JP2007293274A - プロジェクタ - Google Patents
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Abstract
【課題】軽量化や小型化が容易で安価な調光機構によって、コントラストを増加させることができるプロジェクタを提供すること。
【解決手段】照明光学系30に設けた絞り装置33が、X軸の方向にスライド移動する一対の遮蔽板33a,33bの開閉によって光量調整を行うので、最終的に投射光学系80によってスクリーン上に投射される投射像のコントラストを必要に応じて高めることができる。その際、一対の遮蔽板33a,33bを横置きにしてX軸の方向にスライド移動させるので、絞り装置33のガイド33d等を含む駆動部を比較的高精度で安定して動作させることができる。この際、ガイド33d等を含む駆動部は、Y方向にあまりはみ出さない。よって、照明光学系30が上下に薄型となり、これに応じて、プロジェクタ10も上下に薄型にし易くなる。
【選択図】図1
【解決手段】照明光学系30に設けた絞り装置33が、X軸の方向にスライド移動する一対の遮蔽板33a,33bの開閉によって光量調整を行うので、最終的に投射光学系80によってスクリーン上に投射される投射像のコントラストを必要に応じて高めることができる。その際、一対の遮蔽板33a,33bを横置きにしてX軸の方向にスライド移動させるので、絞り装置33のガイド33d等を含む駆動部を比較的高精度で安定して動作させることができる。この際、ガイド33d等を含む駆動部は、Y方向にあまりはみ出さない。よって、照明光学系30が上下に薄型となり、これに応じて、プロジェクタ10も上下に薄型にし易くなる。
【選択図】図1
Description
本発明は、液晶パネル等で構成される光変調装置と、これを照明するための照明装置とを組み込んだプロジェクタに関する。
従来のプロジェクタとして、照明装置に設けた2段のレンズアレイの間に観音開き状に開閉する一対の絞り板を設け、両絞り板の開閉状態の調節によってプロジェクタの白表示と黒表示との輝度差を大きくして投射像のコントラストを増加させる技術が知られている(特許文献1参照)。
しかし、上記のような絞り板は、両絞り板をそれぞれ別の軸のまわりに回転させるので、モータや連動機構を含めた駆動装置が複雑で重いものとなり易く、プロジェクタのコスト削減や軽量化の妨げになる場合があった。
また、上記のような絞り板の駆動装置は、照明光の光路の上下に配置されるので、照明光学系の厚みを増加させる傾向があり、プロジェクタの小型化にとっての障害になる場合があった。
そこで、本発明は、軽量化や小型化が容易で安価な調光機構によって、コントラストを増加させることができるプロジェクタを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明に係るプロジェクタは、(a)照明用の光を射出する光源装置と、(b)光源装置から射出された光を部分光束に分割して重畳することによって均一化する均一化光学系と、(c)照明装置からの光を画像情報に応じて変調する光変調部と、(d)光変調部で変調された光を投射する投射光学系とを備える。そして、本プロジェクタにおいて、均一化光学系は、画面に対応する照明領域の一辺に平行で、光軸に対して垂直に交わるX軸の方向の前後にスライド移動することによって開閉動作する一対の遮蔽板を有する絞り装置を含む。また、各遮蔽板は、互いに傾き及び曲率の少なくとも一方が異なる複数のエッジ部分で形成されX軸を挟んで略対称なエッジ形状を有する。
上記プロジェクタでは、均一化光学系の絞り装置が、X軸の方向の前後にスライド移動することによって開閉動作する一対の遮蔽板を有するので、光源装置からの光源光を適宜絞った状態で光変調部に供給することができ、投射像のコントラストを必要に応じて高めることができる。その際、一対の遮蔽板を光軸に垂直なX軸方向の前後にスライド移動させるので、絞り装置の駆動部を比較的高精度で安定して動作させることができるとともに、照明断面のX軸に垂直な方向(プロジェクタの上下すなわち画面の縦方向)に関する厚みを薄くすることができる。つまり、一対の遮蔽板の駆動部をスライド移動機構で構成するので、一対の遮蔽板を安定して支持しつつ移動させることができ、また、かかる駆動機構が照明断面の横方向に配置し易いことに起因して、均一化光学系を含む照明光学系等の縦方向の厚みを薄くし易くなる。
