JP2007280614A - 反射結像型電子顕微鏡、及びそれを用いた欠陥検査装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】
形状に起因するコントラストと電位状態に起因するコントラストとを区別して観察あるいは検査することが可能となる欠陥検査技術を提供する。
【解決手段】
反射結像型電子顕微鏡にあって、試料面を面状の電子線の照射により帯電させ、前記試料面の帯電を制御する予備帯電制御装置40と、前記試料の対象とする欠陥の種類に応じて前記試料の電位を制御するよう構成して、取得した前記ミラー電子画像から、前記試料の形状欠陥に起因するコントラストと電位欠陥に起因するコントラストとを分離するよう構成する。
【選択図】 図1
形状に起因するコントラストと電位状態に起因するコントラストとを区別して観察あるいは検査することが可能となる欠陥検査技術を提供する。
【解決手段】
反射結像型電子顕微鏡にあって、試料面を面状の電子線の照射により帯電させ、前記試料面の帯電を制御する予備帯電制御装置40と、前記試料の対象とする欠陥の種類に応じて前記試料の電位を制御するよう構成して、取得した前記ミラー電子画像から、前記試料の形状欠陥に起因するコントラストと電位欠陥に起因するコントラストとを分離するよう構成する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、欠陥検査技術に係り、特に、試料(半導体試料等)の表面状態を観察するミラー電子顕微鏡などの反射結像型電子顕微鏡、およびそれを用いて試料上に形成されるパターン欠陥や異物などを検査する欠陥検査装置に関する。
半導体装置の製造過程において、ウェハ上に形成された回路パターンの欠陥を画像の比較検査により検出する方法として、電子線を試料に照射することにより、光学顕微鏡の分解能以下となる微小なエッチング残り、微小パターン欠陥などの形状欠陥の検出や微小導通孔の非開口不良等の電気的な欠陥の検出が可能となっている。
ここで、点状の電子線を試料上で走査する走査型電子顕微鏡を用いた方式では、実用的な検査速度を得るためには限界があるので、矩形状の電子線を半導体ウェハに照射して、二次電子や後方散乱電子、または逆電界の形成によりウェハに照射されずに反射される電子をレンズにより結像させる等、いわゆるプロジェクション方式により高速に検査する装置が提案されている(例えば、特許文献1、2、3参照)。
しかし、二次電子等やミラー電子によるプロジェクション方式は、下記の課題を有する。
検出電子として二次電子や後方散乱電子を拡大投影させる装置は、低エネルギー電子顕微鏡と呼ばれている。この方式では、SEM(走査型電子顕微鏡)方式よりも大電流の電子線を一度に照射でき、かつ一括で画像を取得できるためSEM方式と比較して超高速に画像を形成できることが期待できる。ところが、二次電子の放出角度分布は広い角度に広がっており、しかもエネルギーも約1〜10eVと広がっている。このような電子を結像して試料の拡大像を形成するとき、大部分の二次電子をカットしないと十分な分解能が得られないことは、容易に判断することができる(参照文献:「LSIテスティングシンポジウム/1999会議録、P142」に記載の図6)。試料から放出した二次電子を加速するための負の試料印加電圧と二次電子の結像分解能との関係によると、試料印加電圧−5kVのとき、分解能はほぼ0.2μmである。
そして、放出した二次電子がすべて画像形成に使用できるわけではなく、たとえば上記文献の計算では、対物レンズ通過後の像面において1.1mradの開き角以下のビームを使用した場合となっている。この開き角の範囲内の二次電子は、全体のたかだか10%程度である。さらに、結像に使用する二次電子のエネルギーの幅を1eVで計算しているが、放出される二次電子のエネルギー幅は実際には数eV以上の幅を持って放出しており、高エネルギー側の裾野はおよそ50eVまで存在する。そのような幅広いエネルギー分布を持つ二次電子のうち、たかだか1eVのエネルギー幅のもののみを抽出した場合はさらに数分の一に低減する。
このように、電子線を面積ビームとして試料に大電流を照射して得られる二次電子を用いて一括で画像を形成しようとしても、実際に画像形成に寄与できる電子の割合が低いために画像のS/N比を確保することが困難となり、結局期待できるほどの検査時間の短縮は不可能である。画像形成に後方散乱電子を用いても、後方散乱電子は、照射ビーム電流に比べて二桁少ない放出量しか得られず、二次電子の場合と同様に高分解能と高速性の両立は困難である。
二次電子や後方散乱電子に替わり、試料の直前で試料に当たらないで反射するミラー電子を拡大投影する装置は、ミラー電子顕微鏡と呼ばれている。このミラー電子を用いて欠陥を起因として生じる電位や形状の乱れを検出することによって、欠陥を検出することができる。パターンが凸形状か負帯電している場合には、試料直上に形成される等電位面は入射電子に対して凸面鏡レンズのように作用し、パターンが窪んだ形状か周りより正帯電している場合には、試料直上に形成される等電位面は入射電子に対して凹面鏡レンズとして作用する。このように、ミラー電子は試料直上に形成されるレンズにより若干軌道を変えるが、結像レンズの焦点条件を調整すれば、これらのミラー電子のほとんどを画像形成に用いることができる。すなわち、ミラー電子を用いれば、S/N比の高い画像が得られ、検査時間の短縮が期待できる。
しかしながら、たとえば試料が負帯電状態あるいは凸面形状をしていても試料直上の等電位面が凸面形状をしているので、ミラー電子画像から電位欠陥なのか異物が混入したのかを判定することができないという課題が生じていた。
本発明は、上述の点に着目してなされたものであり、ミラー電子画像から形状に起因するコントラストと電位状態に起因するコントラストを分離して検出することを可能にする欠陥検査技術を提供することを目的とする。
本発明の目的は、以下の方法で達成できる。
