JP2008042421A - 通信システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】フレームの両端以外の位置に既知のシンボル部分が設けられる。等化フィルタ手段が等化処理対象となる信号とタップ利得係数に基づいて等化フィルタ処理を行って等化処理結果の信号を取得し、更新手段が所定のアルゴリズムを用いてタップ利得係数を更新する。第1の転送手段或いは第2の転送手段が前記既知のシンボル部分より後方の受信信号或いは前方の受信信号を順方向或いは逆順で第1のメモリ或いは第2のメモリに転送し、第1の制御手段或いは第2の制御手段が、順方向或いは逆順で転送したメモリ内容を入力して、これに含まれる前記既知のシンボル部分の全部又は一部を等化処理対象として用いて前方等化フィルタ処理或いは後方等化フィルタ処理を行う。
【選択図】 図4
Description
しかしながら、RLSアルゴリズムでは、乗算回数が適応フィルタのタップ数の2乗に比例して増え、計算に複雑な行列式などを用いるために演算量が極めて多く、倍精度浮動小数点演算が必要であるという問題が生じるため、低価格で消費電力の少ない固定小数点DSP(Digital Signal Processor)による処理の実現は難しく、携帯端末無線機への実装が困難である。
LMSアルゴリズムでは、誤差の2乗平均値が最小となるような最適タップ利得に徐々に近づくようにタップ利得を制御させるため、係数を収束させるためには、最低でも30〜50シンボル程度必要となるが、安定性の高さと演算量の少なさの面から、代表的な適応アルゴリズムとして認識されている。信号処理装置に実装するための所望として、演算量を少なくさせることや、トレーニング動作時におけるタップ利得係数の収束時間の短縮や、トレーニング動作に必要なシンボル数を減らすことが挙げられる。
しかしながら、ARIB STD−T79(非特許文献2)などの多くの移動無線の規格では、トレーニングに用いることができる同期ワードは10シンボル程度しかない。
図4(a)、(b)には、一般的なデジタル無線通信に用いられるフレームの構成例を示してある。図4(a)には制御チャネル或いは通信チャネルの場合のフレームの構成を示してあり、図4(b)には同期バーストの場合のフレームの構成を示してある。
1フレームは、同期ワード系列(SW)のシンボル41、51と、情報(DATA)シンボル42a、42b、52a、52bから構成され、同期ワード系列(SW)のシンボル41、51が例えば中央(或いは、ほぼ中央)に配置され、その前後に情報(DATA)シンボル42a、42b、52a、52bが配置されている。
制御チャネル或いは通信チャネルの場合の同期ワード系列(SW)41は10シンボルであり、同期バーストの場合の同期ワード系列(SW)51は16シンボルである。
このようなフレームが複数連続して無線通信される。
なお、図4は後述する実施例で参照する図であり、ここでは、説明の便宜上から図4を参照したが、本発明を限定する意図は無い。
また、図4(a)、(b)に示されるようなフレームの構成において、効果的な等化処理を行うための改良が望まれていた。
また、本発明は、例えば、同期ワードのシンボル数が少ないような場合においても、等化処理において良好な収束を実現することができる通信システムなどを提供することを目的とする。
すなわち、前記フレームの両端以外の位置(内部の位置)に、前記既知のシンボル部分が設けられている。
