JP2007304382A - 光学フィルター - Google Patents

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裕巳 南
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Abstract

【課題】
亜鉛の酸化物を含む導電性積層体を、接着材層を介して金属メッシュと貼り合わせた場合に、金属メッシュから溶出する金属イオンと酸化亜鉛が反応して変色しない光学フィルターを提供することである。
【解決手段】
亜鉛の酸化物を含む層上に、周期表第4族、第5族、第6族の元素を少なくとも1つ含む薄膜層を形成することにより、亜鉛の酸化物を含む導電性積層体と金属メッシュ層とを接着剤層を介して貼り合わせた構成を有していても、金属メッシュ由来の金属イオンと酸化亜鉛の反応を抑制し、導電性積層体の変色を抑制した、光学的安定性に優れる光学フィルターを提供することが可能となる。
【選択図】なし

Description

本発明は、信頼性に優れる光学フィルターに関する。
光エレクトロニクス関連部品、機器は日々著しく進歩している。中でも画像を表示するディスプレイは、従来のテレビジョン受像機に加えて、コンピューターモニター装置用など急速に発展してきている。商用としてだけでなく、一般家庭への普及台数も急激に増加しており、利用場所も多様化してきている。これら発展とともに、特にディスプレイの大型化、薄型化、高画質に対する市場要求は高まる一方である。
上記の要求を満たすディスプレイとして、プラズマディスプレイパネル、液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、リアプロジェクション等、いわゆるフラットパネルディスプレイが著しい発展を遂げている。中でも、プラズマディスプレイパネルは、大型・高画質・薄型のディスプレイとして中心的存在であり、プラズマディスプレイパネル市場の成長が期待されている。
プラズマディスプレイパネルの発光原理上、強度の電磁波と近赤外線が外部に放出される。電磁波に関しては、近年、漏洩電磁界が人体や他の機器に及ぼす影響について問題視されており、日本ではVCCIや、電気用品安全法によって規制が設けられている。また、外部へ放出された近赤外線は、赤外線を使用したリモコン機器等の周辺電子機器に作用して誤動作を引き起こす恐れがあるため、近赤外領域である波長800nmから1000nmの波長領域の光を実用上問題とならないレベルまで遮蔽する必要がある。
そのため、プラズマディスプレイパネルを使用する上で、電磁波および近赤外線の遮蔽が必要不可欠である。ディスプレイ表面を導電性の高い導電体で覆うことによって、電磁波を吸収し、電荷として逃がし電磁波を遮蔽することができる。このような電磁波遮蔽機能を有する導電体として、導電性薄膜や導電性メッシュを使用した光学フィルターが、プラズマディスプレイパネルに一般的に用いられている(例えば、特許文献1参照)。電磁波遮蔽機能は、導電率が高いほど優れ、導電性メッシュは、より強い電磁波を遮蔽することが可能である。厳しい電磁波規格を満たすことが必要なプラズマディスプレイパネルにも使用することが可能である。
近赤外線を遮蔽するには、近赤外線領域の光を吸収する色素により近赤外線を吸収する方法、高屈折率薄膜と金属薄膜の積層体によって近赤外線を反射する方法等を用いることができる。プラズマディスプレイパネルにはこのような近赤外線遮蔽機能を備えたフィルムが一般的に用いられている。
しかし、近赤外線吸収色素は、環境安定性が必ずしも高くなく、時間とともに近赤外線吸収能が低下する。近赤外線吸収色素をプラズマディスプレイパネルの近赤外線遮蔽用として用いた場合、この吸収能の低下だけでなく、透過色や可視領域の光線透過率といった光学特性の変化も生じる問題がある。また、プラズマディスプレイパネルは、強度の近赤外線を広い波長領域に渉って発生するため、吸収すべき波長領域もそれに合わせて広く、かつ、実用上問題とならないレベルまで遮蔽する必要がある。しかし、色素を用いて実用上問題とならないレベルまで近赤外線を遮蔽するには、使用する色素の量、種類を増やす必要が出てくるが、色素の量を増やすと可視領域の光線透過率の低下が生じることがあり、ディスプレイ用としては好ましくない場合がある。
高屈折率薄膜と金属薄膜の積層体は、可視領域の光線透過率を高く維持したまま、広範囲に渡って近赤外線を反射し、遮蔽することができる。透明な高屈折率薄膜の代表例として、インジウムとスズの酸化物(ITO)からなる薄膜が挙げられ、その用途は幅広い。しかし、インジウムは非常に稀少な物質であることから、価格が不安定であり、その為、インジウムに替わる材料の高屈折率薄膜の開発が望まれている。また、従来から酸化亜鉛を含む材料が、インジウム、ITOの代替物質として期待されており、一部で既に利用されている。しかし、酸化亜鉛は両性酸化物であることから反応性が高く、多くの物質、イオンと反応する傾向がある。特に、金属メッシュを利用したプラズマディスプレイパネルの光学フィルターで、高温環境下、高温高湿環境下において酸化亜鉛が変色を起こし、光学フィルターの光線透過率が低下することがあった。
特許3004222号公報
従って、本発明が解決しようとする課題は、亜鉛の酸化物を含む高屈折率薄膜と金属製メッシュを用いた光学フィルターにおいて、金属メッシュと酸化亜鉛とを接着材層を介して貼り合わせても、変色による光学特性の変化が少ない、環境安定性に優れる光学フィルターを提供することである。
