JP4420195B2 - ヒートシール構造及び複室容器 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリオレフィン系樹脂よりなるヒートシール層とポリプロピレン系樹脂よりなるヒートシール層とをヒートシールして得られるヒートシール構造、及び、それぞれ弱シール部を有する複数の容器を熱融着により接続して形成される複室容器であって、接続前の少なくとも一方の容器がレトルト殺菌などの高温滅菌処理に耐え得る複室容器に関する。
例えば、医療分野では、複数の薬剤成分を分離収納した容器を用いて保存・流通させ、投与する直前に混合し投与することが一般的に行われている。例えばIVH用の輸液製剤としては、栄養源である糖質及びアミノ酸と電解質とを含んだものが用いられるが、ブドウ糖とアミノ酸とを含む液はメイラード反応による変質が起こり易いため、投与する直前までは別々の容器に収容しておき、投与直前に混合する方法が一般的に行われている。
この様な混合を密封容器内で行うことが可能な、内部が複数領域に区画された複室容器が多数出願されている(例えば、特許文献1:特許第2675075号公報、特許文献2:特許第2675049号公報、特許文献3:実開平5−5138号公報、特許文献4:特開平8−229099号公報、特許文献5:特開平8−229100号公報参照)。これらは、容器の一部に弱シール部を設けて容器内部を複室化し、使用時には弱シール部を手や治具を用いて破壊する(導通させる)ことにより、密封状態下で複数の内容物を混合することが可能な複室容器に関するものである。
ここで、上記特許文献1及び特許文献2に開示された複室容器は、弱シール部に関与するシール層が直鎖状低密度ポリエチレンとポリプロピレン樹脂との混合物で形成されているため、内容物を内容した状態で121℃での滅菌処理を行なうことができない。即ち、特に安全性が問題となる食品分野や医薬品分野において内容物が液体を含む場合には、食品衛生法あるいは日本薬局方に準拠した滅菌処理であるところの121℃で数分〜数十分間の滅菌処理を行なうことが推奨されるが、上記のような複室容器をこのような高温下に置くとシール層が軟化して破袋や容器変形が生じるおそれがあるため、105〜115℃程度の温度での滅菌を採用せざるを得ない。このような滅菌温度において完全な滅菌を施すことは難しく、従って液体充填工程を実質上無菌充填工程と同レベルの非常に高度な管理体制下に置くことが必要となるが、このような設備の維持費用は膨大であり、製品単価が高騰する原因の一因となっていた。更に、上記のように直鎖状低密度ポリエチレンとポリプロピレン樹脂との混合物でヒートシール層を形成すると、ポリエチレンやポリプロピレンを単独で使用した容器に比ベて高温処理直後の透明性が低下するという間題が発生する場合がある。
一方、粉未薬剤と液体薬剤とを収容する複室容器が特許文献6:特許第3016347号公報、特許文献7:特許第3060132号公報、特許文献8:特開平8−280775号公報等に開示されている。
粉末薬剤を収容する側の容器を構成する材料としては、最内層を形成する材料として粉末薬剤の安全性への観点及び充填作業性の観点からポリエチレン系の樹脂が、最外層を形成する材料として防湿性付与の観点からシリカやアルミナや金属等を蒸着したポリエステル系の樹脂が用いられることが多い。一方、液体薬剤を収容する側の容器を構成する材料としては、121℃以上の温度における滅菌処理を施す観点及び弱シール部形成の観点からポリプロピレン系の樹脂が用いられることが多い。つまり、粉末薬剤と液体薬剤とを収容する複室容器を構成する場合には、粉末薬剤を収容する容器を構成するポリオレフィン系樹脂と液体薬剤を収容する容器を構成するポリプロピレン系樹脂とを接着する技術が要求される。
しかしながら、ポリエチレン系樹脂とポリプロピレン系樹脂とは通常融点の高さや結晶化度等の種々の性質が大きく異なるため相溶性に乏しく、単純にヒートシールすることによっては充分なシール強度を発現させることができない。このような接着方法としては接着剤による方法や、粉末薬剤を収容する側の容器最内層構成としてポリプロピレン系樹脂層を積層してポリプロピレン系樹脂同士をヒートシールする方法等が挙げられるが、接着剤による方法では、容器同士の所定の箇所に接着剤を所定の幅や厚みで正確な位置に塗布し所定時間圧着することは容易ではなく、製造コストの観点から容器の層構成としては単純であることが望ましい。また、ポリプロピレン系樹脂を容器最内層とした場合には、内容物との相互作用を発生させないように添加剤を完全になくすことが容易ではない上、容器としての柔軟性とシール性を兼ね備えたポリプロピレン系樹脂を選定することが容易ではない。
液体薬剤を収容後に弱シール部を破壊することなく121℃での滅菌処理に耐える液体薬剤の収容容器と、ポリエチレン系樹脂に代表されるポリオレフィン系樹脂により内壁面が形成された粉末薬剤の収容容器とを、最も簡易かつ実用的な方法であるヒートシール法により接合して得られ、しかも構成が単純な複室容器が望まれていた。
特許第2675075号公報 特許第2675049号公報 実開平5−5138号公報 特開平8−229099号公報 特開平8−229100号公報 特許第3016347号公報 特許第3060132号公報 特開平8−280775号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、液体薬剤を収容後に容器として変形することなく121℃での滅菌処理に耐えて該滅菌処理後も安定的な弱シール性を保持する一方の容器と、ポリオレフィン系樹脂により内壁面が形成された他方の容器とをヒートシールにより接合して得られ、かつ高温処理直後の透明性にも優れた複室容器、及び、該複室容器を構成したり、ポリプロピレン系樹脂で内層面が形成された容器にポリオレフィン系樹脂により部材を接着したりするにあたって好適に用いることが可能なヒートシール構造を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討の結果、直鎖状低密度ポリエチレンおよび/または環状ポリオレフィンを主成分として含むポリオレフィン系樹脂と、特定の成分を含んでなるポリプロピレン系樹脂とが良好なヒートシール性を示すこと、及び、医療用など安全性が特に要求される複室容器を構成するにあたっては当該技術の適用が好適であることを知見し、本発明をなすに至った。
即ち、本発明は、以下のヒートシール構造および複室容器を提供するものである。
請求項
少なくとも片面にヒートシール層を備えた樹脂フィルム又はシートにより形成され、その内壁面の少なくとも一部に剥離可能にヒートシールして設けた弱シール部をそれぞれ形成してなる複数の容器(I)および(II)が、各々の弱シール部が夫々剥離して連通可能に接続されて得られる複室容器において、前記接続部が一方の前記容器(I)の内壁面と他方の前記容器(II)の外壁面とのヒートシールにより形成され、前記容器(I)の内壁面がポリオレフィン系樹脂にて形成されると共に、
前記容器(II)の外壁面が、第1段重合によって得られる下記(A)成分10〜60質量%と第2段重合によって得られる下記(B)成分90〜40質量%とからなる逐次共重合体を主成分として含み、前記逐次共重合体を形成する(A)成分と(B)成分との合計量に占めるプロピレンユニットの含有率が85〜95質量%であり、前記逐次共重合体のJIS K7121に準拠して測定した融点ピーク温度が155℃以上であり、かつ前記逐次共重合体のJIS K6921に準拠して測定した引張降伏点応力が20MPa以下であるポリプロピレン系樹脂にて形成され
前記容器(II)の内壁面が、下記(C)成分と(D)成分とを(C)成分:(D)成分=98:2〜50:50(質量比)の割合で含むプロピレン系共重合体組成物にて形成され、さらに