そして、当該通信システムでは、等化フィルタ手段が等化処理対象となる信号とタップ利得係数に基づいて等化フィルタ処理を行って等化処理結果の信号を取得し、これに際して、更新手段が所定のアルゴリズムを用いて前記等化フィルタ手段により用いられる前記タップ利得係数を更新する。また、第1の転送手段が前記受信信号を構成する前記フレームに含まれる前記既知のシンボル部分より後方の受信信号(例えば、既知のシンボル部分の全部又は一部とその後の情報部分を含む信号)を順方向で第1のメモリに転送(格納)し、第2の転送手段が前記受信信号を構成する前記フレームに含まれる前記既知のシンボル部分より前方の受信信号(例えば、既知のシンボル部分の全部又は一部とその前の情報部分を含む信号)を逆順で第2のメモリに転送(格納)する。また、第1の制御手段が、前記第1の転送手段により順方向で転送したメモリ内容を入力して、これに含まれる前記既知のシンボル部分の全部又は一部を等化処理対象として用いて前記等化フィルタ手段により前方等化フィルタ処理を行い、第2の制御手段が、前記第2の転送手段により逆順で転送したメモリ内容を入力して、これに含まれる前記既知のシンボル部分の全部又は一部を等化処理対象として用いて前記等化フィルタ手段により後方等化フィルタ処理を行う。
また、第1の転送手段と第2の転送手段としては、例えば、別個な機能部として構成されてもよく、或いは、共通な機能部として構成されてもよい。
また、第1の制御手段と第2の制御手段としては、例えば、別個な機能部として構成されてもよく、或いは、共通な機能部として構成されてもよい。
また、フレームの構成としては、種々なものが用いられてもよい。
また、既知のシンボル部分としては、種々なものが用いられてもよい。
また、等化フィルタ処理としては、タップ利得係数による種々なフィルタリング処理が用いられてもよく、例えば、受信信号ばかりでなく、所定の参照信号も用いることができる。所定の参照信号としては、例えば、既知のシンボル部分(全部又は一部)については、予めメモリに記憶された当該既知のシンボル部分に相当するシンボルパターンの信号を用いることができ、また、情報シンボル部分については、等化処理結果の信号のデータを判定した結果の信号を用いることができる。
また、タップ利得係数の更新の仕方としては、例えば、等化フィルタ処理により得られる等化処理結果の信号が理想的な信号(或いは、理想的であると考えられる信号)に近づくようにタップ利得係数を更新することができる。
すなわち、前記第1の制御手段は、前記第1の転送手段により順方向で転送したメモリ内容を入力して、これに含まれる前記既知のシンボル部分の全部又は一部を複数回繰り返して等化処理対象として用いて前記等化フィルタ手段により前方等化フィルタ処理を行い、前記第2の制御手段は、前記第2の転送手段により逆順で転送したメモリ内容を入力して、これに含まれる前記既知のシンボル部分の全部又は一部を複数回繰り返して等化処理対象として用いて前記等化フィルタ手段により後方等化フィルタ処理を行う。
また、既知のシンボル部分(全部又は一部)を複数回繰り返して等化処理対象として用いる回数としては、種々な回数が用いられてもよく、例えば、通常は、回数が多いほどタップ利得係数の収束度が向上し、回数が少ないほど全体的な処理時間が低減するため、これらを比較考量して設定されるのがよい。
すなわち、前記受信信号を構成する前記フレームに含まれる前記既知のシンボル部分は、同期ワードのシンボル部分である。また、前記所定のアルゴリズムは、LMSアルゴリズム又はRLSアルゴリズムである。
すなわち、前記フレームの両端以外の位置(内部の位置)に、前記既知のシンボル部分が設けられている。
前記通信システムの第1の転送手段が、前記受信信号を構成する前記フレームに含まれる前記既知のシンボル部分より後方の受信信号(例えば、既知のシンボル部分の全部又は一部とその後の情報部分を含む信号)を順方向で第1のメモリに転送(格納)し、前記通信システムの第2の転送手段が、前記受信信号を構成する前記フレームに含まれる前記既知のシンボル部分より前方の受信信号(例えば、既知のシンボル部分の全部又は一部とその前の情報部分を含む信号)を逆順で第2のメモリに転送(格納)する。前記通信システムの第1の制御手段が、前記第1の転送手段により順方向で転送したメモリ内容を入力して、これに含まれる前記既知のシンボル部分の全部又は一部を等化処理対象として用いて、等化処理対象となる信号と所定のアルゴリズムを用いて更新されるタップ利得係数に基づいて等化フィルタ処理を行って前方等化処理結果の信号を取得し、前記通信システムの第2の制御手段が、前記第2の転送手段により逆順で転送したメモリ内容を入力して、これに含まれる前記既知のシンボル部分の全部又は一部を等化処理対象として用いて、等化処理対象となる信号と所定のアルゴリズムを用いて更新されるタップ利得係数に基づいて等化フィルタ処理を行って後方等化処理結果の信号を取得する。
