JP2007319409A - 吸収性物品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】トップシート30と液不透過性シート70との間に、高吸収性ポリマー粒子の外表面全体を水溶性被膜で被覆してなる被覆吸収粒子54bと、外表面の少なくとも一部が被覆されていない高吸収性ポリマー粒子からなる表面露出吸収粒子54aとを繊維集合体中に混合分散させてなる吸収要素50を設ける。
【選択図】図3
Description
この基本要素に対し、バックシートの裏面側にたとえば不織布などからなる外装シートを設け、バックシートとしてプラスチックシートを使用した場合における肌触りを改良する形態、製品の両側にいわゆるバリヤーカフスを形成する形態など、ウエスト周りや腹周りのフィット性を改良するために弾性伸縮性を付与する形態などが、適宜付加される。
使用面側のトップシートを透過した液を吸収する吸収要素としては、従来は、パルプ短繊維の積繊体が一般的に使用されている。また、液に吸収量を高めるために高吸収性ポリマー粒子(以下「SAP」ともいう。)を使用することも知られている。SAPはパルプ短繊維の積繊体上に散布する場合のほか、パルプ短繊維のSAPを分散保持させ積繊体させる場合(特許文献1)がある。
しかしながら、従来の吸収性物品では、吸収要素に吸収された液の多くがSAPに吸収されずに下降(バックシート側に移動)するため、特に***位置においては吸収要素の下部に位置するSAPのみなら上部に位置するSAPも吸収を行うが、***位置から遠い位置、例えば吸収体の前後端部や幅方向両端部)においては、下部に位置するSAPは吸収を行うが上部に位置するSAPは吸収に利用されないか、または少量しか吸収できないことがあった。つまり、従来は吸収要素の部位によってSAPの吸収量が偏ることがあった。
<請求項1記載の発明>
液を吸収し保持する吸収要素を有し、
この吸収要素は、高吸収性ポリマー粒子の外表面全体を水溶性被膜で被覆してなる被覆吸収粒子と、外表面の少なくとも一部が被覆されていない高吸収性ポリマー粒子からなる表面露出吸収粒子との混合粒子を、繊維集合体中に分散保持させたものである、ことを特徴とする吸収性物品。
本発明では、表面露出吸収粒子は尿等の水分を含む***液と接触すると直ちに吸収を開始するが、被覆吸収粒子は先ず水溶性被膜が溶解し始め、高吸収性ポリマー粒子の外面が露出するまでは吸収を開始しない。よって、これらを吸収要素中に混合分散させることによって吸収速度を抑制することができ、その分だけより広範囲に***液を行き渡らせることができるようになる。その結果、SAPによる吸収量が吸収要素の部位に関係なく均一化するようになる。
液を吸収し保持する吸収要素を有し、
この吸収要素は、
高吸収性ポリマー粒子の外表面全体を水溶性被膜で被覆してなる被覆吸収粒子が繊維集合体中に分散保持されてなり、外表面の少なくとも一部が被覆されていない高吸収性ポリマー粒子からなる表面露出吸収粒子を実質的に含まない遅効層と、
前記表面露出吸収粒子を含み、前記被覆吸収粒子を実質的に含まない速効層とを有しており、
前記速効層が前記遅効層の上側に設けられている、ことを特徴とする吸収性物品。
この形態では、***液は先ず表面露出吸収粒子の層に供給され、表面露出吸収粒子により吸収されるが、全てではなく、一部は吸収されずに通過して被覆吸収粒子の層に供給される。この際、被覆吸収粒子の層では、繊維集合体の繊維に沿って***液が拡散し、被覆吸収粒子に対して効率良く***液が分配され、その結果、被覆吸収粒子は被覆の溶解を開始する(ただし、吸収は開始しない)。また、被覆吸収粒子の層から表面露出吸収粒子の層へ戻る***液は、表面露出吸収粒子により吸収される。その後、所定時間が経過し、被覆吸収粒子の被覆が溶解して内部が露出すると、以降は被覆吸収粒子の層でも吸収が行われるようになる。よって、より広範囲に***液を行き渡らせることができ、SAPによる吸収量が吸収要素の部位によらず均一化するようになる。
前記繊維集合体がセルロースアセテートトウを開繊してなるものである、請求項1または2記載の吸収性物品。
セルロースアセテートトウは液保持力が乏しいため、特に上部に保持されたSAPは吸収に利用され難い。よって、本発明は繊維集合体がセルロースアセテートトウである場合に好適である。
前記被覆吸収粒子が、前記高吸収性ポリマー粒子の外表面に、水溶性被膜を形成する塗料を塗布したものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
