JP2007279689A - トナー及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、低温定着性と耐熱保存性を両立し、耐オフセット性に優れ、トナー構造の制御が可能であり、現像装置等を汚染することなく、十分な帯電性を維持し続け、使用耐久による地汚れ等の画像劣化が少ないトナー及び該トナーの製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、該トナーを含む現像剤及びトナー容器並びに該トナーを用いた画像形成方法、画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することを目的とする。
【解決手段】トナー10は、着色剤11a、離型剤11b及び芳香族基を含有するポリエステル骨格を有する結着樹脂11cを含むコア11と、酸価が50KOHmg/g以上である高極性樹脂12aを含むシェル12を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、トナー、トナーの製造方法、現像剤、トナー容器、画像形成方法、画像形成装置及びプロセスカートリッジに関する。
従来、トナーの定着方式としては、熱ロール定着方式等の接触加熱定着方式が広く採用されている。熱ロール定着方式に使用される定着装置は、加熱ロールと加圧ロールとを備えており、トナー像を担持した記録シートを、加熱ロールと加圧ロールとの圧接部(ニップ部)を通過させることにより、トナー像を溶融させて記録シートに定着させる。
熱ロール定着方式に代表される接触加熱定着方式では、記録シート上のトナー像に接触加熱定着装置の加熱部材(例えば、加熱ロール)の表面を接触させて定着を行うため、加熱部材にトナー像の一部が付着し、それが次の記録シートに転移して汚してしまうオフセット現象を防止する必要がある。
オフセット現象を防止するために定着装置の加熱ロールや加圧ロールにシリコーンオイル等の定着オイルを塗布あるいは含浸させる技術が知られているが、定着装置の小型化や低コスト化の観点から、定着オイル付与機構を省略したオイルレス定着装置や定着オイルの塗布量を低減させたタイプの定着装置が採用されている。このような定着装置を採用する場合には、オフセット防止剤として離型剤がトナーに添加される。
また、加熱定着方式の場合、省エネルギー化のためには、加熱温度は、できる限り低い方が好ましいが、これを達成するためにトナーを構成する結着樹脂の熱特性を低く設計しすぎると、耐熱保存性が悪化し、ブロッキング等の問題が発生する。これを両立させるためには、結着樹脂にポリエステル樹脂を用いるのが有利である。ポリエステル樹脂は、ビニル系共重合樹脂と比較して、粘度が低く弾性が高いため、低温定着性に優れ耐熱保存性も良い。
しかしながら、オフセット防止のために充分な量の離型剤が添加されたトナーを従来の粉砕法で製造すると、離型剤がトナーの表面に多く露出し、フィルミング、ブロッキング等の問題が発生する。一方、重合反応性モノマーを水系媒体中で重合する懸濁重合法や、予め乳化重合で微粒子を作製して凝集させる乳化凝集法といった、所謂重合法が知られている。重合法は、粉砕法と比較して、より多くの離型剤を含有させることが可能である。さらに、懸濁重合法については、通常の造粒を終えた後に、引き続き重合性単量体を加えて重合することにより、構造を制御したトナーが開示されている(特許文献1参照)。また、乳化凝集法については、通常の凝集による造粒を終えた後に、引き続き乳化微粒子を加えて凝集させることにより、構造を制御したトナーが開示されている(特許文献2参照)。しかしながら、懸濁重合法や乳化凝集法は、水系媒体中で重合を行うため、ビニル系共重合樹脂が用いられており、200℃前後の高温で重合されるポリエステル樹脂を用いるのは困難である。
また、ポリエステル樹脂を用いてトナーを造粒する方法として、予め重合した樹脂を有機溶媒に溶解させて水系媒体中で造粒する、所謂溶解懸濁法が知られている。この方法では、仕込み時の樹脂の分子量がそのままトナーの分子量となり、トナーの熱特性を調整するためには、低分子量樹脂と高分子量樹脂を混合して用いるのが一般的であるが、高分子量の樹脂を投入すると、溶液の粘度が高くなりすぎて造粒性が悪化する等の問題があり、高分子量樹脂を多く使用できない。このため、低分子量樹脂の分子量を高めにせざるをえず、低温定着には不利になる。
この問題を解決するため、高分子量樹脂を投入する代わりに、反応性基を持たせた変性ポリエステルを用いて造粒した後に、伸長及び/又は架橋反応させて分子量を調節する方法がある。この方法を用いると、トナーの熱特性の調整が可能になるが、トナー構造の制御が充分ではなく、着色剤、離型剤等が表面に露出する傾向があり、特に1成分現像においては、帯電性が不十分で連続使用によって地汚れが発生してしまう問題がある。
さらに、当分野において求められている技術の一つに、環境対応を容易にさせ得る技術が挙げられる。環境問題に対応するための技術の一つとして、クリーナレス画像形成方法がある(特許文献3、4参照)。これは、転写後の残存トナーをクリーニングする装置を用いることなく、画像記録を行う画像形成方法である。クリーナレス画像形成方法を用いることにより、クリーニング装置を除外することが可能となる上、感光体上に残存したトナーを再度、画像形成時に使用することができる。このため、クリーナレス画像形成方法は、環境負荷を和らげることができる画像形成装置に適用することが可能な、極めて有用な技術である。
また、クリーナレス画像形成方法は、装置を小型ができるという側面を有する。すなわち、電子写真方式を用いたプリンタ、複写機への要望の一つである装置の小型化というニーズを満たすことが可能となる。従って、クリーナレス画像形成方法は、環境負荷に対応でき、かつ画像形成装置の小型化にも寄与できる極めて有効な技術となるものである。
特許第3195362号公報 特開2002−116574公報 特開昭59−133573号公報 特開昭59−157661号公報 佐々木、南谷ら「新規重合トナーの開発」日本画像学会誌、第43巻、第1号、54頁(2004年)(エステル伸長重合法によるポリエステル重合トナーに関する内容)
本発明は、上記従来技術の有する問題に鑑み、低温定着性と耐熱保存性を両立し、耐オフセット性に優れ、トナー構造の制御が可能であり、現像装置等を汚染することなく、十分な帯電性を維持し続け、使用耐久による地汚れ等の画像劣化が少ないトナー及び該トナーの製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、該トナーを含む現像剤及びトナー容器並びに該トナーを用いた画像形成方法、画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、トナーにおいて、離型剤及び芳香族基を含有するポリエステル骨格を有する結着樹脂を含むコアと、酸価が50KOHmg/g以上である高極性樹脂を含むシェルからなる母体粒子を有することを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、離型剤、芳香族基を含有するポリエステル骨格を有する結着樹脂及び酸価が50KOHmg/g以上である高極性樹脂を含む母体粒子を有するトナーであって、FTIR−ATR法を用いて測定された該母体粒子の赤外吸収スペクトルは、850cm−1と783cm−1の間に第一のピーク、2834cm−1と2862cm−1の間に第二のピークを有し、該第一のピークの高さに対する該第二のピークの高さの比は、0.01以上0.1以下であることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のトナーにおいて、前記高極性樹脂は、前記母体粒子10gをメタノール50gに25℃で30分浸漬することにより抽出される樹脂であることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のトナーにおいて、前記高極性樹脂は、酸価が200KOHmg/g以下であることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のトナーにおいて、前記高極性樹脂は、ガラス転移点が45℃以上65℃以下であることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のトナーにおいて、前記高極性樹脂は、結晶性ポリエステル樹脂であることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のトナーにおいて、前記高極性樹脂は、−OH、−COOH、−CONR及び−NHCONRからなる群より選択される官能基を側鎖に有する樹脂であり、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数が1以上8以下の炭化水素基であることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のトナーにおいて、前記母体粒子は、平均円形度が0.95以上であり、体積平均粒径が4.5μm以上8μm以下であることを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のトナーにおいて、前記結着樹脂は、ガラス転移点が40℃以上70℃以下であることを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のトナーにおいて、前記結着樹脂は、未変性のポリエステル樹脂を含むことを特徴とする。
請求項11に記載の発明は、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のトナーにおいて、前記結着樹脂は、変性ポリエステル樹脂を含むことを特徴とする。
請求項12に記載の発明は、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のトナーにおいて、前記結着樹脂は、未変性のポリエステル樹脂及び変性ポリエステル樹脂を含み、前記結着樹脂に対する該変性ポリエステル樹脂の重量比は、5%以上80%以下であることを特徴とする。
請求項13に記載の発明は、請求項11又は12に記載のトナーにおいて、前記変性ポリエステル樹脂は、ウレタン結合及び/又はウレア結合によって伸張されたポリエステル樹脂を含むことを特徴とする。
請求項14に記載の発明は、請求項13に記載のトナーにおいて、前記変性ポリエステル樹脂は、末端にイソシアネート基を有するポリエステル樹脂とアミン類の反応によって得られるポリエステル樹脂を含むことを特徴とする。
請求項15に記載の発明は、請求項1乃至14のいずれか一項に記載のトナーにおいて、前記離型剤は、ポリオレフィンワックス、長鎖炭化水素及びカルボニル基を有するワックスからなる群より選択される一種類以上の化合物を含み、前記母体粒子に対する前記離型剤の重量比は、3%以上30%以下であることを特徴とする。
請求項16に記載の発明は、請求項1乃至15のいずれか一項に記載のトナーにおいて、前記母体粒子は、帯電制御剤をさらに含むことを特徴とする。
請求項17に記載の発明は、トナーの製造方法において、請求項1乃至16のいずれか一項に記載のトナーをO/W型湿式造粒方式を用いて製造することを特徴とする。
請求項18に記載の発明は、請求項17に記載のトナーの製造方法において、少なくとも前記着色剤、離型剤、結着樹脂及び高極性樹脂を、Hansen溶解度パラメーターが19.5以下であると共に、水相との界面を形成することが可能な有機溶媒に溶解又は分散させて油相を得る工程と、該油相を該水相中で乳化させる工程を有することを特徴とする。
請求項19に記載の発明は、請求項18に記載のトナーの製造方法において、前記水相は、水と、水性溶媒、Hansen溶解度パラメーターが19.5以下である有機溶媒、界面活性剤、粘度調整剤、乳化安定化微粒子及びpH調整剤からなる群より選択される一種以上の化合物とを含むことを特徴とする。
請求項20に記載の発明は、請求項18又は19に記載のトナーの製造方法において、前記油相を水相中で乳化させた乳化液を用いて形成される粒子を洗浄する工程と、該洗浄された粒子を乾燥する工程をさらに有することを特徴とする。
請求項21に記載の発明は、現像剤において、請求項1乃至16のいずれか一項に記載のトナーを含むことを特徴とする。
