JP2007317714A - 金属用研磨液 - Google Patents

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Abstract

【課題】迅速な研磨速度、および、良好な銅/タンタル研磨選択性を有し、更に、ディッシングが少なく平坦性を向上させることが可能な金属用研磨液を提供すること。
【解決手段】特定のアミノ酸誘導体を含む水溶液に酸を添加して電気透析を行った後、得られた処理液から前記アミノ酸誘導体を析出させる精製方法によって精製された前記アミノ酸誘導体を含有し、半導体集積回路用基板の銅配線の化学的機械的研磨に用いられる金属用研磨液。
【選択図】なし

Description

本発明は、半導体デバイスの製造に関するものであり、特に、半導体集積回路用基板の銅配線の化学的機械的研磨に用いる金属用研磨液に関する。
半導体集積回路(以下、「LSI」と記す。)で代表される半導体デバイスの開発においては、高集積化・高速化のため、配線の微細化と積層化による高密度化・高集積化が求められている。このための技術として、絶縁性薄膜(SiO2等)や配線に用いられる金属薄膜を研磨し、基板の平滑化や配線形成時の余分な金属薄膜の除去を行う化学的機械的研磨(Chemical Mechanical Polishing、以下、「CMP」と記す。)等の種々の術が用いられてきている。
CMPの一般的な方法は、円形の研磨定盤(プラテン)上に研磨パッドを貼り付け、研磨パッド表面を研磨液で浸して、パッドに基板(ウエハ)の表面を押しつけ、その裏面から所定の圧力(研磨圧力)を加えた状態で、研磨定盤および基板の双方を回転させ、発生する機械的摩擦により基板の表面を平坦化するものである。
CMPに用いる金属用研磨溶液は、一般には砥粒(例えば、アルミナ、シリカ)と酸化剤(例えば、過酸化水素、過硫酸)とを含むものであって、酸化剤によって金属表面を酸化し、その酸化皮膜を砥粒で除去することで研磨していると考えられている。
しかしながら、このような固体砥粒を含む金属用研磨液を用いてCMPを行うと、研磨傷(スクラッチ)、研磨面全体が必要以上に研磨される現象(シニング)、研磨金属面が平面状ではなく、中央のみがより深く研磨されて皿状のくぼみを生ずる現象(ディッシング)、金属配線間の絶縁体が必要以上に研磨されたうえ、複数の配線金属面表面が皿状の凹部を形成する現象(エロージョン)等が発生することがある。
このような従来の固体砥粒における問題点を解決することを目的とした金属用研磨液としては、砥粒を含まず、過酸化水素/リンゴ酸/ベンゾトリアゾール/ポリアクリル酸アンモニウムおよび水からなる金属用研磨液が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この方法によれば、半導体基体の凸部の金属膜が選択的にCMPされ、凹部に金属膜が残されて所望の導体パターンが得られるものの、従来の固体砥粒を含むよりもはるかに機械的に柔らかい研磨パッドとの摩擦によってCMPが進むため、十分な研磨速度が得難いという問題点を有している。
一方、更なる高性能化を目指し、配線用の金属として、従来汎用のタングステンやアルミニウムに代えて、配線抵抗の低い銅を用いたLSIが開発されるようになった。高密度化を目指す配線の微細化に伴って、銅配線の導電性や電子マイギュレート耐性等の向上が必要となり、それに伴って高純度銅に銀等の第3成分を微量添加した銅合金を用いることも検討されはじめてきている。同時に、これらの高精細で高純度の材料を汚染させることなく高生産性を発揮し得る高速金属研磨手段が求められている。
また、最近は生産性向上のため、LSI製造時のウエハ径を大型化しており、現在は直径200mm以上が汎用されており、300mm以上の大きさでの製造も開始され始めてきた。このような大型化に伴い、ウエハ中心部と周辺部とでの研磨速度の差が大きくなり、面内均一性に対する改善要求が強くなってきている。
銅および銅合金に対して機械的研磨手段をもたない化学研磨方法としては、溶解作用のみによる化学研磨方法も知られている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、凸部の金属膜が選択的に化学的機械的に研磨されるCMPに比べ、ディッシング等の発生による問題が発生しやすく平坦性の確保が課題となっている。
その他にも研磨面の段差平坦化を目的として、研磨パッドの劣化を抑える化学機械研磨用水系分散体(例えば、特許文献3参照。)や、ウエハ表面を修正するのに有用なイミノニ酢酸とその塩から選ばれるキレート剤を含有する加工液(例えば、特許文献4参照。)、α−アミノ酸を含有する化学機械研磨組成物(例えば、特許文献5参照。)等が提案されている。
これらの技術により、銅配線における研磨性能の向上が見られる。通常は、銅配線を高速研磨した後、銅配線のバリア金属としてしばしば用いられるタンタルやその合金類と銅とを精密研磨して、配線近傍の平滑化を行うことが一般的である。このため、銅研磨の終了時において、銅が削れやすく、タンタルが削れにくいという、銅とタンタルとの研磨選択性(以下、適宜、「銅/タンタル研磨選択性」と称する。)を有する研磨液の実現が望まれているのが現状である。
特開2001−127019号公報 特開昭49−122432号公報 特開2001−279231号公報 特表2002−538284号公報 特表2003−507894号公報
本発明は、LSIの生産性を高めるために、銅金属および銅合金を原料とする配線のより迅速な研磨を実現するCMPスラリーが求められているという背景に基づいて行われたものである。
そこで、本発明の目的は、迅速な研磨速度、および、良好な銅/タンタル研磨選択性を有し、更に、ディッシングが少なく平坦性を向上させることが可能な金属用研磨液を提供することにある。
本発明者は、上記の金属用研磨液に係る問題点について鋭意検討した結果、アニオン、カチオンを殆ど含まない特定の構造を有するアミノ酸誘導体を含有する金属用研磨液を用いることによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は下記(1)〜(4)を提供する。
(1)下記式(I)で表されるアミノ酸誘導体を含む水溶液に酸を添加して電気透析を行った後、得られた処理液から前記アミノ酸誘導体を析出させる精製方法によって精製された前記アミノ酸誘導体を含有し、半導体集積回路用基板の銅配線の化学的機械的研磨に用いられる金属用研磨液(以下、「本発明の第1の態様の金属用研磨液」という。)。
Figure 2007317714

(式中、Ra、Rb、Rc、RdおよびReは、それぞれ独立に、水素原子、カルボキシ基、ヒドロキシ基、カルバモイル基、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、またはこれらの基を部分構造として含む置換基を表し、Rfは、下記式で表される基を表す。)
Figure 2007317714

(式中、nは0〜4の整数を表し、
g、Rh、Ri、Rj、RkおよびRlは、それぞれ独立に、水素原子、カルボキシ基、ヒドロキシ基、カルバモイル基、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、またはこれらの基を部分構造として含む置換基を表し、
1は炭素原子を表し、
Xは、それぞれ独立に、CまたはNを表し、X1はCまたはNを表し、XおよびXのうち少なくとも1つはNであり、X1とC1とが単結合または二重結合により結合して含窒素芳香環を形成してもよく、
YおよびZは、それぞれ独立に、単結合または二重結合を表し、二重結合で結合される原子はRg〜Rlのいずれかを有していなくてもよい。)
(2)半導体集積回路用基板の銅配線の化学的機械的研磨に用いられ、下記式(I)で表されるアミノ酸誘導体を含有する金属用研磨液であって、前記アミノ酸誘導体に含まれるカチオンの量が、前記アミノ酸誘導体の1mol%以下である金属用研磨液(以下、「本発明の第2の態様の金属用研磨液」という。)。

Figure 2007317714

(式中、Ra、Rb、Rc、RdおよびReは、それぞれ独立に、水素原子、カルボキシ基、ヒドロキシ基、カルバモイル基、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、またはこれらの基を部分構造として含む置換基を表し、Rfは下記式で表される基を表す。)
Figure 2007317714

(式中、nは0〜4の整数を表し、
g、Rh、Ri、Rj、RkおよびRlは、それぞれ独立に、水素原子、カルボキシ基、ヒドロキシ基、カルバモイル基、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、またはこれらの基を部分構造として含む置換基を表し、
1は炭素原子を表し、
Xは、それぞれ独立に、CまたはNを表し、X1はCまたはNを表し、XおよびXのうち少なくとも1つはNであり、X1とC1とが単結合または二重結合により結合して含窒素芳香環を形成してもよく、
YおよびZは、それぞれ独立に、単結合または二重結合を表し、二重結合で結合される原子はRg〜Rlのいずれかを有していなくてもよい。)
(3)半導体集積回路用基板の銅配線の化学的機械的研磨に用いられ、下記式(I)で表されるアミノ酸誘導体を含有する金属用研磨液であって、前記アミノ酸誘導体に含まれるアニオンの量が、前記アミノ酸誘導体の1mol%以下である金属用研磨液(以下、「本発明の第3の態様の金属用研磨液」という。)。
Figure 2007317714

(式中、Ra、Rb、Rc、RdおよびReは、それぞれ独立に、水素原子、カルボキシ基、ヒドロキシ基、カルバモイル基、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、またはこれらの基を部分構造として含む置換基を表し、Rfは下記式で表される基を表す。)
Figure 2007317714

(式中、nは0〜4の整数を表し、
g、Rh、Ri、Rj、RkおよびRlは、それぞれ独立に、水素原子、カルボキシ基、ヒドロキシ基、カルバモイル基、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、またはこれらの基を部分構造として含む置換基を表し、
1は炭素原子を表し、
Xは、それぞれ独立に、CまたはNを表し、X1はCまたはNを表し、XおよびXのうち少なくとも1つはNであり、X1とC1とが単結合または二重結合により結合して含窒素芳香環を形成してもよく、
YおよびZは、それぞれ独立に、単結合または二重結合を表し、二重結合で結合される原子はRg〜Rlのいずれかを有していなくてもよい。)
(4)前記アミノ酸誘導体が、下記式(I−a)で表される化合物、下記式(I−b)で表される化合物および下記式(I−c)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種である上記(1)〜(3)のいずれかに記載の金属用研磨液。
Figure 2007317714

