JP2008086504A5 - - Google Patents

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吸収性物品
本発明は、装着者の装着部分の肌と接触する部分に、カブレ防止剤を含有してなる吸収性物品に関する。
紙おむつや生理用ナプキン等の吸収性物品では、皮膚表面に存在する皮脂やアミノ酸の酸化・変質が原因で、装着部分の肌にカブレが発生することが知られており、このために吸収性物品における装着部分の肌と接触する部分に、ビタミンE群等の酸化防止剤を塗布することが知られている(例えば特許文献1参照)。
特開2002−172130号公報
しかし、ビタミンE群のように自身の酸化により近接物質の酸化を防止する酸化防止剤は、単に製品に塗布するだけでは、製品の使用時までに空気中の酸素と接触することで酸化してしまい、酸化防止機能が十分に発揮されないおそれがある。特に、この傾向は、ビタミンE群のように抗酸化力が強い酸化防止剤を使用する場合に顕著である。
そこで、本発明の主たる課題は、酸化防止効果の長期維持を可能ならしめることにある。
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
少なくとも装着者の装着部分の肌と接触する部分に、カブレ防止剤を含有してなる吸収性物品であって、
前記カブレ防止剤が、自身の酸化により近接物質の酸化を防止する酸化防止剤と、酸化した前記酸化防止剤を還元する還元剤とを含有するものである、
ことを特徴とする吸収性物品。
(作用効果)
このように、カブレ防止剤として、自身の酸化により近接物質の酸化を防止する酸化防止剤を用いるだけでなく、酸化防止剤が酸化した場合にこれを還元する還元剤を併用することにより、酸化防止効果の長期維持が可能となる。
<請求項2記載の発明>
前記酸化防止剤がビタミンE群を含む、請求項1記載の吸収性物品。
(作用効果)
ビタミンE群は抗酸化力が強いため空気との接触により酸化し易い。よって、このような酸化防止剤を用いる場合に本発明は好適である。また、ビタミンEは尿中に***されるビタミンCによって還元されることからも、紙おむつへの適用は好適である。
<請求項3記載の発明>
前記ビタミンE群は、α型のビタミンEを50重量%以上含む、請求項2記載の吸収性物品。
(作用効果)
ビタミンE群には、α型、β型、γ型、δ型があるが、中でもα型のビタミンEは他と比べて酸化防止効果に優れるため、その使用量を多くするのが好ましい。
<請求項4記載の発明>
前記還元剤が、ビタミンC群またはコエンザイムQ10である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
(作用効果)
還元剤としては、安全性及び効果の双方に優れる点で、ビタミンC群やコエンザイムQ10が特に好ましい。
<請求項5記載の発明>
前記カブレ防止剤は、複数種の前記酸化防止剤をマイクロカプセルに保持した状態で含有しており、且つ、相対的に酸化防止効果の強い酸化防止剤をマイクロカプセルのコアに含有し、相対的に酸化防止効果の弱い酸化防止剤をマイクロカプセルのシェルに含有している、請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸収性物品。
(作用効果)
このように酸化防止剤を2種以上使用するとともに、相対的に酸化防止効果の強い酸化防止剤をマイクロカプセルのコアに含有させ、相対的に酸化防止効果の弱い酸化防止剤をマイクロカプセルのシェルに含有させると、各成分の効果を所望のバランスで発揮させることができるため好ましい。
<請求項6記載の発明>
前記コアに含まれる酸化防止剤はビタミンE群であり、前記シェルに含まれる酸化防止剤はビタミンA群である、請求項5記載の吸収性物品。
(作用効果)
前述のようにマイクロカプセルを用いる場合、空気中の酸素による酸化を防止する上でまた、多段階に皮脂やアミノ酸の酸化・変質を抑制する上で、特にこのような組み合わせが好ましい。
<請求項7記載の発明>
前記カブレ防止剤がエモリエント剤を含有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の吸収性物品。
(作用効果)
エモリエント剤は、皮膚を柔らかくし、緩和し、しなやかにし、被覆し、なめらかにし、加湿しまたは清潔にする機能を有する潤滑性向上物質のことをいう。エモリエント剤が体温により溶けて肌に移ることによって、***物による刺激を低減できる。また、エモリエント剤が物品と肌との接触部分における潤滑性を向上させ、物理的刺激を低減することができる。
<請求項8記載の発明>
前記カブレ防止剤が、前記吸収性物品の肌と接触する部分を覆う液透過性のトップシートに含まれ、前記トップシートには、ロール表面に凸部が複数設けられた凸ロールと、ロール表面に前記凸部が嵌入する凹部が複数設けられた凹ロールと、からなるエンボスロールで、凹凸のエンボスが付与されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の吸収性物品。
(作用効果)
表面シートに凹凸のエンボスが付与されていると、使用者の肌との接触面積が減ることによって、物理的刺激を低減することができる。
以上のとおり、本発明によれば、酸化防止効果の長期維持が可能となる等の利点がもたらされる。
以下、本発明の一実施形態について、先ず適用対象となる紙おむつの例について説明し、しかる後に本発明に係るカブレ防止剤について説明する。
<パンツ型紙おむつの例>
図1には、パンツ型使い捨ておむつの例が示されている。このパンツ型使い捨ておむつ10は、外面(裏面)側の外装シート12と内面(表面)側の吸収性本体20とを備え、外装シート12に吸収性本体20が固定されている。吸収性本体20は、尿や軟便などの***物(後述する生理用ナプキンでは経血)を受け止めて液分を吸収保持する部分である。外装シート12は着用者に装着するための部分である。
外装シート12はたとえば図示のように砂時計形状となり、両側が括れており、ここが着用者の脚を入れる部位となる。吸収性本体20は任意の形状を採ることができるが、図示の形態では長方形である。
外装シート12は、吸収性本体20が図2に示すように所定位置に設置され固定された後、前後に折り畳まれ、外装シート12の前身頃12F及び後身頃12Bの両側部の接合領域12Aが熱融着などにより接合される。これによって、図1に示す構造の、ウエスト開口部WOと一対のレッグ開口部LOを有するパンツ型使い捨ておむつが得られる。