また、本発明の具体的な態様又は観点によれば、上記プロジェクタにおいて、複数のエッジ部分のうちX軸に近い第1エッジ部分が、第1第象限において負の傾きを有し、一方のエッジ部分よりもX軸から遠い第2エッジ部分が、第1象限において正の傾きを有する。この場合、X軸に近い第1エッジ部分は、絞り込む際に原点の光軸側を残すような傾きを有し、光軸に近い中央部分の良質な光束を最後まで遮蔽することなく透過させることができる。一方、X軸から遠い第2エッジ部分は、上記第1エッジ部分と傾きが逆であり、調光に際して一対の遮蔽板のストロークが増大することを防止する。
本発明の別の態様によれば、複数のエッジ部分の少なくとも1つは滑らかな曲線である。この場合、エッジ部分の角度を滑らかに変化させることになるので、X軸の方向に関する移動量に対する遮蔽の増加割合を、X軸からの距離に応じて滑らかに変化するものとできる。
本発明のさらに別の態様によれば、一対の遮蔽板を照明領域の長手方向に対応するX軸方向に関して互いに反対方向に移動させることによって、一対の遮蔽板による遮光量を調節する駆動装置をさらに備える。この場合、駆動装置によって適当なタイミングで絞り装置に設けた一対の遮蔽板を反対方向に移動させて絞り装置の開閉を行うことができる。
本発明のさらに別の態様によれば、一対の遮蔽板が、光軸に垂直な面内において、光軸を通ってX軸に垂直なY軸を挟んで互いに対称な形状を有する。この場合、一対の遮蔽板が、X軸及びY軸に対して対称に配置され、光軸を中心としてバランス良く遮光を行うことができ、光軸のまわりに関して偏りの少ない滑らかな光量調整が可能になる。
本発明のさらに別の態様によれば、光源装置が、光を放射する発光部を有する発光管と、当該発光管から放射された光を反射して収束させる反射鏡とを含み、均一化光学系が、X軸方向及びY軸方向にマトリックス状に配置される2段のレンズアレイを含む。この場合、2段のレンズアレイによって発光管からの高輝度の光源光を均一化した照明光を得ることができる。
本発明のさらに別の態様によれば、絞り装置が、2段のレンズアレイのうち後段のレンズアレイの近傍に配置される。この場合、後段のレンズアレイの前後に前段のレンズアレイによって個別に形成された点状光源像が形成されるが、点状光源の前後近傍で遮光することによって被照明領域での輝度ムラ発生を比較的低減できる。
本発明のさらに別の態様によれば、光変調部が、複数の色光を個別に変調する複数の各色用の光変調装置を含む。そして、本プロジェクタでは、照明装置からの光を各色光に分離して各色用の光変調装置に供給する色分離光学系と、各色用液晶ライトバルブで変調された各色の光を合成する光合成光学系とをさらに備える。この場合、各色ごとに光変調装置を設けることができ、高コントラストで、かつ、高品位の画像を投射することができる。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係るプロジェクタの光学系の構成を説明する概念図である。
図1は、本発明の第1実施形態に係るプロジェクタの光学系の構成を説明する概念図である。
このプロジェクタ10は、光源から射出された光束を画像情報に応じて変調して光学像を形成し、この光学像をスクリーン上に拡大投射するための光学機器であり、光源ランプユニット20、照明光学系30、色分離装置40、光変調部60、クロスダイクロイックプリズム70、及び投射光学系80を備えて構成される。
光源ランプユニット20は、光源ランプ21から周囲に放射された光束を集めて射出し、照明光学系30等を介して光変調部60を照明するための光源装置であり、発光管である光源ランプ21と、光源ランプ21から射出された光源光を反射する凹の楕円である凹面鏡22と、凹面鏡22で反射された光源光をコリメートする凹レンズ23とを備える。この光源ランプユニット20において、光源ランプ21から射出された光源光は、凹面鏡22及び凹レンズ23を経て平行化され、前方側すなわち照明光学系30側に射出される。なお、上述した楕円の凹面鏡22に代えて、放物面等の各種凹面鏡を用いることができる。放物面の凹面鏡を用いた場合、凹面鏡22の後段に凹レンズ23等を設けなくとも、光源ランプユニット20から平行光束を射出させることが可能となる。
照明光学系30は、光源ランプユニット20から射出された光束を複数の部分光束に分割して対象とする照明領域に重畳して入射させることにより照度を均一化するとともに、照明光を特定方向の偏光に変換する光学系であり、第1レンズアレイ31、第2レンズアレイ32、絞り装置33、偏光変換装置34、及び重畳レンズ35を備えている。これらのうち、レンズアレイ31,32、絞り装置33、及び重畳レンズ35は、照明光を均一化するための均一化光学系である。
