JP2008047491A - 偏向電磁石およびそれを備えるイオン注入装置 - Google Patents

偏向電磁石およびそれを備えるイオン注入装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ビームラインを曲げることなく、かつ不所望なX方向の集束作用を抑えつつ、イオンビームのY方向における軌道状態を制御することができる偏向電磁石を提供する。
【解決手段】この偏向電磁石10は、Y方向に長いリボン状のイオンビーム2のビーム経路を挟んでX方向において相対向していてイオンビーム2のY方向の半分以上ずつをカバーする第1磁極対20および第2磁極対30と、両磁極対20、30のギャップに互いに逆向きの磁界B1 、B2 を発生させるコイル44〜47とを備えている。かつ両磁極対20、30を構成する各磁極22、32のイオンビーム進行方向Zにおける長さL1 、L2 を、Y方向においてビーム経路の中心から外側に離れるに従って大きくしている。
【選択図】図2

Description

この発明は、イオンビームの進行方向と実質的に直交する面内において互いに実質的に直交する2方向をX方向およびY方向とすると、X方向の寸法よりもY方向の寸法が大きいリボン状(これは、シート状または帯状と呼ばれることもある。以下同様)のイオンビームのY方向における軌道を制御する偏向電磁石およびそれを備えるイオン注入装置に関する。この明細書において、リボン状のイオンビームには、Y方向の走査を経ることなくリボン状をしているイオンビームと、Y方向の走査を経てリボン状をしているイオンビームとが含まれている。
例えば、リボン状のイオンビームをターゲットに入射させてイオン注入を行うイオン注入装置においては、イオンビームの長手方向であるY方向における軌道の状態(例えば平行、発散または集束の状態)が重要である。具体的には、ターゲットの広い領域(例えば実質的に全面)に均一性の良いイオン注入を行うためには、イオンビームのY方向における平行性が重要である。
イオンビームを平行化(即ち、発散角や集束角を0度に近づけること。以下同様)する技術として、(a)一組の扇形磁極を有する扇形電磁石によって、イオンビームを扇形に曲げつつ平行化する技術(例えば特許文献1参照)、および、(b)静電界のレンズ効果によって、イオンビームを平行化する技術(例えば特許文献2参照)が提案されている。
特開平11−354064号公報(段落0016−0018、図1) 特開平5−94799号公報(段落0010−0011、図2、図5)
上記(a)の扇形電磁石を用いる技術では、イオンビームを扇形に曲げるため、ビームライン(装置におけるイオンビームの経路)が曲がってしまう。従って、真っ直ぐなビームラインに比べて、イオン注入装置等の装置を構成する際に大きなスペースが必要になる。また、装置配置の設計、変更等も難しい。
上記(b)の静電界を用いる技術では、イオンビームのY方向における発散角制御を目的としていても、電極の前後でX方向においても電界が膨らんでレンズ作用が現れ、不所望なX方向の集束作用が現れてしまう。
そこでこの発明は、ビームラインを曲げることなく、かつ不所望なX方向の集束作用を抑えつつ、イオンビームのY方向における軌道状態を制御することができる偏向電磁石を提供することを主たる目的としている。
この発明に係る偏向電磁石の一つは、イオンビームの進行方向と実質的に直交する面内において互いに実質的に直交する2方向をX方向およびY方向とすると、X方向の寸法よりもY方向の寸法が大きいリボン状のイオンビームが入射され、当該イオンビームの通り道であるビーム経路にX方向に沿う磁界を発生させる偏向電磁石であって、前記ビーム経路を挟んでX方向において相対向しておりかつイオンビームのY方向の一方側のほぼ半分以上をカバーする一対の磁極を有する第1磁極対と、前記ビーム経路を挟んでX方向において相対向しておりかつイオンビームのY方向の他方側のほぼ半分以上をカバーする一対の磁極を有する第2磁極対と、前記第1磁極対間のギャップと前記第2磁極対間のギャップとに互いに逆向きの磁界を発生させるコイルとを備えており、かつ前記第1磁極対および前記第2磁極対を構成する各磁極のイオンビーム進行方向における長さを、Y方向においてビーム経路の中心から外側に離れるに従って大きくしていることを特徴としている。
