図1は、本発明の第1態様に従うUSB装置を示す。
本発明のこの好ましい実施例において、USB装置は、USB仕様書に規定される二役on-the-go(OTG)装置であり、これが意味するのは、該装置が、使用の状況に応じてUSBホストとして又はUSB周辺装置として作用し得ることである。しかし、本発明は、他のUSB装置にも等しく適用可能である。
図1は、斯様に、USB装置の所望な演算機能の多くを実行する機能ブロック12を有するUSB・OTG装置10を示す。例えば、USB装置10は、マイクロプロセッサ又はデジタルシグナルプロセッサであり得、これらの場合に、機能ブロック12は、マイクロプロセッサ又はデジタルシグナルプロセッサの機能を実行する。
USB装置10は、また、USB装置10をUSBバスを介して別の斯様な装置へ接続させることを構成する役目を有するUSB送受信器14も含む。USB装置10は、バスピンVbus、並びにバスラインD+及びD−を含むUSB接続も有する。D+バスライン16及びD−バスライン18における信号は、USB装置10の状態を他のUSB装置へ示す。
更に具体的には、D+バスライン16又はD−バスライン18は、2.7V〜3.6Vの範囲における指定される電圧にプルアップされる場合、このことは、USB装置10がUSB周辺装置として作用していることを示す。D+バスライン16及びD−バスライン18が、スイッチ20及び22を閉じ、バスラインをそれぞれ対応する抵抗器24及び26を介して設置に接続されることによって、プルダウンされる場合、このことは、USB装置10が、USBホストとして作用していることを示している。斯様にしてプルアップされる又はダウンされるのがD+バスライン16である場合、このことは、USB装置10がUSB仕様書に規定されるフルスピードで動作し得ることを意味する。斯様にしてプルアップされる又はダウンされるのがD−バスライン18である場合、このことは、USB装置10がUSB仕様書に規定されるロースピードで動作し得ることを意味する。
これまでに説明されたように、USB装置10は、通常、従来型であり、従って、装置の他の機能及び特徴は、更に詳細には説明されない。
図2は、USB送受信器14におけるプルアップ回路の形態を更に詳細に示す。本発明の好ましい実施例において、USB送受信器は、集積回路として設けられ得、該集積回路は、2つの斯様なプルアップ回路を含み、またプルダウン抵抗器24及び26並びにこれらに関連付けられるスイッチ20及び22、更に加えてUSB装置10の供給電圧Vbatから(例えば3.3Vで)調整電圧Vregを形成するDC/DCレギュレータを含む。USB送受信器14は、好ましくは、他の所望な特徴を実行する、一般的に既知である種類であり得る他の回路も含む。例えば、USB送受信器14は、好ましくは、同一信号を形成する回路、及びバスラインを監視するとともにパルスする回路も含む。
図1にも示されるように、USB送受信器は、入力として、機能ブロック12からバス電圧Vbus及びバイアス電流Ibiasと、同様に機能ブロック12から論理信号入力PU_EN*及びIDLEと受け取る。図2は、D+ライン16に接続されるプルアップ回路の形態を示す。したがって、USB送受信器14において、D−ライン18に接続される別の斯様なプルアップ回路が存在する。
論理信号入力IDLEは、USB装置10がアイドルモードにある場合にハイである。この状況において、USB装置は、USBホストとして又はUSB周辺装置として作用し得るかどうかを、及びフルスピードで又はロースピードでのみ動作可能であるかどうかを示すことを必要とされる。論理信号入力PU_EN*は、このプルアップ回路が動作することを必要とされる場合、ローである。したがって、D+ライン16に接続されるこのプルアップ回路の場合、この論理入力は、USB装置がUSB周辺装置としてフルスピードで作用し得る場合、ローである。
したがって、USB装置10がUSBホストとして作用している場合、プルダウン抵抗器24及び26は両方とも、スイッチ20及び22を閉じることによって有効状態にされる。USB装置は、その場合、プルアップ抵抗器のどちらが有効状態にされているかを感知することによって、別の接続されたUSB装置がフルスピードで又はロースピードで動作しているかを検出し得る。USB装置10がUSB周辺装置として作用している場合、2つのプルアップ回路のうちの1つが有効状態にされる。D+ライン16に接続されるプルアップ回路は、USB装置がフルスピードで動作している場合有効状態にされ、D−ライン18に接続されるプルアップ回路は、USB装置がロースピードで動作している場合有効状態にされる。
図2に示されるプルアップ回路は、D+ライン16に接続され、それに基づき更に説明され得るが、D−ライン18に接続されるプルアップ回路は、論理信号が回路のうちの適切な1つが所要に有効状態にされることを保証するように動作するものの本質的に同一である。