第1レンズアレイ31は、光源ランプ21から射出された光束を複数の部分光束に分割する光束分割光学素子としての機能を有し、システム光軸OAと直交する面内にマトリックス状に配列される複数の小レンズを備えて構成される。各小レンズの輪郭形状は、後述する光変調部60を構成する液晶パネル61b,61g,61rの画像形成領域の形状とほぼ相似形をなすように設定されている。第2レンズアレイ32は、前述した第1レンズアレイ31により分割された複数の部分光束を集光する光学素子であり、第1レンズアレイ31と同様にシステム光軸OAに直交する面内にマトリックス状に配列される複数の小レンズを備えているが、集光を目的としているため、各小レンズの輪郭形状が液晶パネル61b,61g,61rの画像形成領域の形状と正確に対応している必要はない。
絞り装置33は、一対の遮蔽板33a,33bと、両遮蔽板33a,33bの移動を案内するガイド33dと、両遮蔽板33a,33bを開閉動作させる駆動装置33fとを備える。各遮蔽板33a,33bは、それぞれ薄い板状の部材であり、後述する特殊な形状を有している。ガイド33dは、各遮蔽板33a,33bを案内して紙面に平行でシステム光軸OAに垂直なAB方向に関して滑らかな往復移動を可能にする。駆動装置33fは、モータその他の装置からなり、両遮蔽板33a,33bを必要なタイミングで駆動してその開閉状態を調整する。つまり、駆動装置33fは、一方の遮蔽板33aをガイド33dに沿って任意の位置に移動させることができ、不図示の連動手段を介して他方の遮蔽板33bもガイド33dに沿って対応する位置に移動させることができる。この際、後に詳述するが、遮蔽板33aと遮蔽板33bとは、AB方向に関してシステム光軸OAを挟んで互いに対称な形状を有しており、かつ、AB方向に関してシステム光軸OAを挟んで対称な位置に配置されるので、遮蔽板33aと遮蔽板33bとの間に形成された開口APは、AB方向に関してシステム光軸OAを挟んで左右に対称な形状となる。ここで、X軸は、矩形の照明領域の横辺である長手方向に対応し、Y軸は、同照明領域の縦辺である短手方向に対応する。
図2は、絞り装置33の要部を説明する正面図である。各遮蔽板33a,33bは、システム光軸OAと直交して横方向に延びるX軸を挟んで上下に対称なエッジ形状を有する。また、右側の遮蔽板33aと左側の遮蔽板33bとは、同一のエッジ形状を有し、システム光軸OAと直交して縦方向に延びるY軸を挟んで互いに対称に配置されている。
まず、図面右側の遮蔽板33aの形状について説明する。遮蔽板33aの開口AP側のエッジEGは、図中右上の第1象限において、X軸に近い位置に形成され負の傾きを有する円弧状の第1エッジ部分E1と、X軸から遠い位置に形成され正の傾きを有する直線状の第2エッジ部分E2とを有する。図中右下の第4象限も同様であるが、対称性から傾き方向が逆になっており、遮蔽板33aのエッジEGは、正の傾きを有する円弧状の第1エッジ部分E1と、負の傾きを有する直線状の第2エッジ部分E2とを有する。全体として観察すると、遮蔽板33aは、中央において根元側に向かって窪んだ円弧状の第1エッジ部分E1を有し、周辺において根元側に向かって間隔が広がる直線状の第2エッジ部分E2を有する。結果的に、第1エッジ部分E1と第2エッジ部分E2との一対の境界では、先端に向かって尖った突起が形成されている。
以上は、図面右側の遮蔽板33aについての説明であったが、図面左側の遮蔽板33bの形状も遮蔽板33aと同様である。ただし、左側の遮蔽板33bと、右側の遮蔽板33aとは、Y軸を挟んで左右対称に配置されている。つまり、両遮蔽板33a,33bは、同一形状のエッジ部分E1,E2を有するが、Y軸を挟んで左右対称になるように互いに折り返したような状態で配置されている。なお、両遮蔽板33a,33bがシステム光軸OAから等距離だけ離れるように、図1に示す駆動装置33f等によって両遮蔽板33a,33bの駆動が行われる。結果的に、例えば実線で示すように互いに比較的近接した状態から、一点鎖線で示すように互いに離間した状態に変化させることができ、その逆も可能である。この際、両遮蔽板33a,33bはガイド33dに案内されて滑らかに摺動するので、精密で滑らかに変化する調光が可能になる。具体的には、両遮蔽板33a,33bを以上のように動作させることにより、照明光学系30から射出される照明光の照度の変動範囲を例えば0〜100%に設定することができ、両遮蔽板33a,33bの開閉に伴って照度を略直線的に変化させることができる。
