JP2008021610A - Pefc型燃料電池及び触媒 - Google Patents

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Abstract

【課題】COを含有する水素ガスを負極用燃料として用いた場合でも、効率よく発電可能なPEFC型燃料電池を実現することができ、しかも安価に実用化することが可能なPEFC型燃料電池用触媒、PEFC型燃料電池用電極材料及びPEFC型燃料電池を提供する。
【解決手段】COを含有する水素を燃料とするPEFC型燃料電池において、ホウ化タングステン、窒化タングステン、硫化タングステン、リン化タングステン及びケイ化タングステンからなる群から選ばれる化合物から転化させて得られた炭化タングステンを含有する触媒を用いたPEFC型燃料電池。好ましくは、このPEFC型燃料電池用触媒は、炭化タングステンと白金を含み、これらが炭素系基体に被着されてなる。
【選択図】なし

Description

本発明は、特定の炭化タングステンを含有する触媒を用いたPEFC型燃料電池(固体高分子型燃料電池:Polymer Electrolyte Fuel Cell)に関する。
本発明はまた、このPEFC型燃料電池に用いられる触媒と電極材料に関する。
燃料電池には電解質の種類によって多種類が有り、例えばアルカリ水溶液型、リン酸水溶液型、溶融炭酸塩型、固体酸化物型及び固体高分子型がある。それらのうち、パーフルオロカーボンスルフォン酸系の電解質を用いて、アノード極で水素ガスを還元し、カソード極で酸素を還元して発電するPEFC型燃料電池(PEFC:Polymer Electrolyte Fuel Cell)は出力密度が高く、排気ガスがクリーンなため、エネルギーのより一層の効率化と環境問題の解決のために、定置用(家庭用・業務用)或いは自動車の動力源として開発が進められている。
燃料電池は、アノードに燃料、カソードに酸化剤をそれぞれ供給し、アノードとカソード間の電位差を電圧として取り出し、負荷に供給する発電装置であり、アノード燃料としては水素が、酸化剤としては一般的には空気中の酸素が用いられる。燃料電池は、アノード極とカソード極とその間に挟まれた電解質で構成されており、固体高分子型燃料電池においては、電解質としてイオン交換膜が用いられている。具体的には、電解質としてのイオン交換膜の両面に触媒層が形成され、該触媒層の外側にそれぞれアノードガス拡散層及びカソードガス拡散層が一体に形成されてなる電解質膜/電極接合体が、隔壁板、電解質膜/電極接合体及び隔壁板の積層体よりなる単位セルとして、用途に応じた所望の電圧が得られるように数十セルから数百セル積層されて燃料電池が構成されている。
このような燃料電池では、アノード触媒層に水素が到達すると電気化学的反応過程によりプロトンと電子が生ずる。ここで生成したプロトンは順次電解質中を移動してカソードに達する。一方、電子は、外部負荷を経由してカソードに送られる。カソード触媒層では、外部負荷を経由して送られてきた電子と、酸化剤としての空気中の酸素と、電解質中を移動してきたプロトンとが電気化学的反応過程により結合して水を生成する。
一般に、燃料電池の燃料の水素ガスとしては、圧縮水素や液体水素タンクからの高純度水素を使用するほかに、アルコール、炭化水素等の燃料を予め改質器で改質して得られる水素富化ガスが使用されている。しかし、120℃以下の温度で作動(運転)するPEFC型燃料電池の電極では、水素富化ガス中のCOがアノード電極触媒中の白金を被毒して分極を増大させ、出力を低下させる。
このようなCOによる被毒を防ぐために、白金の表面構造を改良したり、異なる金属(Ru、Ni、Fe、Co、Sn、Ti、Moなど)を加える方法が提案されている。しかし、Ni、Fe、Co、Sn、Ti、Moは本来溶解しやすく、またRuは資源量として少ないため、定置用(家庭用・業務用)或いは自動車の動力源として実用化するには問題となる。
非特許文献1には、燃料として水素ではなく、メタノール水溶液を直接供給し、メタノール燃料を電池内部で直接改質する直接型メタノール燃料電池(DMFC:Direct Methanol Fuel Cell)において、Ptを炭化タングステン上に担持することにより耐CO被毒性が向上すること、及びメタノールのアノード触媒として活性が向上することが開示されている。該文献では炭化タングステンはWCが主成分で、他にWC(hcp)とWC1−x(fcc)が含まれていると開示されている。ここではWCの効果が主に検討されているが、WCの効果については記載されておらず、さらにWCの調製方法を変えることによるメタノールに対するアノード触媒活性への影響や、耐CO被毒性に対する効果については、なんらの開示も示唆もされていない。さらに、非特許文献1における炭化タングステンは、resorcinol-formaldehyde polymerとammonium metatungstate saltから合成されており、ホウ化タングステン、窒化タングステン、硫化タングステン、リン化タングステン及びケイ化タングステンからなる群から選ばれる化合物から合成する本願発明に係る炭化タングステンとは明らかに異なっている。
Angew.Chem.Int.Ed.2005,44,6557-6560
本発明は、COを含有する水素ガスを負極用燃料として用いた場合でも、効率よく発電可能なPEFC型燃料電池を実現することができ、しかも安価に実用化することが可能なPEFC型燃料電池用触媒、PEFC型燃料電池用電極材料及びPEFC型燃料電池を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記状況に鑑み鋭意検討した結果、特定のタングステン化合物から転化して得られた炭化タングステン粒子が、特定な結晶形態を有し、これを白金等の貴金属触媒と併用した場合、燃料水素が微量のCOを含有していても活性の低下が少なく、安価で実用性の高い電極触媒となることを見出した。
本発明はこのような知見をもとに完成されたものである。
[1] COを含有する水素を燃料とするPEFC型燃料電池において、
ホウ化タングステン、窒化タングステン、硫化タングステン、リン化タングステン及びケイ化タングステンからなる群から選ばれる化合物から転化させて得られた炭化タングステンを触媒成分として含有する触媒を用いることを特徴とするPEFC型燃料電池。
[2] [1]において、該触媒が、触媒成分として更に白金を含有することを特徴とするPEFC型燃料電池。
[3] [1]又は[2]において、該触媒が、触媒成分として更に周期律表第VIII族元素と白金との合金を含有することを特徴とするPEFC型燃料電池。
[4] [1]〜[3]のいずれかにおいて、該触媒成分が炭素系基体に被着されていることを特徴とするPEFC型燃料電池。
[5] [1]〜[4]のいずれかにおいて、前記水素に含まれるCO濃度が0.01ppm以上100ppm以下であることを特徴とするPEFC型燃料電池。
[6] COを含有する水素を燃料とするPEFC型燃料電池に用いられる触媒において、
ホウ化タングステン、窒化タングステン、硫化タングステン、リン化タングステン及びケイ化タングステンからなる群から選ばれる化合物から転化させて得られた炭化タングステンを触媒成分として含有することを特徴とするPEFC型燃料電池用触媒。
[7] [6]に記載のPEFC型燃料電池用触媒を含む触媒層をイオン交換膜上に形成してなることを特徴とするPEFC型燃料電池用電極材料。
[8] [6]に記載のPEFC型燃料電池用触媒を含む触媒層をアノードガス拡散層上又はカソードガス拡散層上に形成してなることを特徴とするPEFC型燃料電池用電極材料。
[9] [6]に記載のPEFC型燃料電池用触媒を含む触媒層を転写用フィルム上に形成してなることを特徴とするPEFC型燃料電池用電極材料。
本発明によれば、特定のタングステン化合物から転化して得られた炭化タングステン粒子を、白金等の貴金属と併用することで、燃料水素が微量のCOを含有していても、活性の低下が少なく、安定かつ良好な触媒活性を示し、安価で実用的なPEFC型燃料電池用触媒と、このPEFC型燃料電池用触媒を用いたPEFC型燃料電池用電極材料及びPEFC型燃料電池が提供される。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
[PEFC型燃料電池用触媒]
本発明のPEFC型燃料電池は、ホウ化タングステン、窒化タングステン、硫化タングステン、リン化タングステン及びケイ化タングステンからなる群から選ばれる化合物(以下「前駆化合物」と称す場合がある。)から転化させて得られた炭化タングステンを含有する触媒を用いることを特徴とする。
上記特定の前駆化合物を経由して製造した炭化タングステンが、PEFC型燃料電池用触媒として高い触媒活性を示す作用機構の詳細は明らかではないが、次のように推定される。
一般に、WCはCOとの結合は弱く、約−3℃以上の温度では、COはWCに吸着しないことが、非特許文献2に報告されている。
前述した前駆化合物を経由して得たWCは、実施例の項で後述するように、X線回折法(Cu−Kα線)の回折ピークの半値幅が、WOから直接製造したWCの半値幅より大きくなる。半値幅が大きいことは、WCの微結晶が小さいことを示す。WCとPtは合金を形成しないが、本発明に係るWCは微結晶が小さいことにより、COと結合し難いWCの特質がPtにより反映され、PtサイトからCOがそのまま脱離する下記反応(1)が進行しやすくなり、この結果、燃料水素中のCOによる活性低下が防止され、高い触媒活性が安定に得られるものと推定される。
Pt−CO → Pt+CO (1)