形状に起因する等電位面の歪は変化させることはできないが、帯電に起因する等電位面の歪は、帯電条件によって変化させることができる。
例えば、凸形状の形状欠陥とパターンの電位欠陥が存在する構造の試料について、図4(a)でパターンの電位が周りより負電位の場合には、凸形状の欠陥とパターンの電位欠陥上の等電位面は凸面形状となり、例えば、結像系のフォーカス条件を試料の上方にフォーカスを合わせるオーバーフォーカス条件にすると、図4(b)に示すように、両欠陥とも周りより暗いコントラスト条件となり、試料の下方にフォーカスを合わせるアンダーフォーカス条件にすると、図4(c)に示すように、両欠陥とも周りより明るいコントラスト条件となるので、パターンの明るさから形状欠陥と電位欠陥を識別することは困難である。
一方、図5(a)に示すように、パターンの電位が周りより正電位(パターン部以外に対して相対的に正電位)の場合には、パターン上の等電位面は凹面形状となる。したがって、例えば、結像系のフォーカス条件をオーバーフォーカス条件にすると、図5(b)に示すように、凸形状の欠陥が周りより暗く、電位欠陥が周りより明るいコントラストになり、結像系のフォーカス条件をアンダーフォーカス条件にすれば、図5(c)に示すように、凸形状の欠陥が周りより明るく、電位欠陥が周りより暗いコントラストに変化することがわかる。そこで、ミラー電子画像を取得する前に、試料の絶縁物を正帯電させるようにプリチャージすれば、凸形状の欠陥と電位欠陥を分離することができる。さらに、結像系のフォーカス条件をオーバーフォーカスあるいはアンダーフォーカスに設定することにより、着目する欠陥の画像を明るいコントラストに調整することができる。
また、例えば、凹形状の形状欠陥とパターンの電位欠陥が存在する構造の試料についても、図7(a)に示すように、パターンの電位が周りより正電位の場合には、凹面形状の欠陥と絶縁物の欠陥上の等電位面は凹面形状となり、例えば結像系のフォーカス条件をオーバーフォーカス条件にすれば、図7(b)に示すように、両欠陥とも周りより明るいコントラスト条件となり、結像系のフォーカス条件をアンダーフォーカス条件にすれば、図7(c)に示すように、両欠陥とも暗いコントラスト条件となり、形状欠陥と電位欠陥を識別することは困難である。
一方、図6(a)に示すように、パターンの電位が周りより負電位(パターン部以外に対して相対的に負電位)の場合には、負電位のパターン上の等電位面は凸面形状となるので、例えば結像系のフォーカス条件をオーバーフォーカス条件にすれば、図6(b)に示すように、凹形状の欠陥が周りより明るく、電位欠陥が周りより暗いコントラストとなり、結像系のフォーカス条件をアンダーフォーカス条件にすれば、図6(c)に示すように、凹形状の欠陥が周りより暗く、電位欠陥が周りより明るいコントラストに変化することがわかる。そこで、ミラー電子画像を取得する前に、試料の絶縁物を負帯電させるようにプリチャージすれば、凹形状の欠陥と電位欠陥を分離することができる。さらに、結像系のフォーカス条件をオーバーフォーカスあるいはアンダーフォーカスに設定することにより、着目する欠陥の画像を明るいコントラストに調整することができる。
本発明の目的は、次の方法でも達成できる。帯電に起因する等電位面の歪は帯電電圧に大きく依存するが、形状に起因する等電位面の歪は帯電電圧で変化しない。そこで、帯電条件の異なる2つの画像を取得して、コントラストが変化した箇所は帯電に起因するものと判定することができる。
凸形状の形状欠陥とパターンの電位欠陥が存在する構造の試料について、図9(a)は、プリチャージ手段を用いてパターンの電位(Vs)を周りより0.5V負電位にさせた場合の電位分布であり、図10(a)は、プリチャージ手段(予備帯電装置)を用いてパターンの電位を周りより2.0V負電位にさせた場合の電位分布である。パターンの電位状態により試料直上の等電位面の歪が異なり、試料からの仮想的な物面が変化する。すなわち、凸形状のパターンはプリチャージ条件によらず、パターン直上の等電位面はほとんど変形しないが、電位欠陥パターンではパターン直上の等電位面が変化する。例えば、結像レンズのフォーカス位置を、図8、図9に示す凸形状のパターンに合わせると、それぞれのミラー電子画像は、図8(b)、図9(b)のようになるが、図8(b)の電位欠陥パターンではデフォーカス条件となり、パターンの明るさに変化を生じるので、例えば、図9(c)に示すように、両画像の差画像を取得することにより、電位欠陥部分のみを抽出することができる。
プリチャージ手段としては、電子顕微鏡カラムとは別に、予備帯電装置を配置して、検査画像取得前に試料を予備帯電装置に移動してプリチャージを行うことで実現できる。二種類の帯電条件としては、予備帯電装置で2種類の帯電条件を設定して対応する2種類の画像を比較するか、帯電しない状態の画像と予備帯電装置で帯電させた状態の画像で比較するか、あるいは予備帯電装置で帯電させた後の経過時間の異なる、すなわち帯電緩和の異なる2種類の画像を取得して比較してもよい。
あるいは、予備帯電装置を用いずに、電子ビーム照射初期画像と一定の照射時間が経過した状態の画像を比較してもよい。電子ビームを電流リークが少ない絶縁物試料に照射すると、試料の表面電位は試料に電子が当たらなくなる負の電位まで上昇する。すなわち、図10(a)に示すように照射電子ビームの高エネルギー側に裾があると、試料の絶縁物部の電位は照射初期には電位Vsで帯電していないが、照射を続けると、図10(b)に示すように、裾の一番高エネルギー側の電子が当たらなくなる電位まで上昇する。したがって、照射初期と経過画像を比較することで、絶縁物部の帯電状態の変化を検出することができる。一般にはSNの高い画像を得るために同一場所からの信号を複数回加算して画像を取得するので、加算初期の画像と加算後期の画像を比較すれば、帯電状態の変化を検出することができる。
