JP2008019745A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】内燃機関の制御装置において、内燃機関の全運転領域にて空燃比の学習をより速やかに行うことができる技術を提供する。
【解決手段】内燃機関の排気通路で排気の空燃比を測定する空燃比センサと、内燃機関の運転状態が異なる複数の運転領域で目標空燃比と空燃比センサにより測定される空燃比との差を夫々学習する空燃比誤差学習手段と、空燃比センサよりも上流の排気通路内に燃料を添加する燃料添加手段と、燃料添加手段により燃料が添加されることで空燃比誤差学習手段による学習を禁止する学習禁止手段と、夫々の運転領域において、空燃比誤差学習手段により学習が行なわれた回数に応じて燃料添加手段による燃料添加の頻度を変更する添加頻度変更手段と、を備える。
【選択図】図4
【解決手段】内燃機関の排気通路で排気の空燃比を測定する空燃比センサと、内燃機関の運転状態が異なる複数の運転領域で目標空燃比と空燃比センサにより測定される空燃比との差を夫々学習する空燃比誤差学習手段と、空燃比センサよりも上流の排気通路内に燃料を添加する燃料添加手段と、燃料添加手段により燃料が添加されることで空燃比誤差学習手段による学習を禁止する学習禁止手段と、夫々の運転領域において、空燃比誤差学習手段により学習が行なわれた回数に応じて燃料添加手段による燃料添加の頻度を変更する添加頻度変更手段と、を備える。
【選択図】図4
Description
本発明は、内燃機関の制御装置に関する。
吸入空気量の測定誤差または燃料噴射量の誤差を、空燃比センサにより実際に測定される空燃比(以下、実空燃比という。)と、そのときの計算上の空燃比(以下、計算空燃比)と、の差に基づいて補正することができる。そして、実空燃比と計算空燃比との差、または吸入空気量若しくは燃料噴射量の補正値を、学習値として記憶しておくことにより、それ以降の空燃比を適正化することができる。このように学習値を記憶しておくことを以下「空燃比誤差学習」という。
ところで、内燃機関の排気通路に上流側から燃料添加弁と、NOx触媒とを備え、該NOx触媒に対して燃料を添加することによりNOxを浄化することができる。しかし、燃料添加弁よりも下流に空燃比センサが備えられている場合には、燃料添加弁から添加される燃料により該空燃比センサの出力値が変化するため、実空燃比と計算空燃比との差も変化してしまう。そのため、空燃比誤差学習が困難となる。
これに対し、燃料添加弁から燃料が添加されたときには、前記学習を禁止する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。つまり、学習を行なうのは燃料添加弁から燃料が添加されていないときに限られるので、燃料添加弁から添加された燃料の影響を小さくすることができる。
特開2002−327634号公報
特開2003−214245号公報
しかし、燃料添加の度に空燃比誤差学習を禁止してしまうと、学習の機会が減少してしまう。ここで、燃料添加にはそれに適した運転領域があるため、この運転領域においては、燃料添加が頻繁に行われる。このような運転領域では、学習の機会がより少なくなり、学習自体困難となるおそれがある。
本発明は、上記したような問題点に鑑みてなされたものであり、内燃機関の制御装置において、内燃機関の全運転領域にて空燃比の学習をより速やかに行うことができる技術を提供することを目的とする。
上記課題を達成するために本発明による内燃機関の制御装置は、
内燃機関の排気通路で排気の空燃比を測定する空燃比センサと、
前記内燃機関の運転状態が異なる複数の運転領域で目標空燃比と前記空燃比センサにより測定される空燃比との差を夫々学習する空燃比誤差学習手段と、
前記空燃比センサよりも上流の排気通路内に燃料を添加する燃料添加手段と、
前記燃料添加手段により燃料が添加されることで前記空燃比誤差学習手段による学習を禁止する学習禁止手段と、
夫々の運転領域において、前記空燃比誤差学習手段により学習が行なわれた回数に応じて前記燃料添加手段による燃料添加の頻度を変更する添加頻度変更手段と、
を備えることを特徴とする。
内燃機関の排気通路で排気の空燃比を測定する空燃比センサと、
前記内燃機関の運転状態が異なる複数の運転領域で目標空燃比と前記空燃比センサにより測定される空燃比との差を夫々学習する空燃比誤差学習手段と、
前記空燃比センサよりも上流の排気通路内に燃料を添加する燃料添加手段と、
前記燃料添加手段により燃料が添加されることで前記空燃比誤差学習手段による学習を禁止する学習禁止手段と、
夫々の運転領域において、前記空燃比誤差学習手段により学習が行なわれた回数に応じて前記燃料添加手段による燃料添加の頻度を変更する添加頻度変更手段と、
