JP2007310190A - 光学素子、光学補償素子、液晶表示素子、画像投影装置 - Google Patents
光学素子、光学補償素子、液晶表示素子、画像投影装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】 正の一軸性の複屈折特性を有する素子(例えば、液晶素子)に適用するときに、この素子(例えば、液晶素子)の複屈折特性を補償すると同時に、素子(例えば、液晶素子)に有害な光が照射するのを防ぐことを簡単な構成で実現する。
【解決手段】 支持基板上に、屈折率が互いに異なる複数の誘電体層を所定の厚さで、かつ、所定の繰り返し周期で積層した屈折率周期構造が設けられており、前記屈折率周期構造の前記繰り返し周期は、可視領域内の所定の波長域の光の波長の1/2以下であり、かつ、前記屈折率周期構造の前記繰り返し周期、および/または、前記屈折率周期構造を構成する各誘電体層の厚さの比率、および/または、前記屈折率周期構造の厚さは、前記所定の波長域の光よりも短い波長、および/または、長い波長の光に対して透過率が低くなるように設定されている。
【選択図】 図1
【解決手段】 支持基板上に、屈折率が互いに異なる複数の誘電体層を所定の厚さで、かつ、所定の繰り返し周期で積層した屈折率周期構造が設けられており、前記屈折率周期構造の前記繰り返し周期は、可視領域内の所定の波長域の光の波長の1/2以下であり、かつ、前記屈折率周期構造の前記繰り返し周期、および/または、前記屈折率周期構造を構成する各誘電体層の厚さの比率、および/または、前記屈折率周期構造の厚さは、前記所定の波長域の光よりも短い波長、および/または、長い波長の光に対して透過率が低くなるように設定されている。
【選択図】 図1
Description
本発明は、光学素子、光学補償素子、液晶表示素子、画像投影装置に関する。
プロジェクタは、スクリーンに投影する方式の画像表示装置で、容易に大画面表示が可能なため、広く普及している。
また、近年では、大画面薄型テレビ用の画像表示装置として、プラズマディスプレイパネル(PDP)や液晶パネル,電界放出ディスプレイ(FED)などとともに、プロジェクタの開発が盛んに行われている。
スクリーンの後方から投影するリアプロジェクション方式は、PDPや液晶パネル,FEDと異なり、大型のパネルが必要なく、装置内部はほとんど空洞であるため、非常に軽量で、安価にすることができる。また、PDPや液晶パネル,FEDには劣るものの、従来のブラウン管方式の表示装置に比べて、かなり薄型にすることができる。
プロジェクション方式には、パネルに透過型液晶素子を用いるLCD方式と、反射型液晶素子を用いるLCOS方式と、デジタルマイクロミラーを用いるDMD方式とがある。DMD方式は、カラーブレーキングや暗部の階調に乏しいなどの問題があり、特にリアプロジェクション方式では、透過型液晶素子を用いる方式および反射型液晶素子を用いる方式が主流となっている。
透過型液晶素子を用いる方式および反射型液晶素子を用いる方式は、光の偏光を利用して変調を行っており、光の偏光の状態が、コントラストに大きく影響を及ぼす。透過型液晶素子または反射型液晶素子に入射する光の偏光方向および入射する角度がすべて揃っている場合には、非常に高いコントラストが得られる。しかし、実際には、透過型液晶素子または反射型液晶素子には様々の角度で光が入射するため、入射する角度によって偏光状態が変わり、コントラストを低下させる原因となっている。このため、入射角度によって変わってしまう偏光状態を補償する光学補償素子が提案されている。
特許文献1では、トリアセチルセルロースフィルムなどの負の一軸性であるフィルム上にディスコティック液晶化合物の層を設け、ディスコティック液晶化合物の円盤を厚み方向に傾斜角を変化させながら配向させたものによって、光学補償素子を実現し、入射角度によって変わってしまう偏光状態を補償している。
また、特許文献2では、SiO2とTiO2を周期的に積層した負の一軸性の積層体上に、円盤状または棒状の液晶化合物の層を設け、配向角を厚み方向に連続的に変化させて、光学補償素子を実現し、入射角度によって変わってしまう偏光状態を補償している。
一方、プロジェクタの光源として多く用いられている高圧水銀ランプは、画像を表示するのに必要な可視領域の光(波長400nm〜700nm)以外に、紫外線(波長380nm以下)も含まれ、この紫外線は液晶素子を劣化させる原因となっている。したがって、紫外線を遮断するような手段を設けることが提案されている。
特許文献3では、SiO2−Al2O3−第2A,3A,4A族酸化物ガラスに、CeやEuなどの紫外線を吸収する成分を添加することで、紫外線遮断ガラスを製造し、この紫外線遮断ガラスをプロジェクタの光学系内に設けることで、液晶素子の紫外線による劣化防止を実現している。
また、光源に白色LEDを用いた場合でも、白色LEDの光にも紫外線が含まれ、液晶素子を劣化させてしまうため、特許文献4では、紫外線入射防止部材を白色LEDと液晶素子の間に設けることで、液晶素子の紫外線による劣化防止を実現している。
特許第2587398号
特開2005−292781
特開2005−119924
特開2005−274957
しかしながら、トリアセチルセルロースフィルムなどの負の一軸性であるフィルム上にディスコティック液晶化合物の層を設け、ディスコティック液晶化合物の円盤を厚み方向に傾斜角を変化させながら配向させた光学補償素子、および、SiO2とTiO2を周期的に積層した負の一軸性の積層体上に、円盤状または棒状の液晶化合物の層を設け、配向角を厚み方向に連続的に変化させた光学補償素子は、入射角度によって変わってしまう偏光状態を補償してコントラストが低下する問題を解決してはいるが、光源に含まれる紫外線によって液晶素子が劣化する問題については解決していない。
一方、CeやEuなどの紫外線を吸収する成分を添加した紫外線遮断ガラスなどの紫外線入射防止材を光学系内に設けたプロジェクタは、液晶素子の紫外線による劣化の問題を解決してはいるが、入射角度で偏光状態が変わってしまうことによってコントラストが低下する問題は解決していない。
