JP2008022416A - 高誘電体を用いたアンテナ - Google Patents

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Abstract

【課題】電磁誘導方式非接触ICカード/タグの感度および通信距離の改善に有用なアンテナを提供する。
【解決手段】比誘電率8以上の基板の少なくとも片方の表面上に、特定の条件を満たすようにコイル導電配線を形成してなるアンテナ、または比誘電率5以下の基板の少なくとも片方の表面上に形成したコイル導電配線の全体または一部に、特定の条件を満たすように比誘電率8以上の誘電体を形成してなるアンテナ。
【選択図】図2

Description

本発明は電磁誘導方式による非接触ICカード/タグおよびそのリーダ/ライタのアンテナに関する。
近年、物流管理および電子マネーなどに非接触ICカード/タグが用いられ普及は著しいものがある。非接触ICカード/タグとリーダ/ライタとの通信には、短波帯とくに13.56MHzを用いる電磁誘導方式が主流となっている。この方式は、カード/タグに内蔵されているアンテナであるコイルがリーダ/ライタからの高周波磁場を受けて電磁誘導現象により発電することを利用し、内蔵ICの駆動電源、およびカードからのリーダ/ライタへの送信電力とするものである。
したがって、非接触ICカード/タグの感度や通信距離は、内蔵コイルの発電性能によって決まる。同一形状のコイルで発電性能を高めるためには、共振現象を利用することがよく知られている。すなわちアンテナであるコイルに並列にコンデンサーを設置することでコイルの発電性能は飛躍的に改善し、それに伴い感度および通信距離は改善する。
しかしながら、実際問題としては非接触ICカード/タグ内にコンデンサーを設ける場合、コイルの内部にコンデンサー用の電極を設ける必要がある。極端な場合には、コイル内部がほとんどコンデンサー用電極に占有される(例えば、特許文献1参照)。この場合、コイル内を通過する磁束が遮蔽されて減少し、共振効果を十分に生かせないことになる。
また、特に電子マネー等の用途ではデータが暗号化されているため、通信に要するデータ量が増える。したがって、所定時間内に通信を完了するためには、リーダ/ライタとカード/タグとの間の伝送速度を上げる必要がある。これに伴い、通信に必要な周波数帯域が広がる。つまり、高速通信である広帯域通信は、他用途の無線通信との混信を起こす虞がある。たとえば13.56MHz帯通信の場合、周波数帯域幅が1MHzを超えると14MHz帯を使用しているアマチュア無線との混信が起こってしまう。実際に広帯域通信はリーダ/ライタの送信出力が規制されている。つまり通信距離と伝送速度とはトレードオフの関係にあるのが実情である。
この状況を緩和するには、共振アンテナコイルの広帯域化が考えられる。共振アンテナコイルの広帯域化には、送受信回路と導通接続したアンテナと導通接続しないアンテナ素子とを併用する複共振が代表的な手段である。しかし、従来の技術においてはカード/タグの場合には内蔵ICに、リーダ/ライタの場合には送受信機本体の回路に、それぞれ導通接続するアンテナコイルおよび共振用コンデンサー以外に、アンテナ素子を内蔵させることは軽薄短小化の観点から著しく困難であった。
高誘電体を用いたコイル状のアンテナとしては、波長の1/2の長さを有する導線を用いたループアンテナが知られている。高誘電体の波長短縮効果により実際の長さを波長の1/2を誘電率の平方根で割った値にまでコイルを形成する導線を短くすることが可能である。しかしながら、電磁誘導方式に用いられる短波帯は波長が10mから100mと非常に長い。例えば、よく用いられる13.56MHzの場合には波長が22mと長く、誘電率100の高誘電率材料を用いても、1.1mの長さが必要となり、小型化が要求される非接触ICタグやカードには適さない。また、高誘電体をコアとしてコイルを巻きつけるヘリカルアンテナも高誘電体を用いたコイル状アンテナとして知られている(例えば、特許文献2参照)。コイルの内部の面積が小さくなり、電磁誘導方式には適さない。また、接地電極を用いることで、ループアンテナを構成する導線の長さを波長の1/4まで短くすることは可能であるが、この場合、ループアンテナ内部の半分を接地電極が占有し、磁場を遮蔽することになり、電磁誘導方式には適さない。特に非接触ICタグ/カードに接地電極を設けることは非現実的である。
特開2002−183689号公報 特開2005−182637号公報
本発明は、上記課題を解決し、磁束を遮蔽するコンデンサー電極を用いずに共振コイルすなわちループアンテナを形成し、かつ容易に伝送速度改善に寄与する複共振ループアンテナを実現するものである。
本発明者らは、鋭意検討の結果、比誘電率8以上の基板上にコイル状の導電配線を形成、または比誘電率5以下の支持基板の表面上に形成したコイル状の導電配線上の全部または一部に、比誘電率8以上の高誘電体を形成してなるアンテナを用いることによって、磁束を遮蔽するコンデンサー用電極を必要としない共振コイルすなわちループアンテナを形成できることを見出した。
特にこのアンテナは、カード/タグに用いる場合には非接触ICと、リーダ/ライタに用いる場合には送受信回路本体と導通接続しなくとも利用できることを見出した。すなわち本発明はつぎの通りである。
1. 比誘電率8以上の基板の少なくとも片方の表面上に、以下の条件を満たすようにコイルの導電配線を形成してなるアンテナ。
(a)コイルの導電配線の全長が、通信電磁波の波長を基板の比誘電率の平方根で割った値の1/2より短い。
(b)アンテナが接地電極を有さない。
2. コイルの開口率が50%以上95%以下である第1項記載のアンテナ。
3. 前記比誘電率8以上の基板が、絶縁性金属酸化物である第1項記載のアンテナ。
4. 前記比誘電率8以上の基板が、三酸化二アルミニウム、二酸化ジルコニウムまたは五酸化二タンタルである第1項記載のアンテナ。
