円形状の微粒子を転用することができるので、好ましく用いることができる。
さらに、これら粒子は、単独で使用されても良いが、2種以上が混合されて使用されても良い。
構成要素[C]の含有量としては、高い耐衝撃性、交差積層板圧縮強度を得るために、プリプレグに対し、1重量%以上、好ましくは2重量%以上とするのが良い。また、プリプレグのタック、ドレープ性を確保するために、20重量%以下であることが好ましく、より好ましくは15重量%以下である。プリプレグのハンドリングをいっそう優れたものにするためには、構成要素[C]の量は、10重量%以下であることが好ましい。
プリプレグ中の構成要素[C]の含有量は次のように評価する。まず、マトリックス樹脂を溶解するが構成要素[C]を溶解しない溶媒を選択する。ビーカー中にこの溶媒を入れ、重量を測定したプリプレグをその中に浸す。超音波洗浄器を用いて樹脂を溶解した後、強化繊維をピンセットにて摘み上げ、残りの溶液を重量を予め測定したメンブレンフィルター上に濾過する。ここで構成要素[C]がフィルター上に濾別され、溶解した樹脂は溶媒とともにフィルターを通過する。次にピンセットにて摘み上げた強化繊維を、元のビーカーに戻す。ビーカー内で強化繊維を溶媒で洗い洗浄液をフィルターで濾過する作業を数回繰り返す。洗浄を終えた強化繊維を取り出した後、ビーカー内に構成要素[C]が残存しないよう内壁を溶媒で数回洗浄し、洗浄液を濾過する。構成要素[C]が濾別されたフィルターを4つ折りにしてオーブンにて乾燥後、重量を測定する。元のフィルター重量を差し引いたものが粒子重量であり、元のプリプレグ重量との比から構成要素[C]の含有量を算出できる。
構成要素[C]に用いられる熱可塑性樹脂として、特に好ましい樹脂は、ポリアミドである。中でも、ナイロン−12を主体とするポリアミドは、耐衝撃性の点で、特に優れている。かかるポリアミドとしては、具体的には、東レ(株)製SP−500が挙げられる。
構成要素[C]の素材を選択する場合、構成要素[C]の素材の弾性率が構成要素[B]の硬化物の弾性率より低いほうが、高い交差積層板圧縮強度を得るため好ましい。とりわけ、構成要素[C]の素材の曲げ弾性率が構成要素[B]の硬化物の曲げ弾性率の2/3以下、さらには1/2以下であることが好ましい。
構成要素[C]は熱可塑性樹脂を主体とするが、その靭性を大きく損ねない範囲で他の成分を含有していてもよい。ここで、特開平1−104624号公報に示されるような、ポリアミド樹脂とエポキシ樹脂との組み合わせによりセミIPN(高分子相互侵入網目構造:Inter−penetrating Polymer Network)化した、もしくはセミIPN化しうる粒子は、耐熱性、耐溶剤性をかね備えるので、一層好ましい。
なお、本発明で規定する形状の構成要素[C]を作製する方法は特に限定されるものではないが、例えばエポキシ樹脂(エピコート828)に真円形状の微粒子を添加し、混合して分散させた後に、離型紙上にフィルムコーティングし、その上にもう一枚離型紙を載せ、予熱したホットプレスによりプレスを行い、その後、粒子とエポキシ樹脂を離型紙より掻き取り、メチルエーテルケトンで洗浄した後にメンブレンフィルターで濾過し、粒子を回収する方法などは、既存の真円形状の微粒子を転用することができるので、好ましく用いることができる。
さらに、これら粒子は、単独で使用されても良いが、2種以上が混合されて使用されても良い。
構成要素[C]の含有量としては、高い耐衝撃性、交差積層板圧縮強度を得るために、プリプレグに対し、1重量%以上、好ましくは2重量%以上とするのが良い。また、プリプレグのタック、ドレープ性を確保するために、20重量%以下であることが好ましく、より好ましくは15重量%以下である。プリプレグのハンドリングをいっそう優れたものにするためには、構成要素[C]の量は、10重量%以下であることが好ましい。
プリプレグ中の構成要素[C]の含有量は次のように評価する。まず、マトリックス樹脂を溶解するが構成要素[C]を溶解しない溶媒を選択する。ビーカー中にこの溶媒を入れ、重量を測定したプリプレグをその中に浸す。超音波洗浄器を用いて樹脂を溶解した後、強化繊維をピンセットにて摘み上げ、残りの溶液を重量を予め測定したメンブレンフィルター上に濾過する。ここで構成要素[C]がフィルター上に濾別され、溶解した樹脂は溶媒とともにフィルターを通過する。次にピンセットにて摘み上げた強化繊維を、元のビーカーに戻す。ビーカー内で強化繊維を溶媒で洗い洗浄液をフィルターで濾過する作業を数回繰り返す。洗浄を終えた強化繊維を取り出した後、ビーカー内に構成要素[C]が残存しないよう内壁を溶媒で数回洗浄し、洗浄液を濾過する。構成要素[C]が濾別されたフィルターを4つ折りにしてオーブンにて乾燥後、重量を測定する。元のフィルター重量を差し引いたものが粒子重量であり、元のプリプレグ重量との比から構成要素[C]の含有量を算出できる。
このような構成要素[C]を表面に局在化させたプリプレグの製造方法としては、特開平1−26651号公報、特開昭63−170428号公報に示されているごとく、構成要素[C]を、予め作製した強化繊維とマトリックス樹脂からなる1次プリプレグの表面に付着させる方法、構成要素[C]をマトリックス樹脂の中に均一混合しておき、強化繊維に含浸させる過程において繊維間隙による濾過現象によりプリプレグ表面に局在化させる方法、マトリックス樹脂の一部を強化繊維に含浸させた1次プリプレグをまず作製し、次に構成要素[C]を高濃度に含有する残りのマトリックス樹脂のフィルムを1次プリプレグの表面に張り付ける方法などを採用することができる。