この偏向電磁石においては、第1磁極対および第2磁極対を構成する各磁極のイオンビーム進行方向における長さを、Y方向においてビーム経路の中心から外側に離れるに従って大きくしているので、イオンビームは、Y方向においてビーム経路の中心から外側に離れた所ほど、長く磁極間を通過することになって強く曲げられる。これによって、イオンビームのY方向における軌道状態を制御することができる。例えば、Y方向において発散する入射イオンビームを実質的に平行ビーム化して導出することができる。また、コイルに流す電流を上記の場合とは逆向きにすることによって、Y方向において集束する入射イオンビームを実質的に平行ビーム化して導出することもできる。
前記各磁極のイオンビーム進行方向における長さを前記のように変化させる代わりに、前記第1磁極対間のギャップ長および前記第2磁極対間のギャップ長を、Y方向においてビーム経路の中心から外側に離れるに従って小さくしても良い。
前記第1磁極対を構成する一方の磁極のX方向における背面と、当該磁極とX方向において同じ側にあり前記第2磁極対を構成する一方の磁極のX方向における背面とを磁気的に接続している第1ヨークと、前記第1磁極対を構成する他方の磁極のX方向における背面と、当該磁極とX方向において同じ側にあり前記第2磁極対を構成する他方の磁極のX方向における背面とを磁気的に接続している第2ヨークとを更に備えていても良い。
この発明に係るイオン注入装置は、前記偏向電磁石を備えていて、当該偏向電磁石を通過した前記イオンビームをターゲットに入射させるよう構成されている。
請求項1、2に記載の発明によれば、第1磁極対間のギャップおよび第2磁極対間のギャップにおいて、イオンビームは、Y方向においてビーム経路の中心から外側に離れた所ほど強く曲げられることになり、これによって、イオンビームの軌道状態を制御することができる。しかも、扇形電磁石を用いる場合と違って、ビームラインを曲げずに済む。かつ、静電界を用いる場合と違って、イオンビームの不所望なX方向の集束作用を抑えることができる。
請求項3に記載の発明によれば、Y方向において発散する入射イオンビームを実質的に平行ビーム化して導出することができる、という更なる効果を奏する。
請求項4に記載の発明によれば、Y方向において集束する入射イオンビームを実質的に平行ビーム化して導出することができる、という更なる効果を奏する。
請求項5に記載の発明によれば、第1磁極対、第2磁極対、第1ヨークおよび第2ヨークによって、ループ状の磁気回路が形成されて磁束がループを作るので、外部への漏れ磁界を少なくすることができると共に、磁界を必要とする第1磁極対間のギャップおよび第2磁極対間のギャップにおいて効率良く磁界を発生させることができる、という更なる効果を奏する。
請求項6に記載の発明によれば、上記のような偏向電磁石を備えているので、ターゲットに入射するときのイオンビームのY方向における平行度を高めることができる。
図1は、この発明に係る偏向電磁石の一実施形態を電源と共に示す正面図である。図2は、図1の線D−Dに沿う側面図であり、発散ビームを平行ビーム化する場合の例を示す。
この偏向電磁石10には、その進行方向Zと実質的に直交する面内において互いに実質的に直交する2方向をX方向およびY方向とすると、図7も参照して、X方向の寸法WX よりもY方向の寸法WY が大きいリボン状のイオンビーム2が入射される。イオンビーム2は、リボン状と言ってもX方向の寸法WX が紙や布のように薄いという意味ではない。例えば、イオンビーム2のX方向の寸法WX は30mm〜80mm程度、Y方向の寸法WY は、ターゲットの寸法にも依るが、300mm〜500mm程度である。このイオンビーム2の大きい方の面、即ちYZ面に沿う面が主面4である。