なお、図2において点線で示すマス目は、背後の第2レンズアレイ32を構成する小レンズ32aを示す。図示のように両遮蔽板33a,33bを開閉動作させることにより、両者の間に形成された開口APの形状が増減・変化し、第2レンズアレイ32への供給光量が変化する。この際、両遮蔽板33a,33bが第2レンズアレイ32の直前に配置されているので、後述する光変調部60の照明領域すなわち各色の液晶パネル61b,61g,61rの画像形成領域に照明ムラが生じにくい。なお、この例では、遮蔽板33a,33bを第2レンズアレイ32の直前に配置しているが、遮蔽板33a,33bを含む絞り装置33を第2レンズアレイ32の直後に配置することができ、同様の効果を得ることができる。
以上の絞り装置33では、一対の遮蔽板33a,33bをシステム光軸OAに垂直なX軸方向の前後すなわちAB方向にスライド移動させるので、ガイド33dや駆動装置33fを比較的高精度で安定して動作させることができるだけでなく、照明光学系30のY軸の方向の厚み、ひいてはプロジェクタ10の上下の厚みを薄くすることができる。つまり、ガイド33dや駆動装置33fは、両遮蔽板33a,33bを横方向にスライド移動させる関係上、照明光学系30の横方向(レンズアレイ32の±X側の横方)にはみ出すように配置されるが、これは光学系のデッドスペースを利用することなる。結果的に、ガイド33dや駆動装置33fは、照明光学系30の縦方向(レンズアレイ32の±Y側の横方)にほとんどはみ出さないように配置されるので、少なくとも照明光学系30の厚みを抑えることができる。
一方、一対の遮蔽板33a,33bをX軸方向にスライド移動させた場合、一対の遮蔽板33a,33bをY軸方向にスライド移動させた場合に比較して、照度調節の分解能或いは調整精度が低下する傾向がある。これは、第2レンズアレイ32を構成する各小レンズ32aの横の数が縦の数よりも少なくなっていることに起因する。つまり、各小レンズ32aは、光変調部60の照明領域すなわち各色の液晶パネル61b,61g,61rの画像形成領域と相似形状を有するが、この縦横比は3:4或いは9:16となっており、通常これに反比例して各小レンズ32aの横方向の個数がその縦方向の個数よりも少なくなる。この結果、各小レンズ32aの中心とその周辺に形成される光状光源(光源像)のマトリックス要素は、縦方向に比較して横方向が少なくなっており、両遮蔽板33a,33bをX方向に開閉した場合の照度変化の割合は、両遮蔽板33a,33bをY方向に開閉した場合の照度変化の割合よりも大きくなりやすい。よって、光量調整用の両遮蔽板33a,33bの形状や移動の方法が、後述する光変調部60の画像形成領域上における照明光量の調整にとって極めて重要となる。
両遮蔽板33a,33bにおいて、X軸に近い第1エッジ部分E1は、システム光軸OAの近傍を残すような傾きを有しており、システム光軸OAに近い中央部分の良質な光束を最後まで遮蔽することなく透過させることができる。両遮蔽板33a,33bにおいて、X軸から遠い第2エッジ部分E2は、第1エッジ部分E1と傾きが逆であり、両遮蔽板33a,33bを開閉する調光に際して両遮蔽板33a,33bのY軸の方向のストロークが増大することを防止することができる。さらに、両エッジ部分E1,E2は、Y軸に対して概ね一定以上の傾きを有しており、X軸に対して90°となる部分をほとんど有していないので、両遮蔽板33a,33bがX軸方向に関して互いに近接するように移動した場合に多数の点状光源がまとまって遮蔽されて階段状に照明光量が減少することが防止される。一方、両エッジ部分E1,E2のX軸に対する傾きは、全体に45°程度以上となっており、両遮蔽板33a,33bがX軸方向に関して互いに近接するように移動した場合における点状光源の遮蔽量の増加率を比較的大きくすることができる。よって、絞り装置33を通過する照明光量を全体として比較的急峻に変化させることができる。
偏光変換装置34は、PBSアレイで形成されており、第1レンズアレイ31により分割され絞り装置33を経て第2レンズアレイ32から射出された部分光束の偏光方向を一方向の直線偏光に揃える役割を有する。この偏光変換装置34は、詳細な図示を省略しているが、システム光軸OAに対して傾斜配置される偏光分離膜及び反射ミラーを交互に配列した構成を有する。前者の偏光分離膜は、各部分光束に含まれるP偏光光束及びS偏光光束のうち、一方の偏光光束を透過し、他方の偏光光束を反射する。反射された他方の偏光光束は、後者の反射ミラーによって光路を折り曲げられ、上記一方の偏光光束の射出方向、すなわちシステム光軸OAに沿った方向に射出される。偏光分離膜又は反射ミラーから射出された偏光光束のいずれか一方は、偏光変換装置34の光束射出面にストライプ状に設けられる位相差板によって偏光変換され、すべての偏光光束の偏光方向が揃えられる。このような偏光変換装置34を用いることにより、光源ランプ21から射出される光束を、一方向の偏光光束に揃えることができるため、光変調部60で利用する光源光の利用率を向上させることができる。