を備えることを特徴とする。
ここで、目標空燃比と空燃比センサにより測定される空燃比との差に基づいて、燃焼室への燃料供給量または吸入空気量を変更することにより、実際の空燃比を目標空燃比に合わせることができる。そして、燃料供給量または吸入空気量の補正値を求めて記憶しておけば、次回にその補正値を用いることができる。また、目標空燃比と空燃比センサにより測定される空燃比との差を記憶しておけば、次回にこの差に基づいて燃料供給量若しくは吸入空気量の補正値を速やかに求めることができる。このように、空燃比誤差学習手段は、目標空燃比と空燃比センサにより測定される空燃比との差に関する値を記憶することにより学習を行なう。このようにして記憶された値を以下「学習値」という。
なお、目標空燃比と空燃比センサにより測定される空燃比との差とは、「目標空燃比」から「空燃比センサにより測定される空燃比」を減じた値に限らず、「目標空燃比」と「空燃比センサにより測定される空燃比」との比であってもよい。
ところで、内燃機関の運転状態(例えば機関回転数または燃料噴射量)が異なると、前記学習値も異なることがある。そのため、空燃比誤差学習手段は、内燃機関の運転状態が異なる複数の運転領域毎に学習値を求めている。
また、燃料添加手段により燃料添加が行われると、空燃比センサの出力がよりリッチ側となるため、学習値を求めることが困難となる。そのため、学習禁止手段は燃料が添加されている場合に学習を禁止する。なお、燃料が添加されている場合とは、添加された燃料が空燃比センサに検出される場合を含んでいる。
ここで、燃料添加が行われる回数が多い運転領域では、空燃比の学習が制限される回数も多くなるため、空燃比の学習の回数が少なくなる。一方、燃料添加が行われる回数が少ない運転領域では、空燃比の学習をより多く行なうことができるので、学習の回数が多くなる。すなわち、空燃比の学習回数と燃料添加が行われる頻度とには関係があるため、運転領域毎に燃料の添加頻度を変更することにより、その運転領域における学習の回数をコントロールすることができる。
そして、本発明においては、前記添加頻度変更手段は、前記空燃比誤差学習手段による学習の回数が所定値よりも少ない運転領域において、燃料の添加頻度を基準値よりも低くすることができる。
添加頻度を低くするとは、燃料添加の回数をより少なくすることをいい、燃料添加を行なってから次の燃料添加までの時間をより長くすることをいう。ここで、基準値とは、仮に空燃比誤差学習手段による学習を行なわないとしたときに設定される燃料の添加頻度とすることができる。
すなわち、添加頻度を低くすることにより、その運転領域において燃料添加が行われていない期間を長くすることができるため、学習の機会を増加させることができる。ここで、所定値とは、空燃比の学習を正確に行なうために必要となる回数としてもよい。すなわち、学習の回数が所定値よりも少ない場合に、学習の機会を増加させることができるので、学習の回数を所定値まで速やかに増加させることができる。
一方、本発明においては、前記添加頻度変更手段は、前記空燃比誤差学習手段による学習の回数が所定値よりも多い運転領域において、燃料の添加頻度を基準値よりも高くすることができる。
添加頻度を高くするとは、燃料添加の回数をより多くすることをいい、燃料添加を行なってから次の燃料添加までの時間をより短くすることをいう。
すなわち、補正の学習回数が所定値よりも多い場合には、学習の必要性が低いので、燃料添加により学習の機会が減少しても問題は少ない。また、このような領域で燃料添加を行なうことにより、学習回数が少ない他の運転領域で燃料添加が行われる回数を少なくすることができるので、他の運転領域での学習を促進させることができる。
本発明においては、前記添加頻度変更手段は、前記内燃機関が夫々の運転領域で運転される頻度に応じて燃料添加の頻度を変更することができる。
ここで、内燃機関が運転される頻度の高い運転領域では、空燃比の学習の機会も多い。そのため、燃料添加の頻度を高くしても空燃比の学習の機会を得ることができる。しかし、内燃機関が運転される頻度の高い運転領域において学習回数が少ない場合には、燃料添加により学習が禁止される回数が多いと考えられる。
そのため、本発明においては、前記添加頻度変更手段は、前記空燃比誤差学習手段による学習の回数が所定値よりも少ない運転領域において、運転される頻度が高いほど燃料添加の頻度を低くすることができる。
すなわち、運転される頻度が高いほど、本来ならば学習の機会が多いので学習回数は多くなるはずであるが、これにもかかわらず学習の回数が所定値よりも少ないということは、添加頻度がより高いと考えられる。つまり、運転される頻度が高いほど、添加頻度をより低くすることにより、空燃比の学習の機会を多くすることができる。