図示の吸収性本体20の長手方向(すなわち図2の上下方向。製品の前後方向でもある。)の中間の幅は、外装シート12の括れた部分を繋ぐ幅より短い形態が示されている。この幅の関係は逆でもよいし、同一の幅でもよい。
外装シート12は望ましくは2枚のたとえば撥水性不織布のシートからなり、これらのシート間に弾性伸縮部材を介在させて、その収縮力により着用者にフィットさせる形態が望ましい。前記弾性伸縮部材としては、糸ゴムや弾性発泡体の帯状物などを使用できるが、多数の糸ゴムを使用するのが望ましい。図示の形態では、糸ゴム12C,12C…が、ウエスト領域Wにおいては幅方向に連続して設けられ、腰下領域Uにおいては両側部分のみに設けられ、股下領域Lにおいては設けられていない。糸ゴム12C,12C…が、ウエスト領域W及び腰下領域Uの両者に設けられていることで、糸ゴム12C自体の収縮力が弱いとしても、全体としては腰下領域Uにおいても着用者に当たるので、製品が着用者に好適にフィットする。
(吸収性本体)
実施の形態の吸収性本体20は、図3に示されるように、使用面側から順に、液を透過させるたとえば不織布などからなるトップシート30と、中間シート(セカンドシート)40と吸収要素50とを備えている。また、吸収要素50の裏面側には液不透過性シート(バックシートとも呼ばれる)70が設けられている。この液不透過性シート70の裏面側には外装シート12が設けられている。さらに、両側にバリヤーカフス60、60を備えている。
(トップシート)
トップシート30は、液を透過する性質を有する。したがって、トップシート30の素材は、この液透過性を発現するものであれば足り、例えば、有孔又は無孔の不織布や、多孔性プラスチックシートなどを例示することができる。また、このうち不織布は、その原料繊維が何であるかは、特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等を例示することができる。例えば、柔軟性、ドレープ性を求めるのであれば、スパンレース法が、嵩高性、ソフト性を求めるのであれば、サーマルボンド法が、好ましい加工方法となる。
また、トップシート30は、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートを貼り合せて得た積層シートからなるものであってもよい。同様に、トップシート30は、平面方向に関して、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートからなるものであってもよい。
(中間シート)
トップシート30を透過した液を速やかに吸収体へ移行させるために、トップシート30より液の透過速度が速い、通常「セカンドシート」と呼ばれる中間シート40を設けることができ、この中間シート40は、例えば図示例のように、トップシート30と包被シート58との間に介在させることができる。この中間シート40は、液を速やかに吸収体56へ移行させて吸収体56による吸収性能を高めるばかりでなく、吸収した液の吸収体からの「逆戻り」現象を防止し、トップシート30上を常に乾燥した状態とすることができる。中間シート40は省略可能である。
中間シート40としては、トップシート30と同様の素材や、スパンレース、パルプ不織布、パルプとレーヨンとの混合シート、ポイントボンド又はクレープ紙を例示できる。特にエアスルー不織布及びスパンボンド不織布が好ましい。
図示の形態の中間シート40は、吸収体56の幅より短く中央に配置されているが、全幅にわたって設けてもよい。中間シート40の長手方向長さは、吸収体56の長さと同一でもよいし、液を受け入れる領域を中心にした短い長さ範囲内であってもよい。中間シート40の代表的な素材は液の透過性に優れる不織布である。
(エンボス加工)
使用者の肌との接触面積を減らし、物理的刺激を低減するため、トップシート30、またはトップシート30と中間シート40の両方に、凹凸のエンボスを付与することができる。
本形態におけるエンボスは、ロール表面に凸部が複数設けられた凸ロールと、ロール表面に凸部が嵌入する凹部が複数設けられた凹ロールと、からなるエンボスロールにより、トップシート30または、トップシート30及び中間シート40に付与する。エンボスロールとしては、凸ロールと凹ロールとが異型のものを用いることが好ましい。これにより、トップシート30は、使用者の肌と接触する部位の面積が狭いものとなるため、得られる使い捨て紙おむつ等の吸収性物品は、かぶれ等の肌荒れが生じにくいものとなる。ここで、凸ロールと凹ロールとが異型であるとは、凸ロールのパターン形状と凹ロールのパターン形状とが異なる(一方のロールがプレーンであってもよい。)ことをいう。
本形態においては、凸ロールと凹ロールとが、それぞれどのよう形状で異型となっているかは、特に限定されない。ただし、図6及び図7に示すように、凸部103が、例えば、先端面は、円形、楕円形、正方形、長方形、菱形等の、図示例では菱形である逆すり鉢状で、かつ、図8及び図9に示すように、相互に隣接する凹部104の境界が格子状(格子状部6)となっているのが好ましい。この形態によると、凸ロール及び凹ロールのニップ状態が、図10及び図11に示すようになるため(なお、図11においては、凸ロール101を点線で示しているが、これは凸ロール101と凹ロール102とを明確に区別するためであり、陰線とする趣旨ではない。)、トップシート30及び中間シート40に、凸部103及びこれと対応する凹部104によって形成されたカップ部と、相互に隣接する凸部間105及びこの凸部間105に嵌入する格子状部106によって形成された肌当り部と、を有するエンボスが付与される。したがって、得られる吸収性物品は、カップ部によって尿や軟便が保持される、肌当り部によって尿や軟便の拡散が阻止される、使用者の肌と接触する部位が肌当り部のみとなり、肌との接触面積が狭くなるため、肌荒れが生じにくくなる、カップ部及び肌当り部によってワッフル調となるため、柔らか感を与える、ものとなる。