したがって、プロジェクタの大きな問題である、コントラスト低下という画像品質の問題と、液晶素子の劣化という装置の信頼性の問題との両方を解決するためには、光学補償素子と紫外線入射防止材とを別個に設けることが考えられるが、この場合には、光学系が複雑になり、コストが高くなるという問題があった。
本発明は、正の一軸性の複屈折特性を有する素子(例えば、液晶素子)に適用するときに、この素子(例えば、液晶素子)の複屈折特性を補償すると同時に、素子(例えば、液晶素子)に有害な光が照射するのを防ぐことを簡単な構成で実現可能な光学素子、光学補償素子、液晶表示素子、画像投影装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、支持基板上に、屈折率が互いに異なる複数の誘電体層を所定の厚さで、かつ、所定の繰り返し周期で積層した屈折率周期構造が設けられており、前記屈折率周期構造の前記繰り返し周期は、可視領域内の所定の波長域の光の波長の1/2以下であり、かつ、前記屈折率周期構造の前記繰り返し周期、および/または、前記屈折率周期構造を構成する各誘電体層の厚さの比率、および/または、前記屈折率周期構造の厚さは、前記所定の波長域の光よりも短い波長、および/または、長い波長の光に対して透過率が低くなるように設定されていることを特徴とする光学素子である。
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の光学素子において、屈折率周期構造の支持基板とは反対の側に、および/または、屈折率周期構造と支持基板との間に、前記所定の波長域の光の反射を防止するための反射防止構造がさらに設けられていることを特徴としている。
また、請求項3記載の発明は、支持基板上に、屈折率が互いに異なる複数の誘電体層を所定の厚さで、かつ、所定の繰り返し周期で積層した屈折率周期構造が積層方向に複数個設けられており、前記各屈折率周期構造の前記繰り返し周期は、可視領域内の所定の波長域の光の波長の1/2以下であり、かつ、前記複数の屈折率周期構造は、前記所定の波長域以外の複数の波長範囲の光に対して透過率が低くなるように、各屈折率周期構造の前記繰り返し周期、および/または、各屈折率周期構造を構成する各誘電体層の厚さの比率、および/または、各屈折率周期構造の厚さが設定されていることを特徴とする光学素子である。
また、請求項4記載の発明は、請求項3記載の光学素子において、前記複数の屈折率周期構造の間に、前記所定の波長域の光の反射を防止するための反射防止構造がさらに設けられていることを特徴としている。
また、請求項5記載の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の光学素子に、円盤状構造のディスコティック化合物層を設け、ディスコティック化合物層の円盤状構造の円盤面が、支持基板面に対して傾いており、かつ、支持基板面に対する円盤面の傾きが、ディスコティック化合物層の深さ方向に対して変化していることを特徴とする光学補償素子である。
また、請求項6記載の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の光学素子、または、請求項5記載の光学補償素子と、液晶素子とを用いて構成されていることを特徴とする液晶表示素子である。
また、請求項7記載の発明は、光源からの光を液晶表示素子に照射し、液晶表示素子の表示画像を投影レンズで投影する画像投影装置において、画像投影装置を構成する液晶表示素子のうちの少なくとも1つの液晶表示素子が請求項6記載の液晶表示素子であることを特徴としている。
請求項1記載の発明によれば、支持基板上に、屈折率が互いに異なる複数の誘電体層を所定の厚さで、かつ、所定の繰り返し周期で積層した屈折率周期構造が設けられており、前記屈折率周期構造の前記繰り返し周期は、可視領域内の所定の波長域の光の波長の1/2以下であり、かつ、前記屈折率周期構造の前記繰り返し周期、および/または、前記屈折率周期構造を構成する各誘電体層の厚さの比率、および/または、前記屈折率周期構造の厚さは、前記所定の波長域の光よりも短い波長、および/または、長い波長の光に対して透過率が低くなるように設定されている光学素子であるので、構造を何ら複雑化させることのない簡単な構成で、光学軸が積層方向と平行な負の一軸性の特性と不要な光の透過率を低くする機能とを同時にもたせることができ、これによって、正の一軸性の複屈折特性を有する素子(例えば、液晶素子)に適用するときに、この素子(例えば、液晶素子)の複屈折特性を補償し、同時に、素子(例えば、液晶素子)に有害な光が照射するのを防ぐことを簡単な構成で実現可能な光学素子を提供することができる。
また、請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の光学素子において、屈折率周期構造の支持基板とは反対の側に、および/または、屈折率周期構造と支持基板との間に、前記所定の波長域の光の反射を防止するための反射防止構造がさらに設けられているので、構造を何ら複雑化させることのない簡単な構成で、光学軸が積層方向と平行な負の一軸性の特性と不要な光の透過率を低くする機能とを同時にもたせることができ、さらに、光の利用効率を高くすることができて、これによって、正の一軸性の複屈折特性を有する素子(例えば、液晶素子)に適用するときに、この素子(例えば、液晶素子)の複屈折特性を補償し、同時に、素子(例えば、液晶素子)に有害な光が照射するのを防ぐことを簡単な構成で実現可能であって、さらに、光の利用効率が高い光学素子を提供することができる。