請求項22に記載の発明は、請求項21に記載の現像剤において、前記トナーを担持するキャリアをさらに含むことを特徴とする。
請求項23に記載の発明は、トナー容器において、請求項1乃至16のいずれか一項に記載のトナーを含むことを特徴とする。
請求項24に記載の発明は、画像形成方法において、請求項1乃至16のいずれか一項に記載のトナーを用いて画像を形成することを特徴とする。
請求項25に記載の発明は、請求項24に記載の画像形成方法において、潜像担持体に潜像を形成する潜像形成工程と、現像手段を用いて、該潜像を前記トナーで現像してトナー像を形成する現像工程と、該トナー像を支持体上に転写する転写工程と、該支持体に転写されたトナー像を定着させる定着工程と、帯電手段を用いて、該トナー像が転写された後に該潜像担持体に残存したトナーを帯電させる帯電工程を有し、該現像工程において、該帯電手段により帯電されたトナーを該現像手段に回収することを特徴とする。
請求項26に記載の発明は、請求項25に記載の画像形成方法において、前記帯電手段は、前記潜像担持体に圧接されている導電シートを有することを特徴とする。
請求項27に記載の発明は、画像形成装置において、請求項24乃至26のいずれか一項に記載の画像形成方法を用いて画像を形成することを特徴とする。
請求項28に記載の発明は、少なくとも潜像担持体及び現像手段を一体に有すると共に画像形成装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジにおいて、該現像手段は、該潜像担持体に形成された潜像を請求項1乃至16のいずれか一項に記載のトナーで現像してトナー像を形成することを特徴とする。
本発明によれば、上記従来技術の有する問題に鑑み、低温定着性と耐熱保存性を両立し、耐オフセット性に優れ、トナー構造の制御が可能であり、現像装置等を汚染することなく、十分な帯電性を維持し続け、使用耐久による地汚れ等の画像劣化が少ないトナー及び該トナーの製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、該トナーを含む現像剤及びトナー容器並びに該トナーを用いた画像形成方法、画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することができる。
次に、本発明の実施の形態を図面と共に説明する。
図1に、本発明のトナーの一例を示す。図1に示すように、トナー(母体粒子)10は、着色剤11a、離型剤11b及び芳香族基を含有するポリエステル骨格を有する結着樹脂11cを含有するコア11と、酸価が50KOHmg/g以上である高極性樹脂12aを含有するシェル12からなる。即ち、トナー10の主成分となるコア11は、低温定着性と耐熱保存性の両立に有利な結着樹脂11cを含有し、トナー10の帯電性に大きく影響するシェル12は、着色剤11aや離型剤11bの表面への露出を抑制し、且つ帯電性の向上に有利な高極性樹脂12aを含有する。なお、酸価は、樹脂1gを中和するのに必要なKOHの量[mg]である。
このようなトナー10は、O/W型湿式造粒方式を用いて製造することができる。トナー10をO/W型湿式造粒方式で製造すると、高極性樹脂12aがトナー10の表面に偏析することにより、着色剤11aや離型剤11bの表面への露出が抑制されると考えられる。即ち、高極性樹脂12aは、高い極性によってO/W界面に移行しやすいために、シェル12を形成し、着色剤11aや離型剤11bを内包し、高極性樹脂12a由来のカルボン酸、スルホン酸等の負帯電性官能基をトナー10の表面に偏在できると考えられる。その結果、現像装置等を汚染することなく、現像過程において十分な帯電性を維持し続け、使用耐久による地汚れ等の画像劣化が少ないトナー10が得られる。また、低温定着性と耐熱保存性を両立し、耐オフセット性に優れたトナー10が得られる。
また、トナー10中の高極性樹脂12aの含有量は、0.2〜30重量%であることが好ましく、0.5〜20重量%がさらに好ましく、1.0〜10重量%が特に好ましい。高極性樹脂12aの含有量が0.2重量%より小さいと、シェル12を形成する効果が充分に得られないことがあり、30重量%より大きいと、結着樹脂11cが少なくなり過ぎて、定着特性が低下することがある。
本発明のトナーは、上記のように、離型剤、芳香族基を含有するポリエステル骨格を有する結着樹脂及び酸価が50KOHmg/g以上である高極性樹脂を含む母体粒子を有する。このとき、FTIR−ATR(全反射吸収赤外分光)法を用いて測定された母体粒子の赤外吸収スペクトルは、850cm−1と783cm−1の間にピークA、2834cm−1と2862cm−1の間にピークBを有し、ピークAの高さに対するピークBの高さの比は、0.01〜0.1であり、0.01〜0.08が好ましい。なお、ピークAは、芳香族基を含有するポリエステル骨格に由来し、ピークBは、離型剤の長鎖アルキル基に由来する。ピークAの高さに対するピークBの高さが0.1より大きい場合には、トナーの表面に露出した離型剤によるプロセス汚染が問題となる。即ち、着色剤及び離型剤は、トナーの表面近傍の存在割合が低く、トナーの表面に露出していないことが望ましい。これにより、離型剤による感光体等へのフィルミングが発生せず、また、耐環境性に優れた帯電性が得られ、フルカラートナーにおいては、各色の着色剤の差による帯電性の違いを最小限に留めることができる。また、ピークAの高さに対するピークBの高さが0.01より小さい場合には、トナーの表面近傍の離型剤が少なすぎて、オイルレス定着での離型作用が不十分となる。
FTIR−ATR法を用いて測定された母体粒子の赤外吸収スペクトルにおいて、850cm−1と783cm−1との間におけるピークAの高さは、赤外吸収スペクトルの850cm−1における点と783cm−1における点を結ぶ直線からピークAの頂点までの、赤外吸収スペクトルのベースラインに対して垂直な線の長さである。同様に、2834cm−1と2862cm−1との間におけるピークBの高さは、赤外吸収スペクトルの2834cm−1における点と2862cm−1における点を結ぶ直線からピークBの頂点までの、赤外吸収スペクトルのベースラインに対して垂直な線の長さである。
本発明において、高極性樹脂は、母体粒子10gをメタノール50gに25℃で30分浸漬することにより抽出される樹脂であることが好ましい。さらに、高極性樹脂は、効果的に表面偏析を起こすために、その極性を表す酸価が50〜200KOHmg/gであることが好ましく、50〜180KOHmg/gがさらに好ましく、60〜150KOHmg/gが特に好ましい。酸価が50KOHmg/gより小さいと、O/W型湿式造粒方式を用いてトナーを製造する際に、表面偏析が十分に起こらない。また、酸価が200より大きいと、高極性樹脂がO/W界面で水相に移行し、造粒が不安定になることがある。
本発明において、高極性樹脂は、示差走査熱量計(DSC)によって測定されるガラス転移点Tgが45〜65℃であることが好ましい。Tgが45℃より低いと、耐熱保存性が低下することがあり、Tgが65℃より高いと、低温定着性が低下することがある。
さらに、高極性樹脂は、結晶性ポリエステル樹脂又は凝集性を有する樹脂であることが好ましい。凝集性を有する樹脂は、
−OH、−COOH、−CONR及び−NHCONR
(式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数が1〜8の炭化水素基(直鎖の炭化水素、分岐の炭化水素、脂環式炭化水素及び芳香族炭化水素を含む。)である。)
からなる群より選択される極性基を側鎖に有する樹脂であり、上記極性基を末端に有する炭素数が2〜22の直鎖アルキル基を有する極性ビニルモノマーを1種以上重合することによって得られる単独重合体又は共重合体であるが、共重合体が好ましい。このとき、共重合体を重合する際には、極性ビニルモノマーを他のビニルモノマーと共重合させてもよい。
極性ビニルモノマーの具体例としては、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸12−ヒドロキシドデシル、メタクリル酸6−(p−カルボキシフェノキシ)ヘキシル、アクリロイルオキシ(3−カルボキシプロパン)、17−アリルオキシステアリン酸アミド、18−(ビニルフェノキシ)ステアリルウレア、N−メチル−21−アリルオキシベヘン酸アミド等が挙げられる。
極性ビニルモノマーと共重合させることが可能なビニルモノマーの具体例を以下の(1)〜(13)に示す。
(1)ビニル系炭化水素
アルケン類(例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ぺンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン、オクタデセン、前記以外のα−オレフィン等)、アルカジエン類(例えば、ブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,6−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン等)等の脂肪族ビニル系炭化水素;シクロアルケン又はビシクロアルケン及びアルカジエン類(例えば、シクロヘキセン、(ビ)シクロペンタジエン、ビニルシクロヘキセン、エチリデンビシクロヘプテン等)、テルペン類(例えば、ピネン、リモネン、インデン等)等の脂環式ビニル系炭化水素;スチレン、スチレンのアルキル、シクロアルキル、アラルキル及び/又はアルケニル置換体(例えば、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン、クロチルベンゼン、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、トリビニルベンゼン等)、ビニルナフタレン等の芳香族ビニル系炭化水素が挙げられる。
(2)カルボキシル基を有するビニルモノマー及びその塩
(メタ)アクリル酸;炭素数3〜30の不飽和モノカルボン酸(例えば、クロトン酸、桂皮酸等);炭素数3〜30の不飽和ジカルボン酸並びにその無水物及びそのモノアルキル(炭素数1〜24)エステル(例えば、(無水)マレイン酸、マレイン酸アルキル、フマル酸、フマル酸アルキル、イタコン酸、イタコン酸アルキル、イタコン酸グリコールモノエーテル、シトラコン酸、シトラコン酸アルキル等);これらの塩等が挙げられる。
(3)スルホン酸基を有するビニルモノマー、ビニル系硫酸モノエステル及びこれらの塩
炭素数2〜14のアルケンスルホン酸(例えば、ビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、メチルビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸等);炭素数2〜14のアルケンスルホン酸のアルキル(炭素数2〜24)誘導体(例えば、α−メチルスチレンスルホン酸等);スルホ(ヒドロキシ)アルキル(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリルアミド(例えば、(メタ)アクリル酸スルホプロピル、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸、3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−(メタ)アクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、アルキル(炭素数3〜18)アリルスルホコハク酸、ポリオキシアルキレン(エチレン、プロピレン、ブチレン:単独、ランダム、ブロックでもよい)モノ(メタ)アクリレート(n=2〜30)の硫酸エステル(ポリオキシプロピレンモノメタクリレート硫酸エステル(n=5〜15)等)等);ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステル;これらの塩等が挙げられる。
(4)リン酸基を有するビニルモノマー及びその塩
リン酸(メタ)アクリロイルオキシアルキル(例えば、リン酸2−(メタ)アクリロイルオキシエチル、リン酸フェニル(2−アクリロイルオキシエチル)等);(メタ)アクリロイルオキシアルキル(炭素数1〜24)ホスホン酸類(例えば、2−アクリロイルオキシエチルホスホン酸等);これらの塩等が挙げられる。
