JP2008049513A - インクジェット装置用インク袋又はインクカートリッジ - Google Patents
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Abstract
【効果】アルコール、油、顔料などを含有するインクとの適性に優れ、かつ柔軟性を有するため、インク排出性に優れインク残液を少なくすることができる。
【選択図】なし
Description
また、いずれのタイプも、プリンタのスイッチが入っている時は、インク残量によらずインクの排出性を高めるため、予めインクを脱気状態で収容し、インク袋又はハードケース内部に形成されるインク収容室開口部を封止している樹脂フィルムを一定の圧力で加圧する手段を備えているものが多い。
そのため、上記インク袋やハードケース開口部を封止している樹脂フィルムには内容インクとの適性(化学的安定性)やインク排出性(上記加圧手段に対する柔軟性)が良好であることが求められ、従来、特にポリエチレン系樹脂を最内層に使用している場合が多い。
しかし、インク袋には、更なるインク適性、インク排出性の向上が求められている。
尚、本発明に関連する先行文献としては下記のものが挙げられる。
請求項1:
少なくとも片面にヒートシール層を備えた樹脂フィルム又はシートにより前記ヒートシール層が内壁面を構成するよう形成されるインクジェット装置用インク袋であって、前記ヒートシール層が、プロピレンと、エチレン及び/又は炭素数4〜8のα−オレフィンとからなるプロピレン系共重合体成分を主成分として含み、前記プロピレン系共重合体成分の温度上昇溶離分別法(温度:0〜140℃、溶媒:o−ジクロロベンゼン)における0℃の溶出分の割合が全溶出量に対して0質量%以上50質量%以下であり、かつ60℃以上90℃以下の溶出分の割合が全溶出量に対して5質量%以上70質量%未満であることを特徴とするインクジェット装置用インク袋。
請求項2:
前記ヒートシール層に、前記プロピレン系共重合体成分と、エチレン又はエチレンと炭素数4〜8のα−オレフィンとの共重合体成分とが、60:40〜95:5の質量比で含まれることを特徴とする請求項1記載のインクジェット装置用インク袋。
請求項3:
前記ヒートシート層のJIS K−7161による引張弾性率が600MPa以下であることを特徴とする請求項1又は2記載のインクジェット装置用インク袋。
請求項4:
前記ヒートシート層が、酸化防止剤としてペンタエリスリチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイトのいずれをも含有しないことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のインクジェット装置用インク袋。
請求項5:
前記ヒートシート層が、酸化防止剤として、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゼンを含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のインクジェット装置用インク袋。
請求項6:
有底箱体にインクを収容するインク収容室の開口部を、少なくとも片面にヒートシール層を備えた樹脂フィルム又はシートにより前記ヒートシール層がインク収容室内壁面をなすよう封止するインクジェット装置用インクカートリッジであって、前記ヒートシール層が、プロピレンと、エチレン及び/又は炭素数4〜8のα−オレフィンとからなるプロピレン系共重合体成分を主成分として含み、前記プロピレン系共重合体成分の温度上昇溶離分別法(温度:0〜140℃、溶媒:o−ジクロロベンゼン)における0℃の溶出分の割合が全溶出量に対して0質量%以上50質量%以下であり、かつ60℃以上90℃以下の溶出分の割合が全溶出量に対して5質量%以上70質量%未満であることを特徴とするインクジェット装置用インクカートリッジ。
請求項7:
前記ヒートシール層に、前記プロピレン系共重合体成分と、エチレン又はエチレンと炭素数4〜8のα−オレフィンとの共重合体成分とが、60:40〜95:5の質量比で含まれることを特徴とする請求項6記載のインクジェット装置用インクカートリッジ。
請求項8:
前記ヒートシート層のJIS K−7161による引張弾性率が600MPa以下であることを特徴とする請求項6又は7記載のインクジェット装置用インクカートリッジ。
請求項9:
前記ヒートシート層が、酸化防止剤として、ペンタエリスリチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイトのいずれをも含有しないことを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項記載のインクジェット装置用インクカートリッジ。