塗料による水溶性被膜の形成は、被膜厚さの調整が容易であり、製造が容易であるため好ましい。
<パンツ型使い捨ておむつの例>
図1には、パンツ型使い捨ておむつの例が示されている。このパンツ型使い捨ておむつ10は、外面(裏面)側の外装シート12と内面(表面)側の吸収性本体20とを備え、外装シート12に吸収性本体20が固定されている。吸収性本体20は、尿や軟便などの液(後述する生理用ナプキンでは経血)を受け止めて吸収保持する部分である。外装シート12は着用者に装着するための部分である。
外装シート12はたとえば図示のように砂時計形状となり、両側が括れており、ここが着用者の脚を入れる部位となる。吸収性本体20は任意の形状を採ることができるが、図示の形態では長方形である。
外装シート12は、図2に示すように、吸収性本体20が所定位置に設置され固定された後、前後に折り畳まれ、外装シート12の前身頃12F及び後身頃12Bの両側部の接合領域12Aが熱融着などにより接合される。これによって、図1に示す構造の、ウエスト開口部WOと一対のレッグ開口部LOを有するパンツ型使い捨ておむつが得られる。
図示の吸収性本体20の長手方向(すなわち図2の上下方向。製品の前後方向でもある。)の中間の幅は、外装シート12の括れた部分を繋ぐ幅より短い形態が示されている。この幅の関係は逆でもよいし、同一の幅でもよい。
外装シート12は望ましくは2枚のたとえば撥水性不織布のシートからなり、これらのシート間に弾性伸縮部材を介在させて、その収縮力により着用者にフィットさせる形態が望ましい。前記弾性伸縮部材としては、糸ゴムや弾性発泡体の帯状物などを使用できるが、多数の糸ゴムを使用するのが望ましい。図示の形態では、糸ゴム12C,12C…が、ウエスト領域Wにおいては幅方向に連続して設けられ、腰下領域Uにおいては両側部分のみに設けられ、股下領域Lにおいては設けられていない。糸ゴム12C,12C…が、ウエスト領域W及び腰下領域Uの両者に設けられていることで、糸ゴム12C自体の収縮力が弱いとしても、全体としては腰下領域Uにおいても着用者に当たるので、製品が着用者に好適にフィットする。
実施の形態の吸収性本体20は、図3に示されるように、使用面側から順に、液を透過させるたとえば不織布などからなるトップシート30と、中間シート(セカンドシート)40と吸収要素50とを備えている。また、吸収要素50の裏面側には液不透過性シート(バックシートとも呼ばれる)70が設けられている。この液不透過性シート70の裏面側には外装シート12が設けられている。さらに、両側にバリヤーカフス60、60を備えている。
トップシート30は、液を透過する性質を有する。したがって、トップシート30の素材は、この液透過性を発現するものであれば足り、例えば、有孔又は無孔の不織布や、多孔性プラスチックシートなどを例示することができる。また、このうち不織布は、その原料繊維が何であるかは、特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等を例示することができる。例えば、柔軟性、ドレープ性を求めるのであれば、スパンレース法が、嵩高性、ソフト性を求めるのであれば、サーマルボンド法が、好ましい加工方法となる。
また、トップシート30は、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートを貼り合せて得た積層シートからなるものであってもよい。同様に、トップシート30は、平面方向に関して、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートからなるものであってもよい。
トップシート30を透過した液を速やかに吸収コアへ移行させるために、トップシート30より液の透過速度が速い、通常「セカンドシート」と呼ばれる中間シート40を設けることができ、この中間シート40は、例えば図示例のように、トップシート30と包被シート58との間に介在させることができる。この中間シート40は、液を速やかに吸収コア56へ移行させて吸収コア56による吸収性能を高めるばかりでなく、吸収した液の吸収コアからの「逆戻り」現象を防止し、トップシート30上を常に乾燥した状態とすることができる。中間シート40は省略可能である。
中間シート40としては、トップシート30と同様の素材や、スパンレース、パルプ不織布、パルプとレーヨンとの混合シート、ポイントボンド又はクレープ紙を例示できる。特にエアスルー不織布及びスパンボンド不織布が好ましい。