なお、上記(2)〜(4)の塩としては、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等);アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩、マグネシウム塩等);アンモニウム塩;アミン塩;4級アンモニウム塩等が挙げられる。
(5)ヒドロキシル基を有するビニルモノマー
ヒドロキシスチレン、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アリルアルコール、クロチルアルコール、イソクロチルアルコール、1−ブテン−3−オール、2−ブテン−1−オール、2−ブテン−1,4−ジオール、プロパルギルアルコール、(2−ヒドロキシエチル)プロペニルエーテル、アリルショ糖等が挙げられる。
(6)含窒素ビニルモノマー
アミノ基を有するビニルモノマー(例えば、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸t−ブチルアミノエチル、N−アミノエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アリルアミン、(メタ)アクリル酸モルホリノエチル、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、クロチルアミン、N,N−ジメチルアミノスチレン、α−アセトアミノアクリル酸メチル、ビニルイミダゾール、N−ビニルピロール、N−ビニルチオピロリドン、N−アリールフェニレンジアミン、アミノカルバゾール、アミノチアゾール、アミノインドール、アミノピロール、アミノイミダゾール、アミノメルカプトチアゾール等);これらの塩;アミド基を有するビニルモノマー(例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、桂皮酸アミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジベンジルアクリルアミド、メタクリルホルムアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン等);ニトリル基を有するビニルモノマー(例えば、(メタ)アクリロニトリル、シアノスチレン、シアノアクリレート等);4級アンモニウム基を有するビニルモノマー(例えば、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジアリルアミン等の3級アミノ基を有するビニルモノマーの4級化物(塩化メチル、ジメチル硫酸、塩化ベンジル、ジメチルカーボネート等の4級化剤を用いて4級化したもの)等);ニトロ基を有するビニルモノマー(例えば、ニトロスチレン)等が挙げられる。
(7)エポキシ基を有するビニルモノマー
(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、p−ビニルビフェニルオキシド等が挙げられる。
(8)ビニルエステル
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、フタル酸ジアリル、アジピン酸ジアリル、酢酸イソプロペニル、メタクリル酸ビニル、4−ビニル安息香酸メチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェニル、メトキシ酢酸ビニル、安息香酸ビニル、α−エトキシアクリル酸エチル;(メタ)アクリル酸アルキル(炭素数1〜50)(例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸エイコシル等);フマル酸ジアルキル(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の直鎖、分枝鎖又は脂環式の基である);マレイン酸ジアルキル(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の直鎖、分枝鎖又は脂環式の基である);(メタ)アリルオキシアルカン類(例えば、ジアリルオキシエタン、トリアリルオキシエタン、テトラアリルオキシエタン、テトラアリルオキシプロパン、テトラアリルオキシブタン、テトラメタアリルオキシエタン等);ポリアルキレングリコール鎖を有するビニルモノマー(例えば、ポリエチレングリコール(分子量300)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(分子量500)モノアクリレート、メチルアルコールのエチレンオキシド10モル付加物の(メタ)アクリル酸エステル、ラウリルアルコールのエチレンオキシド30モル付加物の(メタ)アクリル酸エステル等);多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート(例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等)等が挙げられる。
(9)ビニル(チオ)エーテル
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル、ヒニルブチルエーテル、ビニル(2−エチルヘキシル)エーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニル(2−メトキシエチル)エーテル、メトキシブタジエン、ビニル(2−ブトキシエチル)エーテル、3,4−ジヒドロ−1,2−ピラン、2−ブトキシ−2'−ビニルオキシジエチルエーテル、ビニル(2−エチルメルカプトエチル)エーテル、アセトキシスチレン、フェノキシスチレン等が挙げられる。
(10)ビニルケトン
ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルフェニルケトン等が挙げられる。
(11)ビニルスルホン
ジビニルスルフィド、p−ビニルジフェニルスルフィド、ビニルエチルスルフィド、ビニルエチルスルホン、ジビニルスルホン、ジビニルスルホキシド等が挙げられる。
(12)フルオロ基を有するビニルモノマー
4−フルオロスチレン、2,3,5,6−テトラフルオロスチレン、(メタ)アクリル酸ペンタフルオロフェニル、(メタ)アクリル酸ペンタフルオロベンジル、(メタ)アクリル酸ペルフルオロシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ペルフルオロシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸2,2,3,3−テトラフルオロプロピル、(メタ)アクリル酸1H,1H,4H−ヘキサフルオロブチル、(メタ)アクリル酸1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル、(メタ)アクリル酸1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチル、(メタ)アクリル酸ペルフルオロオクチル、(メタ)アクリル酸2−ペルフルオロオクチルエチル、(メタ)アクリル酸ヘプタデカフルオロデシル、(メタ)アクリル酸トリヒドロペルフルオロウンデシル、(メタ)アクリル酸ペルフルオロノルボニルメチル、(メタ)アクリル酸1H−ペルフルオロイソボルニル、(メタ)アクリル酸2−(N−ブチルペルフルオロオクタンスルホンアミド)エチル、(メタ)アクリル酸2−(N−エチルペルフルオロオクタンスルホンアミド)エチル;α−フルオロアクリル酸から誘導された化合物(例えば、イタコン酸ビス(ヘキサフルオロイソプロピル)、マレイン酸ビス(ヘキサフルオロイソプロピル)、イタコン酸ビス(ペルフルオロオクチル)、マレイン酸ビス(ペルフルオロオクチル)、イタコン酸ビス(トリフルオロエチル)、マレイン酸ビス(トリフルオロエチル)等);ヘプタフルオロ酪酸ビニル、ペルフルオロヘプタン酸ビニル、ペルフルオロノナン酸ビニル、ペルフルオロオクタン酸ビニル等が挙げられる。
(13)その他のビニルモノマー
(メタ)アクリル酸イソシアナトエチル、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート等が挙げられる。
なお、高極性樹脂の酸価を調整するためには、(2)カルボキシル基を有するビニルモノマー及びその塩、(3)スルホン酸基を有するビニルモノマー、ビニル系硫酸モノエステル及びこれらの塩、(4)リン酸基を有するビニルモノマー及びその塩を用いることが好ましい。また、O/W型湿式造粒方式を用いてトナーを製造する際に、表面偏析、即ち、シェル形成を促進するためには、高極性樹脂中の極性ビニルモノマーの組成を適宜調整すればよい。
本発明において、結着樹脂は、芳香族基を含有するポリエステル骨格を有していれば、特に限定されないが、ガラス転移点Tgが40〜70℃であることが好ましい。Tgが40℃より低いと、耐熱保存性が低下することがあり、70℃より高いと、低温定着性能が十分に担保できないことがある。以下、結着樹脂として用いることが可能なポリエステル樹脂について、説明する。
ポリエステル樹脂は、ポリオール(1)とポリカルボン酸(2)を重縮合することにより合成することができ、二種以上併用してもよい。
ポリオール(1)としては、アルキレングリコール(例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等);アルキレンエーテルグリコール(例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等);脂環式ジオール(例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等);ビスフェノール類(例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、3,3'−ジフルオロ−4,4'−ジヒドロキシビフェニル等の4,4'−ジヒドロキシビフェニル類;ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1−フェニル−1,1−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(別名:テトラフルオロビスフェノールA)、2,2−ビス(3−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン等のビス(ヒドロキシフェニル)アルカン類;ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)エーテル等のビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル類等);脂環式ジオールのアルキレンオキシド(エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等)付加物;ビスフェノール類のアルキレンオキシド(エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等)付加物等が挙げられ、二種以上併用してもよい。中でも、炭素数2〜12のアルキレングリコール及びビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物が好ましく、ビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物(又は炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用)が特に好ましい。
さらに、ポリオール(1)としては、上記以外にも、3価以上の多価脂肪族アルコール(例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等);3価以上のポリフェノール類(例えば、トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等);3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキシド(エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等)付加物等を用いることができる。