前記容器(I)の内壁面を形成するポリオレフィン系樹脂が、直鎖状低密度ポリエチレンおよび/または環状ポリオレフィンを主成分として含むポリオレフィン系樹脂、または前記(C)成分と(D)成分とを(C)成分:(D)成分=98:2〜50:50(質量比)の割合で含むプロピレン系共重合体組成物のいずれかであることを特徴とする複室容器。
(A)成分:アイソタクチックインデックスが90%以上のプロピレンを主成分とする重合体成分。
(B)成分:プロピレンとエチレンとを必須成分とする、プロピレンと炭素原子数8以下の他のα−オレフィンとの共重合体から成り、室温でキシレンに不溶な成分が(A)成分および(B)成分を合わせた全重合体中の20質量%超過70質量%以下であり、室温でキシレンに可溶な成分が(A)成分および(B)成分を合わせた全重合体中の10質量%以上60質量%以下であって、室温でキシレンに可溶な成分中のプロピレン以外のα−オレフィンの含有量が20質量%未満である共重合体成分。
(C)成分:プロピレンと、エチレン及び/又は炭素数4〜8の他のα−オレフィンとからなるプロピレン系共重合体成分であって、温度上昇溶離分別法(温度:0〜140℃、溶媒:o−ジクロロベンゼン)を用いた場合に、0℃での溶出分の割合が全溶出量に対して15質量%以上50質量%以下、60℃以上90℃以下での溶出分の割合が全溶出量に対して5質量%以上15質量%未満であるプロピレン系共重合体成分。
(D)成分:プロピレンと、エチレン及び/又は炭素数4〜8の他のα−オレフィンとからなるプロピレン系共重合体成分であって、温度上昇溶離分別法(温度:0〜140℃、溶媒:o−ジクロロベンゼン)を用いた場合に、0℃での溶出分の割合が全溶出量に対して0質量%以上25質量%以下、60℃以上90℃以下での溶出分の割合が全溶出量に対して15質量%以上70質量%以下であるプロピレン系共重合体成分。
請求項
前記容器(II)の外壁面を形成するポリプロピレン系樹脂が、さらに上記(D)成分を、((A)成分と(B)成分とからなる逐次共重合体):(D)成分=98:2〜50:50(質量比)の割合で含む請求項記載の複室容器。
請求項
前記容器(I)の内壁面に設けられた弱シール部が、前記(C)成分と(D)成分とを含むプロピレン系共重合体組成物にて形成されるヒートシール層を少なくとも表面層として備えるイージーピール用テープを、前記容器(I)の内壁面間に挿入して設けられる請求項1又は2記載の複室容器。
請求項
前記容器(II)が、121℃での滅菌処理が可能である請求項乃至のいずれか1項に記載の複室容器。
請求項
前記容器(I)が粉末状薬剤を収容し、前記容器(II)が液状薬剤を収容する請求項乃至のいずれか1項に記載の複室容器。
本発明の複室容器は、レトルト殺菌など高温滅菌処理を適用可能な一方の収容部と、衛生面の安全性に優れるポリオレフィン系樹脂により内壁面が形成された収容部とをヒートシールにより接合して得ることのできる複室容器であり、しかも透明性に優れる。該複室容器を構成するにあたっては本発明のヒートシール構造を好適に用いることができる。
以下、本発明につき更に詳しく説明する。図1は本発明の複室容器の一例を示す平面図であり、図2は図1に示す複室容器のX−X断面図である。
図1,2に示す複室容器1は部分容器2(上記容器(I)に相当する)と部分容器3(上記容器(II)に相当する。)とを接続して得られ、接続部は部分容器2の内壁面と部分容器3の外壁面とのヒートシールにより形成される。また、部分容器3には適宜ポート部4を配設することができ、該ポート部を介して内容物の注入,吐出が可能である。なお、このようなポート部としては内容物を充容後に閉塞すること、或いは開閉することが可能であるポート部を用いることが好適である。
図1,2において、複室容器1を構成する部分容器2の両側縁部及び下縁部には、下縁部中央を除いて強固に熱シールされて強シール部211,211が形成され、下縁部中央部は内容物を充填後に強固に熱シールされて強シール部212が形成される。
上記容器2の上部には上端縁から若干下側の位置においてイージーピール用テープ2aが介装されている。この場合、このイージーピール用テープ2aの一面が部分容器2の上部内壁面と強固に接着され、このテープ2aの他面が部分容器2の上部内壁面と剥離可能に弱シールされて弱シール部22が形成されている。この弱シール部22位置より上方には容器2を形成する樹脂シート部が延びており、この部分は部分容器2と部分容器3との接合の際の接合代として用いられる。
一方、部分容器3の両側縁部及び上縁部には、上縁部中央を除いて強固に熱シールされて強シール部311,311が形成され、上縁部中央にはポート部4が挿入されて、ポート部4の外周面と部分容器3の上縁部中央部とが強固に熱シールされて強シール部312が形成されている。また、部分容器3の下縁部には剥離可能に弱シールされて弱シール部32が形成されている。
そして、部分容器2の弱シール部22位置より上方に開口して延びる2枚の樹脂シート間に部分容器3の下端部が挿入され、部分容器2の当該シートの内壁面と、部分容器3の下端部の外壁面とが強固に熱シールされて強シール部213が形成されることにより、部分容器2と部分容器3とが接合されるものである。
ここで、この強シール部213の形成に際しては、部分容器2及び3の接続部から内容物が漏洩することのない様、両容器の接続部であって複室容器1の周縁部に相当する部分が強固に熱シールされる。なお、強シール部213の形成に際しては部分容器3の下端部と部分容器2の上方に延びる上記2枚の樹脂シートとが重なり合う部分のみ加熱されるため、弱シール部32のシール面が強固に溶着してしまうことはなく、弱シール部32は再剥離可能な状態に維持される。
部分容器2及び3は、それぞれ最外層2xまたは3xと、中間層2yまたは3yと、最内層2zまたは3zとからなる3層構造を有する樹脂シートにより形成されている。複室容器1において各室の隔離は、各部分容器2及び3にそれぞれ設けられた弱シール部22,32により確保され、使用の際の各室の連通は、それら弱シール部が破壊されて最内層の溶着面が剥離することにより実現される。
なお、上記において複室容器1を構成する部分容器2,3は2枚の多層樹脂シートを重ねてヒートシールすることにより形成されているが、これら部分容器の形成に際しては原料樹脂をインフレーション成形することにより予め樹脂の円筒体(単層構成、多層構成の何れも可能である。)を作製し、その後強シール部、弱シール部、並びにポート部を適宜配設することにより部分容器を形成する方法も好適である。部分容器を構成する樹脂シートの層構成としては3層に限られるものではなく、複室容器の要求特性等に鑑み、適宜2層構成、或いは4層構成以上とすることも可能である。
本発明の、ポリオレフィン系樹脂よりなるヒートシール層とポリプロピレン系樹脂よりなるヒートシール層とをヒートシールすることにより得られるヒートシール構造(以下、単に「ヒートシール構造」と略記することがある。)は、前記ポリオレフィン系樹脂が直鎖状低密度ポリエチレンおよび/または環状ポリオレフィンを主成分として含み、かつ前記ポリプロピレン系樹脂が、第1段重合によって得られる下記(A)成分10〜60質量%と第2段重合によって得られる下記(B)成分90〜40質量%とからなる逐次共重合体を主成分として含むことを特徴とするヒートシール構造である。
(A)成分:アイソタクチックインデックスが90%以上のプロピレンを主成分とする重合体成分。