重畳レンズ35は、第1レンズアレイ31、第2レンズアレイ32、及び偏光変換装置34を経た複数の部分光束を集光して、液晶パネル61b,61g,61rの画像形成領域上に重畳させて入射させるための光学素子である。この重畳レンズ35から射出された光束は、均一化されつつ次段の色分離装置40に射出される。つまり、両レンズアレイ31,32と重畳レンズ35とを経た照明光は、以下に詳述する色分離装置40を経て、光変調部60の照明領域すなわち各色の液晶パネル61b,61g,61rの画像形成領域を均一に重畳照明する。
色分離装置40は、第1及び第2ダイクロイックミラー41a,41b、反射ミラー42a,42b,42c、フィールドレンズ43b,43g,43r、及びリレーレンズ45,46を備える。これらのうち、第1及び第2ダイクロイックミラー41a,41bを含んで構成される色分離光学系は、照明光を、青(B)色光、緑(G)色光、及び赤(R)光の3つの光束に分離する。各ダイクロイックミラー41a,41bは、透明基板上に、所定の波長領域の光束を反射し他の波長領域の光束を透過する波長選択作用を有する誘電体多層膜を形成することによって得た光学素子であり、システム光軸OAに対してともに傾斜した状態で配置される。第1ダイクロイックミラー41aは、青・緑・赤(B・G・R)の3色のうち青色光LBを反射し、緑色光LGと赤色光LRとを透過させる。また、第2ダイクロイックミラー41bは、入射した緑色光LG及び赤色光LRのうち緑色光LGを反射し赤色光LRを透過させる。色分離装置40の射出側に設けられた各色用のフィールドレンズ43b,43g,43rは、第2レンズアレイ32から射出され光変調部60に入射する各部分光束が、システム光軸OAに対して適当な収束度又は発散度となるように設けられている。一対のリレーレンズ45,46は、青色用の第1光路OP1や緑色用の第2光路OP2よりも相対的に長い赤色用の第3光路OP3上に配置されている。これらのリレーレンズ45,46は、入射側の第1のリレーレンズ45の直前に形成された像を、略そのまま射出側のフィールドレンズ43rに伝達することにより、光の拡散等による光の利用効率の低下を防止している。なお、本実施形態では相対的に長い第3光路OP3を赤色用としているが、色分離光学系のダイクロイックミラーの誘電体多層膜の構成を変えて、第3光路OP3を青色用または緑色用とすることも可能である。
この色分離装置40において、光源ランプユニット20から照明光学系30を経て入射した照明光は、まず第1ダイクロイックミラー41aに入射する。第1ダイクロイックミラー41aで反射された青色光LBは、第1光路OP1に導かれ、反射ミラー42aを経て最終段のフィールドレンズ43bに入射する。また、第1ダイクロイックミラー41aを透過して第2ダイクロイックミラー41bで反射された緑色光LGは、第2光路OP2に導かれ最終段のフィールドレンズ43gに入射する。さらに、第2ダイクロイックミラー41bを通過した赤色光LRは、第3光路OP3に導かれ、反射ミラー42b,42cやリレーレンズ45,46を経て最終段のフィールドレンズ43rに入射する。
光変調部60は、3色の照明光LB,LG,LRがそれぞれ入射する3つの液晶パネル(液晶表示パネル)61b,61g,61rと、各液晶パネル61b,61g,61rを挟むように配置される3組の偏光フィルタ62b,62g,62rとを備える。ここで、例えば青色光LB用の液晶パネル61bと、これを挟む一対の偏光フィルタ62b,62bとは、照明光を画像情報に基づいて2次元的に輝度変調するための液晶ライトバルブを構成する。同様に、緑色光LG用の液晶パネル61gと、対応する偏光フィルタ62g,62gも、緑色用の液晶ライトバルブを構成し、赤色光LR用の液晶パネル61rと、偏光フィルタ62r,62rも、赤色用の液晶ライトバルブを構成する。各液晶パネル61b,61g,61rは、一対の透明なガラス基板間に電気光学物質である液晶を密閉封入したものであり、例えば、ポリシリコンTFTをスイッチング素子として、与えられた画像信号に従って、それぞれに入射した偏光光束の偏光方向を変調する。