ポリカルボン酸(2)としては、アルキレンジカルボン酸(例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等);アルケニレンジカルボン酸(例えば、マレイン酸、フマル酸等);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、3−フルオロイソフタル酸、2−フルオロイソフタル酸、2−フルオロテレフタル酸、2,4,5,6−テトラフルオロイソフタル酸、2,3,5,6−テトラフルオロテレフタル酸、5−トリフルオロメチルイソフタル酸、2,2−ビス(4−カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2'−ビス(トリフルオロメチル)−4,4'−ビフェニルジカルボン酸、3,3'−ビス(トリフルオロメチル)−4,4'−ビフェニルジカルボン酸、2,2'−ビス(トリフルオロメチル)−3,3'−ビフェニルジカルボン酸、ヘキサフルオロイソプロピリデンジフタル酸無水物等)等が挙げられ、二種以上併用してもよい。中でも、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸及び炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸が好ましい。
さらに、ポリカルボン酸(2)としては、上記以外にも、3価以上のポリカルボン酸(例えば、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸等);上記のポリカルボン酸の酸無水物及び低級アルキル(メチル、エチル、イソプロピル等)エステルを用いることができる。
ポリオール(1)とポリカルボン酸(2)を重縮合する際のカルボキシル基に対するヒドロキシル基の当量比は、通常、1〜2であり、1〜1.5が好ましく、1.02〜1.3がさらに好ましい。
ポリエステル樹脂のピーク分子量は、通常、1000〜30000であり、1500〜10000が好ましく、2000〜8000がさらに好ましい。ピーク分子量が1000未満では、耐熱保存性が低下することがあり、30000を超えると、低温定着性が低下することがある。
本発明において、結着樹脂は、オフセット防止等の目的で粘弾性を調整するために、ウレタン結合及び/又はウレア結合によって伸張されたポリエステル樹脂等の変性ポリエステル樹脂を含有してもよい。結着樹脂中の変性ポリエステル樹脂の含有量は、5〜80重量%であることが好ましく、5〜60重量%がさらに好ましく、5〜40重量%が特に好ましい。変性ポリエステル樹脂の含有量が80重量%より多くなると、低温定着性が低下することがあり、5%より少なくなると、変性ポリエステル樹脂を添加する効果を十分に発揮させることができないことがある。ウレタン結合及び/又はウレア結合によって伸張されたポリエステル樹脂は、直接添加してもよいが、製造性の観点から、末端にイソシアネート基を有するポリエステル樹脂(以下、プレポリマーという)及びイソシアネート基と反応するアミン類を添加し、造粒中/又は造粒後に、伸長反応及び/又は架橋反応させて変性ポリエステル樹脂を合成することが好ましい。これにより、粘弾性を調整するための比較的高分子量の変性ポリエステル樹脂を含有するコアを容易に形成することができる。
なお、プレポリマーは、ポリオール(1)とポリカルボン酸(2)を重縮合することにより得られる活性水素基を有するポリエステル樹脂を、さらにポリイソシアネート(3)と反応させることにより合成することができる。活性水素基としては、ヒドロキシル基(アルコール性及びフェノール性)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基等が挙げられるが、アルコール性水酸基が好ましい。
ポリイソシアネート(3)としては、脂肪族ポリイソシアネート(例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、カプロン酸2,6−ジイソシアナトメチル等);脂環式ポリイソシアネート(例えば、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネート等);芳香族ジイソシアネート(例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等);芳香脂肪族ジイソシアネート(例えば、α,α,α',α'−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等);イソシアヌレート類;これらのポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタム等でブロックしたものが挙げられ、二種以上併用してもよい。
ヒドロキシル基を有するポリエステル樹脂とポリイソシアネート(3)を反応させる際のヒドロキシル基に対するイソシアネート基の当量比は、通常、1〜5であり、1.2〜4が好ましく、1.5〜2.5がさらに好ましい。この当量比が5を超えると、低温定着性が低下することがあり、が1未満では、変性ポリエステル樹脂中のウレア結合量が少なくなって、耐オフセット性が低下することがある。プレポリマー中のポリイソシアネート(3)の構成成分の含有量は、通常、0.5〜40重量%であり、1〜30重量%が好ましく、2〜20重量%がさらに好ましい。この含有量が0.5重量%未満では、耐オフセット性が低下することがあり、40重量%を超えると、低温定着性が低下することがある。
また、プレポリマーが有するイソシアネート基数(平均値)は、通常、1以上であり、1.5〜3が好ましく、1.8〜2.5がさらに好ましい。イソシアネート基の数が1未満では、伸長反応及び/又は架橋反応により得られる変性ポリエステル樹脂の分子量が低くなって、耐オフセット性が低下することがある。
イソシアネート基と反応するアミン類としては、ジアミン(1)、3価以上のポリアミン(2)、アミノアルコール(3)、アミノメルカプタン(4)、アミノ酸(5)、アミン類のアミノ基をブロックしたもの(6)等が挙げられる。
ジアミン(1)としては、芳香族ジアミン(例えば、フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、テトラフルオロ−p−キシリレンジアミン、テトラフルオロ−p−フェニレンジアミン等);脂環式ジアミン(例えば、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン等);脂肪族ジアミン(例えば、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ドデカフルオロヘキシレンジアミン、テトラコサフルオロドデシレンジアミン等)等が挙げられる。3価以上のポリアミン(2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等が挙げられる。アミノアルコール(3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリン等が挙げられる。アミノメルカプタン(4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタン等が挙げられる。アミノ酸(5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸等が挙げられる。アミン類のアミノ基をブロックしたもの(6)としては、ジアミン(1)、3価以上のポリアミン(2)、アミノアルコール(3)、アミノメルカプタン(4)又はアミノ酸(5)と、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)を反応させることにより得られるケチミン化合物、オキサゾリン化合物等が挙げられる。
さらに、伸長反応及び/又は架橋反応させる際には、必要に応じて、停止剤を用いて、変性ポリエステル樹脂の分子量を調整することができる。停止剤としては、モノアミン(例えば、ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミン等)、モノアミンをブロックしたもの(例えば、ケチミン化合物)等が挙げられる。
伸長反応及び/又は架橋反応させる際のアミノ基に対するイソシアネート基の当量比は、通常、0.5〜2であり、2/3〜1.5が好ましく、5/6〜1.2がさらに好ましい。この当量比が2より大きい場合及び0.5未満である場合は、変性ポリエステル樹脂の分子量が低くなって、耐ホットオフセット性が低下することがある。
本発明において、着色剤としては、公知の染料及び顔料を用いることができ、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミウムレッド、カドミウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロロオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロムバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン等が挙げられ、二種以上併用してもよい。母体粒子中の着色剤の含有量は、通常、1〜15重量%であり、3〜10重量%が好ましい。
本発明において、着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。マスターバッチの製造又はマスターバッチと共に混練される樹脂としては、前述の変性、未変性ポリエステル樹脂の他に、スチレン及びその置換体の重合体(例えば、ポリスチレン、ポリ(p−クロロスチレン)、ポリビニルトルエン等);スチレン系共重合体(例えば、スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタレン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロロメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等);ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸ブチル、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックス等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
マスターバッチは、樹脂と着色剤に高せん断力をかけて混合、混練して得ることができる。この際に、着色剤と樹脂の相互作用を高めるために、有機溶剤を用いることができる。また、いわゆるフラッシング法と呼ばれる、着色剤の水性ペーストを、樹脂と有機溶剤と共に混合混練し、着色剤を樹脂側に移行させた後に、水と有機溶剤を除去する方法も用いることができる。これにより、着色剤のウエットケーキをそのまま用いることができるため、乾燥させる必要が無い。混合混練する際には、3本ロールミル等の高せん断分散装置を用いることが好ましい。
本発明において、離型剤としては、公知のものを使用することができ、例えば、ポリオレフィンワックス(例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等);長鎖炭化水素(例えば、パラフィンワックス、サゾールワックス等);カルボニル基を有するワックス等が挙げられる。カルボニル基を有するワックスとしては、ポリアルカン酸エステル(例えば、カルナウバワックス、ライスワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート等);ポリアルカノールエステル(例えば、トリメリット酸トリステアリル、マレイン酸ジステアリル等);ポリアルカン酸アミド(例えば、エチレンジアミンジベヘニルアミド等);ポリアルキルアミド(トリメリット酸トリステアリルアミド等);ジアルキルケトン(ジステアリルケトン等)等が挙げられるが、ポリアルカン酸エステルが好ましい。
母体粒子中の離型剤の含有量は、3〜30重量%であることが好ましい。離型剤の含有量が3重量%未満であると、離型効果が低下して、オフセット防止の余裕度が低下することがある。また、離型剤の含有量が30重量%を超えると、離型剤が低温で溶融するため、熱エネルギー、機械エネルギーの影響を受けやすく、現像部での攪拌時等に離型剤がトナーから染み出して、トナー規制部材や感光体に付着し、画像ノイズを発生させることがある。また、離型剤の示差走査熱量計(DSC)により測定される昇温時の吸熱ピーク(融点)は、トナーの低温定着が可能になることから、65〜115℃であることが好ましい。融点が65℃未満では、流動性が低下することがあり、115℃より高いと、定着性が低下することがある。