図10(a)では、試料が帯電していない状態でのミラー電子像は、試料の凹凸のみを反映した画像となり、凸形状のパターンからの仮想的な物面が下方に移動するため、結像系の焦点を試料下方に合わせれば、図10(b)に示すような試料の凸形状部が明るくなる画像が得られる。照射後期では絶縁物の負帯電により試料直上の等電位面が歪み、図11(a)のような電位分布となるので、結像レンズを試料下方に合わせると、図11(b)のような試料の凸形状部と負帯電部が明るい画像が得られる。そこで、この照射初期と照射後期の画像を比較して、例えば、図11(c)に示すように、差画像を取得することでコントラストが変化しない箇所は形状に起因し、コントラストが変化した箇所は帯電に起因したコントラストと判定することができる。
以上のように、形状欠陥と電位欠陥とでコントラストが異なるような前処理を施すか、帯電状態の異なる2つの画像を比較する手段を設ければ、形状に起因するコントラストと電位状態に起因するコントラストを区別して観察あるいは検査することが可能となる。
本発明によれば、ミラー電子画像から形状に起因するコントラストと電位状態に起因するコントラストを分離して検出することを可能にする欠陥検査技術が提供できる。
以下に、本発明の実施例について、図面を参照して詳細に説明する。
(実施例1)
図1は、本発明の第1の実施例の動作を説明するための構成を示したものである。照射電子線301と反射電子線302を分離させるビームセパレータとしてE×B偏向器4を、ミラー電子線を含む反射電子線302の結像面近傍に配置させる。照射系の光軸105とウェハ7に垂直な結像系の光軸106とは、互いにθINの角度で交叉している。コンデンサレンズ3と対物レンズ5との間には、ビームセパレータとしてのE×B偏向器4が配置されており、電子源1より放出された照射電子線301は、E×B偏向器4によりウェハ7に垂直な光軸に偏向される。E×B偏向器4により偏向された照射電子線301は、コンデンサレンズ電源33を介してコンデンサレンズ3により対物レンズの焦点面303近傍に集束され、試料上7をほぼ平行な照射電子線で照射することができる。なお、図中、2は電子銃レンズ、32は電子銃レンズ電源である。
図1は、本発明の第1の実施例の動作を説明するための構成を示したものである。照射電子線301と反射電子線302を分離させるビームセパレータとしてE×B偏向器4を、ミラー電子線を含む反射電子線302の結像面近傍に配置させる。照射系の光軸105とウェハ7に垂直な結像系の光軸106とは、互いにθINの角度で交叉している。コンデンサレンズ3と対物レンズ5との間には、ビームセパレータとしてのE×B偏向器4が配置されており、電子源1より放出された照射電子線301は、E×B偏向器4によりウェハ7に垂直な光軸に偏向される。E×B偏向器4により偏向された照射電子線301は、コンデンサレンズ電源33を介してコンデンサレンズ3により対物レンズの焦点面303近傍に集束され、試料上7をほぼ平行な照射電子線で照射することができる。なお、図中、2は電子銃レンズ、32は電子銃レンズ電源である。
試料(本例では、ウエハ)7には、電子源印加電源31により電子源1に印加される加速電圧V0とほぼ等しい負の電位が試料7を保持するステージ8を通じて、試料印加電源37より印加されている。試料と対向する円孔電極6には円孔電極印加電源36により、試料7に対して数kVから数十kVの範囲の正電圧が印加されており、この円孔電極6と試料7との間の減速電界によって面状の照射電子線301の大部分が試料7に衝突する直前で引き戻されてミラー電子となり、試料7の形状や電位、磁界などを反映した方向や強度を持って再び対物レンズ5に入射する。
このミラー電子による反射電子線302は、対物レンズ5により拡大されて、E×B偏向器4近傍にミラー投影像304を結ぶ。このE×B偏向器4は、反射電子線にはウィーン条件で作用する。すなわち、反射電子線302に対しては、E×B偏向器4は偏向作用を持たず、また、ミラー電子像がE×B偏向器4の近傍に結像投影されるので、E×B偏向器4による偏向収差もほとんど発生しない。この対物レンズ5により投影された反射電子線302による像は、中間レンズ13および投影レンズ14により投影され、シンチレータ15上に拡大されたミラー電子像が形成される。このミラー電子像はシンチレータ15により光学像に変換され、光学レンズ16あるいは光ファイバー束によりCCDカメラ17上に投影され、CCDカメラ17により電気信号に変換されたミラー像がモニタ22により表示される。
照射条件などにより、反射電子線302にはミラー電子のほかに試料に衝突した電子が後方に散乱された後方散乱電子、試料から二次的に発生した二次電子なども含まれる場合があるが、後方散乱電子や二次電子の出射方向のばらつきにより、シンチレータに入射する電子はほぼ垂直に出射した電子に制限されてしまうので、ミラー電子に対する後方散乱電子や二次電子の割合は少なく、画像のコントラストには通常条件では影響を及ぼさない。もし、画像に後方散乱電子や二次電子の割合が多く含まれる場合には、対物レンズ5の焦点面に形成される電子線回折像面、あるいは中間レンズ13によりこの電子線回折像が投影される面上に反射電子線の角度を制限する制限絞り挿入することで、後方散乱電子や二次電子の割合を調整することができる。
E×B偏向器4を光軸垂直方向から見た断面は、図12に示す8極電磁極構造であり、各電磁極51はパーマロイなどの磁性体で構成されている。各電磁極51は、電位を与えられることによって電極として動作し、各電磁極51のボビン52にN回巻かれているコイル53に励磁電流を流すことによって磁極として動作する。図12に示す電圧配分で、E×B偏向器用電源34により各電磁極に電圧VXを印加すると、電子はx方向に偏向作用を受ける。また、図13に示すような電流配分で電流IYを各コイルに流すと、図13の紙面の裏側から表へ運動する電子はx方向の正方向、紙面の表から裏側へ運動する電子はx方向の負方向へ偏向作用を受ける。各電極の電圧および電流配分は実際の電磁極形状に電位あるいは磁位を与えた電磁界計算により均一な電磁界が発生するように最適化されており、例えば、図中のα=0.414に設定されている。
