JP2007280923A - リチウム電池用包材 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、環境面的にも有害な物質を用いることなく、かつ、工程簡素化を果たすことが可能で、電解液耐性、耐フッ酸性だけでなく耐水性を有する、安全性に優れたリチウム電池用包材を提供することを目的とする。
【解決手段】基材層11の一方の面に、接着剤層12、アルミニウム箔層13、コーティング層14、接着樹脂層15、シーラント層16が順次積層されてなるリチウム電池用包材10において、前記コーティング層14が、酸化物あるいは酸化物とシランカップリング剤からなる混合物を有することを特徴とするリチウム電池用包材10である。
【選択図】図1

Description

本発明は、リチウム電池用包材に関し、従来用いられているクロメート処理などの化成処理のように環境側面的に好ましくない材料を用いることなく、かつ煩雑なアルミニウムの処理工程を伴うことなく、特に電解液による耐性を向上させた、安全性に優れ、環境面的にも好ましいリチウム電池用包材に関する。
近年、パソコン、携帯電話等の携帯端末装置、ビデオカメラ、衛星などに用いられる電池として、超薄型化、小型化の可能なリチウム電池が盛んに開発されている。このリチウム電池に用いる包材は、従来電池包材として用いられていた金属製缶とは異なり、軽量で電池の形状を自由に選択できるという利点から、多層フィルム(例えば耐熱性基材層/アルミニウム箔層/熱融着性フィルム層のような構成)を袋状にしたものが用いられるようになってきた。
リチウム電池は、電池内容物として正極材、負極材と共に、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチルなどの非プロトン性溶媒にリチウム塩を溶解した電解液、もしくはその電解液を含浸させたポリマーゲルからなる電解質層を含んでいる。このような強浸透性の溶媒がシーラントとなる熱融着フィルム層を通過すると、アルミニウム箔層と熱融着性フィルム層間のラミネート強度を低下させ、最終的には電解液が漏れ出すといった問題がある。また、電池の電解質であるリチウム塩としてはLiPF、LiBF等の物質が用いられているが、これらの塩は水分との加水分解反応によりフッ酸を発生し、このことは金属面の腐食、多層フィルムの各層間のラミネート強度低下を引き起こす。アルミニウム箔を用いることで、包材の表面からの水分侵入はほぼ遮断される。しかし、リチウム電池用包材は多層フィルムをヒートシールによって貼り合わせた構造をしており、シーラントとなる熱融着性フィルム層のシール部端面からの水分によってリチウム塩の加水分解が懸念されることから、アルミニウム箔層と熱融着性フィルム層との層間密着強度を強め、内容物耐性を持たせることは必須である。また、リチウム電池は携帯型のモバイルに使用されることが多く、その使用環境が真夏の車内等の60〜70℃という高温下になる場合もあり、このような高温環境においても電解液に対する耐性を付与する必要がある。
このように、電解液あるいは電解質であるリチウム塩の加水分解により発生するフッ酸の影響でアルミニウム箔層と熱融着性フィルム層間におけるディラミネーションを抑制する為に各種手法が検討されてきた。本発明者らはこの課題解決のため鋭意検討を行い、特許文献1、2、3記載の発明を行うことで電解液やフッ酸に対してもディラミネーションを起こさないリチウム電池用包材を設計してきた。また通常リチウム電池用包材は押出ラミネートや熱ラミネートなどの手法で作成されている。その背景としてドライラミネート法で用いるウレタン系接着剤が電解液により膨潤し、ディラミネーションを引き起こすからである。しかしながら、特許文献4記載の内容のようにウレタン系接着剤を改良することで電解液耐性を向上させたケースも見受けられる。
しかしながら、近年リチウム電池の安全性に関する要求が高くなってきており、特にそのリチウム電池を包装するリチウム電池用包材の要求機能が高まってきた。その一つとして挙げられるのは耐水性である。従来は電解質であるリチウム塩の加水分解によりフッ酸が発生するということから、リチウム電池用包材の評価方法として水を用いる評価はほとんど行われていない状況であった。しかしながら、リチウム電池が使用される環境では、例えば携帯電話の場合では誤って水中に落としてしまうといった事故は容易に考えられる。この水分の影響でディラミネーションを起こしたり(耐水性がない)、あるいは過度な吸湿に伴うフッ酸発生量の増加(耐フッ酸性がさらに必要)によりアルミニウム箔が腐食し、ディラミネーションを引き起こす恐れもある。そのような観点から、リチウム電池用包材の評価方法として耐水性を評価する必要性が徐々にではあるが増えつつある。また通常、電解液評価は短冊状の積層サンプル(耐熱性基材層/アルミニウム箔層/熱融着性フィルム層)を電解液に85℃で浸漬処理を施すが、その評価のハンドリングおよび耐水性評価をかねて、電解液浸漬処理後に水洗し、かつ水浸漬を行うといった方法も出てきている。
このような背景から、上記内容の評価を特許文献1〜3における発明を用いて検討を行ったが、何れの構成についてもディラミネーションを引き起こし、改良の余地が有る結果となった。また特許文献4に記載の内容からウレタン基濃度が少ないドライラミネート用接着剤を用いていることが挙げられ、耐水性という点では劣るものである。このようにリチウム電池としての安全性の要求が高まるにつれ、リチウム電池用包材として求められる機能が高くなってきている。しかしながら、耐水性という点での要求を満たせていないのが現状であり、その改良が要求されている。また、リチウム電池は上述した携帯モバイルだけでなく、自動車に搭載される用途など大型化が進むと考えられており、特に自動車用途となると従来以上の安全性が求められることが推測される。そのような観点から、従来よりも高い安全性、つまり電解液耐性、耐水性、耐フッ酸性に優れる包材設計が必要とされる。