また、請求項3記載の発明によれば、支持基板上に、屈折率が互いに異なる複数の誘電体層を所定の厚さで、かつ、所定の繰り返し周期で積層した屈折率周期構造が積層方向に複数個設けられており、前記各屈折率周期構造の前記繰り返し周期は、可視領域内の所定の波長域の光の波長の1/2以下であり、かつ、前記複数の屈折率周期構造は、前記所定の波長域以外の複数の波長範囲の光に対して透過率が低くなるように、各屈折率周期構造の前記繰り返し周期、および/または、各屈折率周期構造を構成する各誘電体層の厚さの比率、および/または、各屈折率周期構造の厚さが設定されている光学素子であるので、構造を何ら複雑化させることのない簡単な構成で、光学軸が積層方向と平行な負の一軸性の特性と広い波長範囲の不要な光の透過率を低くする機能とを同時にもたせることができ、これによって、正の一軸性の複屈折特性を有する素子(例えば、液晶素子)に適用するときに、この素子(例えば、液晶素子)の複屈折特性を補償し、同時に、素子(例えば、液晶素子)に広い波長範囲の有害な光が照射するのを防ぐことを簡単な構成で実現可能な光学素子を提供することができる。
また、請求項4記載の発明によれば、請求項3記載の光学素子において、前記複数の屈折率周期構造の間に、前記所定の波長域の光の反射を防止するための反射防止構造がさらに設けられているので、構造を何ら複雑化させることのない簡単な構成で、光学軸が積層方向と平行な負の一軸性の特性と広い波長範囲の不要な光の透過率を低くする機能とを同時にもたせることができ、さらに、光の利用効率を高くすることができて、これによって、正の一軸性の複屈折特性を有する素子(例えば、液晶素子)に適用するときに、この素子(例えば、液晶素子)の複屈折特性を補償し、同時に、素子(例えば、液晶素子)に広い波長範囲の有害な光が照射するのを防ぐことを簡単な構成で実現可能であって、さらに、光の利用効率が高い光学素子を提供することができる。
また、請求項5記載の発明によれば、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の光学素子に、円盤状構造のディスコティック化合物層を設け、ディスコティック化合物層の円盤状構造の円盤面が、支持基板面に対して傾いており、かつ、支持基板面に対する円盤面の傾きが、ディスコティック化合物層の深さ方向に対して変化している光学補償素子であるので、構造を何ら複雑化させることのない簡単な構成で、光学軸が積層方向と平行な一軸性の複屈折特性および光学軸が連続的に傾いた複数の負の一軸性複屈折特性を合わせた特性と不要な光の透過率を低くする機能とを同時にもたせることができ、これによって、光学軸が一定の方向を向いた正の一軸性の複屈折特性および光学軸が連続的に傾いた複数の正の一軸性の複屈折特性を合わせた特性を有する素子(例えば、液晶素子)に適用するときに、この素子(例えば、液晶素子)の複屈折特性を補償し、同時に、素子(例えば、液晶素子)に有害な光が照射するのを防ぐことを簡単な構成で実現可能な光学補償素子を提供することができる。
また、請求項6記載の発明によれば、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の光学素子、または、請求項5記載の光学補償素子と、液晶素子とを用いて構成されている液晶表示素子であるので、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の光学素子、または、請求項5記載の光学補償素子によって、液晶素子に入射する角度によって偏光状態が変化してしまうのを補償し、同時に、液晶素子の劣化の原因となる光が液晶素子に照射されるのを防ぐことができ、これによって、広視野角、高コントラストで、かつ、不要な光による劣化が少ない液晶表示素子を提供することができる。
また、請求項7記載の発明によれば、光源からの光を液晶表示素子に照射し、液晶表示素子の表示画像を投影レンズで投影する画像投影装置において、画像投影装置を構成する液晶表示素子のうちの少なくとも1つの液晶表示素子が請求項6記載の液晶表示素子であるので、高コントラスト、液晶素子の特性劣化が少なく、かつ、光学系の構造を簡単にすることができ、これによって、高画像品質、高信頼性で、かつ、低コストの画像投影装置を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
(第1の形態)
本発明の第1の形態は、支持基板上に、屈折率が互いに異なる複数の誘電体層を所定の厚さで、かつ、所定の繰り返し周期で積層した屈折率周期構造が設けられており、前記屈折率周期構造の前記繰り返し周期は、可視領域内の所定の波長域の光の波長の1/2以下であり、かつ、前記屈折率周期構造の前記繰り返し周期、および/または、前記屈折率周期構造を構成する各誘電体層の厚さの比率、および/または、前記屈折率周期構造の厚さは、前記所定の波長域の光よりも短い波長、および/または、長い波長の光に対して透過率が低くなるように設定されていることを特徴とする光学素子である。
本発明の第1の形態は、支持基板上に、屈折率が互いに異なる複数の誘電体層を所定の厚さで、かつ、所定の繰り返し周期で積層した屈折率周期構造が設けられており、前記屈折率周期構造の前記繰り返し周期は、可視領域内の所定の波長域の光の波長の1/2以下であり、かつ、前記屈折率周期構造の前記繰り返し周期、および/または、前記屈折率周期構造を構成する各誘電体層の厚さの比率、および/または、前記屈折率周期構造の厚さは、前記所定の波長域の光よりも短い波長、および/または、長い波長の光に対して透過率が低くなるように設定されていることを特徴とする光学素子である。
この第1の形態の光学素子では、支持基板上に、屈折率が互いに異なる複数の誘電体層を所定の厚さで、かつ、所定の繰り返し周期で積層した屈折率周期構造が設けられており、前記屈折率周期構造の前記繰り返し周期は、可視領域内の所定の波長域の光の波長の1/2以下であり、かつ、前記屈折率周期構造の前記繰り返し周期、および/または、前記屈折率周期構造を構成する各誘電体層の厚さの比率、および/または、前記屈折率周期構造の厚さは、前記所定の波長域の光よりも短い波長、および/または、長い波長の光に対して透過率が低くなるように設定されているので、構造を何ら複雑化させることのない簡単な構成で、光学軸が積層方向と平行な負の一軸性の特性と不要な光の透過率を低くする機能とを同時にもたせることができ、これによって、正の一軸性の複屈折特性を有する素子(例えば、液晶素子)に適用するときに、この素子(例えば、液晶素子)の複屈折特性を補償し、同時に、素子(例えば、液晶素子)に有害な光が照射するのを防ぐことを簡単な構成で実現可能な光学素子を提供することができる。