請求項10:
前記ヒートシート層が、酸化防止剤として、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゼンを含有することを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項記載のインクジェット装置用インクカートリッジ。
当該割合が小さすぎると、プロピレン系共重合体成分としての柔軟性が劣るため、インク袋のインク排出性が不十分となり、インク残液量が多くなる。また、インク袋の破壊強度も劣化するおそれがある。一方、当該割合が大きすぎると、プロピレン系共重合体成分としての柔軟性は優れるが、インク袋の内面がブロッキングを起こすおそれがある。
当該割合が小さすぎると、プロピレン系共重合体成分としての柔軟性が劣る傾向を示す。一方、当該割合が大きすぎると、プロピレン系共重合体成分としての基本特性である密度と耐熱性に影響を与えるため、インク適性やインク密封に影響を与えるおそれがある。
ここで、上記炭素数4〜8のα−オレフィンとしては、例えば、ブテン−1、3−メチルブテン−1、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1、へキセン−1、オクテン−1等が挙げられ、これらは1種を単独で、又は2種以上を併用することも可能である。
本発明における上記プロピレン系共重合体成分としてより具体的には、プロピレンとエチレンとからなる共重合体成分、又はプロピレンとエチレンと炭素数4〜8のα−オレフィンとからなるプロピレン系共重合体成分であることが好ましく、炭素数4〜8のα−オレフィンとしてはブテン−1を採用することが好適である。
(i)少なくとも二段以上の逐次重合を行なうに際し、一段目重合時においてプロピレン単独重合体、又はプロピレンと少量のエチレン及び/又は炭素数4〜8のα−オレフィンを導入してランダム共重合体を製造した後、二段目以降の重合時において、前段で得られた重合体の存在下、プロピレンとエチレン及び/又は炭素数4〜8のα−オレフィンのランダム共重合体を製造する方法、
(ii)プロピレン単独重合体、又はプロピレンと少量のエチレン及び/又は炭素数4〜8のα−オレフインとのランダム共重合体と、エチレンと炭素数4〜8のα−オレフィンとのランダム共重合体と、をブレンドする方法、
(iii)プロピレン単独重合体、又はプロピレンと少量のエチレン及び/又は炭素数4〜8のα−オレフインとのランダム共重合体と、エチレン及び/又は炭素数4〜8とプロピレンとのランダム共重合体と、をブレンドする方法、
を採用することができる。中でも、経済性の観点から上記(i)の方法を用いることが好適である。
プロピレン系共重合体成分と、エチレン又はエチレンと炭素数4〜8のα−オレフィンとの共重合体成分の合計に対するエチレン又はエチレンと炭素数4〜8のα−オレフィンとの共重合体成分の割合が、40質量%以上あるとプロピレン系共重合体成分としての特性が失われ、目的とするインク適性が劣ることとなり、5質量%未満だと製膜安定性と滑り性を付与することが困難となる。
尚、ここで、上記炭素数4〜8のα−オレフィンとしては、例えば、ブテン−1、3−メチルブテン−1、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1、へキセン−1、オクテン−1等が挙げられ、これらは1種を単独で、又は2種以上を併用することも可能である。
600MPaを超えるとヒートシール層が硬くなりすぎ、インクを吐出する際に、加圧、減圧や電気を与えてもフィルムが十分に曲がることができなくなり、インク排出性が悪くなる。また、30MPa未満だと高い柔軟性のためベタツキ感が増して後述する多層化の際のハンドリングに支障をきたす。
1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゼンのヒートシール層に対する含有量は、プロピレン系共重合体(プロピレンと、エチレン及び/又は炭素数4〜8のα−オレフィンとで構成)と、エチレン又はエチレンと炭素数4〜8のα−オレフィンとの共重合体との合計100質量部に対して、質量比で100〜1000ppm、より好ましくは300〜700ppmである。100ppm未満では酸化防止剤機能が不十分であり、1000ppmを超えると添加量に対して明確な差がでなくなるため効果的でない。
また、本発明のインクカートリッジは、上記の少なくとも片面にヒートシール層を備えた樹脂フィルム又はシートで、ヒートシール層が内壁面となるように有底箱体インクを収容するインク収容室の開口部をヒートシール封止することによって作製することができる。