これらの耐性を付与させる最も効果的な方法は、アルミニウム箔を特許文献5などに代表されるような化成処理を施すことが挙げられる。一例としてはクロメート処理が挙げられ、特に特許文献5では塗布型クロメート処理や、浸漬法によるクロメート処理など、多くのクロメート処理が開示されている。しかしながら、クロメート処理は、6価クロムを主成分とするものについては環境有害物質として指定されており、機能は良好であるが、環境側面的に好ましくない材料である。その背景から3価クロムを用いるケースも多くなってきているが、6価クロムと同等の機能は出し切れていないという現状や、クロムを用いている以上環境的に好ましくないといった内容が課題視されている。
また、クロメートに限らず化成処理を行うにあたっては、アルミニウム箔と化成処理層が傾斜構造を構成するために、アルミニウム箔にエッチング機能を付与させるケースもある。そのような点から、処理剤として、各種無機酸、例えば塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、フッ酸またはこれらの塩を用いることがあるが、これらの処理剤は塗工装置の腐食を伴うケースが多く、塗工装置の制約を受けるだけでなく作業環境の悪化を伴うものである。
さらに、これらの処理剤の密着性を向上させるため、酸浴やアルカリ浴で浸漬処理を行い、脱脂・エッチング工程を電池包材の製造工程中に設けるケースもあるが、処理単価が高く電池包材製造上、律速になる工程であることから、電解液耐性を付与させるという点で必要な工程ではあるが、極力工程の簡素化を図りたいのが現状である。
特開2001−243928号公報 特開2004−42477号公報 特開2004−142302号公報 特開2002−187233号公報 特開2002−144479号公報
本発明の課題は上記の実情を考慮したものであり、環境面的にも有害な物質を用いることなく、かつ、工程簡素化を果たすことが可能で、電解液耐性、耐フッ酸性だけでなく耐水性を有する、安全性に優れたリチウム電池用包材を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するための解決手段として、請求項1記載の発明は、基材層の一方の面に、接着剤層、アルミニウム箔層、コーティング層、接着樹脂層、シーラント層が順次積層されてなるリチウム電池用包材において、前記コーティング層が、酸化物あるいは酸化物とシランカップリング剤からなる混合物を有することを特徴とするリチウム電池用包材である。
請求項2記載の発明は、基材層の一方の面に、接着剤層、アルミニウム箔層、コーティング層、接着樹脂層、シーラント層が順次積層されてなるリチウム電池用包材において、前記コーティング層が、カチオン性ポリマーおよびこのカチオン性ポリマーを架橋させる架橋剤を含む樹脂成分70〜99.9質量%に対し、酸化物あるいは酸化物とシランカップリング剤からなる混合物を0.1〜30質量%配合したコーティング組成物を有することを特徴とするリチウム電池用包材である。
請求項3記載の発明は、基材層の一方の面に、接着剤層、アルミニウム箔層、コーティング層、接着樹脂層、シーラント層が順次積層されてなるリチウム電池用包材において、前記コーティング層が、酸化物あるいは酸化物とシランカップリング剤からなる混合物を有する層と、カチオン性ポリマーおよびこのカチオン性ポリマーを架橋させる架橋剤を含む樹脂成分を有する層との多層構造であることを特徴とするリチウム電池用包材である。
請求項4記載の発明は、前記カチオン性ポリマーが、ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミンとカルボン酸を有するポリマーからなるイオン高分子錯体、アクリル主骨格に1級アミンをグラフトさせた1級アミングラフトアクリル樹脂、ポリアリルアミンあるいはこれらの誘導体、アミノフェノールよりなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項2または3に記載のリチウム電池用包材である。
請求項5記載の発明は、前記カチオン性ポリマーを架橋させる架橋剤が、イソシアネート基、グリシジル基、カルボキシル基、オキサゾリン基のいずれかの官能基を有する化合物とシランカップリング剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載のリチウム電池用包材である。
請求項6記載の発明は、前記酸化物が、希土類元素系酸化物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のリチウム電池用包材である。
請求項7記載の発明は、前記希土類元素系酸化物が、酸化セリウム、酸化イットリウム、酸化ネオジム、酸化ランタンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項6に記載のリチウム電池用包材である。
請求項8記載の発明は、前記希土類元素系酸化物が、ゾル状水系コーティング剤を乾燥造膜させたものであることを特徴とする請求項6または7に記載のリチウム電池用包材である。