5. 前記比誘電率8以上の基板が、比誘電率100以上の絶縁性金属酸化物と樹脂とを体積比(絶縁性金属酸化物/樹脂)20/90〜95/5の範囲で配合してなる樹脂複合材料である第1項記載のアンテナ。
6. 前記比誘電率8以上の基板が、粒子直径1nm以上500nm以下の球状、断面直径1nm以上500nm以下の繊維状、または厚さ1nm以上500nm以下の板状の炭素材料からなる導電性超微粉末に、絶縁性金属酸化物またはその水和物からなる絶縁皮膜を設けてなる絶縁化超微粉末と、樹脂とを体積比(絶縁化超微粉末/樹脂)5/95〜50/50の範囲で配合してなる樹脂複合材料である第1項記載のアンテナ。
7. 前記絶縁性金属酸化物が、組成式MTi1−xZr(Mは2価の金属元素、xは0以上1未満)で表される第6項記載のアンテナ。
8. 前記絶縁皮膜が分子分極5cm以上の絶縁性金属酸化物またはその水和物である第6項記載のアンテナ。
9. 比誘電率5以下の基板の少なくとも片方の表面上に形成したコイルの導電配線の全体または一部に、以下の条件をすべて満たすように比誘電率8以上の誘電体を形成してなるアンテナ。
(a)コイルの導電配線の全長が、通信電磁波の波長を誘電体の比誘電率の平方根で割った値の1/2より短い、
(b)アンテナが接地電極を有さない。
10. コイルの開口率が50%以上95%以下である第9項記載のアンテナ。
11. 前記比誘電率5以下の基板が、ガラスエポキシ、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリイミド、液晶性ポリマー、ポリウレタン、ポリエーテルエーテルケトン、ABS樹脂、ガラスまたは窒化ホウ素である第9項記載のアンテナ。
12. 前記比誘電率8以上の誘電体が、絶縁性金属酸化物である第9項記載のアンテナ。
13. 前記比誘電率8以上の誘電体が、三酸化二アルミニウム、二酸化ジルコニウムまたは五酸化二タンタルである第9項記載のアンテナ。
14. 前記比誘電率8以上の誘電体が、比誘電率100以上の絶縁性金属酸化物と樹脂とを体積比(絶縁性金属酸化物/樹脂)20/90〜95/5の範囲で配合してなる樹脂複合材料である第9項記載のアンテナ。
15. 前記比誘電率8以上の誘電体が、粒子直径1nm以上500nm以下の球状、断面直径1nm以上500nm以下の繊維状、または厚さ1nm以上500nm以下の板状の炭素材料からなる導電性超微粉末に、絶縁性金属酸化物またはその水和物からなる絶縁皮膜を設けてなる絶縁化超微粉末と、樹脂とを体積比(絶縁化超微粉末/樹脂)5/95〜50/50の範囲で配合してなる樹脂複合材料である第9項記載のアンテナ。
16. 前記絶縁性金属酸化物が、組成式MTi1−xZr(Mは2価の金属元素、xは0以上1未満)で表される第15項記載のアンテナ。
17. 前記絶縁皮膜が分子分極5cm以上の絶縁性金属酸化物またはその水和物である第15項記載のアンテナ。
18. 第1項または第9項記載のアンテナを用いる電磁誘導方式非接触ICカード/タグ。
19. 前記アンテナが内蔵IC本体と導通接続されていない第18項記載の電磁誘導方式非接触ICカード/タグ。
20. 第1項または第9項記載のアンテナを用いる電磁誘導方式非接触ICカード/タグのリーダ/ライタ。
21. 前記アンテナが送受信回路本体と導通接続されていない第20記載の電磁誘導方式非接触ICカード/タグのリーダ/ライタ。
本発明によれば、磁束を遮蔽するコンデンサー電極を用いずに共振コイルすなわちループアンテナを形成し、かつ容易に伝送速度改善に寄与する複共振ループアンテナを実現できる。電磁誘導方式非接触ICカード/タグの感度、通信距離を改善できる。
本発明で用いる比誘電率8以上の基板としては、絶縁性金属酸化物(A)、比誘電率100以上の絶縁性金属酸化物を添加した樹脂複合材料(B)、及び絶縁化超微粉末を添加した樹脂複合材料(C)、の3種類のものが挙げられる。
また、本発明で用いる比誘電率5以下の基板としては、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂のモノマーやオリゴマーをメチルエチルケトンなどに溶解したワニスをガラスクロスに含浸、硬化して得られる基板、例えば、ガラスエポキシ基板や、比誘電率5以下であるポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリイミド、液晶性ポリマー、ポリウレタン、ポリエーテルエーテルケトン、アクロニトリル、ブタジエン、スチレンの共重合化合物である、いわゆるABS樹脂などの熱可塑性樹脂からなる基板、ポリイミドの熱可塑性樹脂フィルム、比誘電率4〜5のガラスや窒化ホウ素などのセラミック基板などが挙げられる。
比誘電率8以上の絶縁性金属酸化物(A)としては、三酸化二アルミニウム、二酸化ジルコニウム、五酸化二タンタルなどが挙げられる。
絶縁性金属酸化物を添加した樹脂複合材料(B)に用いる、比誘電率100以上の絶縁性金属酸化物としては、ルチル型の二酸化チタン(TiO)、チタン酸バリウム(BaTiO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、チタン酸鉛(PbTiO)、チタン酸ジルコン酸バリウム(BaTi0.5Zr0.5)、チタン酸ジルコン酸鉛(PbTi0.5Zr0.5)などの組成式MTi1−xZr(Mは2価の金属元素、xは0以上1未満)で表される絶縁性金属酸化物が挙げられる。
また本発明において、上記絶縁性金属酸化物を添加する樹脂成分としては、PVC樹脂、フェノキシ樹脂、フッ化炭素系樹脂、PPS樹脂、PPE樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂、またはこれらの混合系樹脂を挙げることができる。
