JP2007279463A - プラズマディスプレイパネル用前面板フィルタおよびプラズマディスプレイパネル表示装置 - Google Patents
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Abstract
外光の映り込みを低減し、視認性の優れたPDP用前面板フィルタを提供する。またそれを用いたPDP表示装置を提供する。
【解決手段】
プラズマディスプレイパネル用前面板フィルタの内面側の表面に円偏光板を設け、前面板フィルタの外面側の表面に反射防止層を設けたことを特徴とするプラズマディスプレイパネル用前面板フィルタである。
【選択図】図2
Description
表示装置は、明所でのコントラストを得るためにある一定の透過率を有する前面フィルタが必要であり、表示色との調整も含めて前面に色素層を設けて調整されている。PDPはその動作原理上、強度の電磁波、近赤外線、紫外線を発生するため、これらを遮蔽する必要がある。例えば、電磁波の場合は、銅箔を格子状にエッチング処理したメッシュ層により遮蔽することができ、近赤外線や紫外線は吸収剤を粘着材やフィルムに混入させることにより遮蔽することができる。したがってPDPの前面フィルタとしては電磁波、近赤外線、紫外線などの遮蔽や、色調調整、コントラスト調整をする機能を有するものである。さらにPDPの表示部は強度が一般的に低いため、それを保護する必要があり、この保護層としての機能も前面フィルタは有する必要がある。
表示装置の表面がフラットである場合、蛍光灯などの外光が映り込み、映像のコントラストが低下し、画面が見にくくなるという問題がある。PDPで前面板を用いる場合は、PDPとの間に数mmの空気層を有するため、外光の映り込みは3重以上に反射されるという問題があった。
このような外光移りこみ防止のため、PDPの前面に光拡散機能および低反射機能を有する反射防止層とからなるフィルムと、両面に反射防止処理を施した光学フィルタ板が提案されている(特許文献1)。しかしながら本発明者らの検討によれば、PDP前面に光拡散機能を有しているため画像が白っぽくぼけてしまうという欠点があり、また、外光の映り込みも光学フィルタ板(PDP用前面板フィルタ)の内面側が特に不十分であった。
一方、円偏光板を導電性メッシュタイプの電磁波シールド材の外側に設けて、電磁波シールド材の外光反射を防止するフィルタが提案されている(特許文献2)。この方法をPDP用前面板フィルタを設けた表示装置に用いた場合、電磁波シールド材の外光反射は多少効果は見られるものの外光反射の大きな空気層との界面での反射が防止できていないため不十分なものであった。円偏光板を電磁波シールド材よりも外側に設けるため、PDP用前面板フィルタの場合、PDPの表示面とフィルタの内面が円偏光板で反射防止できなかった。本発明者らの検討によると、これはPDP用前面板フィルタの種々の機能を有する積層体によって円偏光板を通過した円偏光が乱されたことに起因していることが分かった。また、映り込みの大きな要因は、PDPの前面と、PDP用前面板フィルタの空気層と接している両面であることが分かった。
即ち、本発明は、
(1)プラズマディスプレイパネル用前面板フィルタにおいて、該フィルターの内側の表面に円偏光板を設け、該前面板フィルタの外側の表面に反射防止層を設けたことを特徴とするプラズマディスプレイパネル用前面板フィルタ。
(2)視感度反射率が1%以下の反射防止層を設けたことを特徴とする(1)記載のプラズマディスプレイパネル用前面板フィルタ。
(3) 円偏光板の可視光域での鏡面上反射率で、波長550nmの反射率が1%以下であり、波長400nmおよび700nmでの反射率が8%以下である円偏光板を用いることを特徴とする(1)または(2)記載のプラズマディスプレイパネル用前面フィルタ。
(4)(1)〜(3)に記載のいずれかのプラズマディスプレイパネル用前面板フィルタを設けていることを特徴とするプラズマディスプレイパネル表示装置
図1はPDP表示装置の略図であり、PDP2と、PDP用前面板フィルタ1からなり、PDP2とPDP用前面板フィルタ1の間には空気層がある。PDP2は、前面ガラス6と背面ガラス8の間にプラズマ発光領域7がある。プラズマ発光領域7では、放電ガスとして希ガスが封入され、電極間でのプラズマ放電によって紫外線を生じ、この紫外線によってプラズマ発光領域7にある蛍光体が発光する。この動作原理上、強度の電磁波、近赤外線、紫外線などを発生するため、フィルタでコントラストや色調補正をする以外に、フィルタで電磁波の遮蔽や近赤外線および紫外線の遮蔽を行っている。PDP用前面板フィルタ1は、フィルタ用ガラス4の表または裏に、電磁波遮蔽機能層、近赤外線遮蔽層、紫外線遮蔽層、色調補正層およびコントラスト調整層等の機能膜積層体3または5を設けることによって、電磁波遮蔽、近赤外線遮蔽、紫外線遮蔽、色調補正、コントラスト調整を行っている。これらの機能膜は、機能膜積層体5にすべて集約してもよく、機能膜積層体3に分割して積層してもよい。また機能膜積層体3に全ての機能を設けてもよい。