請求項9記載の発明は、前記接着樹脂層が、下記(i)または(ii)であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のリチウム電池用包材。
(i):酸変性ポリオレフィン系樹脂(A)である。
(ii):酸変性ポリオレフィン系樹脂(A)30〜99質量%に対し、イソシアネート化合物あるいはその誘導体(B)とシランカップリング剤(C)とを(B)+(C)で1〜70質量%配合した樹脂組成物であり、かつ、(B)が10〜90質量%に対し、(C)が90〜10質量%である。
本発明により、環境面的にも有害な物質を用いることなく、かつ、工程簡素化を果たすことが可能で、電解液耐性、耐フッ酸性だけでなく耐水性を有する、安全性に優れたリチウム電池用包材を提供することができる。
以下、本発明の実施形態の一例について詳細に記載する。
図1は本発明のリチウム電池用包材の一実施形態を説明した断面図である。本発明は、基材層11の一方の面に、接着剤層12、アルミニウム箔層13、コーティング層14、接着樹脂層15、シーラント層16が順次積層されてなるリチウム電池用包材10において、コーティング層14が特に希土類元素系酸化物あるいは希土類元素系酸化物とシランカップリング剤からなる混合物を用いること、あるいはカチオン性ポリマーおよびこのカチオン性ポリマーを架橋させる架橋剤を含む樹脂成分70〜99.9質量%に対し、希土類元素系酸化物あるいは希土類元素系酸化物とシランカップリング剤からなる混合物を0.1〜30質量%配合したコーティング組成物を用いること、あるいは希土類元素系酸化物あるいは希土類元素系酸化物とシランカップリング剤からなる混合物を有する層とカチオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーを架橋させる架橋剤を含む樹脂成分を有する層との多層構造であることを特徴とする。
前記カチオン性ポリマーとしてはアミンを含有するポリマーが挙げられ、ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミンとカルボン酸を有するポリマーからなるイオン高分子錯体、アクリル主骨格に1級アミンをグラフトさせた1級アミングラフトアクリル樹脂、ポリアリルアミンあるいはこれらの誘導体、アミノフェノールなどが挙げられる。またポリエチレンイミンとイオン高分子錯体を形成するカルボン酸を有するポリマーとしてはポリアクリル酸あるいはそのイオン塩などのポリカルボン酸(塩)、あるいはこれにコモノマーを導入させた共重合体や、カルボキシメチルセルロースあるいはそのイオン塩などのカルボキシル基を有する多糖類が挙げられる。ポリアリルアミンとしては、アリルアミン、アリルアミンアミド硫酸塩、ジアリルアミン、ジメチルアリルアミンなどの単独重合体あるいは共重合体を用いることが可能であり、さらに、これらのアミンはフリーのアミンでも酢酸あるいは塩酸による安定化物でも用いることが可能である。またさらに共重合体成分として、マレイン酸、二酸化イオウなどを用いることも可能である。さらには1級アミンを部分メトキシ化させることで熱架橋性を付与させたタイプも用いることが可能である。アミノフェノールも利用することが可能である。特に好適なのはアリルアミンあるいはその誘導体が挙げられる。本発明者らは、リチウム電池用包材で要求される電解液耐性、耐フッ酸性を付与させるべく様々な化合物を用い鋭意検討を行った結果、カチオン性ポリマーは電解液耐性、耐フッ酸性に優れる化合物であることを見出した。この要因は、フッ素イオンをカチオン性基でトラップすることで、アルミニウム箔のダメージを抑制している為と推測される。しかしながら上記記載の水浸漬評価を行う場合に、アンカーコート剤としての耐水性・耐水接着性を考慮する必要がでてくる。つまり、耐フッ酸性という点ではアミンなどのカチオン性基を有するポリマーが有効であることを見出したが、逆に水系であるため耐水性に劣るという結果を招く。そこで、本発明者らはこの電解液評価後の水浸漬に伴うディラミネーションの課題について鋭意検討した結果、耐水性・耐水接着性の問題を解決することが可能となった。
その内容は、上記カチオン性ポリマーの耐水性は、(1)カチオン性ポリマーとしての凝集力(水に溶解する)、あるいは(2)接着界面の耐水性、が考えられる。(1)については架橋剤の添加、(2)については接着界面の相互作用を形成させることが対策として挙げられる。しかしながら、(2)接着界面の耐水性はその要因の一つに(1)のカチオン性ポリマーとしての凝集力が挙げられ、(1)を改善することで(2)への効果も満たすことが可能であることを見出した。このような架橋構造を形成させる為の架橋剤としては、種としてアミンと反応性を示す官能基を有する架橋剤が好ましく、イソシアネート基、グリシジル基、カルボキシル基、オキサゾリン基を有する化合物が挙げられる。イソシアネート基を有する化合物の例としては、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートあるいはその水素添加物、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’ −ジフェニルメタンジイソシアネートあるいはその水素添加物、イソホロンジイソシアネートなどのジイソシアネート類、あるいはこれらのイソシアネート類を、トリメチロールプロパンなどの多価アルコールと反応させたアダクト体、水と反応させることで得られたビューレット体、あるいは三量体であるイソシアヌレート体などのポリイソシアネート類、あるいはこれらのポリイソシアネート類をアルコール類、ラクタム類、オキシム類などでブロック化させたブロックポリイソシアネートなどが挙げられる。