Surface Science,397(1-3),137-144(1998)
<炭化タングステン>
炭化タングステンとは、タングステン(W)原子と炭素(C)原子が、結合を持って化合物として存在する形態を有するものであり、例えば、WC、WC1−x(0<x<1)、WC等が挙げられる。
この炭化タングステンの形態はX線回折(XRD)で確認することができる。即ち、炭化タングステンに対してX線(Cu−Kα線)を照射し、回折スペクトルを観察することによって、炭化タングステンに特徴的なピークを与えることで確認することができる。
その測定装置及び測定条件としては、例えば以下のものが挙げられるが、本発明における炭化タングステンのXRD分析手法は、何ら以下の測定装置及び測定条件に限定されるものではない。
(粉末XRD分析)
測定装置
粉末X線解析装置/PANalytical PW1700
測定条件
X線出力(Cu−Kα):40kV,30mA
走査軸:θ/2θ
測定範囲(2θ):3.0°〜70.0°
測定モード:Continuous
読込幅:0.05°
走査速度:3.0°/min
DS,SS,RS:1°,1°,0.20mm
ゴンオメーター半径:173mm
具体的には、WCは、X線回折の2θ(±0.3゜)のピークとして、31.513゜、35.639゜、48.300゜、64.016゜、65.790゜等の特徴的ピークを与えるものである。WC1−xは、X線回折の2θ(±0.3゜)のピークとして、36.977゜、42.887゜、62.027゜、74.198゜、78.227゜等の特徴的ピークを与えるものである。また、WCは、X線回折の2θ(±0.3゜)のピークとして、34.535゜、38.066゜、39.592゜、52.332゜、61.879゜等の特徴的ピークを与えるものである。
炭化タングステンの形状としては特に制限はないが、最も一般的なのは粒子状である。粒子状の炭化タングステンは、その平均粒径の上限が通常100μm以下、好ましくは1000nm以下、より好ましくは500nm以下、中でも300nm以下で、下限が通常0.5nm以上、好ましくは1.0nm以上、より好ましくは2.0nm以上であることが望ましい。炭化タングステンの粒径がこの下限を下回ると不安定となって、失活しやすくなり、上限を超えると高い活性を得にくくなる。
なお、炭化タングステンの平均粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)或いは透過型電子顕微鏡(TEM)による測定により、粒径の大きさを測定する方向を統一して、その方向での大きさを測定し、これを平均した値で示される。
この走査型電子顕微鏡法(SEM)による測定では、サンプル表面に電子線をスキャンし、発生する2次電子を検出することによって、サンプル表面を可視化させる。この手法を利用して炭化タングステンの粒径を測定することができる。その測定装置及び測定方法としては、例えば以下のものが挙げられるが、本発明における炭化タングステンの粒径のSEMを用いた測定手法は、何ら以下の測定装置及び測定方法に限定されるものではない。
(SEMによる測定)
測定装置
日立製作所製「S−4100」を使用し、電子線の加速電圧を15kVに制御して観測を実施する。
測定方法
カーボン蒸着したSiウエハー上に、粉体試料を適量ばらまき、メタノールを滴下して乾燥させる。具体的には分散状態は100倍から1000倍で観察した写真調査し、粒径は1万及び10万倍以上の従来の写真から調査する。
本発明に係る炭化タングステンは触媒の製造方法の項目で後述するように、特定のタングステン化合物から転化して合成される。これによりPEFC型燃料電池用触媒として、COに対する優れた耐性で高い活性を発現させることができる。
<基体>
本発明のPEFC型燃料電池用触媒において、基体は必ずしも必須ではないが、炭化タングステンが基体に被着して用いることが、活性維持の点で好ましく、中でも、炭素系基体を用いることが、高い導電性が得られる点で好適である。
炭素系基体としては種々のものが使用でき、特に制限はないが、例えば、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノクラスター、フラーレン、熱分解炭素、活性炭素等であり、これらは単独であるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらの中でも、導電性、入手容易性、価格、の点で総合的に、カーボンブラックが工業的に有利であり、具体的にはカーボンブラックとしては、チャンネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、オイルファーネスブラック、ガスファーネスブラック、等が挙げられる。
基体の形態についても特に制限はないが、最も一般的に用いられるのは、粉体状のものである。
カーボン粉末等の粉体の基体の場合、その比表面積(BET)は、通常数十m/g以上、好ましくは200m/g以上、更に好ましくは500m/g以上で、通常5000m/g以下、好ましくは数千m/g以下である(なお、本発明において、「数千」、「数十」等の「数」は「2〜4」程度をさす。)。この比表面積が小さ過ぎると炭化タングステンの被着有効面積が少なくなることにより、反応場が少なくなって触媒活性が十分に得られなくなる。比表面積が過度に大きいものは高価となり、炭化タングステンを用いることにより安価なPEFC型燃料電池用触媒を提供するという本発明の目的が損なわれる。
<基体への炭化タングステンの被着>
本発明において、基体上に炭化タングステンが被着されている状態とは、炭化タングステンと基体との間の導電性がとれるように両者が接触している状態を指す。従って、炭化タングステンと基体とを単に混合するのみでも炭化タングステンを基体に被着させることができるが、また、更に、この混合物を焼成しても良い。なお、以下において、基体に混合後焼成して被着させた状態を特に「担持」と称す。
被着の方法としては、担持法、混合法、含浸法、沈殿法、吸着法等の公知の手法を採用することができるが、炭化タングステンの前駆化合物或いは原料化合物を基体と混合した後に炭化タングステンを生成させるための転化反応を行う場合は、通常、炭化タングステンを生成させた後に、焼成処理を施すのが良い。
炭化タングステンの基体への被着比率としては、限定されるものではないが、炭化タングステン/(炭化タングステン+基体)の重量比で、下限として通常0.001以上、好ましくは0.01以上、中でも0.05以上で、上限として通常0.95以下、好ましくは0.4以下、中でも0.3以下であることが望ましい。炭化タングステンの被着比率がこの下限を下回ると所望の活性が得られず、上限を超えると被着による活性の向上効果が出にくくなる。
<その他の触媒成分等>
本発明においては、触媒成分として本発明に係る炭化タングステンとともに好ましくは遷移金属を併用する。また更に、炭化タングステン以外の遷移金属化合物から選ばれる触媒成分(以下「他の触媒成分」と称す場合がある。)を併用することもできる。なお、炭化タングステン以外の遷移金属化合物は、炭化タングステン以外のタングステン化合物であっても良い。
併用する遷移金属としては白金(Pt)が高活性発現の観点から最も好ましい。更に白金と周期律表第VIII族元素(以下単に「VIII族元素」と称す場合がある。)との合金を併用することも可能である。ここでVIII族元素とはFe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、及びIrからなる群から選ばれる1種又は2種以上である。具体的な合金として、PtRu,Pt54Ru46,Pt53Ni47等が挙げられる。この中ではPtとRuとの合金が高活性である点で好ましい。
炭化タングステン以外の遷移金属化合物としては、酸化物、炭化物、窒化物、ホウ化物等があるが、好ましいのは酸化物及び炭化物である。
炭化タングステン以外のタングステン化合物としては、WO、WO、WN、WN、WB、W1−yMo1−z、NiC、CoC、WP、WP等のタングステン化合物が挙げられ、WO及びWOが好ましく、WOが更に好ましい。なお、W1−yMo1−zにおいて、yは0<y≦0.5の範囲、zは0≦z≦0.3の範囲のものが好適に使用される。
これらの白金と、白金とVIII族元素との合金(以下「Pt合金」と称す。)、及び他の触媒成分はいずれか1種のみを用いても良く、2種以上を併用しても良い。またそれぞれについて1種類を用いても良く、2種以上を用いても良い。
以下、Pt、Pt合金、他の触媒成分といった、本発明に係る触媒成分のうち、炭化タングステン以外の触媒成分を「他の触媒成分等」と称す場合がある。
この他の触媒成分等は粉体状であることが好ましく、この場合の平均粒径は、上限として通常1000nm以下、好ましくは500nm以下、中でも300nm以下で、下限として通常0.5nm以上であることが好ましい。他の触媒成分等の平均粒径がこの下限を下回ると不安定となって失活しやすくなり、上限を超えると高い活性を得にくくなる。
このような他の触媒成分等を共触媒として併用する場合に、その併用形態としては次のようなものが挙げられる。
(1) 炭化タングステンに他の触媒成分等を担持した後に基体と混合する
(2) 炭化タングステンと他の触媒成分等を混合した後に基体と混合する。
他の触媒成分等を用いる場合、他の触媒成分等は、他の触媒成分等の合計/炭化タングステンの重量比で、下限として通常0.001以上、好ましくは0.01以上、中でも0.05以上で、上限として通常2.0以下、好ましくは1.0以下 、中でも0.8以下となるように使用することが好ましい。他の触媒成分の使用量がこの下限を下回ると他の触媒成分を用いたことによる所望の活性が得られず、上限を超えると活性の向上効果が出にくくなる。