(B)成分:プロピレンとエチレンとを必須成分とする、プロピレンと炭素原子数8以下の他のα−オレフィンとの共重合体から成り、室温でキシレンに不溶な成分が(A)成分および(B)成分を合わせた全重合体中の20質量%超過70質量%以下であり、室温でキシレンに可溶な成分が(A)成分および(B)成分を合わせた全重合体中の10質量%以上60質量%以下であって、室温でキシレンに可溶な成分中のプロピレン以外のα−オレフィンの含有量が20質量%未満である共重合体成分。
本発明のヒートシール構造を構成する上記ポリオレフィン系樹脂は、直鎖状低密度ポリエチレン(以下、「LLDPE」と略記することがある)および/または環状ポリオレフィンを主成分(該LLDPEおよび/または環状ポリオレフィンが該ポリオレフィン系樹脂に占める割合が50質量%以上、好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上であることを意味する。)とするもので、LLDPEとしては、さらにメタロセン系の触媒を用いて重合されたLLDPEであると好ましい。このようなLLDPEとしては公知のものを使用することができ、特に限定されないが、例えば日本ポリエチレン(株)製、日本ポリケム(株)製、三井化学(株)製、東ソー(株)製等を好ましく使用することができる。
環状ポリオレフィンとしては、ジシクロペンタジエン、ノルボルネン、テトラシクロドデセンなどのノルボルネン類よりなる群から選択された1種又は2種以上の環状オレフィンモノマーを含むモノマー組成物を重合して得られる環状ポリオレフィンのいずれか又はその組合せが挙げられ、下記一般式(1),(2)、
Figure 0004420195

(式中、R1,R2,R3,R4は互いに同一又は異種の炭素数1〜20の有機基を示し、またR1,R2,R3,R4は互いに環を形成していてもよい。mまたはpは0または1以上の整数を示す。lおよびnは1以上の整数を示す。)で表される構造単位を有する重合体である。
上記ポリオレフィン系樹脂には、本発明の目的を損なわない範囲で他の樹脂成分、例えば他のポリオレフィン系樹脂を配合したり、紫外線吸収剤や滑剤等の通常用いられる添加剤を配合したりすることも可能である。
本発明において、上記「アイソタクチックインデックスが90%以上のプロピレン」は、室温でキシレンに不溶な成分(結晶性成分)と室温でキシレンに可溶な成分(非晶性成分)とから通常構成されるが、この結晶性成分の含有率と上記アイソタクチックインデックスは実質的に相関する指標である。
上記(A)成分は、アイソタクチックインデックスが90%以上のプロピレンを主成分とする重合体成分であるが、ここでいう「主成分とする」とは、(A)成分である重合体中に占める「アイソタクチックインデックスが90%以上のプロピレン」の割合が70質量%以上含有されていることを意味する。当該割合としては好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上、特に好ましくは100質量%(プロピレン単独重合体)である。この割合が70質量%未満であると、121℃での加圧加熱殺菌時に容易に容器が変形したり、ブロッキングするなど耐熱性が劣る場合がある。
また、本発明における上記(A)成分に含まれるポリプロピレンのアイソタクチックインデックスは90%以上であるが、90%未満の場合には121℃での加圧加熱殺菌時に容易に容器が変形したり、ブロッキングするなど耐熱性が劣る。
本発明における上記(B)成分おいて、炭素原子数8以下の他のα−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等が挙げられる。本発明における(B)成分としては、中でもプロピレン−エチレン共重合体が好適に用いられる。
上記(B)成分において、室温でキシレンに不溶な成分が(A)成分および(B)成分からなる逐次共重合体に占める割合としては20質量%超過70質量%以下、好ましくは25〜65質量%である。該割合が20質量%以下であると、上記ポリプロピレン系樹脂の高温処理後の透明性が劣る傾向となり、70質量%を超える場合には、柔軟性が劣る傾向となる。
また、上記の(B)成分において、室温でキシレンに可溶な成分が(A)成分および(B)成分からなる逐次共重合体に占める割合としては10質量%以上60質量%以下、好ましくは15〜60質量%である。該割合が10質量%未満であると、上記ポリプロピレン系樹脂の柔軟性が劣る傾向となり、60質量%を超える場合には、121℃での加圧加熱殺菌時に容易に容器が変形したり、ブロッキングするなど耐熱性が劣る傾向となる。
更に、上記「室温でキシレンに可溶な成分」中のプロピレン以外のα−オレフィンの含有量としては、20質量%未満、好ましくは10〜18質量%である。該割合が20質量%以上であると、ポリプロピレン系樹脂の高温処理後の透明性が悪化する傾向となる。
本発明における上記ポリプロピレン系樹脂は、第1段重合によって得られる上記(A)成分10〜60質量%と第2段重合によって得られる上記(B)成分90〜40質量%とからなる逐次共重合体を主成分として含むポリプロピレン系樹脂である。ここでいう「主成分」とは、前記逐次共重合体が前記ポリプロピレン系樹脂中に占める割合が70質量%以上、好ましくは80質量%以上であることを意味する。本発明における上記ポリプロピレン系樹脂には、ポートとの溶着性の向上の観点から、後述する(D)成分を((A)成分と(B)成分とからなる逐次共重合体):(D)成分=98:2〜50:50(質量比)の割合となるように配合することも好適である。
上記ポリプロピレン系樹脂には、本発明の目的を損なわない範囲で他の樹脂成分、例えば他のポリオレフィン系樹脂を配合したり、紫外線吸収剤や滑剤等の通常用いる添加剤を配合したりすることも可能である。
上記ポリプロピレン系樹脂に主成分として含まれる逐次共重合体において、(A)成分の割合としては10〜60質量%、好ましくは20〜50質量%であり、一方(B)成分の割合としては90〜40質量%、好ましくは50〜80質量%である。(A)成分の割合が10質量%未満で(B)成分の割合が90質量%を超えると、121℃での加圧加熱殺菌時に容易に容器が変形したり、ブロッキングするなどプロピレン系樹脂組成物の耐熱性が劣る傾向となり、(A)成分の割合が60質量%を超え(B)成分の割合が40質量%未満であると、ポリプロピレン系樹脂の柔軟性と高温処理後の透明性が不十分となる。
前記逐次共重合体は、さらに、以下の条件を満足する。即ち、
(a)(A)成分と(B)成分との合計量に占めるプロピレンユニットの含有率が85〜95質量%である。
(b)JIS K7121に準拠して測定した融点ピーク温度が155℃以上である。
(c)JIS K6921に準拠して測定した引張降伏点応力が20MPa以下である。
上記の条件(a)に関し、(A)成分と(B)成分とからなる逐次共重合体中のプロピレンユニット含有量としては85〜95質量%、好ましくは87〜95質量%、より好ましくは88〜92質量%である。従って、前記逐次共重合体を構成する、炭素原子数4〜8のプロピレン以外のα−オレフィンユニットの含有量としては5〜15質量%、好ましくは5〜13質量%、より好ましくは8〜12質量%である。逐次共重合体中のプロピレンユニットの含有量が大きすぎると上記ポリプロピレン系樹脂の柔軟性が乏しくなり、逐次共重合体中のプロピレンユニット含有量が小さすぎると上記ポリプロピレン系樹脂の透明性が低下する傾向となる。
上記の条件(b)は、本発明における上記ポリプロピレン系樹脂がプロピレンの単独重合体と同等レベルの融点を有し且つ耐熱性に優れることを意味するものであり、また、上記の条件(c)は、本発明における上記ポリプロピレン系樹脂が柔軟性に富むことを意味するものである。