この偏向電磁石10は、イオンビーム2の通り道であるビーム経路12に、X方向に沿う磁界B1 、B2 を発生させるものである。この偏向電磁石10は、ビーム経路12を挟んでX方向において相対向しておりかつイオンビーム2のY方向の一方側(この実施形態では上側)のほぼ半分以上(換言すれば実質的に半分以上)をカバーする一対の磁極22を有する第1磁極対20と、ビーム経路12を挟んでX方向において相対向しておりかつイオンビーム2のY方向の他方側(この実施形態では下側)のほぼ半分以上(換言すれば実質的に半分以上)をカバーする一対の磁極32を有する第2磁極対30と、第1磁極対20間のギャップ26と第2磁極対30間のギャップ36とに互いに逆向きの磁界B1 、B2 を発生させるコイル44〜47とを備えている。
第1磁極対20間のギャップ26のX方向における長さ(ギャップ長。以下同様)G1 は、Y方向において実質的に一定である。第2磁極対30間のギャップ長G2 も、Y方向において実質的に一定である。また、ギャップ長G1 とG2 とは、互いに実質的に同じ長さにするのが好ましく、この実施形態ではそのようにしている。
この実施形態では、第1磁極対20を構成する一対の磁極22にコイル44、45がそれぞれ巻かれている。両コイル44、45は、互いに直列接続されて直流電源50に接続されており、この直流電源50によって励磁されて、例えば図1中に示すようにX方向において右向きの磁界B1 を発生させる。
第2磁極対30を構成する一対の磁極32にコイル46、47がそれぞれ巻かれている。両コイル46、47は、互いに直列接続されて直流電源52に接続されており、この直流電源52によって、コイル44、45とは逆向きの励磁電流が流されて、例えば図1中に示すようにX方向において左向きの磁界B2 を発生させる。
もっとも、コイルの巻き方、数、コイル用の直流電源等は、この実施形態のものに限られない。例えば、コイル44〜47を全て直列接続して、一つの直流電源によって励磁しても良い。また、左右どちらか一方の磁極22および左右どちらか一方の磁極32にのみコイルを巻いていても良い。後述するヨーク40、42の両方または一方の中間部にコイルを巻いていても良い。いずれにしても、互いに逆向きの磁界B1 、B2 を発生させる。図4〜図6に示す実施形態においても同様である。
この偏向電磁石10では、図2に示すように、第1磁極対20および第2磁極対30を構成する各磁極22、32のイオンビーム進行方向Zにおける長さL1 およびL2 を、それぞれ、Y方向においてビーム経路12の中心14から外側(上下)に離れるに従って大きくしている。従って、各磁極22、32の側面形状は、Y方向の外側が広い三角形または楔形に近い形状をしている。各磁極22と各磁極32とは、ビーム経路12の中心(中心線)14に対して実質的に線対称の形状にするのが好ましく、この実施形態ではそのようにしている。
また、この偏向電磁石10を、発散イオンビーム2を平行化することに専ら用いる場合は、図2に示す例のように、各磁極22、32の入口面23、33をイオンビーム進行方向Zに膨れた弧状にし、出口面24、34を直線状にするのが好ましい。そのようにすると、入口面23、33および出口面24、34に対するイオンビーム2の入射角および出射角を、Y方向のどの位置においても直角に近づけることができるので、イオンビーム2を平行化し易い。
コイル44〜47は、この実施形態では、各磁極22、32に沿わせて巻いていて長方形から変形した形状をしているけれども、必ずしも沿わせて巻く必要はなく、例えば図5に示す例と同様に長方形に近い形をしていても良い。各磁極22、32の形状が重要だからである。
この偏向電磁石10は、第1磁極対20間のギャップ26と第2磁極対30間のギャップ36とに上記のような互いに逆向きの磁界B1 、B2 を発生させるので、ギャップ26、36を通過するイオンビーム(この明細書においては正イオンビーム)2がそれぞれ受けるローレンツ力F1 、F2 は、図2中に示すように、内向きになる。従って、イオンビーム2を絞る作用を奏する。
