JP2008049513A - インクジェット装置用インク袋又はインクカートリッジ - Google Patents

インクジェット装置用インク袋又はインクカートリッジ Download PDF

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豊明 鈴木
Naohiro Nomura
直宏 野村
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Abstract

【解決手段】樹脂フィルムのヒートシール層が内壁面を構成するよう形成されるインクジェット装置用インク袋又はインクジェット装置用インクカートリッジにおいて、前記両ヒートシール層が、プロピレンと、エチレン及び/又は炭素数4〜8のα−オレフィンとからなるプロピレン系共重合体成分を主成分として含み、前記プロピレン系共重合体成分の温度上昇溶離分別法(温度:0〜140℃、溶媒:o−ジクロロベンゼン)における0℃の溶出分の割合が全溶出量に対して0質量%以上50質量%以下であり、かつ60℃以上90℃以下の溶出分の割合が全溶出量に対して5質量%以上70質量%未満であることを特徴とするインクジェット装置用インク袋又はインクカートリッジ。
【効果】アルコール、油、顔料などを含有するインクとの適性に優れ、かつ柔軟性を有するため、インク排出性に優れインク残液を少なくすることができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、アルコール、油、顔料等を含有するインクとの適性に優れ、かつ柔軟性を有するために排出性に優れインク残液が少ないインクジェット装置用インク袋又はインクカートリッジに関する。
従来から、液体を噴射する液体噴射装置として、インクをノズルから噴射させて印刷を行なうインクジェット式プリンタが知られている。このプリンタは複数のノズルが形成された記録ヘッドを有しており、該記録ヘッドを往復移動させながら該ノズルからインクを噴射させて印刷を行なう。このようなプリンタには、記録ヘッドに供給するインクを貯留しているインクカートリッジが交換可能に設けられており、このインクカートリッジには、ハードケース内部にインクを包装しているインク袋を収容しているタイプ(以下、‘インク袋タイプ’と表記する)やハードケース内部に形成されるインク収容室に直接インクを収容し、その開口部を樹脂フィルムで封止するタイプ(以下、‘樹脂フィルム封止タイプ’と表記する)がある。
インク袋タイプは、インク袋に弾性栓部材(ゴム等)を備え、ガスバリア性を有するアルミ箔や蒸着フィルム等を使用したラミネートフィルムをヒートシールして構成された包装袋内部にインクを貯留したものが一般的であり、また、樹脂フィルム封止タイプは、ハードケース内部に形成されるインク収容室壁面に弾性栓部材を備え、その開口部をガスバリア性及び水蒸気バリア性を有するアルミ箔や蒸着フィルム等を使用したラミネートフィルムでヒートシールして構成されたインク収容室内部にインクを貯留したものが一般的である。
いずれのタイプも貯留されたインクは、前記弾性栓部材に中空針が刺し込まれるなどして記録ヘッドへと供給され、記録ヘッドのタイプにより、加圧、減圧、電気(ピエゾ方式)、熱(サーマル方式)等が印加され、インクを記録ヘッドから噴射させている。
また、いずれのタイプも、プリンタのスイッチが入っている時は、インク残量によらずインクの排出性を高めるため、予めインクを脱気状態で収容し、インク袋又はハードケース内部に形成されるインク収容室開口部を封止している樹脂フィルムを一定の圧力で加圧する手段を備えているものが多い。
そのため、上記インク袋やハードケース開口部を封止している樹脂フィルムには内容インクとの適性(化学的安定性)やインク排出性(上記加圧手段に対する柔軟性)が良好であることが求められ、従来、特にポリエチレン系樹脂を最内層に使用している場合が多い。
しかし、インク袋には、更なるインク適性、インク排出性の向上が求められている。
尚、本発明に関連する先行文献としては下記のものが挙げられる。
特開2004−131099号公報 特開2004−268298号公報 特開2004−314446号公報 特開2004−306604号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、アルコール、油、顔料等を含有するインクとの適性に優れ、かつ柔軟性を有するために排出性に優れインク残液が少ないインクジェット装置用インク袋又はインクカートリッジを提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を行なった結果、少なくとも片面にヒートシール層を備えた樹脂フィルム又はシートにより前記ヒートシール層が内壁面を構成するよう形成されるインクジェット装置用インク袋、又は有底箱体にインクを収容するインク収容室の開口部を少なくとも片面にヒートシール層を備えた樹脂フィルム又はシートにより前記ヒートシール層がインク収容室内壁面をなすよう封止するインクジェット装置用インクカートリッジにおいて、前記ヒートシール層が、プロピレンと、エチレン及び/又は炭素数4〜8のα−オレフィンとからなるプロピレン系共重合体成分を主成分として含み、前記プロピレン系共重合体成分の温度上昇溶離分別法(温度:0〜140℃、溶媒:o−ジクロロベンゼン)における0℃の溶出分の割合が全溶出量に対して0質量%以上50質量%以下であり、かつ60℃以上90℃以下の溶出分の割合が全溶出量に対して5質量%以上70質量%未満であるインク袋、又はインクカートリッジを用いることにより、アルコール、油、顔料等を含有するインクとの適性に優れ、かつ柔軟性を有するものとすることができるためにインク排出性に優れインク残液を少なくすることが可能になることを知見し、本発明をなすに至った。