(式中、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rm、Rn、Ro、Rp、Rq、Rr、Rs、RtおよびRuは、それぞれ独立に、水素原子、カルボキシ基、ヒドロキシ基、カルバモイル基、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、またはこれらの基を部分構造として含む置換基を表し、
1〜X5は、それぞれ独立に、CまたはNを表し、NであるX1〜X5は、Rq、Rr、Rs、RtまたはRuを有さない。)
半導体デバイスの製造工程における半導体集積回路用基板の銅配線の化学的機械的研磨に用いる研磨液として、本発明の金属用研磨液を使用することにより、研磨速度および銅/タンタル研磨選択性が優れ、更に、ディッシングの発生が少なく平坦性をも向上させることができる。
また、このことから、LSIにおける、コロージョン、スクラッチ、シニング、エロージョン等の研磨の局部的な不均一に伴う欠陥の発生を低レベルに維持することが可能となる。
まず、本発明の第1の態様の金属用研磨液について以下に説明する。
本発明の第1の態様の金属用研磨液は、下記式(I)で表されるアミノ酸誘導体(以下、適宜「特定アミノ酸誘導体」と称する。)を含む水溶液に酸を添加して電気透析を行った後、得られた処理液から前記アミノ酸誘導体を析出させる精製方法によって精製された前記アミノ酸誘導体を含有し、半導体集積回路用基板の銅配線の化学的機械的研磨に用いられる金属用研磨液である。
Figure 2007317714
上記式(I)中、Ra、Rb、Rc、RdおよびReは、それぞれ独立に、水素原子、カルボキシ基、ヒドロキシ基、カルバモイル基、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、またはこれらの基を部分構造として含む置換基を表す。Rfは、下記式で表される基を表す。
Figure 2007317714
上記式中、nは0〜4の整数を表す。Rg、Rh、Ri、Rj、RkおよびRlは、それぞれ独立に、水素原子、カルボキシ基、ヒドロキシ基、カルバモイル基、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、またはこれらの基を部分構造として含む置換基を表す。
1は炭素原子を表す。
Xは、それぞれ独立に、CまたはNを表し、X1はCまたはNを表し、XおよびXのうち少なくとも1つはNであり、X1とC1とが単結合または二重結合により結合して含窒素芳香環を形成してもよい。「含窒素芳香環」は、窒素原子を少なくとも1つ含む芳香環を意味する。
YおよびZは、それぞれ独立に、単結合または二重結合を表し、二重結合で結合される原子はRg〜Rlのいずれかを有していなくてもよい。
ここで、「これらの基を部分構造として含む置換基」は、カルボキシ基、ヒドロキシ基、カルバモイル基、アルキル基、アリール基、およびヘテロ環基からなる群から選択される少なくとも1種を含む置換基をいう。
特定アミノ酸誘導体に導入しうる、カルボキシ基を部分構造として含む置換基としては、例えば、カルボキシ基、またはカルボキシ基を少なくとも1つ有するアルキル基、アリール基等が挙げられる。中でも、カルボキシ基、またはカルボキシメチル、カルボキシエチル、カルボキシプロピル等のカルボキシ基を1つ有する炭素数1〜3程度のアルキル基、即ち、カルボキシアルキル基が好ましく、特に、カルボキシメチル基がより好ましい。
特定アミノ酸誘導体に導入しうる、ヒドロキシ基を部分構造として含む置換基としては、例えば、ヒドロキシ基、またはヒドロキシ基を少なくとも1つ有するアルキル基、アリール基等が挙げられる。中でも、ヒドロキシ基、またはヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル等のヒドロキシ基を1つ有する炭素数1〜3程度のアルキル基、即ち、ヒドロキシアルキル基が好ましく、特に、ヒドロキシエチル基がより好ましい。
特定アミノ酸誘導体に導入しうる、カルバモイル基を部分構造として含む置換基としては、例えば、カルバモイル基、またはカルバモイル基を少なくとも1つ有するアルキル基、アリール基等が挙げられる。中でも、カルバモイル基、またはカルバモイルメチル、カルバモイルエチル、カルバモイルプロピル等のヒドロキシ基を1つ有する炭素数1〜3程度のアルキル基、即ち、カルバモイルアルキル基が好ましいものとして挙げられ、特に、カルバモイルメチル基がより好ましい。
特定アミノ酸誘導体に導入しうるアルキル基としては、直鎖、分岐または環状のアルキル基や、ビシクロアルキル基のように多環アルキル基が挙げられ、メチル、エチル、直鎖または分岐のプロピル、直鎖または分岐のブチル等の炭素数1〜4程度の直鎖または分岐のアルキル基が好ましく、特に、メチル、エチルがより好ましい。
また、特定アミノ酸誘導体に導入しうる、アルキル基を部分構造として含む置換基としては、活性メチン基を含むアルキル基が挙げられる。
特定アミノ酸誘導体に導入しうる、アリール基およびアリール基を部分構造として含む置換基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基、ベンジル基、ナフチルメチル、アントラニルメチル等が挙げられ、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
上記アリール基は、置換基を有していてもよく、また、無置換であってもよいが、無置換である方が好ましい。
上記アリール基に導入しうる置換基として、具体的には、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子)、アルキル基(直鎖、分岐または環状のアルキル基であり、ビシクロアルキル基のように多環アルキル基であっても、活性メチン基を含んでもよい)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基(置換する位置は問わない)、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、カルバモイル基(置換基を有するカルバモイル基としては、例えば、N−ヒドロキシカルバモイル基、N−アシルカルバモイル基、N−スルホニルカルバモイル基、N−カルバモイルカルバモイル基、チオカルバモイル基、N−スルファモイルカルバモイル基)、カルバゾイル基、カルボキシ基またはその塩、オキサリル基、オキサモイル基、シアノ基、カルボンイミドイル基(Carbonimidoyl基)、ホルミル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基(エチレンオキシ基またはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキシまたはアリールオキシ)カルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルホニルオキシ基、アミノ基、(アルキル、アリール、またはヘテロ環)アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、N−ヒドロキシウレイド基、イミド基、(アルコキシまたはアリールオキシ)カルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラジノ基、アンモニオ基、オキサモイルアミノ基、N−(アルキルまたはアリール)スルホニルウレイド基、N−アシルウレイド基、N−アシルスルファモイルアミノ基、ヒドロキシアミノ基、ニトロ基、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基(例えば、ピリジニオ基、イミダゾリオ基、キノリニオ基、イソキノリニオ基)、イソシアノ基、イミノ基、メルカプト基、(アルキル、アリール、またはヘテロ環)チオ基、(アルキル、アリール、またはヘテロ環)ジチオ基、(アルキルまたはアリール)スルホニル基、(アルキルまたはアリール)スルフィニル基、スルホ基、スルファモイル基(置換基を有するスルファモイル基としては、例えば、N−アシルスルファモイル基、N−スルホニルスルファモイル基)、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基等が挙げられる。
これらの置換基の中でも、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシ基、アルコキシ基が好ましく、ハロゲン原子、アルキル基がより好ましい。
なお、これらの置換基は、ここに挙げられた置換基により更に置換されていてもよい。
なお、上記活性メチン基とは、2つの電子求引性基で置換されたメチン基を意味し、電子求引性基とは、例えば、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、カルボンイミドイル基(Carbonimidoyl基)を意味する。2つの電子求引性基は互いに結合して環状構造をとってもよい。
特定アミノ酸誘導体に導入しうる、ヘテロ環基およびヘテロ環基を部分構造として含む置換基としては、例えば、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピロリニル、イミダゾリニル、ピリジル、ピラジル、チアジアゾリル、チアゾリル、トリアゾリル、インダゾリル、イミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾオキサゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、メチルピロリジニル、メチルイミダゾリジニル、メチルピロリニル、メチルイミダゾリニル、メチルピリジル、メチルピラジル、メチルチアジアゾリル、メチルチアゾリル、メチルトリアゾリル、メチルインダゾリル、メチルイミダゾリル、メチルベンゾチアゾリル、メチルベンゾイミダゾリル、メチルベンゾトリアゾリル、メチルベンゾオキサゾリル、メチルテトラゾリル、メチルオキサゾリルが挙げられ、ピリジルが好ましい。
上記ヘテロ環基は、置換基を有していてもよく、また、無置換であってもよいが、無置換である方が好ましい。
上記ヘテロ環基に導入しうる置換基としては、上記アリール基に導入しうる置換基として挙げられていたものを適用することができるが、中でも、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシ基、アルコキシ基が好ましく、ハロゲン原子、アルキル基がより好ましい。
特定アミノ酸誘導体に導入しうる置換基としては、カルボキシ基を部分構造として含む置換基、またはヒドロキシル基を部分構造として含む置換基、またはフェニル基を部分構造として含む置換基、およびアルキル基が好ましく、より好ましくは、カルボキシ基を部分構造として含む置換基、またはヒドロキシル基を部分構造として含む置換基、およびアルキル基である。特に好ましくはカルボキシメチル基、ヒドロキシエチル基、メチル基である。
上記特定アミノ酸誘導体に導入しうる置換基の数は、1〜2個が好ましい。
ここで、複数の置換基が導入される場合、それらは同じものであっても、互いに異なるものであってもよい。
上記特定アミノ酸誘導体の具体例としては、下記式(I−a)で表される化合物、下記式(I−b)で表される化合物、下記式(I−c)で表される化合物が好適に挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
Figure 2007317714
上記式中、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rm、Rn、Ro、Rp、Rq、Rr、Rs、RtおよびRuは、それぞれ独立に、水素原子、カルボキシ基、ヒドロキシ基、カルバモイル基、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、またはこれらの基を部分構造として含む置換基を表す。
1〜X5は、それぞれ独立に、CまたはNを表し、NであるX1〜X5は、Rq、Rr、Rs、RtまたはRuを有さない。
はじめに、式(I−a)で表される化合物および式(I−b)で表される化合物について説明する。
式(I−a)で表される化合物および式(I−b)で表される化合物は、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rm、Rn、Ro、Rpの全てが水素原子であるものが好ましい態様の1つである。
また、式(I−a)で表される化合物および式(I−b)で表される化合物は、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rm、Rn、Ro、Rpの少なくとも1つが、カルボキシ基、ヒドロキシ基、カルバモイル基、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、またはこれらの基を部分構造として含む置換基であるものも好ましい態様の1つである。導入される置換基の数は1〜2個が好ましい。
式(I−a)または式(I−b)で表されるアミノ酸誘導体に上述した置換基が導入される場合、その導入位置としては、カルボキシメチル基のメチレン鎖上(Ra、Rb)、窒素原子上(Rc)もしくはアミノアルキル基のメチレン炭素上(Rd、Re、Rm、Rn、Ro、Rp)またはこれらの2箇所以上であることが好ましい。特に好ましくは、窒素原子上またはアミノアルキル基のメチレン炭素上である。
以下、本発明における特定アミノ酸誘導体の具体例[(A−1)〜(A−13)で表される化合物]を示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 2007317714
これらの特定アミノ酸誘導体は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。中でも、A−1、A−2、A−4、A−6、A−11、A−13で表される化合物が好ましい。
式(I−a)で表される化合物および式(I−b)で表される化合物は、公知の方法により合成できる。例えば、Journal of Organic Chemistry,5687−5692(1992)を参考にして合成することができる。
次に、上記式(I−c)で表される化合物について説明する。
式(I−c)で表される化合物は、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rq、Rr、Rs、Rt、Ruの全て(NであるX1〜X5に結合するものを除く)が水素原子であるものが好ましい態様の1つである。
また、式(I−c)で表される化合物は、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rq、Rr、Rs、Rt、Ruの少なくとも1つが、カルボキシ基、ヒドロキシ基、カルバモイル基、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、またはこれらの基を部分構造として含む置換基であるものも好ましい態様の1つである。導入される置換基の数は1〜2個が好ましい。
式(I−c)で表されるアミノ酸誘導体に上述した置換基が導入される場合、その導入位置としては、Ra〜ReおよびRq〜Ruのいずれか少なくとも1箇所が好ましく、Ra、Rb、RdおよびReのいずれか少なくとも1箇所がより好ましく、RaおよびRbのいずれか少なくとも1箇所が更に好ましい。
式(I−c)で表される化合物のX〜X5の組み合わせとしては、例えば、
1=N,X2〜X5=C;
2=N,XおよびX3〜X5=C;
3=N,X1,X2,X4およびX5=C;
1およびX2=N,X3〜X5=C;
1およびX3=N,X2,X4およびX5=C;
1およびX4=N,X2,X3およびX5=C;
1およびX5=N,X2〜X4=C;
1,X3およびX5=N,X2およびX4=C
が好適に挙げられる。
より好ましくは、
1=N,X2〜X5=C;
1およびX2=N,X3〜X5=C;
1およびX3=N,X2,X4およびX5=C;
1およびX4=N,X2,X3およびX5=C;
1およびX5=N,X2〜X4=C;
1,X3およびX5=N,X2およびX4=Cである。
更に好ましくは、X1=N,X2〜X5=Cである。
以下、本発明における特定アミノ酸誘導体の具体例[(B−1)〜(B−19)で表される化合物]を示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 2007317714
これらの特定アミノ酸誘導体は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。中でも、B−1、B−2、B−4、B−6、B−7、B−10、B−14で表される化合物が好ましい。
式(I−c)で表される特定アミノ酸誘導体は、公知の方法により合成できる。例えば、HETEROCYCLES,349−355(1985)を参考にして合成することができる。
上述した特定アミノ酸誘導体は、その製造方法に由来して、例えば、カチオン、アニオン等の不純物を含有する。
特定アミノ酸誘導体に不純物として含まれるカチオン
としては、アルカリ金属(例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオン)、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、バリウムイオン)、オニウム塩(例えば、アンモニウム塩、ピリジニウム塩等)等が挙げられるが、好ましくはアルカリ金属、アルカリ土類金属である。アルカリ金属、アルカリ土類金属のうち、好ましくはリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、バリウムイオンであり、より好ましくは、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオンである。
なお、本明細書において、「カチオン」とは、電離することにより上述したようなカチオンになり得る物質(カチオン種)を含む。
特定アミノ酸誘導体に不純物として含まれるアニオン
としては、ハロゲンイオン(例えば、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン)、硫酸イオン、亜硫酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオン、ヘキサフルオロケイ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、シアノイオン、アミジノイオン、アミノオキシイオン、イソシアナトイオン、チオイソシアナトイオン、シアナトイオン、チオシアナトイオン、ニトロイオンが挙げられるが、好ましくは、ハロゲンイオン、硫酸イオン、亜硫酸イオン、リン酸イオン、ヘキサフルオロケイ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオンであり、より好ましくはハロゲンイオン、硫酸イオン、リン酸イオン、ヘキサフルオロケイ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオンであり、更に好ましくはハロゲンイオン、硫酸イオンである。ハロゲンイオンとしては、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオンが好ましく、塩素イオン、臭素イオンがより好ましい。
なお、本明細書において、「アニオン」とは、電離することにより上述したようなアニオンになり得る物質(アニオン種)を含む。
上記特定アミノ酸誘導体として、市販品を使用することもできる。
特定アミノ酸誘導体の市販品は、上記のカチオンおよび/またはアニオンを含むことができる。
なお、本発明において、特定アミノ酸誘導体に含まれる不純物の量を測定する方法としては、例えば、イオンクロマトグラフィーによるものが挙げられる。
本発明では、特定アミノ酸誘導体に含まれる不純物の量をイオンクロマトグラフィーによって測定した。
本発明において、イオンクロマトグラフィーによる測定は、例えば、以下の条件で行うことができる。
・カラム:TSKgel IC−Cation、TSK guard column IC−C(東ソー(株)製)
・溶離液:2mM HNO3
・流速:1.2ml/min
・温度:40℃
・検出法:電気伝導度
・サンプル濃度:5mg/5ml
本発明の第1の態様の金属用研磨液に含有される特定アミノ酸誘導体は、上記式(I)で表されるアミノ酸誘導体を含む水溶液に酸を添加して電気透析を行った後、得られた処理液から上記アミノ酸誘導体を析出させる精製方法によって精製されたものである。
また、本発明の第1の態様の金属用研磨液に含有される特定アミノ酸誘導体は、このような精製によって、精製前の特定アミノ酸誘導体からカチオンやアニオン等の不純物が除去され、不純物の含有量が特定量以下である。
そして、本発明の第1の態様の金属用研磨液は、精製された特定アミノ酸誘導体を含有することによって、研磨速度および銅/タンタル研磨選択性が優れ、ディッシングの発生が少なく、平坦性に優れるのである。
本発明の第1の態様の金属用研磨液に含有される特定アミノ酸誘導体は、上記式(I)で表されるアミノ酸誘導体を含む水溶液に酸を添加して電気透析を行った後、得られた処理液から上記アミノ酸誘導体を析出させる精製方法によって精製されたものであれば、特に制限されない。
特定アミノ酸誘導体の精製方法について以下に説明する。
特定アミノ酸誘導体の精製方法は、上記式(I)で表されるアミノ酸誘導体を含む水溶液に酸を添加して電気透析を行う透析工程と、上記透析工程後の処理液から上記アミノ酸誘導体を析出させる結晶化工程とを具備するものである。
まず、透析工程において、上記式(I)で表されるアミノ酸誘導体を含む水溶液に酸を添加して電気透析を行う。
透析工程では、はじめに特定アミノ酸誘導体を溶媒に溶解させて、特定アミノ酸誘導体を含む水溶液を調製する。
溶媒としては、例えば、水、水とアセトニトリルのような有機溶剤との混合溶媒が挙げられる。好ましくは水である。
溶媒の使用量は特に制限されない。
特定アミノ酸誘導体を溶媒に溶解させた後、特定アミノ酸誘導体を含む水溶液に酸を添加して混合液とする。
酸としては、例えば、塩酸、硝酸が挙げられる。
酸は、混合液のpHが5以下、好ましくはpH4以下となるように、その量を調整する。
得られた混合液を用いて電気透析を行い、混合液からカチオン、アニオン等の不純物を除去する。
電気透析は、その方法、条件および電気透析に用いられる装置について、特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
本発明において、電気透析に使用された装置は、microacilyer S3(ASTOM社製、以下同様。)であり、透析条件は流速および電圧がそれぞれ自動であった(以下同様。)。
電気透析による脱塩後、処理液は、例えばエバポレーターで減圧濃縮することができる。
透析工程後得られる処理液において、特定アミノ酸誘導体に含有されるカチオンの量は、特定アミノ酸誘導体の1mol%以下であるのが好ましく、0.5mol%以下であるのがより好ましく、0.1mol%以下であるのが更に好ましい。
また、透析工程後得られる処理液において、特定アミノ酸誘導体に含有されるアニオンの量は、特定アミノ酸誘導体の1mol%以下であるのが好ましく、0.5mol%以下であるのがより好ましく、0.1mol%以下であるのが更に好ましい。
透析工程後得られる処理液において、特定アミノ酸誘導体に含有されるカチオンやアニオンの量の測定方法は、上記方法と同様である。
なお、本明細書において、特定アミノ酸誘導体に含有されるカチオンの量は、不純物として含まれるそれぞれのカチオンの合計量をいう。アニオンの量についても同様である。
透析工程後、結晶化工程において、透析工程で得られた処理液から特定アミノ酸誘導体を析出させ、精製された特定アミノ酸誘導体が得られる。
結晶化工程において、電気透析後の処理液から特定アミノ酸誘導体を析出させる方法は特に制限されない。例えば、処理液を濃縮した後、貧溶媒を加えて特定アミノ酸誘導体を析出させる方法が挙げられる。
貧溶媒としては、例えば、アルコール、アセトン、アセトニトリル、またはこれらの混合溶媒が挙げられる。
析出後、析出した特定アミノ酸誘導体を濾取し、風乾させればよい。
精製された特定アミノ酸誘導体に含まれるカチオンの量は、精製後の特定アミノ酸誘導体の1mol%以下であることが好ましく、より好ましくは0.5mol%以下であり、更に好ましくは0.1mol%以下であり、特に好ましくは0.05mol%以下である。
精製された特定アミノ酸誘導体に含まれるアニオンの量は、精製後の特定アミノ酸誘導体の1mol%以下であることが好ましく、より好ましくは0.5mol%以下であり、更に好ましくは0.1mol%以下であり、特に好ましくは0.05mol%以下である。
なお、精製された特定アミノ酸誘導体に含まれるカチオンやアニオンの量の測定方法は、上述した方法と同様である。
本発明の第1の態様の金属用研磨液において、精製された特定アミノ酸誘導体の含有量は、研磨に使用する際の金属用研磨液(使用液)の1L中、好ましくは、0.0005〜5mol、より好ましくは0.01〜0.5molである。
本発明の第1の態様の金属用研磨液は、構成成分として上記特定アミノ酸誘導体の少なくとも1種、酸化剤、有機酸および溶媒/分散媒を含有する他は、その処方に特に制限されない。本発明の効果を損なわない限りにおいては、公知の金属用研磨液に用いられる化合物を目的に応じて選択して用いることができる。中でも、芳香環を有する化合物、特に、芳香族へテロ環化合物を含有することが好ましい。
一般に、金属用研磨液には、酸化剤、不動態膜形成剤、有機酸、砥粒が含まれるが、本発明の第1の態様の金属用研磨液は、必ずしも砥粒を含有していなくてもよい。
本発明の第1の態様の金属用研磨液は、更に他の成分を含有してもよく、好ましい成分としては、例えば、界面活性剤、水溶性ポリマー、各種添加剤等が挙げられる。
本発明の第1の態様の金属用研磨液は、上述した各成分を2種以上含有してもよい。
本発明において、「金属用研磨液」は、研磨に使用する際の研磨液(即ち、必要により希釈された研磨液、以下「使用液」と称する場合がある。)のみならず、金属用研磨液の濃縮液を含む。
濃縮液または濃縮された研磨液とは、研磨に使用する際の研磨液(使用液)よりも、溶質の濃度が高く調製された研磨液を意味する。
濃縮液または濃縮された研磨液は、研磨に使用する際に、水または水溶液等で希釈して、研磨に使用されるものである。希釈倍率は、一般的には1〜20体積倍である。
本明細書において「濃縮」および「濃縮液」とは、使用状態よりも「濃厚」および「濃厚な液」を意味する慣用表現にしたがって用いており、蒸発等の物理的な濃縮操作を伴う一般的な用語の意味とは異なる用法で用いている。
なお、金属用研磨液の濃縮液作製時に添加する成分の内、室温での水に対する溶解度が5質量%未満のものの配合量は、濃縮液を5℃に冷却した際の析出を防止する点で、室温での水に対する溶解度の2倍以内とすることが好ましく、1.5倍以内とすることがより好ましい。
以下、本発明の第1の態様の金属研磨液に用いられる上記特定アミノ酸誘導体以外の各構成成分について説明する。
〔酸化剤〕
本発明の第1の態様の金属用研磨液は、研磨対象の金属を酸化できる化合物(酸化剤)を含有する。
酸化剤としては、例えば、過酸化水素、過酸化物、硝酸塩、ヨウ素酸塩、過ヨウ素酸塩、次亜塩素酸塩、亜塩素酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩、過硫酸塩、重クロム酸塩、過マンガン酸塩、オゾン水、銀(II)塩、鉄(III)塩等が挙げられる。