ただし、運転される頻度が低い領域では、運転される回数が少ないために学習回数が少ないのか、または添加回数が多いために学習回数が少ないのか判断ができない。そのため、本発明では、運転される頻度が高い運転領域において添加頻度を低くしている。
この場合、前記添加頻度変更手段は、前記空燃比誤差学習手段による学習の回数が少ないほど、燃料の添加頻度を低くすることができる。
すなわち、学習の回数が少ないほど、より多くの学習が必要となる。また、学習の回数が少ないほど、燃料の添加頻度がより高くなっているとも考えられる。そして、学習の回数が少ないほど、燃料の添加頻度を低くすることにより、空燃比の学習の機会をより多くすることができるので、学習の回数を速やかに増加させることができる。
また、本発明においては、前記添加頻度変更手段は、前記空燃比誤差学習手段による学習の回数が所定値よりも多い運転領域において、運転される頻度が高いほど燃料の添加頻度を高くすることができる。
すなわち、運転される頻度が高く且つ学習回数が所定値よりも多い場合には、学習の必要性はより低くなる。そのため、燃料の添加頻度をより高くすることができる。また、このような領域で燃料添加を多く行なうことにより、学習回数が少ない他の運転領域で燃料添加が行われる回数を少なくすることができるので、他の運転領域での空燃比の学習を促進させることができる。
本発明においては、前記添加頻度変更手段は、前記空燃比誤差学習手段による学習の回数が多いほど、燃料の添加頻度を高くすることができる。
すなわち、学習の回数が多いほど、学習の必要性がより低くなる。また、学習の回数が多いほど、燃料の添加頻度がより低くなっているとも考えられる。そして、学習の回数が
多いほど、燃料の添加頻度を高くすることにより、他の運転領域で燃料添加が行なわれる回数をより少なくすることができるので、他の運転領域での空燃比の学習をより促進させることができる。
多いほど、燃料の添加頻度を高くすることにより、他の運転領域で燃料添加が行なわれる回数をより少なくすることができるので、他の運転領域での空燃比の学習をより促進させることができる。
本発明においては、前記添加頻度変更手段は、燃料の添加頻度を高くする場合に、全運転領域に対して学習が完了した運転領域の割合が高くなるほど燃料の添加頻度の最大値を低下させ、全運転領域にて学習が完了したときに燃料の添加頻度の最大値を基準値と等しくすることができる。
ここで、全領域において学習の回数が多くなれば、燃料添加の頻度を高くしなくてもよい。そこで、全運転領域に対して空燃比の学習が完了した運転領域の割合が増加するほど添加頻度の最大値を低下させれば、添加頻度が必要以上に高くなることを抑制できる。また、全運転領域にて学習が完了した場合には、添加頻度を高める必要は無いので、基準となる添加頻度とすることができる。
本発明においては、前記添加頻度変更手段は、一の運転領域と近接する他の運転領域で学習された値に応じて、一の運転領域の添加頻度を変更することができる。
ここで、近接する運転領域では、学習値の差が小さい。つまり、内燃機関の運転状態が多少変わったとしても、学習値が大きく変わることはほとんどない。そのため、学習値が大きい運転領域と近接する運転領域では、同様に学習値が大きくなると考えられる。しかし、学習値が大きな運転領域と近接する運転領域で燃料の添加頻度が高いと、空燃比の学習が制限されることになる。ここで、学習値が大きいということは、学習の必要性が高いということであるため、学習値が大きな運転領域と近接する運転領域も空燃比の学習を早期に行うことが望ましい。一方、学習値が小さな運転領域と近接する運転領域では、同様に学習値が小さくなると予想されるので、学習の必要性は低くなる。
すなわち、近接する運転領域で学習された学習値に応じて添加頻度を変更すれば、学習の必要性に応じた添加頻度を設定することができる。例えば、近接する運転領域での学習値がより大きな場合には、燃料添加の頻度をより低くすることにより、学習の機会を増加させることができる。
本発明に係る内燃機関の制御装置は、内燃機関の全運転領域にて空燃比の学習をより速やかに行うことができる。
以下、本発明に係る内燃機関の制御装置の具体的な実施態様について図面に基づいて説明する。
図1は、本実施例に係る内燃機関の制御装置を適用する内燃機関1とその吸・排気系の概略構成を示す図である。図1に示す内燃機関1は、水冷式の4サイクル・ディーゼルエンジンである。
内燃機関1には、該内燃機関の気筒内に燃料を供給する燃料噴射弁11が備えられている。また、内燃機関1には、燃焼室へ通じる排気通路2が接続されている。この排気通路2は、下流にて大気へと通じている。
前記排気通路2の途中には、吸蔵還元型NOx触媒3(以下、NOx触媒3という。)が