高分子材料として高い剛性を実現できる場合、例えばポリカーボネートやポリアクリレートなどの高剛性のものは使用してもよい。
電磁波遮蔽機能層としては、メッシュタイプのものや金属透明導電性フィルムタイプのものを用いることができる。メッシュタイプのものとしては銅をメッシュ状にエッチングしたものや鍍金によってメッシュ状にパターニングしたものを用いることができ、また、繊維状のメッシュタイプのものを用いることができる。金属透明導電性フィルムタイプのものとしてはスパッタリング法などによって透明な樹脂フィルムにITO、Agなどの透明な金属または金属化合物の薄膜を積層させたものを用いることができる。
紫外線遮蔽層は、PDPから放射される紫外線から前面板フィルタの構成要素、特に色調補正層などに用いる色素の保護にも用いることができる。紫外線吸収剤として420nm以下の短波長側を吸収する紫外線吸収剤を用いることができ、特に350〜400nmの紫外線吸収剤を用いることができる。これらは粘着剤に混合してもよく、透明なフィルムなどの樹脂層に混合して用いることもできる。また外光による色素の劣化防止のため、別の層として複数設置することもできる。
このPDP表示装置に外光(入射する外光9)があたるとその光は、PDP用前面板フィルタ1の外側の表面で一部反射して反射光10aが生じる。PDP用前面板フィルタ1を透過する外光9は、PDP用前面板フィルタ1の内側の表面で一部反射して反射光10bが生じる。PDP用前面板フィルタ1を透過した外光9はPDP2の外側の表面で一部反射して反射光10cが生じる。前面ガラス6を透過した外光9はPDP2の内部で、散乱光と正反射光10dが生じる。ここで、PDP前面板フィルタ9の外側の表面に反射防止膜を設けた場合、反射光10aは低減させるが、反射光10b〜dは低減されない。
外から入射してきた外光は、反射防止層11で反射光10aを低減し、PDP用前面板フィルタ1を透過する外光9は、直線偏光板13によって直線偏光成分の一成分であるP波(またはS波)のみが透過する。直線偏光板13で透過した外光のP波(またはS波)は位相差板14によって円偏光(例えば右回り)に変換される。この円偏光(例えば右回り)が反射する場合、回転方向が逆になるため、反射光10b〜10dは逆回りの円偏光として位相差板14を通過することになり、入射した直線偏光と90°位相の異なる直線偏光S波(またはP波)に変換され、直線偏光板13を透過できずに吸収されることになる。
円偏光板としては、完全な円偏光ではなく楕円偏光になることもある。また可視光線の波長によって、反射率が多少上昇することもある。これらの不完全さの傾向は、鏡面上に円偏光板を設置して反射率を測定することにより測定することができる。この鏡面上反射率において、ディスプレイを見た場合の反射光低減の観点から、波長550nmの反射率が1%以下であるのが好ましく、特に0.5%以下であるのが好ましい。また波長400nmおよび700nmでの反射率が8%以下である円偏光板が好ましく、特に波長400nmおよび700nmでの反射率が3%以下である円偏光板を用いるのが好ましい。円偏光板の特性は直線偏光板の直交時の透過率やその波長依存性、位相差板の延伸倍率や積層構成を調整することで可視光での最小値をもつ波長および波長依存性を調整することができる。
反射防止層としては、可視光の干渉による反射防止機能を付与する場合(AR)と、表面の凹凸等により表面での正反射を抑えて乱反射を大きくする方法(AG)があるが、AGの場合、PDPでは画面が白っぽくなってしまう。したがって、可視光の干渉による反射防止機能を付与するのが好ましく、PDP用前面板フィルタとしてのヘーズは10%以下にするのが好ましく、特に3%以下にするのが好ましい。
反射防止層の構成としては、低屈折率層/高屈折率層/ハードコート/透明基材または低屈折率層/ハードコート/透明基材の構成が好ましく用いられる。このような構成を有する反射防止層を光学用粘着剤を介してPDP用前面板フィルタの外側の表面に設けることができる。
