JP2008002544A - 等速自在継手 - Google Patents

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Abstract

【課題】止め輪(サークリップ)等の部品を使用することなく内輪周り部品の抜けを防止でき、内輪周り部品を外輪に組み込んだ状態での搬送(取り扱い)が容易となり、組み立て作業性(生産性)の向上を図ることが可能な等速自在継手を提供する。
【解決手段】内輪21の外周面と外輪22の内周面の各々に直線状のトラック溝26、27を軸方向に対して互いに反対方向に傾斜させた状態で軸方向に形成し、両トラック溝26、27の交叉部にボール23を組み込み、それらボール23を内輪21の外周面と外輪22の内周面との間に配置したケージ24により保持して、外輪22に対して内輪周り部品45が軸方向にスライド可能に構成される等速自在継手である。外輪22のトラック溝27のピッチ円径と内輪21のトラック溝26のピッチ円径との差であるPCDすきまを、少なくとも内輪周り部品組込み側を内輪周り部品45の抜け止め用に小さくした。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車や各種産業機械などに用いられる動力伝達装置である等速自在継手に関し、特に、摺動タイプのクロスグルーブ型等速自在継手に関する。
クロスグルーブ型等速自在継手はプロペラシャフト用やドライブシャフト用に使用されている。クロスグルーブ型等速自在継手には、フロートタイプとノンフロートタイプの二種類に大別され、両タイプはプロペラシャフトが装備される車両の特性(スライド量など)に応じて使い分けられている。
フロートタイプの等速自在継手を図7に示し、ノンフロートタイプの等速自在継手を図10に示し、この両タイプの等速自在継手は、内輪1、外輪2、ボール3およびケージ4を主要な構成要素としている。
内輪1は、その外周面に複数のトラック溝6が形成されている。この内輪1の中心孔5にプロペラシャフトのスタブシャフト8を挿入してスプライン嵌合させ、そのスプライン嵌合により両者間でトルク伝達可能としている。なお、スタブシャフト8は、スナップリング11により内輪1に対して抜け止めされている。
そして、外輪2は、内輪1の外周に位置し、その内周面に内輪1のトラック溝6と同数のトラック溝7が形成されている。内輪1のトラック溝6と外輪2のトラック溝7は軸線に対して反対方向に傾斜した角度をなし、対をなす内輪1のトラック溝6と外輪2のトラック溝7との交叉部にボール3が組み込まれている。内輪1と外輪2の間にケージ4が配置され、ボール3は、ケージ4のポケット9内に保持されている。
そして、図示省略の車両取付け用フランジ(コンパニオンフランジ)側にエンドキャップ10が装着されている。エンドキャップ10は、外周側の外輪嵌合部10aと、反外輪側に膨出する深皿状部10bとを備える。外輪嵌合部10aが、フランジ側の外輪端面2aおよび外輪外周面の一部(フランジ側の一部)に嵌合する。
この際、車両取付け用フランジと外輪2とでエンドキャップ10を挟み込んだ状態で、外輪2の挿通孔17に挿通されるボルト部材を、車両取付け用フランジのねじ孔に螺合させる。これによって、この等速自在継手が車両取付け用フランジに締結される。すなわち、エンドキャップ10は車両取付け用フランジに締結される際のボルト締めにより固定される。
外輪2の反フランジ側には密封装置が装着されている。この密封装置はゴムや樹脂からなるブーツ12と金属製のブーツアダプタ13とからなる。ブーツ12は小端部12aと大端部12bを有し、中間にてV字形に折り返した格好になっている。ブーツアダプタ13は、円筒状部13aと、外輪嵌合部13bとを有し、この外輪嵌合部13bが外輪2の反フランジ側端面2bおよび外輪2の外周面の一部(反フランジ側の一部)に嵌合する。
このブーツアダプタ13も、前記ボルト部材によるボルト締めにより外輪2に固定される。また、ブーツ12の小端部12aはスタブシャフト8に取り付けてブーツバンド14で締め付けられている。ブーツ12の大端部12bはブーツアダプタ13の端部を加締めて保持されている。