しかも、第1磁極対20および第2磁極対30を構成する各磁極22、32のイオンビーム進行方向Zにおける長さL1 、L2 を、Y方向においてビーム経路12の中心14から外側に離れるに従って大きくしているので、イオンビーム2は、Y方向においてビーム経路12の中心14から外側に離れた所ほど、長く(長い距離)磁極22、32間を通過することになって強く曲げられる。これによって、イオンビーム2のY方向における軌道状態を制御することができる。
例えば、Y方向に着目すると、イオンビーム2は空間電荷効果によってY方向に発散する性質を有しているけれども、その発散角は、一般的に、例えば図2に示すように、Y方向の中心14付近では小さく、中心14から外側に離れるに従って大きい。発散するものは、端ほど発散の程度が大きいからである。
これに対して、各磁極22、32のイオンビーム進行方向Zにおける長さL1 、L2 を上記のように変化させておくことによって、中心14から外側に離れた所ほどイオンビーム2を強く曲げることができるので、イオンビーム2の上記発散をうまく補償(キャンセル)して平行化することができる。即ち、Y方向において発散するイオンビーム2を実質的に平行ビーム化して導出することができる。
各磁極22、32のイオンビーム進行方向Zにおける長さL1 、L2 をどの程度変化させるかは、入射させるイオンビーム2の発散の程度等に応じて決めれば良い。即ち、発散の大きいイオンビーム2を扱う場合は長さL1 、L2 の変化を大きくすれば良く、発散の小さいイオンビーム2を扱う場合は長さL1 、L2 の変化を小さくすれば良い。
この偏向電磁石10に、Y方向において実質的に平行なイオンビーム2を入射させて、Y方向において集束するイオンビーム2を導出することもできる。イオンビーム2は空間電荷効果によって発散する性質を有しているので、特に低エネルギー、大ビーム電流のイオンビーム2はその性質が強いので、例えばイオン注入装置において、偏向電磁石10から集束するイオンビーム2を取り出して、偏向電磁石10からターゲット間での空間電荷効果による発散とバランス(相殺)させることによって、ターゲットに入射する際のイオンビーム2を実質的に平行ビーム化することもできる。
上記直流電源50、52を逆向きに接続すること等によって、各コイル44〜47に流す電流を上記例の場合とは逆向きにして、図3に示す例のように、磁界B1 、B2 の向きを図1および図2の例の場合と逆にしても良い。但し、磁界B1 とB2 との向きが互いに逆向きであることに変わりはない。
この図3の例の場合は、ギャップ26、36を通過するイオンビーム2がそれぞれ受けるローレンツ力F1 、F2 は、外向きになる。従って、イオンビーム2を広げる作用を奏する。この例の場合も、イオンビーム2は、Y方向においてビーム経路12の中心14から外側に離れた所ほど、長く(長い距離)磁極22、32間を通過することになって、強く曲げられる。これによって、イオンビーム2のY方向における軌道状態を制御することができる。
例えば、Y方向に着目すると、イオンビーム2が例えば他の機器を通過することによってY方向において集束している(絞られている)場合、その集束角は、一般的に、例えば図3に示すように、Y方向の中心14付近では小さく、中心14から外側に離れるに従って大きい。集束するものは、端ほど集束の程度が大きいからである。
これに対して、各磁極22、32のイオンビーム進行方向Zにおける長さL1 、L2 を上記のように変化させておくことによって、中心14から外側に離れた所ほどイオンビーム2を強く曲げることができるので、イオンビーム2の上記集束をうまく補償(キャンセル)して平行化することができる。即ち、Y方向において集束するイオンビーム2を実質的に平行ビーム化して導出することができる。
各磁極22、32のイオンビーム進行方向Zにおける長さL1 、L2 をどの程度変化させるかは、入射させるイオンビーム2の集束の程度等に応じて決めれば良い。即ち、集束の大きいイオンビーム2を扱う場合は長さL1 、L2 の変化を大きくすれば良く、集束の小さいイオンビーム2を扱う場合は長さL1 、L2 の変化を小さくすれば良い。