中でも、過酸化水素、硝酸、過ヨウ素酸カリウム、次亜塩素酸、オゾン水が好ましい。
上記鉄(III)塩としては、例えば、硝酸鉄(III)、塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)、臭化鉄(III)等無機の鉄(III)塩の他、鉄(III)の有機錯塩が好ましく用いられる。
上記鉄(III)の有機錯塩を構成する錯形成化合物としては、例えば、酢酸、クエン酸、シュウ酸、サリチル酸、ジエチルジチオカルバミン酸、コハク酸、酒石酸、グリコール酸、グリシン、アラニン、アスパラギン酸、チオグリコール酸、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−エタンジチオール、マロン酸、グルタル酸、3−ヒドロキシ酪酸、プロピオン酸、フタル酸、イソフタル酸、3−ヒドロキシサリチル酸、3,5−ジヒドロキシサリチル酸、没食子酸、安息香酸、マレイン酸等やこれらの塩の他、アミノポリカルボン酸およびその塩等が挙げられる。
上記アミノポリカルボン酸およびその塩としては、例えば、エチレンジアミン−N,N,N′,N′−四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、1,3−ジアミノプロパン−N,N,N′,N′−四酢酸、1,2−ジアミノプロパン−N,N,N′,N′−四酢酸、エチレンジアミン−N,N′−ジコハク酸(ラセミ体)、エチレンジアミンジコハク酸(SS体)、N−(2−カルボキシラートエチル)−L−アスパラギン酸、N−(カルボキシメチル)−L−アスパラギン酸、β−アラニンジ酢酸、メチルイミノジ酢酸、ニトリロ三酢酸、シクロヘキサンジアミン四酢酸、イミノジ酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、エチレンジアミン1−N,N′−ニ酢酸、エチレンジアミンオルトヒドロキシフェニル酢酸、N,N−ビス(2−ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン−N,N−ジ酢酸等およびその塩が挙げられる。対塩の種類は、アルカリ金属塩およびアンモニウム塩が好ましく、アンモニウム塩がより好ましい。
これらの中でも、過酸化水素、硝酸、過ヨウ化酸カリウム、次亜塩素酸、オゾン水が好ましく、過酸化水素がより好ましい。
上記酸化剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
酸化剤の添加量は、研磨に使用する際の金属用研磨液(使用液)の1L中、0.003〜8molとすることが好ましく、0.03〜6molとすることがより好ましく、0.1〜4molとすることが更に好ましい。即ち、酸化剤の添加量は、金属の酸化が十分で高いCMP速度を確保する点から0.003mol以上が好ましく、研磨面の荒れ防止の点から8mol以下が好ましい。
〔有機酸〕
本発明の第1の態様の金属用研磨液は有機酸を含有する。
ここでいう有機酸は、金属を酸化するための酸化剤とは構造が異なる化合物であり、上述した酸化剤として機能する酸を包含するものではない。即ち、上記有機酸は、酸化の促進、pH調整、緩衝剤としての作用を有するものを意味する。
有機酸とは、酸を発生する有機化合物であり、好ましくは少なくとも1つのカルボキシ基を有するものである。有機酸は水溶性のものが望ましく、より好ましくはアミノ酸類である。
上記有機酸としては、
例えば、アミノ酸類、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、2−メチル酪酸、n−ヘキサン酸、3,3−ジメチル酪酸、2−エチル酪酸、4−メチルペンタン酸、n−ヘプタン酸、2−メチルヘキサン酸、n−オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、安息香酸、グリコール酸、サリチル酸、グリセリン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、マレイン酸、フタル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、およびそれらのアンモニウム塩やアルカリ金属塩等が好適に挙げられる。
上記アミノ酸類(第一級、第二級、第三級のアミノ酸、およびアミノポリカルボン酸類を含む。)としては、水溶性のものが好ましい。
上記アミノ酸類としては、例えば、
グリシン、L−アラニン、β−アラニン、L−2−アミノ酪酸、L−ノルバリン、L−バリン、L−ロイシン、L−ノルロイシン、L−イソロイシン、L−アロイソロイシン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、サルコシン、L−オルニチン、L−リシン、タウリン、L−セリン、L−トレオニン、L−アロトレオニン、L−ホモセリン、L−チロシン、3,5−ジヨード−L−チロシン、β−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−L−アラニン、L−チロキシン、4−ヒドロキシ−L−プロリン、L−システィン、L−メチオニン、L−エチオニン、L−ランチオニン、L−シスタチオニン、L−シスチン、L−システィン酸、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、S−(カルボキシメチル)−L−システィン、4−アミノ酪酸、L−アスパラギン、L−グルタミン、アザセリン、L−アルギニン、L−カナバニン、L−シトルリン、δ−ヒドロキシ−L−リシン、クレアチン、L−キヌレニン、L−ヒスチジン、1−メチル−L−ヒスチジン、3−メチル−L−ヒスチジン、エルゴチオネイン、L−トリプトファン、ヒドロキシエチルイミノジ酢酸、ジヒドロキシエチルグリシン、N−ヒドロキシエチルグリシン、N−ヒドロキシエチル−α−アラニン、アクチノマイシンC1、アパミン、アンギオテンシンI、アンギオテンシンII、アンチパイン等が好適に挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
中でも、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、グリシン、グリコール酸、ヒドロキシエチルイミノジ酢酸が、実用的なCMP速度を維持しつつ、エッチング速度を効果的に抑制できる点からより好ましい。
有機酸の添加量は、研磨に使用する際の金属用研磨液(使用液)の1L中、0.0005〜0.5molとすることが好ましく、0.005〜0.3molとすることがより好ましく、0.01〜0.1molとすることが更に好ましい。即ち、酸の添加量は、エッチングの抑制の点から0.5mol以下が好ましく、充分な効果を得る上で0.0005mol以上が好ましい。
〔無機酸〕
本発明の第1の態様の金属用研磨液は、更に無機酸を含有することができる。
ここでの酸は、酸化の促進、pH調整、緩衝剤としての作用を有する。
無機酸としては、硫酸、硝酸、ホウ酸、燐酸等が挙げられ、燐酸が好ましい。上記
無機酸は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
無機酸の添加量は、研磨に使用する際の金属用研磨液(使用液)の1L中、0.0005〜0.5molとすることが好ましく、0.005〜0.3molとすることがより好ましく、0.01〜0.1molとすることが更に好ましい。即ち、無機酸の添加量は、エッチングの抑制の点から0.5mol以下が好ましく、充分な効果を得る上で0.0005mol以上が好ましい。
〔芳香環を有する化合物(不動態膜形成剤)〕
本発明の第1の態様の金属用研磨液は、金属表面に不動態膜を形成し、研磨速度を制御する不動態膜形成剤としての機能を有する化合物、具体的には、芳香環を有する化合物(以下、適宜、「芳香環化合物」と称する。)を含有することが好ましい。
本発明の第1の態様の金属用研磨液に、金属塩、金属イオンが含まれる場合、金属が触媒として機能してしまい酸化剤の分解を促進することがあるが、芳香環を有する化合物は、その酸化剤の分解を抑制する機能をも有する。
上記芳香環化合物は、ベンゼン環、ナフタレン環等の芳香環を有する、好ましくは分子量20〜600の化合物である。具体的には、例えば、テトラゾール類およびその誘導体、アントラニル酸類およびその誘導体、アミノトルイル酸、キナルジン酸、アゾール類等が挙げられる。
本発明の第1態様の金属用研磨液は、芳香環化合物として、アゾール類、テトラゾール類およびその誘導体、並びに、アントラニル酸類およびその誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。
上記アゾール類としては、例えば、ベンズイミダゾール−2−チオール、2−[2−(ベンゾチアゾリル)]チオプロピオン酸、2−[2−(ベンゾチアゾリル)]チオブチル酸、2−メルカプトベンゾチアゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−1H−1,2,4−トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、1−ジヒドロキシプロピルベンゾトリアゾール、2,3−ジカルボキシプロピルベンゾトリアゾール、4−ヒドロキシベンゾトリアゾール、4−カルボキシ−1H−ベンゾトリアゾール、4−メトキシカルボニル−1H−ベンゾトリアゾール、4−ブトキシカルボニル−1H−ベンゾトリアゾール、4−オクチルオキシカルボニル−1H−ベンゾトリアゾール、5−ヘキシルベンゾトリアゾール、N−(1,2,3−ベンゾトリアゾリル−1−メチル)−N−(1,2,4−トリアゾリル−1−メチル)−2−エチルヘキシルアミン、トリルトリアゾール、ナフトトリアゾール、ビス[(1−ベンゾトリアゾリル)メチル]ホスホン酸等が挙げられる。
中でも、ベンゾトリアゾール、4−ヒドロキシベンゾトリアゾール、4−ブトキシカルボニル−1H−ベンゾトリアゾールトリルトリアゾール、ナフトトリアゾールが高いCMP速度と低いエッチング速度を両立できる点から好ましい。
上記テトラゾール類およびその誘導体としては、例えば、下記式(II)で表される化合物が好適に挙げられる。
また、上記アントラニル酸類およびその誘導体としては、例えば、下記式(III)で表される化合物が好適に挙げられる。
Figure 2007317714