また、フロートタイプは、ケージ4の最小内径が内輪1の最大外径よりも小さく設定され、ノンフロートタイプは、ケージ4の最小内径が内輪1の最大外径よりも大きく設定されている。
このため、フロートタイプでは、図8(a)(b)に示すように、軸方向変位量は比較的小さい。すなわち、図8(a)に示すように、外輪2に対して内輪1、ボール3およびケージ4等からなる内輪周り部品15が、エンドキャップ10側へ移動した際には、内輪1がケージ4に接触して、そのエンドキャップ10側へ移動が規制される。また、図8(b)に示すように、内輪周り部品15が、反エンドキャップ側へ移動した際には、内輪1がケージ4に接触して、反エンドキャップ側へ移動が規制される。
図8(a)において、Aは継手中心を示し、A2は内輪周り部品15がエンドキャップ10側へ最大に移動した際の内輪1の中心線を示し、A1は内輪周り部品15がエンドキャップ10側へ最大に移動した際のボール3の中心線を示している。図8(b)において、Aは継手中心を示し、A4は内輪周り部品15が反エンドキャップ側へ最大に移動した際の内輪1の中心線を示し、A3は内輪周り部品15が反エンドキャップ側へ最大に移動した際のボール3の中心線を示している。このため、継手中心Aからエンドキャップ10側へのボール3の最大移動量がXであり、継手中心Aからエンドキャップ10側への内輪1の最大移動量がX1である。また、継手中心Aから反エンドキャップ側へのボール3の最大移動量がXであり、継手中心Aから反エンドキャップ側への内輪1の最大移動量がX1である。すなわち、継手中心Aにボール中心が一致した状態(中立状態)からエンドキャップ側へスライドする軸方向変位可能量と中立状態から反エンドキャップ側へスライドする軸方向変位可能量とが同じである。
フロートタイプでは、内輪周り部品15の軸方向位置と作動角との関係は図9に示すようになる。すなわち、スライドイン状態(図8(a)に示す状態)では、エンドキャップ側で内輪1とケージ4とが干渉し、スライドアウト状態(図8(b)に示す状態)では、反エンドキャップ側で内輪1とケージ4とが干渉する。また、スライドイン状態とスライドアウト状態で作動角をとった場合では、ブーツアダプタ13とブーツバンド14とが干渉する。
これに対して、ノンフロートタイプでは、図10と図11に示すように、ケージ4の最小内径が内輪1の最大外径よりも大きく設定されているため、軸方向変位がフロートタイプよりも大きくとることができる。そのため、ノンフロートタイプでは、フロートタイプのように、内輪1とケージ4との干渉で軸方向変位規制を行うことができない。
また、ノンフロートタイプの等速自在継手の組立は、一般的に、図14に示すような方法で行われる。すなわち、図14(a)に示すように、片側(この場合、外輪2の他端面2b側)において、外輪2とケージ4と内輪1とを軸方向に沿ってずらせて(いわゆる段違いとして)、全てのボール3をケージ4のポケット9に収容する。その後、矢印方向に沿って外輪2内に押し込むことによって、図14(b)のように、内輪1とケージ4とボール3とを外輪2に収容することができる。
このため、片側(この場合、外輪2の他端面2b)から組み込むことになるので、軸方向にスライドさせない状態でのボール中心が、他端面2b寄りに配置されるように設定している。すなわち、この場合の継手中心Bが、外輪2の他端面2b側に寄っている。そのため、図11(a)に示すように、外輪2の一端面2a側に内輪周り部品15がスライドした場合、図12に示すように、ボール3とケージ4のポケット9との干渉によってこの方向へのスライドを規制することができる。なお、図11(a)において、B2は内輪周り部品が外輪2の一端面2a側に最大にスライドした際の内輪1の中心線であり、B1はボール中心線である。