この偏向電磁石10に、Y方向において実質的に平行なイオンビーム2を入射させて、Y方向において発散するイオンビーム2を導出することもできる。例えばこの偏向電磁石10の下流側にビーム集束器を設けて、前者による発散と後者による集束とを組み合わせて、イオンビーム2を平行化することができる。そのようにすれば、イオンビーム2のY方向の寸法WY をより大きくすることができる。
この偏向電磁石10は、上記いずれの例の場合も、従来の扇形電磁石を用いる場合と違って、ビームラインを曲げずに済む。従って、ビームラインを曲げる場合に比べて、イオン注入装置等の装置を構成する際にスペースを節約することができる。また、装置配置の設計、変更等も容易になる。これは装置を構成する機器の配置が直線状になるからである。
しかも、従来の静電界を用いる場合と違って、X方向において不所望なレンズ作用が現れにくいので、イオンビーム2の不所望なX方向の集束作用を抑制することができる。
この偏向電磁石10は、更に、第1磁極対20を構成する一方(図1中の左側。以下同様)の磁極22のX方向における背面(即ちギャップ26とは反対側の面。以下同様)と、当該磁極22とX方向において同じ側にあり第2磁極対30を構成する一方の磁極32のX方向における背面とを磁気的に接続している第1ヨーク40と、第2磁極対30を構成する他方(図1中の右側。以下同様)の磁極22のX方向における背面と、当該磁極22とX方向において同じ側にあり第2磁極対30を構成する他方の磁極32のX方向における背面とを磁気的に接続している第2ヨーク42とを備えている。
これによって、第1磁極対20、第2磁極対30、第1ヨーク40および第2ヨーク42によって、ループ状の磁気回路が形成されて磁束がループを作るので(磁界B1 〜B4 参照)、外部への漏れ磁界を少なくすることができると共に、磁界を必要とする第1磁極対20間のギャップ26および第2磁極対30間のギャップ36において効率良く磁界B1 、B2 を発生させることができる。
図4は、この発明に係る偏向電磁石の他の実施形態を電源と共に示す正面図である。図5は、図4の線E−Eに沿う側面図であり、発散ビームを平行ビーム化する場合の例を示す。図1〜図3に示した実施形態と同一または相当する部分には同一符号を付し、以下においては当該実施形態との相違点を主体に説明する。
この偏向電磁石10においては、図5に示すように、第1磁極対20および第2磁極対30を構成する各磁極22、32のイオンビーム進行方向Zにおける長さL1 およびL2 を、それぞれ、Y方向において実質的に一定にしている。また、長さL1 とL2 とは、互いに実質的に同じにするのが好ましく、この実施形態ではそのようにしている。
その代わりに、図4に示すように、第1磁極対20間のギャップ長G1 および第2磁極対30間のギャップ長G2 を、それぞれ、Y方向においてビーム経路12の中心14から外側(上下)に離れるに従って小さくしている。第1磁極対20間のギャップ26と第2磁極対30間のギャップ36とは、ビーム経路12の中心14に対してY方向において実質的に対称の形状にするのが好ましく、この実施形態ではそのようにしている。
Y方向においてギャップ長G1 、G2 を上記のように変化させておくと、ビーム経路12の中心14に近い所では磁束密度が小さく、中心14から外側に離れるに従って磁束密度は大きくなるので、イオンビーム2は、Y方向においてビーム経路12の中心14から外側に離れた所ほど強く曲げられる。これによって、先の実施形態の場合と同様に、イオンビーム2のY方向における軌道状態を制御することができる。
例えば、図5に示す例のように、発散する入射イオンビーム2を実質的に平行ビーム化して導出することができる。この図5は図2に対応している。この偏向電磁石10に、Y方向において実質的に平行なイオンビーム2を入射させて、Y方向において集束するイオンビーム2を導出することもできる。そのようにする目的効果は、前述のとおりである。
各コイル44〜47に流す電流を上記例の場合とは逆向きにして、図6に示す例のように、磁界B1 、B2 の向きを図5の例の場合と逆にしても良い。但し、磁界B1 とB2 とが互いに逆向きであることに変わりはない。この図6は、図3に対応している。