本発明の課題を解決する為に、本発明者らは鋭意検討した。その結果、亜鉛の酸化物を含む高屈折率薄膜の上に周期表第4族から第6族の元素を少なくとも1つ含む薄膜層を形成することにより、金属メッシュに由来する金属イオンと酸化亜鉛が反応することで生じる光学的な変化を抑制した光学フィルターを提供できることを見出し、本発明を完成した。
即ち、第一の発明は、
(1)透明基材(A)上に、高屈折率薄膜層(a)と、銀または銀合金を含む金属薄膜層(b)とが、(a)/(b)を構成単位として1単位以上形成され、さらにその上に亜鉛の酸化物を含む高屈折率薄膜層(c)が積層され、さらに該亜鉛の酸化物を含む高屈折率薄膜層(c)上に周期表の第4族、第5族、第6族の元素を少なくとも1つ含む薄膜層(d)が形成された導電性積層体と、該薄膜層(d)と接触するように設けた接着材層(B)の上に金属メッシュ層(C)を有することを特徴とする光学フィルターである。
(2)(a)/(b)の構成単位が1単位以上、7単位以下形成された光学フィルターであることが、好ましい態様である。
(3)薄膜層(d)がチタン、タンタル、ジルコニウム、ニオブから選ばれた元素を少なくとも1つ含んでいる光学フィルターであることが、接着材層を介して金属メッシュを使用した場合に、金属イオンと酸化亜鉛の反応を抑制でき、光学的安定性の点で好ましい態様である。
第二の発明は、
(4)プラズマディスプレイパネル用に使用することを目的とした前記の光学フィルターである。
本発明の光学フィルターは、亜鉛の酸化物を含む高屈折率薄膜と金属メッシュを用いた時に発生する、酸化亜鉛と金属イオンの反応による変色を抑制することができるので、光学的安定性に優れる。つまり、本発明によって、高屈折率薄膜と金属薄膜の積層体の有する広い領域に渡る近赤外線カット能と、金属メッシュ層が有する高い電磁波遮蔽能を併せ持つ、長期に渡る信頼性に優れた光学フィルターを提供することができる。
本発明の光学フィルターを構成する透明基材(A)は、主にフィルム状または板状であり、透明性に優れ、用途に応じた十分な機械的強度を有するものが好ましい。ここで言うところの透明性に優れるとは、使用される状態での厚さにおいて、可視光透過率が40%以上であることを意味する(測定法:JIS R3106)。透明基材(A)として例えば、高分子フィルムまたは高分子板、ガラス板が好ましく使用される。本発明においては、上記のような公知の透明基材を制限なく用いることができる。
本発明の光学フィルターを構成する導電性積層体は、透明基板(A)上に、高屈折率薄膜層(a)と銀または銀合金からなる金属薄膜層(b)が、(a)/(b)を構成単位として1単位以上形成され、さらにその上に亜鉛の酸化物を含む高屈折率薄膜層(c)、周期表の第4族、第5族、第6族の元素を少なくとも1つ含む薄膜層(d)が形成されたものである。
高屈折率薄膜層(a)に好適に用いることができる材料を例示すると、インジウムとスズとの酸化物(略称:ITO)、カドミウムとスズとの酸化物(略称:CTO)、亜鉛とスズの酸化物、亜鉛とガリウムの酸化物、インジウムとセリウムとの酸化物、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、亜鉛とアルミニウムとの酸化物(略称:AZO)、酸化マグネシウム、酸化トリウム、酸化スズ、酸化ランタン、酸化シリコン、酸化インジウム、酸化ニオブ、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化セシウム、酸化チタン、酸化ビスマス等である。また、透明高屈折率硫化物を用いても良い。具体的に例示すると、硫化亜鉛、硫化カドミウム、硫化アンチモン等があげられる。高屈折率薄膜層の材料としては、中でも、ITO、酸化チタン、酸化亜鉛、AZOが特に好ましい。ITO、亜鉛とスズの酸化物、AZOは、導電性を持つ上、可視光線領域における屈折率が2.0程度と高く、さらに可視光線領域の光をほとんど吸収しないため、好ましく使用される。また、酸化亜鉛を含む材料を使用することにより、ITOを利用した導電性積層体よりも材料としてコスト面・耐久性の面から安定した光学フィルターを供給することが可能となる。高屈折率薄膜層は、少なくとも上述の導電性物質を含んでいれば、その製膜性、生産性、耐久性等の理由でその他物質との複合体であっても、または、その他物質が添加されていても構わない。
本発明の光学フィルターに使用する高屈折率薄膜層(a)は、全ての層が同じ材料である必要はなく、各高屈折率薄膜層(a)が全く異なる材料、または、一部が異なる材料というように、複数の材料を同時に使用しても構わない。
また、高屈折率薄膜層(a)は後述する酸化亜鉛を含む高屈折率薄膜層(c)と同じ材料でも構わない。
金属薄膜層(b)は、銀もしくは銀合金を含むことが好ましい。銀合金としては、安定性を高くする為に銀と金、銀と銅、又は銀とパラジウム又は銀と白金等の合金を用いても良い。高屈折率薄膜層(a)と同様に、銀もしくは銀合金を含んでいれば、その他物質との複合体であっても、その他物質が添加されていても構わない。その他の物質としては、ニオブ、スズ、インジウム、ビスマス、チタンなどが挙げられるが、公知のドーパント材を使用することができる。