設けられている。NOx触媒3は、流入する排気の酸素濃度が高いときは排気中のNOxを吸蔵し、流入する排気の酸素濃度が低く且つ還元剤が存在するときは吸蔵していたNOxを還元する機能を有する。
設けられている。NOx触媒3は、流入する排気の酸素濃度が高いときは排気中のNOxを吸蔵し、流入する排気の酸素濃度が低く且つ還元剤が存在するときは吸蔵していたNOxを還元する機能を有する。
また、NOx触媒3よりも下流の排気通路2には、該排気通路2内を流れる排気の空燃比に応じた信号を出力する空燃比センサ4が取り付けられている。
NOx触媒3よりも上流の排気通路2には、該排気通路2を流通する排気中に還元剤たる燃料(軽油)を添加する燃料添加弁5を備えている。燃料添加弁5は、後述するECU6からの信号により開弁して排気中へ燃料を噴射する。燃料添加弁5から排気通路2内へ噴射された燃料は、排気通路2の上流から流れてきた排気の空燃比をリッチにする。そして、NOx還元時には、NOx触媒3に流入する排気の空燃比を比較的に短い周期でスパイク的(短時間)にリッチとする、所謂リッチスパイク制御を実行する。なお、本実施例においては、燃料添加弁5が、本発明における燃料添加手段に相当する。
さらに、内燃機関1には、燃焼室へ通じる吸気通路7が接続されている。この吸気通路7の途中には、該吸気通路7を流れる空気の量に応じた信号を出力するエアフローメータ8が設けられている。
以上述べたように構成された内燃機関1には、該内燃機関1を制御するための電子制御ユニットであるECU6が併設されている。このECU6は、内燃機関1の運転条件や運転者の要求に応じて内燃機関1の運転状態を制御するユニットである。
また、ECU6には、上記センサの他、運転者がアクセルペダル12を踏み込んだ量に応じた電気信号を出力し機関負荷を検出可能なアクセル開度センサ13、及び機関回転数を検出するクランクポジションセンサ14が電気配線を介して接続され、これら各種センサの出力信号がECU6に入力されるようになっている。一方、ECU6には、燃料噴射弁11および燃料添加弁5が電気配線を介して接続され、該ECU6により燃料噴射弁11および燃料添加弁5の開閉時期が制御される。
ところで、燃料噴射弁11から実際に噴射される燃料量(以下、実燃料量という。)が、ECU6から燃料噴射弁11に対して指示される燃料噴射量(以下、指令燃料量という。)に対して誤差を生じる場合がある。また、エアフローメータ8により検出される吸入空気量(以下、検出空気量という。)が、内燃機関1に実際に吸入される空気量(以下、実空気量という。)に対して誤差を生じる場合がある。これらの場合には、空燃比センサ4により得られる排気の空燃比(以下、実空燃比という。)と、検出空気量および指令燃料量から得られる排気の空燃比(以下、計算空燃比という。)と、で差を生じる。この計算空燃比と実空燃比との比を以下「空燃比誤差」という。
この空燃比誤差は、機関回転数および燃料噴射量に応じて変化するため、本実施例では機関回転数および燃料噴射量に基づいて全運転領域を複数に分割し、夫々の運転領域毎で空燃比誤差を求めている。そして、運転領域毎に空燃比誤差に基づいた補正値が算出される。この補正値は、以後の指令燃料量または検出空気量を補正するための値である。このように空燃比誤差に基づいて指令燃料量または検出空気量の補正値を求め、これらを以後補正することを「学習」または「空燃比誤差学習」と称している。また、このような学習に用いられる空燃比誤差を「学習値」と称している。そして、各運転領域では学習を複数回行なうことにより、精度の高い空燃比制御を実現している。例えば、学習を複数回行なってこの平均値を最終的に空燃比誤差学習値とする。なお、特に断らない限り、以下「運転領域」といえば分割された夫々の運転領域を示すものとする。
ここで、図2は、空燃比誤差学習マップを作成するためのフローを示したフローチャートである。本ルーチンは所定の時間毎に繰り返し実行される。
ステップS101では、学習実行トリガーがONとなっているか否か判定される。学習実行トリガーは、学習が必要となった場合にONとされる。たとえば所定の走行距離毎または所定の運転時間毎にONとされる。さらに、学習に適した運転条件のときにONとしてもよい。たとえば、内燃機関1の暖機が完了しているときにONとしてもよい。ステップS101で肯定判定がなされた場合にはステップS102へ進み、一方否定判定がなされた場合には本ルーチンを一旦終了させる。
ステップS102では、エアフローメータ8の出力信号から実空気量が読み込まれる。
ステップS103では、指令燃料量が読み込まれる。指令燃料量は、ECU6により算出される値が用いられる。