透明基材上にはハードコート層を設けるのが好ましい。ハードコート層を設けることで、PDP用前面板フィルタの表層を強固にすることができ、傷つきにくいものとすることができる。ハードコートとしてはJISK5400に従う鉛筆硬度試験で、鉛筆強度がH以上になるものが好ましく用いられ、特に2H以上のもが好ましく用いられる。
ハードコートの代表的な材料としては、メラミン系、アクリルラジカル系、アクリルシリコーン系、アルコキシシラン系が好ましく、これらのハードコート材料をマトリックスとして有機および/又は無機の微粒子を分散したもの(以下、有機・無機粒子分散系と称する)を用いることも可能である。
多官能アクリレートオリゴマーとしては、ノボラック型やビスフェノール型エポキシ樹脂をアクリレート変性したエポキシアクリレート、ポリイソシアネートとポリオールを反応させて得られるウレタン化合物のアクリレート変性物であるウレタンアクリレート、ポリエステル樹脂をアクリレート変性したポリエステルアクリレート等が挙げられる。
また、アルコキシシラン系では、アルコキシシランを加水分解重縮合させることにより得られたシラノール基を有する縮合体を含んでいるものが好ましい。塗布後の熱硬化等により、シラノール基がシロキサン結合に変換されて硬化膜が得られる。
ハードコート層は、熱硬化や紫外線硬化、電子線硬化が行えるハードコート材料であることが好ましい。尚、ハードコート材料は硬化方法に応じて、光重合開始剤や熱重合開始剤、添加剤、溶剤等を含んでいることが好ましい。
無機粒子分散系の具体例としては、無機微粒子を分散させたアクリルラジカル系、無機微粒子を分散させた有機高分子系、無機微粒子を分散させたオルガノアルコキシシラン系等が挙げられ、アクリル系樹脂にシリカや酸化チタン、アルミナ等を分散させたものが好ましい。また、シリカ粒子の表面にアクリロイル基等を修飾した微粒子を用いることも好ましい。
ハードコート層には、さらに、着色剤(顔料、染料)、消泡剤、増粘剤、レベリング剤、難燃剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、酸化防止剤や改質用樹脂を添加してもよい。
ハードコート層が表面改質処理をされている場合も好ましい。表面改質処理はコロナ処理、deep−UV照射、エキシマランプ照射、真空プラズマ処理、常圧プラズマ処理、電子線照射等を用いての処理やシランカップリング剤等を含有するプライマー処理等が好ましい。
以上、本発明に用いることができるハードコート材料について説明したが、本発明に用いることができるハードコート材料としては、市販のシリコーン系ハードコート、(メタ)アクリル系ハードコート、エポキシ系ハードコート、ウレタン系ハードコート、エポキシアクリレート系ハードコート、ウレタンアクリレート系ハードコートなど、公知のものを用いることができる。具体的には、信越化学工業株式会社製UV硬化型シリコーンハードコート剤X−12シリーズ、GE東芝シリコーン株式会社製UV硬化型シリコーンハードコート剤UVHCシリーズや熱硬化型シリコーンハードコート剤SHCシリーズ、株式会社日本ダクロシャムロック製熱硬化性シリコーンハードコート剤ソルガードNPシリーズ、日本化薬株式会社製UV硬化型ハードコート剤KAYANOVA FOPシリーズが好ましい。この他、多官能モノマーなどと重合開始剤を含む塗布液を塗布し、多官能モノマーなどを重合させることによっても形成できる。ハードコート層の厚さは、通常、0.1μm〜5μmに設定される。
このような低屈折率層は、バインダとして屈折率が1.53以下のものが好ましく用いられる。屈折率の小さなバインダは屈折率を低くするのに有用である。また、中空シリカ微粒子のような低屈折率微粒子を混合するのは好ましい対応である。バインダの屈折率と中空シリカ微粒子のような低屈折率微粒子を混合することで、低屈折率層の屈折率を調整することができる。
中空シリカ微粒子とは、内部に空洞を有する微粒子であり、この中空シリカ微粒子自体が低屈折率(例えば、屈折率=1.10〜1.35)を有している。上記の空洞は、外殻によって包囲されているので、この空洞にバインダが侵入することはない。そしてこの空洞が存在していることによって低屈折率化を図ることができるものであり、また空洞内へのバインダの侵入が阻止されていることによって屈折率の増加を防止することができ、反射防止膜としての機能を実現できるものである。
また中空シリカ微粒子の外径(平均粒子径)は、分散性、得られる層の表面性、反射防止性能、強度の観点から、30nm以上が好ましい。中空シリカ微粒子の外径の上限は、反射防止性能、透視像の解像度、視認性の観点から、200nm以下が好ましい。