上記ポリプロピレン系樹脂において、(A)成分は第1段重合によって得られ、(B)成分は第2段重合によって得られる。すなわち、例えば一段目でプロピレン単独重合体を製造した後、二段目重合において前段で得られた重合体の存在下にプロピレンとエチレンとを必須成分とするプロピレンと炭素原子数4〜8の他のα−オレフィンを供給して逐次共重合体を製造する。
このような逐次重合に用いる触媒としては、特に限定されるものではないが、有機アルミニウム化合物と、チタン原子、マグネシウム原子、ハロゲン原子、及び電子供与性化合物を必須とする固体成分とからなるものが好ましい。
ここで、上記の有機アルミニウム化合物としては、例えば一般式R5 mAlX(3-m)(式中、R5は炭素原子数1〜12の炭化水素残基、Xはハロゲン原子を示し、mは1〜3の数である)で表される化合物が使用される。かかる有機アルミニウム化合物の具体例としては、例えばトリメチルアルミニウムクロリド、トリエチルアルミニウムクロリド等のトリアルキルアルミニウムハライド、ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド等のジアルキルアルミニウムハライド、メチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド等のアルキルアルミニウムセスキハライド、メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド等のアルキルアルミニウムジハライド、ジエチルアルミニウムハイドライド等のアルキルアルミニウムハイドライド、等が挙げられる。
また、上記チタン原子、マグネシウム原子、ハロゲン原子、及び電子供与性化合物を必須とする固体成分としては、やはりこの種の重合において公知のものが使用でき、チタン原子の供給源となるチタン化合物としては、例えば一般式Ti(OR6(4-n)n(式中、R6は炭素原子数1〜10の炭化水素残基、Xはハロゲン原子を示し、nは0〜4の数である)で表される化合物が使用される。中でも、四塩化チタン、テトラエトキシチタン、テトラブトキシチタン等が好ましく用いられる。
上記マグネシウム原子の供給源となるマグネシウム化合物としては、例えば、ジアルキルマグネシウム、マグネシウムジハライド、ジアルコキシマグネシウム、アルコキシマグネシウムハライド等が挙げられ、中でもマグネシウムジハライド等が好ましい。ハロゲン原子としては、例えば弗素、塩素、臭素、沃素が挙げられ、中でも塩素が好ましい。ハロゲン原子は、通常、前記のチタン化合物やマグネシウム化合物から供給されるが、アルミニウムのハロゲン化物、珪素のハロゲン化物、タングステンのハロゲン化物などの他のハロゲン供給源から供給されてもよい。
さらに、上記電子供与性化合物としては、例えばアルコール類、フェノール類、ケトン類、アルデヒド類、カルボン酸類、有機酸または無機酸およびその誘導体などの含酸素化合物、アンモニア、アミン類、ニトリル類、イソシアネート類などの含窒素化合物などが挙げられ、中でも無機酸エステル、有機酸エステル、有機酸ハライドが好適であり、特に珪酸エステル、フタル酸エステル、酢酸セロソルブエステル、フタル酸ハライドが好適である。
ここで、上記の珪酸エステルとしては、例えば一般式R78 (3-p)Si(OR9p(式中、R7は炭素原子数3〜20(好ましくは4〜10)の分岐脂肪族炭化水素残基または炭素原子数5〜20(好ましくは6〜10)の環状脂肪族炭化水素残基を示し、R8は炭素原子数1〜20(好ましくは1〜10)の分岐または直鎖脂肪族炭化水素残基を示し、R9は炭素原子数1〜10(好ましくは1〜4)の脂肪族炭化水素残基を示し、pは1〜3の数である)で表される有機珪素化合物が挙げられる。かかる有機珪素化合物の具体例としては、例えばt−ブチル−メチル−ジメトキシシラン、t−ブチル−メチル−ジエトキシシラン、シクロヘキシル−メチル−ジメトキシシラン、シクロヘキシル−メチル−ジエトキシシラン等が挙げられる。
本発明における上記ポリプロピレン系樹脂を製造するに際しては、一段目重合時においてプロピレン又はプロピレンと少量のエチレン及び/又は炭素数4〜8の他のα−オレフィンを供給し、上記のような触媒の存在下、重合温度50〜150℃、好ましくは50〜100℃、プロピレンの分圧0.5〜4.5MPa、好ましくは1.0〜3.5MPaの条件で重合を実施し、引き続いて二段目重合時において、一段目重合で得られた重合体の存在下、プロピレンとエチレン及び/又は炭素数4〜8のα−オレフィンを供給し、前記触媒の存在下に温度50〜150℃、好ましくは50〜100℃で、プロピレンとエチレン及び/又は炭素数4〜8の他のα−オレフィンの分圧各0.3〜4.5MPa、好ましくは0.5〜3.5MPaの条件として、共重合を行なうことができる。
尚、その際の重合方式としては回分式、連続式、半回分式のいずれであってもよいが、一段目及び二段目の重合は気相又は液相中で実施するのが好ましく、各段階の滞留時間は通常各々0.5〜10時間、好ましくは1〜5時間とすることができる。又、このような方法により製造される組成物の粉体粒子にベタツキ等の間題が生じる場合は、粉体粒子に流動性を付与する目的で、一段目重合後であって二段目重合の開始前又は二段目重合の重合途中に、触媒の固体成分中のチタン原子に対して100〜1000倍モルで、かつ触媒の有機アルミニウム化合物に対して2〜5倍モルの範囲で活性水素含有化合物を添加することが好ましい。このような活性水素含有化合物としては、例えば、水、アルコール類、フェノール類、アルデヒド類、カルボン酸類、酸アミド類、アンモニア、アミン類等が挙げられる。
本発明のヒートシール構造は、上記のようなポリプロピレン系樹脂よりなるヒートシール層と、直鎖状低密度ポリエチレンおよび/または環状ポリオレフィンを主成分として含むポリオレフィン系樹脂よりなるヒートシール層とをヒートシールすることにより得られるヒートシール構造である。ヒートシールを行なう際には、所定の温度に調節した一対の発熱体に目的とするシール箇所を挟み込んで圧着する通常のヒートシール法の他、インパルスシール法、高周波シール法などの、ヒートシール層の発熱を誘起してシールする公知の方法を採用することができる。
本発明の複室容器は、少なくとも片面にヒートシール層を備えた樹脂フィルム又はシートにより形成され、その内壁面の少なくとも一部に剥離可能にヒートシールして設けた弱シール部をそれぞれ形成してなる複数の容器(I)および(II)が、各々の弱シール部が夫々剥離して連通可能に接続されて得られる複室容器において、前記接続部が一方の前記容器(I)の内壁面と他方の前記容器(II)の外壁面とのヒートシールにより形成され、しかも前記容器(I)の内壁面がポリオレフィン系樹脂にて形成され、かつ前記容器(II)の外壁面が、上述のポリプロピレン系樹脂にて形成されることを特徴とする複室容器である。
一方の容器に粉末薬剤、他方の容器に液状薬剤を収容する複室容器を形成しようとする場合、粉末薬剤に接する容器内壁面の素材としては、安全性の観点からポリオレフィン系樹脂、好ましくはポリエチレン系樹脂および/または環状ポリオレフィン系樹脂を主成分として含むポリオレフィン系樹脂が用いられ、一方、液状薬剤に接する容器内壁面に接する容器内壁面の素材としては、高温滅菌処理を適用する観点から耐熱性のある素材、より具体的にはポリプロピレン系樹脂が好ましく用いられる。
本発明においては上記(I)及び(II)の容器を構成するにあたり、容器(I)の内壁面をポリオレフィン系樹脂、かつ容器(II)の外壁面を上述した特定のポリプロピレン系樹脂にて形成することにより、異なる素材であっても充分なヒートシール性を確保することが可能となるため、各々の容器(I)及び(II)に形成された弱シール部を連通させる際にも上記ポリオレフィン系樹脂と上記ポリプロピレン系樹脂との熱溶着面が破壊されることがなく、内容物が容器外部に飛散してしまうような虞が可及的に低減された複室容器とすることが可能となる。