本発明において、母体粒子は、必要に応じて、帯電制御剤を含有してもよい。帯電制御剤としては、公知のものを使用することができ、例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、リンの単体又は化合物、タングステンの単体又は化合物、フッ素系界面活性剤、サリチル酸金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩等が挙げられる。具体的には、ニグロシン系染料のボントロン03、4級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、4級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、4級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、4級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料が挙げられる。また、帯電制御剤としては、これら以外にも、スルホン酸基、カルボキシル基、4級アンモニウム基等の官能基を有する高分子系の化合物も用いることができる。
本発明のトナーは、流動性や現像性、帯電性を補助するために、母体粒子に、外添剤として、無機微粒子を添加したものであってもよい。無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素;酸化ケイ素/酸化マグネシウム、酸化ケイ素/酸化アルミニウム等の複合酸化物等が挙げられる。無機微粒子は、平均一次粒径が5nm〜2μmであることが好ましく、5〜500nmが特に好ましい。また、無機微粒子は、BET法による比表面積が20〜500m/gであることが好ましい。無機微粒子の添加量は、母体粒子に対して、0.01〜5重量%であることが好ましく、0.01〜2重量%が特に好ましい。
この他の外添剤としては、例えば、ソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステルの共重合体、シリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロン等の重縮合系樹脂、熱硬化性樹脂等の高分子系微粒子が挙げられる。
このような外添剤は、表面処理を行って、疎水性を向上させることにより、高湿度下においても流動特性や帯電特性の低下を抑制することができる。表面処理剤としては、例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル等が挙げられる。
本発明のトナーは、感光体や一次転写体に残存した転写後の現像剤を除去しやすくするために、母体粒子に、外添剤として、クリーニング性向上剤を添加したものであってもよい。クリーニング性向上剤としては、脂肪酸金属塩(例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸等);ソープフリー乳化重合等によって製造されたポリマー微粒子(例えば、ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子等)等が挙げられる。ポリマー微粒子は、比較的粒度分布が狭く、体積平均粒径が0.01〜1μmであることが好ましい。
本発明において、母体粒子は、平均円形度が0.95〜1.00であることが好ましく、0.950〜0.975がさらに好ましい。平均円形度が0.95より小さいと、転写性を悪化させることがある。また、母体粒子は、体積平均粒径が4.5〜8μmであることが好ましく、5〜7μmがさらに好ましい。体積平均粒径が4.5μmより小さいと、画像形成の各プロセスに支障が生じることがあり、8μmより大きいと、画像の解像度が悪化することがある。
本発明のトナーの製造方法は、特に限定されないが、少なくとも結着樹脂、高極性樹脂、着色剤及び離型剤を有機溶媒に溶解又は分散させて油相を得る工程と、油相を水相中で乳化させる工程を有することが好ましい。
有機溶媒は、Hansen溶解度パラメーター(「POLYMER HANDBOOK」4th Edition,WILEY−INTERSCIENCE Volume 2,Section VII参照)が19.5以下であると共に、水相との界面を形成することが可能であり、除去が容易になることから、沸点が100℃未満の揮発性であることが好ましい。このような有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられ、二種以上併用してもよい。中でも、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒及び塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましい。結着樹脂、着色剤及び離型剤は、同時に溶解又は分散させてもよいが、通常、それぞれ単独で溶解又は分散され、その際使用する有機溶媒は、それぞれ異なっていても同じであってもよいが、後の処理を考慮すると、同じである方が好ましい。
結着樹脂及び高極性樹脂を溶解又は分散させた液は、樹脂濃度が40〜80重量%であることが好ましい。樹脂濃度が80重量%より高いと、溶解又は分散が困難になり、また粘度が高くなって扱いづらい。また、樹脂濃度が40重量%より低いと、トナーの製造量が少なくなる。なお、未変性のポリエステル樹脂とプレポリマーを混合する場合は、同時に溶解又は分散させてもよいが、それぞれの溶解度と粘度を考慮すると、別々に溶解又は分散させる方が好ましい。
また、着色剤は、単独で溶解又は分散させてもよいし、結着樹脂及び高極性樹脂を溶解又は分散させた液に混合してもよい。このとき、必要に応じて、分散助剤やポリエステル樹脂を添加してもよいし、着色剤のマスターバッチを用いてもよい。
離型剤を溶解又は分散させる際に、離型剤が溶解しない有機溶媒を使用する場合は、離型剤の分散液を調製する。即ち、有機溶媒と離型剤を混合し、ビーズミル等の分散機を用いて分散させる。このとき、有機溶媒と離型剤を混合した後、一度離型剤の融点まで加熱し、攪拌しながら冷却した後、ビーズミル等の分散機を用いて分散させると、分散時間を短縮できることもある。また、このとき、必要に応じて、分散助剤やポリエステル樹脂を添加してもよい。
水相としては、水単独でもよいが、水と混和可能な水性溶媒を併用することもできる。更に、油相で使用したHansen溶解度パラメーターが19.5以下である有機溶媒を併用してもよく、水に対する飽和溶解度付近の添加量とすると、油相の乳化安定性を高めることができる。水性溶媒としては、アルコール(例えば、メタノール、イソプロパノール、エチレングリコール等)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(例えば、メチルセロソルブ等)、低級ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン等)等が挙げられる。トナーの原料組成物に対する水相の重量比は、通常、0.5〜20であり、1〜10が好ましい。この重量比が0.5未満では、トナーの原料組成物の分散状態が悪くなって、所定の粒径のトナーが得られなくなることがあり、20を超えると、経済的でない。
水相は、乳化安定化微粒子として、無機分散剤又は樹脂微粒子を含有することが好ましい。これにより、粒度分布がシャープになると共に、乳化安定性を向上させることができる。無機分散剤としては、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ハイドロキシアパタイト等が挙げられる。樹脂微粒子を形成する樹脂としては、水性分散体を形成しうる樹脂であれば、特に限定されず、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂のいずれであってもよいが、例えば、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられ、二種以上併用してもよい。中でも、球状の樹脂微粒子の水性分散体が得られやすいことから、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。
水相は、場合によっては、粘度調整剤を含有することが望ましい。粘度調整剤としては、カルボキシメチルセルロース等のセルロース類や、ポリビニルアルコール等の水相に粘度を付与する公知の材料を用いることができる。
また、乳化や分散の状態を安定化させることが可能な水相の状態を維持するために、pH調整剤によって水相のpHを調整することが望ましい。pH調整剤としては、有機アミン類、有機酸類等の公知のpH調整剤を用いることができる。
樹脂微粒子を含有する水相を調製する方法は、特に限定されないが、
(a)ビニル系樹脂の場合において、モノマーを出発原料として、懸濁重合法、乳化重合法、シード重合法、分散重合法等の重合反応により、直接、樹脂微粒子の水性分散液を製造する方法
(b)ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の重付加あるいは縮合系樹脂の場合において、前駆体(モノマー、オリゴマー等)又はその溶液を適当な分散剤の存在下で水性媒体中に分散させ、その後に加熱したり、硬化剤を加えたりして硬化させて樹脂微粒子の水性分散体を製造する方法
(c)ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の重付加あるいは縮合系樹脂の場合において、前駆体(モノマー、オリゴマー等)又はその溶液(液体であることが好ましい。加熱により液状化しても良い。)に適当な乳化剤を溶解させた後、水を加えて転相乳化する方法
(d)予め高分子化反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等のいずれの重合反応様式であってもよい。)により合成した樹脂を機械回転式、ジェット式等の微粉砕機を用いて粉砕し、分級することによって樹脂微粒子を得た後、適当な分散剤の存在下で水中に分散させる方法
(e)予め高分子化反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等のいずれの重合反応様式であってもよい。)により合成した樹脂の溶液を、霧状に噴霧することにより樹脂微粒子を得た後、適当な分散剤の存在下で水中に分散させる方法
(f)予め高分子化反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等のいずれの重合反応様式であってもよい。)により合成した樹脂の溶液に溶剤を添加する、又は予め溶剤に加熱溶解した樹脂溶液を冷却することにより樹脂微粒子を析出させ、溶剤を除去して樹脂微粒子を得た後、適当な分散剤の存在下で水中に分散させる方法
(g)予め高分子化反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等のいずれの重合反応様式であってもよい。)により合成した樹脂の溶液を、適当な分散剤の存在下で水中に分散させ、加熱、減圧等によって溶剤を除去する方法
(h)予め高分子化反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等のいずれの重合反応様式であってもよい。)により合成した樹脂の溶液に適当な乳化剤を溶解させた後、水を加えて転相乳化する方法が挙げられる。
