JP2007510724A - 改良されたシクロヘキサンの酸化方法 - Google Patents
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Abstract
シクロヘキサンの酸化方法であって、この方法では、酸素が、第1の反応区域中で予め選択された供給速度のシクロヘキサンと接触させられ、未消費の酸素が、第2の反応区域中でシクロヘキサンと接触させられ、第2の反応区域でのシクロヘキサンの供給速度は、予め選択された供給速度よりも低い。
Description
本発明はシクロヘキサンの液相酸化に関するもので、特にかかる酸化の最終オフガスの酸素含量を減少させる方法に関するものである。
シクロヘキサノールおよびシクロヘキサノンはシクロヘキサンから商業的に製造することができる。かかる方法の第1の段階では、酸素含有ガス、例えば空気または富酸素空気によりシクロヘキサンを酸化し、シクロヘキサノール、シクロヘキサノンおよびシクロヘキシルヒドロペルオキシド(CHHP)を生成する。シクロヘキサノール(A)とシクロヘキサノン(K)との混合物は一般に「KA」または「KAオイル」と呼ばれる。この反応は一般に温度約130℃〜約200℃で行われる。種々のタイプの反応器が商業的に使用されており、例えば単一式オートクレーブ、直列式多重オートクレーブ、横型多重区画付単一式反応器、多段塔型反応器などが挙げられる。一般的には空気が酸素源として使用される。未反応酸素は、(空気中に存在する窒素と一緒に)、流出ガスとして反応器を出る。この流出ガスはまた蒸気シクロヘキサンおよび他の化合物も含んでいる。未反応酸素は一般に「酸素漏れ(oxygen leakage)」と呼ばれる。流出ガス中の蒸気シクロヘキサンおよび他の生成物は凝縮されて回収され、オフガスはこの系を出て、通常排ガス処理装置に送られる。KA生成物は反応器流出液から回収され、未反応シクロヘキサンはリサイクルされる。
これまでに、反応器からの酸素漏れが低ければ低いほど、好ましくない副生成物の形成が多くなり、その結果所望生成物の収率が低くなることが、認められている。シクロヘキサンの酸化では、シクロヘキサノン、シクロヘキサノールおよびシクロヘキシルヒドロペルオキシドの収率は、高い酸素漏れ(すなわち、シクロヘキサンのない酸素、窒素および他のガスならびに蒸気の混合物中における未反応酸素の濃度)で運転することにより最適化することができる。残念なことに、8体積%を超える酸素漏れ濃度では、危険な可燃性の混合物が流出ガスの流れの中に形成することがある。それゆえ、安全の余裕をみて、酸素漏れは、通常4体積%未満に保たれる。酸素漏れが高いことはまた、反応器に供給されている空気が十分に利用されていないことを意味する。言い換えると、本方法はより多くの空気を必要とし、圧縮コストが高くなる。加えて、オフガス量の増加により、オフガスの処理コストも高くなる。米国特許公報(特許文献1)(ラパポート(Rapoport)およびホワイト(White))には、いわゆる仕上げ反応区域(clean up reaction zone)を用いることにより、シクロヘキサンの酸化方法からの酸素漏れを低減する方法が教示されている。このラパポートおよびホワイト特許は、酸素含有ガスと液体シクロヘキサンとを接触させるための穴あきトレイをいくつも備える塔型反応器中でシクロヘキサンを酸化する方法を開示している。この塔は2つの区域を有している。液体シクロヘキサンは、「仕上げ」区域と記されている塔頂区域の塔頂部に入り、仕上げ区域中のトレイの中を下の方に流れ、ここで塔底区域からくる流出ガスと向流方式で接触する。液体シクロヘキサン、CHHP、KおよびAを含むこの仕上げ区域からくる流出液体は塔底区域の塔頂部に入り、塔底区域中のトレイの中を下の方に流れ、ここで酸素含有ガスと向流方式で接触する。酸素含有ガスは塔底区域の塔底部に入る。塔底区域では、酸化反応の大部分が行われる。この塔底区域の塔底部から、シクロヘキサン、CHHP、KおよびAを含む流出液体が取り出される。仕上げ区域でシクロヘキサンと酸素を反応させることでさらなる酸素の消費が可能となり、その結果十分に低い濃度の酸素を含んでいるオフガスが製造され、これにより爆発の危険性を避けることができる。