即ち、本発明は以下のインクジェット装置用インク袋又はインクカートリッジを提供する。
請求項1:
少なくとも片面にヒートシール層を備えた樹脂フィルム又はシートにより前記ヒートシール層が内壁面を構成するよう形成されるインクジェット装置用インク袋であって、前記ヒートシール層が、プロピレンと、エチレン及び/又は炭素数4〜8のα−オレフィンとからなるプロピレン系共重合体成分を主成分として含み、前記プロピレン系共重合体成分の温度上昇溶離分別法(温度:0〜140℃、溶媒:o−ジクロロベンゼン)における0℃の溶出分の割合が全溶出量に対して0質量%以上50質量%以下であり、かつ60℃以上90℃以下の溶出分の割合が全溶出量に対して5質量%以上70質量%未満であることを特徴とするインクジェット装置用インク袋。
請求項2:
前記ヒートシール層に、前記プロピレン系共重合体成分と、エチレン又はエチレンと炭素数4〜8のα−オレフィンとの共重合体成分とが、60:40〜95:5の質量比で含まれることを特徴とする請求項1記載のインクジェット装置用インク袋。
請求項3:
前記ヒートシート層のJIS K−7161による引張弾性率が600MPa以下であることを特徴とする請求項1又は2記載のインクジェット装置用インク袋。
請求項4:
前記ヒートシート層が、酸化防止剤としてペンタエリスリチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイトのいずれをも含有しないことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のインクジェット装置用インク袋。
請求項5:
前記ヒートシート層が、酸化防止剤として、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゼンを含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のインクジェット装置用インク袋。
請求項6:
有底箱体にインクを収容するインク収容室の開口部を、少なくとも片面にヒートシール層を備えた樹脂フィルム又はシートにより前記ヒートシール層がインク収容室内壁面をなすよう封止するインクジェット装置用インクカートリッジであって、前記ヒートシール層が、プロピレンと、エチレン及び/又は炭素数4〜8のα−オレフィンとからなるプロピレン系共重合体成分を主成分として含み、前記プロピレン系共重合体成分の温度上昇溶離分別法(温度:0〜140℃、溶媒:o−ジクロロベンゼン)における0℃の溶出分の割合が全溶出量に対して0質量%以上50質量%以下であり、かつ60℃以上90℃以下の溶出分の割合が全溶出量に対して5質量%以上70質量%未満であることを特徴とするインクジェット装置用インクカートリッジ。
請求項7:
前記ヒートシール層に、前記プロピレン系共重合体成分と、エチレン又はエチレンと炭素数4〜8のα−オレフィンとの共重合体成分とが、60:40〜95:5の質量比で含まれることを特徴とする請求項6記載のインクジェット装置用インクカートリッジ。
請求項8:
前記ヒートシート層のJIS K−7161による引張弾性率が600MPa以下であることを特徴とする請求項6又は7記載のインクジェット装置用インクカートリッジ。
請求項9:
前記ヒートシート層が、酸化防止剤として、ペンタエリスリチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイトのいずれをも含有しないことを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項記載のインクジェット装置用インクカートリッジ。
請求項10:
前記ヒートシート層が、酸化防止剤として、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゼンを含有することを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項記載のインクジェット装置用インクカートリッジ。
本発明のインクジェット装置用インク袋又はインクカートリッジは、アルコール、油、顔料等を含有するインクとの適性(化学的安定性)に優れ、かつ柔軟性を有するためにインク排出性に優れインク残液を少なくすることができる。