また、凸ロール101と凹ロール102とが異型となっている形態としては、図12及び図13に示すように、凸部103が、例えば、先端面は、円形、楕円形、正方形、長方形、菱形等の、図示例では円形である逆すり鉢状で、かつ、図14〜図16に示すように、相互に隣接する凹部104の境界が稜線状等の格子状(格子状部6)となっており、この格子状部106の先端面に幅狭の突部107が設けられた形態も、好ましいものとして例示することができる。本形態によると、凸ロール101及び凹ロール102のニップ状態が、図17〜図19に示すようになる(なお、図18及び図19においては、凸ロール101を点線で示しているが、これは凸ロール101と凹ロール102とを明確に区別するためであり、陰線とする趣旨ではない。)。したがって、トップシート30及び中間シート40に形成されるエンボスは、先の形態と同様に、凸部103及びこれと対応する凹部104によって形成されたカップ部、及び、相互に隣接する凸部間105及びこの凸部間105に嵌入する格子状部106によって形成された肌当り部と、を有するものになり、先の形態と同様の作用効果を有するものとなる。加えて、本形態では、格子状部106の先端面に幅狭の突部7が設けられているため、肌当り部がより狭いものとなり、得られる吸収性物品は、肌との接触面積がより狭くなって、一段と肌荒れが生じくいものとなる。また、同様に、本形態では、格子状部106の先端面に幅狭の突部107が設けられているため、肌当り部がより鮮明に付与されることになり、得られる吸収性物品は、一段とワッフル調の柔らか感を与えるものとなる。さらに、凹凸を逆パターンにすれば、凸部103のみが肌と接するようになるため、肌との接触面積が減り、ふっくら柔らかいキルト調のパターンとすることができる。
本形態のエンボスは、以上の要件を満たす限り、形状、深さ、ピッチ等を、適宜設計変更することができる。ただし、エンボスの深さLは、トップシート30及び中間シート40の厚み計(トップシート30の厚みと中間シート40の厚みとを足した厚み。なお、トップシート30のみにエンボス106を付与した場合は、トップシート30の厚みで、トップシート30、中間シート40及び吸収体56にエンボス106を付与した場合は、トップシート30の厚みと中間シート40の厚みと吸収体56の厚みとを足した厚みである。)以上とされているのが好ましい。エンボスの形状を鮮明に入れ、形状を保持するためである。例えば、トップシート30の厚みが0.1〜0.7mm、中間シート40の厚みが0.1〜1.0mmの場合は、エンボス106の深さLを0.2〜1.7mm、好ましくは0.25〜4.0mmとすることができる。
また、エンボス106の面積は、トップシート30及び中間シート40の積層面積(積層関係にある部位の面積)の5〜100%とされているのが好ましく、25〜80%とされているのがより好ましい。エンボス106の面積が、トップシート30及び中間シート40の積層面積の5%以上とされていると、尿や軟便のトップシート30での拡散が減る。
本形態において、エンボスを付与するにあたっては、30mmエンボスを付与する幅中間シートの幅120mmトップシートの幅250mmの関係を満たすようにするのが好ましく、70mmエンボスを付与する幅中間シートの幅90mmトップシートの幅180mmの関係を満たすようにするのがより好ましい。エンボスを付与する幅が30mm未満であると、エンボス効果(便吸収・肌面積)が得られにくく、トップシート30と中間シート40との接着強度が実使用に耐えられなくなる(剥がれる)。中間シート40の幅が120mmを超えると、他シートの接着部位の強度が落ち好ましくない。トップシート30の幅が120mm未満であると、トップシート30に他シート(ギャザーシートなど)を接着できなくなり、また、接着性も弱く好ましくない。トップシート30の幅が250mmを超えると、吸収体56に巻き込ますか、カットするかしかなく、無駄な資材となる。
また、本形態においては、0.10mmトップシートの厚み中間シートの厚み2.50mmで、かつ、15g/m3 トップシートの目付け中間シートの目付け50g/m3の関係を満たすようにするのが好ましく、0.15mmトップシートの厚み中間シートの厚み2.85mmで、かつ、20g/m3 トップシートの目付け中間シートの目付け35g/m3の関係を満たすようにするのがより好ましい。トップシート30の厚みが0.15mm未満であると、不織布自体の製造が困難であり、また、疎密や濃淡ムラによりエンボスの見栄えに悪影響を与える。トップシート30の厚みが中間シート40の厚みを超えると、トップシート30に尿や便を保持し、吸収体56へのひきこみを悪くするおそれがある。中間シート40の厚みが2.35mmを超えると、目付けがあがりコストアップとなる。また、トップシート30の目付けが15g/m3未満であると、不織布自体の製造が困難であり、また、疎密や濃淡ムラによりエンボスの見栄えに悪影響を与える。トップシート30の目付けが中間シート40の目付けを超えると、トップシート30に尿や便を保持し、吸収体へのひきこみを悪くするおそれがある。中間シート40の目付けが50g/m3を超えると、目付けがあがりコストアップとなる。さらに、トップシート30及び中間シート40の厚み及び目付けを同時に限定するのは、エンボスの見栄えと吸収性とのバランスをとるためである。
本形態において、エンボスを付与するにあたって、凸ロール101及び凹ロール102に熱を加える場合においては、0.05mm凸ロールと凹ロールとのクリアランストップシート及び中間シートの厚み計(トップシートの厚みと中間シートの厚みとを足した厚み。)3.0mmの関係を満たすようにするのが好ましく、0.05mm凸ロールと凹ロールとのクリアランストップシート及び中間シートの厚み計2.50mmの関係を満たすようにするのがより好ましい。クリアランスが0.05mm未満であると、トップシート30及び中間シート40全体に熱が加わるため、両シートが溶けて硬くなるおそれがある。クリアランスがトップシート30及び中間シート40の厚み計を超えると、エンボスパターンがはいらない。クリアランスが3.0mmを超えると、エンボスが鮮明に付与されず、また、トップシート30及び中間シート40がヒートシールされないおそれがある。
以上のように凸ロール101及び凹ロール102に熱を加えるにあたっては、40℃<凸ロールのロール表面温度<凹ロールのロール表面温度<180℃となるようにするのが好ましく、80℃<凸ロールのロール表面温度<凹ロールのロール表面温度<120℃となるようにするのがより好ましい。凸ロール101のロール表面温度が40℃未満であると、十分なエンボスパターンが入らない。また、凸ロール101のロール表面温度が凹ロール102のロール表面温度以上であると、格子のパターンが入る前に凸パターンが鮮明になり過ぎて硬くなる。さらに、凹ロール102のロール表面温度が180℃以上であると、格子の線がパターンされ過ぎて、表面が硬くなる。