従って、例えば、情報部分と既知のシンボル部分と情報部分が並んで配置されたフレームのように、フレームの内部に既知のシンボル部分が含まれるような場合に、前方等化処理及び後方等化処理を効果的に使用して、効果的な等化処理を行うことができる。
すなわち、前記通信システムの結合手段が、前記前方等化処理結果の信号と前記後方等化処理結果の信号とを結合し、当該結合の結果を1フレーム分の等化処理結果の信号として取得する。
従って、等化処理後の1フレーム分の受信信号を取得することができ、以降の処理(例えば、受信情報の判定などの処理)に使用することができる。
ここで、例えば、前方等化処理結果の信号と後方等化処理結果の信号とで重複する部分が存在する場合には、重複しないように一方を削除することができる。
図1には、本発明の一実施例に係る無線通信システムの無線通信装置に設けられた受信機の構成例を示してある。
本例の受信機は、入力端子Z1と出力端子Z2との間に、復調部1と、復調処理部2を備えている。
復調部1は、RF(無線周波数)部11と、A/D(Analog to Digital)変換器12と、直交復調部13と、受信フィルタ部14を備えている。
復調処理部2は、適応等化器15を備えている。
具体的には、図4(a)に示されるフレームは、位置「A」から位置「A’」までのシンボルからなる情報(DATA)シンボル42aと、それに続く位置「B」から位置「B’」までのシンボルからなる同期ワード系列(SW)のシンボル41と、それに続く位置「C」から位置「C’」までのシンボルからなる情報(DATA)シンボル42bから構成されている。
また、図4(b)に示されるフレームは、位置「A」から位置「D」までのシンボルからなる情報(DATA)シンボル52aと、それに続く位置「D’」から位置「B’」までのシンボルからなる同期ワード系列(SW)のシンボル51と、それに続く位置「C」から位置「C’」までのシンボルからなる情報(DATA)シンボル52bから構成されている。また、位置「B」と位置「B’」との間のシンボルが10シンボルとなる位置「B」を示してあるとともに、その前の位置「A’」を示してある。
なお、本例では、図4(a)に示されるフレーム構成と図4(b)に示されるフレーム構成について、同じシンボル位置については共通の符号「A」、「A’」、「B」、「B’」、「C」、「C’」を用いて示したが、これらのフレームの構成(例えば、シンボル数)としてはそれぞれ種々なものが用いられてもよい。
アンテナにより無線受信された受信信号が入力端子Z1から復調部1内のRF部11に入力され、RF部11においてバッファアンプによる電力振幅増幅とミキサによる周波数変換が行われる。その後、受信信号はA/D変換器12によりアナログ信号からデジタル信号へ変換される。デジタル信号に変換された受信信号は、直交復調部13により直交復調されて、ベースバンド信号のI成分とQ成分に分離される。このベースバンド信号のI成分とQ成分は、受信フィルタ部14によりフィルタリングされて、復調処理部2内の適応等化器15に入力される。
適応等化器15に入力された信号は、適応等化器15により等化処理され、等化処理後の信号が出力端子Z2から出力される。
本例の適応等化器15は、等化フィルタ部21と、データ判定部22と、トレーニング用参照信号部23と、スイッチ部24と、等化誤差推定部25と、タップ利得制御部26を備えている。
ここで、スイッチ部24は、等化フィルタ部21及び等化誤差推定部25と接続される処理部を、データ判定部22とトレーニング用参照信号部23とで切り替える機能を有しており、初期値設定を行う際には、トレーニング用参照信号部23が等化フィルタ部21及び等化誤差推定部25と接続されるようにスイッチを切り替える。