(1)テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ(i−プロポキシ)シラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、メチルトリ−iso−プロポキシシラン、エチルトリ−iso−プロポキシシラン、ジメトキシシラン、ジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジ(i−プロポキシ)シラン、メチルエチルジメトキシシラン、メチルエチルジエトキシシラン、メチルエチルジ(i−プロポキシ)シラン、メチルプロピルジメトキシシラン、メチルプロピルジエトキシシラン、メチルプロピルジ(i−プロポキシ)シラン、メトキシシラン、エトキシシラン、メチルメトキシシラン、メチルエトキシシラン、ジメチルメトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチル(i−プロポキシ)シラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリエチル(i−プロポキシ)シラン、トリプロピルメトキシシラン、トリプロピルエトキシシラン、トリプロピル(i−プロポキシ)シラン、メチルジエチルメトキシシラン、メチルジエチルエトキシシラン、メチルジエチル(i−プロポキシ)シラン、メチルジプロピルメトキシシラン、メチルジプロピルエトキシシラン、メチルジプロピル(i−プロポキシ)シラン、エチルジメチルエトキシシラン、エチルジメチル(i−プロポキシ)シラン、エチルジプロピルメトキシシラン、エチルジプロピルエトキシシラン、エチルジプロピル(i−プロポキシ)シラン、プロピルジメチルメトキシシラン、プロピルジメチルエトキシシラン、プロピルジメチル(i−プロポキシ)シラン、プロピルジエチルメトキシシラン、プロピルジエチルエトキシシラン、プロピルジエチル(i−プロポキシ)シラン、ビス(トリメトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、ビス(トリメトキシシリル)エタン、ビス(トリエトキシシリル)エタン、1,3−ビス(トリメトキシシリル)プロパン、1,3−ビス(トリエトキシシリル)プロパン、ヘキサメトキシジシロキサン、ヘキサエトキシジシロキサン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、テトラアセトキシシラン、テトラキス(トリクロロアセトキシ)シラン、テトラキス(トリフルオロアセトキシ)シラン、トリアセトキシシラン、トリス(トリクロロアセトキシ)シラン、トリス(トリフルオロアセトキシ)シラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリス(トリクロロアセトキシ)シラン、メチルトリス(トリフルオロアセトキシ)シラン、メチルジアセトキシシラン、メチルビス(トリクロロアセトキシ)シラン、メチルビス(トリフルオロアセトキシ)シラン、ジメチルビス(トリクロロアセトキシ)シラン、ジメチルビス(トリフルオロアセトキシ)シラン、メチルアセトキシシラン、メチル(トリクロロアセトキシ)シラン、メチル(トリフルオロアセトキシ)シラン、ジメチルアセトキシシラン、ジメチル(トリクロロアセトキシ)シラン、ジメチル(トリフルオロアセトキシ)シラン、トリメチルアセトキシシラン、トリメチル(トリクロロアセトキシ)シラン、トリメチル(トリフルオロアセトキシ)シラン、テトラクロロシラン、テトラブロモシラン、テトラフルオロシラン、トリクロロシラン、トリブロモシラン、トリフルオロシラン、メチルトリクロロシラン、メチルトリブロモシラン、メチルトリフルオロシラン、メチルジクロロシラン、メチルジブロモシラン、メチルジフルオロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジブロモシラン、ジメチルジフルオロシラン、メチルクロロシラン、メチルブロモシラン、メチルフルオロシラン、ジメチルクロロシラン、ジメチルブロモシラン、ジメチルフルオロシラン、トリメチルクロロシラン、トリメチルブロモシラン、トリメチルフルオロシランなどの加水分解性シラン類を反応させたものである。反応は、中空シリカ微粒子を用いる場合は反応させた後に脱水縮合させるのが好ましい。
(8)上記(1)〜(7)のアルキル基や水素基はフッ素に置換されたものを用いることができる。フッ素に置換されたものは屈折率が小さく、光学的性能に優れている。しかしながら単独では機械的に弱い場合もあるため、無機の微粒子と混合して用いることができる。