また、凸ロール101及び凹ロール102のロール表面温度をいかなる温度とするかに関わらず、トップシート30の構成素材と中間シート40の構成素材とは、同一とするのが好ましい。ヒートシール力が増すためである。ここで、構成素材の同一性とは、原料(例えば、ポリエステル製、ポリエチレン製等。)や、構成繊維の太さ(デニール)・繊維長、製法(例えば、スパンボンド、メルトブローン等。)などが、広く同一であるか否かを意味する。
上述のようにエンボスを付与する場合、トップシート30及び中間シート40をホットメルト等の接着剤で貼り合わせずに済む。トップシート30及び中間シート40は、前述の方法によって、ヒートエンボス、超音波エンボス等のエンボス106を、積層状態で付与されることによって、貼り合わされている。したがって、接着剤によって、トップシート30がごわごわし、肌荒れが生じ易くなる、との問題が生じない。また、エンボスの付与により、トップシート30と中間シート40とが密着し、これらのシート30,40間に空隙が形成されてしまうことがなくなる。したがって、体液は直ちに吸収体53に吸収されることになり、かかる空隙に体液が留まり、この留まった体液がトップシート30を介して逆戻りするおそれがなくなる。なお、トップシート30及び中間シート40は、ホットメルト等の接着剤で貼り合わせることもできるが、その場合は、エンボスを付与してもトップシート30から接着剤がしみ出してこない、例えば、主成分:スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、添加分:紫外線吸収剤添加、(臭気の原因となる)ロジン無添加、揮発分:2.0%以下、灰分:0.5%以下、150℃融解粘度:5000±1500mPa・s(JIS K−6862−1984に準拠)、軟化度:84.0±7.0℃(JIS K−6863−1994に準拠)のホットメルト接着剤を使用するのが好ましい。
(液不透過性シート)
液不透過性シート70は、吸収体56の裏面側に配されるシートであり、その素材が特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂や、ポリエチレンシート等に不織布を積層したラミネート不織布、防水フィルムを介在させて実質的に不透液性を確保した不織布(この場合は、防水フィルムと不織布とで液不透過性シートが構成される。)などを用いることができる。もちろん、このほかにも、近年、ムレ防止の観点から好まれて使用されている不透液性かつ透湿性を有する素材も例示することができる。この不透液性かつ透湿性を有する素材のシートとしては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を混練して、シートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸して得られた微多孔性シートを例示することができる。
液不透過性シート70を吸収体の両側から上面側に回りこませる(図示せず)ことで、液の横漏れを防止できるが、図示形態では、横漏れについては、バリヤーカフス60を形成する二重のバリヤーシート64間に第2液不透過性シート72を介在させることにより防止している。この形態によれば、バリヤーカフス60の起立まで第2液不透過性シート72が延在しているので、トップシート30を伝わって横に拡散した液やバリヤーカフス60、60間の軟便の横漏れを防止できる利点もある。
(バリヤーカフス)
製品の両側に設けられたバリヤーカフス60、60は、トップシート30上を伝わって横方向に移動する尿や軟便の横漏れを防ぐために設けられているものである。図示のバリヤーカフス60は、撥水性不織布シートを二重に積層して形成したものであり、吸収体56の裏面側からトップシート30の下方への折り込み部分を覆って、表面側に突出するように形成されている。また特に図示形態では、尿の浸透を阻止するために、二重の不織布シート間に液不透過性シート72が挿入され、表面側に突出するバリヤーカフス60の途中まで延在している。
また、バリヤーカフス60自体の形状は適宜に設計可能であるが、図示の例では、バリヤーカフス60,60の前後端部が折り畳まれた状態で固定され、前後方向中間部は固定されておらず、かつバリヤーカフス60の突出方向の先端部及び中間部に前後方向に沿って弾性伸縮部材、たとえば糸ゴム62が伸張下で固定されており、使用状態においてその収縮力により、バリヤーカフス60が起立するようになっている。なお、バリヤーカフス60は、複数のシートによる積層構造にすることが可能であり、このような場合には、トップシート30と同様に使用者の肌との接触面積を低減させることにより物理的刺激を低減させるために凹凸のエンボスを付与することができる。
(吸収要素)
吸収要素50は、尿や軟便などの液を吸収保持する部分である。吸収要素50は、吸収体56と、この吸収体56の少なくとも裏面及び側面を包む包被シート58とを有している。包被シート58は省略することもできる。吸収要素50は、その裏面においてホットメルト接着剤等の接着剤を介して外装シート12の内面に接着することができる。
(吸収体)
吸収体56は、綿状パルプ等の短繊維を積繊したものの他、フィラメント52,52…の集合体からなるもの等も使用できる。
フィラメント52,52…の集合体は、トウ(繊維束)を開繊することにより得ることができる。トウ構成繊維としては、例えば、多糖類又はその誘導体(セルロース、セルロースエステル、キチン、キトサンなど)、合成高分子(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリラクタアミド、ポリビニルアセテートなど)などを用いることができるが、特に、セルロースエステルおよびセルロースが好ましい。
セルロースとしては、綿、リンター、木材パルプなど植物体由来のセルロースやバクテリアセルロースなどが使用でき、レーヨンなどの再生セルロースであってもよく、再生セルロースは紡糸された繊維であってもよい。