本例の等化フィルタ部21は、受信信号の入力端子Z11と、データ判定部22からの出力又はトレーニング用参照信号部23からの出力の入力端子Z12と、タップ利得係数の入力端子Z13と、等化処理結果の出力端子Z14を備えている。
また、本例の等化フィルタ部21は、フィードフォワード(FF:Feed Forward)の処理に関して、複数であるNF個の複素乗算器D(0)〜D(NF−1)と、(NF−1)個の1サンプル遅延回路A(0)〜A(NF−2)を備えている。
また、本例の等化フィルタ部21は、フィードバック(FB:Feed Back)の処理に関して、複数であるNB個の複素乗算器E(1)〜E(NB)と、NB個の1サンプル遅延回路C(1)〜C(NB)を備えている。
また、本例の等化フィルタ部21は、複素加算器31を備えている。
なお、本例では、フィードバック系のタップ数を複数としたが、他の構成例として、タップ数を1として、1個の複素乗算器及び1個の1サンプル遅延回路を備えた構成とすることも可能である。
なお、tは時間を表す。
等化フィルタ部21では、タップ利得係数であるNF個のFFタップ係数の値F0(t)〜F−NF+1(t)のそれぞれがNF個の複素乗算器D(0)〜D(NF−1)のそれぞれに入力される。
また、受信フィルタ部14から入力される受信信号が、(NF−1−i)個の1サンプル遅延回路を経由してi番目の複素乗算器D(i)に入力される(i=0〜NF−1)。
ここで、FF側における1個の1サンプル遅延回路による遅延量Tpを用いて、i番目の複素乗算器D(i)に入力される受信信号をy(t+i×Tp)と表す。
それぞれの複素乗算器D(0)〜D(NF−1)により入力される受信信号と入力されるFFタップ係数とが複素乗算され、その結果が複素加算器31へ出力される。
また、等化後の判定値の信号又はトレーニング用の参照信号が、j個の1サンプル遅延回路を経由してj番目の複素乗算器E(j)に入力される(j=1〜NB)。
本例では、初期設定のためのトレーニング区間に既知の同期ワード系列(SW)を挿入する際には、スイッチ部24によりトレーニング用参照信号部23側への切り替えを行い、例えば予めメモリに記憶された同期ワード系列(SW)に相当する既知のシンボル系列の信号をトレーニング用の参照信号として入力端子Z12から入力する。また、情報伝達区間には、スイッチ部24によりデータ判定部22側への切り替えを行い、データ判定結果の信号を等化後の判定値(等化出力判定値)として入力端子Z12から入力する。
なお、本例では、トレーニング用の参照信号として、同期ワード系列(SW)の全部が設定される場合ばかりでなく、同期ワード系列(SW)の一部が設定される場合もあり、また、前方等化の場合には順方向に設定され、後方等化の場合には逆方向に設定される。
それぞれの複素乗算器E(1)〜E(NB)により入力される信号と入力されるFBタップ係数とが複素乗算され、その結果が複素加算器31へ出力される。
複素加算器31により複数の複素乗算器D(0)〜D(NF−1)、E(1)〜E(NB)から入力される全ての信号(複素乗算結果)が複素加算され、当該加算結果が出力端子Z14から出力される。
また、タップ利得ベクトルc(t)は、(式2)のように表される。
また、等化フィルタ部21から出力される等化処理結果の信号z(t)は、(式3)のように表される。
データ判定部22は、等化フィルタ部21からの出力z(t)を判定して送信シンボルを推定する。この推定としては、送信されたシンボルが取り得るシンボルと等化フィルタ部21からの出力との距離の2乗を求めて、それが最小となるシンボルを参照信号として決定する。
等化誤差推定部25は、等化フィルタ部21からの出力z(t)とスイッチ部24からの出力である理想参照信号r(t)との誤差e(t)を算出してタップ利得制御部26へ出力する。この誤差e(t)は、(式4)のように表される。