また、絶縁性金属酸化物と配合する際の樹脂成分は、重合体の形態としてのみならず重合性化合物の形態として、すなわち、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、シアネートエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂のモノマーやオリゴマーなどの重合性化合物として配合しておいて、後で重合させてもよい。
本発明で用いる樹脂複合材料(B)は、絶縁性金属酸化物と樹脂とを体積比(絶縁性金属酸化物/樹脂)20/90〜95/5の範囲で配合してなる。体積比が上記範囲内であると、樹脂複合材料の誘電率が高くでき、良好な成形性が確保できる。
さらに本発明では、絶縁化超微粉末を添加した樹脂複合材料(C)を用いることができる。絶縁化超微末とは導電性超微粉末に絶縁皮膜を施したものである。ここで用いる導電性超微粉末は、単独で樹脂材料に添加した場合、樹脂複合材料の体積抵抗を低下させる、すなわち、導電性を付与する効果を有するものである。本発明においては、このような導電性超微粉末を構成する材質としては、天然黒鉛、人造黒鉛、ファーネスカーボンブラック、黒鉛化カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバーなどの導電性炭素材料が用いられる。
導電性炭素材料に対し、代表的な導電体である金属は、一部の貴金属を除いて、超微粉末は酸化され易く、導電性が低下しやすいのみでなく、粉塵爆発の可能性もある。また、金属原子が超微粉末から絶縁体媒質中に拡散し、複合材料の絶縁性を低下させる。導電性炭素材料はこのような問題がない。さらに、導電性炭素材料の比重は2.2と小さいため、他の導電性物質や従来の高誘電率フィラーに比べ軽量化が図れる。
導電性炭素材料からなる導電性超微粉末には、次に述べる絶縁性金属酸化物の皮膜を施すために、予め表面に酸化処理を施しておくことが望ましい。酸化処理としては、酸素含有雰囲気下での酸化処理、硝酸、過マンガン酸カリウム、過酸化水素などの水溶液による酸化処理、三塩化ルテニウムと次亜塩素酸ナトリウムからなる酸化触媒等を用いた酸化処理などが挙げられる。
本発明で用いる導電性超微粉末としては、粒子直径が1nm以上500nm以下、望ましくは5nm以上300nm以下、より望ましくは10nm以上100nm以下の球状の炭素材料が挙げられる。このような球状の炭素材料、例えばカーボンブラックは、炭化水素原料を気相で熱分解することによって得られる。また黒鉛化カーボンブラックは、He、CO、またはこれら混合ガスの雰囲気系により内圧2〜19Torrに保持された減圧容器内において、炭素材料をアーク放電によって気化させ、気化した炭素蒸気を冷却凝固することによって得られる。具体的には、東海カーボン(株)製のシーストSや導電性カーボンブラック#5500、#4500、#4400、#4300や黒鉛化カーボンブラック#3855、#3845、#3800、あるいは、三菱化学(株)製の#3050B、#3030B、#3230B、#3350B、MA7、MA8、MA11、あるいは、ライオン(株)製のケッチェンブラックEC、ケッチェンブラックEC600JDなどが例示できる。なお、ここで球状とは必ずしも厳密な球状である必要はなく、等方的な形状であればよい。例えば角が発生した多面体状であってもよい。
また、本発明で用いる導電性超微粉末としては、断面直径が1nm以上500nm以下、望ましくは5nm以上300nm以下、より望ましくは10nm以上200nm以下の繊維状の炭素材料が挙げられる。その長さは断面直径の3倍以上300倍以下であることが好ましい。このような繊維状の炭素材料、例えばカーボンナノファイバーや、カーボンナノチューブは触媒となるコバルトや鉄などの有機金属化合物と炭化水素原料を気相で混合し、加熱することによって得られる。また、カーボンナノファイバーはフェノール系樹脂を溶融紡糸し、非活性雰囲気下で加熱することによって得られるものもある。具体的には、昭和電工(株)製のVGCFおよびVGNFや、(株)GSIクレオス製のカルベール、群栄化学工業(株)製のカーボンナノファイバーなどが例示できる。なお、ここで繊維状とは一方向に伸びた形状を意味し、例えば角材状、丸棒状や長球状であってもよい。
さらに、本発明で用いる導電性超微粉末としては、厚さが1nm以上500nm以下、望ましくは5nm以上300nm以下、より望ましくは10nm以上200nm以下の板状の炭素材料が挙げられる。その長さおよび幅は、厚さの3倍以上300倍以下であることが好ましい。このような板状の炭素材料は、例えば天然黒鉛や人造黒鉛を精製・粉砕・分級することによって得られる。例えば、(株)エスイーシー製のSNEシリーズ、SNOシリーズ等や日本黒鉛製、鱗状黒鉛粉末、薄片化黒鉛粉末などが挙げられる。また、これらをさらに粉砕し、精密分級してもよい。なお、ここで板状とは、一方向が縮んだ形状を意味し、例えば扁平球状や鱗片状であってもよい。
該粒子直径、断面直径または厚さが上記範囲より小さいと量子サイズ効果により導電性が低下する。また、製造が難しく工業的に用いることができないばかりでなく、凝集などにより取り扱いも難しい。一方、該粒子直径、断面直径または厚さが上記範囲より大きいと、連続層の形成が50vol%以下、すなわち樹脂特性を悪化させない添加率の範囲では連続層が形成されなくなってしまう。また、導電性超微粉末の形状が繊維状もしくは板状の場合、アスペクト比は3〜300が望ましい。本発明で用いる導電性超微粉末は、この中でも繊維状の方が球状や板状よりも望ましい。これは繊維状のほうが、比誘電率が20以上である樹脂複合材料として連続層を形成するために必要な添加量が例えば30vol%以下と少なくてすむためである。