図14は、E×B偏向器4の光軸を含む断面図である。E×B偏向器をビームセパレータとして用いる場合、照射系の光軸105と結像系の光軸106との交叉角θINは、二つの光学系が互いに干渉しない配置関係を考慮すると、略30度程度は取る必要がある。照射電子線301を略30°偏向しても電磁極に当たらないようにするためには、開口部の直径を電磁極長さより大きくしなければならないが、開口を広げると偏向させる電圧を増加させなければならないので、電磁極51の形状は電子軌道にほぼ沿った末広がりの円錐形状とした。また、電磁極の上下にはシールド電磁極54を設け、電磁界の滲みだしを抑えるとともに、電界と磁界が同一の空間で作用するようにして、空間内で常にウィーン条件が成り立つ完全なE×B偏向器として動作するようにした。
なお、上記の動作はE×B偏向器4のx方向の偏向方向について説明したが、y方向への偏向成分の補正についても8極の電磁極にy方向の偏向成分の電圧あるいは電流を供給することによって同様の手順で行うことができる。例えば、E×B偏向器に周辺の磁界レンズからの磁束の漏れが生じている場合には、このようなy方向の電磁界を重畳させる回転補正が必要である。
また、図13においては、各コイルの巻き数は等しくN回としたが、磁極に流す電流Iとの関係NIが一定になる範囲で、電流IおよびNを変化させても良い。
このような欠陥を高感度に検出できるように、本発明では、検査画像を取得する前にあらかじめ帯電制御専用の電子ビームを照射する予備帯電制御装置40を備えている。この装置によりウェハ7をあらかじめ所定の電位に帯電させてから検査を実施すれば、形状欠陥だけでなく導通不良部のような電気的欠陥を検出できる。以下、この動作と構成について説明する。
図15は、予備帯電制御装置40の動作原理を説明する図である。電子源41は、大電流の電子ビームをある程度の広さ(数百μm〜数十mm)を持った面から放出する電子源である。たとえば、カーボンナノチューブを束ねた電子源やタングステンフィラメント熱電子源、あるいはLaB6電子源等を用いることが可能である。引出グリッド42に引出グリッド電源48により電圧引出電圧を印加することにより、電子源41から電子ビーム43が放出される。電子ビームは、制御グリッド44を通過して絶縁膜46に照射される。この電子ビーム照射により二次電子45が放出される。この二次電子は、絶縁膜46の表面の電位を基準としておよそ2eVのエネルギーを持っている。絶縁膜表面が基板47の電位と同等であれば電子ビームの照射エネルギーは加速電源49の電圧であり、この加速電圧は二次電子放出効率が1以上となるような値に設定しておく。一般的な半導体デバイス用の絶縁膜材料では、例えば加速電圧として500V程度が良い。この条件では、絶縁物材料の二次電子放出効率が1より大きいため、絶縁膜表面は正に帯電していく。
制御グリッド44には制御グリッド電源50が接続されており、任意の正または負の電圧を印加できるようになっているので、絶縁膜表面の電位が制御グリッド44の設定電位よりも正になり、二次電子が絶縁膜表面に引き戻されるようになると絶縁膜表面の正への帯電が止まる。例えば、酸化膜がSiO2で構成されている場合には、絶縁膜表面の帯電電位は制御グリッドの電位より約2V高い電位で安定することになる。制御グリッドの電位と等しくならないのは、二次電子がエネルギーを持っているためである。以上のような原理によって、絶縁膜46表面の電位を制御グリッド44の電位によって制御することが可能となる。
本実施例では、電子源1として大電流で高輝度の照射電子線が得られるZr/O/W型などのショットキー電子源を用いる。図16に、Zr/O/W型などのショットキー電子源について、電子線のエネルギー分布とエネルギー準位の関係を示す。ショットキー放出電子は引き出し電界により、真空準位よりポテンシャル障壁が下がって放出されるものであり、放出電子のエネルギーは電子源の真空準位の近傍に分布する。通常、電子源の真空準位のエネルギーから放出された電子が試料印加電源37によって試料印加電圧V0に設定される試料の直前まで近づくためには、電子源印加電圧V0と試料印加電圧Vs0の電位差が、電子源と試料の仕事関数差ΔVwにおおむね等しければよい。ここで、絶縁物の電位が制御グリッド印加によって制御される場合、絶縁物電圧Viは制御グリッド電位Vgに対して、おおむねVi=Vg+2ボルトの電圧に制御されるので、電子源の真空準位のエネルギーから放出された電子が絶縁膜直前まで近づけるためには、電子源印加電圧をVi上昇させるか、試料印加電圧をVi下降させるように設定しなおす必要がある。
厳密には、電子源と制御グリッドの仕事関数差ΔVw2及び電子源から出射する電子線のエネルギー分布も考慮する必要がある。電子源の電子の最大エネルギーeVmaxはΔV1ほど真空準位より大きく、電子源のエネルギー分布の最大値に相当するエネルギーeVpの真空準位との電位差はΔV2だけ異なる。ユーザーは、最大エネルギーの電子線が絶縁膜直前まで近づく試料印加電圧Vs0を、Vs0=V0−ΔVw2+ΔV1−Viとなるように定めればよい。このΔV1の値は電子源の曲率半径の実測値、加熱温度、引き出し電圧などの条件をパラメータとした実測値のデータベースなどより、電子源の動作条件に応じて自動的に設定されても良いし、ユーザーがプリセット値として設定しても良い。あるいは、金属間の接触によって生じるゼーベック効果などの補正値を加えても良い。
モニタ上25の操作画面には、絶縁物の帯電電圧Viが設定できるようになっている。この帯電電圧の入力情報はユーザーが入力インターフェイス26を通じて入力する。ユーザーが入力した帯電電圧Viの値から、予備帯電時には、制御グリッド電源50を通じて予備帯電制御装置の制御グリッド44に印加する制御電圧Vg=Vi−2が設定できるようにされる。また、このグリッド制御電圧と帯電電圧の差2ボルトは、例えば帯電電圧をAFMなどの電位測定装置で実測することにより、ユーザが走査画面上で書き換えることも可能である。