ラパポートおよびホワイト法における1つの欠点は、シクロヘキサンの全流量が塔底区域からの流出ガスと接触させられることである。処理されるべき流出ガス中の酸素濃度はかなり低いので、十分に酸素を消費してオフガス中の酸素濃度を許容可能なレベルまで下げるためには高い反応温度、および/または触媒が必要とされる。したがって、シクロヘキサンの全流量がこの高温まで加熱されなければならない。同じ高温シクロヘキサンが塔底区域における反応に使用されるので、塔底区域における反応温度は高い。当技術分野では、高い温度は好ましくない副生成物を生成しやすいので、シクロヘキサンの酸化方法における高反応温度は、所望生成物を得るのに有害であることは周知である。
したがって、ラパポートおよびホワイトによって教示されているような、塔型反応器におけるシクロヘキサン酸化方法を用いることが望ましく、これによりオフガス中の酸素濃度が低くなり、かつラパポートおよびホワイト特許に記載されている方法に比べて、塔底区域の反応温度をより低くさせるであろう。また、オフガス中で低い酸素濃度を達成する方法を用いることも望ましく、前記方法は、シクロヘキサンの酸化で用いられる他のタイプの反応器、例えば単一式オートクレーブ、直列式多重オートクレーブおよび多重区画を備えた横型単一式反応器などに適用可能である。
本発明はかかる方法を提供するものである。本発明の一実施形態では、塔型反応器が、液体シクロヘキサンのほんの一部が仕上げ反応区域に供給されてそこでその液体シクロヘキサンが一次反応区域(塔底区域)からの流出ガスと接触するように運転される。シクロヘキサンの流量の残りの部分は、一次反応区域の塔頂部に直接供給される。それゆえこのシクロヘキサンの流量の残りの部分の温度は、仕上げ反応区域の温度に関係なく、いかなる望ましい温度にもすることができる。したがって本発明は、ラパポートおよびホワイトにより記載されている方法の対応する収率よりも高い、所望生成物の収率を達成することができるべきである。
本発明の別の一実施形態では本方法に仕上げ反応区域が含まれており、そこでは、シクロヘキサンの全流量の一部が一次反応区域からの流出ガスと接触させられる。この処理されるべき流出ガス中の酸素の一部が仕上げ反応器中で消費されるので、オフガス中で低濃度の酸素が達成されるべきである。シクロヘキサン流量の残りの部分は、一次反応区域に直接供給される。オフガス中の酸素濃度を下げることまた所望生成物に対する収率を上げることに加えて、本発明は、運転の安定性を与えることも期待される。
したがって、本発明は、
一次反応区域の中に、第1の流量の液体シクロヘキサンと酸素含有ガスとを導入し、それによって、前記シクロヘキサンと前記酸素含有ガスとを、任意選択でシクロヘキサン酸化触媒の存在下で接触させて、シクロヘキシルヒドロペルオキシド(CHHP)、シクロヘキサノン(K)およびシクロヘキサノール(A)を含む一次液体反応生成物を生成する工程と、
前記一次反応区域から前記液体反応生成物を取り出す工程と、
前記一次反応区域から、未反応気体シクロヘキサンおよび0.5〜6.0体積%の酸素を含む一次反応区域ガスを取り出す工程と、
仕上げ反応区域の中に、一次反応区域ガスと、前記第1の流量よりも低い第2の流量の液体シクロヘキサンを導入し、それによって一次反応ガスと液体シクロヘキサンとを接触させて、CHHP、KおよびAを含む仕上げ反応生成物を生成する工程と、
前記仕上げ反応区域から、一次反応区域ガス中の酸素濃度よりも低い濃度で酸素を含む仕上げ反応区域ガスを取り出す工程と、
を含んでなる、シクロヘキサンの酸化方法である。