酸化亜鉛を含む高屈折率薄膜層(c)は、少なくとも導電性物質である亜鉛の酸化物を含んでいれば、その他物質との複合体であっても、その他物質が添加されていても構わない。その他の物質としては、ガリウム、アルミニウム、スズ、インジウム、マグネシウムハフニウム、チタン、ジルコニウムなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。
薄膜層(d)に使用される元素は、周期表第4族、第5族、第6族の元素であれば、得られる光学フィルターの光学特性に合わせて特に制限なく用いることができる。周期表第4族、第5族、第6族の中から選ばれた元素を少なくとも1つ以上含んでいれば、金属、酸化物、または、その混合物を薄膜層(d)に使用することができる。特に、チタン、タンタル、ジルコニウム、ニオブを含む材料が好ましい。
本発明の薄膜層(d)に使用した周期表第4族、第5族、第6族の元素は、化学的安定性が高く、耐蝕性に優れた元素である。酸化亜鉛を含む高屈折率薄膜層(c)上に周期表第4族、第5族、第6族から選ばれた元素を含む層を形成することによって、金属メッシュ層(C)から接着材層(B)中に溶出した金属イオンとイオン化傾向の高い亜鉛を含む酸化亜鉛との酸化還元反応を抑制することが可能となる。金属イオンと酸化亜鉛との反応を抑制することによって、亜鉛の酸化物を含む高屈折率薄膜の変色を抑制できる。
本発明の高屈折率薄膜層(a)、金属薄膜層(b)、亜鉛の酸化物を含む高屈折率薄膜層(c)、薄膜層(d)の形成方法としては、真空蒸着法が好ましく使用される。真空蒸着法は、スパッタリング法、抵抗加熱真空蒸着法、電子ビーム加熱真空蒸着法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト法等がある。特に、スパッタリング法が好ましく使用される。真空蒸着法の他、公知のあらゆる方法が使用される。複数の方法を利用して層を形成しても構わない。
(a)(b)(c)(d)各層の間、及び、表面に様々な機能を有する機能層を有していても構わない。想定される機能層としては、密着改善層、ガスバリア層、耐環境性向上ための層などである。
導電性積層体の各層の積層数、膜厚については、目的とする可視光領域、近赤外線領域などの光学特性に合わせて決定する。高屈折率薄膜層(a)及び(c)は、金属薄膜に比べ透明性に優れるが、近赤外線の反射能は低い。金属薄膜層(b)は、広い波長領域に渉って光線を反射・吸収できる。各層がもつ特徴を考慮して、目的に合わせて最適な薄膜層(a)(b)(c)の層数、膜厚を決定する。コスト、品質安定性を考慮すると、(a)/(b)の構成単位が1単位以上、7単位以下であることが好ましい。(a)層、(b)層、(c)層の層数の合計は、好ましくは11層以下、より好ましくは9層以下である。薄膜層(d)は、用いる元素、酸化物などの状態により、膜厚を決定するが、好ましくは1nmから20nmである。
周期表の第4族、第5族、第6族の元素を少なくとも1つ含む薄膜層(d)と接触するように接着材層(B)を設け、接着材層(B)の上に金属メッシュ層(C)を設ける。
接着材層(B)としては、特に限定されないが、例をあげると、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂、飽和無定形ポリエステル、メラミン樹脂などのシート状、液状の接着材が使用される。これら接着材は色素やその他の添加物を含んでもよい。
接着材層(B)は、薄膜層(d)上に形成しても、金属メッシュ層(C)上に形成してもよく、結果として薄膜層(d)上に接着材層(B)が接触し、接着材層(B)の上に金属メッシュ層(C)を有する構成となればよい。
接着材層(B)の形成方法は、接着材を塗布してもよいし、離型フィルムで挟んだ接着材の片方の離型フィルムを剥離して、貼り合わせてもよい。特に限定されず、公知の方法を使用できる。接着材の塗布方法としては、一般にバーコート法、リバースコート法、グラビアコート法、ロールコート法などにより塗布されるが、これに限定されるものではない。接着材層(B)の厚みは、特に制限はないが、0.5μmから50μm、好ましくは、1μmから30μmである。
金属メッシュ層(C)としては、金属繊維メッシュ、金属を蒸着した繊維を使用した繊維メッシュ、フォトリソグラフィーの技術を用いてパターンを形成しエッチングによりメッシュを得るエッチングメッシュ、基板上に金属を含むインクでメッシュ形状を印刷した印刷メッシュ等を使用できる。メッシュの形状は、格子状およびハニカム状でもよく、可視光線が透過するものであれば特に限定されない。金属繊維のメッシュや金属繊維メッシュにさらに金属被膜したものも金属メッシュとして用いることができる。
金属メッシュ(C)をさらに詳しく例示すると、導電性メッシュ層を高分子フィルム上に形成する場合、(1)導電性インキをスクリーン印刷、グラビア印刷など公知の印刷法によって高分子フィルム上にパターン印刷する方法、(2)導電性繊維からなる編布を接着剤を介して貼り合わせる、または、ポリビニルブチラールやエチレン−酢酸ビニル共重合体からなる中間膜を介して高温圧着する方法、(3)銅、アルミニウム、ニッケルなどからなる金属箔を接着剤を介して貼り合わせた後パターニングする方法、(4)銅、アルミニウム、ニッケルなどの金属薄膜を蒸着、スパッタリング、無電解メッキ等の公知の薄膜形成技術を用いて形成した後パターニングする方法、などが挙げられる。