次に、本発明に用いる絶縁皮膜は、樹脂複合材料の全体的な絶縁性の確保を目的の一つとしている。また、導電性超微粉末の表面上に被覆することで、絶縁化超微粉末自体の誘電率は、絶縁皮膜構成材質の誘電率を倍加したものになる。このため、絶縁皮膜の厚さは、被覆する導電性超微粉末が球状の場合にはその粒子直径以下、繊維状の場合にはその断面直径以下、板状の場合にはその厚さ以下である。更に望ましくは、絶縁皮膜の厚さは0.3nm以上で、かつ被覆する導電性超微粉末の粒子直径、断面直径、または厚さとの比率が、0.01以上0.9以下である。最も望ましくは、絶縁皮膜の厚さは0.3nm以上で、かつ被覆する導電性超微粉末の粒子直径、断面直径、または厚さとの比率が、0.01以上0.5以下である。上記範囲よりも薄いと絶縁効果が低減し、導通を防げず誘電体として機能しない場合がある。一方、これより厚い場合には、芯である導電性超微粉末の誘電率倍加効果が低減し、樹脂複合材料の比誘電率が低下する場合がある。
本発明における絶縁皮膜の材質は、絶縁性金属酸化物またはその水和物である。例としては二酸化シリコン、三酸化二アルミニウム、二酸化ジルコニウムなどの絶縁性酸化物が挙げられる。またはこれらの水和物として、四水酸化シリコン、三水酸化アルミニウム、四水酸化ジルコニウムが挙げられる。水和物の場合、その一部が脱水縮合した構造のものも含まれる。望ましくは比誘電率20以上の五酸化二タンタルなどの絶縁性金属酸化物、アナタース型、およびブルカイト型の二酸化チタン、チタン酸ジルコニウムが挙げられる。また、これらの固溶体も用いることができる。これらのうち、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、五酸化二タンタル、二酸化ジルコニウムと二酸化シリコンとの固溶体、二酸化シリコン、三酸化二アルミニウムまたはこれらの水和物が好ましい。さらに望ましくは、比誘電率100以上の金属酸化物が挙げられる。この例としては、ルチル型の二酸化チタン(TiO)、チタン酸バリウム(BaTiO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、チタン酸鉛(PbTiO)、チタン酸ジルコン酸バリウム(BaTi0.5Zr0.5)、チタン酸ジルコン酸鉛(PbTi0.5Zr0.5)などの組成式MTi1−xZr(Mは2価の金属元素、xは0以上1未満)で表される絶縁性金属酸化物またはこれらの水和物、さらにはこれらのうち少なくとも一種類を組成に含む絶縁性固溶体が挙げられる。これらの比誘電率が大きい材料を用いると、厚く絶縁被膜しても複合材料の比誘電率が低下しないため好ましい。
また、絶縁皮膜の材質としては、分子分極が5cm以上の絶縁性金属酸化物またはその水和物が望ましい。常誘電体の多くの金属酸化物の分子分極は、つぎのClausius−Mossottiの式にあるとおり金属酸化物の誘電率、比重、式量から計算される。
Figure 2008022416
(但し、α:分子分極、ε:比誘電率、M:式量、ρ:比重)
なお、本発明では、式量は1金属原子あたりに換算したものを意味する。例えば、三酸化二アルミニウムの場合、AlO1.5として、五酸化二タンタルの場合にはTaO2.5として計算した式量から分子分極を計算する。尚、二酸化シリコンや二酸化チタンなどでは、通常の式量となる。
特に分子分極が大きい材質を用いた場合、同じ皮膜の厚さにおいて、樹脂複合材料における比誘電率が大きくなる。例としては分子分極が9cm以上の二酸化シリコン、三酸化二アルミニウムなどの絶縁性金属酸化物が挙げられる。その水和物として四水酸化シリコン、三水酸化アルミニウムが挙げられる。水和物の場合、その一部が脱水縮合した構造のものも含まれる。望ましくは分子分極15cm以上のいわゆるジルコンすなわち二酸化ジルコニウムと二酸化シリコンとの固溶体、またはその水和物として四水酸化ジルコニウムと四水酸化シリコンとの固溶体が挙げられる。水和物の場合、その一部が脱水縮合した構造のものも含まれる。さらに望ましくは分子分極が17cm以上の二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、五酸化二タンタルまたはその水和物として四水酸化チタン、四水酸化ジルコニウム、五水酸化タンタルが挙げられる。水和物の場合、その一部が脱水縮合した構造のものも含まれる。
絶縁皮膜の形成は、公知の方法を利用することができる。例えば導電性超微粉末が分散した水溶液中で金属塩とアルカリを反応させ、導電性超微粉末を核として金属水酸化物を析出させ、濾別・乾燥することにより脱水縮合させ、導電性超微粉末表面に絶縁性金属酸化物が付着した状態を形成できる。この場合、予め金属塩水溶液に導電性超微粉末を分散させてアルカリを滴下しても、導電性超微粒子の水分散液に金属塩水溶液とアルカリ水溶液を同時もしくは逐次滴下してもよい。またはアルコールなどの有機溶媒に導電性超微粉末を分散し、金属アルコキシドを添加してゾルゲル反応により導電性超微粉末を核とした金属水酸化物の析出、さらに有機溶媒中で脱水縮合反応により導電性超微粉末表面に絶縁性金属酸化物が付着した状態を形成できる。この中でも望ましいのは、ゾルゲル反応による絶縁皮膜形成である。金属塩とアルカリの反応を用いた場合、副生成物である塩の除去に大量の水が必要となるばかりでなく、塩による凝析がおこり、絶縁化超微粉末が固まってしまうため望ましくない。
ゾルゲル反応により絶縁皮膜の形成を行なった後は、さらに脱水処理を施すことが望ましい。脱水方法としては、反応液から絶縁化超微粉末を濾別したのちに乾燥により脱水できる。または反応液を加熱しつつ、加熱温度より沸点が高い溶媒を添加して溶媒を置換する方法もある。この方法は、ゾルゲル反応時の有機溶媒の蒸発に伴って、液相中で絶縁皮膜の脱水処理を行なうものである。絶縁化超微粉末の製造法としては、液相中で絶縁皮膜の脱水縮合を行なうことが望ましい。液相中での脱水処理を行なわずにろ過・乾燥した場合、ろ過時に形成される絶縁化超微粉末のケーキが固まってしまうため望ましくない。
また、これらの反応後に焼成処理を行なってもよい。通常、焼成処理は200〜1500℃の温度範囲で、30分〜24時間保持することにより行なう。但し、導電性超微粉末が炭素材料である場合、焼成雰囲気を非酸化性とする必要がある。すなわち窒素置換やアルゴン置換を施し、酸素を遮断する必要がある。