なお、本発明のPEFC型燃料電池用触媒においては、遷移金属元素以外の金属成分が、炭化タングステンの重量を基準に数重量%以下の量で含まれていても、本発明の目的と効果において許容できる。
<製造方法>
(炭化タングステンの製造)
本発明に係る炭化タングステンは、ホウ化タングステン、窒化タングステン、硫化タングステン、リン化タングステン及びケイ化タングステンからなる群から選ばれる前駆化合物、即ち、ポーリングの電気陰性度が1.8以上3.0以下の典型非金属元素とタングステンとの間に結合を少なくとも1つ有する、炭化タングステン以外の、タングステン化合物から転化させて得られる。
なお、ポーリングの電気陰性度が1.8以上3.0以下の典型非金属元素としては、H(2.1)、B(2.0)、N(3.0)、Si(1.8)、P(2.1)、S(2.5)、Cl(3.0)、As(2.0)Se(2.4)Br(2.8)、Te(2.1)、I(2.5)、At(2.2)が挙げられるが(カッコ内は電気陰性度)、これらの中でも、周期表の第2周期及び第3周期の典型非金属元素からなる群から選ばれるB、N、Si、P、Sの元素が、毒性が低い等の理由から好適であるため、本発明においては、前駆化合物として、ホウ化タングステン、窒化タングステン、硫化タングステン、リン化タングステン及びケイ化タングステンからなる群から選ばれる化合物を用いる。
[1]前駆化合物
本発明で用いる前駆化合物としては、具体的には、WB、WB、W等のホウ化タングステン、WN、WN、WN、W等の窒化タングステン、WSi、WSi等のケイ化タングステン、WS、WS等の硫化タングステン、WP、WP等のリン化タングステンが挙げられるが、これらの中でも、窒化タングステン、リン化タングステン、硫化タングステンが、工業的に有利であるため好ましい。これらの化合物はタングステン(W)原子と、ホウ素(B)、窒素(N)、ケイ素(Si)、リン(P)或いは硫黄(S)原子が、直接結合する形態を有するものであり、X線回折(XRD)で確認することができる。
[2]原料化合物
本発明で用いる上記前駆化合物を誘導するタングステン化合物(以下「原料化合物」と称する場合がある。)は、特に制限はないが、具体的には、WO、WO、HWO、(NH101241・5HO等のタングステン酸化物の他、WF、WCl、WCl及びWBr等のタングステンハロゲン化物等の無機タングステン化合物や(NHWS等の硫黄原子含有タングステン化合物が挙げられる。その他、有機タングステン化合物としてタングステン錯体が挙げられる。具体的には、エチルボリルエチリデン(ethylborylethylidene)配位子等のホウ素原子配位タングステン錯体、カルボニル配位子やシクロペンタジエニル配位子、アルキル基配位子、オレフィン系配位子等の炭素原子配位タングステン錯体、ピリジン配位子、アセトニトリル配位子等の窒素原子配位タングステン錯体、ホスフィン配位子、ホスファイト配位子等の配位したリン原子配位タングステン錯体、ジエチルカルバモジチオラト配位子等が配位した硫黄原子配位タングステン錯体、が挙げられる。また、これらの配位子を複数個有する錯体であっても良いし、また複数の種類の配位子を有する錯体であっても良い。具体的には、ヒドリド配位子とオレフィン系配位子が配位したタングステン錯体、炭素原子と窒素原子が配位したW(CO)(NCCH、W(CO)(bipyridyl)等のタングステン錯体が挙げられる。
これらの中でも、炭素原子配位タングステン錯体、窒素原子配位タングステン錯体、リン原子配位タングステン錯体等の化合物が、種類が豊富で扱いやすく工業的に有利であり、好ましい。
原料化合物についてはその平均粒径の上限が通常100μm以下、好ましくは1000nm以下、より好ましくは500nm以下、中でも300nm以下、特に100nm以下で、下限が通常0.5nm以上、好ましくは1.0nm以上、より好ましくは2.0nm以上であることが望ましい。原料化合物の粒径がこの下限を下回ると生成する炭化タングステンが不安定となって、失活しやすくなり、上限を超えると高い活性を得にくくなる。
[3]原料化合物から前駆化合物への転化
原料化合物から、前駆化合物への転化反応は、公知の任意の手法を用いることができる。例えば、好ましい前駆化合物である窒化タングステン、硫化タングステン、リン化タングステンの原料化合物からの転化反応は、次のような条件で行える。
(1) 窒化タングステン
前駆化合物としての窒化タングステンの合成方法については特に制限はなく、公知の任意の方法によって行うことができる。
例えば、“Applied Catalysis A:General”183巻、253頁(1999)には、WOをNH流通下、270℃で加熱を開始し、毎時30℃の速度で加熱温度を上昇させ、最終温度560℃で加熱することによりWNが生成すること、更に、1%O/Heガスを室温で流通させて不動態膜を形成することによって安定化させることができることが開示されているが、この方法を採用することもできる。
その他、次のような方法を採用することもできる。
無機タングステン化合物である(NH101241・5HO等のタングステン酸化物を、有機媒体(例えば、エタノール等のアルコール類、アセトン等のカルボニル類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、トルエン等の炭化水素類、塩化メチレン等の塩化物類)、或いは水性媒体(例えば、水等)に溶解し、必要であれば完全溶解のためHClを所望の量を添加し、あるいはスラリー状にし、所定の時間(通常10分以上、好ましくは30分以上、通常50時間以下、好ましくは30時間以下)放置した後、溶媒を蒸留等により除去する。必要であれば、アルゴン等の不活性ガス流通下、所定の温度(通常100℃以上、好ましくは200℃以上、通常1000℃以下、好ましくは800℃以下)で所定の時間(通常10分以上、好ましくは30分以上、通常50時間以下、好ましくは30時間以下)加熱により乾燥する。その後、NHを含む不活性ガス流通下(通常10%以上、好ましくは30%以上、100%以下、或いは90%以下のNH濃度。高濃度であれば焼成時間は短くなるが、安全上濃度を下げても良い。)で所定の温度(通常300℃以上、好ましくは400℃以上、通常1000℃以下、好ましくは800℃以下)で所定の時間(通常10分以上、好ましくは30分以上、通常50時間以下、好ましくは30時間以下)加熱することにより窒化タングステンを生成させることができる。なお、この加熱においては、所定の温度(通常室温以上、好ましくは100℃以上、通常600℃以下、好ましくは400℃以下)から所定の速度(通常10℃/hr以上、好ましくは20℃/hr以上、通常600℃/hr以下、好ましくは400℃/hr以下)で所定の温度(通常300℃以上、好ましくは400℃以上、通常1000℃以下、好ましくは800℃以下)まで昇温により加熱を行っても良い。更に、低酸素濃度(例えば、5重量%以下、中でも2重量%以下程度の酸素濃度)の不活性ガス雰囲気中で、所定時間(通常数10分以上、好ましくは30分以上、通常10時間以下、中でも5時間以下)で、所定の温度(通常は、室温付近)で処理することにより不動態膜を形成させる不動態化処理を行うことができる。
更に、有機タングステン化合物からも窒化タングステンの合成が可能である。具体的には、W(CO)(CHCN)をNHを含む不活性ガス流通下(通常10%以上、好ましくは30%以上、100%以下、或いは90%以下のNH濃度。高濃度であれば焼成時間は短くなるが、安全上濃度を下げても良い。)で所定の温度(通常200℃以上、好ましくは300℃以上、通常1000℃以下、好ましくは800℃以下)で所定の時間(通常10分以上、好ましくは30分以上、通常50時間以下、好ましくは30時間以下)加熱することにより窒化タングステンを生成させることができる。なお、この加熱においては、所定の温度(通常室温以上、好ましくは100℃以上、通常600℃以下、好ましくは400℃以下)から所定の速度(通常10℃/hr以上、好ましくは20℃/hr以上、通常600℃/hr以下、好ましくは400℃/hr以下)で所定の温度(通常300℃以上、好ましくは400℃以上、通常1000℃以下、好ましくは800℃以下)まで昇温により加熱を行っても良い。更に、低酸素濃度(例えば、5重量%以下、中でも2重量%以下程度の酸素濃度)の不活性ガス雰囲気中で、所定時間(通常数10分以上、好ましくは30分以上、通常10時間以下、中でも5時間以下)で、所定の温度(通常は、室温付近)で処理することにより不動態膜を形成させる不動態化処理を行うことができる。
(2) 硫化タングステン
前駆化合物としての硫化タングステンの形状は特に制限はなく、特定の構造を持たないものの他、ナノロッド、ナノチューブ、ナノツイスト、ナノクラスター、ナノファイバー等のナノマテリアルやサブマイクロコイルでも良い。またその合成方法についても特に制限はなく、公知の任意の方法によって行うことができる。たとえば“Journal of Materials Chemistry 12巻1450頁(2002)にはW(CO)をジフェニルエタン中で、わずかに過剰のS存在下90℃においてアルゴン雰囲気で超音波処理を行い、得られたアモルファス粉末をアルゴン雰囲気で800℃で加熱することにより、WSナノロッドが生成することが報告されている。
その他、次のような方法を採用することもできる。