上記容器(II)の内壁面の素材としては、121℃滅菌後も安定的な弱シール部を形成させる観点から、下記(C)成分と(D)成分とを含むプロピレン系共重合体組成物が用いられることが好適である。
(C)成分:プロピレンと、エチレン及び/又は炭素数4〜8の他のα−オレフィンとからなるプロピレン系共重合体成分であって、温度上昇溶離分別法(温度:0〜140℃、溶媒:o−ジクロロベンゼン)を用いた場合に、0℃での溶出分の割合が全溶出量に対して15質量%以上50質量%以下、60℃以上90℃以下での溶出分の割合が全溶出量に対して5質量%以上15質量%未満であるプロピレン系共重合体成分。
(D)成分:プロピレンと、エチレン及び/又は炭素数4〜8の他のα−オレフィンとからなるプロピレン系共重合体成分であって、温度上昇溶離分別法(温度:0〜140℃、溶媒:o−ジクロロベンゼン)を用いた場合に、0℃での溶出分の割合が全溶出量に対して0質量%以上25質量%以下、60℃以上90℃以下での溶出分の割合が全溶出量に対して15質量%以上70質量%以下であるプロピレン系共重合体成分。
ここで、温度上昇溶離分別法(Temperature Rising Elution Fractionation;TREF)とは、ポリマーの組成分布を分析する公知の方法であって、原理的には個々のポリマー成分が異なる結晶構造を有するため溶媒中での析出速度あるいは溶解速度が個々のポリマー毎に異なることを利用して、ポリマーの組成分布を分析する方法である。即ち、高温でポリマーを溶媒に完全に溶解させた後に不活性坦体の存在下で徐々に冷却すると、まず結晶化し易い高結晶性のポリマー成分が前記不活性担体の表面に先に析出してポリマー層が形成され、その後、結晶化しにくい低結晶性あるいは非晶性のポリマー成分が析出してポリマー層が形成されることとなる。次に、このようにポリマー層を形成後、連続的又は段階的に昇温すると、今度は低結晶性あるいは非晶性のポリマー成分から溶出し、最後に高結晶性ポリマー成分が溶出することとなる。つまり、この各温度での溶出量と溶出温度とによって描かれる溶出曲線から、ポリマーの組成分布を分析することが可能となる。本発明においては、温度上昇溶離分別法に用いる溶媒としてo−ジクロロベンゼンを使用し、温度範囲として0〜140℃を採用している。
本発明において、上記(C)成分の0℃での溶出量が全溶出量に対して占める割合としては15質量%以上、好ましくは18質量%以上、上限として50質量%以下、好ましくは40質量%以下である。当該割合が小さすぎると、プロピレン系共重合体組成物のヒートシール温度の変化に対するシール強度の変化が小さな領域がほとんど発現しないため、弱シール部のシール強度のコントロールを容易に行うことができず、本願発明の効果が達成されないとともに、柔軟性が劣り、作成された複室容器の感触が強ばる、落下強度が劣る傾向となる。一方、当該割合が大きすぎると、121℃での滅菌処理を施した場合に内壁面がブロッキングし、内容物を充填することができない。
また、上記(C)成分の60℃以上90℃以下での溶出量が全溶出量に対して占める割合としては5質量%以上、好ましくは6質量%以上、上限として15質量%以下、好ましくは10質量%以下である。当該割合が小さすぎると、プロピレン系共重合体組成物の高温処理後の透明性に劣り、一方、当該割合が大きすぎると、プロピレン系共重合体組成物の耐熱性に劣り、得られた複室容器が121℃での滅菌処理後に変形してしまう。)
本発明において、上記(D)成分の0℃での溶出量が全溶出量に対して占める割合としては0質量%以上、好ましくは2質量%以上、上限として25質量%以下、好ましくは15質量%以下である。当該割合が大きすぎると、121℃での滅菌処理を施した場合に容器の内面がブロッキングし、内容物を排出しづらくなる。
また、上記(D)成分の60℃以上90℃以下での溶出量が全溶出量に対して占める割合としては15質量%以上、好ましくは20質量%以上、上限として70質量%以下、好ましくは60質量%以下である。当該割合が小さすぎると、弱シール部を安定的にヒートシールすることが困難となり、一方、当該割合が大きすぎると、プロピレン系共重合体組成物の耐熱性が劣り、作成された容器が121℃滅菌後変形する傾向となり、また、弱シール部を安定的にヒートシールすることが困難となる。
本発明における上記容器(II)の内壁面は、上記(C)成分と(D)成分とを含むプロピレン系共重合体組成物により形成されることが好ましいが、両者の配合比としては通常(C)成分:(D)成分=98:2〜50:50(質量比)、好ましくは95:5〜60:40(質量比)である。(C)成分が前記範囲超過かつ(D)成分が前記範囲未満では、弱シール部を安定的にヒートシールすることが困難となる傾向となる。一方、(C)成分が前記範囲未満かつ(C)成分が前記範囲超過においても、弱シール部を安定的にヒートシールすることが困難となり、また、容器作成時ポート部とのシール性が劣る傾向となる。
上記容器(I)の内壁面を形成するポリオレフィン系樹脂としては、内容物との相互作用の比較的少ない直鎖状低密度ポリエチレンおよび/または環状ポリオレフィン系樹脂を主成分として含むポリオレフィン系樹脂、またはイージーピールテープ挿入なしでの弱シール部形成の観点から上記(A)成分と(B)成分とからなる逐次共重合体、或いは、上記容器(II)の内壁面と同様、上記(C)成分と上記(D)成分とを(C)成分:(D)成分=98:2〜50:50(質量比)の割合で含むプロピレン系共重合体組成物であることが好適である。
上記(C)成分および(D)成分のプロピレン系共重合体成分は、プロピレンと、エチレン及び/又は炭素数4〜8の他のα−オレフィンとからなるプロピレン系共重合体成分である。
ここで、上記炭素数4〜8のα−オレフィンとしては、例えば、ブテン−1、3−メチルブテン−1、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1、へキセン−1、オクテン−1等が挙げられ、これらは1種を単独で、又は2種以上を併用することも可能である。
本発明における上記プロピレン系共重合体成分としてより具体的には、プロピレンとエチレンとからなる共重合体成分、又はプロピレンとエチレンと炭素数4〜8の他のα−オレフィンとからなるプロピレン系共重合体成分であることが好ましく、炭素数4〜8の他のα−オレフィンとしてはブテン−1を採用することが好適である。
本発明における上記(C)成分および(D)成分のプロピレン系共重合体成分としては、上記条件、即ち、o−ジクロロベンゼンを溶媒として用いた温度0〜140℃の間の温度上昇溶離分別における0℃での溶出分および60℃以上90℃以下での溶出分の割合がそれぞれ上記範囲であることを満たすプロピレン系共重合体成分であれば、他に特に限定されるものではなく、その製造方法としても種々の方法を採用し得る。
このような上記(C)成分および(D)成分のプロピレン系共重合体成分の製造方法としては、例えば下記(i)〜(iii)の方法、
(i)少なくとも二段以上の逐次重合を行なうに際し、一段目重合時においてプロピレン単独重合体、またはプロピレンと少量のエチレン及び/又は炭素数4〜8の他のα−オレフィンを導入してランダム共重合体を製造した後、二段目以降の重合時において、前段で得られた重合体の存在下、プロピレンとエチレン及び/又は炭素数4〜8の他のα−オレフィンのランダム共重合体を製造する方法、
(ii)プロピレン単独重合体、またはプロピレンと少量のエチレン及び/又は炭素数4〜8の他のα−オレフインとのランダム共重合体と、エチレンと炭素数4〜8の他のα−オレフィンとのランダム共重合体と、をブレンドする方法、