本発明で用いる絶縁化超微粉末は、粒子直径が1nm以上500nm以下の球状、断面直径が1nm以上500nm以下の繊維状、または厚さが1nm以上500nm以下の板状の導電性炭素材料が金属酸化物またはその水和物により絶縁化された超微粉末である。本発明で用いる絶縁化超微粉末は、樹脂に50vol%以下の量を配合することにより比誘電率が8以上である高誘電率樹脂複合材料が得られる。比誘電率8以上の高誘電率樹脂複合材料を実現するには、従来の高誘電率フィラーを使用した場合は該フィラーを50vol%程度以上配合する必要があるが、本発明の絶縁化超微粉末を使用した場合は該絶縁化超微粉末を50vol%以下、例えば、5〜50vol%配合すればよい。したがって、本発明で用いる絶縁化超微粉末を配合した樹脂複合材料は、樹脂材料本来の特長である成形加工性や軽量性が損なわれることなく、高い誘電率を発現する。
また本発明において、上記絶縁化超微粉末を添加する樹脂成分としては、PVC樹脂、フェノキシ樹脂、フッ化炭素系樹脂、PPS樹脂、PPE樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂、あるいはこれらの混合系樹脂を挙げることができる。特に望ましくは、絶縁性に優れ、銅などの金属層との密着性に優れたポリイミド樹脂である。
また、絶縁化超微粉末と配合する際の樹脂成分は、重合体の形態としてのみならず重合性化合物の形態として、すなわち、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、シアネートエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂のモノマーやオリゴマーなどの重合性化合物として配合しておいて、後で重合させてもよい。
特に望ましくはエポキシ樹脂を含む樹脂組成物である。これは配線基板などに用いる場合、銅等の金属層と密着強度が大きいためである。
前記高誘電率樹脂複合材料は、高誘電率以外の目的で、必要に応じて充填剤をさらに添加して用いることができる。充填剤としては、弾性率改善のためのガラス繊維、成形収縮率を低下させるための炭酸カルシウム、表面平滑性や耐摩耗性の改善に用いられるタルク、寸法安定性を改善するために用いられるマイカが挙げられる。また、難燃性を付与する充填剤すなわち難燃剤としてハロゲン系またはリン系難燃剤、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムが挙げられる。
本発明において、絶縁化超微粉末の樹脂組成物に対する添加量としては5〜50vol%、望ましくは5〜30vol%である。5vol%より少ないと、樹脂組成物中で連続層が形成されず充分な比誘電率が得られない。一方、50vol%より多いと、樹脂組成物本来の成形加工性などが損なわれてしまう。なお、本発明で用いる高誘電率樹脂複合材料は、絶縁化超微粉末の原料に炭素材料を用いるので、その比重を2以下に軽量化できる。
比誘電率5以下の基板を用いる場合、その少なくとも片方の表面上に形成したコイル状の導電配線の全体または一部に、比誘電率8以上の高誘電体を貼り付ける必要がある。その方法として比誘電率8以上の基板を貼り付ける方法や、先述の比誘電率100以上の絶縁性金属酸化物を添加した樹脂複合材料(B)、または絶縁化超微粉末を添加した樹脂複合材料(C)を含む塗料を塗布、乾燥する方法が挙げられる。
アンテナを構成するコイルは内部を貫く磁束が多くなるように、カード/タグを構成する基板表面、少なくとも片側の外周にスパイラル状に構成し、巻き数が多くなるように、望ましくは4回以上の巻き数にして、共振周波数を通信周波数に調整する必要がある。この場合、コイル配線の全長(L)は、使用する通信周波数の波長(λ)を高誘電体の比誘電率(ε)の平方根で割った値の1/2未満にする。Lがλ/2√εより長いと、コイルの導電配線を非接触ICタグ/カード内に収める場合、極端に細くするか、コイル内部を狭くする必要が生じる。コイルの導電配線を細くすることは、アンテナの生産性を低下させることにつながる。またコイル内部の領域を狭くすることは、コイル内部を貫く磁束の減少をもたらし電磁誘導方式の通信に適さないためである。尚、大きな面積を有する接地電極が電磁誘導方式の通信に適さないことは先に述べたとおりであり、本発明のアンテナは接地電極を有さない。
図1を例にすると、コイルの導電配線の全長Lは0.958mとなる。電磁誘導方式に用いられる13.56MHzの場合、波長λが22mであるため、仮に比誘電率εが100の高誘電体を用いた場合、波長λを比誘電率の平方根で割った値の1/2は、1.1mとなる。したがって、図1のコイルを比誘電率100以下の基板上に形成し、波長22mすなわち13.56MHzに同調できたアンテナは、従来の波長短縮効果を用いたアンテナと異なるものであることは明らかである。
基板表面上に形成されるコイル内部の領域については、コイルの開口率を50%以上95%以下にすることが望ましい。コイルの開口率が50%未満の場合、コイル内部を通過する磁束が少なくなりコイルの発電効率が低下してしまう。一方、コイルの開口率が95%より大きい場合、コイル配線を設ける面積が少なくなりコイルの生産性が低下してしまう。
本発明において定義するコイルの開口率とは、基板表面上に形成されたコイル配線を含む最も小さい凸な図形に対する、コイル配線を含まずコイル内部にある最も大きい凸な図形の面積比である。図1を例とすると、コイル配線を含む最も小さい凸な図形とは、80mm×52mmの長方形である。また、コイル配線を含まずコイル内部にある最も大きな凸な図形とは53mm×36mmの長方形である。したがって図1の場合には開口率46%となる。また図2を例とするとコイル配線を含む最も小さい凸な図形とは、80mm×52mmの長方形である。また、コイル配線を含まずコイル内部にある最も大きな凸な図形とは66mm×38mmの長方形である。したがって図2の場合には開口率60%となる。なお、凸な図形とはへこんだ部分を有さない図形である。具体的には円、楕円、三角形および長方形、正方形、平行四辺形、台形、正五角形、正六角形などのへこんだ部分を有さない多角形などが挙げられる。厳密には、その図形内部にある任意の2点を結ぶ線分が、やはりその図形内部にあるというトポロジー(位相幾何学)などにおいて用いられている数学用語である(例えば、物理学者のためのトポロジーと幾何学、C.ナッシュ、S.セン/著 佐々木隆/監訳、マグロウヒル出版(1989)参照)。