W(CO)をSと共に、有機媒体(例えば、エタノール等のアルコール類、アセトン等のカルボニル類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、トルエン、キシレン等の炭化水素類、塩化メチレン等の塩化物類)に溶解或いはスラリー状にし、所定の時間(通常10分以上、好ましくは30分以上、通常50時間以下、好ましくは30時間以下)加熱或いは還流を行い、沈殿物を濾過或いは溶媒を蒸留等により採取し、必要であれば更に未反応のW(CO)を除くために沈殿物を所定量の有機溶媒(例えば、アセトニトリル等の含窒素有機溶媒、エタノール等のアルコール類、アセトン等のカルボニル類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、トルエン、キシレン等の炭化水素類、塩化メチレン等の塩化物類)に溶解、或いはスラリー状にて所定の時間(通常10分以上、好ましくは30分以上、通常50時間以下、好ましくは30時間以下)加熱或いは還流を行い、熱濾過等により沈殿物を採取する。得られた沈殿物をアルゴン等の不活性ガス流通下、所定の温度(通常100℃以上、好ましくは200℃以上、通常1000℃以下、好ましくは800℃以下)で所定の時間(通常10分以上、好ましくは30分以上、通常50時間以下、好ましくは30時間以下)加熱により乾燥することにより硫化タングステンが得られる。
(3) リン化タングステン
前駆化合物としてのリン化タングステンの合成方法については特に制限はなく、公知の任意の方法によって行うことができる。
例えば、“Studies in Surface Science and Catalysis”143巻、247頁(2002)には、(NH1240・18HOと(HNHPOを、WとPとのモル比が1:1となるように水に溶解させた後、水を留去し、次いで、空気流通条件下で加熱し、その後に水素流通条件下で加熱還元処理を行うことによりWPが得られること、更に、0.5%O/Heガスを室温で流通させて不動態膜を形成することによって安定化させることができることが開示されているが、この方法を採用することもできる。
具体的には、メタタングステン酸等のタングステン供給化合物、及び、リン酸第2アンモニウム等のリン供給化合物を所望のリン化タングステンのモル比に応じた配合比で、有機媒体(例えば、エタノール等のアルコール類、アセトン等のカルボニル類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、トルエン等の炭化水素類、塩化メチレン等の塩化物類)、或いは水性媒体(例えば、水等)に溶解、或いは分散させ、所定の時間(通常10分以上、好ましくは30分以上、通常50時間以下、好ましくは30時間以下)放置した後、溶媒を蒸留等により除去する。次に、酸素雰囲気ガス流通条件下、所定の温度(通常300℃以上、好ましくは400℃以上、通常1000℃以下、好ましくは800℃以下)で所定の時間(通常10分以上、好ましくは30分以上、通常50時間以下、好ましくは30時間以下)加熱し、その後、還元雰囲気(例えば、水素ガス流通下)条件下で所定の温度(通常300℃以上、好ましくは400℃以上、通常1000℃以下、好ましくは700℃以下)で所定の時間(通常10分以上、好ましくは30分以上、通常50時間以下、好ましくは30時間以下)加熱することによりWPを得ることができる。更に、低酸素濃度(例えば、5重量%以下、中でも2重量%以下程度の酸素濃度)の不活性ガス雰囲気中で、所定時間(通常数10分以上、好ましくは30分以上、通常10時間以下、中でも5時間以下)で、所定の温度(通常は、室温付近)で処理することにより不動態膜を形成させる不動態化処理を行うことができる。
上記した原料化合物から前駆化合物への転化反応の中でも、タングステン酸化物或いはカルボニル配位子を有するタングステン錯体を原料化合物として用い、この原料化合物から得られた窒化タングステン或いは硫化タングステンを炭化タングステンの前駆化合物として用いることが、原料が安価であること、反応が容易であること等の理由から好適である。
[4]前駆化合物から炭化タングステンへの転化
本発明においては、ホウ化タングステン、窒化タングステン、硫化タングステン、リン化タングステン、及びケイ化タングステンから選ばれる化合物を前駆化合物とし、これを基体の存在下又は不存在下に、所定の加熱条件下に炭化水素或いはこれに更に水素を接触させて、炭化タングステンに転化させることが好ましい。
基体の存在下に前駆化合物を炭化水素或いは炭化水素及び水素と接触させて炭化タングステンを得る場合、基体は、前述の好適な基体への炭化タングステン被着量となるように用いれば良い。
また、炭化水素としては、通常メタン、エタン、プロパン、ブタン、エチレン、プロピレン、アセチレン、好ましくはメタン、エタン、エチレン或いはこれらの混合ガスを、通常1mL/min.以上、好ましくは5mL/min.以上、通常500mL/min.以下、好ましくは400mL/min.以下供給するのが好ましい。炭化水素が上記下限より少ないと、炭化反応が進行し難くなり、上記上限よりも多くなると、反応に供しない炭化水素ガスの量が増えるので当該反応にとって好ましくない。水素を併用することにより、炭化タングステン表面に炭素層ができることを防ぐという効果が得られるが、その使用割合は炭化水素と水素との混合ガス中の炭化水素の割合が通常5%以上、好ましくは10%以上、通常90%以下、好ましくは30%以下供給することが好ましい。炭化水素量が上記下限よりも少ないと、炭化反応が進行し難くなり、上記上限よりも多いと、炭化タングステン表面に活性の無い炭素層が付着するので、当該反応にとって好ましくない。
転化反応は、通常500℃以上、好ましくは600℃以上、通常1200℃以下、好ましくは1000℃以下で行われる。この反応温度が上記下限よりも低いと、炭化反応が進行し難くなり、上限よりも高いと活性の高い炭化タングステンが得にくくなる。
反応時間は反応温度によっても異なるが、通常10分以上、好ましくは30分以上、通常50時間以下、好ましくは30時間以下とされる。この反応時間が上記下限よりも短いと反応が完全には進行し難くなり、上限より長いと活性の高い炭化タングステンが得にくくなる。
この加熱は、所定の温度(通常室温以上、好ましくは100℃以上、通常600℃以下、好ましくは400℃以下)から所定の速度(通常10℃/hr以上、好ましくは20℃/hr以上、通常600℃/hr以下、好ましくは400℃/hr以下)で所定の温度(通常500℃以上、好ましくは600℃以上、通常1200℃以下、好ましくは1000℃以下)まで昇温により行っても良い。炭化タングステンの生成後、更に、低酸素濃度(例えば、5重量%以下、中でも2重量%以下程度の酸素濃度)の不活性ガス雰囲気中で、所定時間(通常数10分以上、好ましくは30分以上、通常10時間以下、中でも5時間以下)で、所定の温度(通常は、室温付近)で処理することにより不動態膜を形成させる不動態化処理を行うことができる。
以下に、窒化タングステン等の前駆化合物から、基体の不存在下に炭化タングステンを生成させる方法についてより具体的に説明するが、本発明は以下の方法に何ら限定されるものではない。
(1) 窒化タングステンから炭化タングステンへの転化
窒化タングステンから本発明で用いる炭化タングステンを与える合成方法については特に制限はなく、公知の任意の方法によって行うことができる。例えば、“Applied Catalysis A:General”183巻、253頁(1999)には、WNをメタンと水素流通下、25℃で加熱を開始し、毎時60℃の速度で加熱温度を上昇させ、最終温度750℃で加熱することによりWC1−xが生成すること、更に、1%O/Heガスを室温で流通させて不動態膜を形成することによって安定化させることができることが開示されているが、この方法を採用することもできる。
また、窒化タングステンを所定の炭化水素ガス(通常はメタン、エタン、プロパン、ブタン、エチレン、プロピレン、アセチレン、好ましくはメタン、エタン、エチレン)或いはそれらの混合ガスと水素ガス流通下(通常、混合ガス中の炭化水素ガスの混合割合は通常5%以上、好ましくは10%以上、通常90%以下、好ましくは30%以下)、所定の温度(通常500℃以上、好ましくは600℃以上、通常1000℃以下、好ましくは900℃以下)で所定の時間(通常10分以上、好ましくは30分以上、通常50時間以下、好ましくは30時間以下)加熱することにより炭化タングステンを生成させることができる。なお、この加熱においては、上記のように所定の温度(通常室温以上、好ましくは100℃以上、通常600℃以下、好ましくは400℃以下)から所定の速度(通常10℃/hr以上、好ましくは20℃/hr以上、通常600℃/hr以下、好ましくは400℃/hr以下)で所定の温度(通常500℃以上、好ましくは600℃以上、通常1000℃以下、好ましくは900℃以下)まで昇温により加熱を行っても良い。更に、低酸素濃度(例えば、5重量%以下、中でも2重量%以下程度の酸素濃度)の不活性ガス雰囲気中で、所定時間(通常数10分以上、好ましくは30分以上、通常10時間以下、中でも5時間以下)で、所定の温度(通常は、室温付近)で処理することにより不動態膜を形成させる不動態化処理を行うことができる。
(2) 硫化タングステンから炭化タングステンへの転化
硫化タングステンから本発明で用いる炭化タングステンを与える合成方法については特に制限はなく、任意の方法によって行うことができる。