(iii)プロピレン単独重合体、またはプロピレンと少量のエチレン及び/又は炭素数4〜8の他のα−オレフインとのランダム共重合体と、エチレン及び/又は炭素数4〜8とプロピレンとのランダム共重合体と、をブレンドする方法、
を採用することができる。中でも、経済性の観点から上記(i)の方法を用いることが好適である。
ここで、上記(i)の逐次重合に用いる触媒、重合方法、重合方式などについては、上記(A)成分及び(B)成分を製造するに際しての条件と同様の条件を採用することができる。
本発明における上記(C)成分および(D)成分としてのプロピレン系共重合体成分は、o−ジクロロベンゼンを溶媒として用いた温度0〜140℃の間の温度上昇溶離分別における0℃での溶出分および60℃以上90℃以下での溶出分の割合がそれぞれ特定範囲となるように調整されたものであるが、このような条件を満たすようにポリマーの溶解度を調整する方法としては、プロピレン以外のエチレン及び/又は炭素数4〜8のα−オレフィンを多段共重合することによって、プロピレン系共重合体の結晶性をコントロールする方法、触媒のプロピレン重合の立体規則性をコントロールする方法が挙げられる。
本発明における上記(C)成分および(D)成分のプロピレン系共重合体成分には、弱シール強度を得るヒートシール温度範囲を広くする観点から、スチレン含有率25質量%以下のスチレン系エラストマーを配合することが好適である。その配合量としては、前記プロピレン系共重合体組成物中に占める割合として通常1質量%以上、好ましくは5質量%以上、上限として通常10質量%以下、好ましくは8質量%以下である。当該スチレン系エラストマーが上記プロピレン系共重合体成分中に占める割合が1質量%未満であると、弱シール強度を得るヒートシール温度範囲が狭くなる場合があり、一方、10質量%を超えると、プロッキングなどが発現する場合がある。
なお、本発明において上記(C)成分と(D)成分の総量が、上記プロピレン系共重合体組成物中に占める割合としては、通常70質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上である。該割合が少なすぎると、弱シール強度を得るヒートシール温度範囲を広げる十分な効果がない場合がある。
また、本発明における上記プロピレン系共重合体組成物には、更に従来公知の酸化防止剤、光安定剤、中和剤、α晶核剤、β晶核剤、アンチブロッキング剤、滑剤等の各種添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で適宜配合しても良い。
本発明における上記容器(I)及び容器(II)は容器(I)の内壁面と容器(II)の外壁面とをヒートシールすることにより接合され、容器(II)が容器(I)に挟み込まれる形でヒートシールされることとなる。従って、両容器を接合する際のヒートシール条件は通常のヒートシール条件と比較して過酷な条件となる傾向となるため、接合した後に特に容器(II)の一部が熱溶着により薄くなり、内容物が漏洩してしまう虞が生じる。このような場合、特に容器(II)の構成として内壁面を形成する層と外壁面を形成する層との間に中間層を挿入して補強することが好適に行なわれ、このような中間層を挿入することにより、ヒートシールによる容器のへたりやフィルムまたはシートの厚みが薄くなることによる内容物の漏洩問題のおそれを低減することができる。
このような中間層を形成する材料としては環状ポリオレフィン、上記(A),(B),(C)及び(D)成分よりなる群から選択された1種または2種以上とメタロセン系プラストマーとの組成物、又は上記(A),(B),(C)及び(D)成分よりなる群から選択された1種または2種以上と熱可塑性エラストマーとの組成物、が好適に用いられる。中でも、上記(A),(B),(C)及び(D)成分よりなる群から選択された1種または2種以上とメタロセン系プラストマーとの組成物を中間層材料として用いた場合には、本発明の複室容器の柔軟性が向上するとともに中間層と中間層に接する層との相溶性が良好となるため、121℃における滅菌処理を行なった場合にも容器の透明性の低下が生じない容器を得ることができるため好適である。
なお、上記メタロセン系プラストマーとしては、耐高温処理性の観点から、190℃におけるメルトフローレートが0.5〜10g/10分であり、且つ密度が0.87〜0.9g/cm3であるメタロセン系プラストマーであることが好適である。
また、上記熱可塑性エラストマーとしては、高温処理後の透明性の観点から、スチレン含有量25質量%以下のスチレン系エラストマーであることが好適である。
本発明における樹脂フィルム又はシートが上記のような3層以上の構成を有する場合、その積層方法としては、特に制限されるものではないが、ドライラミネート法、押出しラミネート法、多層共押出し法のいずれか又はその組み合わせにより形成する方法が好適に用いられる。
本発明において弱シール部とはヒートシールより剥離可能に設けられたシール部を意味し、シール強度として特に限定されるものではないが、本発明の複室容器における弱シール部のJIS−Z0238に準拠して測定したヒートシール強度(180°剥離強度)としては1〜6N/15mmであることが好適である。
また、このような弱シール部のヒートシール強度を実現するためのヒートシール条件としては、上記ヒートシール層を少なくとも片面に備えた樹脂フィルム又はシートの素材構成や層厚み等を鑑み適宜設定されるが、例えば後述の実施例に示す通り、シール圧力0.2MPa,シール時間2秒間で、シール温度を145〜180℃とすることができる。即ち、弱シール部を形成可能なヒートシール温度範囲を30℃以上と広く確保することが可能である。ヒートシール強度はヒートシール温度の上昇に伴って漸増するため、弱シール部のヒートシール強度を容易かつ自在にコントロールすることが可能である。
なお、弱シール部形成時のシール圧力としては0.1〜0.6MPa、シール時間としては1〜8秒の条件を採用可能である。
上述の通り、本発明の複室容器の内壁面を形成するヒートシール層が上記(C)成分と(D)成分とを含むプロピレン系共重合体組成物にて形成される場合には、弱シール部を形成する際、そのシール強度を容易かつ自在にコントロールすることができる結果、内容される内容物の容積や質量などに応じたヒートシール強度の設定が可能となる。即ち、例えば内容量の合計が500ml未満である場合には、容器の弱シール強度を1〜3N/15mmとし、内容量の合計が500ml以上である場合には、容器の弱シール強度を3〜6N/15mmと設定する、といったことを容易に行うことが可能であり、容器の内容量により最適な弱シール強度範囲にコントロールすることが可能である。内容量の合計が500ml未満の容器に対して弱シール部のシール強度が3N/15mmを超えると、押圧による弱シール部の剥離作業に手間がかかるばかりか、複室容器の弱シール部以外の部分の破損が生じる場合がある。また、内容量の合計が500ml以上の容器に対して弱シール部のシール強度が3N/15mm未満であると、輸送時や落下時に弱シール部の連通が生じる場合がある。
本発明の複室容器においては、小容量から大容量までの広範囲な容器へ適用できる観点から、弱シール部のシール強度を1〜6N/15mm、かつ該弱シール部以外のヒートシール部、即ち、複室容器の周縁部に設ける強シール部のヒートシール強度を20N/15mm以上とすることが好適である。