好適に採用できるセルロースエステルとしては、例えば、セルロースアセテート、セルロースブチレート、セルロースプロピオネートなどの有機酸エステル;セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、硝酸酢酸セルロースなどの混酸エステル;およびポリカプロラクトングラフト化セルロースエステルなどのセルロースエステル誘導体などを用いることができる。これらのセルロースエステルは単独で又は二種類以上混合して使用できる。セルロースエステルの粘度平均重合度は、例えば、50〜900、好ましくは200〜800程度である。セルロースエステルの平均置換度は、例えば、1.5〜3.0(例えば、2〜3)程度である。
セルロースエステルの平均重合度は、例えば10〜1000、好ましくは50〜900、さらに好ましくは200〜800程度とすることができ、セルロースエステルの平均置換度は、例えば1〜3程度、好ましくは1〜2.15、さらに好ましくは1.1〜2.0程度とすることができる。セルロースエステルの平均置換度は、生分解性を高める等の観点から選択することができる。
セルロースエステルとしては、有機酸エステル(例えば、炭素数2〜4程度の有機酸とのエステル)、特にセルロースアセテートが好適である。セルロースアセテートの酢化度は、43〜62%程度である場合が多いが、特に30〜50%程度であると生分解性にも優れるため好ましい。特に好ましいセルロースエステルは、セルロースジアセテートである。
トウ構成繊維は、種々の添加剤、例えば、熱安定化剤、着色剤、油剤、歩留り向上剤、白色度改善剤等を含有していても良い。
トウ構成繊維の繊度は、例えば、1〜16デニール、好ましくは1〜10デニール、さらに好ましくは1〜6デニールが望ましい。トウ構成繊維は、非捲縮繊維であってもよいが、捲縮繊維であるのが好ましい。捲縮繊維の捲縮度は、例えば、1インチ当たり5〜75個、好ましくは10〜50個、さらに好ましくは15〜50個程度とすることができる。また、均一に捲縮した捲縮繊維を用いる場合が多い。捲縮繊維を用いると、嵩高で軽量な吸収体を製造できるとともに、繊維間の絡み合いにより一体性の高いトウを容易に製造できる。トウ構成繊維の断面形状は、特に限定されず、例えば、円形、楕円形、異形(例えば、Y字状、X字状、I字状、R字状など)や中空状などのいずれであってもよい。トウ構成繊維は、例えば、1,000〜1,000,000本、好ましくは2,000〜1,000,000本程度の単繊維を束ねることにより形成されたトウ(繊維束)の形で使用することができる。繊維束は、1,000〜1,000,000本程度の連続繊維を集束して構成するのが好ましい。
本発明において好適に使用できるセルロースジアセテートのトウのベールは、セラニーズ社やダイセル化学工業などにより市販されている。セルロースジアセテートのトウのベールは、密度は約0.5g/cm3であり、総重量は400〜600kgである。このベールから、トウを引き剥がし、所望のサイズ、嵩となるように広い帯状に開繊する。トウの開繊幅は任意であり、例えば、幅50〜2000mm、好ましくは製品の吸収体の幅の50〜300mm程度とすることができる。また、トウの開繊度合いを調整することにより、吸収体の密度を調整することができる。
(高吸収性ポリマー粒子)
好適には、図3に示すように、吸収体56中に高吸収性ポリマー粒子54,54…を含ませる。そして、少なくとも液受け入れ領域において、フィラメント52,52…の集合体に対して高吸収性ポリマー粒子(SAP粒子)が実質的に厚み方向全体に分散されているものが望ましい。この実質的に厚み方向全体に分散されている状態を図3の要部拡大図として概念的に示した。
吸収体56の上部、下部、及び中間部にSAP粒子が無い、あるいはあってもごく僅かである場合には、「厚み方向全体に分散されている」とは言えない。したがって、「厚み方向全体に分散されている」とは、フィラメントの集合体に対し、厚み方向全体に「均一に」分散されている形態のほか、上部、下部及び又は中間部に「偏在している」が、依然として上部、下部及び中間部の各部分に分散している形態も含まれる。また、一部のSAP粒子がフィラメント52,52…の集合体中に侵入しないでその表面に残存している形態や、一部のSAP粒子がフィラメント52,52…の集合体を通り抜けて包被シート58上にある形態や、保持シート80上にある形態も排除されるものではない。
高吸収性ポリマー粒子54とは、「粒子」以外に「粉体」も含む。高吸収性ポリマー粒子54の粒径は、この種の吸収性物品に使用されるものをそのまま使用でき、1000μm以下、特に150〜400μmのものが望ましい。高吸収性ポリマー粒子54の材料としては、特に限定無く用いることができるが、吸水量が40g/g以上のものが好適である。高吸収性ポリマー粒子54としては、でんぷん系、セルロース系や合成ポリマー系などのものがあり、でんぷん−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、でんぷん−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物やアクリル酸(塩)重合体などのものを用いることができる。高吸収性ポリマー粒子54の形状としては、通常用いられる粉粒体状のものが好適であるが、他の形状のものも用いることができる。
高吸収性ポリマー粒子54としては、吸水速度が40秒以下のものが好適に用いられる。吸水速度が40秒を超えると、吸収体56内に供給された液が吸収体56外に戻り出てしまう所謂逆戻りを発生し易くなる。
また、高吸収性ポリマー粒子54としては、ゲル強度が1000Pa以上のものが好適に用いられる。これにより、嵩高な吸収体56とした場合であっても、液吸収後のべとつき感を効果的に抑制できる。
高吸収性ポリマー粒子54の目付け量は、当該吸収体56の用途で要求される吸収量に応じて適宜定めることができる。したがって一概には言えないが、50〜350g/m2とすることができる。ポリマーの目付け量を50g/m2以下とすることにより、ポリマーの重量によって、合成連続繊維を採用することにより軽量化効果が発揮されにくくなるのを防止できる。350g/m2を超えると、効果が飽和するばかりでなく、高吸収性ポリマー粒子54の過剰によりジャリジャリした違和感を与えるようになる。