上記の方法の中でも、マトリックス樹脂の一部を強化繊維に含浸させた1次プリプレグを作製し、これに構成要素[C]を含有するフィルムを張り付ける方法が、構成要素[C]の分布が均一で耐衝撃性等の物性に優れ、かつ、作製されたプリプレグのタック性に優れるため好ましい。しかし、本発明で用いる構成要素[C]は異形であるため繊維間隙による濾過現象による濾別性が高く、特に構成要素[C]が円盤形の微粒子であれば、微粒子が強化繊維束の間に入り込んで強化繊維の配列を乱すことがほとんど無いため、構成要素[C]をマトリックス樹脂の中に均一混合しておき、これを直接強化繊維に含浸する方法においても、十分に微粒子が表面に局在化し、かつ、強化繊維の配列の乱れのないプリプレグをより少ない工程で得られることからより好ましい。
本発明の複合材料は、次の要素[A]、[B’]および[C]からなり、積層面に垂直な方向の断面を観察した際に、下記(3)(4)の条件を満たすことを特徴とする複合材料である。
[A]:強化繊維
[B’]:樹脂硬化物
[C]:熱可塑性樹脂を主体とする微粒子
(3):構成要素[C]が積層層間部に局在化していること
(4):断面内に観察される構成要素[C]において、その断面形状が長軸長と短軸長の比が2以上30以下の扁平形である構成要素[C]の個数が、断面内に観測される構成要素[C]の全個数の50%以上であること
本発明の複合材料は、構成要素[B’]よりも靭性の高い構成要素[C]が積層層間部に局在化していることにより、高い耐衝撃性を発現する。特に好ましいのは、構成要素[A]と構成要素[B]からなる層が複数枚積層された複合材料中で、層と層の間に挟まれた「層間領域」に構成要素[C]の全量の90%以上が局在化する場合である。
[A]:強化繊維
[B’]:樹脂硬化物
[C]:熱可塑性樹脂を主体とする微粒子
(3):構成要素[C]が積層層間部に局在化していること
(4):断面内に観察される構成要素[C]において、その断面形状が長軸長と短軸長の比が2以上30以下の扁平形である構成要素[C]の個数が、断面内に観測される構成要素[C]の全個数の50%以上であること
本発明の複合材料は、構成要素[B’]よりも靭性の高い構成要素[C]が積層層間部に局在化していることにより、高い耐衝撃性を発現する。特に好ましいのは、構成要素[A]と構成要素[B]からなる層が複数枚積層された複合材料中で、層と層の間に挟まれた「層間領域」に構成要素[C]の全量の90%以上が局在化する場合である。
本発明において「層間領域」とは図1に示すように、構成要素[A]および構成要素[B]からなる層とその上下の層の接する部分に形成されている領域であり、各層の平均厚みをtとすると、層と層とが接する面から厚さ方向へ上下に0.15tずつ入った0.3tの厚みをもつ領域をいう。構成要素[C]の90%以上が層と層とが接する面から厚さ方向へ上下に0.1tずつ入った0.2tの厚みをもつ領域に局在化する場合は、より顕著に本発明の効果が現れるのでさらに好ましいといえる。
前記の条件をはずれ、「層間領域」を越えて、層の内部深くに構成要素[C]が多量に存在する場合、複合材料の耐衝撃性の向上効果は小さく、また、圧縮強度や耐熱性を損なうおそれがある。
複合材料中の構成要素[C]の分布状態の評価は、次のようにして行うことができる。まず、複合材料を積層面に垂直に切断し、その断面を70倍以上に拡大して写真を撮影する。なお写真は、層の面方向と写真の一辺とが平行になるように撮る。この断面写真を用い、まず平均的な層の厚みを求める。層の平均厚みは写真上で、少なくとも5層以上の積層部分の厚みを、任意に選んだ5箇所で測定し、その値を該積層数で除して求める。次に、同じ複合材料の断面を400倍以上に拡大して写真を撮影する。この写真を用い、一つの層間に着目し、その層間部分のほぼ中心に線を引く。ついで、この中心線から先に求めた層の平均厚みの15%の間隔で上下に2本の線をその中心線に対して対称に引く。写真中の層の平均厚みの15%+15%=30%を間隔とする2本の線に囲まれた部分が「層間領域」である。同様に層の平均厚みの50%の間隔で上下に2本の線をその中心線に対して対称に引く。平均厚みの50%+50%=100%を間隔とする2本の線に囲まれた部分が一層の厚み、すなわち平均厚みそのものである。
そこで、「層間領域」中の構成要素[C]の面積、および上記一層の厚みを示す領域中の構成要素[C]の全面積を定量し、その比をとることにより「層間領域」に存在する構成要素[C]の割合が算出される。ここで、構成要素[C]の面積定量は断面写真から所定の領域に存在する構成要素[C]部分をすべて切り取り、その重量を秤ることにより行う。
また、複合材料中の構成要素[C]はその断面形状が長軸長と短軸長の比が2以上30以下の扁平形である構成要素[C]の個数が、断面内に観測される構成要素[C]の全個数の50%以上であることが重要である。このような扁平な粒子が強化繊維に平行に配向していることにより、層間領域における粒子の密度を増加し、層間領域における亀裂の進展を押さえることに加え、強化繊維と高靭性な粒子との接触面積が増加し、界面での剥離の進行を抑えるため、複合材料の耐衝撃性を効果的に改善することができるのである。
さらに、実質的に真円形の構成要素[A]を用いた複合繊維は、層内における構成要素[A]の存在を最充填化させることが可能であり、強度・弾性率など力学特性に優れた複合材料となり得るが、繊維表面でのいわゆるアンカー効果が得られないため、構成要素[B’]との接着性が低く、界面での剥離が進行し易いため、耐衝撃性に劣った複合材料となることが問題であった。このような問題は、単に積層層間に球状の粒子を分布させる層間強化技術では改善が難しかったが、本発明のように扁平な粒子を用いることで、界面での剥離の進行を抑えることが可能となり、耐衝撃性を大きく改善することが可能となったものである。