具体的には、硫化タングステンを所定の炭化水素ガス(通常はメタン、エタン、プロパン、ブタン、エチレン、プロピレン、アセチレン、好ましくはメタン、エタン、エチレン)或いはそれらの混合ガスと水素ガス流通下(通常、混合ガス中の炭化水素ガスの混合割合は通常5%以上、好ましくは10%以上、通常90%以下、好ましくは30%以下)、所定の温度(通常550℃以上、好ましくは650℃以上、通常1100℃以下、好ましくは1000℃以下)で所定の時間(通常10分以上、好ましくは30分以上、通常50時間以下、好ましくは30時間以下)加熱することにより炭化タングステンを生成させることができる。なお、この加熱においては、上記のように所定の温度(通常室温以上、好ましくは100℃以上、通常600℃以下、好ましくは400℃以下)から所定の速度(通常10℃/hr以上、好ましくは20℃/hr以上、通常600℃/hr以下、好ましくは400℃/hr以下)で所定の温度(通常550℃以上、好ましくは650℃以上、通常1100℃以下、好ましくは1000℃以下)まで昇温により加熱を行っても良い。更に、低酸素濃度(例えば、5重量%以下、中でも2重量%以下程度の酸素濃度)の不活性ガス雰囲気中で、所定時間(通常数10分以上、好ましくは30分以上、通常10時間以下、中でも5時間以下)で、所定の温度(通常は、室温付近)で処理することにより不動態膜を形成させる不動態化処理を行うことができる。
(3) リン化タングステンから炭化タングステンへの転化
リン化タングステンから本発明で用いる炭化タングステンを与える合成方法については特に制限はなく、任意の方法によって行うことができ、例えば、上述の硫化タングステンから炭化タングステンへの転化反応と同様な反応条件で、炭化タングステンを得ることができる。
[5]炭化タングステン/基体被着触媒の製造
基体に炭化タングステンが被着してなる本発明のPEFC型燃料電池用触媒を製造する場合、炭化タングステンの合成過程において基体を付与するタイミングは任意であるが、例えば、次のような方法が挙げられる。
(1) 原料化合物に基体を混合した後、原料化合物の前駆化合物への転化反応を行い、その後更に前駆化合物の炭化タングステンへの転化反応を行う。
(2) 前駆化合物に基体を混合した後、前駆化合物の炭化タングステンへの転化反応を行う。
(3) 炭化タングステンを調製した後にこれに基体を混合した後、所望により更に焼成処理などを施す。
上記(1)の場合、例えば、前記原料化合物を水溶液等の溶媒で溶解した後、基体と共に水溶液等の溶媒に溶解或いは分散させ、溶媒を除去した後、必要であれば、不活性ガス流通下、所望の温度と時間で加熱することにより乾燥させ、その後NH流通下で加熱することにより基体に担持させたWNを得ることができる。更に、炭化水素ガスと水素流通下、所望の温度と時間で加熱することにより本発明で開示する炭化タングステンが基体に被着されてなるPEFC型燃料電池用触媒が生成する。更に、所望の低酸素濃度の不活性ガス雰囲気中で、所定の温度と時間で(通常は、室温付近)で処理することにより不動態膜を形成させる不動態化処理を行っても良い。
具体的には、(NH101241・5HOを、有機媒体(例えば、エタノール等のアルコール類、アセトン等のカルボニル類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、トルエン等の炭化水素類、塩化メチレン等の塩化物類)、或いは水性媒体(例えば、水等)に溶解し、必要であれば完全溶解のためHClを所望の量を添加し、あるいはスラリー状にし、これにカーボンブラック等の基体を所定量混合し、所定の時間(通常10分以上、好ましくは30分以上、通常50時間以下、好ましくは30時間以下)放置した後、溶媒を蒸留等により除去する。必要であれば、アルゴン等の不活性ガス流通下、所定の温度(通常100℃以上、好ましくは200℃以上、通常1000℃以下、好ましくは800℃以下)で所定の時間(通常10分以上、好ましくは30分以上、通常50時間以下、好ましくは30時間以下)加熱により乾燥する。その後、NHを含む不活性ガス流通下(通常10%以上、好ましくは30%以上、100%以下、或いは90%以下のNH濃度。高濃度であれば焼成時間は短くなるが、安全上濃度を下げても良い。)で所定の温度(通常300℃以上、好ましくは400℃以上、通常1000℃以下、好ましくは800℃以下)で所定の時間(通常10分以上、好ましくは30分以上、通常50時間以下、好ましくは30時間以下)加熱することにより窒化タングステンを生成させると共に基体に担持させることができる。なお、この加熱においては、所定の温度(通常室温以上、好ましくは100℃以上、通常600℃以下、好ましくは400℃以下)から所定の速度(通常10℃/hr以上、好ましくは20℃/hr以上、通常600℃/hr以下、好ましくは400℃/hr以下)で所定の温度(通常300℃以上、好ましくは400℃以上、通常1000℃以下、好ましくは800℃以下)まで昇温により加熱を行っても良い。
次に、窒化タングステンを所定の炭化水素ガス(通常はメタン、エタン、プロパン、ブタン、エチレン、プロピレン、アセチレン、好ましくはメタン、エタン、エチレン)或いはそれらの混合ガスと水素ガス流通下(通常、混合ガス中の炭化水素ガスの混合割合は通常5%以上、好ましくは10%以上、通常90%以下、好ましくは30%以下)、所定の温度(通常500℃以上、好ましくは600℃以上、通常1000℃以下、好ましくは900℃以下)で所定の時間(通常10分以上、好ましくは30分以上、通常50時間以下、好ましくは30時間以下)加熱することにより、炭化タングステンが基体に被着されてなるPEFC型燃料電池用触媒が生成する。なお、この加熱においては、上記のように所定の温度(通常室温以上、好ましくは100℃以上、通常600℃以下、好ましくは400℃以下)から所定の速度(通常10℃/hr以上、好ましくは20℃/hr以上、通常600℃/hr以下、好ましくは400℃/hr以下)で所定の温度(通常500℃以上、好ましくは600℃以上、通常1000℃以下、好ましくは900℃以下)まで昇温により加熱を行っても良い。更に、低酸素濃度(例えば、5重量%以下、中でも2重量%以下程度の酸素濃度)の不活性ガス雰囲気中で、所定時間(通常数10分以上、好ましくは30分以上、通常10時間以下、中でも5時間以下)で、所定の温度(通常は、室温付近)で処理することにより不動態膜を形成させる不動態化処理を行うことができる。
また、WO、その他のタングステン化合物をカーボンブラック等の担体と所定量物理混合し、必要な場合、酸素含有ガス流通条件下、所定の温度(通常100℃以上、好ましくは200℃以上、通常1500℃以下、好ましくは1000℃以下)で所定の時間(通常10分以上、好ましくは30分以上、通常50時間以下、好ましくは30時間以下)加熱した後、上記と同様に、NHを含む不活性ガス流通下で加熱することにより窒化タングステンを生成させると共に基体に担持させることができる。この加熱は、昇温により行っても良い。次に、上記と同様に、炭化水素ガスと水素流通下、所定の温度と所定の時間で加熱することにより炭化タングステンが基体に被着されてなるPEFC型燃料電池用触媒が生成する。この加熱は、昇温により行っても良い。更に、所望の低酸素濃度の不活性ガス雰囲気中で、所定の温度と時間で(通常は、室温付近)で処理することにより不動態膜を形成させる不動態化処理を行っても良い。
[6]他の触媒成分等を含む触媒の製造
他の触媒成分等を含む本発明のPEFC型燃料電池用触媒を製造する場合、炭化タングステンの合成過程において、他の触媒成分等或いは他の触媒成分等を生成する物質(以下「他の触媒成分等源」と称す。)を付与するタイミングについては特に制限はないが、通常は、次のような方法が採用される。
(1)炭化タングステンに他の触媒成分等を混合した後、基体との混合を行う。
(2)炭化タングステンに他の触媒成分等源を混合した後に、還元処理或いは焼成処理などを施し、その後基体との混合を行う。
(3)炭化タングステンが基体に被着したものを調製した後に、他の触媒成分等を混合する。
(4)炭化タングステンが基体に被着したものを調製した後に、他の触媒成分等源を混合した後、還元処理或いは焼成処理などを施す。
これらの中で、(1)と(2)の方法が他の触媒成分等が触媒表面に被着する量が多いと期待されるため好適である。
なお、他の触媒成分等源としては、前述の遷移金属の酸化物の他、硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩等の無機酸塩、酢酸塩等の有機酸塩、ハロゲン化物、水素化物、カルボニル化合物、アミン化合物、オレフィン配位化合物、ホスフィン配位化合物又はホスファイト配位化合物等が挙げられる。好ましくはハロゲン元素や窒素元素を含まない酸化物、炭酸塩、有機酸塩、カルボニル化合物、オレフィン配位化合物である。
上記(2)の方法を実施する場合、例えば、ホウ化タングステン、窒化タングステン、硫化タングステン、リン化タングステン、及びケイ化タングステンから選ばれる化合物を前駆化合物とし、これを基体の非存在下に、所定の加熱条件下に炭化水素或いはこれに更に水素を接触させて得られた炭化タングステンを、他の触媒成分等源である遷移金属の塩化物等が溶解或いは分散した水溶液等の溶液に加え、所望の時間放置し、溶媒を除去した後、必要であれば、不活性ガス流通下、所望の温度と時間で加熱することにより乾燥させ、その後水素流通下、所望の温度と時間で加熱することにより、他の触媒成分等源が炭化タングステンに被着された触媒が生成する。更に、所望の低酸素濃度の不活性ガス雰囲気中で、所定の温度と時間で(通常は、室温付近)で処理することにより不動態膜を形成させる不動態化処理を行っても良い。 次に、この得られた他の触媒成分等源が被着した炭化タングステンを基体とともに乳鉢で混合する。