図示の形態の中間シート40は、吸収コア56の幅より短く中央に配置されているが、全幅にわたって設けてもよい。中間シート40の長手方向長さは、吸収コア56の長さと同一でもよいし、液を受け入れる領域を中心にした短い長さ範囲内であってもよい。中間シート40の代表的な素材は液の透過性に優れる不織布である。
液不透過性シート70は、吸収コア56の裏面側に配されるシートであり、その素材が特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂や、ポリエチレンシート等に不織布を積層したラミネート不織布、防水フィルムを介在させて実質的に不透液性を確保した不織布(この場合は、防水フィルムと不織布とで液不透過性シートが構成される。)などを用いることができる。もちろん、このほかにも、近年、ムレ防止の観点から好まれて使用されている不透液性かつ透湿性を有する素材も例示することができる。この不透液性かつ透湿性を有する素材のシートとしては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を混練して、シートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸して得られた微多孔性シートを例示することができる。
液不透過性シート70を吸収コアの両側から上面側に回りこませる(図示せず)ことで、液の横漏れを防止できるが、図示形態では、横漏れについては、バリヤーカフス60を形成する二重のバリヤーシート64間に第2液不透過性シート72を介在させることにより防止している。この形態によれば、バリヤーカフス60の起立まで第2液不透過性シート72が延在しているので、トップシート30を伝わって横に拡散した液やバリヤーカフス60、60間の軟便の横漏れを防止できる利点もある。
製品の両側に設けられたバリヤーカフス60、60は、トップシート30上を伝わって横方向に移動する尿や軟便の横漏れを防ぐために設けられているものである。図示のバリヤーカフス60は、撥水性不織布シートを二重に積層して形成したものであり、吸収体56の裏面側からトップシート30の下方への折り込み部分を覆って、表面側に突出するように形成されている。トップシート30上を伝わって横方向に移動する尿を阻止するために、特に、二重の不織布シート間に液不透過性シート70の側部が挿入され、表面側に突出するバリヤーカフス60の途中まで延在している。
また、バリヤーカフス60自体の形状は適宜に設計可能であるが、図示の例では、バリヤーカフス60,60の前後端部が折り畳まれた状態で固定され、前後方向中間部は固定されておらず、かつバリヤーカフス60の突出方向の先端部及び中間部に前後方向に沿って弾性伸縮部材、たとえば糸ゴム62が伸張下で固定されており、使用状態においてその収縮力により、バリヤーカフス60が起立するようになっている。
吸収要素50は表面露出吸収粒子54aおよび被覆吸収粒子54bを含む吸収コア56を有する。被覆吸収粒子54bは、高吸収性ポリマー粒子の外表面全体を水溶性被膜で被覆してなるものである。水溶性被膜は、所望の吸収開始時間に応じて膜厚や材質を選定するのが好ましい。吸収開始時間は一概には言えないが、通常の場合15分〜1時間、特に20〜40分とするのが好ましい。吸収開始時間が異なる複数の被覆吸収粒子54bを併用することもできる。吸収開始時間が短すぎると被膜による吸収遅延効果が乏しくなり、長すぎると吸収に利用されなくなるおそれがある。なお、「吸収開始までの時間」は、サンプル1gを100mlの生理食塩水に浸漬した後、液面が低下し始めるまでの時間として求まるものである。
被覆吸収粒子54bおよび表面露出吸収粒子54aに用いる高吸収性ポリマー粒子(「粒子」以外に「粉体」も含む)としては、この種の吸収性物品に使用されるものをそのまま使用でき、粒径としては100〜1000μm、特に150〜400μmのものが望ましい。高吸収性ポリマー粒子の材質としては、特に限定無く用いることができるが、吸水量が60g/g以上のものが好適である。高吸収性ポリマー粒子としては、でんぷん系、セルロース系や合成ポリマー系などのものがあり、でんぷん−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、でんぷん−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物やアクリル酸(塩)重合体などのものを用いることができる。高吸収性ポリマー粒子の形状としては、通常用いられる粉粒体状のものが好適であるが、他の形状のものも用いることができる。