この図6の例の場合は、Y方向において集束する入射イオンビーム2を実質的に平行ビーム化して導出することができる。この偏向電磁石10に、Y方向において実質的に平行なイオンビーム2を入射させて、Y方向において発散するイオンビーム2を導出することもできる。そのようにする目的効果は前述のとおりである。
Y方向においてギャップ長G1 、G2 をどの程度変化させるかは、入射させるイオンビームの発散(または集束)の程度等に応じて決めれば良い。即ち、発散(または集束)の大きいイオンビーム2を扱う場合はギャップ長G1 、G2 の変化を大きくすれば良く、発散(または集束)の小さいイオンビーム2を扱う場合はギャップ長G1 、G2 の変化を小さくすれば良い。
上記のような偏向電磁石10を備えていて、当該偏向電磁石10を通過したイオンビーム2をターゲットに入射させるイオン注入装置を構成しても良い。このようなイオン注入装置の一例を図8に示す。
このイオン注入装置は、上記のようなリボン状のイオンビーム2をターゲット66に入射させてイオン注入を行う場合の例であり、リボン状のイオンビーム2を発生させるイオン源60と、このイオン源60からのイオンビーム2を偏向させて運動量分析(例えば質量分析。以下同様)を行うものであって下流側に所望運動量のイオンビーム2の焦点6を形成する分析電磁石62と、この分析電磁石62からのイオンビーム2の焦点6付近に設けられていて分析電磁石62と協働してイオンビーム2の運動量分析を行う分析スリット64とを備えている。分析電磁石62は、この実施形態では、リボン状のイオンビーム2をその主面4(図7参照)に実質的に直交する方向(換言すればX方向)に偏向させて、イオンビーム2をX方向において集束させて前記焦点6を形成する。
このイオン注入装置は、更に、分析スリット64を通過したイオンビーム2をターゲット66に入射させる注入位置で、ホルダ68に保持されたターゲット66をイオンビーム2の主面4と交差する方向に往復直線移動させる(矢印C参照)、即ち機械的に走査するターゲット駆動装置70を備えている。イオン源60からターゲット66までのイオンビーム2の経路は真空雰囲気に保たれる。
イオン源60から発生させてターゲット66まで輸送するイオンビーム2のY方向の寸法WY は、ターゲット66のY方向の寸法よりも大きい。このことと、ターゲット66を上記のように往復移動させることとによって、ターゲット66の全面にイオンビーム2を入射させてイオン注入を行うことができる。ターゲット66は、例えば、半導体基板、ガラス基板、その他の基板である。その平面形状は円形でも良いし四角形でも良い。
この実施形態では、分析スリット64とターゲット66との間に、上記のような偏向電磁石10を設けている。この偏向電磁石10によって、前述したような作用によって、ターゲット66に入射する時のイオンビーム2のY方向における平行度を高めることができる。その結果、ターゲット66に対して均一性の良いイオン注入を行うことができる。
電界レンズ(換言すれば静電レンズ)のようにイオンビームを加減速して軌道を変更する場合は、加減速したエネルギー分だけ入射イオンビームのエネルギーとは異なるエネルギーの粒子(例えば中性粒子)が発生してそれがターゲット66に入射する可能性がある(これをエネルギーコンタミネーションと言う)のに対して、この偏向電磁石10は、磁界によってイオンビームの軌道を曲げるものであって、電界レンズのようにイオンビームを加減速して軌道を変更するものではないので、エネルギーコンタミネーションを発生させることがない。従って、偏向電磁石10を、図8に示す例のように分析スリット64の下流側近傍に設けても良いし、更にターゲット66に近づけて配置しても良い。即ち、この偏向電磁石10によれば、エネルギーコンタミネーションを発生させないので、ターゲット66の近くでイオンビーム2の平行度を高めることができる。従って、ターゲット66に入射する際のイオンビーム2の平行度をより確実に高めることができる。
但し、偏向電磁石10を設ける位置は、上記位置に限られるものではなく、他の位置、例えば分析電磁石62と分析スリット64との間に設けても良い。