USB装置10の供給電圧Vbatは、供給電圧Vbatが3Vを越えるかを決定する比較器ブロック32に供給される。比較器ブロック32の出力と、論理信号入力PU_EN*及びIDLEとは、論理回路34に供給される。供給電圧Vbatが3Vより低い場合、論理回路34は、D+バスライン16における出力電圧がバス電圧Vbusからアクティブプルアップ回路36によって発生されるように作用する。しかし、供給電圧Vbatが3Vを超える場合、アクティブプルアップ回路36は必要とされず、D+バスライン16における出力電圧は、供給電圧Vbatから代替プルアップ回路37によって発生される。
アクティブプルアップ回路36は、非反転入力端子において参照電圧Vrefを受ける演算トランスコンダクタンス(OTA)増幅器38を含む。参照電圧Vrefは、バス電圧Vbus及び接地間に直列に接続される1列の5つのダイオード40、42、44、46及び48から発生される。既知であるように、ダイオード40、42、44、46及び48の抵抗は、それぞれの幅/長さ(W/L)比率に依存し、これらは、参照電圧Vrefが所望の値を取るように調整され得る。例えば、5Vの公称バス電圧に関して、3.1V〜3.2Vの領域の参照電圧Vrefの値は、通常十分であり得、というのも、このことは、バス電圧において±10%の変動がある場合、参照電圧Vrefが、D+バスライン16におけるプルアップ電圧に関して特定される2.7V〜3.6Vの範囲になお収まることを保証するからである。通常、ダイオード40、42、44、46及び48の抵抗は、ダイオードを通ずる最小電流漏出量(例えば、2μAの最大値)が存在するように十分に高い。
OTA増幅器38の出力端子50は、第1NMOSトランジスタ52のゲートに接続される。第1NMOSトランジスタ52のドレインは、バス電圧Vbusに接続される一方で、第1NMOSトランジスタ52のソースは、OTA増幅器38の反転入力にも接続されるD+バスライン16に接続される。
第1PMOSトランジスタ54は、ドレインをバス電圧Vbusに接続させ、ソースをOTA増幅器38の出力端子50に接続させている。第1PMOSトランジスタ54のゲートは、論理回路34から論理信号を受け取り、該論理信号はOTA増幅器38の有効化入力へも供給される。
代替プルアップ回路37は、第2PMOSトランジスタ56を含み、該第2PMOSトランジスタ56は、ドレインをUSB装置10の供給電圧Vbatから形成される調整電圧Vregに(例えば3.3Vに)接続させ、ソースを第1プルアップ抵抗器58を介してD+バスライン16に接続させる。第2PMOSトランジスタ56のゲートは、論理回路34から第2論理信号を受け取る。
代替プルアップ回路37は、第3PMOSトランジスタ69も含み、該第3PMOSトランジスタ69は、ドレインを第2PMOSトランジスタ56のソースに接続させ、ソースを第2プルアップ抵抗器62を介してD+バスライン16に接続させる。第3PMOSトランジスタ69のゲートは、論理回路34から第3論理信号を受け取る。
論理回路34において、論理信号入力PU_EN*は、第1反転器64を介して第1ORゲート66の第1入力部に接続される。論理信号入力IDLEは、第1ORゲート66の第2入力部に接続される。
第1ORゲート66の出力は、NANDゲート68の第1入力部に接続される。比較器ブロック32の出力は、NANDゲートの第2入力部に接続される。
比較器ブロック32の出力は、NORゲート70の第1入力部にも接続される。第1ORゲート66の出力は、第2反転器72を介してNORゲート70の第2入力部に接続される。
論理信号入力PU_EN*は、第2ORゲート74の第1入力部にも接続される。NORゲート70の出力は、第2ORゲート74の第2入力部に接続される。
NORゲート70の出力は、アクティブプルアップ回路36に、特に第1PMOSトランジスタ54のゲート及びOTA38の有効化信号入力部に第1論理信号入力を形成する。第2ORゲート74の出力は、代替的なプルアップ回路37に、特に第2PMOSトランジスタ56のゲートに第2論理信号入力を形成する。NANDゲート68の出力は、代替的なプルアップ回路37に、特に第3PMOSトランジスタ69のゲートに第3論理信号入力を形成する。
したがって、論理信号入力PU_EN*がローであり、かつ論理信号入力IDLEがハイである場合、電圧をD+バスライン16において2.7V〜3.6Vの範囲内に収めるために、プルアップ回路は有効にされ、これによりUSB装置がUSB周辺装置としてフルスピードで作用し得ることを示すように論理回路は動作する。