このような強シール部を実現するヒートシール条件としては、用いる樹脂フィルム又はシートの素材構成や層厚み等を鑑み適宜設定されるが、例えば200℃(圧力0.2MPa,時間2秒)の条件を採用することができる。強シール部を形成する際のヒートシール条件としては、上記弱シール部を形成する場合に比べて厳密なシール条件の設定が必要でない場合が多く、通常は200℃以上、好ましくは210℃以上に温度を設定すれば、通常用いられる圧力条件及び時間条件下で強シール部の形成が可能であるが、強シール部形成時のシール圧力としては0.1〜0.6MPa、シール時間としては0.5〜8秒の条件を採用可能である。
本発明の複室容器を形成するにあたり、前記容器(I)と前記容器(II)とをヒートシールにより接合する際、あるいは、各容器の外周面をヒートシールにより形成する際には、本発明の上記ヒートシール構造を形成する場合と同様のシール方法を採用することができる。
また、弱シール部を設けるにあたっては、上記(C)成分と(D)成分とを含むプロピレン系共重合体組成物よりなるヒートシール層を少なくとも表面層として備えるイージーピール用テープを、各容器(前記容器(I)と前記容器(II))の対向する内壁面間に挿入した状態で当該箇所をヒートシールすることにより設ける方法も好適に採用し得る。このように弱シール部を設けることにより、弱シール部とそれ以外のシール部との間のヒートシール条件に差異を設けなくとも、弱シール部と強シール部とを同一のヒートシール条件下に形成し得、製造工程が簡略化される。
本発明の複室容器を構成する上記容器(II)は、121℃で30分間の滅菌処理を行なった直後の全光線透過率が80%以上、ヘイズが25%以下、引張弾性率が400MPa以下であることが好ましい。なお、本発明において「全光線透過率」及び「ヘイズ」とはJIS−K7105に準拠して測定した全光線透過率及びヘイズを意味し、「引張弾性率」とはJIS−K7127に準拠して測定した引張弾性率を意味する。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
〔実施例1〕
容器(I−1)
下表1に示す構成にてシートを作製した後、フロントシートを片面に、リアシートを片面に使用して最内層同士を熱シールすることで、片面透明な容器(I−1)を得た。シートを構成する各層は接着剤としてイソシアネート硬化型のウレタン系接着剤(三井武田ケミカル(株)製“タケラックA520”,接着剤層厚み:2μm)の酢酸エチル溶液を用い、ドライラミネート法にて貼り合わせた。弱シール部は、ポリエチレンとポリプロピレンとを3:7(質量比)に混合し、Tダイを設置した押出し機を用いて溶融押出しすることにより厚さ100μmのテープを作製し、次いで容器(I−1)に当該テープを挿入して容器外部から170℃、圧力0.4MPaにて3秒問熱シールすることにより設けた。弱シール部のヒートシール強度は2N/15mmであった。なお、ここでいう「ヒートシール強度」とは、JIS−Z0238に準拠して測定したヒートシール強度(180°剥離強度)を意味する。以下同様である。
容器(II−1)
Tダイを設置した押出し機を用いて多層共押出しすることにより下表1に示す3層構成のシートを作製した後、該シート2枚の最内層同士を熱シールすることで両面透明な容器(II−1)を得た。弱シール部は、容器の最内層同士を重ねて容器外部から160℃、圧力0.2MPaにて2秒間熱シールすることにより設けた。この弱シール部のヒートシール強度は3N/15mmであった。なお、この弱シール部を形成可能な温度範囲は下表2に示す通り145〜180℃であった。弱シール部を形成可能な温度範囲の幅として、35℃の幅が確保されていることが分かった。
Figure 0004420195
[容器(I−1)について]
PET
東洋紡績(株)製“エステルE5102”。
アルミナ蒸着PET
凸版印刷(株)製GLフィルム。
LLDPE
日本ポリエチレン(株)製“ハーモレックス”。
アルミ箔
サンアルミ(株)製アルミ箔。
[容器(II−1)について]
(A)+(B)
三菱化学(株)製の多段重合により得られる逐次共重合体 重合型ポリプロピレン系TPO
(C)
三菱化学(株)製の多段重合により得られる逐次共重合体 重合型ポリプロピレン系TPO
(C)+(D)
三菱化学(株)製の多段重合により得られる逐次共重合体 重合型ポリプロピレン系TPOと三菱化学(株)製のプロピレン系共重合体とをドライブレンド
Figure 0004420195
*)JIS−Z0238に準拠して測定したヒートシール強度(180°剥離強度)。シール条件:圧力0.2MPa、シール時間2秒間。本発明においては、シール強度が6N/15mm以下である場合、弱シール部と認定した。
容器(II−1)にポート部を熱シールにより設け、ポート部から蒸留水を100ml充填してポート部を密閉した後、該容器を121℃の滅菌機にて40分間滅菌処理を行ったところ、弱シール部は破壊されず、容器の変形なども観察されなかった。容器(II−1)の、高温滅菌処理を行なった直後の全光線透過率は90%であった。
その後、容器(II−1)の外壁面と容器(I−1)の内壁面とを重ね合わせ、210℃,0.4MPa,2秒間のヒートシールを行なったところ、両容器は充分なシール強度(25N/15mm)をもって接合され、一袋型の複室容器を得ることができた。この際、容器(II−1)に内容された蒸留水の漏洩はなく、容器の変形なども観察されなかった。
〔実施例2〕
容器(II−1)の代わりに、下表3に記載の構成を有する容器(II−2)とした以外は、実施例1と同様にして一袋型の複室容器を得た。容器(II−2)の、高温滅菌処理を行なった直後の全光線透過率は90%であった。
容器(II−2)の外壁面と容器(I−1)の内壁面とのヒートシールに際しては、210℃,0.4MPa,2秒間の条件を採用した。両容器は充分なシール強度(25N/15mm)をもって接合され、この際、容器(II−2)に内容された注射用蒸留水の漏洩はなく、容器の変形なども観察されなかった。
Figure 0004420195

(A)+(B)、及び(C)+(D)
実施例1と同様である。
(C)+メタロセンプラストマー
三菱化学(株)製の逐次共重合体(C)と日本ポリケム(株)製カーネルをドライブレンド
参考例3〕
容器(II−1)の代わりに、下表4に記載の構成を有する容器(II−3)とした以外は、実施例1と同様にして一袋型の複室容器を得た。容器(II−3)の、高温滅菌処理を行なった直後の全光線透過率は92%であった。
容器(II−3)の外壁面と容器(I−1)の内壁面とのヒートシールに際しては、210℃,0.4MPa,2秒間の条件を採用した。両容器は充分なシール強度(25N/15mm)をもって接合され、この際、容器(II−3)に内容された蒸留水の漏洩はなく、容器の変形なども観察されなかった。
Figure 0004420195

(A)+(B)+(D)
三菱化学製のAとBとからなる多段重合により得られる逐次共重合体とポリプロヒレン系共重合体とのドライブレンド
(C)+熱可塑性エラストマー
三菱化学製の逐次共重合体Cとクラレ製ハイブラーとのドライブレンド
(C)+(D)
実施例1と同様である。
〔実施例4〕
容器(II−1)の代わりに、下表5に記載の構成を有する容器(II−4)とした以外は、実施例1と同様にして一袋型の複室容器を得た。容器(II−4)の、高温滅菌処理を行なった直後の全光線透過率は93%であった。
容器(II−4)の外壁面と容器(I−1)の内壁面とのヒートシールに際しては、210℃,0.4MPa,3秒間の条件を採用した。両容器は充分なシール強度(25N/15mm)をもって接合され、この際、容器(II−4)に内容された蒸留水の漏洩はなく、容器の変形なども観察されなかった。
Figure 0004420195

(A)+(B),及び(C)+(D)
実施例1と同様である。
接着性樹脂
三菱化学(株)製モディック。
環状ポリオレフィン
日本ゼオン(株)製ゼオネックス。
〔実施例5〕