複合材料中の構成要素[C]の形状の測定方法は、複合材料をその積層面に垂直な面で切断し、その断面を200倍以上に拡大して200mm×200mm以上の写真を撮る。その断面における各粒子断面の長軸長と短軸長を測定し、粒子ごとに長軸長と短軸長の比を計算する。しかし、断面形状から粒子形状を測定する場合、粒子がラグビーボール状や極短繊維状の場合などにおいては、切断する面によって断面形状が大きく異なってしまうが、方向の影響を除くために平行ではない5つ以上の断面において各1視野以上の写真を撮影し、写真内における50個以上の粒子において長軸長と短軸長の比を計算したすべての視野における測定結果のうち、50%以上の粒子において長軸長と短軸長の比が2以上であれば本発明の効果を得ることができる。60%以上の粒子において長軸長と短軸長の比が2以上であればより好ましく、70%以上の粒子において長軸長と短軸長の比が2以上であればさらに好ましい。
また、複合材料中の構成要素[C]の配向度の測定方法は、上記の粒子の形状を求める方法に従って複合材料の断面における粒子の形状を観察した際に、長軸長と短軸長の比が2以上である粒子について長軸長と複合材料表面の角度θを測定し、その余弦の自乗を相加平均することで評価できる。本発明の効果を得るためには、複合材料中における異形粒子の配向度が0.93以上であることが好ましく、0.97以上であることがより好ましく、0.99以上であることがより好ましい。
このような複合材料の製造方法としては任意の方法をとることができるが、本発明のプリプレグを積層し過熱成形することにより効率的に作製することが可能である。
前記の条件をはずれ、「層間領域」を越えて、層の内部深くに構成要素[C]が多量に存在する場合、複合材料の耐衝撃性の向上効果は小さく、また、圧縮強度や耐熱性を損なうおそれがある。
複合材料中の構成要素[C]の分布状態の評価は、次のようにして行うことができる。まず、複合材料を積層面に垂直に切断し、その断面を70倍以上に拡大して写真を撮影する。なお写真は、層の面方向と写真の一辺とが平行になるように撮る。この断面写真を用い、まず平均的な層の厚みを求める。層の平均厚みは写真上で、少なくとも5層以上の積層部分の厚みを、任意に選んだ5箇所で測定し、その値を該積層数で除して求める。次に、同じ複合材料の断面を400倍以上に拡大して写真を撮影する。この写真を用い、一つの層間に着目し、その層間部分のほぼ中心に線を引く。ついで、この中心線から先に求めた層の平均厚みの15%の間隔で上下に2本の線をその中心線に対して対称に引く。写真中の層の平均厚みの15%+15%=30%を間隔とする2本の線に囲まれた部分が「層間領域」である。同様に層の平均厚みの50%の間隔で上下に2本の線をその中心線に対して対称に引く。平均厚みの50%+50%=100%を間隔とする2本の線に囲まれた部分が一層の厚み、すなわち平均厚みそのものである。
そこで、「層間領域」中の構成要素[C]の面積、および上記一層の厚みを示す領域中の構成要素[C]の全面積を定量し、その比をとることにより「層間領域」に存在する構成要素[C]の割合が算出される。ここで、構成要素[C]の面積定量は断面写真から所定の領域に存在する構成要素[C]部分をすべて切り取り、その重量を秤ることにより行う。
また、複合材料中の構成要素[C]はその断面形状が長軸長と短軸長の比が2以上30以下の扁平形である構成要素[C]の個数が、断面内に観測される構成要素[C]の全個数の50%以上であることが重要である。このような扁平な粒子が強化繊維に平行に配向していることにより、層間領域における粒子の密度を増加し、層間領域における亀裂の進展を押さえることに加え、強化繊維と高靭性な粒子との接触面積が増加し、界面での剥離の進行を抑えるため、複合材料の耐衝撃性を効果的に改善することができるのである。
さらに、実質的に真円形の構成要素[A]を用いた複合繊維は、層内における構成要素[A]の存在を最充填化させることが可能であり、強度・弾性率など力学特性に優れた複合材料となり得るが、繊維表面でのいわゆるアンカー効果が得られないため、構成要素[B’]との接着性が低く、界面での剥離が進行し易いため、耐衝撃性に劣った複合材料となることが問題であった。このような問題は、単に積層層間に球状の粒子を分布させる層間強化技術では改善が難しかったが、本発明のように扁平な粒子を用いることで、界面での剥離の進行を抑えることが可能となり、耐衝撃性を大きく改善することが可能となったものである。
複合材料中の構成要素[C]の形状の測定方法は、複合材料をその積層面に垂直な面で切断し、その断面を200倍以上に拡大して200mm×200mm以上の写真を撮る。その断面における各粒子断面の長軸長と短軸長を測定し、粒子ごとに長軸長と短軸長の比を計算する。しかし、断面形状から粒子形状を測定する場合、粒子がラグビーボール状や極短繊維状の場合などにおいては、切断する面によって断面形状が大きく異なってしまうが、方向の影響を除くために平行ではない5つ以上の断面において各1視野以上の写真を撮影し、写真内における50個以上の粒子において長軸長と短軸長の比を計算したすべての視野における測定結果のうち、50%以上の粒子において長軸長と短軸長の比が2以上であれば本発明の効果を得ることができる。60%以上の粒子において長軸長と短軸長の比が2以上であればより好ましく、70%以上の粒子において長軸長と短軸長の比が2以上であればさらに好ましい。