この光変調部60において、第1光路OP1に導かれた青色光LBは、フィールドレンズ43bを介して液晶パネル61bの位置に設けた照明領域に入射し液晶パネル61b内の画像形成領域を照明する。第2光路OP2に導かれた緑色光LGは、フィールドレンズ43gを介して液晶パネル61gの位置に設けた照明領域に入射し液晶パネル61g内の画像形成領域を照明する。第3光路OP3に導かれた赤色光LRは、第1及び第2リレーレンズ45,46及びフィールドレンズ43rを介して液晶パネル61rの位置に設けた照明領域に入射し液晶パネル61r内の画像形成領域を照明する。各液晶パネル61b,61g,61rは、入射した照明光の偏光方向の空間的分布を変化させるための非発光で透過型の光変調装置である。各液晶パネル61b,61g,61rにそれぞれ入射した各色光LB,LG,LRは、各液晶パネル61b,61g,61rに電気的信号として入力された駆動信号或いは制御信号に応じて、画素単位で偏光状態が調整される。その際、偏光フィルタ62b,62g,62rによって、各液晶パネル61b,61g,61rに入射する照明光の偏光方向が調整されるとともに、各液晶パネル61b,61g,61rから射出される光から所定の偏光方向の変調光が取り出される。
なお、照明光学系30によって形成される照明光の分布に多少のムラがあり、各液晶パネル61b,61g,61rの画像形成領域の照度にムラが形成される場合であっても、各液晶パネル61b,61g,61rの透過率分布を調整する補正をかけることによって、結果的に光変調部60から射出される変調光の輝度ムラを補償することができる。
クロスダイクロイックプリズム70は、偏光フィルタ62b,62g,621rから射出された各色光毎に変調された光学像を合成してカラー画像を形成する光合成光学系である。このクロスダイクロイックプリズム70は、4つの直角プリズムを貼り合わせた平面視略正方形状をなし、直角プリズム同士を貼り合わせた界面には、X字状に交差する一対の誘電体多層膜71,72が形成されている。一方の第1誘電体多層膜71は青色光を反射し、他方の第2誘電体多層膜72は赤色光を反射する。このクロスダイクロイックプリズム70は、液晶パネル61bからの青色光LBを第1誘電体多層膜71で反射して進行方向右側に射出させ、液晶パネル61gからの緑色光LGを第1及び第2誘電体多層膜71,72を介して直進・射出させ、液晶パネル61rからの赤色光LRを第2誘電体多層膜72で反射して進行方向左側に射出させる。
このようにクロスダイクロイックプリズム70で合成された像光は、拡大投影レンズとしての投射光学系80を経て、適当な拡大率でスクリーン(不図示)にカラー画像として投射される。
以上の説明から明らかなように、本実施形態のプロジェクタ10によれば、照明光学系30に設けた絞り装置33が、X軸の方向にスライド移動する一対の遮蔽板33a,33bの開閉によって光量調整を行うので、最終的に投射光学系80によってスクリーン上に投射される投射像のコントラストを必要に応じて高めることができる。その際、一対の遮蔽板33a,33bを横置きにしてX軸の方向にスライド移動させるので、絞り装置33のガイド33dや駆動装置33f等を含む駆動部を比較的高精度で安定して動作させることができる。この場合、ガイド33dや駆動装置33f等を含む駆動部は、第1及び第2レンズアレイ31,32に対して横方向すなわちX方向にはみ出して配置されるが、Y方向にあまりはみ出さない。よって、照明光学系30が上下に薄型となり、これに応じて、プロジェクタ10も上下に薄型にし易くなる。
〔第2実施形態〕
以下、本発明の第2実施形態に係るプロジェクタについて説明する。なお、第2実施形態のプロジェクタは、第1実施形態のプロジェクタを一部変更したものであり、特に説明しない部分については第1実施形態と同様であるものとする。
以下、本発明の第2実施形態に係るプロジェクタについて説明する。なお、第2実施形態のプロジェクタは、第1実施形態のプロジェクタを一部変更したものであり、特に説明しない部分については第1実施形態と同様であるものとする。