(3)、(4)に記載したパターニングは、例えば、金属箔または金属薄膜上に感光性レジストを塗工または感光性レジストフィルムをラミネートした後、パターンマスクを密着させて露光、現像してレジストパターンを形成、さらに、適当なエッチング液でパターン部以外の金属を溶出させて目的に応じた形状を形成するフォトリソグラフィー法を用いることができる。但し、これに限定されるものではない。金属メッシュには、パターニングされていない部分、例えば、金属箔のベタ層があっても構わない。
金属メッシュ層(C)のパターンは、線幅が細く、ピッチが広いほど開口率が大きくなり、また、後述するモアレの抑制を考慮すると、線幅は5μmから20μm、ピッチは、150μmから400μmが好ましい。また、格子状のパターンは、縦横に並んで配置されたディスプレイ画素からの発光と光学的に干渉することによって視認されるモアレを生じないように、画素が並んだ線に対してパターンの線がある程度の角度(バイアス角)を有していることが好ましい。モアレを生じないバイアス角は、画素のピッチやメッシュパターンのピッチ、線幅に合わせて決定する。金属メッシュ層(C)の厚さとしては、必要な導電性と、透過率に影響する開口率、金属メッシュ層の形成方法により決定するが、一般的に0.5μmから20μmが好ましい。
金属メッシュ層(C)をディスプレイ用の光学フィルターに使用する場合、人側となる面が黒茶色、または、黒色であることが視認性の点から好ましい。というのも、表面が、銅や、アルミニウム、ニッケルなどの金属色や白色を呈していると、表面反射が増えてコントラストの低下、光学フィルターの色付きが生じる。人側となる面が黒、黒茶色、茶色といった黒を含む色を呈している場合、金属色や白色と比較して反射色を低減でき、ディスプレイ視認性を損ねない。人側と同様に、ディスプレイの光源側も黒を含む色を呈していると光学フィルターの裏面反射が低減されるため好ましい形態の1つである。金属メッシュ層の表面に黒色などで呈色方法を例示すると、上記の金属メッシュを形成する方法(1)の場合は、カーボンや黒色の顔料を含む導電性インキの使用が挙げられる。(2)の場合は、カーボンやクロムなどで被覆された導電性繊維を用いることができる。(3)の場合は、片面、又は、両面に黒化処理された金属箔を用いることができる。ここでいうところの黒化処理した金属箔とは、金属箔の片面、または、両面が粗面化された表面、黒色顔料や黒色染料を含有する層、銅やクロムの酸化物や硫化物などからなる黒色の層を有しているものである。また、金属箔の表面には防錆処理を施してもよく、防錆処理した層が黒色を呈していても構わない。金属箔の表面は、ムラ、凹凸ができる限り少ないことが外観上好ましい。視認できるムラ、凹凸がある金属メッシュを使用した場合、光学フィルターの表面反射に影響を及ぼす。(4)の場合は、最表面、または、最下層及び最表面にクロムなどを含む黒色の金属薄膜や金属酸化物薄膜、金属硫化物薄膜を積層して呈色することが可能である。なお、これら呈色方法に限定されるものではない。また、金属メッシュ層(C)は、高い導電性を有するため、強い電磁波も遮蔽することが可能である。
本発明の光学フィルターに、他の機能を有する層を複数形成しても良い。他の機能を有する層を例示すると、調色層、導電層、接着材層、衝撃緩和層、電極層、反射防止層、防眩層、防汚層、ハードコート層、アンチニュートンリング層、紫外線吸収層等が挙げられる。これらの層は複数の機能を同時に有していても構わない。
他の機能を有する層は、本発明の光学フィルターに直接形成しても良いし、他の機能を有する基材を本発明の光学フィルターに積層してもよい。
上記の調色層としては、色素を含有した層が挙げられる。色素は、目的に応じた色調を実現できれば、染料または顔料に限定せず使用することができる。本発明においては、染料、顔料の区別なく色素と記載する。染料や顔料を具体的に例示すると、アントラキノン系、フタロシアニン系、メチン系、アゾメチン系、オキサジン系、アゾ系、スチリル系、クマリン系、ポリフィリン系、ジベンゾフラノン系、ジケトピロロピロール系、ローダミン系、キサンテン系、ピロメテン系、スクアリリウム系、シアニン系、オキソノール系の化合物、カーボンブラックなどが挙げられる。所望の光学特性に応じて、光学特性を調整するために前記色素以外の可視光領域、近赤外線領域、紫外線領域に吸収を有する色素を併用しても構わない。また、これに制限されるものではなく、2種類以上の色素を同時に併用しても構わない。また、調色層を2層以上同時に有しても、または、調色層とみなせる層が2層以上同時に存在していても構わない。
調色層を形成する方法としては、あらゆる公知の技術を用いることができる。具体的に例示すると、色素を(1)高分子成形体等の透明基材へ含有させる、(2)透明基材表面に塗布する、(3)接着材中に含有させる方法などが挙げられる。色素を含有させる方法としては、色素が均一に分布するのであれば公知のあらゆる技術を用いて構わない。
(1)色素を高分子成形体に含有させる方法を具体的に例示すると、色素と混ぜ合わせるベース樹脂の種類によって加工温度等の条件が異なるが、通常は、色素をベース樹脂の粉体あるいはペレットに添加し、樹脂の溶融温度を考慮しながら150℃から350℃に加熱、溶融させ、好ましくは混練した後、成形してプラスチックシート、プラスチック粒子を作製する方法が挙げられる。成形を容易にするなどの目的で可塑剤等の添加剤を加えても構わない。
その他の方法としては、キャスティングによる方法がある。キャスティング方法では、樹脂または、樹脂モノマーを有機系溶媒に溶解させた樹脂液に色素を添加、溶解させ、必要に応じて可塑剤や重合開始剤、酸化防止剤等を加え、必要とする面状態を有する金型へ流し込み、溶剤揮発、乾燥、または、重合、溶剤揮発、乾燥させることにより高分子成形体を得ることができる。