また、複合材料中の構成要素[C]の配向度の測定方法は、上記の粒子の形状を求める方法に従って複合材料の断面における粒子の形状を観察した際に、長軸長と短軸長の比が2以上である粒子について長軸長と複合材料表面の角度θを測定し、その余弦の自乗を相加平均することで評価できる。本発明の効果を得るためには、複合材料中における異形粒子の配向度が0.93以上であることが好ましく、0.97以上であることがより好ましく、0.99以上であることがより好ましい。
このような複合材料の製造方法としては任意の方法をとることができるが、本発明のプリプレグを積層し過熱成形することにより効率的に作製することが可能である。
以下の実施例によって本発明をさらに具体的に説明する。なお、本実施例で使用した各構成要素の詳細は以下の通りである。
構成要素[A]
“トレカ(登録商標)”T800H−12K−40B(東レ(株)製))
引張強度 5.49 GPa
引張弾性率 294 GPa
繊度 0.445 g/m
密度 1.81 g/cm3
真円度(R/r) 1.37
“トレカ(登録商標)”T700S−12K−50C(東レ(株)製))
引張強度 4.90 GPa
引張弾性率 230 GPa
繊度 0.800 g/m
密度 1.80 g/cm3
真円度(R/r) 1.05
“トレカ(登録商標)”T800G−12K−40B(東レ(株)製))
引張強度 5.88 GPa
引張弾性率 294 GPa
繊度 0.445 g/m
密度 1.80 g/cm3
真円度(R/r) 1.05
構成要素[B]
1. テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン
(住友化学工業(株)製、ELM434) ・・・・60重量部
2. ビスフェノールA型エポキシ樹脂
(ジャパンエポキシレジン(株)製、jER(登録商標)828)・・30重量部
3. ビスフェノールF型エポキシ樹脂
(大日本インキ工業(株)製、エピクロン830) ・・・・13重量部
4. 4,4’−ジアミノジフェニルスルホン
(住友化学工業(株)製、スミキュアS) ・・・・45重量部
構成要素[C]
[微粒子A]
ナイロン12微粒子(東レ(株)製、SP−500)を用いた。この微粒子の形状をSEMにて観察したところ、平均直径12μmの真球状であり、異形度は1.0であった。
[微粒子B]
エポキシ樹脂(エピコート828)100重量部に対し、微粒子A30重量部を添加し、混合して分散させた後に、離型紙上に目付100g/m2でフィルムコーティングした。その上にもう一枚離型紙を載せ、150℃に予熱したホットプレスによりプレスを行った。その後、粒子とエポキシ樹脂を離型紙より掻き取り、メチルエーテルケトンで洗浄した後にメンブレンフィルターで濾過し、粒子を回収した。回収した粒子形状をSEMにて観察したところ、短軸長5.5μm、長軸長17.7μmであり、異形度は3.2であった。
[微粒子C]
ナイロン12の総繊度が220dtexの繊維束に、油剤を10重量部付与した後、ギロチンカッターを用いて繊維長0.5mmに切断した。切断した繊維フロックをメタノールで洗浄し、油剤を除去した後にメンブレンフィルターで濾過し、繊維フロックを回収した。回収した繊維フロックの形状をSEMにて観察したところ、短軸長20μm、長軸長483μmであり、異形度は24であった。
[微粒子D]
ナイロン12の総繊度が220dtexの繊維束をメタノールで洗浄して紡糸油剤を除去した後、ギロチンカッターを用いて繊維長6mmに切断した。得られた短繊維をSEMにて観察したところ、短軸長は20μmであり、異形度を計算すると300であった。
[微粒子E]
厚み50μmのナイロン12フィルムを2.0mmの正方形に切り出した。この粒子の異形度を計算すると56であった。
[微粒子F]
4,4’−ジアミノ−3,3’ジメチルジシクロヘキシルメタンを必須構成成分として含有するポリアミド(エムザベルケ社製“グリルアミド(登録商標、以下同じ)”−TR55)90重量部、エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製“jER(登録商標、以下同じ)”828)8重量部および硬化剤(富士化成工業(株)製“トーマイド(登録商標、以下同じ)”#296)2重量部をクロロホルム300重量部とメタノール100重量部の混合溶媒中に添加して均一溶液を得た。次に該溶液を塗装用のスプレーガンを用いて霧状にして、よく攪拌した3000重量部のn−ヘキサンの駅面に向かって吹き付けて溶質を析出させた。析出した固体を濾別し、n−ヘキサンでよく洗浄した後、100℃24時間の真空乾燥を行い透明ポリアミドの粉末を得た。次にエポキシ樹脂(エピコート828)100重量部に対し、先に作製した透明ポリアミドの粉末を30重量部添加し、混合して分散させた後に、離型紙上に目付100g/m2でフィルムコーティングした。その上にもう一枚離型紙を載せ、150℃に予熱したホットプレスによりプレスを行った。その後、粒子とエポキシ樹脂を離型紙より掻き取り、メチルエーテルケトンで洗浄した後にメンブレンフィルターで濾過し、粒子を回収した。回収した粒子形状をSEMにて観察したところ、短軸長5.0μm、長軸長13.0μmであり、異形度は2.6であった。
[微粒子G]