しかしながら、外輪2の他端面2b側に内輪周り部品15がスライドした場合、継手中心Bから外輪2の端面2bまでの寸法が短いので、ボール3とケージ4のポケット9との干渉によってそのスライドを規制できない。このため、図11(b)に示すように、密封装置のブーツアダプタ13の一部16(円筒状部13aと外輪嵌合部13bとの間のコーナ部にボール3に対応して形成される円弧状膨出部)に当接させて、内輪周り部品15の外輪2の他端面2b側へのスライドを規制することになる。なお、図11(b)において、B4は内輪周り部品15が外輪2の他端面2b側に最大にスライドした際の内輪1の中心線であり、B3はボール中心線である。
すなわち、ノンフロートタイプでは、内輪周り部品15の軸方向位置と作動角との関係は図13に示すようになる。スライドイン状態(図11(a)に示す状態)では、エンドキャップ側でボール3とケージ4のポケット9とが干渉し、またはボール3とエンドキャップ10とが干渉し、また、スライドアウト状態(図11(b)に示す状態)では、ボール3とブーツアダプタ13とが干渉する。さらに、スライドイン状態とスライドアウト状態の間で作動角をとった場合では、ブーツアダプタ13とブーツバンド14とが干渉する。
ところで、ジョイントサブアッシー(等速自在継手のみ)の製造工場と、シャフトを含めた総アッシー組立工場とが異なる場所にある場合がある。このような場合、サブアッシー工場から、サブアッシー状態で総アッシー組立工場に搬送しなくてはならない。
このため、従来技術で記載したように、ノンフロートタイプの等速自在継手の場合、サブアッシー状態では、ブーツアダプタ13が装着されていないので、片側のスライド規制がない。このため、搬送途中や、プロペラシャフトの組立てが完了する(厳密には、ブーツアダプタ13又はエンドキャップ10を取付ける)までの間に、内輪周り部品15が外輪2から外れてしまうおそれがある。そこで、十分な梱包形態をとるとともに、組立作業においては外れないように十分な注意を払う必要があった。
このため、従来には、内輪周り部品の抜けを規制するために、サークリップ(止め輪)を使用したものがある(特許文献1、特許文献2、及び特許文献3)。
特開平7−42752号公報 実開平6−32755号公報 実開平6−32756号公報
このように、従来のノンフロートタイプの等速自在継手においては、前記特許文献1等に記載のように、外輪内径部等にサークリップを設けることになる。しかしながら、サークリップを設けると、内輪周り部品のスライド量を十分に確保できなくなる。また、スライド量を確保しようとすると、外輪にクリップを取付けるための長さが必要である。このため、外輪幅が増大するとともに、重量増となる。
本発明は、上記課題に鑑みて、止め輪(サークリップ)等の部品を使用することなく内輪周り部品の抜けを防止でき、内輪周り部品を外輪に組み込んだ状態での搬送(取り扱い)が容易となり、組み立て作業性(生産性)の向上を図ることが可能な等速自在継手を提供する。
本発明の等速自在継手は、内輪の外周面と外輪の内周面の各々に直線状のトラック溝を軸方向に対して互いに反対方向に傾斜させた状態で軸方向に形成し、両トラック溝の交叉部にボールを組み込み、それらボールを前記内輪の外周面と外輪の内周面との間に配置したケージにより保持して、外輪に対して内輪周り部品が軸方向にスライド可能に構成した等速自在継手において、外輪のトラック溝のピッチ円径と内輪のトラック溝のピッチ円径との差であるPCDすきまを、少なくとも内輪周り部品組込み側を内輪周り部品の抜け止め用に小さくしたものである。
本発明の等速自在継手によれば、外輪のトラック溝のピッチ円径と内輪のトラック溝のピッチ円径との差であるPCDすきまを、内輪周り部品組込み側のみを小さくすることによって、内輪周り部品の抜け止めを可能としている。このため、止め輪(サークリップ)等の部品を使用することなく、十分なスライドを確保しつつ内輪周り部品の抜けを防止することができる。
反内輪周り部品組込み側を内輪周り部品の抜け止め用に小さくすることも可能である。すなわち、外輪の両軸方向端部において、内輪周り部品の抜け止めを可能としている。このため、ケージのポケットに干渉するまでの軸方向長さを、外輪が確保する必要がなくなって、外輪の軸方向長さを短く設定することができる。