グリシジル基を有する化合物の例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等のグリコール類とエピクロルヒドリンを作用させたエポキシ化合物、グリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコール類とエピクロルヒドリンを作用させたエポキシ化合物、フタル酸テレフタル酸、シュウ酸、アジピン酸等のジカルボン酸とエピクロルヒドリンとを作用させたエポキシ化合物などが挙げられる。カルボキシル基を有する化合物としては、各種脂肪族あるいは芳香族ジカルボン酸などが挙げられ、さらにはポリ(メタ)アクリル酸やポリ(メタ)アクリル酸のアルカリ(土類)金属塩を用いることも可能である。オキサゾリン基を有する化合物は、オキサゾリンユニットを2つ以上有する低分子化合物やあるいはイソプロペニルオキサゾリンのように重合性モノマーを用いる場合には、アクリル系モノマー、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルなどと共重合させたものを用いることが可能である。
さらに、シランカップリング剤のように、アミンと官能基を選択的に反応させ、架橋点をシロキサン結合にさせることも可能である。この場合、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルトリエトキシシランが挙げられ、特にカチオン性ポリマーあるいはその共重合物との反応性を考慮するとエポキシシラン、アミノシラン、イソシアネートシランが好適に使われる。
これらの架橋剤はカチオン性ポリマー100質量部に対し1〜20質量部配合するのが適切である。また、上述したポリアリルアミンの1級アミンをメトキシカルボニル化させたものは、熱架橋性を有するため、架橋剤の配合は不要である。
これらのカチオン性ポリマーはフッ酸のトラップという点では非常に効果的な材料であり、それを主体とするコーティング層14を設けることは電解液耐性という点で非常に有効な手段である。しかしながら、これらのコーティング材はアルミニウム箔を腐食から守る機能は持たない。つまり、リチウム電池としての安全性を包材として確保する為には、あらゆる場合を想定して検討することが好ましい。例えば、リチウム電池用外装材はその多くは冷間成形法により作成されるが、その成形時における金型と接着樹脂層/シーラント層の摩擦によるわずかな欠陥、あるいはピンホールなどによって、中間層であるアルミニウム箔が電解液と直接接触する可能性も考えられる。つまり、上述したより過酷な評価条件においてもアルミニウム箔を保護する機能が望まれる。そこで、本発明者らはアルミニウム箔の腐食に関しさらに鋭意検討を行った結果、クロメートと同様にアルミニウム箔の腐食防止効果(インヒビター効果)を有し、かつ、環境面的にも好適な材料として、希土類元素系酸化物あるいは希土類元素系酸化物とシランカップリング剤からなる混合物を用いるに至った。特に酸化セリウム、酸化イットリウム、酸化ネオジム、酸化ランタンなどの材料が有効であることを確認し、これらを上記カチオン系ポリマーに配合する手段として、これらの酸化物を平均粒径100nm以下のゾルとして用いることを見出した。この方法を用いることで、一般的なコーティング方法でもアルミニウム箔などの金属箔腐食防止効果を付与させることが可能である。また、カチオン性ポリマー中のアミンはこれら金属の配位子として作用することが期待され、コーティング組成物としての安定性だけでなく、この塗膜の安定性という点でも好適である。これらの希土類元素系酸化物は、例えば水系、アルコール系、炭化水素系、ケトン系、エステル系、エーテル系など各種溶媒を用いることが可能であり、上述したカチオン性ポリマーの溶媒と合わせた選択が可能であり、樹脂成分(=カチオン性ポリマー+架橋剤)70〜99.9質量%に対し希土類元素系酸化物あるいは希土類元素系酸化物とシランカップリング剤からなる混合物を0.1〜30質量%入れることが好ましい。0.1質量%より少ないとアルミニウム箔への腐食防止効果が不足する。30質量%より多くても構わないが、能力として飽和状態であるため30質量%とする。シランカップリング剤としては上述したタイプのものを用いることが可能である。
上述した内容は、カチオン性ポリマーに架橋剤および、希土類元素系酸化物あるいは希土類元素系酸化物とシランカップリング剤からなる混合物を配合したコーティング組成物を用いる内容であるが、架橋剤を配合したカチオン性ポリマーと希土類元素系酸化物あるいは希土類元素系酸化物とシランカップリング剤からなる混合物は、電解液耐性や耐フッ酸性という点で効果は同じであるが、その効果を発現させる機能が異なるため、これらを有する層を別々に設けても構わない。また、希土類元素系酸化物あるいは希土類元素系酸化物とシランカップリング剤からなる混合物のみを設けても構わない。ただし、カチオン性ポリマーによるフッ素トラップ効果を併用した方がより電解液耐性に対し有効であること、希土類元素系酸化物は耐酸性に優れると共に、酸で侵されたアルミニウム箔の補修効果があること、カチオン性ポリマーの機能は包材内部から浸透してくる電解液(フッ酸を含む)をトラップしたいことから、これらを有する層を別々に設けるにあたっては、アルミニウム箔層13から順次希土類元素酸化物あるいは希土類元素系酸化物とシランカップリング剤からなる混合物を有する層、架橋剤を配合したカチオン性ポリマーを有する層を設けたほうが好ましい。