色素の添加量は、色素の吸収係数、高分子成形体の厚み、目的とする透過特性によって異なるが、通常、ベース樹脂成形体の1重量ppmから20質量パーセントである。
(2)の色素を高分子成形体またはガラス表面に塗布する方法を具体的に例示する。色素をバインダー樹脂および有機系溶剤に溶解させて塗料としたもの、または、未着色のアクリルエマルジョン塗料に色素を微粉砕(粒径50nmから500nm)したものを分散させてアクリルエマルジョン系水性塗料としたものを、バーコーター、ブレードコーター、スピンコーター、リバースコーター、ダイコーター、あるいは、スプレーなどの従来公知のコーティング方法により塗布、乾燥させる方法が挙げられる。色素の濃度としては、色素の吸収係数、コーティングの厚み、目的の光学特性により異なるが、バインダー樹脂に対して、1質量ppmから30質量パーセントである。塗料中には酸化防止剤等を加えても構わない。また、コーティング面を保護することを目的として保護層を設けても構わない。
(3)色素を接着材中に含有させる方法を具体的に例示する。接着材としては、上述の接着材層(B)で例示したものが好ましく使用される。これら接着材に色素を添加して色素入り粘着材とする。色素の添加量としては、色素の吸収係数、接着材の厚み、目的とする光学特性により異なるが、通常、ベース接着材の1ppmから30質量パーセントである。
上記の接着材は、フィルムとフィルム、フィルムとガラスなど各種の貼り合わせにも用いることができ、色素を含有させる方法としては好ましい形態の1つである。
色素は耐光性に乏しいものもあり、光学フィルターとして使用した場合、装置自体の光や外光の紫外線、可視光線による変質が問題になることがある。この場合、紫外線吸収剤を含む部材や紫外線を透過させない部材(層)や、色素の変質を引き起こす波長の光を吸収する色素を含む部材や透過させない部材を併用することによって、色素の変質を低減することができる。これらの部材は、色素を含む層よりも紫外線や可視光線が入射する側に使用すると良い。この他にも公知の光遮断技術を用いることができる。
光に加えて熱や湿度、これらの複合した環境においても同様である。色素が変質すると光学フィルター自体の透過特性が変化し、色調が変化することがある。また、近赤外線カット能が変化することもある。そのため、耐高温性、耐湿熱性を有した色素はより好ましく用いることができる。さらに、色素を利用する場合、媒体や塗膜中に分散させる為に、溶媒への溶解性や分散性も重要となる為、溶解性、分散性が良い色素は好ましく用いることができる。
本発明の光学フィルターはプラズマディスプレイパネル用に好ましく使用できる。プラズマディスプレイパネルに使用する時の好ましい形態を例示すると、
(i)光学フィルターを構成する少なくとも1つ以上の部材に色素を含有する構成
(ii)調色層を含む構成
が挙げられる。但し、プラズマディスプレイパネル用に用いられる本発明の光学フィルターには、従来公知のあらゆる手法を適用することができ、上記(i)(ii)に限定されるものではない。
本発明のプラズマディスプレイパネル用光学フィルターを構成する部材に付与される機能としては、具体的にハードコート性、反射防止性、防眩性、静電気防止性、防汚性、ガスバリア性、紫外線カット性、近赤外線カット能、色調調整機能、アンチニュートンリング層、後述する金属メッシュの平坦化処理機能など公知の性能のうち、少なくとも1つ以上の機能が挙げられるが、付与する機能はこれに限定されるものではない。光学フィルターに付与する機能や構成は目的に合わせて適宜設計する。特に、紫外線カット能を有する層は、光学フィルターのディスプレイに近い側ではなく、人側に配置することが好ましい。また、上記機能を有するものであれば、塗布膜、フィルム、接着材層、及び、その複合体等の任意の形態をとることができ、形成方法としては、特に限定されるものではなく、公知のあらゆる技術を用いることができる。また、機能を有する層は、2層以上形成してもよく、複数の機能を1つの層が有しても良い。また、各層の貼り合わせに使用する接着材層には、ディスプレイとしての色調を調整する機能を初めとする上記の機能を付与しても構わない。
プラズマディスプレイパネル用光学フィルターは、少なくとも電磁波遮蔽機能および近赤外線カット機能を有していることが好ましい。これは、前述したようにプラズマディスプレイパネルは、その構造や動作原理上、漏洩電磁波や近赤外線を発生することがあり、これらの遮蔽が必要であるためである。
電磁波を遮蔽するためには、ディスプレイの表面を導電性の高い導電物で覆うことが多い。上記導電物が電磁波を吸収し、これを電荷として逃がすことで電磁波シールド能が発現する。プラズマディスプレイパネル用光学フィルターに導電層を設けることで、電磁波を遮蔽することができる。
プラズマディスプレイパネルの電磁波遮蔽に必要な導電性は、要求される電磁波規格やプラズマディスプレイパネルからの放射強度にもよるが、導電層の表面抵抗率が10Ω/□以下であることが好ましく、より好ましくは3Ω/□である。民生用途等で要求される厳しい電磁波規格の場合は、1.5Ω/□以下であることが好ましく、より好ましくは、1.0Ω/□以下である。