微粒子Fと同様の方法で、ホットプレスの温度を120℃に変更した以外は、全て同様の方法で微粒子Gを作製した。粒子形状をSEMにて観察したところ、短軸長10.0μm、長軸長26.0μmであり、異形度は2.6であった。
構成要素[A]
“トレカ(登録商標)”T800H−12K−40B(東レ(株)製))
引張強度 5.49 GPa
引張弾性率 294 GPa
繊度 0.445 g/m
密度 1.81 g/cm3
真円度(R/r) 1.37
“トレカ(登録商標)”T700S−12K−50C(東レ(株)製))
引張強度 4.90 GPa
引張弾性率 230 GPa
繊度 0.800 g/m
密度 1.80 g/cm3
真円度(R/r) 1.05
“トレカ(登録商標)”T800G−12K−40B(東レ(株)製))
引張強度 5.88 GPa
引張弾性率 294 GPa
繊度 0.445 g/m
密度 1.80 g/cm3
真円度(R/r) 1.05
構成要素[B]
1. テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン
(住友化学工業(株)製、ELM434) ・・・・60重量部
2. ビスフェノールA型エポキシ樹脂
(ジャパンエポキシレジン(株)製、jER(登録商標)828)・・30重量部
3. ビスフェノールF型エポキシ樹脂
(大日本インキ工業(株)製、エピクロン830) ・・・・13重量部
4. 4,4’−ジアミノジフェニルスルホン
(住友化学工業(株)製、スミキュアS) ・・・・45重量部
構成要素[C]
[微粒子A]
ナイロン12微粒子(東レ(株)製、SP−500)を用いた。この微粒子の形状をSEMにて観察したところ、平均直径12μmの真球状であり、異形度は1.0であった。
[微粒子B]
エポキシ樹脂(エピコート828)100重量部に対し、微粒子A30重量部を添加し、混合して分散させた後に、離型紙上に目付100g/m2でフィルムコーティングした。その上にもう一枚離型紙を載せ、150℃に予熱したホットプレスによりプレスを行った。その後、粒子とエポキシ樹脂を離型紙より掻き取り、メチルエーテルケトンで洗浄した後にメンブレンフィルターで濾過し、粒子を回収した。回収した粒子形状をSEMにて観察したところ、短軸長5.5μm、長軸長17.7μmであり、異形度は3.2であった。
[微粒子C]
ナイロン12の総繊度が220dtexの繊維束に、油剤を10重量部付与した後、ギロチンカッターを用いて繊維長0.5mmに切断した。切断した繊維フロックをメタノールで洗浄し、油剤を除去した後にメンブレンフィルターで濾過し、繊維フロックを回収した。回収した繊維フロックの形状をSEMにて観察したところ、短軸長20μm、長軸長483μmであり、異形度は24であった。
[微粒子D]
ナイロン12の総繊度が220dtexの繊維束をメタノールで洗浄して紡糸油剤を除去した後、ギロチンカッターを用いて繊維長6mmに切断した。得られた短繊維をSEMにて観察したところ、短軸長は20μmであり、異形度を計算すると300であった。
[微粒子E]
厚み50μmのナイロン12フィルムを2.0mmの正方形に切り出した。この粒子の異形度を計算すると56であった。
[微粒子F]
4,4’−ジアミノ−3,3’ジメチルジシクロヘキシルメタンを必須構成成分として含有するポリアミド(エムザベルケ社製“グリルアミド(登録商標、以下同じ)”−TR55)90重量部、エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製“jER(登録商標、以下同じ)”828)8重量部および硬化剤(富士化成工業(株)製“トーマイド(登録商標、以下同じ)”#296)2重量部をクロロホルム300重量部とメタノール100重量部の混合溶媒中に添加して均一溶液を得た。次に該溶液を塗装用のスプレーガンを用いて霧状にして、よく攪拌した3000重量部のn−ヘキサンの駅面に向かって吹き付けて溶質を析出させた。析出した固体を濾別し、n−ヘキサンでよく洗浄した後、100℃24時間の真空乾燥を行い透明ポリアミドの粉末を得た。次にエポキシ樹脂(エピコート828)100重量部に対し、先に作製した透明ポリアミドの粉末を30重量部添加し、混合して分散させた後に、離型紙上に目付100g/m2でフィルムコーティングした。その上にもう一枚離型紙を載せ、150℃に予熱したホットプレスによりプレスを行った。その後、粒子とエポキシ樹脂を離型紙より掻き取り、メチルエーテルケトンで洗浄した後にメンブレンフィルターで濾過し、粒子を回収した。回収した粒子形状をSEMにて観察したところ、短軸長5.0μm、長軸長13.0μmであり、異形度は2.6であった。
[微粒子G]
微粒子Fと同様の方法で、ホットプレスの温度を120℃に変更した以外は、全て同様の方法で微粒子Gを作製した。粒子形状をSEMにて観察したところ、短軸長10.0μm、長軸長26.0μmであり、異形度は2.6であった。
各構成要素を用いたプリプレグの作製方法としては、下記のいずれかの手法を採用した。
[2段含浸]
まず、構成要素[B]のみを離型紙上にフィルムコーティングし、目付31.5g/m2の樹脂フィルム(1)を作製した。この樹脂フィルム(1)のコーティング面を向かい合わせにした間に構成要素[A]を配列し、加熱プレスロールで加圧して炭素繊維に樹脂を含浸させて一方向の一次プリプレグを作製した。このとき、一次プリプレグの炭素繊維目付が190g/m2、プリプレグ目付が294g/m2、マトリックス樹脂含有率35.4重量%となるように設定した。
[2段含浸]