上記式(II)中、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。R1およびR2はお互いに結合して環を形成してもよい。なお、R1およびR2が同時に水素原子の場合、式(II)で表される化合物は、その互変異性体でもよい。
上記式(III)中、R3〜R8は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。R3〜R6のうちの隣り合った二つはお互いに結合して環を形成してもよい。M+は陽イオンを表す。
上記式(II)において、R1およびR2で表される置換基は、特に限定されないが、例えば、
ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子)、アルキル基(直鎖、分岐または環状のアルキル基であり、ビシクロアルキル基のように多環アルキル基であっても、活性メチン基を含んでもよい)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基(置換する位置は問わない)、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、カルバモイル基(置換基を有するカルバモイル基としては、例えば、N−ヒドロキシカルバモイル基、N−アシルカルバモイル基、N−スルホニルカルバモイル基、N−カルバモイルカルバモイル基、チオカルバモイル基、N−スルファモイルカルバモイル基)、カルバゾイル基、カルボキシ基またはその塩、オキサリル基、オキサモイル基、シアノ基、カルボンイミドイル基(Carbonimidoyl基)、ホルミル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基(エチレンオキシ基またはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキシまたはアリールオキシ)カルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルホニルオキシ基、アミノ基、(アルキル、アリール、またはヘテロ環)アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、N−ヒドロキシウレイド基、イミド基、(アルコキシまたはアリールオキシ)カルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラジノ基、アンモニオ基、オキサモイルアミノ基、N−(アルキルまたはアリール)スルホニルウレイド基、N−アシルウレイド基、N−アシルスルファモイルアミノ基、ヒドロキシアミノ基、ニトロ基、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基(例えば、ピリジニオ基、イミダゾリオ基、キノリニオ基、イソキノリニオ基)、イソシアノ基、イミノ基、メルカプト基、(アルキル、アリール、またはヘテロ環)チオ基、(アルキル、アリール、またはヘテロ環)ジチオ基、(アルキルまたはアリール)スルホニル基、(アルキルまたはアリール)スルフィニル基、スルホ基またはその塩、スルファモイル基(置換基を有するスルファモイル基としては、例えば、N−アシルスルファモイル基、N−スルホニルスルファモイル基)またはその塩、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基等が挙げられる。これらの置換基は、更にここで挙げた置換基で置換されていてもよい。
なお、「活性メチン基」は、2つの電子求引性基で置換されたメチン基を意味し、電子求引性基とは、例えば、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、カルボンイミドイル基(Carbonimidoyl基)を意味する。2つの電子求引性基は互いに結合して環状構造をとっていてもよい。
また、ここでいう「塩」は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、重金属等の陽イオン、またはアンモニウムイオン、ホスホニウムイオン等の有機の陽イオンと、イオン結合した基を意味する。
これらの中でも好ましい置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子)、アルキル基(直鎖、分岐または環状のアルキル基であり、ビシクロアルキル基のように多環アルキル基であっても、活性メチン基を含んでもよい)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基(置換する位置は問わない)、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、カルバモイル基、N−ヒドロキシカルバモイル基、N−アシルカルバモイル基、N−スルホニルカルバモイル基、N−カルバモイルカルバモイル基、チオカルバモイル基、N−スルファモイルカルバモイル基、カルバゾイル基、オキサリル基、オキサモイル基、シアノ基、カルボンイミドイル基(Carbonimidoyl基)、ホルミル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基(エチレンオキシ基またはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキシまたはアリールオキシ)カルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルホニルオキシ基、(アルキル、アリール、またはヘテロ環)アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、N−ヒドロキシウレイド基、イミド基、(アルコキシまたはアリールオキシ)カルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラジノ基、アンモニオ基、オキサモイルアミノ基、N−(アルキルまたはアリール)スルホニルウレイド基、N−アシルウレイド基、N−アシルスルファモイルアミノ基、ヒドロキシアミノ基、ニトロ基、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基(例えばピリジニオ基、イミダゾリオ基、キノリニオ基、イソキノリニオ基)、イソシアノ基、イミノ基、メルカプト基、(アルキル、アリール、またはヘテロ環)チオ基、(アルキル、アリール、またはヘテロ環)ジチオ基、(アルキルまたはアリール)スルホニル基、(アルキルまたはアリール)スルフィニル基、スルホ基またはその塩、スルファモイル基、N−アシルスルファモイル基、N−スルホニルスルファモイル基またはその塩、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基等が挙げられる。
より好ましい置換基としては、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子)、アルキル基(直鎖、分岐または環状のアルキル基であり、ビシクロアルキル基のように多環アルキル基であっても、活性メチン基を含んでもよい)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基(置換する位置は問わない)が挙げられる。
1およびR2が結合して、上記式(II)における−C−N−結合と共に形成する環としては、単環であっても多環であってもよく、好ましくは5〜6員環の単環、または5〜6員環から構成される多環である。
上記式(II)で表される化合物の分子量は、好ましくは20〜600、より好ましくは40〜400である。
上記式(II)で表される化合物の具体例[式(II−1)〜式(II−51)で表される化合物]を以下に挙げるが、これらに限定するものではない。
Figure 2007317714
Figure 2007317714
Figure 2007317714
上記式(II)で表される化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記式(II)で表される化合物の中で好ましいものとしては、式(II−1)、式(II−3)、式(II−4)、式(II−10)、式(II−15)、式(II−21)、式(II−22)、式(II−23)、式(II−41)、式(II−48)で表される化合物が挙げられ、式(II−1)、式(II−4)、式(II−15)、式(II−22)、式(II−23)で表される化合物がより好ましい。
上記式(II)で表される化合物は、常法に従って合成できるほか、市販品を使用してもよい。
上記式(III)におけるR3〜R8で表される置換基は、特に限定されないが、例えば以下のものが挙げられる。
即ち、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子)、アルキル基(直鎖、分岐または環状のアルキル基であり、ビシクロアルキル基のように多環アルキル基であっても、活性メチン基を含んでもよい)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基(置換する位置は問わない)、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、カルバモイル基(置換基を有するカルバモイル基としては、例えば、N−ヒドロキシカルバモイル基、N−アシルカルバモイル基、N−スルホニルカルバモイル基、N−カルバモイルカルバモイル基、チオカルバモイル基、N−スルファモイルカルバモイル基)、カルバゾイル基、カルボキシ基またはその塩、オキサリル基、オキサモイル基、シアノ基、カルボンイミドイル基(Carbonimidoyl基)、ホルミル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基(エチレンオキシ基またはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキシまたはアリールオキシ)カルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルホニルオキシ基、アミノ基、(アルキル、アリール、またはヘテロ環)アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、N−ヒドロキシウレイド基、イミド基、(アルコキシまたはアリールオキシ)カルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラジノ基、アンモニオ基、オキサモイルアミノ基、N−(アルキルまたはアリール)スルホニルウレイド基、N−アシルウレイド基、N−アシルスルファモイルアミノ基、ヒドロキシアミノ基、ニトロ基、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基(例えば、ピリジニオ基、イミダゾリオ基、キノリニオ基、イソキノリニオ基)、イソシアノ基、イミノ基、メルカプト基、(アルキル、アリール、またはヘテロ環)チオ基、(アルキル、アリール、またはヘテロ環)ジチオ基、(アルキルまたはアリール)スルホニル基、(アルキルまたはアリール)スルフィニル基、スルホ基またはその塩、スルファモイル基(置換基を有するスルファモイル基としては、例えばN−アシルスルファモイル基、N−スルホニルスルファモイル基)またはその塩、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基等が挙げられる。
これら置換基は、ここで挙げた置換基で更に置換されていてもよい。
なお、ここで、活性メチン基および塩については、上記式(II)における置換基の説明において記載した活性メチン基および塩と同義であり、好ましい例も同様である。
これらの中でも好ましい置換基は、R3〜R6のうち少なくとも1つが、置換基を有しないアルキル基以外の置換基であり、より好ましい置換基は、R7とR8とがどちらも水素原子である。特に好ましくは、R3〜R6のうち少なくとも1つが上述した電子吸引性基であり、かつ、R7〜R8のそれぞれが水素原子である。
上記式(III)におけるM+としての陽イオンは、特に限定されないが、例えば、水素イオン、アルカリ金属イオン(例えば、Na+、K+、Li+等)、アンモニウムイオン(例えば、NH4 +、4級アンモニウムイオン等)が挙げられる。
式(III)で表される化合物の分子量は、好ましくは20〜600、より好ましくは40〜400である。
式(III)で表される化合物の具体例[式(III−1)〜式(III−39)で表される化合物]を以下に挙げるが、これらに限定するものではない。
Figure 2007317714
Figure 2007317714
Figure 2007317714
上記式(III)で表される化合物としては、式(III−2)、式(III−5)、式(III−9)、式(III−27)、式(III−29)、式(III−30)、式(III−33)、式(III−35)、式(III−37)で表される化合物が好ましく、式(III−5)、式(III−9)、式(III−27)、式(III−29)、式(III−33)で表される化合物がより好ましい。
更に、上記式(III)で表される化合物としては、上記で例示した化合物におけるカルボキシ基の水素原子を、Na+、K+、Li+等のアルカリ金属イオン、NH4 +や4級アンモニウムイオン等のアンモニウムイオンで置換して塩としたものが挙げられる。
上記式(III)で表される化合物は、単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
上記式(III)で表される化合物は、市販品を使用してもよいし、常法に従って合成してもよい。
例えば、式(III−29)で表される化合物は、Synthesis(8)、654−659(1983)に記載の合成法に準じて合成することができる。上記式(III−37)で表される化合物は、Tetrahedron Letters,51(7)、1861−1866(1995)およびTetrahedron Letters,44(25)、4741−4745(2003)に記載の方法に準じて合成することができる。他の化合物もこれらに記載の方法に準じて合成することができる。
なお、上記式(II)で表される化合物と上記式(III)で表される化合物とを併用することもできる。
上述した芳香環化合物は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
芳香環化合物の添加量は、研磨に使用する際の金属用研磨液(使用液)の1L中、0.0001〜1.0molが好ましく、より好ましくは0.001〜0.5mol、更に好ましくは0.01〜0.1molである。即ち、芳香環化合物の添加量は、酸化剤およびこれらの化合物の劣化(無効化、分解)防止の点から研磨に使用する際の研磨液1L中、1.0mol以下が好ましく、充分な効果を得る上で0.0001mol以上が好ましい。
なお、アゾール類、テトラゾール類およびその誘導体や、アントラニル酸類およびその誘導体の添加量よりも少ない添加量であれば、チオシアン酸塩、チオエーテル類、チオ硫酸塩またはメソイオン化合物を併用することができる。
〔キレート剤〕
本発明の第1の態様の金属用研磨液は、混入する多価金属イオン等の悪影響を低減させるために、必要に応じてキレート剤(即ち、硬水軟化剤)を含有することが好ましい。
キレート剤としては、例えば、カルシウムやマグネシウムの沈澱防止剤である汎用の硬水軟化剤やその類縁化合物が挙げられる。具体的には、例えば、ニトリロ三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、エチレンジアミン四酢酸、N,N,N−トリメチレンホスホン酸、エチレンジアミン−N,N,N′,N′−テトラメチレンスルホン酸、トランスシクロヘキサンジアミン四酢酸、1,2−ジアミノプロパン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、エチレンジアミンオルトヒドロキシフェニル酢酸、エチレンジアミンジ琥珀酸(SS体)、N−(2−カルボキシラートエチル)−L−アスパラギン酸、β−アラニンジ酢酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、N,N′−ビス(2−ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン−N,N′−ジ酢酸、1,2−ジヒドロキシベンゼン−4,6−ジスルホン酸等が挙げられる。
