JP2007282551A - 即席春雨とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】製造中、麺を細くしても製造ロスが少なく、原料の澱粉の使用範囲を狭めることなく製造可能となる即席春雨の製造方法を提供する。
【解決手段】澱粉に対し、0.01重量%〜100重量%のこんにゃく粉、及び0.01重量%〜100重量%の増粘多糖類を使用した原料に、50重量%〜1000重量%で加水混練し、ダイスの孔から沸騰している熱湯中に線状に落下させて糊化して麺とする請求項2に記載の即席春雨の製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】澱粉に対し、0.01重量%〜100重量%のこんにゃく粉、及び0.01重量%〜100重量%の増粘多糖類を使用した原料に、50重量%〜1000重量%で加水混練し、ダイスの孔から沸騰している熱湯中に線状に落下させて糊化して麺とする請求項2に記載の即席春雨の製造方法。
【選択図】なし
Description
この発明は、澱粉、こんにゃく粉、増粘多糖類を原料とし、熱湯を注いで短時間で喫食することができる即席春雨と、こんにゃく粉とその他の増粘多糖類との相互作用によるこんにゃく様のゲル化により、製造中、麺を細くしても製造ロスが少なく、原料の澱粉の使用範囲を狭めることなく製造可能となる即席春雨の製造方法に関する。
従来、澱粉を主原料とした澱粉麺として、春雨がよく知られており、製造方法としては澱粉に加水して練った澱粉スラリーをダイスの孔から沸騰した熱湯中に線状に落下させて糊化させ、水にて冷却した後、冷凍し、解凍して乾燥させる方式が古くから採用されている。
また、従来の春雨の食べ方として、一度、水に戻してから、もしくは、直接、乾物のまま、ボイル処理によって喫食する。
ところで、近年、日本の伝統食品であるこんにゃくが、低カロリー性、食物繊維の豊富さからダイエット食品の材料として注目されており、こんにゃく粉を含有した春雨の製造が行われることがある(例えば、特許文献1参照)。
春雨の製造方法として、前述のように澱粉スラリーをダイスの孔から沸騰した熱湯中に落下させる製法(以下、単に落下式製法という)とは別に、この特許文献1中に記載があるように、原料と水を混合した懸濁液を薄膜に展開してシート状にして固め、麺状に裁断、乾燥して仕上げる製法(以下、単にシート式製法という)もある。
特開2000−238624号公報(段落0002、0003)
昨今、春雨も含めてインスタント食品が主流となってきており、熱湯を注ぐだけで喫食できるようにするため、製造時に麺線を細く押し出す事によって対応しており、これら即席春雨の乾燥時の麺径は一般的に0.5〜0.8mmである。
麺径を小さくした場合、前記したシート式製法は、細い麺を得る前提として作成するシート厚みを薄くしなければならず、あまりシート厚みが薄いとシートや切断後の麺の剥離性に問題が生じる。
また、原料をシート状に固めてから麺状に細く裁断するという時間的、工程的な手間がかかり、コスト高になる懸念があると共に、裁断間隔によって麺の太さが決まるので細い麺の場合は特に裁断刃の作動に高度な精度が要求されることになる。
上記シート式製法に対して、落下式製法であれば、孔の大きさ及び落下距離にて得られる麺の太さがほぼ決まり、また裁断工程が必要なく短時間で大量の細径の春雨が低コストで得られる利点がある。
しかしながら、麺線を細くする事は、原料澱粉の種類、その配合によっては、製造工程途中で、麺が切れてしまい、製造ロスの増加、もしくは安定した生産ができない事態が発生してしまう。
また、市販で出回っている即席春雨は、ほとんどが原料に、こしがあって切れにくい緑豆澱粉が主原料とし、馬鈴薯澱粉、その他の澱粉をコストの低下や食感改良の目的で、製造ロスが最低限に押さえられる程度で少量配合されている。
ところで、緑豆澱粉以外の澱粉を主原料とした配合にて即席春雨を製造した場合、麺径を細くしていくと、落下式製法を用いて、澱粉に加水して練ったものをダイスの孔から沸騰した熱湯中に落下させて糊化させ、水にて冷却後、竿に掛けて冷凍させる時、糊化して麺線化した澱粉ゲルが柔らかく、また、弱くなる傾向にあり、糊化した春雨の自重によって伸びきって耐えられず、竿掛けした春雨が切れて落ちてしまい、多大な製造ロスとなり得るという問題があった。
よって、即席春雨を製造するために、麺径を細くしても麺が切れにくく、原料の澱粉の使用範囲を狭めることなく製造可能となれば、製造の安定化と幅広い澱粉原料を用いての春雨の製造が可能となる。