一次反応区域の中に、第1の流量の液体シクロヘキサンと酸素含有ガスとを導入し、それによって、前記シクロヘキサンと前記酸素含有ガスとを、任意選択でシクロヘキサン酸化触媒の存在下で接触させて、シクロヘキシルヒドロペルオキシド(CHHP)、シクロヘキサノン(K)およびシクロヘキサノール(A)を含む一次液体反応生成物を生成する工程と、
前記一次反応区域から前記液体反応生成物を取り出す工程と、
前記一次反応区域から、未反応気体シクロヘキサンおよび0.5〜6.0体積%の酸素を含む一次反応区域ガスを取り出す工程と、
仕上げ反応区域の中に、一次反応区域ガスと、前記第1の流量よりも低い第2の流量の液体シクロヘキサンを導入し、それによって一次反応ガスと液体シクロヘキサンとを接触させて、CHHP、KおよびAを含む仕上げ反応生成物を生成する工程と、
前記仕上げ反応区域から、一次反応区域ガス中の酸素濃度よりも低い濃度で酸素を含む仕上げ反応区域ガスを取り出す工程と、
を含んでなる、シクロヘキサンの酸化方法である。
図1を参照すると、装置100が示されており、これはラパポートおよびホワイト特許の教示を図で説明するものである。装置100では、Cと記された括弧で示されている塔の頂部区域が仕上げ反応区域であり、Rと記された括弧で示されている塔の底部区域が一次反応区域である。高温液体シクロヘキサンの流れ(112)が仕上げ反応区域(C)の頂部に入り、この液体シクロヘキサンは、トレイ(115)を横切って降下管(117)の中を下の方へ流れる。その際に、通常のトレイ塔と同様に、液体シクロヘキサンは、一次反応区域(R)からの流出ガスの流れ(134)と向流方式で接触する。液体シクロヘキサン、CHHP、KおよびAを含む仕上げ区域からの流出液体(124)は一次反応区域(R)の頂部に入り、一次反応区域中のトレイを横切ってトレイの降下管の中を下の方へ流れ、この一次反応区域中で液体シクロヘキサンは酸素含有ガスと向流方式で接触する。酸素含有ガス(118)は一次反応区域の底部に入り、塔のトレイ(115)中にある穴(137)の中を上の方へ流れる。この酸素含有ガスはまた、分割して、一次反応区域の複数箇所に導入することもできる。シクロヘキサン、CHHP、KおよびAを含む流出液(122)は一次反応区域の底部から取り出される。仕上げ反応区域および一次反応区域を通る液体の質量流量(例えば、流れ112、124および122中の)は本質的には同じである(蒸気としてのロスが無視できるとみなす)。
次に図2を参照すると、本発明の一実施形態200を示す。液体シクロヘキサンを含む流れ(212)が2つの流れに分割される。すなわち、一方の流れが第1の流量(214)で、他方の流れが第2の流量(216)である。流れ216および214は、予加熱しておくこともでき、ポンプ216’および214’により送達することができるし、あるいは自動バルブで調節することもできる。流れ(212)中の液体シクロヘキサンは、新鮮なシクロヘキサンおよび/または本方法のいかなる後続部分からもリサイクルされる液体シクロヘキサンを含み得る。流れ(214)は一次反応区域(220)中で酸素含有ガス流(218)と接触させられる。任意選択で、シクロヘキサン酸化触媒、例えばコバルトまたはクロム可溶塩の流れを、一次反応区域(220)、仕上げ区域(230)に直接導入する(図示せず)か、あるいは、流れ(214)および/または(216)中の液体シクロヘキサンと予混合することができる。シクロヘキサン、CHHP、KおよびAを含む一次液体反応生成物(222)、および、未反応酸素を含む一次反応区域ガス(224)は一次反応区域を出る。
一次反応区域(220)は、任意選択で撹拌を行うための装置(図示せず)が装着された単一式オートクレーブでもよい。液体シクロヘキサン(214)は、オートクレーブ中で、所望の反応時間、酸素含有ガス(218)と接触させられる。一次液体反応生成物(222)および一次反応区域ガス(224)はオートクレーブを出る。