また、水相は、必要に応じて、界面活性剤を含有することもできる。界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤(例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステル等);カチオン性界面活性剤(例えば、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリン等のアミン塩型;アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウム等の4級アンモニウム塩型);脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体等の非イオン性界面活性剤(例えば、アラニン、ドデシルビス(アミノエチル)グリシン、ビス(オクチルアミノエチル)グリシン等);両性界面活性剤(例えば、N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタイン等)が挙げられる。
また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いると、添加量を非常に少量とすることができる。アニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[ω−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C7〜C13)カルボン酸及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、リン酸モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチル等が挙げられる。また、カチオン性界面活性剤としては、フルオロアルキル基を有する脂肪族1級、2級又は3級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩等の脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩等が挙げられる。
水相は、高分子系保護コロイドを含有してもよい。高分子系保護コロイドとしては、酸類(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、(無水)マレイン酸等);ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル系単量体(例えば、アクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリレート、ジエチレングリコールモノメタクリレート、グリセリンモノアクリレート、グリセリンモノメタクリレート、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等);ビニルアルコールとのエーテル類(例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル等);ビニルアルコールとカルボキシル基を有する化合物のエステル類(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等);アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物;酸塩化物類(例えば、アクリル酸塩化物、メタクリル酸塩化物等);窒素原子又はその複素環を有するもの(例えば、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミン等)等の単独重合体又は共重合体が挙げられる。また、これら以外の高分子系保護コロイドとしては、ポリオキシエチレン系(例えば、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステル等);セルロース類(例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等)等が挙げられる。
なお、分散安定剤として、リン酸カルシウム塩等の酸又はアルカリに溶解可能な化合物を用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解させた後、水洗する等の方法によって、リン酸カルシウム塩を除去することができる。その他にも、酵素による分解等の操作によっても除去できる。分散剤を使用した場合には、分散剤がトナーの表面に残存したまま用いることもできるが、洗浄除去する方がトナーの帯電面から好ましい。
油相を水相中で乳化させる際には、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波等の公知の分散機を用いることができる。乳化分散体の粒径を2〜20μmにするためには、高速せん断式分散機を用いることが好ましい。この場合、回転数は、特に限定されないが、通常、1000〜30000rpmであり、5000〜20000rpmが好ましい。また、分散時の温度は、通常、0〜150℃(加圧下)であり、20〜80℃が好ましい。
以上のようにして得られた乳化分散体から有機溶媒を除去することにより、水相中に分散された粒子が得られる。このとき、例えば、常圧又は減圧下で系全体を徐々に昇温することにより、乳化分散体中の有機溶媒を蒸発除去することができる。
なお、コアに変性ポリエステル樹脂を導入するために、プレポリマー及びアミン類を添加する場合は、トナーの原料組成物を水相中で分散させる前に、油相中でアミン類を混合してもよいし、水相にアミン類を添加してもよい。プレポリマーとアミン類の反応時間は、プレポリマーが有するイソシアネート基の構造と、アミン類との反応性により適宜選択されるが、通常、1分〜40時間であり、1〜24時間が好ましい。また、反応温度は、通常、0〜150℃であり、20〜98℃が好ましい。また、必要に応じて、公知の触媒を用いて、プレポリマーとアミン類を反応させてもよい。なお、この反応は、乳化分散体から有機溶媒を除去する前に行ってもよいし、乳化分散体から有機溶媒を除去する際に同時進行させてもよい。
母体粒子は、水相中に分散された粒子を洗浄及び乾燥することにより得られる。このとき、遠心分離機、フィルタープレス等により固液分離した後、得られたトナーケーキを常温〜40℃程度のイオン交換水に再分散させ、必要に応じて、酸やアルカリでpH調整した後、再度固液分離するという工程を数回繰り返すことにより、不純物、界面活性剤等を除去することができる。さらに、気流乾燥機、循環乾燥機、減圧乾燥機、振動流動乾燥機等を用いて乾燥することにより、母体粒子が得られる。このとき、乾燥前に、遠心分離等により微粒子成分を取り除いてもよいし、乾燥後に、公知の分級機を用いて所望の粒径分布としてもよい。
本発明においては、母体粒子を、必要に応じて、帯電制御剤、外添剤等の異種粒子と混合した後に機械的衝撃力を加えることにより、母体粒子の表面に異種粒子を固定化、融合化させることにより、トナーが得られる。これにより、トナーからの異種粒子の脱離を抑制することができる。機械的衝撃力を加える方法としては、高速で回転する羽根によって混合物に衝撃力を加える方法、高速気流中に混合物を投入し、加速させ、適当な衝突板に衝突させる方法等が挙げられる。このような装置としては、オングミル(ホソカワミクロン社製)、I式ミル(日本ニューマチック社製)を改造して粉砕エアー圧カを下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所社製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、自動乳鉢等が挙げられる。
本発明のトナーは、一成分現像剤として用いることができる。また、公知のキャリアと混合して二成分現像剤として用いてもよい。
本発明のトナー(現像剤)は、例えば、図2に示すプロセスカートリッジを備えた画像形成装置において使用することができる。プロセスカートリッジ20は、感光体21、帯電手段22、現像手段23及びクリーニング手段24が一体に結合され、複写機、プリンター等の画像形成装置本体に対して着脱可能に構成されている。以下に、プロセスカートリッジ20の動作を説明する。感光体21は、所定の周速度で回転駆動され、帯電手段22により、周面に正又は負の所定電位の均一帯電を受ける。次に、露光手段(不図示)から、スリット露光、レーザービーム走査露光等の画像露光を受け、感光体21の周面に静電潜像が順次形成される。形成された静電潜像は、現像手段23によりトナーで現像される。さらに、現像されたトナー像は、感光体21と転写手段(不図示)の間に、感光体21の回転と同期されて供給された転写材に順次転写されていく。転写を受けた転写材は、感光体21から分離された後に、定着手段(不図示)に導入されて画像が定着され、複写物(コピー)又は印刷物(プリント)として画像形成装置外にプリントアウトされる。転写後の感光体21の周面に残存したトナーは、クリーニング手段24によって除去されて、感光体21の表面が清浄面化される。さらに、必要に応じて、感光体21の表面が除電手段(不図示)により除電された後、繰り返し画像形成に使用される。
なお、定着手段としては、加熱装置を具備したローラによる定着手段、加熱装置を具備したベルトによる定着手段等を用いることができ、定着部材にオイル塗布を必要としないオイルレス定着手段が好ましい。
以下に、実施例及び比較例を示して、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これに限定されるものではない。なお、「部」は、全て重量部を意味する。
<ポリエステル樹脂1の合成>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキシド2モル付加物553部、ビスフェノールAプロピレンオキシド2モル付加物196部、テレフタル酸220部、アジピン酸45部及びジブチルスズオキシド2部を入れ、230℃(常圧)で8時間反応させた後、10〜15mmHgで5時聞反応させた。さらに、反応容器に無水トリメリット酸46部を入れ、180℃(常圧)で2時間反応させ、ポリエステル樹脂1を得た。ポリエステル樹脂1は、数平均分子量2200、重量平均分子量5600、Tg43℃、酸価13KOHmg/gであった。
<ビニル系共重合樹脂P1の合成>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ドデシル硫酸ナトリウム1.6部、イオン交換水492部を入れ、80℃に加熱した後、重合開始剤過硫酸カリウム(KPS)2.5部をイオン交換水100部に溶解させたものを加えた。その15分後に、スチレン(St)120部、ブチルアクリレート(BA)51部、メタクリル酸(MAA)29部、分子量調整剤n−オクチルメルカプタン(NOM)4.1部の混合液を滴下し始め、90分後に滴下を終了した。さらに、80℃で60分間保持した後、冷却して、ラテックスを得た。得られたラテックスを40℃で送風乾燥した後、40℃で減圧乾燥し、ビニル系共重合樹脂P1を得た。ビニル系共重合樹脂P1は、重量平均分子量12500、Tg50℃、酸価95KOHmg/gであった。
<ビニル系共重合樹脂P2〜P5、P7、P9の合成>
モノマー組成を表1に示すように変更した以外は、ビニル系共重合樹脂P1と同様に合成した。
Figure 2007279689
なお、表中、SSAは、4−スチレンスルホン酸であり、MDUは、ω−メタクリルオキシドデシルウレアである。
<結晶性ポリエステル樹脂P6の合成>
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10Lの四つ口フラスコに1,4−ブタンジオール1500部、フマル酸2200部、エチレングリコール400部、アジピン酸250部及びハイドロキノン5.3部を入れ、180℃(常圧)で5時間反応させた後、10〜15mmHgで200℃に昇温して3時間反応させた。さらに、無水トリメリット酸1000部を加え、常圧下、3時間反応させ、ポリエステル樹脂P6を得た。ポリエステル樹脂P6は、数平均分子量1200、重量平均分子量3200、酸価60KOHmg/gであった。
<ポリエステル樹脂P8の合成>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキシド2モル付加物350部、ビスフェノールAプロピレンオキシド2モル付加物200部、テレフタル酸220部、アジピン酸45部及びジブチルスズオキシド2部を入れ、230℃(常圧)で8時間反応させた後、10〜15mmHgで5時聞反応させた。さらに、反応容器に無水トリメリット酸120部を入れ、180℃(常圧)で2時間反応させ、ポリエステル樹脂P8を得た。ポリエステル樹脂P8は、Tg50℃、数平均分子量2000、重量平均分子量4900、酸価が40KOHmg/gであった。