本発明は、少なくとも片面にヒートシール層を備えた樹脂フィルム又はシートにより前記ヒートシール層が内壁面を構成するよう形成されるインクジェット装置用インク袋、又は有底箱体にインクを収容するインク収容室の開口部を少なくとも片面にヒートシール層を備えた樹脂フィルム又はシートにより前記ヒートシール層がインク収容室内壁面をなすよう封止するインクジェット装置用インクカートリッジにおいて、前記ヒートシール層が、プロピレンと、エチレン及び/又は炭素数4〜8のα−オレフィンとからなるプロピレン系共重合体成分を主成分として含み、前記プロピレン系共重合体成分の温度上昇溶離分別法(温度:0〜140℃、溶媒:o−ジクロロベンゼン)における0℃の溶出分の割合が全溶出量に対して0質量%以上50質量%以下であり、かつ60℃以上90℃以下の溶出分の割合が全溶出量に対して5質量%以上70質量%未満であることを特徴とするインク袋、又はインクカートリッジである。
ここで、上記温度上昇溶離分別法(Temperature Rising Elution Fractonation:TREF)とは、ポリマーの組成分布を分析する公知の方法であって、原理的には個々のポリマー成分が異なる結晶構造を有するため溶媒中での析出速度あるいは溶解速度が個々のポリマー毎に異なることを利用して、ポリマーの組成分布を分析する方法である。即ち、高温でポリマーを溶媒に完全に溶解させた後に不活性坦体の存在下で徐々に冷却すると、まず結晶化し易い高結晶性のポリマー成分が前記不活性坦体の表面に先に析出してポリマー層が形成され、その後、結晶化しにくい低結晶性あるいは非晶性のポリマー成分が析出してポリマー層が形成されることとなる。次に、このようにポリマー層を形成後、連続的又は段階的に昇温すると、今度は低結晶性あるいは非晶性のポリマー成分から溶出し、最後に高結晶性ポリマー成分が溶出することとなる。つまり、この各温度での溶出量と溶出温度とによって描かれる溶出曲線から、ポリマーの組成分布を分析することが可能となる。本発明においては、温度上昇溶離分別法に用いる溶媒としてo−ジクロロベンゼンを使用し、温度範囲として0〜140℃を採用している。
本発明において、上記0℃での溶出量が全溶出量に対して占める割合としては0質量%以上、好ましくは15質量%以上、上限として50質量%以下、好ましくは40質量%以下である。
当該割合が小さすぎると、プロピレン系共重合体成分としての柔軟性が劣るため、インク袋のインク排出性が不十分となり、インク残液量が多くなる。また、インク袋の破壊強度も劣化するおそれがある。一方、当該割合が大きすぎると、プロピレン系共重合体成分としての柔軟性は優れるが、インク袋の内面がブロッキングを起こすおそれがある。
また、上記成分の60℃以上90℃以下での溶出量が全溶出量に対して占める割合としては5質量%以上、好ましくは6質量%以上、より好ましくは15質量%以上、上限として70質量%未満、好ましくは30質量%以下である。
当該割合が小さすぎると、プロピレン系共重合体成分としての柔軟性が劣る傾向を示す。一方、当該割合が大きすぎると、プロピレン系共重合体成分としての基本特性である密度と耐熱性に影響を与えるため、インク適性やインク密封に影響を与えるおそれがある。
上記プロピレン系共重合体成分は、プロピレンと、エチレン及び/又は炭素数4〜8のα−オレフィンとからなるプロピレン系共重合体成分である。
ここで、上記炭素数4〜8のα−オレフィンとしては、例えば、ブテン−1、3−メチルブテン−1、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1、へキセン−1、オクテン−1等が挙げられ、これらは1種を単独で、又は2種以上を併用することも可能である。
本発明における上記プロピレン系共重合体成分としてより具体的には、プロピレンとエチレンとからなる共重合体成分、又はプロピレンとエチレンと炭素数4〜8のα−オレフィンとからなるプロピレン系共重合体成分であることが好ましく、炭素数4〜8のα−オレフィンとしてはブテン−1を採用することが好適である。
本発明における上記プロピレン系共重合体成分としては、上記条件、即ち、o−ジクロロベンゼンを溶媒として用いた温度0〜140℃の間の温度上昇溶離分別における0℃での溶出分及び60℃以上90℃以下での溶出分の割合がそれぞれ上記範囲であることを満たすプロピレン系共重合体成分であれば、他に特に限定されるものではなく、その製造方法としても種々の方法を採用し得る。
このような上記プロピレン系共重合体成分の製造方法としては、例えば下記(i)〜(iii)の方法、
(i)少なくとも二段以上の逐次重合を行なうに際し、一段目重合時においてプロピレン単独重合体、又はプロピレンと少量のエチレン及び/又は炭素数4〜8のα−オレフィンを導入してランダム共重合体を製造した後、二段目以降の重合時において、前段で得られた重合体の存在下、プロピレンとエチレン及び/又は炭素数4〜8のα−オレフィンのランダム共重合体を製造する方法、
(ii)プロピレン単独重合体、又はプロピレンと少量のエチレン及び/又は炭素数4〜8のα−オレフインとのランダム共重合体と、エチレンと炭素数4〜8のα−オレフィンとのランダム共重合体と、をブレンドする方法、
(iii)プロピレン単独重合体、又はプロピレンと少量のエチレン及び/又は炭素数4〜8のα−オレフインとのランダム共重合体と、エチレン及び/又は炭素数4〜8とプロピレンとのランダム共重合体と、をブレンドする方法、
を採用することができる。中でも、経済性の観点から上記(i)の方法を用いることが好適である。