小であるPCDすきまをδとしたときに、−0.100mm≦δ<−0.03mmに設定するとともに、他のPCDすきまをδ1としたときに、−0.030mm≦δ1≦0mmに設定することができる。
小であるPCDすきまをδとしたときに、−0.100mm≦δ<−0.03mmに設定するとともに、他のPCDすきまをδ1としたときに、0mm<δ1≦+0.03mmに設定することもできる。
本発明の等速自在継手によれば、止め輪(サークリップ)等の部品を使用することなく、十分なスライドを確保しつつ内輪周り部品の抜けを防止することができる。すなわち、止め輪(サークリップ)等の部品を使用しない分、部品点数の減少を図って、組立性(生産性)の向上を図ることができるとともに、軸方向長さ及び重量の減少が可能となる。
外輪の両軸方向端部においても、内輪周り部品の抜け止めを可能とできる。このため、ケージのポケットに干渉するまでの軸方向長さを、外輪が確保する必要がなくなって、外輪の軸方向長さを短く設定することができる。すなわち、軸方向長さ及び重量の減少を一層可能となる。
以下、本発明の実施の形態を図1〜図6に基づいて説明する。
図1に本発明の等速自在継手の要部を示し、この等速自在継手は、ノンフロートタイプであって、内輪21、外輪22、ボール23およびケージ24を主要な構成要素としている。
内輪21は、その外周面に複数のトラック溝26が形成されている。この内輪21の中心孔5にプロペラシャフトのスタブシャフト(図示省略)を挿入してスプライン嵌合させ、そのスプライン嵌合により両者間でトルク伝達可能としている。
そして、外輪22は、内輪21の外周に位置し、その内周面に内輪21のトラック溝26と同数のトラック溝27が形成されている。内輪21のトラック溝26と外輪22のトラック溝27は軸線に対して反対方向に傾斜した角度をなし、対をなす内輪21のトラック溝26と外輪22のトラック溝27との交叉部にボール23が組み込まれている。内輪21と外輪22の間にケージ24が配置され、ボール23は、ケージ24のポケット29内に保持されている。
また、外輪22の車両取付け用フランジ(コンパニオンフランジ)側に図7に示すようなエンドキャップが装着され、反フランジ側に図7に示すような密封装置が装着されている。なお、外輪22の一端面22a側の外周面には、エンドキャップが装着されるための切欠凹溝35が設けられている。さらに、内輪21の中心孔25にプロペラシャフトのスタブシャフト(図示省略)を挿入してスプライン嵌合させ、そのスプライン嵌合により両者間でトルク伝達可能としている。
この際、車両取付け用フランジと外輪22とでエンドキャップを挟み込んだ状態で、外輪22の挿通孔37に挿通されるボルト部材を、車両取付け用フランジのねじ孔に螺合させる。これによって、この等速自在継手が車両取付け用フランジに締結される。すなわち、エンドキャップ10は車両取付け用フランジに締結される際のボルト締めにより固定される。
この等速自在継手においては、継手中心Bは外輪22の軸方向中心よりも外輪22の他端面22b側に寄っている。また、図2と図3に示すように、外輪22のトラック溝27は、PCDが大の第1部(PCD1)40と、PCDが小の第2部(PCD2)41とがある。第2部41は、外輪22の他端面22b側に設けられて、この他端面22bに開口している。
ところで、この種の等速自在継手において、外輪22のトラック溝27及び内輪21のトラック溝26とが軸方向でクロスしているので、継手内部すきま(PCDすきま)を締代で設定できる。このため、内部すきまの円周方向ガタがなくなり、高速で回転するプロペラシャフトに適している。ここで、継手内部すきま(PCDすきま)とは、外輪22のトラック溝27のピッチ円径と内輪21のトラック溝26のピッチ円径との差である。
しかしながら、このPCDすきまを締代で設定すると、スライド抵抗が発生する。スライド抵抗の過大化は、プロペラシャフトの車両取付け作業の低下、継手内部の発熱上昇による寿命低下、及び車両振動発生等を招く。従って、継手内部の周方向ガタがなく、スライド抵抗が過大とならない最適PCDすきま(締代)としては、−0.030mm≦PCDすきま≦0mmに設定するのが好ましい。