図4(a)には、制御チャネル或いは通信チャネルの場合のスロットフォーマットを示してある。この場合、同期ワードは10シンボル設けられており、本例では、これら10シンボルの全てをトレーニング区間として用いる。
また、図4(b)には、同期バーストの場合のスロットフォーマットを示してある。この場合、同期ワードは16シンボル設けられており、本例では、これら16シンボル中の後方(図4において、右の方)の10シンボル分をトレーニング区間として用いる。
なお、ARIB STD−T79(非特許文献2)の規格では、図4(a)、(b)に示されるフレームは160シンボルからなり、図4(a)に示されるフレームと図4(b)に示されるフレームは同期ワード系列(SW)のシンボル41、51の「B’」で示される位置(最後の位置)が一致するように配置されている。
また、本例では、前方等化処理と後方等化処理の共通化を図るために、前方等化処理の場合には、トレーニング区間の位置「B」から情報(DATA)シンボル42b、52bの終端位置「C’」までの受信信号を、順方向の順序(図4において、左から右への順序)で、例えば受信信号全体を格納するメモリとは別のメモリへ、転送する。同様に、本例では、後方等化処理の場合には、トレーニング区間の位置「B’」から情報(DATA)シンボル42a、52aの先頭位置「A」までの受信信号を、逆方向の順序(図4において、右から左への順序)で、例えば受信信号全体を格納するメモリ或いは前方等化処理のためのメモリとは別のメモリへ、転送する。
なお、受信信号全体を格納するメモリや、前方等化処理の対象を格納するメモリや、後方等化処理の対象を格納するメモリとしては、本例では、それぞれ異ならせたが、例えば、一部又は全部が共通化されてもよく、同じメモリの異なる記憶領域が用いられてもよい。
図5(b)には、後方等化処理の対象となる受信信号部分の一例を示してあり、後方等化用のメモリに格納されてから後方等化処理される。本例の後方等化処理では、図4(b)に示されるフレームについては、同期ワード系列(SW)51の一部(位置「A’」と位置「D’」との間の部分)のシンボルは情報(DATA)シンボル52aに含められて処理される。
また、前方等化処理と後方等化処理とでは、同期ワード系列(SW)の並び順が逆になるため、トレーニング用参照信号部23にはそれぞれの並び順に対応したトレーニング用の信号を設定する。また、図4(b)に示されるフレームについては同期ワード系列(SW)51の一部のみを使用するため、トレーニング用参照信号部23には当該一部についてトレーニング用の信号を設定する。
なお、他の構成例として、図4(b)に示されるフレームについて、同期ワード系列(SW)51の全て又は11シンボル以上を使用することも可能であるが、図4(a)に示されるフレームとの間で同期ワード系列(SW)のシンボル数が異なることとなる。
本例では、1回分のトレーニング区間は10シンボルの同期ワード区間(同期バーストの場合は後方の10シンボル)であり、同一の同期ワードのデータに対して例えば16回トレーニングを実施することにより、係数の収束性を高めている。
なお、複素LMSによる係数の更新は(式5)に基づいて行われる。ここで、h(t)はタップ利得ベクトルであり、uはタップ入力ベクトルであり、μはステップサイズパラメータ(例えば、μ=0.05)であり、eは等化誤差である。本例では、タップ利得ベクトルh(t)として(式2)に示されるタップ利得ベクトルc(t)が用いられ、タップ入力ベクトルuとして(式1)に示される入力信号ベクトルY(t)が用いられ、等化誤差eとして(式4)に示される誤差e(t)が用いられる。
そこで、本例では、規格により決められている同期ワード長である10シンボルでもタップ利得係数を十分に収束させるために、10シンボルの同期ワード系列(SW)41、51を複数回用いて等化処理を行う。