必要であれば、高吸収性ポリマー粒子54は、吸収体56の平面方向で散布密度あるいは散布量を調整できる。たとえば、液の***部位を他の部位より散布量を多くすることができる。男女差を考慮する場合、男用は前側の散布密度(量)を高め、女用は中央部の散布密度(量)を高めることができる。また、吸収体56の平面方向において局所的(例えばスポット状)にポリマーが存在しない部分を設けることもできる。
必要により、高吸収性ポリマー粒子54として、粒径分布が異なる複数用意し、厚み方向に順次供給し、吸収体56内の下側に粒径分布が小さいものを、上側に粒径分布が大きいものを分布させることができる。
高吸収性ポリマー粒子54と連続繊維との割合は吸収特性を左右する。吸収体56における液を直接受ける領域での5cm×5cmの平面面積内における重量比としては、高吸収性ポリマー粒子/連続繊維重量が、1〜14、特に2〜9であることが望ましい。
(包被シート)
包被シート58を用いる場合、その素材としては、ティッシュペーパ、特にクレープ紙、不織布、ポリラミ不織布、小孔が開いたシート等を用いることができる。ただし、高吸収性ポリマー粒子が抜け出ないシートであるのが望ましい。クレープ紙に換えて不織布を使用する場合、親水性のSMMS(スパンボンド/メルトブローン/メルトブローン/スパンボンド)不織布が特に好適であり、その材質はポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレンなどを使用できる。目付けは、5〜40g/m2、特に10〜30g/m2のものが望ましい。
この包被シート58は、図3に示すように、吸収体56の層全体を包む形態のほか、その層の裏面及び側面のみを包被するものでもよい。また図示しないが、吸収体56の上面及び側面のみをクレープ紙や不織布で覆い、下面をポリエチレンなどの液不透過性シートで覆う形態、吸収体56の上面をクレープ紙や不織布で覆い、側面及び下面をポリエチレンなどの液不透過性シートで覆う形態などでもよい(これらの各素材が包被シートの構成要素となる)。必要ならば、吸収体56の層を、上下2層のシートで挟む形態や下面のみに配置する形態でもよいが、高吸収性ポリマー粒子54の移動を防止でき難いので望ましい形態ではない。
(保持シート)
さらに、図3に示すように、吸収体56の裏面側、特に吸収体56と包被シート58の裏面側部位(下側の部分)との間に保持シート80を設けるのも好ましい形態である。この保持シート80は省略することもできる。
高吸収性ポリマー粒子54は、消費者が使用するまでの過程で、繊維集合体から抜け落ちることがあり、この抜け落ちた粒子群の凹凸は、消費者が使用する際に手で触ったときジャリジャリした違和感を与える。保持シート80は、この違和感を軽減するものであり、包被シート58のみでは足りないコシを補強するものである。
保持シート80の素材は、特に限定されず、高吸収性ポリマー粒子54の保持性能を有するものであれば足りる。具体的には、例えば、不織布、捲縮パルプ、低吸収性のコットン繊維(例えば、未脱脂のコットン繊維、脱脂されたコットン繊維、レーヨン繊維を撥水剤や疎水化剤で処理したものなど。)、ポリエチレン繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリプロピレン繊維、絹、綿、麻、ナイロン、ポリウレタン、アセテート繊維等を例示することができる。また、保持シート80を複数枚重ねて使用することも可能である。
保持シート80を不織布とする場合、その保持シート80は、KES試験に基づく圧縮エネルギーが0.01〜10.00gfcm/cm2、好ましくは、0.01〜1.00gfcm/cm2で、かつ圧縮レジリエンスが10〜100%、好ましくは、70〜100%の不織布であるのが好ましい。
(その他)
なお、図示しないが、吸収性本体20の各構成部材は、ホットメルト接着剤などのベタ、ビードまたはスパイラル塗布などにより相互に固定される。
<テープ止着式使い捨ておむつの例>
一方、図4及び図5はテープ止着式使い捨ておむつの例を示している。図5は図4における4−4線矢視図であるが、吸収性本体20についてはやや誇張して図示してある。
このおむつ10Aは、おむつの背側両側端部に取り付けられたファスニング片を有し、このファスニング片の止着面にフック要素を有するとともに、おむつの裏面を構成するバックシートを不織布積層体とし、おむつの装着に当り、ファスニング片のフック要素をバックシートの表面の任意個所に係合可能となしたおむつである。
吸収性本体20は、トップシート30と、液不透過性シート70との間に、前述のパンツ型使い捨ておむつの形態で説明したものと同様の本発明に係る吸収体56を介在させたものとなっている。この吸収体56は、ティッシュペーパによる包被シート58により全体が包まれており、平面的に視て長方形をなしている。吸収体56と包被シート58との間には保持シート80が設けられている。
さらに、トップシート30と吸収体56との間には、中間シート40が介在されている。液不透過性シート70は吸収体56より幅広の長方形をなし、その外方に砂時計形状の不織布からなるバックシート12Aが設けられている。
トップシート30は吸収体56より幅広の長方形をなし、吸収体56の側縁より若干外方に延在し、液不透過性シート70とホットメルト接着剤などにより固着されている。
おむつの両側部には、使用面側に突出するバリヤーカフス60Aが形成され、このバリヤーカフス60Aは、実質的に幅方向に連続した不織布からなるバリヤーシート64と、弾性伸縮部材、例えば糸ゴムからなる1本の又は複数本の脚周り用弾性伸縮部材としての糸ゴム62とにより構成されている。90は面ファスナーによるファスニング片である。
バリヤーシート64の内面は、トップシート30の側縁と離間した位置において固着始端を有し、この固着始端から液不透過性シート70の延在縁にかけて、幅方向外方部分がホットメルト接着剤などにより固着されている。バリヤーシート64の外面は、その下面においてバックシート12Aにホットメルト接着剤などにより固着されている。さらに、ガスケットカフス用弾性伸縮部材、たとえば糸ゴム66が設けられている。
バリヤーシート64の内面の、液不透過性シート70への固着始端は、バリヤーカフス60Aの起立端を形成している。脚周りにおいては、この起立端より内側は、製品本体に固定されていない自由部分であり、この自由部分が糸ゴム62の収縮力により起立するようになる。