すなわち、PCDすきまが−0.030mmよりも小さければ(締代が大きければ)、スライド抵抗が過大となり、逆にPCDすきまが0mmよりも大きければ、正すきまとなって、円周方向ガタが生じる。
このため、PCDが大の第1部(PCD1)40における範囲L1において、このPCDすきまをδとした場合、−0.030mm≦δ≦0mmに設定する。また、PCDが小の第2部(PCD2)41における範囲L2において、このPCDすきまをδ1とした場合、−0.100mm≦δ1<0.030mmに設定する。
範囲L1のPCDすきまを前記のように設定することによって、スライド抵抗が過大とならず、しかもガタも生じることなく内輪周り部品45がこの範囲L1を滑らかにスライド することができる。
範囲L2のPCDすきまを前記のように設定することによって、内輪周り部品45(内輪21とケージ24とボール23等からなる)がこの外輪22の他端面22b側にスライドした際に、この範囲L2においては、スライド抵抗が過大となる。このため、このスライド抵抗により内輪周り部品45の外輪22の他端面22b側へのスライド規制となる。
なお、範囲L2におけるPCDすきまδ1の最小値(締代最大値)を−0.100mmとしたのは、これ以上の締代に設定すると、内輪周り部品45を外輪22に組み込むことが困難となる。このため、組込み作業性、内輪周り部品45の抜け力を考慮すれば、この範囲L2でのPCDすきまδ1を、−0.07mm≦δ1≦0.040mmとするのが好ましい。
また、車両によっては、厳しい使われ方をする場合(高温雰囲気下での高速回転状態等)がある。この際、内部発熱温度上昇の懸念から、必要スライド範囲(範囲L1)のPCDすきまδを正すきまに設定するのが好ましい。このため、範囲L1のPCDすきまδを、0mm<δ≦+0.030mm(正すきま)に設定することになる。この際、範囲L2のPCDすきまδ1を、−0.100mm≦δ<−0.030mm、好ましくは−0.070mm≦δ≦−0.040mmに設定する。
なお、範囲L1のPCDすきまδの上限値を+0.030mmに設定したのは、これ以上PCDすきまを大きくすると、継手内部の円周方向ガタが過大となり、車両振動特性の悪化を招くおそれがあるからである。
前記のように構成された等速自在継手によれば、図1(a)で示すように、内輪周り部品45が外輪22の一端面22a側へスライドした場合には、ボール23とケージ24のポケット29との干渉によってそのスライドを規制することができる。また、図1(b)に示すように、内輪周り部品45が外輪22の他端面22b側へスライドした場合には、前記したように、範囲L2においてスライド抵抗が過大となって、内輪周り部品45の外輪22の他端面22b側へのスライド規制が規制される。
図1において、Bは継手中心であり、B1は内輪周り部品45が外輪22の一端面22a側に最大にスライドした際のボール23の中心線であり、B2は内輪21の中心線であり、B3は内輪周り部品45が外輪22の他端面22b側に最大にスライドした際のボール23の中心線であり、B4は内輪21の中心線である。
このため、内輪周り部品45のスライド範囲は、B2とB4との間の範囲であり、ボール移動範囲は、B1とB3との間の範囲である。
このように本発明では、外輪22のトラック溝27のピッチ円径と内輪21のトラック溝26のピッチ円径との差であるPCDすきまを、内輪周り部品組込み側のみを小さくすることによって、内輪周り部品45の抜け止めを可能としている。このため、止め輪(サークリップ)等の部品を使用することなく、十分なスライドを確保しつつ内輪周り部品の抜けを防止することができる。すなわち、止め輪(サークリップ)等の部品を使用しない分、部品点数の減少を図って、組立性(生産性)の向上を図ることができるとともに、軸方向長さ及び重量の減少が可能となる。
ところで、前記実施形態では、PCDすきまが小となる部位を外輪22の他端面22b側に設けられているが、PCDすきまが小となる部位を外輪22の一端面22a側に設けてもよい。