プラズマディスプレイパネル用として使用する本発明の光学フィルターは、金属メッシュ層(C)が導電層としての役割を果たす。導電層は、可視光線ができる限り透過することが好ましい。金属メッシュは、高い導電性を有するため、強い電磁波も遮蔽することが可能であるため、本発明の光学フィルターを利用することによって、厳しい電磁波規格をクリアした、VCCI規格でクラスBのプラズマディスプレイパネルとして利用することが可能となる。
プラズマディスプレイパネルから発生する近赤外線が問題のないレベルになるためには、通常、光学フィルターの透過率を波長800nmから1000nmの近赤外線波長領域において、20%以下にすることが好ましい。本発明の光学フィルターをプラズマディスプレイパネル用として使用する場合、導電性積層体が近赤外線カット機能を有しており好ましい。導電性積層体を使用することによって、可視領域における光線透過率を維持したまま近赤外線を広い波長範囲に渡って遮蔽することが可能であるため、非常に好ましい。導電性積層体とともに近赤外線遮蔽機能を有する材料を併用しても構わない。
以上のことから、本発明のプラズマディスプレイパネル用光学フィルターをプラズマディスプレイパネルの前面に配設することにより、電磁波遮蔽、近赤外線遮蔽の他、ディスプレイとしてより優れた画像を提供することが可能となる。
本発明を実施例により具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施例によって限定を受けるものではない。
(実施例1)
透明基材(A)としてポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム[帝人デュポン株式会社製、テトロンフィルム、厚さ:75μm]を使用し、透明基材の一方の面上に直流マグネトロンスパッタリング法を使用して、亜鉛および錫の酸化物層、銀層、薄膜層(d)としてタンタルを、PET/高屈折率薄膜層[膜厚:35nm]/銀層[膜厚:10nm]/亜鉛および錫の酸化物層[膜厚:90nm]/銀層[膜厚:15nm]/亜鉛および錫の酸化物層高[膜厚:90nm]/銀層[膜厚:10nm]/亜鉛および錫の酸化物層[膜厚:35nm]/タンタル[膜厚:5nm]の順に積層して導電性積層体を形成した。亜鉛および錫の酸化物層の形成には、ターゲットとしてZnSnターゲット[ベカルト社製、Zn:Sn=95:5(重量比)]、スパッタリングガスとして、アルゴン・酸素ガスの混合ガス[全圧:266mPa、酸素分圧:133mPa]を使用した。銀層の形成には、ターゲットとして銀を使用し、スパッタリングガスとしてアルゴンガス[全圧:266mPa]を使用した。薄膜層(d)にはタンタルターゲット[株式会社高純度化学研究所製]、スパッタリングガスとしてアルゴンガス[全圧:266mPa]を使用した。上記により形成した導電性積層体の薄膜層(d)の上に、ポリエチレンフィルム[三井化学株式会社製、厚さ:50μm]上に接着材層[厚さ:3μm]を有する保護フィルムを貼り合わせた。
次に、PETフィルム上に銅メッシュが形成された導電性銅メッシュフィルム[大日本印刷株式会社製、線幅:10μm、ピッチ:300μm、バイアス角:45度、フィルム厚:150μm、表面抵抗率:0.1Ω/□以下]の導電性メッシュ層側に透明なアクリル系接着材を介して、先に作製した導電性積層体を薄膜層(d)が接着材層側になるように保護フィルムを剥離して貼り合わせた。
さらに、透明な接着材が付帯した反射防止フィルム[日本油脂株式会社製、厚さ:105μm]を透明基材(A)であるPETフィルムの上に貼り合わせて光学フィルターを作製した。
(実施例2)
積層構造がPET/亜鉛および錫の酸化物層[膜厚:30nm]/銀層[膜厚:8nm]/亜鉛および錫の酸化物層[膜厚:80nm]/銀層[膜厚:15nm]/亜鉛および錫の酸化物層[膜厚:80nm]/銀層[膜厚:15nm]/亜鉛および錫の酸化物層[膜厚:80nm]/銀層[膜厚:8nm]/亜鉛および錫の酸化物層[膜厚:30nm]/タンタル[膜厚:5nm]となるように導電性積層体を形成したこと以外は、実施例1と同様に光学フィルターを作製した。
(実施例3)
薄膜層(d)としてニオブを使用し、ターゲットにニオブターゲット[株式会社ニラコ製]を使用したこと以外は、実施例1と同様に光学フィルターを作製した。
(実施例4)
薄膜層(d)としてニオブを使用し、ターゲットにニオブターゲット[株式会社ニラコ製]を使用したこと以外は、実施例2と同様に光学フィルターを作製した。
(実施例5)
薄膜層(d)としてジルコニウムを使用し、ターゲットにジルコニウムターゲット[株式会社高純度化学研究所製]を使用したこと以外は、実施例1と同様に光学フィルターを作製した。
(実施例6)
薄膜層(d)としてジルコニウムを使用し、ターゲットにジルコニウムターゲット[株式会社高純度化学研究所製]を使用したこと以外は、実施例2と同様に光学フィルターを作製した。
(実施例7)
薄膜層(d)としてチタンを使用し、ターゲットにチタンターゲット[株式会社高純度化学研究所製]を使用したこと以外は、実施例1と同様に光学フィルターを作製した。
(実施例8)
薄膜層(d)としてチタンを使用し、ターゲットにチタンターゲット[株式会社高純度化学研究所製]を使用したこと以外は、実施例2と同様に光学フィルターを作製した。
(実施例9)