<プレポリマー1の合成>
冷却管、撹拌機及び窒索導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキシド2モル付加物682部、ビスフェノールAプロピレンオキシド2モル付加物81部、テレフタル酸283部、無水トリメリット酸22部及びジブチルスズオキシド2部を入れ、230℃(常圧)で8時間反応させた後、10〜15mmHgで5時間反応させ、中間体1を得た。中間体1は、数平均分子量2100、重量平均分子量9500、Tg55℃、酸価0.5KOHmg/g、水酸基価49KOHmg/gであった。
次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、411部の中間体1、イソホロンジイソシアネート89部、酢酸エチル500部を入れ、100℃で5時間反応させ、プレポリマー1を得た。プレポリマー1の遊離イソシアネートは、1.53重量%であった。
樹脂の分析は、以下のように行った。なお、酸価は、モノマーの組成に基づく計算値である。
(分子量)
分子量は、通常のGPC(gel permeation chromatography)により、以下の条件で測定した。
装置:HLC−8220GPC(東ソー社製)
カラム:TSKgel SuperHZM−M x 3
温度:40℃
溶媒:THF(テトラヒドロフラン)
流速:0.35ml/分
試料濃度:0.05〜0.6重量%
試料注入量:0.01ml
以上の条件で測定した樹脂の分子量分布から、単分散ポリスチレン標準試料を用いて作成した分子量校正曲線を使用して重量平均分子量を算出した。単分散ポリスチレン標準試料としては、分子量が5800〜7.5×10の範囲のものを10点使用した。
(ガラス転移点)
ガラス転移点は、示差走査熱量計DSC−6220R(セイコーインスツル社製)を用いて、まず、室温から昇温速度10℃/分で150℃まで加熱した後、150℃で10分間放置した。次に、室温まで冷却して10分間放置した後、再度150℃まで昇温速度10℃/分で加熱した。
図3に、DSCライン及びDDSCラインからガラス転移点を算出する方法を示す。Tgは、2回目の昇温過程で転移が起こるまでのDSCラインでDDSCが0±20μW/分である範囲をベースライン31とし、転移域のDSC変曲点32(DDSCのピークトップから求められる。)の接線33との交点34の温度である。
<マスターバッチの作製>
カーボンブラックのリーガル400R(キャボット社製)40部、ポリエステル樹脂RS−801(酸価10KOHmg/g、重量平均分子量20000、Tg64℃)(三洋化成社製)60部、水30部を、ヘンシェルミキサーを用いて混合し、顔料凝集体中に水が染み込んだ混合物を得た。次に、ロールの表面温度を130℃に設定した2本ロールを用いて、45分間混練を行い、パルベライザーで直径1mmの大きさに粉砕し、マスターバッチ1を得た。
(実施例1)
<油相1の調製>
撹拌棒及び温度計をセットした容器に、378部のポリエステル樹脂1、パラフィンワックスHNP9(日本精鑞社製)120部、酢酸エチル1450部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃で5時間保持した後、1時間で30℃に冷却した。次に、容器に、500部のマスターバッチ1、酢酸エチル500部を仕込み、1時間混合し、原料液1を得た。
1500部の原料液1を容器に移し、ビーズミルのウルトラビスコミル(アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/時、ディスク周速度6m/秒で、粒径が0.5mmのジルコニアビーズを80体積%充填して、3パスの条件で分散を行った。次に、ポリエステル樹脂1の65重量%酢酸エチル溶液655部加え、上記条件のビーズミルで1パスした後、固形分濃度(130℃、30分)が50重量%となるように酢酸エチルを加えて、油相1を得た。
<水相1の調製>
イオン交換水953部、有機樹脂微粒子(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキシド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の25重量%水分散液88部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5重量%水溶液のエレミノールMON−7(三洋化成工業社製)90部、酢酸エチル113部を混合撹拌して、乳白色の水相1を得た。
<乳化工程>
967部の油相1に、イソホロンジアミン6部と、トナー中の含有量が10重量%となるようにビニル系共重合樹脂P1を添加し、TKホモミキサー(特殊機化社製)を用いて、5000rpmで1分間混合した。次に、137部のプレポリマー1を加え、TKホモミキサー(特殊機化社製)を用いて、5000rpmで1分間混合した。さらに、1200部の水相1を加え、TKホモミキサーを用いて、8000〜13000rpmで20分間混合し、乳化スラリー1を得た。
<脱溶剤>
撹拌機及び温度計をセットした容器に、乳化スラリー1を投入し、30℃で8時間脱溶剤を行い、分散スラリー1を得た。
<洗浄>
100部の分散スラリー1を減圧濾過した後、
(1)濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーを用いて、12000rpmで10分間混合した後、濾過した。
(2)(1)の濾過ケーキにイオン交換水900部を加え、超音波振動を付与して、TKホモミキサーを用いて、12000rpmで30分間混合した後、減圧濾過した。リスラリー液の電気伝導度が10μC/cm以下になるまで、この操作を繰り返した。
(3)(2)のリスラリー液のpHが4となるように、10重量%塩酸を加え、そのままスリーワンモーターを用いて、30分間攪拌した後、濾過した。
(4)(3)の濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーを用いて、12000rpmで10分間混合した後、濾過した。リスラリー液の電気伝導度が10μC/cm以下になるまで、この操作を繰り返して、濾過ケーキ1を得た。
<乾燥>
循風乾燥機を用いて、濾過ケーキ1を45℃で48時間乾燥し、目開き75μmのメッシュで篩い、母体粒子1を得た。母体粒子1は、ATR値0.028、体積平均粒径5.8μm、個数平均粒径5.2μm、平均円形度0.973であった。なお、ATR値とは、前述のFTIR−ATR法を用いて測定された母体粒子の赤外吸収スペクトルにおけるピークAの高さに対するピークBの高さの比である。
また、10gの母体粒子1をメタノール50gに25℃で30分間浸漬すると、ビニル系共重合樹脂P1が抽出されることをGPCにより確認した。
<トナー1の作製>
次に、100部の母体粒子1に、疎水性シリカ0.5部と疎水化酸化チタン0.5部を、ヘンシェルミキサーを用いて混合して、トナー1を得た。
(実施例2〜12、比較例1〜5)
トナー組成を表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様にトナーを作製した(比較例3では、母体粒子を作製できなかった)。
Figure 2007279689
なお、表中、W1は、パラフィンワックスHNP9(日本精鑞社製)、W2は、トリメチロールプロパントリベヘネート、W3は、ポリエチレンワックスのポリワックス400(ベーカー・ペトロライト社製)、W4は、カルナウバワックス、W5は、W1とW2の混合物(重量比1:1)、W6は、W1とW4の混合物(重量比1:2)である。
また、実施例2〜12において、母体粒子10gをメタノール50gに25℃で30分間浸漬すると、高極性樹脂が抽出されることをGPCにより確認した。
母体粒子の分析は、以下のように行った。
(粒子径)
コールターカウンター法によるコールターカウンターTA−II又はコールターマルチサイザーII(いずれもコールター社製)を用いて、以下に示すように、粒度分布を測定した。
まず、電解液100〜150mlに、界面活性剤アルキルベンゼンスルホン酸塩0.1〜5mlを加えた。ここで、電解液とは、1級塩化ナトリウムを用いて調製した約1重量%塩化ナトリウム水溶液であり、例えば、ISOTON−II(コールター社製)を用いることができる。次に、母体粒子を2〜20mg加えた。得られた懸濁液を、超音波分散器を用いて、1〜3分間分散処理を行い、上記の測定装置において、100μmのアパーチャーを用いて、母体粒子の体積、個数を測定して、体積分布と個数分布を求め、体積平均粒径及び個数平均粒径を算出した。
チャンネルとしては、2.00μm以上2.52μm未満;2.52μm以上3.17μm未満;3.17μm以上4.00μm未満;4.00μm以上5.04μm未満;5.04μm以上6.35μm未満;6.35μm以上8.00μm未満;8.00μm以上10.08μm未満;10.08μm以上12.70μm未満;12.70μm以上16.00μm未満;16.00μm以上20.20μm未満;20.20μm以上25.40μm未満;25.40μm以上32.00μm未満;32.00μm以上40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上40.30μm未満の母体粒子を対象とした。
(平均円形度)
平均円形度は、母体粒子を含む懸濁液を平板上の撮像部検知帯に通過させ、CCDカメラで光学的に画像を検知し、解析する光学的検知帯の手法を用いて得られる母体粒子の投影面積と等しい面積を有する円の周囲長を、母体粒子の周囲長で除した値である。平均円形度は、フロー式粒子像分析装置FPIA−2000を用いて、以下に示すように、計測した。
まず、容器中の予め不純固形物を除去した水100〜150mlに、界面活性剤アルキルベンゼンスルホン酸塩0.1〜0.5mlを加え、さらに、母体粒子を0.1〜0.5g程度加えた。得られた懸濁液を、超音波分散器を用いて、1〜3分間分散処理を行い、濃度を3000〜1万個/μlとした後、上記の測定装置を用いて、母体粒子の形状及び分布を測定し、平均円形度を算出した。
母体粒子の分析結果を表3に示す。
Figure 2007279689
トナーの評価は、以下のように行った。なお、得られたトナーは、非磁性一成分現像剤として用いて、評価を行ったが、好適なキャリアを使用することにより、二成分現像剤としても用いることができる。
(定着分離性)
ipsio CX2500(リコー社製)及びトナーを用いて、A4縦通紙の先端3mmに幅36mmのべた帯画像(付着量9g/m)を印字し、未定着画像を形成した。この未定着画像を図4に示す定着装置を用いて、130〜190℃の範囲で10℃刻みの定着温度で定着させ、非オフセット温度域を求めた。非オフセット温度域とは、加熱ローラからの紙の分離が良好に行われ、オフセット現象が発生せず、かつ容易に画像はがれが起きない定着温度範囲を意味する。使用ペーパー及び通紙方向は、分離に不利な45g/m紙のY目の縦通紙とした。また、定着装置の周速を120mm/秒とした。
図4に示す定着装置は、フッ素系表層剤構成のソフトローラタイプのものである。詳しくは、加熱ローラ41は、外径40mmで、アルミ芯金41a上に、シリコーンゴムからなる厚さ1.5mmの弾性体層41b及びPFA(四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)からなる表層41cを有し、アルミ芯金41aの内部にヒーター41dを備えている。加圧ローラ42は、外径40mmで、アルミ芯金42a上に、シリコーンゴムからなる厚さ1.5mmの弾性体層42b及びPFAからなる表層42cを有する。なお、未定着画像43が印字された紙44は、図4に示すように通紙される。
なお、定着分離性は、非オフセット温度域が50℃以上である場合を○、30℃以上50℃未満である場合を△、30℃未満である場合を×として、判定した。
(フィルミング性)
ipsio CX2500(リコー社製)及びトナーを用いて、B/W比6%の所定のプリントパターンをN/N環境下(23℃、45%RH)で連続印字した。N/N環境下で2000枚連続印字した後に、感光体及び無端型の中間転写体(中間転写ベルト)を目視で観察評価した。