図6(b)に示されるように、本例では、10シンボルの同期ワード系列(SW)41、51を適応等化器15のタップ利得係数が十分に収束するまで繰り返して用いて等化処理を行い、タップ利得係数が十分に収束した後に情報(DATA)シンボル42a、42b、52a、52bを用いて等化処理を行うように移行してブラインド等化を行う。適応等化器15による等化処理結果は、出力端子Z2へ出力される。
なお、他の構成例として、前方等化処理の結果と後方等化処理の結果を以降で別個に処理するような構成とすることも可能である。
従って、本例の受信機では、LMSアルゴリズムの課題とされていた収束させるまでに要するシンボル数に着目して、10シンボルの同期ワードを繰り返して用いることにより適応等化器15のタップ利得係数をLMSアルゴリズムにより十分に収束させることができ、例えば、固定小数点演算方式を用いて精度良く送信信号(受信機により受信した信号)を推定することができる。また、本例では、フレーム(或いは、スロット)内の信号フォーマットとしては、既知のシンボルが10シンボル程度でも十分であるため、伝送効率を落とすことなくデータを送受信することが可能となり、ARIB STD−T79(非特許文献2)などの多くの移動無線の規格に沿う方式となる。
また、本例の受信機は、例えば、端末装置や基地局装置など、種々な装置に適用されてもよい。
図7には、防災デジタル無線システムの一例である消防デジタル無線システムの構成例を示してある。
本例の消防デジタル無線システムは、操作部81と表示部82と記憶部83を有する指令装置(指令卓)71と、回線制御装置(無線回線制御装置)72と、複数であるp個の基地局装置G1〜Gpと、複数であるp個の遠隔制御器H1〜Hpと、複数であるq個の移動局装置I1〜Iqを備えている。
各移動局装置I1〜Iqは、車載機91と携帯機92から構成されており、また、携帯機92を置くための置台93を有している。
各車両では、例えば、車載機91や置台93が当該各車両に取り付けられるなどして搭載されており、携帯機92は人により持ち運ぶことや置台93に置くことが可能になっている。
なお、図7に示されるのと同様なシステムを複数設けて、いずれかのシステムを運用するとともに他のシステムを予備として待機させ、運用しているシステムが故障したときに予備のシステムを運用させることで全体の運用を継続させるような構成とすることも可能である。
また、基地局装置G1〜Gpとの間で通信する配下の装置としては、例えば、固定機、半固定機、携帯機、可搬機など、種々なものが用いられてもよい。
指令装置71では、操作部81が人(指令者)により操作されることにより各種の指示や情報を入力し、表示部82が表示対象となる各種の情報を画面に表示出力し、メモリから構成された記憶部83が記憶対象となる各種の情報を記憶する。
指令者は、指令装置71から配下の装置(回線制御装置72、基地局装置G1〜Gp、遠隔制御器H1〜Hp、移動局装置I1〜Iq)へ各種の指示を送信することができる。また、指令者は、指令装置71が配下の装置から受信した各種の情報を画面表示により見ることができる。また、必要な情報は、記憶部83に保持される。
各基地局装置G1〜Gpは、通信可能な領域(エリア)に存在する移動局装置I1〜Iqとの間で無線により通信し、また、有線で接続された各遠隔制御器H1〜Hpとの間で通信する。
各遠隔制御器H1〜Hpは、有線で接続された各基地局装置G1〜Gpとの間で通信し、例えば、移動局装置と同様な機能を有しており、人(署員)により操作などされる。
各移動局装置I1〜Iqは、当該各移動局装置I1〜Iqが収容される基地局装置G1〜Gpとの間で無線により通信する。
車載機91は、アンテナ101と、無線部102と、キー操作部103と、表示部104と、マイクを有するマイク部105と、例えば2つのスピーカを有するスピーカ部106と、メモリ107と、携帯インタフェース108と、制御部109を備えている。
携帯機92は、アンテナ111と、無線部112と、キー操作部113と、表示部114と、マイクを有するマイク部115と、スピーカを有するスピーカ部116と、メモリ117と、車載インタフェース118と、制御部119を備えている。