より詳細に、屈折率周期構造の周期を所定の波長域の波長の1/2以下にすることによって、負の一軸性特性をもたせることができ、負の一軸性特性の値は、具体的には、後述のように、リタデーションRの値によって定められる。
(第2の形態)
本発明の第2の形態は、第1の形態の光学素子において、屈折率周期構造の支持基板とは反対の側に、および/または、屈折率周期構造と支持基板との間に、前記所定の波長域の光の反射を防止するための反射防止構造がさらに設けられていることを特徴としている。
本発明の第2の形態は、第1の形態の光学素子において、屈折率周期構造の支持基板とは反対の側に、および/または、屈折率周期構造と支持基板との間に、前記所定の波長域の光の反射を防止するための反射防止構造がさらに設けられていることを特徴としている。
この第2の形態の光学素子では、第1の形態の光学素子において、屈折率周期構造の支持基板とは反対側に、および/または、屈折率周期構造と支持基板との間に、前記所定の波長域の光の反射を防止するための反射防止構造がさらに設けられているので、構造を何ら複雑化させることのない簡単な構成で、光学軸が積層方向と平行な負の一軸性の特性と不要な光の透過率を低くする機能とを同時にもたせることができ、さらに、光の利用効率を高くすることができて、これによって、正の一軸性の複屈折特性を有する素子(例えば、液晶素子)に適用するときに、この素子(例えば、液晶素子)の複屈折特性を補償し、同時に、素子(例えば、液晶素子)に有害な光が照射するのを防ぐことを簡単な構成で実現可能であって、さらに、光の利用効率が高い光学素子を提供することができる。
(第3の形態)
本発明の第3の形態は、支持基板上に、屈折率が互いに異なる複数の誘電体層を所定の厚さで、かつ、所定の繰り返し周期で積層した屈折率周期構造が積層方向に複数個設けられており、前記各屈折率周期構造の前記繰り返し周期は、可視領域内の所定の波長域の光の波長の1/2以下であり、かつ、前記複数の屈折率周期構造は、前記所定の波長域以外の複数の波長範囲の光に対して透過率が低くなるように、各屈折率周期構造の前記繰り返し周期、および/または、各屈折率周期構造を構成する各誘電体層の厚さの比率、および/または、各屈折率周期構造の厚さが設定されていることを特徴とする光学素子である。
本発明の第3の形態は、支持基板上に、屈折率が互いに異なる複数の誘電体層を所定の厚さで、かつ、所定の繰り返し周期で積層した屈折率周期構造が積層方向に複数個設けられており、前記各屈折率周期構造の前記繰り返し周期は、可視領域内の所定の波長域の光の波長の1/2以下であり、かつ、前記複数の屈折率周期構造は、前記所定の波長域以外の複数の波長範囲の光に対して透過率が低くなるように、各屈折率周期構造の前記繰り返し周期、および/または、各屈折率周期構造を構成する各誘電体層の厚さの比率、および/または、各屈折率周期構造の厚さが設定されていることを特徴とする光学素子である。
この第3の形態の光学素子では、支持基板上に、屈折率が互いに異なる複数の誘電体層を所定の厚さで、かつ、所定の繰り返し周期で積層した屈折率周期構造が積層方向に複数個設けられており、前記各屈折率周期構造の前記繰り返し周期は、可視領域内の所定の波長域の光の波長の1/2以下であり、かつ、前記複数の屈折率周期構造は、前記所定の波長域以外の複数の波長範囲の光に対して透過率が低くなるように、各屈折率周期構造の前記繰り返し周期、および/または、各屈折率周期構造を構成する各誘電体層の厚さの比率、および/または、各屈折率周期構造の厚さが設定されている光学素子であるので、構造を何ら複雑化させることのない簡単な構成で、光学軸が積層方向と平行な負の一軸性の特性と広い波長範囲の不要な光の透過率を低くする機能とを同時にもたせることができ、これによって、正の一軸性の複屈折特性を有する素子(例えば、液晶素子)に適用するときに、この素子(例えば、液晶素子)の複屈折特性を補償し、同時に、素子(例えば、液晶素子)に広い波長範囲の有害な光が照射するのを防ぐことを簡単な構成で実現可能な光学素子を提供することができる。
(第4の形態)
本発明の第4の形態は、第3の形態の光学素子において、前記複数の屈折率周期構造の間に、前記所定の波長域の光の反射を防止するための反射防止構造がさらに設けられていることを特徴としている。
本発明の第4の形態は、第3の形態の光学素子において、前記複数の屈折率周期構造の間に、前記所定の波長域の光の反射を防止するための反射防止構造がさらに設けられていることを特徴としている。
この第4の形態の光学素子では、第3の形態の光学素子において、前記複数の屈折率周期構造の間に、前記所定の波長域の光の反射を防止するための反射防止構造がさらに設けられているので、構造を何ら複雑化させることのない簡単な構成で、光学軸が積層方向と平行な負の一軸性の特性と広い波長範囲の不要な光の透過率を低くする機能とを同時にもたせることができ、さらに、光の利用効率を高くすることができて、これによって、正の一軸性の複屈折特性を有する素子(例えば、液晶素子)に適用するときに、この素子(例えば、液晶素子)の複屈折特性を補償し、同時に、素子(例えば、液晶素子)に広い波長範囲の有害な光が照射するのを防ぐことを簡単な構成で実現可能であって、さらに、光の利用効率が高い光学素子を提供することができる。
(第5の形態)
本発明の第5の形態は、第1乃至第4のいずれかの形態の光学素子に、円盤状構造のディスコティック化合物層を設け、ディスコティック化合物層の円盤状構造の円盤面が、支持基板面に対して傾いており、かつ、支持基板面に対する円盤面の傾きが、ディスコティック化合物層の深さ方向に対して変化していることを特徴とする光学補償素子である。
本発明の第5の形態は、第1乃至第4のいずれかの形態の光学素子に、円盤状構造のディスコティック化合物層を設け、ディスコティック化合物層の円盤状構造の円盤面が、支持基板面に対して傾いており、かつ、支持基板面に対する円盤面の傾きが、ディスコティック化合物層の深さ方向に対して変化していることを特徴とする光学補償素子である。