また、酸化物を単層で設けるケースの場合、特にアルミニウム箔の補修効果が無くとも、単純に耐酸性に優れる酸化物を設けても構わない。この例として酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化錫、酸化ニオブなどが挙げられ、これらを用いて単層を形成することが可能である。しかしながら、上述した希土類元素系酸化物を用いた方がより好ましい。通常、クロメート処理に代表される化成処理では、アルミニウム箔層と化成処理層との間に傾斜構造を形成させるため、特にフッ酸、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸あるいはこれらの塩を配合した化成処理剤を用いてアルミニウム箔に処理を施し、クロムやノンクロム系の化合物と作用させて化成処理層をアルミニウム箔に形成させるケースが多い。その化成処理の一例としてリン酸クロメートなどが挙げられ、これは浸漬型でも樹脂バインダーを用いた塗布型でもその基本原理は同じである。しかしながらこれらの化成処理剤は酸を用いていることから、作業環境やコーティング装置の腐食を伴うものである。上述してきた本発明で用いるコーティング層14は、特にアルミニウム箔に対して傾斜構造を形成させる必要がなく、そのような点で化成処理とは定義が異なるものであるため、コーティング剤の性状も酸性やアルカリ性や中性に拘ることは無い。
アルミニウム箔としては、バリア性、耐ピンホール性、加工性を考慮して9〜200μm、好ましくは15〜100μmの範囲の厚みを使用する。また、その材質は一般の軟質アルミニウム箔を用いることができるが、さらなる耐ピンホール性、及び成形時の延展性を付与させる目的で、鉄含有率が0.1〜9.0質量%、好ましくは0.5〜2.0質量%の範囲のアルミニウム箔を用いるのがよい。鉄含有率が0.1質量%より少ないと耐ピンホール性、延展性を十分に付与させることができず、9.0質量%より多いと柔軟性が損なわれる。
このようなアルミニウム箔は脱脂処理を施した方が好ましい。脱脂処理としては、大きくウェットタイプ、ドライタイプが挙げられる。ウェットタイプでは、酸脱脂あるいはアルカリ脱脂などが挙げられ、酸脱脂としては硫酸、硝酸、塩酸、フッ酸などの無機酸を単独あるいはこれらを混合して得られたものを用いる方法などが挙げられ、必要に応じてアルミニウム箔のエッチング効果を向上させるという点でもFeイオンやCeイオンなどの供給源となる各種金属塩を配合するケースもある。アルカリ脱脂としては水酸化ナトリウムなどの強エッチングタイプが挙げられ、また弱アルカリ系や界面活性剤を配合したケースもある。これらの脱脂・エッチングは浸漬法やスプレー法で行われる。ドライ脱脂は、その方法の一つとして、アルミニウム箔の焼鈍の際に同時に処理を行う方法が挙げられる。また、フレーム処理やコロナ処理なども挙げられる。さらにはある特定波長の紫外線照射により発生した活性酸素によって汚染物質を酸化分解・除去するような脱脂処理も挙げられる。
しかしながら、本発明のリチウム電池用包材は、上述したウェットタイプの脱脂・エッチングレベルまでの処理を施さなくても十分電解液耐性を付与させることが可能であり、例えば軟質化のためのアルミニウム箔の焼鈍時において同時に行われる脱脂処理程度でも、十分電解液耐性を付与させることが可能である。この特性は、上記カチオン性ポリマーや、特に希土類元素系酸化物の効果であるといえる。
上記処理を施したアルミニウム箔にコーティング層14を設けるにあたり、0.01〜10μmの範囲で設ける。0.01μmよりも薄いとリチウム電池用包材としての耐性を付与することが困難である。10μmより厚くても構わないが、10μmより厚いのは接着性という点で飽和している。これらの剤をコーティングする方法は公知の手法が挙げられ、グラビアコーター、グラビアリバースコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、ダイコーター、バーコーター、キスコーター、コンマコーターなどを用いることが可能である。
リチウム電池用包材に展開する場合は、さらに接着樹脂として低密度、中密度、高密度のポリエチレン、エチレン−αオレフィン共重合体、ホモ、ブロック、あるいはランダムポリプロピレン、プロピレン−αオレフィン共重合体などのポリオレフィン樹脂に無水マレイン酸などをグラフト変成させた酸変成ポリオレフィン系樹脂(A)を設けることが好ましい。シーラント層16としては、同様に低密度、中密度、高密度のポリエチレン、エチレン−αオレフィン共重合体、ホモ、ブロック、あるいはランダムポリプロピレン、プロピレン−αオレフィン共重合体などのポリオレフィン樹脂あるいはこれらの酸変成物が挙げられる。またシーラント層16はこれらの材料単品でなく、複数の材料を積層させた多層フィルムであっても構わなく、必要とされる機能に応じては、例えば防湿性を付与するという点ではエチレン−環状オレフィン共重合体やポリメチルペンテンなどの樹脂を介在させた多層フィルムを用いても構わない。またシーラント層16は各種添加剤、例えば、難燃剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、光安定剤、粘着付与剤など各種添加剤を配合しても構わない。この時、接着樹脂としては押出ラミネーションにより積層させることも可能であり、シーラント層16と共にサンドラミネーションを行うことで積層させることも可能である。また接着樹脂とシーラント層16をあらかじめ、インフレーション法あるいはキャスト法により得られた多層フィルムとして作成し、熱ラミネーションにより積層させることも可能である。