図3は、第2実施形態に係るプロジェクタ10に組み込まれる絞り装置33を構成する一対の遮蔽板133a,133bの形状を説明する図である。この場合、実線で示す右側の遮蔽板133aは、第1及び第2エッジ部分E1,E2だけでなく、第3エッジ部分E3を有する。同様に、点線で示す左側の遮蔽板133bも、第1及び第2エッジ部分E1,E2とともに、第3エッジ部分E3を有する。これらの第3エッジ部分E3は、第2エッジ部分E2よりもX軸に近い位置に形成されており、矩形にくり抜いた恒常的な光透過部となっている。つまり、絞り装置33を最も絞った位置でも、第3エッジ部分E3に対応する矩形の開口APが残る。よって、第1実施形態の遮蔽板33a,33bの形状では、照度の変動範囲を0〜100%に設定したのに対し、本実施形態の遮蔽板33a,33bの形状では、照度の変動範囲を例えば16〜100%程度に設定できる。このようにすることで、照明光学系30による照度を不必要に暗くする必要がなくなり、かつ、照度20%程度のあたりで照度の急な変化やばらつきが生じにくくなり、調光量の制御を高精度化できる。なお、本実施形態では、照度の変動範囲を例えば16〜100%程度に設定でき照度20%程度のあたりで照度の急な変化やばらつきが生じにくいように、絞り装置33を最も絞った位置でも第3エッジ部分E3に対応する矩形の開口APが残る構成としたが、照度の変動範囲及び照度の急な変化やばらつきが生じにくい照度を所望の値とするように絞り装置33のエッジ形状を適宜設定することができる。
〔具体的実施例〕
具体的な実施例として、図2及び図3に示すような遮蔽板33a,133aを作製し、遮蔽板33a,133aの移動量と、スクリーンに白色像を投射した場合の照度変化を調べた。
具体的な実施例として、図2及び図3に示すような遮蔽板33a,133aを作製し、遮蔽板33a,133aの移動量と、スクリーンに白色像を投射した場合の照度変化を調べた。
なお、比較のために図4(a)〜(e)に示すような遮蔽板533a,533b,533c,533d,533eを作製した。第1の遮蔽板533aは、エッジが単に平坦なもので、第2及び第3の遮蔽板533b,533cは、単純なV字のエッジを有し、第4及び第5の遮蔽板533d,533eは、円弧のエッジを有する。
図5は、図2及び図3に示すような遮蔽板33a,133aと、図4(a)〜(e)に示すような遮蔽板533a,533b,533c,533d,533eとについて、X軸方向の開閉移動量と、スクリーン上における照度との関係とを示すグラフである。図からも明らかなように、図4(a)に示す比較例の遮蔽板533aでは、階段状の照度変化が強く現れる。また、図4(d)に示す比較例の遮蔽板533dでも、階段状の照度変化がある程度残っている。さらに、図4(b)(c),(e)に示すような比較例の遮蔽板533b,533c,533eの場合、調光量変化が緩やかになって遮蔽板533b,533c,533eのストロークを大きくしなければならない。一方、図2に示す実施例の遮蔽板33aの場合、階段状の照度変化が発生せず、調光量変化も大きくストロークを小さくすることができる。同様に、図3に示す実施例の遮蔽板133aも、階段状の照度変化がほとんど発生せず、ストロークを極めて小さくすることができる。
以上実施形態に即して本発明を説明したが、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
すなわち、上記実施形態では、絞り装置33を第2レンズアレイ32の前後近傍に配置するとしたが、絞り装置33を重畳レンズ35の後段に配置することや第1レンズアレイ31の前等後に配置することも可能である。
また、一対の遮蔽板33a,33bの形状は、上記図2、3等に示すものに限らず、上記と同様のエッジを有する限り、第1レンズアレイ31を構成するレンズ要素すなわち小レンズの形状や配列に合わせて適宜変更することができる。
また、上記実施形態のプロジェクタ10では、照明光学系30をレンズアレイ31,32、絞り装置33、偏光変換装置34、及び重畳レンズ35で構成したが、レンズアレイ31,32、偏光変換装置34等については省略することができる。
また、上記実施形態では、色分離装置40を用いて照明光の色分離を行って、光変調部60において各色の変調を行った後に、クロスダイクロイックプリズム70において各色の像の合成を行っているが、単一の液晶パネルすなわち液晶ライトバルブによって画像を形成することもできる。
また、本実施形態では、透過型のプロジェクタに本発明を適用した場合の例について説明したが、本発明は、反射型プロジェクタにも適用することが可能である。ここで、「透過型」とは、液晶パネル等を含むライトバルブが光を透過するタイプであることを意味しており、「反射型」とは、ライトバルブが光を反射するタイプであることを意味している。