この第5の形態の光学補償素子では、第1乃至第4のいずれかの形態の光学素子に、円盤状構造のディスコティック化合物層を設け、ディスコティック化合物層の円盤状構造の円盤面が、支持基板面に対して傾いており、かつ、支持基板面に対する円盤面の傾きが、ディスコティック化合物層の深さ方向に対して変化しているので、構造を何ら複雑化させることのない簡単な構成で、光学軸が積層方向と平行な一軸性の複屈折特性および光学軸が連続的に傾いた複数の負の一軸性複屈折特性を合わせた特性と不要な光の透過率を低くする機能とを同時にもたせることができ、これによって、光学軸が一定の方向を向いた正の一軸性の複屈折特性および光学軸が連続的に傾いた複数の正の一軸性の複屈折特性を合わせた特性を有する素子(例えば、液晶素子)に適用するときに、この素子(例えば、液晶素子)の複屈折特性を補償し、同時に、素子(例えば、液晶素子)に有害な光が照射するのを防ぐことを簡単な構成で実現可能な光学補償素子を提供することができる。
(第6の形態)
本発明の第6の形態は、第1乃至第4のいずれかの形態の光学素子、または、第5の形態の光学補償素子と、液晶素子とを用いて構成されていることを特徴とする液晶表示素子である。
本発明の第6の形態は、第1乃至第4のいずれかの形態の光学素子、または、第5の形態の光学補償素子と、液晶素子とを用いて構成されていることを特徴とする液晶表示素子である。
この第6の形態の液晶表示素子では、第1乃至第4のいずれかの形態の光学素子、または、第5の形態の光学補償素子と、液晶素子とを用いて構成されているので、第1乃至第4のいずれかの形態の光学素子、または、第5の形態の光学補償素子によって、液晶素子に入射する角度によって偏光状態が変化してしまうのを補償し、同時に、液晶素子の劣化の原因となる光が液晶素子に照射されるのを防ぐことができ、これによって、広視野角、高コントラストで、かつ、不要な光による劣化が少ない液晶表示素子を提供することができる。
(第7の形態)
本発明の第7の形態は、光源からの光を液晶表示素子に照射し、液晶表示素子の表示画像を投影レンズで投影する画像投影装置において、画像投影装置を構成する液晶表示素子のうちの少なくとも1つの液晶表示素子が第6の形態の液晶表示素子であることを特徴としている。
本発明の第7の形態は、光源からの光を液晶表示素子に照射し、液晶表示素子の表示画像を投影レンズで投影する画像投影装置において、画像投影装置を構成する液晶表示素子のうちの少なくとも1つの液晶表示素子が第6の形態の液晶表示素子であることを特徴としている。
この第7の形態の光学素子では、光源からの光を液晶表示素子に照射し、液晶表示素子の表示画像を投影レンズで投影する画像投影装置において、画像投影装置を構成する液晶表示素子のうちの少なくとも1つの液晶表示素子が第6の形態の液晶表示素子であるので、高コントラスト、液晶素子の特性劣化が少なく、かつ、光学系の構造を簡単にすることができ、これによって、高画像品質、高信頼性で、かつ、低コストの画像投影装置を提供することができる。
図1は実施例1の光学素子を示す図である。図1を参照すると、実施例1の光学素子は、支持基板であるガラス基板上に、反射防止構造BとしてTiO2層およびSiO2層を交互に2層ずつ積層し、その上に、屈折率周期構造としてTiO2層およびSiO2層を交互に11層ずつ積層し、さらに、反射防止構造AとしてTiO2層およびSiO2層を交互に2層ずつ積層している。次表(表1)は屈折率周期構造および反射防止構造A,Bの具体的な構成を表している。
表1から屈折率周期構造の繰り返し周期(屈折率周期)は97nmとなっている。
以上のように構成された実施例1の光学素子において、次式(数1)で表されるリタデーションRの値は200nmとなる。
ここで、dは屈折率周期構造の厚さである。また、nx、ny、nzは、屈折率周期構造の積層方向をz軸としたときの直交座標系でのx軸方向、y軸方向、z軸方向の屈折率であり、次式(数2)によって定められる。
ここで、pは屈折率周期構造の周期で、tSiO2およびtTiO2はそれぞれSiO2層およびTiO2層の厚さ、nSiO2およびnTiO2はそれぞれSiO2およびTiO2の屈折率である。
この実施例1では、青色光での使用を想定し、紫外光を遮光するように設計されている。すなわち、実施例1では、可視領域(波長400nm〜700nm)内の所定の波長域が波長420nm〜520nmとなるように設計され、また、上記所定の波長域の光よりも短い波長(、および/または、長い波長)の光として、波長380nm以下の紫外光は透過率が低くなるように設計されている。
図2は実施例1の光学素子に光を垂直に入射させたときの透過率特性を示す図である。図2から、波長420nm〜520nmでは透過率が高く、波長380nm以下の紫外光は透過率が低くなっている。また、図3は実施例1の光学素子に入射角20°で光を入射させたときの透過率特性を示す図であり、図3から、斜めから光を入射させた場合でも、垂直に入射させた場合と同様に、波長420nm〜520nmでは透過率が高く、波長380nm以下の紫外光は透過率が低くなっている。
このように、実施例1の光学素子は、波長420nm〜520nmでは、光学軸が積層方向と平行な負の一軸性特性を示し、リタデーションの値は200nmであり、また同時に、波長380nm以下の波長の光の透過率を低くする特性を有していることが分かる。これらの特性は、図1に示した実施例1の光学素子の屈折率周期構造より得られており、非常に簡単な構成で、これらの特性を実現している。
なお、実施例1では、屈折率周期構造の上面、および、ガラス基板と屈折率周期構造との間に,反射防止構造A,Bを設けているが、反射防止構造を設けなくても、波長420nm〜520nmでの負の一軸性特性と波長380nm以下での透過率低下特性は得られる。しかしながら、光の利用効率を上げるためには反射防止構造を設けた方が良い。当然ながら、ガラス基板の裏側にも、反射防止膜を形成した方が良い。