また、ミラー画像取得時には、絶縁物表面直上で反射するような試料印加電圧Vs0=V0−ΔVw2+ΔV1−Viが設定されるが、反射面は、以下のように調整することもできる。
ミラー電子線の反射面は、最大となるエネルギー値の電子線が試料直前まで近づくミラー電子線反射面の高さHを0に設定するか、ユーザーが指定する高さを入力することにより、操作画面上に表示される。ミラー電子線反射面の高さHの変動ΔHとV0−Vsの変動値ΔV0−Sとの関係は、ΔH=ΔV0−S/Eで表されるので、ユーザーが反射面連動モードを指定すると、ΔHの入力値に対して、ΔV0−Sが連動して変化するように制御される。また、試料印加電圧Vs、円孔電極電圧Va、円孔電極−試料間距離Lの変化に対する円孔電極−試料間の電界強度E=(Va−Vs)/Lの変化に連動して、ΔH=ΔV0−S/Eの表示も補正して設定される。
試料直前で反射したおもにミラー電子から構成される反射電子線303は、結像レンズ系すなわち対物レンズ5、中間レンズ13および投影レンズ14を用いてシンチレータ15上に拡大投影される。この結像系の動作条件はあらかじめ、制御部24に記憶されており、ユーザーが拡大倍率あるいは試料上の視野を設定すれば、試料上にジャストフォーカスとなる各レンズ設定値が設定されるように動作する。また、絶縁物帯電電圧Viを設定するのに連動して、フォーカス条件が補正されるように動作する。また、ジャストフォーカスに対して、試料の上方にフォーカスを合わせるオーバーフォーカス、および試料の下方にフォーカスを合わせるアンダーフォーカスの設定も、例えば、試料に対するフォーカス位置の高さをユーザーが操作画面上で設定できるように構成されている。ここで、デフォーカスさせるためには、対物レンズ電源35を用いて対物レンズ5の焦点距離を変化させるのが一般的であるが、対物レンズ5は照射電子線301にもレンズ作用を及ぼすので、例えば、中間レンズ13の焦点距離を変化させてフォーカスをぼかしても良い。中間レンズ13の焦点距離を変化させても、照射電子線301には影響を及ぼさないので、結像レンズの調整を照射レンズの調整とは独立に行えるという利点がある。操作画面上で、ユーザーはアンダーフォーカスおよびオーバーフォーカス条件で変化させるレンズを指定することができる。
例えば、ウェハパターン上の異物を検査する場合には、異物によって生じる等電位面は凸形状に変形するので、結像系のフォーカス条件をアンダーフォーカス側に設定すれば、異物が明るくなるコントラストが得られる。ここで、ウェハ試料を形成するパターン部をパターン部以外に対して相対的に正電位になるように予備帯電条件を設定すれば、パターン直上の等電位面は凹形状に変形して、アンダーフォーカス条件ではパターンが暗くなるコントラストが得られ、異物のみを着目して検査することが可能になる。例えば、絶縁膜の間にポリシリコンなどを埋め込んだプラグパターンの検査の場合には、絶縁膜を負帯電させるように予備帯電すれば、ポリシリコンパターンは絶縁膜に対して相対的に正電位になるので、パターン直上の等電位面は凹面形状に歪み、異物とは区別して観察することができる。
予備帯電の順序も、モニタ上25の操作画面上でユーザーが選択することができる。すなわち、ウェハ試料全面を帯電させてから画像取得するか、ステージ移動X方向1ライン毎に帯電させてから画像取得するか、選択することができる。
ユーザーはあらかじめ、画像を取得する範囲を選択するが、予備帯電させる範囲は画像を取得する範囲と独立に設定することもできる。
ウェハ全体を検査するためには、ステージ8は、例えばx方向にステップアンドリピートで移動する。予備帯電制御装置40は検査する前に検査領域を照射できるような位置に配置されている。例えば、X軸方向に予備帯電制御装置と照射系光軸は一列に並んでいる。さらに、X軸方向に照射系光軸をはさんで予備帯電制御装置40を2つ配置することによって、X軸の正負の移動方向に予備帯電が対応できるとともに、検査前後に帯電状態を制御できるようにした。
シンチレータ15により光学像に変換されたミラー電子像は光学レンズ16あるいは光ファイバー束によりCCDカメラ17上に投影され電気信号に変換されて、画像処理部103に送られる。
画像処理部103は、画像信号記憶部18、演算部20、欠陥判定部21、記憶部23より構成されている。画像記憶部18は、ミラー電子画像を記憶するようになっており、演算部20で設定レベル以上の明るさあるいは設定レベル以下の明るさの場所を検出する。この結果を欠陥判定部21により欠陥として判定し、その座標を記憶部23に格納する。欠陥判定部21は、フォーカス条件、帯電条件などの情報により、欠陥の種類を判定する。例えば、パターンの帯電条件として正帯電、フォーカス条件としてアンダーフォーカスの情報が入力されていれば、設定レベル以上の明るさの場所を凸形状の欠陥、設定レベル以下の場所を電位欠陥と判定する。なお、取り込まれた画像信号はモニタ22により画像表示される。
上記に示すように、対象とする欠陥の種類に応じて予備帯電条件を調節することにより、形状欠陥や電位欠陥を区別して検査することが可能となる。
(実施例2)
図2は、本発明の第2の実施例の構成を示し、帯電状態の異なる2つの画像を比較することで、形状欠陥と電位欠陥を識別する。
図2は、本発明の第2の実施例の構成を示し、帯電状態の異なる2つの画像を比較することで、形状欠陥と電位欠陥を識別する。
試料室102内では、2次元(X、Y)方向に移動可能な試料移動ステージ8上にウェハ7が載置され、ウェハ7には試料印加電源37により前述のように電子ビームの大部分がウェハ7に衝突しないような負電位が印加されている。試料移動ステージ8にはステージ位置測定器38が付設され、ステージ位置をリアルタイムで正確に計測している。これは、ステージ8を連続移動させながら画像を取得するためである。このステージ位置測定器38には、例えば、レーザ干渉計が用いられる。