なお、フィルミング性は、感光体及び中間転写ベルトに、フィルミングの発生がなく、全く問題が無い場合を○、感光体及び中間転写ベルトのいずれか一方に、フィルミングの発生が見られたが、複写画像上では確認できず、実用上問題が無い場合を△、感光体及び/又は中間転写ベルトに、フィルミングの発生があり、複写画像上でも確認でき、実用上問題がある場合を×として、判定した。
(耐ストレス性及び地汚れ)
ipsio CX2500(リコー社製)及びトナーを用いて、B/W比6%の所定のプリントパターンをN/N環境下で連続印字した。耐ストレス性については、N/N環境下で50枚及び2000枚連続印字した後に、白紙パターン印字中の現像ローラ上のトナーを吸引し、電荷量をエレクトロメータで測定し、50枚後及び2000枚後の帯電量差を評価した。また、地汚れについては、現像後の未クリーニング部分に無色透明のテープを貼って、感光体上の地汚れトナーを剥離し、白紙に貼り付けた後の濃度を目視評価した。
なお、耐ストレス性は、帯電量差の絶対値が10μC/g未満である場合を○、10μC/g以上15μC/g未満である場合を△、15μC/g以上である場合を×として、判定した。また、地汚れは、全く地汚れが無い場合を○、若干地汚れがあるが、気にならない場合を△、地汚れが目立つ場合を×として、判定した。
(耐熱保存性)
トナーを50℃で8時間保管した後、42メッシュの篩を用いて2分間ふるい、金網上の残存率を測定した。なお、残存率が10%未満である場合を◎、10%以上20%未満である場合を○、20%以上30%未満である場合を△、30%以上である場合を×として、判定した。
(クリーナレス適性)
クリーナレス適性は、IPSIO CX3000(リコー社製)の改造機(図5参照)を用いて評価した。この改造機は、感光体51、転写ベルト52、導電シート53、シート圧接材54、帯電ブラシ55、現像器56、転写ローラ57を有する。導電シート53は、クリーニングブレードの代わりに、感光体51の表面に接触させるように設けられている。なお、導電シート53は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)からなる厚さ0.1mm、体積固有抵抗10Ω・cmのシートであり、ニップ幅5mmで設けられ、DC−500Vの電圧が印加されている。また、シート圧接材54は、スポンジであり、導電シート53を感光体51に圧接させる。さらに、帯電ブラシ55は、帯電ローラの代わりに設けられ、ナイロン6からなる太さ6d、体積固有抵抗10Ω・cmのブラシが26万本/inchで設けられており、外径が11mmであり、シャフトの直径が5mmである。なお、帯電ブラシ55は、感光体51への食い込み量0.8mmで設けられ、感光体51に対する周速比2で回転し、ピーク電圧1.0kV、Duty45%(PC電位0V)、500HzのAC電圧を感光体51に印加する。
次に、この改造機を用いて画像を形成する動作について説明する。まず、帯電ブラシ55により感光体51を帯電した後、露光器(不図示)により露光することにより感光体51上に潜像が形成される。次に、現像器56により、潜像が現像され、感光体51上にトナー像が形成される。さらに、転写ローラ57を用いてトナー像が転写ベルト52に転写される。このとき、感光体51上に残存したトナーは、導電シート53により再度帯電される。このようにして再度帯電されたトナーは、上記の工程において、現像器56により、潜像が現像される際に、現像器56内に回収される。
クリーナレス適性については、モノクロモードでB/W比6%の所定のプリントパターンをN/N環境下で2000枚連続印字し、導電性シート53への固着の有無を目視評価した。なお、固着が無い場合を◎、僅かな固着があるが、画像ノイズが無い場合を○、少し固着があり、画像ノイズが確認できる場合を△、ひどい固着があり、画像ノイズ目立つ場合を×として、判定した。
トナーの評価結果を表4に示す。なお、ATR値とは、前述のFTIR−ATR法を用いて測定された母体粒子の赤外吸収スペクトルにおけるピークAの高さに対するピークBの高さの比である。
Figure 2007279689
表4より、実施例のトナーは、電子写真プロセス全般において、非常に良好な結果が得られた。しかしながら、比較例のトナーは、フィルミング性、耐ストレス性、地汚れ及び耐熱保存性のいずれにおいても満足な結果が得られなかった。
以上、本発明を実施するための最良の形態及び実施例を具体的に説明してきたが、本発明は、これらに限定されるものではなく、これらを本発明の主旨及び範囲を逸脱することなく、変更又は変形することができる。
本発明は、静電荷現像用トナー及びこれを用いた画像形成装置に適用することができる。特に、本発明のトナーは、低温定着生と耐熱保存性を両立し、耐オフセット性に優れ、トナー構造の制御が可能であり、現像装置等を汚染することなく、帯電性が良好であるので、電子写真装置、静電記録装置等における画像形成用のトナーとして使用することができる。また、本発明のトナーは、電子ペーパー用着色粒子として使用することができる。
本発明のトナーの一例を示す図である。 本発明のプロセスカートリッジの一例を示す図である。 DSCライン及びDDSCラインからガラス転移点を算出する方法を示す図である。 実施例で用いた定着装置を示す図である。 実施例で用いた画像形成装置を示す図である。
符号の説明
10 トナー(母体粒子)
11 コア
11a 着色剤
11b 離型剤
11c 結着樹脂
12 シェル
12a 高極性樹脂

Claims (28)

  1. 着色剤、離型剤及び芳香族基を含有するポリエステル骨格を有する結着樹脂を含むコアと、酸価が50KOHmg/g以上である高極性樹脂を含むシェルからなる母体粒子を有することを特徴とするトナー。
  2. 着色剤、離型剤、芳香族基を含有するポリエステル骨格を有する結着樹脂及び酸価が50KOHmg/g以上である高極性樹脂を含む母体粒子を有するトナーであって、
    FTIR−ATR法を用いて測定された該母体粒子の赤外吸収スペクトルは、850cm−1と783cm−1の間に第一のピーク、2834cm−1と2862cm−1の間に第二のピークを有し、
    該第一のピークの高さに対する該第二のピークの高さの比は、0.01以上0.1以下であることを特徴とするトナー。
  3. 前記高極性樹脂は、前記母体粒子10gをメタノール50gに25℃で30分間浸漬することにより抽出される樹脂であることを特徴とする請求項1又は2に記載のトナー。
  4. 前記高極性樹脂は、酸価が200KOHmg/g以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のトナー。
  5. 前記高極性樹脂は、ガラス転移点が45℃以上65℃以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のトナー。
  6. 前記高極性樹脂は、結晶性ポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のトナー。
  7. 前記高極性樹脂は、−OH、−COOH、−CONR及び−NHCONRからなる群より選択される官能基を側鎖に有する樹脂であり、
    、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数が1以上8以下の炭化水素基であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のトナー。
  8. 前記母体粒子は、平均円形度が0.95以上であり、体積平均粒径が4.5μm以上8μm以下であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載のトナー。
  9. 前記結着樹脂は、ガラス転移点が40℃以上70℃以下であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載のトナー。
  10. 前記結着樹脂は、未変性のポリエステル樹脂を含むことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載のトナー。
  11. 前記結着樹脂は、変性ポリエステル樹脂を含むことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載のトナー。
  12. 前記結着樹脂は、未変性のポリエステル樹脂及び変性ポリエステル樹脂を含み、
    前記結着樹脂に対する該変性ポリエステル樹脂の重量比は、5%以上80%以下であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載のトナー。
  13. 前記変性ポリエステル樹脂は、ウレタン結合及び/又はウレア結合によって伸張されたポリエステル樹脂を含むことを特徴とする請求項11又は12に記載のトナー。
  14. 前記変性ポリエステル樹脂は、末端にイソシアネート基を有するポリエステル樹脂とアミン類の反応によって得られるポリエステル樹脂を含むことを特徴とする請求項13に記載のトナー。
  15. 前記離型剤は、ポリオレフィンワックス、長鎖炭化水素及びカルボニル基を有するワックスからなる群より選択される一種以上の化合物を含み、
    前記母体粒子に対する前記離型剤の重量比は、3%以上30%以下であることを特徴とする請求項1乃至14のいずれか一項に記載のトナー。
  16. 前記母体粒子は、帯電制御剤をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至15のいずれか一項に記載のトナー。
  17. 請求項1乃至16のいずれか一項に記載のトナーをO/W型湿式造粒方式を用いて製造することを特徴とするトナーの製造方法。
  18. 少なくとも前記着色剤、離型剤、結着樹脂及び高極性樹脂を、Hansen溶解度パラメーターが19.5以下であると共に、水相との界面を形成することが可能な有機溶媒に溶解又は分散させて油相を得る工程と、
    該油相を該水相中で乳化させる工程を有することを特徴とする請求項17に記載のトナーの製造方法。
  19. 前記水相は、水と、水性溶媒、Hansen溶解度パラメーターが19.5以下である有機溶媒、界面活性剤、粘度調整剤、乳化安定化微粒子及びpH調整剤からなる群より選択される一種以上の化合物とを含むことを特徴とする請求項18に記載のトナーの製造方法。
  20. 前記油相を水相中で乳化させた乳化液を用いて形成される粒子を洗浄する工程と、
    該洗浄された粒子を乾燥する工程をさらに有することを特徴とする請求項18又は19に記載のトナーの製造方法。
  21. 請求項1乃至16のいずれか一項に記載のトナーを含むことを特徴とする現像剤。
  22. 前記トナーを担持するキャリアをさらに含むことを特徴とする請求項21に記載の現像剤。
  23. 請求項1乃至16のいずれか一項に記載のトナーを含むことを特徴とするトナー容器。
  24. 請求項1乃至16のいずれか一項に記載のトナーを用いて画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
  25. 潜像担持体に潜像を形成する潜像形成工程と、
    現像手段を用いて、該潜像を前記トナーで現像してトナー像を形成する現像工程と、
    該トナー像を支持体上に転写する転写工程と、
    該支持体に転写されたトナー像を定着させる定着工程と、
    帯電手段を用いて、該トナー像が転写された後に該潜像担持体に残存したトナーを帯電させる帯電工程を有し、
    該現像工程において、該帯電手段により帯電されたトナーを該現像手段に回収することを特徴とする請求項24に記載の画像形成方法。
  26. 前記帯電手段は、前記潜像担持体に圧接されている導電シートを有することを特徴とする請求項25に記載の画像形成方法。
  27. 請求項24乃至26のいずれか一項に記載の画像形成方法を用いて画像を形成することを特徴とする画像形成装置。
  28. 少なくとも潜像担持体及び現像手段を一体に有すると共に画像形成装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジにおいて、
    該現像手段は、該潜像担持体に形成された潜像を請求項1乃至16のいずれか一項に記載のトナーで現像してトナー像を形成することを特徴とするプロセスカートリッジ。
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