すなわち、図4の下半分に示すように、外輪22の他端面22b側の範囲L12において、トラック溝27のPCDを小とするとともに、外輪22の一端面22a側の範囲L13において、トラック溝27のPCDを小としている。また、範囲L12と範囲L13との間の範囲L11は、トラック溝27のPCDを大として、PCDすきまδを大きく(−0.030mm≦δ≦0mm)している。なお、このように、軸方向両端部側にPCDすきまが小となる範囲を設ける場合、上半部ももちろん軸方向両端部側にPCDすきまが小となる範囲を設けることになる。すなわち、図4においては、比較のために、上半分は外輪22の一端面22a側にトラック溝27のPCDを小となる範囲を設けていない図1に示す等速自在継手を示している。
このため、図4に示す等速自在継手の下半分に示すように、外輪22の両軸方向端部側の範囲L12、L13において、PCDすきまδ1、δ1が例えば、−0.100mm≦δ1<0.030mmとなって、スライド抵抗が過大となる。
このように、外輪22の両軸方向端部において、内輪周り部品45の抜け止めを可能とすれば、ケージ24のポケット29に干渉するまでの軸方向長さを、外輪22が確保する必要がなくなって、外輪22の軸方向長さを短く設定することができる。すなわち、図4の上半分と下半分とを比較すれば分かるように、両側(外輪22の一端面22a側及び他端面22b側)に設けたものは、PCDすきまを小とする範囲L2のみが片方(外輪22の他端面22b側)に設けたものよりも軸方向長さが寸法Cだけ短くすることができる。このため、軸方向長さ及び重量の減少が一層可能となる。
また、前記実施形態では、外輪22のトラック溝27のPCDを2種類設けることによって、大のPCDすきまと小のPCDすきまとを設けていたが、図5と図6に示すように、内輪21においてPCDを2種類設けることによって、大のPCDすきまと小のPCDすきまとを設けてもよい。
すなわち、この等速自在継手においては、内輪21のトラック溝26に、PCDが小の第1部(PCD3)46と、PCDが大の第2部(PCD4)47とを設けている。第2部47は、内輪21の一端面21a側に設けられて、この一端面21aに開口している。
このため、PCDが小の第1部(PCD3)46における範囲L15において、PCDすきまδを、−0.030mm≦δ≦0mmに設定することができる。また、PCDが大の第2部(PCD4)47における範囲L16において、PCDすきまδ1を−0.100mm≦δ1<0.030mmに設定することができる。この際、さらには−0.07mm≦δ1≦0.040mmに設定するのが好ましい。
なお、この場合であっても、範囲15のPCDすきまδを0mm<δ≦+0.030mm(正すきま)に設定することができる。この際、範囲L16のPCDすきまδ1を、−0.100mm≦δ<−0.030mm、好ましくは−0.070mm≦δ≦−0.040mmに設定する。
このように、内輪21のトラック溝26に、PCDが大となる部位とPCDが小となる部位とを設けることによって、範囲L16のPCDすきまを他の範囲L15のPCDすきまよりも小さくして、この範囲L16において、スライド抵抗が過大となるようにできる。
したがって、この図5と図6に示す内輪21を使用しても、前記図1に示す外輪22を使用したものと同様の作用効果を奏することができる。なお、図5において、範囲L17はボール移動範囲である。
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であって、例えば、内輪21のトラック溝26及びこれに対抗する外輪22のトラック溝27のそれぞれにPCD寸法を設定して、スライド抵抗が過大となるPCDすきまを形成するようにしてもよい。また、スライド抵抗が過大となるPCDすきまを軸方向両端に設ける場合、図1に示すものと図5と図6に示すものとを組み合わせてもよい。また、図5に示すように、内輪21のトラック溝26にPCDが大となる部位とPCDが小となる部位とを設ける場合、内輪21の他端面21b側に、PCDすきまが小となるように設定することができる。また、PCDすきまが小となるよう範囲L2等としては、ボール移動を確保できる範囲内において任意に設定できる。