ステップS104では、計算空燃比が求められる。実空気量を指令燃料量で除した値が計算空燃比とされる。
ステップS105では、空燃比センサ4の出力信号から実空燃比が読み込まれる。
ステップS106では、燃料添加弁5から燃料が添加されている最中か、または燃料の添加が終了してから所定の期間内か判定される。すなわち、燃料の添加が原因となる空燃比誤差が生じ得る時期であるか否か判定される。なお、所定の期間とは、燃料添加弁5からの燃料の添加が終了してから、該燃料による影響を空燃比センサ4が受けなくなるまでの時間とすることができる。
ステップS106で肯定判定がなされた場合には空燃比誤差学習を行なわないので本ルーチンを一旦終了させ、一方否定判定がなされた場合にはステップS107へ進む。なお、本実施例においてはステップ106で肯定判定を行なうことにより空燃比誤差学習を行なわないようにするECU6が、本発明における学習禁止手段に相当する。
ステップS107では、空燃比誤差が算出される。計算空燃比を実空燃比で除した値が空燃比誤差とされる。
ステップS108では、機関回転数および燃料噴射量に基づいて、マップに格納するべき運転領域が選択される。すなわち、機関回転数および燃料噴射量に基づいたマップが作成される。なお機関回転数と、吸入空気量(若しくはアクセル開度)と、に基づいてマップを作成してもよい。
ステップS109では、選択された運転領域に学習値(空燃比誤差)が格納される。そして、各運転領域において学習を複数回行ない、各回の学習値が記憶されるとともに、学習を行なった回数も合わせて記憶される。なお、本実施例においてはステップS107からステップ109の処理を実行するECU6が、本発明における空燃比誤差学習手段に相当する。
このようにして、内燃機関1の運転領域毎に空燃比誤差が求められる。そして、本実施例では、ステップS106で示したように、燃料添加弁5から添加された燃料が原因となり空燃比センサ4の出力値が変化するおそれのない時期に空燃比誤差学習を行なうようにしている。
ここで図3は、機関回転数NEと燃料噴射量Qと学習回数との関係の一例を示した図である。機関回転数NEを5つに分割し、燃料噴射量Qを5つに分割することで、全運転領域を25の運転領域に分割している。各運転領域に示した数字は、その運転領域で学習が行なわれた回数である。
例えば、学習が2回以上必要とされる場合には、学習回数が0および1の運転領域では学習回数が不足している。この原因の1つとして、これらの運転領域において燃料の添加が頻繁に行われていることが考えられる。すなわち、燃料の添加中は学習が禁止されるので、燃料の添加が頻繁に行われると、学習の機会が少なくなってしまう。これにより、学習の回数が少なくなると考えられる。
そこで、本実施例では、学習回数が必要回数(例えば2回)に達していない運転領域において、燃料の添加頻度を低下させる。ここで、図4は、本実施例に係る学習回数と添加頻度補正係数との関係を示した図である。添加頻度補正係数とは、燃料の添加頻度を変更するための係数であり、現在の添加頻度に乗じられる。すなわち、添加頻度補正係数が1のときには燃料の添加頻度は変わらない。また、添加頻度補正係数が1よりも小さいときには、燃料の添加頻度が低くなる。すなわち、添加の間隔がより長くなるため、添加の回数が減少する。なお、本実施例においては添加頻度補正係数に基づいて燃料の添加間隔を変更するECU6が、本発明における添加頻度変更手段に相当する。
このように、燃料の添加頻度が低くなると、学習の機会が増加するため学習の回数を増加させることができる。つまり、学習回数の少ない運転領域において、学習回数を必要回数まで速やかに増加させることができる。これにより、内燃機関1の全運転領域にて空燃比の学習をより速やかに行うことができる。また、燃料添加により空燃比誤差を誤って学習するおそれのあるときには学習を行なわないので、正しい学習値を求めることができる。
なお、学習回数が必要回数に達した運転領域では、添加頻度補正係数を1とする。これにより、学習回数が必要回数以上の運転領域において燃料添加の頻度が基準値となるため、燃料の添加不足を抑制することができる。
実施例1では、学習回数が必要回数よりも少ない場合に燃料の添加頻度を低下させている。しかし、例えば新車の場合等で学習を始めたばかりの場合には、どの運転領域においても学習の回数が必要回数よりも少ないため、全運転領域において燃料の添加頻度が低下される。そのため、燃料の添加不足が生じて排気の浄化率が低下するおそれがある。
そこで、本実施例では、各運転領域で運転された回数(以下、使用回数という。)に応じて燃料の添加頻度を補正する。なお、各運転領域で運転された時間に応じて燃料の添加頻度を補正してもよい。また、使用回数に応じて燃料の添加頻度を補正するのは、内燃機関1が夫々の運転領域で運転される頻度に応じて燃料添加の頻度を変更するといえる。