更に望ましくは両面にコイルを形成して、一方の面に形成したコイルの導電配線の両端を内蔵ICに接続し、他方の面のコイルの導電配線には何も接続しない開放状態にすることが望ましい。また、コイルの形成には公知の方法を用いることができる。例えば、高誘電体の基板表面に金属箔をあらかじめ貼り付けてエッチングする方法、もしくはコイルパターンに形成した金属配線を高誘電体の基板に接着剤で貼り付ける方法、金属粒子を含む導電性ペーストを高誘電体の基板表面にコイルパターン印刷する方法などが挙げられる。コイル形成に用いる金属は銀、アルミニウム、銅が望ましい。
本発明のアンテナは、非接触ICカード/タグの内蔵ICに導通接続せずに用いることも可能である。これは、内蔵ICに接続されているコイルと本発明のアンテナがトランスを形成する効果を利用するものである。 内蔵ICと導通接続されているコイルは、コンデンサーと接続し共振させてもよいし、共振させなくてもよい。
また、本発明のアンテナは、非接触ICカード/タグのリーダ/ライタの送受信回路本体に導通接続せずに用いることも可能である。これは、タグのリーダ/ライタの送受信回路本体に接続されているコイルと本発明のアンテナがトランスを形成する効果を利用するものである。リーダ/ライタの送受信回路本体と導通接続されているコイルは、コンデンサーと接続し共振させてもよいし、共振させなくてもよい。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明が下記内容に限定されるものではない。
実施例1
イソプロパノール600g中にカーボンナノファイバー(昭和電工(株)製VGCF−H、断面直径150nm、長さ5〜6μmの繊維状)20gとテトラプロピルオキシチタネート44gを添加し、室温にて1時間で攪拌混合した。この分散溶液に蒸留水:イソプロパノールで1:6混合液300gを5分かけて滴下した。滴下終了後更に1時間攪拌を継続した後、濾過した。12時間自然乾燥した後、100℃にて真空乾燥した。走査型電子顕微鏡で得られた粉末の表面を確認したところ、30〜70nm厚、平均50nm厚の二酸化チタンの皮膜が形成されていた。
得られた絶縁化超微粉末2gとビスフェノールA型エポシキモノマー(旭電化工業(株)製EP−4100G)8g、イミダゾール系硬化触媒(四国化学(株)製キュアゾール2E4MZ)0.16g、および溶媒としてメチルエチルケトン10gをホモジナイザーで30分間粉砕混合した。これは絶縁化超微粉末(フィラー)を10vol%添加したことになる。この溶液を乾燥し、85mm×55mm×1mmの型に充填し、120℃2時間で硬化した。この硬化物基板の比誘電率は92.1であった。
この基板の両面に図1に示したアンテナの配線パターンを銀ペーストのスクリーン印刷により作製した。市販の非接触ICカードを重ねた状態で、13.56MHzに同調するように、基板表面の配線パターンに切込みを入れた。
このアンテナと市販の非接触ICカードを重ねた状態で、市販のカードリーダ/ライタとの通信可能距離を測定したところ、15mmであった。
比較例1
実施例1で用いた市販の非接触ICカードとカードリーダ/ライタとの通信可能距離を測定したところ、3mmであった。
実施例2
厚さ3mmで比誘電率εが8.5の三酸化二アルミニウム(純度92%)の基板を85mm×55mmに切り出し、両面の周縁部に図2に示したアンテナの配線パターンを銀ペーストのスクリーン印刷により作製した。
実施例1と同様にして、このアンテナと市販の非接触ICカードを重ねた状態で、市販のカードリーダ/ライタとの通信可能距離を測定したところ、13mmであった。
実施例3
シンジオタクチックポリスチレン15gとチタン酸ストロンチウム粉末(10μmφ)35gをラボプラストミルにて300℃・5分間溶融混練し、比誘電率12.9の樹脂複合材料を得た。これを熱プレスにより100mm角の厚さ1mmの基板を作製し、85mm×55mmに切り出し、両面の周縁部に図2に示した配線パターンを銀ペーストのスクリーン印刷により作製した。実施例1と同様にして、このアンテナと非接触ICカードを重ねた状態で、市販のカードリーダ/ライタとの通信可能距離を測定したところ、19mmであった。
実施例4
四チタン酸カリウム繊維(平均繊維長16μm)を、ポリエチレングリコール中、ボールミル型連続粉砕機で10分間粉砕したところ、これを1N/リットル濃度の硝酸水溶液中にて2時間攪拌後、充分に水洗し、乾燥後、分級し、チタニア繊維状物を得た。この繊維状物10gを10%酢酸バリウム水溶液260ml中に分散させ、攪拌しながら、更に20%炭酸アンモニウム水溶液70gを約1時間要して滴下し、反応させた。脱水濾過した後、水洗して、乾燥した。更にこのもの10gをアルミナ製るつぼに入れ、電気炉中で酸化雰囲気下970℃で2時間加熱した。空冷後、このものをX線回折した結果、チタン酸バリウムのピークのみが検出された。電子顕微鏡観察の結果、平均繊維長1.5μm、平均繊維径0.4μm、平均アスペクト比3.7の繊維状物であった。
このようにして作製した繊維状チタン酸バリウム30gとポリフェニレンサルファイド20gを溶融混練し、比誘電率13.7の樹脂複合材料を得た。実施例2と同様にしてアンテナを作製し、市販の非接触ICカードとカードリーダ/ライタとの通信可能距離を測定したところ、14mmであった。
実施例5