PCD寸法仕上げの加工方法としては、トラック溝加工を研削、ハードミーリング等にて行うことができる。図1に示す外輪22を加工する場合、一端面22a側から加工治具を挿入して、範囲L1の加工を範囲L2の加工よりも数多く加工(数多く往復加工)すればよい。これによって、範囲L1のPCD寸法をL2のPCD寸法よりも大きくすることができる。なお、図4に示すように、軸方向両端側を加工する場合、軸方向中間部の範囲L11を数多く加工(数多く往復加工)すればよい。また、内輪21側を加工する場合、範囲L15を数多く加工(数多く往復加工)すればよい。
本発明の等速自在継手の要部を示し、(a)は内輪周り部品が外輪の一端面側にスライドした状態の断面図であり、(b)は内輪周り部品が外輪の他端面側にスライドした状態の断面図である。 前記等速自在継手の外輪の断面図である。 前記等速自在継手の外輪の要部拡大断面図である。 外輪の軸方向両端部にPCDすきまを小とした範囲を有する場合と、外輪の軸方向一端部側にのみPCDすきまを小とした範囲を有する場合とを比較する断面図である。 他の実施形態の内輪の断面図である。 前記図5の内輪の要部拡大断面図である。 従来の等速自在継手の断面図である。 前記図7の等速自在継手の要部を示し、(a)は内輪周り部品が外輪の一端面側にスライドした状態の断面図であり、(b)は内輪周り部品が外輪の他端面側にスライドした状態の断面図である。 前記図7に示す等速自在継手の内輪周り部品のスライド範囲を示すグラフ図である。 従来の他の等速自在継手の断面図である。 前記図10の等速自在継手の要部を示し、(a)は内輪周り部品が外輪の一端面側にスライドした状態の断面図であり、(b)は内輪周り部品が外輪の他端面側にスライドした状態の断面図である。 前記図10の等速自在継手において内輪周り部品が外輪の一端面側にスライドした状態のケージのポケットとボールとの関係を示す簡略図である。 前記図10に示す等速自在継手の内輪周り部品のスライド範囲を示すグラフ図である。 前記図10に示す等速自在継手の内輪周り部品外輪への組込み方法を示し、(a)は組込み開始状態の断面図であり、(b)は組込み完了後の断面図である。
符号の説明
21 内輪
22 外輪
23 ボール
24 ケージ
26 トラック溝
27 トラック溝
45 内輪周り部品

Claims (4)

  1. 内輪の外周面と外輪の内周面の各々に直線状のトラック溝を軸方向に対して互いに反対方向に傾斜させた状態で軸方向に形成し、両トラック溝の交叉部にボールを組み込み、それらボールを前記内輪の外周面と外輪の内周面との間に配置したケージにより保持して、外輪に対して内輪周り部品が軸方向にスライド可能に構成した等速自在継手において、
    外輪のトラック溝のピッチ円径と内輪のトラック溝のピッチ円径との差であるPCDすきまを、少なくとも内輪周り部品組込み側を内輪周り部品の抜け止め用に小さくしたことを特徴とする等速自在継手。
  2. 反内輪周り部品組込み側を内輪周り部品の抜け止め用に小さくしたことを特徴とする請求項1の等速自在継手。
  3. 小であるPCDすきまをδとしたときに、−0.100mm≦δ<−0.03mmに設定するとともに、他のPCDすきまをδ1としたときに、−0.030mm≦δ1≦0mmに設定したことを特徴とする請求項1又は請求項2の等速自在継手。
  4. 小であるPCDすきまをδとしたときに、−0.100mm≦δ<−0.03mmに設定するとともに、他のPCDすきまをδ1としたときに、0mm<δ1≦+0.03mmに設定したことを特徴とする請求項1又は請求項2の等速自在継手。
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JP2010019288A (ja) * 2008-07-08 2010-01-28 Ntn Corp 摺動式等速自在継手

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