ここで、図5は、本実施例に係る学習回数と添加頻度補正係数との関係を示した図である。
すなわち、使用回数が比較的多いにも関わらず学習回数が必要回数よいも少ない運転領域では、燃料の添加により学習の機会が少なくなっていると考えられる。このような場合には、燃料の添加頻度を基準値よりも低くする。すなわち、添加頻度補正係数を1よりも小さくする。これにより、学習の機会が増加するので、学習回数を増加させることができる。また、学習回数が少ないほど、学習の機会をより多くするために添加頻度をより低く
する。そのため、学習回数が少ないほど、添加頻度補正係数をより小さくする。
する。そのため、学習回数が少ないほど、添加頻度補正係数をより小さくする。
さらに、使用回数が多いほど、より多くの燃料添加が行われたために学習回数が少なくなっていると考えられるため、添加頻度をより低くする。そのため、使用回数が多いほど、添加頻度補正係数をより小さくする。
また、使用回数が比較的少ない場合には、使用回数が少ないことが原因で学習回数が少ないのか、燃料の添加が原因で学習の回数が少ないのか判断することができない。そのため、このような場合には学習回数によらず、添加頻度を基準値とする。すなわち、添加頻度補正係数を1とする。
さらに、使用回数が多く且つ学習回数も多い場合には、既に十分な学習が行なわれているので、燃料の添加頻度を基準値よりも高くする。すなわち、添加頻度補正係数を1よりも大きくする。これにより、燃料の添加不足を抑制することができるので、排気の浄化率を向上させることができる。また、学習回数が多いほど、学習の機会はより少なくても良いため、添加頻度をより低くすることができるの。そのため、学習回数が多いほど、添加頻度補正係数をより大きくする。さらに、使用回数が多いほど、より多くの燃料添加が行われるため、添加頻度をより低くすることができるので、添加頻度補正係数をより小さくする。
このようにして、運転領域全体としては燃料の添加を確保することができるので、学習を始めたばかりのときの燃料の添加不足による排気浄化率の低下を抑制することができる。なお、本実施例においては添加頻度補正係数に基づいて燃料の添加間隔を変更するECU6が、本発明における添加頻度変更手段に相当する。
実施例2では、学習回数および使用回数に基づいて燃料の添加頻度を変更している。この場合、全運転領域で学習が進むと、燃料の添加頻度が基準値よりも高い運転領域が多くなる。そのため、必要以上に燃料添加が行われることになり、燃費が悪化するおそれがある。
そこで、本実施例では、学習が進むにしたがって添加頻度補正係数の最大値を小さくする。ここで、図6は、全運転領域に占める学習が完了した運転領域の割合と、添加頻度補正係数との関係を示した図である。
学習が完了した運転領域とは、学習回数が必要回数以上となった運転領域である。学習が完了した運転領域の割合が大きくなるほど、添加頻度補正係数の最大値を小さくする。そして、全運転領域で学習が完了した場合には、添加頻度補正係数の最大値が1となるようにする。すなわち、全運転領域において学習が完了した場合に添加頻度補正係数を1とすることにより、燃料の添加頻度が基準の状態に戻る。
学習が完了した運転領域の割合が低いほど、燃料の添加頻度がより高くされるため、学習が完了した運転領域における添加頻度補正係数の最大値がより大きくされるので、燃料の添加不足を抑制することができる。つまり、学習が完了した運転領域の割合が低いほど、より多くの運転領域で燃料の添加頻度が基準値よりも低くされるが、学習が完了した運転領域における燃料の添加頻度がより高くされるので、燃料の添加不足を抑制できる。
一方、学習が完了した運転領域の割合が高くなるほど、添加頻度補正係数の最大値が小さくされることにより1に近づけられるので、学習が完了した運転領域における燃料の添加頻度が基準値に近づけられる。これにより、必要以上の燃料が添加されることが抑制で
きる。つまり、学習が完了した運転領域の割合が高くなるほど、燃料の添加頻度が基準値よりも低い運転領域がより減少しているということになるため、学習が完了した運転領域で燃料の添加頻度を高くする必要性はより低くなる。そして、学習が完了した運転領域で燃料の添加頻度を低くすることにより、必要以上の燃料が添加されることを抑制できる。
きる。つまり、学習が完了した運転領域の割合が高くなるほど、燃料の添加頻度が基準値よりも低い運転領域がより減少しているということになるため、学習が完了した運転領域で燃料の添加頻度を高くする必要性はより低くなる。そして、学習が完了した運転領域で燃料の添加頻度を低くすることにより、必要以上の燃料が添加されることを抑制できる。