上記キレート剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
キレート剤の添加量は、混入する多価金属イオン等の金属イオンを封鎖するのに充分な量であればよく、例えば、研磨に使用する際の金属用研磨液(使用液)の1L中、0.0003〜0.07molになるように添加する。
〔添加剤〕
本発明の第1の態様の金属用研磨液には以下の添加剤を用いることが好ましい。
即ち、例えば、アンモニア;ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、プロピレンジアミン等のアルキルアミンや、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウムおよびキトサン等のアミン;ジチゾン、クプロイン(2,2′−ビキノリン)、ネオクプロイン(2,9−ジメチル−1,10−フェナントロリン)、バソクプロイン(2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン)およびキュペラゾン(ビスシクロヘキサノンオキサリルヒドラゾン)等のイミン;ノニルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、トリアジンチオール、トリアジンジチオール、トリアジントリチオール等のメルカプタン、その他、アントラニル酸、アミノトルイル酸、キナルジン酸等が挙げられる。これらの添加剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらの中でもキトサン、エチレンジアミンテトラ酢酸、L−トリプトファン、キュペラゾン、トリアジンジチオールが、高いCMP速度と低いエッチング速度を両立できる点から好ましい。
上記添加剤の添加量は、研磨に使用する際の金属用研磨液(使用液)の1L中、0.0001〜0.5molとすることが好ましく0.001〜0.2molとすることがより好ましく、0.005〜0.1molとすることが更に好ましい。即ち、添加剤の添加量は、エッチング抑制の点から0.0001mol以上が好ましく、CMP速度低下防止の点から0.5mol以下が好ましい。
〔界面活性剤および/または親水性ポリマー〕
本発明の第1の態様の金属用研磨液は、界面活性剤および/または親水性ポリマーを含有することが好ましい。
界面活性剤と親水性ポリマーは、いずれも被研磨面の接触角を低下させる作用を有し、均一な研磨を促す作用を有する。
上記界面活性剤および/または親水性ポリマーとしては、例えば、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤等が好適に挙げられる。
上記陰イオン界面活性剤としては、例えば、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩が挙げられる。より具体的には、カルボン酸塩として、石鹸、N−アシルアミノ酸塩、ポリオキシエチレンまたはポリオキシプロピレンアルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド;スルホン酸塩として、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンおよびアルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルスルホン酸塩;硫酸エステル塩として、硫酸化油、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンまたはポリオキシプロピレンアルキルアリルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩;リン酸エステル塩として、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンまたはポリオキシプロピレンアルキルアリルエーテルリン酸塩等が挙げられる。
上記陽イオン界面活性剤としては、例えば、脂肪族アミン塩、脂肪族第四級アンモニウム塩、塩化ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩等が挙げることができる。
上記両性界面活性剤としては、例えば、カルボキシベタイン型、アミノカルボン酸塩、イミダゾリニウムベタイン、レシチン、アルキルアミンオキサイド等が挙げられる。
上記非イオン界面活性剤としては、例えば、エーテル型、エーテルエステル型、エステル型、含窒素型が挙げられ、より具体的には、エーテル型として、ポリオキシエチレンアルキルおよびアルキルフェニルエーテル、アルキルアリルホルムアルデヒド縮合ポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル;エーテルエステル型として、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビトールエステルのポリオキシエチレンエーテル;エステル型として、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、グリセリンエステル、ポリグリセリンエステル、ソルビタンエステル、プロピレングリコールエステル、ショ糖エステル;含窒素型として、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミド等が挙げられる。
また、フッ素系界面活性剤を用いることもできる。
その他の界面活性剤および/または親水性ポリマーとしては、例えば、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、メトキシ酢酸、エトキシ酢酸、3−エトキシプロピオン酸およびアラニンエチルエステル等のエステル;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコールアルケニルエーテル、アルキルポリエチレングリコール、アルキルポリエチレングリコールアルキルエーテル、アルキルポリエチレングリコールアルケニルエーテル、アルケニルポリエチレングリコール、アルケニルポリエチレングリコールアルキルエーテル、アルケニルポリエチレングリコールアルケニルエーテル、ポリプロピレングリコールアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールアルケニルエーテル、アルキルポリプロピレングリコール、アルキルポリプロピレングリコールアルキルエーテル、アルキルポリプロピレングリコールアルケニルエーテル、アルケニルポリプロピレングリコール、アルケニルポリプロピレングリコールアルキルエーテルおよびアルケニルポリプロピレングリコールアルケニルエーテル等のエーテル;アルギン酸、ペクチン酸、カルボキシメチルセルロース、カードランおよびプルラン等の多糖類;グリシンアンモニウム塩およびグリシンナトリウム塩等のアミノ酸塩;ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸、ポリリシン、ポリリンゴ酸、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸アンモニウム塩、ポリメタクリル酸ナトリウム塩、ポリアミド酸、ポリマレイン酸、ポリイタコン酸、ポリフマル酸、ポリ(p−スチレンカルボン酸)、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、アミノポリアクリルアミド、ポリアクリル酸アンモニウム塩、ポリアクリル酸ナトリウム塩、ポリアミド酸、ポリアミド酸アンモニウム塩、ポリアミド酸ナトリウム塩およびポリグリオキシル酸等のポリカルボン酸およびその塩;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンおよびポリアクロレイン等のビニル系ポリマー;メチルタウリン酸アンモニウム塩、メチルタウリン酸ナトリウム塩、硫酸メチルナトリウム塩、硫酸エチルアンモニウム塩、硫酸ブチルアンモニウム塩、ビニルスルホン酸ナトリウム塩、1−アリルスルホン酸ナトリウム塩、2−アリルスルホン酸ナトリウム塩、メトキシメチルスルホン酸ナトリウム塩、エトキシメチルスルホン酸アンモニウム塩、3−エトキシプロピルスルホン酸ナトリウム塩、メトキシメチルスルホン酸ナトリウム塩、エトキシメチルスルホン酸アンモニウム塩、3−エトキシプロピルスルホン酸ナトリウム塩およびスルホコハク酸ナトリウム塩等のスルホン酸およびその塩;プロピオンアミド、アクリルアミド、メチル尿素、ニコチンアミド、コハク酸アミドおよびスルファニルアミド等のアミド等が挙げられる。
中でも、シクロヘキサノール、ポリアクリル酸アンモニウム塩、ポリビニルアルコール、コハク酸アミド、ポロビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーが好ましい。
但し、本発明の第1の態様の金属用研磨液を適用する基体が半導体集積回路用シリコン基板等の場合は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ハロゲン化物等による汚染は望ましくないため、酸またはそのアンモニウム塩が好ましい。基体がガラス基板等である場合はその限りではない。
上記界面活性剤および/または親水性ポリマーは、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記界面活性剤および/または親水性ポリマーの添加量は、総量として、研磨に使用する際の金属用研磨液(使用液)の1L中、0.001〜10gとすることが好ましく、0.01〜5gとすることがより好ましく、0.1〜3gとすることが更に好ましい。即ち、界面活性剤および/または親水性ポリマーの添加量は、充分な効果を得る上で、研磨に使用する際の金属用研磨液(使用液)の1L中、0.001g以上が好ましく、CMP速度の低下防止の点から10g以下が好ましい。また、これらの界面活性剤および/または親水性ポリマーの重量平均分子量としては、500〜100000が好ましく、2000〜50000がより好ましい。
〔アルカリ剤および緩衝剤〕
本発明の第1の態様の金属用研磨液は、必要に応じて、pH調整のためにアルカリ剤、更にはpHの変動抑制の点から緩衝剤を含有することができる。
アルカリ剤および緩衝剤としては、例えば、水酸化アンモニウム、テトラメチルアンモニウムハイドロキサイド等の有機水酸化アンモニウム、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等のアルカノールアミン類等の非金属アルカリ剤、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、四ホウ酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、グリシル塩、N,N−ジメチルグリシン塩、ロイシン塩、ノルロイシン塩、グアニン塩、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン塩、アラニン塩、アミノ酪酸塩、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール塩、バリン塩、プロリン塩、トリスヒドロキシアミノメタン塩、リシン塩等を用いることができる。
アルカリ剤および緩衝剤の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸二カリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、四ホウ酸ナトリウム(ホウ砂)、四ホウ酸カリウム、o−ヒドロキシ安息香酸ナトリウム(サリチル酸ナトリウム)、o−ヒドロキシ安息香酸カリウム、5−スルホ−2−ヒドロキシ安息香酸ナトリウム(5−スルホサリチル酸ナトリウム)、5−スルホ−2−ヒドロキシ安息香酸カリウム(5−スルホサリチル酸カリウム)、水酸化アンモニウム等が挙げられる。
好ましいアルカリ剤としては、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、テトラメチルアンモニウムハイドロキサイドが挙げられる。
上記アルカリ剤および緩衝剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
アルカリ剤および緩衝剤の添加量としては、pHが好ましい範囲に維持される量であればよく、研磨に使用する際の金属用研磨液(使用液)の1L中、0.0001〜1.0molとすることが好ましく、0.003〜0.5molとすることがより好ましい。
また、研磨に使用する際の金属用研磨液(使用液)のpHは2〜14が好ましく、3〜12がより好ましく、3.5〜8が更に好ましい。
この範囲において特に優れた効果を発揮する。
本発明においては、研磨面への吸着性や反応性、研磨金属の溶解性、被研磨面の電気化学的性質、化合物官能基の解離状態、液としての安定性等により、適時化合物種、添加量やpHを設定することが好ましい。
〔砥粒〕
本発明の第1の態様の金属用研磨液は砥粒を含有することができる。
好ましい砥粒としては、例えば、シリカ(沈降シリカ、フュームドシリカ、コロイダルシリカ、合成シリカ)、セリア、アルミナ、チタニア、ジルコニア、ゲルマニア、酸化マンガン、炭化ケイ素、ポリスチレン、ポリアクリル、ポリテレフタレート等が挙げられる。上記砥粒は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記砥粒の平均粒径は、5〜1000nmであるのが好ましく、10〜200nmであるのがより好ましい。
砥粒の添加量としては、砥粒は、使用する際の金属用研磨液(使用液)の全質量に対して、0.01〜20質量%であることが好ましく、0.05〜5質量%であることがより好ましい。即ち、研磨速度の向上とウエハ面内の研磨速度のばらつきの低減における充分な効果を得る上で0.01質量%以上が好ましく、CMPによる研磨速度が飽和するため、20質量%以下が好ましい。
本発明の第1の態様の金属用研磨液は、その製造方法について特に制限されない。例えば、従来公知の方法が挙げられる。
次に、本発明の第2の態様の金属用研磨液について説明する。
本発明の第2の態様の金属用研磨液は、半導体集積回路用基板の銅配線の化学的機械的研磨に用いられ、上記式(I)で表されるアミノ酸誘導体を含有する金属用研磨液であって、上記アミノ酸誘導体に含まれるカチオンの量が、上記アミノ酸誘導体の1mol%以下である金属用研磨液
である。
本発明の第2の態様の金属用研磨液に含有されるアミノ酸誘導体に含まれるカチオンの量は、上記アミノ酸誘導体の0.5mol%以下が好ましく、上記アミノ酸誘導体の0.1mol%以下がより好ましく、上記アミノ酸誘導体の0.05mol%以下が更に好ましい。
なお、上記アミノ酸誘導体に含有されるカチオンの量は、不純物として含まれるそれぞれのカチオンの合計量をいう。後述するアニオンの量についても同様である。
本発明の第2の態様の金属用研磨液に含有されるアミノ酸誘導体は、本発明の第1の態様の金属用研磨液に用いられる特定アミノ酸誘導体と同様である。但し、第2の態様の金属用研磨液に含有される特定アミノ酸誘導体は、その精製方法が特に制限されない。
本発明の第2の態様の金属用研磨液に含有されるアミノ酸誘導体としては、本発明の第1の態様の金属用研磨液に含有される特定アミノ酸誘導体と同様の精製方法によって精製されたものが好適に挙げられる。また、特定アミノ酸誘導体に含まれるカチオンの量が上記範囲である市販品を使用することもできる。
本発明の第2の態様の金属用研磨液に含有されるカチオンは、本発明の第1の態様の金属用研磨液で説明したカチオンと同様である。
本発明の第2の態様の金属用研磨液は、更にアニオンを含有することができる。
本発明の第2の態様の金属用研磨液に含有されるアニオンは、本発明の第1の態様の金属用研磨液で説明したアニオンと同様である。
本発明の第2の態様の金属用研磨液に含有されるアミノ酸誘導体に含まれるアニオンの量は、上記アミノ酸誘導体の1mol%以下が好ましく、上記アミノ酸誘導体の0.5mol%以下がより好ましく、上記アミノ酸誘導体の0.1mol%以下が更に好ましく、上記アミノ酸誘導体の0.05mol%以下が特に好ましい。