この発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであり、こんにゃく粉とその他の増粘多糖類との相互作用によるこんにゃく様のゲル化により、製造中、麺を細くしても製造ロスが少なく、原料の澱粉の使用範囲を狭めることなく製造可能となり、更に、落下式製法による製造において麺を細くしても麺が切れることなく製造が可能で、低コストで製造することが可能な即席春雨とその製造方法を提供するものである。
上記のような課題を解決するため、請求項1の発明は、澱粉、こんにゃく粉、その他の増粘多糖類を原料として用い、澱粉に対し、0.01重量%〜100重量%のこんにゃく粉、及び0.01重量%〜100重量%の増粘多糖類からなる原料スラリーを、ダイスの孔から沸騰している熱湯中に線状に落下させて糊化して得られた即席春雨である。
また、請求項2の発明は、澱粉、こんにゃく粉、その他の増粘多糖類を原料として用い、前記原料に加水混練し、ダイスの孔から沸騰している熱湯中に線状に落下させて糊化して麺とする即席春雨の製造方法である。
また、請求項3の発明は、上記請求項2の発明において、澱粉に対し、0.01重量%〜100重量%のこんにゃく粉、及び0.01重量%〜100重量%の増粘多糖類を使用した原料に、50重量%〜1000重量%で加水混練し、ダイスの孔から沸騰している熱湯中に線状に落下させて糊化して麺とする即席春雨の製造方法である。
また、請求項4の発明は、上記請求項2の発明において、澱粉と増粘多糖類を混合して加水攪拌し、これとは別に、こんにゃく粉に加水してこれを攪拌することで、こんにゃく粉を膨潤させ、この膨潤溶解させたこんにゃく溶液を澱粉と増粘多糖類の溶液に混合して混合溶液とし、この混合乳液の総加水量を総原料の50重量%〜1000重量%になるよう加水調整し、ダイスの孔から沸騰している熱湯中に線状に落下させて糊化して麺とする即席春雨の製造方法である。
本発明に使用される原料澱粉には、食感、調理方法等に応じて、馬鈴薯でんぷん、タピオカでんぷん、とうもろこし澱粉、本くず粉、緑豆でんぷん、えんどうでんぷん、小麦でんぷん、米でんぷん、甘藷でんぷん等を1種、もしくは2種以上を混合して使用する事ができる。
本発明に使用される増粘多糖類には、グアガム、キサンタンガム、カラギーナン、タマリンドガム、ローカストビーンガム、寒天、アルギン酸及びそのナトリウム塩、ジェランガム等を1種もしくは2種以上を混合して添加することが出来る。
好ましくは、グアガム、カラギーナン、キサンタンガムを1種もしくは2種以上を使用し、こんにゃく粉と併用する事により、こんにゃく様の弾力のあるしっかりとした麺が形成され、乾燥時で麺径が0.5〜0.8mmになる春雨が製造過程において麺切れ等のロスが少なく製麺可能となる。
こんにゃく粉及び増粘多糖類の使用量により、原料澱粉の特性とした食感を損なうことなく、製造過程において、麺径を乾燥時に0.5〜0.8mmになるよう細くしても切れにくい春雨を可能とし、また、逆にこんにゃく様の弾力のある食感の春雨にする事も可能となる。
以上のように、この発明の春雨の製造方法によると、原材料は製造工程にて切れたりすることがなく、麺径を乾燥時に0.5〜0.8mm程度となるよう麺を細くしても製造ロスが少なく、落下式製法の採用と共に製造コストの低減に寄与することになる。
また、この発明に係る春雨は、こんにゃく粉と増粘多糖類の併用によって製造時の麺のゲル化を図っており、使用澱粉の種類に制限が無く、多彩な種類の澱粉を種々選択することができ、優れた風味・食感の春雨を容易に得ることができる。
以下、この発明の即席春雨の製造方法を説明する。
先ず、工業的に製造されている春雨は、原料澱粉とつなぎの為にキャリア糊もしくはカルボキシルメチルセルロースを混合して加水し混練するが、この発明では、あらかじめ、原料澱粉に上記記載の1種もしくは2種以上の増粘多糖類をAのミキサーにて混合し、その後キャリア糊もしくはカルボキシルメチルセルロースをAのミキサーにて混合加水し攪拌する。なお、こんにゃく粉および増粘多糖類の使用量によっては、キャリア糊もしくはカルボキシルメチルセルロースを使用しなくても良い。
次にBのミキサーにて、こんにゃく粉のみに加水、攪拌し、こんにゃく粉を膨潤溶解させる。このとき、Bのミキサーはこんにゃく粉をミキシングさせる専用のミキサーであることが好ましく、こんにゃく粉を膨潤溶解させるとき、充分に攪拌出来ないと、こんにゃく粉溶液の粒子が粗くなり、逆に製造過程において細切れが発生しやすくなる。