ここで、車載機91が有する内部の処理機能と携帯機92が有する内部の処理機能は、例えばスピーカの数が異なるなどの相違はあるが、概略的には、同様である。
また、車載機91と携帯機92とは、携帯機92が置台93に置かれた状態では携帯インタフェース108と車載インタフェース118との間で通信することが可能であるが、例えば、携帯機92が置台93から取り外されて持ち運ばれる状態では携帯インタフェース108と車載インタフェース118との間では通信しない。
一方、携帯機92が置台93から取り外された状態では、携帯機92により基地局装置G1〜Gpからの受信や、基地局装置G1〜Gpへの送信や、キー入力や、表示出力や、音声入力や、音声出力などの全てが行われ、この状態では、車載機91により基地局装置G1〜Gpからの受信や、表示出力や、音声出力のみが行われる。つまり、車載機91と携帯機92とは同一の呼出情報(ID情報)が設定されており、受信は両方で同時に行うことが可能であるが、送信は片方ずつ行う構成となっている。
また、携帯機92が置台93にセットされた状態や置台93から取り外された状態は、車載機91や携帯機92により検出されて、それぞれの制御部109、119によりそのときの状態に応じて実行可能な機能(或いは、実行不可能な機能)が設定される。
一例として、消防車などに移動局装置I1〜Iqが設けられており、当該消防車などが火災などの現場にいて、或る隊員が携帯機92を持って当該消防車などの外部に出て活動し、他の隊員が当該消防車などの内部で待機する際に、当該他の隊員は車載機91から出力される音声を聞くことにより、携帯機92と基地局装置G1〜Gpとの間で行われる通話の内容を聞くことができる。
なお、例えば、基地局装置G1〜Gpから移動局装置I1〜Iqへの下りの通信と、移動局装置I1〜Iqから基地局装置G1〜Gpへの上りの通信とでは、異なる周波数が用いられる。
救急車の場合には、例えば、通常の電話のような通信が用いられ、発話(発呼)及び受話により通話を行うことができる。
また、例えば、車載機91と携帯機92との間で離れた所でも無線により通信することが可能な機能を車載機91及び携帯機92に設けることも可能である。この場合、一例として、トンネル内などの不感地帯で携帯機92を車両の外部に持ち出すときに、車載機91と携帯機92をトランシーバのように用いて互いに通話することができる。
また、本発明の適用分野としては、必ずしも以上に示したものに限られず、本発明は、種々な分野に適用することが可能なものである。
また、本発明に係るシステムや装置などにおいて行われる各種の処理としては、例えばプロセッサやメモリ等を備えたハードウエア資源においてプロセッサがROM(Read Only Memory)に格納された制御プログラムを実行することにより制御される構成が用いられてもよく、また、例えば当該処理を実行するための各機能手段が独立したハードウエア回路として構成されてもよい。
また、本発明は上記の制御プログラムを格納したフロッピー(登録商標)ディスクやCD(Compact Disc)−ROM等のコンピュータにより読み取り可能な記録媒体や当該プログラム(自体)として把握することもでき、当該制御プログラムを当該記録媒体からコンピュータに入力してプロセッサに実行させることにより、本発明に係る処理を遂行させることができる。
71・・指令装置、 72・・回線制御装置、 81・・操作部、 82、104、114・・表示部、 83・・記憶部、 91・・車載機、 92・・携帯機、 93・・置台、 G1〜Gp・・基地局装置、 H1〜Hp・・遠隔制御器、 I1〜Iq・・移動局装置、 101、111・・アンテナ、 102、112・・無線部、 103、113・・キー操作部、 105、115・・マイク部、 106、116・・スピーカ部、 107、117・・メモリ、 108・・携帯インタフェース、 109、119・・制御部、 118・・車載インタフェース、