実施例1では、反射防止構造A,Bを構成する材料を、屈折率周期構造を構成する材料と同じとしているが、屈折率周期構造を構成する材料と異なる材料でもよい。しかしながら、屈折率周期構造を構成する材料と同じとすることで、同じ作製プロセスにすることができ、反射防止構造と屈折率周期構造を連続的に作製することが可能となり、作製プロセスを簡素化し、コストを低下することができる。屈折率周期構造,反射防止構造の作製方法としては、RFスパッタリング法で行なうこともできるし、膜厚を制御して積層できる手法であれば、真空蒸着法など他の成膜方法でも行なうことができる。
図4は実施例2の光学素子を示す図である。図4を参照すると、実施例2の光学素子は、TiO2層およびSiO2層を交互に一定の周期で積層した屈折率周期構造を2つ有した構造(屈折率周期構造I,屈折率周期構造II)となっており、屈折率周期構造Iの上面には反射防止構造Aを設け、また、屈折率周期構造IIとガラス基板との間には、反射防止構造Cを設け、また、2つの屈折率周期構造I,IIの間には反射防止構造Bを設けている。次表(表2)は屈折率周期構造I,IIおよび反射防止構造A,B,Cの具体的な構成を表している。
表2から、屈折率周期構造の繰り返し周期(屈折率周期)は、屈折率周期構造Aが97nm、屈折率周期構造Bが180nmとなっている。
この実施例2では、青色光での使用を想定し、青色光よりも短波長の光、および、青色光よりも長波長の光を遮光するように設計されている。すなわち、実施例2では、可視領域(波長400nm〜700nm)内の所定の波長域が波長420nm〜520nmとなるように設計され、また、上記所定の波長域の光よりも短い波長、および/または、長い波長の光として、波長380nm以下の紫外光、および、波長550nm以上の光は透過率が低くなるように設計されている。
図5は実施例2の光学素子に光を垂直に入射させたときの透過率特性を示す図である。この実施例2の光学素子においては、屈折率周期構造Iの繰り返し周期(屈折率周期)を97nmと実施例1の光学素子の屈折率周期構造と同じにしており、これにより、屈折率周期構造Iでは、波長380nm以下の紫外光の透過率を低くしている。一方、屈折率周期構造IIは屈折率周期構造Iと異なる繰り返し周期(屈折率周期)にしており(具体的には、繰り返し周期(屈折率周期)を180nmにしており)、これにより、屈折率周期構造IIでは、波長550nm以上の光の透過率を低くしている。
図6は実施例2の光学素子に光を入射角20°で入射させたときの透過率特性を示す図であり、光を斜めから入射させた場合でも、同様に波長420nm〜520nmでは透過率が高く、波長380nm以下の紫外光および550nm以上の光は透過率が低くなっている。リタデーションの値は、光学素子全体で200nmとなっている。
このように、実施例2の光学素子は、実施例1の光学素子と同様に、波長420nm〜520nmでは、光学軸が積層方向と平行な負の一軸性特性を示し、リタデーションの値は200nmであり、また同時に、波長380nm以下の波長領域および波長550nm以上の波長領域の2つの波長領域の光の透過率を低くする特性を有していることが分かる。これらの特性は、図4に示した実施例の光学素子2の屈折率周期構造より得られており、非常に簡単な構成で、これらの特性を実現している。
なお、実施例2では、光を遮断する2つの波長領域は連続していないが、波長領域が連続するように、または、一部が重なるように設定して、見かけ上1つの波長領域となるようにすることも可能である。
また、実施例2では、屈折率周期構造Iの上面、屈折率周期構造IとIIとの間、ガラス基板と屈折率周期構造IIとの間に反射防止構造A,B,Cを設けているが、反射防止構造を設けなくても、波長420nm〜520nmでの負の一軸性特性と波長380nm以下および波長550nm以上での透過率低下特性は得られる。しかしながら、光の利用効率を上げるためには反射防止構造を設けた方が良い。当然ながら、ガラス基板の裏側にも、反射防止膜を形成した方が良い。
実施例2では、反射防止構造A,B,Cを構成する材料を、屈折率周期構造I,IIを構成する材料と同じとしているが、屈折率周期構造I,IIを構成する材料と異なる材料でもよい。しかしながら、屈折率周期構造I,IIを構成する材料と同じとすることで、同じ作製プロセスにすることができ、反射防止構造A,B,Cと屈折率周期構造I,IIを連続的に作製することが可能となり、作製プロセスを簡素化し、コストを低下することができる。屈折率周期構造,反射防止構造の作製方法としては、RFスパッタリング法で行なうこともできるし、膜厚を制御して積層できる手法であれば、真空蒸着法など他の成膜方法でも行なうことができる。
実施例3の光学素子は、基本的な構造は、実施例2の光学素子と同様の図4に示すような構造のものとなっているが、屈折率周期構造I,IIの具体的な構成が次表(表3)のように、実施例2と相違している。
すなわち、実施例3では、所定の波長域が、波長520nm〜620nmとなる様に設計されており、この波長域でリタデーションの値は200nmである。また、屈折率周期構造Iは波長380nm以下の光の透過率が低くなるよう設計され、屈折率周期構造IIは波長380nm〜480nmの光の透過率が低くなるよう設計されている。
図7は実施例3の光学素子に光を垂直に入射させたときの透過率特性を示す図である。また、図8は実施例3の光学素子に光を入射角20°で入射させたときの透過率特性を示す図である。
図7、図8から、実施例3の光学素子では、波長380nm以下の光の透過率、波長380nm〜480nmの光の透過率が低くなっている。
図9は実施例4の光学素子を示す図である。図9を参照すると、実施例4の光学素子は、TiO2層およびSiO2層を交互に一定の周期で積層した屈折率周期構造を3つ有した構造(屈折率周期構造I,屈折率周期構造II,屈折率周期構造III)となっており、屈折率周期構造Iの上面には反射防止構造Aを設け、また、屈折率周期構造IIIとガラス基板との間には、反射防止構造Dを設け、また、2つの屈折率周期構造I,IIの間には反射防止構造Bを設け、また、2つの屈折率周期構造II,IIIの間には反射防止構造Cを設けている。次表(表4)は屈折率周期構造I,II,IIIおよび反射防止構造A,B,C,Dの具体的な構成を表している。