重合性モノマーの種類は、反応の形態、速度などに応じて適宜選択される。重合性モノマーまたは官能基を有するものを用いる場合には、さらに添加物として重合開始剤を添加することが有効である。重合開始剤としては、熱ラジカル発生剤、光ラジカル発生剤、熱酸発生剤、光酸発生剤など公知のものを、上記の重合性官能基や重合性モノマーの反応形態に合わせて選ぶことができる。
低屈折率層を製造する方法は限定されず、塗布組成物を用いて光学基材上に塗布する際に、中空シリカ微粒子など無機粒子の含有量、塗布液の濃度、バインダおよび添加物の種類およびそれらの濃度、塗布方法、塗布条件などを制御することによって、製造することができる。
塗布組成物の塗布は、ディッピング、スピンコーター、ナイフコーター、バーコーター、ブレードコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、グラビアロールコーター、スライドコーター、カーテンコーター、スプレイコーター、ダイコーター、キャップコーターなどの公知の方法を用いて実施することができる。これらのうち、連続塗布が可能なナイフコーター、バーコーター、ブレードコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、グラビアロールコーター、スライドコーター、カーテンコーター、スプレイコーター、ダイコーターおよびキャップコーターが好ましく用いられる。
低屈折率層は、帯電防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、レベリング剤、色素、金属塩、界面活性剤、離型剤など種々の添加物を、含有させることも可能である。
(1)反射防止膜の反射率の測定;ガラス板にアクリル系光学用粘着剤で、透明基材
/ハードコート/(高屈折率層)/低屈折率層からなる反射防止膜を貼り、ガラス板の裏面(低屈折率層がない面)の反射光をカットするため、裏面を紙やすりで荒した後に黒色インクで塗りつぶした。その後、分光光度計UV−2450/MPC2200型5°絶対反射率測定装置(島津製作所株式会社製)を用いて、波長300nm〜800nmの範囲の反射率スペクトルを0.5nm間隔で測定した。
視感度反射率は、測定した反射率スペクトルより、JIS Z8720に規定されているD65光源に対する視感度反射率を計算した。
また測定した反射率スペクトルより、反射色としてJIS Z8722に規定されているXYZ表色系の色度座標xyを計算した。
用いて、JIS K7361−1に規定される方法にて測定した。
(3)鏡面上反射率の測定;全反射ミラー(アルミ平面ミラー)に円偏光板の位相差板側を設置し、位相差板と全反射ミラーの間に空気層が存在するようにスペーサで空間を確保した。分光光度計UV−2450/MPC2200型5°絶対反射率測定装置(島津製作所株式会社製)の入射光側に可視偏光フィルタ(400〜700nm用)を設置して、入射光を直線変更に変換した。これは反射率測定装置の入射光が完全なランダム光ではないため、正確な測定を行うために直線偏光に変換して測定した。この変換した直線偏光を円偏光板の直線偏光板側にあてて反射率スペクトルを、波長400〜700nmの範囲で0.5nm間隔で測定した。
なお測定は、入射光の直線偏光と円偏光板の直線偏光板の透過軸とが、0°から5°間隔で180°まで反射率スペクトルをそれぞれ測定した。その結果、45°の反射率スペクトルが0〜180°の反射率スペクトルの平均スペクトルであることが分かった。
データ処理は、入射光の直線偏光と円偏光板の直線偏光の透過軸が直交した時の反射率スペクトル(ミニマムの反射率)をブランクとし、この直交状態から45°の角度をなしたときの反射率スペクトルからブランクの反射率スペクトル(直交時のスペクトル)を引いたものを鏡面上反射率とした。
ここで直交状態の反射率スペクトルは、円偏光板の表面での反射を実質的に表している。
(5)表面抵抗率の測定;測定装置として東亜ディーケーケー社製超絶縁計SM−8210、電極としては平板試料用電極SME−8311を用い、JIS K6911に規定される方法によって表面抵抗率を測定した。(20℃、65RH%)
円偏光板Aとして、ポリカーボネートフィルムを位相差板とした円偏光板を用いた。鏡面上反射率を測定したところ、波長400nm、550nm、700nmの反射率がそれぞれ、2.6%、0.6%、6.7%だった。