尚、下記説明の中で示されるTPOとは、Thermoplastic olefinic elastomer(熱可塑性オレフィン系エラストマー)の略である。
表面層として15μmの二軸延伸ナイロンフィルム、中間層(バリア層)として9μmのアルミ箔、ヒートシール層として下記a成分と低密度ポリエチレンとを質量比で90:10の割合で混合して得た25μmのプロピレン系共重合体フィルムを用い、公知のドライラミネート法にて53μm(接着剤層4μm含む)の3層樹脂フィルムを作製した。尚、この時のヒートシール層の引張弾性率は400MPaであり、十分な柔軟性があった。又、ヒートシール層に対する1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゼンの添加量は、質量比で600ppmとした。
この3層樹脂フィルムを60mm(l)×70mm(w)の長方形に切り出し、ヒートシール層が内側になるように長辺(l)を二分するように折りたたむと共に、折りたたまれて重なる短辺(w)縁部同士及び折りたたまれて重なる一つの長辺(l)縁部に気密にゴム栓が嵌挿されたスパウトを挟み込み、これらの縁部を気密にヒートシールし、スパウトが付いた袋にすると共に、折りたたまれて重なり開いている残りの一つの長辺(l)で形成される開口部から、インクジェットプリンタ用インク(サーマル方式)を10g注いだ後、脱気し、該開口部を気密にヒートシールし、これをインク袋とした。
その後、上記インク袋を、そのスパウトのゴム栓からインクジェットプリンタ(サーマル方式)のインクヘッドに中空の針を介して、インク袋内の脱気が保持され、かつインクが導入されるようにセットすると共に、パーソナルコンピュータを通じて文字が印字されなくなるまで連続的に文字を書かせた。
その結果、連続印字により印字できなくなった時点でのインク残液量は当初注入した量に対して0.3%(質量比)で非常に良好であった。また、この印字試験終了後、インクジェットプリンタからインク袋を外し、分解して、観察した結果、インクとの適性にも優れ、微粒子等の発生も無く中空の針の目詰まりも発生しないことを確認した。
[a成分]
o−ジクロロベンゼンを溶媒として用いた温度0℃から140℃の間の温度上昇溶離分別における0℃での溶出分が全溶出量に対して占める割合が23質量%であり、60℃以上90℃以下での溶出分が全溶出量に対して占める割合が8質量%である三菱化学(株)製重合型ポリプロピレン系TPO。
表面層として12μmの二軸延伸ポリエステルフィルム、中間層(バリア層)として9μmのアルミ箔、ヒートシール層として下記b成分と低密度ポリエチレンとを質量比で95:5の割合で混合して得た25μmのプロピレン系共重合体フィルムを用い、公知のドライラミネート法にて50μm(接着剤層4μm含む)の3層樹脂フィルムを作製した。尚、この時のヒートシール層の引張弾性率は420MPaであり、十分な柔軟性があった。又、ヒートシール層に対する1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゼンの添加量は、質量比で550ppmとした。
以下、この3層樹脂フィルムを用いた以外は実施例1と同様な部品、同様な方法でインク袋を作製し、同様な印字試験・評価を行なった。
その結果、連続印字により印字できなくなった時点でのインク残液量は当初注入した量に対して0.4%(質量比)であり非常に良好であった。また、この印字試験終了後、インクジェットプリンタからインク袋を外し、分解して、観察した結果、インクとの適性にも優れ、微粒子等の発生も無く中空の針の目詰まりも発生しないことを確認した。
[b成分]
o−ジクロロベンゼンを溶媒として用いた温度0℃から140℃の間の温度上昇溶離分別における0℃での溶出分が全溶出量に対して占める割合が7質量%であり、60℃以上90℃以下での溶出分が全溶出量に対して占める割合が50質量%である三菱化学(株)製重合型ポリプロピレン系TPO。
表面層として15μmの二軸延伸ナイロンフィルム、中間層(バリア層)として12μmのシリカ蒸着ポリエステルフィルム、ヒートシール層として下記c成分と低密度ポリエチレンとを質量比で90:10の割合で混合して得た25μmのプロピレン系共重合体フィルムを用い、公知のドライラミネート法にて56μm(接着剤層4μm含む)の3層樹脂フィルムを作製した。尚、この時のヒートシール層の引張弾性率は500MPaであり、十分な柔軟性があった。又、ヒートシール層に対する1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゼンの添加量は、質量比で600ppmとした。