酢酸バリウムの替わりに酢酸カルシウムを、ポリフェニレンサルファイドの替わりに液晶ポリマーを用いた以外は、実施例4と同様の操作を行ない比誘電率11.2の樹脂複合材料を得た。その後、実施例4と同様にしてアンテナを作製し、市販の非接触ICカードとカードリーダ/ライタとの通信可能距離を測定したところ、13mmであった。
実施例6
両面の周縁部に図2に示したアンテナの配線パターンを用いた以外は、実施例1と同様にしてアンテナを作製し、非接触ICカードを重ねた状態で市販のカードリーダとの通信距離を測定したところ、32mmであった。
実施例7
イソプロパノール25g中に、天然黒鉛(厚さ100〜200nm、平均厚さ150nm、1〜3μm角、平均2μm角の板状)5gとテトラプロピルオキシチタネート1.8gを加え、1時間攪拌した後、室温にて1時間で攪拌混合した。この分散溶液に蒸留水:イソプロパノールで1:6混合液13gを5分かけて滴下した。滴下終了後更に1時間攪拌を継続した後、濾過した。12時間自然乾燥した後、100℃にて真空乾燥した。走査型電子顕微鏡で得られた粉末の表面を確認したところ、30〜70nm厚、平均50nm厚の二酸化チタンの皮膜が形成されていた。得られた絶縁化超微粉末を3.5gとビスフェノールA型エポシキモノマー(旭電化工業(株)製EP−4100G)8g、イミダゾール系硬化触媒(四国化学(株)製キュアゾール2E4MZ)0.16g、および溶媒としてメチルエチルケトン10gをホモジナイザーで30分間粉砕混合した。これは、絶縁化超微粉末を20vol%添加したことになる。実施例6と同様に硬化し、誘電率を測定したところ、比誘電率は70.1であった。実施例1と同様にしてアンテナを作製し、非接触ICカードと重ねた状態で市販のカードリーダとの通信可能距離を測定したところ、27mmであった。
実施例8
イソプロパノール500g中に、導電性カーボンブラック (粒子直径10〜30nm、平均直径25nmの球状)100gとテトラプロピルオキシチタネート36gを加え、1時間攪拌した後、室温にて1時間で攪拌混合した。この分散溶液に蒸留水:イソプロパノールで1:6混合液260gを5分かけて滴下した。滴下終了後更に1時間攪拌を継続した後、濾過した。12時間自然乾燥した後、100℃にて真空乾燥した。走査型電子顕微鏡で得られた粉末の表面を確認したところ、3〜7nm厚、平均5nm厚の二酸化チタンの皮膜が形成されていた。
得られた絶縁化超微粉末25gとポリフェニレンサルファイド75gを、20mmφの単軸押出し機で300℃溶融混練した。これは絶縁化超微粉末を13vol%添加したことになる。誘電率を測定したところ、比誘電率は72.1であった。実施例6と同様にしてアンテナを作製し、非接触ICカードを重ねた状態で、市販のカードリーダとの通信可能距離を測定したところ、20mmであった。
実施例9
イソプロパノール中500g中に溶融紡糸法により合成したカーボンナノナノファイバー(断面直径:300〜500nm、平均断面直径:400nm、長さ:50μm、繊維状)を100gとテトラプロピルオキシチタネート360gを加え、1時間攪拌した後、室温にて1時間で攪拌混合した。この分散溶液に蒸留水:イソプロパノールで1:6混合液26gを5分かけて滴下した。滴下終了後更に1時間攪拌を継続した後、濾過し12時間自然乾燥した後、100℃にて真空乾燥した。走査型電子顕微鏡で得られた粉末の表面を確認したところ、90〜130nm厚、平均110nm厚の二酸化チタンの皮膜が形成されていた。得られた絶縁化超微粉末25gとシンジオタクチックポリスチレン75g300℃5分で溶融混練した。これは絶縁化超微粉末を13vol%添加したことになる。得られた複合材料の比誘電率は56.3であった。厚さを0.2mmとした他は実施例2と同様にしてアンテナを作製し、非接触ICカードと重ねた状態で、市販の非接触ICリーダとの通信可能距離を測定したところ、36mmであった。
実施例10
テトラプロピルオキシチタネートの添加量を0.5gとした以外は、全て実施例6と同様にした。なお得られた絶縁化超微粉末の表面を走査型電子顕微鏡で確認したところ、70〜130nm厚、平均100nm厚の二酸化チタンの皮膜が形成されていた。得られたフィルムの比誘電率は47.3、比重は1.3であった。実施例6と同様にして13.56MHzに同調するパターンを設けた。市販の非接触ICリーダから18cm離れた状態で、定期券に内蔵されたICのデータ読み取りが可能であった。
比較例2
絶縁化超微粉末を添加しないこと以外は、実施例6と同様にしてエポキシ硬化物基板を作製したところ、13.56MHzに同調することは不可能であった。すなわち、この硬化物の基板にはアンテナとしての効果がなかった。
比較例3
絶縁化処理を施さないカーボンナノファイバーを添加した以外は、実施例6と同様にしてエポキシ硬化物基板を作製したところ、13.56MHzに同調することは不可能であった。すなわち、この硬化物の基板にはアンテナとしての効果がなかった。
比較例4
絶縁化超微粉末の重量を20g、ポリスチレンの重量を6.6gにして混合した以外は、実施例9と同様にした。これは絶縁化超微粉末を60vol%添加したことになる。この場合、基板を成形できず、誘電率等の測定やアンテナにすることが出来なかった。
比較例5
厚さ1.4mm、誘電率4.4の両面銅箔付きガラスエポキシ基板の両面に、図1に示した配線パターンを銅箔のエッチングにより形成した。
市販の非接触ICカードとリーダ/ライタを重ね、さらにこの基板を重ねたところ、まったく通信が行なわれなくなった。
実施例11
イソプロパノール600g中にカーボンナノファイバー(昭和電工(株)製VGCF−H、断面直径150nm、長さ5〜6μmの繊維状)20gとテトラプロピルオキシチタネート44gを添加し、室温にて1時間で攪拌混合した。この分散溶液に蒸留水:イソプロパノールで1:6混合液300gを5分かけて滴下した。滴下終了後更に1時間攪拌を継続した後、濾過した。12時間自然乾燥した後、100℃にて真空乾燥した。走査型電子顕微鏡で得られた粉末の表面を確認したところ、30〜70nm厚、平均50nm厚の二酸化チタンの皮膜が形成されていた。