また、高吸収性ポリマー粒子の吸水速度は40秒以下であるのが好ましい。吸水速度が40秒を超えると、吸収要素50内に供給された液が外に戻り出てしまう所謂逆戻りを発生し易くなる。また、高吸収性ポリマー粒子のゲル強度は1000Pa以上であるのが好ましい。これにより、***液吸収後のべとつき感を効果的に抑制できる。
図3に示すように、吸収コア56の周囲全体を包被シート58で包むのは好ましい形態である。ただし、この包被シート58は省略することもできる。
包被シート58を用いる場合、その素材としては、ティッシュペーパ、特にクレープ紙、不織布、ポリラミ不織布、小孔が開いたシート等を用いることができる。ただし、高吸収性ポリマー粒子が抜け出ないシートであるのが望ましい。クレープ紙に換えて不織布を使用する場合、親水性のSMMS(スパンボンド/メルトブローン/メルトブローン/スパンボンド)不織布が特に好適であり、その材質はポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレンなどを使用できる。目付けは、8〜20g/m2、特に10〜15g/m2のものが望ましい。
さらに、図3に示すように、吸収コア56の裏面側、特に吸収コア56と包被シート58の裏面側部位(下側の部分)との間に保持シート80を設けるのも好ましい形態である。この保持シート80は省略することもできる。
被覆吸収粒子54bや表面露出吸収粒子54aは、消費者が使用するまでの過程で、繊維集合体から抜け落ちることがあり、この抜け落ちた粒子群の凹凸は、消費者が使用する際に手で触ったときジャリジャリした違和感を与える。保持シート80は、この違和感を軽減するものであり、包被シート58のみでは足りないコシを補強するものである。
保持シート80の素材は、特に限定されず、被覆吸収粒子および表面露出吸収粒子の保持性能を有するものであれば足りる。具体的には、例えば、不織布、捲縮パルプ、低吸収性のコットン繊維(例えば、未脱脂のコットン繊維、脱脂されたコットン繊維、レーヨン繊維を撥水剤や疎水化剤で処理したものなど。)、ポリエチレン繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリプロピレン繊維、絹、綿、麻、ナイロン、ポリウレタン、アセテート繊維等を例示することができる。また、保持シート80を複数枚重ねて使用することも可能である。
保持シート80を不織布とする場合、その保持シート80は、KES試験に基づく圧縮エネルギーが0.01〜10.00gfcm/cm2、好ましくは、0.01〜1.00gfcm/cm2で、かつ圧縮レジリエンスが10〜100%、好ましくは、70〜100%の不織布であるのが好ましい。
なお、図示しないが、吸収性本体20の各構成部材は、ホットメルト接着剤などのベタ、ビードまたはスパイラル塗布などにより相互に固定される。
一方、図5及び図6はテープ止着式使い捨ておむつの例を示している。図6は図5における6−6線矢視図であるが、吸収性本体20についてはやや誇張して図示してある。
Claims (4)
- 液を吸収し保持する吸収要素を有し、
この吸収要素は、高吸収性ポリマー粒子の外表面全体を水溶性被膜で被覆してなる被覆吸収粒子と、外表面の少なくとも一部が被覆されていない高吸収性ポリマー粒子からなる表面露出吸収粒子との混合粒子を、繊維集合体中に分散保持させたものである、ことを特徴とする吸収性物品。 - 液を吸収し保持する吸収要素を有し、
この吸収要素は、
高吸収性ポリマー粒子の外表面全体を水溶性被膜で被覆してなる被覆吸収粒子が繊維集合体中に分散保持されてなり、外表面の少なくとも一部が被覆されていない高吸収性ポリマー粒子からなる表面露出吸収粒子を実質的に含まない遅効層と、
前記表面露出吸収粒子を含み、前記被覆吸収粒子を実質的に含まない速効層とを有しており、
前記速効層が前記遅効層の上側に設けられている、ことを特徴とする吸収性物品。 - 前記繊維集合体がセルロースアセテートトウを開繊してなるものである、請求項1または2記載の吸収性物品。
- 前記被覆吸収粒子が、前記高吸収性ポリマー粒子の外表面に、水溶性被膜を形成する塗料を塗布したものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
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