本例では、ファスニング片90として、面ファスナーを用いることで、バックシート12Aに対して、メカニカルに止着できる。したがって、いわゆるターゲットテープを省略することもでき、かつ、ファスニング片90による止着位置を自由に選択できる。
ファスニング片90は、プラスチック、ポリラミ不織布、紙製などのファスニング基材の基部がバックシート12Aに、例えば接着剤により接合されており、先端側にフック要素90Aを有する。フック要素90Aはファスニング基材に接着剤により接合されている。フック要素90Aは、その外面側に多数の係合片を有する。フック要素90Aより先端側に仮止め接着剤部90Bを有する。製品の組立て末期において、仮止め接着剤部90Bがバリヤーシート64に接着されることによりファスニング片90の先端側の剥離を防止するようにしている。使用時には、その接着力に抗して剥離し、ファスニング片90の先端側を前身頃に持ち込むものである。仮止め接着剤部90Bより先端側はファスニング基材が露出して摘みタブ部とされている。
前身頃の開口部側には、バックシート12Aの内面側に、ファスニング片90のフック要素90Aを止着する位置の目安となるデザインが印刷された止着位置表示シート74が設けられ、その表示が外部からバックシート12Aを通して視認可能なように施されている。
おむつの、装着時には、おむつが舟形に体に装着されるので、そして糸ゴム62の収縮力が作用するので、脚周りでは、糸ゴム62の収縮力によりバリヤーカフス60Aが起立する。
起立部で囲まれる空間は、尿又は軟便の閉じ込め空間を形成する。この空間内に排尿されると、その尿はトップシート30を通って吸収体56内に吸収されるとともに、軟便の固形分については、バリヤーカフス60Aの起立部がバリヤーとなり、その乗り越えが防止される。万一、起立部の起立遠位側縁を乗り越えて横に漏れた尿は、平面当り部によるストップ機能により横漏れが防止される。
本形態において、各起立カフスを形成するバリヤーシート64は、透液性でなく実質的に不透液性(半透液性でもよい)であるのが望ましい。また、本発明の表面シート(不織布積層体)に対してシリコン処理などにより液体をはじく性質となるようにしてもよい。いずれにしても、バリヤーシート64及びバックシート12Aは、それぞれ通気性があり、かつバリヤーシート64及びバックシート12Aは、それぞれ耐水圧が100mmH2O以上のシートであるのが好適である。これによって、製品の幅方向側部において通気性を示すものとなり、着用者のムレを防止できる。
その他の点、例えば各部の使用素材等については、前述のパンツ型紙おむつの場合と同じであるため、敢えて説明を省略する。
<カブレ防止剤について>
さて、本発明は、上述した紙おむつ等の吸収性物品において、少なくとも装着者の装着部分の肌と接触する部分の一部または全部に、カブレ防止剤を含有させるものである。具体的には、カブレ防止剤を含有させる部材としては、トップシート30、バリヤーカフス60、外装シート12等を挙げることができ、これらの部材において、少なくとも肌側に露出する面の一部または全部にカブレ防止剤が含有される。
製品にカブレ防止剤を含有させる手法は特に限定されないが、例えば次のような手法を採用することができる。
(イ)部材の素材を製造する際に、素材に接触または混合される薬剤(例えば、不織布原綿を製造する際に使用する油剤)中にカブレ防止剤を添加混合する。
(ロ)部材の素材を製造する際に、製造した素材にカブレ防止剤を塗布する。
(ハ)吸収性物品を製造する際、つまり部材の組立前、組立過程または組立後において、所定の部材にカブレ防止剤を塗布する。この場合、部材に対して連続的全面的な塗布だけでなく、長さ方向および/または幅方向に間欠に、所望の部位例えばカブレやすい股間部特に性器当接部や肛門当接部周辺に部分的に塗布することも可能である。
本発明のカブレ防止剤は、自身の酸化により近接物質の酸化を防止する酸化防止剤と、酸化した前記酸化防止剤を還元する還元剤とを含有するものである。酸化防止剤および還元剤としては、皮脂に対する相溶性の点で油溶性のものが好ましく、具体例としてはビタミンE群(ビタミンE、その異性体およびその誘導体を含む。また、天然型と合成型のどちらでもよい。)、ビタミンA群(ビタミンA、その異性体およびその誘導体を含む)、ビタミンC群(ビタミンC、その異性体およびその誘導体を含む)、コエンザイムQ10、ポリフェノール、セレン、リコピン等を挙げることができる。これらの中から酸化防止剤および還元剤としてそれぞれ適当な物質を一つまたは複数選択して使用することができる。
特に好ましい酸化防止剤はビタミンE群であり、中でもα型のビタミンEを50重量%以上含むのが好ましい。一例としては、異性体の重量比α:β:γ:δが55:3:40:3のビタミンE群を挙げることができる。
一方、特に好ましい還元剤はビタミンC群(ビタミンC、その異性体およびその誘導体を含む)、コエンザイムQ10である。
カブレ防止剤を塗布する場合等、必要に応じて酸化防止剤および還元剤を適当な溶媒に溶解させ、この溶液を塗布等に使用することができる。酸化防止剤、還元剤に油溶性の物質を使用する場合、溶媒としては動植物性油脂、石油系炭化水素、脂肪酸エステル系化合物等を用いることができるが、植物性油脂を用いるのが好ましい。
酸化防止剤としてビタミンE、還元剤としてビタミンCを用いる場合には、一般的にはビタミンEは油溶性、ビタミンCは水溶性であるため、同一工程で部材に含有させることが困難であるが、例えばビタミンEとビタミンCの一方または両方をマイクロカプセル化し、単一のカブレ防止剤の中に含有させることで、上記問題は解決できる。この場合、マイクロカプセルのシェルにビタミンEまたはビタミンCの一方を含有させ、コアに他方を含有させてもよい。また、水溶性のビタミンEを使用することによっても、上記問題は解決される。この場合、水溶性のビタミンEを得る過程において、ビタミンEにビタミンCやアミノ酸等の機能性のある親水性要素を付加してもよい。
相溶性のない酸化防止剤と還元剤を使用する場合は、各成分を必ずしも同一工程で部材に含有させる必要はない。このような場合、例えば次のような手法を採用することができる。
(イ)部材の素材を製造する際に、素材に接触または混合される薬剤(例えば、不織布原綿を製造する際に使用する油剤)中にカブレ防止剤の油溶性成分を添加混合する。この後、製造した素材にカブレ防止剤の水溶性成分を塗布する。