更に具体的には、装置の動作において、論理信号入力IDLEがハイであり供給電圧Vbatが3Vを超える場合、供給電圧がD+バスライン16において出力電圧を提供するのに十分高いことを決定される。したがって、比較器ブロック32は、供給電圧Vbatが3Vを超えることを決定する場合、アクティブプルアップ回路36に対する、特にOTA38の有効化信号入力部に対する第1論理信号入力はローである。したがって、OTA38は無効にされる。同時に、代替プルアップ回路37への、特に第2及び第3PMOSトランジスタ56及び69のゲートへの第1及び第2論理信号入力もローである。結果として、PMOSトランジスタ56及び69は、オンにされ、D+バスライン16における電圧は、供給電圧Vbatから得られる調整電圧Vregのレベルまでに持ち上げられ、ここで、抵抗器58及び62の両端の電圧低下が十分小さくあり、そしてD+バスライン16における電圧が、3Vより大きい供給電圧Vbatの全ての値に関して少なくとも2.7Vであるように、抵抗器58及び62の抵抗値は構成される。
抵抗器58及び62の両端に掛かる電圧低下は、抵抗器58及び62の組み合わせられる抵抗値と、USBホストとして作用している装置におけるプルダウン抵抗器124の抵抗値に依存する。USB仕様書改訂2.0のUSB技術変更通知に従うと、このプルダウン抵抗器は、14.25kΩ〜24.8kΩの範囲における値を有するべきである。このことは、アイドル電圧が、ほとんど調整電圧Vregにまでプルアップされることを意味する。
しかし、論理信号入力IDLEがローである場合、すなわち装置がアイドル状態ではなくむしろ活動状態にある場合、アイドル電圧を維持する必要はないが、プルアップ抵抗が低すぎることは不利な点である。というのも、このことは、送信される信号の品質に不利に影響を及ぼすからである。この場合、論理回路は、回路の外の抵抗器62をスイッチするように動作し、これにより、プルアップ抵抗の値は、増加される。USB仕様書改訂2.0のUSB技術変更通知によると、プルアップ抵抗の値は、装置がアイドル状態にある場合900Ω〜1575Ωの範囲に、及び接続されるUSBホスト装置が有効状態にある場合1425Ω〜3090Ωの範囲になければならない。
比較器ブロック32が供給電圧Vbatは3Vより低いと決定する場合、代替的プルアップ回路37に対する第1及び第2論理信号入力はハイである。結果として、PMOSトランジスタ56及び69は、オフにされる。同時に、アクティブプルアップ回路36に対する、特にOTA38の有効化信号入力部に対する第1論理信号入力もハイである。したがって、OTA38は、有効にされる。一方で、第1PMOSトランジスタ54のゲートもハイにされ、これにより、このトランジスタは、スイッチオフされる。
したがって、演算増幅器について通例であるようにOTAの非反転入力部及び反転入力部が同一の電圧レベルを有しなければならないので、OTA38は、D+バスライン16における電圧を参照電圧Vrefのレベルに至らせるように作用する帰還回路に関する基礎を形成する。更に具体的には、第1NMOSトランジスタ52は、OTA38によって制御される電流源として作用し、したがって、D+バスライン16における電圧を参照電圧Vrefのレベルに維持する。
アクティブプルアップ回路36は、帰還ループを含むので、その安定性を考慮する必要がある。図2は、D+バスライン16におけるコンデンサ76として、キャパシタンス値Clを有するキャパシタンスを示す。実際には、キャパシタンス値Clは、0pF〜1000pFの範囲のいずれかに位置し得、したがって、帰還ループの安定性がキャパシタンス値Clに依存しないように、帰還ループが内部支配的な極を含むことが必要である。本発明のこの好ましい実施例において、このことは、OTAにおいて4.5pFの値を有するミラーコンデンサを含むことによって実現される。
また本発明のこの好ましい実施例において、図1に示されるプルダウン抵抗器24及び26は、USB送受信器14に統合される。USB装置10がUSBホストとして作用する場合、スイッチ20及び22は、抵抗器24及び26を有効にするために閉じられる。
したがって、プルアップ回路、及び関連付けられるUSB送受信回路が設けられ、これらは、USB装置のD+ライン(又は所要である場合、D−ライン)における電圧が、利用可能なバス電圧の可能な変動にもかかわらず、低電圧装置に関しても、所要なレベルに維持されることを保証する。
本発明の好ましい実施例によるプルアップ回路は、利用可能なバッテリ電圧がD+又はD−ラインにおける所要な電圧を提供するのに十分であるかを決定し、利用可能なバッテリ電圧が不十分である場合にのみアクティブプルアップ回路を有効状態にする。またしかし、OTA38の周りに基づくアクティブプルアップ回路は、バッテリ電圧を用いてD+又はD−ラインに所要な電圧を提供する選択肢を使用可能にすることもなく、USB装置において用いられ得る。
また動作を根本的に変更することなく回路に他の変更がされることは、当業者にとって明らかである。例えば、アクティブプルアップ回路のPMOS及びNMOSトランジスタのいくつか又は全てが、場合によっては、印加される論理信号への適切な変更により、NMOSトランジスタ又はPMOSトランジスタによって置換され得る。