上記(i)の逐次重合に用いる触媒としては、特に限定されるものではないが、有機アルミニウム化合物と、チタン原子、マグネシウム原子、ハロゲン原子、及び電子供与性化合物を必須とする固体成分とからなるものが好ましい。
上記有機アルミニウム化合物としては、例えば一般式R1 mAlX(3-m)(式中、R1は炭素原子数1〜12の炭化水素残基、Xはハロゲン原子を示し、mは1〜3の数である)で表される化合物が使用される。かかる有機アルミニウム化合物の具体例としては、例えばトリメチルアルミニウムクロリド、トリエチルアルミニウムクロリド等のトリアルキルアルミニウムハライド、ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド等のジアルキルアルミニウムハライド、メチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド等のアルキルアルミニウムセスキハライド、メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド等のアルキルアルミニウムジハライド、ジエチルアルミニウムハイドライド等のアルキルアルミニウムハイドライド、等が挙げられる。
また、上記チタン原子、マグネシウム原子、ハロゲン原子、及び電子供与性化合物を必須とする固体成分としては、やはりこの種の重合において公知のものが使用でき、チタン原子の供給源となるチタン化合物としては、例えば一般式Ti(OR2(4-n)n(式中、R2は炭素原子数1〜10の炭化水素残基、Xはハロゲン原子を示し、nは0〜4の数である)で表される化合物が使用される。中でも、四塩化チタン、テトラエトキシチタン、テトラブトキシチタン等が好ましく用いられる。
上記マグネシウム原子の供給源となるマグネシウム化合物としては、例えば、ジアルキルマグネシウム、マグネシウムジハライド、ジアルコキシマグネシウム、アルコキシマグネシウムハライド等が挙げられ、中でもマグネシウムジハライド等が好ましい。ハロゲン原子としては、例えば弗素、塩素、臭素、沃素が挙げられ、中でも塩素が好ましい。ハロゲン原子は、通常、前記のチタン化合物やマグネシウム化合物から供給されるが、アルミニウムのハロゲン化物、珪素のハロゲン化物、タングステンのハロゲン化物等の他のハロゲン供給源から供給されてもよい。
さらに、上記電子供与性化合物としては、例えばアルコール類、フェノール類、ケトン類、アルデヒド類、カルボン酸類、有機酸又は無機酸及びその誘導体等の含酸素化合物、アンモニア、アミン類、ニトリル類、イソシアネート類等の含窒素化合物等が挙げられ、中でも無機酸エステル、有機酸エステル、有機酸ハライドが好適であり、特に珪酸エステル、フタル酸エステル、酢酸セロソルブエステル、フタル酸ハライドが好適である。
ここで、上記の珪酸エステルとしては、例えば一般式R34 (3-p)Si(OR5p(式中、R3は炭素原子数3〜20(好ましくは4〜10)の分岐脂肪族炭化水素残基又は炭素原子数5〜20(好ましくは6〜10)の環状脂肪族炭化水素残基を示し、R4は炭素原子数1〜20(好ましくは1〜10)の分岐又は直鎖脂肪族炭化水素残基を示し、R5は炭素原子数1〜10(好ましくは1〜4)の脂肪族炭化水素残基を示し、pは1〜3の数である)で表される有機珪素化合物が挙げられる。かかる有機珪素化合物の具体例としては、例えばt−ブチル−メチル−ジメトキシシラン、t−ブチル−メチル−ジエトキシシラン、シクロヘキシル−メチル−ジメトキシシラン、シクロヘキシル−メチル−ジエトキシシラン等が挙げられる。
本発明におけるプロピレン系共重合体成分を製造するに際して上記(i)の製造方法を採用する場合には、一段目重合時においてプロピレン又はプロピレンと少量のエチレン及び/又は炭素数4〜8のα−オレフィンを供給し、上記のような触媒の存在下、重合温度50〜150℃、好ましくは50〜100℃、プロピレンの分圧0.5〜4.5MPa、好ましくは1.0〜3.5MPaの条件で重合を実施し、引き続いて二段目重合時において、一段目重合で得られた重合体の存在下、プロピレンとエチレン及び/又は炭素数4〜8のα−オレフィンを供給し、前記触媒の存在下に温度50〜150℃、好ましくは50〜100℃で、プロピレンとエチレン及び/又は炭素数4〜8のα−オレフィンの分圧各0.3〜4.5MPa、好ましくは0.5〜3.5MPaの条件として、共重合を行なうことができる。
尚、その際の重合方式としては回分式、連続式、半回分式のいずれであってもよいが、一段目及び二段目の重合は気相又は液相中で実施するのが好ましく、各段階の滞留時間は通常各々0.5〜10時間、好ましくは1〜5時間とすることができる。又、このような方法により製造される組成物の粉体粒子にベタツキ等の間題が生じる場合は、粉体粒子に流動性を付与する目的で、一段目重合後であって二段目重合の開始前又は二段目重合の重合途中に、触媒の固体成分中のチタン原子に対して100〜1000倍モルで、かつ触媒の有機アルミニウム化合物に対して2〜5倍モルの範囲で活性水素含有化合物を添加することが好ましい。このような活性水素含有化合物としては、例えば、水、アルコール類、フェノール類、アルデヒド類、カルボン酸類、酸アミド類、アンモニア、アミン類等が挙げられる。