一次反応区域は直列の2つ以上のオートクレーブを備えていてもよく、各オートクレーブには任意選択で撹拌装置が装着されていてもよく、かつオートクレーブ間には冷却設備が付いていてもよいし、付いていなくてもよい(図示せず)。液体シクロヘキサン(214)は直列の最初のオートクレーブに入り、一次液体反応生成物(222)は最後のオートクレーブを出る。1つのオートクレーブから次のオートクレーブへの液体の移送は、ポンプ、差圧を用いて、または重力流れによって行うことができる。酸素含有ガス(218)は分割して各オートクレーブの中に導入することもできる。各オートクレーブからの流出ガスは一体となって一次反応区域ガス(224)を形成することもできる。
一次反応区域(220)は多段式塔であってもよく、ここで液体は、トレイを横切ってトレイの下降管の中を下の方へ流れ、ガスはトレイの穴の中を上の方へ流れる。トレイ間の容積は液体で満たされていてもよいし、あるいは部分的に液体で満たされていてもよい。種々のタイプのトレイを用いることができ、これらに限定されないが、シーブトレイ、バブルキャップトレイおよびバルブトレイが挙げられる。液体シクロヘキサン(214)および酸素含有ガス(218)はいずれも分割して塔の複数箇所に導入することができる。一次液体反応生成物(222)は塔の底を出る。一次反応区域ガス(224)は塔の頂を出る。
一次反応区域(220)は塔型反応器であってもよく、ここで液体はガスと共に、穴の開いたトレイ中を並流方式で上の方へ流れる。液体シクロヘキサン(214)および酸素含有ガス(218)はいずれも分割して塔の複数箇所に導入することもできる。一次液体反応生成物(222)は塔の頂で出る。一次反応区域ガス(224)も塔の頂を出る。
一次反応区域(220)は、内部に2つ以上の区画をもつ横型容器であってもよい。液体シクロヘキサンの流れ(214)は容器の一端に入り、一次液体反応生成物(222)は他端を出ることになり、液体は1つの区画から次の区画にオーバーフローおよび/またはアンダーフローとして流れる。各区画には任意選択で撹拌装置を装着することができる。酸素含有ガス(218)は分割して各区画の中へ導入することができる。各区画からの流出ガスは一体となって一次反応区域ガス(224)を形成することができる。
一次反応区域(220)中でのシクロヘキサンの酸化は高温、高圧で行われる。温度は一般的には130〜200℃の範囲である。圧力は一般的には800〜2500kPaの範囲である。反応の熱源は、一部は予加熱されたシクロヘキサンの流れ(214)の熱含量および一部は反応の熱であってもよい。一次反応区域(220)中の液体の接触時間または滞留時間は一段当たり2〜90分の範囲であるべきである。
酸化生成物を含む一次液体反応生成物(222)はさらなる反応器および分離装置(図示せず)によって処理される。ここでは未反応シクロヘキサンが回収されて、液体シクロヘキサンの流れ(212)の一部としてリサイクルされる。一次反応区域(220)からの一次反応区域ガス(224)は任意選択で飛沫同伴分離装置(図示せず)で処理される。ここでは、液滴または霧滴として存在している液体シクロヘキサンが合体させられて気相から分離される。
任意選択で上記のように処理された一次反応区域ガス(224)は、第2の流量(216)の液体シクロヘキサンと、仕上げ反応区域(230)中で接触させられる。この第2の流量(216)は第1の流量(214)よりも低い。仕上げ反応区域中での酸化の生成物を含有している液体仕上げ反応生成物(234)および流出ガスすなわち未反応酸素を含む仕上げ反応区域ガス(232)は、仕上げ反応区域(230)を出る。仕上げ反応区域ガス(232)中の酸素の濃度は、一次反応区域ガス(224)中の酸素の濃度よりも低い。