ここで、添加頻度補正係数の最小値を小さくするには、図5において、学習回数の増加量に対する添加頻度補正係数の増加量を小さくしてもよい。すなわち、図5に示した線の傾きをより水平側にしてもよい。また、図5において、学習回数の増加量に対する添加頻度補正係数の増加量は変えないで、学習回数が所定値以上となったときに添加頻度補正係数を1よりも大きな一定の値としてもよい。
なお、本実施例においては添加頻度補正係数に基づいて燃料の添加間隔を変更するECU6が、本発明における添加頻度変更手段に相当する。
実施例1から3では、対象となる運転領域の学習回数または使用回数に基づいて、該対象となる運転領域における燃料の添加頻度を変更している。
ここで、隣り合う運転領域では、学習値が近い値になる。すなわち、隣り合う運転領域では機関回転数および燃料噴射量が近い値となっており、運転領域が1つ隣に移っただけでは、実空燃比が大きく変化することはほとんどない。そのため、学習値も大きく変化することがなく、該学習値が近い値となる。
したがって、学習値が大きな運転領域と隣り合う運転領域では、学習値が大きくなると予想される。このような運転領域では、燃料を添加してもNOx触媒3における空燃比を適正な値にすることができない。そのため、学習値が大きくなると予想され且つ学習が完了していない運転領域では、学習の必要性がより高い。
そこで、本実施例では、このような学習の必要性がより高い運転領域において優先的に学習を行なうことができるように燃料の添加頻度を低下させる。なお、隣り合う運転領域とは、例えば図3において1つの運転領域を取り囲む8つの運転領域をいう。このように対象となる運転領域と隣り合う運転領域を以下、近接領域という。
図7は、近接領域における学習値の最大値と、添加頻度補正係数との関係を示した図である。近接領域において学習値が高くなるほど、添加頻度補正係数を小さくしている。
つまり、近接領域における空燃比誤差の最大値を求め、この最大値が大きいほど燃料の添加頻度を低くしている。すなわち、近接領域の空燃比誤差の最大値が大きいほど、対象となる運転領域において空燃比誤差学習をより速やかに行なうことが望ましいので、燃料の添加頻度を低くすることにより、学習の機会をより多くしている。
なお、近接領域における空燃比誤差の最大値が閾値よりも高くなった場合には、対象となる運転領域の燃料添加を禁止する。つまり、空燃比誤差が許容範囲を超える場合には燃料添加を禁止することで、対象となる運転領域で運転されるときに速やかに学習を行なうことができる。
また、近接領域における空燃比誤差の最大値が0の場合には、対象となる運転領域も空燃比誤差がほとんど無いと考えられるので、燃料の添加頻度を基準値とする。これにより、燃料の添加不足が起こることを抑制できる。
このようにして、空燃比誤差が大きな運転領域において優先的に空燃比誤差学習を行なうことができる。なお、本実施例においては添加頻度補正係数に基づいて燃料の添加間隔を変更するECU6が、本発明における添加頻度変更手段に相当する。
1 内燃機関
2 排気通路
3 NOx触媒
4 空燃比センサ
5 燃料添加弁
6 ECU
7 吸気通路
8 エアフローメータ
11 燃料噴射弁
12 アクセルペダル
13 アクセル開度センサ
14 クランクポジションセンサ
2 排気通路
3 NOx触媒
4 空燃比センサ
5 燃料添加弁
6 ECU
7 吸気通路
8 エアフローメータ
11 燃料噴射弁
12 アクセルペダル
13 アクセル開度センサ
14 クランクポジションセンサ
Claims (10)
- 内燃機関の排気通路で排気の空燃比を測定する空燃比センサと、
前記内燃機関の運転状態が異なる複数の運転領域で目標空燃比と前記空燃比センサにより測定される空燃比との差を夫々学習する空燃比誤差学習手段と、
前記空燃比センサよりも上流の排気通路内に燃料を添加する燃料添加手段と、
前記燃料添加手段により燃料が添加されることで前記空燃比誤差学習手段による学習を禁止する学習禁止手段と、
夫々の運転領域において、前記空燃比誤差学習手段により学習が行なわれた回数に応じて前記燃料添加手段による燃料添加の頻度を変更する添加頻度変更手段と、
を備えることを特徴とする内燃機関の制御装置。 - 前記添加頻度変更手段は、前記空燃比誤差学習手段による学習の回数が所定値よりも少ない運転領域において、燃料の添加頻度を基準値よりも低くすることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
- 前記添加頻度変更手段は、前記空燃比誤差学習手段による学習の回数が所定値よりも多い運転領域において、燃料の添加頻度を基準値よりも高くすることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