上述した接着樹脂は主に熱による樹脂を溶融させ製膜するドライプロセスによる手法であるが、酸変成ポリオレフィン系樹脂(A)として、有機溶媒分散ディスパージョンタイプを用いることで、各種接着に有効な添加剤を配合することも可能である。この酸変性ポリオレイン系樹脂(A)にイソシアネート化合物あるいはその誘導体(B)およびシランカップリング剤(C)を配合したものも用いることが可能である。
イソシアネート化合物あるいはその誘導体(B)としては、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートあるいはその水素添加物、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートあるいはその水素添加物、イソホロンジイソシアネートなどのジイソシアネート類、あるいはこれらのイソシアネート類を、トリメチロールプロパンなどの多価アルコールと反応させたアダクト体、水と反応させることで得られたビューレット体、あるいは三量体であるイソシアヌレート体などのポリイソシアネート類、あるいはこれらのポリイソシアネート類をアルコール類、ラクタム類、オキシム類などでブロック化させたブロックポリイソシアネート類を用いることが可能である。またこれらのイソシアネート化合物あるいはその誘導体(B)は有機溶剤系、水系どちらでも構わない。
シランカップリング剤(C)としてはビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルトリエトキシシランが挙げられる。特にシランカップリング剤(C)は、熱可塑性樹脂(A)と反応性がある官能基を有するほうが好ましい。そのような意味では、エポキシシラン、アミノシランが挙げられ、反応性としては低いがイソシアネートシランも用いることが可能である。
これらの材料からなる接着樹脂は酸変性ポリオレフィン系樹脂(A)を30〜99質量%、イソシアネート化合物あるいはその誘導体(B)とシランカップリング剤(C)を(B)+(C)で1〜70質量%配合し、かつ、イソシアネート化合物あるいはその誘導体(B)とシランカップリング剤(C)の割合が、(B)+(C)を100質量%とした際、(B)が10〜90質量%に対し(C)が90〜10質量%とするのが好ましい。ただし、(A)+{(B)+(C)}=100質量%とする。酸変性ポリオレフィン系樹脂(A)が99質量%より多いと電解液耐性に劣り、30質量%より少ないと後述するが、シーラント層16との接着性に劣る。好ましくは酸変性ポリオレフィン系樹脂(A)を60〜80質量%配合する。一方、イソシアネート化合物あるいはその誘導体(B)とシランカップリング剤(C)の配合比率はそれぞれ10質量%より少なくても電解液耐性に劣る。好ましくは、{(B)+(C)}100質量%中、シランカップリング剤(C)を50〜80質量%含有する。
接着樹脂をコーティングする方法は上述した公知の手法が挙げられ、グラビアコーター、グラビアリバースコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、ダイコーター、バーコーター、キスコーター、コンマコーターなどを用いることが可能である。その際には、一度、酸変性ポリオレフィン系樹脂の融点以上の温度で溶媒を飛ばし、樹脂を溶融軟化させ、アルミニウム箔上に設けたコーティング層14に焼付け塗工を行ったほうが好ましい。その後、上述したシーラント層16を熱ラミネーションなどの手法により積層させることが挙げられる。
基材としては、リチウム電池製造時のシール工程における耐熱性付与、加工や流通の際に起こりうるピンホール対策という目的で設けるものであり、絶縁性のある樹脂層を用いた方が好ましい。そのような樹脂層の例として、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリプロピレンフィルム等の延伸もしくは未延伸フィルムを単層または2層以上積層した多層フィルムを使用することができる。耐ピンホール性、絶縁性を向上させるために6μm以上、また成形性を考慮すると40μm以下の厚みのフィルムがよく、好ましくは10〜25μmのものである。
以下にリチウム電池用包材の工程別の製造方法について記載するが、これに限定されるわけではない。
[アルミニウム箔へのコーティング層の塗工工程]
上述したアルミニウム箔は、コーティング層14との密着性を向上させる点で、必要に応じて脱脂処理を施す。その方法は上述したドライ・ウエットプロセスにて行われる。その後、上述したコーティングの方法を用いてアルミニウム箔にコーティング層14を設け、乾燥・硬化・焼き付けを行う。
[基材とアルミニウム箔の貼り合わせ]
上述した基材をアルミニウム箔と貼り合わせる。その際にはドライラミネーション、ノンソルベントラミネーション、ウエットラミネーションなどの手法で、ポリエステルポリオールあるいはポリエーテルポリオール、アクリルポリオールを主剤としたポリウレタン系接着剤で積層させる。
[シーラント層の積層]