次に、試料移動ステージ8の整定時間について述べる。ステージ8の移動をステッフ゜・アンド・リピート方式とすると、ステージ8の整定時間は、msecオーダが必要となるため、画像S/N比を向上させて画像取得時間を短縮してもステージ移動に時間がかかってしまい検査時間を短縮することができない。従って、ステージ8の移動方式はステージが常にほぼ等速で移動している連続移動方式とした。これによりステージの整定時間による検査時間の制約はなくなる。
電子ビームの照射領域あるいは照射位置は、ステージ8に設けられたステージ位置測定器38、試料高さ測定器(図示していない)、等により常時モニタされる。これらのモニタ情報が制御部24によって詳細に位置ずれ量として把握され、正確に補正される。これにより、パターンの比較検査に必要な正確な位置合わせが高速・高精度で行われ得る。
試料直前で反射したおもにミラー電子から構成される反射電子線303は、結像レンズ系すなわち対物レンズ5、中間レンズ13および投影レンズ14を用いてシンチレータ15上に拡大投影される。このミラー電子像はシンチレータ15により光学像に変換され、光学レンズ16あるいは光ファイバー束によりこのミラー電子像はシンチレータ15により光学像に変換され、光学レンズ16あるいは光ファイバー束によりCCD素子17上に投影される。このCCD素子17により電気的な画像信号に変換された画像信号は画像処理部103に取り込まれる。すなわち、制御部24からの指令を受けた電子ビーム照射位置に対応した面積領域の電子ビーム画像信号として、記憶部18(または19)に格納される。
本実施例では、試料表面画像を電気信号に変換する素子として、時間蓄積型のCCDセンサを用いた。この素子はTDIセンサと呼ばれるもので、光学式検査装置において一般的に使用されている。それ以外は、先述した実施例1の場合と同様である。このTDIセンサの動作概念を、以下に説明する。
TDIセンサでは、各受光領域で受光した光の強度に応じて生成された電荷をx方向のラインに移動させて行くと同時に、その移動先で受光した光の強度に応じて生成された電荷を順次足し合わせて行くように動作する。そして、受光面の最終ラインに達した時点で電気信号として外部に出力する。従って、x方向の電荷の移動速度と受光面上の画像のx方向の移動速度を同一にすることで、画像がセンサ上を移動する間の信号を積分して出力することになる。
本実施例では、例えば、信号読み出しを128チャンネルに分割し、それぞれ並行して読み出すことにより、読出速度を4Mライン/秒とした。また、受光領域の大きさは、x方向に64画素、y方向に2048画素のものを用いた。例えば、1ラインのx方向長さが、試料表面上の50nm、y方向長さは約100μmに相当すれば、縦50nm、横100μmの画像が4M/秒の速度で出力されることになるため、ステージの連続移動速度もこれと同じ速度(50nm/250nsec=200mm/sec)に設定される。このように、検査領域のx方向移動はステージ8を移動させることにより行う。
ユーザはモニタ上25の操作画面上で、2種類の帯電条件で画像を取得するモードを選択することができる。ユーザがこのモードを選択すると、第一の予備帯電条件および第二の予備帯電条件で絶縁物を帯電させる電圧を選択することができる。あるいは一方の帯電条件として、予備帯電無しの画像取得を選択することもできる。
ユーザが帯電条件を設定して、検査をスタートさせると、第一のステップとして、まず検査領域を予備帯電装置40に移動して、第一の予備帯電を行う。半導体ウェハ7表面上に形成された同一設計パターンを有する隣接チップA、B間でのパターンの比較検査をする場合には、先ず、チップA内の被検査領域についての電子ビーム画像信号を取り込んで、記憶部18内に記憶させる。次に、隣接するチップB内の上記と対応する被検査領域についての画像信号を取り込んで、記憶部19内に記憶させながら、それと同時に、記憶部18内の記憶画像信号と比較する。さらに、次のチップC内の対応する被検査領域についての画像信号を取得し、それを記憶部18に上書き記憶させながら、それと同時に、記憶部19内のチップB内の被検査領域についての記憶画像信号と比較する。このような動作を繰り返して、全ての被検査チップ内の互いに対応する被検査領域についての画像信号を順次記憶させながら、パターンを比較して行く。
記憶部18、19内に記憶された両画像信号は、それぞれ演算部20内に取り込まれ、そこで、既に求めてある欠陥判定条件に基づき、各種統計量(具体的には、画像濃度の平均値、分散等の統計量)、周辺画素間での差分値等が算出される。これらの処理を施された両画像信号は、欠陥判定部21内に転送されて、比較手段として、例えばそこで比較されて両画像信号間での差信号が抽出される。これらの差信号と、既に求めて記憶してある欠陥判定条件とを比較して欠陥判定がなされ、欠陥と判定されたパターン領域の画像信号が画像記憶部23に記憶される。
次に、検査領域を再び予備帯電装置40へ移動させて第二の予備帯電を行なった後、電子ビーム画像信号を取得して画像記憶部27に格納する。画像記憶部60に格納する画像は検査領域内の前画像でも良いが、第一の予備帯電後の検査で欠陥と判定されたパターン領域のみの画像を取得しても良い。次に、第一の予備帯電で欠陥と判定されたパターン領域の画像信号と、同一領域における第二の予備帯電を行なった後の画像信号を比較して、欠陥種判定部28は欠陥種を判定する。例えば、両画像信号間での差信号を取得して、ある一定レベルの閾値を基準として欠陥部の明るさが変化しない場合には、形状に起因する欠陥、欠陥部の明るさが変化する場合には、電位差に起因した欠陥と判定して、判定情報を記憶部29に格納する。