- 前記添加頻度変更手段は、前記内燃機関が夫々の運転領域で運転される頻度に応じて燃料添加の頻度を変更することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
- 前記添加頻度変更手段は、前記空燃比誤差学習手段による学習の回数が所定値よりも少ない運転領域において、運転される頻度が高いほど燃料添加の頻度を低くすることを特徴とする請求項4に記載の内燃機関の制御装置。
- 前記添加頻度変更手段は、前記空燃比誤差学習手段による学習の回数が少ないほど、燃料の添加頻度を低くすることを特徴とする請求項2または5に記載の内燃機関の制御装置。
- 前記添加頻度変更手段は、前記空燃比誤差学習手段による学習の回数が所定値よりも多い運転領域において、運転される頻度が高いほど燃料の添加頻度を高くすることを特徴とする請求項4に記載の内燃機関の制御装置。
- 前記添加頻度変更手段は、前記空燃比誤差学習手段による学習の回数が多いほど、燃料の添加頻度を高くすることを特徴とする請求項3または7に記載の内燃機関の制御装置。
- 前記添加頻度変更手段は、燃料の添加頻度を高くする場合に、全運転領域に対して学習が完了した運転領域の割合が高くなるほど燃料の添加頻度の最大値を低下させ、全運転領域にて学習が完了したときに燃料の添加頻度の最大値を基準値と等しくすることを特徴とする請求項3、7、8の何れかに記載の内燃機関の制御装置。
- 前記添加頻度変更手段は、一の運転領域と近接する他の運転領域で学習された値に応じて、一の運転領域の添加頻度を変更することを特徴とする請求項1から9の何れかに記載の内燃機関の制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006190719A JP2008019745A (ja) | 2006-07-11 | 2006-07-11 | 内燃機関の制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2006190719A JP2008019745A (ja) | 2006-07-11 | 2006-07-11 | 内燃機関の制御装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2008019745A true JP2008019745A (ja) | 2008-01-31 |
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ID=39075897
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2006190719A Withdrawn JP2008019745A (ja) | 2006-07-11 | 2006-07-11 | 内燃機関の制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2008019745A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012117428A (ja) * | 2010-11-30 | 2012-06-21 | Isuzu Motors Ltd | 燃料噴射制御装置 |
WO2016039455A1 (ja) * | 2014-09-12 | 2016-03-17 | いすゞ自動車株式会社 | 内燃機関の制御装置 |
JP2016084754A (ja) * | 2014-10-27 | 2016-05-19 | いすゞ自動車株式会社 | 排気浄化システム |
-
2006
- 2006-07-11 JP JP2006190719A patent/JP2008019745A/ja not_active Withdrawn
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2012117428A (ja) * | 2010-11-30 | 2012-06-21 | Isuzu Motors Ltd | 燃料噴射制御装置 |
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JP2016061149A (ja) * | 2014-09-12 | 2016-04-25 | いすゞ自動車株式会社 | 内燃機関の制御装置 |
JP2016084754A (ja) * | 2014-10-27 | 2016-05-19 | いすゞ自動車株式会社 | 排気浄化システム |
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