カチオンまたはアニオンの量を測定する方法は、上記方法と同様である。
本発明の第2の態様の金属用研磨液は、構成成分として上記特定アミノ酸誘導体の少なくとも1種、酸化剤、有機酸および溶媒/分散媒を含有する他は、その処方に特に制限はなく、本発明の効果を損なわない限りにおいては、公知の金属用研磨液に用いられる化合物を目的に応じて選択して用いることができる。中でも、芳香環を有する化合物、特に、芳香族へテロ環化合物を含有することが好ましい。
一般に、金属用研磨液には、酸化剤、不動態膜形成剤、有機酸、砥粒が含まれるが、本発明においては必ずしも砥粒を入れなくてもよい。本発明の金属用研磨液は、更に他の成分を含有してもよく、好ましい成分としては、例えば、界面活性剤、水溶性ポリマー、および各種添加剤が挙げられる。
本発明の第2の態様の金属用研磨液に含有される特定アミノ酸誘導体以外の成分については、本発明の第1の態様の金属用研磨液に用いられるものと同様である。
本発明の第2の態様の金属用研磨液は、その製造方法について特に制限されない。
カチオンは、特定アミノ酸誘導体と対塩を形成し、特定アミノ酸誘導体の活性を低下させると本発明者は推測している。
本発明の第2の態様の金属用研磨液は、カチオンの量が上記範囲であることによって、カチオンが、特定アミノ酸誘導体と対塩を形成しにくく、特定アミノ酸誘導体の活性を低下させることが少ないと本発明者は推測している。
なお、本発明において、上記のメカニズムは本発明者の推測であり、仮に、メカニズムが異なるものであっても本発明の範囲内である。
次に、本発明の第3の態様の金属用研磨液について説明する。
本発明の第3の態様の金属用研磨液は、半導体集積回路用基板の銅配線の化学的機械的研磨に用いられ、上記式(I)で表されるアミノ酸誘導体を含有する金属用研磨液であって、上記アミノ酸誘導体に含まれるアニオンの量が、上記アミノ酸誘導体の1mol%以下である金属用研磨液である。
本発明の第3の態様の金属用研磨液に含有されるアミノ酸誘導体に含まれるアニオンの量は、上記アミノ酸誘導体の0.5mol%以下が好ましく、上記アミノ酸誘導体の0.1mol%以下がより好ましく、上記アミノ酸誘導体の0.05mol%以下が更に好ましい。
本発明の第3の態様の金属用研磨液に含有されるアミノ酸誘導体は、本発明の第1の態様の金属用研磨液に用いられる特定アミノ酸誘導体と同様である。但し、第3の態様の金属用研磨液に含有される特定アミノ酸誘導体は、その精製方法が特に制限されない。
本発明の第3の態様の金属用研磨液に含有されるアミノ酸誘導体としては、本発明の第1の態様の金属用研磨液に含有される特定アミノ酸誘導体と同様の精製方法によって精製されたものが好適に挙げられる。また、特定アミノ酸誘導体に含まれるアニオンの量が上記範囲である市販品を使用することもできる。
本発明の第3の態様の金属用研磨液に含有されるアニオンは、本発明の第1の態様の金属用研磨液で説明したアニオンと同様である。
本発明の第3の態様の金属用研磨液は、更にカチオンを含有することができる。
本発明の第3の態様の金属用研磨液に含有されるカチオンは、本発明の第1の態様の金属用研磨液で説明したカチオンと同様である。
本発明の第3の態様の金属用研磨液に含有されるアミノ酸誘導体に含まれるカチオンの量は、上記アミノ酸誘導体の1mol%以下が好ましく、上記アミノ酸誘導体の0.5mol%以下がより好ましく、上記アミノ酸誘導体の0.1mol%以下が更に好ましく、上記アミノ酸誘導体の0.05mol%以下が特に好ましい。
カチオンまたはアニオンの量を測定する方法は、上記方法と同様である。
本発明の第3の態様の金属用研磨液は、構成成分として上記特定アミノ酸誘導体の少なくとも1種、酸化剤、有機酸および溶媒/分散媒を含有する他は、その処方に特に制限はなく、本発明の効果を損なわない限りにおいては、公知の金属用研磨液に用いられる化合物を目的に応じて選択して用いることができる。中でも、芳香環を有する化合物、特に、芳香族へテロ環化合物を含有することが好ましい。
一般に、金属用研磨液には、酸化剤、不動態膜形成剤、有機酸、砥粒が含まれるが、本発明においては必ずしも砥粒を入れなくてもよい。本発明の金属用研磨液は、更に他の成分を含有してもよく、好ましい成分としては、例えば、界面活性剤、水溶性ポリマー、および各種添加剤が挙げられる。
本発明の第3の態様の金属用研磨液に含有される特定アミノ酸誘導体以外の成分については、本発明の第1の態様の金属用研磨液に用いられるものと同様である。
本発明の第3の態様の金属用研磨液は、その製造方法について特に制限されない。
アニオンは特定アミノ酸誘導体と競争して銅と反応しうるため、アニオンの存在によって特定アミノ酸誘導体が期待どおりの性能を発揮することができないと本発明者は推測している。
本発明の第3の態様の金属用研磨液は、アニオンの量が上記範囲であることによって、アニオンは銅と反応することが少なく、特定アミノ酸誘導体が優先的に銅と反応することができると本発明者は推測している。
なお、本発明において、上記のメカニズムは本発明者の推測であり、仮に、メカニズムが異なるものであっても本発明の範囲内である。
本発明の第1〜第3の態様の金属用研磨液(以下、これらを「本発明の金属用研磨液」ということがある。)の使用方法について以下に説明する。
本発明の金属用研磨液は、半導体集積回路用基板の銅配線を化学的機械的研磨する際に使用される研磨液である。
本発明の金属用研磨液で半導体集積回路用基板の銅配線を化学的機械的研磨することによって銅配線を平坦に研磨することができる。
〔ウエハおよび配線金属原材料〕
本発明の金属用研磨液を用いて研磨する対象は、銅配線を有する半導体集積回路用基板である。
中でも、半導体集積回路用基板(以下、「半導体デバイス」ということがある。)が、銅金属および/または銅合金からなる配線を持つLSIであることが好ましく、特には銅合金が好ましい。更には、銅合金の中でも銀を含有する銅合金が好ましい。
銅合金に含有される銀含量は、銅合金中の40質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、1質量%以下が更に好ましく、0.00001〜0.1質量%が特に好ましい。
半導体デバイスの層間絶縁膜は特に制限されず、例えば、SiO2が挙げられる。
〔配線の太さ〕
本発明の金属用研磨液を使用して研磨することができる半導体デバイスについて、例えば、DRAMデバイス系の場合、そのハーフピッチは、0.15μm以下であるのが好ましく、0.10μm以下がより好ましく、0.08μm以下が更に好ましい。
一方、MPUデバイス系の場合、そのハーフピッチは、0.12μm以下が好ましく、0.09μm以下がより好ましく、0.07μm以下が更に好ましい。
これらのLSIに対して、本発明の金属用研磨液は特に優れた効果を発揮する。
〔バリア金属〕
本発明においては、研磨する対象である半導体デバイスが、銅金属および/または銅合金からなる配線と層間絶縁膜との間に、銅の拡散を防ぐ為のバリア層を設けることが好ましい。
バリア層としては低抵抗のメタル材料がよく、特に、TiN、TiW、Ta、TaN、W、WNが好ましく、Ta、TaNがより好ましい。
本発明の金属用研磨液でCMPを行なう対象ウエハ(半導体集積回路用基板)は、径が200mm以上であることが好ましく、300mm以上がより好ましい。300mm以上である時に、顕著に本発明の効果を発揮する。
〔化学的機械的研磨:研磨方法〕
半導体集積回路用基板の銅配線を本発明の金属用研磨液を用いて化学的機械的研磨によって研磨する方法は、特に限定されない。例えば、被研磨面を有する半導体集積回路用基板を保持するホルダーと、研磨パッドを貼り付けた(回転数が変更可能なモータ等を取り付けてある)研磨定盤とを有する一般的な研磨装置を使用して、本発明の金属用研磨液を研磨定盤上の研磨パッドに供給し、被研磨面と接触させて被研磨面と研磨パッドを相対運動させることで研磨する方法が好ましい態様として挙げられる。
本発明の金属用研磨液は、その使用における好ましい態様として、例えば、(1)濃縮液であって、使用する際に水または水溶液を加えて希釈して使用液とする場合、(2)各成分が後述する水溶液の形態で準備され、これらを混合し、必要により水を加え希釈して使用液とする場合、(3)使用液として調製されている場合が挙げられる。
本発明の金属用研磨液を用いた研磨方法では、本発明の金属用研磨液の使用における好ましい態様について、いずれの場合も適用できる。
本発明の金属用研磨液を用いる研磨方法において使用される研磨用のパッドは、無発泡構造パッドでも発泡構造パッドでもよい。前者はプラスチック板のように硬質の合成樹脂バルク材をパッドに用いるものである。また、後者は更に独立発泡体(乾式発泡系)、連続発泡体(湿式発泡系)、2層複合体(積層系)の3つがあり、特に、2層複合体(積層系)が好ましい。発泡は、均一でも不均一でもよい。
更に、パッドは、研磨に用いる砥粒(例えば、セリア、シリカ、アルミナ、樹脂等)を含有したものでもよい。
また、パッドは、硬さについて、軟質のものと硬質のものがあり、本発明の金属用研磨液を用いる研磨方法においてはどちらも使用することができる。積層系ではそれぞれの層に異なる硬さのものを用いることが好ましい。
パッドの材質としては、不織布、人工皮革、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、発泡ポリウレタン、多孔質フッ素樹脂等が好ましい。
また、パッドが研磨面と接触する面に、例えば、格子溝/穴/同心溝/らせん状溝等の加工を施してもよい。
研磨条件には制限はないが、研磨定盤の回転速度は基板が飛び出さないように200rpm以下の低回転が好ましい。
半導体集積回路用基板を保持するホルダーの回転速度は、特に制限されない。
被研磨面(被研磨膜)を有する半導体集積回路用基板の研磨パッドへの押しつけ圧力は、5〜500g/cm2であることが好ましく、研磨速度のウエハ面内均一性およびパターンの平坦性を満足するためには、12〜240g/cm2であることがより好ましい。
研磨している間、研磨パッドには金属用研磨液をポンプ等で連続的に供給する。この供給量に制限はないが、研磨パッドの表面が常に研磨液で覆われていることが好ましい。
金属用研磨液の供給速度は、研磨速度のウエハ面内均一性およびパターンの平坦性を満足するため、10〜1000ml/minが好ましく、170〜800ml/minであることがより好ましい。
研磨終了後の半導体集積回路用基板は、流水中で良く洗浄した後、スピンドライヤ等を用いて半導体集積回路用基板上に付着した水滴を払い落としてから乾燥させることができる。
本発明において、上記(1)の方法のように、濃縮液を希釈する際には、下記に示す水溶液を用いることができる。水溶液は、予め、酸化剤、有機酸、添加剤、界面活性剤のうち少なくとも1つ以上を含有した水であり、この水溶液中に含有している成分と、希釈される濃縮液中に含有している成分とを合計した成分が、研磨する際に使用する金属用研磨液、即ち使用液の成分となるようにする。
このように、濃縮液を水溶液で希釈して使用する場合には、溶解しにくい成分を水溶液の形で後から配合することができることから、より濃縮した濃縮液を調製することができる。
また、濃縮液に水または水溶液を加え希釈する方法としては、濃縮された金属用研磨液を供給する配管と水または水溶液を供給する配管とを途中で合流させて混合し、混合し希釈された金属用研磨液の使用液を研磨パッドに供給する方法がある。濃縮液と水または水溶液との混合は、圧力を付した状態で狭い通路を通して液同士を衝突混合する方法、配管中にガラス管等の充填物を詰め液体の流れを分流分離、合流させることを繰り返し行う方法、配管中に動力で回転する羽根を設ける方法等通常に行われている方法を採用することができる。
更に、濃縮液を水または水溶液等により希釈しつつ、研磨する方法としては、金属用研磨液を供給する配管と水または水溶液を供給する配管とを独立に設け、それぞれから所定量の液を研磨パッドに供給し、研磨パッドと被研磨面の相対運動で混合しつつ研磨する方法がある。また、1つの容器に、所定量の濃縮液と水または水溶液とを入れ混合してから、研磨パッドにその混合した金属用研磨液を供給し、研磨をする方法を用いることもできる。
別の研磨方法としては、金属用研磨液が含有すべき成分を少なくとも2つの構成成分に分けて、それらを使用する際に、水または水溶液を加え希釈して研磨定盤上の研磨パッドに供給し、被研磨面と接触させて被研磨面と研磨パッドを相対運動させて研磨する方法がある。
例えば、酸化剤を構成成分(A)とし、特定アミノ酸誘導体、有機酸、添加剤、界面活性剤、および水を構成成分(B)とし、それらを使用する際に水または水溶液で、構成成分(A)および構成成分(B)を希釈して使用することができる。
また、溶解度の低い添加剤を2つの構成成分(A)と(B)に分け、例えば、酸化剤、添加剤、および界面活性剤を構成成分(A)とし、特定アミノ酸誘導体、有機酸、添加剤、界面活性剤、および水を構成成分(B)とし、それらを使用する際に水または水溶液を加え、構成成分(A)および構成成分(B)を希釈して使用する。
上記のような例の場合、構成成分(A)と構成成分(B)と水または水溶液とをそれぞれ供給する3つの配管が必要であり、希釈混合は、3つの配管を、研磨パッドに供給する1つの配管に結合し、その配管内で混合する方法があり、この場合、2つの配管を結合してから他の1つの配管を結合することも可能である。具体的には、溶解しにくい添加剤を含む構成成分と他の構成成分を混合し、混合経路を長くして溶解時間を確保してから、更に、水または水溶液の配管を結合する方法である。
その他の混合方法は、上記したように直接に3つの配管をそれぞれ研磨パッドに導き、研磨パッドと被研磨面の相対運動により混合する方法や、1つの容器に3つの構成成分を混合して、そこから研磨パッドに希釈された金属用研磨液(使用液)を供給する方法がある。
上記した研磨方法において、酸化剤を含む1つの構成成分を40℃以下にし、他の構成成分を室温から100℃の範囲に加温し、1つの構成成分と他の構成成分とを混合する際、または、水もしくは水溶液を加え希釈する際に、液温を40℃以下とするようにすることができる。この方法は、温度が高いと溶解度が高くなる現象を利用し、金属用研磨液の溶解度の低い原料の溶解度を上げるために好ましい方法である。
上記の他の構成成分を室温から100℃の範囲で加温することで溶解させた原料は、温度が下がると溶液中に析出するため、低温状態の他の構成成分を用いる場合は、予め加温して析出した原料を溶解させる必要がある。これには、加温し、原料が溶解した他の構成成分を送液する手段と、析出物を含む液をかくはんしておき、送液し、配管を加温して溶解させる手段と、を採用することができる。加温した他の構成成分が、酸化剤を含む1つの構成成分の温度を40℃以上に高めると酸化剤が分解する恐れがあるので、この加温した他の構成成分と酸化剤を含む1つの構成成分とを混合した場合、40℃以下となるようにすることが好ましい。
このように、本発明の金属用研磨液を用いる研磨方法においては、金属用研磨液の成分を二分割以上に分割して、研磨面に供給してもよい。この場合、酸化物を含む成分と有機酸を含有する成分とに分割して供給することが好ましい。また、金属用研磨液を濃縮液とし、希釈水を別にして研磨面に供給してもよい。
以下、実施例により本発明を説明する。本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
<特定アミノ酸誘導体A−1の精製>
118g(1.0mol)の下記式(A−1)で表される特定アミノ酸誘導体(上記文献の方法で合成した。以下同様。以下、「特定アミノ酸誘導体A−1」という。)を水9Lに溶解させ、これに硝酸を加えてpH3.8に調整した。電気透析(microacilyer S3、ASTOM社製、以下同様。透析条件:流速自動、電圧自動、以下同様。)による脱塩後、得られた処理液をエバポレーターで減圧濃縮し、エタノール(2000mL)を加えることによって、特定アミノ酸誘導体A−1を析出させた。析出物を濾取し、風乾させることによって、精製された特定アミノ酸誘導体A−1が95g(0.81mol、収率81%)得られた。
Figure 2007317714
精製前後の特定アミノ酸誘導体A−1のCl、Br、I、Li、Na、Kの混入量をイオンクロマトグラフィーにより以下の条件で測定した。結果を第1表に示す。