より具体的には、前記方法により合成された、WC触媒を、HPtClが溶解或いはスラリー状になっている有機媒体(例えば、エタノール等のアルコール類、アセトン等のカルボニル類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、トルエン等の炭化水素類、塩化メチレン等の塩化物類)、或いは水性媒体(例えば、水等)に、所定量混合し、所定の時間(通常10分以上、好ましくは30分以上、通常50時間以下、好ましくは30時間以下)放置した後、溶媒を蒸留等により除去する。必要であれば、アルゴン等の不活性ガス流通下、所定の温度(通常100℃以上、好ましくは200℃以上、通常1000℃以下、好ましくは800℃以下)で所定の時間(通常10分以上、好ましくは30分以上、通常50時間以下、好ましくは30時間以下)加熱により乾燥する。次に、水素ガス流通下、所定の温度(通常100℃以上、好ましくは200℃以上、通常1000℃以下、好ましくは900℃以下)で所定の時間(通常10分以上、好ましくは30分以上、通常50時間以下、好ましくは30時間以下)加熱することにより、Ptが炭化タングステンに被着されたPEFC型燃料電池用触媒が生成する。なお、この水素流通による還元過程においては、所定の温度(通常室温以上、好ましくは100℃以上、通常600℃以下、好ましくは400℃以下)から所定の速度(通常10℃/hr以上、好ましくは20℃/hr以上、通常600℃/hr以下、好ましくは400℃/hr以下)で所定の温度(通常200℃以上、好ましくは300℃以上、通常1000℃以下、好ましくは900℃以下)まで昇温により加熱を行っても良い。更に、低酸素濃度(例えば、5重量%以下、中でも2重量%以下程度の酸素濃度)の不活性ガス雰囲気中で、所定時間(通常数10分以上、好ましくは30分以上、通常10時間以下、中でも5時間以下)で、所定の温度(通常は、室温付近)で処理することにより不動態膜を形成させる不動態化処理を行うことができる。次に、この得られた他の触媒成分等源が被着した炭化タングステンを基体とともに乳鉢で混合する。
[7]触媒の表面処理
本発明の触媒を水素流通下で加熱して還元処理を行うことにより、触媒活性を更に向上させることができる。これは触媒表面に付着した活性の無い炭素層がCH等として除去され、活性なWC表面が露出すること等に因る。
流通させる水素は、水素のみで流通させても良いし、アルゴン或いは窒素等の不活性ガスと共に流通させても良い。流通させる水素は通常1mL/min.以上、好ましくは5mL/min.以上、通常500mL/min.以下、好ましくは400mL/min.以下供給するのが好ましい。流通させる水素が上記下限より少ないと、触媒表面に付着した活性の無い炭素層の除去が進行し難くなり、上記上限より高いと反応に供しない水素ガスの量が増えるので当該処理にとっては好ましくない。
処理温度は、触媒の粒径や、付着した炭素層の性質に依るが、通常100℃以上、好ましくは200℃以上、通常1200℃以下、好ましくは1000℃以下とされる。この処理温度が上記下限より低いと、触媒表面に付着した活性の無い炭素層の除去が進行し難くなり、上記上限より高いと触媒であるWC自体からの炭素の脱離が進行し、触媒活性が低下する。
処理時間は処理温度によっても異なるが、通常5分以上、好ましくは10分以上、通常50時間以下、好ましくは30時間以下とされる。この処理時間が上記下限よりも短いと反応が完全には進行し難くなり、上限より長いと活性の高い触媒が得にくくなる。
また、本発明の触媒を水酸化ナトリウム水溶液やアンモニア水等のアルカリ溶液と接触させることにより、触媒活性を向上させることもできる。これは触媒表面に存在する不活性なWO層が減少すること等に因る。
このアルカリ処理は、触媒をアルカリ溶液に投入して還流条件下に保持することにより行うことが好ましく、その処理時間は用いたアルカリの種類等によっても異なるが、通常5分以上、好ましくは10分以上、通常50時間以下、好ましくは30時間以下とされる。この処理時間が上記下限よりも短いと反応が完全には進行し難くなり、上限より長いと活性の高い触媒が得にくくなる。
更に、上記還元処理と、このアルカリ処理とを組み合わせて行うことにより、耐CO被毒性を有し、高い触媒活性を安定に示すに有利なWC成分を、触媒表面により一層有効に露出させることができる。
[PEFC型燃料電池用電極材料及びPEFC型燃料電池]
本発明のPEFC型燃料電池用電極材料は、上記した本発明のPEFC型燃料電池用触媒を含む触媒層を有するものであり、本発明のPEFC型燃料電池用触媒を含む触媒層を、イオン交換膜上、アノードガス拡散層上、カソードガス拡散層上又は転写用フィルム上に形成してなることを特徴とする。
本発明のPEFC型燃料電池とは、前述の如くアノードに燃料としてのCOを含有する水素、カソードに酸化剤(通常は空気)をそれぞれ供給し、アノードとカソード間の電位差を電圧として取り出し、負荷に供給する発電装置であり、アノード極とカソード極とその間に挟まれた電解質で構成され、電解質としてイオン交換膜が用いられている。即ち、電解質としてのイオン交換膜の両面に触媒層が形成され、該触媒層の外側にそれぞれアノードガス拡散層及びカソードガス拡散層が一体に形成されてなる電解質膜/電極接合体が用いられる。電解質膜/電極接合体はその拡散層側に隔壁板が配置され、この隔壁板、電解質膜/電極接合体及び隔壁板からなる単位セルが、用途に応じた所望の電圧になるまで複数積層してPEFC型燃料電池スタックを形成する。通常、単位セルが数セルから数百セル積層されて、PEFC型燃料電池スタックを形成する。
本発明のPEFC型燃料電池においては、この電解質膜/電極接合体の触媒層を形成する触媒として、前述の本発明のPEFC型燃料電池用触媒を用いる。本発明のPEFC型燃料電池用触媒は、アノード極の触媒としても、カソード極の触媒としても用いることができる。
電解質としてのイオン交換膜は、カチオン交換能があれば良いが、実用上、PEFC型燃料電池の使用温度である80〜100℃程度での酸化還元雰囲気に長期に耐えることが望まれることから、パーフルオロアルキルスルホン酸樹脂がもっぱら用いられている。具体的には、ナフィオン(デュポン社製登録商標)、フレミオン(旭硝子社製登録商標)、Aciplex(旭化成社製登録商標)等のパーフルオロアルキルスルホン酸樹脂膜が挙げられる。
イオン交換膜の厚みとしては、10μm程度以上、数100μm程度以下のものが用いられるが、電気抵抗を下げるためにはより薄くすることが望ましい。ナフィオンを例に取ると、厚み120μm程度のナフィオン115がよく使用されるが、補強材を入れて30〜50μmの電解質が開発され始めており、これらのものも同様に用いることができる。
拡散層の構成材料としては、アノードではCOを含有する水素、カソードでは空気を供給すると共に、発生した電圧を取り出すための集電体としての機能も併せ持つものであるため、優れた電子伝導体でかつCOを含有する水素と空気の双方が通流し、かつ使用雰囲気に耐える材料が選択される。アノードガス拡散層及びカソードガス拡散層を構成する材料としては、厚みが、通常100〜500μm、好ましくは100〜200μm程度の、カーボンペーパー、カーボンクロス等のカーボン多孔体が用いられる。
電解質膜/電極接合体をPEFC型燃料電池に用いる際には、その背後にCOを含有する水素と空気が混合しないように、通常、カーボン、場合によってはステンレス、チタン等の材料でできた隔壁板が配置されるが、この隔壁板には、燃料水素と空気の均一かつ安定供給を目的とした溝を形成したものを用いることが一般的である。
本発明のPEFC型燃料電池用触媒を用いて触媒層を形成することにより、PEFC型燃料電池の電解質膜/電極接合体を作製する方法としては特に制限はないが、例えば次のような方法が挙げられる。
カソード側触媒層及び/又はアノード側触媒層を作製する方法については、特に制限はないが、例えば、下記のようにして作製できる。まず、炭化タングステンを基体に被着させてなる本発明のPEFC型燃料電池用触媒を、適当な容器に入れ、アルコール、水等の媒体に分散させ触媒スラリーを調製する。この際に分散を良好に進行させるために、超音波振動をかける方がより好ましい。この触媒スラリー中の本発明のPEFC型燃料電池用触媒濃度は、所望の分散性を得るために、1〜50g/L程度であるのが好ましい。また、撥水性を付与する、触媒層の剥離を防止する等の目的でポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のバインダーをスラリー中に3〜30重量%程度の範囲で加えることも可能である。また、内容物を凝集させて、ペースト化する場合、エタノール、イソプロピルアルコール、グリセリンといった炭素数2〜5、好ましくは炭素数2〜4程度のアルコールを水に対して0.25〜1.0の比になるように加えて凝集させることもできる。
このようにして得られる触媒スラリーを層状に乾燥させて電解質膜/電極接合体のカソード側触媒層及びアノード側触媒層を形成すれば良いが、その方法としては、例えば、触媒層をイオン交換膜上に形成してからアノードガス拡散層及びカソードガス拡散層と積層する方法と、触媒層をアノードガス拡散層及びカソードガス拡散層上に形成してからイオン交換膜と積層する方法が挙げられる。
カソード側触媒層及びアノード側触媒層は具体的には、それぞれ次のような方法でイオン交換膜上、アノードガス拡散層上又はカソードガス拡散層上に形成される。
(1) 用いるイオン交換膜に前記触媒スラリーを吹き付けて乾燥する。
(2) カーボンペーパー等の拡散層材に前記触媒スラリーを吹き付けて乾燥する。
(3) テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)フィルム等の転写用フィルム材上に触媒スラリーを吹き付けて(展開処理)乾燥し、転写用フィルム面と反対側の面をナフィオン等の所望のイオン交換膜上に適宜圧接して触媒層を転写する。