透明基材(A)としてポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム[帝人デュポン株式会社製、テトロンフィルム、厚さ:75μm]を使用し、透明基材の一方の面上に直流マグネトロンスパッタリング法を使用して、亜鉛および錫の酸化物層、銀層、薄膜層(d)としてタンタルを、PET/亜鉛および錫の酸化物層[膜厚:35nm]/銀層[膜厚:10nm]/亜鉛および錫の酸化物層[膜厚:90nm]/銀層[膜厚:15nm]/亜鉛および錫の酸化物層[膜厚:90nm]/銀層[膜厚:10nm]/亜鉛および錫の酸化物層[膜厚:35nm]/酸化タンタル[膜厚:10nm]の順に積層して導電性積層体を形成した。亜鉛および錫の酸化物層の形成には、ターゲットとしてZnSnターゲット[ベカルト社製、Zn:Sn=95:5(重量比)]、スパッタリングガスとして、アルゴン・酸素ガスの混合ガス[全圧:266mPa、酸素分圧:133mPa]を使用した。銀層の形成には、ターゲットとして銀を使用し、スパッタリングガスとしてアルゴンガス[全圧:266mPa]を使用した。薄膜層(d)にはタンタルターゲット[株式会社高純度化学研究所製]、スパッタリングガスとしてアルゴン・酸素ガスの混合ガス[全圧:266mPa、酸素分圧:133mPa]を使用した。上記により形成した導電性積層体の酸化タンタル層上に、ポリエチレンフィルム[三井化学株式会社製 厚さ:50μm]上に接着材層[厚さ:3μm]を有する保護フィルムを貼り合わせた。貼り合わせ時の面圧は、0.3MPaであった。
さらに実施例1と同様に反射防止フィルムを貼り合わせて光学フィルターを作製した。
(実施例10)
積層構造がPET/亜鉛および錫の酸化物層[膜厚:30nm]/銀層[膜厚:8nm]/亜鉛および錫の酸化物層[膜厚:80nm]/銀層[膜厚:15nm]/亜鉛および錫の酸化物層[膜厚:80nm]/銀層[膜厚:15nm]/亜鉛および錫の酸化物層[膜厚:80nm]/銀層[膜厚:8nm]/亜鉛および錫の酸化物層[膜厚:30nm]/酸化タンタル[膜厚:10nm]となるように導電性積層体を形成したこと以外は、実施例9と同様に光学フィルターを作製した。
(実施例11)
薄膜層(d)としてニオブを使用し、ターゲットにニオブターゲット[株式会社ニラコ製]を使用し、酸化タンタルの代わりに酸化ニオブを形成したこと以外は、実施例9と同様に光学フィルターを作製した。
(実施例12)
薄膜層(d)としてニオブを使用し、ターゲットにニオブターゲット[株式会社ニラコ製]を使用し、酸化タンタルの代わりに酸化ニオブを形成したこと以外は、実施例10と同様に光学フィルターを作製した。
(実施例13)
薄膜層(d)としてジルコニウムを使用し、ターゲットにジルコニウムターゲット[株式会社高純度化学研究所製]を使用し、酸化タンタルの代わりに酸化ジルコニウムを形成したこと以外は、実施例9と同様に光学フィルターを作製した。
(実施例14)
薄膜層(d)としてジルコニウムを使用し、ターゲットにジルコニウムターゲット[株式会社高純度化学研究所製]を使用し、酸化タンタルの代わりに酸化ジルコニウムを形成したこと以外は、実施例10と同様に光学フィルターを作製した。
(実施例15)
薄膜層(d)としてチタンを使用し、ターゲットにチタンターゲット[株式会社高純度化学研究所製]を使用し、酸化タンタルの代わりに酸化チタンを形成したこと以外は、実施例9と同様に光学フィルターを作製した。
(実施例16)
薄膜層(d)としてチタンを使用し、ターゲットにチタンターゲット[株式会社高純度化学研究所製]を使用し、酸化タンタルの代わりに酸化チタンを形成した以外は、実施例10と同様に光学フィルターを作製した。
(比較例1)
構成を、PET/亜鉛および錫の酸化物層[膜厚:35nm]/銀層[膜厚:10nm]/亜鉛および錫の酸化物層[膜厚:90nm]/銀層[膜厚:15nm]/亜鉛および錫の酸化物層[膜厚:90nm]/銀層[膜厚:10nm]/亜鉛および錫の酸化物層[膜厚:35nm]とし、薄膜層(d)を形成しなかったこと以外は実施例1と同様に光学フィルターを作製した。
(比較例2)
構成を、PET/高屈折率薄膜層[膜厚:30nm]/金属薄膜層[膜厚:8nm]/高屈折率薄膜層[膜厚:80nm]/金属薄膜層[膜厚:15nm]/高屈折率薄膜層[膜厚:80nm]/金属薄膜層[膜厚:15nm]/高屈折率薄膜層[膜厚:80nm]/金属薄膜層[膜厚:8nm]/高屈折率薄膜層[膜厚:30nm]とし、薄膜層(d)を形成しなかったこと以外は実施例2と同様に光学フィルターを作製した。
作製した光学フィルターに対して、恒温恒湿槽[楠本化成株式会社製FX2200]を用いて60℃・90%RHの高温高湿の環境試験を実施した。作製した光学フィルターを該条件下で250時間保持し、250時間後の光学フィルターの光線透過率を分光光度計で測定し[測定法:JIS R3106](測定機器:株式会社日立製作所製分光光度計、U−3400)、試験前の波長400nm、550nmにおける光線透過率と比較した。環境試験前後で、光線透過率の変化ができるだけ少ないことが、光学フィルターとして使用する上で好ましい。
環境試験前後の光線透過率の変化量絶対値を表1に示す。なお、ここでいうところの光線透過率の変化量とは、(各波長位置における環境試験後の光線透過率[%])と(各波長位置における環境試験前の光線透過率[%])の差のことである。
その結果、薄膜層(d)を形成した本発明の光学フィルターは、光線透過率の変化量絶対値が薄膜層(d)を持たない光学フィルターよりも小さく、変色が抑制され、光学特性を維持していた。
Figure 2007304382
(実施例17)