まず、構成要素[B]のみを離型紙上にフィルムコーティングし、目付31.5g/m2の樹脂フィルム(1)を作製した。この樹脂フィルム(1)のコーティング面を向かい合わせにした間に構成要素[A]を配列し、加熱プレスロールで加圧して炭素繊維に樹脂を含浸させて一方向の一次プリプレグを作製した。このとき、一次プリプレグの炭素繊維目付が190g/m2、プリプレグ目付が294g/m2、マトリックス樹脂含有率35.4重量%となるように設定した。
次に、構成要素[B]100重量部に対して構成要素[C]が47.9重量部となるように混合、分散したものを離型紙上にフィルムコーティングし、目付20.5g/m2の樹脂フィルム(2)を作製した。このとき、樹脂の調整手順としては、構成要素[B]のうち、硬化剤である4,4’−ジアミノジフェニルスルホンを除いたものをまず混合し、そこに構成要素[C]を添加して混合・分散した後に、さらに硬化剤を加えて混合した。この樹脂フィルム(2)のコーティング面を向かい合わせにした間に、さきほどの一次プリプレグを通し、加熱プレスロールで加圧してプリプレグを作製した。このプリプレグは炭素繊維目付が190g/m2、プリプレグ目付が294g/m2、マトリックス樹脂含有率35.4重量%となるように設定した。
[1段含浸]
構成要素[B]100重量部に対して、構成要素[C]が13.7重量部となるように混合、分散したものを離型紙上にフィルムコーティングし、目付52.0g/m2の樹脂フィルムを作製した。ここで、樹脂の調整手順は前記[2段含浸]中の樹脂フィルム(2)の調整手段と同様に行った。この樹脂フィルムのコーティング面を向かい合わせにした間に構成要素[A]を配列し、加熱プレスロールで加圧して構成要素[A]に樹脂を含浸させて一方向のプリプレグを作製した。ここで、構成要素[B]が構成要素[A」中に含浸する過程で、構成要素[B]中の構成要素[C]が構成要素[A]の繊維間隔に入り込めずにプリプレグ表面に残留し、粒子の局在化が発生する。成形に際しては、プリプレグにおいて炭素繊維目付が190g/m2、プリプレグ目付が294g/m2、マトリックス樹脂含有率35.4重量%となるように設定した。
[散布]
構成要素[B]のみを離型紙上にフィルムコーティングし、目付45.7g/m2の樹脂フィルムを作製した。この樹脂フィルム(1)のコーティング面を向かい合わせにした間に構成要素[A]を配列し、加熱プレスロールで加圧して炭素繊維に樹脂を含浸させて一方向の一次プリプレグを作製した。このとき、一次プリプレグの炭素繊維目付が190g/m2、プリプレグ目付が280g/m2、マトリックス樹脂含有率32.1重量%となるように設定した。この一次プリプレグ表面に、一次プリプレグ100重量部に対し4.9重量部の構成要素[C]を散布し、離型紙を挟んで過熱プレスロールを通すことによりプリプレグを作製した。トータルのプリプレグ目付は294g/m2、マトリックス樹脂含有率は35.4重量%である。
[1段含浸]
構成要素[B]100重量部に対して、構成要素[C]が13.7重量部となるように混合、分散したものを離型紙上にフィルムコーティングし、目付52.0g/m2の樹脂フィルムを作製した。ここで、樹脂の調整手順は前記[2段含浸]中の樹脂フィルム(2)の調整手段と同様に行った。この樹脂フィルムのコーティング面を向かい合わせにした間に構成要素[A]を配列し、加熱プレスロールで加圧して構成要素[A]に樹脂を含浸させて一方向のプリプレグを作製した。ここで、構成要素[B]が構成要素[A」中に含浸する過程で、構成要素[B]中の構成要素[C]が構成要素[A]の繊維間隔に入り込めずにプリプレグ表面に残留し、粒子の局在化が発生する。成形に際しては、プリプレグにおいて炭素繊維目付が190g/m2、プリプレグ目付が294g/m2、マトリックス樹脂含有率35.4重量%となるように設定した。
[散布]
構成要素[B]のみを離型紙上にフィルムコーティングし、目付45.7g/m2の樹脂フィルムを作製した。この樹脂フィルム(1)のコーティング面を向かい合わせにした間に構成要素[A]を配列し、加熱プレスロールで加圧して炭素繊維に樹脂を含浸させて一方向の一次プリプレグを作製した。このとき、一次プリプレグの炭素繊維目付が190g/m2、プリプレグ目付が280g/m2、マトリックス樹脂含有率32.1重量%となるように設定した。この一次プリプレグ表面に、一次プリプレグ100重量部に対し4.9重量部の構成要素[C]を散布し、離型紙を挟んで過熱プレスロールを通すことによりプリプレグを作製した。トータルのプリプレグ目付は294g/m2、マトリックス樹脂含有率は35.4重量%である。
また、得られたプリプレグで複合材料を作製し、下記の手法により評価を行った。
[プリプレグ断面における粒子の分布状態及び粒子の配向状態]
評価するプリプレグを2枚の平滑な支持板の間にはさんで密着させ、2℃/hの昇温速度で150℃まで昇温させ硬化させた。硬化させたプリプレグを鋭利なカッターで切断し、その断面において、本文中に記載したプリプレグ中の粒子の分布状態を測定する手法に従い、粒子の分布状態(表面局在化率)を評価した。同時に、同じ断面において、本文中に記載したプリプレグ中の粒子の配向度を測定する手法に従い、粒子の配向状態を評価した。
[複合材料中の粒子の形状、粒子の分布状態及び粒子の配向状態]
評価するプリプレグを、(0°/90°)3sの構成で積層し、通常のオートクレーブを用いて加圧・過熱成形した。成形条件は成形圧力を0.6MPaとし、成形温度を180℃に設定して、180℃に昇温されてから2時間保持することで成形を行った。また、この時の昇温速度は2.0℃/minとした。