本発明におけるプロピレン系共重合体成分は、o−ジクロロベンゼンを溶媒として用いた温度0〜140℃の間の温度上昇溶離分別における0℃での溶出分及び60℃以上90℃以下での溶出分の割合がそれぞれ特定範囲となるように調整されたものであるが、このような条件を満たすようにポリマーの溶出割合を調整する方法としては、プロピレン以外のエチレン及び/又は炭素数4〜8のα−オレフインを多段共重合することによって、プロピレン系重合体の結晶性をコントロールする方法や、触媒を選択することによりプロピレン系重合体の立体規則性をコントロールする方法が挙げられる。また本発明におけるプロピレン系共重合体成分の物性として温度上昇溶離分別の各溶出分の割合と共に、JIS K−7210に規定するメルトフローレート(MFR)は、1.0以上2.1以下であることが、製膜性、低温ヒートシール性の観点から好ましく、温度上昇溶離分別の各溶出分の割合を規定範囲になるように重合条件をコントロールしながら、且つMFRを1.0以上2.1以下になるように分子量をコントロールするように重合温度を低くすることでコントロールする。MFRは一般に分子量の目安になる物性であり、MFRが大きいほど分子量は小さい。したがって本願発明のプロピレン系共重合体成分の分子量は重量平均分子量として25万〜35万であることが好ましい。MFRが1.0未満では製膜性が悪く製品化が困難になり、2.1を超えると低温でのシール性が劣り、特にインク排出ポート(ゴム栓が嵌挿されたスパウト)とのシール性に問題が生じる可能性がある。
本発明におけるヒートシール層には、フィルムの製膜安定性と滑り性を付与することを目的として、前記プロピレン系共重合体成分と、エチレン又はエチレンと炭素数4〜8のα−オレフィンとの共重合体成分とが、60:40〜95:5の質量比で含まれることが好適である。
プロピレン系共重合体成分と、エチレン又はエチレンと炭素数4〜8のα−オレフィンとの共重合体成分の合計に対するエチレン又はエチレンと炭素数4〜8のα−オレフィンとの共重合体成分の割合が、40質量%以上あるとプロピレン系共重合体成分としての特性が失われ、目的とするインク適性が劣ることとなり、5質量%未満だと製膜安定性と滑り性を付与することが困難となる。
尚、ここで、上記炭素数4〜8のα−オレフィンとしては、例えば、ブテン−1、3−メチルブテン−1、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1、へキセン−1、オクテン−1等が挙げられ、これらは1種を単独で、又は2種以上を併用することも可能である。
また、本発明のヒートシート層のJIS K−7161による引張り弾性率は、上限値として、600MPa以下、より好ましくは500MPa以下であり、下限値として、30MPa以上、より好ましくは50MPa以上である。
600MPaを超えるとヒートシール層が硬くなりすぎ、インクを吐出する際に、加圧、減圧や電気を与えてもフィルムが十分に曲がることができなくなり、インク排出性が悪くなる。また、30MPa未満だと高い柔軟性のためベタツキ感が増して後述する多層化の際のハンドリングに支障をきたす。
また、本発明のヒートシール層には、通常使用される酸化防止剤:ペンタエリスリチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイトはインクと反応を起こし、微粒子を発生させ、ノズルの目詰まり等を誘発させるため、含有させないことが好ましく、替わって、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゼンを含有させることが好ましい。
1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゼンのヒートシール層に対する含有量は、プロピレン系共重合体(プロピレンと、エチレン及び/又は炭素数4〜8のα−オレフィンとで構成)と、エチレン又はエチレンと炭素数4〜8のα−オレフィンとの共重合体との合計100質量部に対して、質量比で100〜1000ppm、より好ましくは300〜700ppmである。100ppm未満では酸化防止剤機能が不十分であり、1000ppmを超えると添加量に対して明確な差がでなくなるため効果的でない。
本発明のインクジェット装置用インク袋又はインクカートリッジは、いずれも少なくとも片面にヒートシール層を備えた樹脂フィルム又はシートを用いるものであるが、当該樹脂フィルム又はシートとしては、ヒートシール性の他、インクのバリア性、落下強度、破袋強度、ピンホール強度、ハンドリング性付与の観点から、上記ヒートシール層の他に、バリア性/強度/ハンドリング付与層として、アルミ箔、蒸着フィルム又はシート、ナイロン、ポリエステル、EVOH、PVA、ポリビニリデンクロライド等から選択されるフィルム又はシートを組み合わせた多層構成とすることが好ましい。
このような多層構成の樹脂フィルム又はシートの作製方法は、特に制限されるものはないが、ドライラミネート法、押出しラミネート法、多層共押出し法のいずれか又はその組み合わせにより形成する方法が好適に用いられる。