Claims (5)
- 既知のシンボル部分を含むフレームからなる受信信号を等化処理する通信システムにおいて、
前記フレームの両端以外の位置に前記既知のシンボル部分が設けられており、
当該通信システムは、等化処理対象となる信号とタップ利得係数に基づいて等化フィルタ処理を行って等化処理結果の信号を取得する等化フィルタ手段と、
所定のアルゴリズムを用いて前記等化フィルタ手段により用いられる前記タップ利得係数を更新する更新手段と、
前記受信信号を構成する前記フレームに含まれる前記既知のシンボル部分より後方の受信信号を、順方向で第1のメモリに転送する第1の転送手段と、
前記受信信号を構成する前記フレームに含まれる前記既知のシンボル部分より前方の受信信号を、逆順で第2のメモリに転送する第2の転送手段と、
前記第1の転送手段により順方向で転送したメモリ内容を入力して、これに含まれる前記既知のシンボル部分の全部又は一部を等化処理対象として用いて前記等化フィルタ手段により前方等化フィルタ処理を行う第1の制御手段と、
前記第2の転送手段により逆順で転送したメモリ内容を入力して、これに含まれる前記既知のシンボル部分の全部又は一部を等化処理対象として用いて前記等化フィルタ手段により後方等化フィルタ処理を行う第2の制御手段と、を備えた、
ことを特徴とする通信システム。 - 請求項1に記載の通信システムにおいて、
前記第1の制御手段は、前記第1の転送手段により順方向で転送したメモリ内容を入力して、これに含まれる前記既知のシンボル部分の全部又は一部を複数回繰り返して等化処理対象として用いて前記等化フィルタ手段により前方等化フィルタ処理を行い、
前記第2の制御手段は、前記第2の転送手段により逆順で転送したメモリ内容を入力して、これに含まれる前記既知のシンボル部分の全部又は一部を複数回繰り返して等化処理対象として用いて前記等化フィルタ手段により後方等化フィルタ処理を行う、
ことを特徴とする通信システム。 - 請求項1又は請求項2に記載の通信システムにおいて、
前記受信信号を構成する前記フレームに含まれる前記既知のシンボル部分は、同期ワードのシンボル部分であり、
前記所定のアルゴリズムは、LMSアルゴリズム又はRLSアルゴリズムである、
ことを特徴とする通信システム。 - 既知のシンボル部分を含むフレームからなる受信信号を等化処理する通信システムにおける等化処理方法において、
前記フレームの両端以外の位置に前記既知のシンボル部分が設けられており、
前記通信システムの第1の転送手段が、前記受信信号を構成する前記フレームに含まれる前記既知のシンボル部分より後方の受信信号を、順方向で第1のメモリに転送し、
前記通信システムの第2の転送手段が、前記受信信号を構成する前記フレームに含まれる前記既知のシンボル部分より前方の受信信号を、逆順で第2のメモリに転送し、
前記通信システムの第1の制御手段が、前記第1の転送手段により順方向で転送したメモリ内容を入力して、これに含まれる前記既知のシンボル部分の全部又は一部を等化処理対象として用いて、等化処理対象となる信号と所定のアルゴリズムを用いて更新されるタップ利得係数に基づいて等化フィルタ処理を行って前方等化処理結果の信号を取得し、
前記通信システムの第2の制御手段が、前記第2の転送手段により逆順で転送したメモリ内容を入力して、これに含まれる前記既知のシンボル部分の全部又は一部を等化処理対象として用いて、等化処理対象となる信号と所定のアルゴリズムを用いて更新されるタップ利得係数に基づいて等化フィルタ処理を行って後方等化処理結果の信号を取得する、
ことを特徴とする等化処理方法。 - 請求項4に記載の等化処理方法において、
前記通信システムの結合手段が、前記前方等化処理結果の信号と前記後方等化処理結果の信号とを結合し、当該結合の結果を1フレーム分の等化処理結果の信号として取得する、
ことを特徴とする等化処理方法。
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