得られた複合材料の中心の90°層同士の層間を除く、2つの0°層と90°層の層間において、本文中に記載した複合材料中の粒子の分布状態を測定する手法に従い、粒子の分布状態(層間局在化率)を評価した。同時に、同じ断面において、本文中に記載したプリプレグ中の粒子の形状及び粒子の配向度を測定する手法に従い、粒子の形状(異形粒子率)と配向状態を評価した。
[耐衝撃性]
評価するプリプレグを、24枚疑似等方構成((+45°/0°/−45°/90°)3s)で積層し、通常のオートクレーブを用いて加圧・過熱成形した。成形条件は成形圧力を0.6MPaとし、成形温度を180℃に設定して、180℃に昇温されてから2時間保持することで成形を行った。ここで、昇温速度の依存性を確認するために、昇温速度を0.2℃/分と2.0℃/分の2水準で成形を行った。
この複合材料について、ASTM D7136−05に準拠し30.5Jのエネルギーの衝撃を与え、ASTM D7137−05に準拠して残存圧縮強度を測定した。
[層間剥離強度]
評価するプリプレグを、20枚同方向に積層し、通常のオートクレーブを用いて加圧・過熱成形した。成形条件は成形圧力を0.6MPaとし、成形温度を180℃に設定して、180℃に昇温されてから2時間保持することで成形を行った。また、この時の昇温速度は2.0℃/分とした。
[プリプレグ断面における粒子の分布状態及び粒子の配向状態]
評価するプリプレグを2枚の平滑な支持板の間にはさんで密着させ、2℃/hの昇温速度で150℃まで昇温させ硬化させた。硬化させたプリプレグを鋭利なカッターで切断し、その断面において、本文中に記載したプリプレグ中の粒子の分布状態を測定する手法に従い、粒子の分布状態(表面局在化率)を評価した。同時に、同じ断面において、本文中に記載したプリプレグ中の粒子の配向度を測定する手法に従い、粒子の配向状態を評価した。
[複合材料中の粒子の形状、粒子の分布状態及び粒子の配向状態]
評価するプリプレグを、(0°/90°)3sの構成で積層し、通常のオートクレーブを用いて加圧・過熱成形した。成形条件は成形圧力を0.6MPaとし、成形温度を180℃に設定して、180℃に昇温されてから2時間保持することで成形を行った。また、この時の昇温速度は2.0℃/minとした。
得られた複合材料の中心の90°層同士の層間を除く、2つの0°層と90°層の層間において、本文中に記載した複合材料中の粒子の分布状態を測定する手法に従い、粒子の分布状態(層間局在化率)を評価した。同時に、同じ断面において、本文中に記載したプリプレグ中の粒子の形状及び粒子の配向度を測定する手法に従い、粒子の形状(異形粒子率)と配向状態を評価した。
[耐衝撃性]
評価するプリプレグを、24枚疑似等方構成((+45°/0°/−45°/90°)3s)で積層し、通常のオートクレーブを用いて加圧・過熱成形した。成形条件は成形圧力を0.6MPaとし、成形温度を180℃に設定して、180℃に昇温されてから2時間保持することで成形を行った。ここで、昇温速度の依存性を確認するために、昇温速度を0.2℃/分と2.0℃/分の2水準で成形を行った。
この複合材料について、ASTM D7136−05に準拠し30.5Jのエネルギーの衝撃を与え、ASTM D7137−05に準拠して残存圧縮強度を測定した。
[層間剥離強度]
評価するプリプレグを、20枚同方向に積層し、通常のオートクレーブを用いて加圧・過熱成形した。成形条件は成形圧力を0.6MPaとし、成形温度を180℃に設定して、180℃に昇温されてから2時間保持することで成形を行った。また、この時の昇温速度は2.0℃/分とした。
この複合材料について、JIS K7086(1993)に従いダブルカンチレバービーム法を用いて層間の引き剥がし靭性GICを測定した。
(実施例1〜6,比較例1〜6)
表1に示す組み合わせで成形を行い、プリプレグ及び複合材料を作製し、耐衝撃性の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1〜4が示すとおり、本発明のプリプレグについては、良好なタック性を示した。しかし、本発明に規定されるよりも異形度の大きな粒子を用いた水準(比較例2,比較例3)については、1段含浸用の粒子濃度の低い樹脂を作製する際においても、粒子の分散が悪く、均一なフィルムをコーティングすることができなかったため、散布法によりプリプレグを作製した。しかし、これらのプリプレグのタックは非常に低く、比較例2については積層時の作業性が大幅に低下し、さらに比較例3についてはプリプレグのタック性が失われて積層する事が不可能であった。よって、比較例3については複合材料の評価を行うことができなかった。
実施例1,2と比較例1を比較すれば明らかなように、粒子を異形化することにより、複合材料の耐衝撃性が改善されている。特に、低い昇温速度で成形した際の耐衝撃性が大きく向上する。
さらに、実施例3と比較例4を比較して明らかなように、強化繊維の断面が実質的に真円形のものを用いた場合、複合材料は高い層間剥離強度を示すが、本発明のプリプレグおよび複合材料においては、高い層間剥離強度を保ちながら、耐衝撃性が改善されている。特に、昇温速度依存性が大幅に改善され、低い昇温速度においても高い耐衝撃性を示す複合材料が得られている。
(実施例1〜6,比較例1〜6)