あるいは、第二の予備帯電後に再び、パターンの比較検査を行っても良い。この場合、第一の予備帯電後に抽出された欠陥と第一の予備帯電後に抽出された欠陥のなかで、両方の条件で抽出された欠陥のみを抽出しても良いし、どちらかの条件で抽出された欠陥を含めて抽出しても良い。欠陥抽出後は、欠陥と判定されたパターン領域における、第一の予備帯電を行なった後の画像信号と第二の予備帯電を行なった後の画像信号を比較して、欠陥種判定部28は欠陥種を判定する。例えば、欠陥種判定部28で両画像信号間での差信号を取得して、ある一定レベルの閾値を基準として欠陥部の明るさが変化しない場合には、形状に起因する欠陥、欠陥部の明るさが変化する場合には、電位差に起因した欠陥と判定して、判定情報を記憶部29に格納する。
予備帯電装置40による第一と第二の予備帯電の間隔は、ウェハ全面ごとに行うか、ウェハ上のステージ移動方向の1ライン分ごとに行う。予備帯電制御装置40は検査する前に検査領域を照射できるような位置に配置されている。例えば、X軸方向に予備帯電制御装置と照射系光軸は一列に並んでいる。ここで、X軸方向に照射系光軸をはさんで予備帯電制御装置40を2つ配置することによって、画像取得直後に第二の予備帯電を行うことができるし、X軸方向の終端部から折り返して、X軸反対方向に移動しながら検査する場合にも、画像取得直前の予備帯電が可能となる。
上記に示すように、二つの帯電状態の画像を比較することで、形状欠陥や電位欠陥を区別して検査することが可能となる。
(実施例3)
図3は、本発明の第3の実施例の構成を示し、照射初期の画像と照射後期の画像を比較することで、形状欠陥と電位欠陥を識別する。
図3は、本発明の第3の実施例の構成を示し、照射初期の画像と照射後期の画像を比較することで、形状欠陥と電位欠陥を識別する。
実施例では、試料表面画像を電気信号に変換するCCD素子17として、時間蓄積型のCCDセンサ(TDI)を用いた。CCDセンサの信号読み出しを128チャンネルに分割しそれぞれ並行して読み出すことにより、読出速度を4Mライン/秒とした。また、受光領域の大きさは、x方向に64画素、y方向に2048画素のものを用いた。1ラインのx方向長さは、試料表面上の50nm、y方向長さは約100μmに相当する。このとき、縦50nm、横100μmの画像が4M/秒の速度で出力されることになるため、ステージの連続移動速度もこれと同じ速度(50nm/250nsec=200mm/sec)としている。このように、検査領域のx方向移動はステージ8を移動させることにより行う。
モニタ上25の操作画面には、TDIで加算するライン数が表示されており、通常モードでは最大64ライン加算まで選べる構成となっている。欠陥種判定モードを選択すると、64ラインのうち、照射初期取り込み画像のライン範囲の選択、照射後期の取り込み画像のライン範囲の選択画面が表示される。ライン範囲の入力情報はユーザーが入力インターフェイス26を通じて入力する。例えば、64ラインのうち、照射初期は前半32ライン、照射後期は後半32ラインとして選択できる。
半導体ウェハ7表面上に形成された同一設計パターンを有する隣接チップA、B間でのパターンの比較検査をする場合には、先ず、チップA内の被検査領域についての電子ビーム画像信号を取り込んで、64ライン分の積算画像を記憶部18内に記憶させると同時に、前半32ライン分を記憶部61に、後半32ライン分を記憶部62に格納する。次に、隣接するチップB内の上記と対応する被検査領域についての画像信号を取り込んで、64ライン分の積算画像を記憶部19内に記憶させると同時に、前半32ライン分を記憶部63に、後半32ライン分を記憶部64に格納する。記憶部19内に記憶させた画像は、同時に記憶部18内の記憶画像信号と比較する。さらに、次のチップC内の対応する被検査領域についての画像信号を取得し、64ライン分の積算画像を記憶部18に上書き記憶させながら、それと同時に、記憶部19内のチップB内の被検査領域についての記憶画像信号と比較する。このような動作を繰り返して、全ての被検査チップ内の互いに対応する被検査領域についての画像信号を順次記憶させながら、比較して行く。
記憶部18、19内に記憶された両画像信号は、それぞれ演算部20内に取り込まれ、そこで、既に求めてある欠陥判定条件に基づき、各種統計量(具体的には、画像濃度の平均値、分散等の統計量)、周辺画素間での差分値等が算出される。これらの処理を施された両画像信号は、欠陥判定部21内に転送されて、そこで比較されて両画像信号間での差信号が抽出される。これらの差信号と、既に求めて記憶してある欠陥判定条件とを比較して欠陥判定がなされ、欠陥と判定されたパターン領域の画像信号が画像記憶部23に記憶される。欠陥と判定されたパターン領域の画像信号については、前半32ライン分および後半32ライン分の画像が記憶部61と記憶部62か、記憶部63と記憶部64に格納されている。
欠陥判定部21は、欠陥と判定されたパターン領域の前半部分の画像と後半部分の画像を比較する。例えば、両画像信号間での差信号を取得して、ある一定レベルの閾値を基準として欠陥部の明るさが変化しない場合には、形状に起因する欠陥、欠陥部の明るさが変化する場合には、電位差に起因した欠陥と判定して、判定情報を記憶部29に格納する。
このように、照射初期の画像と照射後期の画像を比較することで、ステージ移動なしで帯電状態の異なる画像を取得できるので、形状欠陥や電位欠陥を高スループットで区別して検査することが可能となる。
以上詳述したように、本発明によれば、形状に起因するコントラストと電位状態に起因するコントラストとを区別して観察あるいは検査することが可能となる欠陥検査技術を提供できる。半導体デバイス等を製造する一連の工程において、試料の欠陥検査に適用して効果大である。