この発明に係る偏向電磁石の一実施形態を電源と共に示す正面図である。 図1の線D−Dに沿う側面図であり、発散ビームを平行ビーム化する場合の例を示す。 図1の線D−Dに沿う側面図であり、集束ビームを平行ビーム化する場合の例を示す。 この発明に係る偏向電磁石の他の実施形態を電源と共に示す正面図である。 図4の線E−Eに沿う側面図であり、発散ビームを平行ビーム化する場合の例を示す。 図4の線E−Eに沿う側面図であり、集束ビームを平行ビーム化する場合の例を示す。 リボン状のイオンビームの一例を部分的に示す概略斜視図である。 偏向電磁石を備えるイオン注入装置の一例を示す概略平面図である。
符号の説明
2 イオンビーム
10 偏向電磁石
12 ビーム経路
14 中心
20 第1磁極対
22 磁極
26 ギャップ
30 第2磁極対
32 磁極
36 ギャップ
40 第1ヨーク
42 第2ヨーク
44〜47 コイル
66 ターゲット

Claims (6)

  1. イオンビームの進行方向と実質的に直交する面内において互いに実質的に直交する2方向をX方向およびY方向とすると、X方向の寸法よりもY方向の寸法が大きいリボン状のイオンビームが入射され、当該イオンビームの通り道であるビーム経路にX方向に沿う磁界を発生させる偏向電磁石であって、
    前記ビーム経路を挟んでX方向において相対向しておりかつイオンビームのY方向の一方側のほぼ半分以上をカバーする一対の磁極を有する第1磁極対と、
    前記ビーム経路を挟んでX方向において相対向しておりかつイオンビームのY方向の他方側のほぼ半分以上をカバーする一対の磁極を有する第2磁極対と、
    前記第1磁極対間のギャップと前記第2磁極対間のギャップとに互いに逆向きの磁界を発生させるコイルとを備えており、
    かつ前記第1磁極対および前記第2磁極対を構成する各磁極のイオンビーム進行方向における長さを、Y方向においてビーム経路の中心から外側に離れるに従って大きくしていることを特徴とする偏向電磁石。
  2. イオンビームの進行方向と実質的に直交する面内において互いに実質的に直交する2方向をX方向およびY方向とすると、X方向の寸法よりもY方向の寸法が大きいリボン状のイオンビームが入射され、当該イオンビームの通り道であるビーム経路にX方向に沿う磁界を発生させる偏向電磁石であって、
    前記ビーム経路を挟んでX方向において相対向しておりかつイオンビームのY方向の一方側のほぼ半分以上をカバーする一対の磁極を有する第1磁極対と、
    前記ビーム経路を挟んでX方向において相対向しておりかつイオンビームのY方向の他方側のほぼ半分以上をカバーする一対の磁極を有する第2磁極対と、
    前記第1磁極対間のギャップと前記第2磁極対間のギャップとに互いに逆向きの磁界を発生させるコイルとを備えており、
    かつ前記第1磁極対間のギャップ長および前記第2磁極対間のギャップ長を、Y方向においてビーム経路の中心から外側に離れるに従って小さくしていることを特徴とする偏向電磁石。
  3. Y方向において発散する入射イオンビームを実質的に平行ビーム化して導出する請求項1または2記載の偏向電磁石。
  4. Y方向において集束する入射イオンビームを実質的に平行ビーム化して導出する請求項1または2記載の偏向電磁石。
  5. 前記第1磁極対を構成する一方の磁極のX方向における背面と、当該磁極とX方向において同じ側にあり前記第2磁極対を構成する一方の磁極のX方向における背面とを磁気的に接続している第1ヨークと、
    前記第1磁極対を構成する他方の磁極のX方向における背面と、当該磁極とX方向において同じ側にあり前記第2磁極対を構成する他方の磁極のX方向における背面とを磁気的に接続している第2ヨークとを更に備えている請求項1、2、3または4記載の偏向電磁石。
  6. 請求項1ないし5のいずれかに記載の偏向電磁石を備えていて、当該偏向電磁石を通過した前記イオンビームをターゲットに入射させるよう構成されているイオン注入装置。
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