(4) (3)におけると同様に、FEPフィルム上に触媒スラリーを展開処理した後、スラリー上にカーボンペーパー等の拡散層材を被せて乾燥する。
カソード側触媒層及びアノード側触媒層は共に、炭化タングステン付着量(目付量)として、通常0.01mg/cm以上、好ましくは0.1mg/cm以上で、通常20mg/cm以下、好ましくは5mg/cm以下程度の量となるように形成するのが好ましい。この炭化タングステン付着量が上記下限よりも少ないと充分な触媒活性を得ることができず、上記上限よりも多いと電解質膜/電極接合体が形成し難くなる。
上記カソード側触媒層及びアノード側触媒層の各形成工程後、予備的な加圧成形を適宜行った後、最終的な電解質膜/電極接合体、即ち、イオン交換膜の片側の面に上記したカソード側触媒層が形成され、該イオン交換膜の反対側の面に、アノード側触媒層を、更に、両触媒層の外側にそれぞれアノード及びカソードを構成するアノードガス拡散層とカソードガス拡散層が積層されるように、プレス機を用いて加圧加熱成形(本成形)して、電解質膜/電極接合体が作製される。
なお、予備的な加圧成形の条件としては、触媒層の崩壊を防げる範囲で、後に行う本成形の条件より温度、圧力は低く、時間は短く設定するのが好ましい。それは、触媒粒子、各拡散層用多孔体の圧縮破壊を起こさないためである。
本願発明のPEFC型燃料電池を用いたPEFC型燃料電池システムは、電気化学反応により起電力を得る上述のPEFC型燃料電池スタックと、酸素含有ガスとして圧縮空気を供給するコンプレッサの他、燃料ガスであるCO含有水素を高圧に圧縮した状態で貯蔵する水素ボンベを有する。他に燃料電池スタックにおいて発電に利用されなかった排水素及び排空気を燃焼する触媒燃焼器を必要に応じて備えてもよい。また、メタノール、天然ガス又はメタン等の改質反応により、燃料としてのCOを含有する水素を供給するようにしてもよい。その場合、PEFC型燃料電池燃システムは水素ボンベの代わりに、メタノール、天然ガス又はメタン等のタンク、水タンク、及び、メタノール等と水の混合器、メタノール水溶液等を蒸発させるための蒸発器、改質反応を行う改質器を備える。更に、改質反応後の水素ガス中に含まれる一酸化炭素による触媒の被毒を防ぐために、一酸化炭素低減装置を備えてもよい。
[PEFC型燃料電池用燃料水素]
本発明のPEFC型燃料電池において、燃料として用いる水素はCOを含有する。
本発明のPEFC型燃料電池用触媒は、耐CO被毒性があるものの、燃料水素中のCOの濃度が高すぎると本来の性能を発揮できなくなる。従って、本発明のPEFC型燃料電池の燃料水素中のCO濃度は通常100ppm以下、好ましくは50ppm以下、更に好ましくは10ppm以下である。一方、COを全く含まない水素を燃料として用いると、PEFC型燃料電池が高い出力を発現するので好ましいものの、そのような水素ガスを得るには、一般に改質、COシフト反応、CO選択酸化等の各触媒を要するため、水素ガス製造コストが高くなり、PEFC型燃料電池の普及の点から望ましくない。また、本発明のPEFC型燃料電池用触媒の耐CO被毒性の特質を生かせないことにもなる。これらの観点から、本発明のPEFC型燃料電池の燃料水素に含まれるCOの濃度は0.01ppm以上、好ましくは0.1ppm以上、更に好ましくは0.5ppm以上である。
次に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。
[1]触媒の合成
[実施例1]
<WCの合成>
キシダ化学製WCl 0.7gを石英製焼成管に入れ、NHガス30ml/min.の 気流下、300〜630℃まで5hrかけて66℃/hrの昇温速度で昇温し、更に630℃で0.5hr保持して還元、窒化してWNの黒色粉末を得た。このようにして得られたWN 1.0gを石英製焼成管に入れ、CH/H(混合比2/8)の混合ガスの70ml/min.の気流下、777℃で7hr還元、炭化してα−WCの黒色粉末を得た。室温に冷却後、アルゴンガスに焼成管内を置換後2%O−98%N混合ガスで1.5hr不動態化して空気中に取り出した。
この化合物はXRD分析により、α−WC構造を有していることを確認した(2θの値は31.551゜、35.744゜、48.200゜、64.639゜にピークを与えた)。また、48.200゜のピークの半値幅は1.852゜であった。
<Pt−WCの合成>
上記合成方法で得られたWC 0.2gに、NEケムキャト製HPtCl 0.85gを10mlの脱塩水に溶解して調製した触媒液を1ml及び5mlの脱塩水を加え一昼夜放置した後、エバポレータで水を除去した。乾固物をアルゴン気流下200℃で、3hr乾燥した。室温に冷却後、アルゴンから水素に切り替え350℃で1.5hr還元した。室温に冷却後、アルゴンガスに焼成管内を置換後2%O−98%N混合ガスで1.5hr不動態化して空気中に取り出した。
この化合物はXRD分析により、α−WC構造を有していることを確認した(2θの値は31.598゜、35.598゜、39.758゜(Pt)、46.352°(Pt)、48.051°、64.798゜、67.598°(Pt)にピークを与えた)。また、48.051゜のピークの半値幅は1.892゜であった。
なお、PtとWCとの割合は原料仕込み量よりPt10重量%、WC90重量%であった。
[実施例2]
<WCの合成>
キシダ化学製WO 1.0gを石英製焼成管に入れ、NHガス30ml/min.の 気流下、300〜630℃まで7hrかけて49℃/hrの昇温速度で昇温し、更に630℃で0.5hr保持して還元、窒化してWNの黒色粉末を得た。このようにして得られたWN1.0gを石英製焼成管に入れ、CH/H(混合比2/8)の混合ガスの70ml/min.の気流下、777℃で6hr還元、炭化してα−WCの黒色粉末を得た。室温に冷却後、アルゴンガスに焼成管内を置換後2%O−98%N混合ガスで1.5hr不動態化して空気中に取り出した。
この化合物はXRD分析により、α−WC構造を有していることを確認した(2θの値は31.649゜、35.801゜、48.251゜、65.598゜にピークを与えた)。また、48.251゜のピークの半値幅は1.888゜であった。
<Pt−WCの合成>
実施例1で合成されたα−WCの代わりに、上記合成方法で得られたα−WCを用いた他は、実施例1と同様な方法によりPtを被着したα−WCを得た。
この化合物はXRD分析により、α−WC構造を有していることを確認した(2θの値は31.502゜、35.750゜、39.801゜(Pt)、46.349°(Pt)、48.204°、65.251゜、67.511°(Pt)にピークを与えた)。また、48.204゜のピークの半値幅は1.800゜であった。
[実施例3]
<WCの合成>
ガラス製コルベにアルドリッチ製W(CO) 4.22g、キシダ製S 0.832g、溶媒としてキシレン80mlを入れ、撹拌しながら4時間還流したところ、黒色の粒子が沈殿してきた。反応終了後、沈殿物を濾過により採取し、更に未反応のW(CO)を除くために沈殿物を60mlのCHCNで2時間還流した後、熱濾過を行った。得られた沈殿物を最終的にアルゴン気流下、350℃で3時間加熱処理を行い、WSを取得した。このようにして得られたWS 0.5gを石英製焼成管に入れ、CH/H(混合比2/8)の混合ガスの70ml/min.の気流下、900℃で7hr還元、炭化してα−WCの黒色粉末を得た。室温に冷却後、アルゴンガスに焼成管内を置換後2%O−98%N混合ガスで1.5hr不動態化して空気中に取り出した。
この化合物はXRD分析により、α−WC構造を有していることを確認した(2θの値は31.500゜、35.501゜、48.200゜、63.849゜にピークを与えた)。また、48.200゜のピークの半値幅は1.912゜であった。
<Pt−WCの合成>
実施例1で合成されたα−WCの代わりに、上記合成方法で得られたα−WCを用いた他は、実施例1と同様な方法によりPtを被着したα−WCを得た。
この化合物はXRD分析により、α−WC構造を有していることを確認した(2θの値は31.551゜、35.452゜、39.899゜(Pt)、46.400°(Pt)、48.150°、63.703゜、67.555°(Pt)にピークを与えた)。また、48.150゜のピークの半値幅は2.105゜であった。
[実施例4]
<WCの合成>
キシダ化学製のWO 1.0gを石英製焼成管に入れ、アルゴン80ml/min.、H 20ml/min.、HS 20ml/min.の気流下、昇温して850℃で2.0hr処理した。このようにして得られたWS 0.3gを石英製焼成管に入れ、CH/H(混合比2/8)の混合ガスの70ml/min.の気流下、850℃で15hr還元、炭化してα−WCの黒色粉末を得た。室温に冷却後、アルゴンガスに焼成管内を置換後2%O−98%N混合ガスで1.5hr不動態化して空気中に取り出した。
この化合物はXRD分析により、α−WC構造を有していることを確認した(2θの値は31.351゜、35.402゜、48.252゜、63.652゜にピークを与えた)。また、48.252゜のピークの半値幅は1.970゜であった。
<Pt−WCの合成>
実施例1で合成されたα−WCの代わりに、上記合成方法で得られたα−WCを用いた他は、実施例1と同様な方法によりPtを被着したα−WCを得た。
この化合物はXRD分析により、α−WC構造を有していることを確認した(2θの値は31.447゜、35.499゜、39.803゜(Pt)、46.306°(Pt)、48.101°、63.601゜、67.760°(Pt)にピークを与えた)。また、48.101゜のピークの半値幅は1.931゜であった。