大きくドライプロセス、ウエットプロセスに分けられる。ドライプロセスの場合は、基材層11/接着剤層12/アルミニウム箔層13/コーティング層14からなる積層体上に押出ラミネーション法により、接着樹脂をインフレーション法あるいはキャスト法により得られたシーラント層16とともにサンドラミネートする。コーティング層14はこの押出ラミネーションの時にインラインで設けても構わない。本発明のリチウム電池用包材は上述してきた層構成を形成させることで、押出ラミネート段階の少ない熱量でも密着性に優れるという特徴を有する。しかしながら、さらに各層間の密着性を向上させたい場合には、エージング処理、熱ラミネーションなどの熱処理を施すことも可能である。ウエットプロセスの場合は、接着樹脂のディスパージョンを上記積層体上に塗工焼き付けを行い、シーラント層16を熱ラミネーションなどの熱処理により積層させることで行われる。
以下に本発明の試験例を示すが、これに限定されるわけではない。
[使用材料]
以下の試験例に用いた共通材料は下記の通りである。
<耐熱性基材層>
A−1:2軸延伸ポリアミドフィルム(25μm)
<アルミニウム箔層>
B−1:焼鈍処理した軟質アルミニウム箔8079材(40μm)
B−2:弱アルカリエッチング(脱脂処理)を施したB−1
<接着樹脂層およびシーラント層>
C−1:多層ポリプロピレンフィルム(キャスト製膜フィルム30μm)
C−2:無水マレイン酸変成ポリプロピレン樹脂(MFR=12押出ラミネートグレード)
C−3:トルエン分散型無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂(固形分17wt%焼き付けタイプ)に、トリレンジイソシアネートのアダクト体(固形分75wt%)とβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(固形分100wt%)を72/6/22になるように配合した組成物
<コーティング層>
D−1:溶媒として蒸留水を用い、固形分濃度5wt%に調整した「ポリアリルアミン」を用いた。
D−2:溶媒として蒸留水を用い、固形分濃度5wt%に調整した「ポリアリルアミン」90wt%と「1,6−ヘキサンジオールのエピクロルヒドリン付加物」10wt%からなる組成物を用いた。
D−3:溶媒として蒸留水を用い、固形分濃度5wt%に調整した「ポリエチレンイミン」を用いた。
D−4:溶媒として蒸留水を用い、固形分濃度5wt%に調整した「ポリエチレンイミン」90wt%と「アクリル−イソプロペニルオキサゾリン共重合体」10wt%からなる組成物を用いた。
D−5:D−2を100質量部に対し、「アミノプロピルトリメトキシシラン」を5質量部配合した組成物を用いた。
D−6:溶媒として蒸留水を用い、固形分濃度5wt%に調整した「ポリアリルアミン」60wt%と「1,6−ヘキサンジオールのエピクロルヒドリン付加物」10wt%と「中性安定化酸化セリウムゾル」30wt%からなる組成物を用いた。
D−7:溶媒として蒸留水を用い、固形分濃度5wt%に調整した「中性安定化酸化セリウムゾル」を用いた。
D−8:溶媒として蒸留水を用い、固形分濃度5wt%に調整した「酸化イットリウムゾル」を用いた。
D−9:溶媒として蒸留水を用い、固形分濃度5wt%に調整した「酸化ネオジムゾル」を用いた。
D−10:溶媒として蒸留水を用い、固形分濃度5wt%に調整した「酸化チタンゾル」を用いた。
[製造および評価方法]
<包材の作成1>
アルミニウム箔コイルに、コーティング層(D−1〜D−10)をグラビアリバースコートにより設けた。コーティング厚はドライで0.1μmであった。これらの層は乾燥ユニットにおいて150℃で焼き付け処理を施した。このアルミニウム箔にドライラミネート手法により耐熱性基材A−1を設けた。この基材を押出ラミネート機の巻出し部にセットし、サンド基材部からC−1をセットし、C−2を加工条件290℃−80m/分、20μmの厚みでサンドラミネート法により製膜した。その後、熱圧着(熱処理)を行い、包材の基となる積層体を作成した。
<包材の作成2>
耐熱性基材A−1をドライラミネート法で設けるまでは包材の作成1と同じである。この基材に、グラビアコーティング法で、C−3をドライで5μmになるように塗工・焼き付け処理を行った後、インラインでC−1を熱ラミネートして包材の基となる積層体を作成した。
<評価方法>
上記記載の包材の基となる積層体を100×15mmサイズの短冊に切り取り、下記評価に用いた。評価の判定は、密着状況で○、△、×評価をつけており、その判定は下記の通りである。なお、△以上の評価を合格とする。
○:ディラミネーションせず、ラミネート強度が剥離困難、またはシーラント層の破断レベルである。
△:ディラミネーションは起こらないが、ラミネート強度が剥離可能レベル(100gf/15mm以上、クロスヘッドスピードが300mm/分)である。
×:ディラミネーションによる浮きが確認できる。
(電解液評価1)
エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート/ジメチルカーボネート=1/1/1の溶液にLiPFが1.5Mになるように調整した電解液を作成し、内容量250mlのテフロン(登録商標)容器に充填した。その中に上記短冊状サンプルを入れ、密栓後85℃で3時間保管した。保管後のサンプルの剥離状況を評価した。なお、この評価は有機溶媒に対する耐性を評価するものである。
(耐電解液評価2)
上記電解液評価1を実施した後、1昼夜水浸漬させたサンプルの剥離状況を評価した。なお、この評価は強制的にフッ酸を発生させ、フッ酸に対する耐性を評価するものである。
(耐水評価)
上記短冊状サンプルに、予め剥離きっかけを作成し、その状態で1昼夜水浸漬させたサンプルの剥離状況を評価した。なお、この評価は水に対する耐性を評価するものである。
[試験例1〜6:コーティング層が酸化物を含まない場合]