実施例4では、所定の波長域が、波長520nm〜620nmとなる様に設計されており、この波長域でリタデーションの値は200nmである。また、屈折率周期構造Iは波長380nm以下の光の透過率が低くなるよう設計され、屈折率周期構造IIは波長380nm〜480nmの光の透過率が低くなるよう設計され、さらに、屈折率周期構造IIIは波長650nm以上の光の透過率が低くなるよう設計されている。
図10は実施例4の光学素子に光を垂直に入射させたときの透過率特性を示す図である。また、図11は実施例4の光学素子に光を入射角20°で入射させたときの透過率特性を示す図である。
図10、図11から、実施例4の光学素子では、波長380nm以下の光の透過率、波長380nm〜480nmの光の透過率、波長650nm以上の光の透過率が低くなっている。
実施例5の光学素子は、基本的な構造は、実施例4の光学素子と同様の図9に示すような構造のものとなっているが、屈折率周期構造I,II,IIIの具体的な構成が次表(表5)のように、実施例4と相違している。
すなわち、実施例5では、所定の波長域が、波長620nm〜700nmとなる様に設計されており、この波長域でリタデーションの値は200nmである。また、屈折率周期構造Iは波長380nm以下の光の透過率が低くなるよう設計され、屈折率周期構造IIは波長380nm〜480nmの光の透過率が低くなるよう設計され、さらに、屈折率周期構造IIIは波長480nm〜580nmの光の透過率が低くなるよう設計されている。
図12は実施例5の光学素子に光を垂直に入射させたときの透過率特性を示す図である。また、図13は実施例5の光学素子に光を入射角20°で入射させたときの透過率特性を示す図である。
図12、図13から、実施例5の光学素子では、波長380nm以下の光の透過率、波長380nm〜480nmの光の透過率、波長480nm〜580nmの光の透過率が低くなっている。
なお、上述の各実施例からわかるように、屈折率周期構造は、それを構成する材料の屈折率および周期によって任意の波長域の光を遮断する特性を持たせることができるので、遮断波長域が所定の波長域にかからないようにする。また、屈折率周期構造の表面、異なる2つの屈折率周期構造の間、および、屈折率周期構造と基板の間で反射が生じるので、この部分に、所定の波長域の光の反射を抑える反射防止構造を設ける。
また、本発明において、透過率を高くしたい波長域(すなわち、可視領域内の所定の波長域)、透過率を低くしたい波長域(すなわち、可視領域内の所定の波長域よりも短い波長域、および/または、長い波長域)、および、リタデーションの値は、上記の各実施例1,2の例に限定されず、屈折率周期構造の繰り返し周期、屈折率周期構造を構成するTiO2層およびSiO2層の厚さの比率、および、屈折率周期構造の厚さで、自由に設定することができる。
例えば、今回の材料(TiO2およびSiO2)では、
波長300nm〜380nmの光の透過率を低下させるためには、屈折率周期を96nm〜97nm、
波長380nm〜480nmの光の透過率を低下させるためには、屈折率周期を119nm〜128nm、
波長480nm〜580nmの光の透過率を低下させるためには、屈折率周期を166nm、
波長550nm〜720nmの光の透過率を低下させるためには、屈折率周期を180nm、
波長660nm〜800nmの光の透過率を低下させるためには、屈折率周期を220nm
にする。
波長300nm〜380nmの光の透過率を低下させるためには、屈折率周期を96nm〜97nm、
波長380nm〜480nmの光の透過率を低下させるためには、屈折率周期を119nm〜128nm、
波長480nm〜580nmの光の透過率を低下させるためには、屈折率周期を166nm、
波長550nm〜720nmの光の透過率を低下させるためには、屈折率周期を180nm、
波長660nm〜800nmの光の透過率を低下させるためには、屈折率周期を220nm
にする。
また、屈折率周期構造のリタデーションの値は、数1,数2で求められ、また、複数の異なる屈折率周期構造で構成される場合は、ぞれぞれの屈折率周期構造のリタデーションの和となる。例えば、表5では、屈折率周期構造I、IIおよびIIIのリタデーションの値は、それぞれ、61nm、74nm、65nmとなり、全体としてリタデーションの値は200nmとなる。
従って、屈折率周期構造の厚さ、屈折率周期構造の周期、SiO2層およびTiO2層の厚さで、リタデーションの値を自由に設定することができる。
従って、屈折率周期構造の厚さ、屈折率周期構造の周期、SiO2層およびTiO2層の厚さで、リタデーションの値を自由に設定することができる。
また、屈折率周期構造を構成する材料(誘電体層)として、各実施例ではTiO2およびSiO2を用いているが、使用する波長域で透明な材料であれば他の材料を用いることもできる。ただし、屈折率差は大きい方が望ましい。
実施例6は、本発明の光学補償素子および透過型液晶表示素子に関するものである。
図14は実施例6の光学補償素子を示す図である。図14の光学補償素子は、実施例2の光学素子の上にディスコティック層を設けており、ディスコティック層内のディスコティック液晶は厚み方向に傾斜角が変化するように配向してある。
また、図15は実施例6の透過型液晶表示素子を示す図である。図15の透過型液晶表示素子は、両面に透明電極が形成されたTN(Twisted Nematic)液晶セルを図14の光学補償素子2つで挟み込み、さらにその外側を2つの偏光板で挟み込んだ構造となっている。
図15においては、電圧を印加した状態のTN液晶セル中の配向の様子が示されており、正の一軸性の複屈折特性を持つ液晶が液晶セルの中央付近では電圧印加方向に揃って配向するが、透明電極付近では、徐々に傾斜しながら配向する。
したがって、図15に示すように液晶表示素子を構成することで、透明電極付近の徐々に傾斜しながら配向した液晶に対しては、ディスコティック層が光学補償し、中央付近の電圧印加方向に揃って配向した液晶に対しては屈折率周期構造が光学補償するので、液晶表示素子に斜めに光が入射しても高いコントラストが得られ、さらに、屈折率周期構造で紫外線が遮光されるので、液晶に紫外線がほとんど照射されず、液晶の劣化を同時に防ぐことができる。