反射防止層Aの準備;透明基材として富士写真フィルム社製のUV吸収剤入りのTACフィルム(厚み80μ)TDY80ULを用いた。ハードコートとして日本化薬社製KD200Mを用いてTACフィルム上に3μ厚みに塗工・硬化させた。高屈折率層として導電性微粒子としてITO粒子をDPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)に分散させて、帯電防止機能を有する屈折率1.62、厚み約130nmの層を塗工・硬化させた。低屈折率層として、バインダにJSR社製TU2085、触媒化成社製中空シリカ微粒子(平均直径60nm、外殻厚み約7nm、屈折率1.25)を用いて屈折率1.33、厚み80〜90nmの層を塗工・硬化させた。
前面板フィルタを有するPDP表示装置の前面板フィルタに、外面側の表面に反射防止層Aを粘着剤LS0280を用いて貼った。一方、内面側の表面に銅メッシュ層等の機能膜積層体上に円偏光板を直線偏光面がくるように、粘着剤により貼り付けた。なお貼り付ける向きは直線偏光板の吸収軸が垂直になるように貼り付けた。
昼白色(3波長管)蛍光灯スタンドの前面に厚さ3mmの拡散板を設置してこれに黒色プラスチック板で覆いを設置して40mm角の窓を設けた。拡散板により40mm角内の光源の輝度はおよそ5000cd/m2になっていた。
この光源をPDP表示装置の表面から20cmの位置に設置して、光源の映り込んだ様子を観察した。その結果を表1に要約した。
次にPDP表示装置のD端子に「パソコンByeOS工房」製デジタルテレビ信号発生器DPG−300を接続して、種々のパターン信号を入力し、画像の状態を評価した。その結果を表1に要約した。
円偏光板Bとしてサンリッツ社製RD−HL56−W03を用いた。この鏡面反射率を測定したところ、波長400nm、550nm、700nmの反射率がそれぞれ、1.2%,0.2%,1.8%だった。この偏光板を実施例1と同様にして前面板フィルタに貼り付けた以外は、実施例1と同様に行って、その映り込みを評価した。また、DPG−300で種々のパターン信号を入力し、その画像状態を評価した。これらの結果を表1に要約した。
実施例1と同様に前面板フィルタの、外面側の表面に反射防止層を貼らず、内面側の表面が位相差板になるように円偏光板Bを粘着層を介して貼り付けた。なお貼り付ける向きは直線偏光板の吸収軸が垂直になるように貼り付けた。さらに円偏光板Bの外側に反射防止層Aを粘着剤を用いて貼り付けた。前面板フィルタの構成としては銅メッシュ層/ガラス/円偏光板/反射防止層になり、この銅メッシュ層が内側になるようにPDP表示装置を組み立てた。
実施例1と同様にして映り込みの評価とパターン信号での画像状態を評価した。これらの結果を表1に要約した。
比較例1において反射防止層Aを貼らず、円偏光板が外面側の表面になるようにした。この評価を、実施例1と同様にして映り込みの評価とパターン信号での画像状態を評価した。これらの結果を表1に要約した。
比較例1において円偏光板Bを貼らず、反射防止層Aのみが外面側の表面になるようにした。この評価を、実施例1と同様にして映り込みの評価とパターン信号での画像状態を評価した。これらの結果を表1に要約した。
2:PDP
3:機能膜積層体
4:フィルタ用ガラス
5:機能膜積層体
6:前面ガラス
7:プラズマ発光領域
8:背面ガラス
9:入射する外光
10a〜d:反射した外光
11:反射防止層
12:円偏光板
13:直線偏光板
14:位相差板
Claims (4)
- プラズマディスプレイパネル用前面板フィルタにおいて、該フィルターの内面側の表面に円偏光板を設け、該前面板フィルタの外面側の表面に反射防止層を設けたことを特徴とするプラズマディスプレイパネル用前面板フィルタ。
- 視感度反射率が1%以下の反射防止層を設けたことを特徴とする請求項1のプラズマディスプレイパネル用前面板フィルタ。
- 円偏光板の可視光域での鏡面上反射率で、波長550nmの反射率が1%以下であり、波長400nmおよび700nmでの反射率が8%以下である円偏光板を用いることを特徴とする請求項1または2記載のプラズマディスプレイパネル用前面フィルタ。
- 請求項1〜3に記載のいずれかのプラズマディスプレイパネル用前面板フィルタを設けていることを特徴とするプラズマディスプレイパネル表示装置。
Priority Applications (1)
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- 2006-04-07 JP JP2006106850A patent/JP2007279463A/ja active Pending
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