Aのミキサー、Bのミキサーにてそれぞれの原料を充分に攪拌した後、AのミキサーにBのミキサーで膨潤溶解したこんにゃく粉溶液を混合攪拌する。この混合された澱粉スラリーの総加水量は原料澱粉、こんにゃく粉、増粘多糖類の種類、配合量によって変動し、総原料の50〜1000重量%になるよう加水調整する。
原料に使用する増粘多糖類としては、グアガム、カラギーナン、キサンタンガムが、こんにゃく粉との併用効果が非常に良く、好ましい。
次に、澱粉スラリーをダイスに投入し、ダイスの底に開いた多数の孔から、沸騰している熱湯中に線状に落下させて糊化させる。この時、澱粉の糊化に合わせて、こんにゃく粉と増粘多糖類との併用によって得た原料のゲル化により、弾力のある切れにくい春雨となる。
なお、麺径の太さは、ダイスの孔の大きさと、ダイスの底と湯との間の距離を移動させる事によって調整する。また、ダイスの孔の形状や大きさは、最終製品の形状に合わせて、任意に選択して使用できる。
麺線が熱湯中で糊化した後、水にて冷却して麺を引き締め、その後、竿に掛けて冷凍室にて凍結させる。
通常、使用澱粉原料に緑豆澱粉以外の澱粉を多く配合していくと、糊化したゲルは柔らかく、また弱い為、竿かけ時に切れやすくなる傾向にあるが、こんにゃく粉と増粘多糖類を原料として併用する事により、澱粉の糊化を補強し、乾燥時の麺径を0.5〜0.8mmになるよう細くしても、切れにくい春雨となる。
次に、凍結後、解凍して所定の長さに裁断した麺を所定の型に入れて乾燥し、ブロック状の春雨を得る。また、解凍後、竿かけの状態で乾燥させ、所定の長さに裁断して棒状の春雨を得る。
Aのミキサーにて、馬鈴薯澱粉100重量部とキサンタンガム0.2重量部を混合し、別途、調整した作った3重量部の馬鈴薯澱粉のキャリア糊を混ぜて加水調整し、混練し、別途Bのミキサーにて0.2重量部のこんにゃく粉に、温湯(約50°C)を18重量部加水し、カッターミキサーにて攪拌する。
こんにゃく粉が膨潤溶解したところで、Aのミキサーに混合し、総加水量が85重量部になるよう加水調整する。
次に、得られた澱粉スラリーをダイスに投入し、糊化した春雨の麺径が約0.8〜lmmになるようダイスの高さを調整し、ダイス底部の孔から96〜98℃のボイル槽に麺線状に落下させ、糊化させてから常温水にて冷却し、一定の寸法にカットして竿掛けした。この時、麺を手で引っ張っても切れることもない弾力のある麺になっており、仕込んだ澱粉スラリーを全て流しきるまで、竿から麺が切れ落ちることなく竿掛けする事が出来た。
竿掛けした春雨を順次、冷凍庫に移行し、−13〜−15℃の温度帯で12時間凍結させた。凍結後、常温水で解凍し、定寸に裁断してから計量してカップに充填し、約2時間乾燥機にて乾燥させた。乾燥後、麺径の幅が0.5〜0.8mm、平均0.6〜0.7mmのブロック状の即席春雨を得た。
このようにして出来上がった春雨を熱湯を注いで3分経過後、試食してみたところ、馬鈴薯澱粉特有の食感を損なうことなく、また、しばらく時間が経過しても茹で伸びが早まることなく美味しく食べられた。
Claims (4)
- 澱粉、こんにゃく粉、その他の増粘多糖類を原料として用い、澱粉に対し、0.01重量%〜100重量%のこんにゃく粉、及び0.01重量%〜100重量%の増粘多糖類からなる原料スラリーを、ダイスの孔から沸騰している熱湯中に線状に落下させて糊化して得られたことを特徴とする即席春雨。
- 澱粉、こんにゃく粉、その他の増粘多糖類を原料として用い、前記原料に加水混練し、ダイスの孔から沸騰している熱湯中に線状に落下させて糊化して麺とする即席春雨の製造方法。
- 澱粉に対し、0.01重量%〜100重量%のこんにゃく粉、及び0.01重量%〜100重量%の増粘多糖類を使用した原料に、50重量%〜1000重量%で加水混練し、ダイスの孔から沸騰している熱湯中に線状に落下させて糊化して麺とする請求項2に記載の即席春雨の製造方法。
- 澱粉と増粘多糖類を混合して加水攪拌し、これとは別に、こんにゃく粉に加水してこれを攪拌することで、こんにゃく粉を膨潤させ、この膨潤溶解させたこんにゃく溶液を澱粉と増粘多糖類の溶液に混合して混合溶液とし、この混合乳液の総加水量を総原料の50重量%〜1000重量%になるよう加水調整し、ダイスの孔から沸騰している熱湯中に線状に落下させて糊化して麺とする請求項2に記載の即席春雨の製造方法。
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