本発明のインクジェット装置用インク袋は、上記の少なくとも片面にヒートシール層を備えた樹脂フィルム又はシートを、ヒートシール層が内壁面となるよう袋状に構成し、ヒートシールすることによって作製することができる。
また、本発明のインクカートリッジは、上記の少なくとも片面にヒートシール層を備えた樹脂フィルム又はシートで、ヒートシール層が内壁面となるように有底箱体インクを収容するインク収容室の開口部をヒートシール封止することによって作製することができる。
いずれの場合もヒートシールを行なう際には、所定の温度に調節した対又は不対をなす発熱体に目的とするシール箇所を挟み込んで圧着する通常のヒートシール法の他、インパルスシール法等の、ヒートシール層の発熱を誘起してシールする方法や高周波シール法等の公知の方法を適宜採用することができる。
このようにして得られる本発明のインクジェット装置用インク袋又はインクカートリッジフィルムは、その内壁面を構成するヒートシール層が上記プロピレン系共重合体成分を主成分としているため、揮発性アルコール、油、顔料等を含有するインクとの適性に優れ、かつ柔軟性に優れることからインク排出性にも優れインク残液が少ないインク袋である。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
尚、下記説明の中で示されるTPOとは、Thermoplastic olefinic elastomer(熱可塑性オレフィン系エラストマー)の略である。
[実施例1]
表面層として15μmの二軸延伸ナイロンフィルム、中間層(バリア層)として9μmのアルミ箔、ヒートシール層として下記a成分と低密度ポリエチレンとを質量比で90:10の割合で混合して得た25μmのプロピレン系共重合体フィルムを用い、公知のドライラミネート法にて53μm(接着剤層4μm含む)の3層樹脂フィルムを作製した。尚、この時のヒートシール層の引張弾性率は400MPaであり、十分な柔軟性があった。又、ヒートシール層に対する1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゼンの添加量は、質量比で600ppmとした。
この3層樹脂フィルムを60mm(l)×70mm(w)の長方形に切り出し、ヒートシール層が内側になるように長辺(l)を二分するように折りたたむと共に、折りたたまれて重なる短辺(w)縁部同士及び折りたたまれて重なる一つの長辺(l)縁部に気密にゴム栓が嵌挿されたスパウトを挟み込み、これらの縁部を気密にヒートシールし、スパウトが付いた袋にすると共に、折りたたまれて重なり開いている残りの一つの長辺(l)で形成される開口部から、インクジェットプリンタ用インク(サーマル方式)を10g注いだ後、脱気し、該開口部を気密にヒートシールし、これをインク袋とした。
その後、上記インク袋を、そのスパウトのゴム栓からインクジェットプリンタ(サーマル方式)のインクヘッドに中空の針を介して、インク袋内の脱気が保持され、かつインクが導入されるようにセットすると共に、パーソナルコンピュータを通じて文字が印字されなくなるまで連続的に文字を書かせた。
その結果、連続印字により印字できなくなった時点でのインク残液量は当初注入した量に対して0.3%(質量比)で非常に良好であった。また、この印字試験終了後、インクジェットプリンタからインク袋を外し、分解して、観察した結果、インクとの適性にも優れ、微粒子等の発生も無く中空の針の目詰まりも発生しないことを確認した。
[a成分]
o−ジクロロベンゼンを溶媒として用いた温度0℃から140℃の間の温度上昇溶離分別における0℃での溶出分が全溶出量に対して占める割合が23質量%であり、60℃以上90℃以下での溶出分が全溶出量に対して占める割合が8質量%である三菱化学(株)製重合型ポリプロピレン系TPO。
[実施例2]
表面層として12μmの二軸延伸ポリエステルフィルム、中間層(バリア層)として9μmのアルミ箔、ヒートシール層として下記b成分と低密度ポリエチレンとを質量比で95:5の割合で混合して得た25μmのプロピレン系共重合体フィルムを用い、公知のドライラミネート法にて50μm(接着剤層4μm含む)の3層樹脂フィルムを作製した。尚、この時のヒートシール層の引張弾性率は420MPaであり、十分な柔軟性があった。又、ヒートシール層に対する1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゼンの添加量は、質量比で550ppmとした。
以下、この3層樹脂フィルムを用いた以外は実施例1と同様な部品、同様な方法でインク袋を作製し、同様な印字試験・評価を行なった。
その結果、連続印字により印字できなくなった時点でのインク残液量は当初注入した量に対して0.4%(質量比)であり非常に良好であった。また、この印字試験終了後、インクジェットプリンタからインク袋を外し、分解して、観察した結果、インクとの適性にも優れ、微粒子等の発生も無く中空の針の目詰まりも発生しないことを確認した。
[b成分]
o−ジクロロベンゼンを溶媒として用いた温度0℃から140℃の間の温度上昇溶離分別における0℃での溶出分が全溶出量に対して占める割合が7質量%であり、60℃以上90℃以下での溶出分が全溶出量に対して占める割合が50質量%である三菱化学(株)製重合型ポリプロピレン系TPO。