なお、実施例1では反射防止構造Aの上は空気(屈折率1.0)として反射防止構造Aを設計しているが、実施例6では反射防止構造Aの上にディスコティック層を設けているので、ディスコティック層の屈折率に合わせて反射防止構造Aを設計する必要がある。また、屈折率周期構造とディスコティック層とで屈折率差があまり無い場合には、反射防止構造Aを設けず、屈折率周期構造上に直接ディスコティック層を設けても良い。
さらに、実施例6では、透過型液晶素子での例を示したが、反射型液晶素子でも同様に実施することができる。
図16は実施例7の透過型液晶方式の画像投影装置を示す図である。
図16を参照すると、この画像投影装置は、光源(高圧水銀ランプ)と、赤色,緑色および青色に対応し各色の映像を個別に形成する3つの本発明の透過型液晶表示素子と、各透過型液晶表示素子から出射した各色の映像を合成するクロスプリズムと、透過型液晶表示素子とクロスプリズムとの間に配置した1/2波長板と、合成された映像光を拡大投射する投射レンズなどから構成されている。
図16の画像投影装置では、光源から出射した白色光は、リフレクタにより色分離用ダイクロイックミラー側にほぼ一様に向けられる。
白色光のうち、色分離用ダイクロイックミラーで透過した青色光は全反射ミラーで反射され、本発明の透過型液晶表示素子を通過し、さらに、1/2波長板によって、偏光軸垂直方向に向けた状態でクロスプリズムに入射する。
一方、最初の色分離用ダイクロイックミラーで反射した光は、次の色分離用ダイクロイックミラーにより、緑色光は反射され、赤色光は透過する。緑色光は、本発明の透過型液晶表示素子を通過し、さらに、1/2波長板によって、偏光軸垂直方向に向けた状態でクロスプリズムに入射する。赤色光は、リレーレンズおよび全反射ミラーを介して、本発明の透過型液晶表示素子を通過し、1/2波長板によって、偏光軸垂直方向に向けた状態でクロスプリズムに入射する。
各色の光は、各本発明の透過型液晶表示素子を通過することによってそれぞれ所定の映像光となってクロスプリズムで合成され、投射レンズによってスクリーンに投影される。
この実施例7では、光が斜めに入射しても高いコントラストが得られ、紫外線による液晶の劣化を防ぐことができる実施例6の液晶表示素子を用いて画像投影装置を構成することにより、高画像品質で高信頼性の画像投影装置を実現することができる。
なお、この実施例7では、青色光用,緑色光用,赤色光用のすべての液晶表示素子に本発明の液晶光学素子を用いているが、青色光用,緑色光用,赤色光用のいずれか1つ、または、2つに本発明の液晶光学素子を用いるようにすることもできる。また、当然ながらそれぞれの使用波長に応じて設計、作製する必要がある。
さらに、この実施例7では、透過型液晶素子を用いた画像透過装置を示したが、反射型液晶素子を用いた画像投影装置にも適用できる。
Claims (7)
- 支持基板上に、屈折率が互いに異なる複数の誘電体層を所定の厚さで、かつ、所定の繰り返し周期で積層した屈折率周期構造が設けられており、前記屈折率周期構造の前記繰り返し周期は、可視領域内の所定の波長域の光の波長の1/2以下であり、かつ、前記屈折率周期構造の前記繰り返し周期、および/または、前記屈折率周期構造を構成する各誘電体層の厚さの比率、および/または、前記屈折率周期構造の厚さは、前記所定の波長域の光よりも短い波長、および/または、長い波長の光に対して透過率が低くなるように設定されていることを特徴とする光学素子。
- 請求項1記載の光学素子において、屈折率周期構造の支持基板とは反対の側に、および/または、屈折率周期構造と支持基板との間に、前記所定の波長域の光の反射を防止するための反射防止構造がさらに設けられていることを特徴とする光学素子。
- 支持基板上に、屈折率が互いに異なる複数の誘電体層を所定の厚さで、かつ、所定の繰り返し周期で積層した屈折率周期構造が積層方向に複数個設けられており、前記各屈折率周期構造の前記繰り返し周期は、可視領域内の所定の波長域の光の波長の1/2以下であり、かつ、前記複数の屈折率周期構造は、前記所定の波長域以外の複数の波長範囲の光に対して透過率が低くなるように、各屈折率周期構造の前記繰り返し周期、および/または、各屈折率周期構造を構成する各誘電体層の厚さの比率、および/または、各屈折率周期構造の厚さが設定されていることを特徴とする光学素子。
- 請求項3記載の光学素子において、前記複数の屈折率周期構造の間に、前記所定の波長域の光の反射を防止するための反射防止構造がさらに設けられていることを特徴とする光学素子。
- 請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の光学素子に、円盤状構造のディスコティック化合物層を設け、ディスコティック化合物層の円盤状構造の円盤面が、支持基板面に対して傾いており、かつ、支持基板面に対する円盤面の傾きが、ディスコティック化合物層の深さ方向に対して変化していることを特徴とする光学補償素子。
- 請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の光学素子、または、請求項5記載の光学補償素子と、液晶素子とを用いて構成されていることを特徴とする液晶表示素子。
- 光源からの光を液晶表示素子に照射し、液晶表示素子の表示画像を投影レンズで投影する画像投影装置において、画像投影装置を構成する液晶表示素子のうちの少なくとも1つの液晶表示素子が請求項6記載の液晶表示素子であることを特徴とする画像投影装置。
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JP2014219672A (ja) * | 2013-04-10 | 2014-11-20 | デクセリアルズ株式会社 | 位相差補償素子及び投射型画像投影装置 |
-
2006
- 2006-05-19 JP JP2006139877A patent/JP2007310190A/ja active Pending
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