[実施例5]
<WCの合成>
アルドリッチ社製のWO 0.6g(nanopowder、カタログ番号55,008−6)を石英製焼成管に入れ、アルゴン80ml/min.、HS 20ml/min.の気流下、昇温して820℃で2.0hr焼成した。このようにして得られたWS 0.3gを石英製焼成管に入れ、CH/H(混合比2/8)の混合ガスの70ml/min.の気流下、840℃で15hr還元、炭化してα−WCの黒色粉末を得た。室温に冷却後、アルゴンガスに焼成管内を置換後2%O−98%N混合ガスで1.5hr不動態化して空気中に取り出した。
この化合物はXRD分析により、α−WC構造を有していることを確認した(2θの値は31.449゜、35.502゜、48.250゜、63.851゜にピークを与えた)。また、48.250゜のピークの半値幅は1.773゜であった。
<Pt−WCの合成>
実施例1で合成されたα−WCの代わりに、上記合成方法で得られたα−WCを用いた他は、実施例1と同様な方法によりPtを被着したα−WCを得た。
この化合物はXRD分析により、α−WC構造を有していることを確認した(2θの値は31.793゜、35.500゜、39.797゜(Pt)、46.354°(Pt)、48.150°、63.559゜、67.502°(Pt)にピークを与えた)。また、48.150゜のピークの半値幅は1.970゜であった。
[実施例6]
<WCの合成>
(NHWS(アルドリッチ製)0.7gを石英製焼成管に入れ、チオフェンを充填したガラス反応管に25ml/min.のHをバブルしながら、チオフェンを同伴させて石英管にHを導入しながら600℃、0.5hr反応させた。得られたWSを石英焼成管に入れ、CH/H(2/8)のガス70ml/min.気流中、840℃で30hr還元、炭化してα−WCの黒色粉末を得た。室温に冷却後、アルゴンガスに焼成管内を置換後2%O−98%N混合ガスで1.5hr不動態化して空気中に取り出した。
この化合物はXRD分析により、α−WC構造を有していることを確認した(2θの値は31.500゜、35.501゜、48.101゜、64.001゜にピークを与えた)。また、48.101゜のピークの半値幅は1.773゜であった。
<Pt−WCの合成>
実施例1で合成されたα−WCの代わりに、上記合成方法で得られたα−WCを用いた他は、実施例1と同様な方法によりPtを被着したα−WCを得た。
この化合物はXRD分析により、α−WC構造を有していることを確認した(2θの値は31.364゜、35.599゜、39.801゜(Pt)、46.199°(Pt)、48.152°、64.046゜、67.557°(Pt)にピークを与えた)。また、48.152゜のピークの半値幅は2.488゜であった。
[比較例1]
<WCの合成>
キシダ化学製WO 1.2gを石英製焼成管に入れ、CH/H(混合比2/8)の混合ガスの70ml/min.の気流下、877℃で6hr還元、炭化してα−WCの黒色粉末を得た。室温に冷却後、アルゴンガスに焼成管内を置換後2%O−98%N混合ガスで1.5hr不動態化して空気中に取り出した。
この化合物はXRD分析により、α−WC構造を有していることを確認した(2θの値は31.404゜、35.652゜、48.254゜、64.278゜にピークを与えた)。また、48.254゜のピークの半値幅は0.570゜であった。
<Pt−WCの合成>
実施例1で合成されたα−WCの代わりに、比較例1で合成されたα−WCを用いた他は、実施例1と同様な方法によりPtを被着したα−WCを得た。
この化合物はXRD分析により、α−WC構造を有していることを確認した(2θの値は31.401゜、35.605゜、39.800゜(Pt)、40.342゜、46.253゜(Pt)、48.254゜、58.311°、64.350°、67.690°(Pt)にピークを与えた)。また、48.254゜のピークの半値幅は0.566゜であった。
[2]電極接合体(MEA)の作製
<カソード触媒層の作成>
イオン導伝性ポリマーであるデュポン社のナフィオン(登録商標)を溶解したナフィオン(登録商標)の溶液(濃度5重量%,アルドリッチ社製)230mgと、カーボンブラックと白金の重量比を37.9:62.1とした白金担持カーボン粒子(商品名:TEC10V40E、田中貴金属工業社製)24.14mgと、グリセリン298mgと、水74.72mgを混合してペーストを調製した。このカソード触媒ペーストを、転写用フィルムであるテフロン(登録商標)シートに塗布した後、135℃の乾燥器内で8時間乾燥させてカソード触媒層を作成した。
<アノード触媒層の作成>
実施例1〜6及び比較例1で得られたPtを被着したα−WC粉末の各20mgと、カーボンブラック(VULCAN XC−72R(Cabot社製、比表面積(BET)254m/g))80mgを乳鉢で混合し、その24.14mgと上記ナフィオン(登録商標)の溶液(濃度5重量%,アルドリッチ社製)230mgと、グリセリン298mgと、水74.72mgを混合しペーストを作製した。このアノード触媒ペーストを、転写用フィルムであるテフロンシート(登録商標)に塗布した後、135℃の乾燥器内で8時間乾燥させてアノード触媒層を作成した。
<転写>
上記アノード触媒層と、カソード触媒層とを固体高分子電解質膜としてデュポン社のナフィオン膜(ナフィオン115(登録商標),厚み127μm)の両面にホットプレスによって135℃、圧力156N/cmで90秒間圧着し、転写によりMEA(面積4cm)を作製した。なお、カソード触媒層中のPt量は単位面積当り0.5mg/cmで、アノード触媒層中の10%Pt90%WC量は単位面積当り0.2mg/cmとした。
[3]電流−電圧曲線測定
マスフローコントローラーにより、上記[2]で作製したMEAのアノードに水素ガス(H100%)を20〜40ml/min、カソードに空気を20〜40ml/minで供給して、電流−電圧曲線測定を行った。セル温度は80℃とし、水素は80℃に保たれた水中を流通させた後にアノードに供給し、空気は25℃に保たれた水中を流通させた後にカソードに供給した。
このときの電圧0.7Vにおける電流値を表1に示した。
また、燃料水素として、CO含有量が10ppm、100ppmのものを用いた場合についても同様にして電圧0.7Vにおける電流値を測定し、結果を表1に示した。また、各々の場合の電流値のH100%の水素ガスを燃料として用いた場合の電流値に対する割合を算出し、結果を表1に示した。なお、表1には、XRDの半値幅により算出した、各例で得られたPtを被着したα−WC粉末とPtの平均粒径も併記した。
Figure 2008021610
表1より明らかなように、各実施例のうち、WNを経由して合成された実施例1と実施例2のPt/WC、WSを経由して合成された実施例3〜6のPt/WCは、WOから合成された比較例1のPt/WCに比べて、48.051゜〜48.204゜のWCによるピークの半値幅が大きく、触媒活性も明らかに向上している。しかも、COを10ppm又は100ppmを含む水素を燃料として用いた場合の電流値も高く、燃料水素がCOを含むことによる電流値の低下も低い。
実施例1〜6より、WN、WS等の特定の前駆化合物を経由して合成されたWCをPtと共に用いることにより、耐CO被毒性が改善され、高いアノード触媒活性が得られることが分かる。
本発明によれば、COを含む水素を燃料として用いても出力低下が少ない高効率なPEFC型燃料電池が安価に提供されるため、その実用化が促進される。

Claims (9)

  1. COを含有する水素を燃料とするPEFC型燃料電池において、
    ホウ化タングステン、窒化タングステン、硫化タングステン、リン化タングステン及びケイ化タングステンからなる群から選ばれる化合物から転化させて得られた炭化タングステンを触媒成分として含有する触媒を用いることを特徴とするPEFC型燃料電池。
  2. 請求項1において、該触媒が、触媒成分として更に白金を含有することを特徴とするPEFC型燃料電池。
  3. 請求項1又は2において、該触媒が、触媒成分として更に周期律表第VIII族元素と白金との合金を含有することを特徴とするPEFC型燃料電池。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項において、該触媒成分が炭素系基体に被着されていることを特徴とするPEFC型燃料電池。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項において、前記水素に含まれるCO濃度が0.01ppm以上100ppm以下であることを特徴とするPEFC型燃料電池。
  6. COを含有する水素を燃料とするPEFC型燃料電池に用いられる触媒において、
    ホウ化タングステン、窒化タングステン、硫化タングステン、リン化タングステン及びケイ化タングステンからなる群から選ばれる化合物から転化させて得られた炭化タングステンを触媒成分として含有することを特徴とするPEFC型燃料電池用触媒。
  7. 請求項6に記載のPEFC型燃料電池用触媒を含む触媒層をイオン交換膜上に形成してなることを特徴とするPEFC型燃料電池用電極材料。
  8. 請求項6に記載のPEFC型燃料電池用触媒を含む触媒層をアノードガス拡散層上又はカソードガス拡散層上に形成してなることを特徴とするPEFC型燃料電池用電極材料。
  9. 請求項6に記載のPEFC型燃料電池用触媒を含む触媒層を転写用フィルム上に形成してなることを特徴とするPEFC型燃料電池用電極材料。
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