表1に示す材料にて包材の基となる積層体を作成し、評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2007280923
コーティング層が酸化物を含有しないので、カチオン性ポリマーによる耐性評価となるが、架橋剤を含まない場合(試験例1、4)は架橋構造を形成しないため耐水性に劣っていた。架橋剤を含む場合(試験例2、3、5、6)は、耐水性には優れるが、脱脂処理を施さないアルミニウム箔を用いた場合(試験例2、5)は、電解液評価(耐フッ酸性)が合格レベルにまで到達しなかった。
[試験例7〜16:コーティング層が酸化物を含む場合]
表2に示す材料にて包材の基となる積層体を作成し、評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 2007280923
コーティング層が酸化物を含むことで、耐水性はもちろんのこと、耐フッ酸性が向上した。さらに、一般的な焼鈍レベルの脱脂アルミニウム箔を用いた場合(試験例7、9、11、13、15)でも、電解液耐性を示した。
[試験例17〜19:コーティング層が他の酸化物を含む場合]
表3に示す材料にて包材の基となる積層体を作成し、評価を行った。結果を表3に示す。
Figure 2007280923
コーティング層に含まれる酸化物が、酸化セリウムゾルの場合(試験例13)に比べると、耐フッ酸性がわずかに劣る結果であったが、合格レベルまで向上した。
[試験例20〜21:他の接着樹脂層を用いた場合]
表4に示す材料にて包材の基となる積層体を作成し、評価を行った。結果を表4に示す。
Figure 2007280923
接着樹脂層を変更しても耐水性や電解液耐性に問題はなく、いずれも優れたものであった。
本発明のリチウム電池用包材の一例を示す断面図である。
符号の説明
10:リチウム電池用包材
11:基材層
12:接着剤層
13:アルミニウム箔層
14:コーティング層
15:接着樹脂層
16:シーラント層

Claims (9)

  1. 基材層の一方の面に、接着剤層、アルミニウム箔層、コーティング層、接着樹脂層、シーラント層が順次積層されてなるリチウム電池用包材において、
    前記コーティング層が、酸化物あるいは酸化物とシランカップリング剤からなる混合物を有することを特徴とするリチウム電池用包材。
  2. 基材層の一方の面に、接着剤層、アルミニウム箔層、コーティング層、接着樹脂層、シーラント層が順次積層されてなるリチウム電池用包材において、
    前記コーティング層が、カチオン性ポリマーおよびこのカチオン性ポリマーを架橋させる架橋剤を含む樹脂成分70〜99.9質量%に対し、酸化物あるいは酸化物とシランカップリング剤からなる混合物を0.1〜30質量%配合したコーティング組成物を有することを特徴とするリチウム電池用包材。
  3. 基材層の一方の面に、接着剤層、アルミニウム箔層、コーティング層、接着樹脂層、シーラント層が順次積層されてなるリチウム電池用包材において、
    前記コーティング層が、酸化物あるいは酸化物とシランカップリング剤からなる混合物を有する層と、カチオン性ポリマーおよびこのカチオン性ポリマーを架橋させる架橋剤を含む樹脂成分を有する層との多層構造であることを特徴とするリチウム電池用包材。
  4. 前記カチオン性ポリマーが、ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミンとカルボン酸を有するポリマーからなるイオン高分子錯体、アクリル主骨格に1級アミンをグラフトさせた1級アミングラフトアクリル樹脂、ポリアリルアミンあるいはこれらの誘導体、アミノフェノールよりなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項2または3に記載のリチウム電池用包材。
  5. 前記カチオン性ポリマーを架橋させる架橋剤が、イソシアネート基、グリシジル基、カルボキシル基、オキサゾリン基のいずれかの官能基を有する化合物とシランカップリング剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載のリチウム電池用包材。
  6. 前記酸化物が、希土類元素系酸化物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のリチウム電池用包材。
  7. 前記希土類元素系酸化物が、酸化セリウム、酸化イットリウム、酸化ネオジム、酸化ランタンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項6に記載のリチウム電池用包材。
  8. 前記希土類元素系酸化物が、ゾル状水系コーティング剤を乾燥造膜させたものであることを特徴とする請求項6または7に記載のリチウム電池用包材。
  9. 前記接着樹脂層が、下記(i)または(ii)であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のリチウム電池用包材。
    (i):酸変性ポリオレフィン系樹脂(A)である。
    (ii):酸変性ポリオレフィン系樹脂(A)30〜99質量%に対し、イソシアネート化合物あるいはその誘導体(B)とシランカップリング剤(C)とを(B)+(C)で1〜70質量%配合した樹脂組成物であり、かつ、(B)が10〜90質量%に対し、(C)が90〜10質量%である。
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