(ロ)吸収性物品を製造する際、つまり部材の組立前、組立過程または組立後において、所定の部材にカブレ防止剤の油溶性成分を添加した素材を用い、これにカブレ防止剤の水溶性成分を塗布する。この場合、部材に対して連続的全面的な塗布だけでなく、長さ方向および/または幅方向に間欠に、所望の部位例えばカブレやすい股間部特に性器当接部や肛門当接部周辺に部分的に塗布することも可能である。また、水溶性成分がビタミンCなどの排尿中に含まれる成分による効果が期待される成分である場合には、塗布量低減のため、性器当接部周辺には塗布しない構成をとることもできる。また、カブレ防止剤の水溶性成分を添加した素材は製品の複数の部材に使用できるが、カブレ防止剤の水溶性成分の塗布は、その全ての部材に塗布する必要はない。例えば、トップシート30とバリヤーカフス60の両方にカブレ防止剤の油溶性成分を含む素材を用い、水溶性成分はトップシート30のみに塗布してもよい。また、トップシート30にエンボス加工およびカブレ防止剤の処理を行う場合において、油溶性のビタミンEと水溶性のビタミンCを用いる場合には、熱により壊れやすいビタミンCを含むカブレ防止剤の水溶性成分を塗布する前に、エンボス加工を行えば、ビタミンCの活性がエンボス加工の熱により損なわれることがない。
酸化防止剤・還元剤の使用量は適宜定めることができるが、カブレ防止剤における含有量としては酸化防止剤および還元剤がそれぞれ5重量%以上であるのが望ましく、物品の部材における含有量としては酸化防止剤および還元剤がそれぞれ0.1〜1.0g/m2であるのが好ましい。
酸化防止剤が少な過ぎると酸化防止効果が不足するおそれがあり、多過ぎると費用対効果が低下する。また、還元剤が少な過ぎると酸化防止効果の維持期間が短くなり、多過ぎると酸化防止剤による抗酸化作用が阻害されるとともに、費用対効果が低下する。
他方、酸化防止剤はマイクロカプセル中に含有させることができる。特に、酸化防止剤を2種以上併用し、各成分の効果を所望のバランスで発揮させるために、相対的に酸化防止効果の強い酸化防止剤をマイクロカプセルのコアに含有させ、相対的に酸化防止効果の弱い酸化防止剤をマイクロカプセルのシェルに含有させるのは、一つの好ましい形態である。この具体例としては、ビタミンE群からなるコアを、ビタミンA群の脂質からなるシェルで被覆したマイクロカプセルを挙げることができる。
また、本発明のカブレ防止剤にはエモリエント剤を含有させることが好ましい。エモリエント剤として好ましいのは、常温(25℃)で液体又は半固形の油性成分である。油性成分は油溶性ビタミンEの溶媒としても適用できる。エモリエント剤としては公知の物質を使用できるが、脂肪酸エステル系化合物が好適であり、グリセリン脂肪酸エステルが特に好ましい。グリセリン脂肪酸エステルは、モノグリセリド、ジグリセリド、およびトリグリセリドのいずれでも良い。グリセリン脂肪酸エステルの脂肪酸の炭素数は2〜35、好ましくは8〜22である。特に好ましいのは、ステアリン酸モノグリセリド、ラウリル酸モノグリセリド、ヤシ油脂肪酸トリグリセリドである。ヤシ油脂肪酸トリグリセリドは安全性が高い点で好ましい。また、トリグリセリドは皮脂を構成する成分である点で好ましい。
本発明は、紙おむつ、生理用ナプキン、失禁パッド、おむつカバーと併用する吸収パッド等の吸収性物品に適用できるものである。
パンツ型紙おむつの斜視図である。 パンツ型紙おむつの展開状態平面図である。 図2の3−3断面図である。 テープ式紙おむつの展開状態平面図である。 図4の5−5断面図である。 凸ロールの平面図である。 図6のA−A線断面図である。 凹ロールの平面図である。 図8のB−B線断面図である。 凸ロール及び凹ロールを付き合わせた状態の平面図である。 図10のC−C線断面図である。 凸ロールの平面図である。 図12のD−D線断面図である。 凹ロールの平面図である。 図14のE−E線断面図である。 図14のF−F線断面図である。 凸ロール及び凹ロールを付き合わせた状態の平面図である。 図17のG−G線断面図である。 図17のH−H線断面図である。
12…外装シート、12c…弾性伸縮部材、30…トップシート、40…中間シート、50…吸収要素、52…フィラメント、54…高吸収性ポリマー粒子、56…吸収体、58…包被シート、60…バリヤーカフス、64…バリヤーシート、80…保持シート。

Claims (8)

  1. 少なくとも装着者の装着部分の肌と接触する部分に、カブレ防止剤を含有してなる吸収性物品であって、
    前記カブレ防止剤が、自身の酸化により近接物質の酸化を防止する酸化防止剤と、酸化した前記酸化防止剤を還元する還元剤とを含有するものである、
    ことを特徴とする吸収性物品。
  2. 前記酸化防止剤がビタミンE群を含む、請求項1記載の吸収性物品。
  3. 前記ビタミンE群は、α型のビタミンEを50重量%以上含むものである、請求項2記載の吸収性物品。
  4. 前記還元剤が、ビタミンC群またはコエンザイムQ10である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  5. 前記カブレ防止剤は、前記酸化防止剤を含むコアと、このコアに含まれる酸化防止剤とは別の種類の酸化防止剤を含むシェルとからなるマイクロカプセルを含有するものである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  6. 前記コアに含まれる酸化防止剤はビタミンE群であり、前記シェルに含まれる酸化防止剤はビタミンA群である、請求項5記載の吸収性物品。
  7. 前記カブレ防止剤がエモリエント剤を含有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  8. 前記カブレ防止剤が、前記吸収性物品の肌と接触する部分を覆う液透過性のトップシートに含まれ、前記トップシートには、ロール表面に凸部が複数設けられた凸ロールと、ロール表面に前記凸部が嵌入する凹部が複数設けられた凹ロールと、からなるエンボスロールで、凹凸のエンボスが付与されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の吸収性物品。
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