[実施例3]
表面層として15μmの二軸延伸ナイロンフィルム、中間層(バリア層)として12μmのシリカ蒸着ポリエステルフィルム、ヒートシール層として下記c成分と低密度ポリエチレンとを質量比で90:10の割合で混合して得た25μmのプロピレン系共重合体フィルムを用い、公知のドライラミネート法にて56μm(接着剤層4μm含む)の3層樹脂フィルムを作製した。尚、この時のヒートシール層の引張弾性率は500MPaであり、十分な柔軟性があった。又、ヒートシール層に対する1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゼンの添加量は、質量比で600ppmとした。
一方、ゴム栓が気密に嵌挿されたスパウトを備えた有底箱体のインク収容室に、該インク収容室の開口部(40mm(l)×60mm(w))からインクジェットプリンタ用インク(サーマル方式)を10g注ぐと共に、該インク収容室の開口部を完全に覆う大きさに上記3層樹脂フィルムを切り出し、該3層樹脂フィルムのヒートシール層が該インク収容室内壁面をなす様に該インク収容室開口部に重ね、脱気しながら該3層樹脂フィルムを該インク収容室の開口部に気密にヒートシールし、これをインクカートリッジとした。
その後、上記インクカートリッジを、そのスパウトのゴム栓からインクジェットプリンタ(サーマル方式)のインクヘッドに中空の針を介して、インクカートリッジ内の脱気が保持され、かつインクが導入されるようにセットすると共に、パーソナルコンピュータを通じて文字が印字されなくなるまで連続的に文字を書かせた。
その結果、連続印字により印字できなくなった時点でのインク残液量は当初注入した量に対して0.4%(質量比)で非常に良好であった。また、この印字試験終了後、インクジェットプリンタからインクカートリッジを外し、分解して観察した結果、インクとの適性にも優れ、微粒子等の発生も無く中空の針の目詰まりも発生しないことを確認した。
[c成分]
o−ジクロロベンゼンを溶媒として用いた温度0℃から140℃の間の温度上昇溶離分別における0℃での溶出分が全溶出量に対して占める割合が20質量%であり、60℃以上90℃以下での溶出分が全溶出量に対して占める割合が10質量%である三菱化学(株)製重合型ポリプロピレン系TPO。
[比較例1]
表面層として15μmの二軸延伸ナイロンフィルム、中間層(バリア層)として9μmのアルミ箔、ヒートシール層として下記d成分と低密度ポリエチレンとを質量比で90:10の割合で混合して得た25μmのプロピレン系共重合体フィルムを用い、公知のドライラミネート法にて53μm(接着剤層4μm含む)の3層樹脂フィルムを作製した。尚、この時のヒートシール層の引張弾性率は900MPaであり、十分な柔軟性がなかった。又、ヒートシール層に対する1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゼンの添加量は、質量比で700ppmとした。
以下、この3層樹脂フィルムを用いた以外は実施例1と同様な部品、同様な方法でインク袋を作製し、同様な印字試験・評価を行なった。
その結果、使用された樹脂フィルムが硬いため、連続印字により印字できなくなった時点でのインク残液量は当初注入した量に対して5%(質量比)もあった。また、この印字試験終了後、インクジェットプリンタからインク袋を外し、分解して、観察した結果、インクとの適性には優れ、微粒子等の発生も無く中空の針の目詰まりも発生しないことを確認した。
[d成分]
プロピレン系共重合体成分のo−ジクロロベンゼンを溶媒として用いた温度0℃から140℃の間の温度上昇溶離分別における0℃での溶出分が全溶出量に対して占める割合が2質量%であり、60℃以上90℃以下での溶出分が全溶出量に対して占める割合が80質量%である三菱化学(株)製重合型ポリプロピレン系TPO。
[比較例2]
表面層として15μmの二軸延伸ナイロンフィルム、中間層(バリア層)として9μmのアルミ箔、ヒートシール層として前記d成分と低密度ポリエチレンとを質量比で95:5の割合で混合して得た25μmのプロピレン系共重合体フィルムを用い、公知のドライラミネート法にて53μm(接着剤層4μm含む)の3層樹脂フィルムを作製した。尚、この時のヒートシール層の引張弾性率は900MPaであり、十分な柔軟性がなかった。又、ヒートシール層に対する酸化防止剤として、ペンタエリスリチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)]を使用した。この添加量は、質量比で1200ppmとした。
以下、この3層樹脂フィルムを用いた以外は実施例1と同様な部品、同様な方法でインク袋を作製し、同様な印字試験・評価を行なった。
その結果、使用された樹脂フィルムが硬いため、連続印字により印字できなくなった時点でのインク残液量は当初注入した量に対して10%(質量比)もあった。また、この印字試験終了後、インクジェットプリンタからインク袋を外し、分解して、観察した結果、大量に微粒子が発生し、中空の針に目詰まりが発生しており、インクとの適性が悪いことがわかった。
[比較例3]