容器(I−1)のフロントシートとリアシートの最内層を(C)+(D)のポリプロピレン系樹脂(実施例1と同様である)にて構成した容器(I−5)とし、弱シール部形成に際しては容器の最内層同士を重ねて容器外部から150℃、圧力0.4MPaにて2秒間熱シールすることで、2.5N/15mmのシール強度を有する弱シール部を形成した以外は、実施例1と同様にして一袋型の複室容器を得た。
容器(II−1)の外壁面と容器(I−5)の内壁面とのヒートシールに際しては、210℃,0.4MPa,3秒間の条件を採用した。両容器は充分なシール強度(25N/15mm)をもって接合され、この際、容器(II−1)に内容された蒸留水の漏洩はなく、容器の変形なども観察されなかった。
〔実施例6〕
容器(I−1)における弱シール部を、まず(C)+(D)のポリプロピレン系樹脂(実施例1と同様である)をTダイを設置した押出し機を用いて溶融押出しすることにより厚さ100μmのテープを作製し、次いで容器(I−1)に当該テープを挿入して容器外部から180℃、圧力0.4MPa、3秒間熱シールすることにより設けた以外は、実施例1と同様にして一袋型の複室容器を得た。弱シール部のヒートシール強度は2.5N/15mmであった。
実施例1と同様、210℃,0.4MPa,3秒間のヒートシールを行なったところ、両容器は充分なシール強度(25N/15mm)をもって接合され、一袋型の複室容器を得ることができた。この際、容器(II−1)に内容された注射用蒸留水の漏洩はなく、容器の変形なども観察されなかった。
〔実施例7〕
容器(I−1)のフロントシートとリアシートの最内層を環状ポリオレフィン(日本ゼオン製 ゼオノア1020R)にて構成した容器(I−7)とし、弱シール部形成に際しては、まず環状ポリオレフィン(日本ゼオン製 ゼオノア1020R)と直鎖状低密度ポリエチレン(出光石油化学製モアテック)を6:4の割合でブレンドした後、Tダイを設置した押出し機を用いて溶融押出しすることにより厚さ100μmのテープを作製し、次いで容器(I−7)に当該テープを挿入して容器外部から180℃、圧力0.4MPa、3秒間熱シールすることにより設けた以外は、実施例1と同様にして一袋型の複室容器を得た。容器(II−1)の外壁面と容器(I−7)の内壁面とのヒートシールに際しては、210℃,0.4MPa,3秒間の条件を採用した。両容器は充分なシール強度(25N/15mm)をもって接合され、この際、容器(II−1)に内容された蒸留水の漏洩はなく、容器の変形なども観察されなかった。
〔比較例1〕
容器(II−1)の最外層を、ランダムポリプロピレン(チッソ(株)製VSR)とホモポリプロピレン(出光石油化学(株)製F300SP)とを、(ランダムポリプロピレン):(ホモポリプロピレン)=9:1(質量比)の割合で含むポリプロピレン系樹脂を用いて形成した以外は、実施例1と同様にして一袋型の複室容器を得ようと試みたが、(I)容器と(II)容器とを溶着により接合することができず、一袋型の複室容器を得ることができなかった。
本発明の複室容器の一例を示す平面図である。 図1に示す複室容器のX−X断面図である。
符号の説明
1 複室容器
2,3 部分容器
211,212,213 強シール部
22 弱シール部
2a イージーピール用テープ
2x 最外層
2y 中間層
2z 最内層
311,312 強シール部
32 弱シール部
3x 最外層
3y 中間層
3z 最内層
4 ポート部
















Claims (5)

  1. 少なくとも片面にヒートシール層を備えた樹脂フィルム又はシートにより形成され、その内壁面の少なくとも一部に剥離可能にヒートシールして設けた弱シール部をそれぞれ形成してなる複数の容器(I)および(II)が、各々の弱シール部が夫々剥離して連通可能に接続されて得られる複室容器において、前記接続部が一方の前記容器(I)の内壁面と他方の前記容器(II)の外壁面とのヒートシールにより形成され、前記容器(I)の内壁面がポリオレフィン系樹脂にて形成されると共に、
    前記容器(II)の外壁面が、第1段重合によって得られる下記(A)成分10〜60質量%と第2段重合によって得られる下記(B)成分90〜40質量%とからなる逐次共重合体を主成分として含み、前記逐次共重合体を形成する(A)成分と(B)成分との合計量に占めるプロピレンユニットの含有率が85〜95質量%であり、前記逐次共重合体のJIS K7121に準拠して測定した融点ピーク温度が155℃以上であり、かつ前記逐次共重合体のJIS K6921に準拠して測定した引張降伏点応力が20MPa以下であるポリプロピレン系樹脂にて形成され
    前記容器(II)の内壁面が、下記(C)成分と(D)成分とを(C)成分:(D)成分=98:2〜50:50(質量比)の割合で含むプロピレン系共重合体組成物にて形成され、さらに
    前記容器(I)の内壁面を形成するポリオレフィン系樹脂が、直鎖状低密度ポリエチレンおよび/または環状ポリオレフィンを主成分として含むポリオレフィン系樹脂、または前記(C)成分と(D)成分とを(C)成分:(D)成分=98:2〜50:50(質量比)の割合で含むプロピレン系共重合体組成物のいずれかであることを特徴とする複室容器。
    (A)成分:アイソタクチックインデックスが90%以上のプロピレンを主成分とする重合体成分。
    (B)成分:プロピレンとエチレンとを必須成分とする、プロピレンと炭素原子数8以下の他のα−オレフィンとの共重合体から成り、室温でキシレンに不溶な成分が(A)成分および(B)成分を合わせた全重合体中の20質量%超過70質量%以下であり、室温でキシレンに可溶な成分が(A)成分および(B)成分を合わせた全重合体中の10質量%以上60質量%以下であって、室温でキシレンに可溶な成分中のプロピレン以外のα−オレフィンの含有量が20質量%未満である共重合体成分。
    (C)成分:プロピレンと、エチレン及び/又は炭素数4〜8の他のα−オレフィンとからなるプロピレン系共重合体成分であって、温度上昇溶離分別法(温度:0〜140℃、溶媒:o−ジクロロベンゼン)を用いた場合に、0℃での溶出分の割合が全溶出量に対して15質量%以上50質量%以下、60℃以上90℃以下での溶出分の割合が全溶出量に対して5質量%以上15質量%未満であるプロピレン系共重合体成分。
    (D)成分:プロピレンと、エチレン及び/又は炭素数4〜8の他のα−オレフィンとからなるプロピレン系共重合体成分であって、温度上昇溶離分別法(温度:0〜140℃、溶媒:o−ジクロロベンゼン)を用いた場合に、0℃での溶出分の割合が全溶出量に対して0質量%以上25質量%以下、60℃以上90℃以下での溶出分の割合が全溶出量に対して15質量%以上70質量%以下であるプロピレン系共重合体成分。
  2. 前記容器(II)の外壁面を形成するポリプロピレン系樹脂が、さらに上記(D)成分を、((A)成分と(B)成分とからなる逐次共重合体):(D)成分=98:2〜50:50(質量比)の割合で含む請求項記載の複室容器。
  3. 前記容器(I)の内壁面に設けられた弱シール部が、前記(C)成分と(D)成分とを含むプロピレン系共重合体組成物にて形成されるヒートシール層を少なくとも表面層として備えるイージーピール用テープを、前記容器(I)の内壁面間に挿入して設けられる請求項1又は2記載の複室容器。
  4. 前記容器(II)が、121℃での滅菌処理が可能である請求項乃至のいずれか1項に記載の複室容器。
  5. 前記容器(I)が粉末状薬剤を収容し、前記容器(II)が液状薬剤を収容する請求項乃至のいずれか1項に記載の複室容器。
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