・カラム:TSKgel IC−Cation、TSK guard column IC−C(東ソー(株)製)
・溶離液:2mM HNO3
・流速:1.2ml/min
・温度:40℃
・検出法:電気伝導度
・サンプル濃度:5mg/5ml
以下、イオンクロマトグラフィーによる測定はこの条件で行った。
Figure 2007317714
<特定アミノ酸誘導体A−2の精製>
132g(1.0mol)の下記式(A−2)で表される特定アミノ酸誘導体(以下、「特定アミノ酸誘導体A−2」という。)を水10Lに溶解させ、これに硝酸を加えてpH3.7に調整した。電気透析による脱塩後、得られた処理液をエバポレーターで減圧濃縮し、エタノール(1000mL)を加えることによって、特定アミノ酸誘導体A−2を析出させた。析出物を濾取し、風乾させることによって、精製された特定アミノ酸誘導体A−2が126g(0.95mol、収率95%)得られた。
Figure 2007317714
精製前後の特定アミノ酸誘導体A−2のCl、Br、I、Li、Na、Kの混入量をイオンクロマトグラフィーにより測定した。結果を第2表に示す。
Figure 2007317714
<特定アミノ酸誘導体A−4の精製>
176g(1.0mol)の下記式(A−4)で表される特定アミノ酸誘導体(以下、「特定アミノ酸誘導体A−4」という。)を水9Lに溶解させ、これに硝酸を加えてpH3.6に調整した。電気透析による脱塩後、得られた処理液をエバポレーターで減圧濃縮し、イソプロパノール(300mL)を加えることによって、特定アミノ酸誘導体A−4を析出させた。析出物を濾取し、風乾させることによって、精製された特定アミノ酸誘導体A−4が125g(0.71mol、収率71%)得られた。
Figure 2007317714
精製前後の特定アミノ酸誘導体A−4のCl、Br、I、Li、Na、Kの混入量をイオンクロマトグラフィーにより測定した。結果を第3表に示す。
Figure 2007317714
<特定アミノ酸誘導体A−11の精製>
132g(1.0mol)の下記式(A−11)で表される特定アミノ酸誘導体(以下、「特定アミノ酸誘導体A−11」という。)を水8Lに溶解させ、これに硝酸を加えてpH2に調整した。電気透析による脱塩後、得られた処理液をエバポレーターで減圧濃縮し、イソプロパノール(500mL)を加えることによって、特定アミノ酸誘導体A−11を析出させた。析出物を濾取し、風乾させることによって、精製された特定アミノ酸誘導体A−11が98g(0.74mol、収率74%)得られた。
Figure 2007317714
精製前後の特定アミノ酸誘導体A−11のCl、Br、I、Li、Na、Kの混入量をイオンクロマトグラフィーにより測定した。結果を第4表に示す。
Figure 2007317714
<実施例1>
下記に示す組成の研磨液を調製し、実施例1の金属用研磨液を得た。また、この金属用研磨液を、下記の方法により研磨試験を行って評価した。
(研磨液の組成)
・過酸化水素(酸化剤)・・・5g
・上記のとおり精製された特定アミノ酸誘導体A−1・・・12g
・ベンゾトリアゾール(芳香環化合物)・・・1.5g
・コロイダルシリカ(砥粒)・・・12g
・純水・・・全量が1000mlとなる量
研磨液のpHは、アンモニア水と硝酸とを用いることによって6.6に調整された。
なお、上記過酸化水素、特定アミノ酸誘導体、ベンゾトリアゾール、およびコロイダルシリカの質量は、これらの成分自体の質量を示す。
(研磨試験)
・研磨パッド:IC1400XY+K Groove(ロームアンドハース社)
・研磨機:LGP−612(LapmaSterSFT社)
・押さえ圧力:140hPa
・研磨液供給速度:200ml/min
・銅ブランケットウエハ:厚さ1.4μmの銅膜を形成したウエハ(φ200mm)
・タンタルブランケットウエハ:厚さ1μmのタンタル膜を形成したウエハ(φ200mm)
・パターンウエハ:atdf社製CMP854パターンウエハ(φ200mm)
・研磨パッド/ウエハの回転数:95/120rpm
・定盤温調:20℃
・金属用研磨液の供給時の温度:25℃
(評価方法)
・研磨速度:銅ブランケットウエハ面上の49箇所と、タンタルブランケットウエハ面上の49箇所に対し、金属膜のCMP前後での膜厚さを電気抵抗値から換算して、それぞれの平均研磨速度を求めた。また、求められた研磨速度を、下記の式に導入し、銅とタンタルの研磨速度比(銅/タンタル研磨速度比)を算出した。
(銅/タンタル研磨速度比)=(銅の平均研磨速度)/(タンタルの平均研磨速度)
・ディッシング:パターンウエハに対し、非配線部の銅が完全に研磨されるまでの時間に加えて、該時間の30%に相当する時間研磨し、ラインアンドスペース部(ライン100μm、スペース100μm)のディッシングを触針式段差計で測定した。
上記研磨液を用いてCMPを行って得られた銅平均研磨速度、ディッシング、および銅/タンタル研磨速度比を下記第5表に示す。
<実施例2>
実施例1の金属用研磨液の組成において、ベンゾトリアゾール(芳香環化合物)をテトラゾールに換えた以外は、実施例1と同様にして、実施例2の金属用研磨液を作製した。
得られた金属用研磨液を用いて、実施例1と同様の方法で、銅平均研磨速度、ディッシング、および銅/タンタル研磨速度比を求めた。結果を第5表に示す。
<実施例3〜13>
実施例1の金属用研磨液の組成において、特定アミノ酸誘導体A−1を下記第5表に示す特定アミノ酸誘導体にそれぞれ換えた以外は、実施例1と同様にして、実施例3〜13の金属用研磨液を作製した。
得られた金属用研磨液を用いて、実施例1と同様の方法で、銅平均研磨速度、ディッシング、および銅/タンタル研磨速度比を求めた。結果を第5表に示す。
<実施例14〜24>
実施例2の金属用研磨液の組成において、特定アミノ酸誘導体A−1を第5表に示す特定アミノ酸誘導体にそれぞれ換えた以外は、実施例2と同様にして、実施例14〜24の金属用研磨液を作製した。
得られた金属用研磨液を用いて、実施例1と同様の方法で、銅平均研磨速度、ディッシング、および銅/タンタル研磨速度比を求めた。結果を第5表に示す。
<比較例1〜3>
実施例1の金属用研磨液の組成において、特定アミノ酸誘導体A−1を下記第5表に示す有機酸にそれぞれ換えた以外は、実施例1と同様にして、比較例1〜3の金属用研磨液を作製した。
得られた金属用研磨液を用いて、実施例1と同様の方法で、銅平均研磨速度、ディッシング、および銅/タンタル研磨速度比を求めた。結果を第5表に示す。
<比較例4〜6>
実施例1、3、12の金属用研磨液の組成において、下記第5表に示す特定アミノ酸誘導体を精製前のものにそれぞれ換えた以外は、実施例1と同様にして、比較例4〜6の金属用研磨液を作製した。
得られた金属用研磨液を用いて、実施例1と同様の方法で、銅平均研磨速度、ディッシング、および銅/タンタル研磨速度比を求めた。結果を第5表に示す。
<実施例25〜27>
実施例1の金属用研磨液の組成において、精製された特定アミノ酸誘導体A−1に対して0.1mol%の添加物を不純物として添加したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例25〜27の金属用研磨液を作製した。
得られた金属用研磨液を用いて、実施例1と同様の方法で、銅平均研磨速度、ディッシング、および銅/タンタル研磨速度比を求めた。結果を第5表に示す。
<参考例1〜9>
実施例1の金属用研磨液の組成において、下記第5表に示す、精製された特定アミノ酸誘導体に対して下記第5表に示す添加物を不純物として添加したこと以外は、実施例1と同様にして、参考例1〜9の金属用研磨液を作製した。
得られた金属用研磨液を用いて、実施例1と同様の方法で、銅平均研磨速度、ディッシング、および銅/タンタル研磨速度比を求めた。結果を第5表に示す。
Figure 2007317714
Figure 2007317714
第5表に示されるように、特定アミノ酸誘導体を含有する金属用研磨液(実施例1〜27)は、グリシン等のα−アミノ酸やイミノジ酢酸のように、本願の範囲を外れた有機酸を含有する金属用研磨液(比較例1〜3の研磨液)と比較して、ディッシングを著しく低下させることなく、研磨速度が大幅に改善され、更に、銅/タンタル研磨速度比に優れており、銅/タンタル研磨選択性が良好であることが明らかとなった。
また、アニオン、カチオンを除去した特定アミノ酸誘導体を含有する金属用研磨液(実施例1〜24)は、アニオン、カチオンを含む特定アミノ酸誘導体を含有する金属用研磨液(比較例4〜6の研磨液)と比較して、ディッシングを著しく低下させることなく、研磨速度が大幅に改善されるが明らかとなった。
このような結果から、本発明の金属用研磨液は、主として銅配線の研磨に用いられることが好ましい。
<特定アミノ酸誘導体B−1の精製>
166g(1.0mol)の下記式(B−1)で表される特定アミノ酸誘導体(上記文献の方法で合成した。以下同様。以下、「特定アミノ酸誘導体B−1」という。)を水4Lに溶解させ、これに硝酸を加えてpH2に調整した。電気透析による脱塩後、得られた処理液をエバポレーターで減圧濃縮し、エタノール(800mL)を加えることによって、特定アミノ酸誘導体B−1を析出させた。析出物を濾取し、風乾させることによって、精製された特定アミノ酸誘導体B−1が145g(0.87mol、収率87%)得られた。
Figure 2007317714
精製前後の特定アミノ酸誘導体B−1のCl、Br、I、Li、Na、Kの混入量をイオンクロマトグラフィーにより測定した。結果を第6表に示す。
Figure 2007317714
<特定アミノ酸誘導体B−2の精製>
180g(1.0mol)の下記式(B−2)で表される特定アミノ酸誘導体(以下、「特定アミノ酸誘導体B−2」という。)を水7Lに溶解させ、これに硝酸を加えてpH1に調整した。電気透析による脱塩後、得られた処理液をエバポレーターで減圧濃縮し、エタノール(1000mL)を加えることによって、特定アミノ酸誘導体B−2を析出させた。析出物を濾取し、風乾させることによって、精製された特定アミノ酸誘導体B−2が153g(0.85mol、収率85%)得られた。
Figure 2007317714
精製前後の特定アミノ酸誘導体B−2のCl、Br、I、Li、Na、Kの混入量をイオンクロマトグラフィーにより測定した。結果を第7表に示す。
Figure 2007317714
<特定アミノ酸誘導体B−4の精製>
224g(1.0mol)の下記式(B−4)で表される特定アミノ酸誘導体(以下、「特定アミノ酸誘導体B−4」という。)を水6Lに溶解させ、これに硝酸を加えてpH1に調整した。電気透析による脱塩後、得られた処理液をエバポレーターで減圧濃縮し、イソプロパノール(600mL)を加えることによって、特定アミノ酸誘導体B−4を析出させた。析出物を濾取し、風乾させることによって、精製された特定アミノ酸誘導体B−4が186g(0.83mol、収率83%)得られた。
Figure 2007317714
精製前後の特定アミノ酸誘導体B−4のCl、Br、I、Li、Na、Kの混入量をイオンクロマトグラフィーにより測定した。結果を第8表に示す。
Figure 2007317714
<特定アミノ酸誘導体B−6の精製>
196g(1.0mol)の下記式(B−6)で表される特定アミノ酸誘導体(以下、「特定アミノ酸誘導体B−6」という。)を水7Lに溶解させ、これに硝酸を加えてpH2に調整した。電気透析による脱塩後、得られた処理液をエバポレーターで減圧濃縮し、イソプロパノール(500mL)を加えることによって、特定アミノ酸誘導体B−6を析出させた。析出物を濾取し、風乾させることによって、精製された特定アミノ酸誘導体B−6が150g(0.77mol、収率77%)得られた。
Figure 2007317714
精製前後の特定アミノ酸誘導体B−6のCl、Br、I、Li、Na、Kの混入量をイオンクロマトグラフィーにより測定した。結果を第9表に示す。
Figure 2007317714
<実施例28>
下記に示す組成の研磨液を調製し、実施例28の金属用研磨液を得た。また、この金属用研磨液を、実施例1と同様の方法により研磨試験を行って評価した。
(研磨液の組成)
・過酸化水素(酸化剤)・・・4.5g
・上記のとおり精製された特定アミノ酸誘導体B−1・・・13g
・ベンゾトリアゾール(芳香環化合物)・・・1.5g
・コロイダルシリカ(砥粒)・・・12g
・純水・・・全量が1000mlとなる量
研磨液のpHは、アンモニア水と硝酸とを用いることによって6.6に調整された。
なお、上記過酸化水素、特定アミノ酸誘導体、ベンゾトリアゾール、およびコロイダルシリカの質量は、これらの成分自体の質量を示す。
<実施例29>
実施例28の金属用研磨液の組成において、ベンゾトリアゾール(芳香環化合物)をテトラゾールに換えた以外は、実施例28と同様にして、実施例2の金属用研磨液を作製した。
得られた金属用研磨液を用いて、実施例1と同様の方法で、銅平均研磨速度、ディッシング、および銅/タンタル研磨速度比を求めた。結果を第10表に示す。
<実施例30〜40>
実施例28の金属用研磨液の組成において、特定アミノ酸誘導体B−1を第10表に示す特定アミノ酸誘導体にそれぞれ換えた以外は、実施例28と同様にして、実施例30〜40の金属用研磨液を作製した。
得られた金属用研磨液を用いて、実施例1と同様の方法で、銅平均研磨速度、ディッシング、および銅/タンタル研磨速度比を求めた。結果を第10表に示す。
<実施例41〜51>
実施例29の金属用研磨液の組成において、特定アミノ酸誘導体B−1を第10表に示す特定アミノ酸誘導体にそれぞれ換えた以外は、実施例29と同様にして、実施例41〜54の金属用研磨液を作製した。
得られた金属用研磨液を用いて、実施例1と同様の方法で、銅平均研磨速度、ディッシング、および銅/タンタル研磨速度比を求めた。結果を第10表に示す。
<比較例7〜9>
実施例28の金属用研磨液の組成において、特定アミノ酸誘導体B−1を下記第10表に示す有機酸にそれぞれ換えた以外は、実施例28と同様にして、比較例7〜9の金属用研磨液を作製した。
得られた金属用研磨液を用いて、実施例1と同様の方法で、銅平均研磨速度、ディッシング、および銅/タンタル研磨速度比を求めた。結果を第10表に示す。
<比較例10〜12>
実施例28、30、39の金属用研磨液の組成において、下記第10表に示す特定アミノ酸誘導体を精製前のものにそれぞれ換えた以外は、実施例28と同様にして、比較例10〜12の金属用研磨液を作製した。
得られた金属用研磨液を用いて、実施例1と同様の方法で、銅平均研磨速度、ディッシング、および銅/タンタル研磨速度比を求めた。結果を第10表に示す。
<実施例52〜54>
実施例28の金属用研磨液の組成において、精製された特定アミノ酸誘導体B−1に対して0.1mol%の添加物を不純物として添加したこと以外は、実施例28と同様にして、実施例52〜54の金属用研磨液を作製した。
得られた金属用研磨液を用いて、実施例1と同様の方法で、銅平均研磨速度、ディッシング、および銅/タンタル研磨速度比を求めた。結果を第10表に示す。
<参考例10〜18>
実施例28の金属用研磨液の組成において、下記第10表に示す、精製された特定アミノ酸誘導体に対して下記第10表に示す添加物を不純物として添加したこと以外は、実施例28と同様にして、参考例10〜18の金属用研磨液を作製した。
得られた金属用研磨液を用いて、実施例1と同様の方法で、銅平均研磨速度、ディッシング、および銅/タンタル研磨速度比を求めた。結果を第10表に示す。
Figure 2007317714
Figure 2007317714
第10表に示されるように、特定アミノ酸誘導体を含有する金属用研磨液(実施例28〜54)は、グリシン等のα−アミノ酸やイミノジ酢酸のように、本願の範囲を外れた有機酸を含有する金属用研磨液(比較例7〜9の研磨液)と比較して、ディッシングを著しく低下させることなく、研磨速度が大幅に改善され、更に、銅/タンタル研磨速度比に優れており、銅/タンタル研磨選択性が良好であることが明らかとなった。
また、アニオン、カチオンを除去した特定アミノ酸誘導体を含有する金属用研磨液(実施例28〜51)は、アニオン、カチオンを含む特定アミノ酸誘導体を含有する金属用研磨液(比較例10〜12の研磨液)と比較して、ディッシングを著しく低下させることなく、研磨速度が大幅に改善されるが明らかとなった。
このような結果から、本発明の金属用研磨液は、主として銅配線の研磨に用いられることが好ましい。