一方、ゴム栓が気密に嵌挿されたスパウトを備えた有底箱体のインク収容室に、該インク収容室の開口部(40mm(l)×60mm(w))からインクジェットプリンタ用インク(サーマル方式)を10g注ぐと共に、該インク収容室の開口部を完全に覆う大きさに上記3層樹脂フィルムを切り出し、該3層樹脂フィルムのヒートシール層が該インク収容室内壁面をなす様に該インク収容室開口部に重ね、脱気しながら該3層樹脂フィルムを該インク収容室の開口部に気密にヒートシールし、これをインクカートリッジとした。
その後、上記インクカートリッジを、そのスパウトのゴム栓からインクジェットプリンタ(サーマル方式)のインクヘッドに中空の針を介して、インクカートリッジ内の脱気が保持され、かつインクが導入されるようにセットすると共に、パーソナルコンピュータを通じて文字が印字されなくなるまで連続的に文字を書かせた。
その結果、連続印字により印字できなくなった時点でのインク残液量は当初注入した量に対して0.4%(質量比)で非常に良好であった。また、この印字試験終了後、インクジェットプリンタからインクカートリッジを外し、分解して観察した結果、インクとの適性にも優れ、微粒子等の発生も無く中空の針の目詰まりも発生しないことを確認した。
[c成分]
o−ジクロロベンゼンを溶媒として用いた温度0℃から140℃の間の温度上昇溶離分別における0℃での溶出分が全溶出量に対して占める割合が20質量%であり、60℃以上90℃以下での溶出分が全溶出量に対して占める割合が10質量%である三菱化学(株)製重合型ポリプロピレン系TPO。
表面層として15μmの二軸延伸ナイロンフィルム、中間層(バリア層)として9μmのアルミ箔、ヒートシール層として下記d成分と低密度ポリエチレンとを質量比で90:10の割合で混合して得た25μmのプロピレン系共重合体フィルムを用い、公知のドライラミネート法にて53μm(接着剤層4μm含む)の3層樹脂フィルムを作製した。尚、この時のヒートシール層の引張弾性率は900MPaであり、十分な柔軟性がなかった。又、ヒートシール層に対する1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゼンの添加量は、質量比で700ppmとした。
以下、この3層樹脂フィルムを用いた以外は実施例1と同様な部品、同様な方法でインク袋を作製し、同様な印字試験・評価を行なった。
その結果、使用された樹脂フィルムが硬いため、連続印字により印字できなくなった時点でのインク残液量は当初注入した量に対して5%(質量比)もあった。また、この印字試験終了後、インクジェットプリンタからインク袋を外し、分解して、観察した結果、インクとの適性には優れ、微粒子等の発生も無く中空の針の目詰まりも発生しないことを確認した。
[d成分]
プロピレン系共重合体成分のo−ジクロロベンゼンを溶媒として用いた温度0℃から140℃の間の温度上昇溶離分別における0℃での溶出分が全溶出量に対して占める割合が2質量%であり、60℃以上90℃以下での溶出分が全溶出量に対して占める割合が80質量%である三菱化学(株)製重合型ポリプロピレン系TPO。
表面層として15μmの二軸延伸ナイロンフィルム、中間層(バリア層)として9μmのアルミ箔、ヒートシール層として前記d成分と低密度ポリエチレンとを質量比で95:5の割合で混合して得た25μmのプロピレン系共重合体フィルムを用い、公知のドライラミネート法にて53μm(接着剤層4μm含む)の3層樹脂フィルムを作製した。尚、この時のヒートシール層の引張弾性率は900MPaであり、十分な柔軟性がなかった。又、ヒートシール層に対する酸化防止剤として、ペンタエリスリチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)]を使用した。この添加量は、質量比で1200ppmとした。
以下、この3層樹脂フィルムを用いた以外は実施例1と同様な部品、同様な方法でインク袋を作製し、同様な印字試験・評価を行なった。
その結果、使用された樹脂フィルムが硬いため、連続印字により印字できなくなった時点でのインク残液量は当初注入した量に対して10%(質量比)もあった。また、この印字試験終了後、インクジェットプリンタからインク袋を外し、分解して、観察した結果、大量に微粒子が発生し、中空の針に目詰まりが発生しており、インクとの適性が悪いことがわかった。
表面層として15μmの二軸延伸ナイロンフィルム、中間層(バリア層)として12μmのシリカ蒸着ポリエステルフィルム、ヒートシール層として前記d成分と低密度ポリエチレンとを質量比で95:5の割合で混合して得た25μmのプロピレン系共重合体フィルムを用い、公知のドライラミネート法にて56μm(接着剤層4μm含む)の3層樹脂フィルムを作製した。尚、この時のヒートシール層の引張弾性率は950MPaであり、十分な柔軟性がなかった。又、ヒートシール層に対する酸化防止剤として、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを使用した。この添加量は、質量比で700ppmとした。