この仕上げ反応区域(230)は、任意選択で撹拌を行うための装置(図示せず)が装着された単一式オートクレーブであってもよい。第2の流量(216)の液体シクロヘキサンと、任意選択で処理された一次反応区域ガス(224)は、オートクレーブ中で、所望の反応時間にわたり互いに接触させられる。仕上げ反応生成物(234)および仕上げ反応区域ガス(232)はオートクレーブ(230)を出る。
仕上げ反応区域(230)は、直列の2つ以上のオートクレーブ(図示せず)を備えていていてもよく、各オートクレーブには任意選択で撹拌装置が装着されていてもよく(図示せず)、かつ2つのオートクレーブ間には冷却設備が付いていてもよいし、付いていなくてもよい(図示せず)。第2の流量(216)の液体シクロヘキサンは直列の最初のオートクレーブに入り、仕上げ反応生成物(234)は最後のオートクレーブを出る。任意選択で処理された一次反応区域ガス(224)は、分割して各オートクレーブの中に導入することができる。各オートクレーブからの流出ガスは一体となって仕上げ反応区域ガス(232)を形成することができる。
仕上げ反応区域(230)は多段式塔であってもよく、ここで液体はトレイを横切ってトレイの下降管の中を下の方へ流れ、ガスはトレイの穴の中を上の方へ流れる。第2の流量の液体シクロヘキサン、および任意選択で処理された一次反応ガス(224)はいずれも分割して塔の複数箇所に導入することができる。液体仕上げ反応生成物(234)は塔の底を出る。仕上げ反応区域ガス(232)は塔の頂を出る。
仕上げ反応区域(230)はまた、内部に2つ以上の区画を備えた横型容器であってもよい(図示せず)。第2の流量(216)の液体シクロヘキサンは容器の一端に入り、仕上げ反応生成物(234)は容器の他端を出る。各区画には任意選択で撹拌装置を装着することもできる(図示せず)。一次反応区域ガス(224)は分割して各区画の中へ導入することもできる。各区画からの流出ガスは一体となって仕上げ反応区域ガス(232)を形成することもできる。
並列の、反応器の上記したタイプのいずれの複数式容器も、仕上げ反応区域として用いることができる。
仕上げ反応区域(230)中の温度は、一次反応区域(220)中の温度からは独立している。この温度は、一般的には130〜200℃の範囲である。圧力は、一般的には800〜2500kPaの範囲である。仕上げ反応区域に供給されるシクロヘキサンは、予加熱しておくこともできるし、加熱しないでおくこともできるが、好ましくは加熱しない。仕上げ反応器中の熱源は、液体シクロヘキサンの流れ(216)の熱含量、オフガスの熱含量および反応の熱であり得る。仕上げ反応区域中の望ましい液体滞留時間は、一段当たり2〜90分である。
仕上げ反応区域ガス(232)は一般的にはオフガス処理装置(図示せず)によって処理される。仕上げ反応区域からの仕上げ反応生成物(234)は、一次反応区域(220)中に導入される第1の流量(214)の液体シクロヘキサンと一体となることができるし、あるいは一次反応区域(220)中に直接導入することもできる。並行の、仕上げ反応区域の複数の装置を用いて、一次反応区域ガスを処理することもできる(図示せず)。
ここで図3を参照すると、本発明を実施するための別の装置300が示されている。この装置300は塔を備えており、この塔の頂部区域(C’と記された括弧で示されている)が仕上げ反応区域であり、R’と記された括弧で示された底部区域が一次反応区域である。密閉トレイ(338)により、仕上げ反応区域と一次反応区域とに分けられている。密閉トレイは、このトレイの底からの一次反応区域ガス(334)はトレイにある穴(337)の中を上の方へ流させるが、このトレイ上からの液体は穴の中を下の方へは流させない。液体シクロヘキサン(312)の流れは2つの部分(第1の流量314の流れと第2の流量316の流れ)に分割される。任意選択で予加熱された流れ316が、仕上げ反応区域(C’)の頂部に入り、トレイを横切ってトレイの降下管(317)の中を下の方へ流れ、その結果一次反応区域(R’)から上の方にやってくる一次反応区域ガス(334)と向流方式で接触する。