1…電子源、2…電子銃レンズ、3…コンデンサレンズ、4…E×B偏向器、5…対物レンズ、6…円孔電極、7…試料、8…ステージ、9…エネルギーフィルタ、10…E×B偏向器、11…制限絞り、12…第二コンデンサレンズ、13…中間レンズ、14…投影レンズ、15…シンチレータ、16…光ファイバー束、17…CCDカメラ、18…画像記憶部、19…画像記憶部、20…演算部、21…欠陥判定部、22…モニタ、23…記憶部、24…制御部、25…モニタ、26…入力インターフェイス、27…ステージ位置測定器、28…高さ測定器、30…ステージ制御系、31…電子源印加電源、32…電子銃レンズ印加電源、33…コンデンサレンズ電源、34…E×B偏向器用電源、35…対物レンズ電源、36…円孔電極印加電源、37…試料印加電源、38…ステージ位置測定器、39…高さ測定器、40…予備帯電制御装置、41…電子源、42…引出グリッド、43…電子ビーム、44…制御グリッド、45…二次電子、46…絶縁膜、47…基板、48…引出グリッド電源、49…加速電源、50…制御グリッド電源、51…電磁極、52…ボビン、53…コイル、54…シールド、101…電子光学系、102…試料室、103…画像処理部、301…照射電子線、302…反射電子線、303…対物レンズ焦点面。
Claims (14)
- 第1の電子源から出射した第1の電子線を二次元的な広がりを有する面状の照射電子線として試料に照射する照射光学系と、前記試料に衝突しないで反射するミラー電子線を投影拡大して結像させる結像光学系と、前記結像したミラー電子像を光学像に変換し、画像処理を行う手段と、前記照射電子線と前記ミラー電子線とを分離するビームセパレータとを備えた反射結像型電子顕微鏡において、前記試料面を第2の電子線の照射により帯電させ、前記試料面の帯電を制御する予備帯電制御装置を有し、前記予備帯電制御装置は、前記結像光学系の光軸をはさんで2個配置されていることを特徴とする反射結像型電子顕微鏡。
- 前記予備帯電制御装置は、面状の第2の電子線を放出する第2の電子源を有し、制御グリッドに印加する電圧を制御することにより、前記試料面の電位を制御することを特徴とする請求項1に記載の反射結像型電子顕微鏡。
- 前記ビームセパレータは、電界と磁界を直交かつ重畳させたE×B偏向器で構成され、前記照射電子線に対する偏向角をほぼ一定に保ちながら、前記ミラー電子線に対して、電界と磁界による偏向作用が打ち消し合うウイーン条件となるように前記偏向器に供給する電圧および電流を制御してなることを特徴とする請求項1又は2に記載の反射結像型電子顕微鏡。
- 第1の電子源から出射した第1の電子線を二次元的な広がりを有する面状の照射電子線として試料に照射する照射光学系と、前記試料に衝突しないで反射するミラー電子線を投影拡大して結像させる結像光学系と、前記結像した前記ミラー電子線を画像化し、画像処理を行う手段と、前記照射電子線と前記ミラー電子線とを分離するビームセパレータとを備えた反射結像型電子顕微鏡にあって、前記試料面を第2の電子線の照射により帯電させ、前記試料面の帯電を制御する予備帯電制御装置と、前記試料の対象とする欠陥の種類に応じて前記試料の電位を制御するよう構成して、取得した前記ミラー電子画像から、前記試料の形状欠陥に起因するコントラストと電位欠陥に起因するコントラストとを分離する手段とを有することを特徴とする欠陥検査装置。
- 前記試料の欠陥の種類および前記試料中の予め帯電させる絶縁物の電位に応じて、前記結像光学系の投影結像条件を設定するよう構成したことを特徴とする請求項4に記載の欠陥検査装置。
- 前記試料の欠陥の種類に応じて前記試料中の絶縁物の電位を制御して、帯電状態の異なる複数のミラー電子画像を検出し、該複数のミラー電子画像を比較する手段を有し、前記該複数のミラー電子画像を比較することにより、前記試料の形状欠陥と電位欠陥とを識別するよう構成したことを特徴とする請求項4に記載の欠陥検査装置。
- 前記試料を形成するパターン部を、該パターン部以外に対して相対的に正電位になるように、前記絶縁物の電位を予め設定し、前記投影結像条件をアンダーフォーカス条件に設定して、前記パターン上の欠陥を検査することを特徴とする請求項5に記載の欠陥検査装置。
- 前記試料を形成するパターン部を、該パターン部以外に対して相対的に負電位になるように、前記絶縁物の電位を予め設定し、前記投影結像条件をアンダーフォーカス条件もしくはオーバーフォーカス条件に設定して、前記パターン上の欠陥を検査することを特徴とする請求項5に記載の欠陥検査装置。
- 帯電条件の異なる2つのミラー電子画像を取得して、両画像信号間の差信号をもとに、前記試料の形状欠陥と電位欠陥とを識別するよう構成したことを特徴とする請求項4に記載の欠陥検査装置。
- 前記比較手段は、前記第2の電子線の初期照射によって検出されるミラー電子画像と、照射後期のミラー電子画像とを比較することにより、前記比較をもとに前記試料の形状欠陥と電位欠陥とを識別することを特徴とする請求項6に記載の欠陥検査装置。
- 前記予備帯電制御装置は、面状の第2の電子線を放出する第2の電子源を有し、制御グリッドに印加する電圧を制御することにより、前記試料面の電位を制御することを特徴とする請求項4乃至10のいずれか一項に記載の欠陥検査装置。
- 前記予備帯電制御装置は、前記結像光学系の光軸をはさんで2個配置されていることを特徴とする請求項4乃至11のいずれか一項に記載の欠陥検査装置。
- 前記ビームセパレータは、電界と磁界を直交かつ重畳させたE×B偏向器で構成され、前記照射電子線に対する偏向角をほぼ一定に保ちながら、前記ミラー電子線に対して、電界と磁界による偏向作用が打ち消し合うウイーン条件となるように前記偏向器に供給する電圧および電流を制御してなることを特徴とする請求項4乃至12のいずれか一項に記載の欠陥検査装置。
- 前記結像光学系の投影結像条件の異なる複数のミラー電子画像を取得し、該複数のミラー電子画像をもとに、前記試料の欠陥検査を行うことを特徴とする請求項5に記載の欠陥検査装置。
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