得られた絶縁化超微粉末2gとビスフェノールA型エポシキモノマー(旭電化工業(株)製EP−4100G)8g、イミダゾール系硬化触媒(四国化学(株)製キュアゾール2E4MZ)0.16g、および溶媒としてメチルエチルケトン10gをホモジナイザーで30分間粉砕混合した。これは絶縁化超微粉末(フィラー)を10vol%添加したことになる。このワニス中のメチルエチルケトンを蒸発させて、粘度を調整し、比較例5で用いたガラスエポキシ基板の配線部全体を覆うように塗布した。この状態でワニスをさらに乾燥し、120℃2時間硬化した。ガラスエポキシ基板上に形成された絶縁化超微粉末を添加した高誘電率化エポキシ樹脂の一部を、市販の非接触ICカードを重ねた状態で、13.56MHzに同調するように、削った。この際一部の銅箔配線パターンが露出した。
このようにして得られたアンテナ基板と非接触ICカードを重ね、市販のリーダ/ライタとの通信距離を測定したところ、31mmであった。
なお、塗布したワニスの残りを乾燥・硬化して得られた硬化物の誘電率は92.1であった。
実施例1〜実施例11におけるコイルの導電配線の全長L(m)、通信電磁波の波長λ(m)、基板または誘電体の比誘電率ε、及びコイルの開口率(%)を下表にまとめた。
Figure 2008022416
開口率46%である基板上に形成されたコイルの導電配線パターンの一例 開口率60%である基板上に形成されたコイルの導電配線パターンの一例

Claims (21)

  1. 比誘電率8以上の基板の少なくとも片方の表面上に、以下の条件を満たすようにコイルの導電配線を形成してなるアンテナ。
    (a)コイルの導電配線の全長が、通信電磁波の波長を基板の比誘電率の平方根で割った値の1/2より短い、
    (b)アンテナが接地電極を有さない。
  2. コイルの開口率が50%以上95%以下である請求項1記載のアンテナ。
  3. 前記比誘電率8以上の基板が、絶縁性金属酸化物である請求項1記載のアンテナ。
  4. 前記比誘電率8以上の基板が、三酸化二アルミニウム、二酸化ジルコニウムまたは五酸化二タンタルである請求項1記載のアンテナ。
  5. 前記比誘電率8以上の基板が、比誘電率100以上の絶縁性金属酸化物と樹脂とを体積比(絶縁性金属酸化物/樹脂)20/90〜95/5の範囲で配合してなる樹脂複合材料である請求項1記載のアンテナ。
  6. 前記比誘電率8以上の基板が、粒子直径1nm以上500nm以下の球状、断面直径1nm以上500nm以下の繊維状、または厚さ1nm以上500nm以下の板状の炭素材料からなる導電性超微粉末に、絶縁性金属酸化物またはその水和物からなる絶縁皮膜を設けてなる絶縁化超微粉末と、樹脂とを体積比(絶縁化超微粉末/樹脂)5/95〜50/50の範囲で配合してなる樹脂複合材料である請求項1記載のアンテナ。
  7. 前記絶縁性金属酸化物が、組成式MTi1−xZr(Mは2価の金属元素、xは0以上1未満)で表される請求項6記載のアンテナ。
  8. 前記絶縁皮膜が分子分極5cm以上の絶縁性金属酸化物またはその水和物である請求項6記載のアンテナ。
  9. 比誘電率5以下の基板の少なくとも片方の表面上に形成したコイルの導電配線の全体または一部に、以下の条件を満たすように比誘電率8以上の誘電体を形成してなるアンテナ。
    (a)コイルの導電配線の全長が、通信電磁波の波長を誘電体の比誘電率の平方根で割った値の1/2より短い、
    (b)アンテナが接地電極を有さない。
  10. コイルの開口率が50%以上95%以下である、請求項9記載のアンテナ。
  11. 前記基板が、ガラスエポキシ、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリイミド、液晶性ポリマー、ポリウレタン、ポリエーテルエーテルケトン、ABS樹脂、ガラスまたは窒化ホウ素である請求項9記載のアンテナ。
  12. 前記誘電体が、絶縁性金属酸化物である請求項9記載のアンテナ。
  13. 前記比誘電率8以上の誘電体が、三酸化二アルミニウム、二酸化ジルコニウムまたは五酸化二タンタルである請求項9記載のアンテナ。
  14. 前記比誘電率8以上の誘電体が、比誘電率100以上の絶縁性金属酸化物と樹脂とを体積比(絶縁性金属酸化物/樹脂)20/90〜95/5の範囲で配合してなる樹脂複合材料である請求項9記載のアンテナ。
  15. 前記比誘電率8以上の誘電体が、粒子直径1nm以上500nm以下の球状、断面直径1nm以上500nm以下の繊維状、または厚さ1nm以上500nm以下の板状の炭素材料からなる導電性超微粉末に、絶縁性金属酸化物またはその水和物からなる絶縁皮膜を設けてなる絶縁化超微粉末と、樹脂とを体積比(絶縁化超微粉末/樹脂)5/95〜50/50の範囲で配合してなる樹脂複合材料である請求項9記載のアンテナ。
  16. 前記絶縁性金属酸化物が、組成式MTi1−xZr(Mは2価の金属元素、xは0以上1未満)で表される請求項15記載のアンテナ。
  17. 前記絶縁皮膜が分子分極5cm以上の絶縁性金属酸化物またはその水和物である請求項15記載のアンテナ。
  18. 請求項1または9記載のアンテナを用いる電磁誘導方式非接触ICカード/タグ。
  19. 前記アンテナが内蔵IC本体と導通接続されていない請求項18記載の電磁誘導方式非接触ICカード/タグ。
  20. 請求項1または9記載のアンテナを用いる電磁誘導方式非接触ICカード/タグのリーダ/ライタ。
  21. 前記アンテナが送受信回路本体と導通接続されていない請求項20記載の電磁誘導方式非接触ICカード/タグのリーダ/ライタ。
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