以下、この3層樹脂フィルムを用いた以外は実施例3と同様な部品、同様な方法でインクカートリッジを作製し、同様な印字試験・評価を行なった。
その結果、連続印字により印字できなくなった時点でのインク残液量は当初注入した量に対して12%(質量比)もあった。また、この印字試験終了後、インクジェットプリンタからインクカートリッジを外し、分解して観察した結果、微粒子が大量に発生し、中空の針に目詰まりが発生しており、インクとの適性が悪いことがわかった。
Claims (10)
- 少なくとも片面にヒートシール層を備えた樹脂フィルム又はシートにより前記ヒートシール層が内壁面を構成するよう形成されるインクジェット装置用インク袋であって、前記ヒートシール層が、プロピレンと、エチレン及び/又は炭素数4〜8のα−オレフィンとからなるプロピレン系共重合体成分を主成分として含み、前記プロピレン系共重合体成分の温度上昇溶離分別法(温度:0〜140℃、溶媒:o−ジクロロベンゼン)における0℃の溶出分の割合が全溶出量に対して0質量%以上50質量%以下であり、かつ60℃以上90℃以下の溶出分の割合が全溶出量に対して5質量%以上70質量%未満であることを特徴とするインクジェット装置用インク袋。
- 前記ヒートシール層に、前記プロピレン系共重合体成分と、エチレン又はエチレンと炭素数4〜8のα−オレフィンとの共重合体成分とが、60:40〜95:5の質量比で含まれることを特徴とする請求項1記載のインクジェット装置用インク袋。
- 前記ヒートシート層のJIS K−7161による引張弾性率が600MPa以下であることを特徴とする請求項1又は2記載のインクジェット装置用インク袋。
- 前記ヒートシート層が、酸化防止剤として、ペンタエリスリチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイトのいずれをも含有しないことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のインクジェット装置用インク袋。
- 前記ヒートシート層が、酸化防止剤として、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゼンを含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のインクジェット装置用インク袋。
- 有底箱体にインクを収容するインク収容室の開口部を、少なくとも片面にヒートシール層を備えた樹脂フィルム又はシートにより前記ヒートシール層がインク収容室内壁面をなすよう封止するインクジェット装置用インクカートリッジであって、前記樹脂フィルム又はシートのヒートシール層が、プロピレンと、エチレン及び/又は炭素数4〜8のα−オレフィンとからなるプロピレン系共重合体成分を主成分として含み、前記プロピレン系共重合体成分の温度上昇溶離分別法(温度:0〜140℃、溶媒:o−ジクロロベンゼン)における0℃の溶出分の割合が全溶出量に対して0質量%以上50質量%以下であり、かつ60℃以上90℃以下の溶出分の割合が全溶出量に対して5質量%以上70質量%未満であることを特徴とするインクジェット装置用インクカートリッジ。
- 前記ヒートシール層に、前記プロピレン系共重合体成分と、エチレン又はエチレンと炭素数4〜8のα−オレフィンとの共重合体成分とが、60:40〜95:5の質量比で含まれることを特徴とする請求項6記載のインクジェット装置用インクカートリッジ。
- 前記ヒートシート層のJIS K−7161による引張弾性率が600MPa以下であることを特徴とする請求項6又は7記載のインクジェット装置用インクカートリッジ。
- 前記ヒートシート層が、酸化防止剤として、ペンタエリスリチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイトのいずれをも含有しないことを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項記載のインクジェット装置用インクカートリッジ。
- 前記ヒートシート層が、酸化防止剤として、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゼンを含有することを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項記載のインクジェット装置用インクカートリッジ。
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