Claims (4)

  1. 下記式(I)で表されるアミノ酸誘導体を含む水溶液に酸を添加して電気透析を行った後、得られた処理液から前記アミノ酸誘導体を析出させる精製方法によって精製された前記アミノ酸誘導体を含有し、半導体集積回路用基板の銅配線の化学的機械的研磨に用いられる金属用研磨液。
    Figure 2007317714

    (式中、Ra、Rb、Rc、RdおよびReは、それぞれ独立に、水素原子、カルボキシ基、ヒドロキシ基、カルバモイル基、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、またはこれらの基を部分構造として含む置換基を表し、Rfは、下記式で表される基を表す。)
    Figure 2007317714

    (式中、nは0〜4の整数を表し、
    g、Rh、Ri、Rj、RkおよびRlは、それぞれ独立に、水素原子、カルボキシ基、ヒドロキシ基、カルバモイル基、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、またはこれらの基を部分構造として含む置換基を表し、
    1は炭素原子を表し、
    Xは、それぞれ独立に、CまたはNを表し、X1はCまたはNを表し、XおよびXのうち少なくとも1つはNであり、X1とC1とが単結合または二重結合により結合して含窒素芳香環を形成してもよく、
    YおよびZは、それぞれ独立に、単結合または二重結合を表し、二重結合で結合される原子はRg〜Rlのいずれかを有していなくてもよい。)
  2. 半導体集積回路用基板の銅配線の化学的機械的研磨に用いられ、下記式(I)で表されるアミノ酸誘導体を含有する金属用研磨液であって、前記アミノ酸誘導体に含まれるカチオンの量が、前記アミノ酸誘導体の1mol%以下である金属用研磨液。

    Figure 2007317714

    (式中、Ra、Rb、Rc、RdおよびReは、それぞれ独立に、水素原子、カルボキシ基、ヒドロキシ基、カルバモイル基、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、またはこれらの基を部分構造として含む置換基を表し、Rfは下記式で表される基を表す。)
    Figure 2007317714

    (式中、nは0〜4の整数を表し、
    g、Rh、Ri、Rj、RkおよびRlは、それぞれ独立に、水素原子、カルボキシ基、ヒドロキシ基、カルバモイル基、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、またはこれらの基を部分構造として含む置換基を表し、
    1は炭素原子を表し、
    Xは、それぞれ独立に、CまたはNを表し、X1はCまたはNを表し、XおよびXのうち少なくとも1つはNであり、X1とC1とが単結合または二重結合により結合して含窒素芳香環を形成してもよく、
    YおよびZは、それぞれ独立に、単結合または二重結合を表し、二重結合で結合される原子はRg〜Rlのいずれかを有していなくてもよい。)
  3. 半導体集積回路用基板の銅配線の化学的機械的研磨に用いられ、下記式(I)で表されるアミノ酸誘導体を含有する金属用研磨液であって、前記アミノ酸誘導体に含まれるアニオンの量が、前記アミノ酸誘導体の1mol%以下である金属用研磨液。
    Figure 2007317714

    (式中、Ra、Rb、Rc、RdおよびReは、それぞれ独立に、水素原子、カルボキシ基、ヒドロキシ基、カルバモイル基、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、またはこれらの基を部分構造として含む置換基を表し、Rfは下記式で表される基を表す。)
    Figure 2007317714

    (式中、nは0〜4の整数を表し、
    g、Rh、Ri、Rj、RkおよびRlは、それぞれ独立に、水素原子、カルボキシ基、ヒドロキシ基、カルバモイル基、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、またはこれらの基を部分構造として含む置換基を表し、
    1は炭素原子を表し、
    Xは、それぞれ独立に、CまたはNを表し、X1はCまたはNを表し、XおよびXのうち少なくとも1つはNであり、X1とC1とが単結合または二重結合により結合して含窒素芳香環を形成してもよく、
    YおよびZは、それぞれ独立に、単結合または二重結合を表し、二重結合で結合される原子はRg〜Rlのいずれかを有していなくてもよい。)
  4. 前記アミノ酸誘導体が、下記式(I−a)で表される化合物、下記式(I−b)で表される化合物および下記式(I−c)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種である請求項1〜3のいずれかに記載の金属用研磨液。
    Figure 2007317714

    (式中、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rm、Rn、Ro、Rp、Rq、Rr、Rs、RtおよびRuは、それぞれ独立に、水素原子、カルボキシ基、ヒドロキシ基、カルバモイル基、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、またはこれらの基を部分構造として含む置換基を表し、
    1〜X5は、それぞれ独立に、CまたはNを表し、NであるX1〜X5は、Rq、Rr、Rs、RtまたはRuを有さない。)
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