表1に示す組み合わせで成形を行い、プリプレグ及び複合材料を作製し、耐衝撃性の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1〜4が示すとおり、本発明のプリプレグについては、良好なタック性を示した。しかし、本発明に規定されるよりも異形度の大きな粒子を用いた水準(比較例2,比較例3)については、1段含浸用の粒子濃度の低い樹脂を作製する際においても、粒子の分散が悪く、均一なフィルムをコーティングすることができなかったため、散布法によりプリプレグを作製した。しかし、これらのプリプレグのタックは非常に低く、比較例2については積層時の作業性が大幅に低下し、さらに比較例3についてはプリプレグのタック性が失われて積層する事が不可能であった。よって、比較例3については複合材料の評価を行うことができなかった。
実施例1,2と比較例1を比較すれば明らかなように、粒子を異形化することにより、複合材料の耐衝撃性が改善されている。特に、低い昇温速度で成形した際の耐衝撃性が大きく向上する。
さらに、実施例3と比較例4を比較して明らかなように、強化繊維の断面が実質的に真円形のものを用いた場合、複合材料は高い層間剥離強度を示すが、本発明のプリプレグおよび複合材料においては、高い層間剥離強度を保ちながら、耐衝撃性が改善されている。特に、昇温速度依存性が大幅に改善され、低い昇温速度においても高い耐衝撃性を示す複合材料が得られている。
これらに加えて、実施例4と比較例5との比較からわかるように、本発明のように、異形の微粒子を用いた場合には、工程数の少ない1段含浸プロセスにおいても、粒子がプリプレグ表面に局在化したプリプレグを作製することが可能であり、複合材料のコスト削減にも繋がるものである。比較例5では球状の微粒子がプリプレグ内部に入りこんでしまい、耐衝撃性が損なわれている。さらに実施例6から分かるとおり粒子の平均短軸長が平均厚さの1/3よりも大きいときは耐衝撃性がさらに向上している。
Claims (15)
- 次の構成要素[A]、[B]および[C]を含むプリプレグであって、構成要素[C]は、構成要素[B]に不溶であるとともに、長軸長と短軸長の比で表される異形度が2以上30以下であり、かつ、プリプレグの内部よりも表面に高濃度に分布することを特徴とするプリプレグ。
[A]:強化繊維
[B]:熱硬化性樹脂を主体とするマトリックス樹脂
[C]:熱可塑性樹脂を主体とする微粒子 - 次の構成要素[A]、[B]および[C]を含むプリプレグであって、構成要素[C]は、構成要素[B]に不溶であるとともに、前記プリプレグを硬化して得られる硬化物に垂直な方向の断面を観察した際に、次の(1)および(2)の条件を満たすことを特徴とするプリプレグ。
[A]:強化繊維
[B]:熱硬化性樹脂を主体とするマトリックス樹脂
[C]:熱可塑性樹脂を主体とする微粒子
(1):構成要素[C]がプリプレグの内部よりも表面に高濃度に分布していること
(2):断面内に観察される構成要素[C]において、その断面形状が長軸長と短軸長の比が2以上30以下の扁平形である構成要素[C]の個数が、断面内に観測される構成要素[C]の全個数の50%以上であること - 構成要素[C]は、その90%以上がプリプレグ表面からプリプレグの厚さの15%の深さの範囲内に局在化している、請求項1または2に記載のプリプレグ。
- 構成要素[C]はその形状が円盤状である、請求項1〜3のいずれかに記載のプリプレグ。
- 前記熱可塑性樹脂が、ポリアミド、ポリアミドイミドおよびポリエーテルイミドからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜4のいずれかに記載のプリプレグ。
- 構成要素[C]は、前記熱可塑性樹脂と、エポキシ樹脂またはビスマレイミド樹脂とがセミIPN化してなる、請求項1〜5のいずれかに記載のプリプレグ。
- 構成要素[C]は、その平均短軸長が0.1μm以上150μm以下である、請求項1〜6のいずれかに記載のプリプレグ。
- 構成要素[A]が炭素繊維である、請求項1〜7のいずれかに記載のプリプレグ。
- 構成要素[A]は、その断面形状が実質的に真円形である、請求項1〜8のいずれかに記載のプリプレグ。
- 次の構成要素[A]、[B’]および[C]を含み、積層面に垂直な方向の断面を観察した際に、次の(3)(4)の条件を満たすことを特徴とする複合材料。
[A]:強化繊維
[B’]:熱硬化性樹脂を主体としたマトリックス樹脂の硬化物
[C]:熱可塑性樹脂を主体とする微粒子
(3):構成要素[C]が積層層間部に局在化していること
(4):断面内に観察される構成要素[C]において、その断面形状が長軸長と短軸長の比が2以上30以下の扁平形である構成要素[C]の個数が、断面内に観測される構成要素[C]の全個数の50%以上であること - 構成要素[C]が、ポリアミド、ポリアミドイミドおよびポリエーテルイミドからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項10に記載の複合材料。
- 構成要素[C]は、前記熱可塑性樹脂と、エポキシ樹脂またはビスマレイミド樹脂とがセミIPN化してなる、請求項10または11に記載の複合材料。
- 断面内に観測される構成要素[C]において、その断面形状の平均短軸長が0.1μm以上150μm以下である、請求項10〜12のいずれかに記載の複合材料。
- 構成要素[C]の平均短軸長は平均層間厚さの1/3以上1以下である請求項10〜請求項13のいずれかに記載の複合材料。
- 構成要素[A]は、その断面形状が実質的に真円形である、請求項10〜請求項14のいずれかに記載の複合材料。
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