ガスは、トレイの穴(337)を通って仕上げ反応区域中を上の方へ流れる。液体シクロヘキサン、CHHP、KおよびAを含む仕上げ反応区域からの流出液体すなわち仕上げ反応生成物(324)は、仕上げ区域の底部から取り出され、次に一次反応区域(R’)の頂部に導入される。この流れ構成は、外部式パイプライン(324’)であってもよいし、あるいは内部式二重降下管(図示せず)であってもよい。シクロヘキサンの流れ(314)は、予加熱の後、一次反応区域の頂部に導入される。一次反応区域の頂部トレイ(333)には延長堰(333’)が装着されており、その結果、堰333’をオーバーフローする前には、相当な量のシクロヘキサンがトレイ333上に蓄積される。一体となった液体の流れ(336=314+324)は一次反応区域中のトレイを横切ってトレイの降下管(317)の中を下の方へ流れ、そしてトレイの穴(337)の中を上の方へ流れる酸素含有ガスと向流方式で接触する。酸素含有ガス(318)は一次反応区域の底部に入る。酸素含有ガスはまた、一次反応区域中の複数箇所に導入することもできる(図示せず)。シクロヘキサン、CHHP、KおよびAを含む一次液体反応生成物(322)は一次反応区域の底部から取り出される。一次反応区域中の液体質量流量は、仕上げ反応区域中の質量流量よりもかなり高い。
添付の図面は3つの図からなる。
塔型酸化器に、ラパポートおよびホワイトにより教示されている仕上げ反応区域を用いることについての方法のブロック線図を示すものである。
本発明を実施する方法のブロック線図を示すもので、ここで一次反応区域および仕上げ反応区域は、単一式オートクレーブ、直列式多重オートクレーブ、多重区画を備えた横型単一式反応器、および多段塔型反応器を含む群から独立して選択することができる。
本発明を実施する方法のブロック線図を示すもので、ここで一次反応区域および仕上げ反応区域は、塔型酸化器の2つの区域である。
Claims (3)
- シクロヘキサンの酸化方法であって、
(a)一次反応区域の中に、第1の流量の液体シクロヘキサンと酸素含有ガスとを導入し、それによって、前記シクロヘキサンと前記酸素含有ガスとを、シクロヘキサン酸化触媒の任意の存在下で接触させて、シクロヘキシルヒドロペルオキシド(CHHP)、シクロヘキサノン(K)およびシクロヘキサノール(A)を含む一次液体反応生成物を生成する工程と、
(b)前記一次反応区域から前記液体反応生成物を取り出す工程と、
(c)前記一次反応区域から、未反応気体シクロヘキサンおよび0.5〜6.0体積%の酸素を含む一次反応区域ガスを取り出す工程と、
(d)仕上げ反応区域の中に、この一次反応区域ガスと、前記第1の流量よりも低い第2の流量の液体シクロヘキサンとを導入し、それによって一次反応ガスと液体シクロヘキサンとを接触させて、CHHP、KおよびAを含む仕上げ反応生成物を生成する工程と、
(e)前記仕上げ反応区域から、一次反応区域ガス中の酸素濃度よりも低い濃度で酸素を含む仕上げ反応区域ガスを取り出す工程と、
を含むことを特徴とするシクロヘキサンの酸化方法。 - 仕上げ反応区域ガスが、2.0体積%未満の濃度の酸素を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 仕上げ反応区域ガスと液体シクロヘキサンとを第2の仕上げ反応区域中で接触させて、CHHP、KおよびAを含む第2の仕上げ反応区域生成物を生成する工程と、前記第2の仕上げ反応区域から、仕上げ反応区域ガス中の酸素の濃度よりも低い濃度で酸素を含む第2の仕上げ反応区域ガスを取り出す工程とをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
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