また、本発明は、投写画像を観察する側から投写するフロント投写型プロジェクタにも、投写画像を観察する側とは反対の側から投写するリア投写型プロジェクタにも適用可能である。
10…プロジェクタ、20…光源ランプユニット、21…光源ランプ、22…凹面鏡、30…照明光学系、31…第1レンズアレイ、32…第2レンズアレイ、32a…小レンズ、33…絞り装置、33a,33b…遮蔽板、33d…ガイド、33f…駆動装置、34…偏光変換装置、35…重畳レンズ、40…色分離装置、41a,41b…ダイクロイックミラー、43b,43g,43r…フィールドレンズ、60…光変調部、61b,61g,61r…液晶パネル、62b,62g,62r…偏光フィルタ、70…クロスダイクロイックプリズム、80…投射光学系、AP…開口、E1…第1エッジ部分、E2…第2エッジ部分、EG…エッジ、LB,LG,LR…各色光、OA…システム光軸。
Claims (8)
- 照明用の光を射出する光源装置と、
前記光源装置から射出された光を複数の部分光束に分割して重畳することによって均一化する均一化光学系と、
前記照明装置からの光を画像情報に応じて変調する光変調部と、
前記光変調部で変調された光を投射する投射光学系とを備え、
前記均一化光学系は、画面に対応する照明領域の一辺に平行で、光軸に対して垂直に交わるX軸の方向の前後にスライド移動することによって開閉動作する一対の遮蔽板を有する絞り装置を含み、
各遮蔽板は、互いに傾き及び曲率の少なくとも一方が異なる複数のエッジ部分で形成されX軸を挟んで略対称なエッジ形状を有するプロジェクタ。 - 前記複数のエッジ部分のうちX軸に近い第1エッジ部分は、第1象限において負の傾きを有し、前記一方のエッジ部分よりもX軸から遠い第2エッジ部分は、第1象限において正の傾きを有する請求項1に記載のプロジェクタ。
- 前記複数のエッジ部分の少なくとも1つは滑らかな曲線である請求項1又は請求項2に記載のプロジェクタ。
- 前記絞り装置は、前記一対の遮蔽板を前記照明領域の長手方向に対応するX軸方向に関して互いに反対方向に移動させることによって、前記一対の遮蔽板による遮光量を調節する駆動装置を含む請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のプロジェクタ。
- 前記一対の遮蔽板は、光軸に垂直な面内において、光軸を通ってX軸に垂直なY軸を挟んで互いに対称な形状を有する請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のプロジェクタ。
- 前記光源装置は、光を放射する発光部を有する発光管と、当該発光管から放射された光を反射して収束させる反射鏡とを含み、前記均一化光学系は、X軸方向及びY軸方向にマトリックス状に配置される2段のレンズアレイを含む請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のプロジェクタ。
- 前記絞り装置は、前記2段のレンズアレイのうち後段のレンズアレイの近傍に配置される請求項6に記載のプロジェクタ。
- 前記光変調部は、複数の色光を個別に変調する複数の各色用の光変調装置を含み、
前記照明装置からの光を各色光に分離して前記各色用の光変調装置に供給する色分離光学系と、前記各色用液晶ライトバルブで変調された各色の光を合成する光合成光学系とをさらに備える請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のプロジェクタ。
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JP2007035816A JP2007293274A (ja) | 2006-03-28 | 2007-02-16 | プロジェクタ |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US9341931B2 (en) | 2013-03-29 | 2016-05-17 | Seiko Epson Corporation | Projector and illumination device |
CN113655683A (zh) * | 2021-02-18 | 2021-11-16 | 苏州佳世达光电有限公司 | 一种投影装置 |
-
2007
- 2007-02-16 JP JP2007035816A patent/JP2007293274A/ja not_active Withdrawn
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