透明基材(A)として反射防止フィルム[日本油脂株式会社製、厚さ:105μm]を使用し、反射防止機能を有する面とは反対側に亜鉛および錫の酸化物層、銀層、タンタル層の各層を積層したこと以外は実施例1と同様にして、導電性積層体を形成し、保護フィルムを貼り合わせた。
次に、実施例1と同様に導電性銅メッシュフィルム/透明接着材層/導電性積層体/反射防止フィルムの構成の光学フィルターを作製した。
(実施例18)
積層構造が、反射防止フィルム/亜鉛および錫の酸化物層[膜厚:30nm]/銀層[膜厚:8nm]/亜鉛および錫の酸化物層[膜厚:80nm]/銀層[膜厚:15nm]/亜鉛および錫の酸化物層[膜厚:80nm]/銀層[膜厚:15nm]/亜鉛および錫の酸化物層[膜厚:80nm]/銀層[膜厚:8nm]/亜鉛および錫の酸化物層[膜厚:30nm]/タンタル[膜厚:5nm]となるように導電性積層体を形成したこと以外は、実施例17と同様に光学フィルターを作製した。
実施例17および実施例18の光学フィルターについて、実施例1〜16および比較例1、2と同様に環境試験を実施した結果、実施例1および実施例2と同様の結果が得られ、薄膜層(d)を持たない光学フィルターよりも変化量が小さく、光学特性が維持されていた。
また、薄膜層(d)として実施例3〜実施例16と同様に、ニオブ、ジルコニウム、チタン、酸化ニオブ、酸化ジルコニウム、酸化チタンを形成した実施例17および実施例18と同様の構成を持つ光学フィルターについても、環境試験前後で光学特性が維持されていた。
(実施例18)
色素を含有した接着材を使用して反射防止(AR)フィルムを透明基材(A)であるPETフィルム上に貼り合わせたこと以外は、実施例14と同様に光学フィルターを作製した。
色素を含有した接着材は、酢酸エチル/トルエン(50:50質量%)溶剤に、テトラアザポルフィリン化合物、アントラキノン化合物、キノフタロン化合物、カーボンブラックを分散・溶解させ、接着材と混合して乾燥させたときに、接着材中の色素濃度がそれぞれ、1000(wt)ppm、800(wt)ppm、300(wt)ppm、4000(wt)ppmになるように、アクリル系粘着材用の色素入り希釈剤を作製した。次に、アクリル系粘着剤(ブチルアクリレートおよびアクリル酸の共重合体(商品名、DBボンド、ダイアボンド工業株式会社製))と色素入り希釈剤(80:20質量%)を混合し、バーコーター法で、ポリエチレンテレフタレートフィルムおよびシリコーン離型層からなる離型フィルムの離型層上に連続的に塗工し、乾燥させた。その後、別の離型フィルムを塗工面に貼り合わせ、異なる剥離強度を有する離型フィルムを両面に有する膜厚25μmの色素入り粘着材を作製し、上記ARフィルムの貼り合わせに使用した。貼り合わせる際は、片面の離型フィルムを剥離してPETフィルム上に貼り合わせた後、もう片方の離型フィルムを剥離してARフィルムを貼り合わせ、プラズマディスプレイパネル用の光学フィルターを作製した。
近赤外線波長領域における光線透過率は、波長800〜1000nmにわたって20%以下であり、特に820nm、850nm、950nmにおける光線透過率はそれぞれ、3.5%、2.0%、0.6%であった。
また、環境試験後も光線透過率に大きな変化は見受けられず、本発明の光学フィルターは、耐久性・特性面からもプラズマディスプレイパネル用として十分に適した特性を有していた。
本発明は、導電性を有する薄膜が用いられるあらゆる光学部材に用いることができる。特定の元素を含む薄膜層を、亜鉛の酸化物を含む導電性積層体の表面に形成することにより、接着材層を介して金属メッシュ層を有する場合に、金属メッシュ層から溶出する金属イオンと酸化亜鉛が反応することで生じる、導電性積層体の変色を防ぐことができる。そのため、長期に渉り導電性積層体の機能が低下することなく、また、光学的安定性に優れた光学フィルターを提供することが可能となり、産業上の利用価値は高い。

Claims (4)

  1. 透明基材(A)上に、高屈折率薄膜層(a)と、銀または銀合金を含む金属薄膜層(b)とが、(a)/(b)を構成単位として1単位以上形成され、さらにその上に亜鉛の酸化物を含む高屈折率薄膜層(c)が積層され、さらに該亜鉛の酸化物を含む高屈折率薄膜層(c)上に周期表の第4族、第5族、第6族の元素を少なくとも1つ含む薄膜層(d)が形成された導電性積層体と、該薄膜層(d)と接触するように設けた接着材層(B)の上に金属メッシュ層(C)を有することを特徴とする光学フィルター。
  2. 前記(a)/(b)の構成単位が1単位以上、7単位以下形成されたことを特徴とする、請求項1に記載の光学フィルター。
  3. 薄膜層(d)が、チタン、タンタル、ジルコニウム、ニオブから選ばれた元素を少なくとも1つ含むことを特徴とする請求項1乃至2に記載の光学フィルター。
  4. プラズマディスプレイパネル用であることを特徴とする請求項1乃至3に記載の光学フィルター。



























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JP2009147339A (ja) * 2007-12-14 2009-07-02 Samsung Corning Precision Glass Co Ltd ディスプレイ装置用光学フィルタ

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