表面層として15μmの二軸延伸ナイロンフィルム、中間層(バリア層)として12μmのシリカ蒸着ポリエステルフィルム、ヒートシール層として前記d成分と低密度ポリエチレンとを質量比で95:5の割合で混合して得た25μmのプロピレン系共重合体フィルムを用い、公知のドライラミネート法にて56μm(接着剤層4μm含む)の3層樹脂フィルムを作製した。尚、この時のヒートシール層の引張弾性率は950MPaであり、十分な柔軟性がなかった。又、ヒートシール層に対する酸化防止剤として、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを使用した。この添加量は、質量比で700ppmとした。
以下、この3層樹脂フィルムを用いた以外は実施例3と同様な部品、同様な方法でインクカートリッジを作製し、同様な印字試験・評価を行なった。
その結果、連続印字により印字できなくなった時点でのインク残液量は当初注入した量に対して12%(質量比)もあった。また、この印字試験終了後、インクジェットプリンタからインクカートリッジを外し、分解して観察した結果、微粒子が大量に発生し、中空の針に目詰まりが発生しており、インクとの適性が悪いことがわかった。

Claims (10)

  1. 少なくとも片面にヒートシール層を備えた樹脂フィルム又はシートにより前記ヒートシール層が内壁面を構成するよう形成されるインクジェット装置用インク袋であって、前記ヒートシール層が、プロピレンと、エチレン及び/又は炭素数4〜8のα−オレフィンとからなるプロピレン系共重合体成分を主成分として含み、前記プロピレン系共重合体成分の温度上昇溶離分別法(温度:0〜140℃、溶媒:o−ジクロロベンゼン)における0℃の溶出分の割合が全溶出量に対して0質量%以上50質量%以下であり、かつ60℃以上90℃以下の溶出分の割合が全溶出量に対して5質量%以上70質量%未満であることを特徴とするインクジェット装置用インク袋。
  2. 前記ヒートシール層に、前記プロピレン系共重合体成分と、エチレン又はエチレンと炭素数4〜8のα−オレフィンとの共重合体成分とが、60:40〜95:5の質量比で含まれることを特徴とする請求項1記載のインクジェット装置用インク袋。
  3. 前記ヒートシート層のJIS K−7161による引張弾性率が600MPa以下であることを特徴とする請求項1又は2記載のインクジェット装置用インク袋。
  4. 前記ヒートシート層が、酸化防止剤として、ペンタエリスリチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイトのいずれをも含有しないことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のインクジェット装置用インク袋。
  5. 前記ヒートシート層が、酸化防止剤として、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゼンを含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のインクジェット装置用インク袋。
  6. 有底箱体にインクを収容するインク収容室の開口部を、少なくとも片面にヒートシール層を備えた樹脂フィルム又はシートにより前記ヒートシール層がインク収容室内壁面をなすよう封止するインクジェット装置用インクカートリッジであって、前記樹脂フィルム又はシートのヒートシール層が、プロピレンと、エチレン及び/又は炭素数4〜8のα−オレフィンとからなるプロピレン系共重合体成分を主成分として含み、前記プロピレン系共重合体成分の温度上昇溶離分別法(温度:0〜140℃、溶媒:o−ジクロロベンゼン)における0℃の溶出分の割合が全溶出量に対して0質量%以上50質量%以下であり、かつ60℃以上90℃以下の溶出分の割合が全溶出量に対して5質量%以上70質量%未満であることを特徴とするインクジェット装置用インクカートリッジ。
  7. 前記ヒートシール層に、前記プロピレン系共重合体成分と、エチレン又はエチレンと炭素数4〜8のα−オレフィンとの共重合体成分とが、60:40〜95:5の質量比で含まれることを特徴とする請求項6記載のインクジェット装置用インクカートリッジ。
  8. 前記ヒートシート層のJIS K−7161による引張弾性率が600MPa以下であることを特徴とする請求項6又は7記載のインクジェット装置用インクカートリッジ。
  9. 前記ヒートシート層が、酸化防止剤として、ペンタエリスリチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイトのいずれをも含有しないことを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項記載のインクジェット装置用インクカートリッジ。
  10. 前記ヒートシート層が、酸化防止剤として、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゼンを含有することを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項記載のインクジェット装置用インクカートリッジ。
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